(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023155033
(43)【公開日】2023-10-20
(54)【発明の名称】ブース
(51)【国際特許分類】
E04B 2/74 20060101AFI20231013BHJP
【FI】
E04B2/74 561C
E04B2/74 541Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022064757
(22)【出願日】2022-04-08
(71)【出願人】
【識別番号】000107538
【氏名又は名称】株式会社UACJ
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(72)【発明者】
【氏名】石田 陽介
(72)【発明者】
【氏名】片庭 孝
(72)【発明者】
【氏名】権藤 隆範
(72)【発明者】
【氏名】小高 菜穂子
(72)【発明者】
【氏名】大上 亜弓
(72)【発明者】
【氏名】田垣内 孝夫
(57)【要約】
【課題】設置・撤去が容易で、設置スペースを有効活用でき、簡単に短時間で設置又は片づけることができるブースを提供することを目的とする。
【解決手段】ブース100は、第1の支柱11、第2の支柱12、第3の支柱13および第4の支柱14と、背面壁20と、正面壁30と、第1の側面壁40と、第2の側面壁50と、を備える。背面壁20は、第1の支柱11と第2の支柱12の間に配置されている。正面壁30は、背面壁20に向かい合い、第3の支柱13と第4の支柱14の間に配置されている。第1の側面壁40は、第1の支柱11と第3の支柱13の間に配置され、折り畳み可能である。第2の側面壁50は、第2の支柱12と第4の支柱14の間に配置され、折り畳み可能である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の支柱、第2の支柱、第3の支柱および第4の支柱と、
前記第1の支柱と前記第2の支柱の間に配置された背面壁と、
前記背面壁に向かい合い、前記第3の支柱と前記第4の支柱の間に配置された正面壁と、
前記第1の支柱と前記第3の支柱の間に配置され、折り畳み可能な第1の側面壁と、
前記第2の支柱と前記第4の支柱の間に配置され、折り畳み可能な第2の側面壁と、
を備えることを特徴とするブース。
【請求項2】
前記第1の支柱の下部に配置された第1のキャスターと、
前記第2の支柱の下部に配置された第2のキャスターと、
を備えることを特徴とする請求項1に記載のブース。
【請求項3】
前記第3の支柱の下部に配置された第3のキャスターと、
前記第4の支柱の下部に配置された第4のキャスターと、
を備えることを特徴とする請求項1または2に記載のブース。
【請求項4】
前記第1の側面壁は、第1の側面板と、第2の側面板と、前記第1の側面板と前記第2の側面板とを連結する第1の連結部と、を有し、
前記第2の側面壁は、第3の側面板と、第4の側面板と、前記第3の側面板と前記第4の側面板とを連結する第2の連結部と、を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載のブース。
【請求項5】
前記第1の連結部および第2の連結部は、ギア付きヒンジを有する、
ことを特徴とする請求項4に記載のブース。
【請求項6】
前記第1の側面壁を折り畳むアクチュエータを備える、
ことを特徴とする請求項1に記載のブース。
【請求項7】
前記ブースの内部であって、前記背面壁、前記正面壁、前記第1の側面壁または前記第2の側面壁の何れかに配置された吸音板を備える、
ことを特徴とする請求項1に記載のブース。
【請求項8】
前記背面壁の上部と前記正面壁の上部とに掛け渡されたバーと、
前記バーに取り付けられた消火装置と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載のブース。
【請求項9】
少なくとも4本の支柱と、
少なくとも4枚の側面壁と、を有し、
前記支柱の間にそれぞれ前記側面壁を配置することにより、内部に空間を形成するブースであって、
前記側面壁の少なくとも一対が、複数の側面板と、該側面板の一端部を他の側面板の一端部と同期可能に連結する連結部を有する、
ことを特徴とするブース。
【請求項10】
前記側面板を有する前記側面壁と前記支柱とが、前記連結部によって連結されている、
ことを特徴とする請求項9に記載のブース。
【請求項11】
前記連結部はギア付きヒンジを有する、
ことを特徴とする請求項9に記載のブース。
【請求項12】
前記連結部の外側にカバー材を有する請求項9に記載のブース。
【請求項13】
向かい合う前記側面壁の上端部又は下端部にそれぞれガイドレールを有すると共に、該ガイドレールを通る支持バーを有する、
ことを特徴とする請求項9に記載のブース。
【請求項14】
少なくとも2本の前記支柱は、下部にキャスターを備える、
ことを特徴とする請求項9に記載のブース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブースに関する。
【背景技術】
【0002】
オフィス、展示場及び公共施設等において、執務や打ち合わせ等を行うためのブースが設置されている。また、オフィスのフリーアドレス化や携帯端末やパソコン等のICT(Information and Communication Technology)を活用したモバイルワークが進展している。そのため、各種の移動先で小スペースのブースを利用して1人または2人程度で執務や打ち合わせ等を行う機会が増加している。このようなブースは、スモールオフィスとしても利用が可能である。
【0003】
特許文献1は、外部空間から離隔された内部空間を形成する隔壁を有するブースを開示する。このブースは、隔壁の一部に外部空間から内部空間に音を通過させる通音領域が設けられており、通音領域を被覆可能に隔壁に設置されると共に通音領域の開放割合を調節する遮蔽部材を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のブースは、壁面が固定式であるため、一旦設置してしまうと撤去することが困難で、特にブースを使用していないとき、ブースを設置しているスペースを他の用途に活用することが容易でないという問題がある。また、ブースの設置も容易ではなく、設置するための知識や技術を要し、設置する場合も非常に時間がかかるという問題がある
【0006】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、設置・撤去が容易で、設置スペースを有効活用でき、簡単に短時間で設置又は片づけることができるブースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係るブースの一様態は、
第1の支柱、第2の支柱、第3の支柱および第4の支柱と、
前記第1の支柱と前記第2の支柱の間に配置された背面壁と、
前記背面壁に向かい合い、前記第3の支柱と前記第4の支柱の間に配置された正面壁と、
前記第1の支柱と前記第3の支柱の間に配置され、折り畳み可能な第1の側面壁と、
前記第2の支柱と前記第4の支柱の間に配置され、折り畳み可能な第2の側面壁と、
を備える。
【0008】
また、上記目的を達成するために、本発明に係るブースの一様態は、
少なくとも4本の支柱と、
少なくとも4枚の側面壁と、を有し、
前記支柱の間にそれぞれ前記側面壁を配置することにより、内部に空間を形成するブースであって、
前記側面壁の少なくとも一対が、複数の側面板と、該側面板の一端部を他の側面板の一端部と同期可能に連結する連結部を有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、設置・撤去が容易で、設置スペースを有効活用でき、簡単に短時間で設置又は片づけることができるブースを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】実施の形態に係る第1から第4の支柱を示す分解図である。
【
図3】実施の形態に係る背面壁を示す分解図である。
【
図4】実施の形態に係るブースの折り畳み方法を説明する図である。
【
図5】実施の形態に係るブースの折り畳み方法を説明する図である。
【
図7】変形例に係るブースを折り畳んだ状態を示す図である。
【
図8】変形例に係るブースの保管方法を示す図である。
【
図10】変形例に係るブースを折り畳んだ状態を示す図である。
【
図11B】変形例に係るブースを折り畳んだ状態を示す図である。
【
図13】(A)および(B)は、変形例に係るギア付きヒンジを示す図である。
【
図15】(A)および(B)は、変形例に係るギア付きヒンジを示す図である。
【
図17】変形例に係るブースの閉じた状態を示す図である。
【
図18】変形例に係るブースのガイドレールを示す断面図である。
【
図21】実施例に係るブース内部で音が発生した場合の音量測定方法を示す図である。
【
図22】実施例に係るブース外部で音が発生した場合の音量測定方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態のブースについて説明する。
【0012】
本実施の形態のブース100は、
図1に示すように、第1の支柱11、第2の支柱12、第3の支柱13および第4の支柱14と、背面壁20と、正面壁30と、第1の側面壁40と、第2の側面壁50と、天井板60と、を備え、外部空間から離隔された内部空間を形成する。ブース100は、オフィス、展示場及び公共施設等において、執務または打ち合わせ等を行うために用いられる。その他、ブースとして想定される用途としては、ワークブース、サテライトオフィス、通信室、避難所、応急処置室、学童施設、楽器練習室、ランドリー室、更衣室、授乳室、オンライン医療室、瞑想室、仮設店舗、催事場、イベントハウス、移動事務所、移動休憩所、コーヒースタンド、チケット売り場、ガードマンボックス、海の家、ガレージ、スポーツ練習室、遺体安置室、隔離室、発熱病棟、仮設キャンプ用ロッジ、子供用プレイルーム、ゲームプレイ室、仮設住宅ができるまでの仮住まい、災害時の司令室、入浴場、料理場、キャンピングカー、オンライン面接場、バス、タクシー等の待合室などとして様々な用途を挙げることができる。
【0013】
第1の支柱11、第2の支柱12、第3の支柱13および第4の支柱14は、
図2に示すように、金属製の支柱であり、好ましくはアルミニウム合金、またはアルミニウム合金と公知の不燃材とを組み合わせた複合材料により作成される。また、第1の支柱11の下部に第1のキャスター15、第2の支柱12の下部に第2のキャスター16と、第3の支柱13の下部に第3のキャスター17、第4の支柱14の下部に第4のキャスター18が配置されている。これにより、ブース100を容易に移動することができる。第3のキャスター17および第4のキャスター18によって、第3の支柱13および第4の支柱14を背面壁20の方向に移動させることにより、第1の側面壁40および第2の側面壁50を容易に折り畳むことができる。または、第1のキャスター15および第2のキャスター16によって第1の支柱11および第2の支柱12を正面壁30の方向に移動させることにより、第1の側面壁40および第2の側面壁50を容易に折り畳むことができる。第1の支柱11および第2の支柱12は、背面壁20と一体形成されてもよい。また、第3の支柱13および第4の支柱14は、正面壁30と一体形成されてもよい。なお、キャスター数及び設置位置は特に制限されるものではなくブースの形状、動き、用途に応じて適宜調整でき、少なくとも2か所あればよい。
【0014】
背面壁20は、
図3に示すように、第1の支柱11と第2の支柱12との間に配置された、矩形形状を有するパネルであり、背面壁20は、不燃効果、断熱効果または防音効果のうち1つ以上の効果を有することが好ましい。具体的には、背面壁20は、アルミニウム合金、またはアルミニウム合金と公知の不燃材とを組み合わせた複合材料により作成される。背面壁20は、樹脂を含むアルミニウム合金の複合材で形成されている。背面壁20の下部には、ストッパー21が配置される。背面壁20は、ストッパー21により床または地面に固定される。これにより、背面壁20を確実に固定することができ、固定した背面壁20を起点にブース100の開閉を容易にすることができる。背面壁20に取り付けられた第1の支柱11から第2の支柱12までの幅Wは、例えば、1200mmである。また、背面壁20の高さHは、例えば、2000mmである。なお、本発明においてストッパー21は背面壁20を固定できるものであれば公知のものを使用することができ、
図3の例では背面壁20の中央下部に設けたが、これ以外にも、後述する第1と第2のキャスター15、16に通常備わっているタイヤを回転させないロック機構を利用し、支柱11と12に取り付けられたキャスターをロック機構で固定し、背面壁20を固定する等の方法を採用してもよい。
【0015】
図1に戻って、正面壁30は、背面壁20に向かい合い、第3の支柱13と第4の支柱14の間に配置され、扉を取り付ける開口部を有するドア枠31と、図示しないドアと、を備える。ドア枠31は、公知のブース向けドア材で構成でき、使用状態が分かるように好ましくは、ガラス等の透明又は半透明の素材で形成することができ、背面壁20と同様の素材を用いてもよい。
図1の正面壁30の素材は、ブース向けのガラス製のドアで構成されている。
【0016】
第1の側面壁40は、第1の支柱11と第3の支柱13の間に配置され、第1の側面板41と、第2の側面板42と、第1の側面板41と第2の側面板42を連結する第1のヒンジ(第1の連結部)43と、第1の側面板41と第1の支柱11とを連結する第3のヒンジ44と、第2の側面板42と第3の支柱13とを連結する第4のヒンジ45と、を有する。第1の側面板41は、第2の側面板42と同じ大きさである。この構成により、第1の側面壁40は、折り畳み可能である。また、第1の側面板41と第2の側面板42との間には、第1の側面板41と第2の側面板42とが合わさって平面になるように固定するためのロック機構(図示せず)が内部に設けられている。また、ブース100の奥行D1は、例えば、1200mmである。第1の側面板41と第2の側面板42とは、背面壁20と同様の素材が用いられている。
【0017】
第2の側面壁50は、第2の支柱12と第4の支柱14の間に配置され、第3の側面板51と、第4の側面板52と、第3の側面板51と第4の側面板52とを連結する第2のヒンジ(第2の連結部)53と、第3の側面板51と第2の支柱12とを連結する第5のヒンジ54と、第4の側面板52と第4の支柱14とを連結する第6のヒンジ55と、を有する。第3の側面板51とは、第4の側面板52と同じ大きさである。この構成により、第2の側面壁50は、折り畳み可能である。また、第3の側面板51と第4の側面板52との間には、第3の側面板51と第4の側面板52とが合わさって平面になるように固定するためのロック機構(図示せず)が内部に設けられている。第3の側面板51と第4の側面板52とは、背面壁20と同様の素材が用いられている。
【0018】
天井板60は、ブース100の天井部分に配置され、正面壁30の上部にヒンジ(図示せず)により回動可能に固定されている。なお、天井板60は、任意に取り付けられるものであり、天井板60を備えなくてもよい。また図示を省略するが、天井板60の取り付けは、ブース100の内部に天井板60を
図1の状態に固定する公知の固着機構が取り付けられている。
【0019】
つぎに、
図1のブース100の折り畳み方法について説明する。
【0020】
まず、作業者は、第1の側面壁40の第1の側面板41と第2の側面板42との間に設けられたロック機構、および第2の側面壁50の第3の側面板51と第4の側面板52との間に設けられたロック機構を解除する。
【0021】
つぎに、
図4に示すように、天井板60のロック機構を解除し、天井板60に連結したヒンジの回動を利用して下に折り畳み、天井板60を正面壁30側に折り畳む。次いで、正面壁30を背面壁20に向かって押すと、前述のそれぞれのヒンジの作用により、第1の側面板41および第2の側面板42と第3の側面板51および第4の側面板52とがそれぞれ内側に折り畳まれ、正面壁30を背面壁20に近づけることができる。
【0022】
そして、
図5に示すように、正面壁30を背面壁20にさらに近づけると、第1の側面板41および第2の側面板42と、第3の側面板51および第4の側面板52と、が完全に折り畳まれる。この状態でのブース100の奥行D2は、開いた状態のブース100の奥行D1の2分の1以下であり、好ましくは、奥行D1の5分の2以下であり、より好ましくは、奥行D1の3分の1以下、さらに好ましくは、奥行D1の5分の1以下である。
【0023】
なお、上記折り畳み時においてストッパー21は使用状況に応じて適宜解除できる。この場合、折り畳まれた状態でそのまま保持させたい場合はストッパーを外す必要はないが、折り畳み後、移動を行う場合には、事前にストッパー21を解除しておくことができ、適宜使用実態に応じて使用することができる。また、本発明のブース100には、移動、展開を容易にするため、取手や把手を取りつけることができるがこれらは特に制限されるものではない。
【0024】
折り畳んだブース100を移動するには、背面壁20の下部に配置されたストッパー21により床または地面に固定している場合、ストッパー21を解除する。これにより、ブース100は、第1から第4のキャスター15、16、17、18により容易に移動可能である。この状態で、ブース100を保管場所、またはつぎに使用する場所に移動する。本発明のブースによれば、折り畳み状態で移動させることができるので、省スペースでの移動・搬入が可能で、移動の作業性に非常に優れている。
【0025】
本発明のブースは、折り畳み状態で移動させた後、簡単に開いて使用することができる。以下、折り畳んだブース100を使用する場所に移動し、開く方法について説明する。
【0026】
ブース100を使用する場所に移動した後、下部に配置されたストッパー21により背面壁20を床または地面に固定する。
【0027】
つぎに、
図4に示すように、正面壁30を引張り、ブース100の正面になるように背面壁20から引き離す。この時、第1の側面板41および第2の側面板42と、第3の側面板51および第4の側面板52が徐々に開き、ブース100内にスペースができ、正面壁30を所定位置まで引っ張ることで、ブース100の内部には外部空間から離隔された内部空間が形成され、矩形状のスペースが形成される。この時、第1の側面板41と第2の側面板42とが合わさって平面になり、第3の側面板51と第4の側面板52とが合わさって平面になる。正面壁30にヒンジを介して取り付けられた天井板60をヒンジの回動方向に合わせ上方向に上に持ち上げ、内部からロック機構で固着することにより、天井板60を取り付ける。
【0028】
つぎに、第1の側面壁40の第1の側面板41と第2の側面板42との間に設けられたロック、および第2の側面壁50の第3の側面板51と第4の側面板52との間に設けられたロックにより第1の側面壁40および第2の側面壁50を固定する。これにより、第1の側面板41および第2の側面板42と、第3の側面板51および第4の側面板52とが平面状態で安定に固定される。これにより、ブース100が使用可能となる。
【0029】
以上のように、本実施の形態のブース100によれば、背面壁20と正面壁30と第1の側面壁40と第2の側面壁50とを備えることにより、外部空間から離隔された内部空間を形成し、オフィス、展示場及び公共施設等において、執務や打ち合わせ等を行うためのブースとして用いることが可能である。また、第1の側面壁40および第2の側面壁50が折り畳み可能であることで、ブース100を使用しないときに折り畳むことができるため、設置・撤去が容易で、設置スペースを有効活用できる。また、ブース100は、第1から第4の支柱11、12、13、14の下部に第1から第4のキャスター15、16、17、18を備えるため、容易に移動が可能である。これによりブース100を使用しない場合、倉庫などに容易に移動して、保管が可能である。
【0030】
(変形例)
上述の実施の形態では、ブース100が手動で折り畳み、および開く動作を実行するものである例について説明した。本発明のブースは、
図6に示すように、ブース200を折り畳み、および開く動作を実行するアクチュエータ70a、70bを備えてもよい。アクチュエータ70a、70bは、それぞれ、アクチュエータ本体71a、71bと、このアクチュエータ本体71a、71b内に出し入れ可能に設けられたロッド72a、72bと、を備え、モータまたはソレノイドを駆動源とする。アクチュエータ本体71a、71bの内部には、アクチュエータ本体71a、71bからロッド72a、72bを出し入れすることによってアクチュエータの長さを調節するソレノイド、またはモータおよびギア機構を備える。アクチュエータ本体71aの端部73aは、背面壁20に取り付けられ、ロッド72aの端部74aは、第1の側面板41に取り付けられている。アクチュエータ本体71bの端部73bは、背面壁20に取り付けられ、ロッド72bの端部74bは、第3の側面板51に取り付けられている。アクチュエータ70a、70bはアクチュエータ本体71aの端部73aからのロッド72a、72bの出し入れの動作により長さを調節し、長さを短くすると、
図7に示すように、第1の側面壁40の第1の側面板41および第2の側面板42と、第2の側面壁50の第3の側面板51および第4の側面板52と、が折り畳まれる。また、アクチュエータ70a、70bが、ロッド72a、72bを引き出すことにより、ロッド72a、72bによって側面板が押され、折り畳んだブース200を開くことができる。以上のように、アクチュエータ70a、70bを備えることで、電動でブース200を折り畳み、また、開くことが電動化できるため利便性が向上する。なお、アクチュエータ70a、70bは、電動以外の油圧または空気圧などにより駆動されてもよい。また、
図8に示すように、収容スペース1000に収容する際、アクチュエータ70a、70bが、ロッド72a、72bを引き出すことで、収容スペース1000とブース200との隙間がなくなり、地震発生時等においても収容スペース1000の中でブース200が動くことなく収容可能となる。また、同様に、トラック等の荷台にブース200を積載して運搬する際にも同様に調整することができ、ブース200が荷台内で動くことなく積載可能となる。
【0031】
また、上述の実施の形態のブース100では、背面壁20に取り付けられたストッパー21により床または地面に固定される例及びキャスターのロック機構でストッパーの役割りを担ってもよい旨について説明したが、実施の形態のブース200でも同様に、背面壁20を床または地面に固定することができればよい。例えば、第1の支柱11の下部の第1のキャスター15および第2の支柱12の下部の第2のキャスター16は、ロック機構付きキャスターであってもよい。ロック機構によりキャスターの動きを止めることができこれが実質的に背面壁20を固定し、この場合、ストッパー21が無くても、背面壁20が床または地面に固定可能である。
【0032】
また、上述の実施の形態のブース100では、天井板60の上には、何も設けられていない例について説明した。例えば、
図9に示すように、天井板60の上に消火装置61を配置してもよい。この場合、ブース100-2は、消火装置61を設置することにより連結し、かつ背面壁20と正面壁30に掛け渡された構成になるバー62と、背面壁20の上部に形成された第1のレール63と、正面壁30の上部に形成された第2のレール64と、を備える。バー62の一端部62aは、第1のレール63に摺動可能に取り付けられている。バー62の他端部62bは、第2のレール64に摺動可能に取り付けられている。ここで、バー62はメインバー66a及びメインバー66bの独立した部品と、一端部がメインバー66aに回動可能に取り付けられるとともに、他端部が第1のレール63に摺動可能に取り付けられている第1の補助バー65と、一端部がメインバー66bに回動可能に取り付けられるとともに、他端部が第2のレール64に摺動可能に取り付けられている第2の補助バー66がそれぞれ取り付けられ、消火装置61を支持している。この構造により、
図10に示すように、消火装置61およびバー62を取り付けたまま、側面壁の形状のバランスが常に安定した状態でブース100-2を折り畳むことが可能で、安定して展開、折り畳むことができる。
【0033】
また、ブース100-2は、更に
図11Aに示すように、第1のロック板46および第2のロック板56を適宜備えたブース100-3の構成としてもよい。このようにすることで、ブース100-3の使用時に、第1の側面壁40および第2の側面壁50を平面に保つことができる。また、天井板60の上に配置した消火装置61を目立たなくすることで、見た目を向上することができる。ここで第1のロック板46および第2のロック板56は、着脱可能に設けられており、展開、折り畳む際には外して使用することができる。そして、ブース100-3のように折り畳んだ場合、
図5のD2方向に開かないようにするために、第1のロック板46および第2のロック板56をそれぞれ短辺をD2方向に合わせると共に、長辺をブースの高さ方向に前後の側面板を同時に当接させて係止させるように設けることにより、側面壁の折り畳み部分に短辺がD2に位置するように縦型に取り外し可能に固定すれば、ブースが勝手に開閉するのを防げる等、安全面での信頼性を向上させることができる。また、
図11Aのブース100-3の例においては、正面壁30と背面壁20の所定の位置にハンドル94が設けられ、折り畳み、開閉を容易にできるように構成されている。キャスターもブース100に比べて支柱が細いことから外部から見えるような構成になっているが、これら構成は本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて適宜変更することができる。
【0034】
本発明のブースは、
図12に示すように、内部に換気扇81と、換気扇スイッチ82と、照明スイッチ83と、電源84と、LAN(Local Area Network)ポート85と、吸気レジスター86と、テーブル87と、を備えてもよい。照明スイッチ83は、天井板60に取り付けられた図示しない照明をON、OFFするものであり、好ましくは調光機能を備える。電源84は、コンセントまたはUSB(Universal Serial Bus)を含む。テーブル87は、折り畳み式であり、ブース100を折り畳む際に干渉しないようにすることができる。また、ブース100内には、椅子88が配置される。このようにすることで、ブース100を執務や打ち合わせ等を行うためのスペースとして快適に用いることが可能である。これらはブースの用途に応じて適宜変更することができ、特に制限されるものではない。
【0035】
本発明のブースは、第1の側面壁40の第1の側面板41と第2の側面板42とを連結する第1のヒンジ43と、第2の側面壁50の第3の側面板51と第4の側面板52とを連結する第2のヒンジ53と、に
図13(A)および
図13(B)に示すように、ギア付きヒンジ201を用いてもよい。ここで、ギア付きヒンジ201は、第1のギア210と、第1のギア210に取り付けられた第1の取付部211と、第2のギア220と、第2のギア220に取り付けられた第2の取付部221と、第1のギア210と第2のギア220を覆うカバー材230と、を有する。第1の取付部211は、第1の側面板41または第3の側面板51に所定の方法で取り付けられる。第2の取付部221は、第2の側面板42または第4の側面板52に所定の方法で取り付けられる。このようにすることで、ブース100を折り畳み、および開く動作をより容易に実行することが可能となる。ギアが回転に与える抵抗によって安定して開閉ができる。
【0036】
ここで、安定した開閉とは、第1の側面壁40と第2の側面壁50の開閉がバランスを保って対称的に展開し、ブースを展開したり折り畳む際の形状のバランスが安定することを意味する。これは本発明のブース内部に矩形の空間を形成する場合、開閉時に加わる力及び方向によっては、第1と第2の側面壁40、50とに伝わる力が異なる場合があり、伝わる力が大きく異なると、矩形が平行四辺形等の対称性を欠いた形にゆがむ可能性があり、安定して展開、折り畳むことが困難になる。このため、ブースの設置、撤去に非常に時間がかかる等の影響がでる。このような現象は、特に、ギア付でないヒンジを使用した場合に起こり得、側面壁を構成する側面板の一方を動かしても、一方の側面板に結合しているヒンジ部分と他方の側面板に結合しているヒンジ部分とがギアで歯合しておらず、ヒンジ部分同士に同期関係がないことが一因である。このように側面壁全体として部分的に力をかけた場合、動く部分と動かない部分が混在し、同一のヒンジによって連結される側面板同士が同期せず、ブースの展開、折り畳み時の動作が安定しない可能性がある。そこで、本発明においては、第1と第2の側面壁40、50の連結は、ギア付きヒンジ201を用い、側面壁を構成する側面板の一方を動かすと、一方の側面板に結合している第1の取付部211に取り付けられた第1のギア210と他方の側面板に結合している第2の取付部221に取り付けられた第2のギア220が歯合しているため、1つの第1と第2のヒンジ43、53として左右対称に設けられる第1と第2の取付部211、221を同期させることができる。これにより、側面壁を構成する側面板の一方を動かすと、これに連結する他方の側面板もギア付きヒンジ201により歯合しているため、側面壁全体として動く部分と動かない部分の混在をさけられるので、展開、折り畳み時の形状を安定させることができる。
【0037】
また、本発明のブースは、
図6に示すように、背面壁20、第1の側面壁40および第2の側面壁50にそれぞれ吸音板91、92、93を備えてもよい。このようにすることで、ブース100の内で発生した音が吸収されるため、ブース内で、web会議などで発声した音またはスピーカから発声した音が漏れにくい。また、ブースの外で発生した音が吸収され、ブースで、執務や打ち合わせ等を快適に行うことが可能である。なお、吸音板91、92、93は、背面壁20、正面壁30、第1の側面壁40または第2の側面壁50のうち少なくとも1つに配置されればよく、この場合、防音効果が得られる。また、吸音板の他に側面壁の連結部分について、カバー材(シール材)を使用することで更なる防音効果を期待できる。ギア付きヒンジ201を使用することにより、その構成にヒンジ部分を包含するカバー材230を有するので、このカバー材230の効果で、より一層の周囲からの埃や音が漏れない効果も期待できる。
【0038】
また、本実施の形態のブース300は、
図14に示すように、少なくとも4本の支柱311、312、313、314と、少なくとも4枚の側面壁320、330、340、350とを有し、各支柱311、312、313、314の間にそれぞれ側面壁320、330、340、350が配置され、内部に空間が形成されるようになっている。なお、ブース300は、ブース100と同様に天井板が取り付けられてもよく、同様の構成とすることができるが、本開示において天井板は必須ではなく、ブースの使用用途、設置環境等に応じて適宜設置を決定することができ、着脱可能に設けることもできる。
【0039】
本実施の形態のブース300は、側面壁320、330、340、350の少なくとも一対が、複数の側面板341、342、351、352と、側面板341、351の一端部を他の側面板342、352の一端部と同期可能に連結する連結部343、353とを有するものである。これら側面壁340、350はブースの形状に合わせて対称になるように形成され、実質同一の形状を有するので、
図15(A)および
図15(B)に示す例では、側面壁340のみの構成を示し、他方の側面壁350の記載は省略する。
【0040】
図15(A)および
図15(B)に示す例は、ギア付きヒンジ360の側面図で、側面壁340を構成する2枚の側面板341、342の連結部分を示す部分拡大図であり、連結部343として、長尺のギア付きヒンジ360によって連結されている。
【0041】
ここで、ギア付きヒンジ360は、2つのヒンジ部分361、362と、これら2つのヒンジ部分を歯合状態に保持するカバー材363とから構成されている。図示の例ではヒンジ部分361、362は左右対称で、一方先端部に設けられた複数の歯364、365を歯合させた状態でカバー材363が歯364、365を保持し、他方のヒンジ部分361、362が同期し、回転可能に設けられている。他方のヒンジ部分361、362は、各側面板又は支柱を連結する部分で、その長さ方向のヒンジ部分には、適宜複数の孔が設けられており(図示は省略する)、側面板を取り付ける際、この孔を使用することにより、ビス、ナット等で側面板又は支柱に取り付ける構成になっている。
【0042】
このギア付きヒンジ360を使用して側面壁340を得るには、2枚の側面板341、342をそれぞれヒンジ部分361、362に取り付ければよく、取り付けは公知の方法で行うことができ、連結方法については特に制限されるものではない。
【0043】
以上のようにして形成された側面壁340は、2枚の側面板341、342がギア付きヒンジ360で連結された構成になっているので、側面壁340として一方の側面板341を動かすと、この一方の側面板341と連結するヒンジ部分361も動き、更にこのヒンジ部分361と歯合する他方のヒンジ部分362と、更にこのヒンジ部分362と連結する他の側面板342も同期して動く。従って、側面壁340を展開又は折り畳む為に側面板341、342を連結する場合でも、側面壁340全体として、ギア付でないヒンジを使用する場合のように、動く部分と動かない部分が混在することが避けられ、展開、折り畳み時の形状のバランスがよく、安定に回転させることができる。
【0044】
更に、この側面壁340は、側面板341、342同士の連結部分と反対側にある他端部が支柱に取り付けられ、この取り付けにも上記と同様にギア付きヒンジが使用されている。従ってこの場合、側面板341、342が動くと、支柱は動かず、支柱に取り付けられた側面板341、342のみが回転するので側面板341、342展開形状の対称性が更に高まり、安定して展開、折り畳みを行うことができる。この場合、側面板341、342を具備しない側面壁320、330は側面壁340、350の動きに同期しないので、ブース全体の形状が安定し、安全かつ簡単に展開、折り畳みを行うことができる。
【0045】
従って、本発明のブース300は、開閉時に加わる力及び方向が安定し、簡単かつ安定して取り付けることができる。従って、懸念される開閉時に加わる力及び方向によって、側面壁340と350とに伝わる力が異なる場合、平行四辺形等の対称性を欠いた形にゆがむ等、対称性を保って展開、折り畳むことが困難になり、場合によっては危険を伴うことが抑制できる。
【0046】
本発明のブース300は、連結部343にカバー部材を用いることが好ましく、これにより、内部にチリや埃等が入ってくることが避けられる上、防音効果も期待できる。
【0047】
ここで、カバー材363は通常ヒンジ部分をカバーできる部材であればよいが、本発明においては、ギア付きヒンジを好適に用いることができる。即ち、
図15(A)および
図15(B)に示されるように、ギア付きヒンジ360は、2つのヒンジ部分361、362と、これら2つのヒンジ部分361、362を歯合状態に保持するカバー材363とから構成されている。このカバー材363の部分をカバー部材として使用すれば、構造部品点数も少なくでき、ブースの軽量化にも貢献する。
【0048】
ここで、カバー材363は、ギア付きヒンジ360の構成に応じて適宜配置できる。
図15(A)および
図15(B)に示すギア付きヒンジ360を使用する場合は、カバー材363の位置を側面板同士の連結の場合はブース300の外側、側面壁340を支柱と連結する場合は、ブース300の内部にそれぞれ位置させるようにすることが構造上好ましいが、ギア付きヒンジ360の可動領域によって適宜調整することができる。
【0049】
上述の実施の形態のブース300では、回転をスムーズかつ簡単にするために、更に、一方の側面壁の上端部又は下端部にガイドレールを設け、このガイドレールを通り、自身が回転させて側面壁の折り畳み構造を補助するバーを有する構成としてもよい。
【0050】
また、上述の実施の形態のブース300では、天井板の上に、何も設けられていない例について説明したが、一方の側面壁の上端部又は下端部にガイドレールとバーを設け、当該ガイドレールにバーの一端部が摺動または移動し、バー自身が回転する機構を設けてもよい。
【0051】
図16にガイドレール461、462と支持バー463、464を設けた構造の例を示す。即ち、
図16に示すブース400の上面図で、ブース300と同様の支柱411~414、側面壁420~450、連結部を有している。
図16はブース400を開いた場合、
図17は閉じた場合を示す。ここで、前後に配置された側面壁420、430は、ドア(図示せず)を有する側面壁420と、この側面壁420に対向状態に配置される側面壁430と、折り畳み部分を構成する一対の側面壁440からなる。そして、側面壁420、430の上端部にそれぞれガイドレール461、462が設けられている。また、
図18に示す支持バー463、464の一端部463a、464aには、ガイドレール461、462の内部を移動する回転体463b、464bが摺動可能に取り付けられ、支持バー463、464が回転可能に設けられている。一方、支持バー463、464の他端部近傍には、保持バー465、466がそれぞれ回転可能に取り付けられると共に保持バー465、466の他端部はガイドレール461、462を摺動可能に設けられている。なお、破線部467は消火装置であり、
図16の例では、消火装置を支持バー463、464に載置することで、バー全体が均一に保持され、安定な形状保持によるブース400の展開、折り畳みの動きに寄与させることができる。
【0052】
バーの形状は特に制限されず、シリンダー等を利用して設けることもできる。
図19おおび
図20にそれぞれ示すように、ブース400は、支持バー470または支持バー471、472を備えてもよい。これらの支持バー470、471、472は伸縮可能に設けられ、ガイドレール461、462を通る構成は
図16の例と同じだが、支持バー470、471、472自体が径の異なるシリンダーで構成され、伸縮可能に設けられている。これらバーを使用することによりブース400の組み立て、展開がより安定に保持できる。
【0053】
更に、ブース300、400は、前述のブース100と同様に、適宜、ストッパー、キャスター、ロック付キャスター、アクチュエータ等を設けてもよく、これら設置はブース100と同様に行うことがきる。特にアクチュエータは、
図6で述べたように、所定の位置に固定され、ブースの展開を自動化するのに役立つ。
【0054】
更に、ブース300、400も、ブース100と同様、
図11Aに示すように、第1のロック板46および第2のロック板56を適宜備えたブース100-3と同様に適宜構成としてもよい。このようにすることで、ブース100-3の使用時に、第1の側面壁40および第2の側面壁50を平面に保つことができる。また、天井板60の上に配置した消火装置61を目立たなくすることで、見た目を向上することができる。また、ブース100-3を折り畳んだ際、
図11Bに示すように、第2のロック板56を第2の支柱12と第4の支柱14との間に固定することができる。第1のロック板46についても同様に、第1の支柱11と第3の支柱13との間に固定することができる。第1のロック板46と第2のロック板56の構成が同じであれば、取り付け・取り外しは特に制限されるものではない。更に
図1~
図13で開示した各種構成要件を適宜設置することができる。
【実施例0055】
以下に、本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0056】
図21に示すように、ブース100の内部で生じた音が内部で反響する音および外部に漏れる音量を以下の方法により、吸音板91、92、93有り無し、天上板有り無しの4パターンを測定し比較した。吸音板91、92、93として、塩化ビニル樹脂およびガラスクロス複合材料により作成された3M社製のダイノックフィルムを用いた。
【0057】
背面壁20からの距離D3が500mm、床からの高さ740mmの位置に音源510を配置した。また、背面壁20からの距離D4が830mm、床からの高さ740mmの位置に騒音計520を配置した。また、第2の側面壁50からの距離D5が500mm、床からの高さ740mmの位置に騒音計521を配置した。この状態で音源510から1000Hzの音を発生し、騒音計520、521で音量を測定した。測定結果を以下に示す。測定結果は、dBで示す。かっこ内は天上板 無、吸音板 無の場合との差である。
【0058】
【0059】
【0060】
音源:内部、騒音計:内部で測定した結果、天上板 無、吸音板 有の場合が最も測定した音量が小さかった。これは、吸音板が音を吸収し、天上から外部に音が流出したと思われる。音源:内部、騒音計:外部で測定した結果、天上板 有、吸音板 有の場合が最も測定した音量が小さかった。これは、吸音板が音を吸収し、天上板により外部への音漏れを防いでいるためと思われる。
【0061】
つぎに、
図22に示すように、ブース100の外部で生じた音が内部に到達する音量を以下の方法により、吸音板91、92、93有り無し、天上板有り無しの4パターンを測定し比較した。吸音板91、92、93として、3M社製のダイノックフィルムを用いた。
【0062】
第2の側面壁50からの距離D6が500mm、床からの高さ740mmの位置に音源511を配置した。また、背面壁20からの距離D4が830mm、床からの高さ740mmの位置に騒音計520を配置した。この状態で音源511から1000Hzの音を発生し、騒音計520で音量を測定した。測定結果を以下に示す。測定結果は、dBで示す。かっこ内は天上板 無、吸音板 無の場合との差である。
【0063】
【0064】
音源:外部、騒音計:内部で測定した結果、天上板 有、吸音板 有の場合が最も測定した音量が小さかった。これは、吸音板が音を吸収し、天上板により外部からの音を遮ったためと思われる。また、天上板 有、吸音板 無の場合、天上板があることで、音が反響しているためと思われる。
【0065】
以上のように、天上板有り、吸音板ありの場合、外部で発生した音が内部に到達しにくく、内部で発生した音が外に漏れにくい結果が得られた。このことから、天上板有り、吸音板ありの場合、ブース100内で、web会議などで発声した音またはスピーカから発声した音が外部に漏れにくいことがわかった。また、ブース100の外で発生した音が吸収されるため、ブース100内で、執務や打ち合わせ等を快適に行うことが可能であることがわかった。また、上述の実施例では背面壁20、第1の側面壁40および第2の側面壁50にそれぞれ吸音板91、92、93を備えたが、吸音板91、92、93は、背面壁20、正面壁30、第1の側面壁40または第2の側面壁50のうち少なくとも1つに配置されればよく、この場合、防音効果が得られると考えられる。
【0066】
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、この発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。すなわち、本発明の範囲は、実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、この発明の範囲内とみなされる。