(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023155157
(43)【公開日】2023-10-20
(54)【発明の名称】介護ロボット用制御装置及び介護ロボットシステム
(51)【国際特許分類】
B25J 9/22 20060101AFI20231013BHJP
【FI】
B25J9/22 Z
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023014502
(22)【出願日】2023-02-02
(62)【分割の表示】P 2022064661の分割
【原出願日】2022-04-08
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-09-21
(71)【出願人】
【識別番号】000139780
【氏名又は名称】株式会社イトーキ
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】大澤 幸一
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 史浩
(72)【発明者】
【氏名】榎原 邦晃
(72)【発明者】
【氏名】西本 昌悟
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707AS38
3C707BS09
3C707CS08
3C707DS02
3C707HS27
3C707JU07
3C707KS03
3C707KS04
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3C707KS23
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3C707KT02
3C707KT05
3C707KT06
3C707KW03
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3C707KX05
3C707LS15
3C707LW03
3C707LW12
3C707LW15
3C707WA16
3C707XK03
3C707XK20
3C707XK25
(57)【要約】
【課題】人に代わって被介護者の排泄処理を行うことが可能な介護ロボットシステムを提供できるようにすることを目的とする。
【解決手段】介護ロボット用制御装置30は、介護行動を行う介護ロボット20を制御する介護ロボット用制御装置30であって、行動プログラムを記憶する記憶部51と、被介護者90の状態に応じた状態変数を取得する状態変数取得部と、前記行動プログラム及び前記状態変数から前記介護ロボット20に対する行動指令を生成する指令生成部と、を備え、前記行動プログラムは、前記介護ロボット20が前記被介護者の排泄処理を行うための排泄処理プログラムを含み、前記指令生成部は、前記行動指令として前記排泄処理プログラムから前記被介護者に応じた排泄処理指令を生成し、前記状態変数は、前記排泄処理指令の調整に用いられる状態変数であって、前記被介護者の位置データ、体格及び姿勢に応じた第1状態変数を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
介護行動を行う介護ロボットを制御する介護ロボット用制御装置であって、
行動プログラムを記憶する記憶部と、
被介護者の状態に応じた状態変数を取得する状態変数取得部と、
前記行動プログラム及び前記状態変数から前記介護ロボットに対する行動指令を生成する指令生成部と、
を備え、
前記行動プログラムは、前記介護ロボットが前記被介護者の排泄処理を行うための排泄処理プログラムを含み、
前記指令生成部は、前記行動指令として前記排泄処理プログラムから前記被介護者に応じた排泄処理指令を生成し、
前記状態変数は、前記排泄処理指令の調整に用いられる状態変数であって、前記被介護者の位置データ、体格及び姿勢に応じた第1状態変数を含む、介護ロボット用制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の介護ロボット用制御装置であって、
前記排泄処理プログラムは、モデル介護行動におけるモデル介護データに基づいて前記モデル介護行動を模倣するように機械学習されたプログラムであり、
前記モデル介護データは、前記モデル介護行動の中での介護側ハンドの座標データ及びモデル被介護者の輪郭データを含む、介護ロボット用制御装置。
【請求項3】
請求項2に記載の介護ロボット用制御装置であって、
前記モデル介護データは、前記介護側ハンドに取付けられた加速度センサ及び圧力センサの少なくとも一方のデータを含む、介護ロボット用制御装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の介護ロボット用制御装置であって、
前記状態変数は、前記排泄処理指令の調整に用いられる状態変数であって、前記被介護者の性別に応じた第2状態変数を含む、介護ロボット用制御装置。
【請求項5】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の介護ロボット用制御装置であって、
前記状態変数は、前記排泄処理指令の調整に用いられる状態変数であって、前記介護ロボットの前記排泄処理行動時における前記被介護者の感情に応じた第3状態変数を含む、介護ロボット用制御装置。
【請求項6】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の介護ロボット用制御装置であって、
前記被介護者に対する前記介護ロボットの前記排泄処理行動時における前記状態変数取得部が取得した前記状態変数に基づいてアップデートした前記排泄処理プログラムを出力する追加学習部をさらに備える、介護ロボット用制御装置。
【請求項7】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の介護ロボット用制御装置と、
前記介護ロボット用制御装置によって制御された介護行動を行う介護ロボットと、
を備える、介護ロボットシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、介護ロボット用制御装置及び介護ロボットシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、大部屋を準個室化するための収納・仕切り兼備式家具装置及び医療・介護施設を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
介護行動の一つに排泄処理がある。排泄処理は、介護者及び被介護者にとって、重労働かつデリケートな介護である。
【0005】
そこで本開示は、人に代わって被介護者の排泄処理を行うことが可能な介護ロボットシステムを提供できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、介護ロボット用制御装置は、介護行動を行う介護ロボットを制御する介護ロボット用制御装置であって、行動プログラムを記憶する記憶部と、被介護者の状態に応じた状態変数を取得する状態変数取得部と、前記行動プログラム及び前記状態変数から前記介護ロボットに対する行動指令を生成する指令生成部と、備え、前記行動プログラムは、前記介護ロボットが前記被介護者の排泄処理を行うための排泄処理プログラムを含み、前記指令生成部は、前記行動指令として前記排泄処理プログラムから前記被介護者に応じた排泄処理指令を生成し、前記状態変数は、前記排泄処理指令の調整に用いられる状態変数であって、前記被介護者の位置データ、体格及び姿勢に応じた第1状態変数を含む。
【発明の効果】
【0007】
この介護ロボット用制御装置が介護ロボットを制御することによって、人に代わって被介護者の排泄処理を行うことが可能な介護ロボットシステムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態1に係る介護ロボットシステムを示す概略斜視図である。
【
図2】実施形態1に係る介護ロボットシステムを示す機能ブロック図である。
【
図4】介護ロボット用制御装置が行う処理のフローチャートである。
【
図5】介護ロボットシステムがテープを外す様子を示す概略斜視図である。
【
図6】第3状態変数に係る介護ロボット用制御装置が行う処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態に係る介護ロボット用制御装置及び介護ロボットシステムについて説明する。
図1は、実施形態1に係る介護ロボットシステム10を示す概略斜視図である。
図2は、実施形態1に係る介護ロボットシステム10を示す機能ブロック図である。
【0010】
介護ロボットシステム10は、介護ロボット20と介護ロボット用制御装置30とを備える。介護ロボット20は、介護ロボット用制御装置30によって制御されて介護行動を行う。介護ロボット20は、人との協働ロボットである。
【0011】
介護ロボット20は、例えば、病院又は介護施設などに配置されてもよい。この場合、被介護者90は、病院の入院患者又は介護施設の入居者などが想定される。介護ロボット20は、被介護者90などの要請によって、被介護者90のもとに移動して、介護行動を行ってもよい。また、介護ロボット20が病室又は居室などを巡回して、複数の被介護者90に対して順に介護行動を行ってもよい。
【0012】
介護ロボット20は、少なくとも1つのアーム21を備える。介護ロボット20は、好ましくは、複数のアーム21を備える。
図1に示す例では、介護ロボット20は、2つのアーム21を備える。アーム21は、公知の多関節ロボットなどを採用することができる。
【0013】
アーム21の先端には、ハンド22などのエンドエフェクタが取付けられる。エンドエフェクタは介護行動に必要な動作を行うことができるように構成される。ここでは介護行動として少なくとも排泄処理が想定される。この場合、エンドエフェクタは排泄処理に必要な動作に応じて構成される。例えば、エンドエフェクタは、被介護者90の着衣91又はおむつ92(
図5参照)などを着脱するために、着衣91又はおむつ92などを把持可能なハンド22を有しているとよい。また例えば、エンドエフェクタは、被介護者90の姿勢変更時に被介護者90を押したり抱いたりするために被介護者90に触れる部分が柔軟に形成された柔軟部を有していると良い。また例えば、エンドエフェクタは、洗浄液を噴出する装置、清拭用の布を保持する装置などを有していてもよい。
【0014】
アーム21はベース23に取付けられる。介護ロボット20が被介護者90と離れた位置から被介護者90のもとに移動して、介護行動を行う場合、介護ロボット20は移動機構を備える。当該移動機構は、例えばベース23に設けられている。例えば、移動機構が無人走行車であり、介護ロボット20が自律走行可能であってもよい。また例えば、移動機構が台車であり、補助介護者などが台車を操作して介護ロボット20を移動させてもよい。介護ロボット20が介護ロボット20と離れた位置から介護ロボット20のもとに移動してきた被介護者90に対して介護行動を行う場合、介護ロボット20は、移動機構を備えていなくてもよい。
【0015】
介護ロボット20には、被介護者90に対してこれから行う工程を通知するための通知部24が設けられてもよい。通知部24は、文字又は画像などを表示する表示部であってもよいし、音声を発するための発音部であってもよい。
【0016】
また、介護ロボット20には、被介護者90又はベッド95などに取付けられた被介護者90のIDを読み取るための読取部25が設けられていてもよい。IDは二次元コード又は三次元コードなどであってもよいし、RFIDなどであってもよい。被介護者90のIDには、被介護者90の性別、身体的特徴などが記録されていてもよい。また、被介護者90の識別に関して、ID読取のほかに、顔認証、虹彩認証、指紋認証又は静脈認証などの各種生体認証による認識であってもよく、読取部25はこれらの生体認証用の読取部であってもよい。
【0017】
介護ロボット用制御装置30は、少なくとも1つのセンサ31とコントローラ50とを備える。ここでは介護ロボット用制御装置30は、データを入力するための入力部60などを含む。
【0018】
センサ31は、介護ロボット20の周囲環境、介護ロボット20の動作などを検出する。ここでは、センサ31は、周囲環境検出用センサ32、及び、ロボット動作検出用センサ40を含む。
【0019】
周囲環境検出用センサ32は、介護ロボット20の周囲環境を検出する。被介護者90も周囲環境に含まれる。周囲環境検出用センサ32は、周囲環境の画像データを取得するためのカメラ33を含む。
【0020】
カメラ33は、被介護者90を含む周囲環境を撮像する。例えば、カメラ33は、アーム21とは別に設けられたカメラ33Aと、アーム21に設けられてアーム21と共に移動するカメラ33Bとを含んでもよい。カメラ33Aは、例えばベース23に設けられ、定点から被介護者90を含む周囲環境を撮像する。カメラ33Aは、例えば、被介護者90を俯瞰的に撮像してもよい。カメラ33Aは、例えば、被介護者90の表情を撮像してもよい。カメラ33Bは、例えば、ハンド22の手元を撮像してもよい。カメラ33としてステレオカメラが用いられることによって、カメラ33が距離センサとしての機能を備えていてもよい。
【0021】
このほか、周囲環境検出用センサ32は、音声データを取得するためのマイク34、おむつ92の湿度を取得するための湿度センサ35、被介護者90の脈拍を取得するための脈拍センサ36などを含んでもよい。
【0022】
ロボット動作検出用センサ40は、介護ロボット20の動作を検出する。ロボット動作検出用センサ40は、例えば、ハンド22の受ける力を検出する圧力センサ41、アーム21の加速度を検出する加速度センサ42、及び、アーム21における関節の回転角度を検出する角度センサ43などを含む。
【0023】
コントローラ50は、介護ロボット20の動作を制御する。コントローラ50は、例えば、ROM、RAM、HDD等の記憶部51と、CPUなどのプロセッサ52と、通信部53を備えている。記憶部51に記憶されたプログラム51aをプロセッサ52が読み出して実行することで、コントローラ50は様々な手段として機能することができる。係る手段は、例えば、介護ロボット20に対する指令を生成する手段、当該指令に用いられる状態変数を取得する手段などが想定される。コントローラ50は、係る手段を行う部分として指令生成部と状態変数取得部とを備えているとみなすことができる。
【0024】
コントローラ50のすべては、介護ロボット20に設けられていてもよいし、設けられていなくてもよい。例えば、ベース23に通信部53が設けられ、当該通信部53を介して接続される上位コントローラに指令生成部が設けられてもよい。1つの上位コントローラが複数の介護ロボット20を制御してもよい。
【0025】
記憶部51に記憶されるプログラム51aは、介護ロボット20の動作を制御する行動プログラムを含む。行動プログラムは、介護ロボット20が被介護者90の排泄処理を行うための排泄処理プログラムを含む。行動プログラムは、機械学習済みのものでも、機械学習されていないものであってもよい。機械学習済みのものの場合、機械学習の手法は如何なる手法であってもよい。また、行動プログラムは、介護ロボット20による実際の介護行動時の動作に基づいた追加学習によってアップデートされてもよいし、当該追加学習によるアップデートがされないものであってもよい。
【0026】
状態変数取得部は、被介護者90の状態に応じた状態変数を取得する。状態変数は、行動指令の調整に用いられる。ここでは状態変数は、第1状態変数、第2状態変数及び第3状態変数を含む。第1状態変数、第2状態変数及び第3状態変数は、排泄処理指令の調整に用いられる。状態変数は、センサの出力そのものであってもよいし、センサの出力を解析して得られたものであってもよい。状態変数取得部は、センサの出力を得たり、センサの出力を得て解析したりする。
【0027】
第1状態変数は、被介護者90の位置データ、体格及び姿勢に応じた状態変数である。位置データは、例えば、介護ロボット20及びベッド95のそれぞれに対する被介護者90の特定部位の位置データである。特定部位は、例えば、顔、手、足先などである。位置データは、取得されたカメラ33の画像を画像解析することによって取得されてもよい。この場合、状態変数取得部は、カメラ33の画像から位置データを割り出すための画像解析部を含む。体格及び姿勢は、カメラ33の画像から割り出されてもよいし、位置データから割り出されてもよい。体格は、位置データ及び姿勢と比べて、変化が少ない変数である。体格は、入力部60からの入力又はIDの読取によって得られてもよい。また、特定の被介護者90に対する2回目以降の排泄処理の場合、体格は、過去の履歴データ51bから取得されてもよい。
【0028】
第2状態変数は、被介護者90の性別に応じた状態変数である。性別は、取得されたカメラ33の画像を画像解析することによって取得されてもよい。性別は、入力部60からの入力又はIDの読取によって得られてもよい。また、特定の被介護者90に対する2回目以降の排泄処理の場合、性別は、過去の履歴データ51bから取得されてもよい。
【0029】
第3状態変数は、介護ロボット20の排泄処理行動時における被介護者90の感情に応じた状態変数である。被介護者90の感情は、被介護者90の表情、発する音声、又は、脈拍の変化などの指標値から解析されて求められる。この場合、状態変数取得部は、感情の指標値から感情データを割り出すための感情解析部を含む。被介護者90の表情、発する音声、又は、脈拍の変化などの指標値は、感情指標値検出用センサによって検出される。感情指標値検出用センサは、例えば、被介護者90の表情を撮影するカメラ33、被介護者90の発する音声を取り込むマイク34、被介護者90の脈拍を測定する脈拍センサ36などを含む。感情解析部は、感情指標値検出用センサが検出した指標値を用いて公知の感情解析プログラムなどによって構成される。
【0030】
感情は、1つの指標値から求められてもよいし、複数の指標値から求められてもよい。感情が複数の指標値から求められる場合、複数の指標値それぞれの重みが均等であってもよいし、複数の指標値それぞれの重みに軽重が付けられてもよい。
【0031】
指令生成部は、行動プログラムから介護ロボット20に対する行動指令を生成する。指令生成部は、行動指令として排泄処理プログラム及び状態変数取得部が取得した状態変数に基づいて被介護者90に応じた排泄処理指令を生成する。
【0032】
<排泄処理の流れについて>
排泄処理の流れについて説明する。
図3は、排泄処理を示すフローチャートである。
図3に示す排泄処理は、テープ93式のおむつ92を装着する寝たきりの被介護者90に対して、人が当該おむつ92の交換を行う場合を想定している。例えば、
図3に示す排泄処理を、そのまま介護ロボット20に行わせてもよい。介護ロボット20の行う排泄処理として適した処理となるように、
図3に示す排泄処理の一部が改良されてもよい。
【0033】
まず、ステップS1において、前処理を行う。例えば、前処理は、被介護者90の状態を排泄処理に適した状態にする処理、おむつ92の交換が必要かどうか判断する処理、及び、新しいおむつ92をセットしやすい状態にする処理などが想定される。
【0034】
排泄処理に適した被介護者90の状態は、例えば、被介護者90に掛かっていた掛布団が取られ、被介護者90の体位が仰臥位であり、被介護者90の手が胸の前にあり、被介護者90の着衣91がずらされたり脱がされたりして、被介護者90のおむつ92が露出する状態である。被介護者90の状態が、排泄処理に適した状態かどうか判断して、排泄処理に適した状態にない場合は、排泄処理に適した状態にする。
【0035】
おむつ92交換が必要かどうかの判断は、例えば、おむつ92が排泄の有無に応じて色が変わるタイプのおむつ92である場合に、色の変化を検知することによって行われる。また、おむつ92に触って湿り具合を検知することによって行われてもよい。なお、被介護者90などからおむつ92の交換の要請があっておむつ92の交換を行う場合などにおいて、おむつ92の交換が必要かどうかの判断は省略されてもよい。
【0036】
新しいおむつ92をセットしやすい状態にする処理は、畳まれた状態の新しいおむつ92をセットしやすいように広げたり、新しいおむつ92に必要に応じて尿取りパッドなどを取り付けたりする処理である。
【0037】
次ステップS2において、被介護者90が装着しているおむつ92のテープ93を外すと共におむつ92の前側部分を開く。そして、陰部の洗浄を行う。このとき、大便があるかどうかを確認し、大便の有無によって以降の処理を変える。
【0038】
次ステップS3において、被介護者90の姿勢を、仰臥位から側臥位に変更する。このとき、被介護者90の特定の部位を押したり抱いたりして、被介護者90の姿勢を、仰臥位から側臥位に変更する。
【0039】
次ステップS4において、古いおむつ92をベッド95上から取り除き、処分する。また、被介護者90を清拭する。また、新しいおむつ92をベッド95上において被介護者90に対して所定の位置にセットする。被介護者90に対する所定の位置は、仰臥位に戻したときにおむつ92の幅方向のセンターが被介護者90のセンターと合う位置である。また、おむつ92の上端が被介護者90に対して下腹部あたりにある位置である。
【0040】
次ステップS5において、被介護者90の姿勢を、側臥位から仰臥位に変更する。このとき、被介護者90の特定の部位を押したり抱いたりして、被介護者90の姿勢を、側臥位から仰臥位に変更する。
【0041】
次ステップS6において、新しいおむつ92を閉じて被介護者90に位置合わせする。このとき、おむつ92が鼠径部に沿うようにして、隙間が生じないようにする。またおむつ92のギャザー部分を整える。そして、おむつ92のテープ93を留める。
【0042】
次ステップS7において、後処理をする。例えば、後処理は、被介護者90の着衣91を整える処理、掛布団を掛ける処理などが想定される。
【0043】
ステップS1の一部又は全部は、人が行ってもよいし、介護ロボット20が行ってもよい。ステップS7の一部又は全部は、人が行ってもよいし、介護ロボット20が行ってもよい。介護ロボット20は、少なくともステップS2においておむつ92を開くところからステップS6においておむつ92を閉じるところまでの陰部の露出が伴う工程を行うことが好ましい。介護ロボット20はステップS1からステップS7までのすべてを行ってもよい。
【0044】
<介護ロボット用制御装置30の処理のフローチャートについて>
図4は、介護ロボット用制御装置30が行う処理のフローチャートである。介護ロボット用制御装置30は、例えば、ステップS1からステップS7の各ステップの中の各動作を複数の小さい工程に細分化して、当該複数の小さい工程ごとに
図4の処理を行う。具体的には、例えば、ステップS2において、おむつ92を開く動作を行う際、ハンド22にテープ93を外させる工程、ハンド22におむつ92の前側部分を把持させつつ移動させる工程、及び陰部を洗浄する工程などに細分化する。そして、各工程において、
図4に示すように、必要な状態変数を取得し、処理指令を生成し、実行し、完了したかどうかを判定する。
【0045】
当該処理について、ハンド22にテープ93を外させる工程を例にとり、より具体的に説明する。
図5は、介護ロボットシステム10がテープ93を外す様子を示す図である。
【0046】
まず、ステップS11として、上記第1状態変数に加えて、おむつ92のテープ93の位置及び向きを状態変数として取得する。当該おむつ92のテープ93の位置及び向きは、カメラ33の画像に基づいて取得されてもよい。
【0047】
次ステップS12として、処理指令を生成する。ここでは、処理指令は、テープ93を把持するときのハンド22の移動先の位置及び向き、テープ93を把持したハンド22の移動先の位置、ハンド22の開閉モータのタイミング等を含む。テープ93を把持するときのハンド22の移動先の位置及び向きは、ステップS11で取得したおむつ92のテープ93の位置及び向きに応じて求められる。また、テープ93を把持したハンド22の移動先の位置は、例えば、被介護者90の側方位置であって、背中側に近い位置であり、上記第1状態変数から求められる。また、このとき、ハンド22の現在の位置から、ハンド22の移動先の位置までハンド22を移動させる際に介護ロボット20が被介護者90に接触するかどうかを第1状態変数に基づいて判定し、接触することが予想される場合は、介護ロボット20が被介護者90に接触することを抑制するように経路を調整する。
【0048】
次ステップS13として、ステップS12で生成した処理指令を介護ロボット20に出力して、処理指令を実行する。
【0049】
次ステップS14として、テープ93が外れたかどうかを判定する。当該判定は、例えば、カメラ33の画像に基づいて判定されてもよい。テープ93が外れていれば、ハンド22にテープ93を外させる工程が完了したと判定し、次の工程に進む。テープ93が外れていない場合、ステップS11に戻り、ハンド22にテープ93を外させる工程をやり直す。
【0050】
その他の工程についても、ステップS11からステップS14に応じた処理を繰り返すことによって、介護ロボット用制御装置30が介護ロボット20を制御して、介護ロボット20に被介護者90のおむつ92交換を行わせることができる。
【0051】
なお、上記第1状態変数は、ハンド22の移動位置、移動経路の調整のほか、例えば、姿勢変更時に被介護者90を押す力、おむつ92のセット位置などの調整に用いられてもよい。また、上記第2状態変数は、例えば、尿漏れパッドの取付位置、陰部の洗浄方法、清拭方法などの調整に用いられてもよい。
【0052】
<第3状態変数に係る介護ロボット用制御装置の処理のフローチャートについて>
図6は、第3状態変数に係る介護ロボット用制御装置30が行う処理のフローチャートである。
【0053】
まず、ステップS21において、第3状態変数としての被介護者90の感情を取得する。
【0054】
次ステップS22において、被介護者90の感情が悪感情かどうかを判定する。悪感情と判定されればステップS23に進み、悪感情でないと判定されればステップS24に進む。
【0055】
悪感情であると判定されてステップS23に進んだ場合、ステップS23において、処理指令の中断及び見直しの少なくとも一方を行う。中断の場合は、例えば、所定時間、介護ロボット20の駆動を停止させる。見直しの場合は、例えば、処理指令を調整して介護ロボット20の動作に係る速度及び加速度などを緩めたりさせる。ステップS23が完了したら、ステップS21に戻る。
【0056】
悪感情でないと判定されてステップS24に進んだ場合、処理指令を続行して、ステップS25に進む。
【0057】
次ステップS25において、処理が完了したかどうかを判定し、処理が完了していれば、次の工程に進む。処理が完了していなければ、ステップS21に戻る。
【0058】
このように、処理が完了するまで、被介護者90の感情の取得、悪感情かどうかの判定を繰り返し行うことによって、被介護者90の感情に寄り添った介護を提供することができる。
【0059】
<模倣学習について>
排泄処理プログラムは、モデル介護行動におけるモデル介護データに基づいてモデル介護行動を模倣するように事前に機械学習されたプログラムであってもよい。
図7は、模倣学習に係る機能ブロック図である。
【0060】
モデル介護行動は、介護者である人がモデル被介護者に直接行うものでよい。モデル介護行動は、人が介護ロボット20を操作してモデル被介護者に行うものでもよい。モデル介護行動は、上記第1状態変数が互いに異なるモデル被介護者に対して行われてもよい。モデル介護行動の模倣学習は、模倣学習装置70によって行われる。模倣学習装置70は、模倣学習部71と、カメラ75と、介護側ハンドに設けられるセンサ76、77、78とを備える。
【0061】
模倣学習部71は、例えば、ROM、RAM、HDD等の記憶部72と、CPUなどのプロセッサ73と通信部74とを備えている。記憶部72に記憶されたプログラムをプロセッサ73が読み出して実行することで、模倣学習部71は様々な手段として機能することができる。ここでは、模倣学習部71はコントローラ50とは別に設けられ、通信部74を介してコントローラ50と通信可能である。模倣学習部71によって、排泄処理プログラムが通信部74を介してコントローラ50に送られる。模倣学習部71はコントローラ50に設けられていてもよい。
【0062】
センサ76、77、78は、位置センサ76、圧力センサ77、加速度センサ78などを含む。介護者である人がモデル被介護者に直接モデル介護行動を行う場合、介護側ハンドは介護者の手となる。この場合、各センサ76、77、78は、介護者に取付けられる。人が介護ロボット20を操作してモデル被介護者にモデル介護行動を行う場合、介護側ハンドは介護ロボット20のハンド22となる。この場合、各センサ76、77、78は、介護ロボット20に取付けられる。
【0063】
モデル介護データは、モデル介護行動の中でのモデル被介護者の輪郭データを含む。当該輪郭データは、例えば、モデル被介護者をカメラ75で撮影した画像を解析することによって得られる。
【0064】
また、モデル介護データは、モデル介護行動の中での介護側ハンドの座標データを含む。当該座標データは、モデル被介護者との相対座標のデータである。当該座標データは、位置センサ76の出力及びモデル被介護者の輪郭データなどから得られる。また、モデル介護データは、加速度センサ78及び圧力センサ77の少なくとも一方のデータを含む。
【0065】
模倣学習部71は、各工程において、モデル介護データに基づいて、モデル介護行動を模倣する。プロセッサ73は、モデル介護データに基づいて、モデル介護行動を模倣するためのパラメータを演算する。具体的には、例えば、上記テープ93を外す工程において、輪郭データ及び座標データなどに基づいて、テープ93を把持する際のハンド22の位置及び向き、テープ93を把持したハンド22の移動先の位置及びそこまでの経路を得る。また、加速度センサ78のデータに基づいて、ハンド22の移動速度を得る。また、圧力センサ77のデータに基づいて、ハンド22の把持力又は押圧力を得る。
【0066】
ここで、機械学習は、通常、教師あり学習、教師なし学習、及び強化学習の3つに大別される。また、ディープラーニングなどのニューラルネットワークを用いる機械学習であってもよいし、ディープラーニングなどのニューラルネットワークを用いない機械学習であってもよい。機械学習のアルゴリズムとして、線形回帰、ロジスティック回帰、決定木、ランダムフォレスト、K近傍法(KNN)、K平均法(k-means)、サポートベクターマシン(SVM)、サポートベクター回帰(SVR)、ナイーブベイズ、CNN、RNN、GANなどであってもよい。モデル介護行動を模倣する機械学習は、教師あり学習、教師なし学習、及び強化学習のうちいずれであってもよい。また、各工程において、教師あり学習、教師なし学習、及び強化学習のうち異なる学習がされてもよい。模倣学習の手法として、特に限定されるものではなく、例えば、行動クローン、専門家データ融合、又は逆強化学習などであってもよい。
【0067】
<追加学習について>
排泄処理プログラムは、介護ロボット20による被介護者90への排泄処理に基づいて追加学習されてアップデートされてもよい。
図8は、追加学習を行う場合の介護ロボット用制御装置30を示す機能ブロック図である。
【0068】
介護ロボット用制御装置30は、追加学習部80を備える。追加学習部80は、被介護者90に対する介護ロボット20の排泄処理行動時における状態変数取得部が取得した状態変数に基づいてアップデートした排泄処理プログラムを出力する。追加学習部80は、例えば、ROM、RAM、HDD等の記憶部81と、CPUなどのプロセッサ82と、通信部83とを備えている。記憶部81に記憶されたプログラム81aをプロセッサ82が読み出して実行することで、追加学習部80は様々な手段として機能することができる。ここでは、追加学習部80はコントローラ50とは別に設けられ、通信部83を介してコントローラ50と通信可能である。追加学習部80は、コントローラ50に設けられてもよい。
【0069】
コントローラ50は、介護ロボット20による被介護者90への排泄処理時の収集データ51cと動作データ51dとを関連付けた追加学習用データ81bを追加学習部80に送る。収集データ51cは、センサ31の出力から直接的に得られた状態変数、又は、センサ31の出力から解析されて得られた状態変数などである。動作データ51dは、介護ロボット20の動作データである。追加学習部80は、追加学習用データ81bに基づいて、少なくとも1つの工程について追加学習を行い、排泄処理プログラムを更新する。更新された排泄処理プログラムが通信部83を介してコントローラ50に送られる。係る追加学習は、強化学習である。追加学習のアルゴリズムとしては、特に限定されるものではなく、上記アルゴリズムなどを用いることができる。
【0070】
この際、追加学習部80は、追加学習として、第3状態変数、つまり、被介護者90の感情を報酬とする強化学習を行い、排泄処理プログラムを更新してもよい。この場合、追加学習部80は、例えば、被介護者90の悪感情を少なくし、良感情を多くするように排泄処理プログラムを最適化してもよい。
【0071】
<効果等>
このように構成された介護ロボット用制御装置30によると、被介護者90の位置データ、体格及び姿勢に応じた第1状態変数を用いて排泄処理プログラムから被介護者90に応じた排泄処理指令を生成するため、介護ロボット20に、被介護者90の体格及び姿勢に合わせた排泄処理を行わせることができる。これにより、排泄処理という重労働かつデリケートな介護行動を人の代わりに介護ロボット20が行うことが可能となる。
【0072】
また、第1状態変数に加えて、被介護者90の性別データに応じた第2状態変数を用いて排泄処理プログラムから被介護者90に応じた排泄処理指令を生成する。これにより、介護ロボットシステム10が被介護者90の性別に応じて、より適した介護を提供できる。
【0073】
また、第1状態変数に加えて、介護ロボット20の排泄処理行動時における被介護者90の感情に応じた第3状態変数を用いて排泄処理プログラムから被介護者90に応じた排泄処理指令を生成する。これにより、介護ロボットシステム10が被介護者90の感情に応じて、より適した介護を提供できる。
【0074】
また、排泄処理プログラムがモデル介護行動におけるモデル介護データに基づいてモデル介護行動を模倣するように機械学習されたプログラムであり、モデル介護データがモデル介護行動の中での介護側ハンドの座標データ及びモデル被介護者の輪郭データを含んでいてもよい。この場合、排泄処理プログラムの精度が高まる。
【0075】
また、介護側ハンドに取付けられた加速度センサ78及び圧力センサ77の少なくとも一方のデータがモデル介護データとして用いられると、これにより、介護ロボット20における力加減の精度が高まる。
【0076】
また、被介護者90に対する介護ロボット20の排泄処理行動時における状態変数取得部が取得した状態変数に基づいてアップデートした排泄処理プログラムを出力する追加学習部80をさらに備えていると、介護ロボット20による排泄処理行動が繰り返されるにつれて、排泄処理プログラムの精度がより高まる。
【0077】
<付記>
これまで、介護ロボットシステム10が介護行動として排泄処理を行う例が説明されたが、介護ロボットシステム10は、排泄処理以外の介護行動を行ってもよい。例えば、介護ロボットシステムは、被介護者90を入浴させてもよい。また、排泄処理として、テープ93式のおむつ92の交換の例が説明されたが、介護ロボットシステム10は、テープ93式のおむつ92の交換以外の排泄処理を行ってもよい。例えば、介護ロボットシステムは、パンツ式のおむつの交換を行ってもよい。また例えば、介護ロボットシステムは、バキュームを陰部にセットする排泄処理を行ってもよい。
【0078】
なお、上記実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わせることができる。
【0079】
本明細書及び図面は、下記の各態様を開示する。
【0080】
第1の態様は、介護行動を行う介護ロボットを制御する介護ロボット用制御装置であって、行動プログラムを記憶する記憶部と、被介護者の状態に応じた状態変数を取得する状態変数取得部と、前記行動プログラム及び前記状態変数から前記介護ロボットに対する行動指令を生成する指令生成部と、を備え、前記行動プログラムは、前記介護ロボットが前記被介護者の排泄処理を行うための排泄処理プログラムを含み、前記指令生成部は、前記行動指令として前記排泄処理プログラムから前記被介護者に応じた排泄処理指令を生成し、前記状態変数は、前記排泄処理指令の調整に用いられる状態変数であって、前記被介護者の位置データ、体格及び姿勢に応じた第1状態変数を含む、介護ロボット用制御装置である。
【0081】
この介護ロボット用制御装置によると、介護ロボットに、被介護者の体格及び姿勢に合わせた排泄処理を行わせることができる。これにより、排泄処理というデリケートな介護行動を人の代わりに介護ロボットシステムが行うことを可能にする。
【0082】
第2の態様は、第1の態様に係る介護ロボット用制御装置であって、前記排泄処理プログラムは、モデル介護行動におけるモデル介護データに基づいて前記モデル介護行動を模倣するように機械学習されたプログラムであり、前記モデル介護データは、前記モデル介護行動の中での介護側ハンドの座標データ及びモデル被介護者の輪郭データを含む。これにより、排泄処理プログラムの精度が高まる。
【0083】
第3の態様は、第2の態様に係る介護ロボット用制御装置であって、前記モデル介護データは、前記介護側ハンドに取付けられた加速度センサ及び圧力センサの少なくとも一方のデータを含む。これにより、介護ロボットにおける力加減の精度が高まる。
【0084】
第4の態様は、第1から第3のいずれか1つの態様に係る介護ロボット用制御装置であって、前記状態変数は、前記排泄処理指令の調整に用いられる状態変数であって、前記被介護者の性別に応じた第2状態変数を含む。これにより、介護ロボットシステムが被介護者の性別に応じて、より適した介護を提供できる。
【0085】
第5の態様は、第1から第4のいずれか1つの態様に係る介護ロボット用制御装置であって、前記状態変数は、前記排泄処理指令の調整に用いられる状態変数であって、前記介護ロボットの前記排泄処理行動時における前記被介護者の感情に応じた第3状態変数を含む。これにより、介護ロボットシステムが被介護者の感情に応じて、より適した介護を提供できる。
【0086】
第6の態様は、第1から第5のいずれか1つの態様に係る介護ロボット用制御装置であって、前記被介護者に対する前記介護ロボットの前記排泄処理行動時における前記状態変数取得部が取得した前記状態変数に基づいてアップデートした前記排泄処理プログラムを出力する追加学習部をさらに備える。これにより、介護ロボットによる排泄処理行動が繰り返されるにつれて、排泄処理プログラムの精度がより高まる。
【0087】
第7の態様は、第1から第6のいずれか1つの態様に係る介護ロボット用制御装置と、前記介護ロボット用制御装置によって制御された介護行動を行う介護ロボットと、を備える、介護ロボットシステムである。
【0088】
この介護ロボットシステムによると、介護ロボットは、上記介護ロボット用制御装置によって制御されることによって、被介護者の体格及び姿勢に合わせた排泄処理を行わせることができる。これにより、排泄処理というデリケートな介護行動を人の代わりに介護ロボットシステムが行うことを可能にする。
【0089】
上記した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
【符号の説明】
【0090】
10 介護ロボットシステム
20 介護ロボット
21 アーム
22 ハンド
30 介護ロボット用制御装置
31 センサ
32 周囲環境検出用センサ
33、33A、33B カメラ
34 マイク
35 湿度センサ
36 脈拍センサ
40 ロボット動作検出用センサ
41 圧力センサ
42 加速度センサ
43 角度センサ
50 コントローラ
51 記憶部
51a プログラム
52 プロセッサ
53 通信部
70 模倣学習装置
75 カメラ
76 位置センサ
77 圧力センサ
78 加速度センサ
80 追加学習部
90 被介護者
91 着衣
92 おむつ
93 テープ
【手続補正書】
【提出日】2023-02-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
介護行動を行う介護ロボットを制御する介護ロボット用制御装置であって、
行動プログラムを記憶する記憶部と、
被介護者の状態に応じた状態変数を取得する状態変数取得部と、
前記行動プログラム及び前記状態変数から前記介護ロボットに対する行動指令を生成する指令生成部と、
を備え、
前記行動プログラムは、前記介護ロボットが前記被介護者のおむつ交換のための処理である排泄処理を行うための排泄処理プログラムを含み、
前記指令生成部は、前記行動指令として前記排泄処理プログラムから前記被介護者に応じた排泄処理指令を生成し、
前記状態変数は、前記排泄処理指令の調整に用いられる状態変数であって、前記被介護者の位置データ、体格及び姿勢に応じた第1状態変数と、前記被介護者の性別に応じた第2状態変数と、を含み、
前記第2状態変数は、尿漏れパッドの取付位置、陰部の洗浄方法、または陰部の清拭方法にかかる前記排泄処理指令の調整に用いられる、介護ロボット用制御装置。
【請求項2】
介護行動を行う介護ロボットを制御する介護ロボット用制御装置であって、
行動プログラムを記憶する記憶部と、
被介護者の状態に応じた状態変数を取得する状態変数取得部と、
前記行動プログラム及び前記状態変数から前記介護ロボットに対する行動指令を生成する指令生成部と、
を備え、
前記行動プログラムは、前記介護ロボットが前記被介護者のおむつ交換のための処理である排泄処理を行うための排泄処理プログラムを含み、
前記指令生成部は、前記行動指令として前記排泄処理プログラムから前記被介護者に応じた排泄処理指令を生成し、
前記状態変数は、前記排泄処理指令の調整に用いられる状態変数であって、前記被介護者の位置データ、体格及び姿勢に応じた第1状態変数を含み、
前記被介護者の体格に応じた前記第1状態変数は、前記被介護者のID情報を識別する読取部によって読み取られたID情報に基づき設定される、介護ロボット用制御装置。
【請求項3】
介護行動を行う介護ロボットを制御する介護ロボット用制御装置であって、
行動プログラムを記憶する記憶部と、
被介護者の状態に応じた状態変数を取得する状態変数取得部と、
前記行動プログラム及び前記状態変数から前記介護ロボットに対する行動指令を生成する指令生成部と、
を備え、
前記行動プログラムは、前記介護ロボットが前記被介護者のおむつ交換のための処理である排泄処理を行うための排泄処理プログラムを含み、
前記指令生成部は、前記行動指令として前記排泄処理プログラムから前記被介護者に応じた排泄処理指令を生成し、
前記状態変数は、前記排泄処理指令の調整に用いられる状態変数であって、前記被介護者の位置データ、体格及び姿勢に応じた第1状態変数を含み、
前記おむつの色の変化または湿り具合の検知結果に基づいて前記排泄処理が必要かどうかを判断し、前記排泄処理が必要と判断した場合に前記排泄処理指令を生成する、介護ロボット用制御装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の介護ロボット用制御装置であって、
前記排泄処理プログラムは、モデル介護行動におけるモデル介護データに基づいて前記モデル介護行動を模倣するように機械学習されたプログラムであり、
前記モデル介護データは、前記モデル介護行動の中での介護側ハンドの座標データ及びモデル被介護者の輪郭データを含む、介護ロボット用制御装置。
【請求項5】
請求項4に記載の介護ロボット用制御装置であって、
前記モデル介護データは、前記介護側ハンドに取付けられた加速度センサ及び圧力センサの少なくとも一方のデータを含む、介護ロボット用制御装置。
【請求項6】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の介護ロボット用制御装置であって、
前記状態変数は、前記排泄処理指令の調整に用いられる状態変数であって、前記介護ロボットの前記排泄処理行動時における前記被介護者の感情に応じた第3状態変数を含む、介護ロボット用制御装置。
【請求項7】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の介護ロボット用制御装置であって、
前記被介護者に対する前記介護ロボットの前記排泄処理行動時における前記状態変数取得部が取得した前記状態変数に基づいてアップデートした前記排泄処理プログラムを出力する追加学習部をさらに備える、介護ロボット用制御装置。
【請求項8】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の介護ロボット用制御装置と、
前記介護ロボット用制御装置によって制御された介護行動を行う介護ロボットと、
を備える、介護ロボットシステム。
【手続補正書】
【提出日】2023-06-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
介護行動を行う介護ロボットを制御する介護ロボット用制御装置であって、
行動プログラムを記憶する記憶部と、
被介護者の状態に応じた状態変数を取得する状態変数取得部と、
前記行動プログラム及び前記状態変数から前記介護ロボットに対する行動指令を生成する指令生成部と、
を備え、
前記行動プログラムは、前記介護ロボットが前記被介護者のおむつ交換のための処理である排泄処理を行うための排泄処理プログラムを含み、
前記排泄処理は、おむつ交換処理と、前記おむつ交換処理のために前記おむつ交換処理の前に行われる前処理とを含み、
前記指令生成部は、前記行動指令として前記排泄処理プログラムから前記被介護者に応じた排泄処理指令を生成し、
前記状態変数は、前記排泄処理指令の調整に用いられる状態変数であって、前記被介護者の位置データ、体格及び姿勢に応じた第1状態変数と、前記被介護者の性別に応じた第2状態変数と、を含み、
前記第2状態変数は、前記前処理において尿漏れパッドをおむつへ取り付ける際の前記尿漏れパッドの取付位置にかかる前記排泄処理指令の調整に用いられる、介護ロボット用制御装置。
【請求項2】
介護行動を行う介護ロボットを制御する介護ロボット用制御装置であって、
行動プログラムを記憶する記憶部と、
被介護者の状態に応じた状態変数を取得する状態変数取得部と、
前記行動プログラム及び前記状態変数から前記介護ロボットに対する行動指令を生成する指令生成部と、
を備え、
前記行動プログラムは、前記介護ロボットが前記被介護者のおむつ交換のための処理である排泄処理を行うための排泄処理プログラムを含み、
前記排泄処理は、おむつ交換処理と、前記おむつ交換処理のために前記おむつ交換処理の前に行われる前処理とを含み、
前記指令生成部は、前記行動指令として前記排泄処理プログラムから前記被介護者に応じた排泄処理指令を生成し、
前記状態変数は、前記排泄処理指令の調整に用いられる状態変数であって、前記被介護者の位置データ、体格及び姿勢に応じた第1状態変数を含み、
前記前処理において、前記介護ロボットに前記被介護者の前記おむつを露出させると共に露出する前記おむつの色の変化または湿り具合を検知させて得られた検知結果に基づいて前記おむつ交換処理が必要かどうかを判断し、前記おむつ交換処理が必要と判断した場合に前記おむつ交換処理のための前記排泄処理指令を生成する、介護ロボット用制御装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の介護ロボット用制御装置であって、
前記排泄処理プログラムは、モデル介護行動におけるモデル介護データに基づいて前記モデル介護行動を模倣するように機械学習されたプログラムであり、
前記モデル介護データは、前記モデル介護行動の中での介護側ハンドの座標データ及びモデル被介護者の輪郭データを含む、介護ロボット用制御装置。
【請求項4】
請求項3に記載の介護ロボット用制御装置であって、
前記モデル介護データは、前記介護側ハンドに取付けられた加速度センサ及び圧力センサの少なくとも一方のデータを含む、介護ロボット用制御装置。
【請求項5】
介護行動を行う介護ロボットを制御する介護ロボット用制御装置であって、
行動プログラムを記憶する記憶部と、
被介護者の状態に応じた状態変数を取得する状態変数取得部と、
前記行動プログラム及び前記状態変数から前記介護ロボットに対する行動指令を生成する指令生成部と、
を備え、
前記行動プログラムは、前記介護ロボットが前記被介護者のおむつ交換のための処理である排泄処理を行うための排泄処理プログラムを含み、
前記指令生成部は、前記行動指令として前記排泄処理プログラムから前記被介護者に応じた排泄処理指令を生成し、
前記状態変数は、前記排泄処理指令の調整に用いられる状態変数であって、前記被介護者の位置データ、体格及び姿勢に応じた第1状態変数と、前記介護ロボットの前記排泄処理の行動時における前記被介護者の感情に応じた第3状態変数と、を含み、
取得した前記被介護者の感情が悪感情かどうかを判定し、悪感情でなければ前記排泄処理指令を進め、悪感情だった場合に前記排泄処理指令の中断及び見直しの少なくとも一方を行う、介護ロボット用制御装置。
【請求項6】
請求項5に記載の介護ロボット用制御装置であって、
前記第3状態変数としての前記被介護者の感情が悪感情だった場合に前記排泄処理指令の中断を行う、介護ロボット用制御装置。
【請求項7】
請求項5に記載の介護ロボット用制御装置であって、
前記第3状態変数としての前記被介護者の感情が悪感情だった場合に前記排泄処理指令の見直しとして、前記介護ロボットの動作に係る速度及び加速度を緩める、介護ロボット用制御装置。
【請求項8】
請求項5から請求項7のいずれか1項に記載の介護ロボット用制御装置であって、
前記第3状態変数としての前記被介護者の感情の取得及び前記感情が悪感情かどうかの判定を前記被介護者の排泄処理が完了するまで繰り返し行う、介護ロボット用制御装置。
【請求項9】
請求項5から請求項7のいずれか1項に記載の介護ロボット用制御装置であって、
前記被介護者に対する前記介護ロボットの前記排泄処理の行動時における前記状態変数取得部が取得した前記状態変数に基づいてアップデートした前記排泄処理プログラムを出力する追加学習部をさらに備え、
前記追加学習部は、前記第3状態変数を報酬とする強化学習を行い、前記被介護者の悪感情を少なくし、良感情を多くするように前記排泄処理プログラムを最適化する、介護ロボット用制御装置。
【請求項10】
請求項1から請求項2、及び、請求項5から請求項7のいずれか1項に記載の介護ロボット用制御装置と、
前記介護ロボット用制御装置によって制御された介護行動を行う介護ロボットと、
を備える、介護ロボットシステム。