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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023154856
(43)【公開日】2023-10-20
(54)【発明の名称】液冷ジャケット、および冷却装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/473 20060101AFI20231013BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20231013BHJP
【FI】
H01L23/46 Z
H05K7/20 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022064470
(22)【出願日】2022-04-08
(71)【出願人】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】ニデック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀 裕多
(72)【発明者】
【氏名】西川 和宏
(72)【発明者】
【氏名】井上 健吾
【テーマコード(参考)】
5E322
5F136
【Fターム(参考)】
5E322AA01
5E322AA05
5E322AA11
5E322DA04
5E322DB10
5E322FA01
5F136CB06
5F136CB07
5F136CB08
5F136DA27
5F136FA02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】圧力損失を抑えたうえで、冷却性能を確保できる液冷ジャケットを提供する。
【解決手段】冷却装置1において、液冷ジャケット2は、冷媒が流れる方向に沿う方向を第1方向とし、第1方向に直交する方向を第2方向とし、第1方向及び第2方向に直交する方向を第3方向としたとき、第2方向に幅を有し、かつ、第3方向一方側Z1に放熱部材3を配置可能な冷媒流路(第1流路、第2流路202、第3流路)と、冷媒流路の第3方向他方側Z2に位置する底面部BTと、底面部から第3方向一方側に突出し、第1方向に複数配置される突起部21A~21Fと、を有する。第1方向一方側X1を下流側として、突起部は、第2方向に延び、かつ、第1方向他方側X2に凸となる凸部を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒が流れる方向に沿う方向を第1方向とし、第1方向に直交する方向を第2方向とし、第1方向および第2方向に直交する方向を第3方向として、
第2方向に幅を有し、かつ第3方向一方側に放熱部材を配置可能な冷媒流路と、
前記冷媒流路の第3方向他方側に位置する底面部と、
前記底面部から前記第3方向一方側に突出し、第1方向に複数配置される突起部と、
を有し、
第1方向一方側を下流側として、
前記突起部は、第2方向に延び、かつ第1方向他方側に凸となる凸部を有する、液冷ジャケット。
【請求項2】
前記放熱部材の第3方向一方側に発熱体を配置可能であり、
第3方向に視て、前記凸部の頂点は、前記発熱体の配置領域と重なる、請求項1に記載の液冷ジャケット。
【請求項3】
第3方向に視て、前記配置領域の第2方向全域にかけて前記凸部が配置される、請求項2に記載の液冷ジャケット。
【請求項4】
前記配置領域は、第2方向に近接して配置される複数の前記発熱体の外縁に沿う1つの領域である、請求項2に記載の液冷ジャケット。
【請求項5】
前記複数の発熱体において最も発熱量が大きい発熱体が第3方向に視て、前記頂点と重なる、請求項4に記載の液冷ジャケット。
【請求項6】
第1方向に複数配置される前記凸部は、第2方向の位置が異なる前記凸部を含む、請求項2に記載の液冷ジャケット。
【請求項7】
同じ前記突起部において、第2方向に前記凸部が複数配置される、請求項2に記載の液冷ジャケット。
【請求項8】
第3方向に視て、少なくとも1つの前記突起部における前記凸部の頂点を通る法線は、第1方向一方側に隣接する前記発熱体の配置領域と重なり、
前記法線は、第1方向に対して傾いている、請求項2に記載の液冷ジャケット。
【請求項9】
前記凸部の形状が曲率を有する、請求項1に記載の液冷ジャケット。
【請求項10】
前記曲率は、第1方向一方側に配置される前記突起部ほど大きくなる、請求項9に記載の液冷ジャケット。
【請求項11】
前記第1方向に複数配置される突起部は、
第2方向に2つ並んで配置される前記凸部を有する第1突起部と、
第2方向に2つ並んで配置される前記凸部を有して前記第1突起部よりも第1方向一方側に配置される第2突起部と、
を含み、
第3方向に視て前記第1突起部における2つの前記凸部の頂点を通る法線の方向は、前記第1方向と一致しており、
第3方向に視て前記第2突起部における2つの前記凸部の頂点を通る法線の方向は、第1方向一方側に向かうにつれて互いに近づく、請求項1に記載の液冷ジャケット。
【請求項12】
請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の液冷ジャケットと、
前記冷媒流路の第3方向一方側に配置され、かつ第1方向および第2方向に広がって第3方向に厚みを有する平板状の放熱部材と、
を有する、冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、液冷ジャケットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水冷に用いられるウォータージャケットが知られている。ウォータージャケットには、放熱部材が収容される。ウォータージャケット内部が冷却水の流路となり、発熱体は放熱部材を介して水冷される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-220382号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、ウォータージャケットでは、冷却性能の向上に加えて、圧力損失の低減が要求される。圧力損失が大きくなると、冷却水を循環させるポンプによっては所望の流量が確保できない場合がある。あるいは、所望の流量を確保するには、大型・高額のポンプを採用する必要がある。
【0005】
上記状況に鑑み、本開示は、圧力損失を抑えたうえで、冷却性能を確保できる液冷ジャケットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の例示的な液冷ジャケットは、冷媒が流れる方向に沿う方向を第1方向とし、第1方向に直交する方向を第2方向とし、第1方向および第2方向に直交する方向を第3方向として、第2方向に幅を有し、かつ第3方向一方側に放熱部材を配置可能な冷媒流路と、前記冷媒流路の第3方向他方側に位置する底面部と、前記底面部から前記第3方向一方側に突出し、第1方向に複数配置される突起部と、を有する。第1方向一方側を下流側として、前記突起部は、第2方向に延び、かつ第1方向他方側に凸となる凸部を有する。
【発明の効果】
【0007】
本開示の例示的な液冷ジャケットによれば、圧力損失を抑えたうえで、冷却性能を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本開示の例示的な実施形態に係る冷却装置の分解斜視図である。
図2図2は、図1に示す冷却装置の側面断面図である。
図3図3は、液冷ジャケットを第3方向一方側から第3方向他方側へ視た平面図である。
図4図4は、液冷ジャケットの平面図において発熱体の配置領域を重ねて図示した図である。
図5図5は、第1変形例に係る液冷ジャケットの平面図である。
図6図6は、第2変形例に係る液冷ジャケットの平面図である。
図7図7は、第3変形例に係る液冷ジャケットの平面図である。
図8図8は、第4変形例に係る液冷ジャケットの平面図である。
図9図9は、第5変形例に係る液冷ジャケットの平面図である。
図10図10は、第6変形例に係る液冷ジャケットの平面図である。
図11図11は、第7変形例に係る液冷ジャケットの平面図である。
図12図12は、第8変形例に係る液冷ジャケットの平面図である。
図13図13は、第9変形例に係る液冷ジャケットの平面図である。
図14図14は、第10変形例に係る液冷ジャケットの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本開示の例示的な実施形態について、図面を参照して説明する。
【0010】
なお、図面においては、第1方向をX方向として、X1を第1方向一方側、X2を第1方向他方側として示す。第1方向は、冷媒Wが流れる方向Fに沿う方向であり、下流側をF1、上流側をF2として示す。下流側F1が第1方向一方側、上流側F2が第1方向他方側である。また、第1方向に直交する第2方向をY方向として、Y1を第2方向一方側、Y2を第2方向他方側として示す。また、第1方向および第2方向に直交する第3方向をZ方向として、Z1を第3方向一方側、Z2を第3方向他方側として示す。なお、上記直交とは、90度から若干ずれた角度での交差も含む。また、上記の各方向は、冷却装置1を各種機器に組み込んだときの方向を限定しない。
【0011】
<1.冷却装置の全体構成>
図1は、本開示の例示的な実施形態に係る冷却装置1の分解斜視図である。図2は、図1に示す冷却装置1の側面断面図である。なお、図2は、冷却装置1の第2方向中央位置において第2方向に垂直な切断面で切断した状態を第2方向一方側から第2方向他方側へ視た場合の図である。
【0012】
冷却装置1は、液冷ジャケット2と、放熱部材3と、を有する。冷却装置1は、複数の発熱体4A,4B,4C,4D,4E,4F(以下、4A等)を冷媒Wにより冷却する装置である。冷媒Wは、水などの液体である。すなわち、冷却装置1は、水冷などの液冷を行う。なお、発熱体は、6つ以外の複数であってもよいし、単数であってもよい。
【0013】
液冷ジャケット2は、第1方向、第2方向、および第3方向に延びる各辺を有する直方体状である。液冷ジャケット2は、例えばアルミニウムなどの金属によるダイキャスト品である。液冷ジャケット2は、冷媒Wを流すための流路を内部に有する。
【0014】
具体的には、液冷ジャケット2は、冷媒流路20と、入口流路204と、出口流路205と、を有する。入口流路204は、液冷ジャケット2の第1方向他方側端部に配置され、第1方向に延びる円柱状である。
【0015】
冷媒流路20は、第1流路201と、第2流路202と、第3流路203と、を有する。第1流路201は、第2方向に幅を有し、第1方向一方側かつ第3方向一方側に傾斜する。第1流路201の第1方向他方側端部は、入口流路204の第1方向一方側端部に連接される。第2流路202は、第2方向に幅を有し、第1方向に延びる。第2流路202の第1方向他方側端部は、第1流路201の第1方向一方側端部に連接される。第3流路203は、第2方向に幅を有し、第1方向一方側かつ第3方向他方側に傾斜する。第2流路202の第1方向一方側端部は、第3流路203の第1方向他方側端部に連接される。
【0016】
出口流路205は、液冷ジャケット2の第1方向一方側端部に配置され、第1方向に延びる円柱状である。第3流路203の第1方向一方側端部は、出口流路205の第1方向他方側端部に連接される。
【0017】
これにより、入口流路204に流入した冷媒Wは、第1流路201に流入して第1流路201内を第1方向一方側かつ第3方向一方側へ流れ、第2流路202に流入して第2流路202内を第1方向一方側へ流れ、第3流路203に流入して第3流路203内を第1方向一方側かつ第3方向他方側へ流れ、出口流路205に流入して液冷ジャケット2の外部へ排出される。
【0018】
ここで、放熱部材3は、第1方向、第2方向、および第3方向に延びる各辺を有する直方体状の平板であり、第3方向に厚みを有する。放熱部材3は、例えば銅合金により形成される。放熱部材3を液冷ジャケット2に取り付けていない状態では、第1流路201、第2流路202、および第3流路203のそれぞれの第3方向一方側は、外部に露出している。放熱部材3は、第1流路201、第2流路202、および第3流路203の第3方向一方側に配置することで液冷ジャケット2に取り付けられる。これにより、第1流路201、第2流路202、および第3流路203のそれぞれの第3方向一方側は、外部に露出しなくなる。
【0019】
すなわち、液冷ジャケット2は、第2方向に幅を有し、かつ第3方向一方側に放熱部材3を配置可能な冷媒流路20を有する。
【0020】
発熱体4A,4B,4C,4D,4E,4Fは、この順に第1方向一方側へ並んで配置される。発熱体4A等は、放熱部材3の第3方向一方側面3Aに直接的あるいは間接的に接触する。発熱体4A等から発生した熱が放熱部材3を介して第2流路202を流れる冷媒Wに伝達されることで、発熱体4A等の冷却が行われる。
【0021】
<2.突起部の構成>
液冷ジャケット2は、複数の突起部21A,21B,21C,21D,21E,21F(以下、21A等)を有する。ここでは、図1および図2に加えて、図3も参照して突起部21A等について詳述する。図3は、液冷ジャケット2を第3方向一方側から第3方向他方側へ視た平面図である。
【0022】
突起部21A等の個数は、発熱体4A等の個数にあわせて6つとしている。なお、突起部の個数は、発熱体の個数にあわせて6つ以外の複数であってもよい。また、突起部の個数は、発熱体の個数と必ずしもあわせなくてもよい。
【0023】
第2流路202の第2方向一方側には、第1方向および第3方向に広がる壁部W1が設けられる。第2流路202の第2方向他方側には、第1方向および第3方向に広がる壁部W2が設けられる。
【0024】
突起部21A等は、第2流路202の第3方向他方側に配置される底面部BTから第3方向一方側へ突出する。すなわち、液冷ジャケット2は、冷媒流路20の第3方向他方側に位置する底面部BTと、底面部BTから第3方向一方側に突出し、第1方向に複数配置される突起部21A等と、を有する。
【0025】
突起部21A等は、第2方向に延びる柱状であり、壁部W1から壁部W2にかけて配置される。突起部21A等は、第2方向に視た断面が四角形である四角柱状である。
【0026】
図3に示すように、突起部21A等は、第2方向他方側へ向かうにつれて、第1方向他方側へ向かった後、第1方向一方側へ向かうように屈曲する曲線部210を有する。すなわち、突起部21A等は、蛇行する形状を有する。曲線部210は、変曲点P1,P2を有する。変曲点P1,P2間に凸部211が形成される。すなわち、突起部21A等は、第2方向に延び、かつ第1方向他方側に凸となる凸部211を有する。
【0027】
突起部21A等と放熱部材3との間には、第3方向の隙間Sが形成される(図2参照)。従って、冷媒Wは、第2流路202を第1方向一方側へ流れるときに、突起部21A等と放熱部材3との間の各隙間Sを通過する。
【0028】
図4は、液冷ジャケット2の平面図において発熱体4A等の配置領域(破線)を重ねて図示した図である。冷媒Wは、上記各隙間Sを通過するときに最短距離で突起部21A等を通過しようとする。そのため、図4に示すように、凸部211に冷媒Wの流れが集約され、凸部211での流速を向上させることができる。突起部21A等は第2方向中央位置に配置され、発熱体4A等は突起部21A等と重なるように配置される。突起部21A等における第2方向中央領域以外の領域で冷媒Wの流速が低下する代わりに、冷却性能が必要な第2方向中央領域において冷媒Wの流速を相対的に速めることができる。従って、圧力損失の増加を抑制しつつ、発熱体4A等の効率的な冷却が可能となる。
【0029】
さらに、突起部21A等、ひいては凸部211を第1方向に複数配置することで、下流側に向けて徐々に冷媒Wの流速を速めることができる。下流側では、上流側での冷却により冷媒Wの温度が高くなり、冷却性能が特に必要である。そこで、上記のように下流側において冷媒Wの流速を向上させることで、下流側の冷却性能を向上させることができる。
【0030】
また、図4に示すように、凸部211の頂点211Pは、発熱体4A等と重なる。すなわち、放熱部材3の第3方向一方側に発熱体4A等を配置可能であり、第3方向に視て、凸部211の頂点211Pは、発熱体4A等の配置領域と重なる。これにより、突起部21A等における流速が速くなる領域を発熱体4A等の配置領域と重なることで、発熱体4A等を効率的に冷却できる。
【0031】
また、図4に示すように、第3方向に視て、発熱体4A等の配置領域の第2方向全域にかけて凸部211が配置される。これにより、発熱体4A等の第2方向全域において流速を速めることができ、より効率的に発熱体4A等を冷却できる。
【0032】
<3.各種変形例>
図5は、第1変形例に係る液冷ジャケット2の平面図である。図5に示す液冷ジャケット2においては、突起部21A等は、第2方向他方側へ向かうにつれて、第1方向他方側へ直線状に向かった後、第1方向一方側へ直線状に向かうように形成される凸部211を有する。すなわち、凸部211は、V字状に形成される。このような凸部211により、先述した第1実施形態と同様な効果が享受される。
【0033】
ただし、先述した実施形態(図3参照)のように、凸部211の形状が曲率を有するほうが、直線状から構成される凸部を有する突起部に比べて突起部の長さを長くすることができる。これにより、隙間Sの断面積が大きくなり、流速が低下するため、圧力損失を抑制できる。
【0034】
図6は、第2変形例に係る液冷ジャケット2の平面図である。図6に示す液冷ジャケット2においては、凸部211は、突起部21Aから21Fまで下流側に向かうにつれて、第2方向他方側と第2方向一方側に交互に配置される。発熱体4A等は各凸部211の頂点211Pと重なるように配置されるため、発熱体4A等も下流側に向かうにつれて、第2方向他方側と第2方向一方側に交互に配置される。
【0035】
すなわち、第1方向に複数配置される凸部211は、第2方向の位置が異なる凸部211を含む。これにより、第1方向に複数配置される発熱体4A等が第2方向に位置を異ならせて配置される場合に、いずれの発熱体4A等も効率的に冷却できる。
【0036】
図7は、第3変形例に係る液冷ジャケット2の平面図である。図7に示す液冷ジャケット2においては、凸部211は、突起部21Aから21Cまでは、同じ第2方向位置に配置され、突起部21Dから21Fまでは、突起部21Aから21Cの凸部211よりも第2方向一方側の同じ第2方向位置に配置される。発熱体4A等は各凸部211の頂点211Pと重なるように配置されるため、発熱体4Aから4Cは、第1方向に直線状に配置され、発熱体4Dから4Fは、発熱体4Aから4Cよりも第2方向一方側に第1方向に直線状に配置される。このような第3変形例においても、第1方向に複数配置される凸部211は、第2方向の位置が異なる凸部211を含む。
【0037】
図8は、第4変形例に係る液冷ジャケット2の平面図である。図8に示す液冷ジャケット2においては、発熱体4A1,4A2が第2方向に近接して配置される。配置領域Rは、複数の発熱体4A1,4A2の外縁に沿う1つの領域である。第3方向に視て、凸部211の頂点211Pは、配置領域Rと重なる。これにより、第2方向に近接する複数の発熱体4A1,4A2を効率的に冷却できる。なお、第2方向に近接して配置される発熱体は、2個以外の複数個であってもよい。
【0038】
図9は、第5変形例に係る液冷ジャケット2の平面図である。図9に示す液冷ジャケット2においては、先述した第4変形例と同様、発熱体4A1,4A2が第2方向に近接して配置される。発熱体4A1は、発熱体4A2よりも発熱量が大きい。例えば、発熱体4A1は、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)チップであり、発熱体4A2は、ダイオードチップである。発熱体4A1が頂点211Pと重なっている。すなわち、複数の発熱体4A1,4A2において最も発熱量が大きい発熱体4A1が第3方向に視て、頂点211Pと重なる。これにより、発熱量の大きい発熱体4A1を優先的に冷却できる。なお、図9に示す構成では、突起部21Aから21Fにかけて凸部211は同じ第2方向位置に配置されるため、第1方向に複数配置される発熱体4A1,4A2はそれぞれ第1方向に直線状に配置される。
【0039】
図10は、第6変形例に係る液冷ジャケット2の平面図である。図10に示す構成では、先述した第5変形例との相違点として、突起部21Aから21Fにかけて凸部211は第2方向に交互に配置されるため、第1方向に複数配置される発熱体4A1,4A2はそれぞれ第2方向に交互に配置される。
【0040】
図11は、第7変形例に係る液冷ジャケット2の平面図である。図11に示す液冷ジャケット2においては、同じ突起部21A等において、第2方向に凸部2111,2112が複数配置される。発熱体4A1は、凸部2111の頂点2111Pと重なり、発熱体4A2は、凸部2112の頂点2112Pと重なる。これにより、第2方向に複数配置される発熱体4A1,4A2を効率的に冷却できる。なお、同じ突起部において凸部は、2個以外の複数個設けてもよい。
【0041】
図12は、第8変形例に係る液冷ジャケット2の平面図である。図12に示す液冷ジャケット2においては、第3方向に視て、突起部21Aにおける凸部211の頂点211Pを通る法線Lは、第1方向一方側に隣接する発熱体4Bの配置領域と重なる。第3方向に視て、突起部21Bにおける凸部211の頂点211Pを通る法線Lは、第1方向一方側に隣接する発熱体4Cの配置領域と重なる。すなわち、第3方向に視て、少なくとも1つの突起部21A,21Bにおける凸部211の頂点211Pを通る法線Lは、第1方向一方側に隣接する発熱体4B,4Cの配置領域と重なる。そして、法線Lは、第1方向に対して傾いている。これにより、発熱体4A,4B,4Cが第1方向に沿って直線状に配置されていない場合に、流速の速い冷媒Wを次の下流側の発熱体へ向かって導くことができ、発熱体4B,4Cを効率的に冷却できる。
【0042】
図13は、第9変形例に係る液冷ジャケット2の平面図である。図13に示す液冷ジャケット2においては、凸部211の曲率は、突起部21Aから21Fにかけて徐々に大きくなる。すなわち、凸部211の曲率は、第1方向一方側に配置される突起部21A等ほど大きくなる。これにより、冷却性能が比較的に必要な下流側の流速をより速め、冷却性能をより向上させることができる。
【0043】
図14は、第10変形例に係る液冷ジャケット2の平面図である。なお、図14においては、発熱体4A等の配置領域も示している。図14に示す液冷ジャケット2においては、突起部21Aから21Dは、第2方向に2つ並んで配置される凸部2111,2112を有する。凸部2111,2112は、第2方向中央の第2方向両側に配置される。突起部21E,21Fは、1つの凸部211を有する。突起部21Aから21Cにおける凸部2111,2112の頂点2111P,2112Pを通る法線L1の方向は、第1方向と一致する。突起部21Dにおける凸部2111,2112の頂点2111P,2112Pを通る法線L2の方向は、第1方向一方側に向かうにつれて互いに近づく。また、発熱体4A等は、第2方向中央において第1方向に直線状に配置される。
【0044】
すなわち、第1方向に複数配置される突起部21A等は、第2方向に2つ並んで配置される凸部2111,2112を有する第1突起部21A,21B,21Cと、第2方向に2つ並んで配置される凸部2111,2112を有して第1突起部21A,21B,21Cよりも第1方向一方側に配置される第2突起部21Dと、を含む。第3方向に視て第1突起部21A,21B,21Cにおける2つの凸部2111,2112の頂点を通る法線L1の方向は、第1方向と一致しており、第3方向に視て第2突起部21Dにおける2つの凸部2111,2112の頂点を通る法線L2の方向は、第1方向一方側に向かうにつれて互いに近づく。これにより、冷却性能が比較的に不要な上流側で発熱体4A,4B,4C,4Dの第2方向両側において冷媒Wを速い流速で流し、冷却性能が比較的に必要な下流側で低温の冷媒Wを合流させることができる。従って、下流側の発熱体4E,4Fを効率的に冷却できる。
【0045】
以上のように、本実施形態に係る冷却装置1は、液冷ジャケット2と、冷媒流路20の第3方向一方側に配置され、かつ第1方向および第2方向に広がって第3方向に厚みを有する平板状の放熱部材3と、を有する。これにより、放熱部材にピンフィンなどのフィンを設けることなくコストを低減しつつ、突起部によって圧力損失を抑制しつつ冷却性能を確保できる。
【0046】
<4.その他>
以上、本開示の実施形態を説明した。なお、本開示の範囲は上述の実施形態に限定されない。本開示は、発明の主旨を逸脱しない範囲で上述の実施形態に種々の変更を加えて実施することができる。また、上述の実施形態で説明した事項は、矛盾を生じない範囲で適宜任意に組み合わせることができる。
【0047】
例えば、放熱部材は、金属プレートに限らず、ベイパーチャンバーあるいはヒートパイプであってもよい。
【0048】
<5.総括>
以上のように、本開示の一側面に係る液冷ジャケットは、
冷媒が流れる方向に沿う方向を第1方向とし、第1方向に直交する方向を第2方向とし、第1方向および第2方向に直交する方向を第3方向として、
第2方向に幅を有し、かつ第3方向一方側に放熱部材を配置可能な冷媒流路と、
前記冷媒流路の第3方向他方側に位置する底面部と、
前記底面部から前記第3方向一方側に突出し、第1方向に複数配置される突起部と、
を有し、
第1方向一方側を下流側として、
前記突起部は、第2方向に延び、かつ第1方向他方側に凸となる凸部を有する構成としている(第1の構成)。
【0049】
また、上記第1の構成において、前記放熱部材の第3方向一方側に発熱体を配置可能であり、
第3方向に視て、前記凸部の頂点は、前記発熱体の配置領域と重なる構成としてもよい(第2の構成)。
【0050】
また、上記第2の構成において、第3方向に視て、前記配置領域の第2方向全域にかけて前記凸部が配置される構成としてもよい(第3の構成)。
【0051】
また、上記第2の構成において、前記配置領域は、第2方向に近接して配置される複数の前記発熱体の外縁に沿う1つの領域である構成としてもよい(第4の構成)。
【0052】
また、上記第4の構成において、前記複数の発熱体において最も発熱量が大きい発熱体が第3方向に視て、前記頂点と重なる構成としてもよい(第5の構成)。
【0053】
また、上記第2の構成において、第1方向に複数配置される前記凸部は、第2方向の位置が異なる前記凸部を含む構成としてもよい(第6の構成)。
【0054】
また、上記第2の構成において、同じ前記突起部において、第2方向に前記凸部が複数配置される構成としてもよい(第7の構成)。
【0055】
また、上記第2の構成において、第3方向に視て、少なくとも1つの前記突起部における前記凸部の頂点を通る法線は、第1方向一方側に隣接する前記発熱体の配置領域と重なり、
前記法線は、第1方向に対して傾いている構成としてもよい(第8の構成)。
【0056】
また、上記第1の構成において、前記凸部の形状が曲率を有する構成としてもよい(第9の構成)。
【0057】
また、上記第9の構成において、前記曲率は、第1方向一方側に配置される前記突起部ほど大きくなる構成としてもよい(第10の構成)。
【0058】
また、上記第1の構成において、前記第1方向に複数配置される突起部は、
第2方向に2つ並んで配置される前記凸部を有する第1突起部と、
第2方向に2つ並んで配置される前記凸部を有して前記第1突起部よりも第1方向一方側に配置される第2突起部と、
を含み、
第3方向に視て前記第1突起部における2つの前記凸部の頂点を通る法線の方向は、前記第1方向と一致しており、
第3方向に視て前記第2突起部における2つの前記凸部の頂点を通る法線の方向は、第1方向一方側に向かうにつれて互いに近づく構成としてもよい(第11の構成)。
【0059】
また、本開示の一側面に係る冷却装置は、上記第1から第11のいずれかの構成とした液冷ジャケットと、前記冷媒流路の第3方向一方側に配置され、かつ第1方向および第2方向に広がって第3方向に厚みを有する平板状の放熱部材と、を有する構成としている(第12の構成)。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本開示は、各種発熱体の冷却に利用することができる。
【符号の説明】
【0061】
1 冷却装置
2 液冷ジャケット
3 放熱部材
4A,4B,4C,4D,4E,4F 発熱体
4A1,4A2 発熱体
20 冷媒流路
21A,21B,21C,21D,21E,21F 突起部
201 第1流路
202 第2流路
203 第3流路
204 入口流路
205 出口流路
210 曲線部
211 凸部
211P 頂点
2111,2112 凸部
2111P,2112P 頂点
BT 底面部
L,L1,L2 法線
P1,P2 変曲点
R 配置領域
S 隙間
W 冷媒
W1,W2 壁部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14