(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023154932
(43)【公開日】2023-10-20
(54)【発明の名称】飲料供給装置および飲料残量検出方法
(51)【国際特許分類】
B67D 1/12 20060101AFI20231013BHJP
B67D 1/04 20060101ALI20231013BHJP
【FI】
B67D1/12
B67D1/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022064583
(22)【出願日】2022-04-08
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松田 師明
(72)【発明者】
【氏名】小田 雅隆
(72)【発明者】
【氏名】桑子 久史
【テーマコード(参考)】
3E082
【Fターム(参考)】
3E082AA04
3E082BB03
3E082CC01
3E082DD01
3E082FF07
(57)【要約】
【課題】本開示は、飲料の注出完了後に直ちに飲料の残量を算出することができる飲料供給装置を提供する。
【解決手段】ガスボンベ14から飲料容器22に送られるガス流量を計測するガス流量センサ17を備え、飲料を注出させる際にガス流量センサ17にて注出開始から概ね注出完了するまでの間のガス流量の積算流量を計測するガス流量計測処理と、あらかじめ求めたガス流量と飲料残量との相関関係に基づいて、飲料容器22内にガスが供給完了されるまでの推定ガス流量を推定するガス推定流量演算処理と、ガス流量計測処理およびガス推定流量演算処理の結果に基づいて、飲料容器22の飲料残量を演算する飲料残量演算処理と、を行う制御部30を備えている。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス供給源から密閉された飲料容器にガスを送ることにより前記飲料容器の飲料を注出手段に押し出して注出させる飲料供給装置において、
前記ガス供給源から前記飲料容器に送られるガス流量を計測するガス流量計測手段を備え、
飲料を注出させる際に前記ガス流量計測手段にて注出開始から概ね注出完了するまでの間のガス流量の積算流量を計測するガス流量計測処理と、
あらかじめ求めたガス流量と飲料残量との相関関係に基づいて、前記飲料容器内にガスが供給完了されるまでの推定ガス流量を推定するガス推定流量演算処理と、
前記ガス流量計測処理および前記ガス推定流量演算処理の結果に基づいて、前記飲料容器の飲料残量を演算する飲料残量演算処理と、を行う制御部を備えている
ことを特徴とする飲料供給装置。
【請求項2】
前記制御部は、飲料注出開始時から一定のガス流量に至るまでのガス流量変化率を求め、
前記ガス流量変化率と前記飲料容器の飲料残量との相関関係を利用して、前記飲料容器内の飲料残量を推定する飲料残量演算処理を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の飲料供給装置。
【請求項3】
前記飲料容器の有無を検知する容器検知手段を設けた
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の飲料供給装置。
【請求項4】
前記容器検知手段を複数設け、
前記制御部は、容量の異なる前記飲料容器を判別する容器判別処理を行う
ことを特徴とする請求項3に記載の飲料供給装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記ガス供給源から前記飲料容器に送られるガスの種類によってガス推定流量演算処理によるガスの推定流量を補正する
ことを特徴とする請求項1に記載の飲料供給装置。
【請求項6】
ガス供給源から密閉された飲料容器にガスを送ることにより前記飲料容器の飲料を注出手段に押し出して注出させる飲料供給装置の飲料の残量検出方法において、
飲料を注出させる際にガス流量計測手段にて注出開始から概ね注出完了するまでの間のガス流量の積算流量を計測する処理と、
あらかじめ求めたガス流量と飲料残量との相関関係に基づいて、前記飲料容器内にガスが供給完了されるまでの推定ガス流量を推定する処理と、
ガス流量の積算流量の計測処理および推定ガス流量の推定処理の結果に基づいて、前記飲料容器の飲料残量を演算する処理と、
前記飲料容器内にガスが供給完了される前に、飲料残量の演算処理により演算された飲料の残量を表示する処理と、を行う
ことを特徴とする飲料残量検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料供給装置および飲料残量検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、ガスボンベからビール樽に炭酸ガスを送るガス経路にガス流量センサを備え、ガス流量センサから計測された炭酸ガスの累積流量からビール樽内のビールの残量を算出し、算出されたビール樽内のビールの残量を表示部により表示する飲料ディスペンサを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、飲料の注出完了後に直ちに飲料の残量を算出することができる飲料供給装置および飲料残量検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するため、本開示の飲料供給装置は、ガス供給源から密閉された飲料容器にガスを送ることにより前記飲料容器の飲料を注出手段に押し出して注出させる飲料供給装置において、前記ガス供給源から前記飲料容器に送られるガス流量を計測するガス流量計測手段を備え、飲料を注出させる際に前記ガス流量計測手段にて注出開始から概ね注出完了するまでの間のガス流量の積算流量を計測するガス流量計測処理と、あらかじめ求めたガス流量と飲料残量との相関関係に基づいて、前記飲料容器内にガスが供給完了されるまでの推定ガス流量を推定するガス推定流量演算処理と、前記ガス流量計測処理および前記ガス推定流量演算処理の結果に基づいて、前記飲料容器の飲料残量を演算する飲料残量演算処理と、を行う制御部を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、制御部によりガス推定流量演算処理を行うことで、飲料注出後、飲料容器内へのガスの供給が完了されるのを待たずに飲料容器の飲料残量を求めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施の形態1における飲料供給装置を示す全体斜視図
【
図2】実施の形態1におけるボトル収容部材を示す斜視図
【
図3】
図3(a),(b),(c)は、実施の形態1におけるボトル収容部材を示す側面断面図
【
図4】実施の形態1における飲料供給装置の制御構成を示すブロック図
【
図5】実施の形態1における飲料の注出開始時からのガス流量と時間との関係を示すグラフ
【
図6】
図6(a),(b),(c)は、実施の形態1における飲料の残量ごとのガス流量と時間との関係を示すグラフ
【
図7】実施の形態1における実験により求めた換算係数と飲料容器の残量との関係を示すグラフ
【
図8】実施の形態1の飲料容器判断動作を示すフローチャート
【
図9】実施の形態1の演算動作を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0008】
(本開示の基礎となった知見等)
発明者らが本開示に想到するに至った当時、ガスボンベからビール樽に炭酸ガスを送るガス経路にガス流量センサを備え、ガス流量センサから計測された炭酸ガスの累積流量からビール樽内のビールの残量を算出し、算出されたビール樽内のビールの残量を表示部により表示する技術があった。
【0009】
しかしながら、従来の技術では、ガス流量センサでガス流量を計測してビール残量を算出する場合、飲料の注出量に対してその相当分のガスの供給は、飲料の注出完了後でも継続されるため、ビール残量は、圧力が安定化する定常状態までガス流量を計測する必要があり、飲料の注入後直ちに残量を算出することができなかった。また、飲料ボトル内の飲料の残量によりガス供給の遅延時間も変化するためガス計測時間が一定ではなく、残量の算出時間にばらつきが生じてしまうという課題を発明者らは発見し、その課題を解決するために、本開示の主題を構成するに至った。
そこで本開示は、飲料の注出完了後に直ちに飲料の残量を算出することができる飲料供給装置を提供する。
【0010】
以下、図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明、または、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が必要以上に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
【0011】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1は、実施の形態1における飲料供給装置を示す全体斜視図である。
図2は、実施の形態1におけるボトル収容部材を示す斜視図である。
図3(a),(b),(c)は、実施の形態1におけるボトル収容部材を示す側面断面図である。
なお、本実施の形態においては、飲料供給装置として、ビールサーバーに適用した場合の態様について説明する。
【0012】
[1-1.構成]
[1-1-1.飲料供給装置の構成]
図1および
図2に示すように、飲料供給装置1は、箱型の筐体10を備えている。筐体10の前面には、注出手段としての飲料を注出するための注出口11と、注出口11から飲料の注出操作を行う注出レバー12が左右に2つ並べて取付けられている。
筐体10の前面には、表示部15が設けられている。表示部15は、例えば、液晶表示装置などで構成されている。
【0013】
筐体10の内部には、図示しない冷凍サイクル回路が内蔵されており、筐体10の内部を所定の温度に冷却可能とされている。
筐体10の内部には、左右方向一側に位置する第1容器収容部材20と、左右方向他側に位置する第2容器収容部材21とが収容されている。
図2では上下に図示している。
第1容器収容部材20および第2容器収容部材21は、略円筒状に形成されており、それぞれ、例えば、ビールが収容された飲料容器22が収容されるように構成されている。
【0014】
そして、収容された飲料容器22のキャップを取り外し飲料供給装置1の注出アダプタ13を装着する。
注出アダプタ13は、注出コックの注出口11と、飲料容器22の内部の飲料とを連通する注出チューブ(図示せず)を備えている。また、注出アダプタ13は、筐体10内に設置されたガスボンベ14に接続され、飲料容器22の内部に炭酸ガスなどのガスを供給するガスチューブ16を備えている。
そして、注出レバー12を操作することで、ガス供給源としてのガスボンベ14からガスを飲料容器22の内部に送り、その圧力で、注出チューブを介して注出口11から飲料を注出するように構成されている。
【0015】
ガスチューブ16の中途部には、第1容器収容部材20および第2容器収容部材21に送られるガス流量を計測するガス流量計測手段としての2つのガス流量センサ17が設置されている。
また、ガスチューブ16の中途部には、ガスの逆流を防止するための逆止弁18が設けられている。
【0016】
図3に示すように、上方の第1容器収容部材20の外面には、容器検知手段としての第1容器検知スイッチ23および第2容器検知スイッチ24が設けられている。第1容器検知スイッチ23および第2容器検知スイッチ24は、第1容器収容部材20の軸方向に沿って所定間隔をもって配置されている。
同様に、下方の第2容器収容部材21の外面には、容器検知手段としての第3容器検知スイッチ25および第4容器検知スイッチ26が設けられている。第3容器検知スイッチ25および第4容器検知スイッチ26は、第2容器収容部材21の軸方向に沿って所定間隔をもって配置されている。
【0017】
第1容器検知スイッチ23は、第1容器収容部材20の内部に突出し第1容器収容部材20の外側に移動自在とされた検知片27を備えている。
第1容器検知スイッチ23は、検知片27が第1容器収容部材20の内部に突出した状態で、OFFとなり、検知片27が第1容器収容部材20の外側に引き込んだ状態で、ONとなる。
すなわち、第1容器収容部材20に飲料容器22が収容されていない状態では、第1検出スイッチがOFFとなり、飲料容器22が収容された状態ではONとなるように構成されている。
第2容器検知スイッチ24、第3容器検知スイッチ25および第4容器検知スイッチ26についても、第1容器検知スイッチ23と同様の構成となっている。
【0018】
第1容器収容部材20および第2容器収容部材21には、異なる容量の飲料容器22が収容可能となっている。本実施の形態においては、3L容量の飲料容器22と1L容量の飲料容器22が用いられる。
第1容器収容部材20の内部に飲料容器22が収容されていない状態では、
図3(a)に示すように、第1容器検知スイッチ23の検知片27および第2検出スイッチの検知片27がそれぞれ第1容器収容部材20の内側に位置しており、第1容器検知スイッチ23および第2容器検知スイッチ24は、OFFとなっている。
【0019】
そして、3L容量の飲料容器22が第1容器収容部材20に収容された場合には、
図3(b)に示すように、第1容器検知スイッチ23および第2容器検知スイッチ24の検知片27が容器により揺動されONとなる。
また、1L容量の飲料容器22が第1容器収容部材20に収容された場合には、
図3(c)に示すように、第1容器検知スイッチ23はONとなるが、第2容器検知スイッチ24はOFF状態となる。
このように、第1容器検知スイッチ23および第2容器検知スイッチ24の検知片27がそれぞれONかOFFかを判断することにより、第1収容部材に収容された容器の容量を判断することが可能となる。
【0020】
[1-1-2:制御構成]
次に、制御構成について説明する。
図4は、飲料供給装置1の制御構成を示すブロック図である。
図4に示すように、飲料供給装置1は、制御部30を備えている。
制御部30は、CPUやMPU等のプログラムを実行するプロセッサにより構成されており、所定の演算処理を行うとともに、記憶部31を備えている。制御部30は、プロセッサが、記憶部31に記憶されたプログラムを読み出して処理を実行するように、ハードウェア及びソフトウェアの協働により各種処理や演算を実行する。
記憶部31は、プロセッサが実行するプログラムや、プロセッサにより処理されるデータを記憶する記憶領域を有する。
制御部30には、ガス流量センサによる検出値、第1容器検知スイッチ23、第2容器検知スイッチ24、第3容器検知スイッチ25および第4容器検知スイッチ26の検出値が送られる。
また、制御部30には、表示部15が接続されている。表示部15は、制御部30により演算された結果である飲料容器22の残量を表示する。
【0021】
制御部30は、ガス流量センサ17によりガス流量を計測するガス流量計測処理を行う。
図5は、飲料容器22にガスを送り飲料の注出開始した時からのガス流量と時間との関係を示すグラフである。
ガス流量が所定の閾値S1を超えたら、ガス流量の積算流量(L=L+dL)を計測する。ここで、Lは、積算流量(注出毎)、dLは、単位時間当たり流量である。
なお、閾値S1を超えたらガス流量の計測を開始し、ガス流量が閾値S2より低下したらガス流量の計測を終了する。ここで、閾値S1は、閾値S2より大きい値に設定される。
【0022】
図5に示すように、ガス流量は、飲料の注出開始から増加し、注出停止時点からガス流量は下がり始める。本実施の形態においては、ガス流量の積算流量Lは、ガス流量がピークとなった時から、10%程度低下した時、すなわち、ピークのガス流量の90%となるまで行われ、この領域を計測部Aとする。
制御部30は、ピークの90%となるまでのガス流量の積算流量Lを記憶部31に記憶しておく。
【0023】
次に、制御部30は、ガスの推定流量の演算処理を行う。
計測部Aと推測部Bの比率は、飲量容器の残量に相関がある。
図6(a),(b),(c)は、実施の形態1における飲料の残量ごとのガス流量と時間との関係を示すグラフである。
図6(a)は、飲料容器22の残量が3Lの場合のガス流量と時間との関係を示している。
図6(b)は、飲料容器22の残量が1.8Lの場合のガス流量と時間との関係を示している。
図6(c)は、飲料容器22の残量が0.3Lの場合のガス流量と時間との関係を示している。
これら各図に示すように、ガス流量は、飲料容器22の残量と相関関係があることがわかる。なお、これらガス流量と飲料容器22の残量との相関関係については、飲料容器22の容量が1Lの場合についても同様に求めておく。
【0024】
ここで、積算流量(A+B)=AC とおくと、
換算係数(C)=(A+B)/A となる。
この換算係数は、実験により飲料容器22の残量に基づいてあらかじめ求めておく。
図7は、実験により求めた換算係数と飲料容器22の残量との関係を示すグラフである。
図7に示すように、換算係数Cは、飲料容器22の残量との間に、一定の相関関係があることがわかる。このグラフに基づいて相関演算式を求め、この換算係数Cの相関演算式を記憶部31に記憶させておく。なお、換算係数Cと飲料容器22の残量との相関関係については、飲料容器22の容量が1Lの場合についても同様に求めておく。
【0025】
制御部30は、今回のガス流量の計測前における前回演算した飲料容器22の残量に基づいて、換算係数Cを決定する。
制御部30は、計測部Aにおけるガス流量の積算流量Lと、決定した換算係数Cに基づいて、推測部Bの積算流量Lgを演算する。
Lg=L・f(c)
【0026】
本実施の形態においては、計測部Aにおけるガス流量の積算流量Lを計測し、換算係数Cを用いて演算することで、推定部にBにおけるガス流量の積算流量を求めることができる。
すなわち、計測部Aにおけるガス流量の積算流量Lを計測することで、直ちに、推測部Bを含めた全体の積算ガス流量を求めることができる。
【0027】
制御部30は、推測部Bの積算流量Lgに基づいて、飲料容器22の飲料注出量を演算する。
Lgo=K・Lg
【0028】
この場合に、積算流量Lgを求めるガスの種類によって異なる飲料流量換算係数Kを用いて飲料注出量Lgoを求める。
これにより、飲料注出量Lgoがわかるので、制御部30は、表示部15に飲料容器22の残量表示を行う。
ここで、飲料流量換算係数Kは、異種ガスの比熱・密度の違いから単位熱量当たりの体積比を算出しデータ処理する。これにより、例えば、N2測定用のフローセンサのみが設置されており、飲料注出に使用するガスがCO2の場合でも、CO2用のセンサを用いることなく、演算で積算流量を求めることができ、製造コストの低減を図ることができる。
【0029】
一方、制御部30は、ガス流量の積算流量の計測を継続し、ガス流量が閾値S2より低くなった場合には、ガス流量に基づいてガスの総流量Lt2を演算する。
すなわち、制御部30は、今までの総流量Lt1に演算された積算流量Lを加算し、現在の総流量Lt2を求める。
Ltn=Ltn+L
この現在の総流量に基づいて、飲料容器22の飲料の流量を演算し、日時情報、総流量ととともに記憶部31に記憶する。
【0030】
[1-2.作用]
次に、前記飲料供給装置による飲料残量演算方法について説明する。
図8は、実施の形態1の飲料容器判断動作を示すフローチャートである。
図8に示すように、制御部30は、第1収容部材の判断を行う(SA1)。第1容器検知スイッチ23がONであり(SA2:YES)、第2容器検知スイッチ24がONの場合(SA3:YES)、3Lの飲料容器22が収容されたと判断する(SA4)。
一方、第2容器検知スイッチ24がOFFの場合は(SA3:NO)、1Lの飲料容器22が収容されたと判断する(SA5)。
第1容器検知スイッチ23および第2容器検知スイッチ24がいずれもOFFの場合(SA2,3:NO)、飲料容器22が収容されていないと判断する(SA6)。
【0031】
同様に、第2収容部材についても判断する(SA7)。第3容器検知スイッチ25がONであり(SA8:YES)、第4容器検知スイッチ26がONの場合(SA9:YES)、3Lの飲料容器22が収容されたと判断する(SA4)。
一方、第4容器検知スイッチ26がOFFの場合は(SA9:NO)、1Lの飲料容器22が収容されたと判断する(SA5)。
第3容器検知スイッチ25および第4容器検知スイッチ26がいずれもOFFの場合(SA8,9:NO)、飲料容器22が収容されていないと判断する(SA6)。
【0032】
図9は、実施の形態1の演算動作を示すフローチャートである。
制御部30は、飲料の注出が開始されると、ガス流量センサ17によりガス流量を計測するガス流量計測処理を行う(SB1)。
ガス流量が所定の閾値S1を超えたら(SB2)、飲料の注出開始か否か判断し(SB3)、注出が開始されたと判断した場合は(SB3:YES)、計測する積算流量をリセットする(SB4)。
制御部30は、ガス流量の積算流量Lを計測する(SB5)。
【0033】
制御部30は、ガス流量がピーク時の90%より低くなった場合(SB6)、ガス推定流量演算処理を行う。
制御部30は、推定流量の演算が未処理と判断した場合(SB7:YES)、換算係数Cを決定し、計測部Aにおけるガス流量の積算流量Lと、決定した換算係数Cに基づいて、推測部Bの積算流量Lgを演算する(SB8)。
【0034】
制御部30は、推測部Bの積算流量Lgに基づいて、飲料容器22の飲料注出量を演算する飲料残量演算処理を行う(SB9)。
そして、飲料残量演算処理により飲料容器22の飲料残量が演算されたら、表示部15に飲料容器22の残量表示を行う。
制御部30は、前回の積算流量Lに演算された今回の積算流量dLを加算し、現在の積算流量Lとして記憶部31に記憶させる(SB10)。
【0035】
このようにガス推定流量演算処理を行うことで、飲料注出後、飲料容器22内へのガスの供給が完了されるのを待たずに飲料容器22の飲料残量を求めることができる。
一般に、飲料の注出時間が10~14秒程度の場合、ガス推定流量演算処理による飲料残量算出までの時間は14~15秒で概ねリアルタイムでの推測計測が可能となる。
これに対して、飲料注出後、飲料容器22内へのガスの供給が完了されるまでガス流量を計測して飲料の残量を求めると、30~120秒程度かかってしまい、本実施の形態の方が短時間で飲料残量を求めることができることがわかる。
【0036】
そして、制御部30は、飲料容器22の飲料残量を求めた場合には、表示部15に飲料の残量を表示させる(SB11)。
【0037】
一方、制御部30は、ガス流量の積算流量の計測を継続し、ガス流量が閾値S2より低くなった場合には(SB12:NO)、ガス流量に基づいてガスの総流量Lt2を演算する。
すなわち、制御部30は、今までの総流量Lt1に演算された積算流量Lを加算し、現在の総流量Lt2を求める(SB13)。
Ltn=Ltn+L
この現在の総流量に基づいて、飲料容器22の飲料の流量を演算し、日時情報、総流量ととともに記憶部31に記憶する。
【0038】
[1-3.効果等]
以上述べたように、本実施の形態においては、ガスボンベ14(ガス供給源)から飲料容器22に送られるガス流量を計測するガス流量センサ17(ガス流量計測手段)を備え、飲料を注出させる際にガス流量センサ17にて注出開始から概ね注出完了するまでの間のガス流量の積算流量を計測するガス流量計測処理と、あらかじめ求めたガス流量と飲料残量との相関関係に基づいて、飲料容器22内にガスが供給完了されるまでの推定ガス流量を推定するガス推定流量演算処理と、ガス流量計測処理およびガス推定流量演算処理の結果に基づいて、飲料容器22の飲料残量を演算する飲料残量演算処理と、を行う制御部30を備えている。
これにより、制御部30によりガス推定流量演算処理を行うことで、飲料注出後、飲料容器22内へのガスの供給が完了されるのを待たずに飲料容器22の飲料残量を求めることができる。
【0039】
また、本実施の形態においては、飲料容器22の有無を検知する容器検知スイッチ(容器検知手段)を設けた。
これにより、容器検知スイッチにより飲料容器22の有無を検知することで、設定操作等を行うことなく、計測データのバックアップ・積算流量・残量の初期化を行い、新たに積算流量を累積して取得することができる。
【0040】
また、本実施の形態においては、容器検知スイッチ(容器検知手段)を複数設け、制御部30は、容量の異なる飲料容器22を判別する容器判別処理を行う。
これにより、個々の容器検知スイッチのON・OFF状態に基づいて、飲料容器22の容量を判断することができ、異なる容量の飲料容器22であっても飲料残量の演算が可能となる。
【0041】
また、本実施の形態においては、制御部30は、ガスボンベ14(ガス供給源)から飲料容器22に送られるガスの種類によってガス推定流量演算処理によるガスの推定流量を補正する。
これにより、異なる種類のガスの比熱・密度の違いから単位熱量当たりの体積比を算出して処理することができる。そのため、例えば、N2測定用のフローセンサのみが設置されており、飲料注出に使用するガスがCO2の場合でも、CO2用のセンサを用いることなく、演算で積算流量を求めることができ、製造コストの低減を図ることができる。
【0042】
[2-1:変形例]
次に、本開示の変形例について説明する。
実施の形態1では、ガス流量が所定の閾値S1を超えてからガス流量の積算流量を計測することで、ガス流量計測処理を行うようにしたが、ガス流量の積算流量を求める場合に、飲料注出開始時から一定のガス流量に至るまでのガス流量変化率を求めることで、ガス流量の積算流量を算出するようにしてもよい。
【0043】
図6(a),(b),(c)に太字で示すように、ガス流量の計測を開始したとき、飲料容器22の残量によってガス流量の変化の傾きが異なることがわかっている。
そのため、制御部30により、ガス流量変化率を求めることで、飲料容器22の残量との相関関係を利用して、飲料容器22の残量を推定する飲料残量演算処理を行うことができる。
【0044】
本変形例によれば、飲料容器22が新品で一杯に飲料が入っている場合ではなく、使用途中の飲料容器22を使用するような場合でも、ガス流量変化率により飲料容器22の残量を推定することが可能となる。
【0045】
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施の形態1および実施の形態2を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
以上のように、本発明に係る飲料供給装置は、飲料注出後、飲料容器内へのガスの供給が完了されるのを待たずに飲料容器の飲料残量を求めることができる飲料供給装置として好適に利用可能である。
【符号の説明】
【0047】
1 飲料供給装置
10 筐体
11 注出口
12 注出レバー
13 注出アダプタ
14 ガスボンベ
15 表示部
16 ガスチューブ
17 ガス流量センサ
20 第1容器収容部材
21 第2容器収容部材
22 飲料容器
23 第1容器検知スイッチ
24 第2容器検知スイッチ
25 第3容器検知スイッチ
26 第4容器検知スイッチ
27 検知片
30 制御部
31 記憶部