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特開2023-154896端末ホルダ、販売データ処理装置、および什器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023154896
(43)【公開日】2023-10-20
(54)【発明の名称】端末ホルダ、販売データ処理装置、および什器
(51)【国際特許分類】
   B62B 5/00 20060101AFI20231013BHJP
   H04M 1/02 20060101ALI20231013BHJP
   G07G 1/00 20060101ALI20231013BHJP
   F16B 2/22 20060101ALI20231013BHJP
   B62B 9/00 20060101ALI20231013BHJP
【FI】
B62B5/00 L
H04M1/02 C
G07G1/00 301Z
F16B2/22 D
B62B9/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022064530
(22)【出願日】2022-04-08
(71)【出願人】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】河田 賢人
【テーマコード(参考)】
3D050
3D051
3E142
3J022
5K023
【Fターム(参考)】
3D050AA02
3D050AA03
3D050AA04
3D050BB08
3D050DD03
3D050EE08
3D050EE15
3D050GG06
3D051AA02
3D051AA24
3D051BA03
3D051CJ04
3D051CJ10
3E142AA01
3E142BA20
3E142GA02
3E142GA03
3E142GA16
3E142GA22
3J022DA11
3J022EA42
3J022EB14
3J022EC12
3J022EC13
3J022EC22
3J022FB08
3J022HA01
3J022HB03
5K023AA07
5K023DD06
5K023KK04
5K023KK10
5K023PP02
5K023PP12
5K023PP13
5K023QQ04
(57)【要約】
【課題】ベビーカーやシルバーカー等、カート状の物とともに来店した顧客の利便性を向上させる。
【解決手段】端末ホルダは、商品の登録を行うための情報を表示し操作を受け付ける端末装置を保持する端末保持部と、カートのハンドルを挟み持って当該ハンドルに自身を着脱自在に取り付ける挟持部と、前記挟持部の下に設けられ、商品を収納する容器を吊り下げ状態で保持する吊下部と、前記挟持部と一体であって、前記端末保持部と前記吊下部とを、前記吊下部が前記容器を吊り下げた状態で前記端末保持部に保持された前記端末装置による情報の表示方向が斜め上を向く所定の角度で、連結する連結部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品の登録を行うための情報を表示し操作を受け付ける端末装置を保持する端末保持部と、
カートのハンドルを挟み持って当該ハンドルに自身を着脱自在に取り付ける挟持部と、
前記挟持部の下に設けられ、商品を収納する容器を吊り下げ状態で保持する吊下部と、
前記挟持部と一体であって、前記端末保持部と前記吊下部とを、前記吊下部が前記容器を吊り下げた状態で前記端末保持部に保持された前記端末装置による情報の表示方向が斜め上を向く所定の角度で、連結する連結部と、
を備える端末ホルダ。
【請求項2】
前記ハンドルは、前記カートが運搬する積荷を積載する積載部の後ろ側に位置し、
前記吊下部は、前記容器の重心を、前記ハンドルよりも前側に位置させて保持する
請求項1に記載の端末ホルダ。
【請求項3】
前記端末保持部に内蔵され、前記端末装置に電力を供給するバッテリーと、
前記端末保持部の側面部に設けられ、前記バッテリーを充電するための充電端子と、
を備える、請求項1に記載の端末ホルダ。
【請求項4】
請求項1に記載の端末ホルダと、
前記挟持部と前記吊下部との間に設けられ、商品の情報を読み取り、読み取った前記情報を、前記端末装置に出力する読取部と、
を備える販売データ処理装置。
【請求項5】
商品の登録を行うための情報を表示し操作を受け付ける端末装置を保持する端末保持部と、
カートのハンドルを挟み持って当該ハンドルに自身を着脱自在に取り付ける挟持部と、
前記挟持部の下に位置し、商品の情報を読み取って前記端末装置に出力する読取部と、
前記挟持部と一体であって、前記端末保持部が情報を表示する方向が斜め上向きとなる所定の角度で前記端末保持部と前記読取部とを連結する連結部と、
前記端末保持部に内蔵され、前記端末装置および前記読取部に電力を供給するバッテリーと、
を備える販売データ処理装置。
【請求項6】
請求項3に記載の端末ホルダを複数台保持する什器であって、
前記挟持部が形成する前記ハンドルを挟むための筒状の空間を貫通することで前記端末ホルダを引っ掛け保持する、先端部が斜め上向きに傾斜したフックと、
前記端末ホルダの前記充電端子に接して前記バッテリーに給電するものであって、
前記フックに保持された前記端末ホルダが前記挟持部を中心に回動した場合の、
前記充電端子の仮想の移動経路を少なくとも部分的に含む平面状の形状を、
前記フックの根本の周囲に有する給電端子と、
を備える什器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、端末ホルダ、販売データ処理装置、および什器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、店に備え付けのショッピングカートに、顧客自身による商品登録等を受け付ける販売データ処理装置が取り付けられた、いわゆるカートPOS(Point Of Sales)が普及している(例えば特許文献1)。また、上記販売データ処理装置の少なくとも一部機能を担う物として、店舗貸与の端末装置の他、顧客が所持するスマートフォン等の携帯型の端末装置に所定のアプリケーションソフトウェアがインストールされたものを使用可能な場合もある。後者の場合、ショッピングカートに設けられた端末ホルダに、顧客が所持するスマートフォン等を保持させる。
【0003】
しかしながら、顧客の中には、ベビーカーやシルバーカー等、カート状の物とともに、店舗を訪れる人もいる。そういった顧客は、持参のカート状の物に加えてさらにショッピングカートを伴って移動することは難しいと考えられる。このため、ベビーカーやシルバーカー等のようなカート状の物とともに使用可能な販売データ処理装置や端末ホルダの需要が見込まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、ベビーカーやシルバーカー等、カート状の物とともに来店した顧客の利便性を向上させられる端末ホルダや販売データ処理装置、さらにこれらをスタックする什器を、提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の端末ホルダは、商品の登録を行うための情報を表示し操作を受け付ける端末装置を保持する端末保持部と、カートのハンドルを挟み持って当該ハンドルに自身を着脱自在に取り付ける挟持部と、前記挟持部の下に設けられ、商品を収納する容器を吊り下げ状態で保持する吊下部と、前記挟持部と一体であって、前記端末保持部と前記吊下部とを、前記吊下部が前記容器を吊り下げた状態で前記端末保持部に保持された前記端末装置による情報の表示方向が斜め上を向く所定の角度で、連結する連結部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、実施形態における端末ホルダ1の使用状態の一例を示す図である。
図2図2は、端末ホルダ1の使用状態の他の例を示す図である。
図3図3は、販売データ処理装置の外観の一例を示す斜視図である。
図4図4は、端末ホルダの構造の一例を示す斜視図である。
図5図5は、端末ホルダの構造の一例を示す、背面側からの斜視図である。
図6図6は、端末ホルダが端末装置を、画面が横長になる向きで保持した状態の図である。
図7図7は、端末ホルダが端末装置を、画面が縦長になる向きで保持した状態の図である。
図8図8は、端末ホルダの構造の一例を示す側面図である。
図9図9は、端末ホルダに保持された端末装置の画面の向きについて説明する図である。
図10図10は、吊下部に吊るされた買物籠の重心位置について説明する図である。
図11図11は、吊下部に吊るされたマイバッグの重心位置について説明する図である。
図12図12は、端末装置の盗難を防止する部材を備える端末ホルダを示す斜視図である。
図13図13は、端末装置の盗難を防止する部材を備える端末ホルダを示す、背面側からの斜視図である。
図14図14は、端末ホルダをスタックし充電するための什器の一例を示す図である。
図15図15は、端末ホルダをスタックした什器の様子を示す図である。
図16図16は、什器による端末ホルダのスタックの仕方を示す図である。
図17図17は、端末ホルダの充電端子と什器の給電端子との接続状態の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
実施形態について図面を用いて説明する。図1は、実施形態における端末ホルダ1の使用状態の一例を示す図である。図2は、端末ホルダ1の使用状態の他の例を示す図である。端末ホルダ1は、ベビーカー2やシルバーカー等のカート状の物に取り付けて使用され、端末装置3を保持する。端末ホルダ1は、読取部4とともに、販売データ処理装置100を構成する。
【0008】
読取部4は、商品の外観から情報を読み取り、読み取った情報を端末装置3に出力する。また、読取部4は、バーコードや二次元コード等を読み取ってデコードし、デコードした情報を端末装置3に出力する。
【0009】
端末装置3は、顧客が自身で商品の登録を行うための情報を表示し操作を受け付けるものであって、例えば、タブレット型やスマートフォン型の情報処理端末である。端末装置3は、店舗貸与のものであっても顧客の所持品であっても構わない。顧客所持の端末装置3を使用する場合には、例えば、端末装置3において所定のアプリケーションソフトウェアを起動して二次元コードを表示させ、この二次元コードを読取部4に読み取らせる等により、読取部4と端末装置3とを関連づけし、これにより、読取部4が出力する情報を端末装置3で取得可能にする。
【0010】
なお、例えばカメラ付きの情報処理端末を端末装置3とする場合など、読取部4が不要であれば、読取部4を備えない構成の販売データ処理装置100としても構わない。この場合の端末ホルダ1は、例えば、挟持部12の下に読取部4を介さずに吊下部14が設けられる構成となる。
【0011】
ベビーカー2は、顧客が使用するカートの一例であって、座面21(積載部の一例)、フレーム22、ハンドル23、車輪241,242、座面21に腰かけた子供の背を支える背もたれ25などを備えている。フレーム22は、子供が腰かける座面21を支える。ハンドル23は、ベビーカー2を操作する顧客が握る部分であって、フレーム22の上部に設けられている。フレーム22およびハンドル23は、棒状あるいはパイプ状の部材で形成されている。車輪241,242は、フレーム22の下端部に設けられている。
【0012】
ここで、説明の便宜のため、図面には、三次元座標系を併せて示している。三次元座標系は、販売データ処理装置100およびベビーカー2の幅方向(左右方向)をX軸方向、奥行方向(前後方向)をY軸方向、高さ方向(上下方向)をZ軸方向とした。なお、Y軸の正方向は、ハンドル23を握る顧客にとって手前側から奥側へ向かう方向であって、Y軸の正方向を「前方」とする。また、Z軸の正方向は下から上へ向かう方向である。
【0013】
本実施形態のハンドル23は、ベビーカー2の幅方向に沿って設けられ、左右のフレーム22を上部で連結している。このハンドル23に、端末ホルダ1により、買物籠5(図1参照)や、支持バー6に支持されたマイバッグ7(図2参照)を、吊り下げて用いる。
【0014】
ここで、買物籠5は、容器の一例であって、支持部51と収納部52とを有する。支持部51は、幅方向に長い板状の部分である。収納部52は、例えば、伸縮可能な布地で形成された袋である。収納部52は、支持部51の下辺に連結して設けられている。
【0015】
また、マイバッグ7は、容器の一例であって、例えば、一対の持ち手71を備えた袋である。支持バー6は、幅方向に長い板状の部材であり、上辺に、持ち手71を引っ掛けるための複数の凹部61が設けられている。なお、支持バー6としては、他に、波型に形成された太めで硬質のワイヤー材などが考えられる。その他、同様の機能が果たせるものであれば構わない。
【0016】
図3は、販売データ処理装置100の外観の一例を示す斜視図である。また、図4は、端末ホルダ1の構造の一例を示す斜視図であって、図5は、背面側からの斜視図である。端末ホルダ1は、端末保持部11、挟持部12、バッテリー13(図4,5参照)、および吊下部14を備えている。
【0017】
吊下部14は、挟持部12の下に設けられ、商品を収納する容器(買物籠5やマイバッグ7)を、吊り下げ状態で保持する。より具体的には、吊下部14は、支持部51の幅方向中央部にあけられた孔511や、支持バー6の幅方向中央部にあけられた孔611を貫通することで、買物籠5や支持バー6を吊り下げる。
【0018】
吊下部14は、引掛部141および先端部142を備えている。引掛部141は、略J字型に屈曲した部分であって、吊下部14が孔511や孔611を貫通した状態で支持部51や支持バー6を両面から押さえる。先端部142は、略前後方向に沿った部分であって、買物籠5や支持バー6を吊り下げる際に、孔511や孔611に通しやすくするために設けられている。
【0019】
バッテリー13は、端末保持部11の筐体に内蔵されている。バッテリー13は、端末装置3および読取部4に、電力を供給する。本実施形態の読取部4はバスパワー駆動である。端末保持部11には、端末保持部11に保持された端末装置3に非接触で充電するための非接触給電部131(図4参照)が設けられている。非接触充電は、周知の技法で行われる。また、端末保持部11の側面には、バッテリー13を充電するための充電端子134(図5参照)が設けられている。なお、充電端子134は、端末保持部11の両側面に設けられていてもよい。また、バッテリー13から読取部4への給電は、有線によるのでも非接触式でも構わない。
【0020】
端末保持部11は、端末装置3を保持するものであって、端末装置3の左右の縁を押える縁押さえ111,112と、端末装置3の下端の縁が差し込まれる縁押さえ113とを備えている。縁押さえ111,112は、伸縮自在であって、端末装置3の向きや寸法の変更に対応可能である。図6は、端末ホルダ1が端末装置3を、画面が横長になる向きで保持した状態の図である。図7は、端末ホルダ1が端末装置3を、画面が縦長になる向きで保持した状態の図である。
【0021】
挟持部12は、上パーツ121、下パーツ122、回動軸123、ツマミ124,125、および緩衝材126を備える。
【0022】
上パーツ121および下パーツ122は、筒をその軸方向に沿って二分したような形状を有し、合わせられることで筒状の内周面を形成する。当該筒状の内周面は、ハンドル23の外周面を囲み、押さえる。
【0023】
緩衝材126は、上パーツ121および下パーツ122が合わさって形成される筒状の内周面がハンドル23を傷つけることを防ぐためのもので、例えばエラストマー(ゴム)など、弾力性があり滑り止め効果を期待できる材料で形成される。緩衝材126は、上パーツ121および下パーツ122が合わさって形成される筒状の内周面の内側に、貼付される。
【0024】
なお、上パーツ121および下パーツ122が合わさって形成される筒形状の内径が、ハンドル23の外径(太さ)よりも大きい場合、緩衝材126に代えて、アジャスターを設けてもよい。アジャスターは、上パーツ121および下パーツ122が形成する筒形状の内側に貼付されて、筒形状の内径を小さくする。なお、緩衝材126がアジャスターを兼ねるよう設計されていてもよい。
【0025】
回動軸123は、上パーツ121および下パーツ122の一方に対して他方が回動可能であるように、上パーツ121および下パーツ122を連結する。回動軸123まわりの回動に従い、上パーツ121および下パーツ122が形成する筒形状が開閉される。
【0026】
挟持部12はさらに、上述の筒形状が閉じる向きに、上パーツ121および下パーツ122の回動方向を付勢する付勢部材を、内蔵している。
【0027】
ツマミ124,125は、回動軸123を中心に放射状に突出した凸部である。ツマミ124,125は、上述の付勢部材により、互いの先端部が遠ざかる向きに付勢されている。この付勢に抗して、顧客あるいは店員が、ツマミ124,125に、互いの先端部が近づく向きの力を加えると、上パーツ121および下パーツ122は、筒形状が開く向きに回動する(図8参照)。図8は、端末ホルダ1の構造の一例を示す側面図である。
【0028】
このような構成の挟持部12は、ベビーカー2のハンドル23をその太さ方向に挟み持つ。これにより挟持部12は、自身を介して端末ホルダ1を、ハンドル23に着脱自在に取り付ける。なお、端末ホルダ1が取り付けられる位置は、ハンドル23が幅方向に沿って長いパイプ状のものの場合、長さ方向のほぼ中央部付近であると好ましい。
【0029】
また、挟持部12は、連結部の一例としても機能する。つまり挟持部12は、端末保持部11と吊下部14とを、吊下部14が容器(買物籠5やマイバッグ7)を吊り下げた状態で、端末保持部11に保持された端末装置3による情報の表示方向が斜め上を向く所定の角度(例えば45°)で、連結する(図9参照)。図9は、端末ホルダ1に保持された端末装置3の画面の向きについて説明する図である。これにより、端末ホルダ1に保持された端末装置3の情報を閲覧しやすく、また、端末装置3の操作性を良い状態で保つことができる。
【0030】
また、本実施形態の販売データ処理装置100においては、挟持部12と吊下部14との間に、読取部4が設けられている。読取部4は、撮像素子を内蔵し、撮像素子に光を取り込む読取窓を備えている。当該読取窓は、吊下部14に容器が吊り下げられた状態で、ハンドル23を握る顧客に正対する。つまり、挟持部12により端末保持部11がベビーカー2のハンドル23に取り付けられ、吊下部14に買物籠5等が吊り下げられた場合に、読取部4の読取窓は、ベビーカー2を押す客の方に向く。顧客は、読取窓に商品をかざすことで、読取部4に商品の情報を読み取らせる。
【0031】
次に、吊下部14が吊り下げる容器の重心位置について説明する。図10は、吊下部14に吊るされた買物籠5の重心位置について説明する図である。図11は、吊下部14に吊るされたマイバッグの重心位置について説明する図である。
【0032】
まず、こういったベビーカー2などのカート状の物のハンドル23は、ハンドル23にかかる荷重によりベビーカー2が転倒する不都合を防ぐために、平面視において車輪241,242で囲まれる範囲内に収まるように設計されていることが多い。同様に、ハンドル23に荷物を吊り下げる場合、ベビーカー2の転倒防止のためには、荷物の重心が、車輪241,242で囲まれる範囲内に位置すると好適である。したがって、例えば、本実施形態のようにハンドル23が座面21の後ろ側に設けられているのであれば、ハンドル23および吊り下げられた荷物の重心が、後輪である車輪242よりも前側に位置していると、ベビーカー2が後ろへ倒れることがない。
【0033】
ここで、ハンドル23に販売データ処理装置100や端末ホルダ1が取り付けられた場合、仮に、吊下部14に吊り下げられた買物籠5等の重心位置が、後輪242よりも後ろ側に位置してしまうと、座面21から荷重が除かれた際等に、ベビーカー2が転倒するおそれがある。そのような不都合を回避するためには、買物籠5等の重心位置は、後輪242よりも前側に位置することが望ましい。そのために、本実施形態の端末ホルダ1は、次に説明する構造を備えている。
【0034】
図10および図11に符号Aで示す一点鎖線は、挟持部12が挟み持つハンドル23の軸心を通る鉛直線である。また、符号Bで示す一点鎖線は、容器の重心位置を通る鉛直線である。これらに示すように、各々の例における容器(買物籠5、マイバッグ7)の重心位置(一点鎖線B)は、ハンドル23よりも前側に位置する。このような重心位置は、吊下部14の引掛部141が、読取部4の奥側に配置されていることにより実現できる。
【0035】
また、図10に示すように、買物籠5の支持部51は、吊下部14に引っ掛け保持される部分から下の部分が、前方向(Y軸の正方向)へ向かって屈曲している。これにより、買物籠5の重心位置(図10に一点鎖線Bで示す)は、より前側に位置する。
【0036】
ここで、本実施形態との比較のため、買物籠5の支持部51を平坦なものにした仮想の買物籠について、考察する。当該仮想の買物籠の重心は、本実施形態のものに比べて、ハンドル23の軸心を通る一点鎖線Aの近くに位置すると考えられる。また、仮想の買物籠の重心は、収納部の形状や商品の収納位置等によっては、一点鎖線Aより後ろ側に位置する可能性もあると考えられる。
【0037】
上述のような仮想の買物籠に比べて、本実施形態の買物籠5においては、支持部51の屈曲形状により、挟持部12や吊下部14の鉛直下方よりも前側に、重心が位置している。ハンドル23に吊り下げられた買物籠5に商品を詰め込むと、重心位置は買物籠5が空の状態からいくらかずれるが、一点鎖線Aよりも後ろ側にまではなりにくいと考えられる。よって、本実施形態の買物籠5によれば、詰め込んだ商品によるベビーカー2の転倒を回避しやすくできる。
【0038】
なお、買物籠5の収納部52に、重し55(図10参照)を仕込むことにより、商品を詰め込んだ後も重心位置がハンドル23よりも前側に保たれるようにしてもよい。また、重し55を収納部52の底部近傍に設けると、収納部52単体の重心を下側に位置させることができる。これにより、収納部52が前後に揺動しても、元の位置に戻りやすくすることができる。
【0039】
さらに、引掛部141が図示状態よりもさらに奥側(前側)に配置されるように、吊下部14を成形してもよい。つまり、吊下部14の引掛部141よりも上の部分を、上述の買物籠5の支持部51のように、前方向(Y軸の正方向)へ向かって屈曲した形状にしてもよい。このように構成すると、例えば図11に示すマイバッグ7の例においても、買物籠5の場合同様、一点鎖線Bで示すマイバッグ7の重心を、さらに前側に位置させることができる。
【0040】
次に、店舗貸与の端末装置3の盗難防止への配慮について説明する。図12は、端末装置3の盗難を防止する部材(固定パーツ114)を備える端末ホルダ1を示す斜視図であって、図13は、背面側からの斜視図である。これらの図に示すように、端末ホルダ1はさらに、固定パーツ114を備えていてもよい。固定パーツ114は、端末保持部11にネジ止め等により取り付けられ、端末装置3の上側の縁を押える。
【0041】
端末装置3が店舗から貸し出されるものである場合、端末装置3は、端末保持部11に固定した状態で、店内の所定の場所に置かれる。このため、端末保持部11から容易に取り外し可能な状態であると、顧客に持ち帰られてしまうおそれがある。このため、端末保持部11からの取り外しにドライバー等の工具を必要とする固定パーツ114を設けることで、盗難をされにくくすることができる。
【0042】
次に、端末ホルダ1のスタックおよびバッテリー13の充電について説明する。図14は、端末ホルダ1をスタックし充電するための什器8の一例を示す図である。図15は、端末ホルダ1をスタックした什器8の様子を示す図である。図16は、什器8による端末ホルダ1のスタックの仕方を示す図である。
【0043】
什器8は、店内の所定の場所に設置され、複数の端末ホルダ1(ないし販売データ処理装置100)を、スタック状態で保持する。また、什器8は、電源に接続されており、当該電源の電力により、スタック中の端末ホルダ1(ないし販売データ処理装置100)が備えるバッテリー13を、充電する。
【0044】
什器8は、フック81、フレーム82、およびベース83を備える。フレーム82は、左右の柱の上端に梁が設けられた門型である。ベース83は、フレーム82の左右の柱を略鉛直に立てた状態で保つ。
【0045】
フック81は、フレーム82の梁の部分に、複数設置されている。フック81は、支持部811、先端部812、給電部813、および給電端子814を有する。
【0046】
支持部811は、端末ホルダ1を引っ掛け保持する部分であって、挟持部12が形成する、ハンドル23を挟むための略円筒状の空間を、貫通する。ここで、支持部811のフレーム82側を根本とする。先端部812は、支持部811の根本の反対側の部分である。支持部811と先端部812とは、屈曲した棒状をなし、屈曲部から根本までの略水平方向に沿った部分が支持部811であり、屈曲部から先端までの斜め上に傾斜した部分が先端部812である。
【0047】
端末ホルダ1は、挟持部12が形成する略円筒状の空間に先端部812が差し込まれると、先端部812に沿って斜め下へと滑って移動し、支持部811で安定する。この状態で、端末ホルダ1は、支持部811の根本に接して安定する。
【0048】
各フック81は、根本に、給電部813を備えている。給電部813は、什器8に接続された電源から受ける電力を、給電端子814に供給する。給電端子814は、端末ホルダ1の充電端子134に接して、バッテリー13に給電する。
【0049】
図17は、端末ホルダ1の充電端子134と什器8の給電端子814との接続状態の一例を示す図である。給電端子814は、フック81の根本の周囲に設けられており、平面状であって、例えば、半円形(或いは扇形)の形状を有する。当該形状は、フック81に保持された端末ホルダ1が挟持部12を中心に回動した場合の、充電端子134の仮想の移動経路を少なくとも部分的に含む形状の、一例である。なお、給電端子814は円形(或いは環状)であってもよい。
【0050】
端末ホルダ1は、端末装置3を保持中であるか否かで、重心が異なる。フック81に引っ掛け保持された状態における、充電端子134の位置は、端末ホルダ1の重心位置に応じて異なる。このように充電端子134の位置は一定になりにくいが、本実施形態の給電端子814は上述の形状であるので、問題なく充電端子134と給電端子814とを接続させることが可能である。
【0051】
また、充電端子134が端末保持部11の両側面に設けられた端末ホルダ1を、図示の状態の逆向きにフック81に引っ掛け保持させた場合にも、給電端子814に対する充電端子134の接触位置は異なる。この場合でも、本実施形態の給電端子814であれば、問題なく充電端子134と接続することが可能である。
【0052】
さらに、給電端子814(または給電部813)は、マグネット(磁石)を含んで構成されている。また、充電端子134は、磁石に引きつけられる性質の材料で形成されている。これにより、先端部812に沿って滑って移動してくる端末ホルダ1の充電端子134と給電端子814との接続の確実性を高めることができる。
【0053】
このように、本実施形態の端末ホルダ1や販売データ処理装置100、さらにこれらをスタックする什器8によれば、ベビーカー2やシルバーカー等、カート状の物とともに来店した顧客の利便性を、向上させることができる。
【0054】
なお、上述のような端末ホルダ1は、例えば、台車や籠車のハンドル等に取り付けられて用いられてもよい。このような使用形態は、例えば、棚卸などにおいて作業性を向上させられ便利であると考えられる。
【0055】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0056】
1 …端末ホルダ、
11…端末保持部、111,112,113…縁押さえ、114…固定パーツ、
12…挟持部(連結部の一例)、
121…上パーツ、122…下パーツ、123…回動軸、
124,125…ツマミ、126…緩衝材(またはアジャスター)、
13…バッテリー、131…非接触給電部、134…充電端子、
14…吊下部、141…引掛部、142…先端部、
2 …ベビーカー(カートの一例)、21…座面(積載部の一例)、22…フレーム、
23…ハンドル、241,242…車輪、25…背もたれ、
3 …端末装置、
4 …読取部、
5 …買物籠(容器の一例)、
51…支持部、511…孔、52…収納部、55…重し、
6 …支持バー、61…凹部、611…孔、
7 …マイバッグ(容器の一例)、71…持ち手、
8 …什器、81…フック、82…フレーム、83…ベース、
811…支持部、812…先端部、813…給電部、814…給電端子、
100…販売データ処理装置。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0057】
【特許文献1】特開2018-147252号公報
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図17