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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023155022
(43)【公開日】2023-10-20
(54)【発明の名称】軌道走行玩具
(51)【国際特許分類】
   A63H 18/02 20060101AFI20231013BHJP
   A63H 29/22 20060101ALI20231013BHJP
   A23L 7/10 20160101ALI20231013BHJP
【FI】
A63H18/02 D
A63H18/02 C
A63H29/22 E
A23L7/10 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022064738
(22)【出願日】2022-04-08
(71)【出願人】
【識別番号】595030295
【氏名又は名称】株式会社タカラトミーアーツ
(71)【出願人】
【識別番号】591056846
【氏名又は名称】株式会社東京ユニーク
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮澤 隆充
(72)【発明者】
【氏名】前田 竹明
【テーマコード(参考)】
2C150
4B023
【Fターム(参考)】
2C150CA08
2C150CA18
2C150CA27
2C150DA11
2C150DD08
2C150EA03
2C150EB01
2C150EB37
2C150FA04
4B023LC05
4B023LE16
4B023LE17
4B023LK12
4B023LP20
4B023LT29
4B023LT30
4B023LT34
(57)【要約】
【課題】走行玩具の動力を利用して柱状体に薄片を巻き付けることができる構造簡素な軌道走行玩具を提供すること。
【手段】柱状体と、動力源による動力によって軌道の上を走行可能で、且つ、鉛直方向に延在し柱状体が着脱可能で前記動力によって回転する回転軸を有する走行玩具と、軌道の第1の場所の脇に設けられ、柱状体の外周に巻き付けられる短冊状の薄片を一端部が軌道の上に突出した状態で支持するとともに、薄片を引出し可能に構成された薄片支持部と、前記薄片の一端部の裏側に配置された押さえ部と、走行玩具を第1の場所で、前記回転軸を回転させたまま停車させる停車機構と、を備える。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱状体と、
動力源を有し、当該動力源による動力によって軌道の上を走行可能で、且つ、鉛直方向に延在し前記柱状体が着脱可能で前記動力によって回転する回転軸を有する走行玩具と、
前記軌道の第1の場所の脇に設けられ、前記柱状体の外周に巻き付けられる短冊状の薄片を、起立した状態で且つ当該薄片の一端部が前記軌道の上に突出した状態で支持するとともに、前記薄片を引出し可能に構成された薄片支持部と、
前記軌道の上に突出した前記薄片の一端部の裏側に配置された押さえ部と、
前記走行玩具を前記第1の場所で、前記回転軸を回転させたまま停車させる停車機構と、
を備え、
前記第1の場所で、前記停車機構により前記走行玩具を停車させ、前記回転軸の回転によって、前記柱状体の外周に前記薄片を巻き付ける、
ことを特徴とする軌道走行玩具。
【請求項2】
前記押さえ部は、押さえローラであり、常態では、ばねの付勢力によって前記走行玩具の進路に進入しており、前記走行玩具の通過の際に、前記走行玩具に押されて前記走行玩具の進路から退避する、ことを特徴とする請求項1記載の軌道走行玩具。
【請求項3】
前記軌道には、前記第1の場所より下流側の第2の場所の脇に、前記柱状体にトッピング材を載せる載設装置が設けられ、
前記載設装置は、
持ち手が水平方向に延在する軸を介して回動可能に支持され、回動によって、カップがトッピング材を受容可能な第1位置と、前記カップからトッピング材を落下させる第2位置とを取り得るスプーンと、
前記スプーンを、前記第1位置から前記第2位置に動作させるスプーン操作機構と、
を備え、
前記スプーン操作機構によって前記第2位置で前記柱状体の上にトッピング材を載せる、ことを特徴とする請求項2記載の軌道走行玩具。
【請求項4】
前記スプーン操作機構は、
上昇位置と下降位置とを取り得、上昇によって前記スプーンの前記持ち手を突き上げて前記第1位置から前記第2位置に動作させる突上げ部材と、
前記突上げ部材を前記上昇位置に向けて付勢するばねと、
前記突上げ部材を下降位置に係止し、前記走行玩具の摺接によって係止を解除する係止部材と、
を備える、ことを特徴とする請求項3記載の軌道走行玩具。
【請求項5】
前記走行玩具の進路に沿って前記スプーンが複数設けられ進路に沿ってスライド可能なスライド部材を備え、スライドさせることによって、この複数のスプーンを選択的に前記第1位置から前記第2位置に動作させる、ことを特徴とする請求項4記載の軌道走行玩具。
【請求項6】
前記柱状体は円柱体である、ことを特徴とする請求項5記載の軌道走行玩具。
【請求項7】
前記柱状体を保持する皿状の台座を備え、前記柱状体は前記台座を介して前記回転軸に着脱可能に構成されている、ことを特徴とする請求項1~請求項6のいずれか一項記載の軌道走行玩具。
【請求項8】
前記柱状体は舎利玉であり、前記薄片は板海苔である、ことを特徴とする請求項7記載の軌道走行玩具。
【請求項9】
前記走行玩具には、当該走行玩具の前後方向に延びる軸を中心に回動可能な跳上げ板が設けられ、前記跳上げ板には、前記回転軸を上方に突出させる挿通部が設けられるとともにシャーシの下方に突出する押上げロッドが付設され、
前記軌道の上面には、より下流側の場所に、前記押上げロッドの下端に摺接して当該押上げロッドを上昇させる凸条が形成され、
前記走行玩具は、前記凸条に前記押上げロッドが摺接したときに前記跳上げ板を前記回転軸の上方まで回動させて前記回転軸から前記台座を離脱させ、傾斜する前記跳上げ板の上を滑らせて排出する、ことを特徴とする請求項8記載の軌道走行玩具。
【請求項10】
前記軌道には、より下流側の場所に、タレを入れたスポイトが支柱に着脱可能に支持され、手動にて前記柱状体の上にタレを垂らすことができるように構成されている、ことを特徴とする請求項8記載の軌道走行玩具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軌道走行玩具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、舎利玉に板海苔を巻く技術として、特許文献1に記載のものが知られている。
この技術では、舎利玉に接触する接触片を2つとし、各接触片を回転させながら移動させて、各舎利玉に板海苔を巻き付けるよう構成させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-335887号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1記載の技術では、接触片を回転させる機構のみならず、各接触片の回転中心となる軸を移動させる機構が必要となるため構造が複雑であり、巻付け機以外に例えば玩具として転用することが難しかった。このことは柱状体に薄片を巻き付ける装置一般に言えることである。
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、走行玩具の動力を利用して柱状体に薄片を巻き付けることができる構造簡素な軌道走行玩具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の手段は、
柱状体と、
動力源を有し、当該動力源による動力によって軌道の上を走行可能で、且つ、鉛直方向に延在し前記柱状体が着脱可能で前記動力によって回転する回転軸を有する走行玩具と、
前記軌道の第1の場所の脇に設けられ、前記柱状体の外周に巻き付けられる短冊状の薄片を、起立した状態で且つ当該薄片の一端部が前記軌道の上に突出した状態で支持するとともに、前記薄片を引出し可能に構成された薄片支持部と、
前記軌道の上に突出した前記薄片の一端部の裏側に配置された押さえ部と、
前記走行玩具を前記第1の場所で、前記回転軸を回転させたまま停車させる停車機構と、
を備え、
前記第1の場所で、前記停車機構により前記走行玩具を停車させ、前記回転軸の回転によって、前記柱状体の外周に薄片を巻き付ける、
ことを特徴とする。
【0006】
第2の手段は、第1の手段であって、前記押さえ部は、押さえローラであり、常態では、ばねの付勢力によって前記走行玩具の進路に進入しており、前記走行玩具の通過の際に、前記走行玩具に押されて前記走行玩具の進路から退避する、ことを特徴とする。
【0007】
第3の手段は、第2の手段であって、
前記軌道には、前記第1の場所より下流側の第2の場所の脇に、前記柱状体にトッピング材を載せる載設装置が設けられ、
前記載設装置は、
持ち手が水平方向に延在する軸を介して回動可能に支持され、回動によって、カップがトッピング材を受容可能な第1位置と、前記カップからトッピング材を落下させる第2位置とを取り得るスプーンと、
前記スプーンを、前記第1位置から前記第2位置に動作させるスプーン操作機構と、
を備え、
前記スプーン操作機構によって前記第2位置で前記柱状体の上にトッピング材を載せる、ことを特徴とする。
【0008】
第4の手段は、第3の手段であって、
前記スプーン操作機構は、
上昇位置と下降位置とを取り得、上昇によって前記スプーンの前記持ち手を突き上げて前記第1位置から前記第2位置に動作させる突上げ部材と、
前記突上げ部材を前記上昇位置に向けて付勢するばねと、
前記突上げ部材を下降位置に係止し、前記走行玩具の摺接によって係止を解除する係止部材と、
を備える、ことを特徴とする。
【0009】
第5の手段は、第4の手段であって、
前記走行玩具の進路に沿って前記スプーンが複数設けられ進路に沿ってスライド可能なスライド部材を備え、スライドさせることによって、この複数のスプーンを選択的に前記第1位置から前記第2位置に動作させる、ことを特徴とする。
【0010】
第6の手段は、第5の手段であって、前記柱状体は円柱体である、ことを特徴とする。
【0011】
第7の手段は、第1~第6の手段であって、前記柱状体を保持する皿状の台座を備え、前記柱状体は前記台座を介して前記回転軸に着脱可能に構成されている、ことを特徴とする。
【0012】
第8の手段は、第7の手段であって、前記柱状体は舎利玉であり、前記薄片は板海苔である、ことを特徴とする。
【0013】
第9の手段は、第8の手段であって、
前記走行玩具には、当該走行玩具の前後方向に延びる軸を中心に回動可能な跳上げ板が設けられ、前記跳上げ板には、前記回転軸を上方に突出させる挿通部が設けられるとともにシャーシの下方に突出する押上げロッドが付設され、
前記軌道の上面には、より下流側の場所に、前記押上げロッドの下端に摺接して当該押上げロッドを上昇させる凸条が形成され、
前記走行玩具は、前記凸条に前記押上げロッドが摺接したときに前記跳上げ板を前記回転軸の上方まで回動させて前記回転軸から前記台座を離脱させ、傾斜する前記跳上げ板の上を滑らせて排出する、ことを特徴とする。
【0014】
第10の手段は、第8の手段であって、前記軌道には、より下流側の場所に、タレを入れたスポイトが支柱に着脱可能に支持され、手動にて前記柱状体の上にタレを垂らすことができるように構成されている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
第1の手段によれば、柱状体を走行玩具に取り付け、第1の場所で、停車機構により走行玩具を停車させ、回転軸の回転によって、柱状体の外周に薄片を巻き付けることができる。そして、例えば舎利玉に板海苔を巻き付けているかのようなイメージが醸し出される。また、円柱体を走行玩具に取り付けない状態でも、軌道走行玩具として遊ぶことができる。
【0016】
第2の手段によれば、走行玩具の通過の際に、走行玩具に押されて走行玩具の進路から退避するので、走行玩具を、第1の場所を通過させて走行させることができる。
【0017】
第3の手段によれば、スプーン操作機構によって第2位置でトッピング材を柱状体の上に載せることができる。トッピング材としては食材の他、食することができない装飾物が挙げられる。
【0018】
第4の手段によれば、スプーン操作機構によって第2位置でトッピング材を柱状体の上に自動的に載せることができる。
【0019】
第5の手段によれば、複数のスプーンに同じトッピング材を入れておくことにより、1つの柱状体に載せるネタを増量したり、複数のスプーンに異なるネタを入れておくことにより、1つの柱状体に複数のトッピング材を載せたり或いは柱状体ごとに異なるトッピング材を載せることができる。
【0020】
第6の手段によれば、柱状体が円柱体であるので、綺麗に薄片を巻き付けることができる。
【0021】
第7の手段によれば、皿状の台座を介して回転軸に柱状体が取り付けられるので、柱状体が食材又は食材模型の場合には皿をイメージさせ好適なものとなる。
【0022】
第8の手段によれば、舎利玉に板海苔を巻き付けたり、ネタを載せたりして寿司を作ることができる。
【0023】
第9の手段によれば、出来上がった巻き物(軍艦巻きや海苔巻きなど)を走行玩具から台座ごと取り外し、排出することができる。
【0024】
第10の手段によれば、舎利玉上にタレをかけることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の実施形態に係る走行玩具が走行する軌道の平面図である。
図2】走行玩具を用いて作られる、寿司の作製手順を示した図である。
図3】舎利を載せる台座の斜視図である。
図4図3の台座を下方から見た斜視図である。
図5】舎利成形具の斜視図である。
図6図5の舎利成形具を下方から見た斜視図である。
図7】舎利成形具の開いた状態を示した斜視図である。
図8】走行玩具の斜視図である。
図9図8の走行玩具を下方から見た斜視図である。
図10】モータ及び歯車機構を示した平面図である。
図11】モータ、回転軸及び跳上げ板の周辺を示した斜視図である。
図12】板海苔の切断機を示した斜視図である。
図13図12の切断機を下方から見た斜視図である。
図14】海苔巻き装置の斜視図である。
図15図14の海苔巻き装置を裏面側から見た斜視図である。
図16】ネタ載せ装置の斜視図である。
図17】ネタ載せ装置の位置決め機構を示した斜視図である。
図18】ネタ載せ装置のスプーン動作機構を示した図である。
図19】寿司台の斜視図である。
図20図19の寿司台を下方から見た斜視図である。
図21図19の寿司台を台車として用いる場合を示した斜視図である。
図22】寿司降ろしのための軌道片の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態を説明する。
実施形態の軌道走行玩具は軌道1と走行玩具15とを備えている。そして、この軌道1と走行玩具15との共働によって軍艦巻きを作製する。
【0027】
(軌道)
図1は、本発明の実施形態に係る走行玩具15(図8参照)が走行する軌道1の平面図である。
軌道1は、周回軌道であり、複数の軌道片1a~1hを連結して構成されている。実施形態では、舎利玉2を載せた走行玩具15を、軌道片1aを出発点として軌道1上で1周させる間に寿司(軍艦巻き)5を作製し排出する。
【0028】
(寿司を作る手順)
図2は、走行玩具15を用いて作られる、寿司の作製手順を示した図である。
その寿司の作製手順を具体的に説明する。
実施形態では、円板状の台座10を使用する。この台座10の上に舎利を載せ円柱形の舎利玉2を作る。舎利玉2が載った台座10を走行玩具15にセットし、走行玩具15を軌道1上で走行させる。そして、軌道片1cの箇所で、舎利玉2の周りに短冊状の板海苔3aを付着させる。次に、軌道片1eの箇所で、板海苔3aで囲まれた舎利玉2の上にネタ4を乗せ、所謂、軍艦巻き5を完成させる。次に、軌道片1gの箇所で、台座10に載った軍艦巻き5を寿司台50に載せる。
【0029】
〈台座10〉
図3は、舎利を載せる台座10の斜視図、図4は、台座10を下方から見た斜視図である。
台座10は円板状に構成されている。
台座10の表面には、外周の直ぐ内側に環状溝10aが形成され、環状溝10aの内側部分が舎利台10bを構成している。舎利台10bの中央には、放射状に起立する3つの突起10cが形成されている。この突起10cは、舎利台10bに載せた舎利玉2が落ちないように保持する。また、舎利台10bの上面には、半球状の小突起10dが多数形成されている。この小突起10dは、舎利台10bに舎利玉2がくっつくのを防止する。
一方、台座10の裏面側には、舎利台10bに対応した部分が凹部10eとなっており、凹部10eの中央には円筒状のボス10fが形成されている。ボス10fには6角穴10gが形成されている。6角穴10gは、走行玩具15に台座10を取り付けるために使用される。
【0030】
(舎利成形具11)
図5は舎利成形具11の斜視図、図5は、舎利成形具11を下方から見た斜視図、図7は、舎利成形具11の開いた状態を示した斜視図である。
舎利成形具11は、台座10の舎利台10bに載せた舎利を円柱形に成形して舎利玉2とするものである。
舎利成形具11は、一端がヒンジ(符号省略)によって互いに開閉可能に結合された2つの枠体11a、11bを備えている。2つの枠体11a、11bは閉じた状態の合わせ面に対して互いに略対称な形状を有している。
2つの枠体11a、11bを閉じた状態で説明すれば、舎利成形具11は、平面視長方形の上板11cを有している。上板11cには、長辺方向に沿って等間隔に3つの円孔11dが形成されている。円孔11dは舎利を入れる部分である。上板11cの下面には、円孔11dに連通する孔を持つ円筒部11eが形成されている。円筒部11eの孔壁には平目状のローレット加工が施されている。円筒部11eの下端部には、大径の台座装着部11fを構成している。台座装着部11fの内周面には、台座10の外周部が嵌合する環状凹部11jが形成されている。
2つの枠体11a、11bに、上板11c、円孔11d、円筒部11e及び台座装着部11fの半部がそれぞれ振り分けられて形成されている。
【0031】
2つの枠体11a、11bには、自由端部に長短の突片11g、11hが形成され、長い突片11gには結束具11iがスライド可能に取り付けられている。結束具11iをスライドさせて、突片11g、11hに係合させることにより、2つの枠体11a、11bが閉じた状態を保持する。
2つの枠体11a、11bが開いた状態で環状凹部11jに台座10の外周部を嵌合させた後、2つの枠体11a、11bを閉じ結束具11iをスライドさせて、突片11g、11hに係合させる。この状態で、舎利を、円孔11dに詰め込むことにより、舎利玉2が成形される。成形後には、結束具11iをスライドさせ、2つの枠体11a、11bを開くことで、舎利玉2が盛られた台座10を取り出すことができる。
【0032】
(走行玩具15)
図8は走行玩具15の斜視図、図9は、走行玩具15を下方から見た斜視図、図10は、モータM及び歯車機構16を示した平面図である。
走行玩具15は、建設車両の形を真似て作られており、電池(図示せず)と、モータМと、車輪(前輪)15aに動力を伝達する歯車機構16とを備えている。歯車機構16は、歯車16a~16fを含んで構成され、歯車16fはクラッチ17を介して車軸15bに連結されている。これにより、走行玩具15は、モータ動力が歯車16a~16fとクラッチ17とを経て車軸15bに伝達され、車輪15aが回転して走行するようになっている。なお、モータMに代えてゼンマイばねを動力源として用いることもできる。
【0033】
また、走行玩具15には、前部上面に回転軸15cが立設されている。回転軸15cの先端部は6角の係合部15dとなっており、上記台座10の6角穴10gに嵌合可能となっている。この6角の係合部15dに台座10の6角穴10gを嵌合させることで、走行玩具15に台座10が取り付けられる。
この台座10の取付けは、軌道片1aの上でなされる。すなわち、舎利玉2を載せた台座10を用意しておき、軌道片1aの上に走行玩具15が設置された状態で、6角の係合部15dに台座10の6角穴10gを嵌合させる。
なお、図1において、符号7aはストッパを指示し、モータMが作動状態にあるときは、このストッパ7aに、走行玩具15下の突起15jが係合することにより、走行玩具15は停止させられる。このストッパ7aは、回転軸(図示せず)に設けられ、同じく当該回転軸に設けられたレバー7bの操作によって起倒する。
【0034】
回転軸15cの基端部には、後述の冠歯車16gが設けられ(図11参照)、冠歯車16gは、車軸15bに固定された歯車16hに噛合している。これにより、モータ動力が歯車16a~16f、クラッチ17を介して車軸15bに伝達され、歯車16h、16gを介して回転軸15cが回転する。
【0035】
図11は、モータМ、回転軸15c及び跳上げ板15eの周辺を示した斜視図である。
走行玩具15には、短冊状の跳上げ板15eが設けられている。跳上げ板15eは軸15fを中心に上下に回動可能に構成されている。この跳上げ板15eには挿通部として例えば孔15gが形成され、この孔15gから上記回転軸15cが突出している。跳上げ板15eの下面には、跳上げ板15eを操作するための操作ロッド15hが垂設されている。操作ロッド15hはシャーシ下方に突出し、操作ロッド15hが上方に操作されると、跳上げ板15eが起立する方向に回動する。この跳上げ板15eの回動によって、回転軸15cに取り付けられた台座10が取外し可能となっている。この台座10の取外しは、軌道片1gの上で行われる。詳細は後述する。
なお、走行玩具15の後部には寿司台50の雄具50fと連結可能な雌具15kが付設されている。
【0036】
(板海苔3の切断機20)
図12は、板海苔3の切断機20を示した斜視図、図13は切断機20を下方から見た斜視図である。
切断機20は、切断対象である板海苔3を載せるための下板21と、下板21との間で板海苔3を挟み込んで切断する上板22とを備える。下板21及び上板22は平面視長方形で略同じ大きさとなっている。
下板21には、手前側の長辺の縁には壁21aが、左側の短辺の縁には壁21bが設けられている。また、下板21の上面には、長辺に平行に延在する横格子状の溝21cが形成されている。さらに、下板21の上面には、短辺の直ぐ内側に当該短辺に平行で上記溝21cに連なる溝21dが形成されている。
一方、上板22の下側には、上記溝21c、21dに対応する位置に当該溝21c、21dに嵌合可能なギザギザ刃22aが形成されている。
そして、この切断機20では、板海苔3を下板21に載せるとともに、板海苔3の2辺を壁21a、21bに当て、さらに、板海苔3の上に、2辺を壁21a、21bに当てて上板22を載せ、下方に押圧してギザギザ刃22aで板海苔3を切断する。これにより、短冊状の板海苔3aが形成される。
【0037】
(海苔巻き装置30)
図14は海苔巻き装置30の斜視図、図15は、海苔巻き装置30を裏面側から見た斜視図である。
海苔巻き装置30は、走行玩具15の動力を利用して短冊状の板海苔3aを舎利玉2の周りに付着させるものである。
海苔巻き装置30は、短冊状の板海苔3aを保持する海苔支持板30aと、板海苔3aの巻き付けを補助する一対の押さえローラ(押さえ部)30b、30cとを備える。
海苔支持板30aは、左側の支柱30dに取り付けられている。海苔支持板30aは横長の長方形となっており、横幅は板海苔3aの長手方向の幅よりも小さく、高さは板海苔3aの短手方向の幅よりも僅かに大きくなっている。海苔支持板30aの表面には、板海苔3aが収容されるポケット30eが形成されている。ポケット30eには板海苔3aが差し込まれる。ポケット30eの外端側の壁によって板海苔3aが位置決めされ、板海苔3aの一部が内端側の開口から突出する。なお、海苔支持板30aの上端には、ガイド板30fがヒンジ30gを介して上下方向に開閉可能となっている。
【0038】
押さえローラ30bは、海苔支持板30aの裏側に軸30hを介して一端を支持されたアーム30iの他端部に取り付けられている。一方、押さえローラ30cは、右側の支柱30jに軸30kを介して一端を支持されたアーム30lの他端部に取り付けられている。
この押さえローラ30bは、アーム30iに一端が掛けられたトーションばね(図示せず)の付勢力によって、常態では走行玩具15の進路に進入しており、走行玩具15がストッパ7aにより停車した状態では、舎利玉2との間で板海苔3aを挟持し、板海苔3aを舎利玉2に押し付ける。これにより、舎利玉2の粘性で板海苔3aが引っ付く。一方、押さえローラ30bは、舎利玉2に板海苔3aが巻き終わり走行玩具15が走行したときには、走行玩具15に押されて走行玩具15の進路から一時的に退避する。
【0039】
(ネタ載せ装置40)
図16はネタ載せ装置40の斜視図、図17は、ネタ載せ装置の位置決め機構を示した斜視図、図18は、ネタ載せ装置のスプーン動作機構を示した図である。
ネタ載せ装置40は、短冊状の板海苔3aが巻かれた舎利玉2の上にトッピング材として例えばネタ4を載せるものである。イクラ、ウニ、シラウオ、ネギトロその他が使用できる。
ネタ載せ装置40は、軌道片1eの左側に設置され、支柱40aに組み付けられている、支柱40aの上には、軌道に沿って往復移動可能に構成されたスライド部材40bを備えている。
【0040】
スライド部材40bには、スライド部材40bの移動方向に沿って3個のスプーン40cが等間隔に設けられている。3個のスプーン40cは、持ち手の基端部が軸40dを介してスライド部材40bに軸支されている。スプーン40cの先端部には有底円筒状のカップ40eが設けられている。このカップ40e内には可動底40fが設けられ、可動底40fには押出しロッド40gが付設され、押出しロッド40gはカップ40eの底板を貫通し、カップ40eの下方まで延びている。下端部には摘み(符号省略)が設けられている。なお、可動底40fの表面は平目状のローレット加工が施されている。
なお、押出しロッド40gの下端部の摘み(符号省略)は大径となっていて、押出しロッド40gの抜けが防止されるとともに、動作範囲が規制されている。
このスプーン40cは、軸40dを中心とする回動によって、カップ40eの開口が上を向く位置と、カップ40eの開口が下を向く位置とを取り得る。カップ40eの開口が上を向く位置でネタ4が補充され、カップ40eの開口が下を向く位置でネタ4が舎利玉2に載せられる。押出しロッド40gは、ネタ4を押し出すのに補助的に用いられる。
【0041】
スライド部材40bの下縁には、3個のスプーン40cに対応する各位置に、位置決め用の窪み40hが形成されている。また、支柱40a内には、上記窪み40hに係合してスライド部材40bを位置決めするための係止部材40iが設けられている。係止部材40iは弾性を有している。係止部材40iの両端は支柱40aに固定され、中央上には山形の係止爪40jが設けられている。係止爪40jは、スライド部材40iの窪み40hにクリック感をもって係合し、スライド部材40bの位置決めを行う。
また、係止爪40jには摘み40kが付設され、摘み40kは支柱40aの内面から突出している。摘み40kは、上下動可能に構成され、下方に操作することで、スライド部材40bを軌道に沿って動かしたり、支柱40aから取り外したりすることができる。
【0042】
また、支柱40a内には、突上げ部材40lが設けられている。突上げ部材40lは上下動可能に取り付けられ、コイルばね40mによって上方に向けて付勢されている。突上げ部材40lの下端部には被係止爪40nが設けられている。一方、突上げ部材40lの上部外面には支柱40aの外面から突出する操作摘み40oが設けられている。この操作摘み40оを下方に操作することで、後述のように、係止部材40pは突上げ部材40lを下方位置に保持することができる。
【0043】
また、突上げ部材40lの下方には、軌道に対して離接する方向に動作可能な係止部材40pが設けられている。この係止部材40pは、コイルばね40qによって軌道に近づく方向に付勢されている。係止部材40pの外端側には、上記被係止爪40nに係合可能な係止爪40rが設けられている。係止部材40pの係止爪40rは、突上げ部材40lがコイルばね40mの付勢力に抗して下方にあるとき、コイルばね40qの付勢力によって、被係止爪40nに係合する。これにより、係止部材40pは突上げ部材40lを下方位置に保持する。
また、係止部材40pの内端側は支柱40aの内面から突出している。この突出部分は三角状の摺接部40sとなっている。この摺接部40sには、走行玩具15のホイールのハブ15i(図8参照)が摺接するようになっており、この摺接によって、係止部材40pは、軌道外側に動作する。
この動作によって、係止爪40rと被係止爪40nとの係合か解除され、突上げ部材40lがコイルばね40mの付勢力で上動してスプーン40cを動作させる。
【0044】
(寿司台50)
図19は寿司台50の斜視図、図20は、寿司台50を下方から見た斜視図、図21は、寿司台50を台車として用いる場合を示した斜視図である。
寿司台50は、寿司5を盛る寿司下駄と、寿司5を運ぶ台車として機能する。
寿司台50の台座50aの下側には凹部50bが形成され、凹部50bには、折畳み可能な2つの足50cと、車輪50dとが設けられている。車輪50dの下端部は台座50aの下方から突出している。
そして、足50cを延ばしたとき、足50cが台座50aの下方から突出し、車輪50dよりも下方に引き出され、寿司下駄として使用できる。また、足50cを折り畳んだとき、足50cが凹部50b内に収容され、台座50aの下方に露出し、台車として使用できる。
また、台座50aには、基端部が台座50aに軸支された雄具50fが設けられている。雄具50fは上記走行玩具15の雌具15kと連結され、軌道1や別の周回軌道を走らせることができる。軌道1や別の周回軌道を走らせることにより、回転寿司のような雰囲気を醸し出すことができる。或いは、別の周回軌道をベルトコンベアとし、この上で寿司が載った台座10を移動させるようにしてもよい。
【0045】
(寿司降ろし装置60)
図22は、寿司降ろしのための軌道片1gの斜視図である。
寿司降ろし装置60は、走行玩具15の保持された寿司(軍艦巻き)を台座10と一緒に寿司台50の上に載せるものである。
寿司台50は、足50cが折り畳まれた状態で、凹部50bの短辺側の縁の壁が軌道片1g外側の凹溝7cに掛けられる。
この寿司降ろし装置60は、走行玩具15の動力を利用して、走行玩具15上の寿司を台座10と一緒に寿司台50上に移し替える。
この寿司降ろし装置60は、軌道片1gの上面に付設された凸条60aを備えている。凸条60aの上面は、走行玩具15の走行方向に向けて上り勾配を有している。凸条60aは、操作ロッド15hの下端と摺接し、走行玩具15の走行に伴って、操作ロッド15hを上動させる。そして、操作ロッド15hが上動すると、跳上げ板15eが起立する方向に回動する。そして、この跳上げ板15eの傾動により、回転軸15cに取り付けられた台座10が取り外され、取り外された台座10は跳上げ板15e上を滑り、寿司台50の上に載る。
【0046】
(全体動作)
走行玩具15は、軌道片1aの箇所でストッパ7aにより走行動作を止め、電源スイッチOFFの状態で走行玩具15は軌道片1aに設置されている。この状態で、舎利玉2が載せられた台座10が走行玩具15に取り付けられる。
【0047】
レバー7bの操作、電源スイッチをONして走行玩具15を走らせる。すると、走行玩具15は軌道片1cに至った所でストッパ7aにより走行動作を止められる。この状態では、走行玩具15の車輪15aは回ったままである。
また、この時、走行玩具15に取り付けられた舎利玉2が、海苔支持板30aから突出している板海苔3aに引っ付く。走行玩具15の回転軸15cの回転によって舎利玉2は回っているので、海苔支持板30aから板海苔3aが引き出され、舎利玉2に巻き付く。
【0048】
そして、板海苔3aが巻き終わったら、レバー7bを操作して、再び、走行玩具15を走らせる。すると、走行玩具15は軌道片1eに至った所でストッパ7aにより走行動作を止められる。この直前に、走行玩具15のホイールのハブ15iが摺接し、係止爪40rと被係止爪40nとの係合か解除され、突上げ部材40lがコイルばね40mの付勢力で上動してスプーン40cを動作させる。これにより、スプーン40cのカップ40eに保持されていたネタ4が舎利玉2上に載せられる。また、ネタ4が上手く落ちない場合には、押出しロッド40gを操作してネタ4を落とす。
【0049】
こうして、ネタ4が舎利玉2上に載せられたら、レバー7bを操作して、再び、走行玩具15を走らせる。すると、走行玩具15は軌道片1gに至り、凸条60aが操作ロッド15hの下端と摺接し、跳上げ板15eの傾動により、回転軸15cに取り付けられた台座10が取り外され、取り外された台座10は跳上げ板15e上を滑り、寿司台50の上に載る。
【0050】
(変形例)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、斯かる実施形態に限定されず、種々の変形が可能である。
【0051】
例えば、海苔支持板30aは、短冊状の板海苔3aを1枚ずつセットすることとしたが、多角柱とし、各面に板海苔3aを受容する凹部を形成しリボルバ式に構成し、多角柱を回転させることにより、1枚ずつ板海苔3aを繰り出すように構成することもできる。
【0052】
また、軌道片1c、1eのストッパ7aは、停車を自動で解除するように構成されていてもよい。すなわち、走行玩具15の停車から所定時間経過後に停車を解除するように構成されていてもよい。この場合、巻き始めを検出するために、レバー7bの動きを検知する検知手段を設けてもよい。
【0053】
また、軌道1の脇に、醤油その他のタレなど液体を入れた例えばスポイトを支柱に着脱可能に支持させておき、例えば手動にて舎利玉2とネタ4上に垂らすような構成を設けてもよい。
【0054】
さらに、板海苔3aの他にケーキ等の周囲に透明シートを巻き付け、上からトッピングするような場合にも適用できる。この場合、トッピングの場所を増やしてサンドイッチ状にトッピングを積層してもよい。
また、柱状体は食材に限らず、例えば、舎利玉やケーキその他の食材を模した食材模型等であってもよい。この場合、薄片も板海苔3eでなく食することができないものであってもよい。ただし、柱状体と薄片とはいずれかが粘性等を有し、好ましくは柱体側が粘性等を有し、薄片が柱状体に引っ付くものであることが好ましい。
【0055】
また、上記実施形態では、軍艦巻き5を作製したが、軌道片1eを除去して軌道1を構成したり、或いは、ネタ載せ装置40でネタ4を載せなかったりすることで、海苔巻きを作製することもできる。
【0056】
また、柱状体の形状も円柱体に限定されない。長円柱と角柱などの柱状のものに適用できる。但し、円柱体以外の柱状体の場合、柱状体の回転に伴って、当該柱状体の回転軸から当該柱状体と板海苔3aとの接触部までの距離が変化するので、その変化に追従しつつ適切な接触状態を保つように、押さえ部を弾性部材で形成したり、実施形態のようにばね付勢された押さえ部とすることが好ましい。
【符号の説明】
【0057】
1 軌道
1a~1h 軌道片
2 舎利玉
3 板海苔
3a 板海苔
5 軍艦巻き
10 台座
11 舎利成形具
15 走行玩具
20 切断機
21 下板
22 上板
40 タネ載せ装置
40i スライド部材
50 寿司台
60a 凸条
M モータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22