(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023154976
(43)【公開日】2023-10-20
(54)【発明の名称】電気接続箱
(51)【国際特許分類】
H02G 3/16 20060101AFI20231013BHJP
H02G 3/14 20060101ALI20231013BHJP
H01R 13/52 20060101ALI20231013BHJP
H01R 13/46 20060101ALI20231013BHJP
H01H 85/02 20060101ALI20231013BHJP
H01H 85/20 20060101ALI20231013BHJP
B60R 16/02 20060101ALN20231013BHJP
【FI】
H02G3/16
H02G3/14
H01R13/52 B
H01R13/46 B
H01H85/02 C
H01H85/20 B
B60R16/02 610A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022064662
(22)【出願日】2022-04-08
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】李 虹辰
(72)【発明者】
【氏名】勝瀬 俊介
【テーマコード(参考)】
5E087
5G361
5G502
【Fターム(参考)】
5E087EE11
5E087FF12
5E087LL29
5E087MM05
5E087QQ04
5E087RR04
5G361AA06
5G361AC02
5G361AC04
5G361AD01
5G361BB01
5G361BC01
5G361BC02
5G502AA01
5G502CC51
5G502HH02
(57)【要約】
【課題】小型化を可能とした電気接続箱を提供する。
【解決手段】電気接続箱(20)は、電気部品(23)に接続される接続端子(33,34)を有するハウジング(21)と、ハウジング(21)に設けられて、接続端子(33,34)に接続される態様で電気部品(23)を収容可能に構成された第1収容部(32)と、ハウジング(21)に設けられて、接続端子(33,34)に接続されない態様で電気部品(24)を収容可能に構成されるとともに、ハウジング(21)の一面を覆うカバー部材(22)の係止片(72)を挿入した状態で係止可能に構成された第2収容部(50)と、を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気部品に接続される接続端子を有するハウジングと、
前記ハウジングに設けられて、前記接続端子に接続される態様で前記電気部品を収容可能に構成された第1収容部と、
前記ハウジングに設けられて、前記接続端子に接続されない態様で前記電気部品を収容可能に構成されるとともに、前記ハウジングの一面を覆うカバー部材の係止片を挿入した状態で係止可能に構成された第2収容部と、を有する電気接続箱。
【請求項2】
前記第2収容部は、前記ハウジングの外縁に位置している、請求項1に記載の電気接続箱。
【請求項3】
前記第1収容部および前記第2収容部は一列に並ぶ態様で配置されており、
前記第2収容部は、前記第1収容部を間に挟む態様で、前記ハウジングの外縁に一対設けられている、請求項1に記載の電気接続箱。
【請求項4】
前記係止片と前記第2収容部との係合によって前記ハウジングに係止される前記カバー部材を有し、
前記カバー部材は、前記電気部品を収容可能に構成された第3収容部を有する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の電気接続箱。
【請求項5】
前記第1収容部および前記第2収容部は第1方向において一列に並ぶ態様で配置されており、
前記カバー部材は、前記電気部品の取り外しに用いるプラー部材を前記第1方向に対して斜め方向に延びる態様で保持する保持部を有し、
前記第3収容部は、前記第1方向から見た場合と同第1方向に直交する方向から見た場合とにおいて共に前記プラー部材と重なる位置に設けられている、請求項4に記載の電気接続箱。
【請求項6】
前記第1収容部および前記第2収容部は第1方向において一列に並ぶ態様で配置されており、
前記カバー部材は、前記電気部品の取り外しに用いるプラー部材を前記第1方向に対して斜め方向に延びる態様で保持する保持部と、2つの前記第3収容部と、を有し、
前記2つの第3収容部の一方は、前記第1方向から見た場合と同第1方向に直交する方向から見た場合とにおいて共に前記プラー部材と重なる位置に、前記第1方向に延びる態様で設けられており、
前記2つの第3収容部の他方は、前記第1方向から見た場合において前記プラー部材と重なる位置であり且つ前記第1方向において前記一方の第3収容部よりも前記プラー部材から離れた位置に、前記第1方向に直交する方向に延びる態様で設けられている、請求項4に記載の電気接続箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電気接続箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車や二輪車などの車両において、リレーボックスやヒューズボックス、ジャンクションボックスなどの電気接続箱が用いられている。特許文献1の電気接続箱では、電気部品としてのヒューズがハウジング内に集中して配設されている。これにより、ヒューズの交換などのメンテナンス性の向上が図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両における搭載スペースを小さくするために電気接続箱には小型化が求められる。特許文献1に記載の電気接続箱では、ハウジング内に配置される電気部品の数によってある程度の大きさが決まってしまう。
【0005】
そこで、小型化を可能とした電気接続箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の電気接続箱は、電気部品に接続される接続端子を有するハウジングと、前記ハウジングに設けられて、前記接続端子に接続される態様で前記電気部品を収容可能に構成された第1収容部と、前記ハウジングに設けられて、前記接続端子に接続されない態様で前記電気部品を収容可能に構成されるとともに、前記ハウジングの一面を覆うカバー部材の係止片を挿入した状態で係止可能に構成された第2収容部と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、小型化を可能とした電気接続箱を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態の電気接続箱を斜め上側から見た斜視図である。
【
図2】
図2は、同形態の電気接続箱を斜め上側から見た分解斜視図である。
【
図3】
図3は、同形態の電気接続箱におけるハウジングの下面図である。
【
図4】
図4は、同形態の電気接続箱におけるハウジングの断面図(
図3中の4-4線断面図)である。
【
図5】
図5は、同形態の電気接続箱におけるハウジングの上面図である。
【
図6】
図6は、同形態の電気接続箱における第2収容部およびその周辺の上面図である。
【
図7】
図7は、同形態の電気接続箱における第2収容部の断面図(
図6中の7-7線断面図)である。
【
図8】
図8は、同形態の電気接続箱における第2収容部の断面図(
図6中の8-8線断面図)である。
【
図9】
図9は、同形態の電気接続箱におけるハウジングの側面図(
図5中の9矢視側面図)である。
【
図10】
図10は、同形態の電気接続箱における第2収容部および係止片の断面図(
図9中の10-10線断面図)である。
【
図11】
図11は、同形態の電気接続箱におけるカバー部材の下面図である。
【
図12】
図12は、同形態の電気接続箱における第3収容部を斜め下方から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施形態を列記して説明する。
本開示の電気接続箱は、
[1]電気部品に接続される接続端子を有するハウジングと、前記ハウジングに設けられて、前記接続端子に接続される態様で前記電気部品を収容可能に構成された第1収容部と、前記ハウジングに設けられて、前記接続端子に接続されない態様で前記電気部品を収容可能に構成されるとともに、前記ハウジングの一面を覆うカバー部材の係止片を挿入した状態で係止可能に構成された第2収容部と、を有する。
【0010】
この構成によれば、ハウジングにカバー部材が取り付けられない状態で使用される電気接続箱においては、第2収容部を、電気部品を収容する部分として利用することができる。そのため、カバー部材の係止片を挿入した状態で係止可能に構成される部分と、電気部品を収容可能に構成される部分とがハウジングに各別に設けられる電気接続箱と比較して、電気接続箱を小さくすることができる。
【0011】
[2]前記第2収容部は、前記ハウジングの外縁に位置している。
この構成によれば、接続端子に接続されて実際に使用される電気部品をハウジングの中央に配置するとともに、接続端子に接続されない予備の電気部品をハウジングの外縁に配置することができる。このように、実際に使用される電気部品と予備の電気部品とを分けて配置することができる。
【0012】
[3]前記第1収容部および前記第2収容部は一列に並ぶ態様で配置されており、前記第2収容部は、前記第1収容部を間に挟む態様で、前記ハウジングの外縁に一対設けられている。
【0013】
この構成によれば、予備の電気部品を少なくとも2つ有する場合に、2つの予備の電気部品をそれぞれハウジングの外縁に配置することができる。
[4]前記係止片と前記第2収容部との係合によって前記ハウジングに係止される前記カバー部材を有し、前記カバー部材は、前記電気部品を収容可能に構成された第3収容部を有する。
【0014】
この構成によれば、ハウジングにカバー部材が取り付けられた状態で使用される電気接続箱においては、第2収容部を、ハウジングに同カバー部材を係止する部分として利用することができる。そして、この場合には、第2収容部を電気部品の収容に利用することができなくなるとはいえ、その分の電気部品をカバー部材の第3収容部に収容することができる。このように、電気接続箱に収容することのできる電気部品の数を減少させることなく、同電気接続箱を小型化することができる。
【0015】
[5]前記第1収容部および前記第2収容部は第1方向において一列に並ぶ態様で配置されており、前記カバー部材は、前記電気部品の取り外しに用いるプラー部材を前記第1方向に対して斜め方向に延びる態様で保持する保持部を有し、前記第3収容部は、前記第1方向から見た場合と同第1方向に直交する方向から見た場合とにおいて共に前記プラー部材と重なる位置に設けられている。
【0016】
この構成によれば、プラー部材を斜めに配置することで同プラー部材を第1方向に延びる態様で配置する場合と比較して広くなったスペースに、第3収容部を配置することができる。これにより、カバー部材におけるプラー部材や第3収容部を配置可能なスペースを有効に活用することができる。
【0017】
[6]前記第1収容部および前記第2収容部は第1方向において一列に並ぶ態様で配置されており、前記カバー部材は、前記電気部品の取り外しに用いるプラー部材を前記第1方向に対して斜め方向に延びる態様で保持する保持部と、2つの前記第3収容部と、を有し、前記2つの第3収容部の一方は、前記第1方向から見た場合と同第1方向に直交する方向から見た場合とにおいて共に前記プラー部材と重なる位置に、前記第1方向に延びる態様で設けられており、前記2つの第3収容部の他方は、前記第1方向から見た場合において前記プラー部材と重なる位置であり且つ前記第1方向において前記一方の第3収容部よりも前記プラー部材から離れた位置に、前記第1方向に直交する方向に延びる態様で設けられている。
【0018】
この構成によれば、プラー部材を斜めに配置することで同プラー部材を第1方向に延びる態様で配置する場合と比較して広くなった第1スペースや同第1スペースに繋がる第2スペースに、2つの第3収容部を配置することができる。これにより、カバー部材におけるプラー部材や第3収容部を配置可能なスペースを有効に活用することができる。
【0019】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の電気接続箱の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。各図面では、説明の便宜上、構成の一部を誇張または簡略化して示す場合がある。また、各部分の寸法比率については各図面で異なる場合がある。また、本明細書における「平行」や「直交」は、厳密に平行や直交の場合のみでなく、本実施形態における作用ならびに効果を奏する範囲内で概ね平行や概ね直交の場合も含まれる。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0020】
また、図面中の互いに直交するXYZ軸におけるX軸は、電気接続箱20の長手方向Xを表し、Y軸は電気接続箱20の幅方向Yを表し、Z軸は電気接続箱20の高さ方向Zを表している。なお、以下の説明では、便宜上、電気接続箱20の高さ方向Zの一方側を「上」、他方側を「下」として表現するとともに、電気接続箱20の幅方向Yの一方側を「前」、他方側を「後」として表現する。電気接続箱20の上面が天方向に向く姿勢で車両に搭載されるという意味ではなく、上記表現は車両への電気接続箱20の搭載姿勢を限定するものではない。
【0021】
図1および
図2に示す電気接続箱20は、例えば二輪自動車や四輪自動車などの車両に搭載されるヒューズボックスである。電気接続箱20は車体側の例えばステーなどに固定される。
【0022】
電気接続箱20は、ハウジング21と同ハウジング21の上面を覆うカバー部材22とを備えている。電気接続箱20では、カバー部材22がハウジング21に対して着脱可能になっている。
【0023】
<ハウジング21>
ハウジング21は、ハウジング本体31、同ハウジング本体31に収容される接続端子としての複数の連端子33および複数の単端子34、複数の第1収容部32、複数の第2収容部50、および予備収容部60を備えている。ハウジング本体31、各第1収容部32、各第2収容部50、および予備収容部60は、例えば合成樹脂材によって一体成形された樹脂成形品である。
【0024】
図2および
図3に示すように、ハウジング本体31は、例えば略直方体をなす。ハウジング本体31は、例えば高さ方向Zから見て長手方向Xに延びる略長方形をなす。
図3および
図4に示すように、各連端子33および各単端子34は、ハウジング本体31の下面側から同ハウジング本体31に組み付けられる。各連端子33および各単端子34は、例えば金属板のプレス加工にて成形される金属部品である。また、各連端子33および各単端子34は、ハウジング本体31内においてブレード型のヒューズ23に接続される。ヒューズ23は、電気部品の一例である。各連端子33および各単端子34には電線35が接続される。
【0025】
図4に示すように、連端子33は、複数の第1接続部36と1つの第2接続部37とを一体に備えている。各第1接続部36はヒューズ23に接続される。第2接続部37は電線35に接続される。
【0026】
各単端子34は、ヒューズ23に接続される接続部38と電線35に接続される接続部39とを1つずつ備えている。なお、連端子33の第1接続部36はヒューズ23の一方の端子23aに接続される。単端子34の接続部38はヒューズ23の他方の端子23bに接続される。
【0027】
図3および
図4に示すように、ハウジング本体31の下面側には、複数の連端子33を収容する連端子収容部40と、複数の単端子34を収容する複数の単端子収容部41とが形成されている。
【0028】
連端子収容部40は、複数の連端子33をそれぞれ収容可能に構成された複数の収容空間40aを有している。各収容空間40aは、ハウジング21の長手方向Xに沿って並設されている。また、収容空間40aは、電気接続箱20に設けられる連端子33の数だけ設けられている。本実施形態の電気接続箱20では、3つの収容空間40aが設けられている。
【0029】
各単端子収容部41は、1つの単端子34を収容可能に構成されている。複数の単端子収容部41は、ハウジング21の長手方向Xに沿って並設されている。単端子収容部41は、電気接続箱20に設けられる単端子34の数だけ設けられている。本実施形態の電気接続箱20では、単端子収容部41は7つ設けられている。
【0030】
図4に示すように、各単端子34の接続部38は、複数の単端子収容部41にそれぞれ収容されている。そして、各単端子34における接続部38の先端部は、単端子収容部41内において、ヒューズ23の他方の端子23bに接続される。これにより、連端子33と単端子34とがヒューズ23を介して電気的に接続されるようになっている。
【0031】
<第1収容部32>
図2および
図5に示すように、複数の第1収容部32は、ハウジング本体31の上面側に設けられている。複数の第1収容部32の各々は、1つのヒューズ23を収容可能に構成された空間をなしている。ハウジング本体31は、例えば7つの第1収容部32を有している。複数の第1収容部32は、例えばハウジング21の長手方向Xにおいて一列に並ぶ態様で配置されている。
図2および
図4に示すように、第1収容部32にヒューズ23を収容することにより、同ヒューズ23の各端子23a,23bが連端子33または単端子34に接続された状態になる。このように第1収容部32は、連端子33および単端子34に接続される態様でヒューズ23を収容可能に構成されている。
【0032】
<第2収容部50>
図2および
図5に示すように、各第1収容部32および各第2収容部50は、例えば長手方向Xにおいて一列に並ぶ態様で配置されている。本実施形態では、長手方向Xが第1方向に相当する。第2収容部50は、複数の第1収容部32を間に挟む態様で、ハウジング21の外縁に一対設けられている。第2収容部50は、ハウジング本体31の長手方向Xの両端に位置する側壁部43,44にそれぞれ設けられている。
【0033】
<予備ヒューズ24を収容可能にする構造>
第2収容部50は、1つの予備ヒューズ24を収容可能に構成された空間をなしている。予備ヒューズ24は、ブレード型のものである。予備ヒューズ24は、ヒューズ23と同様、電気部品の一例である。
【0034】
図6~
図8に示すように、第2収容部50は、高さ方向Zに延びる直線を軸線とする略長方形筒状のベース部51を有している。ベース部51は、長手方向Xに間隔をおいて配置される2つの周壁部52a,52bと幅方向Yに間隔をおいて配置される2つの周壁部52c,52dとによって構成されている。
【0035】
ベース部51の上部には2つの案内壁部53が設けられている。2つの案内壁部53は、幅方向Yに間隔を置いて、平行に延びる態様で設けられている。案内壁部53は、ベース部51の周壁部52c,52dに1つずつ形成されている。各案内壁部53は、長手方向Xに間隔を置いて延びる一対の側壁部54a,54bと、各側壁部54a,54bにおけるベース部51の外周側の端部同士を繋ぐ底壁部55とを有する断面略U字状をなしている。底壁部55における内周側の面とベース部51の内周面とは同一面上において延びている。各側壁部54a,54bのうちの上記ハウジング本体31側に配置される側壁部54aは、ベース部51の内面に設けられる態様で、同ベース部51の下端まで延びている。
【0036】
底壁部55の上端部分には、上記ベース部51の内周側に突出する形状の段部56が形成されている。段部56の上部は、同段部56の上端に近づくに連れて内周側への突出量が小さくなるように傾斜した傾斜面になっている。段部56における長手方向Xの中央には、高さ方向Zにおいて延びる案内溝57が形成されている。この案内溝57は、第2収容部50に予備ヒューズ24を収容する際に、同予備ヒューズ24の凸部が通過する部分である。
【0037】
ベース部51を構成する4つの周壁部52a~52dのうちの上記ハウジング本体31側に配置される周壁部52aには、同ハウジング本体31から離間する方向に突出するストッパ部58が設けられている。ストッパ部58は、予備ヒューズ24が第2収容部50に収容された状態で、同予備ヒューズ24の下端が当接する位置に配置されている。
【0038】
第2収容部50に予備ヒューズ24を収容する作業は以下のように行われる。
先ず、予備ヒューズ24が第2収容部50に対して上方から挿入される。予備ヒューズ24は、一対の案内壁部53の間に挟み込まれた状態で下方に案内される。そして、予備ヒューズ24が各案内壁部53の段部56を乗り越えると、予備ヒューズ24の上部が段部56の下部に係止された状態になる。これにより、予備ヒューズ24の上方への移動が規制される。また、予備ヒューズ24の下端がストッパ部58に突き当たる。これにより、予備ヒューズ24の下方への移動が規制されるようになる。このようにして、予備ヒューズ24は第2収容部50の内部に収容された状態で保持される。なお、第2収容部50の下方には、連端子33や単端子34は配置されない。そのため、第2収容部50に収容される予備ヒューズ24は、連端子33および単端子34には接続されない。
【0039】
<カバー部材22を係止可能にする構造>
図1および
図2に示すように、第2収容部50は、カバー部材22の係止片72を挿入した状態で係止可能に構成されている。
【0040】
図9および
図10に示すように、ベース部51を構成する4つの周壁部52a~52dのうちの上記ハウジング本体31から遠い側に配置される周壁部52bの上部には、係止壁部59が設けられている。係止壁部59は、長手方向Xおよび幅方向Yに延在している。係止壁部59は、同ベース部51の上面における上記ハウジング本体31から遠い側の部分を覆う形状をなしている。係止壁部59は、上記案内壁部53の上記ハウジング本体31から遠い側の側壁部54bまで延びている。
【0041】
第2収容部50にカバー部材22の係止片72を係止する作業は以下のように行われる。
先ず、カバー部材22の係止片72が第2収容部50に対して上方から挿入される。カバー部材22の係止片72の先端部分が第2収容部50の係止壁部59を通過すると、係止片72が係止壁部59にスナップフィット構造により係合される。このように、第2収容部50に対して、カバー部材22の係止片72が挿入された状態で係止される。
【0042】
<予備収容部60>
図3および
図5に示すように、予備収容部60は、1つの予備ヒューズ24を収容可能に構成された空間をなしている。予備収容部60に収容される予備ヒューズ24は、第2収容部50に収容される予備ヒューズ24と同様、電気部品の一例である。予備収容部60は、ハウジング本体31の前面側の壁部45に設けられている。予備収容部60は、壁部45の長手方向Xにおける中央部分に配置される。予備収容部60は、壁部45の前面から突出する形状をなしている。予備収容部60は、高さ方向Zに延びる直線を軸線とする略長方形筒状の周壁61と、同周壁61の下端に設けられた底壁62とを有している。
【0043】
<カバー部材22>
図2および
図11に示すように、カバー部材22は、例えば合成樹脂材からなる射出成形品である。カバー部材22は、周壁70と天壁71とを備えた有蓋筒状をなしている。周壁70は、高さ方向Zに延びる直線を軸線とする筒状をなしている。天壁71は、周壁70の上端を塞ぐ形状をなしている。
図1に示すように、カバー部材22をハウジング21に取り付けることにより、同ハウジング21の上面、詳しくはハウジング本体31の上面および予備収容部60の上面がカバー部材22によって覆われた状態になる。
【0044】
<係止片72>
図2および
図11に示すように、周壁70の外面には前記係止片72が設けられている。係止片72は、長手方向Xにおける周壁70の両端に1つずつ設けられている。各係止片72は、幅方向Yおよび高さ方向Zに延在する板状をなしている。各係止片72の上端部分は周壁70と一体に形成されている。係止片72は、長手方向Xに押圧して弾性変形させることによって、周壁70と一体の上端部分を中心に、長手方向Xに揺動させることが可能になっている。係止片72の下端部分には、周壁70から離間する方向に突出する係止爪73が設けられている。
【0045】
<プラー部材25>
カバー部材22の天壁71の下面には、プラー部材25が着脱可能に取り付けられている。プラー部材25は、ヒューズ23や予備ヒューズ24の取り外しに用いる、いわゆるヒューズプラーである。プラー部材25は、合成樹脂材によって一体成形された樹脂成形品である。
【0046】
図11に示すように、プラー部材25は、間隔を置いて延びる一対の挟み片80,81と、同挟み片80,81を延在方向の中間位置において連結する連結部82とを有する。プラー部材25は、延在方向における一方の端部がヒューズ23,24の取り外しに際して同ヒューズ23,24に係合する部分になるとともに、延在方向における他方の端部が使用者によって把持される部分になる。
【0047】
カバー部材22の天壁71の下面には、下方に突出する形状の第1保持部74と第2保持部75とが設けられている。第1保持部74および第2保持部75は、長手方向Xに対して斜め方向に間隔を置いて並ぶ態様で配置されている。第1保持部74および第2保持部75を利用して、プラー部材25は天壁71の下面に取り付けられる。第1保持部74は一対の壁部74a,74bを有する。各壁部74a,74bは互いに間隔を置いた状態で、長手方向Xに対して斜め方向に延びている。第1保持部74の壁部74a,74bによってプラー部材25の挟み片80,81を外側から挟み込むことにより、同プラー部材25は保持される。第2保持部75は、1つの壁部75aを有する。壁部75aは長手方向Xに対して斜め方向に延びている。第2保持部75の壁部75aがプラー部材25の2つの挟み片80,81の間に嵌まった状態になることにより、同プラー部材25は保持される。カバー部材22は、第1保持部74および第2保持部75により、長手方向Xに対して斜め方向に延びる態様でプラー部材25を保持する。
【0048】
<第3収容部76,77>
カバー部材22の天壁71の下面には、複数の第3収容部76,77が設けられている。複数の第3収容部76,77の各々は、1つの予備ヒューズ24を収容可能に構成されている。カバー部材22に設けられる予備ヒューズ24は、ハウジング21に設けられる予備ヒューズ24と同様、電気部品の一例である。カバー部材22は、例えば2つの第3収容部76,77を有している。
【0049】
一方の第3収容部76は、カバー部材22にプラー部材25が取り付けられた状態で、長手方向Xから見た場合と幅方向Yから見た場合とにおいて共にプラー部材25に重なる位置に設けられている。第3収容部76は、予備ヒューズ24を収容する空間が長手方向Xに延びる態様で設けられている。他方の第3収容部77は、カバー部材22にプラー部材25が取り付けられた状態で、長手方向Xから見た場合にプラー部材25と重なる位置であり、且つ、長手方向Xにおいて上記第3収容部76よりもプラー部材25から離れた位置に設けられている。第3収容部77は、予備ヒューズ24を収容する空間が幅方向Yに延びる態様で設けられている。2つの第3収容部76,77は、高さ方向Zから見た場合にL字状をなす態様で配置されている。
【0050】
第3収容部76,77の具体構造を説明する。なお第3収容部76,77は、基本構造が同一であるため、以下では第3収容部76の構造についてのみ説明し、第3収容部77の構造についての説明は割愛する。
【0051】
図11および
図12に示すように、第3収容部76は一対の案内壁部90を有している。案内壁部90は、高さ方向Zに延びる態様で、天壁71の下面に設けられている。各案内壁部90は、長手方向Xに間隔を置いて、平行に延びる態様で設けられている。
【0052】
各案内壁部90は同一の形状をなしている。具体的には、各案内壁部90は、間隔を置いて延びる一対の側壁部91と、それら側壁部91の一方の端部同士を繋ぐ底壁部92とを有する断面略U字状をなしている。2つの案内壁部90は、側壁部91の突端が互いに向かい合う態様で配置されている。
【0053】
底壁部92の下端部分には、側壁部91の突端の側に突出する形状の段部93が形成されている。段部93の下部は、同段部93の下端に近づくに連れて、上記側壁部91の突端側への突出量が小さくなるように傾斜した傾斜面になっている。段部93には、高さ方向Zにおいて延びる案内溝94が形成されている。この案内溝94は、第3収容部76に予備ヒューズ24を収容する際に、同予備ヒューズ24の凸部が通過する部分である。
【0054】
各案内壁部90の上部には、一対の側壁部91の突端間において延びる上壁部95が設けられている。上壁部95には、高さ方向Zにおいて延びるスリット96が設けられている。
【0055】
天壁71の下面における一対の案内壁部90に挟まれた部分には、凸部97が設けられている。凸部97は、予備ヒューズ24が第3収容部76に収容された状態で、同予備ヒューズ24の下端が当接する形状をなしている。
【0056】
第3収容部76,77に予備ヒューズ24を収容する作業は以下のように行われる。
先ず、予備ヒューズ24が第3収容部76,77に対して案内壁部90の先端側から挿入される。予備ヒューズ24は、一対の案内壁部90の間に挟み込まれた状態で天壁71側に案内される。そして、予備ヒューズ24が各案内壁部90の段部93を乗り越えると、予備ヒューズ24の端部が段部93の端部に係止された状態になる。これにより、予備ヒューズ24の上記天壁71から離間する方向への移動が規制される。また、予備ヒューズ24の端子側の端部が凸部97に突き当たる。これにより、予備ヒューズ24の天壁71側への移動が規制されるようになる。このようにして、予備ヒューズ24は第3収容部76,77の内部に収容された状態で保持される。なお、カバー部材22には、連端子33や単端子34は配置されない。そのため、第3収容部76,77に収容される予備ヒューズ24は、連端子33および単端子34には接続されない。
【0057】
電気接続箱20は、2種類の使用形態が用意されている。
<第1使用形態>
第1使用形態では、電気接続箱20は、ハウジング21にカバー部材22を取り付けた状態で使用される。この場合には、
図1および
図11に示すように、カバー部材22の2つの第3収容部76,77、およびハウジング21の予備収容部60に、1つずつ、合計3つの予備ヒューズ24が収容される。この場合には、電気接続箱20は、3つの予備ヒューズ24を収容可能に構成されている。
【0058】
<第2使用形態>
第2使用形態では、電気接続箱20は、ハウジング21にカバー部材22を取り付けない状態で使用される。すなわち、電気接続箱20はハウジング21単体で使用される。この場合には、
図5に示すように、ハウジング21の2つの第2収容部50および予備収容部60に1つずつ、合計3つの予備ヒューズ24が収容される。この場合には、電気接続箱20は、3つの予備ヒューズ24を収容可能に構成されている。
【0059】
<効果>
本実施形態の効果について説明する。
(1)ハウジング21は、予備ヒューズ24を収容可能に構成されるとともにカバー部材22の係止片72を挿入した状態で係止可能に構成された第2収容部50を有する。この構成によれば、ハウジング21にカバー部材22が取り付けられない第2使用形態で使用される電気接続箱20においては、第2収容部50を、予備ヒューズ24を収容する部分として利用することができる。そのため、カバー部材22の係止片72を挿入した状態で係止可能に構成された部分と、予備ヒューズ24を収容可能に構成された部分とがハウジング21に各別に設けられる電気接続箱と比較して、電気接続箱20を小さくすることができる。
【0060】
(2)第2収容部50は、ハウジング21の外縁に位置している。この構成によれば、実際に使用されるヒューズ23や同ヒューズ23に接続される連端子33および単端子34をハウジング21の中央に配置することができる。また、連端子33および単端子34に接続されない予備ヒューズ24をハウジング21の外縁に配置することができる。このように、実際に使用されるヒューズ23と予備の予備ヒューズ24とを分けて配置することができる。
【0061】
(3)第1収容部32および第2収容部50は一列に並ぶ態様で配置されている。第2収容部50は、第1収容部32を間に挟む態様で、ハウジング21の外縁に一対設けられている。この構成によれば、2つの予備ヒューズ24をそれぞれハウジング21の外縁に配置することができる。
【0062】
(4)電気接続箱20は、係止片72と第2収容部50との係合によってハウジング21に係止されるカバー部材22を有する。カバー部材22は、予備ヒューズ24を収容可能に構成された第3収容部76,77を有する。この構成によれば、ハウジング21にカバー部材22が取り付けられた第1使用形態で使用される電気接続箱20においては、第2収容部50を、ハウジング21に同カバー部材22を係止する部分として利用することができる。そして、この場合には、第2収容部50を予備ヒューズ24の収容に利用することができなくなるとはいえ、その分の予備ヒューズ24をカバー部材22の第3収容部76,77に収容することができる。このように、電気接続箱20に収容することのできる予備ヒューズ24の数を減少させることなく、同電気接続箱20を小型化することができる。
【0063】
(5)カバー部材22において、プラー部材25は長手方向Xに対して斜め方向に延びる態様で着脱可能に配置されている。カバー部材22において、第3収容部76は長手方向Xから見た場合と幅方向Yから見た場合とにおいて共にプラー部材25と重なる位置に設けられている。この構成によれば、プラー部材25を斜めに配置することで同プラー部材25を長手方向Xに延びる態様で配置する場合と比較して広くなったスペースに、第3収容部76を配置することができる。これにより、カバー部材22におけるプラー部材25や第3収容部76を配置可能なスペースを有効に活用することができる。
【0064】
(6)第3収容部76は、長手方向Xから見た場合と幅方向Yから見た場合とにおいて共にプラー部材25と重なる位置に、長手方向Xに延びる態様で設けられている。第3収容部77は、長手方向Xから見た場合にプラー部材25と重なる位置であって、且つ、長手方向Xにおいて上記第3収容部76よりもプラー部材25から離れた位置に、幅方向Yに延びる態様で設けられている。この構成によれば、プラー部材25を斜めに配置することで同プラー部材25を長手方向Xに延びる態様で配置する場合と比較して広くなった第1スペースや同第1スペースに繋がる第2スペースに、2つの第3収容部76,77を配置することができる。これにより、カバー部材22におけるプラー部材25や第3収容部76,77を配置可能なスペースを有効に活用することができる。
【0065】
<変更例>
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態および以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0066】
・予備収容部60の構造は、例えば、略直方体の空間をなす構造にするなど、任意に変更することができる。要は、予備収容部60が予備ヒューズ24を収容可能に構成された空間をなしていればよい。
【0067】
・予備収容部60を省略することができる。
・第3収容部76,77の構造は、例えば、内部に略直方体の空間を有する構造にするなど、任意に変更することができる。要は、第3収容部76,77が予備ヒューズ24を収容に構成された空間をなしていればよい。
【0068】
・第2収容部50の構造は、予備ヒューズ24を収容可能に構成されるとともにカバー部材22の係止片72を係止可能に構成された構造であればよく、任意の構造に変更することができる。そうした構造としては、例えば、略直方体の収容凹部を有する構造であって、且つ、同収容凹部の内壁に係止爪73が係合する係合凹部を有する構造を採用することができる。
【0069】
・第2収容部50の一方を省略してもよい。この場合には、予備ヒューズ24を収容可能に構成された予備収容部と、カバー部材22の係止片72を係止可能に構成された係止部とをハウジング21に各別に設けるようにしてもよい。この構成によっても、第2収容部50が1つ設けられるため、電気接続箱20を小型化することができる。
【0070】
・第2収容部50は、ハウジング21の外縁に配置することに限らず、2つの第1収容部32の間に配置するなど、任意の位置に設けることができる。
・第1収容部32および第2収容部50は、一列に並ぶ態様で配置することに限らず、複数列に並ぶ態様で配置するなど、任意の態様で配置することができる。
【0071】
・カバー部材22における第3収容部76,77の配置態様は、第3収容部76,77を平行に延びる態様で配置するなど、任意に変更することができる。
・カバー部材22の第1保持部74および第2保持部75を省略してもよい。プラー部材25を取り付け不能なタイプのカバー部材を採用することができる。
【0072】
・電気接続箱20に設けられる第1収容部32の数、第2収容部50の数、第3収容部76,77の数、および予備収容部60の数は、上記実施形態に限定されるものではなく、求められる電気接続箱20の仕様に応じて適宜変更可能である。
【0073】
・上記実施形態では、ヒューズ23および予備ヒューズ24を収容するヒューズボックスとしての電気接続箱20に適用したが、これ以外に例えば、リレーなどの電気部品を収容するリレーボックスやジャンクションボックスなどの電気接続箱にも適用可能である。
【符号の説明】
【0074】
20 電気接続箱
21 ハウジング
22 カバー部材
23 ヒューズ(電気部品)
23a 端子
23b 端子
24 予備ヒューズ(電気部品)
25 プラー部材
31 ハウジング本体
32 第1収容部
33 連端子(接続端子)
34 単端子(接続端子)
35 電線
36 第1接続部
37 第2接続部
38 接続部
39 接続部
40 連端子収容部
40a 収容空間
41 単端子収容部
43 側壁部
44 側壁部
45 壁部
50 第2収容部
51 ベース部
52a 周壁部
52b 周壁部
52c 周壁部
52d 周壁部
53 案内壁部
54a 側壁部
54b 側壁部
55 底壁部
56 段部
57 案内溝
58 ストッパ部
59 係止壁部
60 予備収容部
61 周壁
62 底壁
70 周壁
71 天壁
72 係止片
73 係止爪
74 第1保持部(保持部)
74a 壁部
74b 壁部
75 第2保持部(保持部)
75a 壁部
76 第3収容部
77 第3収容部
80 挟み片
81 挟み片
82 連結部
90 案内壁部
91 側壁部
92 底壁部
93 段部
94 案内溝
95 上壁部
96 スリット
97 凸部
X 電気接続箱の長手方向(第1方向)
Y 電気接続箱の幅方向
Z 電気接続箱の高さ方向