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特開2023-154885粉末状又は顆粒状の食品及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023154885
(43)【公開日】2023-10-20
(54)【発明の名称】粉末状又は顆粒状の食品及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 5/00 20160101AFI20231013BHJP
   A23L 23/10 20160101ALN20231013BHJP
【FI】
A23L5/00 D
A23L23/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022064512
(22)【出願日】2022-04-08
(71)【出願人】
【識別番号】000106531
【氏名又は名称】サンヨー食品株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 正俊
(74)【代理人】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100202418
【弁理士】
【氏名又は名称】河原 肇
(72)【発明者】
【氏名】永岡 宏行
【テーマコード(参考)】
4B035
4B036
【Fターム(参考)】
4B035LC05
4B035LE01
4B035LG04
4B035LG05
4B035LG08
4B035LG12
4B035LG18
4B035LK08
4B035LP21
4B035LP36
4B035LP59
4B036LC04
4B036LE01
4B036LF01
4B036LH06
4B036LH07
4B036LH08
4B036LH13
4B036LH27
4B036LH38
4B036LH44
4B036LH50
4B036LK06
4B036LP05
4B036LP15
(57)【要約】
【課題】保存安定性に優れた、油脂を含有する粉末状又は顆粒状の食品の提供。
【解決手段】(A)グリセリン部分の平均重合度が1~8である(ポリ)グリセリン脂肪酸エステル、及びHLBが8以下のショ糖脂肪酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1つの脂肪酸エステルと、(B)保湿剤と、(C)油脂と、(D)食品原料とを含む粉末状又は顆粒状の食品であって、油脂の含有量が3質量%~20質量%であり、恒温高湿環境保存試験における5週間後の水分活性値が0.6以下である粉末状又は顆粒状の食品。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)グリセリン部分の平均重合度が1~8である(ポリ)グリセリン脂肪酸エステル、及びHLBが8以下のショ糖脂肪酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1つの脂肪酸エステルと、
(B)保湿剤と、
(C)油脂と、
(D)食品原料と
を含む粉末状又は顆粒状の食品であって、前記油脂の含有量が3質量%~20質量%であり、恒温高湿環境保存試験における5週間後の水分活性値が0.6以下である粉末状又は顆粒状の食品。
【請求項2】
前記保湿剤が、グリセリン、乳酸ナトリウム、乳酸カリウム、ピロリドンカルボン酸ナトリウム及びヒアルロン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む請求項1に記載の粉末状又は顆粒状の食品。
【請求項3】
Carr指数が70以上である請求項1又は2に記載の粉末状又は顆粒状の食品。
【請求項4】
(A)グリセリン部分の平均重合度が1~8である(ポリ)グリセリン脂肪酸エステル、及びHLBが8以下のショ糖脂肪酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1つの脂肪酸エステルと、(D)食品原料との第1混合物を調製すること、
(B)保湿剤及び(C)油脂を含む保湿剤分散油と、前記第1混合物との第2混合物を調製すること、及び
流動層造粒により前記第2混合物の造粒物を形成すること、
を含む顆粒状食品の製造方法であって、前記顆粒状食品の前記油脂の含有量が3質量%~20質量%であり、前記顆粒状食品の恒温高湿環境保存試験における5週間後の水分活性値が0.6以下である、顆粒状食品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、粉末状又は顆粒状の食品及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
即席カップ麺、即席カップスープなどの即席食品のスープとして、様々な粉末状又は顆粒状の食品が開発されている。粉末状又は顆粒状の食品に熱湯又は温水を加える際に撹拌が不十分であると、粉末状又は顆粒状の食品が完全に分散されずにその成分の塊が残る問題がある。この塊の発生を抑制するために食用油脂を添加することが提案されている。食用油脂を添加することにより、粉末状又は顆粒状の食品の表面を疎水化し、熱湯又は温水に対する反発力を高めて、その成分の塊の発生を抑えることができる。
【0003】
顆粒状スープとしては、一般に粉末状スープを造粒によって顆粒状にしたものが用いられる。粉末状スープを顆粒状に加工する方法としては、例えば、押出造粒及び流動層造粒が知られている。
【0004】
特許文献1(特開2015-019589号公報)は、「5~30重量%の油脂、油脂包含用基材、およびポリオールを含む、粉末または顆粒状の調味料組成物」を記載している。
【0005】
特許文献2(特開2004-035700号公報)は、「油脂、油脂包含用基材、およびポリオールを含有し、水分含有量が15重量%以下であると共に、最大粒径が10mm以下、平均粒径が5mm以下であり、さらに、安息角が70°以下であることを特徴とする粉状または粒状油脂」を記載している。
【0006】
特許文献3(特開昭64-027430号公報)は、「油脂、油脂包含用基材およびポリオールを含んでなる油脂含有組成物であって、その水分含量が15重量%以下であり、粒子径が最大10mm以下で、かつ平均粒径が5mm以下、安息角が70°以下であることを特徴とする粉状または粒状油脂」を記載している。
【0007】
特許文献4(特開2005-021016号公報)は、「水、温水或いは熱湯に分散又は溶解する際、『ままこ(ダマ)』を生じにくい、水易溶性の粉末状或いは顆粒状の食品」として、「トリグリセリンベヘン酸エステルを含有することを特徴とする粉末状或いは顆粒状の食品」を記載している。
【0008】
特許文献5(特開2003-304826号公報)は、「分散性を改良し、『ままこ(ダマ)』の発生の抑えられた顆粒状或いは粉末状のインスタントスープ又はインスタントソース」として、「ポリグリセリンベヘン酸エステルを0.1~0.9質量%の割合で含有することを特徴とする顆粒状或いは粉末状のインスタントスープ又はインスタントソース」を記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2015-019589号公報
【特許文献2】特開2004-035700号公報
【特許文献3】特開昭64-027430号公報
【特許文献4】特開2005-021016号公報
【特許文献5】特開2003-304826号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
即席カップ麺、即席カップスープなどの即席食品の賞味期限は、一般に製造後6か月~12か月と長期間であり、麺、具材などの主食材だけではなく、粉末状又は顆粒状のスープについても、製造から賞味期限まで、一般生菌数、大腸菌群などの細菌検査に合格することが要求される。また、食品油脂の添加によりスープ成分の塊の発生が抑制された粉末状又は顆粒状のスープは、長期間の保管中に凝集して、その粉末又は顆粒の流動性が低下する場合があった。そのため、長期間の保管中でも細菌の増殖が抑制され、かつ流動性を維持することができる、保存安定性に優れた粉末状又は顆粒状の食品が望まれている。
【0011】
本開示は、保存安定性に優れた、油脂を含有する粉末状又は顆粒状の食品を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者は、特定の脂肪酸エステルと保湿剤とを組み合わせることで、粉末状又は顆粒状の食品の保存安定性を高めることができることを見出して、本発明を完成させた。
【0013】
本発明は、以下の態様1~4を包含する。
[態様1]
(A)グリセリン部分の平均重合度が1~8である(ポリ)グリセリン脂肪酸エステル、及びHLBが8以下のショ糖脂肪酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1つの脂肪酸エステルと、
(B)保湿剤と、
(C)油脂と、
(D)食品原料と
を含む粉末状又は顆粒状の食品であって、前記油脂の含有量が3質量%~20質量%であり、恒温高湿環境保存試験における5週間後の水分活性値が0.6以下である粉末状又は顆粒状の食品。
[態様2]
前記保湿剤が、グリセリン、乳酸ナトリウム、乳酸カリウム、ピロリドンカルボン酸ナトリウム及びヒアルロン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む態様1に記載の粉末状又は顆粒状の食品。
[態様3]
Carr指数が70以上である態様1又は2に記載の粉末状又は顆粒状の食品。
[態様4]
(A)グリセリン部分の平均重合度が1~8である(ポリ)グリセリン脂肪酸エステル、及びHLBが8以下のショ糖脂肪酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1つの脂肪酸エステルと、(D)食品原料との第1混合物を調製すること、
(B)保湿剤及び(C)油脂を含む保湿剤分散油と、前記第1混合物との第2混合物を調製すること、及び
流動層造粒により前記第2混合物の造粒物を形成すること、
を含む顆粒状食品の製造方法であって、前記顆粒状食品の前記油脂の含有量が3質量%~20質量%であり、前記顆粒状食品の恒温高湿環境保存試験における5週間後の水分活性値が0.6以下である、顆粒状食品の製造方法。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、保存安定性に優れた、油脂を含有する粉末状又は顆粒状の食品、及びその製造方法が提供される。
【0015】
上述の記載は、本発明の全ての実施態様及び本発明に関する全ての利点を開示したものとみなしてはならない。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の代表的な実施態様を例示する目的で、詳細に説明するが、本発明はこれらの実施態様に限定されない。
【0017】
〈粉末状又は顆粒状の食品〉
一実施態様の粉末状又は顆粒状の食品(以下、「粉末・顆粒状食品」とも表記する。)は、(A)グリセリン部分の平均重合度が1~8である(ポリ)グリセリン脂肪酸エステル、及びHLBが8以下のショ糖脂肪酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1つの脂肪酸エステルと、(B)保湿剤と、(C)油脂と、(D)食品原料とを含む。粉末状又は顆粒状の食品の油脂の含有量は3質量%~20質量%であり、恒温高湿環境保存試験における5週間後の水分活性値は0.6以下である。
【0018】
(A)脂肪酸エステル
脂肪酸エステルは、グリセリン部分の平均重合度が1~8である(ポリ)グリセリン脂肪酸エステル、及びHLBが8以下のショ糖脂肪酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1つである。いかなる理論に拘束される訳ではないが、脂肪酸エステルは、液体又は半固体の油脂の共存下でネットワーク構造を形成して、そのネットワーク構造の内部にその液体又は半固体の油脂を取り込むことにより、ゲル又は固形物を形成させると考えられる。このことは、ゲル又は固形物中で油脂は粗乳化されているともいえる。これにより、粉末・顆粒状食品の油脂の含有量を高めつつ、油脂を含む凝集物の形成及び油脂の滲み出しを抑制して、粉末・顆粒状食品に高い流動性を付与することができる。また、上記ネットワーク構造は、油脂だけでなく香辛料等の成分も取り込むことができる。そのため、例えば温度60℃~80℃で行われる流動層造粒工程中に、造粒物の流動性を維持しつつ上記成分の揮散を抑制することができ、これにより顆粒状スープの風味を高めることができる。更に、脂肪酸エステルのネットワーク構造は、例えば90℃~100℃の熱水中で崩壊して、粗乳化された比較的大きい油脂の塊を外部に放出する。これにより、粉末・顆粒状食品に熱水を注加したときに油脂の油滴を形成することができる。
【0019】
脂肪酸エステルの融点は、好ましくは50℃以上、より好ましくは60℃以上、更に好ましくは70℃以上である。脂肪酸エステルの融点が50℃以上であることにより、脂肪酸エステルの溶融を回避しつつ粉末・顆粒状食品に防湿性を賦与することができる。脂肪酸エステルの融点は、好ましくは100℃以下、より好ましくは90℃以下、更に好ましくは80℃以下である。脂肪酸エステルの融点が100℃以下であることにより、メンテナンス製造設備の配管内の洗浄等を容易に行うことができる。
【0020】
《(ポリ)グリセリン脂肪酸エステル》
(ポリ)グリセリン脂肪酸エステルは、脂肪酸とグリセリン又はグリセリンの縮合物(ポリグリセリン)とのエステルである。グリセリン部分の平均重合度は1~8である。(ポリ)グリセリン脂肪酸エステルは、完全にエステル化されていてもよく、部分エステル化されていてもよい。(ポリ)グリセリン脂肪酸エステルの脂肪酸部分は、飽和脂肪酸であってもよく、不飽和脂肪酸であってもよい。(ポリ)グリセリン脂肪酸エステルの脂肪酸部分は、飽和脂肪酸であることが好ましい。
【0021】
(ポリ)グリセリン脂肪酸エステルのHLBは、好ましくは8以下、より好ましくは6以下、更に好ましくは4以下である。親油基の多い(ポリ)グリセリン脂肪酸エステルを含む粉末・顆粒状食品は高い防湿性を有する。この観点から、脂肪酸エステルのHLBは、1以上、又は3以上とすることができる。本開示において、HLBは、Griffinの経験式から算出される値である。
HLB=20×(1-SV/NV)
SV:(ポリ)グリセリン脂肪酸エステル又はショ糖脂肪酸エステルのけん化値
NV:脂肪酸の中和価
【0022】
(ポリ)グリセリン脂肪酸エステルの脂肪酸部分の炭素原子数は16~22であることが好ましい。(ポリ)グリセリン脂肪酸エステルとして、例えば、モノグリセリンパルミチン酸エステル、モノグリセリンステアリン酸エステル、モノグリセリンエイコサン酸エステル、モノグリセリンベヘン酸エステルなどのモノグリセリン脂肪酸エステル;ジグリセリンパルミチン酸エステル、ジグリセリンステアリン酸エステル、ジグリセリンエイコサン酸エステル、ジグリセリンベヘン酸エステルなどのジグリセリン脂肪酸エステル;トリグリセリンパルミチン酸エステル、トリグリセリンステアリン酸エステル、トリグリセリンエイコサン酸エステル、トリグリセリンベヘン酸エステルなどのトリグリセリン脂肪酸エステル;テトラグリセリンパルミチン酸エステル、テトラグリセリンステアリン酸エステル、テトラグリセリンエイコサン酸エステル、テトラグリセリンベヘン酸エステルなどのテトラグリセリン脂肪酸エステル;ペンタグリセリンパルミチン酸エステル、ペンタグリセリンステアリン酸エステル、ペンタグリセリンエイコサン酸エステル、ペンタグリセリンベヘン酸エステルなどのペンタグリセリン脂肪酸エステル;ヘキサグリセリンパルミチン酸エステル、ヘキサグリセリンステアリン酸エステル、ヘキサグリセリンエイコサン酸エステル、ヘキサグリセリンベヘン酸エステルなどのヘキサグリセリン脂肪酸エステル;ヘプタグリセリンパルミチン酸エステル、ヘプタグリセリンステアリン酸エステル、ヘプタグリセリンエイコサン酸エステル、ヘプタグリセリンベヘン酸エステルなどのヘプタグリセリン脂肪酸エステル;オクタグリセリンパルミチン酸エステル、オクタグリセリンステアリン酸エステル、オクタグリセリンエイコサン酸エステル、オクタグリセリンベヘン酸エステルなどのオクタグリセリン脂肪酸エステル;及びこれらの2種以上の混合物が挙げられる。(ポリ)グリセリン脂肪酸エステルは、脂肪酸部分がステアリン酸(炭素原子数18)である、(ポリ)グリセリンステアリン酸エステルを含むことがより好ましい。
【0023】
(ポリ)グリセリン脂肪酸エステルは、モノグリセリン脂肪酸エステルとポリグリセリン脂肪酸エステルとの混合物を含むことが好ましく、モノグリセリンベヘン酸エステル及びオクタグリセリンステアリン酸エステルの混合物;モノグリセリンステアリン酸エステル、ペンタグリセリンパルミチン酸エステル、及びペンタグリセリンステアリン酸エステルの混合物;又はモノグリセリンステアリン酸エステル、及びジグリセリンステアリン酸エステルの混合物を含むことがより好ましく、モノグリセリンベヘン酸エステル及びオクタグリセリンステアリン酸エステルの混合物を含むことが特に好ましい。モノグリセリン脂肪酸エステルとポリグリセリン脂肪酸エステルとの混合物は、粉末・顆粒状食品の流動性を改善し、喫食時の油滴形成を促進し、油脂及び香辛料抽出物(スパイス)を包括して風味を保持することができる。
【0024】
《ショ糖脂肪酸エステル》
ショ糖脂肪酸エステルは、脂肪酸とショ糖とのエステルである。ショ糖脂肪酸エステルのHLBは8以下である。ショ糖脂肪酸エステルは、完全にエステル化されていてもよく、部分エステル化されていてもよい。ショ糖脂肪酸エステルの脂肪酸部分は、飽和脂肪酸であってもよく、不飽和脂肪酸であってもよい。ショ糖脂肪酸エステルの脂肪酸部分は、飽和脂肪酸であることが好ましい。
【0025】
ショ糖脂肪酸エステルのHLBは、好ましくは6以下、より好ましくは4以下である。親油基が多く親水基が少ないショ糖脂肪酸エステルを含む粉末・顆粒状食品は高い防湿性を有する。この観点から、ショ糖脂肪酸エステルのHLBは、1以上、又は3以上とすることができる。
【0026】
ショ糖脂肪酸エステルの脂肪酸部分の炭素原子数は16~22であることが好ましい。ショ糖脂肪酸エステルとして、例えば、ショ糖パルミチン酸エステル、ショ糖ステアリン酸エステル、ショ糖エイコサン酸エステル、及びショ糖ベヘン酸エステルが挙げられる。ショ糖脂肪酸エステルは、脂肪酸部分がパルミチン酸(炭素原子数16)である、ショ糖パルミチン酸エステル、及び脂肪酸部分がステアリン酸(炭素原子数18)である、ショ糖ステアリン酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1つを含むことがより好ましい。
【0027】
(B)保湿剤
保湿剤としては、食品用途に使用されるものであれば特に限定されない。保湿剤は、粉末・顆粒状食品に含まれる自由水と結合して、長期間にわたり粉末・顆粒状食品の水分活性値を低く保持することができる。水分活性値は微生物の増殖に関係し、0.600以下であれば全ての微生物の増殖が不可能であるとされている。また、いかなる理論に拘束される訳ではないが、保湿剤を食品原料に添加することにより、粉末・顆粒状食品の製造中に油脂の凝集の発生を抑制して、油脂をより均一に粉末・顆粒状食品中に分散させ、かつ油脂を半固体化又は固体化させて、粉末・顆粒状食品に保持させることができる。このことにより、粉末・顆粒状食品からの油脂の滲み出しを抑制し、粉末・顆粒状食品を長期間保管したときでも、その凝集を抑制して流動性を維持させることができる。
【0028】
保湿剤としては、例えば、ポリオール、有機酸及び有機酸塩が挙げられる。
【0029】
ポリオールとしては、例えば、無毒性グリコール、糖類、又はこれら2種以上の組み合わせが挙げられる。無毒性グリコールとしては、例えば、グリセリン、及びプロピレングリコールが挙げられる。糖類としては、例えば、ショ糖、及びブドウ糖が挙げられる。ポリオールは常温(23℃)で液体であることが好ましい。ポリオールはグリセリンを含むことが好ましい。
【0030】
有機酸としては、例えば、ヒアルロン酸が挙げられる。
【0031】
有機酸塩としては、例えば、乳酸ナトリウム、乳酸カリウム、乳酸カルシウム、及びピロリドンカルボン酸ナトリウムが挙げられる。有機酸塩は、乳酸ナトリウム及び乳酸カリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。
【0032】
保湿剤は、グリセリン、乳酸ナトリウム、乳酸カリウム、ピロリドンカルボン酸ナトリウム及びヒアルロン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましく、乳酸ナトリウム及び乳酸カリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種であることがより好ましい。
【0033】
(C)油脂
油脂としては、特に限定されないが、植物油、動物油脂、若しくは加工油脂、又はこれらの2種以上の組み合わせを使用することができる。植物油としては、例えば、大豆油、なたね油、パーム油、ヤシ油、コーン油、綿実油、ごま油、米油、オリーブ油、紅花油、落花生油、グレープシード油、しそ油、亜麻仁油、椿油、月見草油、ハーブ油、及びラー油が挙げられる。動物油脂としては、例えば、豚脂(ラード)、牛脂(ヘット)、鶏脂、及び魚油が挙げられる。加工油脂としては、例えば、マーガリン、ショートニング、中鎖脂肪酸含有油、モノグリセリド、及びジグリセリドが挙げられる。
【0034】
油脂の融点は、例えば、0℃~50℃とすることができる。一実施態様では、油脂は室温(23℃)で液状である。
【0035】
(D)食品原料
食品原料は、粉末・顆粒状食品の風味及び味を決定する主成分であり、一般に、結晶物及び粉末原料を含む混合物である。
【0036】
結晶物としては、例えば、塩、グラニュー糖、グルタミン酸ソーダ、イノシン酸ナトリウム、コハク酸二ナトリウム、グルコース、及びリボヌクレオチド二ナトリウムが挙げられる。結晶物は微粒子化されていることが好ましい。
【0037】
粉末原料は一般に風味成分を含む。風味成分とは、味(味覚)又は香り(嗅覚)を食品に付与する要素である。風味成分としては、例えば、食塩、砂糖などの一般調味料;醤油、食酢、味醂、味噌などの発酵系調味料;ガーリック、ジンジャー、胡椒、ローレル、タイム、セイジなどのスパイス系調味料;肉エキス(牛、豚、鶏など)、魚介エキス、野菜エキス、動植物組織の煮出し濃縮物、酵母エキス、発酵エキスなどのエキス;クエン酸、リンゴ酸、酢酸、乳酸などの酸味料;及びアミノ酸、核酸、酸味料以外の有機酸、無機塩、タンパク質加水分解物、核酸分解物などの調味料が挙げられる。粉末原料は、香辛料、香料、安定剤(カゼインナトリウム、キサンタンガムなど)、乳化剤、賦形剤、若しくは酸化防止剤、又はこれらの2種以上の組み合わせを更に含んでもよい。
【0038】
《恒温高湿環境保存試験》
粉末・顆粒状食品の恒温高湿環境保存試験における5週間後の水分活性値は0.6以下である。前記水分活性値は、好ましくは0.59以下、より好ましくは0.58以下である。上記恒温高湿環境保存試験における1週間は常温の2か月に概ね対応するため、5週間は常温の10か月に概ね対応する。したがって、本開示の粉末・顆粒状食品においては、常温で長期間にわたり微生物の増殖を抑制することができる。恒温高湿環境保存試験は、20gの粉末・顆粒状食品を紙カップ中に入れ、蓋をシールして、恒温高湿環境(33℃、湿度73%)中に5週間静置することにより行われる。水分活性値は露点法により分析された値である。具体的には、恒温高湿環境保存試験及び水分活性値の測定は実施例の記載の手順で行われる。
【0039】
《Carr指数》
Carr指数は、粉体特性評価装置から得た情報(ゆるめ嵩密度、固め嵩密度、圧縮率、安息角、崩壊角、及び差角)を、流動性指数表及び噴流性指数表を参照して指数化した後、これらの指数に流動性指数を加えた総和として定義される。すなわち、Carr指数=圧縮率指数+安息角指数+流動性指数+崩壊角指数+差角指数である(横山藤平他「Carrの方法による粉体流動性測定装置の試作」、粉体工学研究会誌、Vol.6、No.4(1969)、pp.264~291も参照のこと)。
【0040】
一実施態様において、粉末・顆粒状食品のCarr指数は70以上であり、好ましくは75以上、より好ましくは80以上である。Carr指数が70以上の粉末・顆粒状食品は、容器への充填に適した高い流動性を有する。
【0041】
《圧縮率》
粉末・顆粒状食品の圧縮率は好ましくは18%以下、より好ましくは15%以下、更に好ましくは12%以下、特に好ましくは10%以下である。圧縮率を18%以下に制御することにより、粉末・顆粒状食品の充填量の制御を精密に行うことができる。圧縮率は、粉体特性評価装置を用いて、室温(23℃)にて以下の手順に従って決定される。内径40mm、高さ80mm、容積100cmの円筒容器の上面から38cmの高さに漏斗の出口(出口内径7mm)を合わせて、約120cmの粉末・顆粒状食品を漏斗に入れて落下させたときに円筒容器に充填された粉末・顆粒状食品の質量をゆるめ嵩密度a(g/100cm)とし、同じ円筒容器に継ぎ足し用のキャップを取り付け、ゆるめ嵩密度aの測定と同様の手順で粉末・顆粒状食品を落下させ、10回タッピングして粉末・顆粒状食品を密にし、その後キャップを外し、円筒容器の上面から突出した余剰の粉末・顆粒状食品を掻き取った後に円筒容器に充填されていた粉末・顆粒状食品の質量を固め嵩密度b(g/100cm)として、式:(b-a)×100/bにより得られる値を圧縮率と定義する。
【0042】
《安息角、崩壊角及び差角》
安息角及び崩壊角は、粉体特性評価装置を用いて、室温(23℃)にて以下の手順に従って決定される。直径8cmの円盤の上に出口高さ12cm、出口内径7mmの漏斗を通して粉末・顆粒状食品を落下させ、粉末・顆粒状食品が形成した山の裾野の角度を安息角、山に衝撃を3回与えた後の裾野の角度を崩壊角と定義する。差角は安息角と崩壊角の差(安息角-崩壊角)である。
【0043】
粉末・顆粒状食品の平均粒径D50は、例えば、30μm~1600μm、40μm~1500μm、又は50μm~1400μmとすることができる。本開示において、粉末又は顆粒の平均粒径D50は、レーザー回折散乱法を用いて決定される累積体積中位径である。
【0044】
粉末・顆粒状食品の脂肪酸エステルの含有量は、好ましくは0.2質量%~1.6質量%、より好ましくは0.4質量%~1.4質量%、更に好ましくは0.6質量%~1.2質量%である。
【0045】
粉末・顆粒状食品の保湿剤の含有量は、好ましくは0.2質量%~8質量%、より好ましくは0.3質量%~5質量%、更に好ましくは0.4質量%~3質量%である。
【0046】
粉末・顆粒状食品の油脂の含有量は3質量%~20質量%である。粉末・顆粒状食品の油脂の含有量は、好ましくは5質量%~18質量%であり、より好ましくは10質量%~15質量%である。油脂の含有量は、食品原料、脂肪酸エステル、及び油脂の種類によって変動し、粉末・顆粒状食品の製品仕様及び要求される流動性(Carr指数)に応じて適宜設定することができる。
【0047】
粉末・顆粒状食品がエキス及びペースト状調味料からなる群より選ばれる添加剤を含む場合、粉末・顆粒状食品の添加剤の含有量は、質量基準で、顆粒状食品の油脂の含有量の好ましくは0.7倍以下、より好ましく0.5倍以下、更に好ましくは0.3倍以下である。
【0048】
粉末・顆粒状食品の食品原料の含有量は、食品原料の固形分について、一般に70質量%~96質量%、好ましくは75質量%~96質量%、より好ましくは78質量%~96質量%である。粉末・顆粒状食品がエキス及びペースト状調味料からなる群より選ばれる添加剤を含む場合、粉末・顆粒状食品の食品原料の含有量は、食品原料の固形分について、好ましくは55質量%~95質量%、より好ましくは60質量%~95質量%、更に好ましくは65質量%~95質量%である。
【0049】
粉末・顆粒状食品において、デキストリン化合物の含有量は10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることが更に好ましい。デキストリン化合物の含有量を上記範囲とすることで、デキストリン化合物の持つ人工的な臭気により損なわれるおそれのある、繊細な風味及び香味を保持することができる。
【0050】
粉末・顆粒状食品において、澱粉及び加工澱粉の合計含有量は35質量%以下であることが好ましく、25質量%以下であることがより好ましく、20質量%以下であることが更に好ましい。味以外の舌触り、食感に寄与する澱粉及び加工澱粉の合計含有量を上記範囲とすることで、食品原料中の味成分をより効果的に知覚させることができ、粉末・顆粒状食品の風味及び美味しさを高めることができる。
【0051】
〈顆粒状食品の製造方法〉
一実施態様の顆粒状食品の製造方法は、(A)グリセリン部分の平均重合度が1~8である(ポリ)グリセリン脂肪酸エステル、及びHLBが8以下のショ糖脂肪酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1つの脂肪酸エステルと、(D)食品原料との第1混合物を調製すること、(B)保湿剤及び(C)油脂を含む保湿剤分散油と、前記第1混合物との第2混合物を調製すること、及び流動層造粒により前記第2混合物の造粒物を形成すること、を含む。
【0052】
《第1混合物の調製》
脂肪酸エステルと、食品原料とを、コニカルブレンダー、ナウター、リボンミキサーなどの混合装置を用いて混合することによって、第1混合物を調製することができる。食品原料の成分をコニカルブレンダー、ナウター、リボンミキサーなどの混合装置を用いて予備混合してプレミックスを調製し、その後、プレミックスと脂肪酸エステルとを混合することもできる。
【0053】
《保湿剤分散油の調製》
保湿剤及び油脂を含む保湿剤分散油は、通常の撹拌機又はホモジナイザーを用いて調製することができる。例えば、実機スケールとして内径476mmのタンク(品番SPTL、株式会社シロ産業製)を用いる場合は、トルネード撹拌機(品名:TORNADO、タービン型T-125、撹拌シャフト50cm、アズワン株式会社製)の撹拌羽根(直径125mm)をタンク中央に、タンク内壁から撹拌羽根先端までの隙間が170mm、タンク底面からの高さが5~10mmとなるように配置して撹拌する。パイロットスケールとして内径165mmの3Lガラスビーカー(AGCテクノグラス株式会社製)を用いる場合は、トルネード撹拌機(品名:TORNADO、プロペラ型P-65、撹拌シャフト50cm、アズワン株式会社製)の撹拌羽根(直径65mm)をビーカー中央に、ビーカー内壁から撹拌羽根先端までの隙間が50mm、ビーカー底面からの高さが2~5mmとなるように配置して撹拌する。
【0054】
保湿剤は、水溶液の形態で保湿剤分散油の調製に用いることが好ましい。保湿剤水溶液を用いることにより、保湿剤がより均一に分散されており、かつ経時で二層分離しにくい保湿剤分散油を調製することができる。保湿剤水溶液中の保湿剤の濃度は、例えば、10質量%~90質量%とすることができ、20質量%~80質量%であることが好ましい。保湿剤水溶液と油脂との二層系は、例えば、回転数400~450rpm、撹拌時間10~20分の撹拌で均一な分散系となる。
【0055】
保湿剤分散油中の保湿剤の含有量は、好ましくは2~20質量%、より好ましくは4~18質量%、更に好ましくは5~15質量%である。
【0056】
保湿剤分散油は、エキス及びペースト状調味料からなる群より選ばれる少なくとも1つの添加物を含んでもよい。エキス又はペースト状調味料は、顆粒状食品に食味、香味、風味などを付与する。エキス又はペースト状調味料を含む保湿剤分散油は、エキス又はペースト状調味料を含まない保湿剤分散油と比較して、保湿剤の分散状態をより長期間保持することもできる。この実施態様では、保湿剤分散油に含まれるエキス及びペースト状調味料を、油脂と一緒に顆粒状食品に効果的に包含させることができる。エキスとしては、例えば、醤油、魚醤などの醤、ポークエキス、ビーフエキス、チキンエキスなどの畜肉エキス、魚介エキス、及び野菜エキスが挙げられる。ペースト状調味料としては、例えば、味噌、ねりごま、及びカレールーが挙げられる。
【0057】
一実施態様では、保湿剤分散油中の上記添加物の含有量は、質量基準で、保湿剤分散油中の油脂の含有量の2倍以下、好ましくは等量以下、より好ましくは0.5倍以下である。
【0058】
保湿剤分散油がエキス及びペースト状調味料からなる群より選ばれる少なくとも1つの添加剤を更に含む場合、保湿剤分散油中の保湿剤の含有量は、好ましくは0.5質量%~15質量%、より好ましくは1質量%~13質量%、更に好ましくは2質量%~10質量%である。
【0059】
保湿剤分散油がエキス及びペースト状調味料からなる群より選ばれる少なくとも1つの添加剤を更に含む場合、保湿剤分散油中の保湿剤の含有量は、質量基準で、保湿剤分散油中の油脂の含有量の好ましくは0.7倍以下、より好ましくは0.5倍以下、更に好ましくは0.3倍以下である。
【0060】
《第2混合物の調製》
次に、保湿剤分散油と第1混合物とを混合して第2混合物を調製する。第2混合物はそのまま又は乾燥後に粉末状スープとして使用することもできる。保湿剤分散油は、例えば、直径1.0~4.0mmの穴を底部に設けた容器に入れて、その容器からから第1混合物に対して滴下することができる。保湿剤分散油と第1混合物との混合は、コニカルブレンダー、ナウター、リボンミキサー、ピン型ミキサーなどの混合装置を用いて行うことができる。保湿剤分散油と第1混合物との混合は、回転可能な保管容器、例えば回転可能なトートビンを用いて行うこともできる。混合装置は、保湿剤分散油と第1混合物とをより均一に混合できることから、円錐型のリボンミキサー又はピン型ミキサーであることが好ましく、ピン型ミキサーであることがより好ましい。
【0061】
保湿剤分散油は、調製後速やかに第1混合物と混合することが好ましい。混合時間は20分以内であることが好ましく、10分以内であることがより好ましい。
【0062】
第2混合物を8~10メッシュの振動ふるい(目開き0.9mmφ~2.25mmφ)を用いて整粒してもよい。整粒された第2混合物は、そのまま造粒物の形成工程に用いてもよく、フレキシブルコンテナバッグなどの保管容器内で一時保管してもよい。
【0063】
《造粒物の形成》
この実施態様では、流動層造粒を用いて第2混合物から造粒物が形成される。流動層造粒は、第2混合物の塊を形成させずに第2混合物を均一に流動層内で浮遊させることができるため、安定した品質を有する顆粒状食品を経済的に形成することができる。
【0064】
流動層造粒では、粉末状態の第2混合物を浮遊させながら、粉末を液体架橋により凝集させるためのバインダーを第2混合物に噴霧してもよい。噴霧方式としては、トップスプレー、ボトムスプレー、及び接線スプレーが挙げられる。バインダーとしては、例えば、水、増粘多糖類(グアーガム、ローカストビーンガム、キサンタンガムなど)、澱粉、コーンシロップ、カルボキシメチルセルロース(CMC)、及びゼラチンが挙げられる。増粘多糖類、澱粉、コーンシロップ、CMC及びゼラチンは、一般に水溶液の形態で噴霧される。バインダー水溶液中のバインダー濃度は、0.3質量%~0.7質量%とすることが好ましい。バインダーにより粉末を液体架橋させることにより、造粒物の圧縮率を高めることができる。造粒物の圧縮率を高めると、ストロークフィーダ装置を用いた自動カップ充填における量目誤差を低減することができる。バインダーの使用量は、脂肪酸エステル及び食品原料の合計100質量部に対して、一般にパイロットスケールで0.04質量部~0.05質量部、実機スケールで0.08質量部~0.1質量部とすることができる。バインダーの噴霧は、55℃以上で行うことが好ましく、60℃~65℃で行うことがより好ましい。噴霧温度を55℃以上とすることにより、脂肪酸エステルのネットワーク形成を促進し、油脂を顆粒状食品に効率的に吸収させることができる。噴霧温度を65℃以下とすることにより、油脂中の香味の揮発を抑制して、優れた香味を有する顆粒状食品を得ることができる。
【0065】
造粒後に得られた顆粒状食品を静置して放冷することにより、脂肪酸エステルのネットワーク形成、及び保湿剤による油脂の半固体化又は固体化を促進することができる。静置放冷後に振動ふるいなどを用いて粒径の大きいものを除去してもよい。
【0066】
造粒物の平均粒径D50は、例えば、30μm~1600μm、40μm~1500μm、又は50μm~1400μmとすることができる。造粒物の平均粒径D50を30μm~1600μmとすることにより、顆粒状食品の圧縮率をより低くすることができる。
【0067】
造粒物の圧縮率は、好ましくは18%以下、より好ましくは15%以下、更に好ましくは12%以下である。造粒物の圧縮率を18%以下とすることにより、顆粒状食品の圧縮率をより低くすることができる。造粒物を加熱して水分量を低減することにより、目標の圧縮率を得ることもできる。
【0068】
〈粉末・顆粒状食品の使用方法〉
粉末・顆粒状食品は、様々な用途に使用することができる。粉末・顆粒状食品の用途として、例えば、粉末状又は顆粒状のスープ、ふりかけ、及び他の食品(例えばスナック菓子、フライドポテトなど)の調味料が挙げられる。粉末・顆粒状食品は、顆粒状スープとして特に好適に使用することができる。
【実施例0069】
以下の実施例において、本開示の具体的な実施態様を例示するが、本発明はこれに限定されるものではない。表も含めて部及びパーセントは全て、特に明記しない限り質量による。
【0070】
〈原料〉
本実施例で使用した原料を表1に示す。
【0071】
【表1】
【0072】
脂肪酸エステルAp-1の組成を、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)及びガスクロマトグラフィ(GC)を用いて分析した。
【0073】
GPC測定は、ゲル浸透クロマトグラフ分析装置(DGU-20A3/LC20AD/CBM-20A/SIL-20AHT/CTO-20AC/SPD-M20A/RID-10A/FRC-10A、株式会社島津製作所製)を用いて行った。条件は以下のとおりであった。
カラム:Shim-pack GPC-80M(長さ300mm×内径80mm)
検出器:示差屈折率検出器(RID)
カラム温度:40℃
移動相:テトロヒドロフラン(THF)
流量:1mL/分
標準物質:Shodex STANDARD(Type:SM-105、昭和電工株式会社製)
試料:テトラヒドロフラン(THF)溶液、脂肪酸エステル濃度1g/L、メンブランフィルター(PTFE製、0.5μm)ろ過
注入量:20μL
【0074】
GC測定は、ガスクロマトグラフAgilent 7890B GCシステム(アジレントテクノロジー株式会社製)を用いて行った。条件は以下のとおりであった。
カラム:DB-23(アジレントテクノロジー株式会社製、φ0.25mm×30m、膜厚0.25μm)
検出器:水素炎イオン化検出器(FID)
注入口温度:250℃
検出器温度:250℃
カラム温度:50℃(1分保持)→昇温10℃/分→170℃→昇温1.2℃/分→210℃
試料導入系:スプリット(1:20)
水素ガス流量:35mL/分
空気流量:300mL/分
窒素流量(メイクアップ):20mL/分
ヘリウムガス(キャリヤーガス)圧力:115kPa
注入量:1μL
採取量:0.03615~0.04237g
最終液量:3mL
【0075】
脂肪酸エステルAp-1について、GPCでは、重量平均分子量(Mw)が2719~3271(10.782分)及び826~878(11.237分)の位置にピークが観察された。GCでは、脂肪酸の組成がC18:C22=56:38であることが確認された。これらの情報に基づき、グリセロール又はその重合物及び脂肪酸の分子量を用いて、脂肪酸エステルAp-1が、モノグリセリンベヘン酸エステル(分子量755.25=92.09+340.58×2-18)と、オクタグリセリンステアリン酸エステル(分子量3008.72=610.58+284.48×9-18×9)との混合物であると判定した。
【0076】
〈評価方法〉
顆粒状スープの特性は以下の方法を用いて評価した。
【0077】
《圧縮率》
顆粒状スープの圧縮率を、粉体特性評価装置(パウダテスタ(登録商標)PT-X、ホソカワミクロン株式会社製)を用いて室温(23℃)で測定した。ふるい目開きを1700μmとした。内径40mm、高さ80mm、容積100cmの円筒容器の上面から38cmの高さに漏斗の出口(出口内径7mm)を合わせて、約120cmの顆粒状スープを漏斗に入れて落下させたときに円筒容器に充填された顆粒状スープの質量をゆるめ嵩密度a(g/100cm)とした。同じ円筒容器に継ぎ足し用のキャップを取り付け、ゆるめ嵩密度aの測定と同様の手順で顆粒状スープを落下させ、10回タッピングして顆粒状スープを密にし、その後キャップを外し、円筒容器の上面から突出した余剰の顆粒状スープを掻き取った後に円筒容器に充填されていた顆粒状スープの質量を固め嵩密度b(g/100cm)とした。圧縮率を式:(b-a)×100/bにより得た。
【0078】
《安息角、崩壊角及び差角》
顆粒状スープの安息角及び崩壊角を、粉体特性評価装置(パウダテスタ(登録商標)PT-X、ホソカワミクロン株式会社製)を用いて室温(23℃)で測定した。ふるい目開きを1700μmとした。直径8cmの円盤の上に出口高さ12cm、出口内径7mmの漏斗を通して顆粒状スープを落下させた。顆粒状スープが形成した山の裾野の角度を安息角、山に衝撃を3回与えた後の裾野の角度を崩壊角とした。安息角から崩壊角を差し引いた値を差角とした。タッピングは、標準条件のストローク長18mm及びタッピング速度60回/分で行った。差角は安息角と崩壊角の差(安息角-崩壊角)である。
【0079】
《Carr指数》
粉体特性評価装置(パウダテスタ(登録商標)PT-X、ホソカワミクロン株式会社製)から得た情報(ゆるめ嵩密度、固め嵩密度、圧縮率、安息角、崩壊角、及び差角)は、流動性指数表及び噴流性指数表を参照して指数化することができる(横山藤平他「Carrの方法による粉体流動性測定装置の試作」、粉体工学研究会誌、Vol.6、No.4(1969)、pp.264~291も参照のこと)。これらの指数に流動性指数を加えた総和がCarr指数(=圧縮率指数+安息角指数+流動性指数+崩壊角指数+差角指数)である。顆粒状スープのCarr指数を、MT1001k解析ソフト Ver 1.02(株式会社セイシン企業製)を用いて算出した。
【0080】
《Carr指数に基づく評価》
カップ充填後の顆粒状スープについて、充填量が基準値外のカップ個数とCarr指数との相関を評価した。具体的には、ストロークフィーダ(速度:29ショット/分)を用いて顆粒状スープを充填したカップ100個をそれぞれ秤量した後、基準値(中央値±1g)から外れたカップ個数をCarr指数と比較した。評価基準として、「優」を基準値外のカップが5個以下(Carr指数75以上)、「良」を基準値外のカップが6~10個(Carr指数70以上、75未満)、「可」を基準値外のカップが11~20個(Carr指数65以上、70未満)、「不可」を基準値外のカップが21個以上(Carr指数65未満)とした。
【0081】
《一般分析(水分、塩分、油分、水分活性(AW)》
水分、塩分、油分、及び水分活性(AW)に関する一般分析は、一般財団法人日本食品分析センターの試験方法に準拠して行った。
【0082】
水分は減圧加熱乾燥法により分析した。具体的には、粉砕して均質化した試料3gを秤量缶に入れて、蓋をした後、秤量缶を秤量した。蓋を半分程度開けてから、秤量管を70℃に設定した真空乾燥器に入れた。真空乾燥器内の温度が70℃に達してから5時間乾燥した後、素早く蓋をして秤量缶をデシケーターに移した。秤量缶を室温まで放冷した後秤量した。以下の計算式を用いて水分を算出した。
水分(g/100g)=(W-W)/S×100
:試料を入れた秤量缶の乾燥前の質量(g)
:試料を入れた秤量缶の乾燥後の質量(g)
S:試料の質量(g)
【0083】
塩分はモール法により分析した。具体的には、粉砕して均質化した試料をビーカーに1g秤量した。試料に沸騰水50mLを加えて撹拌した。得られた混合物を減圧濾過して得られた濾液を、冷却後、100mLメスフラスコに入れた。濾物を数回水で洗浄して得られた液も100mLメスフラスコに入れて、100mLの試験溶液を得た。
【0084】
(滴定液の力価)
0.1mol/L塩化ナトリウム水溶液10mLをホールピペットを用いて量り取り、100mL三角フラスコに入れた。フェノールフタレイン溶液を1滴入れたときに、無色の場合は1質量%炭酸ナトリウム水溶液で中和し、赤色の場合は5質量%酢酸水溶液で中和した。クロム酸カリウム水溶液1mLを加えて0.1mol/L硝酸銀水溶液で滴定し、微燈色に変わった時点を終点とした。以下の式を用いて滴定液の力価を算出した。
滴定液の力価(F)=(10×F)/A1
:硝酸銀水溶液の滴定量(mL)
:0.1mol/L塩化ナトリウム水溶液の力価
【0085】
(滴定)
試験溶液10mLをホールピペットを用いて100mL三角フラスコに入れた。フェノールフタレイン溶液を1滴入れた後、無色の場合は1質量%炭酸ナトリウム水溶液で中和し、赤色の場合は5質量%酢酸水溶液で中和した。クロム酸カリウム水溶液1mLを加えて0.1mol/L硝酸銀水溶液で滴定し、微燈色に変わった時点を終点とした。以下の式を用いて塩分を算出した。
塩分(g/100g)=[5.844×(A-B)×F×(V/V)×α]/S×[(S+S)/S]×100
:硝酸銀水溶液の滴定量(mL)
B:ブランク試験の硝酸銀水溶液の滴定量(mL)
:滴定液(硝酸銀水溶液)の力価
V1:メスフラスコの容量(mL)
V2:ホールピペットの容量(mL)
α:希釈倍率
S:試料の質量(mg)
【0086】
油分はソックスレー抽出法により分析した。具体的には、脱脂綿を入れた円筒ろ紙に試料3gを入れた。105℃のインキュベーター内で試料を2時間乾燥した後、試料の上に脱脂綿を軽く詰めて抽出管に入れた。予め質量を測定したフラスコにジエチルエーテルをその容積の約2/3程度の量で入れて、フラスコを抽出管に接続し、冷却管に連結した。電気恒温水槽にフラスコを入れて8~16時間抽出を行った。抽出終了後、抽出管を取り外して円筒ろ紙をピンセットで抜き出した。フラスコを再び冷却管に連結して電気恒温水槽中で加温した。フラスコ内のジエチルエーテルの殆どが抽出管に移動したら、フラスコを取り外し、更にフラスコ内に残留したジエチルエーテルを真空ポンプで除去した。フラスコの外側をガーゼで拭き、105℃の電気定温乾燥器で1時間乾燥した後、デシケーターに移して1時間放冷し、フラスコの質量を秤量した。以下の式を用いて油分を算出した。
油分(g/100g)=(W-W)/S×100
:抽出前のフラスコの質量(g)
:抽出後のフラスコの質量(g)
S:試料の採取量(g)
【0087】
水分活性(AW)はメータージャパン株式会社製水分活性測定装置AquaLab 4TEを用いて露点法により分析した。
【0088】
《細菌検査(一般生菌数及び大腸菌群)》
細菌検査は、一般財団法人日本食品分析センターの試験方法に準拠して行った。一般生菌数はACプレートを用いたペトリフィルム法により測定した。大腸菌群はCCプレートを用いたペトリフィルム法により測定した。
【0089】
具体的には、15mLチューブに希釈水9mLを入れた。試料10gを滅菌フィルタバッグに入れ、希釈水100gを添加して、試料原液(10倍)を調製した。試料原液を1分間ストマッカー処理した。試料原液(10倍)1mLを希釈水9mLが入った15mLチューブに入れて撹拌し、試料希釈液(100倍)を調製した。
【0090】
ペトリフィルムに試料原液(10倍)1mL(大腸菌群:CCプレートの場合)又は試料希釈液(100倍)1mL(一般生菌数:ACプレートの場合)を散布してスプレッダーで約1分圧迫した。ペトリフィルムを重ねて恒温器に入れ、ACプレート又はCCプレートの規定の培養条件で培養した。
【0091】
培養後、コロニーの数を数えて、平均値を求めた。この平均値に希釈倍率を乗じた数値を菌数とした。一般生菌数については、コロニーが検出されない場合を「10以下/g」と判定した。大腸菌群については、コロニーが検出されない場合を「陰性(/0.1g)」(大腸菌群)と判定した。
【0092】
《恒温高湿環境保存試験》
20gの顆粒状スープを紙カップ中に入れ、蓋をシールして、恒温高湿環境(33℃、湿度73%)中に静置した。1週間ごとに蓋を開封し、一般分析(水分、塩分、及び水分活性(AW))及び細菌検査(一般生菌数及び大腸菌群)を行った。上記恒温高湿環境の1週間は常温の2か月に概ね対応する。
【0093】
比較例1
(D)食品原料として94.0質量部のZ-1と、(C)油脂として6.0質量部の牛脂極度硬化油フレークBFFLとの混合物100質量部に対して水7質量部を混合し、得られた混合物を穴あきフレームから顆粒状に押出して、100℃で10分間乾燥することにより顆粒状スープを調製した。顆粒状スープは(A)脂肪酸エステル及び(B)保湿剤を含まなかった。
【0094】
例1~例6及び比較例2
顆粒状スープを以下の手順で調製した。
【0095】
《第1混合物の調製》
(D)食品原料中の結晶物を粉状に粉砕した。その後、表2に示す配合で、コニカルブレンダーを用いて(D)食品原料中に(A)脂肪酸エステルを混合して第1混合物を調製した。例1~例6及び比較例2ではPMX1-1又はPMX1-3を使用した。他の第1混合物は後述する例で使用した。
【0096】
【表2】
【0097】
《第2混合物の調製》
内径165mmの3Lガラスビーカー(AGCテクノグラス株式会社製)に入れた40gの(C)油脂に、固形分で5gに相当する(B)保湿剤又はその他の成分を添加し、トルネード撹拌機(品名:TORNADO、タービン型P-65型、撹拌シャフト50cm、アズワン株式会社製)を用いて撹拌することにより、保湿剤分散油及びその他の分散油(以下、実施例において単に「分散油」ともいう。)を調製した。表3にそれらの組成を示す。
【0098】
【表3】
【0099】
直径1.0~4.0mmの穴を設けた容器に分散油を入れ、ピン型ミキサーの撹拌槽に入れた第1混合物に分散油を滴下しながら、回転数70rpmで10分間撹拌した。撹拌完了してから5分経過した後、混合物を撹拌槽から取り出し、8~10メッシュ(目開き1.0~2.25mm)の振動ふるいにかけ、静置することにより第2混合物を調製した。第2混合物は粉末状スープとして使用することもできる。表4に第2混合物(粉末状スープ)の組成並びに一般分析及び細菌検査の結果を示す。
【0100】
【表4】
【0101】
第2混合物PMX2-1~PMX2-7のいずれも、水分値5以下、水分活性値0.6以下、一般生菌数10以下、大腸菌群陰性の規格を満たす。
【0102】
《流動層造粒》
600gの第2混合物を流動層コーティング装置(フローコーター、株式会社大川原製作所製)の目皿に投入し、吸気温度を80~95℃、ダンパー開度を0.2~0.4MPa、噴霧空気圧を0.18MPaに設定して浮遊させ、排気温度が35℃に到達した時点から増粘剤(グアーガム、オルノーSY-1、オルガノフードテック株式会社製)の0.3質量%水溶液をノズルから噴霧することにより造粒物を形成した。流動層造粒中は、排気温度が40~45℃に維持されるように吸気温度を微調整した。増粘剤水溶液の噴霧は、ロータリーポンプの目盛りを4.5に設定し、噴霧量を70mLとした。70mLの増粘剤水溶液を10分程度で噴霧した後、3分間乾燥し、吸気温度を45℃まで下げて冷却した後、造粒物を回収した。その後、ふるい(TESTING SIEVE(目開き2mm、線径0.9mm)、東京スクリーン株式会社製)を用いて粒径の大きい造粒物を除去することにより、顆粒状スープを調製した。表5に顆粒状スープの組成及び物性を示す。
【0103】
【表5】
【0104】
顆粒状スープの一般分析及び細菌検査の結果を表6に示す。
【0105】
【表6】
【0106】
顆粒状スープの恒温高湿環境保存試験の結果を表7及び表8に示す。
【0107】
【表7】
【0108】
【表8】
【0109】
例1及び比較例1の顆粒状スープを常温保存したときの外観と風味の変化を調べた。紙カップに20gの顆粒状スープ、60gの麺、5.5gの具材(3.0gのフリーズドライ肉そぼろ、1.5gのマイクロ波ドライキザミあげM、0.6gのエアドライネギ、及び0.4gのエアドライキャロットフレーク)を投入して蓋をシールした。常温で又は4℃の冷蔵庫中で静置して1か月ごとに外観及び風味を確認した。
【0110】
常温保存の比較例1の顆粒状スープは、3か月経過時で衝撃を加えないと動かない程度に凝集し、6か月経過時で固化した。常温保存の例1の顆粒状スープは、8か月経過しても流動性は良好であった。一方、冷蔵保存の場合、比較例1及び例1の顆粒状スープはいずれも8か月経過後も良好な流動性を保持した。
【0111】
外観及び風味については、常温保存及び冷蔵保存の比較例1及び例1の顆粒状スープに変化は見られなかった。
【0112】
例7~例10
顆粒状スープを以下の手順で調製した。
【0113】
例1と同じ手順で分散油を調製した。表9にそれらの組成を示す。表9にDISP-5の組成も再掲する。表9の分散油の成分に関する質量部は(D)食品原料869質量部に対する値である。
【0114】
【表9】
【0115】
得られた分散油を用いて例1と同じ手順で第2混合物を得た。その後、例1と同様の手順で第2混合物を流動層造粒することにより顆粒状スープを調製した。流動層造粒では、吸気温度を80℃、流動層内の到達温度を60℃とした。増粘剤水溶液の噴霧は、噴霧2.5分間と中間乾燥20秒のサイクルを繰り返し行った。70mLの増粘剤水溶液を10分程度で噴霧した後、3分間乾燥し、吸気温度を45℃まで下げて冷却した後、造粒物(顆粒状スープ)を回収した。表10に顆粒状スープの組成及び物性を示す。
【0116】
【表10】
【0117】
顆粒状スープの一般分析及び細菌検査の結果を表11に示す。
【0118】
【表11】
【0119】
顆粒状スープの恒温高湿環境保存試験の結果を表12に示す。
【0120】
【表12】
【0121】
例11~例12
顆粒状スープを例1と同じ手順で調製した。表13に顆粒状スープの組成及び物性を示す。表13に比較例1及び例4の組成及び物性も再掲する。
【0122】
【表13】
【0123】
顆粒状スープの恒温高湿環境保存試験の結果を表14に示す。
【0124】
【表14】
【0125】
例13~例14
顆粒状スープを以下の手順で調製した。
【0126】
例1と同じ手順でエキス又はペースト調味料を含む分散油を調製した。表15にそれらの組成を示す。
【0127】
【表15】
【0128】
(D)食品原料として600gのB-1、分散油として150gのDISP-8又はDISP-9を用いて、例1と同じ手順で第2混合物(粉末状スープ)及び顆粒状スープを調製した。表16に顆粒状スープの組成及び物性を示す。
【0129】
【表16】
【0130】
第2混合物(粉末状スープ)及び顆粒状スープの一般分析及び細菌検査の結果を表17に示す。
【0131】
【表17】
【0132】
顆粒状スープの恒温高湿環境保存試験の結果を表18に示す。
【0133】
【表18】