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2023-155164エピタキシャルウェーハ及びその製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023155164
(43)【公開日】2023-10-20
(54)【発明の名称】エピタキシャルウェーハ及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/205 20060101AFI20231013BHJP
   C30B 29/06 20060101ALI20231013BHJP
【FI】
H01L21/205
C30B29/06 504A
【審査請求】未請求
【請求項の数】31
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023031821
(22)【出願日】2023-03-02
(31)【優先権主張番号】63/329,199
(32)【優先日】2022-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】18/103,886
(32)【優先日】2023-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】302006854
【氏名又は名称】株式会社SUMCO
(74)【代理人】
【識別番号】110000486
【氏名又は名称】弁理士法人とこしえ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】和田 直之
【テーマコード(参考)】
4G077
5F045
【Fターム(参考)】
4G077AA03
4G077AB02
4G077AB10
4G077BA04
4G077DB05
4G077EG14
4G077HA06
5F045AA03
5F045AB02
5F045AC05
5F045AC19
5F045AD15
5F045AF03
5F045AF13
5F045BB02
5F045DA67
5F045DP04
5F045DP28
5F045EK12
5F045EK13
5F045EK14
(57)【要約】      (修正有)
【課題】改善された平坦性、均一性を有するエピタキシャルウェーハ及びその製造方法を提供する。
【解決手段】一の主面を有するシリコン基板802と、一の主面に形成されたエピタキシャル層と、を含み、エピタキシャル層の厚さが0.3μm~1.0μmであり、厚さのばらつきが1%以下であるエピタキシャルウェーハの製造方法であって、エピタキシャル反応炉のサセプタ804にシリコン基板を配置し、回転速度(D)にて前記サセプタを回転させ、前記エピタキシャル反応炉に原料ガスを導入し、前記シリコン基板に所望の厚さ(B)のエピタキシャル層を成長速度(A)で成長させる。前記原料ガスは、C=B/Aを満たす成長時間(C)の間に供給され、前記回転速度(D)は、前記サセプタが、D=E/Cの関係に基づく整数の回転回数(E)で回転できる22~70rpmの範囲から選択される。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一の主面を有するシリコン基板と、
前記一の主面に形成されたエピタキシャル層と、を含み、
前記エピタキシャル層は、厚さが0.3μm~1.0μmであり、厚さのばらつきが1%以下であるエピタキシャルウェーハ。
【請求項2】
最大ESFQRが、11.3nm以下である請求項1に記載のエピタキシャルウェーハ。
【請求項3】
前記最大ESFQRは、1mm~2mmのエッジ除外領域にて決定される請求項2に記載のエピタキシャルウェーハ。
【請求項4】
前記一の主面の面取り幅が、150μm~450μmである請求項1に記載のエピタキシャルウェーハ。
【請求項5】
前記シリコン基板は、転位クラスタ及びCOP欠陥を実質的に含まない請求項1に記載のエピタキシャルウェーハ。
【請求項6】
前記シリコン基板は、最大断面幅が110nm以上のCOP欠陥を実質的に含まない請求項1に記載のエピタキシャルウェーハ。
【請求項7】
前記シリコン基板は、窒素を含む請求項6に記載のエピタキシャルウェーハ。
【請求項8】
前記シリコン基板は、Z軸に沿って成長する{110}面を形成する結晶から切り出され、
前記シリコン基板は、前記Z軸に直交するX-Y平面を形成し、
前記X-Y平面は、<100>方向のX軸と<110>方向のY軸とを含み、
前記シリコン基板は、前記Y軸に対して前記X-Y平面を回転させた傾斜角で切断される請求項1に記載のエピタキシャルウェーハ。
【請求項9】
前記傾斜角は、0.1~1.2度である請求項8に記載のエピタキシャルウェーハ。
【請求項10】
前記エピタキシャル層のヘイズレベルが、1.20ppm以下である請求項9に記載のエピタキシャルウェーハ。
【請求項11】
前記厚さのばらつきは、前記エピタキシャルウェーハの外縁から10mm以上内側の、前記エピタキシャル層の2つの対称点における厚さの差の百分率である請求項1に記載のエピタキシャルウェーハ。
【請求項12】
エピタキシャル反応炉のサセプタにシリコン基板を配置し、
回転速度(D)にて前記サセプタを回転させ、
前記エピタキシャル反応炉に原料ガスを導入し、前記シリコン基板に所望の厚さ(B)のエピタキシャル層を成長速度(A)で成長させるエピタキシャルウェーハの製造方法において、
前記原料ガスは、C=B/Aを満たす成長時間(C)の間に供給され、
前記回転速度(D)は、前記サセプタが、D=E/Cの関係に基づく整数の回転回数(E)で回転できる22~70rpmの範囲から選択されるエピタキシャルウェーハの製造方法。
【請求項13】
一の主面を有するシリコン基板と、
前記一の主面に形成されたエピタキシャル層と、を含み、
前記エピタキシャル層は、厚さが0.3μm~1.0μmであり、厚さの均一度が1%以下であるエピタキシャルウェーハ。
【請求項14】
最大ESFQRが、11.3nm以下である請求項13に記載のエピタキシャルウェーハ。
【請求項15】
前記最大ESFQRは、1mm~2mmのエッジ除外領域にて決定される請求項14に記載のエピタキシャルウェーハ。
【請求項16】
前記一の主面の面取り幅が、150μm~450μmである請求項13に記載のエピタキシャルウェーハ。
【請求項17】
前記シリコン基板は、転位クラスタ及びCOP欠陥を実質的に含まない請求項13に記載のエピタキシャルウェーハ。
【請求項18】
前記シリコン基板は、最大断面幅が110nm以上のCOP欠陥を実質的に含まない請求項13に記載のエピタキシャルウェーハ。
【請求項19】
前記シリコン基板は、窒素を含む請求項18に記載のエピタキシャルウェーハ。
【請求項20】
前記シリコン基板は、Z軸に沿って成長する{110}面を形成する結晶から切り出され、
前記シリコン基板は、前記Z軸に直交するX-Y平面を形成し、
前記X-Y平面は、<100>方向のX軸と<110>方向のY軸とを含み、
前記シリコン基板は、前記Y軸に対して前記X-Y平面を回転させた傾斜角で切断される請求項13に記載のエピタキシャルウェーハ。
【請求項21】
前記傾斜角は、0.1~1.2度である請求項20に記載のエピタキシャルウェーハ。
【請求項22】
前記エピタキシャル層のヘイズレベルが、1.20ppm以下である請求項21に記載のエピタキシャルウェーハ。
【請求項23】
前記厚さの均一度は、前記エピタキシャルウェーハの外縁から10mm以上内側の、前記エピタキシャル層の2対の対称点における厚さの差の百分率である請求項13に記載のエピタキシャルウェーハ。
【請求項24】
一の主面を有するシリコン基板と、
前記一の主面に形成されたエピタキシャル層と、を含み、
前記エピタキシャル層は、厚さが0.3μm~1.0μmであり、厚さのばらつきが1%以下であり、
前記シリコン基板は、<110>方向の第1ベクトルに対して垂直に成長した結晶から切り出され、
前記シリコン基板は、前記第1ベクトルと法線ベクトルとの間に傾斜角が形成されるように、前記法線ベクトルに直交するエピタキシャルウェーハ。
【請求項25】
前記傾斜角は、0.1~1.2度である請求項24に記載のエピタキシャルウェーハ。
【請求項26】
前記第1ベクトルは、<110>方向の第2ベクトルに直交し、
前記第2ベクトルは、前記シリコン基板の半径方向に沿う請求項24に記載のエピタキシャルウェーハ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エピタキシャルウェーハ及びエピタキシャルウェーハの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図1Aに示すように、フィン電界効果トランジスタ(finFET)は、3次元のフィン102を有し、それぞれが、3つの側面でゲート104と接続するチャネルとなる。この構造は、従来の金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)に比べ、漏れ電流を低減する効果を有する。しかし、デザインルールによって半導体デバイスの高密度化が求められるため、トランジスタのチャネル長が短くなり、フィン電界効果トランジスタの垂直フィンチャネルによって提供されるゲートとの3面コンタクトであっても、リーク電流が発生し易くなる。図1Bに示すような全周ゲート(GAA)電界効果トランジスタでは、チャネル106は、シリコンウェーハ108の表面上に積層され、ゲート110は、チャネルの4つの側面のすべてを囲む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このようなチャネル106は、シリコンウェーハ108の上に積層されるため、シリコンウェーハ108の表面112は、より改善された平坦性及び均一性を有することが求められる。
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、より改善された平坦性及び均一性を有するエピタキシャルウェーハ及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、全周ゲート電界効果トランジスタ(GAA FET)を使用するデバイスに有用な特定のエピタキシャルウェーハに関する。本発明の非常に薄いエピタキシャル層は、厚さのばらつき(厚さの変動量)が非常に小さいか又は全くない、平坦で滑らかな表面を提供する。
【0006】
本発明の第1の態様は、一の主面(上面)を有するシリコン基板と、下側にあるシリコン基板のプロセス誘起欠陥(PID)により引き起こされる表面の不規則性によって実質的に影響を受けない、前記一の主面に形成された薄いエピタキシャル層と、を含む。
【0007】
本発明の第2の態様は、エピタキシャルウェーハのエッジサイト平坦度(すなわち、最大ESFQR)を改善し、これによりエピタキシャルウェーハの表面全体の平坦度を改善することに関する。
【0008】
本発明の第3の態様は、1mm~2mmのエッジ除外領域おいて優れた最大ESFQRを含む。
【0009】
本発明の第4の態様は、面取り幅が150μm~450μmの範囲にあることを含む。
【0010】
本発明の第5の態様は、シリコン基板が転位クラスタ及びCOP欠陥を含まない。
【0011】
本発明の第6の態様は、110nm以上の最大断面幅を有するCOP欠陥を含まないシリコン基板を含む。
【0012】
本発明の第7の態様は、窒素を含有するシリコン基板を含む。
【0013】
本発明の第8の態様は、{110}面の結晶から傾斜角0.1~1.2度で切り出されたシリコン基板を含む。
【0014】
本発明の第9の態様は、エピタキシャル層のヘイズレベルが1.20ppm以下であることを含む。
【0015】
本発明の第10の態様は、厚さのばらつき及び厚さの均一度が共に1.0%以下であるエピタキシャル層を含む。
【0016】
本発明の第11の態様は、エピタキシャル反応炉内のサセプタにシリコン基板を配置し、回転速度(D)にて前記サセプタを回転させ、前記エピタキシャル反応炉に原料ガスを導入し、前記シリコン基板に所望の厚さ(B)のエピタキシャル層を成長速度(A)で成長させるエピタキシャルウェーハの製造方法において、前記原料ガスは、C=B/Aを満たす成長時間(C)で供給され、前記回転速度(D)は、前記サセプタが、D=E/Cの関係に基づく厳密な整数回転回数(E)で回転できる22~70rpmの範囲から選択されるエピタキシャルウェーハの製造方法を含む。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1A】フィンFETデバイスを示す全体図である。
図1B】GAA FETデバイスを示す全体図である。
図2A】ウェーハのESFQRを決定する方法を示す図である。
図2B】ウェーハのESFQRを決定する方法を示す図である。
図3】ミラー指数によって定義される立方晶を示す図である。
図4】エピタキシャル層の膜厚のばらつきを算出するための測定原理を示す図である。
図5】エピタキシャル層の膜厚の均一度を算出するための測定原理を示す図である。
図6A】本発明の一実施形態による傾斜角を有するシリコン基板の製造方法を示す図である。
図6B図6Aの傾斜面から切断されたシリコン基板を分離して示す図である。
図7A】<110>結晶方位(Y軸に沿う)の基準ノッチを示す図である。
図7B】<100>結晶方位(X軸に沿う)の基準ノッチを示す図である。
図8】本発明の一実施形態によるエピタキシャルウェーハの製造方法を示す図である。
図9】ウェーハの短い面取り幅と長い面取り幅の一例を示す断面図である。
図10A】本発明の実施形態による薄いエピタキシャル層を有する好ましいエピタキシャルウェーハを示す断面図である。
図10B】本発明の実施形態による薄いエピタキシャル層を有する好ましいエピタキシャルウェーハを示す断面図である。
図10C】より厚いエピタキシャル層を有する従来のエピタキシャルウェーハを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本明細書に示される詳細は、例として、本開示の例示的な特徴の例示的な議論のみを目的とし、例示的な特徴の原理および概念的側面の最も有用で容易に理解される説明であると考えられるものを示すために提示されている。この点に関し、一例の構成の構造上の詳細は、その基本的な理解に必要な範囲に留め、これ以上詳細に示すことはしていない。図面を用いた説明は、当業者に、例示的な特徴の形態が実際にどのように具現化され得るかを明らかにする。
【0019】
「約~」又は「実質的に~」という用語が、数値に関連して本明細書で使用される場合、当該関連する数値は、記載された数値の周囲±10%の公差を含むことを意図するものとする。さらに、本明細書でパーセンテージに言及する場合、それらのパーセンテージは重量に基づく、すなわち重量パーセンテージであることを意図するものとする。「最大」という表現は、ゼロから表現された上限までの量、およびその間のすべての値を含む。範囲が指定されている場合、範囲にはその間のすべての値が含まれるものとする(0.1%の増分など)。さらに、「概ね」及び「実質的に」という用語が、幾何学的形状に関連して使用される場合、幾何学的形状の正確さは要求されないが、形状の自由度は開示の範囲内であることを意図するものとする。
【0020】
図面において、層および領域の寸法は、説明を明確にするために誇張されている場合がある。図面に付した同じ参照番号は、図面の全体を通して同様の要素を指す。また、明細書全体を通して同じ参照番号は同じ構成要素を示す。「下に」や「上に」など、空間的に相対的な用語は、説明を容易にするために、ある要素又は構成と別の要素又は図に示されている構成との関係を説明するために本明細書で使用される場合がある。空間的に相対的な用語は、図に示される向きに加えて、使用中または動作中のデバイスのさまざまな向きを包含することを意図する。例えば、図中の装置をひっくり返すと、他の要素または特徴の「下」または「下」と記載された要素は、他の要素または構成の「上」となる。したがって、「下」という用語例は、上方向および下方向の両方を包含する。装置は別の方向に向けられてもよく(90度回転又は他の方向に)、本明細書で使用される空間的に相対的な記述語は、それに応じて解釈される。
【0021】
例示的な構成は、例示的な構成の理想化された構成(および中間構造)の概略図である断面図を参照して、本明細書で説明する。したがって、例えば、製造技術及び/又は許容範囲の結果としての図の形状からの変動が予想される。したがって、例示的な構成は、本明細書に示される領域の特定の形状に限定されると解釈すべきではなく、例えば製造に起因する形状の偏差を含むべきである。図に示される領域は本質的に概略的であり、それらの形状は、材料の領域の実際の形状を示すことを意図せず、例示的な構成の範囲を限定することを意図しない。
【0022】
本発明は、全周ゲート電界効果トランジスタ(GAA FET)を使用するデバイスに有用な特定のエピタキシャルウェーハに関する。本発明の非常に薄いエピタキシャル層は、厚さのバラツキ(ウェーハ内における厚さの変動)が非常に小さいか又は全くない、平坦で滑らかな表面を提供する。シリコン基板の上面に形成された薄いエピタキシャル層は、その下のシリコン基板の上面のプロセス誘起欠陥(PID)によって引き起こされる表面の不規則性によって実質的に影響を受けない。
【0023】
本発明のエピタキシャル層の好ましい厚さは、0.3μm~1.0μmの範囲である。好ましくは、本発明のエピタキシャルウェーハは、約0.5μmのエピタキシャル層の厚さを有する。
【0024】
本発明の重要な側面の1つは、ウェーハの全体的な平坦度に関連するESFQR(Edge Site Frontside least sQuares Range)を含むことにある。ESFQRは、ウェーハのエッジ付近の分析特性であり、ウェーハ全体の平坦度に影響する。これに対し、SFQR(Site Frontside least sQuares Range)は、ウェーハ表面全体に沿った平坦度を小さなセグメントで測定したものである。ESFQRは、ウェーハの周縁部に形成される扇形領域内のSFQRを測定して求めた平坦度を表す指標である。ESFQRが小さいほど平坦性が高いことを示す。ESFQR及びSFQRは、SEMI規格(M1,M67,またはM1530)に従ってウェーハの平坦度を測定するための指標である。ESFQRは、KLA-Tencor Corporation製のWAFERSIGHT2などの平坦度測定システムを使用して決定することができる。
【0025】
ウェーハのESFQRは、図2A及び図2Bに示すように決定することができる。図2Aでは、300mmウェーハ202が72個のセクタ又はサイト204に分割され、各サイトは5度の円弧を有し、各サイトは1mmのエッジ除外領域206を有する。セクタ又はサイトの長さは15mmである。ここで、エッジ除外領域は任意に選択され、1mm~2mmであってもよい。この場合、「最大ESFQR」とは、72サイトの中で決定された最大のESFQR値を意味する。
【0026】
図2Bに示すように、サイト204の最大値αは、最小二乗サイト基準面208からの最大高さとして決定され、最小値βは、最小二乗サイト基準面208より下の最小値として決定される。数学的にいうとESFQRは、エッジサイトにおける最小二乗サイト基準面208からの最大範囲の絶対値、又はESFQR=|α|+|β|である。
【0027】
好ましくは、本発明の実施形態の最大ESFQRは、ウェーハのエッジから約1mmのエッジ除外領域206(エッジから約1mmの領域を除外し、それより内側の領域の意)において、11.3nm以下である。
【0028】
基本的な結晶面と結晶方向の命名法において、ミラー指数は、単位格子に基づく、結晶の3次元座標系である。このような座標系では、方向又は平面を示すことができ、(hkl)と表記される。図3に示すように、立方晶302のミラー指数の例には、[111]、格子の対角線304、[110]、面の対角線306、(100)、面の平面308が含まれる。hklを囲む括弧には特定の意味があり、[hkl]は方向を表し、<hkl>は方向の集合を表し、(hkl)は平面を表し、{hkl}は面の集合を表す。立方シリコン格子を有するシリコン結晶は、その種結晶、すなわち{hkl}面を有するシリコン結晶によって決定される平面の等価集合に従って定義することができる。この点に関し、溶融シリコンから結晶を引き上げて{100}面又は{110}面のいずれかを成長させる場合、最初に異なる種結晶を選択することにより{100}面又は{110}面のいずれかを成長させることができる。{110}面と{100}面、<110>と<100>の結晶方位の決定、および関連するウェーハ切断技術は、たとえば米国特許番号8,152,919および5,904,136に示されるように、当技術分野では公知である。
【0029】
表1及び表2は、エピタキシャル層の厚さがESFQRにどのように影響するかを示している。表1は、{100}面のシリコン基板と0.3μm~2.0μmの範囲のエピタキシャル層の厚さを使用したエピタキシャルウェーハからの測定値をまとめたものである。表2は、{110}面のシリコン基板を使用し、エピタキシャル層の厚さが0.3μm~2.0μmの範囲のエピタキシャルウェーハからの測定値をまとめたものである。
【0030】
【表1】
【0031】
【表2】
【0032】
表1及び表2は、エピタキシャル層の厚さの好ましい範囲が、0.3μm~1.0μmであることを示している。ここに示されているように、このような範囲は、{100}基板及び{110}基板の両方において、最大ESFQRを11.1nm以下に維持する。
【0033】
本発明の別の態様は、エピタキシャル層の厚さのばらつきを改善することに関する。本発明のさらに別の態様は、エピタキシャル層の厚さの均一度に関する。エピタキシャル層の厚さのばらつきの測定原理を図4に示す。
【0034】
図4に示すように、エピタキシャル層の厚さのばらつき[%]は、{|A-B|/(A+B)}×100のように計算できる。ここで、AとBは、ウェーハのエッジから10mm内側のエピタキシャル層の任意の2つの測定された厚さである。ただし、図4に示すように、AとBは中心に対して対称な点である。本発明のエピタキシャル層の厚さのばらつきは、1.0%以下であることが好ましい。
【0035】
同様に、図5に示すように、本発明のエピタキシャル層の厚さの均一度[%]は、{(Max-Min)/(Max+Min)}×100として計算できる。ここで、「Max」および「Min」は、ウェーハのエッジから10mm以上内側の任意の4つの対称点(つまり、2対の対称点)およびエピタキシャル層の中心におけるエピタキシャル層502の最大および最小の厚さである。本発明のエピタキシャル層の厚さの均一度は、1.0%以下であることが好ましい。
【0036】
本発明のエピタキシャル層の厚さのばらつき及び厚さの均一度は、特定の製造方法によって達成することができる。特に、本発明による、表面上にエピタキシャル層が成長される好ましいシリコン基板は、±0.1~1.2度の傾斜角で{110}面から切り出されたシリコン基板である。好ましくは、そのような傾斜角は、X-Y平面内で、Y軸(傾斜方向)に対して{110}面を回転させることによって達成され得る。この構成を図6Aに示し、以下にさらに説明する。
【0037】
図6Aは、Z軸604に沿って垂直に引っ張られた単結晶シリコンインゴット602を示す。同図から理解できるように、図6Aに示される各軸は、結晶構造に関して以下の方向を表す。Z軸604は、結晶の引き上げ方向と一致する<110>方向である。Y軸606は、Z軸に対して垂直(直角)な平面における別の<110>方向である。X軸608は、Z軸に直交する平面内で<100>方向である。
【0038】
シリコン基板に<110>方向にノッチがある場合、Y軸は、図7Aに示すようにノッチからシリコン基板の中心を通る直線となる。これに対し、シリコン基板の<100>方向にノッチがある場合、Y軸は、図7Bに示すように、ノッチからシリコン基板の中心を通る別の直線と直交する直線となる。
【0039】
図6Aに戻り、X´軸610は、Y軸を中心に回転したX軸である。傾斜角θ612は、X軸とX´軸との間の角度である。正と負の両方の傾斜角は、同じシリコン基板を表す。
【0040】
本発明の{110}シリコン基板は、本明細書ではそれぞれ「傾斜角」612および「傾斜方向」614と呼ばれる特定の方向の角度で切断される。図6Aに示すように、たとえば3次元軸(X、Y、Z軸)に設定された結晶からの{110}シリコン基板を考えてみる。結晶成長の方向がZ軸に沿って設定されている場合(<110>方向)、結晶から切り出されたシリコン基板は、Z軸に直交するX-Y平面にある。ここで、X軸は<100>方向に、Y軸は<110>方向に整列する。このような構成では、傾斜角度及び傾斜方向とは、このようなX-Y平面をY軸に対して(いずれかの方向に)小さな角変位だけ回転させることを意味する。このような回転面は、本明細書では「傾斜面」616と称し、したがって、傾斜角で切断されたシリコン基板は傾斜面にある。好ましくは、傾斜角は0.1度~1.2度の範囲である。
【0041】
図6Bは、図6Aに示す傾斜面616から切断されたシリコン基板の分離図である。ここで、法線ベクトル618は、そのような傾斜面616に直交する(すなわち、シリコン基板の表面に直交する)ものであり、傾斜角θ612は、法線ベクトル618と<110>方向の第1ベクトル620との間の角度である。第1ベクトル620は結晶引上げの方向である。第1ベクトル620は、傾斜面616内のシリコン基板の半径方向に延在する第2ベクトル622に対して、やはり<110>方向で直交する。さらに、<100>方向の第3ベクトル624は、第2ベクトル622に直交する。また、図6Bに示すように、第4ベクトル626は法線ベクトル618に直交し、第3ベクトル624と第4ベクトル626との間の角度は、再び傾斜角度θ612を構成する。図6Bは、さらに第2ベクトル622および第4ベクトル626が傾斜面616にあることを示している。{110}面のウェーハ(シリコン基板)が与えられた場合、X線回折によって、第1ベクトルと法線ベクトル618を含むこれらのベクトルを決定することができるため、傾斜角θ612を決定することができる。
【0042】
{110}面で結晶を成長させることは正攻法ではないことに注意すべきである。例えば、結晶成長の初期段階で転位欠陥を防止するために、結晶配向のわずかなずれが必要になる場合がある。結果として得られるシリコン基板が{110}面で期待される電気的特性を示す場合、そのような小さな偏差は、許容範囲内になる。そして、得られるシリコン基板が、多かれ少なかれ{110}面の期待される電気的特性を示す場合、当業者は、そのような小さな偏差で成長した結晶が、それでも{110}結晶であることを理解することができる。
【0043】
{110}面のシリコン基板は、{100}面の基板と比較して、改善された正孔移動度を示すが、ヘイズレベルが高くなり表面が粗くなる。したがって、正孔移動度が向上した{110}ウェーハは、前記GAA FETの用途に特に有用であるはずである。しかしながら、従来の{110}基板のみを使用することは、表面粗さと高いヘイズレベルの点で許容することはできない。本発明の別の態様では、シリコン基板は、{110}面の結晶から±0.1~1.2度の傾斜角で切り出され、このような傾斜角は、X-Y平面内においてY軸に対して{110}面を回転させることによって達成される。
【0044】
このような本発明の傾斜角は、従来の{110}シリコン基板から得ることが困難であった所望のヘイズレベル及び所望のレベルの表面粗さを維持するのに適している。したがって、本発明の好ましい実施形態のように、傾斜角で{110}面からシリコン基板を提供することにより、表面粗さ又はヘイズレベルを妥協することなく、より大きなキャリア移動度が得られる。本発明のエピタキシャル層のヘイズレベルは1.2ppm以下であることが好ましい。ヘイズレベルは、KLA-Tencor製SURFSCAN SP2のDWOモードを用いて測定することができる。
【0045】
図7A及び図7Bは、{110}ウェーハ上に基準ノッチを形成する方法を示す。図7Aは、Y軸の端、すなわち<110>結晶方位におけるノッチ702を示す。図7Bは、X軸の端、すなわち<100>結晶方位におけるノッチ704を示す。
【0046】
表3は、エピタキシャル層の厚さ及び傾斜角が異なる様々なエピタキシャルウェーハのヘイズレベル測定値(ppm)を示し、各ウェーハは{110}シリコン基板を有する。
【0047】
【表3】
【0048】
表3は、0.1度から1.2度の間の傾斜角にすると、エピタキシャル層の薄い範囲の厚さに対して0.88ppm以下の低いヘイズレベルになることを示している。
【0049】
本発明の一実施形態に係るエピタキシャルウェーハの製造方法は以下のとおりである。図8に示されるように、シリコン基板802は、サセプタ804の上に配置され、この反応チャンバ内で回転する。ガス入口806は、SiHClなどのシリコン原料ガス808及びHなどのキャリアガスを受け取る。Bなどのドーパントガスも、ガス入口806を通して導入することができる。シリコン基板802は、上下から加熱され、エピタキシャル層の成長のためにシリコン原料ガスに曝される。ドーパントは、シリコン原料ガス808に含まれ、キャリアガスによって運ばれる。サセプタ804は、シリコン基板802上にエピタキシャル層が成長している間、回転する。
【0050】
キャリアガスの流量は、通常、毎分30~100標準リットル(SLM:standard liters per minute)である。シリコン原料ガスの流量は、一般的に3~20SLMである。成長温度は、通常1100℃~1175℃の間で固定される。エピタキシャル層の成長時間は、0.1~1.0分である。サセプタ804の回転速度は、好ましくは毎分22~70回転(RPM)である。サセプタ804の回転速度が上記の好ましい下限(22RPM)よりも遅い場合、エッジまたはエッジ付近のエピタキシャル層の厚さが厚くなりすぎる傾向があることが確認されている。一方、サセプタ804の回転速度が上記好ましい上限(70RPM)よりも速いと、ウェーハ中央部のエピタキシャル層の厚さが厚くなりすぎる傾向がある。したがって、サセプタの回転速度を22~70RPMに設定し、エピタキシャル層の全体的な厚さの均一度を1.0%以下にすることが重要である。
【0051】
表4は、サセプタ804の回転速度がエピタキシャル層の厚さの均一度にどのように影響するかの結果を示している。この例では、{100}面から切り出されたシリコン基板を反応チャンバに入れ、回転させて0.5μmのエピタキシャル層を成長させた。サセプタ804は、22~70RPMの間で回転させた。
【0052】
【表4】
【0053】
表5は、サセプタ804の回転速度がエピタキシャル層の厚さの均一度にどのように影響するかの結果を再度示している。この例では、{110}面から傾斜角1.0度で切り出されたシリコン基板を反応チャンバ内に配置し、これを回転させて0.5μmのエピタキシャル層を成長させた。サセプタ804は、22~70RPMの間で回転させた。
【0054】
【表5】
【0055】
表4及び表5に示されるように、エピタキシャル層の厚さの均一度は、{100}及び{110}シリコン基板の両方のエピタキシャルウェーハについて、サセプタの回転速度を22~70RPMの範囲に設定することによって、1.0%以下に維持することができる。
【0056】
従来、エピタキシャルウェーハのエピタキシャル層の成長は、ガス流量によって影響される成長速度と、特定の所望の厚さを達成するための反応時間によって制御されていた。本発明では、サセプタの回転回数(サセプタが何回回転したか)は、エピタキシャル層の所望の厚さに加えて、所望の厚さばらつきの達成を確実にするために、整数値である。本発明の一実施形態では、整数回転回数は、所望のレベルで次の推定を用いて決定することができる。すなわち、
エピタキシャル層の厚さ(B)=0.5μm;
サセプタの回転速度(D)=25rpm;
エピタキシャル成長速度(A)=2μm/分;
成長時間(C)=未定;
整数回転回数(E)=未定、とすると、C=B/A=0.25分となり、Eは、D=E/C又はE=D×C又は6.25として計算できる。Eは6.25、つまり6回転に最も近い整数となる。
【0057】
表6は、エピタキシャル層の厚さのバラツキに対する非整数回転回数と比較した整数回転回数だけサセプタを回転させる効果を示す。これらの実施例では、{100}面から切り出されたシリコン基板と、0.5μmの厚さのエピタキシャル層とを有するエピタキシャルウェーハが使用された。温度とガス流量は、2.0μm/分のエピタキシャル成長速度を達成するように設定された。実施例1及び実施例2のそれぞれにおいて、回転回数は上記のように整数値に調整された。エピタキシャル層の厚さのばらつきを測定し、記録した。比較例では、サセプタの回転回数が非整数値であることを除いて、条件は同一とした。
【0058】
【表6】
【0059】
表7は、サセプタを非整数回転回数と比較して整数回転回数だけ回転させた場合の、エピタキシャル層の厚さのばらつきへの影響を再度示している。これらの例では、{110}面から切り出されたシリコン基板と、厚さ0.5μmのエピタキシャル層とを有するエピタキシャルウェーハが使用された。温度とガス流量は、2.0μm/分のエピタキシャル成長速度を達成するように設定された。実施例1及び実施例2のそれぞれにおいて、回転回数は上記のように整数値に調整された。エピタキシャル層の厚さのばらつきを測定し、記録した。比較例では、サセプタの回転回数が非整数値であることを除いて、条件は同一とした。
【0060】
【表7】
【0061】
表6及び表7の結果は、サセプタを整数回だけ回転させることが、エピタキシャル層の厚さのばらつきを十分に低い値に維持するために重要であることを示している。また、{100}と{110}の両方のエピタキシャルウェーハが、エピタキシャル成長中にサセプタの回転回数を整数に設定することでメリットがあることも示している。
【0062】
さらに、表8は、サセプタを整数回だけ回転させることが、エピタキシャル層の様々な厚さのばらつきにどのように影響するかを示している。表8は、0.3、0.5、及び1.0μmの3つの異なる厚さのエピタキシャル層を有する{100}エピタキシャルウェーハの厚さのばらつきデータをまとめたものである。
【0063】
【表8】
【0064】
表9は、サセプタを整数回だけ回転させることが、エピタキシャル層の様々な厚さのばらつきにどのように影響するかを再度示している。表9は、0.3、0.5、および1.0μmの3つの異なる厚さのエピタキシャル層を有する{110}エピタキシャルウェーハの厚さのばらつきデータをまとめたものである。
【0065】
【表9】
【0066】
表8及び表9の結果は、エピタキシャル層の厚さに関係なく、サセプタを整数回だけ回転させると、様々なウェーハタイプおよびエピタキシャル層の厚さに対して、厚さのばらつきが著しく低い値に保たれることを示している。
【0067】
本発明のエピタキシャルウェーハの別の態様は、シリコン基板の上面における好ましい面取り幅が150μm~450μmの範囲にあることを含む。従来、エピタキシャルウェーハの面取り幅は、本発明の好ましい面取り幅よりも広くなる傾向があり、その結果、活性領域全体が小さくなる。図9に示されるように、本発明の好ましいエピタキシャルウェーハ902は、従来のエピタキシャルウェーハの従来の面取り幅908と比較して、エピタキシャル層904のより薄い厚さ及びより短い面取り幅906を含む。
【0068】
図9は、エピタキシャル層910の従来の厚さを点線で示す。通常、従来のエピタキシャル層の厚さは約2μmである。これに対し、図9は、本発明のエピタキシャル層904(点線の下)の好ましい厚さをさらに示し、これは0.3~1.0μmの範囲である。
【0069】
本発明のより短い面取り幅は、ESFQRをさらに改善する。表10は、面取り幅がESFQRに与える影響を示す。この実験では、エピタキシャル層の厚さが0.3μm~2.0μmの{100}エピタキシャルウェーハを使用し、それぞれ150μm~550μmの面取り幅について試験した。最大ESFQRは、ウェーハごとに異なる面取り幅で測定された。
【0070】
【表10】
【0071】
表11は、面取り幅がESFQRに与える影響を再度示す。この実験では、エピタキシャル層の厚さが0.3μmから2.0μmの{110}エピタキシャルウェーハを使用し、それぞれ150μmから550μmの面取り幅について試験した。最大ESFQRは、ウェーハごとに異なる面取り幅で測定された。
【0072】
【表11】
【0073】
表10及び表11の結果は、150μm~450μmの範囲の面取り幅が、所望の11.1nm未満で最大ESFQRを提供することを示している。さらに重要なことに、このような面取り幅の範囲は、様々な厚さのエピタキシャル層(つまり、0.3~1.0μmの範囲)のウェーハに対して許容可能な最大ESFQRを提供する。
【0074】
前述したように、本発明の非常に薄いエピタキシャル層は、厚さのばらつきが少ないか又は全くない平坦で滑らかな表面を提供し、シリコン基板の上面に形成されたそのような薄いエピタキシャル層は、下側のシリコン基板の上面のプロセス誘起欠陥(PID)など、シリコン基板によって引き起こされる表面の不規則性によって実質的に影響を受けない。それにも拘わらず、本発明は、110nm以上の最大断面幅を有するCOP欠陥を実質的に含まないシリコン基板を含むことが好ましい。本発明は、転位クラスタ及びCOP欠陥を実質的に含まないシリコン基板を含むことが特に好ましい。
【0075】
図10A及び図10Bは、本発明の好ましいエピタキシャルウェーハを示す。図10Aは、シリコン基板1002にCOP欠陥が実質的にない、0.3~1.0μmの間の比較的薄いエピタキシャル層1001を有するエピタキシャルウェーハを示す。図10Bは、シリコン基板1002に、断面幅が110nm未満のCOP欠陥1005を有し、例えば、断面幅が110nm以上の、より大きなサイズのCOP欠陥を実質的に含まない比較的薄いエピタキシャル層1001を示す。これに対し、図10Cは、2~4μmの間の望ましくない厚いエピタキシャル層1003と、断面幅が110nm以上のCOP欠陥1006とを有する従来のエピタキシャルウェーハを示す。
【0076】
本開示は、上述の特徴に限定されるものではなく、本開示の範囲から逸脱することなく、様々な変形および修正が可能であり得る。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図8
図9
図10A
図10B
図10C
【手続補正書】
【提出日】2023-04-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一の主面を有するシリコン基板と、
前記一の主面に形成されたエピタキシャル層と、を含み、
前記エピタキシャル層は、厚さが0.3μm~1.0μmであり、厚さのばらつきが1%以下であるエピタキシャルウェーハ。
【請求項2】
最大ESFQRが、11.3nm以下である請求項1に記載のエピタキシャルウェーハ。
【請求項3】
前記最大ESFQRは、1mm~2mmのエッジ除外領域にて決定される請求項2に記載のエピタキシャルウェーハ。
【請求項4】
前記一の主面の面取り幅が、150μm~450μmである請求項1に記載のエピタキシャルウェーハ。
【請求項5】
前記シリコン基板は、転位クラスタ及びCOP欠陥を実質的に含まない請求項1に記載のエピタキシャルウェーハ。
【請求項6】
前記シリコン基板は、最大断面幅が110nm以上のCOP欠陥を実質的に含まない請求項1に記載のエピタキシャルウェーハ。
【請求項7】
前記シリコン基板は、窒素を含む請求項6に記載のエピタキシャルウェーハ。
【請求項8】
前記シリコン基板は、Z軸に沿って成長する{110}面を形成する結晶から切り出され、
前記シリコン基板は、前記Z軸に直交するX-Y平面を形成し、
前記X-Y平面は、<100>方向のX軸と<110>方向のY軸とを含み、
前記シリコン基板は、前記Y軸に対して前記X-Y平面を回転させた傾斜角で切断される請求項1に記載のエピタキシャルウェーハ。
【請求項9】
前記傾斜角は、0.1~1.2度である請求項8に記載のエピタキシャルウェーハ。
【請求項10】
前記エピタキシャル層のヘイズレベルが、1.20ppm以下である請求項9に記載のエピタキシャルウェーハ。
【請求項11】
前記厚さのばらつきは、前記エピタキシャルウェーハの外縁から10mm以上内側の、前記エピタキシャル層の2つの対称点における厚さの差の百分率である請求項1に記載のエピタキシャルウェーハ。
【請求項12】
エピタキシャル反応炉のサセプタにシリコン基板を配置し、
回転速度(D)にて前記サセプタを回転させ、
前記エピタキシャル反応炉に原料ガスを導入し、前記シリコン基板に所望の厚さ(B)のエピタキシャル層を成長速度(A)で成長させるエピタキシャルウェーハの製造方法において、
前記原料ガスは、C=B/Aを満たす成長時間(C)の間に供給され、
前記回転速度(D)は、前記サセプタが、D=E/Cの関係に基づく整数の回転回数(E)で回転できる22~70rpmの範囲から選択されるエピタキシャルウェーハの製造方法。
【請求項13】
一の主面を有するシリコン基板と、
前記一の主面に形成されたエピタキシャル層と、を含み、
前記エピタキシャル層は、厚さが0.3μm~1.0μmであり、厚さの均一度が1%以下であるエピタキシャルウェーハ。
【請求項14】
最大ESFQRが、11.3nm以下である請求項13に記載のエピタキシャルウェーハ。
【請求項15】
前記最大ESFQRは、1mm~2mmのエッジ除外領域にて決定される請求項14に記載のエピタキシャルウェーハ。
【請求項16】
前記一の主面の面取り幅が、150μm~450μmである請求項13に記載のエピタキシャルウェーハ。
【請求項17】
前記シリコン基板は、転位クラスタ及びCOP欠陥を実質的に含まない請求項13に記載のエピタキシャルウェーハ。
【請求項18】
前記シリコン基板は、最大断面幅が110nm以上のCOP欠陥を実質的に含まない請求項13に記載のエピタキシャルウェーハ。
【請求項19】
前記シリコン基板は、窒素を含む請求項18に記載のエピタキシャルウェーハ。
【請求項20】
前記シリコン基板は、Z軸に沿って成長する{110}面を形成する結晶から切り出され、
前記シリコン基板は、前記Z軸に直交するX-Y平面を形成し、
前記X-Y平面は、<100>方向のX軸と<110>方向のY軸とを含み、
前記シリコン基板は、前記Y軸に対して前記X-Y平面を回転させた傾斜角で切断される請求項13に記載のエピタキシャルウェーハ。
【請求項21】
前記傾斜角は、0.1~1.2度である請求項20に記載のエピタキシャルウェーハ。
【請求項22】
前記エピタキシャル層のヘイズレベルが、1.20ppm以下である請求項21に記載のエピタキシャルウェーハ。
【請求項23】
前記厚さの均一度は、前記エピタキシャルウェーハの外縁から10mm以上内側の、前記エピタキシャル層の2対の対称点における厚さの差の百分率である請求項13に記載のエピタキシャルウェーハ。
【請求項24】
一の主面を有するシリコン基板と、
前記一の主面に形成されたエピタキシャル層と、を含み、
前記エピタキシャル層は、厚さが0.3μm~1.0μmであり、厚さのばらつきが1%以下であり、
前記シリコン基板は、<110>方向の第1ベクトルに対して垂直に成長した結晶から切り出され、
前記シリコン基板は、前記第1ベクトルと法線ベクトルとの間に傾斜角が形成されるように、前記法線ベクトルに直交するエピタキシャルウェーハ。
【請求項25】
前記傾斜角は、0.1~1.2度である請求項24に記載のエピタキシャルウェーハ。
【請求項26】
前記第1ベクトルは、<110>方向の第2ベクトルに直交し、
前記第2ベクトルは、前記シリコン基板の半径方向に沿う請求項24に記載のエピタキシャルウェーハ。
【請求項27】
前記エピタキシャル層の面取り幅が、150μm~450μmである請求項1又は13に記載のエピタキシャルウェーハ。
【請求項28】
前記シリコン基板は、<100>方向のX軸と、<110>方向のY軸と、{110}面に沿うX-Y平面と、前記X-Y平面に直交する<110>方向のZ軸と、前記Y軸に直交する{110}面に沿うX-Z平面と、を含むX-Y-Z座標で構成される結晶構造を有し、
前記シリコン基板は、前記Y軸と、前記X軸から傾斜角だけ前記X-Z平面内において変位したX´軸とを含む平面にある請求項1又は13に記載のエピタキシャルウェーハ。
【請求項29】
前記傾斜角は、0.1~1.2度である請求項28に記載のエピタキシャルウェーハ。
【請求項30】
前記エピタキシャル層のヘイズレベルが、1.20ppm以下である請求項29に記載のエピタキシャルウェーハ。
【請求項31】
前記エピタキシャル層のヘイズレベルが、0.88ppm以下である請求項29に記載のエピタキシャルウェーハ。
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図6B
【補正方法】変更
【補正の内容】
図6B
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図7B
【補正方法】変更
【補正の内容】
図7B