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特開2023-155126医用画像処理装置、医用画像処理方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023155126
(43)【公開日】2023-10-20
(54)【発明の名称】医用画像処理装置、医用画像処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06T 17/10 20060101AFI20231013BHJP
   A61B 5/00 20060101ALI20231013BHJP
   G06T 15/08 20110101ALI20231013BHJP
【FI】
G06T17/10
A61B5/00 D
G06T15/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022174419
(22)【出願日】2022-10-31
(31)【優先権主張番号】17/658,455
(32)【優先日】2022-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マグナス・ワレンバーグ
【テーマコード(参考)】
4C117
5B080
【Fターム(参考)】
4C117XE44
4C117XE45
4C117XE46
4C117XK01
4C117XK05
4C117XK09
4C117XK13
4C117XK60
4C117XR07
4C117XR08
4C117XR09
4C117XR10
5B080AA17
5B080DA01
5B080DA06
5B080FA06
5B080FA08
5B080FA15
(57)【要約】
【課題】計算コストを上げずにセグメンテーション時のエイリアシングを低減すること。
【解決手段】実施形態に係る医用画像処理装置は、第1取得部と、特定部と、選択部と、決定部とを備える。第1取得部は、医用画像データを構成する複数の画素について、画像データ値及びセグメンテーション値を含む医用画像データを取得する。特定部は、複数の画素の内でサンプリング点を特定する。選択部は、サンプリング点に隣接する複数の画素から、サンプリング点の補間後の画像データ値と、サンプリング点に隣接する複数の画素それぞれの画像データ値との差分、及び、サンプリング点と、サンプリング点に隣接する複数の画素それぞれとの距離に基づいて、サンプリング点に関連する画素を選択する。第1決定部は、選択された関連する画素の位置のセグメンテーション値に基づいて、サンプリング点のセグメンテーション値を決定する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医用画像データを構成する複数の画素について、画像データ値及びセグメンテーション値を含む前記医用画像データを取得する第1取得部と、
前記複数の画素の内でサンプリング点を特定する特定部と、
前記サンプリング点近傍の複数の画素から、サンプリング点の補間後の画像データ値と、前記サンプリング点近傍の複数の画素それぞれの画像データ値との差分、及び、前記サンプリング点と、前記サンプリング点近傍の複数の画素それぞれとの距離に基づいて、前記サンプリング点に関連する画素を選択する選択部と、
選択された関連する画素の位置のセグメンテーション値に基づいて、前記サンプリング点のセグメンテーション値を決定する第1決定部と、
を備える医用画像処理装置。
【請求項2】
前記サンプリング点のセグメンテーション値は、特定された前記画素のセグメンテーション値と等しい、
請求項1に記載の医用画像処理装置。
【請求項3】
前記セグメンテーション値は、マスク値またはラベルを含む、
請求項1に記載の医用画像処理装置。
【請求項4】
前記セグメンテーション値は、1つ以上の解剖学的構造を表す、
請求項1に記載の医用画像処理装置。
【請求項5】
前記サンプリング点に隣接する複数の画素の画像データ値の補間を実行して前記サンプリング点の補間後の画像データ値を取得する第2取得部を更に備える、
請求項1に記載の医用画像処理装置。
【請求項6】
前記補間はトライリニア補間を含む、
請求項5に記載の医用画像処理装置。
【請求項7】
前記選択部は、前記サンプリング点に隣接する複数の画素のそれぞれのスコアを決定し、前記スコアに基づいて、前記サンプリング点に関連する画素を前記複数の画素から選択する、
請求項1に記載の医用画像処理装置。
【請求項8】
選択された前記画素は、前記サンプリング点に隣接する複数の画素の内、決定された前記スコアが最も低い画素である、
請求項7に記載の医用画像処理装置。
【請求項9】
前記サンプリング点に隣接する画素の前記スコアは、前記サンプリング点の補間後の前記画像データ値と当該複数の画素の前記画像データ値の間の前記差分を含む近似性項と、前記サンプリング点と当該画素との間の前記距離を含む距離項の和を含む、
請求項7に記載の医用画像処理装置。
【請求項10】
前記和は、前記近似性項と前記距離項に対する重み付けを含む加重和である、
請求項9に記載の医用画像処理装置。
【請求項11】
前記医用画像データから少なくとも一つの画像を描画する際に用いられる前記スコアに基づいて勾配を算出する算出部を更に備える、
請求項7に記載の医用画像処理装置。
【請求項12】
前記算出部は、前記スコアの値に前記画像データ値を乗算することによって、連続的なフィールドを作成し、
前記勾配は、該連続的なフィールドの勾配である、
請求項11に記載の医用画像処理装置。
【請求項13】
補間用重み、ユークリッド距離、ベクトルのL1ノルム、ベクトルのL2ノルム、ベクトルの最大ノルムの内少なくとも一つを用いて、前記サンプリング点と前記サンプリング点に隣接する複数の画素それぞれの間の前記距離を決定する第2決定部を更に備える、
請求項1に記載の医用画像処理装置。
【請求項14】
前記画像データ値はグレースケール値である、
請求項1に記載の医用画像処理装置。
【請求項15】
前記画像データ値は色値であり、
前記差分は、色値間の差分である、
請求項1から13の内いずれか一つに記載の医用画像処理装置。
【請求項16】
画像データ値間の前記差分は、色チャネルベクトルのL1ノルム、色チャネルベクトルのL2ノルム、色チャネルベクトルの最大ノルム、LAB色空間内の距離、および輝度、明度、値の内少なくとも一つの基準、の内少なくとも一つを含む、
請求項15に記載の医用画像処理装置。
【請求項17】
決定された前記セグメンテーション値に基づいて、前記医用画像データから少なくとも一つの画像を生成する生成部を更に備える、
請求項1に記載の医用画像処理装置。
【請求項18】
前記生成部は、陰影付け直接ボリュームレンダリング、全体照明直接ボリュームレンダリング、強度投影法、多断面再構成法(MPR)、スラブMPR法、最大ボリューム最大値投影法、最大ボリューム最小値投影法、および最大ボリューム平均値投影法の内、少なくとも一つを用いて前記画像を生成する、
請求項17に記載の医用画像処理装置。
【請求項19】
前記生成部は、セグメンテーション重畳画像を生成する、
請求項17または18に記載の医用画像処理装置。
【請求項20】
医用画像処理装置による医用画像処理方法であって、
医用画像データを構成する複数の画素について、画像データ値及びセグメンテーション値を含む前記医用画像データを取得する第1取得ステップと、
前記複数の画素の内でサンプリング点を特定する特定ステップと、
前記サンプリング点近傍の複数の画素から、サンプリング点の補間後の画像データ値と、前記サンプリング点近傍の複数の画素それぞれの画像データ値との差分、及び、前記サンプリング点と、前記サンプリング点近傍の複数の画素それぞれとの距離に基づいて、前記サンプリング点に関連する画素を選択する選択ステップと、
選択された関連する画素の位置のセグメンテーション値に基づいて、前記サンプリング点のセグメンテーション値を決定する第1決定ステップと、
を含む医用画像処理方法。
【請求項21】
コンピュータに、
医用画像データを構成する複数の画素について、画像データ値及びセグメンテーション値を含む前記医用画像データを取得する第1取得ステップと、
前記複数の画素の内でサンプリング点を特定する特定ステップと、
前記サンプリング点近傍の複数の画素から、サンプリング点の補間後の画像データ値と、前記サンプリング点近傍の複数の画素それぞれの画像データ値との差分、及び、前記サンプリング点と、前記サンプリング点近傍の複数の画素それぞれとの距離に基づいて、前記サンプリング点に関連する画素を選択する選択ステップと、
選択された関連する画素の位置のセグメンテーション値に基づいて、前記サンプリング点のセグメンテーション値を決定する第1決定ステップと、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される実施形態は、医用画像処理装置、医用画像処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、CT、PET、MRI、超音波、X線等の様々な撮像モダリティを用いて三次元医用画像データを生成可能な医用ボリューム撮像手法が、撮像や診断目的で広く用いられている。
【0003】
医用ボリューム画像データは3次元のボクセルアレイを備える。各ボクセルは、3次元空間内の特定の位置を表し、1つ以上のデータ値を有する。例えば、CTデータの場合、各ボクセルは、該ボクセルが示す位置における発せられたX線放射の減衰率を表す強度値を有する。強度値は、画像値、画像データ値、階調値、階調レベル、ボクセル値、CT値等とも呼ばれる。強度値はハウンスフィールド単位(HU)で測定可能である。
【0004】
ボリューム画像データを処理し、患者や他の被検体の所望の画像を表示するための様々なレンダリング法が知られている。例えば、ボリューム画像データを描画して、3次元ボリュームデータの2次元投影を表示することもできる。2次元投影は、所望のテクスチャやシェーディング効果を含み、観察者に対して3次元の面のように見せることが可能である。
【0005】
一般に用いられるボリュームレンダリング法では、伝達関数を用いて、一連のサンプリングしたボクセル値のそれぞれを不透明値と色値(通常、赤、緑、青の色値の組み合わせで表される)にマッピングする。レイキャスティングや同様の手法において、2次元の仮想像面上の対応する一点およびボリューム画像データによって表されるボリュームを介して、観察者の視点から2D投影内の各ピクセルに対して仮想光線が投射される。色値と不透明値は仮想光線に沿って累積され、2D投影上の各ピクセルの色が取得される。
【0006】
光線に沿った複数のサンプリング点それぞれにおけるデータ値は、サンプリング点近傍の複数のボクセル(例えば、サンプリング点に最も近い8つのボクセル)から得られるデータ値を補間することによって取得可能である。データ値は、例えば、最近傍のボクセルのデータ値をトライリニア補間することによって、スカラー場として補間することができる。
【0007】
例えば、撮像データセット内の各ボクセルに分類ラベルを割り当てることによって、撮像データのセグメンテーションを行うことが知られている。一般に、分類ラベルはボクセルが細分化された物体の一部であるか否かを示す2値のラベルである。2値のラベル群はマスクとも呼ばれる。
【0008】
撮像データセット内のボクセルのセグメンテーションラベルは、結合して用いることができないため、スカラー場として補間することはできない。ある実施形態において、セグメンテーションラベルは各色に変換されてから補間される。しかしながら、かかる方法は資源集約的である。
【0009】
さらに、セグメンテーションデータは一般に頻繁に更新される。また、セグメンテーションデータは、多くの場合、複合圧縮データ構造に含まれている。例えば、ブロック階層をセグメンテーションデータ構造として用いることができる。空のまたは満杯のブロックは集約可能である。複合圧縮データ構造の利用は、セグメンテーション値の補間をさらに困難にしかねない。また、複数のルックアップの利用は費用がかかる。通常、セグメンテーションの補間は可能ではあるが、非常に高価である。
【0010】
現在の応用では、多くの場合、セグメンテーション値の補間は行われていないが、補間なしのセグメンテーションは画質に影響を与えることが分かっている。
【0011】
図1は、セグメンテーション値の補間を実行しないレンダリング方法の概要を示すフローチャートである。
【0012】
ステップ10において、ボリュームの元となるソース(source)・ボクセルデータセットが取得される。ソース・ボクセルデータは、ボリューム内の各ボクセルの画像データ値、例えば、グレースケール値を含む。
【0013】
ステップ12において、サンプル位置が取得される。サンプル位置とは、サブボクセル位置に相当し、ボクセルデータ値が既知のボクセル間の位置である。サンプル位置は、サンプリング点と呼ぶこともできる。
【0014】
ステップ14において、サンプル位置近傍の補間位置群が収集される。例えば、近傍の補間位置群は、サンプル位置に最も近い8つのボクセルである。近傍補間位置はそれぞれ、ソース・ボクセルデータから読み出される画像データ値を有する。
【0015】
ステップ16において、重み群が算出される。例えば、各近傍補間位置の重みは、当該近傍補間位置からサンプル位置までの距離に基づいて、補間位置がサンプル位置に近いほど、より大きい重みを有するように算出される。
【0016】
ステップ18において、ステップ16で設定された重みを用いて、近傍補間位置のボクセルデータ値が結合され、サンプル位置の画像データ値が出力される。
【0017】
ステップ20において、ボリュームの複合圧縮セグメンテーションデータセットが取得される。複合圧縮セグメンテーションデータセットは、ボリューム内の各ボクセルのセグメンテーションラベルを表し、例えば、ブロック階層を用いて圧縮形式で表される。
【0018】
ステップ22において、ボクセルの内、サンプル位置に最も近い一つを求め、そのボクセルのセグメンテーション値をサンプル位置のセグメンテーション値として用いることによって、サンプル位置の一つのセグメンテーション値が選択される。セグメンテーション値の補間は行われない。あるサンプル位置に対して単純に一つのセグメンテーション値を選択すると、エイリアシング(aliasing)が起きる場合があり、画像内の境界が鋸歯状に見えることがある。
【0019】
図3Aは、セグメンテーションを補間せずに描画された画像を示す。この画像では端が尖っているため、品質または解像度が低いという視覚的な印象を与える可能性がある。図3Aのレンダリングは、境界よりも、むしろセグメンテーションの端が尖っていることが問題の原因である。
【0020】
図3Bは、セグメンテーションを補間せずに描画された別の画像を示す。図3Aおよび図3Bの双方とも鋸歯形状が現れている。鋸歯形状によって視覚的な忠実性が損なわれかねない。また、ユーザが表面形状を認識できない可能性がある。
【0021】
図2は、セグメンテーション値の補間方法を実行するコストの高い公知のレンダリング方法の概要を示す。
【0022】
図2のステップ10から20は図1のステップ10から20と同一である。ステップ10から18において、最近傍のボクセルの画像データ値が補間されることによりサンプル位置のスカラー画像データ値が与えられる。ステップ20において、ボリュームの複合圧縮セグメンテーションデータセットが取得される。
【0023】
図2のステップ24において、サンプル位置近傍のセグメンテーション群が収集される。例えば、近傍のセグメンテーションとは、サンプル位置に最も近い8つのボクセルである。各近傍セグメンテーションは、複合圧縮セグメンテーションデータから読み出されるセグメンテーション値を有する。セグメンテーション値を色に変換してもよい。近傍セグメンテーションのセグメンテーション値の読み出しは、演算上高価になる場合がある。
【0024】
ステップ26において、重み群が算出される。例えば、各近傍セグメンテーションからサンプル位置までの距離に基づいて、セグメンテーションがサンプル位置に近いほど重みが大きくなるように、各近傍セグメンテーションの重みが算出される。
【0025】
ステップ28において、ステップ26で設定された重みを用いて、近傍セグメンテーションの1から8の値または色を結合する。ボクセルには、マッピングされた色がない場合があるため、所定位置において結合される値や色の数は1から8の間である。サンプル位置のセグメンテーション値が出力される。値や色の結合は、演算上高価になる場合がある。
【0026】
図4は、図3Aの撮像データと同一の撮像データから描画された画像を示す。図4は、例えば、セグメンテーション値を色に変換し、色を補間することによってセグメンテーション値を補間して描画した画像である。図4図3Aより高画質である。図4には図3Aに見られる鋸歯形状は現れていない。例えば、図2を参照して説明したようにセグメンテーション値を補間することによって、セグメンテーション値の補間を省略する場合より、より高画質が実現できるものの非常にコストが高くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0027】
【特許文献1】中国特許出願公開第106530386号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0028】
本明細書等に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、計算コストを上げずにセグメンテーション時のエイリアシングを低減することである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0029】
実施形態に係る医用画像処理装置は、第1取得部と、特定部と、選択部と、決定部とを備える。第1取得部は、医用画像データを構成する複数の画素について、画像データ値及びセグメンテーション値を含む医用画像データを取得する。特定部は、複数の画素の内でサンプリング点を特定する。選択部は、サンプリング点に隣接する複数の画素から、サンプリング点の補間後の画像データ値と、サンプリング点に隣接する複数の画素それぞれの画像データ値との差分、及び、サンプリング点と、サンプリング点に隣接する複数の画素それぞれとの距離に基づいて、サンプリング点に関連する画素を選択する。第1決定部は、選択された関連する画素の位置のセグメンテーション値に基づいて、サンプリング点のセグメンテーション値を決定する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
次に、以下の図面に示される実施形態を非限定的な例として説明する。
図1図1は、セグメンテーション値の補間を実行しないレンダリング方法の一例の概要を示すフローチャートである。
図2図2は、セグメンテーション値の補間を行うレンダリング方法の一例の概要を示すフローチャートである。
図3A図3Aは、セグメンテーション値を補間せずに描画された画像の一例を示す。
図3B図3Bは、セグメンテーション値を補間せずに描画された画像の一例を示す。
図4図4は、セグメンテーション値を補間して描画された画像の一例を示す。
図5図5は、一実施形態に係る装置の一例を示す概略図である。
図6図6は、一実施形態に係る方法の概要の一例を示すフローチャートである。
図7図7は、一実施形態に係る方法の概要の一例を示すフローチャートである。
図8図8は、サンプリング点と近傍ボクセル群の一例を示す概略図である。
図9図9は、サンプリング点と近傍セグメンテーションボクセル群との一例を示す概略図である。
図10図10は、実施形態に係るレンダリング方法を用いて描画された画像の一例を示す図である。
図11図11は、セグメンテーション値の補間を実行しないレンダリング方法を用いて描画された画像の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
実施形態に係る医用画像処理装置30を図5に模式的に示す。医用画像処理装置30は演算装置32(ここでは、パーソナルコンピューター(PC)またはワークステーション)を備える。演算装置32はデータ記憶部40を介してスキャナ34に接続される。
【0032】
さらに、医用画像処理装置30は1つ以上の表示スクリーン36と、コンピュータ・キーボード、マウス、トラックボール等の1つまたは複数の入力装置38を備える。
【0033】
本実施形態において、スキャナ34はコンピュータ断層(computed tomography: CT)スキャナであって、ボリュームCTスキャンを取得するように構成される。スキャナ34は、患者や他の被検体の少なくとも一つの解剖学的領域を含むボリュームを表す画像データを生成する。画像データは、それぞれ画像データ値を有する複数のボクセルを表す。CTスキャンの場合、画像データ値は、強度値、例えば、ハウンスフィールド単位の値である。別の実施形態においては、画像データは、複数のボクセルの代わりに複数のピクセルを表す。なお、本実施形態では、ボクセルおよびピクセルを画素と表現する場合があるものとする。
【0034】
また別の実施形態において、スキャナ34は任意の撮像モダリティによって2次元、3次元、または4次元の画像データを取得するように構成されてもよい。例えば、スキャナ34は、磁気共鳴(magnetic resonance: MR)スキャナ、コンピュータ断層(CT)スキャナ、円錐ビームCTスキャナ、ポジトロン放射断層(positron emission tomography: PET)スキャナ、X線スキャナ、超音波スキャナ等を備えてもよい。
【0035】
本実施形態において、スキャナ34によって取得された画像データセットはデータ記憶部40に記憶され、演算装置32に提供される。別の実施形態では、画像データセットは遠隔のデータ記憶部(図示せず)から供給される。データ記憶部40または遠隔のデータ記憶部は、適切な任意の形式の記憶装置を備えてもよい。ある実施形態においては、医用画像処理装置30は、スキャナに接続されない。
【0036】
演算装置32は、データを処理するための処理装置42を備える。処理装置42は中央演算装置(central processing unit:CPU)およびグラフィックス・プロセッシング・ユニット(graphics processing unit:GPU)を備える。処理装置42は、自動的にまたは半自動的に医用画像データセットを処理するための処理資源を提供する。別の実施形態においては、処理対象のデータは、医用画像データに限らず、任意の画像データを含んでもよい。
【0037】
処理装置42は、データ値の補間を実行するように構成される補間回路44、近似性スコアの値を決定するように構成される近似性回路46、および画像を描画するように構成されるレンダリング回路48を備える。
【0038】
本実施形態において、回路44、46、48はそれぞれ、CPUおよび/またはGPU内で、本実施形態の方法を実行するためのコンピュータ読み取り可能な指示を含むコンピュータプログラムによって実現される。別の実施形態においては、これらの回路は、1つ以上の特定用途向け集積回路(application specific integrated circuit:ASIC)やフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(field programmable gate array:FPGA)として実現されてもよい。
【0039】
また、演算装置32は、ハードドライブおよび、RAM、ROM,データバス、様々なデバイスドライバを有するオペレーティングシステム、グラフィックカードを有するハードウェアデバイス等のPCのその他のコンポーネントを含む。図5は、明瞭性のため、これらのコンポーネントを図示していない。
【0040】
図5の装置は、図6に示される医用画像データの処理方法および図7に示されるレンダリング方法を実行するように構成される。
【0041】
図6のステップ110において、補間回路44は、スキャナ34が実行したCTスキャンによって取得されたボリューム画像データセットを受信する。ボリューム画像データセットは、ソース(source)・ボクセルデータセットまたはスカラーボリュームとも称される。ボリューム画像データセットは、ボリューム画像データセットの複数のボクセル各々の強度値を含む。強度値は画像データ値とも称される。別の実施形態においては、ボリューム画像データセットは適切な任意の1つまたは複数のスキャナから取得されてもよい。ある実施形態において、補間回路44は、第1の低解像度の第1のボリューム画像データを受信し、第1のボリューム画像データに最初の補間を実行することによって、ステップ110の第2の高解像度の第2のボリューム画像データセットを取得する。第1のボリューム画像データは、医用画像データの一例である。したがって、この場合の補間回路44は、第1取得部の一例である。
【0042】
他の実施形態において、ボリューム画像データセットは、医用に限らず適切な任意の画像データを含んでもよい。また別の実施形態においては、補間回路44は、ボクセルまたはピクセルを含む適切な任意の画像データセット、および該ボクセルまたはピクセルの画像データ値を受信してもよい。
【0043】
ステップ112において、補間回路44はサンプル位置を受信する。サンプル位置はサンプリング点とも称される。例えば、サンプル位置は、レンダリング処理の一部、例えば光線追跡処理においてレンダリング回路48によって決定される位置である。この場合のレンダリング回路48は、サンプリング点を特定していると言えるため、特定部の一例である。サンプル位置はサブボクセル位置であって、ボリューム画像データセット内のボクセル位置とは一致しない。
【0044】
ステップ114において、補間回路44は、サンプル位置の近傍の補間位置群を収集する。サンプル位置(サンプリング点)の近傍とは、例えば、サンプリング点に隣接する画素位置、サンプリング点から所定の範囲にある画素位置等である。サンプリング点から所定の範囲とは、例えば、サンプリング点から数画素離れた位置関係にある画素位置等である。図6の実施形態において、近傍補間位置群はサンプル位置に最も近い8つのボクセルである。別の実施形態においては、適切な任意の近傍補間位置群を用いることができる。例えば、最も近いボクセルと2番目に近いボクセルの両方を用いてもよい。補間回路44は、近傍補間位置それぞれの画像データ値を取得する。データ値は、スカラー場の値である。本実施形態において、画像データ値とは、ステップ110で受信されたボリューム撮像データセットから取得されるグレースケール値である。別の実施形態においては、適切な任意のスカラー場の値を用いることができる。以下に説明される別の実施形態において、画像データ値は適切な任意のデータ値である。例えば、画像データ値は、色値等の多次元データを含んでもよい。
【0045】
ステップ116において、補間回路44は重み群を算出する。重み群は各近傍補間位置の補間用重みを含む。図6の実施形態において、各補間用重みは、該当する近傍補間位置からサンプル位置までの距離に基づく。サンプル位置に近い補間位置ほど、より大きい重みを有する。例えば、補間用重みは標準的なトライリニア補間法によって取得することができる。
【0046】
ステップ118において、補間回路44は、画像データ値と近傍補間位置の補間用重みを結合してサンプル位置の画像データ値を取得する。画像データ値はスカラー場の値であって、図6の実施形態ではグレースケール値である。この場合の補間回路44は、サンプリング点の補間後の画像データ値を取得するため、第2取得部の一例である。
【0047】
ステップ120において、近似性回路46は、セグメンテーションボリュームデータ内の各ボクセルに対するセグメンテーションラベルを示すセグメンテーションデータセットを受信する。セグメンテーションデータセットはセグメンテーション構造とも称される。セグメンテーションデータセットは1つ以上のマスクを含んでもよい。セグメンテーションラベルはマスク値とも呼ばれる。セグメンテーションデータセットは、ボリューム画像データセットとは別々に与えられてもよい。セグメンテーションデータセットは、適切な任意のセグメンテーション方法に従ってボリューム画像データセットから取得されてもよい。ある実施形態において、セグメンテーションは、ユーザによって提供および/または編集される。ある実施形態において、自動的に解剖および/または病理とラベル付けされる。ある実施形態において、閾値化等の単純なアルゴリズムを用いてもよい。
【0048】
セグメンテーションラベルは、所定のボクセルが細分化された解剖学的構造、例えば臓器等の境界内にあるか否かを示す。解剖学的構造はセグメンテーション対象とも称される。セグメンテーションラベルは、適切な任意の1つまたは複数の解剖学的構造を表してもよい。
【0049】
図6の実施形態において、セグメンテーションボリューム内のボクセルの位置は、ステップ110で受信されたボリューム画像データセット内のボクセルの位置と対応する。セグメンテーションボリューム内の各ボクセルはセグメンテーションボクセルとも称される。別の実施形態においては、セグメンテーションボリュームは、ボリューム画像データセットのボリュームの一部のみに相当する。また別の実施形態では、セグメンテーションボリュームは、ボリューム画像データセットのボリュームとは異なる解像度を有する。
【0050】
図6の実施形態において、セグメンテーションデータはブロック階層を用いて圧縮され、複合圧縮セグメンテーションデータとも呼ばれる。別の実施形態においては、セグメンテーションデータは適切な任意の方法で圧縮されてもよいし、または圧縮されなくてもよい。
【0051】
ステップ130において、近似性回路46は、各近傍補間位置の近似性スコアの値を決定する。近似性スコアは適合性スコアとも称される。近似性スコアは、近傍補間位置のグレースケール値とステップ118でサンプル位置に対して決定された補間後のグレースケール値との間の近似性を表す項を含む。図6の実施形態において、近似性項とは、近傍補間位置のグレースケール値とステップ118でサンプル位置に対して決定された補間後のグレースケール値間の絶対差である。別の実施形態においては、画像データ値間の近似性の値の基準は任意である。
【0052】
さらに、近似性スコアは、ボリューム画像データセットの座標空間における近傍補間位置とサンプル位置との間の距離を表す項を含む。この距離は実距離またはユークリッド距離である。また、距離はスキャナによってスキャンされた実際の座標空間における距離を示すため、物理的距離と呼ぶこともできる。距離項は、ステップ116において算出された補間用重みに基づく。他の実施形態では、適切な任意の距離を用いることができる。距離は、例えば、L1ノルム、L2ノルム、最大ノルム等のベクトルのノルムであってもよい。この場合、近似性回路46は、第2決定部の一例である。距離項を用いることによって近似性スコアに空間的な均一性を与えることができる。
【0053】
図6の実施形態では、近似性項と距離項の寄与度のバランスを取るため、近似性項と距離項のそれぞれに対して重み付けが行われる。
【0054】
例えば、疑似コードにおいて、
サンプル値=トライリニア_補間(現在のボクセル位置)
近傍値[8]={n0…n8}
対応位置[8]={[0,0,0],[1,0,0]…[1,1,1]}
【0055】
この例では、近傍値は、例えば、最近傍の8つのボクセルである近傍補間位置のグレースケール値等の画像データ値である。対応位置は近傍補間位置である。現在のボクセル位置はサンプル位置であり、サンプル値は、例えば、サンプル位置におけるグレースケール値等のデータ値である。
【0056】
近似性スコアは最近傍の8つのボクセルそれぞれについて決定される。また、近似性スコアは以下のように表される。
スコア=abs(サンプル値-近傍値)×k+距離(現在のボクセル位置)×m
【0057】
上述の近似性スコアにおいて、近似性項はabs(サンプル値-近傍値)、すなわち、サンプル位置と最近傍ボクセル位置の画像データ値間の絶対差である。近似性項は重みkで乗算される。重みkは予めプログラムされる、またはユーザによって選択される。
【0058】
距離項は、サンプル位置と最近傍ボクセル位置間の距離(現在のボクセル位置)である。上述の通り、適切な任意の距離を用いることができる。距離項は重みmで乗算される。重みmは予めプログラムされる、またはユーザによって選択される。
【0059】
ステップ132において、近似性回路46は近傍補間位置各々の近似性スコアに基づいて、一つの近傍補間位置を選択する。図6の実施形態において、近似性回路46は、近似性スコアの最も低い近傍補間位置を選択する。異なる近似性スコアが用いられる実施形態の場合は、近似性回路46は、近似性スコアの最も高い近傍補間位置を選択してもよい。選択された近傍補間位置は、選択されたボクセルまたは関連ボクセルと称される。近似性スコアは、サンプル位置と最近傍ボクセル位置の画像データ値間の絶対差である近似性項と、サンプル位置と最近傍ボクセル位置間の距離である距離項を含む。このため、近似性回路46は、サンプリング点に対応する画像データ値とサンプリング点近傍の複数の画素の各画素の画像データ値との差分、及び、サンプリング点と各画素との距離に基づいて、サンプリング点に関連する画素を選択していると言えるため、選択部の一例である。
【0060】
補間回路44は、セグメンテーションデータにアクセスして、関連ボクセルに対応する選択されたセグメンテーションボクセルに対するセグメンテーション値を決定する。この場合の補間回路44は、選択されたサンプリング点に関連する画素に基づいてセグメンテーション値を決定しているため、第1決定部の一例である。補間回路44は、選択されたセグメンテーションボクセルのセグメンテーション値と同一のセグメンテーション値をサンプル位置に割り当てる。
【0061】
疑似コードの例において、
指標=最小値(スコア)
使用されたセグメンテーション近傍位置=対応位置[指標]
【0062】
近傍補間位置の近似性スコアを比較し、最小値を求める。最小値は疑似コードにおいて指標として指定される。スコアの最も低い近傍補間位置に対応する位置にあるセグメンテーションボクセルが特定される。特定されたセグメンテーションボクセルのセグメンテーション値はサンプル位置のセグメンテーション値として用いられる。
【0063】
図6の方法において、ステップ120で取得されたセグメンテーションは、ステップ118で取得されたグレースケールのスカラー場と組み合わされる。ステップ112から118で実行されるグレースケール補間の特徴を用いて、より好適なセグメンテーションの輪郭が作成される。
【0064】
図7は、実施形態に係るレンダリング方法の概要を示すフローチャートである。ステップ110において、補間回路44はボリューム画像データセットを取得する。ステップ120において、近似性回路46はセグメンテーションデータセットを受信する。ステップ140において、レンダリング回路48は、図6を参照して説明した方法に従ってレンダリング処理を実行し、レンダリングに用いられた複数のサンプル位置それぞれのセグメンテーション値を取得する。例えば、光線追跡処理の場合、図6の方法によって、一つの光線の全サンプリング点のセグメンテーション値および使用した全ての光線のセグメンテーション値を取得して、レンダリング画像を作成する。
【0065】
ステップ140では、適切な任意のレンダリング方法が利用可能である。例えば、レンダリング方法は全体照明の直接ボリュームレンダリングを含んでもよい。また、レンダリング方法は強度投影法を含んでもよい。また、多断面再構成法(Multi Planar Reconstruction:MPR)またはスラブMPR法を含んでもよい。さらに、レンダリング方法は、最大ボリューム最大値投影法、最大ボリューム最小値投影法、または最大ボリューム平均値投影法を含んでもよい。
【0066】
ステップ150において、レンダリング回路48は、少なくとも一つの描画した画像を出力し、例えば、表示スクリーン36に表示する。ある実施形態において、1つの画像が描画される。別の実施形態においては、複数の画像が描画されてもよい。レンダリング回路48は、生成部の一例である。
【0067】
ある実施形態において、画像データを表す第1の画像とセグメンテーションデータを表す第2の画像が描画される。第2の画像を第1の画像上に重ね合わせて、セグメンテーション重畳画像を生成してもよい。異なる画像の利用によって、より効率的な後処理を提供できる。
【0068】
また別の実施形態において、それぞれ色を表現する2つ以上の画像が描画される。
【0069】
ある実施形態において、セグメンテーションを重畳する代わりに、強度画像にセグメンテーションラベルに基づく色を付ける色選択が実行される。
【0070】
図8は、サンプリング点200と近傍ボクセル群202、204、206、208の単純化した視覚的な表示を示す。簡単のため、図8は2次元の例を示す。近傍ボクセル群202、204、206、208の座標は、(0,0)、(1,0)、(0,1)、(1,1)である。各近傍ボクセルはそれぞれの画像データ値を有する。
【0071】
物質間の境界210は図8に示す領域を通る。境界210は図8に示すようなスカラー場形状を形成する。スカラー場形状は、どのセグメンテーションボクセルがレンダリングの対象となるかに影響を与える。セグメンテーションボクセルは、サンプリング点の位置のみならずスカラー場にも基づいて選択される。
【0072】
図9は、サンプリング点200と、近傍ボクセル群202、204、206、208と同一の座標位置にある対応するセグメンテーションボクセル群212、214、216、218を示す。各セグメンテーションボクセルは、それぞれのセグメンテーション値を有する。図8および図9の例では、図8のスカラー場は図9のセグメンテーションボクセルの選択に影響を及ぼす。座標(0,1)のセグメンテーションボクセル216がサンプリング点として用いられる。
【0073】
スキャンボリュームを補間する場合、近似性回路46は、補間点において、どの近傍点の強度が補間値に最も近いかを考慮する。図6の実施形態では、8つの最近傍点が線形補間に用いられる。別の実施形態においては、より多くの近傍点を用いてもよい。
【0074】
確実に順序を維持するため、強度の近似性と距離指標とを組み合わせる。例えば、光線に沿った複数のサンプル位置のセグメンテーション値を取得する場合、距離指標を用いることによって、選択されたセグメンテーション値によって累積順序が変わることを確実に防ぐことができる。距離項によって、アルゴリズムを最も近い端により適応させやすくなる。これによって、強度の小さな差に起因して望ましくない形状が現れ、その結果、均一性のないまたは予想外の最近傍ボクセルが選択されるような状況を回避することができる。距離項を含むことによって、この関数はより均一的に機能する。
【0075】
距離指標には、サンプル位置から近傍ボクセルまでの距離が含まれる。距離はユークリッド距離、または補間用重みに基づく距離であってもよい。ある実施形態において、補間用重みは強度を補間するために既に算出されているので、補間用重みの利用はより効率的である。
【0076】
選択されたセグメンテーションボクセルおよびセグメンテーション値は、ボリューム画像データセットを補間することによって取得される。サンプリング点の補間後のデータ値を決定する際にボリューム画像データセットはすでに補間されているため、セグメンテーションボクセルとセグメンテーション値の取得に必要な追加の作業はほとんど発生しない。セグメンテーション値の補間が行われない方法と比較しても、動作やメモリの使用量にほとんど違いはない。実行する演算に重大な複雑性を付加することなく、折り返し歪みを低減することができる。
【0077】
例えば、図2を参照して説明したようなセグメンテーション値の完全補間を必要とすることなく、セグメンテーションを向上させることができる。
【0078】
実施形態によって、サンプル位置を最適に表すセグメンテーションボクセルを決定し、ボリュームデータ補間に基づいてセグメンテーションを補間することによって、折り返し歪みの多いセグメンテーションを防止する非常に効率的な方法を提供することができる。セグメンテーションボクセルは、スカラーボリューム補間から得たどの近傍ボクセルがスカラーボリューム補間後のデータ値に最も近似しているかを判断することによって、選択される。近似性を近傍の距離指標と組み合わせて各近傍ボクセルの適合性スコアを作成する。スコアの最も低いボクセルが、使用するセグメンテーションボクセルとして選択される。
【0079】
図10は、図7の方法によって得られたセグメンテーション値に基づいて描画された多断面再構成MPR画像を示す。図11は、最近傍法、例えば、図1の方法によって得られたセグメンテーション値に基づいて描画されたMPR画像を示す。図10の画像は表面の折り返し歪みが少ない。図11には、ボクセルの位置合わせに起因してセグメンテーションの端が物質に割り込む点220がある。セグメンテーションには過不足があり得る。図10の画像は、強度を考慮した結果、輪郭がより一体的である。
【0080】
図6の実施形態において、ボリューム画像データセットの画像データ値はグレースケール値であるが、別の実施形態においては、異なる画像データ値を用いてもよい。
【0081】
ある実施形態において、ボリューム画像データセットは該セット内の各ボクセルの色値を含む。ボリューム画像データセットは、色ボリュームとも称される。適切な任意の色値補間方法に従って、サンプル位置の色値を取得することができる。色の近似性は、サンプル位置の補間後の色値と近傍ボクセルの色値との間の色の近似性を表す。例えば、色の近似性は、色チャネルベクトルのL1ノルム、L2ノルム、または最大ノルムとして表すことができる。色の近似性は適切な色空間内の距離、例えば、LAB色空間内の距離でもよい。
【0082】
また別の実施形態においては、近似性は、輝度(Luma)、明度、値の近似性でもよい。輝度および/または明度および/または値の近似性は、例えば、色などの他の情報を考慮せずに用いることができる。
【0083】
レンダリング方法には、勾配を用いて、表面の外観モデルを作成するものがある。ある実施形態において、近似性回路46は、近似性スコアをボリューム内の各点の画像データ値で乗算することによって、連続的で滑らかな可変フィールドを作成する。フィールドを変化させて勾配を作成することができる。近似性回路46はフィールドの勾配をサンプリングし、フィールド値の中心差分に基づいて勾配(標準)を算出する。この場合の近似性回路46は、算出部の一例である。近似性回路46はフィールドの変化する方向を判断することによって表面を取得する。
【0084】
上述の実施形態は、医用画像データセット、例えば、CTデータセット等のセグメンテーション値を決定することを含む。別の実施形態においては、1つまたは複数の適切なモダリティの適切な任意の医用画像データセットを用いることができる。医用画像データセットは、人または動物の被検体を表すことができる。
【0085】
また別の実施形態において、セグメンテーション値は医用画像データセットに限らず、任意の画像データセットに対して決定することができる。
【0086】
本明細書では特定の回路について説明したが、別の実施形態では、これらの回路の内1つ以上の機能を単一の処理資源や他のコンポーネントで実現することができる。または、単一の回路で実現される機能を2つ以上の処理資源または他のコンポーネントを組み合わせて実現することができる。単一の回路とは、該回路の機能を実現する複数のコンポーネント、互いに離間しているか否かに拘わらず、の意を含む。複数の回路とは、それらの回路の機能を実現する単一のコンポーネントの意を含む。
【0087】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。新規の方法やシステムは、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0088】
以上の実施形態に関し、発明の一側面および選択的な特徴として以下の付記を開示する。
【0089】
(付記1)
ボリュームのピクセルまたはボクセルについて、画像データ値およびセグメンテーション値を含むまたは表す医用画像データを取得する第1取得部と、
サンプリング点の近傍のピクセル群またはボクセル群から、サンプリング点の補間後の画像データ値と近傍のピクセル群またはボクセル群それぞれの画像データ値の間の差分と、サンプリング点と近傍のピクセル群またはボクセル群それぞれの間の距離に基づいて、前記サンプリング点に関連するピクセルまたはボクセルを選択する選択部と、
選択された関連するピクセルまたはボクセルの位置のセグメンテーション値に基づいて、サンプリング点のセグメンテーション値を決定する第1決定部と、
を備える医用画像処理装置。
【0090】
(付記2)
前記サンプリング点のセグメンテーション値は、特定された前記画素のセグメンテーション値と等しくてもよい。
【0091】
(付記3)
前記セグメンテーション値は、マスク値またはラベルを含んでもよい。
【0092】
(付記4)
前記セグメンテーション値は、1つ以上の解剖学的構造を表してもよい。
【0093】
(付記5)
前記サンプリング点に隣接する複数の画素の前記画像データ値の補間を実行して前記サンプリング点の補間後の前記画像データ値を取得する第2取得部を更に備えてもよい。
【0094】
(付記6)
前記補間はトライリニア補間を含んでもよい。
【0095】
(付記7)
前記特定部は、前記サンプリング点に隣接する複数の画素のそれぞれのスコアを決定し、前記サンプリング点に対して適応度の高い画素を前記複数の画素から特定してもよい。
【0096】
(付記8)
特定された前記画素は、前記サンプリング点に隣接する複数の画素の内、決定されたスコアが最も低い画素であってもよい。
【0097】
(付記9)
前記サンプリング点に隣接する画素の前記スコアは、前記サンプリング点の補間後の前記画像データ値と当該複数の画素の前記画像データ値の間の前記差分を含む近似性項と、前記サンプリング点と当該画素との間の前記距離を含む距離項の和を含んでもよい。
【0098】
(付記10)
処理回路は、さらに、補間用重み、ユークリッド距離、ベクトルのL1ノルム、ベクトルのL2ノルム、ベクトルの最大ノルムの内少なくとも一つを用いて、サンプリング点と各近傍のピクセルまたはボクセル間の距離を決定してもよい。
【0099】
(付記11)
前記和は、前記近似性項と前記距離項に対する重み付けを含む加重和であってもよい。
【0100】
(付記12)
前記算出部は、前記スコアの値に前記画像データ値を乗算することによって、連続的なフィールドを作成し、前記勾配は、該連続的なフィールドの勾配であってもよい。
【0101】
(付記13)
補間用重み、ユークリッド距離、ベクトルのL1ノルム、ベクトルのL2ノルム、ベクトルの最大ノルムの内少なくとも一つを用いて、前記サンプリング点と前記サンプリング点に隣接する複数の画素それぞれの間の前記距離を決定する第2決定部を更に備えてもよい。
【0102】
(付記14)
前記画像データ値はグレースケール値であってもよい。
【0103】
(付記15)
前記画像データ値は色値であり、前記差分は、色値間の差分であってもよい。
【0104】
(付記16)
前記画像データ値間の前記差分は、色チャネルベクトルのL1ノルム、色チャネルベクトルのL2ノルム、色チャネルベクトルの最大ノルム、LAB色空間内の距離、および輝度、明度、値の内少なくとも一つの基準、の内少なくとも一つを含んでいてもよい。
【0105】
(付記17)
決定された前記セグメンテーション値に基づいて、前記医用画像データから少なくとも一つの画像を生成する生成部を更に備えてもよい。
【0106】
(付記18)
前記生成部は、陰影付け直接ボリュームレンダリング、全体照明直接ボリュームレンダリング、強度投影法、多断面再構成法(MPR)、スラブMPR法、最大ボリューム最大値投影法、最大ボリューム最小値投影法、および最大ボリューム平均値投影法の内、少なくとも一つを用いて前記画像を生成してもよい。
【0107】
(付記19)
前記生成部は、セグメンテーション重畳画像を生成してもよい。
【0108】
(付記20)
医用画像データを構成する複数の画素について、画像データ値及びセグメンテーション値を含む前記医用画像データを取得する第1取得ステップと、
前記複数の画素の内でサンプリング点を特定する特定ステップと、
サンプリング点の近傍の複数の画素から、サンプリング点の補間後の画像データ値と近傍の複数の画素それぞれの画像データ値の間の差分と、サンプリング点と近傍の複数の画素それぞれの間の距離とに基づいて、前記サンプリング点に関連する画素を選択する選択ステップと、
選択された関連する画素の位置のセグメンテーション値に基づいて、前記サンプリング点のセグメンテーション値を決定する第1決定ステップと、
を含む医用画像処理方法。
【0109】
(付記21)
コンピュータに、
医用画像データを構成する複数の画素について、画像データ値及びセグメンテーション値を含む前記医用画像データを取得する第1取得ステップと、
前記複数の画素の内でサンプリング点を特定する特定ステップと、
サンプリング点の近傍の複数の画素から、サンプリング点の補間後の画像データ値と近傍の複数の画素それぞれの画像データ値の間の差分と、サンプリング点と近傍の複数の画素それぞれの間の距離とに基づいて、前記サンプリング点に関連する画素を選択する選択ステップと、
選択された関連する画素の位置のセグメンテーション値に基づいて、前記サンプリング点のセグメンテーション値を決定する第1決定ステップと、
を実行させるプログラム。
【0110】
(付記22)
セグメンテーション対象を含む医用画像データを受信する受信部と、
前記医用画像データに含まれるデータ値に基づいてスカラー場を決定する第3決定部と、
決定された前記スカラー場内で前記セグメンテーション対象の境界領域に含まれるサンプリング点を特定する第1特定部と、
前記サンプリング点の近傍のピクセルまたはボクセルから、前記サンプリング点の補間後の画像データ値と各近傍のピクセルまたはボクセルの画像データ値の間の差分と、前記サンプリング点と各近傍のピクセルまたはボクセル間の物理的距離に基づいて、前記サンプリング点の関連するピクセルまたはボクセルを特定する第2特定部と、
特定された前記画素に基づいてセグメンテーションを実行する実行部と、
を備える医用画像処理装置。
【0111】
(付記23)
スカラーボリュームと、マスクデータまたはラベルを含む独立のセグメンテーション構造を備え、
スカラーボリューム補間から得たどの近傍ボクセルが補間値に最も近いかを判断することによって使用されるセグメンテーションボクセルを選択する第1選択ステップと、
近似性を近傍の距離指標と組み合わせることによって各近傍ボクセルの適合性スコアを作成する作成ステップと、
スコアが最も低いボクセルが使用するセグメンテーションボクセルとして選択する第2選択ステップと、
を含む医用撮像方法。
【0112】
(付記24)
前記距離指標は、補間用重み、ユークリッド距離、ベクトルのL1、L2、最大ノルムに基づいてもよい。
【0113】
(付記25)
前記勾配(標準)は、近似性スコアの中央差分に基づいて算出されてもよい。
【0114】
(付記26)
前記近似性は、色ボリュームと、色チャネルベクトルL1、L2、最大ノルム、輝度(Luma)、明度、値、LAB色空間内の距離によって表される色近似性に基づいてもよい。
【0115】
(付記27)
ボリューム内に存在する少なくとも一つの構造を表すセグメンテーションデータセットを補間するための補間処理を実行することによって、選択位置の補間後のセグメンテーションデータを取得する第3取得部と、
前記セグメンテーションデータを、例えばスカラーボリュームデータ等の、ボリュームを表すボクセル群を含む医用画像データから得られる、または医用画像データと対応付ける対応付け部と、
前記補間処理は、医用画像データを補間して選択位置の補間値を決定する第4決定部と、
ボクセルの値と決定した補間値間の近似性に基づき、医用画像データの選択位置近傍のボクセル間の近似値を決定する第5決定部と、
少なくとも部分的に医用画像データセットのボクセルの決定した近似値に基づき、セグメンテーションデータセットからデータ点を選択する第1選択部と、
選択したデータ点を選択位置の補間後のセグメンテーションデータとして用いる、または選択したデータ点を用いて補間後のセグメンテーションデータを取得する第4取得部と、
を備える医用画像処理装置。
【0116】
(付記28)
前記データ点は、決定した前記近似値と距離指標の双方に基づき、セグメンテーションデータセットから選択されてもよい。
【0117】
(付記29)
前記距離指標は、補間用重みおよび/またはユークリッド距離および/またはベクトルのL1、L2、最大ノルムの内少なくとも一つに基づいてもよい。
【0118】
(付記30)
前記セグメンテーションデータは、セグメンテーションボクセル群を含んでもよい。セグメンテーションデータセットからの前記データ点の選択は、前記セグメンテーションボクセルの内の一つを選択することを含んでもよい。
【0119】
(付記31)
医用画像データセットは、色ボリュームを表してもよい。
【0120】
(付記32)
前記近似値は、少なくとも部分的に色の近似性に基づき決定されてもよい。
【0121】
(付記33)
前記色の近似性は、少なくとも部分的に色チャネルL1、L2、最大ベクトルノルムおよび/または輝度および/または例えば、LAB色空間等の色空間内の距離に基づき決定されてもよい。
【0122】
(付記34)
補間後のセグメンテーションデータは、陰影付け直接ボリュームレンダリング、全体照明直接ボリュームレンダリング、および最大ボリューム最大値投影法(MIP)/最小値投影法(MINIP)/平均値投影法(AVIP)、MPR法/スラブMPR法、または他の強度投影法の一部であるセグメンテーション重ね合わせまたは色選択の内少なくとも一つにおいて用いられてもよい。
【0123】
(付記35)
少なくとも一つの構造は、少なくとも一つの解剖学的構造を含んでもよい、および/またはセグメンテーションデータは、マスクデータおよび/またはラベルを含んでもよい。
【0124】
(付記36)
ボリュームのピクセルまたはボクセルについて、画像データ値およびセグメンテーション値を含むまたは表す医用画像データを取得し、
前記ボリューム内でサンプリング点を特定し、
前記サンプリング点の近傍のピクセル群またはボクセル群から、前記サンプリング点の補間後の画像データ値と前記近傍のピクセル群またはボクセル群それぞれの画像データ値の間の差分と、前記サンプリング点と前記近傍のピクセル群またはボクセル群それぞれの間の距離に基づいて、前記サンプリング点に関連するピクセルまたはボクセルを選択し、
前記選択された関連するピクセルまたはボクセルの位置のセグメンテーション値に基づいて、前記サンプリング点のセグメンテーション値を決定する処理回路、
を備える医用画像処理装置。
【符号の説明】
【0125】
30 医用画像処理装置
32 演算装置
34 スキャナ
36 表示スクリーン
38 入力装置
40 データ記憶部
42 処理装置
44 補間回路
46 近似性回路
48 レンダリング回路
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11