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  • 特開-多目的車両 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023154951
(43)【公開日】2023-10-20
(54)【発明の名称】多目的車両
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/32 20060101AFI20231013BHJP
【FI】
B60N2/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022064612
(22)【出願日】2022-04-08
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】中岡 裕貴
【テーマコード(参考)】
3B087
【Fターム(参考)】
3B087CA14
3B087CB19
3B087DC04
(57)【要約】
【課題】操縦者のみが搭乗したとき、搭乗席を活用して、操縦者が使用できる肘掛等を備える多目的車両を提供する。
【解決手段】走行機体と、走行機体を操向操作可能な操向操作具と、操向操作具を操縦する操縦者が着座可能な第一座席11と、第一座席11と横並び状態で設けられた第二座席12と、が備えられ、第二座席12は、走行機体の前後方向に沿って延び、第二座席12のうちの第一座席11側に設けられた揺動軸22の軸芯周りに揺動可能に設けられた座面部12aを有し、座面部12aが水平である第一状態と、座面部12aが直立している第二状態とに切替可能に構成されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行機体と、
前記走行機体を操向操作可能な操向操作具と、
前記操向操作具を操縦する操縦者が着座可能な第一座席と、
前記第一座席と横並び状態で設けられた第二座席と、が備えられ、
前記第二座席は、前記走行機体の前後方向に沿って延び、前記第二座席のうちの前記第一座席側に設けられた揺動軸の軸芯周りに揺動可能に設けられた座面部を有し、前記座面部が水平である第一状態と、前記座面部が直立している第二状態とに切替可能に構成されている多目的車両。
【請求項2】
前記座面部は、前記第二状態において、前記座面部の上側部分に位置し、被収容体を収容可能な収容部が設けられている請求項1に記載の多目的車両。
【請求項3】
前記収容部は、前記第二状態において、下方に凹入する凹入部を備える請求項2に記載の多目的車両。
【請求項4】
前記第二状態において、前記第一座席とは反対側に前記座面部と隣り合う状態で設けられ、載置物を載置可能な載置部を備える請求項1から3のいずれか一項に記載の多目的車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多目的車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一般的な多目的車両は、特許文献1に示すように、操縦者が着座する運転座席と、他の搭乗者が着座する搭乗席とが備えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-114341号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の多目的車両では、運転者が着座する運転座席の周りは、スペースが少なく、操縦者が使用する肘掛や操縦者が持ち込んだ飲料水の容器等を置くためのドリンクホルダーの取付けが困難であった。また、肘掛等を設けるためのスペースを確保するためには、車内レイアウトの変更等の設計変更が生じてしまうという不都合があった。
【0005】
一方で、操縦者のみが搭乗したとき、運転座席のみが使用され、搭乗席は活用されていないという課題も存在していた。
【0006】
そこで本発明は、上記課題に鑑み、操縦者のみが搭乗したとき、搭乗席を活用して、操縦者が使用できる肘掛等を備える多目的車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の多目的車両は、走行機体と、前記走行機体を操向操作可能な操向操作具と、前記操向操作具を操縦する操縦者が着座可能な第一座席と、前記第一座席と横並び状態で設けられた第二座席と、が備えられ、前記第二座席は、前記走行機体の前後方向に沿って延び、前記第二座席のうちの前記第一座席側に設けられた揺動軸の軸芯周りに揺動可能に設けられた座面部を有し、前記座面部が水平である第一状態と、前記座面部が直立している第二状態とに切替可能に構成されている。
【0008】
この発明によれば、第二座席を揺動軸の軸芯周りに揺動させると、第一座席の側で、第二座席の座面部が直立する状態となる。操縦者のみが搭乗したとき、第一座席に着座した操縦者は、直立した状態の第二座席の座面部を、肘掛として使用することができる。また、第二座席の座面部の姿勢を変更するだけで、第二座席を肘掛として活用することができることから、別途肘掛を車内に設けることによるレイアウト変更等の設計変更が生じない。
【0009】
本発明においては、前記座面部は、前記第二状態において、前記座面部の上側部分に位置し、被収容体を収容可能な収容部が設けられていると好適である。
【0010】
この構成によれば、第一座席に着座した操縦者は、直立した状態の第二座席の座面部の上側部分に設けられた収容部に、例えば操縦者が持ち込んだスマートフォン等の被収容体を収容することができる。
【0011】
本発明においては、前記収容部は、前記第二状態において、下方に凹入する凹入部を備えると好適である。
【0012】
この構成によれば、第一座席に着座した操縦者は、直立した状態の第二座席の座面部の上側部分に設けられた収容部に、例えば操縦者が持ち込んだ飲料水の容器等、転倒すると中身が漏れ出してしまうようなものを好適に収容することができる。
【0013】
本発明においては、前記第二状態において、前記第一座席とは反対側に前記座面部と隣り合う状態で設けられ、載置物を載置可能な載置部を備えると好適である。
【0014】
この構成によれば、第二座席の座面部を直立状態にしたことにより第一座席とは反対側に生じたスペースに、載置物を載置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】多目的車両の全体を示す側面図である。
図2】多目的車両の全体を示す平面図である。
図3】搭乗部の前面側からみた正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。尚、以下の説明においては、特に断りがない限り、図中の矢印Fの方向を「前」、矢印Bの方向を「後」として、矢印Lの方向を「左」、矢印Rの方向を「右」とする。また、図中の矢印Uの方向を「上」、矢印Dの方向を「下」とする。
【0017】
〔全体構成について〕
図1には、多目的車両を示している。多目的車両には、車体フレーム3を有する走行機体TBが備えられている。車体フレーム3の前部に、右及び左の前輪1が支持され、車体フレーム3の後部に、右及び左の後輪2が支持されている。走行機体TBにおいて、前輪1と後輪2との間に搭乗者が搭乗可能な搭乗部4が備えられており、搭乗部4の前方にフロントリッド5とフロントバンパー6とが備えられている。搭乗部4の後側に荷台7が備えられている。
【0018】
〔搭乗部の構成について〕
図2に示すように、搭乗部4は、走行機体TBが転倒した場合に搭乗者を保護するロプスフレーム10を左右位置に備える。左右のロプスフレーム10は、棒状部材を折曲げることにより成形され、搭乗部4の前部から後部に亘るように配置されている。ロプスフレーム10の上部の前後向き姿勢の領域に補強フレーム10aが連結されている。
【0019】
また、搭乗部4は、前輪1を操向操作することで、走行機体TBを操向操作可能に構成されているステアリングホイール13(操向操作具に相当する)と、ステアリングホイール13を操縦する操縦者が着座可能な運転座席11(第一座席に相当する)を備える。運転座席11は、搭乗部4の左側部分に配置されている。運転座席11の右方に、運転座席11に横並び状態で設けられ、操縦者以外の搭乗者が着座可能な搭乗席12(第二座席に相当する)が備えられている。運転座席11の座面部11aの右前方には、ミッションケース(図示せず)のギヤ変速装置を操作する変速レバー14が備えられている。
【0020】
〔姿勢変更機構の構成について〕
図2及び図3に示すとおり、搭乗席12は、搭乗席12の座面部12aが水平である第一状態と、座面部12aが直立している第二状態とに切替可能にするための姿勢変更機構20を備える。
【0021】
姿勢変更機構20は、矩形形状の板状部材からなる基台部21と、基台部21のうち左側の縁部分に設けられた軸支持部21aに支持され、走行機体TBの前後方向に沿って延びるように設けられた揺動軸22と、座面部12aの左側部分に設けられ、揺動軸22に揺動可能に支持される軸保持部23とを備える。
【0022】
基台部21は、支持部材15を介して車体フレーム3に支持されている。基台部21は、座面部12aの下方に位置し、平面視で座面部12aと重複するように構成されている。
【0023】
座面部12aは、軸保持部23を介して基台部21に支持されており、搭乗席12のうちの運転座席11側に設けられた揺動軸22の軸芯周りに揺動可能に構成されている。この構成により、座面部12aが水平である第一状態と、座面部12aが直立している第二状態とに切替可能に構成されている。座面部12aが第二状態になると、座面部12aは、運転座席11に隣り合う状態で直立する状態となる。なお、座面部12a第一状態のとき、搭乗席12の座面部12aは、運転座席11の座面部11aと横並び状態となり、運転座席11の座面部11aと同様に水平状態となる。
【0024】
座面部12aが第二状態になると、運転座席11とは反対側に座面部12aと隣り合う状態で基台部21の上面が出現する。このとき、基台部21は座面部12aと搭乗席12の背面部12bとに囲まれた状態となり、基台部21は、書類等の載置物を載置可能な載置部として構成されている。
【0025】
なお、ここでは詳細は説明しないが、姿勢変更機構20は、第一状態及び第二状態において、座面部12aが揺動しないように固定するロック機構を設けてもよい。
【0026】
〔収容部の構成について〕
座面部12aは、座面部12aが直立している第二状態において、座面部12aの上側部分に位置し、例えば筆記具等の被収容物を収容可能な収容部30を備える。
【0027】
図3に示すように、座面部12aが直立している第二状態において、収容部30は、座面部12aの上側面12aaとなる箇所に設けられている。なお、収容部30は、座面部12aが水平である第一状態においては、座面部12aの右側面に位置する箇所に位置する。収容部30には、第一状態において座面部12aの幅方向中央側に向けて凹入する凹入部31が備えられている。つまり、凹入部31は、座面部12aが直立している第二状態においては、座面部12aの上側部分に位置し、下方に凹入するように構成されている。
【0028】
図2に示すように、本実施形態では、凹入部31は、収容部30の前側部分に設けられ、開口部が円形に構成されている第一凹入部31aと、収容部30のうち第一凹入部31aよりも後側に設けられ、開口部が略矩形形状に構成されている第二凹入部31bとを備える。第一凹入部31aは、例えば操縦者等が持ち込んだ飲料水の容器等の被収容体の収容に用いることができ、第二凹入部31bは、例えば操縦者が持ち込んだスマートフォン等の被収容体の収容に用いることができる。
〔別実施形態〕
以下、上記実施形態に変更を加えた別実施形態を例示する。
【0029】
(1)上記実施形態では、座面部12aは、収容部30を備える構成を例に説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、座面部12aは、収容部30を備えない構成されていてもよい。
【0030】
(2)上記実施形態では、収容部30は、凹入部31を備える構成を例に説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、収容部30は、凹入部31を備えず、平面形状に構成されていてもよい。また、第一凹入部31a及び第二凹入部31bのいずれか一方を備える構成としてもよい。
【0031】
(3)上記実施形態では、揺動軸22は、基台部21に設けられている構成を例に説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、揺動軸22は、支持部材15に直接支持され、載置部を構成する基台部21を備えない構成としてもよい。このとき、搭乗部4の床のうち搭乗席12の下方に位置する箇所を載置部として構成してもよい。
【0032】
(4)上記実施形態では、基台部21は、矩形形状の板状部材からなる構成を例に説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、矩形形状以外の形状を有する部材から構成されていてもよい。
【0033】
(5)上記実施形態では、運転座席11は搭乗部4の左側部分に配置され、搭乗席12は搭乗部4の右側部分に配置された構成を例に説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、運転座席11は搭乗部4の右側部分に配置され、搭乗席12は搭乗部4の左側部分に配置されていてもよい。
【0034】
尚、上記の実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能である。また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は、人員の移動や荷物の運搬、レクリエーション等に使用される多目的車両に適用できる。
【符号の説明】
【0036】
TB 走行機体
11 運転座席(第一座席)
12 搭乗席(第二座席)
12a 座面部
13 ステアリングホイール(操向操作具)
21 基台部(載置部)
22 揺動軸
30 収容部
31 凹入部
図1
図2
図3