(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023154866
(43)【公開日】2023-10-20
(54)【発明の名称】荷物運搬装置とこれを備えた無人飛行体
(51)【国際特許分類】
B64D 1/10 20060101AFI20231013BHJP
B64C 39/02 20060101ALI20231013BHJP
B64D 1/12 20060101ALI20231013BHJP
【FI】
B64D1/10
B64C39/02
B64D1/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022064483
(22)【出願日】2022-04-08
(71)【出願人】
【識別番号】000198363
【氏名又は名称】IHI運搬機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097515
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 実
(74)【代理人】
【識別番号】100136700
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 俊博
(72)【発明者】
【氏名】小野 右季
(72)【発明者】
【氏名】▲曽▼我 隆之
(57)【要約】
【課題】複数の荷物を同時に運搬し、複数の搬送先に別々に荷物を届けることができ、機体内のバッテリ充電に時間を要することなくバッテリ容量を容易に増やすことができる手段を提供する。
【解決手段】無人飛行体(ドローン)10が、飛行を制御する主制御装置12とこれに電力を供給する内部バッテリ14を有する。荷物運搬装置100は、ドローン10に取付可能であり、保持リリース機構20と機体連結装置30を備える。保持リリース機構20は、複数のコンテナ6を同時に運搬しかつコンテナ6又はその中の荷物2を個別に分離する。機体連結装置30は、保持リリース機構20をドローン10に着脱可能な機体連結器31を有する。保持リリース機構20又は機体連結装置30は、内部バッテリ14に電力を供給可能な補助バッテリ41を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
飛行を制御する主制御装置と該主制御装置に電力を供給する内部バッテリとを有する無人飛行体に取付可能な荷物運搬装置であって、
複数のコンテナを同時に運搬しかつ前記コンテナ又はその中の荷物を個別に分離可能な保持リリース機構を備え、
前記保持リリース機構は、前記内部バッテリに電力を供給可能な電源装置を有する、荷物運搬装置。
【請求項2】
前記無人飛行体に着脱可能な機体連結器を有する機体連結装置を備える、請求項1に記載の荷物運搬装置。
【請求項3】
複数の前記コンテナは、上下方向に積層可能に構成されており、
前記保持リリース機構は、積層された複数の前記コンテナを同時に把持し、下方から順に分離する、請求項1に記載の荷物運搬装置。
【請求項4】
前記保持リリース機構は、複数の前記コンテナを間に挟み、近接位置と離脱位置との間で開閉可能な複数の把持アームと、該把持アームに設けられ前記近接位置において前記コンテナを把持して上下動可能なコンテナ昇降機構と、を有する、請求項3に記載の荷物運搬装置。
【請求項5】
前記把持アームは、最下端の前記コンテナを把持する下部把持アームと、最下端以外の前記コンテナを把持する上部把持アームと、を有し、
前記コンテナ昇降機構は、前記下部把持アーム又は前記上部把持アームに設けられ水平軸を中心に回転駆動される複数の駆動ローラを有する、請求項4に記載の荷物運搬装置。
【請求項6】
複数の前記コンテナは、水平方向に隣接して配置されており、
前記保持リリース機構は、隣接する複数の前記コンテナを把持し、かつ任意の前記コンテナから前記荷物を個別に分離する、請求項1に記載の荷物運搬装置。
【請求項7】
前記コンテナは、下方が開口しており、
前記保持リリース機構は、前記開口の下端に位置し前記荷物を取出し可能に支持する荷物支持装置を有する、請求項6に記載の荷物運搬装置。
【請求項8】
前記荷物支持装置は、前記コンテナの前記開口の下端外縁に設けられ、水平軸を中心に揺動駆動された揺動フラップであり、開位置で前記荷物の下方落下を可能にし、閉位置で前記荷物を支持して落下を防止する、請求項7に記載の荷物運搬装置。
【請求項9】
前記機体連結装置は、前記機体連結器に作用する負荷分布を検出する荷重分布検出器と、前記保持リリース機構を水平移動する水平移動装置と、重心位置を保持するように前記水平移動装置を制御する補助制御装置とを有する、請求項2に記載の荷物運搬装置。
【請求項10】
前記補助制御装置は、前記主制御装置と双方向に通信し、前記保持リリース機構と前記機体連結装置を制御する、請求項9に記載の荷物運搬装置。
【請求項11】
前記電源装置は、補助バッテリであり、
前記コンテナは、内部に荷物を収容する荷物コンテナ、又は前記内部バッテリに電力を供給可能な外部バッテリであり、
前記補助バッテリ又は前記外部バッテリから前記内部バッテリに電力を供給する電力供給ラインと充電回路を有する、請求項1に記載の荷物運搬装置。
【請求項12】
前記電源装置は、発電機、又は燃料電池であり、
前記コンテナは、内部に荷物を収容する荷物コンテナ、又は前記電源装置に燃料を供給可能な燃料タンクである、請求項1に記載の荷物運搬装置。
【請求項13】
請求項1に記載の荷物運搬装置を備えた、無人飛行体。
【請求項14】
前記荷物運搬装置を着脱可能な荷物連結器を有する荷物連結装置を備える、請求項13に記載の無人飛行体。
【請求項15】
前記荷物連結装置は、前記荷物連結器に作用する負荷分布を検出する荷重分布検出器と、前記保持リリース機構を水平移動する水平移動装置と、重心位置を保持するように前記水平移動装置を制御する補助制御装置とを有する、請求項14に記載の無人飛行体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無人飛行体に取り付けて使用する荷物運搬装置と、この荷物運搬装置を備えた無人飛行体に関する。
【背景技術】
【0002】
無人飛行体(以下、「ドローン」とも呼ぶ)は、小型の無人ヘリコプターの一種である。近年、ドローンを用いて、小型の荷物を無人で運搬したり、橋梁等の建造物を点検したり、農薬を散布したりすることが計画されている。
【0003】
無人飛行体(ドローン)を用いた荷物運搬システムは、例えば、特許文献1~3に開示されている。
【0004】
特許文献1の「把持機構及び運搬物搬送装置」は、様々な大きさの運搬物を安定的に把持する把持機構を開示する。
【0005】
特許文献2の「ドローンを用いた検体収集システム」は、放冷機構、温度履歴記録手段、温度制御手段のいずれかを含む温度管理手段を有する小型無人移動体を開示する。
【0006】
特許文献3の「無人飛行体を用いた輸送システム」は、蓄電部が設けられたコンテナと、コンテナの中継基地と、コンテナを装着する無人飛行体とを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2020/116401号
【特許文献2】特開2021-28247号公報
【特許文献3】特許第6084675号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ドローンは、通常、その動力源としてバッテリが用いられている。また、従来、一度の飛行でドローンが運搬する荷物は1つであり、運搬できる飛行距離は、荷物の重量と機体内のバッテリ容量に依存していた。
しかし、荷物が軽量である場合には、一度の飛行で複数の荷物を同時に運搬し、途中で帰還又は中継点に寄ることなく、複数の搬送先に別々に荷物を届けられることが望ましい。
また、ドローンがその基地(例えば、ホームポート)に帰還した後、機体内のバッテリ充電に時間を要することなく、再度飛行できることが望まれる。さらに、荷物は軽量だが搬送先が遠方の場合には、バッテリ容量を増やして飛行距離を延ばすことが望まれる。
【0009】
一方、一度の飛行で複数の荷物を同時に運搬し、ある搬送先に荷物を届けると、残りの荷物の重量バランス(例えば重心)が変化し、ドローンの飛行制御が困難になることが予測される。
【0010】
本発明は上述した問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の第1の目的は、複数の荷物を同時に運搬し、複数の搬送先に別々に荷物を届けることができ、機体内のバッテリ充電に時間を要することなくバッテリ容量を容易に増やすことができる手段を提供することにある。
また、第2の目的は、搬送先に荷物を順に届けても、残りの荷物の重量バランス(例えば重心位置)の変化を抑制することができる手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば、飛行を制御する主制御装置と該主制御装置に電力を供給する内部バッテリとを有する無人飛行体に取付可能な荷物運搬装置であって、
複数のコンテナを同時に運搬しかつ前記コンテナ又はその中の荷物を個別に分離可能な保持リリース機構を備え、
前記保持リリース機構は、前記内部バッテリに電力を供給可能な電源装置を有する、荷物運搬装置が提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、保持リリース機構により、複数のコンテナを同時に運搬し、かつコンテナ又はその中の荷物を個別に分離して、複数の搬送先に別々に荷物を届けることができる。
【0013】
また、保持リリース機構が、内部バッテリに電力を供給可能な電源装置を有するので、電源装置から電力を供給して飛行中に内部バッテリを充電することができる。
従って、機体内のバッテリ充電に時間を要することなくバッテリ容量を容易に増やすことができ、充電時間の待機なしに、短時間の着陸で無人飛行体を長時間運用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明による荷物運搬装置を備えた無人飛行体の第1実施形態図である。
【
図3】第1実施形態の荷物運搬装置を用いる無人飛行体の基地における離陸準備説明図である。
【
図4】第1実施形態の荷物運搬装置を用いる無人飛行体の搬送先における離着陸説明図である。
【
図5】本発明による荷物運搬装置を備えた無人飛行体の第2実施形態図である。
【
図6】第2実施形態の荷物運搬装置を用いる無人飛行体の基地における離陸準備説明図である。
【
図7】第2実施形態の荷物運搬装置を用いる無人飛行体の搬送先における離着陸説明図である。
【
図8】本発明による荷物運搬装置を備えた無人飛行体の第3実施形態図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
また、以下の説明において、「水平」「上下」とは、無人飛行体10の水平時を意味する。
【0016】
図1は、本発明による荷物運搬装置100を備えた無人飛行体10の第1実施形態図であり、
図2は、荷物運搬装置100のブロック図である。
【0017】
図1において、無人飛行体10(以下、ドローン10とも呼ぶ)は、主制御装置12、内部バッテリ14、及び被連結部材16を有する。
なお、この図において、1はドローン10の離着陸面(例えば、ドローンポート)、2は荷物、6はコンテナである。
【0018】
主制御装置12は、例えば通信機能を有するコンピュータ(PC)であり、外部と双方向に通信し、ドローン10の飛行を制御する。なお、主制御装置12は、ドローン10の飛行制御に限定されず、それ以外の制御も実施できるのがよい。
内部バッテリ14は、主制御装置12及びドローン10に設けられた各機器に電力を供給する。
被連結部材16は、荷物運搬装置100を連結して固定するための部材であり、この例ではドローン10の本体下部に設けられ水平に延びる複数の円筒形部材である。なお、被連結部材16はこの例に限定されず、その他の形態であってもよい。
また、この例において、円筒形の被連結部材16の外周面には、内部バッテリ14と電気的に接続された被充電用接点(図示せず)が設けられている。
【0019】
図1において、荷物運搬装置100は、無人飛行体10に取付可能であり、保持リリース機構20と機体連結装置30を備える。
【0020】
保持リリース機構20は、複数のコンテナ6を同時に運搬し、かつコンテナ6又はその中の荷物2を個別に分離可能に構成されている。
【0021】
図1において、複数(この例で4つ)のコンテナ6は、上下方向に積層可能に構成されている。
この例で、各コンテナ6は、その上面と下面に凸部と凹部を有し、それらが嵌合して積層状態を維持する。また、上下方向に積層された積層状態において、全体の水平方向外面が実質的に同一面となるように形成されている。なお、コンテナ6の上下方向の厚さは、同一であることが好ましいが、相違してもよい。
また、この例で、コンテナ6は、内部に荷物2を収容する荷物コンテナ6A、又は内部バッテリ14に電力を供給可能な外部バッテリ6Bである。外部バッテリ6Bは、その水平方向外面に、内部のバッテリセルと電気的に接続され上下方向に延びる接点(以下、コンテナ接点7)を有する。
【0022】
積層状態において複数の荷物コンテナ6Aは、配送先の順に下方から積層し、外部バッテリ6Bは、積層した荷物コンテナ6Aより上に積層する。なお、荷物コンテナ6Aと外部バッテリ6Bの数量は、同時に運搬可能な範囲で、1つでも複数でもよい。
例えば、荷物コンテナ6Aは軽量だが搬送先が遠方の場合には、外部バッテリ6Bの数量を増やして飛行距離を延ばすのがよい。
【0023】
保持リリース機構20は、積層された複数のコンテナ6を同時に把持し、下方から順に分離するようになっている。
図1において、保持リリース機構20は、複数のコンテナ6を間に挟み、近接位置Iと離脱位置Oとの間で開閉可能な複数の把持アーム22を有する。
把持アーム22は、この例では、最下端のコンテナ6を把持する下部把持アーム22Aと、最下端以外のコンテナ6を把持する上部把持アーム22Bと、を有する。
また、下部把持アーム22Aは、最下端のコンテナ6を把持した状態で、コンテナ6の外周下面を支持してその落下を防止する爪部23を有する。
【0024】
保持リリース機構20は、さらに、把持アーム22に設けられ近接位置Iにおいてコンテナ6を把持して上下動可能なコンテナ昇降機構24を有する。この例で、コンテナ昇降機構24は、下部把持アーム22A又は上部把持アーム22Bに設けられ水平軸を中心に回転駆動される複数の駆動ローラ24aである。
【0025】
上述した保持リリース機構20の構成により、上下方向に積層されたコンテナ6の水平方向外面を間に挟んで、複数の把持アーム22を近接位置Iと離脱位置Oとの間で開閉することができる。
また、把持アーム22及び駆動ローラ24aがコンテナ6の水平方向外面から離れた状態で、その間に複数のコンテナ6を搬入又は搬出することができる。
さらに、コンテナ6の水平方向外面に把持アーム22が近接し駆動ローラ24aが接触した状態で、駆動ローラ24aを回転駆動することで、複数のコンテナ6を同時に上下動することができる。
【0026】
また、この例で、保持リリース機構20は、上部把持アーム22Bに設けられ外部バッテリ6Bのコンテナ接点7と電気的に接する接点(以下、アーム接点25)を有する。
この構成により、コンテナ6の水平方向外面に把持アーム22が近接し駆動ローラ24aが接触した状態で、コンテナ接点7とアーム接点25を介して外部バッテリ6Bから内部バッテリ14に電力を供給して充電することができる。
【0027】
なお、
図1では、複数のコンテナ6を間に挟んで水平方向の左右に1対の把持アーム22を示しているが、前後方向にも1対の別の把持アーム22を設けてもよい。
【0028】
図1において、機体連結装置30は無人飛行体10に着脱可能な機体連結器31を有する。機体連結装置30は、この例では保持リリース機構20の上部に固定され、保持リリース機構20を下方に吊下げている。しかし、本発明は吊下方式に限定されず、例えば、側面取り付けなどでもよい。
機体連結器31は、この例では無人飛行体10の本体下部に設けられ水平に延びる円筒形の被連結部材16を開放可能に把持する。この把持により、荷物運搬装置100(すなわち、保持リリース機構20及び機体連結装置30)を無人飛行体10に着脱可能に固定することができる。
また、機体連結器31は、被連結部材16の被充電用接点を介して内部バッテリ14に電力を供給するための接点(以下、連結接点31a)を有している。
【0029】
上述した保持リリース機構20又は機体連結装置30(この例では保持リリース機構20)は、内部バッテリ14に電力を供給可能な電源装置40を有する。
【0030】
図2において、電源装置40は、補助バッテリ41である。また、荷物運搬装置100は、補助バッテリ41又は外部バッテリ6Bから内部バッテリ14に電力を供給する電力供給ライン42と充電回路44を有する。
上述したように機体連結器31は、内部バッテリ14に電力を供給するための連結接点31aを有しており、電力供給ライン42は、補助バッテリ41又は外部バッテリ6Bと連結接点31aを電気的に結合している。また、充電回路44は、補助バッテリ41又は外部バッテリ6Bから内部バッテリ14に供給する電力の電圧と電流を制御する。
この構成により、補助バッテリ41又は外部バッテリ6Bから内部バッテリ14に電力を供給して充電することができる。
また、荷物運搬装置100は、補助バッテリ41又は外部バッテリ6Bから、把持アーム22に電力を供給する電力供給ライン(図示せず)を有する。
【0031】
図2において、機体連結装置30は、荷重分布検出器32、水平移動装置34、及び補助制御装置36を有する。
また、荷物運搬装置100は、補助バッテリ41又は外部バッテリ6Bから、機体連結装置30に電力を供給する電力供給ライン(図示せず)を有する。
【0032】
荷重分布検出器32は、例えば3点以上のロードセルであり、3点以上の機体連結器31に作用する負荷分布を検出する。
水平移動装置34は、例えば機体連結装置30に対し保持リリース機構20を水平面内で直交する2方向に移動可能なアクチュエータであり、保持リリース機構20を水平移動する。
【0033】
補助制御装置36は、例えばコンピュータ(PC)であり、検出された負荷分布から平面視における荷物運搬装置100の重心位置を計算し、保持リリース機構20を水平面内で直交する2方向に移動制御し、重心位置を同一位置(例えば無人飛行体10の中心軸上)に保持する。
また、補助制御装置36は、通信機能を有し、主制御装置12と双方向に通信し、上述した機体連結器31と保持リリース機構20を制御する。
【0034】
上述した機体連結装置30の構成により、機体連結器31を制御して保持リリース機構20及び機体連結装置30を無人飛行体10に着脱可能に固定し、同時に、接点31aを被連結部材16の被充電用接点と電気的に接続することができる。
また、機体連結器31に作用する負荷分布から荷物運搬装置100の重心位置を同一位置(例えば無人飛行体10の中心軸上)に保持することができる。
また、主制御装置12又は補助制御装置36を用いて、荷物運搬装置100の各構成機器を自律制御又は遠隔制御することができる。後述する第2実施形態の場合も同様である。
【0035】
図3は、上述した第1実施形態の荷物運搬装置100を用いる無人飛行体10の基地(例えば、ホームポート)における離陸準備説明図である。この図は、複数のコンテナ6を保持リリース機構20により把持し、離陸するまでのステップ(工程)を示している。
この例において、ドローン10に荷物運搬装置100が予め固定されており、機体連結器31は被連結部材16を常に把持している。この場合、機体連結器31の動作及び制御は不要となる。
なお、この構成は必須ではなく、荷物運搬装置100をドローン10に固定せず、機体連結器31による被連結部材16の把持により必要時のみ固定してもよい。
【0036】
図3(A)において、複数のコンテナ6は、上下方向に積層した状態で離着陸面1に予め置かれている。また、荷物運搬装置100の下部把持アーム22Aと上部把持アーム22Bが離脱位置Oに開いた状態で、ドローン10が降下し、積層された複数のコンテナ6を間に挟んで離着陸面1の定位置に着陸する。
なお、ドローン10が先に離着陸面1の定位置に着陸し、離着陸面1の定位置に設けられた開口(図示せず)から、積層された複数のコンテナ6を離着陸面1の定位置まで上昇させてもよい。
【0037】
図3(B)において、下部把持アーム22Aと上部把持アーム22Bを近接位置Iに閉じる。この近接位置Iにおいて、駆動ローラ24aが、積層されたコンテナ6の外面に接触して上下動可能な状態となる。また、爪部23が最下端のコンテナ6の外周下面を支持してその落下を防止する。
【0038】
次いで、
図3(C)に示すように、下部把持アーム22Aと上部把持アーム22Bを近接位置Iに保持した状態のまま、ドローン10が離陸して複数のコンテナ6の運搬を開始する。
【0039】
図4は、上述した第1実施形態の荷物運搬装置100を用いる無人飛行体10の搬送先における離着陸説明図である。この図は、搬送先における着陸から離陸までのステップ(工程)を示している。
【0040】
図4(A)において、
図3(C)に示したドローン10が搬送先の離着陸面1に着陸し、下部把持アーム22Aを離脱位置Oに開いて、駆動ローラ24a及び爪部23が最下段のコンテナ6から離れた状態にする。この際、最下段以外のコンテナ6は、上部把持アーム22Bの駆動ローラ24aが接触して落下しないように保持する。
【0041】
図4(B)において、下部把持アーム22Aを離脱位置Oに保持したまま、ドローン10が離陸する。最下段のコンテナ6は、搬送先の離着陸面1に残され、その運搬が完了する。
【0042】
図4(C)において、下部把持アーム22Aを近接位置Iまで閉じ、下部把持アーム22Aと上部把持アーム22Bの駆動ローラ24aを回転駆動して、最下段のコンテナ6が爪部23で支持される位置まで、積層された複数のコンテナ6を下方に移動する。
この工程は、ドローン10が次の搬送先に飛行中、又は、次の搬送先の離着陸面1に着陸した直後までに実施する。
【0043】
次いで、次の搬送先において、
図4(A)~
図4(C)を繰り返すことで、複数の搬送先に別々にコンテナ6を届けることができる。
【0044】
また、外部バッテリ6Bを残して荷物コンテナ6Aの運搬が完了した後、無人飛行体10はその基地(例えば、ホームポート)に帰還し、外部バッテリ6Bを基地の離着陸面1に排出して、
図3(A)の状態に戻る。
なお、外部バッテリ6Bを運搬していない場合には、そのまま
図3(A)の状態に戻り、次の運搬を開始する。
【0045】
上述した本発明の第1実施形態によれば、保持リリース機構20により、複数のコンテナ6を同時に運搬し、かつコンテナ6を個別に分離して、複数の搬送先に別々にコンテナ6を届けることができる。
【0046】
また、保持リリース機構20又は機体連結装置30が補助バッテリ41を有し、かつ外部バッテリ6Bを併用できるので、補助バッテリ41又は外部バッテリ6Bから電力を供給して飛行中に内部バッテリ14を充電することができる。
従って、機体内のバッテリ充電に時間を要することなくバッテリ容量を容易に増やすことができ、充電時間の待機なしに、短時間の着陸でドローン10を長時間運用することができる。
【0047】
また、複数のコンテナ6が上下方向に積層可能に構成されており、保持リリース機構20により、積層された複数のコンテナ6を同時に把持し、下方から順に分離するので、コンテナ6を順に分離しても、残りのコンテナ6の重量バランス(重心位置)の変化を抑制することができる。
【0048】
さらに、機体連結装置30が、荷重分布検出器32、水平移動装置34、及び補助制御装置36を有するので、保持リリース機構20を水平面内で直交する2方向に移動制御し、荷物運搬装置100の重心位置を同一位置(例えば無人飛行体10の中心軸上)に保持することができる。
【0049】
図5は、本発明による荷物運搬装置100を備えた無人飛行体10の第2実施形態図である。
この図において、無人飛行体10と機体連結装置30の構成は第1実施形態と同様である。
【0050】
図5において、複数のコンテナ6は、水平方向に隣接して配置されており、下方が開口している。
また、保持リリース機構20は、コンテナ6の開口の下端に位置しコンテナ内の荷物2を取出し可能に支持する荷物支持装置26を有する。
荷物支持装置26は、この例では、コンテナ6の開口の下端外縁に設けられ、水平軸を中心に揺動駆動された揺動フラップ26aであり、開位置で荷物2の下方落下を可能にし、閉位置で荷物2を支持して落下を防止する。
【0051】
上述した保持リリース機構20の構成により、隣接する複数のコンテナ6を把持し、かつ任意のコンテナ6から荷物2を個別に分離することができる。
また、荷物2の代わりに外部バッテリ2Bをコンテナ6に格納してもよい。この場合、外部バッテリ2Bの接点は、コンテナ6に設けられた接点と接続し、上述した充電回路44に接続される。
その他の構成は、第1実施形態と同様である。
【0052】
図6は、上述した第2実施形態の荷物運搬装置100を用いる無人飛行体10のその基地(例えば、ホームポート)における離陸準備説明図である。この例は、荷物運搬装置100(保持リリース機構20の複数のコンテナ6)に荷物2を予め格納しておき、無人飛行体10が荷物運搬装置100を把持し、離陸するまでのステップ(工程)を示している。
【0053】
図6(A)において、荷物2を予め格納した荷物運搬装置100が、離着陸面1に予め置かれている。この際、複数の揺動フラップ26aは全て閉位置にあり荷物2を支持して落下を防止している。また、機体連結器31は開放されている。
なお、ドローン10が先に離着陸面1の定位置に着陸し、離着陸面1の定位置に設けられた開口(図示せず)から、荷物運搬装置100を離着陸面1の定位置まで上昇させてもよい。
【0054】
図6(B)において、無人飛行体10の被連結部材16が機体連結器31により把持できるように下降して着陸すると、機体連結器31が作動し、荷物運搬装置100を無人飛行体10に固定する。
なお、第1実施形態のように、ドローン10に荷物運搬装置100を予め固定しておき、ドローン10が先に離着陸面1の定位置に着陸し、離着陸面1の定位置に設けられた開口(図示せず)から、荷物2を複数のコンテナ6に下方から上昇させてもよい。この場合、複数の揺動フラップ26aは予め全て開位置し、荷物2を格納後に閉位置にする。
【0055】
次いで、
図6(C)に示すように、ドローン10が離陸して荷物2を格納した複数のコンテナ6の運搬を開始する。
【0056】
図7は、上述した第2実施形態の荷物運搬装置100を用いる無人飛行体10の搬送先における離着陸説明図である。この図は、搬送先における着陸から離陸までのステップ(工程)を示している。
【0057】
図7(A)において、
図6(C)に示したドローン10が搬送先の離着陸面1に着陸すると、配送する荷物2が格納されたコンテナ6の下方の揺動フラップ26aを閉位置から開位置に移動し、荷物2を下方の離着陸面1に移動する。
図7(B)において、ドローン10がそのまま離陸する。配送する荷物2は、搬送先の離着陸面1に残され、その運搬が完了する。
図7(C)において、補助制御装置36により、保持リリース機構20を水平面内で直交する2方向に移動制御し、荷物運搬装置100の重心位置を同一位置(例えば無人飛行体10の中心軸上)に保持する。
【0058】
次いで、次の搬送先において、
図7(A)~
図7(C)を繰り返すことで、複数の搬送先に別々に荷物2を届けることができる。
【0059】
また、外部バッテリ2Bを残して荷物2の運搬が完了した後、無人飛行体10はその基地(例えば、ホームポート)に帰還し、機体連結器31を開放して荷物運搬装置100を基地の離着陸面1に残して再飛行し、
図6(A)の状態に戻る。
なお、ドローン10が着陸したまま、離着陸面1の定位置に設けられた開口(図示せず)から、新旧の荷物運搬装置100を交換してもよい。
【0060】
上述した本発明の第2実施形態によれば、保持リリース機構20により、複数の荷物2を同時に運搬し、かつ荷物2を個別に分離して、複数の搬送先に別々に荷物2を届けることができる。
【0061】
また、保持リリース機構20又は機体連結装置30が補助バッテリ41を有し、かつ外部バッテリ2Bを併用できるので、補助バッテリ41又は外部バッテリ2Bから電力を供給して飛行中に内部バッテリ14を充電することができる。
従って、機体内のバッテリ充電に時間を要することなくバッテリ容量を容易に増やすことができ、充電時間の待機なしに、短時間の着陸でドローン10を長時間運用することができる。
【0062】
また、機体連結装置30が、荷重分布検出器32、水平移動装置34、及び補助制御装置36を有するので、保持リリース機構20を水平面内で直交する2方向に移動制御し、荷物運搬装置100の重心位置を同一位置(例えば無人飛行体10の中心軸上)に保持することができる。
【0063】
また、上述した第1、第2の実施形態では、荷物運搬装置100が機体連結装置30を備えるため、無人飛行体(ドローン10)が荷物運搬装置100を搭載しないで飛行する場合には、機体連結装置30に相当する積載重量を低減でき、航続距離を増加することができる。
【0064】
図8は、本発明による荷物運搬装置100を備えた無人飛行体10の第3実施形態図である。
この図において、無人飛行体10は、荷物運搬装置100を着脱可能な荷物連結器51を有する荷物連結装置50を備える。
荷物連結器51は、この例では荷物運搬装置100(保持リリース機構20)の本体上部に設けられ水平に延びる円筒形の被連結部材46を開放可能に把持する。この把持により、荷物運搬装置100を無人飛行体10に着脱可能に固定することができる。荷物連結器51の構成は、機体連結器31と同様である。
【0065】
また、荷物連結装置50は、荷物連結器51に作用する負荷分布を検出する荷重分布検出器32と、保持リリース機構20を水平移動する水平移動装置34と、重心位置を保持するように水平移動装置34を制御する補助制御装置36とを有する。荷物連結装置50の構成は、機体連結装置30と同様である。
【0066】
荷物連結装置50は、この例では無人飛行体10の下部に固定され、保持リリース機構20を下方に吊下げているが、本発明は吊下方式に限定されず、例えば、側面取り付けなどでもよい。
【0067】
上述した第3実施形態では、無人飛行体(ドローン)10が荷物連結装置50を備えるので、多くの荷物を取り扱う場合には、荷物連結装置50の個数を削減することが可能となる。
【0068】
上述した電源装置40は、発電機、又は燃料電池であってもよい。
この場合、コンテナ6の一部は、電源装置40に燃料(ガソリン、水素など)を供給可能な燃料タンクであるのがよい。
この構成により、飛行中などに発電を行ないながら内部バッテリ14への充電を行なうことができる。これにより基地(例えば、ホームポート)における充電時間の短縮や、基地(例えば、ホームポート)に電力が供給されていない地域(例えば発電所からの電力が来ていない地域)でも、迅速に内部バッテリ14への充電が可能となる。
【0069】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0070】
I 近接位置、O 離脱位置、1 離着陸面、2 荷物、2B 外部バッテリ、
6 コンテナ、6A 荷物コンテナ、6B 外部バッテリ、7 コンテナ接点、
10 無人飛行体(ドローン)、12 主制御装置、14 内部バッテリ、
16 被連結部材、20 保持リリース機構、22 把持アーム、
22A 下部把持アーム、22B 上部把持アーム、23 爪部、
24 コンテナ昇降機構、24a 駆動ローラ、25 アーム接点、
26 荷物支持装置、26a 揺動フラップ、30 機体連結装置、
31 機体連結器、31a 連結接点、32 荷重分布検出器、34 水平移動装置、
36 補助制御装置、40 電源装置、41 補助バッテリ、42 電力供給ライン、
44 充電回路、50 荷物連結装置、51 荷物連結器、100 荷物運搬装置