IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ フェイスブック,インク.の特許一覧

特開2023-155168適応無線パケットフィルタリング制御
<>
  • 特開-適応無線パケットフィルタリング制御 図1
  • 特開-適応無線パケットフィルタリング制御 図2
  • 特開-適応無線パケットフィルタリング制御 図3
  • 特開-適応無線パケットフィルタリング制御 図4
  • 特開-適応無線パケットフィルタリング制御 図5
  • 特開-適応無線パケットフィルタリング制御 図6A
  • 特開-適応無線パケットフィルタリング制御 図6B
  • 特開-適応無線パケットフィルタリング制御 図7
  • 特開-適応無線パケットフィルタリング制御 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023155168
(43)【公開日】2023-10-20
(54)【発明の名称】適応無線パケットフィルタリング制御
(51)【国際特許分類】
   H04W 92/18 20090101AFI20231013BHJP
   H04W 84/18 20090101ALI20231013BHJP
【FI】
H04W92/18
H04W84/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023037683
(22)【出願日】2023-03-10
(31)【優先権主張番号】17/716,930
(32)【優先日】2022-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】508178054
【氏名又は名称】メタ プラットフォームズ, インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】アフメド ガマル ヘルミー モハメド
(72)【発明者】
【氏名】クリシュナ スリカンス ゴマダム
(72)【発明者】
【氏名】プラティープ ボンダラパティ
(72)【発明者】
【氏名】ファン ポー ハン
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA03
5K067EE02
5K067EE25
(57)【要約】      (修正有)
【課題】無線メッシュネットワークにおいて、適応無線パケットフィルタリング制御を行う方法及びシステムを提供する。
【解決手段】方法は、無線ネットワークの受信ノードが、無線ネットワークの送信ノードによって送信されたパケットを受信することと、受信したパケットのパケットタイプを識別することと、識別されたパケットタイプに基づいて、信号強度閾値を決定することと、受信したパケットの信号強度を信号強度閾値と比較することと、信号強度が信号強度閾値を満たす場合、受信ノードがは、受信したパケットを処理することとを、任意の適切なコンピュータ実行可能コード及び/又はコンピューティングシステムによって行う。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータにより実行される方法であって、
無線ネットワークの受信ノードが、前記無線ネットワークの送信ノードによって送信されたパケットを受信し、受信したパケットを取得すること、
前記受信したパケットのパケットタイプを識別すること、
少なくとも識別された前記パケットタイプに基づいて、信号強度閾値を決定すること、
前記受信したパケットの信号強度を前記信号強度閾値と比較すること、
前記信号強度が前記信号強度閾値を満たす場合、前記受信ノードが、前記受信したパケットを処理すること、を備える方法。
【請求項2】
前記信号強度閾値は、上限閾値および下限閾値を含むフィルタ値範囲を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記信号強度閾値は、前記受信ノードと前記送信ノードとの間の距離に基づいて決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記距離は、統計解析を用いて前記無線ネットワークのトポロジをマッピングすることによって決定される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記信号強度閾値が、前記無線ネットワーク内の送信ノードと受信ノードとの全てのペアについて各リンク間の干渉を測定する前記無線ネットワークの干渉管理スキャンに基づいている、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記干渉管理スキャンに基づいて、各リンクについての前記信号強度閾値を調整することをさらに備える請求項5に記載の方法。
【請求項7】
リンクについての干渉測定値が干渉閾値よりも大きい場合、前記リンクについての前記信号強度閾値を大きくすることをさらに備える請求項6に記載の方法。
【請求項8】
リンクについての干渉測定値が干渉閾値よりも小さい場合、前記リンクについての前記信号強度閾値を小さくすることをさらに備える請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記送信ノードと前記受信ノードとの間のリンクについてのライブリンク性能に基づいて前記信号強度閾値を調整することをさらに備える請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記リンクの偽陰性カウントが偽陰性閾値よりも大きい場合、前記信号強度閾値を小さくすることをさらに備える請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記リンクの偽陽性カウントが偽陽性閾値よりも大きい場合、前記信号強度閾値を大きくすることをさらに備える請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記受信したパケットを処理することは、
複数のパケットを処理するためのキューに前記受信したパケットを配置することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記受信したパケットを処理することは、
前記パケットの宛先を読み取ることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記信号強度が前記信号強度閾値を満たさない場合、前記受信したパケットをドロップすることをさらに備える請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記パケットタイプは、制御パケットまたはデータパケットを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
システムであって、
無線ネットワークと通信するためのアンテナと、
少なくとも1つの物理プロセッサと、
複数のコンピュータ実行可能命令を備える物理メモリと、を備え、前記複数のコンピュータ実行可能命令は、前記物理プロセッサによって実行されると、前記物理プロセッサに、
前記アンテナを介して、前記無線ネットワークの送信ノードによって送信されたパケットを受信し、受信したパケットを取得すること、
前記受信したパケットのパケットタイプを識別すること、
少なくとも識別された前記パケットタイプに基づいて、信号強度閾値を決定すること、
前記受信したパケットの信号強度を前記信号強度閾値と比較すること、
前記信号強度が前記信号強度閾値を満たす場合、前記受信したパケットを処理すること、を実行させる、システム。
【請求項17】
前記信号強度閾値は、前記送信ノードとの間の距離に基づいて決定され、前記距離は、統計解析を用いて前記無線ネットワークのトポロジをマッピングすることによって決定される、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
リンクについての干渉測定値が干渉閾値より大きい場合に前記リンクについての前記信号強度閾値を大きくし、且つリンクについての干渉測定値が前記干渉閾値より小さい場合に前記リンクについての前記信号強度閾値を小さくすることによって、前記無線ネットワーク内の送信ノードと受信ノードとの全てのペアについて各リンク間の干渉を測定する前記無線ネットワークの干渉管理スキャンに基づいて、前記リンクについての前記信号強度閾値を調整することをさらに備える請求項16に記載のシステム。
【請求項19】
リンクの偽陰性カウントが偽陰性閾値より大きい場合に前記信号強度閾値を小さくし、前記リンクの偽陽性カウントが偽陽性閾値より大きい場合に前記信号強度閾値を大きくすることによって、前記送信ノードとの前記リンクのライブリンク性能に基づいて、前記信号強度閾値を調整することをさらに備える請求項16に記載のシステム。
【請求項20】
非一時的コンピュータ可読媒体であって、1つまたは複数のコンピュータ実行可能命令を備え、前記1つまたは複数のコンピュータ実行可能命令は、コンピューティングデバイスの少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、前記コンピューティングデバイスに、
アンテナを介して、無線ネットワークの送信ノードによって送信されたパケットを受信し、受信したパケットを取得すること、
前記受信したパケットのパケットタイプを識別すること、
少なくとも識別された前記パケットタイプに基づいて、信号強度閾値を決定すること、
前記受信したパケットの信号強度を前記信号強度閾値と比較すること、
前記信号強度が前記信号強度閾値を満たす場合、前記受信したパケットを処理すること、を実行させる、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、適応無線パケットフィルタリング制御に関する。
【図面の簡単な説明】
【0002】
添付の図面は、いくつかの例示的な実施形態を示しており、本明細書の一部である。これらの図面は、以下の説明と共に本開示の様々な原理を明示し説明する。
図1図1は、適応無線パケットフィルタリング制御のための例示的な方法のフロー図である。
図2図2は、適応無線パケットフィルタリング制御のための例示的なシステムのブロック図である。
図3図3は、例示的な無線ネットワークのブロック図である。
図4図4は、適応無線パケットフィルタリング制御のための例示的なフィルタリング回路のブロック図である。
図5図5は、適応無線パケットフィルタリング制御のための例示的な制御ループのブロック図である。
図6A図6Aは、制御ループの静的制御部分のブロック図である。
図6B図6Bは、静的制御部分に使用される例示的な複数の距離のブロック図である。
図7図7は、制御ループの準静的制御部分のブロック図である。
図8図8は、制御ループの動的制御部分のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0003】
図面全体を通じて、同一の参照文字及び説明は類似するが必ずしも同一ではない要素を示し得る。本明細書で説明される例示的な実施形態は様々な変形及び代替形態が可能であるが、特定の実施形態が図面において例として示されており、本明細書では詳細に説明される。しかしながら、本明細書で説明される例示的な実施形態は、開示される特定の形態に限定されることを意図していない。むしろ本開示は、添付の特許請求の範囲内に含まれる全ての変形形態、均等物、及び代替形態を包含する。
【0004】
無線ネットワークは、無線ネットワークのノード間の物理的接続を必要とせずに、無線ネットワークのノード間のデータ送信を可能にすることによって、柔軟性を提供する。任意のノードが一般に任意の他のノードと通信することができる無線メッシュネットワークなどの特定のタイプの無線ネットワークは、ノード間の階層構造を先読みすることによってさらなる柔軟性を可能にすることができる。そのような柔軟性は、無線メッシュネットワークが、故障したノードを迂回して再ルーティングすることなどによって、ネットワークトポロジの変化に動的に適応することを可能にし得る。
【0005】
しかしながら、無線メッシュネットワークでは干渉が問題となり得る。送信ノードは、意図された宛先受信ノードにデータを無線でブロードキャストするので、送信ノードの信号範囲内の他のノードもまた、データ送信を望ましくなく受信する可能性がある。ノードが、受信した送信を処理するまで、ノードは、そのノードが送信の意図された受信者であったかどうかを認識しない可能性がある。さらに、ノードが、受信した送信を処理するとき、ノードは、他の送信を受信することができない可能性がある。したがって、ノードは、意図されていない送信を処理している間に、意図された送信を受信し損なうことがあり、ネットワーク性能に悪影響を及ぼし得るブロッキング効果(blocking effect)を生じさせる。
【0006】
干渉を緩和するためのいくつかの解決策は、干渉源を除去することを含む。たとえば、複数の干渉源ノードまたはリンク(たとえば、2つのノード間の通信リンク)は、異なるチャネル、コード、タイムスロットなどに設定され得るか、あるいは複数の干渉源ノードまたはリンクからの送信は、ある角度でヌルにされ(nulled)得る。しかしながら、これらのネットワークレベルの解決策は、いくつかの基本的な問題および制約を示すことがある。例えば、そのような解決策は、包括的なトポロジ情報(例えば、各ノードペア間の到来角および出発角(angles of arrival and departure))、各ノードの詳細なアンテナパターン、およびネットワーク内のアクティブトラフィックパターン(active traffic patterns)を必要とし、これらは効率的かつ正確に取得することが困難であり得る。密集したネットワークなどのいくつかのシナリオでは、チャネル、コード、およびタイムスロットを含むリソースの量は、アグレッサリンク(aggressor link)とビクティムリンク(victim link)とを十分に分離するのに十分でないことがある。加えて、そのような解決策は、トポロジ変化、無線チャネルの動的性質などに対処するのに十分に機敏(アジャイル)でないことがある。さらに、そのような解決策は、様々なパケットタイプ間の重要性および区別に適切に対処しない場合がある。例えば、データパケットは、制御パケットよりも干渉に対してより脆弱であり得る。
【0007】
本開示は、概して、適応無線パケットフィルタリングに向けられている。以下でより詳細に説明されるように、本開示の実施形態は、受信したパケットのパケットタイプを識別し、パケットタイプに基づいて信号強度閾値を決定し、受信したパケットの信号強度を信号強度閾値と比較し、信号強度が信号強度閾値を満たす場合にその受信したパケットを処理し得る。パケットを完全に処理する前に、受信したパケットをドロップすべきかまたは保持すべきかを判定することによって、本明細書において説明されるシステムおよび方法は、有利には、干渉によって生じるブロッキング効果を低減または緩和し得る。本明細書において説明されるシステムおよび方法は、パケットを完全に処理するために必要とされるコンピューティングリソースおよび時間を利用することなく、パケットをドロップすべきかどうかをより迅速かつ効率的に判定することによって、コンピューティングデバイスの機能を改善し得る。さらに、本明細書のシステムおよび方法は、無線ネットワークにおいて示される干渉に対する解決策を提供することによって、無線ネットワークの技術分野を改善することができる。
【0008】
本明細書において説明される複数の実施形態のいずれかからの複数の特徴は、本明細書において説明される包括的な原理に従って互いに組み合わせて使用され得る。これらおよび他の実施形態、特徴、および利点は、添付の図面および特許請求の範囲と併せて以下の詳細な説明を読むことにより、より完全に理解されるであろう。
【0009】
以下は、図1~8を参照して、適応無線パケットフィルタリング制御の詳細な説明を提供する。例示的な方法の詳細な説明は、図1に関連して提供される。無線メッシュネットワークにおける例示的な複数のノードの詳細な説明は、図2および図3を用いて提供される。例示的なフィルタリング回路の詳細な説明は、図4で提供される。閾値を管理する制御ループの詳細な説明は、(図6での)距離に基づく制御、(図7での)干渉スキャンに基づく制御、および(図8での)性能に基づく制御の説明とともに、図5を用いて提供される。
【0010】
図1は、適応無線パケットフィルタリング制御のための例示的なコンピュータ実装方法100のフロー図である。図1に示される複数のステップは、図2および/または図3に図示されるシステム(複数可)を含む任意の適切なコンピュータ実行可能コードおよび/またはコンピューティングシステムによって行われてもよい。一例では、図1に示される複数のステップの各々は、その構造が複数のサブステップを含む、および/または複数のサブステップによって表されるアルゴリズムを表すことができ、その例は以下でより詳細に提供される。
【0011】
図1に示されるように、ステップ102において、本明細書において説明される複数のシステムのうちの1つまたは複数は、無線ネットワークの受信ノードが、無線ネットワークの送信ノードによって送信されたパケットを受信し得る。例えば、図2のシステム200の一部としての受信モジュール204は、送信ノードによって送信され得るパケット222を受信し得る。
【0012】
いくつかの実施形態では、「ノード」という用語は、データを送信、受信、および/または作成することが可能であり得るネットワーク内のデバイスを指し得る。ノードの例としては、無線アクセスポイント、コンピューティングデバイス(例えば、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、モバイルデバイス)、ルータ、ゲートウェイなどが挙げられるが、これらに限定されない。加えて、いくつかの実施形態では、「受信ノード」という用語は、ノード間のリンクにおいてデータを受信するノードを指すことがあり、「送信ノード」という用語は、ノード間のリンクにおいてデータを送信するノードを指し得る。本開示は、対応するリンクにおけるノードの関係を明確にするために受信ノードおよび送信ノードを本明細書において説明されるが、他の例では、本明細書において説明される複数のノードは、受信ノードおよび/または送信ノードであり得る。
【0013】
いくつかの実施形態では、「パケット」という用語は、ネットワークにおいて送信され得るデータのフォーマットされた単位を指し得る。例えば、データは、一連のパケットに分割されてネットワークを介して送信されてもよい。データ(たとえば、ペイロード)に加えて、パケットは、ペイロードを配信するための追加の制御情報を含み得る。さらに、異なるタイプの複数のパケットは、ネットワークを管理するために使用され得る複数の制御パケット(たとえば、ペイロードはネットワークを管理するためのデータを含み得る)と、データを送信するために使用され得る複数のデータパケット(たとえば、ペイロードはアプリケーションに代わって搬送されるデータを含み得る)とを含み得る。
【0014】
本明細書において説明される様々なシステムは、ステップ102を実行し得る。図2は、適応無線パケットフィルタリング制御のための例示的なシステム200のブロック図である。この図に示すように、例示的なシステム200は、1つまたは複数のタスクを実行するための1つまたは複数のモジュール202を含み得る。本明細書においてより詳細に説明されるように、複数のモジュール202は、受信モジュール204、フィルタリングモジュール206、制御モジュール208、および処理モジュール210を含み得る。複数の別個の要素として示されているが、図2の複数のモジュール202のうちの1つ以上は、単一のモジュールまたはアプリケーションの複数の部分を表してもよい。
【0015】
特定の実施形態は、図2の複数のモジュール202のうちの1つ以上は、コンピューティングデバイスによって実行されると、コンピューティングデバイスに1つまたは複数のタスクを実行させる1つ以上のソフトウェアアプリケーションまたはプログラムを表し得る。例えば、以下により詳細に説明されるように、複数のモジュール202のうちの1つまたは複数は、図3に示すデバイス(たとえば、受信ノード360、送信ノード362、ノード364、ノード366、および/またはノード368のいずれか)などの1つまたは複数のコンピューティングデバイス上で実行するように記憶および構成されたモジュールを表すことができる。図2の複数のモジュール202のうちの1つまたは複数はまた、1つまたは複数のタスクを実行するように構成された1つまたは複数の専用コンピュータの全てまたは複数の部分を表してもよい。
【0016】
図2に示すように、例示的なシステム200は、メモリ240などの1つまたは複数のメモリデバイスを含み得る。メモリ240は、概して、データおよび/またはコンピュータ可読命令を記憶することが可能な任意のタイプまたは形態の揮発性または不揮発性記憶デバイスまたは媒体を表す。一例では、メモリ240は、複数のモジュール202のうちの1つまたは複数を記憶、ロード、および/または保持してもよい。メモリ240の例としては、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリ、ハードディスクドライブ(HDD)、ソリッドステートドライブ(SSD)、光ディスクドライブ、キャッシュ、これらのうちの1つ以上の変形形態若しくは組み合わせ、および/または任意の他の適切な記憶メモリが挙げられるが、これらに限定されない。
【0017】
図2に示すように、例示的なシステム200は、物理プロセッサ230などの1つまたは複数の物理プロセッサを含むこともできる。物理プロセッサ230は、概して、コンピュータ可読命令を解釈及び/又は実行することができる任意のタイプ又は形態のハードウェアによって実装される処理ユニットを表す。一例では、物理プロセッサ230は、メモリ240に記憶された複数のモジュール202のうちの1つまたは複数のモジュール202にアクセスする、および/またはそのモジュール202を修正することができる。追加または代替として、物理プロセッサ230は、複数のモジュール202のうちの1つまたは複数を実行して、マッピングシステムを保持することができる。物理プロセッサ230の例としては、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、中央処理装置(CPU)、ソフトコアプロセッサを実装するフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、これらのうちの1つ以上の部分、これらのうちの1つ以上の変形形態若しくは組み合わせ、および/または任意の他の適切な物理プロセッサが挙げられるが、これらに限定されない。
【0018】
図2に示すように、例示的なシステム200は、パケット222、閾値データ250、トポロジデータ252、干渉データ254、および性能データ256などの1つまたは複数の追加の要素220を含むこともできる。パケット222、閾値データ250、トポロジデータ252、干渉データ254、および/または性能データ256は、メモリ240などのローカル記憶デバイスに記憶されてもよく、またはリモートでアクセスされてもよい。パケット222は、以下でさらに説明されるように、潜在的に処理され得る受信したパケットを表し得る。閾値データ250は、受信したパケットをドロップするかまたは処理するかを判定するために使用され得る信号強度閾値情報を含むデータを表し得る。トポロジデータ252は、対応する無線ネットワークのトポロジ情報に関するデータを表し得る。干渉データ254は、以下でさらに説明するように、無線ネットワーク内のノード間の干渉に関するデータを表し得る。性能データ256は、以下でさらに説明されるように、無線ネットワーク内のノードの性能メトリック(performance metrics)を含むデータを表し得る。
【0019】
図2の例示的なシステム200は、様々な方法で実装され得る。例えば、例示的なシステム200の全て又は一部は、図3の例示的なネットワーク環境300の複数の部分を表してもよい。
【0020】
図3は、本開示の態様を実装する例示的なネットワーク環境300を示す。ネットワーク環境300は、無線ネットワークに対応し得、いくつかの例では、より具体的にはメッシュネットワークに対応し得る。いくつかの実施形態では、「メッシュネットワーク」という用語は、複数のノードが可能な限り多くの他のノードに非階層的かつ直接的に接続し得るネットワークトポロジを指し得る。複数のノードは、自己形成(self-forming)(例えば、動的再編成または作業負荷の再分配)および(例えば、故障したノードに対処するために)自己回復(self-healing)を可能にするように、動的に接続および自己設定(self-configure)してもよい。本開示は、無線メッシュネットワークを説明するが、他の実施形態では、本明細書において説明されるシステムおよび方法は、他のタイプの有線および/または無線ネットワークに適用されてもよい。
【0021】
ネットワーク環境300は、受信ノード360、送信ノード362、ノード364、ノード366、およびノード368を含み、それらの各々は、無線ノード、またはクライアントデバイスもしくはユーザーデバイス(たとえば、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレットデバイス、スマートフォン、または他のコンピューティングデバイス)などのコンピューティングデバイスに対応し得、システム200にさらに対応し得る。受信ノード360は、1つまたは複数のプロセッサであり得る物理プロセッサ230と、複数の追加の要素220のうちの1つまたは複数などのデータを記憶し得るメモリ240と、複数の無線信号を受信および/または送信することが可能なアンテナまたは他の無線送信デバイスであり得るアンテナ332とを含み得る。図3には示されていないが、送信ノード362、ノード364、ノード366、および/またはノード368の各々は、受信ノード360と同様の構成要素を含むこともできる。
【0022】
受信ノード360、送信ノード362、ノード364、ノード366、およびノード368の各々は、以下でさらに説明されるように、複数のパケットを送信するために、アクティブリンク(active link)372および/または干渉リンク(interfering link)374などのリンクを確立するために、任意の他のノードに無線で接続することが可能であり得る。ネットワーク304は、インターネットなどの任意のタイプまたは形態の通信ネットワークを表すことができ、WANなどの1つまたは複数の無線接続に対応し得る。
【0023】
方法100に戻ると、本明細書において説明される複数のシステムは、様々な方法でステップ102を実行することができる。一例において、受信ノード360は、アクティブリンク372を介して送信ノード362からパケット(例えば、パケット222)を受信し得る。いくつかの実施形態では、「アクティブリンク」という用語は、ソースノードと意図された宛先ノードとの間の無線通信リンクを指し得る。したがって、送信ノード362は、アクティブリンク372を介して受信ノード360に宛てられたパケット222を送信し得る。
【0024】
しかしながら、無線ネットワーク、特に無線メッシュネットワークでは、ノードは、異なるノードに宛てられたパケットを受信する可能性がある。例えば、ノード364は、受信ノード360によっても受信されるノード366に宛てられたパケットをブロードキャストして、干渉リンク374を確立し得る。いくつかの実施形態では、「干渉リンク」という用語は、ソースノードと、意図しない宛先ノードとの間の無線通信リンクを指し得る。例えば、無線メッシュネットワークでは、ノードが階層無しに(例えば、特定のノード間の特定のリンクに限定されることなく)他のノードと通信し得るので、また、無線送信のブロードキャストの性質により、所与のノードは、その所与のノードに宛てられていないパケットを受信する可能性がある。宛てられていない複数のパケットを受信することによって、複数のアクティブリンク上で宛てられた複数のパケットを受信するノードの能力を妨害する可能性がある。
【0025】
受信ノード360が(例えば、パケット222のヘッダを解析してその宛先ノードを特定することによって)受信パケット222を処理するまで、受信ノード360は、通常、それがパケット222の意図した宛先であったか否かを特定することができない場合がある。パケット222を処理することによって、受信ノード360が受信ノード360に宛てられたパケットを受信および/または処理することを遅延させ、ブロッキング効果を引き起こす可能性がある。以下でさらに説明されるように、本明細書のシステムおよび方法は、ブロッキング効果を緩和するためにパケット222を処理する前に、受信ノード360がパケット222をドロップするか否かをより効率的かつ迅速に判定することを可能にし得る。
【0026】
図1に戻ると、ステップ104において、本明細書において説明される複数のシステムのうちの1つまたは複数が、受信したパケットのパケットタイプを識別し得る。例えば、フィルタリングモジュール206は、パケット222のパケットタイプを識別することができる。
【0027】
本明細書において説明された複数のシステムは、様々な方法でステップ104を実行することができる。一例では、フィルタリングモジュール206は、パケット222を完全に処理することなく、パケット222から(たとえば、パケット222のヘッダから)パケットタイプを読み出すことができる。いくつかの例では、パケットタイプは、制御パケットまたはデータパケットを含み得る。上述したように、制御パケットは、ネットワークを管理するために使用されてもよく、通常、データパケットより小さくてもよい。したがって、制御パケットによって生じるブロッキング効果は、データパケットによって生じるブロッキング効果よりも小さい。他の例では、フィルタリングモジュール206は、他のタイプのパケットおよび/または他のパケット属性を識別することができる。
【0028】
図4は、パケットを処理する回路のブロック図を示す。受信ノード(たとえば、受信ノード360)は、無線信号として(パケット222に対応し得る)パケット422を受信し得る。無線信号は、(自動利得制御回路(AGC : automatic gain control circuit)472を用いて)適切な信号振幅に調整され、(アナログ-デジタル変換器回路(ADC : an analog-to-digital converter circuit)474を用いて)アナログ信号からデジタル信号に変換され得る。次いで、パケット422は、図4に示されるように、2つの異なる枝路を通して(いくつかの例では非同期的に)ルーティングされ得る。
【0029】
図4の下の枝路は、通常のパケット処理に対応し得る。たとえば、パケット422は、(デコーダ476を用いて)復号化され、パケット422のヘッダからパケット422の宛先ノードを特定することを含み得るさらなる処理のために解析され得る。この初期処理の後、パケット422は、宛先ノードが異なるノードであること、パケット422が期限切れであるか、または以前に受信したパケットの再送であること、パケット422が読み取り不可能であるか、またはエラーを含むことなどの様々な理由で、判定478においてドロップされ得る。そうでない場合、パケット422はさらに処理され得る(たとえば、そのペイロードが処理され得る)。
【0030】
本明細書において説明されるように、この処理する枝路は、パケット422が最終的にドロップされるべきである場合に特に好ましくないブロッキング効果を生じ得る。上の枝路は、パケット422をドロップすべきかどうかを判定するためのより高速な、またはさもなければより少ない計算リソースのブロッキングする枝路に対応し得る。閾値決定450において、パケット422のパケットタイプが識別され得る。たとえば、フィルタリングモジュール206は、パケット422のヘッダからパケットタイプを読み出すことができ、これは、デコーダ476による復号化および処理よりも高速なプロセスであり得る。以下でさらに説明されるように、フィルタリングモジュール206は、パケットタイプに基づいて、判定478において適用されるべき適切な閾値を決定し得る。
【0031】
図1に戻ると、ステップ106において、本明細書において説明される複数のシステムのうちの1つまたは複数が、少なくとも識別されたパケットタイプに基づいて、信号強度閾値を決定し得る。たとえば、フィルタリングモジュール206は、パケット222のパケットタイプに基づいて、閾値データ250に記憶され得る適切な信号強度閾値を決定し得る。
【0032】
本明細書において説明された複数のシステムは、様々な方法でステップ106を実行することができる。一例では、閾値データ250は、フィルタリングモジュール206がパケット222のパケットタイプについて対応する信号強度閾値を選択し得るように、様々なパケットタイプについての信号強度閾値を含み得る。いくつかの例では、信号強度閾値は、フィルタ値範囲内の信号強度を有する(たとえば、信号強度閾値を満たす)パケットが処理され、且つフィルタ値範囲外の信号強度を有するパケットがドロップされ得るように、信号強度についての上限閾値と下限閾値とを含むフィルタ値範囲を含み得る。複数のフィルタ値範囲を含む閾値データ250は、最初に(統計解析または他の分析に基づいてもよい)予め設定された値に設定され、以下で説明されるように制御モジュール208によって動的に更新されてもよい。
【0033】
図5は、制御モジュール208によって実行され得る制御ループ500を示す。制御モジュール208は、受信ノードと送信ノードとの間の距離、リンク間の干渉、および/またはライブリンク(live link)性能等の種々の要因を用いて、(閾値データ250に対応し得る)閾値550内の信号強度閾値を更新し得る。制御モジュール208は、(トポロジデータ252に対応し得る)トポロジ552を用いて、静的制御(static control)553を実行し得る。
【0034】
図6Aおよび図6Bは、どのように静的制御が信号強度値に対してノード距離を利用し得るかを示す。(さらに、トポロジがマッピングされる(mapped)頻度に関連して)ネットワークのトポロジが頻繁に変化することが予想されないので、トポロジを用いる信号強度閾値管理は、静的制御と呼称され得る。図6Aでは、(図5のトポロジ552に対応し得る)トポロジ652は、ネットワーク内の複数のノードおよびノードの各ペア間の距離(例えば、リンク距離(link distance))等の現在のネットワークトポロジに関する情報を含み得る。トポロジ652は、確立したネットワークに基づく複数の距離などの既知の複数の値を用いて決定されることができる。代替的または追加的に、トポロジ652は動的にマッピングされてもよく、これは、移動しているノード、追加する新しいノード、除去するノード(例えば、故障したノード)などのトポロジの変化を考慮してもよい。トポロジおよび/またはフィルタ値範囲は、パケットを送信/受信する時間、受信したパケットの信号強度などの分析などの統計解析を用いてマッピングされ得る。
【0035】
図6Bは、送信ノード662A、受信ノード660A、送信ノード662B、受信ノード660B、送信ノード662C、および受信ノード660Cの(トポロジ652に対応し得る)トポロジ601を示し、これらの各々は、本明細書において説明される任意のノードに対応し得る。図6Bに示されるように、送信ノード662Aと受信ノード660Aとの間のリンク距離は50mであってもよく、送信ノード662Bと受信ノード660Bとの間のリンク距離は100mであってもよく、送信ノード662Cと受信ノード660Cとの間のリンク距離は300mであってもよい。図6Bには示されていないが、トポロジ601は、ネットワーク内の複数対のノードの追加および/またはすべての順列を含むことができる。
【0036】
静的制御653において、制御モジュール208が現在の受信したパケットについてのノードおよびリンク距離を決定した後、制御モジュール208は、距離テーブル682を用いて、適切なフィルタ値範囲を検索する(look up)ことができる。距離テーブル682に示されるように、より長い距離は、より短い距離のものよりも、上限閾値および下限閾値の両方に対して、より低いフィルタ値閾値を有し得る。より短い距離では、より強い信号が予想され得る。加えて、より短い距離では、(より長い範囲によって反映される)信号強度のより大きな変動が許容可能であり得る。
【0037】
図6Aには示されていないが、フィルタ値範囲は、パケットタイプに基づいて異なり得る。たとえば、データパケットよりも小さいパケットである制御パケットは、(たとえば、より高い上限閾値および/もしくは下限閾値を有する、ならびに/またはより小さい範囲を有する)データパケットのフィルタ値範囲よりも制限的なフィルタ値範囲を有し得る。したがって、異なるパケットタイプは、異なる距離テーブルを有し得る。
【0038】
図5に戻ると、いくつかの例では、制御モジュール208は、(干渉データ254を更新するための)干渉スキャン(interference scan)554および準静的制御(quasi-static control)555に基づいて、複数のフィルタ値範囲(たとえば、閾値550)をさらに微調整し得る。図7は、(干渉スキャン554に対応する)干渉スキャン754および(準静的制御555に対応する)準静的制御755を含む干渉制御700を示す。トポロジに関連する(さらに、干渉スキャンを実行する頻度に関連する)様々な実世界の条件が、干渉の変動を引き起こす可能性があるので、干渉を用いる信号強度閾値管理は、準静的制御と呼称され得る。
【0039】
制御モジュール208は、各リンクについての干渉対雑音比(INR : interference-to-noise ratio)として干渉を測定するために干渉スキャン754を実行することができる。例えば、図3を参照すると、制御モジュール208は、受信モードのままであるように受信ノード360を設定することによって干渉スキャン754を実行することができる。制御モジュール208は、他のノードのペアに送信させ、受信ノード360において干渉を測定することによって、アクティブリンク372(例えば、送信ノード362と受信ノード360との間のリンク)についての干渉を測定し得る。例えば、ノード364は、ノード366に送信し、受信ノード360において測定され得る干渉リンク374を生じさせ得る。ノード364はさらに、ノード368に送信し(これもまた干渉リンク374を生じさせ得る)、様々なノードのペアを用いて継続し得る。したがって、制御モジュール208は、各干渉リンクについてINRを測定するために、受信ノード360の周りの可能性のある様々な干渉リンクにわたって反復し得る。いくつかの例では、制御モジュール208は、INR測定値をINR値のベクトルとして(例えば、干渉データ254の一部として)記憶してもよい。
【0040】
干渉スキャン754からのINR値を用いて、制御モジュール208は、各リンクについて複数のフィルタ値範囲を微調整するためのメトリック784を決定し得る。メトリック784は、INRベクトルの最大INRとINRベクトルの平均INRとの重み付けされた組み合わせ等の複数のINR値についてのマッピング関数(mapping function)を含み得る。制御モジュール208は、複数のフィルタ値範囲に対する調整785を行うために、このメトリックを干渉閾値と比較することができる。干渉閾値は、現在のノードによって示され得るブロッキング効果に対応し得る。メトリックが高すぎる(例えば、閾値よりも大きい)場合、現在の干渉は、極めて大きなブロッキング効果を引き起こし得る。制御モジュール208は、調整785を実行して、対応するフィルタ値範囲の上限値および/または下限値を大きくすることができる。メトリックが低すぎる(例えば、閾値未満である)場合、現在の干渉は、著しいブロッキング効果を生じさせない。制御モジュール208は、調整785を実行して、対応するフィルタ値範囲の上限値および/または下限値を小さくすることができる。大きくすること及び/又は小さくすることは、上限値および下限値に対して同じであっても異なっていてもよい。さらに、大きくする値および/または小さくする値は、分析を用いて決定され得る「1」などの所定の値であってもよく、動的に更新されてもよい。
【0041】
図7には示されていないが、いくつかの例では、制御モジュール208は、パケットのタイプごとに複数のフィルタ値範囲をさらに調整することができる。たとえば、制御パケットについてのフィルタ値範囲は、データパケットについてのフィルタ値範囲とは異なるように、たとえばより積極的に調整され得る。
【0042】
図5に戻ると、いくつかの例では、制御モジュール208はさらに、ノードの(性能データ256に対応し得る)性能556および動的制御557に基づいて、複数のフィルタ値範囲(例えば、閾値550)を微調整し得る。図8は、(性能556に対応する)ライブリンク性能(live link performance)856および(動的制御557に対応する)動的制御857を含むライブ制御(live control)800を示す。ライブリンク性能は、複数のフィルタ値範囲を更新するために連続的に監視され得るので、リンク性能を用いる信号強度閾値管理は、動的制御と呼称され得る。
【0043】
性能856は、現在の信号強度閾値を用いて(現在検査されているリンク上で)複数のパケットを受信するライブリンク性能に対応し得る。制御モジュール208は、分類(カテゴライズ : categorize)886において、現在の信号強度閾値に関して、受信した複数のパケットの分類を実行し得る。たとえば、制御モジュール208は、受信した複数のパケットを2つのエラーケース(error case)、すなわち、偽陽性ケース(例えば、望ましくないパケットをフィルタリングで除去することに失敗した場合、言い換えれば、望ましくないパケットが誤って信号強度閾値を満たす場合)と、偽陰性ケース(例えば、所望のパケットを受信することに失敗した場合、言い換えれば、所望のパケットが誤って信号強度閾値を満たすことに失敗した場合)とに適宜分類し得る。
【0044】
可能な限り多くの所望のパケットを受信する(例えば、ドロップしない)だけでなく、可能な限り多くの望ましくないパケットをフィルタリングで除去する(例えば、ドロップする)ために、制御モジュール208は、各タイプのエラーケースのカウント(count)に基づいて信号強度閾値に対する調整287を実行し得る。偽陰性カウントが高すぎる(例えば、偽陰性閾値よりも大きい)場合、制御モジュール208は、その同じ数のパケットをドロップしないように信号強度閾値を小さくすることができる。偽陽性カウントが高すぎる(例えば、偽陽性閾値よりも大きい)場合、制御モジュール208は、より多くのパケットをフィルリングで除去するために信号強度閾値を大きくすることができる。偽陰性および/または偽陽性閾値は、予め設定された値に基づいて(例えば、解析に基づいて)もよく、性能に基づいて動的に更新されてもよい。
【0045】
所望の複数のパケットを受信することは、望ましくない複数のパケットをフィルタリングで除去することよりも好ましくあり得るで、信号強度閾値を小さくする速度(rate)は、信号強度閾値を大きくする速度よりも速い場合がある。例えば、偽陰性カウントが高すぎる場合、フィルタ値範囲の上限および/または下限閾値は、信号強度閾値を迅速に小さくするために、1/2等の分数だけ小さくされてもよい。偽陽性カウントが高すぎる場合、フィルタ値範囲の上限閾値および/または下限閾値は、信号強度閾値を徐々に大きくするために、「1」等の所定の値だけ大きくされてもよい。上昇率および/または低減率は、性能に基づいて動的に更新されてもよい。
【0046】
加えて、図8には示されていないが、いくつかの例では、各タイプのパケットは、異なる偽陽性および/または偽陰性閾値、ならびに異なる上昇率および/または低減率を有し得る。
【0047】
図5に戻ると、いくつかの例では、制御モジュール208は、信号強度閾値を微調整するために、本明細書において説明される様々な制御方式を組み合わせて利用することができる。変化が検出されると、制御モジュール208はそれに応じて閾値550を更新することができる。たとえば、制御モジュール208は、(現在の閾値550を用いて)性能556を継続的に監視し、ある数のパケットが受信された後など、閾値550を更新するために必要に応じて動的制御557を実行することができる。
【0048】
制御モジュール208は、周期的に、例えば数時間ごとに、干渉スキャン554を実行することができる。新しい干渉スキャンデータが利用可能である場合、制御モジュール208は、それに応じて閾値550を更新するために準静的制御555を実行し得る。トポロジ552が変更される(たとえば、1つまたは複数のリンクが利用不可能になる)と、制御モジュール208は、それに応じて閾値データ250を更新するために静的制御553を実行し得る。いくつかの例では、トポロジ552の変更は、制御モジュール208が、干渉スキャン554および準静的制御555をさらに実行して必要に応じて閾値550をさらに微調整し得るように、以前の干渉スキャンデータを古いものとし得る。
【0049】
ここで図1に戻ると、ステップ108において、本明細書において説明される複数のシステムのうちの1つ以上が、受信したパケットの信号強度を信号強度閾値と比較し得る。例えば、フィルタリングモジュール206は、パケット222の信号強度を信号強度閾値と比較してもよい。
【0050】
本明細書において説明された複数のシステムは、様々な方法でステップ108を実行することができる。一例では、図4の判定478において、フィルタリングモジュール206は、パケット422の信号強度を、450において決定された信号強度閾値(例えば、上限信号強度閾値および下限信号強度閾値)と比較し得る。信号強度が信号強度閾値を満たさない場合、パケット422はドロップされ、もはや処理されなくてもよい。信号強度が信号強度閾値を満たす場合、パケット422はさらに処理され得る。
【0051】
図1に示されるように、ステップ110において、本明細書で説明される複数のシステムのうちの1つ以上は、信号強度が信号強度閾値を満たすときに、受信ノードによって、受信したパケットを処理し得る。例えば、処理モジュール210は、パケット222の信号強度が信号強度閾値を満たす(たとえば、信号強度がフィルタ値範囲内にある)場合、パケット222を処理し得る。
【0052】
本明細書において説明された複数のシステムは、様々な方法でステップ110を実行することができる。一例では、図4に示されるように、パケット422を処理することは、デコーダ476においてパケット422を復号化することを含む下部枝路を通した処理を含み得る。いくつかの例では、パケット422を処理することは、パケット422を、デコーダ476に対するキューなどの複数のパケットを処理するためのキューに入れることを含み得る。パケット422を処理することはまた、パケット422の宛先を読み取ることを含み得る。本明細書において説明されるように、パケット422をドロップすべきかどうかを判定するためにパケット422の宛先を読み取るのを待つことによって、本明細書において説明されるシステムおよび方法が信号強度閾値を使用することによって有利に回避または緩和し得るブロッキング効果が生じ得る。
【0053】
上記で説明されたように、本明細書において提示されるシステムおよび方法は、パケットのタイプ、干渉の強度、および利用可能な情報のレベルに基づいた受信ノード上での適応パケットフィルタリング技法を採用し得る。受信ノードは、特定のパケットフィルタリング手順を用いて、受信したパケットが所望のパケットであるか、または望ましくないパケットであるかを判定することができる。パケットフィルタリング手順は、パケットのタイプごとに異なる閾値を用いることができる。受信ノードは、異なるレベルの情報を利用して閾値範囲を適応的に変更し得る(例えば、トポロジに基づく静的制御、干渉管理スキャンに基づく準静的制御、および実際のリンク性能に基づく動的制御)。受信ノードは、完全な制御ループを利用して、実際の閾値を効率的に、動的に、かつインテリジェントに更新することができる。
【0054】
例示的な実施形態
実施例1:適応無線パケットフィルタリング制御のためのコンピュータにより実行される方法は、(i)無線ネットワークの受信ノードが、前記無線ネットワークの送信ノードによって送信されたパケットを受信し、受信したパケットを取得すること、(ii)前記受信したパケットのパケットタイプを識別すること、(iii)少なくとも識別された前記パケットタイプに基づいて、信号強度閾値を決定すること、(iv)前記受信したパケットの信号強度を前記信号強度閾値と比較すること、(v)前記信号強度が前記信号強度閾値を満たす場合、前記受信ノードが、前記受信したパケットを処理すること、を含み得る。
【0055】
実施例2:実施例1に記載の方法において、前記信号強度閾値は、上限閾値および下限閾値を含むフィルタ値範囲を含む。
実施例3:実施例1または2に記載の方法において、前記信号強度閾値は、前記受信ノードと前記送信ノードとの間の距離に基づいて決定される。
【0056】
実施例4:実施例3に記載の方法において、前記距離は、統計解析を用いて前記無線ネットワークのトポロジをマッピングすることによって決定される。
実施例5:実施例1~4のいずれか1つに記載の方法において、前記信号強度閾値が、前記無線ネットワーク内の送信ノードと受信ノードとの全てのペアについて各リンク間の干渉を測定する前記無線ネットワークの干渉管理スキャンに基づいている。
【0057】
実施例6:実施例5に記載の方法は、前記干渉管理スキャンに基づいて各リンクについての前記信号強度閾値を調整することをさらに備える。
実施例7:実施例6に記載の方法は、リンクについての干渉測定値が干渉閾値よりも大きい場合、前記リンクについての前記信号強度閾値を大きくすることをさらに備える。
【0058】
実施例8:実施例7に記載の方法は、リンクについての干渉測定値が干渉閾値よりも小さい場合に前記リンクについての前記信号強度閾値を小さくすることをさらに備える。
実施例9:実施例1~8のいずれか1つに記載の方法は、前記送信ノードと前記受信ノードとの間のリンクについてのライブリンク性能に基づいて前記信号強度閾値を調整することをさらに備える。
【0059】
実施例10:実施例9に記載の方法は、前記リンクの偽陰性カウントが偽陰性閾値よりも大きい場合に前記信号強度閾値を小さくすることをさらに備える。
実施例11:実施例9または10に記載の方法は、前記リンクの偽陽性カウントが偽陽性閾値よりも大きい場合に前記信号強度閾値を大きくすることをさらに備える。
【0060】
実施例12:実施例1~11のいずれか1つに記載の方法において、前記受信したパケットを処理することは、複数のパケットを処理するためのキューに前記受信したパケットを配置することを含む。
【0061】
実施例13:実施例1~12のいずれか1つに記載の方法において、前記受信したパケットを処理することは、前記パケットの宛先を読み取ることを含む。
実施例14:実施例1~13のいずれか1つに記載の方法は、前記信号強度が前記信号強度閾値を満たさない場合に前記受信したパケットをドロップすることをさらに備える。
【0062】
実施例15:実施例1~14のいずれか1つに記載の方法において、前記パケットタイプは、制御パケットまたはデータパケットを含む。
実施例16:システムは、無線ネットワークと通信するためのアンテナと、少なくとも1つの物理プロセッサと、複数のコンピュータ実行可能命令を備える物理メモリと、を備え、前記複数のコンピュータ実行可能命令は、前記物理プロセッサによって実行されると、前記物理プロセッサに、(i)前記アンテナを介して、前記無線ネットワークの送信ノードによって送信されたパケットを受信し、受信したパケットを取得すること、(ii)前記受信したパケットのパケットタイプを識別すること、(iii)少なくとも識別された前記パケットタイプに基づいて、信号強度閾値を決定すること、(iv)前記受信したパケットの信号強度を前記信号強度閾値と比較すること、(v)前記信号強度が前記信号強度閾値を満たす場合に前記受信したパケットを処理すること、を実行させる。
【0063】
実施例17:実施例16に記載のシステムにおいて、前記信号強度閾値は、前記送信ノードとの間の距離に基づいて決定され、前記距離は、統計解析を用いて前記無線ネットワークのトポロジをマッピングすることによって決定される。
【0064】
実施例18:実施例16または17に記載のシステムは、リンクについての干渉測定値が干渉閾値より大きい場合に前記リンクについての前記信号強度閾値を大きくし、且つリンクについての干渉測定値が前記干渉閾値より小さい場合に前記リンクについての前記信号強度閾値を小さくすることによって、前記無線ネットワーク内の送信ノードと受信ノードとの全てのペアについて各リンク間の干渉を測定する前記無線ネットワークの干渉管理スキャンに基づいて、前記リンクについての前記信号強度閾値を調整することをさらに備える。
【0065】
実施例19:実施例16~18のいずれか1つに記載のシステムは、リンクの偽陰性カウントが偽陰性閾値より大きい場合に前記信号強度閾値を小さくし、前記リンクの偽陽性カウントが偽陽性閾値より大きい場合に前記信号強度閾値を大きくすることによって、前記送信ノードとの前記リンクのライブリンク性能に基づいて、前記信号強度閾値を調整することをさらに備える。
【0066】
実施例20:非一時的コンピュータ可読媒体は、1つまたは複数のコンピュータ実行可能命令を備え、前記1つまたは複数のコンピュータ実行可能命令は、コンピューティングデバイスの少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、前記コンピューティングデバイスに、(i)アンテナを介して、無線ネットワークの送信ノードによって送信されたパケットを受信し、受信したパケットを取得すること、(ii)前記受信したパケットのパケットタイプを識別すること、(iii)少なくとも識別された前記パケットタイプに基づいて、信号強度閾値を決定すること、(iv)前記受信したパケットの信号強度を前記信号強度閾値と比較すること、(v)前記信号強度が前記信号強度閾値を満たす場合に前記受信したパケットを処理すること、を実行させる。
【0067】
上記で詳述したように、本開示において説明及び/又は図示されるコンピューティングデバイス及びシステムは、本開示において説明されるモジュール内に含まれるものなどのようなコンピュータ可読命令を実行することが可能な任意のタイプ又は形態によるコンピューティングデバイス又はシステムを広く表す。それらの最も基本的な構成において、これらのコンピューティングデバイス(単数又は複数)は各々、少なくとも1つのメモリデバイス及び少なくとも1つの物理プロセッサを含み得る。
【0068】
いくつかの実施例において、「メモリデバイス」という用語は概して、データ及び/又はコンピュータ可読命令を記憶することが可能な任意のタイプ又は形態による揮発性又は不揮発性の記憶デバイス又は媒体を指す。一実施例において、メモリデバイスは、本開示において説明される複数のモジュールのうちの1つ以上を記憶、ロード、及び/又は維持することができる。メモリデバイスの例としては、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリ、ハードディスクドライブ(HDD)、ソリッドステートドライブ(SSD)、光ディスクドライブ、キャッシュ、これらのうちの1つ以上の変形形態若しくは組み合わせ、又は任意の他の適切な記憶メモリが挙げられるが、これらに限定されない。
【0069】
いくつかの実施例では、「物理プロセッサ」という用語は概して、コンピュータ可読命令を解釈及び/又は実行することが可能な任意のタイプ又は形態のハードウェア実装処理ユニットを指す。一実施例において、物理プロセッサは、上述したメモリデバイスに記憶された1つ又は複数のモジュールにアクセスする及び/又はそれを修正することができる。物理プロセッサの例としては、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、中央処理装置(CPU)、ソフトコアプロセッサを実装するフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、これらのうちの1つ以上の一部分、これらのうちの1つ以上の変形形態若しくは組み合わせ、又は任意の他の適切な物理プロセッサが挙げられるが、これらに限定されない。
【0070】
複数の別個の要素として示されているが、本明細書において説明および/または示される複数のモジュールは、単一のモジュールまたはアプリケーションの複数の部分を表し得る。さらに、特定の実施形態では、これらのモジュールのうちの1つ以上は、コンピューティングデバイスによって実行されると、コンピューティングデバイスに1つ以上のタスクを実行させ得る、1つ以上のソフトウェアアプリケーションまたはプログラムを表し得る。例えば、本明細書において説明および/または図示される複数のモジュールのうちの1つ以上は、本明細書において説明および/または図示される複数のコンピューティングデバイスまたはシステムのうちの1つ以上で動作するように記憶および構成される複数のモジュールを表し得る。これらのモジュールのうちの1つ以上はまた、1つ以上のタスクを実行するように構成された1つ以上の専用コンピュータの全てまたは複数の部分を表してもよい。
【0071】
加えて、本明細書において説明される複数のモジュールのうちの1つ以上は、データ、物理デバイス、および/または物理的デバイスの表現を1つの形態から別の形態に変換し得る。たとえば、本明細書において列挙される複数のモジュールのうちの1つ以上は、変換されるパケットデータを受信し、データを変換し、パケット信号強度を比較するために変換の結果を出力し、パケットをドロップすべきかどうかを決定するために変換の結果を使用し、パケットをフィルタ処理するために変換の結果を記憶し得る。追加または代替として、本明細書において列挙される複数のモジュールのうちの1つ以上は、コンピューティングデバイス上で実行すること、コンピューティングデバイス上にデータを記憶すること、および/またはさもなければコンピューティングデバイスと対話することによって、プロセッサ、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、および/または物理コンピューティングデバイスの任意の他の部分を、1つの形態から別の形態に変換し得る。
【0072】
いくつかの実施形態において、「コンピュータ可読媒体」という用語は概して、コンピュータ可読命令を記憶又は搬送することが可能な任意の形態のデバイス、キャリア、又は媒体を指す。コンピュータ可読媒体の例としては、搬送波などの伝送型媒体、磁気記憶媒体(例えば、ハードディスクドライブ、テープドライブ、及びフロッピー(登録商標)ディスク)、光記憶媒体(例えば、コンパクトディスク(CD)、デジタルビデオディスク(DVD)、及びBLU-RAY(登録商標)ディスク)、電子記憶媒体(例えば、ソリッドステートドライブ及びフラッシュメディア)、及び他の配信システムなどの非一時的型媒体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0073】
本開示において説明及び/又は図示されるプロセスのパラメータ及びステップの順序は、例としてのみ与えられており所望に応じて変更することができる。例えば、本開示において図示及び/又は説明されるステップは、特定の順序で図示又は説明されている場合があるが、これらのステップは必ずしも図示又は説明された順序で実行される必要はない。本開示において説明及び/又は図示される様々な例示的な方法は、本開示において説明又は図示されるステップのうちの1つ以上を省略してもよく、又は開示されるものに加えて追加のステップを含んでもよい。
【0074】
以上の説明は、当業者が本明細書で開示される例示的な実施形態の様々な態様を最良に利用することを可能にするために提供されている。この例示的な説明は、網羅的であること、又は開示される任意の厳密な形態に限定されることを意図するものではない。本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく多くの変更及び変形が可能である。本明細書に開示された実施形態は、全ての点で例示であって限定するものではないと考えられるべきである。本開示の範囲を決定する際には、添付の特許請求の範囲及びそれらの均等物が参照されるべきである。
【0075】
特段の記載がない限り、本明細書及び特許請求の範囲で使用される「に接続される」及び「に結合される」という用語(及びそれらの派生語)は、直接的接続及び間接的(すなわち、他の要素又は構成要素を介した)接続の両方を可能にするものとして解釈される。また、本明細書及び特許請求の範囲で使用される「1つ」という用語は、「~のうちの少なくとも1つ」を意味するものとして解釈される。最後に、使用を容易にするための、本明細書及び特許請求の範囲で使用される「含む」及び「有する」という用語(及びそれらの派生語)は「備える」という用語と置換可能であり同じ意味を有する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
【外国語明細書】