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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023154959
(43)【公開日】2023-10-20
(54)【発明の名称】作業機械
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/20 20060101AFI20231013BHJP
   B62D 1/12 20060101ALI20231013BHJP
   G05G 9/047 20060101ALI20231013BHJP
   G05G 1/01 20080401ALI20231013BHJP
【FI】
E02F9/20 K
B62D1/12
G05G9/047
G05G1/01 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022064633
(22)【出願日】2022-04-08
(71)【出願人】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 浩之
【テーマコード(参考)】
2D003
3D030
3J070
【Fターム(参考)】
2D003AA01
2D003AB07
2D003EA01
3D030DB95
3J070AA04
3J070BA35
3J070BA51
3J070CA47
3J070CB03
3J070CB37
3J070CC71
3J070DA03
3J070DA21
(57)【要約】
【課題】ステアリング操作装置の可動スペースを小さくできる作業機械を提供する。
【解決手段】ステアリング操作装置42は、ステアリングアクチュエータを動作させるためにオペレータによって操作される。ステアリング操作装置42は、ジョイスティック43と、第1電気レバー60とを含んでいる。ジョイスティック43は、オペレータの操作を受け付ける。第1電気レバー60は、第1本体部61と、第1本体部61に対し傾斜可能な第1レバー部62とを有している。第1電気レバー60は、第1本体部61に対する第1レバー部62の傾斜角度を出力する。ジョイスティック43と第1本体部61とは、一体的に動作する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リアフレームと、前記リアフレームに回動可能に連結されたフロントフレームとを有する、車体フレームと、
前記リアフレームに対する前記フロントフレームの角度を変更するステアリングアクチュエータと、
前記ステアリングアクチュエータを動作させるためにオペレータによって操作されるステアリング操作装置とを備え、
前記ステアリング操作装置は、
オペレータの操作を受け付けるジョイスティックと、
本体部と前記本体部に対し傾斜可能なレバー部とを有し、前記本体部に対する前記レバー部の傾斜角度を出力する、少なくとも1つの電気レバーと、を含み、
前記ジョイスティックと前記本体部とは一体的に動作する、作業機械。
【請求項2】
前記ジョイスティックは、オペレータが指で操作するスイッチ部を有し、
前記ステアリング操作装置は、前記スイッチ部に電気的に接続されて前記ジョイスティックの内部から外部へ延びる第1電線と、前記本体部に接続される一端を有する第2電線とをさらに含む、請求項1に記載の作業機械。
【請求項3】
前記ステアリング操作装置は、前記第1電線と前記第2電線とを束ねるクランプをさらに含む、請求項2に記載の作業機械。
【請求項4】
前記ステアリング操作装置は、前記ジョイスティックを相対移動可能に支持する支持部をさらに含み、
前記クランプは、オペレータによる前記ジョイスティックを傾ける操作に伴って前記ジョイスティックと一体的に前記支持部に対して相対移動する可動クランプと、前記支持部に固定される固定クランプとを有する、請求項3に記載の作業機械。
【請求項5】
前記第1電線の経路において、前記可動クランプは、前記固定クランプよりも前記ジョイスティックに近い位置で、前記第1電線と前記第2電線とを束ねる、請求項4に記載の作業機械。
【請求項6】
前記リアフレームに対する前記フロントフレームの現在の角度を機械的に前記ステアリング操作装置に伝達するリンクをさらに備え、
前記ステアリング操作装置は、前記リンクに連結され、前記リンクにより伝達された前記現在の角度を前記レバー部に入力する、入力部をさらに含む、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の作業機械。
【請求項7】
前記少なくとも1つの電気レバーは、複数の電気レバーを有し、
前記ジョイスティックと前記複数の電気レバーの複数の前記本体部とが一体的に動作する、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の作業機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、作業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2020-26230号公報(特許文献1)には、アーティキュレート式の作業車両を操作するステアリング装置が開示されている。ジョイスティックレバーは、ベース部材または支持部に対して回動可能に構成される。レバー角度センサは、支持部に対するジョイスティックレバーの角度を検出する。車体フレーム角度センサは、リアフレームに対するフロントフレームの回動角度を検出する。コントローラは、レバー角度センサの検出値と車体フレーム角度センサの検出値とに基づいて、電磁パイロットバルブを制御する。電磁パイロットバルブは、油圧バルブに供給するパイロット油圧を調整する。油圧バルブは、入力されるバイロット油圧に応じて、ステアリングシリンダに供給される油の流量を調整する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-26230号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
油圧バルブにパイロット油圧を供給するパイロット弁に替えて、ジョイスティックの操作を検出する電気レバーを備えるステアリング操作装置が考案されつつある。ジョイスティックの操作に応じた電気信号が電気レバーからコントローラに出力され、コントローラが、受信した電気信号に応じて、ステアリングアクチュエータを制御する。
【0005】
ステアリング操作装置に接続される電線が、ジョイスティックの操作によって変形することがある。この電線に対する可動スペースを設ける必要があり、ステアリング操作装置の小型化のために可動スペースを小さくすることが望まれている。
【0006】
本開示では、ステアリング操作装置の可動スペースを小さくできる、作業機械が提案される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に従った作業機械は、車体フレームと、ステアリングアクチュエータと、ステアリング操作装置とを備えている。車体フレームは、リアフレームと、リアフレームに回動可能に連結されたフロントフレームとを有している。ステアリングアクチュエータは、リアフレームに対するフロントフレームの角度を変更する。ステアリング操作装置は、ステアリングアクチュエータを動作させるためにオペレータによって操作される。ステアリング操作装置は、ジョイスティックと、少なくとも1つの電気レバーとを含んでいる。ジョイスティックは、オペレータの操作を受け付ける。電気レバーは、本体部と、本体部に対し傾斜可能なレバー部とを有している。電気レバーは、本体部に対するレバー部の傾斜角度を出力する。ジョイスティックと本体部とは一体的に動作する。
【発明の効果】
【0008】
本開示の作業機械によれば、ステアリング操作装置の可動スペースを小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に基づく作業機械の一例としてのホイールローダの側面図である。
図2】キャブ内の運転席周りの構造を示す斜視図である。
図3】屈曲状態のホイールローダを平面視した模式図である。
図4】現在の車体屈曲角度をステアリング操作装置に伝達するリンク機構を示す模式図である。
図5】ステアリング操作装置の構成を示す斜視図である。
図6】ジョイスティックを異なる角度から見た斜視図である。
図7】ステアリング操作装置の断面図である。
図8】ステアリング操作装置の平面図である。
図9】ジョイスティックが中立状態のステアリング操作装置を前方から見た図である。
図10】ジョイスティックを左方向に傾けた状態のステアリング操作装置を前方から見た図である。
図11】ジョイスティックを右方向に傾けた状態のステアリング操作装置を前方から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態について図に基づいて説明する。以下の説明では、同一部品には、同一の符号を付している。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0011】
<ホイールローダ1の全体構成>
実施形態においては、作業機械の一例としてホイールローダ1について説明する。図1は、実施形態に基づく作業機械の一例としてのホイールローダ1の側面図である。
【0012】
図1に示されるように、ホイールローダ1は、車体フレーム2と、作業機3と、走行装置と、キャブ5と、エンジンフード6を備えている。車体フレーム2、キャブ5などからホイールローダ1の車体(作業機械本体)が構成されている。ホイールローダ1の車体には、作業機3および走行装置が取り付けられている。
【0013】
走行装置は、ホイールローダ1の車体を走行させるものであり、走行輪4,7を含んでいる。ホイールローダ1は、車体の左右方向の両側に走行用回転体として走行輪4,7を備える装輪車両である。ホイールローダ1は、走行輪4,7が回転駆動されることにより自走可能であり、作業機3を用いて土砂の掘削積込作業などの所望の作業を行うことができる。
【0014】
本明細書中において、ホイールローダ1が直進走行する方向を、ホイールローダ1の前後方向という。ホイールローダ1の前後方向において、車体フレーム2に対して作業機3が配置されている側を前方向とし、前方向と反対側を後方向とする。ホイールローダ1の左右方向とは、平坦な地面上にあるホイールローダ1を平面視したときに前後方向と直交する方向である。前方向を見て左右方向の右側、左側が、それぞれ右方向、左方向である。ホイールローダ1の上下方向とは、前後方向および左右方向によって定められる平面に直交する方向である。上下方向において地面のある側が下側、空のある側が上側である。
【0015】
図面においては、図1中に両矢印で示されるX方向が前後方向である。XF方向が前方向であり、XR方向が後方向である。後述する図面において示されるY方向が左右方向である。YL方向が左方向であり、YR方向が右方向である。
【0016】
車体フレーム2は、フロントフレーム11とリアフレーム12とを含んでいる。フロントフレーム11は、リアフレーム12の前方に配置されている。フロントフレーム11は、リアフレーム12に対し屈曲動作可能に接続されている。フロントフレーム11は、連結軸部13により、リアフレーム12に回動可能に接続されている。リアフレーム12に対するフロントフレーム11の回動中心をなす連結軸部13は、上下方向に延びる軸である。連結軸部13は、左右方向における車体フレーム2の中央に設けられている。フロントフレーム11とリアフレーム12とにより、アーティキュレート構造の車体フレーム2が構成されている。ホイールローダ1は、フロントフレーム11とリアフレーム12とが連結されたアーティキュレート式の作業機械である。
【0017】
フロントフレーム11およびリアフレーム12は、ステアリングアクチュエータ21により連結されている。ステアリングアクチュエータ21は、フロントフレーム11とリアフレーム12とに亘って配置されている。ステアリングアクチュエータ21の基端は、リアフレーム12に取り付けられている。ステアリングアクチュエータ21の先端は、フロントフレーム11に取り付けられている。ステアリングアクチュエータ21は、左右一対に設けられている。ステアリングアクチュエータ21は、連結軸部13を挟んで左右方向の両側に並んで配置されている。
【0018】
ステアリングアクチュエータ21が伸縮駆動することによって、フロントフレーム11は、連結軸部13を中心に、リアフレーム12に対して左右に動作する。ステアリングアクチュエータ21は、たとえば油圧アクチュエータである。ステアリングアクチュエータ21は、たとえば油圧シリンダである。ステアリングアクチュエータ21は、フロントフレーム11をリアフレーム12に対して回動させる。ステアリングアクチュエータ21の伸縮により、リアフレーム12に対するフロントフレーム11の屈曲の角度が変更される。
【0019】
フロントフレーム11には、作業機3および左右一対の走行輪(前輪)4が取り付けられている。作業機3は、車体の前方に配設されており、ホイールローダ1の車体によって支持されている。作業機3は、ブーム14と、バケット15とを含んでいる。バケット15は、作業機3の先端に配置されている。バケット15は、掘削・積込用の作業具である。
【0020】
作業機3は、ブームシリンダ16を含んでいる。フロントフレーム11とブーム14とは、一対のブームシリンダ16により連結されている。ブームシリンダ16の基端は、フロントフレーム11に取り付けられている。ブームシリンダ16の先端は、ブーム14に取り付けられている。ブームシリンダ16は、ブーム14をフロントフレーム11に対し上下に動作させる油圧アクチュエータである。ブーム14の昇降に伴って、ブーム14の先端に取り付けられたバケット15も昇降する。
【0021】
作業機3は、ベルクランク18と、連結リンク19と、バケットシリンダ17をさらに含んでいる。ベルクランク18は、ブーム14のほぼ中央に、ブーム14に回転自在に支持されている。バケットシリンダ17は、ベルクランク18とフロントフレーム11とを連結している。連結リンク19は、ベルクランク18の先端部に連結されている。連結リンク19は、ベルクランク18とバケット15とを連結している。
【0022】
バケットシリンダ17の基端は、フロントフレーム11に取り付けられている。バケットシリンダ17の先端は、ベルクランク18の基端部に取り付けられている。バケットシリンダ17は、バケット15をブーム14に対し上下に動作させる油圧アクチュエータである。バケットシリンダ17は、バケット15を駆動する作業具シリンダである。バケット15は、ブーム14に対し動作可能に構成されている。バケット15は、フロントフレーム11に対し動作可能に構成されている。
【0023】
リアフレーム12には、エンジンフード6、オペレータが搭乗するキャブ5、および左右一対の走行輪(後輪)7が取り付けられている。エンジンフード6は、キャブ5の後方に設けられている。エンジンフード6内には、作動油タンク、エンジン、油圧ポンプおよびエアクリーナなどが収容されている。
【0024】
箱状のキャブ5は、作業機3の後方に配置されている。キャブ5は、車体フレーム2上に載置されている。キャブ5は、リアフレーム12上に搭載されている。キャブ5は、オペレータが搭乗する室内空間を区画形成している。キャブ5の左側面には、オペレータがキャブ5に入退室する時に開閉されるドアが設けられている。
【0025】
図2は、キャブ5内の運転席31周りの構造を示す斜視図である。キャブ5内には、オペレータが着座する運転席31、およびオペレータによってホイールローダ1を動作させるために操作される操作装置、などが配置されている。運転席31は、キャブ5が区画形成する室内空間に設けられている。オペレータは、キャブ5において、運転席31に着座してホイールローダ1を操作する。図2に示されるように、運転席31は、シートクッション33と、シートバック32と、ヘッドレスト34と、サスペンション機構部35とを有している。
【0026】
シートクッション33は、水平方向に横たわって設けられている。シートクッション33は、オペレータが腰をおろすシート部位である。シートバック32は、シートクッション33の後端部から上方に立ち上がるように設けられている。シートバック32は、オペレータの背もたれとなるシート部位である。ヘッドレスト34は、シートバック32の上端部に取り付けられている。ヘッドレスト34は、オペレータの頭を支えるシート部位である。
【0027】
サスペンション機構部35は、上下方向において、キャブ5の床面と、シートクッション33との間に設けられている。サスペンション機構部35は、シートクッション33を弾性的に支持している。
【0028】
キャブ5の内部に、右アームレスト36と、右コンソール37とが配置されている。右アームレスト36と右コンソール37とは、運転席31の右側方に設けられている。右コンソール37には、作業機操作レバー38、およびダイヤル装置39などが設けられている。作業機操作レバー38は、作業機3の動作を制御するために操作される。ダイヤル装置39は、ホイールローダ1の走行を制御するために操作される。ダイヤル装置39は、ホイールローダ1が走行する車速の最大値を規定するために操作される車速制限ダイヤルであってもよい。
【0029】
キャブ5の内部に、左アームレスト40と、左コンソール41とが配置されている。左アームレスト40と左コンソール41とは、運転席31の左側方に設けられている。左コンソール41は、左右方向において、運転席31とキャブ5のドアとの間に設けられている。右コンソール37および左コンソール41は、シートクッション33よりも上方に設けられている。右アームレスト36および左アームレスト40は、シートクッション33よりも上方に設けられている。右アームレスト36および左アームレスト40は、ウレタンフォームなどからなるクッション材を有しており、オペレータの肘掛けとして用いられる。
【0030】
左コンソール41は、左アームレスト40の前方に設けられている。左コンソール41には、ステアリング操作装置42が設けられている。ステアリング操作装置42は、キャブ5内に配置されている。ステアリング操作装置42は、運転席31の左側方に配置されている。ステアリング操作装置42は、フロントフレーム11とリアフレーム12とを回動動作させるために、キャブ5に搭乗したオペレータによって操作される。ステアリング操作装置42は、ステアリングアクチュエータ21を動作させるために、運転席31に着座したオペレータによって操作される。
【0031】
ステアリング操作装置42は、ジョイスティック43を含んでいる。ジョイスティック43は、左コンソール41の上面から上方に向けて突出している。ジョイスティック43は、レバー形状を有している。ジョイスティック43は、オペレータの操作を受け付ける。オペレータは、ジョイスティック43を左手で把持して左右に傾ける操作をすることで、リアフレーム12に対するフロントフレーム11の屈曲の角度を設定する。
【0032】
図3は、屈曲状態のホイールローダ1を平面視した模式図である。リアフレーム12に対するフロントフレーム11の屈曲は、フロントフレーム11とリアフレーム12とに連結されたステアリングアクチュエータ21を伸縮させることで行われる。図3に示される車体屈曲角度は、リアフレーム12に対してフロントフレーム11が屈曲する角度である。ホイールローダ1が直進状態のとき、車体屈曲角度は0度である。左右のステアリングアクチュエータ21のいずれか一方が伸長しいずれか他方が収縮することにより、車体屈曲角度が0度よりも大きい角度になる。図3に示されるリアフレーム12に対するフロントフレーム11の屈曲は、右のステアリングアクチュエータ21が伸長し左のステアリングアクチュエータ21が収縮することにより、実現される。
【0033】
図4は、現在の車体屈曲角度をステアリング操作装置42に伝達するリンク機構を示す模式図である。リンク機構は、第1リンク部材91と、第2リンク部材92とを含んでいる。
【0034】
第1リンク部材91および第2リンク部材92は、棒状の部材である。第2リンク部材92の前端は、フロントフレーム11に固定されているブラケットに、回転自在に連結されている。第2リンク部材92の後端と第1リンク部材91の前端とは、回転自在に連結されている。連結軸部13と、第2リンク部材92の前端と、第2リンク部材92の後端と、第1リンク部材91の後端とを結ぶ四角形は、平行四辺形であり、平行リンクが形成されている。機械的なリンク機構が、フロントフレーム11から、キャブ5の内部のステアリング操作装置42までつながっている。
【0035】
<ステアリング操作装置42の構成>
以下、実施形態のステアリング操作装置42の構成の詳細について説明する。図5は、ステアリング操作装置42の構成を示す斜視図である。図6は、ジョイスティック43を異なる角度から見た斜視図である。図7は、ステアリング操作装置42の断面図である。図8は、ステアリング操作装置42の平面図である。
【0036】
オペレータは、ジョイスティック43を左右方向(Y方向)に傾ける操作をする。ジョイスティック43を右方向(YR方向)に傾けることで、リアフレーム12に対してフロントフレーム11が右方へ傾くように車体フレーム2が屈曲する設定がなされる。ジョイスティック43を左方向(YL方向)に傾けることで、リアフレーム12に対してフロントフレーム11が左方へ傾くように車体フレーム2が屈曲する設定がなされる。ジョイスティック43の、中立状態からの傾きの角度に対応して、リアフレーム12に対するフロントフレーム11の角度が設定される。
【0037】
ジョイスティック43は、先端にノブ部44を有している。ノブ部44に、オペレータが指で操作するスイッチ部45が設けられている。スイッチ部45は、たとえば、警笛を鳴らすために押圧操作されるホーン操作ボタン46を含んでいる。スイッチ部45は、たとえば、ホイールローダ1の走行時のトランスミッション速度段を切り替えるために操作される速度段切替スイッチ47を含んでいる。速度段切替スイッチ47は、トランスミッション速度段をシフトアップするために押圧操作されるシフトアップボタン47Uと、トランスミッション速度段をシフトダウンするために押圧操作されるシフトダウンボタン47Dとを有している。スイッチ部45は、たとえば、ホイールローダ1の走行の前進、後進および中立を切り替えるために操作される前後進切替スイッチ48を含んでいる。
【0038】
ステアリング操作装置42は、ノブ電線49を含んでいる。ノブ電線49は、ジョイスティック43の内部から外部に延びている。ノブ電線49の一端は、スイッチ部45に電気的に接続されている。ノブ電線49は、第1電線の一例に対応する。
【0039】
ステアリング操作装置42は、支持部50を含んでいる。支持部50は、ジョイスティック43を、支持部50に対して相対移動可能に支持している。支持部50は、左コンソール41に取り付けられている。ジョイスティック43は、左コンソール41に対して回転する。支持部50には、固定クランプ58が固定されている。
【0040】
ステアリング操作装置42は、2つの電気レバー(ステアリングスイッチ)を含んでいる。具体的に、ステアリング操作装置42は、第1電気レバー60と、第2電気レバー65とを含んでいる。
【0041】
第1電気レバー60は、第1本体部61と、第1本体部61に対して傾斜可能な第1レバー部62とを含んでいる。第1レバー部62は、第1本体部61から突き出る第1芯部63Cと、第1芯部63Cの周囲を取り囲む第1スペーサ63Sとを有している。第1本体部61には、第1レバー電線64の一端が接続されている。第1レバー電線64は、第2電線の一例に対応する。第1電気レバー60は、第1本体部61に対する第1レバー部62の傾斜角度を検出するセンサを有している。第1電気レバー60は、第1本体部61に対する第1レバー部62の傾斜角度を示す電気信号を、第1レバー電線64を介して外部に出力する。
【0042】
第2電気レバー65は、第2本体部66と、第2本体部66に対して傾斜可能な第2レバー部67とを含んでいる。第2レバー部67は、第2本体部66から突き出る第2芯部68Cと、第2芯部68Cの周囲を取り囲む第2スペーサ68Sとを有している。第2本体部66には、第2レバー電線69の一端が接続されている。第2レバー電線65は、第2電線の一例に対応する。第2電気レバー65は、第2本体部66に対する第2レバー部67の傾斜角度を検出するセンサを有している。第2電気レバー65は、第2本体部66に対する第2レバー部67の傾斜角度を示す電気信号を、第2レバー電線69を介して外部に出力する。
【0043】
第1芯部63Cおよび第2芯部68Cは、たとえば金属材料製である。第1スペーサ63Sおよび第2スペーサ68Sは、たとえば金属材料製である。
【0044】
ステアリング操作装置42は、可動部70を含んでいる。可動部70は、オペレータによるジョイスティック43を傾ける操作に伴って、ジョイスティック43と一体的に、支持部50に対して相対移動する。可動部70は、ベース部71、フランジ部72、スリーブ部73、保持部74、および可動クランプ78を主に有している。
【0045】
ベース部71には、第1コネクタ75が設けられている。第1レバー電線64は、第1コネクタ75に接続されている。ベース部71には、第2コネクタ76が設けられている。第2レバー電線69は、第2コネクタ76に接続されている。
【0046】
保持部74は、第1電気レバー60の第1本体部61と、第2電気レバー65の第2本体部66とを保持している。第1電気レバー60の第1本体部61と第2電気レバー65の第2本体部66とは、可動部70と一体的に動作する。したがって、第1本体部61と第2本体部66とは、オペレータがジョイスティック43を傾ける動作に伴って、ジョイスティック43と一体的に動作する。第1本体部61と第2本体部66とは、左コンソール41に対して回転する。
【0047】
第1レバー電線64と第2レバー電線69とは、電線スリーブ79内に挿通されており、電線スリーブ79内を通って配線されている。可動クランプ78は、ノブ電線49と、電線スリーブ79とを束ねている。可動クランプ78は、ノブ電線49と、第1レバー電線64と、第2レバー電線69とを束ねている。固定クランプ58も同様に、ノブ電線49と電線スリーブ79とを束ねており、ノブ電線49と第1レバー電線64と第2レバー電線69とを束ねている。
【0048】
ノブ電線49の経路において、可動クランプ78は、固定クランプ58よりもジョイスティック43に近い位置で、ノブ電線49、第1レバー電線64および第2レバー電線69を束ねている。第1レバー電線64の経路において、可動クランプ78は、固定クランプ58よりも第1電気レバー60に近い位置で、ノブ電線49、第1レバー電線64および第2レバー電線69を束ねている。第2レバー電線69の経路において、可動クランプ78は、固定クランプ58よりも第2電気レバー65に近い位置で、ノブ電線49、第1レバー電線64および第2レバー電線69を束ねている。
【0049】
フランジ部72は、ベース部71に固定されており、かつジョイスティック43の基端に固定されている。フランジ部72は板状の形状を有しており、図7に示されるように厚み方向に貫通する貫通孔が形成されている。フランジ部72の貫通孔内に、スリーブ部73、フレーム部80、および伝達部材96が配置されている。
【0050】
フレーム部80は、左コンソール41に取り付けられている。フレーム部80は、中空筒状の概略形状を有している。フレーム部80の内部に、円筒軸状の伝達部材96が挿通されている。内軸受82は、伝達部材96を、フレーム部80に対して回転可能に支持している。内軸受82の内輪が伝達部材96の外周面に取り付けられ、内軸受82の外輪がフレーム部80の内周面に取り付けられている。
【0051】
伝達部材96の一端(図7においては図中の右端)は、図4に示される第1リンク部材91に連結されている。フロントフレーム11から、第2リンク部材92、第1リンク部材91および伝達部材96を介してステアリング操作装置42にまでつながる、機械的なリンク機構が構成されている。このリンク機構を経由して、リアフレーム12に対するフロントフレーム11の現在の角度、すなわち、現在の車体屈曲角度(図3)が、フロントフレーム11から機械的にステアリング操作装置42に伝達される。伝達部材96は、リンクの一例に対応する。
【0052】
筒状のフレーム部80の外周側に、スリーブ部73が配置されている。外軸受81は、スリーブ部73を、フレーム部80に対して回転可能に支持している。外軸受81の内輪がフレーム部80の外周面に取り付けられ、外軸受81の外輪がスリーブ部73に取り付けられている。
【0053】
ジョイスティック43、フランジ部72、およびスリーブ部73は、一体的に動作するように構成されている。ジョイスティック43は、フレーム部80に対して回転可能である。伝達部材96は、フレーム部80に対して回転可能である。ジョイスティック43と伝達部材96とは、別個独立に、フレーム部80に対して回転可能である。フレーム部80に対するジョイスティック43の回転が、伝達部材96の動作に影響することがない。かつ、フレーム部80に対する伝達部材96の回転が、ジョイスティック43の動作に影響することがない。外軸受81は、ジョイスティック43を伝達部材96に対して相対回転可能に支持している。
【0054】
伝達部材96は、連結部100を貫通して配置されている。伝達部材96は、伝達部材96の他端(図7においては図中の左端)が入力部110に突き当たるように配置されている。ボルト97は、入力部110を貫通するとともに伝達部材96に固定されている。伝達部材96と入力部110とは、ボルト97で嵌め合わせられて一体に連結されている。ボルト98が入力部110と連結部100とを嵌め合わせており、これにより入力部110と伝達部材96との連結がより強固にされている。
【0055】
図7に示される断面視において、入力部110はL字状の形状を有している。L字状の入力部110は、上下方向(図7中の上下方向)に延びる第一辺と、前後方向(X方向。図7中の左右方向)に延びる第二辺とを有している。入力部110の第一辺が、ボルト97によって伝達部材96に連結されている。入力部110の第二辺には、2つの長孔111,112が形成されている。長孔111,112は、板状の入力部110を厚み方向に貫通して形成されている。図8を併せて参照して、長孔111,112は、前後方向(X方向)に延びている。長孔111,112は、オペレータがジョイスティック43を傾ける方向である左右方向(Y方向)と直交する方向に伸びている。
【0056】
第1電気レバー60の第1レバー部62は、長孔111内に配置されている。第2電気レバー65の第2レバー部67は、長孔112内に配置されている。ステアリング操作装置42は、2つの電気レバー(第1電気レバー60、第2電気レバー65)を有している。入力部110に、電気レバーと同数の2つの長孔111,112が形成されている。各々の電気レバーのレバー部が、異なる長孔内に配置されている。
【0057】
第1電気レバー60と第2電気レバー65とは、オペレータがジョイスティック43を傾ける方向である左右方向(Y方向)と直交する方向である、前後方向(X方向)に並んで配置されている。第1電気レバー60と、第2電気レバー65と、ジョイスティック43とは、前後方向(X方向)において、この順に並んで配置されている。第1電気レバー60および第2電気レバー65は、前後方向(X方向)において、ジョイスティック43から離れて配置されている。
【0058】
図8に示される上方からの平面視において、長孔111,112は、前後方向(X方向)に長手方向を有し、左右方向(Y方向)に短手方向を有する、細長い形状を有している。図8に示される長孔111,112の周縁は、閉曲線である。
【0059】
第1レバー部62(第1スペーサ63S)の外周面と長孔111の周縁との距離が、前後方向(X方向)において最大であり、左右方向(Y方向)において最小である。前後方向(X方向)における第1レバー部62(第1スペーサ63S)と長孔111の周縁との距離が、左右方向(Y方向)における第1レバー部62(第1スペーサ63S)と長孔111の周縁との距離よりも大きい。
【0060】
第2レバー部67(第2スペーサ68S)の外周面と長孔112の周縁との距離が、前後方向(X方向)において最大であり、左右方向(Y方向)において最小である。前後方向(X方向)における第2レバー部67(第2スペーサ68S)と長孔112の周縁との距離が、左右方向(Y方向)における第2レバー部67(第2スペーサ68S)と長孔112の周縁との距離よりも大きい。
【0061】
長孔111,112の周縁は、必ずしも閉曲線でなくてもよい。長孔111,112は、前後方向(X方向)に延びる細長い空隙であればよい。長孔111は、入力部110の縁部にまで延び、入力部110の縁部に開口していてもよい。長孔112は、入力部110の縁部にまで延び、入力部110の縁部に開口していてもよい。長孔111と長孔112とが、互いに連通していてもよい。
【0062】
第1レバー部62の第1スペーサ63Sは、中空筒状の形状を有している。第2レバー部67の第2スペーサ68Sは、中空筒状の形状を有している。第1スペーサ63Sと第2スペーサ68Sとは、上下方向に延びている。第1スペーサ63Sは、長孔111を貫通している。第2スペーサ68Sは、長孔112を貫通している。第1スペーサ63Sと第2スペーサ68Sとは、板状の入力部110を厚み方向に貫通している。第1スペーサ63Sと第2スペーサ68Sとの軸方向の長さは、板状の入力部110の厚みよりも大きくされている。
【0063】
<ホイールローダ1のステアリング動作>
以上説明したステアリング操作装置42を操作することにより、ホイールローダ1の車体屈曲角度(図3)を変更して、走行するホイールローダ1の進行方向を変える動作について、以下に説明する。
【0064】
運転席31に着座したオペレータが手元でジョイスティック43を左右に傾ける操作をすると、第1電気レバー60の第1本体部61および第2電気レバー65の第2本体部66が、ジョイスティック43と一体的に左右に傾く。
【0065】
一方、伝達部材96が、現在の車体屈曲角度に応じて、前後方向(X方向)を軸方向として回動する。伝達部材96に連結されている入力部110が、伝達部材96の回動に伴って、伝達部材96と一体的に左右に移動する。入力部110には、長孔111,112が形成されている。長孔111内に、第1レバー部62が配置されている。長孔112内に、第2レバー部67が配置されている。左右に移動する入力部110が、第1レバー部62および第2レバー部67を左右に押圧する。入力部110は、伝達部材96により伝達された現在の車体屈曲角度を、第1レバー部62および第2レバー部67に入力する。入力部110は、第1レバー部62を押圧することで、第1レバー部62が第1本体部61に対して傾斜する角度を変化させる。入力部110は、第2レバー部67を押圧することで、第2レバー部67が第2本体部66に対して傾斜する角度を変化させる。
【0066】
第1電気レバー60および第2電気レバー65に、ジョイスティック43の中立状態からの傾きの角度と、現在の車体屈曲角度との両方が、機械的に入力される。ジョイスティック43を中立状態から傾けることで、第1電気レバー60の第1本体部61および第2電気レバー65の第2本体部66がジョイスティック43と一体的に左右に動作して、第1本体部61に対する第1レバー部62の傾斜角度が変化し、第2本体部66に対する第2レバー部67の傾斜角度が変化する。現在の車体屈曲角度に従って、入力部110が第1電気レバー60の第1レバー部62および第2電気レバー65の第2レバー部67を左右に押圧して、第1本体部61に対する第1レバー部62の傾斜角度が変化し、第2本体部66に対する第2レバー部67の傾斜角度が変化する。
【0067】
ジョイスティック43の操作によるリアフレーム12に対するフロントフレーム11の設定角度と、ステアリング操作装置42にフィードバックされるリアフレーム12に対するフロントフレーム11の現在の角度とが異なる場合、第1レバー部62は第1本体部61に対して傾斜して配置され、第2レバー部67は第2本体部66に対して傾斜して配置される。第1本体部61に対する第1レバー部62の傾斜角度を示す電気信号が、第1レバー電線64を介して外部に出力される。第2本体部66に対する第2レバー部67の傾斜角度を示す電気信号が、第2レバー電線69を介して外部に出力される。
【0068】
図示しないコントローラに、これらの電気信号が入力される。コントローラは、入力された電気信号に応じて、フロントフレーム11のリアフレーム12に対する角度を指令する制御信号を生成する。コントローラは、この制御信号をステアリングアクチュエータ21に出力して、ステアリングアクチュエータ21を制御する。より詳細には、コントローラは、車体屈曲角度を、リアフレーム12に対するフロントフレーム11の設定角度に近づけるように、左右のステアリングアクチュエータ21を伸縮させる。
【0069】
たとえば、ホイールローダ1の直進走行中には、リアフレーム12に対するフロントフレーム11の角度はゼロ度であり、このとき入力部110は第1レバー部62および第2レバー部67を左右に傾斜させない。
【0070】
この状態から、オペレータがジョイスティック43を右に傾ける操作をすると、第1電気レバー60の第1本体部61および第2電気レバー65の第2本体部66がジョイスティック43と一体的に動作する。ジョイスティック43の操作に追従してステアリングアクチュエータ21が動作するには時間がかかるため、リアフレーム12に対するフロントフレーム11の角度はゼロ度のままである。ジョイスティック43の中立状態からの傾きの角度が、リアフレーム12に対するフロントフレーム11の現在の角度とリアフレーム12に対するフロントフレーム11の設定角度との角度差になる。ジョイスティック43の中立状態からの傾きの角度が、第1本体部61に対する第1レバー部62の傾斜角度になり、第2本体部66に対する第2レバー部67の傾斜角度になる。
【0071】
これらの傾斜角度を示す電気信号の入力を受けたコントローラは、左のステアリングアクチュエータ21を伸長させるとともに右のステアリングアクチュエータ21を収縮させて、フロントフレーム11をリアフレーム12に対して右に屈曲させる。これにより、ホイールローダ1の車体屈曲角度が変更される。車体屈曲角度が、ゼロ度から増大して、リアフレーム12に対するフロントフレーム11の設定角度に近づく。
【0072】
現在の車体屈曲角度が、機械的なリンク機構を経由して、ステアリング操作装置42にフィードバックされる。フロントフレーム11がリアフレーム12に対して右に屈曲して、車体屈曲角度が変化すると、入力部110は第1レバー部62および第2レバー部67を押圧して、第1レバー部62および第2レバー部67を右に傾斜させる。第1本体部61に対する第1レバー部62の傾斜角度が減少し、第2本体部66に対する第2レバー部67の傾斜角度が減少する。
【0073】
車体屈曲角度が、リアフレーム12に対するフロントフレーム11の設定角度に等しくなるまで、ステアリングアクチュエータ21の伸縮量を調整する制御が行われる。
【0074】
車体屈曲角度が、リアフレーム12に対するフロントフレーム11の設定角度に等しくなると、第1レバー部62は第1本体部61に対して傾斜しなくなり、第2レバー部67は第2本体部66に対して傾斜しなくなる。第1電気レバー60から出力される第1本体部61に対する第1レバー部62の傾斜角度がゼロになり、第2電気レバー65から出力される第2本体部66に対する第2レバー部67の傾斜角度がゼロになる。これらの傾斜角度ゼロを示す電気信号の入力を受けたコントローラは、ステアリングアクチュエータ21の伸縮を停止させ、その時点でのステアリングアクチュエータ21の伸縮量を維持する。これにより、リアフレーム12に対するフロントフレーム11の屈曲動作が止まり、車体屈曲角度が設定角度に保たれる。
【0075】
図9は、ジョイスティック43が中立状態のステアリング操作装置42を前方から見た図である。図10は、ジョイスティック43を左方向(YL方向)に傾けた状態のステアリング操作装置42を前方から見た図である。図11は、ジョイスティック43を右方向(YR方向)に傾けた状態のステアリング操作装置42を前方から見た図である。
【0076】
ジョイスティック43は、オペレータの操作によって、左右に傾けられる。支持部50は、左コンソール41に固定されているので、ジョイスティック43が傾けられても移動しない。ジョイスティック43は、支持部50に対して相対移動する。第1電気レバー60の第1本体部61、および第2電気レバー65の第2本体部66が、ジョイスティック43と一体的に動作する。
【0077】
ノブ電線49は、ジョイスティック43の先端のノブ部44に設けられたスイッチ部45(図6)に電気的に接続されて、ジョイスティック43の内部から外部へ延びている。ノブ電線49は、ジョイスティック43が左右に傾く動作に伴って、支持部50に対して相対移動する。電線スリーブ79には、第1電気レバー60の第1本体部61に接続される第1レバー電線64と、第2電気レバー65の第2本体部66に接続される第2レバー電線69とが収容されている。第1レバー電線64は、第1本体部61の左右への動作に伴って、支持部50に対して相対移動する。第2レバー電線69は、第2本体部66の左右への動作に伴って、支持部50に対して相対移動する。
【0078】
ジョイスティック43と第1本体部61および第2本体部66とが、一体的に動作する構成とされている。ジョイスティック43に接続されるノブ電線49、第1本体部61に接続される第1レバー電線64、および第2本体部66に接続される第2レバー電線69が、同じ運動系になる。図9図11に示されるように、ノブ電線49と第1レバー電線64および第2レバー電線69とが、同じ動きをするようになる。
【0079】
ノブ電線49、第1レバー電線64および第2レバー電線69の、固定クランプ58により束ねられる箇所と、可動クランプ78により束ねられる箇所との間の部位が、大きく左右に動く。ノブ電線49、第1レバー電線64および第2レバー電線69の、その他の部位の動きは比較的小さい。ノブ電線49、第1レバー電線64および第2レバー電線69の動きに対して確保すべき可動スペースを、固定クランプ58により束ねられる箇所と可動クランプ78により束ねられる箇所との間の部位の動きに対応できるものとすればよくなる。これにより、可動スペースを小さくすることが可能になる。
【0080】
<作用および効果>
上述した説明と一部重複する記載もあるが、本実施形態の作業機械の特徴的な構成および作用効果についてまとめて記載すると、以下の通りである。
【0081】
図5,7~8に示されるように、ステアリング操作装置42は、ジョイスティック43と、第1電気レバー60とを含んでいる。ジョイスティック43は、ホイールローダ1のリアフレーム12に対するフロントフレーム11の角度を設定するための、オペレータの操作を受け付ける。第1電気レバー60は、第1本体部61と、第1本体部61に対し傾斜可能な第1レバー部62とを有している。第1電気レバー60は、第1本体部61に対する第1レバー部62の傾斜角度を出力する。ジョイスティック43と第1本体部61とは、一体的に動作する。
【0082】
ジョイスティック43と第1本体部61とが別々の動きをすると、この別々の動きに対する2つの可動スペースが必要になり、確保すべき可動スペースが大きくなる。ジョイスティック43と第1本体部61とを一体的に動作させることで、可動スペースを1つにまとめることが可能になる。したがって、ステアリング操作装置42の可動スペースを小さくすることができる。
【0083】
図6に示されるように、ジョイスティック43は、オペレータが指で操作するスイッチ部45を有している。図5~7に示されるように、ステアリング操作装置42は、スイッチ部45に電気的に接続されてジョイスティック43の内部から外部へ延びるノブ電線49と、第1電気レバー60の第1本体部61に接続される一端を有する第1レバー電線64とを含んでいる。ジョイスティック43と第1本体部61とを一体的に動作させることで、ノブ電線49と第1レバー電線64とを同じ運動系にできる。図9~11に示されるように、ノブ電線49と第1レバー電線64とに同じ動きをさせることができる。ノブ電線49と第1レバー電線64との動きに対する可動スペースを1つにまとめることができるので、ステアリング操作装置42の可動スペースを小さくすることができる。
【0084】
図5,9~11に示されるように、ステアリング操作装置42は、ノブ電線49と第1レバー電線64とを束ねるクランプを含んでいる。ノブ電線49と第1レバー電線64とが同じ運動系とされており同じ動きをするため、同じクランプ位置で、ノブ電線49と第1レバー電線64との両方を束ねることが可能になる。したがって、ステアリング操作装置42の構成を簡略にできる。
【0085】
図5,7~11に示されるように、ステアリング操作装置42は、ジョイスティック43を相対移動可能に支持する支持部50を含んでいる。図5,9~11に示されるように、ノブ電線49と第1レバー電線64とを束ねるクランプは、固定クランプ58と、可動クランプ78とを有している。固定クランプ58は、支持部50に固定されている。可動クランプ78は、オペレータによるジョイスティック43を傾ける操作に伴って、ジョイスティック43と一体的に支持部50に対して相対移動する。
【0086】
固定クランプ58がノブ電線49と第1レバー電線64とを束ねるとともに支持部50に固定し、固定クランプ58とは離れた位置で可動クランプ78がノブ電線49と第1レバー電線64とを束ねている。2箇所のクランプでノブ電線49と第1レバー電線64とをまとめることにより、ノブ電線49と第1レバー電線64との可動スペースを確実に1つにまとめることができる。
【0087】
図5,9~11に示されるように、ノブ電線49の経路において、可動クランプ78は、固定クランプ58よりもジョイスティック43に近い位置で、ノブ電線49と第1レバー電線64とを束ねている。このように固定クランプ58と可動クランプ78とを配置することにより、ノブ電線49と第1レバー電線64との動きに対する可動スペースが、可動クランプ78と固定クランプ58との間の部分に規定される。これにより、確保すべき可動スペースの位置を明確にできる。
【0088】
図7に示されるように、伝達部材96は、リアフレーム12に対するフロントフレーム11の現在の角度を機械的にステアリング操作装置42に伝達する。ステアリング操作装置42は、入力部110を含んでいる。入力部110は、伝達部材96に連結されている。入力部110は、伝達部材96により伝達された現在の車体屈曲角度を、第1電気レバー60の第1レバー部62に入力する。オペレータによるジョイスティック43の操作が第1本体部61に入力され、ホイールローダ1の車体の動きがフィードバックされて第1レバー部62に入力される。第1電気レバー60は、リアフレーム12に対するフロントフレーム11の角度の設定値と、現在の車体屈曲角度との角度差を出力できる。この角度差に基づいてステアリングアクチュエータ21を適切に制御することで、リアフレーム12に対するフロントフレーム11の角度を、容易に設定値に合わせることができる。
【0089】
図5,7~8に示されるように、ステアリング操作装置42は、第1電気レバー60と第2電気レバー65とを有している。ジョイスティック43と、第1電気レバー60の第1本体部61と、第2電気レバー65の第2本体部66とが一体的に動作する。ステアリング操作装置42が電気レバーを複数有し冗長化されているので、ステアリング操作装置42の信頼性が向上されている。複数の電気レバーの複数の本体部と、ジョイスティック43とを一体的に動作させることで、ステアリング操作装置42の可動スペースをより顕著に小さくすることができる。
【0090】
上記の実施形態の説明では、作業機械の一例としてホイールローダ1を挙げているが、アーティキュレート式のダンプトラック、モータグレーダなどの他の種類の作業機械にも適用可能である。
【0091】
<付記>
以上の説明は、以下に付記する特徴を含む。
【0092】
(付記1)
リアフレームと、前記リアフレームに回動可能に連結されたフロントフレームとを有する、車体フレームと、
前記リアフレームに対する前記フロントフレームの角度を変更するステアリングアクチュエータと、
前記ステアリングアクチュエータを動作させるためにオペレータによって操作されるステアリング操作装置とを備え、
前記ステアリング操作装置は、
オペレータの操作を受け付けるジョイスティックと、
本体部と前記本体部に対し傾斜可能なレバー部とを有し、前記本体部に対する前記レバー部の傾斜角度を出力する、少なくとも1つの電気レバーと、を含み、
前記ジョイスティックと前記本体部とは一体的に動作する、作業機械。
【0093】
(付記2)
前記ジョイスティックは、オペレータが指で操作するスイッチ部を有し、
前記ステアリング操作装置は、前記スイッチ部に電気的に接続されて前記ジョイスティックの内部から外部へ延びる第1電線と、前記本体部に接続される一端を有する第2電線とをさらに含む、付記1に記載の作業機械。
【0094】
(付記3)
前記ステアリング操作装置は、前記第1電線と前記第2電線とを束ねるクランプをさらに含む、付記2に記載の作業機械。
【0095】
(付記4)
前記ステアリング操作装置は、前記ジョイスティックを相対移動可能に支持する支持部をさらに含み、
前記クランプは、オペレータによる前記ジョイスティックを傾ける操作に伴って前記ジョイスティックと一体的に前記支持部に対して相対移動する可動クランプと、前記支持部に固定される固定クランプとを有する、付記3に記載の作業機械。
【0096】
(付記5)
前記第1電線の経路において、前記可動クランプは、前記固定クランプよりも前記ジョイスティックに近い位置で、前記第1電線と前記第2電線とを束ねる、付記4に記載の作業機械。
【0097】
(付記6)
前記リアフレームに対する前記フロントフレームの現在の角度を機械的に前記ステアリング操作装置に伝達するリンクをさらに備え、
前記ステアリング操作装置は、前記リンクに連結され、前記リンクにより伝達された前記現在の角度を前記レバー部に入力する、入力部をさらに含む、付記1から付記5のいずれか1つに記載の作業機械。
【0098】
(付記7)
前記少なくとも1つの電気レバーは、複数の電気レバーを有し、
前記ジョイスティックと前記複数の電気レバーの複数の前記本体部とが一体的に動作する、付記1から付記6のいずれか1つに記載の作業機械。
【0099】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0100】
1 ホイールローダ、2 車体フレーム、3 作業機、4,7 走行輪、5 キャブ、11 フロントフレーム、12 リアフレーム、13 連結軸部、14 ブーム、15 バケット、21 ステアリングシリンダ、31 運転席、40 左アームレスト、41 左コンソール、42 ステアリング操作装置、43 ジョイスティック、44 ノブ部、45 スイッチ部、46 ホーン操作ボタン、47 速度段切替スイッチ、47D シフトダウンボタン、47U シフトアップボタン、48 前後進切替スイッチ、49 ノブ電線、50 支持部、58 固定クランプ、60 第1電気レバー、61 第1本体部、62 第1レバー部、63C 第1芯部、63S 第1スペーサ、64 第1レバー電線、65 第2電気レバー、66 第2本体部、67 第2レバー部、68C 第2芯部、68S 第2スペーサ、69 第2レバー電線、70 可動部、71 ベース部、72 フランジ部、73 スリーブ部、74 保持部、75 第1コネクタ、76 第2コネクタ、78 可動クランプ、79 電線スリーブ、80 フレーム部、81 外軸受、82 内軸受、91 第1リンク部材、92 第2リンク部材、96 伝達部材、97,98 ボルト、100 連結部、110 入力部、111,112 長孔、X 前後方向、Y 左右方向。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11