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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023154872
(43)【公開日】2023-10-20
(54)【発明の名称】加熱調理器
(51)【国際特許分類】
   A47J 27/00 20060101AFI20231013BHJP
【FI】
A47J27/00 103E
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022064492
(22)【出願日】2022-04-08
(71)【出願人】
【識別番号】390010168
【氏名又は名称】東芝ホームテクノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003063
【氏名又は名称】弁理士法人牛木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】下峰 実
(72)【発明者】
【氏名】工藤 玄貴
【テーマコード(参考)】
4B055
【Fターム(参考)】
4B055AA03
4B055BA07
4B055BA32
4B055CA22
4B055CC28
4B055CD63
(57)【要約】
【課題】器外に漏れる減圧ポンプの動作音を抑制可能な加熱調理器を提供する。
【解決手段】本発明の炊飯器は、被調理物を収容する鍋4と、鍋4の内部を減圧する減圧ポンプ39と、減圧ポンプ39の排気口39bに接続される接続管57、三方継手53および排気管55と、三方継手53に一端が接続されるとともに、他端が閉塞されたサイレンサー54と、を備える構成としている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被調理物を収容する容器と、
前記容器の内部を減圧する減圧ポンプと、
前記減圧ポンプの排気部に接続される排気管部と、
前記排気管部に一端が接続されるとともに、他端が閉塞された閉塞管部と、備えることを特徴とする加熱調理器。
【請求項2】
前記排気管部は、前記排気部からの気体の排気方向の下流で排気方向を変化させる方向変換部を備え、
前記閉塞管部は、前記排気部から前記方向変換部までの前記排気管部の設置方向に向けて延出する方向に設けられることを特徴とする請求項1に記載の加熱調理器。
【請求項3】
前記閉塞管部は、少なくとも一部が前記減圧ポンプの吸気部に接続される吸気管に並置されることを特徴とする請求項2に記載の加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被調理物を収容する容器内を減圧状態にする減圧手段を備えた加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の加熱調理器として、本願出願人は、減圧ポンプと、鍋の内部および当該減圧ポンプの間を連通する経路と、を有する減圧手段を備え、減圧ポンプで鍋内部を大気圧よりも低い減圧状態にして、保温時に鍋内における雑菌の増殖やご飯の腐敗の発生を効果的に防止する加熱調理器としての炊飯器を提案し、すでに権利化している(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4329126号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の加熱調理器では減圧ポンプで鍋内を減圧状態にするため、この減圧ポンプの動作時には当該減圧ポンプの動作音が発生する。そのため加熱調理器の外に漏れる当該動作音を抑制することが課題であった。
【0005】
そこで本発明は、器外に漏れる減圧ポンプの動作音を抑制可能な加熱調理器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の加熱調理器は、被調理物を収容する容器と、前記容器の内部を減圧する減圧ポンプと、前記減圧ポンプの排気部に接続される排気管部と、前記排気管部に一端が接続されるとともに、他端が閉塞された閉塞管部と、備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の炊飯器によれば、器外に漏れる減圧ポンプの動作音を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態を示す炊飯器の斜視図である。
図2】同上、炊飯器の縦断面図である。
図3】同上、外蓋を外した状態の蓋体の要部の斜視図である。
図4】同上、減圧ポンプとその周辺の要部を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明における好ましい炊飯器の実施形態について、添付図面を参照して説明する。なお、これらの全図面にわたり、共通する部分には共通する符号を付すものとする。
【0010】
図1図4は、本発明における炊飯器の一実施形態を示している。先ず炊飯器全体の構成を図1および図2に基づいて説明すると、1は本体であり、上方から見て前面と後面、左側面と右側面が対向する略矩形状をなし、上面が開口されている。2は本体1の上面開口部を開閉自在に覆う蓋体であり、本体1と同様に、上方から見て前面と後面、左側面と右側面が対向する略矩形状をなし、上面が略平坦に構成されている。本体1は上面を開口した鍋収容部3を有し、蓋体2を開けたときに、被炊飯物である水や米を収容する容器としての有底状の鍋4が、その鍋収容部3に着脱自在に収容される構成となっている。鍋収容部3は、椀状で樹脂製の内枠5などを組み合わせて構成され、全体が有底筒状に形成される。
【0011】
鍋4は、熱伝導性の良いアルミニウムを主材7とし、フェライト系ステンレスなどの磁性金属板からなる発熱体8が、主材7の外面の側部下部から底部にかけて接合してある。また、鍋4の側面下部から底面に対向する内枠5の外面には、鍋4の発熱体8を電磁誘導加熱する加熱手段として、加熱コイル11を備えている。そして加熱コイル11に高周波電流を供給すると、加熱コイル11から発生する交番磁界によって鍋4の発熱体8が発熱し、炊飯時と保温時に鍋4内の被炊飯物を加熱する構成となっている。また内枠5の底部中央部には、鍋温度検出手段としての鍋センサ12が、鍋4の外面底部と弾発的に接触するように配設される。
【0012】
蓋体2の外形は、外蓋9と、この外蓋9の下方開口部を覆うように取付けられる外蓋カバー10と、で概ね形成されている。蓋体2の後部には本体1との連結部となるヒンジ部13が設けられる。また蓋体2の前方上面には、蓋体操作体14が露出状態で配設されており、この蓋体操作体14を押すと、本体1と蓋体2との係合が解除され、本体1の上部後方に設けたヒンジバネ13bにより、ヒンジ13のヒンジ軸13aを回転中心として蓋体2が開く構成となっている。
【0013】
蓋体2の後方上面には、鍋4内の被炊飯物から発生する蒸気を炊飯器の外部に排出する蒸気口15が配設される。また蓋体2の上面には、この蒸気口15や蓋体操作体14の他に、炊飯に関わる様々な情報を表示するための、画面表示部としてのLCD(Liquid Crystal Display:液晶ディスプレイ)16や状態表示部としてのLED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)表示部17と、タッチセンサで構成されてLCD16の上方に配設され、炊飯を開始させたり、時間や炊飯コ-スなどを選択させたりするための操作手段19と、がそれぞれ配設される。またLCD16やLED表示部17や操作手段19の下面には、制御PC(Printed Circuit:印刷回路)板21が配置される。
【0014】
LED表示部17は、実際の炊飯器の状態を表示するもので、本実施形態では、予約設定がされていているときに「予約」のLED表示部が点灯し、保温状態になると「保温」の工程LED表示部が点灯し、後述する減圧手段38により鍋4の内部が大気圧より低い減圧状態になると、「真空」の工程LED表示部が点灯し、炊飯中に鍋4の内部に圧力がかかり始めてから、被炊飯物が炊き上がるまでの鍋4の内部が加圧されているときに、「圧力」の工程LED表示部が点灯するように構成される。そのため、LCD16のバックライトを減光させた減光状態のときでも、ユーザがLED表示部17を確認することで炊飯器の現在の状態を一目で理解することができる。
【0015】
タッチセンサで構成された操作手段19は、例えば、導電性ポリマーによる透明電極部と制御PC板21に接続する接点部との間をパターン配線で繋いだ構成要素が、タッチキーとして複数配設されるものであり、LCD16に表示される複数のボタン表示部の何れかにタッチ操作を行なうことで、そのボタン表示部の上に配設され、当該ボタン表示部に対応したタッチキーがタッチ操作されて、このボタン表示部が選択される構成となっている。
【0016】
このようにユーザの操作性および安全性を考慮して、蓋体操作体14は炊飯器におけるユーザに近い側である上面前方に配置され、蒸気口15は炊飯器におけるユーザから離れた側である上面後方に配置されることで蓋体2の上面において蓋体操作体14と蒸気口15との間にスペースを大きく確保することができ、LCD16およびLED表示部17や、LCD16の上方に配設される操作手段19を大きく設けることができるため、LCD16およびLED表示部17の視認性および操作手段19の操作性を向上させることができる。また蓋体2の上面には、LCD16上方の操作手段19以外には、従来の炊飯器に設けられていた、例えば炊飯キーや切キーのような物理キー・ボタンなどの操作手段が存在せず、操作手段19のみで炊飯器の操作を行なうために操作時にボタンを探す手間が省け、操作性を向上させることができる。また非常にスマートな外観にすることができ、精密部品である表示手段18や操作手段19の配置されたスペースをコンパクトにすることができる。また物理キー・ボタンなどを除くことで蓋体2の上面を略平面状に構成することができ、拭き掃除などもしやすく清掃性を向上させている。
【0017】
蓋体2の下側には、蓋体2の下部部材としての内蓋組立体23が配設される。内蓋組立体23は、鍋4の上方開口部と略同径の円盤状を有する金属材料からなり、鍋4の上方開口部を覆う内蓋24と、この内蓋24と鍋4との間をシールするために、内蓋24の外側全周に設けられる弾性部材としての蓋パッキン25と、鍋4の内圧力を調整する調圧部26とを備えている。環状に形成された蓋パッキン25は、図2に示されるように蓋体2を閉じた蓋閉時に、鍋4の開口部である上面に当接して、この鍋4と内蓋24との間の隙間を塞ぎ、鍋4から発生する蒸気を密閉するものである。
【0018】
蓋体2の内部には、蓋体2の開閉を検知するために、ヒンジ部13近傍に蓋開閉検知手段27が設けられる。ここで蓋開閉検知手段27は、光学式、機械式、磁石式など、どのような検知方式のものでもよく、蓋体2の開閉に応じた検知信号を出力できればよい。また蓋体2の内部には、内蓋24を加熱する蓋加熱手段としての蓋ヒータ31と、この蓋ヒータ31による内蓋24の温度管理を行なうためのサーミスタ式の蓋温度センサ32がそれぞれ設けられる。そして蓋体2の内部には、鍋4内で発生した蒸気を外部へ放出する通路として、蒸気口15と調圧部26とを連通する蒸気排出経路33が形成される。
【0019】
調圧部26には、鍋4の内部と蒸気口15との間の蒸気排出経路33を開閉する調圧弁34が設けられる。調圧弁34はボール状で、蓋体2の内部に設けたソレノイド35と連動し、鍋4内の蒸気を外部へ放出する場合には蒸気排出経路33を開放し、鍋4内を加圧または減圧状態にする場合には蒸気排出経路33を閉塞するように、ソレノイド35が調圧弁34を転動させる。そして加圧時には、加熱コイル11への高周波通電により鍋4内の被炊飯物が加熱され、被炊飯物が沸騰して蒸気が発生し、この蒸気が鍋4内に充満することにより鍋4の内圧が所定値に達すると、調圧弁34の自重に抗して蒸気排出経路33を開放することで、鍋4内の圧力を大気圧以上に維持する構成となっている。
【0020】
38は、蓋体2を本体1に閉じた状態で、鍋4の内部を通常の大気圧よりも低くするための減圧手段である。減圧手段38は、鍋4を鍋収容体3に収容し、蓋体2を閉じた後にソレノイド35を通電させて調圧弁34が蒸気排出経路33を塞いだ状態で、密閉した鍋4の内部圧力を低下させる。また、鍋4内部の圧力が大気圧よりも一定値下がった場合には、減圧手段38の動作源となる減圧ポンプ39の動作を停止し、鍋4内部を減圧状態に保っている。さらに、鍋4内部を減圧状態から外気と同じ圧力に戻す場合には、減圧ポンプ39の動作を停止し、蒸気排出経路33を開放するように、ソレノイド35が調圧弁34を転動させる。減圧手段38については、後程詳しく説明する。
【0021】
42は、本体1の内部に配設され、制御用IC43を含むユニット化された加熱基板組立である。制御用IC43はマイクロコンピュータを構成しており、各種の情報やデータを記憶する読み出しおよび書き込みが可能なメモリや、炊飯に関する時間を計測可能なタイマなどと共に制御手段(図示せず)を構成して、炊飯器の各部を電気的に制御する。具体的には、制御手段は、鍋センサ12や蓋温度センサ32からの各温度検知信号と、蓋開閉検知手段27からの検知信号と、操作手段19からの操作信号とを受けて、LCD16やLED表示部17に表示制御信号を出力し、また加熱コイル11や蓋ヒータ31に、それぞれ加熱制御信号を出力し、調圧弁34を動かすソレノイド35や、減圧手段38にそれぞれ駆動制御信号を出力するものである。
【0022】
図3は、外蓋9を外した状態の蓋体2の要部の斜視図である。本実施形態の減圧ポンプ39はロータリー式やダイヤフラム式の真空ポンプであり、減圧ポンプ39に気体を吸入する吸気部としての吸気口39aと、減圧ポンプ39内の気体を排出する排気部としての排気口39bとを有している。本実施形態の吸気口39aおよび排気口39bはそれぞれ円筒形状を有しており、これらの吸気口39aや排気口39bにシリコンチューブなどの管が接続できるようになっている。鍋4の内部と吸気口39aとの間には、鍋4内の気体を減圧ポンプ39が吸気する経路であるシリコンゴム製の吸気管51が配設され、吸気管51の鍋4側の端部に、吸気管51を開閉する減圧弁52が設けられる。減圧弁52は減圧手段38の1つとして制御手段に電気的に接続されており、減圧ポンプ39の動作と連動して、減圧ポンプ39が動作しているときは減圧弁52を開放して吸気管51を開放し、減圧ポンプ39の動作が停止しているときは減圧弁52を閉塞して吸気管51を閉塞するように制御手段に制御されている。
【0023】
53は、3方向に管を接続可能であり、接続した3つの管を流体的に接続する三方継手であり、本実施形態ではT字状の三方継手53が採用されている。三方継手53はシリコンゴムやジュラコン(登録商標)樹脂などから形成され、3つの筒状の端部と、これら3つの端部が連結している中空の連結部からなる。そして筒状の端部の1つと排気口39bとが、シリコンゴム製の接続管57を介して接続されている。また排気口39bに接続された三方継手53の端部の反対側に位置する端部には管状のサイレンサー54が接続され、当該サイレンサー54が円筒形状の排気口39bの延長方向に延びるように配設され、また排気口39bから三方継手53までの接続管57の設置方向に向けて延出する方向に設けられる。そして三方継手53の、他の2つの端部に対して角度を付けて設けられた端部には排気管55が接続される。そのため三方継手53は、排気口39bからの気体を排気方向の下流で、排気方向である気体の流れの向きを変化させる方向変換部としての機能を有している。また後述するように、接続管57は排気管および閉塞管としての機能を有している。ここで、減圧ポンプ39の排気口39bと三方継手53との距離が近いほど、減圧ポンプ39の動作音がサイレンサー54の方向に伝播しやすくなるため、接続管57の長さが短いほど好ましい。なおこの構成は一例であり、本発明はこれに限定されることなく、三方継手53を使用せずに、排気口39bに排気管55が直接接続されて、排気管55の途中にサイレンサー54が接続されるように構成されてもよい。また排気口39bにサイレンサー54が直接接続されて、サイレンサー54の途中に排気管55が接続されるように構成されてもよい。
【0024】
シリコンゴム製の排気管55は、接続管57および三方継手53と合わせて、排気口39bから排出された気体を蓋体2の外に排出する経路、すなわち炊飯器の器外に排出する経路を構成しており、排気管としての機能を有している。また排気管55の一端が炊飯器の器外と連通している端子56に接続され、排気管55の他端が三方継手53に接続されており、したがって本実施形態では、排気管55がサイレンサー54に対して、例えば略90°など所定の角度方向に延びるように構成される。なお本発明はこれに限定されず、排気管55がサイレンサー54に対して角度を成すように屈曲して配設されていればよい。
【0025】
図4を参照してサイレンサー54について説明すると、サイレンサー54は、略直線管状のサイレンサー本体54aと、サイレンサー本体54aの一端を閉塞する閉塞部材54bとを有しており、サイレンサー本体54aの他端が三方継手53の端部に接続される。そのためサイレンサー54は、接続管57と合わせて、他端が閉塞された閉塞管部としての機能を有している。また図3図4に示されるように、サイレンサー54は、少なくとも一部が吸気管51に並置されて配設されており、これらのサイレンサー54および吸気管51を、外蓋9と外蓋カバー10とで囲われた蓋体2の限られたスペースの中に収容することで部品の収容性を向上させている。
【0026】
サイレンサー本体54aはシリコン樹脂や、PP(polypropylene:ポリプロピレン)樹脂や、PTFE(Poly Tetra Fluoro Etylene:ポリテトラフルオロエチレン)樹脂から作成され、材質が硬質であるほどサイレンサー本体54aによる音の抑制効果が高くなり好ましい。またサイレンサー本体54aの形状は直線状に形成されるほどサイレンサー本体54aによる音の抑制効果が高くなり好ましいが、若干は屈曲していてもよい。そしてサイレンサー本体54aの管径が太いほど、サイレンサー本体54a内の音の高さが低くなり、騒音として目立たなくなるため好ましい。またサイレンサー本体54aの管径や長さは、減圧ポンプ39の動作音の大きさ、音の高さ、音色などにより適切に調整される。例えば本実施形態では、炊飯器から1m程離れた場所の測定場所から測定した減圧ポンプ39の動作音の音圧レベルが42~44dBであるときに、排気口39bから閉塞部材54bまでの長さが45~50mmになるようにサイレンサー本体54aの長さが調整され、前述の測定場所からの測定で3~4dBの消音効果を得ることができる。なおこの構成は一例であり、本発明はこれに限定されない。
【0027】
閉塞部材54bはサイレンサー本体54aに入ってきた音を反射させるものであり、閉塞部材54bがサイレンサー本体54aの一端に挿入固定されることで当該一端を閉塞させている。閉塞部材54bはシリコンゴムやジュラコン(登録商標)樹脂などの、音が反射しやすい材質から形成され、材質が硬質であるほどサイレンサー54による音の抑制効果が高くなり好ましい。また本実施形態の閉塞部材54bは略円柱状に形成され、特に閉塞部材54bの上面部が平坦に形成されている。そのため閉塞部材54bがサイレンサー本体54aの一端に挿入固定されたときに、閉塞部材54bの側面部がサイレンサー本体54aの内面と密接することでサイレンサー本体54aと閉塞部材54bとの間の隙間を完全になくしている。また閉塞部材54bの上面部が、略直線状のサイレンサー本体54aの延在方向に対して垂直に配設されることで、当該上面部で反射した反射音を三方継手53方向に向かいやすくしている。なお、この構成は一例であり、本発明はこれに限定されない。
【0028】
次に図4を参照して、上記構成の炊飯器についてその作用を説明する。先ず鍋4の内部を真空状態にするときの気体の流れについて説明すると、制御手段が蒸気排出経路33を閉塞させるようにソレノイド35を制御して調圧弁34を転動させる。その後、制御手段が吸気管51を開放するように減圧弁52を制御し、また減圧ポンプ39を動作させるように制御すると、鍋4内の気体が、減圧弁52および吸気管51を経由して減圧ポンプ39に吸入される。
【0029】
この吸入された気体は、減圧ポンプ39の排気口39bから接続管57に排気されて三方継手53へと流れる。その後、この気体は三方継手53で分岐されてサイレンサー54の方向および排気管55の方向に流れる。その一方で、この気体がサイレンサー54に流れると、サイレンサー本体54aの一端が閉塞部材54bで閉塞されているため、当該気体がサイレンサー本体54a内に留まってサイレンサー本体54aの内圧が上昇する。そのため図4の矢印Foで示されるように、減圧ポンプ39から排出された気体は、三方継手53からこれ以上サイレンサー54の方向には流れず、全て排気管55の方向に流れるようになる。その後、三方継手53から排気管55に流れ込んだ気体は、端子56経由で炊飯器の器外に排出される。
【0030】
次に減圧ポンプ39からの音の流れについて説明する。減圧ポンプ39の動作時は、例えば減圧ポンプ39のモータの動作音や減圧ポンプ39内部のゴムの弁を吸着/脱着させる音などの、減圧ポンプ39の動作音も併せて発生する。この減圧ポンプ39の動作音の一部が、減圧ポンプ39を囲っている筐体内から当該筐体の寸隙である排気口39bを通り、接続管57内を経由して三方継手53内に伝播する。
【0031】
図4の矢印Fsで示されるように三方継手53内において、円筒形状の排気口39bから伝播してきた減圧ポンプ39の動作音は、接続管57やサイレンサー54に対して所定の角度を付けて設けられた排気管55の方向には伝播せず、円筒形状の排気口39bの延長方向に延びるように配設されたサイレンサー54の方向に伝播する。そしてサイレンサー54の略直線管状のサイレンサー本体54a内に伝播してきた減圧ポンプ39の動作音は、サイレンサー本体54a内を通って閉塞部材54bの上面部に当たって反射し、この反射音が三方継手53の方向に伝播する。そして図4の矢印Fsで示されるように、この反射音と、後からサイレンサー本体54a内に伝播してきた減圧ポンプ39の動作音とがサイレンサー54内で打ち消しあい、減圧ポンプ39の動作音が低減され、サイレンサー54内に伝播してきた減圧ポンプ39の動作音が抑制される。このようにして本実施形態では、サイレンサー54により減圧ポンプ39の動作音を抑制することで、炊飯器の器外に漏れる減圧ポンプの動作音を抑制している。
【0032】
以上のように、本実施形態の加熱調理器としての炊飯器では、被調理物を収容する容器としての鍋4と、鍋4の内部を減圧する減圧ポンプ39と、減圧ポンプ39の排気部としての排気口39bに接続される排気管部としての接続管57、三方継手53および排気管55と、三方継手53に一端が接続されるとともに、他端が閉塞された閉塞管部としてのサイレンサー54と、を備える構成としている。
【0033】
このように構成することにより、サイレンサー54により減圧ポンプ39の動作音を抑制することができ、炊飯器の器外に漏れる減圧ポンプ39の動作音を抑制することができる。
【0034】
また本実施形態の排気管部を構成する接続管57、三方継手53および排気管55は、排気口39bからの気体の排気方向の下流で排気方向を変化させる方向変換部としての三方継手53を備え、サイレンサー54は、排気口39bから三方継手53までの排気管部としての接続管57の設置方向に向けて延出する方向に設けられる構成としており、三方継手53において、排気口39bから排出された気体が排気方向の下流で排気管55の方向に排気方向を変化させて流れる一方で、排気口39bから伝播してきた減圧ポンプの動作音が、接続管57の設置方向に配設されるサイレンサー54内へと伝播するため、排気口39bからの気体と減圧ポンプ39の動作音とを切り分けることができる。
【0035】
また本実施形態のサイレンサー54は、少なくとも一部が減圧ポンプ39の吸気部39aに接続される吸気管51に並置されて配設される構成としており、そのため、これらのサイレンサー54および吸気管51を、外蓋9と外蓋カバー10とで囲われた蓋体2の限られたスペースの中に収容することができ、部品の収容性を向上させることができる。
【0036】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更可能である。例えば本実施形態では炊飯器を実施例として説明したが、他の加熱調理器でもよい。また実施形態中で例示した数値などはあくまでも一例にすぎず、加熱調理器の仕様などに応じて適宜変更してかまわない。
【符号の説明】
【0037】
4 鍋(容器)
39 減圧ポンプ
39a 吸気部
39b 排気口(排気部)
51 吸気管
53 三方継手(排気管部、方向変換部)
54 サイレンサー(閉塞管部)
55 排気管(排気管部)
57 接続管(排気管部)
図1
図2
図3
図4