(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023155122
(43)【公開日】2023-10-20
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 40/06 20120101AFI20231013BHJP
【FI】
G06Q40/06
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022144250
(22)【出願日】2022-09-12
(62)【分割の表示】P 2022064635の分割
【原出願日】2022-04-08
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】519110124
【氏名又は名称】PayPay株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】514108584
【氏名又は名称】PayPay証券株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安念 宣子
(72)【発明者】
【氏名】平田 梨紗
(72)【発明者】
【氏名】内山 昌秋
【テーマコード(参考)】
5L055
【Fターム(参考)】
5L055BB52
(57)【要約】
【課題】債権譲渡(ファクタリング)により有価証券の売却取引当日の売却代金を電子マネーで受領できるスキームを実現する。
【解決手段】情報処理装置は、決済サービス事業者の決済サーバから、ユーザの識別情報及び前記ユーザの電子マネー口座への電子マネーのチャージ代金を含む請求情報を受信して保存する受信部と、保存された前記請求情報に含まれる前記ユーザの識別情報に応じた前記ユーザの証券口座への着金を検知する検知部と、前記ユーザの証券口座への着金を検知した場合、保存された前記請求情報に含まれるチャージ代金を、着金が検知された前記ユーザの証券口座から前記決済サービス事業者の金融機関口座へ入金する入金処理部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
決済サービス事業者の決済サーバから、ユーザの識別情報及び前記ユーザの電子マネー口座への電子マネーのチャージ代金を含む請求情報を受信して保存する受信部と、
保存された前記請求情報に含まれる前記ユーザの識別情報に応じた前記ユーザの証券口座への着金を検知する検知部と、
前記ユーザの証券口座への着金を検知した場合、保存された前記請求情報に含まれるチャージ代金を、着金が検知された前記ユーザの証券口座から前記決済サービス事業者の金融機関口座へ入金する入金処理部と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
情報処理装置が実行する情報処理方法であって、
決済サービス事業者の決済サーバから、ユーザの識別情報及び前記ユーザの電子マネー口座への電子マネーのチャージ代金を含む請求情報を受信して保存する受信工程と、
保存された前記請求情報に含まれる前記ユーザの識別情報に応じた前記ユーザの証券口座への着金を検知する検知工程と、
前記ユーザの証券口座への着金を検知した場合、保存された前記請求情報に含まれるチャージ代金を、着金が検知された前記ユーザの証券口座から前記決済サービス事業者の金融機関口座へ入金する入金処理工程と、
を含むことを特徴とする情報処理方法。
【請求項3】
決済サービス事業者の決済サーバから、ユーザの識別情報及び前記ユーザの電子マネー口座への電子マネーのチャージ代金を含む請求情報を受信して保存する受信手順と、
保存された前記請求情報に含まれる前記ユーザの識別情報に応じた前記ユーザの証券口座への着金を検知する検知手順と、
前記ユーザの証券口座への着金を検知した場合、保存された前記請求情報に含まれるチャージ代金を、着金が検知された前記ユーザの証券口座から前記決済サービス事業者の金融機関口座へ入金する入金処理手順と、
をコンピュータに実行させるための情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の証券会社間で、売注文の売却代金の受渡日よりも前の日に、顧客の買付余力を確保するための技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の従来技術は、ある証券会社での売注文の売却代金により別の証券会社で別の銘柄の買付を行う際の売却処理と買付処理との時間差を無くすか、短くするというものに過ぎない。現在、資産運用ミニアプリにおける資金決済に関する仕組みとして、ユーザが有価証券売却取引当日に電子マネーを受領できる仕組みの実現を目指して技術開発が進められている。
【0005】
本願は、上記に鑑みてなされたものであって、債権譲渡(ファクタリング)により有価証券の売却取引当日の売却代金を電子マネーで受領できるスキームを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願に係る情報処理装置は、決済サービス事業者の決済サーバから、ユーザの識別情報及び前記ユーザの電子マネー口座への電子マネーのチャージ代金を含む請求情報を受信して保存する受信部と、保存された前記請求情報に含まれる前記ユーザの識別情報に応じた前記ユーザの証券口座への着金を検知する検知部と、前記ユーザの証券口座への着金を検知した場合、保存された前記請求情報に含まれるチャージ代金を、着金が検知された前記ユーザの証券口座から前記決済サービス事業者の金融機関口座へ入金する入金処理部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
実施形態の一態様によれば、債権譲渡(ファクタリング)により有価証券の売却取引当日の売却代金を電子マネーで受領できるスキームを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係る情報処理方法の概要を示す説明図である。
【
図2】
図2は、資産運用ミニアプリの提供サービスの一例を示す概念図である。
【
図3】
図3は、決済サービス事業者-証券会社間での資産運用ミニアプリの資金フローの一例を示す概念図である。
【
図4】
図4は、ユーザ-決済サービス事業者-証券会社間での資産運用ミニアプリの資金フローの一例を示す概念図である。
【
図5】
図5は、資産運用ミニアプリの概要を示す図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る情報処理システムの構成例を示す図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る端末装置の構成例を示す図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係る決済サーバの構成例を示す図である。
【
図9】
図9は、利用者情報データベースの一例を示す図である。
【
図10】
図10は、実施形態に係る処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本願に係る情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムを実施するための形態(以下、「実施形態」と記載する)について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態により本願に係る情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムが限定されるものではない。また、以下の実施形態において同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略される。
【0010】
〔1.情報処理方法の概要〕
まず、
図1を参照し、実施形態に係る情報処理装置が行う情報処理方法の概要について説明する。
図1は、実施形態に係る情報処理方法の概要を示す説明図である。なお、
図1では、債権譲渡(ファクタリング)により有価証券の売却取引当日の売却代金を電子マネーで受領する場合を例に挙げて説明する。
【0011】
図1に示すように、情報処理システム1は、端末装置10と決済サーバ100と証券サーバ200とを含む。端末装置10と決済サーバ100と証券サーバ200とは、ネットワークN(
図6参照)を介して有線又は無線で互いに通信可能に接続される。本実施形態では、端末装置10は、決済サーバ100と連携する。
【0012】
端末装置10は、利用者U(ユーザ)により使用されるスマートフォンやタブレット等のスマートデバイスであり、4G(Generation)やLTE(Long Term Evolution)等の無線通信網を介して任意のサーバ装置と通信を行うことができる携帯端末装置である。また、端末装置10は、液晶ディスプレイ等の画面であって、タッチパネルの機能を有する画面を有し、利用者Uから指やスタイラス等によりタップ操作、スライド操作、スクロール操作等、コンテンツ等の表示データに対する各種の操作を受付ける。なお、画面のうち、コンテンツが表示されている領域上で行われた操作を、コンテンツに対する操作としてもよい。また、端末装置10は、スマートデバイスのみならず、デスクトップPC(Personal Computer)やノートPC等の情報処理装置であってもよい。
【0013】
決済サーバ100及び証券サーバ200は、各利用者Uの端末装置10と連携し、各利用者Uの端末装置10に対して、各種アプリケーション(以下、アプリ)等に対するAPI(Application Programming Interface)サービス等と、各種データを提供する情報処理装置であり、サーバ装置やクラウドシステム等により実現される。
【0014】
決済サーバ100は、第1事業者(決済サービス事業者)により運営・管理され、端末装置10を用いた決済(電子決済)のためのアプリケーション(決済アプリ)を提供する。
【0015】
証券サーバ200は、第2事業者(証券会社)により運営・管理され、決済サーバ100と連携し、決済アプリ内で起動するアプリケーション(ミニアプリ)として、有価証券の売買を行うことができる資産運用ミニアプリを提供する。
【0016】
証券サーバ200は、有価証券の売買に関与する情報処理装置である。例えば、証券サーバ200は、金額指定による有価証券の売却申し込みを受け付けると、有価証券の基準価格に基づいて顧客が有数する有価証券のうち売却対象となる有価証券の数、すなわち売却数量を算出し、売却代金を利用者Uに支払う情報処理装置である。売却代金の支払いは、例えばオンラインでのインターネットバンキングや電子決済等により行われる。なお、当該有価証券は、利用者Uが保有する有価証券であって、売却申し込みから売却代金の受け渡しまでに所定の日数(例えば2営業日)を要する有価証券である。
【0017】
本実施形態では、第1事業者(決済サービス事業者)と第2事業者(証券会社)とがいる場合に、ユーザが第1事業者の決済アプリ内の資産運用ミニアプリ経由で第2事業者が扱う有価証券の売却指示を第2事業者に出すと、第1事業者が先にユーザに電子マネーを渡して、後日、第2事業者から第1事業者に代金を支払う。
【0018】
なお、証券会社は、金融機関の一例に過ぎない。有価証券を取り扱う銀行等の他の金融機関であってもよい。すなわち、証券会社は、有価証券の売買を仲介する金融機関であればよい。また、有価証券は、金融商品の一例に過ぎない。有価証券は、株式、債券、手形、小切手等を含む。投資信託(投信:ファンド)やETF(Exchange Traded Funds)、保険商品等であってもよい。
【0019】
なお、本実施形態では、便宜上、端末装置10、決済サーバ100及び証券サーバ200の動作を、それぞれユーザ、決済サービス事業者及び証券会社の動作として説明する場合がある。
【0020】
〔1-1.端末装置10を用いた決済〕
ここで、実施形態に係る情報処理に先立ち、端末装置10を用いた決済(電子決済)の一例について説明する。なお、以下の説明では、店舗に配置された2次元コード(QRコード(登録商標))であって、店舗を識別する店舗識別情報を示す2次元コードを用いて、利用者Uが端末装置10を用いた決済を行う例について説明するが、実施形態は、これに限定されるものではない。以下に説明する決済の一例は、任意の利用者が任意の端末装置10を用いて、任意の店舗にて決済を行う場合においても適用可能である。また、店舗識別情報は、QRコード(登録商標)のみならず、バーコードや所定のマーク、番号等であってもよい。
【0021】
例えば、利用者Uが店舗にて各種の商品やサービスといった決済対象(取引対象)の利用や購入に伴う決済を行う場合、利用者Uは、端末装置10にインストールされた決済用のアプリケーション(決済アプリ)を起動する。そして、利用者Uは、決済アプリを介して、店舗に設置された店舗識別情報を撮影する。このような場合、端末装置10は、決済対象の価格を入力するための画面を表示し、利用者U或いは店舗の店員Mから決済金額の入力を受け付ける。そして、端末装置10は、利用者Uを識別する利用者識別情報と、店舗識別情報(若しくは、店舗識別情報が示す情報、すなわち、店舗を示す情報(例えば、店舗ID(Identifier)))と、決済金額とを示す決済情報を決済サーバ100へと送信する。
【0022】
このような場合、決済サーバ100は、利用者識別情報が示す利用者Uの口座から、店舗識別情報が示す店舗の口座へと、決済金額が示す額の電子マネーを移行させる。そして、決済サーバ100は、決済が完了した旨の通知を端末装置10へと送信する。このような場合、端末装置10は、決済が完了した旨の画面や所定の音声を出力することで、電子マネーによる決済が行われた旨を通知する。
【0023】
なお、端末装置10を用いた決済は、上述した処理に限定されるものではない。例えば、端末装置10を用いた決済は、店舗に設置された店舗端末を用いたものであってもよい。例えば、端末装置10は、利用者Uを識別するための利用者識別情報を画面上に表示させる。このような場合、店舗に設置された店舗端末は、端末装置10に表示された利用者識別情報を読み取り、利用者識別情報(若しくは、利用者識別情報が示す情報、すなわち、利用者Uを示す情報(例えば、利用者ID))と、決済金額と、店舗を識別する情報とを示す決済情報を決済サーバ100へと送信する。このような場合、決済サーバ100は、利用者識別情報が示す利用者Uの口座から、店舗の口座へと、決済金額が示す額の電子マネーを移行させ、店舗の店舗端末或いは端末装置10に対し、決済が完了した旨の画面や所定の音声を出力させることで、決済が行われた旨を通知してもよい。
【0024】
また、端末装置10を用いた決済は、利用者Uが予め電子マネーをチャージした口座から店舗の口座へと電子マネーを移行させる処理のみならず、例えば、利用者Uが予め登録したクレジットカードを用いた決済であってもよい。このような場合、例えば、端末装置10は、店舗の口座に対して決済金額の電子マネーを移行させるとともに、利用者Uのクレジットカードの運用会社に対し、決済金額を請求してもよい。
【0025】
端末装置10を用いた決済では、決済アプリが利用者口座から決済額分の電子マネーを引き出して、加盟店の売上情報として管理する(加盟店口座への入金とは異なる)。また、所定のタイミングで、売上情報をもとに、加盟店の銀行口座に、売上から管理手数料を減算した額の現金を入金する。なお、利用者口座から、加盟店が管理する加盟店の電子マネー口座に電子マネーを入金してもよく、入金時あるいは所定のタイミングで、手数料を加盟店が管理する加盟店口座から取得してもよい。さらに、決済アプリに関して利用者Uに提供されるクーポンの原資が加盟店負担であれば、銀行口座に現金を入金する際、もしくは、加盟店の口座に電子マネーを入金する際等に、負担分の現金若しくは電子マネーを減算して提供する。
【0026】
現状、上述した決済手段や決済サービスでは、加盟店は電子マネー残高を扱うことはなく、上述した決済手段や決済サービスでの加盟店ごとの売上は決済サーバ上で管理している。このとき、売上を電子マネー残高で加盟店口座に送金しておらず、現金にして銀行口座に入金している。入金の際に、クーポンの原資が加盟店負担なら、売上からクーポンの原資の分を差し引いた額を振り込む。
【0027】
なお、上述した決済手段や決済サービスは、商品の購入や役務の提供に対する対価の提供(債務の精算)のためのものに限定されるものではない。例えば、上述した決済手段や決済サービスは、複数の利用者が有する口座間の送金に関する機能を有していてもよい。すなわち、上述した決済手段や決済サービスは、利用者や店舗等、電子マネーの所有者と紐づく任意の所有者の口座間における電子マネーの送受信を制御するサービスであればよい。すなわち、実施形態に係る決済手段や決済サービスは、電子マネーのやり取りを実現するための各種制御(電子マネーを介した各種の口座間送金制御のみならず、電子マネー口座と銀行口座間のやり取りに関する制御や、分割、ボーナス払いに伴う処理といった各種債権処理、その他電子マネーを含む財産のやり取りに関する各種制御)を実行する取引手段や取引サービスであれば、任意の態様で提供されるものであってもよい。また、このような取引手段や取引サービスが実現する各種の制御には、決済に関する制御と送金に関する制御の両方が含まれていてもよく、いずれか一方のみが含まれていてもよい。すなわち、「取引」とは、電子マネーに関する「決済」のみならず、電子マネーの「送金」やその他各種の処理をも含む概念である。すなわち、決済サーバ100は、任意の所有者間における電子マネーのやり取りを制御する取引手段を実現する情報処理装置であってもよい。
【0028】
例えば、決済サーバ100は、決済や送金等といった電子マネーの取引に関する取引情報が生じると、取引情報に基づいて利益を受け取るか否かの選択を利用者から受け付け、利用者が利益を受け取る場合は、利用者に対して取引を行ったことによる利益を付与する。また、決済サーバ100は、利益を受け取らない場合は、取引サービスにおける利用者の行動に基づき、より有利な利益を利用者に付与することとなる。
【0029】
〔1-2.債権譲渡による有価証券売却取引当日の売却代金受領スキーム〕
次に、
図1を参照して、債権譲渡(ファクタリング)により有価証券の売却取引当日の売却代金を電子マネーで受領するスキームについて説明する。本実施形態では、資産運用ミニアプリの提供に向けての資金決済に関する仕組みとして、ユーザが有価証券売却取引当日に電子マネーを受領できる仕組みを実現するスキームを策定する。例えば、通常2営業日以降が受渡日(売却資金の着金)となる有価証券取引において、債権譲渡(ファクタリング)により取引当日に電子マネーチャージを行うスキームを策定する。
【0030】
図1に示すように、利用者Uの端末装置10は、事前に、資産運用ミニアプリを介して、利用者Uが証券会社に対して有する債権を決済サービス事業者へ譲渡する(ステップS1)。すなわち、債権譲渡(ファクタリング)を行う。
【0031】
本実施形態では、利用者Uの端末装置10は、資産運用ミニアプリを介して、個々の取引について個別に債権譲渡するのではなく、全ての取引について一括して債権譲渡するように決済サービス事業者の決済サーバ100と事前に契約を締結する。これにより、利用者Uの端末装置10は、資産運用ミニアプリを介した全ての取引について、取引当日である「T日」から2営業日後の「T+2日目」に発生する証券口座からの出金に係る債権を決済サービス事業者へ譲渡したことになる。ここでは、取引当日を「T日」として表す。
【0032】
なお、実際には、利用者Uの端末装置10は、資産運用ミニアプリを介して、個々の取引について取引の度に個別に債権譲渡するようにしてもよい。
【0033】
次に、利用者Uの端末装置10は、取引当日である「T日」に、資産運用ミニアプリでの利用者Uの操作に応じて、証券会社の証券サーバ200に有価証券の売却を指示する(ステップS2)。本実施形態では、自動出金により、電子マネー口座と証券口座との間を資金が自動で移動する。
【0034】
本実施形態では、有価証券の売却は、相対取引によるリアルタイム処理で行われる。すなわち、証券取引所などの市場を通さずに、売り手と買い手が当事者同士で価格や売買数量などを決めて行う。また、利用者Uは、資産運用ミニアプリ上において、保有する有価証券の銘柄ごとの売却数量や売却金額を指定することができる。すなわち、利用者Uは、保有する有価証券の銘柄ごとの所有分(株数/口数)の全量を一括で売却する場合に限らず、任意の金額を指定して売却することもできる。なお、有価証券の売却は、市場取引による成行注文や指値注文で行われてもよい。成行注文の場合には、売買が成立して金額が決まった時に売却金額(売却代金)が決定する。指値注文の場合には、指定した額で売買が成立した時に売却金額が決定する。
【0035】
次に、証券会社の証券サーバ200は、取引当日である「T日」に、上記ステップS2の有価証券の売却代金に関する情報を決済サービス事業者の決済サーバ100に送信する(ステップS3)。本実施形態では、利用者Uの端末装置10の資産運用ミニアプリで有価証券の売買が行われると、利用者Uを示すユーザID(UID)とチャージ金額とが、証券会社の証券サーバ200から決済サービス事業者の決済サーバ100に送信される。
【0036】
次に、決済サービス事業者の決済サーバ100は、取引当日である「T日」に、上記ステップS3の有価証券の売却代金に関する情報に基づき、上記ステップS2の有価証券の売却代金に相当する電子マネーを利用者Uの電子マネー口座にチャージする(ステップS4)。このとき、決済サーバ100は、有価証券の売却代金に相当する電子マネーを、決済サービス事業者の電子マネー口座から利用者Uの電子マネー口座に移行させる(入金する)ようにしてもよい。
【0037】
なお、本実施形態では、23:59に売却して0:01にチャージされるような日付をまたぐタイムラグが生じた場合であっても、「当日」として処理する。例えば、翌日の深夜等の時間帯にチャージが完了する場合、その深夜等の時間帯は、当日の25時、26時等として扱う。
【0038】
また、本実施形態では、説明の便宜上、利用者Uへの電子マネーのチャージ金額は、有価証券の売却代金と同額であるものとして説明する。なお、実際には、利用者Uへの電子マネーのチャージ金額は、有価証券の売却代金から手数料等を差し引いた金額や、有価証券の売却代金にキャンペーン等でポイントを追加した金額であってもよい。すなわち、厳密には、利用者Uへの電子マネーのチャージ金額は、有価証券の売却代金と同額でなくてもよい。また、有価証券の売却代金自体が、手数料等を差し引いた金額やキャンペーン等でポイントを追加した金額であってもよい。証券会社の証券サーバ200は、決済サービス事業者の決済サーバ100に売却額と手数料とを通知してもよい。また、証券会社の証券サーバ200は、資産運用ミニアプリを介して、利用者Uの端末装置10に売却額と手数料とを通知してもよい。このような場合、決済サービス事業者の決済サーバ100は、売却額から証券会社の手数料を減算した額、もしくは、この額からさらに決済サービス事業者の手数料を除いた額を利用者Uの電子マネー口座にチャージしてもよい。
【0039】
また、電子マネーのチャージ代金(電子マネーに交換する現金等)は、後日(有価証券の売却代金の出金が可能になる日以降)支払いが行われるものとする。すなわち、ここでは電子マネーのみ先払いし、チャージ代金は後払いとする。形式的には、証券会社が決済サービス事業者から電子マネーを一時的に借りる(立て替えてもらう)形であってもよい。例えば、証券会社の証券サーバ200は、決済サービス事業者の決済サーバ100に対して、利用者Uの電子マネー口座への電子マネーのチャージの指示のみ行い、後日そのチャージ代金を支払うようにしてもよい。チャージ代金の支払いの詳細については後述する。
【0040】
次に、決済サービス事業者の決済サーバ100は、上記ステップS4の利用者Uへの電子マネーのチャージ代金を証券会社の証券サーバ200に請求するための処理をする(ステップS5)。例えば、決済サービス事業者の決済サーバ100は、取引当日である「T日」に行われた全ての取引をまとめて、日次に、上記ステップS4の利用者Uへの電子マネーのチャージ代金を集計した金額を証券会社の証券サーバ200に請求するための処理をしてもよい。なお、実際には、証券サーバ200に請求するための処理をするタイミングは、取引当日である「T日」以降であってもよい。
【0041】
次に、決済サービス事業者の決済サーバ100は、取引当日から2営業日後の「T+2日目」以降に、上記ステップS1の債権譲渡に基づき、上記ステップS4のチャージ代金の相当額を証券会社の証券サーバ200に請求する(ステップS6)。すなわち、決済サーバ100は、取引当日から2営業日後の「T+2日目」以降に、電子マネーのチャージ分に相当する現金の入金を請求する。この際、決済サーバ100は、証券サーバ200に対して、ユーザの識別情報も送信する。証券サーバ200は、決済サーバ100から「ユーザの識別情報及び電子マネーのチャージ代金(チャージ代金の相当額)」を含む請求情報を受信して保存する。
【0042】
なお、チャージ代金の相当額を証券会社の証券サーバ200に請求するタイミング自体は、取引当日である「T日」又はそれ以降(2営業日後より前を含む)であってもよい。すなわち、有価証券の売却代金に相当する電子マネーを利用者Uの電子マネー口座にチャージした後であればよい。例えば、決済サーバ100は、取引当日である「T日」又はそれ以降に、チャージ代金の相当額を証券会社の証券サーバ200に請求してもよい。すなわち、決済サーバ100は、取引当日である「T日」又はそれ以降に、電子マネーのチャージ分に相当する現金の入金を請求してもよい。
【0043】
次に、証券会社の証券サーバ200は、取引当日から2営業日後の「T+2日目」に、上記ステップS2の有価証券の売却代金が証券会社へ着金したことを確認する(ステップS7)。例えば、証券サーバ200は、保存した請求情報に含まれるユーザの識別情報に応じたユーザの証券口座への着金を検知する。すなわち、証券会社の証券サーバ200は、取引当日から2営業日後の「T+2日目」に、上記ステップS2の有価証券の売却代金が証券会社の口座(利用者Uの証券口座)へ着金したことを確認する。
【0044】
次に、証券会社の証券サーバ200は、取引当日から2営業日後の「T+2日目」以降に、決済サービス事業者の決済サーバ100からの請求に基づいて、上記ステップS4のチャージ代金の相当額を支払う(ステップS8)。例えば、証券サーバは、ユーザの証券口座への着金を検知した場合、保存した請求情報に含まれるチャージ代金を、着金を検知したユーザの証券口座から決済サービス事業者の銀行口座へ入金する。すなわち、証券サーバ200は、決済サーバ100からの請求に基づいて、電子マネーのチャージ分に相当する現金を決済サービス事業者の銀行口座に入金する。なお、「銀行口座に入金する」とは、外部の銀行サーバ(図示省略)への入金や送金の指示等、銀行口座に入金するための処理を行うことを示す。本実施形態では、便宜上、簡略に「銀行口座に入金する」と記載する。
【0045】
例えば、証券会社の証券サーバ200は、有価証券の売却代金が利用者Uの証券口座に着金すると同時に、その着金した額のうち電子マネーのチャージ分に相当する額を電子マネーのチャージ代金として決済サービス事業者の銀行口座に入金する。すなわち、証券サーバ200は、上記ステップS4で利用者Uの電子マネー口座にチャージした電子マネーのチャージ代金を、取引当日から2営業日後の「T+2日目」以降に、証券会社の銀行口座からではなく、着金があった利用者Uの証券口座から決済サービス事業者の銀行口座に入金する。
【0046】
そして、証券会社の証券サーバ200は、決済サービス事業者の銀行口座に入金した際(又はその後)、決済サービス事業者の銀行口座に入金したことを決済サービス事業者の決済サーバ100に通知する。なお、実際には、証券会社からの入金を確認した銀行の銀行サーバ(図示省略)が決済サービス事業者の決済サーバ100に証券会社からの入金があったことを通知してもよい。決済サービス事業者の銀行口座は、決済サービス事業者と同一の企業グループの銀行(又は業務提携している銀行)に開設された銀行口座であってもよい。また、銀行口座に限らず、他の金融機関の口座であってもよい。
【0047】
このとき、決済サービス事業者の決済サーバ100は、証券会社の証券サーバ200からの通知(入金通知)を受けて、決済サービス事業者の銀行口座への入金を確認する。そして、決済サーバ100は、決済サービス事業者の銀行口座への入金が確認できた場合、上記ステップS4のチャージ代金の相当額を受領したと判断する。なお、実際には、決済サーバ100は、証券会社の証券サーバ200からの通知(入金通知)を受けた時点で、上記ステップS4のチャージ代金の相当額を受領したと判断してもよい。
【0048】
通常、証券会社での有価証券取引においては取引日から2営業日後の「受渡日」に証券・代金の授受が行われ、売却の場合は顧客が受渡日まで売却代金の証券口座での受領を待つ必要がある。本実施形態に係る債権譲渡(ファクタリング)を活用したスキームにおいては、電子決済サービスのユーザが資産運用ミニアプリを利用して行った有価証券の売却取引当日に売却代金を電子マネーにて受領し、取引当日より電子マネーとして利用できる。
【0049】
本実施形態において、有効な債権譲渡(ファクタリング)として認められる事項として、当事者間の主観的意図を示すものとしての契約締結や、その主観的意図を裏付ける客観的事実、会計上債権譲渡を前提とした取扱い等が挙げられる。
【0050】
当事者間の主観的意図を示すものとしての契約締結として、決済サービス事業者-証券会社間については、電子マネーの発行に係る業務委託契約(ファクリングスキームを踏まえた内容)を締結する。決済サービス事業者-ユーザ間については、決済サービス利用規約(ファクタリングスキームへの個別特約)を締結する。証券会社-ユーザ間については、証券会社ミニアプリ利用規約(ファクタリングスキームへの個別同意含む)を締結する。
【0051】
主観的意図を裏付ける客観的事実として、特にポイントとなる要素は、債権の回収不能等に係る危険及び経済的利益が譲受人に移転している点(買戻特約、求償合意等が譲渡人と譲受人との間でなされている場合は消極の評価要素となる)、債権の現実的な支配権が譲受人に移転している点、債権管理や回収等を譲渡人が行っている点(回収等を譲渡人が行っている場合は消極の評価要素となる場合は消極の評価要素となる)、対抗要件を具備している点。対抗要件を具備している点、債権譲渡債権譲渡の対価が相当なものである点、対価が相当なものである点、等である。
【0052】
これにより、資産運用ミニアプリによる有価証券取引の利便性向上が期待できる。また、証券会社が顧客である利用者に対して有価証券の売却代金を「電子マネー」で即日払いするための適法(合法的)な仕組みを提供できる。また、決済アプリの利用頻度の向上が期待できる。
【0053】
〔1-3.資産運用ミニアプリの提供サービス〕
図2は、資産運用ミニアプリの提供サービスの一例を示す概念図である。
図2に示すように、証券会社が資産運用ミニアプリにて提供するサービスは、証券会社口座の開設(証券会社による本人確認(eKYC:electronic Know Your Customer)、法定書面の交付含む)、電子マネーによる有価証券取引、資産残高推移、資産割合、お知らせ等の情報提供等である。
【0054】
証券会社は、資産運用サービスを資産運用ミニアプリで提供する。このとき、証券会社は、資産運用ミニアプリ用に取扱商品を選定する。資産運用ミニアプリでは、電子マネーによる有価証券の買付・出金(売却時)を可能とする。本実施形態では、電子マネー以外の決済手段は導入しない。なお、電子マネー金額上限(例えば、100万円)を超える出金の場合のみ金融機関口座への出金も可能とする。
【0055】
電子マネーのチャージには一日の上限がある。通常、24時間で50万円、30日で200万円が上限になる。滞留上限が100万円である。このため、チャージ後の残高が100万円になるように調整する。例えば、滞留上限が100万円あるときに、販売をすると、100万円を超えた分は、販売額は銀行口座に振り込むように表示を出してもよい。また、残高が90万円あるときに30万円が売却益ならば、売却益である30万円のうち、20万円(又はそれ以上)を銀行口座に振り込むようにする。あるいは、売却益である30万円の全額を銀行口座に振り込むようにする。いずれでもよい。また、滞留上限を超えないように、有価証券の売買金額の上限を設けてもよい。
【0056】
銀行振り込みの場合は、取引当日から2営業日後の「T+2日目」以降に、証券口座から銀行口座への振り込みでもよい。また、電子マネー口座から銀行口座への振り込みでもよい。例えば、電子マネー口座に一旦チャージして、滞留上限を超えた分を銀行口座に振り込むようにしてもよい。電子マネー口座から滞留上限を超えた分が証券口座に払い戻されて、証券口座から銀行口座に振り込むようにしてもよい。銀行については、ユーザが証券会社に登録している銀行ならどこでもよい。銀行振り込みは、即時でもよいし、取引当日から2営業日後でもよい。
【0057】
〔1-4.資産運用ミニアプリの資金フロー〕
図3は、決済サービス事業者-証券会社間での資産運用ミニアプリの資金フローの一例を示す概念図である。
図3に示すように、決済サービス事業者-証券会社間での資産運用ミニアプリの資金フローでは、決済サービス事業者は、証券会社から決済サービス事業者への金融仲介業に関する業務委託から生じるプロフィットシェア(profit share)による分配金を収入として得る(毎月)。例えば、証券会社がユーザによる有価証券の取引・保有から得るプロフィット(利益)の一部を決済サービス事業者が受領する。
【0058】
また、ユーザの電子マネーによる有価証券買付及び売却代金合計の授受を行う(毎日)。例えば、決済サービス事業者から証券会社へ、電子マネーによる有価証券の買付代金合計の振込を行う。また、証券会社から決済サービス事業者へ、電子マネーによる有価証券の売却代金合計の振込を行う。なお、ユーザの有価証券の売却代金合計の振込については、ユーザから決済サービス事業者への債権譲渡(ファクタリング)に基づく。
【0059】
図4は、ユーザ-決済サービス事業者-証券会社間での資産運用ミニアプリの資金フローの一例を示す概念図である。すなわち、ユーザの視点から見た資金フローを示す。
図4に示すように、ユーザ-決済サービス事業者-証券会社間での資産運用ミニアプリの資金フローでは、決済アプリ内の資産運用ミニアプリでの買付代金分の電子マネー支払いや、売却代金分の電子マネー受領(取引当日)を行う。
【0060】
ユーザは、買付をすれば自動的に電子マネーから減算、売却をすれば自動的に電子マネーが加算される。通常であれば、現金での証券口座への入金手続きや証券口座からの出金手続きが行われるが、本実施形態では、電子マネーを使用するため、現金での証券口座への入金手続きや証券口座からの出金手続きは行わない。すなわち、銀行口座から証券口座への入金手続きや証券口座から銀行口座への出金手続きは行わない。取引当日の売却代金分の電子マネー受領については、
図1に示すような債権譲渡(ファクタリング)のスキームに基づく。
【0061】
〔1-5.資産運用ミニアプリの概要〕
図5は、資産運用ミニアプリの概要を示す図である。
図5に示すように、資産運用ミニアプリの対象ユーザとして、決済サービス事業者が提供する決済アプリの利用者であって、証券会社に証券口座を有する顧客を想定している。対象商品は有価証券であり、有価証券の買付・出金(売却)には電子マネーを使用する。有価証券の買付や売却の受付時間は24時間、365日対応可能であるものとし、電子マネーによる入金・買付タイミングや売却・出金タイミングはリアルタイム(T+0日目)とする。すなわち、取引当日「T日」である。電子マネーの利用可能単位は、買付の場合は「100円以上、1円単位」であり、売却の場合は「1円以上、1円単位」である。また、取引上限は、電子マネーの上限に準ずるものとする。
【0062】
〔1-6.事業者の役務・業、収入〕
(決済サービス事業者の役務と業)
決済サービス事業者は、証券会社を所属金融機関とする金融商品仲介業者として、資産運用ミニアプリを経由し証券会社へ顧客の送客を行う。また、証券会社にミニアプリプラットフォームを提供する。
【0063】
(決済サービス事業者の収入)
決済サービス事業者は、資産運用ミニアプリ経由で証券会社に口座開設した顧客による有価証券取引・投信の信託報酬から証券会社が得た収益の一部をプロフィットシェアとして収入を得る。
【0064】
(証券会社の役務と業)
証券会社は、金融商品仲介業者としての決済サービス事業者の所属金融機関(第一種金融商品取引業者)として、決済サービス事業者から資産運用ミニアプリを経由し送客を受け証券口座開設や有価証券取引サービス、関連業務を提供する。また、証券会社は、ミニアプリ加盟店として顧客にミニアプリを提供する。
【0065】
(証券会社の収入)
証券会社は、資産運用ミニアプリを経由し証券会社株式会社に口座開設した顧客による有価証券取引・投信の信託報酬から収入を得る。
【0066】
〔2.情報処理システムの構成例〕
次に、
図6を用いて、実施形態に係る決済サーバ100が含まれる情報処理システム1の構成について説明する。
図6は、実施形態に係る情報処理システム1の構成例を示す図である。
図6に示すように、実施形態に係る情報処理システム1は、端末装置10と決済サーバ100と証券サーバ200を含む。これらの各種装置は、ネットワークNを介して、有線又は無線により通信可能に接続される。ネットワークNは、例えば、LAN(Local Area Network)や、インターネット等のWAN(Wide Area Network)である。
【0067】
また、
図6に示す情報処理システム1に含まれる各装置の数は図示したものに限られない。例えば、
図6では、図示の簡略化のため、端末装置10を1台のみ示したが、これはあくまでも例示であって限定されるものではなく、2台以上であってもよい。
【0068】
端末装置10は、利用者Uによって使用される情報処理装置である。例えば、端末装置10は、スマートフォンやタブレット端末等のスマートデバイス、フィーチャーフォン、PC(Personal Computer)、PDA(Personal Digital Assistant)、通信機能を備えたゲーム機やAV機器、カーナビゲーションシステム、スマートウォッチやヘッドマウントディスプレイ等のウェアラブルデバイス(Wearable Device)、スマートグラス等である。
【0069】
また、かかる端末装置10は、LTE(Long Term Evolution)、4G(4th Generation)、5G(5th Generation:第5世代移動通信システム)等の無線通信網や、Bluetooth(登録商標)、無線LAN(Local Area Network)等の近距離無線通信を介してネットワークNに接続し、決済サーバ100と通信することができる。
【0070】
決済サーバ100及び証券サーバ200は、例えばPCやサーバ装置、あるいはメインフレーム又はワークステーション等である。なお、決済サーバ100及び証券サーバ200は、クラウドコンピューティングにより実現されてもよい。
【0071】
〔3.端末装置の構成例〕
次に、
図7を用いて、端末装置10の構成について説明する。
図7は、端末装置10の構成例を示す図である。
図7に示すように、端末装置10は、通信部11と、表示部12と、入力部13と、測位部14と、センサ部20と、制御部30(コントローラ)と、記憶部40とを備える。
【0072】
(通信部11)
通信部11は、ネットワークN(
図6参照)と有線又は無線で接続され、ネットワークNを介して、決済サーバ100との間で情報の送受信を行う。例えば、通信部11は、NIC(Network Interface Card)やアンテナ等によって実現される。
【0073】
(表示部12)
表示部12は、位置情報等の各種情報を表示する表示デバイスである。例えば、表示部12は、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)や有機ELディスプレイ(Organic Electro-Luminescent Display)である。また、表示部12は、タッチパネル式のディスプレイであるが、これに限定されるものではない。
【0074】
(入力部13)
入力部13は、利用者Uから各種操作を受け付ける入力デバイスである。例えば、入力部13は、文字や数字等を入力するためのボタン等を有する。なお、入力部13は、入出力ポート(I/O port)やUSB(Universal Serial Bus)ポート等であってもよい。また、表示部12がタッチパネル式のディスプレイである場合、表示部12の一部が入力部13として機能する。また、入力部13は、利用者Uから音声入力を受け付けるマイク等であってもよい。マイクはワイヤレスであってもよい。
【0075】
(測位部14)
測位部14は、GPS(Global Positioning System)の衛星から送出される信号(電波)を受信し、受信した信号に基づいて、自装置である端末装置10の現在位置を示す位置情報(例えば、緯度及び経度)を取得する。すなわち、測位部14は、端末装置10の位置を測位する。なお、GPSは、GNSS(Global Navigation Satellite System)の一例に過ぎない。
【0076】
また、測位部14は、GPS以外にも、種々の手法により位置を測位することができる。例えば、測位部14は、位置補正等のための補助的な測位手段として、下記のように、端末装置10の様々な通信機能を利用して位置を測位してもよい。
【0077】
(Wi-Fi測位)
例えば、測位部14は、端末装置10のWi-Fi(登録商標)通信機能や、各通信会社が備える通信網を利用して、端末装置10の位置を測位する。具体的には、測位部14は、Wi-Fi通信等を行い、付近の基地局やアクセスポイントとの距離を測位することにより、端末装置10の位置を測位する。
【0078】
(ビーコン測位)
また、測位部14は、端末装置10のBluetooth(登録商標)機能を利用して位置を測位してもよい。例えば、測位部14は、Bluetooth(登録商標)機能によって接続されるビーコン(beacon)発信機と接続することにより、端末装置10の位置を測位する。
【0079】
(地磁気測位)
また、測位部14は、予め測定された構造物の地磁気のパターンと、端末装置10が備える地磁気センサとに基づいて、端末装置10の位置を測位する。
【0080】
(RFID測位)
また、例えば、端末装置10が駅改札や店舗等で使用される非接触型ICカードと同等のRFID(Radio Frequency Identification)タグの機能を備えている場合、もしくはRFIDタグを読み取る機能を備えている場合、端末装置10によって決済等が行われた情報とともに、使用された位置が記録される。測位部14は、かかる情報を取得することで、端末装置10の位置を測位してもよい。また、位置は、端末装置10が備える光学式センサや、赤外線センサ等によって測位されてもよい。
【0081】
測位部14は、必要に応じて、上述した測位手段の一つ又は組合せを用いて、端末装置10の位置を測位してもよい。
【0082】
(センサ部20)
センサ部20は、端末装置10に搭載又は接続される各種のセンサを含む。なお、接続は、有線接続、無線接続を問わない。例えば、センサ類は、ウェアラブルデバイスやワイヤレスデバイス等、端末装置10以外の検知装置であってもよい。
図7に示す例では、センサ部20は、加速度センサ21と、ジャイロセンサ22と、気圧センサ23と、気温センサ24と、音センサ25と、光センサ26と、磁気センサ27と、画像センサ(カメラ)28とを備える。
【0083】
なお、上記した各センサ21~28は、あくまでも例示であって限定されるものではない。すなわち、センサ部20は、各センサ21~28のうちの一部を備える構成であってもよいし、各センサ21~28に加えてあるいは代えて、湿度センサ等その他のセンサを備えてもよい。
【0084】
加速度センサ21は、例えば、3軸加速度センサであり、端末装置10の移動方向、速度、及び、加速度等の端末装置10の物理的な動きを検知する。ジャイロセンサ22は、端末装置10の角速度等に基づいて3軸方向の傾き等の端末装置10の物理的な動きを検知する。気圧センサ23は、例えば端末装置10の周囲の気圧を検知する。
【0085】
端末装置10は、上記した加速度センサ21やジャイロセンサ22、気圧センサ23等を備えることから、これらの各センサ21~23等を利用した歩行者自律航法(PDR:Pedestrian Dead-Reckoning)等の技術を用いて端末装置10の位置を測位することが可能になる。これにより、GPS等の測位システムでは取得することが困難な屋内での位置情報を取得することが可能になる。
【0086】
例えば、加速度センサ21を利用した歩数計により、歩数や歩くスピード、歩いた距離を算出することができる。また、ジャイロセンサ22を利用して、利用者Uの進行方向や視線の方向、体の傾きを知ることができる。また、気圧センサ23で検知した気圧から、利用者Uの端末装置10が存在する高度やフロアの階数を知ることもできる。
【0087】
気温センサ24は、例えば端末装置10の周囲の気温を検知する。音センサ25は、例えば端末装置10の周囲の音を検知する。光センサ26は、端末装置10の周囲の照度を検知する。磁気センサ27は、例えば端末装置10の周囲の地磁気を検知する。画像センサ28は、端末装置10の周囲の画像を撮像する。
【0088】
上記した気圧センサ23、気温センサ24、音センサ25、光センサ26及び画像センサ28は、それぞれ気圧、気温、音、照度を検知したり、周囲の画像を撮像したりすることで、端末装置10の周囲の環境や状況等を検知することができる。また、端末装置10の周囲の環境や状況等から、端末装置10の位置情報の精度を向上させることが可能になる。
【0089】
(制御部30)
制御部30は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM、入出力ポート等を有するマイクロコンピュータや各種の回路を含む。また、制御部30は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路等のハードウェアで構成されてもよい。制御部30は、送信部31と、受信部32と、処理部33とを備える。
【0090】
(送信部31)
送信部31は、例えば入力部13を用いて利用者Uにより入力された各種情報や、端末装置10に搭載又は接続された各センサ21~28によって検知された各種情報、測位部14によって測位された端末装置10の位置情報等を、通信部11を介して決済サーバ100へ送信することができる。
【0091】
(受信部32)
受信部32は、通信部11を介して、決済サーバ100から提供される各種情報や、決済サーバ100からの各種情報の要求を受信することができる。
【0092】
(処理部33)
処理部33は、表示部12等を含め、端末装置10全体を制御する。例えば、処理部33は、送信部31によって送信される各種情報や、受信部32によって受信された決済サーバ100からの各種情報を表示部12へ出力して表示させることができる。
【0093】
(記憶部40)
記憶部40は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、又は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、光ディスク等の記憶装置によって実現される。かかる記憶部40には、各種プログラムや各種データ等が記憶される。
【0094】
〔4.決済サーバの構成例〕
次に、
図8を用いて、実施形態に係る決済サーバ100の構成について説明する。
図8は、実施形態に係る決済サーバ100の構成例を示す図である。
図8に示すように、決済サーバ100は、通信部110と、記憶部120と、制御部130とを有する。
【0095】
(通信部110)
通信部110は、例えば、NIC(Network Interface Card)等によって実現される。また、通信部110は、ネットワークN(
図6参照)と有線又は無線で接続される。
【0096】
(記憶部120)
記憶部120は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、又は、HDD、SSD、光ディスク等の記憶装置によって実現される。
図8に示すように、記憶部120は、取引情報データベース121を有する。
【0097】
(取引情報データベース121)
取引情報データベース121は、利用者Uの有価証券の売買に関する各種情報を記憶する。
図9は、取引情報データベース121の一例を示す図である。
図9に示した例では、取引情報データベース121は、「利用者」、「債権譲渡」、「有価証券」、「売却日」、「売却代金」、「チャージ」、「受渡日」、「代金請求」、「代金受領」といった項目を有する。
【0098】
「利用者」は、決済サービス事業者の顧客であって、証券会社の顧客である利用者Uを識別するための識別情報を示す。なお、利用者Uの識別情報は、利用者Uの連絡先(電話番号、メールアドレス等)であってもよいし、利用者Uの端末装置10を識別するための識別情報であってもよい。
【0099】
また、「債権譲渡」は、有価証券の売却代金の出金に関する債権の譲渡の有無を示す。すなわち、債権譲渡(ファクタリング)が行われたか否かを示す。本実施形態では、全ての取引について一括して債権譲渡を行うものとしているが、実際には、個々の取引ごと(有価証券の売却ごと)に債権譲渡を行うようにしてもよい。すなわち、債権譲渡の有無は、有価証券ごとに判定してもよい。
【0100】
また、「有価証券」は、有価証券を識別するための識別情報を示す。なお、有価証券の識別情報は、有価証券の名前、証券コード等であってもよい。また、「売却日」は、利用者Uが有価証券の売却指示をした日を示す。すなわち、売却日は、有価証券の売却の約定日を示す。また、「売却代金」は、有価証券の売却代金(金額)を示す。
【0101】
また、「チャージ」は、利用者Uの電子マネー口座へのチャージの有無を示す。すなわち、債権譲渡(ファクタリング)に応じて、利用者Uの電子マネー口座へ有価証券の売却代金に相当する電子マネーがチャージされたか否かを示す。
【0102】
また、「受渡日」は、有価証券の売買後、買手が代金を支払い、売手が証券を相手側に渡して決済を行う受渡日(決済日)を示す。すなわち、受渡日は、利用者Uの証券口座から有価証券の売却代金の出金が可能となる日を示す。通常、受渡日は、取引当日(T日)から2営業日後(T+2日目)である。
【0103】
また、「代金請求」は、利用者Uの電子マネー口座へのチャージ代金の相当額の請求の有無を示す。すなわち、代金請求は、受渡日以降に、利用者Uの電子マネー口座へのチャージ代金の相当額について、証券会社への請求が行われたか否かを示す。
【0104】
また、「代金受領」は、利用者Uの電子マネー口座へのチャージ代金の相当額の受領の有無を示す。すなわち、代金受領は、受渡日以降に、利用者Uの電子マネー口座へのチャージ代金の相当額を、証券会社から受領したか否かを示す。
【0105】
例えば、
図9に示す例において、利用者「U1」による債権譲渡(ファクタリング)が行われており、有価証券「A1」の売却指示が売却日「2021/11/3」に行われ、利用者Uの電子マネー口座へ有価証券の売却代金「12,000円」に相当する電子マネーがチャージされ、その後、利用者Uの電子マネー口座へのチャージ代金の相当額について証券会社への請求が行われ、受渡日「2021/11/5」以降に、利用者Uの電子マネー口座へのチャージ代金の相当額を証券会社から受領したことを示す。
【0106】
ここで、
図9に示す例では、「U1」及び「A1」といった抽象的な値を用いて図示するが、「U1」及び「A1」には、具体的な文字列や数値等の情報が記憶されるものとする。以下、他の情報に関する図においても、抽象的な値を図示する場合がある。
【0107】
なお、取引情報データベース121は、上記に限らず、目的に応じて種々の情報を記憶してもよい。例えば、取引情報データベース121は、証券会社を識別するための識別情報を記憶していてもよい。なお、証券会社の識別情報は、証券会社の名前、金融機関コード、支店コードや店番、支店番号等であってもよい。また、取引情報データベース121は、有価証券に関する各種情報を記憶してもよい。また、取引情報データベース121は、証券会社に関する各種情報を記憶してもよい。また、取引情報データベース121は、利用者Uのデモグラフィック(人口統計学的属性)、サイコグラフィック(心理学的属性)、ジオグラフィック(地理学的属性)、ベヘイビオラル(行動学的属性)等の属性に関する情報を記憶してもよい。例えば、取引情報データベース121は、氏名、家族構成、出身地(地元)、職業、職位、収入、資格、居住形態(戸建、マンション等)等の情報を記憶してもよい。
【0108】
(制御部130)
図8に戻り、説明を続ける。制御部130は、コントローラ(Controller)であり、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等によって、決済サーバ100の内部の記憶装置に記憶されている各種プログラム(情報処理プログラムの一例に相当)がRAM等の記憶領域を作業領域として実行されることにより実現される。
図8に示す例では、制御部130は、取得部131と、受付部132と、チャージ処理部133と、代金要求部134と、代金受領部135とを有する。
【0109】
(取得部131)
取得部131は、利用者Uにより入力された検索クエリを取得する。例えば、取得部131は、利用者Uが検索エンジン等に検索クエリを入力してキーワード検索を行った際に、通信部110を介して、当該検索クエリを取得する。すなわち、取得部131は、通信部110を介して、利用者Uにより検索エンジンやサイト又はアプリの検索窓に入力されたキーワードを取得する。
【0110】
また、取得部131は、通信部110を介して、利用者U、証券会社及び有価証券に関する各種情報を取得する。例えば、取得部131は、利用者Uの端末装置10から、利用者Uを示す識別情報(利用者ID等)や、利用者Uの位置情報、利用者Uの属性情報等を取得する。また、取得部131は、証券会社の証券サーバ200から、証券会社の会社情報及び有価証券に関する詳細情報等を取得してもよい。そして、取得部131は、これらの情報を、記憶部120の取引情報データベース121に登録してもよい。
【0111】
(受付部132)
受付部132は、電子マネーによる決済を行う決済アプリを介してユーザが売却した金融商品(有価証券)の売却代金に関する債権の譲渡を受け付ける。本実施形態では、受付部132は、利用者Uの端末装置10の資産運用ミニアプリを介して、金融商品の売却代金に関する債権譲渡(ファクタリング)の契約を締結する。このとき、受付部132は、個々の取引について個別に債権譲渡の契約を締結するのではなく、全ての取引について一括して債権譲渡する旨の契約を締結する。そして、受付部132は、その旨を、記憶部120の取引情報データベース121に登録する。
【0112】
なお、受付部132は、個々の取引について、電子マネーによる決済を行う決済アプリ内において、有価証券の売買を仲介する証券会社の資産運用ミニアプリを介してユーザが有価証券の売却指示を行う度に、有価証券の売却代金の出金に関する債権の譲渡を受け付けてもよい。そして、受付部132は、その旨を、記憶部120の取引情報データベース121に登録してもよい。
【0113】
すなわち、受付部132は、電子マネーでの決済サービスを提供する第1事業者(決済サービス事業者)の決済アプリ内のミニアプリのうち有価証券の売買を仲介する第2事業者(証券会社)の資産運用ミニアプリを介してユーザが有価証券の売却指示を行う度に、有価証券の売却代金の出金に関する債権の譲渡を受け付けてもよい。
【0114】
また、受付部132は、電子マネーによる決済を行う決済アプリを介してユーザが金融商品の売買を制御する外部サーバ(証券サーバ200)に対して金融商品を売却する旨の指示を行った場合は、通信部110を介して、当該外部サーバから、金融商品の売却代金に関する情報を受け付ける。例えば、受付部132は、ユーザの端末装置10の資産運用ミニアプリで有価証券の売買が行われると、資産運用ミニアプリと連携する外部サーバから、ユーザを示すユーザID(UID)とチャージ金額とを受信する。また、受付部132は、外部サーバから金融商品の売却代金に基づいた額の電子マネーのチャージ指示を受け付けてもよい。
【0115】
(チャージ処理部133)
チャージ処理部133は、金融商品の売却代金に関する情報に基づき、ユーザが金融商品を売却した当日(T日)に、金融商品の売却代金に相当する電子マネーを決済アプリにチャージする。 また、チャージ処理部133は、外部サーバからのチャージ指示に応じて、金融商品の売却代金に基づいた額の電子マネーを決済アプリにチャージしてもよい。そして、チャージ処理部133は、その旨を、記憶部120の取引情報データベース121に登録する。
【0116】
例えば、チャージ処理部133は、有価証券の売却代金の出金に関する情報に基づき、ユーザが有価証券の売却指示を行った当日(T日)に、有価証券の売却代金に相当する電子マネーを決済アプリのユーザの電子マネー口座にチャージする。
【0117】
すなわち、チャージ処理部133は、有価証券の売却代金の出金に関する情報に基づき、ユーザが有価証券の売却指示を行った当日(T日)に、有価証券の売却代金に相当する電子マネーを決済アプリのユーザの電子マネー口座にチャージする。
【0118】
(代金要求部134)
代金要求部134は、金融商品の売却代金に関する債権に基づき、通信部110を介して、外部サーバ(証券サーバ200)に決済アプリへのチャージ代金の相当額を請求する。例えば、代金要求部134は、後日、金融商品の売却代金に関する債権に基づき、債務者の情報処理装置に対して決済アプリへのチャージ代金の相当額を請求する。また、代金要求部134は、ユーザが金融商品を売却した当日(T日)に、金融商品の売却代金に関する債権に基づき、債務者の情報処理装置に対して決済アプリへのチャージ代金を請求する。そして、代金要求部134は、その旨を、記憶部120の取引情報データベース121に登録する。
【0119】
例えば、代金要求部134は、有価証券の売却代金の出金に関する債権に基づき、通信部110を介して、証券会社の証券サーバ200に対してユーザの電子マネー口座へのチャージ代金の相当額を請求する。このとき、代金要求部134は、有価証券の売却代金の出金が可能となる日(T+2日目)以降に、有価証券の売却代金の出金に関する債権に基づき、証券会社の証券サーバ200に対してユーザの電子マネー口座へのチャージ代金の相当額を請求する。
【0120】
すなわち、代金要求部134は、有価証券の売却代金の出金に関する債権に基づき、債権者である第1事業者(決済サービス事業者)として債務者である第2事業者(証券会社)に対してユーザの電子マネー口座へのチャージ代金の相当額を請求する。ここでは、代金要求部134は、第1事業者(決済サービス事業者)の決済サーバ100として債務者である第2事業者(証券会社)の証券サーバ200に対してユーザの電子マネー口座へのチャージ代金の相当額の支払い要求を送信する。なお、実際には、代金要求部134は、債務者である第2事業者(証券会社)の証券サーバ200に対してユーザの電子マネー口座へのチャージ代金の相当額を支払うための仕組み(支払画面等)を提供してもよい。電子マネー口座へのチャージ代金の請求についても同様である。
【0121】
(代金受領部135)
代金受領部135は、通信部110を介して、債務者から決済アプリへのチャージ代金の相当額の支払いを受領する。例えば、代金受領部135は、後日、債務者からチャージ代金の相当額の支払いを受領する。そして、代金受領部135は、その旨を、記憶部120の取引情報データベース121に登録する。
【0122】
例えば、代金受領部135は、通信部110を介して、証券会社の証券サーバ200からユーザの電子マネー口座へのチャージ代金の相当額の支払いの通知を受領する。例えば、証券サーバ200は、チャージ代金を決済サービス事業者の銀行口座へ入金し、入金した旨の通知を決済サーバ100へ送る。このため、代金受領部135は、証券サーバ200から入金通知を受信する。このとき、代金受領部135は、有価証券の売却代金の出金が可能となる日(T+2日目)以降に、証券会社の証券サーバ200からチャージ代金の相当額の支払いの通知を受領する。
【0123】
すなわち、代金受領部135は、通信部110を介して、第2事業者(証券会社)の証券サーバ200から、ユーザの電子マネー口座へのチャージ代金の相当額の支払いの通知を受領する。
【0124】
〔5.処理手順〕
次に、
図10を用いて実施形態に係る決済サーバ100による処理手順について説明する。
図10は、実施形態に係る処理手順を示すフローチャートである。なお、以下に示す処理手順は、決済サーバ100の制御部130によって繰り返し実行される。
【0125】
図10に示すように、決済サーバ100の受付部132は、事前に、電子マネーによる決済を行う決済アプリ内において、有価証券の売買を仲介する証券会社の資産運用ミニアプリを介してユーザが売却する有価証券の売却代金の出金に関する債権の譲渡を受け付ける(ステップS101)。受付部132は、全ての取引について一括して債権譲渡を受け付ける旨の契約を締結する。なお、実際には、受付部132は、個別の取引ごとに(有価証券の売却が発生する度に)、有価証券の売却代金の出金に関する債権の譲渡を受け付けてもよい。
【0126】
続いて、決済サーバ100の受付部132は、ユーザが有価証券の売却指示を行った当日(T日)に、有価証券の売却代金に関する情報を受け付ける(ステップS102)。例えば、受付部132は、ユーザの端末装置10の資産運用ミニアプリで有価証券の売買が行われると、資産運用ミニアプリと連携する証券会社の証券サーバ200から、ユーザを示すユーザID(UID)とチャージ金額とを受信する。なお、受付部132は、証券サーバ200から、有価証券の売却代金に基づいた額の電子マネーのチャージ指示を受け付けてもよい。
【0127】
続いて、決済サーバ100のチャージ処理部133は、有価証券の売却代金に関する情報に基づき、ユーザが有価証券の売却指示を行った当日(T日)に、有価証券の売却代金に相当する電子マネーを決済アプリのユーザの電子マネー口座にチャージする(ステップS103)。
【0128】
続いて、決済サーバ100の代金要求部134は、有価証券の売却代金に相当する電子マネーを決済アプリのユーザの電子マネー口座にチャージした後、通信部110を介して、証券会社の証券サーバ200に対してユーザの電子マネー口座へのチャージ代金の相当額を請求する(ステップS104)。なお、チャージ代金の相当額を証券会社の証券サーバ200に請求するタイミング自体は、取引当日である「T日」又はそれ以降(2営業日後より前を含む)であってもよい。無論、取引当日(T日)から2営業日後(T+2日目)以降であってもよい。すなわち、有価証券の売却代金に相当する電子マネーを利用者Uの電子マネー口座にチャージした後であればよい。
【0129】
続いて、決済サーバ100の代金受領部135は、ユーザの電子マネー口座へのチャージ代金の相当額の請求後であって、取引当日(T日)から2営業日後(T+2日目)以降に、通信部110を介して、証券会社の証券サーバ200からチャージ代金の相当額の支払いの通知を受領する(ステップS105)。すなわち、取引当日(T日)から2営業日後(T+2日目)より前にチャージ代金の相当額を請求したとしても、チャージ代金の相当額の支払いの通知を受領するのは取引当日(T日)から2営業日後(T+2日目)以降である。チャージ代金の相当額を請求するのが取引当日(T日)から2営業日後(T+2日目)以降であれば、当然にチャージ代金の相当額の支払いの通知を受領するのも取引当日(T日)から2営業日後(T+2日目)以降となる。
【0130】
〔6.変形例〕
上述した端末装置10及び決済サーバ100は、上記実施形態以外にも種々の異なる形態にて実施されてよい。そこで、以下では、実施形態の変形例について説明する。
【0131】
上記の実施形態において、決済サーバ100が実行している処理の一部又は全部は、実際には、端末装置10が実行してもよい。例えば、スタンドアローン(Stand-alone)で(端末装置10単体で)処理が完結してもよい。この場合、端末装置10に、上記の実施形態における決済サーバ100の機能が備わっているものとする。また、上記の実施形態では、端末装置10は決済サーバ100と連携しているため、利用者Uから見れば、決済サーバ100の処理も端末装置10が実行しているように見える。すなわち、他の観点では、端末装置10は、決済サーバ100を備えているともいえる。
【0132】
また、上記の実施形態において、証券会社の証券サーバ200は、
図1に示すステップS3の送信の際に、上記ステップS2の有価証券の売却代金に関する情報を送信するとともに/代わりに、ステップS2の有価証券の売却代金に相当する電子マネーを入金してもよい。すなわち、証券サーバ200は、ステップS2の有価証券の売却代金に相当する電子マネーを、証券会社の電子マネー口座から決済サービス事業者の電子マネー口座に移行させる(入金する)ようにしてもよい。そして、決済サービス事業者の決済サーバ100は、証券会社からの電子マネーに応じて、有価証券の売却代金に相当する電子マネーを利用者Uの電子マネー口座にチャージするようにしてもよい。また、証券会社の証券サーバ200は、電子マネーでの支払分に相当する額を、利用者Uの証券口座に着金した額から補填してもよい。例えば、証券会社の証券サーバ200は、利用者Uの有価証券の売却代金を用いて、決済サービス事業者の電子マネー口座に移行させた額に相当する電子マネーを証券会社の電子マネー口座にチャージする。このとき、決済サービス事業者の決済サーバ100は、証券会社の証券サーバ200から金融商品の売却代金に基づいた額の電子マネーの入金を受け付け、証券会社の証券サーバ200からの電子マネーの入金に応じて、金融商品の売却代金に基づいた額の電子マネーを決済アプリにチャージしてもよい。この場合、ステップS1の債権譲渡、及びステップS5~S8の請求及び支払いに関する処理は不要となる。
【0133】
また、上記の実施形態において、証券会社の証券サーバ200は、
図1に示すステップS8の支払いの際に、ステップS4のチャージ代金の相当額を、銀行口座への入金ではなく、電子マネーで支払ってもよい。すなわち、証券サーバ200は、ステップS4のチャージ代金の相当額を、証券会社の電子マネー口座から決済サービス事業者の電子マネー口座に移行させる(入金する)ようにしてもよい。また、証券会社の証券サーバ200は、電子マネーでの支払分に相当する額を、利用者Uの証券口座に着金した額から補填する。例えば、証券会社の証券サーバ200は、利用者Uの有価証券の売却代金を用いて、支払分に相当する額の電子マネーを証券会社の電子マネー口座にチャージする。このとき、決済サービス事業者の決済サーバ100は、利用者Uが金融商品の売却指示を行った当日に、証券会社の証券サーバ200に対して利用者Uの電子マネー口座へのチャージ代金を請求し、証券会社の証券サーバ200からチャージ代金の支払いを電子マネーで受領してもよい。この場合、ステップS1の債権譲渡は不要となる。また、ステップS5~S8の請求及び支払いに関する処理は取引当日でも可能となる。
【0134】
また、上記の実施形態において、決済サーバ100は、各利用者Uの端末装置10に対して、オンラインで何らかのWebサービスを提供する情報処理装置であってもよい。例えば、決済サーバ100は、Webサービスとして、インターネット接続、検索サービス、SNS(Social Networking Service)、電子商取引(EC:Electronic Commerce)、電子決済、オンラインゲーム、オンラインバンキング、オンライントレーディング、宿泊・チケット予約、動画・音楽配信、ニュース、地図、ルート検索、経路案内、路線情報、運行情報、天気予報等のサービスを提供してもよい。実際には、決済サーバ100は、上記のようなWebサービスを提供する各種サーバと連携し、Webサービスを仲介してもよいし、Webサービスの処理を担当してもよい。
【0135】
また、上記の実施形態において、決済サーバ100は、利用者Uに関する利用者情報を取得してもよい。例えば、決済サーバ100は、利用者Uの性別、年代、居住地域といった利用者Uの属性に関する情報を取得する。そして、決済サーバ100は、利用者Uを示す識別情報(利用者ID等)とともに利用者Uの属性に関する情報を記憶して管理する。
【0136】
また、上記の実施形態において、決済サーバ100は、利用者Uの端末装置10から、あるいは利用者ID等に基づいて各種サーバ等から、利用者Uの行動を示す各種の履歴情報(ログデータ)を取得してもよい。例えば、決済サーバ100は、利用者Uの位置や日時の履歴である位置履歴を端末装置10から取得する。また、決済サーバ100は、利用者Uが入力した検索クエリの履歴である検索履歴を検索サーバ(検索エンジン)から取得する。また、決済サーバ100は、利用者Uが閲覧したコンテンツの履歴である閲覧履歴をコンテンツサーバから取得する。また、決済サーバ100は、利用者Uの商品購入や決済処理の履歴である購入履歴(決済履歴)を電子商取引サーバや決済処理サーバから取得する。また、決済サーバ100は、利用者Uのマーケットプレイスへの出品の履歴である出品履歴や販売履歴を電子商取引サーバや決済処理サーバから取得してもよい。また、決済サーバ100は、利用者Uの投稿の履歴である投稿履歴を口コミの投稿サービスを提供する投稿サーバやSNSサーバから取得する。
【0137】
〔7.効果〕
上述してきたように、本願に係る情報処理装置(端末装置10及び決済サーバ100)は、電子マネーによる決済を行う決済アプリを介してユーザが金融商品の売買を制御する外部サーバに対して金融商品を売却する旨の指示を行った場合は、外部サーバから、金融商品の売却代金に関する情報を受け付ける受付部132と、金融商品の売却代金に関する情報に基づき、ユーザが金融商品を売却してから外部サーバが金融商品の売却代金の受領を確認するまでの間に、金融商品の売却代金に基づいた額の電子マネーを決済アプリにチャージするチャージ処理部133と、を備える。
【0138】
また、本願に係る情報処理装置は、外部サーバに決済アプリへのチャージ代金の相当額を請求する代金要求部134と、外部サーバから決済アプリへのチャージ代金の相当額の支払いを受領する代金受領部135と、をさらに備える。
【0139】
また、代金要求部134は、後日、外部サーバに対して決済アプリへのチャージ代金の相当額を請求し、代金受領部135は、後日、外部サーバからチャージ代金の相当額の支払いを受領する。
【0140】
なお、受付部132は、外部サーバから金融商品の売却代金に基づいた額の電子マネーの入金を受け付け、チャージ処理部133は、外部サーバからの電子マネーの入金に応じて、金融商品の売却代金に基づいた額の電子マネーを決済アプリにチャージしてもよい。
【0141】
あるいは、代金要求部134は、ユーザが金融商品の売却指示を行った当日に、外部サーバに対してユーザの電子マネー口座へのチャージ代金を請求し、代金受領部135は、外部サーバからチャージ代金の支払いを電子マネーで受領してもよい。
【0142】
また、受付部132は、電子マネーによる決済を行う決済アプリ内において、有価証券の売買を仲介する証券会社の資産運用ミニアプリを介してユーザが売却する有価証券の売却代金の出金に関する債権の譲渡を受け付け、チャージ処理部133は、有価証券の売却代金の出金に関する債権の譲渡に応じて、ユーザが有価証券の売却指示を行った当日に、有価証券の売却代金に相当する電子マネーを決済アプリのユーザの電子マネー口座にチャージする。
【0143】
また、代金要求部134は、有価証券の売却代金の出金に関する債権に基づき、証券会社に対してユーザの電子マネー口座へのチャージ代金の相当額を請求し、代金受領部135は、証券会社からユーザの電子マネー口座へのチャージ代金の相当額の支払いを受領する。
【0144】
また、代金要求部134は、有価証券の売却代金の出金が可能となる日以降に、有価証券の売却代金の出金に関する債権に基づき、証券会社に対してユーザの電子マネー口座へのチャージ代金の相当額を請求し、代金受領部135は、有価証券の売却代金の出金が可能となる日以降に、証券会社からチャージ代金の相当額の支払いの通知を受領する。
【0145】
すなわち、本願に係る情報処理装置は、電子マネーでの決済サービスを提供する第1事業者の決済アプリ内のミニアプリのうち有価証券の売買を仲介する第2事業者の資産運用ミニアプリを介してユーザが有価証券の売却指示を行った当日に、有価証券の売却代金に関する情報を受け付ける受付部132と、有価証券の売却代金に関する情報に基づき、ユーザが有価証券の売却指示を行った当日に、有価証券の売却代金に相当する電子マネーを決済アプリのユーザの電子マネー口座にチャージするチャージ処理部133と、第1事業者の情報処理装置として第2事業者の情報処理装置に対してユーザの電子マネー口座へのチャージ代金の相当額を請求する代金要求部134と、第2事業者の情報処理装置からユーザの電子マネー口座へのチャージ代金の相当額の支払いを受領する代金受領部135と、を備える。
【0146】
また、本願に係る他の情報処理装置(証券サーバ200)は、決済サービス事業者の決済サーバ100から、ユーザの識別情報及びユーザの電子マネー口座への電子マネーのチャージ代金を含む請求情報を受信して保存する受信部と、保存された請求情報に含まれるユーザの識別情報に応じたユーザの証券口座への着金を検知する検知部と、ユーザの証券口座への着金を検知した場合、保存された請求情報に含まれるチャージ代金を、着金が検知されたユーザの証券口座から決済サービス事業者の銀行口座へ入金する入金処理部と、を備えることを特徴とする。
【0147】
本実施形態に係る情報処理システム1は、決済サービス事業者の決済サーバ100と、証券会社の証券サーバ200と、を含み、決済サーバ100は、電子マネーによる決済を行う決済アプリを介してユーザが金融商品の売買を制御する証券サーバ200に対して金融商品を売却する旨の指示を行った場合は、証券サーバ200から、金融商品の売却代金に関する情報を受け付ける受付部と、金融商品の売却代金に関する情報に基づき、ユーザが金融商品を売却してから証券サーバ200が金融商品の売却代金の受領を確認するまでの間に、金融商品の売却代金に基づいた額の電子マネーを決済アプリにチャージするチャージ処理部と、証券サーバ200に、ユーザの識別情報及びユーザの電子マネー口座への電子マネーのチャージ代金を含む請求情報を送信する送信部と、を備え証券サーバ200は、決済サーバ100から、ユーザの識別情報及びユーザの電子マネー口座への電子マネーのチャージ代金を含む請求情報を受信して保存する受信部と、保存された請求情報に含まれるユーザの識別情報に応じたユーザの証券口座への着金を検知する検知部と、ユーザの証券口座への着金を検知した場合、保存された請求情報に含まれるチャージ代金を、着金が検知されたユーザの証券口座から決済サービス事業者の銀行口座へ入金する入金処理部と、を備えることを特徴とする。
【0148】
上述した各処理のいずれかもしくは組合せにより、本願に係る情報処理装置は、債権譲渡(ファクタリング)により有価証券の売却取引当日の売却代金を電子マネーで受領できるスキームを実現することができる。
【0149】
なお、上述の例では、ユーザの証券口座から決済サービス事業者の銀行口座へ入金する例について説明したが、実施形態は、これに限定されない。上述した処理における銀行口座は、銀行以外の信用金庫、信用組合、商工組合中央金庫、農林漁業組合等の金融機関(但し、証券会社は除く)の口座を含むものである。上述の処理において、「銀行口座」とは、各種金融機関の口座である「金融機関口座」と読み替えることができ、金融機関口座の一例として、銀行口座が該当する。
【0150】
〔8.証券サーバの構成例〕
続いて、証券サーバ200の一例について説明する。
図11は、証券サーバ200の構成例を示す図である。
図11に示すように、証券サーバ200は、通信部210と、記憶部220と、制御部230とを有する。
【0151】
(通信部210)
通信部210は、例えば、NIC等によって実現される。また、通信部210は、ネットワークN(
図6参照)と有線又は無線で接続される。
【0152】
(記憶部220)
記憶部220は、例えば、RAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、又は、HDD、SSD、光ディスク等の記憶装置によって実現される。
図11に示すように、記憶部220は、証券口座データベース221と、証券サーバ用情報処理プログラム222とを有する。
【0153】
(証券口座データベース221)
証券口座データベース221は、利用者Uの証券口座に関するデータベースである。例えば、証券口座データベース221には、利用者Uの証券口座に関する情報として、利用者U(例えば、利用者Uの識別情報)と、利用者Uが保有する有価証券の情報(例えば、利用者Uが保有する有価証券の銘柄と数量を示す情報)と、利用者Uの証券口座への入金額を示す情報(例えば、利用者U所有の有価証券の売却による着金額)とが対応付けて登録されている。なお、証券口座データベース221には、他にも、利用者Uの証券口座に関する情報であれば任意の情報が登録されていてよい。また、証券口座データベース221には、いわゆる有価証券に関する証券口座を実現するために必要な各種公知の情報が登録される。
【0154】
(証券サーバ用情報処理プログラム)
証券サーバ用情報処理プログラム222は、証券サーバ200に各種の処理を実行させるためのプログラムである。証券サーバ200は、証券サーバ用情報処理プログラム222を実行することにより、後述する受信部231、検知部232、入金処理部233として動作する。なお、証券サーバ200は、証券サーバ用情報処理プログラム222以外にも、証券サーバ200として各種公知の動作を実現するためのプログラムを保持し、実行してもよい。
【0155】
(制御部230)
制御部230は、コントローラ(Controller)であり、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等によって、証券サーバ200の内部の記憶装置に記憶されている各種プログラム(情報処理プログラムの一例に相当)がRAM等の記憶領域を作業領域として実行されることにより実現される。
図11に示す例では、制御部230は、受信部231、検知部232、および入金処理部233として動作する。
【0156】
受信部231は、決済サーバ100から、ユーザUの識別情報及びユーザUの電子マネー口座への電子マネーのチャージ代金を含む請求情報を受信する。このような場合、受信部321は、受信した請求情報を記憶部220に保存する。
【0157】
検知部232は、受信部231により保存された請求情報に含まれるユーザUの識別情報に応じたユーザUの証券口座への着金を検知する。例えば、検知部232は、証券口座データベース221と請求情報とを参照し、ユーザUの証券口座への着金があった場合は、かかる着金が請求情報に対応するものであるかを判定し、着金が請求情報に対応するものである場合は、ユーザUの証券口座への着金を検知したものとする。
【0158】
入金処理部233は、ユーザUの証券口座への着金を検知した場合、保存された請求情報に含まれるチャージ代金を、着金が検知されたユーザの証券口座から決済サービス事業者の金融機関口座へ入金する。例えば、入金処理部233は、ユーザUの証券口座からチャージ代金の減算を行うとともに、対応する額が決済サービス事業者の金融機関口座に入金されるように、所定の金融機関サーバに対して振り込み処理の実行を依頼する。さらに、この振り込み処理の実行に伴い、入金処理部233は、入金した旨の通知を決済サーバ100へ通信部210を介して送信する処理を実行する。
【0159】
なお、証券サーバ200は、上述した処理に加えて、以下の処理を実行してもよい。例えば、売却時にユーザUが指定可能な有価証券額の上限は、ユーザの所有する金融商品の数量に応じた額となる。例えば、市場開場時であれば、そのときの株価や、基準価額等により、金融商品の数量に応じた額も変動する。このため、証券サーバ200は、利用者Uが所有する証券の情報を管理し、これに基づいて、利用者が設定できる金額の上限を算出し、算出した金額の上限を任意のタイミングで端末装置10や決済サーバ100に通知してもよい。
【0160】
また、証券サーバ200は、金融商品の売却が行われると、金融商品の所有に係る情報に基づいて、売却した金融商品の数量が、ユーザの所有から証券会社の所有へ移す処理を実行してもよい。
【0161】
〔9.ハードウェア構成〕
また、上述した実施形態に係る端末装置10や決済サーバ100、証券サーバ200は、例えば
図12に示すような構成のコンピュータ1000によって実現される。以下、決済サーバ100を例に挙げて説明する。
図12は、ハードウェア構成の一例を示す図である。コンピュータ1000は、出力装置1010、入力装置1020と接続され、演算装置1030、一次記憶装置1040、二次記憶装置1050、出力I/F(Interface)1060、入力I/F1070、ネットワークI/F1080がバス1090により接続された形態を有する。
【0162】
演算装置1030は、一次記憶装置1040や二次記憶装置1050に格納されたプログラムや入力装置1020から読み出したプログラム等に基づいて動作し、各種の処理を実行する。演算装置1030は、例えばCPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等により実現される。
【0163】
一次記憶装置1040は、RAM(Random Access Memory)等、演算装置1030が各種の演算に用いるデータを一次的に記憶するメモリ装置である。また、二次記憶装置1050は、演算装置1030が各種の演算に用いるデータや、各種のデータベースが登録される記憶装置であり、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等により実現される。二次記憶装置1050は、内蔵ストレージであってもよいし、外付けストレージであってもよい。また、二次記憶装置1050は、USB(Universal Serial Bus)メモリやSD(Secure Digital)メモリカード等の取り外し可能な記憶媒体であってもよい。また、二次記憶装置1050は、クラウドストレージ(オンラインストレージ)やNAS(Network Attached Storage)、ファイルサーバ等であってもよい。
【0164】
出力I/F1060は、ディスプレイ、プロジェクタ、及びプリンタ等といった各種の情報を出力する出力装置1010に対し、出力対象となる情報を送信するためのインターフェースであり、例えば、USB(Universal Serial Bus)やDVI(Digital Visual Interface)、HDMI(登録商標)(High Definition Multimedia Interface)といった規格のコネクタにより実現される。また、入力I/F1070は、マウス、キーボード、キーパッド、ボタン、及びスキャナ等といった各種の入力装置1020から情報を受信するためのインターフェースであり、例えば、USB等により実現される。
【0165】
また、出力I/F1060及び入力I/F1070はそれぞれ出力装置1010及び入力装置1020と無線で接続してもよい。すなわち、出力装置1010及び入力装置1020は、ワイヤレス機器であってもよい。
【0166】
また、出力装置1010及び入力装置1020は、タッチパネルのように一体化していてもよい。この場合、出力I/F1060及び入力I/F1070も、入出力I/Fとして一体化していてもよい。
【0167】
なお、入力装置1020は、例えば、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、PD(Phase change rewritable Disk)等の光学記録媒体、MO(Magneto-Optical disk)等の光磁気記録媒体、テープ媒体、磁気記録媒体、又は半導体メモリ等から情報を読み出す装置であってもよい。
【0168】
ネットワークI/F1080は、ネットワークNを介して他の機器からデータを受信して演算装置1030へ送り、また、ネットワークNを介して演算装置1030が生成したデータを他の機器へ送信する。
【0169】
演算装置1030は、出力I/F1060や入力I/F1070を介して、出力装置1010や入力装置1020の制御を行う。例えば、演算装置1030は、入力装置1020や二次記憶装置1050からプログラムを一次記憶装置1040上にロードし、ロードしたプログラムを実行する。
【0170】
例えば、コンピュータ1000が決済サーバ100として機能する場合、コンピュータ1000の演算装置1030は、一次記憶装置1040上にロードされたプログラムを実行することにより、制御部130の機能を実現する。また、コンピュータ1000の演算装置1030は、ネットワークI/F1080を介して他の機器から取得したプログラムを一次記憶装置1040上にロードし、ロードしたプログラムを実行してもよい。また、コンピュータ1000の演算装置1030は、ネットワークI/F1080を介して他の機器と連携し、プログラムの機能やデータ等を他の機器の他のプログラムから呼び出して利用してもよい。
【0171】
〔10.その他〕
以上、本願の実施形態を説明したが、これら実施形態の内容により本発明が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0172】
また、上記実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。例えば、各図に示した各種情報は、図示した情報に限られない。
【0173】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
【0174】
例えば、上述した決済サーバ100は、複数のサーバコンピュータで実現してもよく、また、機能によっては外部のプラットフォーム等をAPI(Application Programming Interface)やネットワークコンピューティング等で呼び出して実現するなど、構成は柔軟に変更できる。
【0175】
また、上述してきた実施形態及び変形例は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
【0176】
また、上述してきた「部(section、module、unit)」は、「手段」や「回路」などに読み替えることができる。例えば、取得部は、取得手段や取得回路に読み替えることができる。
【符号の説明】
【0177】
1 情報処理システム
10 端末装置
100 決済サーバ
110 通信部
120 記憶部
121 取引情報データベース
130 制御部
131 取得部
132 受付部
133 チャージ処理部
134 代金要求部
135 代金受領部
200 証券サーバ
【手続補正書】
【提出日】2023-02-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
決済サービス事業者の決済サーバであって、ユーザが金融商品を売却する旨の指示を行った当日に、当該金融商品の売却代金に基づいた額の電子マネーを前記決済サービス事業者が提供する決済サービスにおける前記ユーザの電子マネー口座にチャージする決済サーバから、前記ユーザの識別情報及び前記ユーザの電子マネー口座への電子マネーのチャージ代金を含む請求情報を受信して保存する受信部と、
保存された前記請求情報に含まれる前記ユーザの識別情報に応じた前記ユーザの証券口座への着金を検知する検知部と、
前記ユーザの証券口座への着金を検知した場合、保存された前記請求情報に含まれるチャージ代金を、着金が検知された前記ユーザの証券口座から前記決済サービス事業者の金融機関口座へ入金する入金処理部と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
情報処理装置が実行する情報処理方法であって、
決済サービス事業者の決済サーバであって、ユーザが金融商品を売却する旨の指示を行った当日に、当該金融商品の売却代金に基づいた額の電子マネーを前記決済サービス事業者が提供する決済サービスにおける前記ユーザの電子マネー口座にチャージする決済サーバから、前記ユーザの識別情報及び前記ユーザの電子マネー口座への電子マネーのチャージ代金を含む請求情報を受信して保存する受信工程と、
保存された前記請求情報に含まれる前記ユーザの識別情報に応じた前記ユーザの証券口座への着金を検知する検知工程と、
前記ユーザの証券口座への着金を検知した場合、保存された前記請求情報に含まれるチャージ代金を、着金が検知された前記ユーザの証券口座から前記決済サービス事業者の金融機関口座へ入金する入金処理工程と、
を含むことを特徴とする情報処理方法。
【請求項3】
決済サービス事業者の決済サーバであって、ユーザが金融商品を売却する旨の指示を行った当日に、当該金融商品の売却代金に基づいた額の電子マネーを前記決済サービス事業者が提供する決済サービスにおける前記ユーザの電子マネー口座にチャージする決済サーバから、前記ユーザの識別情報及び前記ユーザの電子マネー口座への電子マネーのチャージ代金を含む請求情報を受信して保存する受信手順と、
保存された前記請求情報に含まれる前記ユーザの識別情報に応じた前記ユーザの証券口座への着金を検知する検知手順と、
前記ユーザの証券口座への着金を検知した場合、保存された前記請求情報に含まれるチャージ代金を、着金が検知された前記ユーザの証券口座から前記決済サービス事業者の金融機関口座へ入金する入金処理手順と、
をコンピュータに実行させるための情報処理プログラム。