IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ べルサム・マテリアルズ・ユーエス、エルエルシーの特許一覧

特開2023-155118化学的機械的平坦化プロセスのための共有データにより誘導される品質管理
<>
  • 特開-化学的機械的平坦化プロセスのための共有データにより誘導される品質管理 図1
  • 特開-化学的機械的平坦化プロセスのための共有データにより誘導される品質管理 図2
  • 特開-化学的機械的平坦化プロセスのための共有データにより誘導される品質管理 図3
  • 特開-化学的機械的平坦化プロセスのための共有データにより誘導される品質管理 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023155118
(43)【公開日】2023-10-20
(54)【発明の名称】化学的機械的平坦化プロセスのための共有データにより誘導される品質管理
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20231013BHJP
   B24B 37/00 20120101ALI20231013BHJP
   B24B 37/005 20120101ALI20231013BHJP
【FI】
H01L21/304 622R
B24B37/00 H
B24B37/005 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022126079
(22)【出願日】2022-08-08
(31)【優先権主張番号】63/362,645
(32)【優先日】2022-04-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 1.2022年2月9日 セミコン コリア 2022 バーチャル カンファレンス https://www.semiconkorea.org/ko/node/5341にて発表 2.2022年2月9日 セミコン コリア2022 バーチャル カンファレンスにおいて配布されたプレゼンテーション資料にて発表
(71)【出願人】
【識別番号】522316180
【氏名又は名称】べルサム・マテリアルズ・ユーエス、エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Versum Materials US, LLC
【住所又は居所原語表記】8555 South River Parkway, Tempe, AZ 85284, USA
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100212705
【弁理士】
【氏名又は名称】矢頭 尚之
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】セザール・クラベーロ
(72)【発明者】
【氏名】アヌパマ・マリカージュナン
(72)【発明者】
【氏名】ビド・ゴーパル
(72)【発明者】
【氏名】ライアン・クラーク
(72)【発明者】
【氏名】ルン-ジェ・ヤン
(72)【発明者】
【氏名】シャーリー(イー・チュワン)・リン
(72)【発明者】
【氏名】ホンジン・ジョウ
(72)【発明者】
【氏名】エスマラルダ・イタムベン
(72)【発明者】
【氏名】ヒュー・ファム
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ・ディー・ローズ
(72)【発明者】
【氏名】クリシュナ・ピー・ムレラ
(72)【発明者】
【氏名】ルー・ガン
【テーマコード(参考)】
3C158
5F057
【Fターム(参考)】
3C158AA07
3C158AC02
3C158AC04
3C158BB02
3C158BB06
3C158BB08
3C158CB01
3C158DA12
3C158DA17
3C158EA11
3C158EB01
5F057AA09
5F057AA19
5F057BA15
5F057BA22
5F057BA28
5F057BB16
5F057BB23
5F057CA11
5F057CA40
5F057DA03
5F057GA01
5F057GA16
5F057GA17
5F057GA27
5F057GB02
5F057GB03
5F057GB13
(57)【要約】      (修正有)
【課題】1つ以上の材料から半導体製品を生産するためのCMPベースの製造プロセスにおいて製品品質を保証するための方法及びシステムを提供する。
【解決手段】半導体生産システム12は、データ収集用コンピュータ9を使用して、CMPベースの製造プロセスのための原料データ17及びその関連パラメータとして、少なくとも2つのスラリーについての組成を取得し、CMPプロセスの工程を物理的に実行する。その後、CMPプロセスの性能を決定するために、使用されたスラリーと、物理的に実行されたCMPプロセスとの関連パラメータを測定し、異なるパラメータの相互相関を理解するために、機械学習を使用する予測モデルを、分析用コンピュータ11上で適用する。そして、関連パラメータに関する測定されたデータを分析し、CMPプロセスの性能と、CMPベースの製造プロセスの結果として得られる製品品質と、を改善する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程を備える、化学的機械的平坦化を用いた半導体素子製造プロセスにおける製品品質を保証するための方法であって、
・データ収集用コンピュータ(9)を使用することによって、前記CMPベースの製造プロセスのための原料データ(17)及びその関連パラメータ(2)として、少なくとも2つのスラリーについての組成を取得する工程と、
・CMPプロセスの特定の方法の工程を物理的に実行する工程と、
・前記データ収集用コンピュータ(9)を使用することによって、前記CMPプロセスの性能を決定するために、使用された前記スラリーと、物理的に実行された前記CMPプロセスとの関連パラメータを測定する工程と、
・異なるパラメータの相互相関を理解するために、機械学習を使用する予測モデルを、分析用コンピュータ(11)上で実行される特定のソフトウェアを作成し、前記ソフトウェアに適用することによって、前記ソフトウェアを用いて、前記関連パラメータに関する測定されたデータを分析し、前記CMPプロセスの性能と、前記CMPベースの製造プロセスの結果として得られる前記製品品質とを改善するために、分析の結果を使用する工程と、
を備える方法。
【請求項2】
生産プロセスに関するデータ(1)及びその関連パラメータ(2)を取得するために、前記原料データ(17)が、データ収集装置、とりわけセンサを使用して前記生産プロセスを観測することによって作成された、前記データ収集用コンピュータ(9)に接続されているデータベースから検索され、及び/又は人間のユーザによって提供される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記データ(1)を取得することは、前記生産プロセスの以前の実行中、及び/又は検出されたずれ(7)を使用した後の現在の実行中に行われる、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
欠陥性及び電気的応答に関する前記測定されたデータを分析することは、PLS回帰、PCA、ランダムフォレスト、XGBoost等の多変量解析、及び人工ニューラルネットワーク、若しくは同様のもののような手法を使用するデータモデル(3、4)を有するデータ分析フレームワークを含む教師ありアルゴリズムを使用して、又は教師ありアルゴリズム及び/若しくは教師なしアルゴリズムを使用して、前記ソフトウェアによって実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記測定されたデータを分析することが、機構モデル、物理学ベースのモデル、偏微分方程式に基づくモデル及び量子化学計算に基づくモデルを使用して実行される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記教師ありアルゴリズムの構造が、欠陥性及び電気的応答に関する前記測定されたデータで、前記PLS回帰、PCA、ランダムフォレスト、XGBoost及び人工ニューラルネットワーク(6)、又は同様のものを訓練した結果である、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
追加として、以下の工程、即ち、先進ノードを代表する寸法のインターコネクトを有するテストビークル(10)を研磨する工程と、物理的特性評価技法を使用して欠陥性(3)を測定する工程と、前記インターコネクトの電気的応答(4)を測定する工程と、が実行され、前記分析する工程は、前記異なるパラメータの前記相互相関を理解するために、電気的応答予測モデルを作成することによって、前記特定のソフトウェアを用いて、欠陥性及び電気的応答(3、4)に関する前記測定されたデータを分析することと、ベースラインからのずれ(7)を検出するために、前記結果を使用することと、で構成され、前記CMPベースの製造プロセスの結果として得られる製品品質を改善するために、前記検出されたずれ(7)を使用する工程と、を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記先進ノードを代表する使用寸法が、40nm幅未満である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
プロアクティブ品質管理システムが、異なる原因からの前記スラリーの性能におけるずれを識別するために、異なる幅を有するインターコネクトの抵抗を使用する、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
プロアクティブ品質管理システムが、前記スラリー及び/又はCMP後の処置によって後に残される、起こり得る汚染又は欠陥を検出するために、くし型構造にわたる漏洩を使用する、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
特定のバリアスラリーの性能の評価が、2つの異なるバリア材料上で前記スラリーを使用している間に行われる、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
追加として、以下の工程、即ち、異なる組成を有する薄膜を堆積する工程と、それらの組成、並びに密度、硬度及び弾性率等の他のプロパティを決定するために、前記薄膜を物理的に特徴付ける工程と、特に除去速度及び欠陥性(3)等の、異なる配合を有する異なるスラリーの性能を決定するために、前記薄膜のCMPプロセスを実行する工程とが、前記データ収集用コンピュータ(9)のデータベースにおいて全てのこれらのデータを取得して、最終的に、前記特定のソフトウェアを使用して、前記薄膜の組成及びプロパティを、スラリー配合及びCMPの全体的性能と結び付けるための機械学習アルゴリズムでの予測モデル(5、6)を作成するために実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記薄膜の堆積が、異なるターゲットを使用した同時スパッタリングによって、及び/又は反応性スパッタリング中に前記組成を変化させる異なるガス比を使用することによって実行される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
化学的機械的平坦化を用いた半導体素子製造プロセスにおける製品品質を保証するためのシステム(12)であって、
・前記CMPベースの製造プロセスのための原料データ(17)及びその関連パラメータ(2)として、少なくとも2つのスラリーについての組成を取得するために使用される接続されたデータベースを有するデータ収集用コンピュータ(9)と、
・先進ノードを代表する寸法のインターコネクトを有するテストビークルを研磨するための研磨装置と、
・前記データ収集用コンピュータ(9)を使用することによって、前記CMPプロセスの性能を決定するための、使用された前記スラリーと、物理的に実行された前記CMPプロセスとの関連パラメータのための少なくとも1つのセンサ装置と、
・データモデル(5、6)を有するデータ分析フレームワークを含む教師ありアルゴリズムを使用する、分析用コンピュータ上で実行される特定のソフトウェアを含む分析用コンピュータ(11)と、を備え、ここで、前記ソフトウェアは、前記関連パラメータに関する測定されたデータを分析し、異なるパラメータの相互相関を理解するために機械学習を使用して測定されたデータを予測モデルに適用し、その結果を使用して、前記CMPプロセスの性能と、前記CMPベースの製造プロセスの結果として得られる前記製品品質とを改善する、システム。
【請求項15】
前記データ収集用コンピュータ(9)は、少なくとも1つの工場(13、14)から前記原料データ(17)を取得するために使用されるコンピュータベースのデジタルプラットフォーム(16)をホストしている、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記分析用コンピュータ(11)は、前記教師ありアルゴリズム及び/又は教師なしアルゴリズム、とりわけ人工ニューラルネットワークを有する前記ソフトウェアをホストするサーバであり、プロセス実行用コンピュータが、前記少なくとも1つの工場(13、14)のためのそれぞれのコンピュータベースの制御端末の一部であるか、又はそれらと同一である、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
XGBoost、ランダムフォレスト、又は人工ニューラルネットワーク(7)であって、その構造が、以下の工程、即ち、
・データ収集用コンピュータ(9)を使用することによって、前記CMPベースの製造プロセスのための原料データ(17)及びその関連パラメータ(2)として、少なくとも2つのスラリーについての組成を取得する工程と、
・CMPプロセスの特定の方法の工程を物理的に実行する工程と、
・前記データ収集用コンピュータ(9)を使用することによって、前記CMPプロセスの性能を決定するために、使用された前記スラリーと、物理的に実行された前記CMPプロセスとの関連パラメータを測定する工程と、
・半導体素子製造プロセスの前記関連パラメータ(2)に関連した取得された前記原料データ(17)を、その対応するプロセス部分に割り当て、割り当てられた前記原料データ(17)と測定されたデータとから訓練データを作成する工程と、
によって作成される特定の訓練データで訓練されていることに依存する、XGBoost、ランダムフォレスト、又は人工ニューラルネットワーク(7)。
【請求項18】
命令を備えるコンピュータプログラムであって、関与するコンピュータに、以下の方法の工程、即ち、
・データ収集用コンピュータ(9)を使用することによって、前記CMPベースの製造プロセスのための原料データ(17)及びその関連パラメータ(2)として、少なくとも2つのスラリーについての組成を取得する工程と、
・CMPプロセスの特定の方法の工程を物理的に実行する工程と、
・前記データ収集用コンピュータ(9)を使用することによって、前記CMPプロセスの性能を決定するために、使用された前記スラリーと、物理的に実行された前記CMPプロセスとの関連パラメータを測定する工程と、
・異なるパラメータの相互相関を理解するために、機械学習を使用する予測モデルを、分析用コンピュータ(11)上で実行される特定のソフトウェアのために作成し、前記ソフトウェアを用いて適用することによって、前記ソフトウェアを用いて、前記関連パラメータに関する測定されたデータを分析し、前記CMPプロセスの性能と、前記CMPベースの製造プロセスの結果として得られる製品品質とを改善するために、分析の結果を使用する工程と、
を行わせる命令を備えるコンピュータプログラム。
【請求項19】
コンピュータ可読記憶媒体及び/又はデータキャリア信号であって、関与するコンピュータに、以下の方法の工程、即ち、
・データ収集用コンピュータ(9)を使用することによって、前記CMPベースの製造プロセスのための原料データ(17)及びその関連パラメータ(2)として、少なくとも2つのスラリーについての組成を取得する工程と、
・CMPプロセスの特定の方法の工程を物理的に実行する工程と、
・前記データ収集用コンピュータ(9)を使用することによって、前記CMPプロセスの性能を決定するために、使用された前記スラリーと、物理的に実行された前記CMPプロセスとの関連パラメータを測定する工程と、
・異なるパラメータの相互相関を理解するために、機械学習を使用する予測モデルを、分析用コンピュータ(11)上で実行される特定のソフトウェアのために作成し、前記ソフトウェアを用いて適用することによって、前記ソフトウェアを用いて、前記関連パラメータに関する測定されたデータを分析し、前記CMPプロセスの性能と、前記CMPベースの製造プロセスの結果として得られる製品品質とを改善するために、分析の結果を使用する工程と、
を行わせる、請求項18に記載のコンピュータプログラムを記憶したコンピュータ可読記憶媒体及び/又はデータキャリア信号。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]開示される発明は、1つ以上の材料から半導体製品を生産するためのCMPベースの製造プロセスにおいて製品品質を保証するための方法及びシステムに関する。
【0002】
[0002]本発明は、半導体生産、品質管理、及びサプライチェーン最適化の技術分野に属する。
【背景技術】
【0003】
[0003]現代の生産プロセスは、非常に複雑な問題であり、これらは、原料投入、設備及び工具整備、人間の介在等に関連する多くの変数に影響される。ごく僅かなばらつきでさえも、完成製品における重大な品質問題につながり得、それらを粗悪にするか、又は売り物にならなくさえする。これは、特に、半導体産業等の高度に規制された産業において、生産者及び/又は顧客にとって許容できない欠陥をもたらし得る。生産プロセスを改善し、製造された製品の品質を保証するための、技術的現状において公知の多くの方法が存在する。今日、これらの方法のほとんどが、データ駆動型であり、ここで、関連パラメータは、生産プロセスから収集されたデータに基づいて、監視及び制御される。
【0004】
[0004]半導体生産プロセスの分野に関するより具体的な論点が、回路構成要素の特徴サイズが急速に低減されてきた一方で、金属層の数が急速に増大されており、装置トポグラフィーが、コンフォーマル堆積(conformal deposition)を阻害する特徴を呈することをもたらしているということである。集積回路(IC)を構成する様々な薄膜層のグローバル表面の平坦化の必要性が大幅に増大した。
【0005】
[0005]化学的機械的平坦化は、半導体素子製造において広く用いられているプロセスであり、ここで、基板の表面が、表面に対する化学的及び物理的な力の複合作用を通じて、平滑化及び平坦化される。CMPは、落とし穴を回避しながら、両方の技法の最も良いところを組み合わせる。一方、単に表面を研磨研削するだけでは、物理的損傷を与えすぎることになり、単に化学エッチングするだけでは、平坦化を達成できず、これら2つの複合作用が、最小限の損傷で良好に平坦化された表面を作り出す。CMPプロセスの中心的要素がスラリーの使用であり、これは、通常、材料を機械的に除去する研磨粒子を備え、その性能を更に調整して欠陥性を低減させるために化学添加物と組み合わされている。
【0006】
[0006]化学的機械的平坦化(CMP:chemical mechanical planarization)は、それが、粗いトポグラフィーを平坦化された状態に低減させるという事実以外にも、半導体素子製造についての多くの利点を有する。CMPは、素子製造業者が、単一の工程で、ウエハ表面全体のグローバル平坦化を達成することを可能にする。この手法は、種々の金属から種々の酸化膜まで、及び、種々の誘電体膜から配線工程(BEOL:Back End of the Line)金属インターコネクトまで、幅広い材料を平坦化するために使用され得る。後者の場合、酸化物層は、後続して金属で充填される溝を作り出すようにパターニングされ、ダマシン又はデュアルダマシン構造を形成している。バリア層が、他の層への金属の拡散を回避するために、パターニングされた酸化物上に最初に堆積される。また、シード層が、溝内の後続の金属成長を容易にするために頻繁に使用される。CMPプロセスは、この場合、結果として生じたオーバーバーデン(overburden)を全て除去し、後続の層をその上で成長させるための平らな表面を設けるために適用される。このプロセスは、典型的に、使用される材料の異なる性質により、金属CMP工程と、バリアCMP工程と、によって構成される。プロセス全体の複雑さ及び金属領域と誘電体領域との間の異なる除去速度が、インターコネクト構造におけるいくつかの周知の欠陥につながり、最も関連性のあるものが、ディッシング(dishing)及びエロージョンである。ディッシングは、インターコネクトの各々の上面の湾曲として観測され、一方、エロージョンは、金属厚の全体的な低減をもたらす。両方の欠陥は、インターコネクト抵抗及び後続の層の平面性に有害な影響を及ぼし、従って、素子全体の性能に有害な影響を及ぼす。追加として、金属インターコネクトの表面上の酸化物若しくは他の残留物の形成により、又は、多くの場合検出が困難である、CMPプロセスの後に残された電界中のイオンの存在さえにより、問題が生じ得る。
【0007】
[0007]別の論点が、研磨されるべき異なる酸化膜の組成が、スラリー及びCMPの性能を強く条件付けるということである。誘電体の場合、スラリーは、酸化膜に対しては非常に高い除去速度、及び窒化膜に対しては低い除去速度を有するように頻繁に設計されており、又はその逆も同様である。他の選択性要件も、多くの場合、用途に応じて必要とされる。これは、CMPプロセスが、スタックのある特定の構成要素に達したときに、急停止することを可能にする。特に、パターン化構造の場合のリソグラフィによる影響、時効、又は堆積プロセス中の意図していない変化によって生じる膜組成におけるずれ(deviations)は、スラリー性能のかなりのばらつきを生じ得る。これらのばらつきは、素子製造プロセス及び歩留りに影響を及ぼす、コストのかかる品質問題を引き起こし得る。異なる組成を有する膜に対してスラリーの応答(例えば、除去速度及び欠陥性)をマッピングすることを可能にする方法が、起こり得る品質問題を解決するために必要である。また、どのようにスラリー配合が、異なる膜組成に対して調整され得るかについてのより深い理解が、例えば、それらがその内で適用可能であるプロセスウィンドウを増大させることによる、それらの更なる最適化のために必要である。
【0008】
[0008]化学的機械的平坦化工具が、研磨パッドによって覆われた回転定盤で構成されている。ウエハは、指定された力でパッドに押し付けられる保持具に表面を下向きにして取り付けられている。この力は、定義及び調節されたガス圧力又は機械的背圧システムのいずれかを使用して与えられ得る。ウエハはまた、研磨プロセス中に回転する。研磨パッドは、パッド上に圧送されるスラリーで含浸されている。ウエハ表面の研磨は、ウエハが研磨パッドに押し付けられながら、それ自体の軸を中心に回転され、研磨パッドを動き回るにつれて行われる。研磨プロセス中、ウエハ表面上の高い点は、必然的に、より多くの圧力、従って、より多くの研磨力を受けることになる。これは、化学腐食液の作用と組み合わせると、表面トポグラフィーにおいて、低い点における材料と比べて、高い点における材料についての除去速度の増進をもたらす。これは、このプロセスにおける平坦化効果をもたらす。
【0009】
[0009]化学的機械的平坦化スラリーは、通常、表面上に物理的力を与えるための研磨粒子と、除去速度を促進するための化学添加物と、ディッシングを低減させるための化学添加物と、エロージョンを低減させるための化学添加物と、材料を化学的にエッチングするための酸化剤と、酸化剤と相互作用し、遊離基の形成を容易にするための活性剤又は触媒と、腐食防止剤と、沈降、フロキュレーション(粒子の沈殿、凝集又はアグロメレーション等を含む)及び分解に対して、組成物の安定化を容易にするか、又は促進するための安定剤と、ウエハ表面における欠陥を低減させるために、研磨中及び研磨後にウエハ表面を保護することを補助する界面活性剤と、金属カチオンのためのキレート配位子の親和性を向上させ、並びに/又は、パッド汚染及び除去速度の不安定性を引き起こす、パッド上での金属イオンの蓄積を防止するためのキレート剤と、生体成長を制御するためのpH調整剤、殺生物剤と、水等の溶媒と、を備える。CMPスラリーは、大量に化学物質を用いる。
【0010】
[0010]スラリー品質及びCMPプロセスの後に引き起こされるインターコネクトの欠陥性を制御することは、インターコネクト寸法が新たな技術ノードにおいて積極的に低減されているので、ますます複雑になっている。インターコネクトの幅は今や、論理素子と記憶素子との両方で、多くの金属被覆レベルについて40nmをかなり下回る。現時点では、品質問題によるスラリーのばらつきを検出することは、原子間力顕微鏡法(AFM)又は走査電子顕微鏡法(SEM)の断面等の従来の物理的特性評価技法を使用することのみでは、極めて困難である。追加として、低寸法(low dimensionality)において欠陥性を最小化することを目的としたスラリー開発は、同じ理由でますます困難になっている。
【0011】
[0011]また、小型化された素子寸法において効率的な平坦化を達成するためには、流体スラリーの存在下で、パッドとウエハとの界面において生じる摩擦機械的現象の物理的性質、化学的性質及び複雑な相互作用のより良い理解、従って、より良好な制御の必要性がある。
【0012】
[0012]従って、CMPスラリーの生産プロセスは、非常に複雑な問題であり、これらは、関与する材料、工具、生産機、担当作業員等に関する多くのパラメータ及び変数に依存する。従って、プロセスを特徴付け、最適化し、モデル化する必要がある。
【0013】
[0013]生産プロセスを改善し、製品の品質を保証するために、プロセス全体を監視するための、技術的現状において公知の多くの方法が存在する。今日、それらのほとんどが、データ駆動型であり、ここで、生産プロセスの関連パラメータ及び変数が監視され、それらの目標値に達していないかどうかを定期的にチェックされる。
【0014】
[0014]従って、そのような技術的現状に準拠し、それを向上させるためには、品質及び信頼性に関して生産プロセスを更に向上させ、異なるプロセス、特にCMPプロセスを効率的に処理し得る、自動生産管理システムを動作させる新しい手法を見出すことが望ましくある。
【0015】
[0015]従って、結果として得られる製品品質に関して、特に改善されたCMPプロセスに関して、生産プロセスを更に向上させる自動生産管理システムを動作させるための新しい手法を見出すことが望ましくある。
【発明の概要】
【0016】
[0016]この課題は、以下の工程を備える、化学的機械的平坦化を用いた半導体素子製造プロセスにおける製品品質を保証するための方法であって、データ収集用コンピュータを使用することによって、CMPベースの製造プロセスのための原料データ及びその関連パラメータとして、少なくとも2つのスラリーについての組成を取得する工程と、CMPプロセスの特定の工程を物理的に実行する工程と、データ収集用コンピュータを使用することによって、CMPプロセスの性能を決定するために、使用されたスラリーと、物理的に実行されたCMPプロセスとの関連パラメータを測定する工程と、異なるパラメータの相互相関を理解するために、機械学習を使用する予測モデルを、分析用コンピュータ上で実行される特定のソフトウェアのために作成し、このソフトウェアを用いて適用することによって、このソフトウェアを用いて、関連パラメータに関する測定されたデータを分析し、CMPプロセスの性能と、CMPベースの製造プロセスの結果として得られる製品品質とを改善するために、結果を使用する工程と、を備える方法によって解決され得る。本発明の核心は、作成される又は改善されるべき所望の生産プロセスに関連した全てのおそらく関連のあるデータ、特に、その特定のパラメータによって記述される原料データを、最初にトラックすることである。従って、データは、構造、フォーマット、シンタックス等に関して異なり得る。本発明の方法が、製品が異なる原料から作り出される、あらゆる生産プロセスを改善するために使用され得る一方で、それは、半導体素子製造プロセス、好ましくはCMPプロセスを使用するものにおいて使用されることに特に適している。割り当てられた原料データと、測定されたデータと、を含む全ての必要なデータを取得することによって、プロセスが成功裏に定義された後、実際のプロセス評価が、分析する工程において行われる。この評価中、特別なソフトウェアは、マッピングされた原料データが与えられ、最終的にはプロセスデータが与えられ、確立されたプロセスを改善するために使用され得るプロセスの特性を開示する特定のパターン及び依存性を見つけ出すようにその内容を分析する。ソフトウェアは、異なる種類のアルゴリズムを使用し得る。それは、例えば、教師あり学習、教師なし学習、半教師あり学習及び強化学習等のような、人工知能手法を使用し得る。どのものが最も適しているかは、入手可能な原料データ及び最終的なプロセスデータの種類に依存する。重要なのは、アルゴリズムが、プロセスの影響因子を識別するか、又はパターンを見つけるために訓練されるということである。この手法は、勾配ブースティング決定木(Gradient Boosted Decision Trees)、人工ニューラルネットワーク(ANN)又はその他を使用して実装され得る。次いで、このANNは、その与えられた、マッピングされた原料データで学習することによって、その性能を更に改善し得る。しかしまた、他のAIソフトウェア手法も可能である。ソフトウェアはまた、代替として、古典統計学からの手法を、それらが特性を決定するのに適している場合に使用し得る。また、物質収支(mass balances)のような、物理学ベースのモデル及び機構モデル(mechanistic models)が使用され得る。その場合、どの手法が、最も適しており、従って、選択されるかは、特定のケース及び原料データのそれぞれの種類に依存する。マッピングされ及び分析されたプロセスが作成され、特性が識別された後、これら特性は、生産プロセスに適用され、従って、それを改善し、結果として製品品質が得られる。これら特性は、追加として、製品品質を改善するために、プロセス専門化から得られる洞察に対して使用され得る。同じ原料の異なるロットのばらつきにより、完成品の品質についての異なる予測が得られる。ソフトウェアが特性をより良好に決定することが可能であるほど、人間の専門化からの専門知識の必要性が少なくなる。関与するコンピュータについての最低限必要な要件が、データを処理し、転送し、場合によっては表示し、ソフトウェア分析工程を実行するそれらの能力を含む。これらコンピュータ自体は、インターネット、ローカルネットワーク等を介して互いに接続されている、異なる位置における異なるコンピュータであり得るか、又はそれらのうちのいくつか又は全てが同一であり得る。
【0017】
[0017]本発明の有利な、従って、好ましい更なる発展形態は、関連する下位請求項から、並びに発明を実施するための形態及び関連する図面から明らかとなる。
【0018】
[0018]開示される方法のこれらの好ましい更なる発展形態のうちの1つは、生産プロセスに関するデータ及びその関連パラメータを取得するために、プロセスデータが、データ収集装置、とりわけセンサを使用してプロセスを観測することによって作成された、データ収集用コンピュータに接続されているデータベースから検索されること、及び/又は人間のユーザによって提供されること、を備える。これらの手法のうちのどれが、どの組合せにおいてかは、対象となる生産プロセスに依存する。通常、プロセスデータは、センサからの少なくとも何らかの現在データが関与している場合、より良い品質のものとなる。
【0019】
[0019]開示される方法のこれらの好ましい更なる発展形態のうちの別の1つは、生産プロセスを観測することによってデータを取得することが、プロセスの以前の実行中、及び/又は検出されたずれを使用した後の現在の実行中に行われることを備える。それを行うことによって、取得されたデータは、常に最新であることが保証される。それはまた、ANNのようなAI方法を使用する効率を、それらが最新の情報で訓練及び使用される場合に、大幅に改善する。
【0020】
[0020]開示される方法のこれらの好ましい更なる発展形態のうちの別の1つは、データを分析することが、PLS回帰、PCA、ランダムフォレスト、XGBoost等の多変量解析、並びに人工ニューラルネットワーク、PLS回帰及び/若しくはランダムフォレスト又は同様のもの等の手法を使用するデータモデルを有する(with)データ分析フレームワークを含む教師ありアルゴリズム及び教師なしアルゴリズムを使用してか、又は教師あり静的アルゴリズム及び/若しくは教師なし静的アルゴリズムを使用して、ソフトウェアによって実行されることを備える。両種類のアルゴリズム、即ち、教師あり及びAI関連又はそうでないものが、ソフトウェアによって使用され得る。しかしながら、当該プロセスがより複雑であるほど、全ての求められているプロセス特性を実際に識別する非学習型手法を用いるソフトウェアを提供することがより困難になる。これらは、当然ながら限定はしないが、より複雑でない生産プロセス、又は特定の定められたプロセス部分のみを評価する必要がある場合により適している。
【0021】
[0021]開示される方法のこれらの好ましい更なる発展形態のうちの別の1つは、データを分析することが、機構モデル、物理学ベースのモデル、(偏)微分方程式に基づくモデル及び量子化学計算に基づくモデルを使用して実行されることを備える。方法は、これらのモデルタイプに限定されないが、それらは最も好適なものである。
【0022】
[0022]開示される方法のこれらの好ましい更なる発展形態のうちの別の1つは、教師ありアルゴリズムの構造が、欠陥性及び電気的応答に関する測定されたデータで、PLS回帰、PCA、ランダムフォレスト、XGBoost及び人工ニューラルネットワーク、又は同様のものを訓練した結果であることを備える。人工ニューラルネットワーク(ANN)又は同様のものは、これらの複雑な生産プロセスを評価するのに非常に適しており、これは、それらが、欠陥性及び電気的応答に関する測定されたデータで訓練され得るだけでなく、従って、それがどれ程複雑になろうとも生産プロセスに適合されるからである。それらはまた、本発明の方法の数回にわたる繰り返しにおいて使用され得、ずれを検出するためにそれらがより頻繁に使用されるほど、ますます適合されていく。
【0023】
[0023]開示される方法のこれらの好ましい更なる発展形態のうちの別の1つは、追加として、以下の工程、即ち、先進ノードを代表する寸法(dimensions representative for advanced nodes)のインターコネクトを有するテストビークルを研磨する工程と、物理的特性評価技法を使用して欠陥性を測定する工程と、インターコネクトの電気的応答を測定する工程と、が実行され、分析する工程は、異なるパラメータの相互相関を理解するために、電気的応答予測モデルを作成することによって、特定のソフトウェアを用いて、欠陥性及び電気的応答に関する測定されたデータを分析することと、ベースラインからのずれを検出するために、これら結果を使用することと、で構成され、CMPベースの製造プロセスの結果として得られる製品品質を改善するために、検出されたずれを使用する工程と、を備える。電気試験の方法の工程は、研磨後のインターコネクトのディッシング、エロージョン、酸化等のような、欠陥性のばらつきに非常に敏感であり、特に、原料、調製プロセス又は貯蔵寿命のばらつきによる、スラリー品質のばらつきを検出するために使用され得る。本発明のこの特定の部分の核心は、インターコネクトの特性及び欠陥性を予期される電気的応答に相関付けるための抵抗予測モデルを確立することである。そうすることによって、予期される性能に対するずれが、容易に識別され得る。
【0024】
[0024]開示される方法のこれらの好ましい更なる発展形態のうちの別の1つは、先進ノードを代表する使用寸法が、40nm幅未満であることを備える。
【0025】
[0025]開示される方法のこれらの好ましい更なる発展形態のうちの別の1つは、プロアクティブ品質管理システム(proactive quality control system)が、異なる原因(origins)からのスラリーの性能におけるずれを識別するために、異なる幅を有するインターコネクトの抵抗を使用することを備える。以前に確立された機械学習予測モデルは、スラリーのばらつきによって引き起こされる関連する欠陥性のレベルを推定することを可能にする。理想的な状態では、そのような理解は、スラリーのばらつきの根本的原因を推論するために使用され得る。制御システムは、分析用コンピュータ、データ収集用コンピュータ、又は生産サイトにおける生産機のための制御コンピュータのようなその他任意の好適なコンピュータ上で実行されるソフトウェアを介して確立され得る。
【0026】
[0026]開示される方法のこれらの好ましい更なる発展形態のうちの別の1つは、プロアクティブ品質管理システムが、スラリー及び/又はCMP後の処置によって後に残される、起こり得る汚染又は欠陥を検出するために、くし型構造にわたる漏洩(the leakage across comb-like structures)を使用することを備える。漏洩の増大は、原因がスラリー中の望ましくない汚染物質の存在又は製品の誤った適用にあるということが突き止められ得る。
【0027】
[0027]開示される方法のこれらの好ましい更なる発展形態のうちの別の1つは、特定のバリアスラリーの性能の評価が、このスラリーが2つの異なるバリア材料上で使用されている間に行われることを備える。場合によっては、例えば触媒効果による、スラリーとバリア材料との間の相互作用が、従来の物理的特性評価方法では検出が難しい予期せぬ結果につながり得る。電気的特性評価は、機械学習予測モデルに含まれる予期されるCMP応答の理解と組み合わされると、ずれを識別することを可能にする。
【0028】
[0028]開示される方法のこれらの好ましい更なる発展形態のうちの別の1つは、追加として、以下の工程、即ち、異なる組成を有する薄膜を堆積する工程と、膜の組成、並びに密度、硬度及び弾性率等の他のプロパティを決定するために、膜を物理的に特徴付ける工程と、特に除去速度及び欠陥性等の、異なる配合を有する異なるスラリーの性能を決定するために、膜のCMPプロセスを実行する工程とが、データ収集用コンピュータのデータベースにおいて全てのこれらのデータを取得して、最終的に、特定のソフトウェアを使用して、膜組成及びプロパティを、スラリー配合及びCMPの全体的性能と結び付けるための機械学習アルゴリズムでの(with)予測モデルを作成するために実行されることを備える。
【0029】
[0029]開示される方法のこれらの好ましい更なる発展形態のうちの別の1つは、薄膜の堆積が、異なるターゲットを使用した同時スパッタリングによって、及び/又は反応性スパッタリング中に組成を変化させる異なるガス比率を使用することによって、実行されることを備える。
【0030】
[0030]請求項に記載の本発明の更なる構成要素が、化学的機械的平坦化を用いた半導体素子製造プロセスにおける製品品質を保証するためのシステムであって、CMPベースの製造プロセスのための原料データ及びその関連パラメータとして、少なくとも2つのスラリーについての組成を取得するために使用される接続されたデータベースを有するデータ収集用コンピュータと、先進ノードを代表する寸法のインターコネクトを有するテストビークルを研磨するための研磨装置と、データ収集用コンピュータを使用することによって、CMPプロセスの性能を決定するための、使用されたスラリーと、物理的に実行されたCMPプロセスとの関連パラメータのための少なくとも1つのセンサ装置と、データモデルを有するデータ分析フレームワークを含む教師ありアルゴリズムを使用する、その上で実行される特定のソフトウェアを含む分析用コンピュータと、を備え、ここにおいて、ソフトウェアは、関連パラメータに関する測定されたデータを分析し、異なるパラメータ間の相互相関を理解するために機械学習を使用してそれを予測モデルに適用し、結果を使用して、CMPプロセスの性能と、CMPベースの製造プロセスの結果として得られる製品品質とを改善する。このシステムが、本発明の方法を実行する。既に説明されたように、システム内の上述のコンピュータは、別個のシステム構成要素として確立され得るか、同じコンピュータであり得るか、それらの組合せであり得、最も適したものであれば何でも良い。少なくとも、特定のソフトウェアを有する分析用コンピュータは、好ましくは、別個のコンピュータであるべきである。原料データが自動的に取得される場合には、データ収集用コンピュータは、生産サイトの各々においてコンピュータベースである一種の自動制御で接続される必要がある。そこでは、分析用コンピュータ上のアルゴリズムは、どのロットIDが生産のために使用されるべきであるかを、生産クルーに対して、それぞれのシステム制御内へと書き戻す。この場合、使用されるコンピュータのタイプは、実行される方法の要件に依存する。方法の工程のほとんどが人間のユーザによって実行される場合、ユーザがコンピュータ及び使用されるソフトウェアにデータを提供し得るように、ディスプレイ及び何らかのデータ入力手段又はインターフェースを有する、一種のパーソナルコンピュータ、タブレット、携帯電話、又は同様のものが、使用されるべきである。よりオートメーション化されて方法が実行されるほど、工業用コンピュータ、マイクロコントローラ、シングルボードコンピュータ、又は埋込み型コンピュータ等の他のタイプのコンピュータ全般が使用され得るその場合、自動データ伝送のための、イーサネット(登録商標)、バスシステム、又は無線代替手段(wireless alternatives)のような、明確に定義されたデータインターフェース及びデータ転送ネットワークが、より重要になる。
【0031】
[0031]開示されるシステムのこれらの好ましい更なる発展形態のうちの別の1つは、データ収集用コンピュータが、少なくとも1つの工場からプロセスデータを取得するために使用されるコンピュータベースのデジタルプラットフォームをホストしていることを備える。必要なプロセスデータを取得することの別の可能性が、全ての参加している生産サイトがそれらのプロセス関連データを転送し得る、データ取得用のデジタルプラットフォームを使用することにある。この場合、プラットフォームは、このデータを管理し、それをそれぞれの分析用コンピュータに分散して、分析する工程を実行することなる。
【0032】
[0032]開示されるシステムのこれらの好ましい更なる発展形態のうちの別の1つは、分析用コンピュータが、教師ありアルゴリズム及び/又は教師なしアルゴリズム、とりわけXGBoost、ランダムフォレスト、又は人工ニューラルネットワークを用いるソフトウェアをホストするサーバであり、プロセス実行用コンピュータが、少なくとも2つの生産サイトのためのそれぞれのコンピュータベースの制御端末の一部であるか、又はそれらと同一であることを備える。既に述べたように、人間のユーザが方法の工程の一部を実行する必要がある場合、使用されるコンピュータは、キーボード、マウス、画面等のような、それぞれの入力手段及び出力手段と、この入力を処理するためのそれぞれのソフトウェアと、を設けなければならない。ANNがソフトウェアによって使用される場合、このANNのために好適なコンピュータハードウェアが必要である。
【0033】
[0033]本明細書に開示される発明の更なる構成要素は、その構造が、データ収集用コンピュータを使用することによって、CMPベースの製造プロセスのための原料データ及びその関連パラメータとして、少なくとも2つのスラリーについての組成を取得することと、CMPプロセスの特定の方法の工程を物理的に実行することと、データ収集用コンピュータを使用することによって、CMPプロセスの性能を決定するために、使用されたスラリーと、物理的に実行されたCMPプロセスとの関連パラメータを測定することと、半導体素子製造プロセスの関連パラメータに関連した取得された原料データを、その対応するプロセス部分に割り当て、割り当てられた原料データと測定されたデータとから訓練データを作成することと、によって作成される特定の訓練データで訓練されていることに依存する、XGBoost、ランダムフォレスト、若しくは人工ニューラルネットワーク、又は他のAI手法である。次いで、その結果作成された訓練データは、必要とされるプロセス特性を識別するために、マッピングされたプロセスデータを分析するためにそれが使用され得るように、ソフトウェアを訓練し、その必要な内部構造を確立するために使用される。ソフトウェアに実プロセスデータを提供することによって、それは更に訓練され、その分析性能を改善する。
【0034】
[0034]開示される発明の別の構成要素は、命令を備えるコンピュータプログラムであって、命令は、関与するコンピュータに、以下の方法の工程、即ち、データ収集用コンピュータを使用することによって、CMPベースの製造プロセスのための原料データ及びその関連パラメータとして、少なくとも2つのスラリーについての組成を取得する工程と、CMPプロセスの特定の方法の工程を物理的に実行する工程と、データ収集用コンピュータを使用することによって、CMPプロセスの性能を決定するために、使用されたスラリーと、物理的に実行されたCMPプロセスとの関連パラメータを測定する工程と、異なるパラメータの相互相関を理解するために、機械学習を使用する予測モデルを、分析用コンピュータ上で実行される特定のソフトウェアのために作成し、このソフトウェアを用いて適用することによって、このソフトウェアを用いて関連パラメータに関する測定されたデータを分析し、CMPプロセスの性能と、CMPベースの製造プロセスの結果として得られる製品品質とを改善するために、結果を使用する工程と、を行わせる。単一の方法の工程を担うプログラム部分は、それぞれのコンピュータ部分で実行されている。どのようにプログラム自体が分割されるかは、関与しているコンピュータハードウェアに依存する。述べられたコンピュータのうちの1つ、又はローカルクライアントプログラムを制御する別個のコンピュータで実行されている主ソフトウェアを使用することが可能である。他のオプションは、互いに通信する、ソフトウェアの等しいインスタンス等を含む。
【0035】
[0035]このコンピュータプログラムが説明されたような方法全体を実行するための唯一の要件が、使用されるプログラム及びそのそれぞれのハードウェア構成要素が、方法を完全且つ自動的に実行することができることである。この場合、このようなプログラムは、コンピュータ可読記憶媒体及び/又はデータキャリア信号上に記憶され得、これは、関与するコンピュータに、方法の工程、即ち、データ収集用コンピュータを使用することによって、CMPベースの製造プロセスのための原料データ及びその関連パラメータとして、少なくとも2つのスラリーについての組成を取得する工程と、CMPプロセスの特定の方法の工程を物理的に実行する工程と、データ収集用コンピュータを使用することによって、CMPプロセスの性能を決定するために、使用されたスラリーと、物理的に実行されたCMPプロセスとの関連パラメータを測定する工程と、異なるパラメータの相互相関を理解するために、機械学習を使用する予測モデルを、分析用コンピュータ上で実行される特定のソフトウェアのために作成し、このソフトウェアを用いて適用することによって、このソフトウェアを用いて関連パラメータに関する測定されたデータを分析し、CMPプロセスの性能と、CMPベースの製造プロセスの結果として得られる製品品質とを改善するために、結果を使用する工程と、を行わせる。記憶媒体は、USBドライブ、ハードディスク、フラッシュドライブ等のような、任意の好適なデジタルメモリに記憶され得る。そのメモリから、それはまた、ソフトウェアをそのターゲットハードウェアに送信するための、イーサネット、有線若しくは無線、又はその他任意の好適なネットワーク伝送手段のような、それぞれのデータキャリア信号を使用するリモータ通信手段を介して提供され得る。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】[0036]図1は、必要な方法の工程に関する全般的な概観図である。
図2】[0037]図2は、関与するシステム構成要素に関する概略的な概観図である。
図3】[0038]図3は、第3の実施形態のプロセス工程に関するフローチャートである。
図4】[0039]図4は、第4の実施形態に関する概略的な概観図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
[0040]本発明は、2つの好ましい例示的な実施形態を提示することによってより詳細に説明され、これらは、過去の性能、顧客ファクタ、属性、及び材料加工、原料、並びに中間ファクタ及び属性のようなデータに基づく、材料のためのプロアクティブ品質管理システムについてのそれぞれの方法を開示する。
【0038】
[0041]図1は、両方の実施形態における必要な方法の工程に関する概観図を示す。これら工程自体は、異なる条件に依存して、全ての例示的な実施形態において異なって(divergent)実行される。この方法を実行する半導体生産システム12が、図2に示される。先に説明されたように、その構造もまた、実施形態ごとに異なり得る。特に、関与するコンピュータの種類は、どれだけの工程が、コンピュータ及びアプリケーションソフトウェアの助けを借りて人間のユーザによって実行されるか、又は、例えばAIソフトウェアを使用して、特定のコンピュータによって自動的に行われるかに依存して、大きく異なり得る。
【0039】
[0042]図2は、関与するシステム構成要素に関する概略的な概観図を開示する。この例では、材料供給者サイト14と、製造業者サイト13とが存在し、ここで、材料供給者サイト14は、原材料に関するデータ17及びその分離されたパラメータ2、材料供給者からの品質データ、その他のデータ等のような生産関連データ1を提供する。このデータは、データ収集用コンピュータ9によって収集され、これは、データ統合を実行し、次いで、そのデータを、PLSモデル又は人工ニューラルネットワークのような使用されるデータモデル5、6に提供する。製造業者サイト13は、それ自体の生産プロセスに関するデータ、それ自体の品質データ、その他のデータ等を提供する。次いで、このデータは、セキュアデータ転送コネクタを介して転送される。2つのサイト13、14間のデータの通信は、ウェブサービスによって実行され、これらは、サイトに割り当てられている。追加又は代替として、サードパーティウェブサービスも使用され得る。これは、例えば、デジタルデータプラットフォーム16によって集中管理され得る。
【0040】
[0043]好ましい第1の実施形態は、例えば40nmを下回る異なる幅での蛇行状の銅インターコネクトを有するCMPテストビークルの使用を備える。図3は、概略的なプロセス外観図において手法を示し、要約すると、それは、金属インターコネクトを有するCMPテストビークル10の使用と、上記テストビークル10に対するCMPは、被試験スラリーを使用しており、物理的特性評価及び電気的特性評価と、スラリーの性能を評価するために、分析用コンピュータ11上で実行されるソフトウェアで実行される以前に確立された機械学習モデルを使用したデータの分析と、を備える。次いで、この新しい理解は、スラリーを精製又は改善するために使用される。上記テストビークル10は、市販のCMPシステム工具を使用して研磨され、それは、研磨パッドによって覆われた回転定盤で構成されている。ウエハは、指定された力でパッドに押し付けられる保持具に表面を下向きにして取り付けられている。研磨パッドは、パッド上に圧送されるスラリーで含浸されている。ウエハ表面の研磨は、ウエハが研磨パッドに押し付けられながら、それ自体の軸を中心に回転され、研磨パッド上で移動されるにつれて行われる。例えば品質問題による、CMPプロセスにおけるずれを検出するために、相互接続システムのCMP応答曲線が、異なる粒子のサイズ及び形状を有する一連のスラリーを使用することによってマッピングされ得る。また、例えば、スラリーの結果として得られるpHを修正するための、異なる添加物が使用され得る。
【0041】
[0044]研磨後、異なるスラリーによって引き起こされる欠陥性が、物理的手段と電気的手段との両方によって調査される。ディッシング及びエロージョンの物理的特性評価は、AFM等の走査プローブ方法、若しくはSEM、透過型電子顕微鏡法(TEM:Transmission Electron Microscopy)等の電子顕微鏡方法、又は関連方法を使用して行われ得る。ウエハ上の異なる位置及び異なる幅の上記インターコネクトの電気的特性評価は、それらの抵抗を測定するための半オートメーション化された電気試験器を使用して行われる。
【0042】
[0045]全ての得られた物理的特性評価情報及び電気的特性評価情報と、CMPプロセスパラメータと、研磨特性、添加物の性質及び濃度を含むスラリー配合と、原成分(raw components)の各々の他の入手可能な品質管理及び分析証明書(CoA)とが、データ収集用コンピュータ9を使用してデータベースに記憶される。
【0043】
[0046]前述の分析用コンピュータ11によってソフトウェアを介して実行される機械学習アルゴリズム、例えばニューラルネットワーク5、6は、電気的応答を、実験中に探査された全ての上述の変数に相関付けることが可能なモデルを訓練するために使用される。これは、CMPプロセスと、スラリー特性と、結果として得られる欠陥性3及び電気的応答4との間に存在する相互相関を明確に理解することを可能にする。このような理解は、例えば、プロセスベースラインを確立し、スラリー調製プロセス又はソース原料における品質問題による、ずれ7の原因を理解するために使用され得る。それは、代替として、異なるインターコネクト金属及び/又はバリア材料を対象として、スラリーの配合を最適化するために使用され得る。
【0044】
[0047]もう1つの好ましい第2の実施形態は、2つ以上のターゲットを収容することと、膜の高密度化を促進するために、堆積中の基板温度を修正することとが可能な組合せスパッタリングシステム(combinatorial sputtering system)の使用を備える。図4は、この手法の概要を示す。それは、CMPプロセス、物理的特性評価、及びシリコン酸窒化組成物(Silicon oxynitride compositions)をスクリーニングするための組合せスパッタリングシステムの使用で構成される。全てのデータは、統一データベースにおいて収集され、ニューラルネットワーク5、6が、観測された応答を説明するために使用される。これは、以下の文章で更に詳細に示される。システム12は、堆積中に異なるターゲットに加えられる電力の比率を変化させること、並びに/又は、酸素及び窒素等の異なる反応性ガスを導入することによって、スパッタリング雰囲気を修正することのいずれかによって、結果として得られる薄膜堆積組成物を変化させることを可能にする。これは、例えば、シリコン酸窒化薄膜の幅広い組成スクリーニングを得ることを可能にする。これらの膜の組成は、ラザフォード後方散乱分光法(RBS:Rutherford Backscattering Spectroscopy)等の従来の特性評価技法、又は他の較正技法を使用することによって得られ得る。上記膜の密度及び厚さは、X線反射率測定法(XRR:X-ray Reflectometry)を使用して得られ得る。最終的に、硬度及び弾性率等の膜の機械的プロパティが、ナノインデンテーション(nanoindentation)を使用して得られ得る。
【0045】
[0048]異なる組成を有する膜は、市販のCMPシステム工具を使用して研磨され、それは、研磨パッドによって覆われた回転定盤で構成されている。ウエハは、指定された力でパッドに押し付けられる保持具に表面を下向きにして取り付けられている。研磨パッドは、パッド上に圧送されるスラリーで含浸されている。ウエハ表面の研磨は、ウエハが研磨パッドに押し付けられながら、それ自体の軸を中心に回転され、研磨パッド上で移動されるにつれて行われる。スラリーについての除去速度(RR:removal rate)は、偏光解析法を用いて、研磨後の膜の厚さを測定することによって得られる。
【0046】
[0049]異なる組成を有する膜の堆積パラメータ、物理的特性評価情報、CMPプロセスパラメータ及びスラリー配合は、データ収集用コンピュータ9を使用してデータベースに記憶される。
【0047】
[0050]分析用コンピュータ11上で実行されるソフトウェアで実行される、ニューラルネットワークのような機械学習アルゴリズムは、実験中に探査された全ての上述のパラメータに相関付けることが可能なモデルを訓練するために使用される。このモデルは、薄膜組成と、スラリー配合と、CMPプロセスのパラメータ及び性能との間に存在する相互相関を明確に理解し、将来において予測することを可能にする。このような理解は、例えば、プロセスベースラインを確立し、処理されている薄膜における品質問題によるずれ7の原因を理解するために使用され得る。それは、代替として、例えば、異なる薄膜組成物にそれらの適用性を広げることを目的として、スラリーの配合を最適化するために使用され得る。
【0048】
[0051]これらの手法が、提示された2つの実施形態における一例として実現されると、バッチオートメーションは、完成品の品質のばらつきの著しい低減につながる。これは、源材料のロット選択及び予測モデルに基づいて、予期される完成品の品質に対する透明化を可能にし、ロット選択プロセスにおける更なる改善及び一定の数量を再加工又は廃棄する必要性の低下につながる。
【0049】
[0052]継続的なデータ統合は、追加として、予測品質を監視することを可能にし、継続的に到来する新しい情報に基づいて、使用されるデータモデルを改善する。更なる好ましい実施形態では、システムはまた、非エッジケース(non-edge cases)におけるロット選択をオートメーション化するように拡張され得、従って、サプライチェーン計画者の手動労力を低減させる。
【0050】
[参照符号のリスト]
1 入手可能な生産関連データ
2 原料データの分離されたパラメータ
3 欠陥性
4 電気的応答
5 未訓練のニューラルネットワーク又はPLSモデル
6 訓練されたニューラルネットワーク又はPLSモデル
7 ベースラインからの検出されたずれ
8 改善された製品品質
9 データ収集用コンピュータ
10 テストビークル
11 分析用コンピュータ
12 半導体生産システム
13 製造業者サイト
14 材料供給者
15 データ分析装置
16 デジタルデータプラットフォーム
17 原料データ
図1
図2
図3
図4
【外国語明細書】