(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023154903
(43)【公開日】2023-10-20
(54)【発明の名称】インクジェット記録用水性インク、インクジェット記録方法、インクジェット記録装置、及びインク収容容器
(51)【国際特許分類】
C09D 11/30 20140101AFI20231013BHJP
B41M 5/00 20060101ALI20231013BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20231013BHJP
B41J 2/175 20060101ALI20231013BHJP
【FI】
C09D11/30
B41M5/00 100
B41M5/00 120
B41J2/01 501
B41J2/175 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022064540
(22)【出願日】2022-04-08
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115255
【弁理士】
【氏名又は名称】辻丸 光一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100154081
【弁理士】
【氏名又は名称】伊佐治 創
(74)【代理人】
【識別番号】100227019
【弁理士】
【氏名又は名称】安 修央
(72)【発明者】
【氏名】津坂 友香
(72)【発明者】
【氏名】磯谷 雅斗
(72)【発明者】
【氏名】前田 光範
【テーマコード(参考)】
2C056
2H186
4J039
【Fターム(参考)】
2C056FC01
2C056KC00
2H186BA08
2H186DA12
2H186FB16
2H186FB17
2H186FB25
2H186FB29
2H186FB53
2H186FB58
4J039AB07
4J039BC79
4J039BE01
4J039BE06
4J039CA06
4J039EA46
4J039EA48
4J039GA24
(57)【要約】
【課題】 リグニンスルホン酸、又はその塩を含む、防腐性を有するインクジェット記録用水性インクを提供する。
【解決手段】本発明のインクジェット記録用水性インクは、水、水溶性有機溶媒、及び、着色剤を含み、さらに、リグニンスルホン酸、又はその塩を含み、前記着色剤が、自己分散顔料、樹脂分散顔料、及び、水溶性染料の少なくとも一つを含む。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水、水溶性有機溶媒、及び、着色剤を含み、
さらに、リグニンスルホン酸、又はその塩を含み、
前記着色剤が、自己分散顔料、樹脂分散顔料、及び、水溶性染料の少なくとも一つであることを特徴とするインクジェット記録用水性インク。
【請求項2】
前記インクジェット記録用水性インク全量に対する、前記リグニンスルホン酸、又はその塩の配合量が、0.2質量%以上、かつ、4.5質量%以下である請求項1記載のインクジェット記録用水性インク。
【請求項3】
前記着色剤は前記自己分散顔料、又は前記樹脂分散顔料を含むことを特徴とする、請求項1又は2記載のインクジェット記録用水性インク。
【請求項4】
前記インクジェット記録用水性インク全量に対する、前記リグニンスルホン酸、又はその塩の配合量が、0.5質量%以上、かつ、4.5質量%以下である請求項3記載のインクジェット記録用水性インク。
【請求項5】
前記インクジェット記録用水性インク全量における、前記自己分散型顔料、又は前記樹脂分散顔料の含有量(A)と、前記リグニンスルホン酸、又はその塩の含有量(C)との質量比(A/C)が、1以上、かつ、9.5以下であることを特徴とする請求項3記載のインクジェット記録用水性インク。
【請求項6】
前記インクジェット記録用水性インク全量に対する、前記リグニンスルホン酸、又はその塩の配合量が、1.2質量%以上、かつ、4.0質量%以下である請求項3記載のインクジェット記録用水性インク。
【請求項7】
前記着色剤は前記水溶性染料を含む、請求項1又は2記載のインクジェット記録用水性インク。
【請求項8】
前記インクジェット記録用水性インク全量に対する、前記染料の配合量が、1.0質量%以上、かつ、5.0質量%以下である請求項7記載のインクジェット記録用水性インク。
【請求項9】
前記インクジェット記録用水性インク全量における、前記水溶性染料の含有量(B)と、前記リグニンスルホン酸、又はその塩の含有量(C)との質量比(B/C)が、1以上、かつ、10以下であることを特徴とする請求項7記載のインクジェット記録用水性インク。
【請求項10】
記録媒体にインクジェット記録用水性インクをインクジェット方式により吐出して記録する記録工程を含み、
前記記録工程において、前記インクジェット記録用水性インクとして、請求項1又は2記載のインクジェット記録用水性インクを用いることを特徴とする、インクジェット記録方法。
【請求項11】
インク収容部、及びインク吐出手段を含み、
前記インク収容部に収容されたインクを前記インク吐出手段によって吐出するインクジェット記録装置であって、
前記インク収容部に、請求項1又は2記載のインクジェット記録用水性インクが収容されていることを特徴とする、インクジェット記録装置。
【請求項12】
インクジェット記録用水性インクを含むインク収容容器であって、前記インクジェット記録用水性インクが、請求項1又は2記載のインクジェット記録用水性インクであることを特徴とする、インク収容容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット記録用水性インク、インクジェット記録方法、インクジェット記録装置、及びインク収容容器に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録用水性インクとしては、例えば、特許文献1に記載のインクがある。特許文献1に記載のインクには、防腐剤として化学合成製品が使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年の環境問題に対する関心の高まりから、環境に配慮した製品の普及が進み、インクジェット記録用水性インクに対し、環境負荷の低減が求められている。このため、インクジェット記録用水性インクとして環境負荷が低い天然素材由来原料を使用した成分を使用することが求められている。
【0005】
そこで、本発明は、環境負荷の低減に対応可能な、天然素材由来原料を使用した成分を含むインクジェット記録用インクを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明のインクジェット記録用水性インクは、水、水溶性有機溶媒、及び、着色剤を含み、さらに、リグニンスルホン酸又はその塩を含み、前記着色剤が、自己分散顔料、樹脂分散顔料、及び、水溶性染料の少なくとも一つであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明者は、天然素材由来の防腐剤について検討したところ、化学構造上、リグニンスルホン酸又はその塩が防腐作用を有すると推察し、この推察に基づき、リグニンスルホン酸又は塩を、インクジェット用インクに配合することを想起した。これに従って、リグニンスルホン酸又は塩をインクジェット用インクの防腐剤として使用したところ、インクに対する防腐作用を有することを見出した。このように、リグニンスルホン酸又は塩をインクジェット用インクの防腐剤として使用できることを見出したのは、本発明者が初めてである。このように、本発明のインクジェット記録用水性インクは、天然素材由来のリグニンスルホン酸又は塩を含むため、防腐性を備え、かつ環境負荷の低減に貢献できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本発明のインクジェット記録装置の一例の構成を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明において、「質量」という場合は、特に断らない限り「重量」と読み替えてもよいものとする。例えば、「質量比」は、特に断らない限り「重量比」と読み替えてもよく、「質量%」は、特に断らない限り「重量%」と読み替えてもよいものとする。
【0010】
本発明のインクジェット記録用水性インク(以下、「水性インク」又は「インク」と言うことがある。)について説明する。本発明の水性インクは、水、水溶性有機溶媒、及び、着色剤を含み、さらに、リグニンスルホン酸、又はその塩を含み、前記着色剤が、自己分散顔料、樹脂分散顔料、及び、水溶性染料の少なくとも一つである。なお、本発明のインクにおいて、前記着色剤は、自己分散顔料、樹脂分散顔料、及び、水溶性染料の少なくとも一つであるから、リグンスルホン酸又はその塩は、前記着色剤の分散剤として機能しないことになる。また、リグニンスルホン酸又はその塩は、防腐作用だけでなく、例えば、着色剤の凝集作用(OD値向上作用)等があってもよい。
【0011】
前記水溶性有機溶媒は、従来公知のものを使用することができる。前記水溶性有機溶剤としては、特に限定されず、例えば、多価アルコール、多価アルコール誘導体、アルコール、アミド、ケトン、ケトアルコール、エーテル、含窒素溶剤、含硫黄溶剤、炭酸プロピレン、炭酸エチレン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン等があげられる。前記多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、へキシレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、1,5-ペンタンジオール、1,2,6-ヘキサントリオール等があげられる。前記多価アルコール誘導体としては、例えば、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコール-n-プロピルエーテル、エチレングリコール-n-ブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコール-n-プロピルエーテル、ジエチレングリコール-n-ブチルエーテル、ジエチレングリコール-n-ヘキシルエーテル、トリエチレングリコールメチルエーテル、トリエチレングリコールエチルエーテル、トリエチレングリコール-n-プロピルエーテル、トリエチレングリコール-n-ブチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコール-n-プロピルエーテル、プロピレングリコール-n-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルエーテル、ジプロピレングリコール-n-プロピルエーテル、ジプロピレングリコール-n-ブチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコールエチルエーテル、トリプロピレングリコール-n-プロピルエーテル、トリプロピレングリコール-n-ブチルエーテル等があげられる。前記アルコールとしては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、sec-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert-ブチルアルコール、ベンジルアルコール等があげられる。前記アミドとしては、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等があげられる。前記ケトンとしては、例えば、アセトン等があげられる。前記ケトアルコールとしては、例えば、ジアセトンアルコール等があげられる。前記エーテルとしては、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン等があげられる。前記含窒素溶剤としては、例えば、ピロリドン、2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン、シクロへキシルピロリドン、トリエタノールアミン等があげられる。前記含硫黄溶剤としては、例えば、チオジエタノール、チオジグリコール、チオジグリセロール、スルホラン、ジメチルスルホキシド等があげられる。前記処理剤全量に対する前記水溶性有機溶剤の配合量は、特に制限されない。前記水溶性有機溶剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0012】
前記自己分散型顔料は、例えば、顔料粒子にカルボニル基、ヒドロキシル基、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基等の親水性官能基及びこれらの塩の少なくとも一種が、直接又は他の基を介して化学結合により導入されていることによって、分散剤を使用しなくても水に分散可能なものである。前記自己分散型顔料は、例えば、特開平8-3498号公報、特表2000-513396号公報、特表2008-524400号公報、特表2009-515007号公報、特表2011-515535号公報等に記載の方法によって顔料が処理されたものを用いることができる。前記自己分散型顔料の原料としては、無機顔料及び有機顔料のいずれも使用することができる。また、前記処理を行うのに適した顔料としては、例えば、三菱化学(株)製の「MA8」及び「MA100」等のカーボンブラック等があげられる。前記自己分散型顔料は、例えば、市販品を用いてもよい。前記市販品としては、例えば、キャボット・コーポレーション社製の「CAB-O-JET(登録商標)200」、「CAB-O-JET(登録商標)250C」、「CAB-O-JET(登録商標)260M」、「CAB-O-JET(登録商標)270Y」、「CAB-O-JET(登録商標)300」、「CAB-O-JET(登録商標)400」、「CAB-O-JET(登録商標)450C」、「CAB-O-JET(登録商標)465M」及び「CAB-O-JET(登録商標)470Y」;オリエント化学工業(株)製の「BONJET(登録商標)BLACK CW-2」及び「BONJET(登録商標)BLACK CW-3」;東洋インク製造(株)製の「LIOJET(登録商標)WD BLACK 002C」等があげられる。
【0013】
本発明において、「樹脂分散顔料」とは、特に断らない限り、樹脂分散剤を顔料表面に吸着させ、顔料に溶媒等への分散安定性を付与したものをいう。前記樹脂分散剤としては、例えば、一般的な高分子分散剤(顔料分散用樹脂や樹脂分散剤等ともいう)等を用いてよく、自家調製してもよい。また、本発明の水性インクにおいて、前記顔料は、高分子によりカプセル化されたものであってもよい。前記樹脂分散剤としては、例えば、メタクリル酸及びアクリル酸の少なくとも一方をモノマーとして含むものを用いることができ、例えば、市販品を用いてもよい。前記樹脂分散剤は、例えば、スチレン、スチレン誘導体、ビニルナフタレン、ビニルナフタレン誘導体、α,β-エチレン性不飽和カルボン酸の脂肪族アルコールエステル等の疎水性単量体、又は、アクリル酸、アクリル酸誘導体、マレイン酸、マレイン酸誘導体、イタコン酸、イタコン酸誘導体、フマル酸、フマル酸誘導体からなる群から選ばれる2つ以上の単量体からなるブロック共重合体、グラフト共重合体、あるいはランダム共重合体、又はこれらの塩等であってもよい。前記市販品としては、例えば、ジョンソンポリマー(株)製の「ジョンクリル(登録商標)611」、「ジョンクリル(登録商標)60」、「ジョンクリル(登録商標)586」、「ジョンクリル(登録商標)687」、「ジョンクリル(登録商標)63」及び「ジョンクリル(登録商標)HPD296」;ビックケミー社製の「Disperbyk190」及び「Disperbyk191」;ゼネカ社製の「ソルスパース20000」及び「ソルスパース27000」;等があげられる。
【0014】
前記顔料分散用樹脂を用いた前記顔料の分散方法としては、例えば、分散装置を使用して顔料を分散させることがあげられる。前記顔料の分散に使用する分散装置は、一般的な分散機であれば特に限定はされないが、例えば、ボールミル、ロールミル、サンドミル(例えば、高速型)等があげられる。
【0015】
前記水溶性染料は、特に限定されず、例えば、直接染料、酸性染料、塩基性染料、反応性染料等があげられる。前記水溶性染料の具体例としては、例えば、C.I.ダイレクトブラック、C.I.ダイレクトブルー、C.I.ダイレクトレッド、C.I.ダイレクトイエロー、C.I.ダイレクトオレンジ、C.I.ダイレクトバイオレット、C.I.ダイレクトブラウン、C.I.ダイレクトグリーン、C.I.アシッドブラック、C.I.アシッドブルー、C.I.アシッドレッド、C.I.アシッドイエロー、C.I.アシッドオレンジ、C.I.アシッドバイオレット、C.I.ベーシックブラック、C.I.ベーシックブルー、C.I.ベーシックレッド、C.I.ベーシックバイオレット及びC.I.フードブラック等があげられる。前記C.I.ダイレクトブラックとしては、例えば、C.I.ダイレクトブラック17、19、32、51、71、108、146、154及び168等があげられる。前記C.I.ダイレクトブルーとしては、例えば、C.I.ダイレクトブルー6、22、25、71、86、90、106及び199等があげられる。前記C.I.ダイレクトレッドとしては、例えば、C.I.ダイレクトレッド1、4、17、28、83及び227等があげられる。前記C.I.ダイレクトイエローとしては、例えば、C.I.ダイレクトイエロー12、24、26、86、98、132、142及び173等があげられる。前記C.I.ダイレクトオレンジとしては、例えば、C.I.ダイレクトオレンジ34、39、44、46及び60等があげられる。前記C.I.ダイレクトバイオレットとしては、例えば、C.I.ダイレクトバイオレット47及び48等があげられる。前記C.I.ダイレクトブラウンとしては、例えば、C.I.ダイレクトブラウン109等があげられる。前記C.I.ダイレクトグリーンとしては、例えば、C.I.ダイレクトグリーン59等があげられる。前記C.I.アシッドブラックとしては、例えば、C.I.アシッドブラック2、7、24、26、31、52、63、112及び118等があげられる。前記C.I.アシッドブルーとしては、例えば、C.I.アシッドブルー9、22、40、59、90、93、102、104、117、120、167、229及び234等があげられる。前記C.I.アシッドレッドとしては、例えば、C.I.アシッドレッド1、6、32、37、51、52、80、85、87、92、94、115、180、256、289、315及び317等があげられる。前記C.I.アシッドイエローとしては、例えば、C.I.アシッドイエロー11、17、23、25、29、42、61及び71等があげられる。前記C.I.アシッドオレンジとしては、例えば、C.I.アシッドオレンジ7及び19等があげられる。前記C.I.アシッドバイオレットとしては、例えば、C.I.アシッドバイオレット49等があげられる。前記C.I.ベーシックブラックとしては、例えば、C.I.ベーシックブラック2等があげられる。前記C.I.ベーシックブルーとしては、例えば、C.I.ベーシックブルー1、3、5、7、9、24、25、26、28及び29等があげられる。前記C.I.ベーシックレッドとしては、例えば、C.I.ベーシックレッド1、2、9、12、13、14及び37等があげられる。前記C.I.ベーシックバイオレットとしては、例えば、C.I.ベーシックバイオレット7、14及び27等があげられる。前記C.I.フードブラックとしては、例えば、C.I.フードブラック1及び2等があげられる。
【0016】
前記例示の水溶性染料は、例えば、鮮明性および安定性などの特性に優れる。前記水溶性染料は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0017】
前記リグニンスルホン酸、又はその塩(以下、「リグニンスルホン酸塩等」ということがある。)のリグニンスルホン酸塩としては、特に限定されず、例えば、リグニンスルホン酸ナトリウム、リグニンスルホン酸カルシウム、リグニンスルホン酸マグネシウム及びリグニンスルホン酸アンモニウム等が挙げられる。
【0018】
本発明の水性インクは、例えば、防腐剤成分として、前記リグニンスルホン酸塩等以外の成分を含んでもよい。前記リグニンスルホン酸塩等以外の成分としては、例えば、前記リグニンスルホン酸塩等以外の天然由来成分、又は化学合成由来成分などがあげられる。これらの成分は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。環境配慮の観点からは、化学合成由来成分よりも天然由来成分をより多く含むことが好ましく、天然由来成分のみを含むことがより好ましい。
【0019】
前記水性インク全量に対する、前記リグニンスルホン酸塩等の配合量は、特に限定されず、例えば、0.1質量%以上、0.2質量%以上、0.4質量%以上、0.5質量%以上、1.2質量%以上、または2.0質量%以上であってもよく、かつ、5.0質量%以下、4.5質量%以下、4.0質量%以下、または2.0質量%以下であってもよく、例えば、0.1質量%~5.0質量%、好ましくは0.2質量%~5.0質量%、より好ましくは0.2質量%~4.5質量%である。
【0020】
前記着色剤として前記顔料を含む場合、前記水性インク全量に対する、前記リグニンスルホン酸塩等の配合量は、例えば、0.5質量%~4.5質量%、好ましくは1.2質量%~4.0質量%、より好ましくは1.2質量%~2.0質量%である。
【0021】
前記着色剤として前記染料を含む場合、前記水性インク全量に対する、前記リグニンスルホン酸塩等の配合量は、例えば、1.0質量%~5.0質量%、好ましくは1.0質量%~4.0質量%、より好ましくは2.0質量%~4.0質量%である。
【0022】
前記インクジェット記録用水性インク全量における、前記顔料の含有量(A)と、前記リグニンスルホン酸、又はその塩の含有量(C)との質量比(A/C)は、特に限定されないが、例えば、1~9.5、好ましくは2~9.5、より好ましくは2~5である。
【0023】
前記インクジェット記録用水性インク全量における、前記染料の含有量(B)と、前記リグニンスルホン酸、又はその塩の含有量(C)との質量比(B/C)は、特に限定されないが、例えば、1~10、好ましくは1~5、より好ましくは1~2である。
【0024】
前記水は、イオン交換水、純水等であってもよい。前記水性インク全量に対する前記水の配合量(水割合)は、所望のインク特性等に応じて適宜決定される。前記水割合は、例えば、他の成分の残部としてもよい。前記水の配合量は、例えば、50質量%~95質量%、好ましくは55質量%~90質量%、より好ましくは60質量%~80質量%である。
【0025】
前記水性インクは、必要に応じて、さらに、従来公知の添加剤を含んでもよい。前記添加剤としては、例えば、pH調整剤、粘度調整剤、表面張力調整剤、防カビ剤等があげられる。前記粘度調整剤は、例えば、ポリビニルアルコール、セルロース、水溶性樹脂等があげられる。
【0026】
つぎに、本発明のインク収容容器は、インクジェット記録用水性インクを含むインク収容容器であって、前記水性インクが、本発明のインクジェット記録用水性インクであることを特徴とする。前記インク収容容器としては、例えば、従来公知のものを使用できる。前記インク収容容器は、例えば、インクカートリッジ、タンク、パウチ等があげられる。
【0027】
つぎに、本発明のインクジェット記録装置及びインクジェット記録方法について説明する。
【0028】
本発明のインクジェット記録装置は、インク収容部及びインク吐出部を含み、前記インク収容部に収容されたインクを前記インク吐出部によって吐出するインクジェット記録装置であって、前記インク収容部に、本発明のインクジェット記録用水性インクが収容されていることを特徴とする。
【0029】
図1に、本発明のインクジェット記録装置の一例の構成を示す。図示のとおり、このインクジェット記録装置1は、4つのインク収容部(インクカートリッジ2)と、インク吐出部(インクジェットヘッド)3と、ヘッドユニット4と、キャリッジ5と、駆動ユニット6と、プラテンローラ7と、パージ装置8とを主要な構成要素として含む。
【0030】
4つのインクカートリッジ2は、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの4色の水性インクを、それぞれ1色ずつ含む。例えば、前記4色の水性インクのうちの少なくとも一つが、本発明の水性インクである。本例では、4つのインクカートリッジ2のセットを示したが、これに代えて、水性イエローインク収納部、水性マゼンタインク収納部、水性シアンインク収納部及び水性ブラックインク収納部を形成するようにその内部が間仕切りされた一体型のインクカートリッジを用いてもよい。前記インクカートリッジの本体としては、例えば、従来公知のものを使用できる。
【0031】
ヘッドユニット4に設置されたインクジェットヘッド3は、記録媒体(例えば、記録用紙)Pに記録を行う。キャリッジ5には、4つのインクカートリッジ2及びヘッドユニット4が搭載される。駆動ユニット6は、キャリッジ5を直線方向に往復移動させる。駆動ユニット6としては、例えば、従来公知のものを使用できる(例えば、特開2008-246821号公報参照)。プラテンローラ7は、キャリッジ5の往復方向に延び、インクジェットヘッド3と対向して配置されている。
【0032】
インクジェットヘッド3は、例えば、金属製の薄板が複数層重ねて構成されている。それぞれの薄板には、貫通穴が形成されている。貫通穴が形成された薄板が複数層重なることで、前記水性インクを通すための流路が形成される。前記薄板は、例えば、それぞれ、接着剤により接着されている。
【0033】
パージ装置8は、インクジェットヘッド3の内部に溜まる気泡等を含んだ不良インクを吸引する。パージ装置8としては、例えば、従来公知のものを使用できる(例えば、特開2008-246821号公報参照)。
【0034】
パージ装置8のプラテンローラ7側には、パージ装置8に隣接してワイパ部材20が配設されている。ワイパ部材20は、へら状に形成されており、キャリッジ5の移動に伴って、インクジェットヘッド3のノズル形成面を拭うものである。
図1において、キャップ18は、水性インクの乾燥を防止するため、記録が終了するとリセット位置に戻されるインクジェットヘッド3の複数のノズルを覆うものである。
【0035】
本例のインクジェット記録装置1においては、4つのインクカートリッジ2は、ヘッドユニット4と共に、1つのキャリッジ5に搭載されている。ただし、本発明は、これに限定されない。インクジェット記録装置1において、4つのインクカートリッジ2の各カートリッジは、ヘッドユニット4とは別のキャリッジに搭載されていてもよい。また、4つのインクカートリッジ2の各カートリッジは、キャリッジ5には搭載されず、インクジェット記録装置1内に配置、固定されていてもよい。これらの態様においては、例えば、4つのインクカートリッジ2の各カートリッジと、キャリッジ5に搭載されたヘッドユニット4とが、チューブ等により連結され、4つのインクカートリッジ2の各カートリッジからヘッドユニット4に前記水性インクが供給される。また、これらの態様においては、4つのインクカートリッジ2に代えて、ボトル形状の4つのインクボトルを用いてもよい。この場合、前記インクボトルには、外部から内部にインクを注入するための注入口が設けられていることが好ましい。
【0036】
このインクジェット記録装置1を用いたインクジェット記録は、例えば、つぎのようにして実施される。まず、記録用紙Pが、インクジェット記録装置1の側方又は下方に設けられた給紙カセット(図示せず)から給紙される。記録用紙Pは、インクジェットヘッド3と、プラテンローラ7との間に導入される。導入された記録用紙Pに、インクジェットヘッド3から吐出される水性インクにより所定の記録がされる。この吐出は、例えば、前述のように、第1の吐出量で行われてもよいし、特定の条件を満たした場合に第2の吐出量で行われてもよい。記録後の記録用紙Pは、インクジェット記録装置1から排紙される。
図1においては、記録用紙Pの給紙機構及び排紙機構の図示を省略している。
【0037】
図1に示す装置では、シリアル型インクジェットヘッドを採用するが、本発明は、これに限定されない。前記インクジェット記録装置は、ライン型インクジェットヘッドやロールトゥロールを採用する装置であってもよい。
【0038】
つぎに、本発明のインクジェット記録方法は、記録媒体に水性インクをインクジェット方式により吐出して記録する記録工程を含むインクジェット記録方法であって、前記記録工程において、前記水性インクとして、本発明のインクジェット記録用水性インクを用いることを特徴とする。本発明のインクジェット記録方法は、例えば、本発明のインクジェット記録装置を用いて実施可能である。前記記録は、印字、印画、印刷等を含む。
【実施例0039】
つぎに、本発明の実施例について比較例と併せて説明する。なお、本発明は、下記の実施例及び比較例により限定及び制限されない。
【0040】
(顔料分散液Aの調整)
顔料(カーボンブラック)20質量%、スチレン-アクリル酸共重合体の水酸化ナトリウム中和物7質量%(酸価175mgKOH/g、分子量10000)に、純水を加えて全体を100質量%とし、攪拌混合して混合物を得た。この混合物を、0.3mm径ジルコニアビーズを充填した湿式サンドミルに入れて、6時間分散処理を行った。その後、ジルコニアビーズをセパレータにより取り除き、孔径3.0μmセルロースアセテートフィルターでろ過することにより、顔料分散液Aを得た。スチレン-アクリル酸共重合体は、一般に顔料の分散剤として用いられる水溶性のポリマーである。なお、顔料分散液Aにおいて、顔料固形分配合量(A)は、顔料分散液A全量に対し、15質量%であった。また、顔料分散液Aは、顔料としてのカーボンブラックが、樹脂分散剤としてスチレン-アクリル酸共重合体によって分散されている。
【0041】
(実施例1~14、比較例1~3)
水性インク組成(表1~2)における、色材(着色剤)を除く成分を、均一に混合し、インク溶媒を得た。次に、色材を前記インク溶媒に加え、均一に混合した。その後、得られた混合物を、東洋濾紙(株)製のセルロースアセテートタイプメンブレンフィルタ(孔径3.00μm)でろ過することで、表1~2に示す実施例1~14、比較例1~3のインクジェット記録用水性インクを得た。
【0042】
実施例1~9、比較例1~2の水性インクについて、(a)防腐性、(b)光学濃度(OD値)、(c)保存安定性、(d)吐出安定性、を下記方法により評価した。
【0043】
実施例10~14、比較例3の水性インクについて、(a)防腐性、(d)吐出安定性、(e)印字品質、を下記方法により評価した。
【0044】
なお、本発明の水性インクで使用する前記リグニンスルホン酸塩等の色味は、通常茶色がかっている。したがって、無彩色の色材の一例である黒顔料を使用した実施例1~9、及び比較例1~2の水性インクについては、前記リグニンスルホン酸塩等と混ぜ合わせても色差ΔEに変化がないことから、光学濃度(OD値)を評価した。一方、有彩色の色材の一例であるカラー染料を使用した実施例10~14、及び比較例3の水性インクについては、前記リグニンスルホン酸塩等と混ぜ合わせることによる色味の変化を確認するために、後述のとおり色差ΔE(印字品質)を評価した。
【0045】
(a)防腐性
実施例1~14、比較例1~3の水性インクをフードスタンプ標準寒天(日水製薬(株)製)に塗布して、温度35℃の環境下で保存した。その後、前記標準寒天に黴のコロニーが発生しているかを目視で確認し、下記評価基準に従って防腐性を評価した。
【0046】
防腐性 評価基準
A:5日経過後もカビが生えない
B:3日経過後にカビが生える
C:2日後にカビが生える
【0047】
(b)光学濃度(OD値)
ブラザー工業(株)製のインクジェット記録装置DCP-J987Nを使用して、実施例1~9、比較例1~2の水性インク水性インクを用いて、記録用紙(アスクル社製の「コピー用紙 アスクル マルチペーパー スーパーホワイト+」)に対して画像を記録し評価サンプルを作製した。前記評価サンプル中の3箇所の光学濃度(OD値)を、X-Rite社製の分光測色計SpectroEye(光源:D50、視野角:2°、ANSI-T)により測定し、平均値を求めた。
【0048】
光学濃度(OD値) 評価基準
A:未添加品よりOD値が0.05以上上昇する
B:未添加品よりOD値が0.01以上上昇する
【0049】
(c)保存安定性
調製直後の実施例及び比較例の水性インクを、密閉容器に入れ、60℃の環境下に3日間保存した。保存後のインクについて光学顕微鏡で観察し、凝集物の有無を確認した。
【0050】
保存安定性 評価基準
A:60度3日放置後凝集発生なし
B:60度3日放置後凝集発生あり
【0051】
(d)吐出安定性
ブラザー工業(株)製のインクジェット記録装置DCP-J987Nを使用して、実施例1~9、比較例1~2の水性インク水性インクを用いて、記録用紙(アスクル社製の「コピー用紙 アスクル マルチペーパー スーパーホワイト+」)に対してベタ画像を記録し評価サンプルを作製した。下記評価基準に従って、先頭欠けを評価した。なお、「先頭欠け」とは、ベタ印字時に打ち出しはじめが不吐出となり、先頭部分が白紙のままになることをいう。
【0052】
吐出安定性 評価基準
A:ベタ印字時に先頭欠けなし
B:ベタ印字時に先頭欠けあり
【0053】
(e)印字品質
ブラザー工業(株)製のインクジェット記録装置DCP-J987Nを使用して、実施例10~14、比較例3の水性インク水性インクを用いて、記録用紙(アスクル社製の「コピー用紙 アスクル マルチペーパー スーパーホワイト+」)に対してベタ画像を記録し評価サンプルを作製した。前記評価サンプル中の3箇所の色(L*、a*及びb*)を、X-Rite社製の分光測色計SpectroEye(光源:D50、視野角:2°、ANSI-T)により測定し、平均値を求めた。L*、a*及びb*とは1976年に国際照明委員会(CIE)で規格化されたL*a*b*表色系(CIE1976(L*a*b*)表色系)に基づくものである(JIS Z 8729参照)。前記記録用紙の評価サンプルの色と、前記綿の評価サンプルの色との色差(ΔE1)を、下記式により算出し、下記評価基準に従って評価した。
ΔE={(L*
1-L*
2)2+(a*
1-a*
2)2+(b*
1-b*
2)2}1/2
ここでL*
1、a*
1、b*
1は各実施例の測定結果、L*
2、a*
2、b*
2は比較例3の測定結果である。
【0054】
印字品質 評価基準
A:ΔEが3.0以下
B:ΔEが3.0より大きい
【0055】
実施例1~14、比較例1~3の水性インクの水性インク組成及び評価結果を、表1~2に示す。
【0056】
【0057】
【0058】
表1のとおり、実施例1~14は防腐性の評価結果が「B」以上であった。また、実施例1、2、9、及び10のとおり、前記リグニンスルホン酸塩等の違いによらず、防腐性評価は良好であった。さらに、実施例1~14のとおり、前記水性インクに含まれる前記着色剤が顔料であるか、あるいは染料であるかによらず、防腐性の評価結果はいずれも良好であった。
【0059】
前記水性インク全量に対する前記リグニンスルホン酸塩等の配合量を、0.2質量%以上、かつ、4.5質量%以下とした実施例1~5、7~8、及び10~12は、他の実施例よりも防腐性と吐出安定性がより優れていた。
【0060】
前記着色剤が顔料であるとき、前記水性インクに対する前記リグニンスルホン酸塩等の配合量を0.5質量%以上、かつ、4.5質量%以下とした実施例1~5は、優れた防腐性を備えつつ、他の実施例よりもOD値と吐出安定性が優れていた。
【0061】
また、前記着色剤が顔料であるとき、前記水性インクに対する前記リグニンスルホン酸塩等の配合量を1.2質量%以上、かつ、4.0質量%以下とした実施例1~4は、防腐性、OD値、吐出安定性及び保存安定性のすべてが優れていた。
【0062】
さらに、前記着色剤が顔料であるとき、前記水性インク全量における、前記顔料の含有量(A)と、前記リグニンスルホン酸塩等の含有量(C)との質量比(A/C)を、1以上、かつ、9.5以下とした実施例1~4は、防腐性、OD値、吐出安定性及び保存安定性のすべてがより優れていた。
【0063】
前記着色剤が染料であるとき、前記水性インクに対する前記リグニンスルホン酸塩等の配合量を1.0質量%以上、かつ、5.0質量%以下とした実施例10~13は、他の実施例よりも防腐性がより優れていた。
【0064】
また、前記着色剤が水溶性染料であるとき、前記水性インク全量における、前記水溶性染料の含有量(B)と、前記リグニンスルホン酸塩等の含有量(C)との質量比(B/C)を、1以上、かつ、10以下とした実施例10~12は、他の実施例よりも防腐性、吐出安定性及び印字品質のすべてが優れていた。
【0065】
一方、前記リグニンスルホン酸塩を用いなかった比較例1~3は、防腐性評価がすべて「C」であり、悪かった。
【0066】
上記実施形態及び実施例の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載し得るが、以下には限定されない。
(付記1)
水、水溶性有機溶媒、及び、着色剤を含み、
さらに、リグニンスルホン酸、又はその塩を含み、
前記着色剤が、自己分散顔料、樹脂分散顔料、及び、水溶性染料の少なくとも一つであることを特徴とするインクジェット記録用水性インク。
(付記2)
前記インクジェット記録用水性インク全量に対する、前記リグニンスルホン酸、又はその塩の配合量が、0.2質量 %以上、かつ、4.5質量%以下である付記1記載のインクジェット記録用水性インク。
(付記3)
前記着色剤は前記自己分散顔料、又は前記樹脂分散顔料を含むことを特徴とする、付記1又は2記載のインクジェット記録用水性インク。
(付記4)
前記インクジェット記録用水性インク全量に対する、前記リグニンスルホン酸、又はその塩の配合量が、0.5質量 %以上、かつ、4.5質量%以下である付記3記載のインクジェット記録用水性インク。
(付記5)
前記インクジェット記録用水性インク全量における、前記自己分散型顔料、又は前記樹脂分散顔料の含有量(A)と、前記リグニンスルホン酸、又はその塩の含有量(C)との質量比(A/C) が、1以上、かつ、9.5以下であることを特徴とする付記3又は4記載のインクジェット記録用水性インク。
(付記6)
前記インクジェット記録用水性インク全量に対する、前記リグニンスルホン酸、又はその塩の配合量が、1.2質量%以上、かつ、4.0質量%以下である付記3記載のインクジェット記録用水性インク。
(付記7)
前記着色剤は前記水溶性染料を含む、付記1又は2記載のインクジェット記録用水性インク。
(付記8)
前記インクジェット記録用水性インク全量に対する、前記染料の配合量が、1.0質量%以上、かつ、5.0質量%以下である付記7記載のインクジェット記録用水性インク。
(付記9)
前記インクジェット記録用水性インク全量における、前記水溶性染料 の含有量(B)と、前記リグニンスルホン酸、又はその塩の含有量(C)との質量比(B/C) が、1以上、かつ、10以下であることを特徴とする付記7又は8記載のインクジェット記録用水性インク。
(付記10)
記録媒体にインクジェット記録用水性インクをインクジェット方式により吐出して記録する記録工程を含み、
前記記録工程において、前記インクジェット記録用水性インクとして、付記1から9のいずれか一項に記載のインクジェット記録用水性インクを用いることを特徴とする、インクジェット記録方法。
(付記11)
インク収容部、及びインク吐出手段を含み、
前記インク収容部に収容されたインクを前記インク吐出手段によって吐出するインクジェット記録装置であって、
前記インク収容部に、付記1から9のいずれか一項に記載のインクジェット記録用水性インクが収容されていることを特徴とする、インクジェット記録装置。
(付記12)
インクジェット記録用水性インクを含むインク収容容器であって、前記インクジェット記録用水性インクが、付記1から9のいずれか一項に記載のインクジェット記録用水性インクであることを特徴とする、インク収容容器。
以上のように、本発明の水性インクは、リグニンスルホン酸、又はその塩を含むことで、防腐性を有する。本発明の水性インクの用途は、各種記録媒体へのインクジェット記録に広く適用可能である。