(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023155057
(43)【公開日】2023-10-20
(54)【発明の名称】除塵システム
(51)【国際特許分類】
F24F 9/00 20060101AFI20231013BHJP
E06B 3/90 20060101ALI20231013BHJP
E06B 3/40 20060101ALI20231013BHJP
F24F 7/06 20060101ALN20231013BHJP
【FI】
F24F9/00 G
E06B3/90
E06B3/40
F24F7/06 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022064804
(22)【出願日】2022-04-08
(71)【出願人】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162031
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 豊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100175721
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 秀文
(72)【発明者】
【氏名】古川 修三
(72)【発明者】
【氏名】原田 真宏
(72)【発明者】
【氏名】久保田 貴之
(72)【発明者】
【氏名】森 豊
【テーマコード(参考)】
2E014
2E015
3L058
【Fターム(参考)】
2E014EB07
2E015HA01
3L058BF04
(57)【要約】
【課題】回転ドアを通行する対象者の除塵を効果的に行うことが可能な除塵システムを提供する。
【解決手段】対象者Pが通行する歩行空間Sを形成すると共に回転可能な回転体(回転軸4及び回転パネル5)を有する回転ドア1に設けられ、前記回転ドア1を通行する対象者Pの除塵を行う除塵システム100であって、空気を送り出す送風機120と、前記回転体に設けられ、前記送風機120からの空気を前記歩行空間Sに向けて吹き出す送風口112と、を具備した。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者が通行する歩行空間を形成すると共に回転可能な回転体を有する回転ドアに設けられ、前記回転ドアを通行する対象者の除塵を行う除塵システムであって、
空気を送り出す送風機と、
前記回転体に設けられ、前記送風機からの空気を前記歩行空間に向けて吹き出す送風口と、
を具備する除塵システム。
【請求項2】
前記回転体は、
前記歩行空間を区画する回転パネルを含み、
前記送風口は、
前記回転パネルに設けられる、
請求項1に記載の除塵システム。
【請求項3】
前記回転体は、
回転軸を含み、
前記送風口は、
前記回転軸に設けられる、
請求項1又は請求項2に記載の除塵システム。
【請求項4】
前記回転ドアの床に配置され、前記対象者から除去された粉塵を回収する回収部をさらに具備する、
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の除塵システム。
【請求項5】
前記送風機は、
前記回収部を介して前記歩行空間内の空気を吸引し、前記送風口へと空気を送り出す、
請求項4に記載の除塵システム。
【請求項6】
前記送風機は、
前記回転体に設けられる、
請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の除塵システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人に付着した粉塵を除去する除塵システムの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、人に付着した粉塵を除去する除塵システムの技術は公知となっている。例えば、特許文献1に記載の如くである。
【0003】
特許文献1には、回転ドアを通過する人に対して風を吹き付けることで、当該人に付着した粉塵を除去する除塵システムが開示されている。具体的には、特許文献1には、側壁と、側壁の内側の空間を複数の歩行空間に区画する回転パネルと、を具備する回転ドアが開示されている。回転ドアの側壁には、風を吹き出すことが可能な送風口(空気吹き付け手段)が設けられる。歩行空間を通行する人に対して、送風口からの風が吹き付けられることで、人に付着した粉塵を除去することができる。
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では送風口が側壁に固定されているため、歩行空間を通行する人に対して偏った方向から風を吹き付けることしかできず、全身に付着した粉塵を効果的に除去できない可能性がある点で改善の余地があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、回転ドアを通行する対象者の除塵を効果的に行うことが可能な除塵システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
即ち、請求項1においては、対象者が通行する歩行空間を形成すると共に回転可能な回転体を有する回転ドアに設けられ、前記回転ドアを通行する対象者の除塵を行う除塵システムであって、空気を送り出す送風機と、前記回転体に設けられ、前記送風機からの空気を前記歩行空間に向けて吹き出す送風口と、を具備するものである。
【0009】
請求項2においては、前記回転体は、前記歩行空間を区画する回転パネルを含み、前記送風口は、前記回転パネルに設けられるものである。
【0010】
請求項3においては、前記回転体は、回転軸を含み、前記送風口は、前記回転軸に設けられるものである。
【0011】
請求項4においては、前記回転ドアの床に配置され、前記対象者から除去された粉塵を回収する回収部をさらに具備するものである。
【0012】
請求項5においては、前記送風機は、前記回収部を介して前記歩行空間内の空気を吸引し、前記送風口へと空気を送り出すものである。
【0013】
請求項6においては、前記送風機は、前記回転体に設けられるものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の効果として、回転ドアを通行する人の除塵を効果的に行うことができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】(a)本発明の第一実施形態に係る除塵システムを示した平面模式図。(b)同じく、側面模式図。
【
図2】(a)対象者の除塵を行う様子を示した側面模式図。(b)同じく、平面模式図。
【
図3】(a)第一実施形態の変形例に係る除塵システムを示した側面模式図。(b)同じく、平面模式図。
【
図4】(a)本発明の第二実施形態に係る除塵システムを示した平面模式図。(b)同じく、側面模式図。
【
図5】(a)第二実施形態に係る外周側送風部を示した斜視模式図。(b)対象者の除塵を行う様子を示した側面模式図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下の説明においては、図中に記した矢印に従って、前後方向、左右方向及び上下方向をそれぞれ定義する。また、各図は本実施形態を模式的に示したものであり、説明の便宜上、各部の図示を適宜省略し、また、実際の形状等を簡略化して図示している。
【0017】
まず、本発明の第一実施形態に係る除塵システム100が適用される回転ドア1の構成について説明する。
【0018】
回転ドア1は、区画された2つの空間を行き来するための出入口に設けられる。本実施形態では一例として、屋外と屋内(所定の建物内)との間を行き来するための出入口に回転ドア1が設けられている例を示している。回転ドア1は、主として固定壁部2、天井部3、回転軸4及び回転パネル5を具備する。
【0019】
固定壁部2は、後述する回転パネル5を収容する空間を形成するものである。固定壁部2は、平面視略円形状の空間を囲むように、略円筒状に形成される。固定壁部2の前後両端部は、人が内側を通行できるようにそれぞれ開口部が形成されている。以下、後側(屋外側)の開口部を屋外側出入口2a、前側(屋内側)の開口部を屋内側出入口2bとそれぞれ称する。
【0020】
天井部3は、固定壁部2の内側の空間を上方から覆うように形成される部分である。天井部3は、固定壁部2の上端部に設けられる。
【0021】
回転軸4は、後述する回転パネル5を回転可能に支持する部分である。回転軸4は、回転ドア1の床から天井部3に亘って上下に延びるように配置される。回転軸4の上下両端部は回転可能となるように支持される。
【0022】
回転パネル5は、固定壁部2の内側の空間を区画することで、歩行者が通行する歩行空間Sを形成するものである。回転パネル5は、回転軸4と一体的に回転可能となるように、回転軸4に固定される。このように本実施形態では、回転軸4と回転パネル5とが一体的に回転する回転体を構成している。回転パネル5は、平面視において回転軸4から外側に向かって放射状に延びるように4つ設けられる。回転パネル5は、回転軸4の回りに等間隔(90度間隔)に配置される。4つの回転パネル5によって、4つの歩行空間Sが形成される。回転パネル5は、骨格を成すフレームや、透過性を有するガラス等により形成される。なお、回転パネル5の個数は特に限定するものではない。
【0023】
このように構成された回転ドア1において、屋外側出入口2a又は屋内側出入口2bのうち一方から進入してきた歩行者は、回転パネル5を回転させながら他方の出入口へと通行することができる。なお、回転パネル5を回転させる構成としては、歩行者が自力で回転させる構成(手動回転ドア)、図示せぬ駆動源(モータ等)により自動的に回転させる構成(自動回転ドア)、歩行者が自力で回転させるのを駆動源からの動力でサポートする構成(セミオート回転ドア)等を適宜採用することができる。
【0024】
次に、上述の如く構成された回転ドア1に採用される除塵システム100について説明する。
【0025】
除塵システム100は、対象となる歩行者(便宜上、以下では「対象者P」と称する)に付着した粉塵を除去するものである。ここで、粉塵とは、花粉等の空気中に浮遊する粒子を指す。粉塵には、花粉の他に砂塵や微小なホコリ、PM2.5(粒径2.5μm以下の粒子状物質)等の粒子が含まれる。
【0026】
除塵システム100は、主として外周側送風部110、送風機120、電磁弁130、グレーチング140、プレフィルタ150、人感センサ160、回転位置センサ170及び制御部180を具備する。
【0027】
外周側送風部110は、後述する送風機120から送られてくる空気を歩行空間Sに向けて吹き出すものである。外周側送風部110は、主として本体部111及び送風口112を具備する。
【0028】
本体部111は、後述する送風口112へと空気を案内する筐体である。本体部111は、上下に長い箱状に形成される。本体部111は、回転パネル5の外周側端部に固定される。
【0029】
送風口112は、歩行空間Sへと空気を吹き出す開口部である。送風口112は、本体部111の側面に設けられる。送風口112は、上下に並ぶように複数(図例では3つ)設けられる。送風口112は、平面視において歩行空間Sの略中央を向くように形成される。
【0030】
上述のように構成された外周側送風部110は、各回転パネル5の両面にそれぞれ設けられる。これによって、1つの歩行空間Sに対して2つの外周側送風部110(2方向)から空気を吹き出すことができるように構成される。
【0031】
本実施形態においては、後述する送風機120から外周側送風部110へと空気を案内するための風路(配管等)が、回転軸4及び回転パネル5内に形成されている(不図示)。送風機120からの空気は、回転軸4及び回転パネル5を介して外周側送風部110へと案内される。なお、当該風路(配管等)は、回転軸4及び回転パネル5に内蔵される必要はなく、例えば回転軸4等とは異なる部材により形成することも可能である。
【0032】
送風機120は、外周側送風部110へと空気を送り出すものである。送風機120は、適宜のファンの動作により空気を送り出すことができる。送風機120は、当該ファンの動作を制御することにより、吹き出される空気の量(風量)等を任意に変更することができる。送風機120は、回転ドア1の外部(例えば回転ドア1の床下等)に配置される。
【0033】
送風機120は、送風配管121及び接続部122を介して回転軸4に形成された前記風路と連通されている。接続部122は、送風配管121と、回転軸4と、を相対的に回転可能となように接続している。接続部122には適宜のシール部材が設けられ、隙間から空気が漏れ出すのを防ぐことができる。
【0034】
また送風機120は、吸引配管123を介して後述するプレフィルタ150と接続されている。送風機120は、プレフィルタ150及び吸引配管123を介して吸引した空気を、送風配管121を介して回転軸4へと送り出すことができ、ひいては外周側送風部110へと空気を送ることができる。
【0035】
電磁弁130は、送風機120から外周側送風部110への空気の供給の可否を切り換えるものである。電磁弁130は、例えば外周側送風部110の上端部(回転パネル5の風路と、外周側送風部110との接続部分)に設けられる。電磁弁130を開閉させることで、送風機120と外周側送風部110とが連通した状態と、連通が遮断された状態とを切り換えることができる。例えば、電磁弁130を開いた状態で送風機120を作動させると、外周側送風部110から風を吹き出すことができる。また電磁弁130を閉じた状態では、送風機120を作動させても外周側送風部110から風が吹き出すことはない。
【0036】
また電磁弁130は、各外周側送風部110への空気の供給の可否を個別に切り換えることができる。このように構成することによって、各歩行空間Sへの空気の吹き出しを、個別に制御することができる。
【0037】
グレーチング140は、歩行空間Sにおいて対象者Pから除去された粉塵を回収するものである。グレーチング140は、回転ドア1の床に設けられる。グレーチング140は、上下に貫通する複数の孔を有する格子状に形成される。このように構成することによって、対象者Pから除去されて床に落下した粉塵を、グレーチング140のさらに下方(床下空間)へと落下させることができる。
【0038】
プレフィルタ150は、空気中の粉塵を除去するものである。プレフィルタ150は、グレーチング140の下方に配置される。プレフィルタ150には、送風機120の吸引配管123が接続される。
【0039】
このように構成することによって、送風機120は、グレーチング140及びプレフィルタ150を介して歩行空間Sの空気を吸引することができる。またこの際、空気中に含まれる粉塵をプレフィルタ150で除去することができる。
【0040】
人感センサ160は、回転ドア1を通行する対象者Pの有無を検出するものである。人感センサ160としては、例えば赤外線センサ、超音波センサ等を用いることができる。人感センサ160は、対象者Pを検出することができるものであれば、その検出方式は限定するものではない。人感センサ160は、各回転パネル5にそれぞれ設けられる。これによって人感センサ160は、4つの歩行空間Sに対象者Pが存在するか否かを検出することができる。
【0041】
回転位置センサ170は、回転体(回転軸4及び回転パネル5)の回転位置を検出するものである。回転位置センサ170としては、例えば回転角センサ等を用いることができる。回転位置センサ170は、例えば回転軸4の回転角度を検出可能となるように設けられる。
【0042】
上述の人感センサ160による検出結果と、回転位置センサ170による検出結果を組み合わせることで、回転ドア1を通行する対象者Pが、回転ドア1におけるどの位置を通行しているのか(例えば、屋外側出入口2a近傍なのか、屋内側出入口2b近傍なのか、等)を判定することができる。
【0043】
制御部180は、除塵システム100に関する制御を行うものである。制御部180は、CPU等の演算処理装置、RAMやROM、HDD等の記憶装置等により構成される。制御部180は、任意の場所に配置することができる。
【0044】
制御部180は、人感センサ160及び回転位置センサ170に接続され、各センサの検出結果を取得することができる。また制御部180は、送風機120及び電磁弁130に接続され、送風機120及び電磁弁130の動作を制御することができる。
【0045】
上述のように構成された除塵システム100は、屋外側から屋内側へと回転ドア1を通行する対象者Pの除塵を行うことができる。以下では
図2を用いて、除塵システム100を用いた除塵方法について説明する。
【0046】
図2(b)には、対象者Pが屋外側出入口2aから回転ドア1内へ入り、屋内側へと通行する様子を示している。なお、以下では説明を簡素化するため、1名の対象者Pが回転ドア1を通行する場合を想定して説明を行う。
【0047】
まず、対象者Pが屋外側出入口2aから歩行空間Sへ進入した状態を想定する。この場合、制御部180は、人感センサ160及び回転位置センサ170の検出結果に基づいて、対象者Pが屋外側出入口2aから歩行空間Sへ進入したことを検出することができる。この場合、制御部180は、送風機120及び電磁弁130を制御し、当該対象者Pが存在する歩行空間Sに設けられた外周側送風部110から空気を吹き出す。
【0048】
この際制御部180は、対象者Pが存在する歩行空間Sに対応する電磁弁130のみを開放し、その他の電磁弁130を閉塞する。これによって、送風機120から送られる空気が、対象者Pが存在しない歩行空間Sにまで吹き出されるのを防止することができる。また制御部180は、外周側送風部110から吹き出される空気の量(風速)が適切な風速となるように、送風機120の動作(ファンの回転数等)を適宜制御する。
【0049】
図2(a)に示すように、送風機120が作動すると、グレーチング140及びプレフィルタ150を介して、歩行空間S内の空気が吸引される。送風機120は、吸引した空気を回転軸4及び回転パネル5に形成された風路を介して外周側送風部110へと送る。外周側送風部110へと到達した空気は、当該外周側送風部110の送風口112から吹き出される。当該空気は対象者Pに吹き付けられ、対象者Pに付着した粉塵を除去することができる。除去された粉塵は床へと落下し、グレーチング140を介してさらに下方へと移動し、プレフィルタ150によって回収される。
【0050】
このように、送風機120を作動させることで、歩行空間Sの空気を循環させながら、対象者Pの除塵を行うことができる。
【0051】
図2(b)に示すように、屋外側出入口2aから歩行空間Sへ進入した対象者Pは、回転パネル5の回転と共に、屋内側出入口2bへと向かう。本実施形態では、回転パネル5が平面視反時計回りに回転する例を示している。
【0052】
対象者Pが屋内側出入口2bへと向かうにつれて回転パネル5も回転するため、対象者Pに吹き付けられる風の向きが変化する。具体的には、対象者Pが屋外側出入口2a近傍にいる場合には、対象者Pの左右両側に外周側送風部110が位置しているため、対象者Pの身体の左右両側に風が吹き付けられる。回転パネル5が回転し、対象者Pが回転ドア1の中ほど(
図2(b)の右側の位置)まで進んだ場合には、対象者Pの前後両側に外周側送風部110が位置しているため、対象者Pの身体の前後両側に風が吹き付けられる。
【0053】
このように本実施形態では、回転体(回転パネル5)に外周側送風部110を設けることにより、回転パネル5の回転位置の変化と共に対象者Pに吹き付ける風の向きを変化させることができる。これによって対象者Pに吹き付けられる風の向きの偏りを抑制し、対象者Pの全身の除塵を効果的に行うことができる。
【0054】
対象者Pは、屋内側出入口2bに到達すると、当該屋内側出入口2bを介して歩行空間Sから外へ出て、屋内へと移動する。この場合、制御部180は、人感センサ160及び回転位置センサ170の検出結果に基づいて、対象者Pが屋内側出入口2bを介して歩行空間Sの外へ出たことを検出することができる。この場合、制御部180は、送風機120及び電磁弁130を制御し、当該対象者Pが先ほどまで存在していた歩行空間Sへの送風を停止させる。この際制御部180は、対象者Pが存在する歩行空間Sに対応する電磁弁130を閉塞すると共に、送風機120を停止させる。
【0055】
一方、制御部180は、対象者Pが屋内から屋外へと回転ドア1を通行する場合には、当該対象者Pの除塵を行わない。具体的には、制御部180は、人感センサ160及び回転位置センサ170の検出結果に基づいて、対象者Pが屋内側出入口2bから歩行空間Sへ進入したことを検出した場合には、電磁弁130を閉塞したままの状態に制御すると共に、送風機120を作動させることもない。
【0056】
このように本実施形態では、対象者Pの除塵を行う必要がある場合(対象者Pが屋外から屋内へと通行する場合)にのみ除塵を行い、対象者Pの除塵を行う必要がない場合(対象者Pが屋内から屋外へと通行する場合)には除塵を行わない。これによって、除塵システム100の省エネを図ることができる。
【0057】
なお、上記の説明では、便宜上、回転ドア1を通行する対象者Pが1名のみの場合を想定して説明を行ったが、複数の対象者Pが回転ドア1を通行する場合も同様の制御が行われる。すなわち制御部180は、屋外から屋内に向かって通行する対象者Pが存在する歩行空間Sに対して風を吹き付けるように、送風機120及び電磁弁130の動作を適宜制御する。この際、除塵の対象となる歩行空間Sの数に応じて送風機120の風量を適宜制御することで、対象となる歩行空間Sの数に関わらず、一定の風速による除塵を行うことができる。
【0058】
以下では、
図3を参照して、第一実施形態の変形例に係る除塵システム100について説明する。
【0059】
本変形例に係る除塵システム100は、第一実施形態の構成に加えて、回転軸側送風部190を具備している。回転軸側送風部190は、送風機120から送られてくる空気を歩行空間Sに向けて吹き出すものである。回転軸側送風部190は、外周側送風部110と概ね同様に構成され、送風口192から空気を吹き出すことができる。回転軸側送風部190は、回転軸4に固定され、回転軸4の風路を介して供給される空気を、歩行空間Sに向けて吹き出すことができる。
【0060】
このように本変形例では、各歩行空間Sに対して、2つの外周側送風部110及び回転軸側送風部190の3箇所(3方向)から風を吹き出すことができる。これによって、対象者Pの除塵をより効果的に行うことができる。
【0061】
以下では、
図4及び
図5を参照して、第二実施形態に係る除塵システム200について説明する。
【0062】
第二実施形態に係る除塵システム200と、第一実施形態に係る除塵システム100と、の主な相違点は、送風機220を回転体(回転パネル5)に取り付けた点である。以下の説明では、主に当該相違点について説明し、その他の第一実施形態と共通する構成については同一の符号を付して説明を適宜省略する。
【0063】
第二実施形態に係る除塵システム200は、主として外周側送風部210、送風機220、グレーチング140、人感センサ160、回転位置センサ170、制御部180及び吸気ファン290を具備する。
【0064】
外周側送風部210は、後述する送風機220により送られる空気を歩行空間Sに向けて吹き出すものである。外周側送風部210は、主として本体部211、送風口212及び導入口213を具備する。
【0065】
本体部211は、空気を案内する筐体である。本体部211は、上下に長い箱状に形成される。本体部211は、回転パネル5の外周側端部に固定される。
【0066】
図5(a)に示す送風口212は、歩行空間Sへと空気を吹き出す開口部である。送風口112は、本体部211の側面に設けられる。送風口212は、上下に並ぶように複数(図例では4つ)設けられる。
【0067】
導入口213は、本体部211内へと空気を導入する開口部である。導入口213は、本体部211の側面(送風口212が形成された側面とは異なる側面)に設けられる。導入口213は、本体部211の上部から下部に亘って縦長状に形成される。
【0068】
上述のように構成された外周側送風部210は、各回転パネル5の両面にそれぞれ設けられる。これによって、1つの歩行空間Sに対して2つの外周側送風部210(2方向)から空気を吹き出すことができるように構成される。
【0069】
送風機220は、外周側送風部210の送風口212からへと空気を送り出すものである。送風機220は、適宜のファンの動作により空気を送り出すことができる。送風機220は、当該ファンの動作を制御することにより、吹き出される空気の量(風量)等を任意に変更することができる。送風機220は、外周側送風部210の内部(送風口212と対向する部分)に設けられる。送風機220は、送風口212と対応するように複数(図例では4つ)設けられる。送風機220を作動させることで、本体部211に形成された導入口213から空気を導入し、当該空気を送風口212から吹き出すことができる。
【0070】
吸気ファン290は、グレーチング140により回収された粉塵を外部へと排出するものである。吸気ファン290は、グレーチング140の下方の空気(粉塵を含む空気)を吸引して外部へと排出することができる。
【0071】
以上のように構成された除塵システム200によって、第一実施形態と同様に、回転ドア1を通行する対象者Pの除塵を行うことができる。
【0072】
すなわち、制御部180は、人感センサ160及び回転位置センサ170の検出結果に応じて送風機220の動作を制御することにより、屋外から屋内へと通行する対象者Pの除塵を行うことができる。
【0073】
この際、制御部180は、屋外から屋内へと通行する対象者Pが存在する歩行空間Sに対応する送風機220のみを作動させる。これによって、不要が送風機220の作動を防止し、除塵システム200の省エネを図ることができる。
【0074】
また第二実施形態に係る除塵システム200では、回転体(回転パネル5)自体に送風機220が設けられているため、外部からの風を回転体まで案内する機構(配管等)を設ける必要がなく、構成の簡素化を図ることができる。
【0075】
また制御部180は、吸気ファン290を作動させることで、除塵した粉塵を回転ドア1の外部へと排出することができる。
【0076】
なお、第二実施形態に係る除塵システム200についても、第一実施形態に係る除塵システム100の変形例(
図3参照)と同様に、回転軸4に送風部を設けることも可能である。
【0077】
以上の如く、上記実施形態に係る除塵システム100・200は、
対象者Pが通行する歩行空間Sを形成すると共に回転可能な回転体(回転軸4及び回転パネル5)を有する回転ドア1に設けられ、前記回転ドア1を通行する対象者Pの除塵を行う除塵システム100・200であって、
空気を送り出す送風機120・220と、
前記回転体に設けられ、前記送風機120・220からの空気を前記歩行空間Sに向けて吹き出す送風口112・192・212と、
を具備するものである。
このように構成することにより、回転ドア1を通行する対象者Pの除塵を効果的に行うことができる。すなわち、回転体に送風口112・212を設けることで、回転体の回転に伴って送風方向が変化するため、対象者Pに多方向から風を吹きつけることができる。これによって、対象者Pの全身の除塵を効果的に行うことができる。
【0078】
また、前記回転体は、
前記歩行空間Sを区画する回転パネル5を含み、
前記送風口112・212は、
前記回転パネル5に設けられるものである。
このように構成することにより、回転ドア1を通行する対象者Pの除塵を効果的に行うことができる。
【0079】
また、前記回転体は、
回転軸4を含み、
前記送風口192は、
前記回転軸4に設けられるものである。
このように構成することにより、回転ドア1を通行する対象者Pの除塵を効果的に行うことができる。
【0080】
また、除塵システム100・200は、
前記回転ドア1の床に配置され、前記対象者Pから除去された粉塵を回収するグレーチング140(回収部)をさらに具備するものである。
このように構成することにより、回転ドア1内の粉塵を除去することができる。これによって、回転ドア1内を清潔に保つと共に、除塵された粉塵が再度対象者Pに付着するのを防止することができる。
【0081】
また、前記送風機120は、
前記グレーチング140を介して前記歩行空間S内の空気を吸引し、前記送風口112・192へと空気を送り出すものである。
このように構成することにより、歩行空間Sからの空気を再び歩行空間Sへと循環させることで、空気の円滑な流れを形成し、効率的な送風を行うことができる。
【0082】
また、前記送風機220は、
前記回転体に設けられるものである。
このように構成することにより、送風機220から送風口212まで空気を案内するための構成を簡素化することができる。これによって、構成の簡素化やコストの削減を図ることができる。
【0083】
なお、回転軸4及び回転パネル5は、回転体の実施の一形態である。
また、グレーチング140は、回収部の実施の一形態である。
【0084】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0085】
例えば、上記実施形態で例示した回転ドア1の構成は一例であり、本発明は種々の回転ドアに適用することが可能である。
【0086】
また、歩行空間Sに向けて空気を吹き出す送風口112等は、回転ドア1の回転体(回転部分)に設けられるものであればよく、その配置は上記実施形態に限定するものではない。例えば、回転軸4にのみ送風口112等を設ける構成とすることも可能である。また、回転軸4や回転パネル5以外に、対象者Pの通行に伴って回転する部材があれば、当該部材に送風口112等を設けることも可能である。
【0087】
また、回転体に加えて、回転しない部材(例えば、固定壁部2や天井部3等)にも送風口112等を設けることも可能である。
【0088】
また、上記実施形態では、屋外から屋内へと通行する対象者Pが存在する歩行空間Sにのみ送風を行う構成を例示したが、制御部180の制御態様はこれに限るものではない。例えば、屋内から屋外へと通行する対象者Pが存在する歩行空間Sに送風を行うように構成することも可能である。
【0089】
また、上記実施形態では、粉塵を回収するための回収部としてグレーチング140を例示したが、回収部はこれに限るものではなく、対象者Pから除去された粉塵を回収可能な種々の構成を採用することが可能である。例えば、別途設けられた吸引装置等により粉塵を回収することも可能である。
【0090】
また、上記実施形態では、人感センサ160及び回転位置センサ170による検出結果に基づいて除塵システム100・200を制御する例を示したが、本発明はこれに限るものではなく、その他種々のセンサにより対象者Pの存在や通行方向等の情報を取得し、当該情報に基づいて制御を行うことが可能である。
【0091】
また、上記実施形態に加えて、さらに歩行空間S内における対象者Pの位置に応じて風速等を制御するように構成することも可能である。例えば、歩行空間S内の対象者Pと、各送風口112等との距離を検出し、当該距離が大きい送風口112ほど風速を大きくなるように送風機120等を制御することも可能である。これによって、対象者Pの全身をムラなく除塵することが可能である。
【0092】
また、上記実施形態に加えて、対象者Pの除電を行うように構成することも可能である。例えば、屋外側出入口2aに近傍に、イオンを含む風を対象者Pに吹き付ける送風口を別途設けることで、回転ドア1を利用する対象者Pの除電を行うことができる。これによって対象者Pから粉塵を除去し易くなり、より効果的な除塵を行うことができる。
【符号の説明】
【0093】
1 回転ドア
4 回転軸
5 回転パネル
100 除塵システム
110 外周側送風部
112 送風口
120 送風機
140 グレーチング
190 回転軸側送風部
192 送風口
200 除塵システム
210 外周側送風部
212 送風口
220 送風機