(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023155172
(43)【公開日】2023-10-20
(54)【発明の名称】乳製品含有組成物またはゼリー様飲食品含有組成物、あるいはこれらの製造方法
(51)【国際特許分類】
A23C 9/152 20060101AFI20231013BHJP
A23L 2/00 20060101ALI20231013BHJP
A23L 29/20 20160101ALI20231013BHJP
A23C 13/14 20060101ALI20231013BHJP
A23C 9/13 20060101ALI20231013BHJP
A23G 9/36 20060101ALI20231013BHJP
A23G 9/42 20060101ALI20231013BHJP
A23L 9/10 20160101ALI20231013BHJP
A23L 29/281 20160101ALI20231013BHJP
A23L 2/52 20060101ALI20231013BHJP
A23L 2/66 20060101ALI20231013BHJP
A23L 29/00 20160101ALI20231013BHJP
A23L 5/20 20160101ALI20231013BHJP
【FI】
A23C9/152
A23L2/00 A
A23L29/20
A23C13/14
A23C9/13
A23G9/36
A23G9/42
A23L9/10
A23L29/281
A23L2/52
A23L2/66
A23L29/00
A23L5/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023043725
(22)【出願日】2023-03-20
(31)【優先権主張番号】P 2022064632
(32)【優先日】2022-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000169466
【氏名又は名称】高砂香料工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 七重
(74)【代理人】
【識別番号】100154988
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 真知
(72)【発明者】
【氏名】大田黒 晴樹
(72)【発明者】
【氏名】各務 佑哉
(72)【発明者】
【氏名】平本 忠浩
【テーマコード(参考)】
4B001
4B014
4B025
4B035
4B041
4B117
【Fターム(参考)】
4B001AC20
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(57)【要約】
【課題】 本発明の目的は、水の存在下で、持続して消臭効果を提供できる保存安定性を有する乳製品含有組成物またはゼリー様飲食品含有組成物、およびこれらの製造方法などを提供することである。
【解決手段】 本発明は、(a)ポリフェノール、および(b)ポリフェノール酸化酵素を含む、乳製品含有組成物またはゼリー様飲食品含有組成物に関し、前記乳製品が、ヨーグルト、飲むヨーグルト、牛乳、生クリーム、プリン、ラクトアイス、または、アイスクリームを含んでもよく、ゼリー様飲食品が、ゼリーまたはゼリー飲料を含んでもよい。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ポリフェノール、および
(b)ポリフェノール酸化酵素を含む、乳製品含有組成物またはゼリー様飲食品含有組成物。
【請求項2】
乳製品が、ヨーグルト、飲むヨーグルト、牛乳、生クリーム、プリン、ラクトアイス、または、アイスクリームを含む、請求項1記載の乳製品含有組成物またはゼリー様飲食品含有組成物。
【請求項3】
ゼリー様飲食品が、ゼリーまたはゼリー飲料を含む、請求項1記載の乳製品含有組成物またはゼリー様飲食品含有組成物。
【請求項4】
体臭消臭用の、請求項1~3のいずれか1項に記載の乳製品含有組成物またはゼリー様飲食品含有組成物。
【請求項5】
(a)ポリフェノール、および
(b)ポリフェノール酸化酵素を含む、乳製品またはゼリー様飲食品用の消臭剤組成物。
【請求項6】
乳製品含有組成物またはゼリー様飲食品含有組成物の製造工程中において、請求項5に記載の消臭剤組成物を、乳製品またはゼリー様飲食品の材料に添加する工程を含む、乳製品含有組成物またはゼリー様飲食品含有組成物の製造方法。
【請求項7】
乳製品またはゼリー様飲食品を消臭する方法であって、乳製品またはゼリー様飲食品にポリフェノールおよびポリフェノール酸化酵素を添加する工程を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消臭効果を有する乳製品含有組成物またはゼリー様飲食品含有組成物、あるいはこれらの製造方法などに関する。
【背景技術】
【0002】
生活における「匂い」は、快適な生活に寄与する重要なファクターであることから、例えば「悪臭」を消すための手段はこれまで多く開発されており、消臭剤はその有効な手段の一つである。
例えば、特許文献1(特許第3562668号公報)には、口臭、冷蔵庫臭、ペットや家畜由来の臭い等の消臭効果に優れ、環境汚染を起こさない、フェノール性化合物とフェノール性化合物を酸化する酵素とを含有する消臭剤組成物が開示されている。
また、特許文献2(特開2008-289899号公報)には、フェノール性化合物とフェノール性化合物を酸化する酵素とミント系フレーバー等のフレーバーとを含有する消臭剤組成物が開示されており、当該組成物を、口腔内洗剤、練り歯磨き、トイレ用洗剤、浴室用洗剤、台所用洗剤、ヘアケア用品、シャンプー、コンディショナー、スキンケア製品、化粧料等に配合する例が記載されている。
また、特許文献3(特開昭63-309269号公報)には、植物抽出物と酸化還元酵素からなる消臭剤が開示されており、練歯磨、歯磨、液状歯磨、マウスウオッシュ、ハンドローション、化粧水等、水などの製品形態について、処方例として記載されている。
また、特許文献4(特開2009-190990号公報)には、甜茶抽出物とラッカーゼと酸とを含有する消臭組成物が開示されており、アイスクリーム、シャーベット、氷菓等の冷菓、キャンディ、グミゼリー、トローチ、飲料や、シャンプー、リンス、クリーム、化粧水などが処方例として記載されている。
【0003】
ここで、高齢者施設や病院での、被介護者から発する不快臭(例えば口臭・体臭・便臭・病理臭)は、介護者に負担を与えることからしばしば問題視されている。
それら身体から出る不快臭を制御することができれば、介護者・被介護者双方のストレスを大きく軽減することができ、また、介護者・被介護者間の良好な関係の維持が期待できることから、その技術や製品の開発には多大な期待が寄せられている。
被介護者から発する臭いを制御する手段の一つとして、食品向け消臭素材の活用は、介護者・被介護者ともに導入のストレスが少ないことから有用である。そのような食品向けに利用可能な消臭素材として、これまでにいくつかの技術が明らかとなっている。
一方で、フェノール性化合物とフェノール性化合物を酸化する酵素を含有する消臭剤組成物は、水中での保存安定性が低いため、実質的には水分含量の低い製品群(例えばチューイングガムやタブレット)への利用に限定されてきた。それらは決して高齢者にとって嚥下しやすい食品であるとはいえず、高齢者や被介護者でも嚥下しやすい、水分量の多い製品への応用技術が望まれていた。
しかしながら、水分存在下で持続して消臭効果を提供できる、保存安定性を有するフェノール性化合物とフェノール性化合物を酸化する酵素を含有する消臭剤組成物やこれを含む製品などについては、これまでに報告がなされていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3562668号公報
【特許文献2】特開2008-289899号公報
【特許文献3】特開昭63-309269号公報
【特許文献4】特開2009-190990号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、水の存在下で、持続して消臭効果を提供できる保存安定性を有する乳製品含有組成物またはゼリー様飲食品含有組成物、およびこれらの製造方法などを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
コーヒー生豆抽出物などに含有されるo-ジフェノールタイプやp-ジフェノールタイプのポリフェノール(以下、「PP」とも呼ぶ)は、ゴボウ抽出物やプルーン抽出物に含有されるポリフェノール酸化酵素(以下、「PPO」とも呼ぶ)の働きによって、ポリフェノールキノン体に変換されることが知られている。ポリフェノールキノン体は含硫化合物や含窒素化合物と容易に結合することが知られており、この作用を利用した消臭剤が本発明者らによって開発され、実用化されている(DEOATAK(登録商標))。
【0007】
PPとPPOの組合せからなる消臭剤組成物は、水の存在下(例えば含水率10%以上)でPPOによるPPの酸化反応が速やかに生じることによって優れた消臭効果を発揮する。しかしながら、水の存在下で保存した場合、PPとPPOの反応が速やかに進行するためPPは直ちに減少を開始する。また、反応によって生成するポリフェノールキノン体は直ちに別のポリフェノールキノン体分子と結合するか、保存溶液中に含まれる別の分子と結合するなどして直ちに消失する。結果的に、PPとPPOからなる従来の消臭剤組成物は水の存在下、室温条件で12時間以内に、消臭作用を担う成分が消失し、完全に消臭効果が消失していた。したがって、水を含む食品や水を共存させた食品加工においてPPとPPOからなる消臭剤組成物を使用することは困難であり、当該消臭剤組成物の応用範囲は大きく限定されてきた。
【0008】
そこで、本発明者らは、消臭剤組成物の応用範囲の可能性を大きく広げるために鋭意研究を続けたところ、予想外にも、PPとPPOからなる消臭剤組成物に特定の成分(成分α)をさらに含有させてなる消臭剤組成物が、水の存在下でかつ室温条件下であっても24時間以上消臭効果を示すことを発見し本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下の態様を含むものである。
〔1〕(a)ポリフェノール、および(b)ポリフェノール酸化酵素を含む、乳製品含有組成物またはゼリー様飲食品含有組成物。
〔2〕乳製品が、ヨーグルト、飲むヨーグルト、牛乳、生クリーム、プリン、ラクトアイス、または、アイスクリームを含む、前記〔1〕記載の乳製品含有組成物またはゼリー様飲食品含有組成物。
〔3〕ゼリー様飲食品が、ゼリーまたはゼリー飲料を含む、前記〔1〕記載の乳製品含有組成物またはゼリー様飲食品含有組成物。
〔4〕体臭消臭用の、前記〔1〕~〔3〕のいずれか1項に記載の乳製品含有組成物またはゼリー様飲食品含有組成物。
〔5〕(a)ポリフェノール、および(b)ポリフェノール酸化酵素を含む、乳製品またはゼリー様飲食品用の消臭剤組成物。
〔6〕乳製品含有組成物またはゼリー様飲食品含有組成物の製造工程中において、前記〔5〕に記載の消臭剤組成物を、乳製品またはゼリー様飲食品の材料に添加する工程を含む、乳製品含有組成物またはゼリー様飲食品含有組成物の製造方法。
〔7〕乳製品またはゼリー様飲食品を消臭する方法であって、乳製品またはゼリー様飲食品にポリフェノールおよびポリフェノール酸化酵素を添加する工程を含む、方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、水の存在下で、持続して消臭効果を提供できる保存安定性を有する乳製品含有組成物またはゼリー様飲食品含有組成物、およびこれらの製造方法などを提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<乳製品含有組成物およびゼリー様飲食品含有組成物>
本発明の乳製品含有組成物およびゼリー様飲食品含有組成物は、(a)ポリフェノール(PP)、および、(b)ポリフェノール酸化酵素(PPO)を含む。本発明の乳製品含有組成物およびゼリー様飲食品含有組成物は、化合物としてのPPとPPOとを消臭の有効成分として含むものであってもよいし、例えば後述するような、植物や菌体を原料にして調製される、PP含有固形成分およびPPO含有パウダーを含むものであってもよい。本発明の乳製品含有組成物およびゼリー様飲食品含有組成物は、10%以上、例えば20%以上、30%以上、50%以上、70%以上、80%以上、または90%以上の含水率を有する。本発明における含水率とは、当該組成物中の水分の含有量(質量%)を意味する。そして、本発明の乳製品含有組成物とは、乳製品を主成分として含有する組成物であり、組成物全体をベースにして、例えば下記に例示する乳製品を10質量%以上、20質量%以上、30質量%以上、50質量%以上、70質量%以上、80質量%以上、85質量%以上、90質量%以上、95質量%以上、98質量%以上、または99質量%以上含む組成物である。本発明のゼリー様食品含有組成物とは、ゼリー様食品を主成分として含有する組成物であり、組成物全体をベースにして、例えば下記に例示するゼリー様食品を10質量%以上、20質量%以上、30質量%以上、50質量%以上、70質量%以上、80質量%以上、85質量%以上、90質量%以上、95質量%以上、98質量%以上、または99質量%以上含む組成物である。
以下、本発明に係る乳製品含有組成物およびゼリー様飲食品含有組成物をまとめて、単に「製品」とも呼ぶ。
【0011】
本発明の乳製品含有組成物の主成分である乳製品は、乳固形分を含む、クリーム、バター、バターオイル、チーズ、濃縮ホエイ、アイスクリーム類、濃縮乳、脱脂濃縮乳、無糖練乳、無糖脱脂練乳、加糖練乳、加糖脱脂練乳、調製液状乳、発酵乳、乳酸菌飲料(無脂乳固形分3.0%以上を含むものに限る)および乳飲料そのものであってもよい。または、本発明の乳製品は、クリーム、バター、バターオイル、チーズ、濃縮ホエイ、アイスクリーム類、濃縮乳、脱脂濃縮乳、無糖練乳、無糖脱脂練乳、加糖練乳、加糖脱脂練乳、調製液状乳、発酵乳、乳酸菌飲料(無脂乳固形分3.0%以上を含むものに限る)、乳飲料、全粉乳、脱脂粉乳、クリームパウダー、ホエイパウダー、たんぱく質濃縮ホエイパウダー、バターミルクパウダー、加糖粉乳、および、調製粉乳を含有するものであって、含水率10%以上の飲食品であってもよい。したがって、本発明の乳製品は、「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」(令和三年六月一日施行版)の定義に沿った製品を含んでもよいが、本発明の乳製品は、この省令の乳製品の定義に縛られるものではない。また、乳固形分は、生乳、牛乳、特別牛乳、生山羊乳、殺菌山羊乳、生めん羊乳、生水牛乳、成分調整牛乳、低脂肪牛乳、無脂肪牛乳及び加工乳由来のものであってもよい。また、乳固形分は、単一種類の原料由来であっても、複数の種類の原料由来であってもよい。
本発明における乳製品は、乳固形分を1質量%以上、13質量%以上、または20質量%以上含むものであってもよい。
具体的には、本発明における乳製品は、例えば、ヨーグルト、飲むヨーグルト、牛乳、生クリーム、プリン(乳固形分を0.5質量%以上または5質量%以上含む)、ラクトアイス、または、アイスクリームであってもよい。
また、例えば、本発明において、牛乳の乳固形分が約13%であってもよいし、ヨーグルトの乳固形分が約13%であってもよいし、飲むヨーグルトの乳固形分が約20%であってもよいし、生クリームの乳固形分が約60%であってもよいし、ラクトアイスの乳固形分が約41%であってもよいし、アイスクリームの乳固形分が約37%であってもよいし、プリンの乳固形分が乳固形分は約5~10%(プリン中の牛乳含有量が50~80%である場合)であってもよい。
【0012】
また、本発明のゼリー様飲食品含有組成物におけるゼリー様飲食品は、ゲル状の食品であれば限定されない。ゼリー様飲食品は、ゼラチンや、ペクチン、寒天、コラーゲン、カラギーナンで固めたものであってもよい。また、ゼリー様飲食品は、果物、果汁、野菜、卵、乳、肉、魚などを含むものであってもよい。
具体的には、前記ゼリー様飲食品は、ゼリーまたはゼリー飲料であってもよく、例えば、オレンジ、レモン、グレープフルーツ等の柑橘系の果汁や、ブドウ、モモ、リンゴ、バナナ等の果汁を含んでいてもよい。
また、例えば、本発明において、ゼリー様飲食品を作るためのゲル化剤の添加濃度は、ゼリー様飲食品の全質量をベースにしたときに、例えばゼラチンであれば1.5質量%~3質量%であってもよく、寒天であれば0.1質量%~0.6質量%であってもよく、カラギーナンであれば0.3質量%~1質量%であってもよく、ペクチンであれば0.3質量%~1質量%であってもよい。
【0013】
本発明の製品におけるポリフェノール(PP)濃度は特に限定されず、例えば、各製品の全量をベースとした前記PP濃度が、カテコール換算で0.004mmol/g以上であってもよいし、0.0004mmol/g以上であってもよい。本発明において、カテコール換算でのPP濃度とは、Folin-ciocalteu法(Am.J.Enol.Vitic.,16,144(1965))により、分子内に1つまたは複数のカテコール構造を有するポリフェノールを標準物質とした検量線(標準物質中のカテコール分子濃度と吸光度の関係)から算出されるカテコール換算のPP濃度とする。
【0014】
本発明の製品におけるポリフェノール酸化酵素(PPO)活性は特に限定されず、例えば、各製品の全量をベースとした前記PPO活性は、0.15ユニット/g以上であってもよく、0.015ユニット/g以上であってもよい。なお、ここでいう酵素活性のユニット(単位)とは、クロロゲン酸1.7mg/mLを基質として5mlリン酸緩衝液(pH6.5)中で25℃、5分間反応させ、10%硫酸を1ml添加し酵素反応を停止させた後、ポアサイズ0.45μmのPVDFメンブレンフィルターで不溶物を除去した溶液の紫外線の吸収420nmでの吸光度を1上昇させる酵素活性を1ユニットと定義する。
【0015】
また、本発明の製品に含まれる前記PPと前記PPOによる消臭活性量は、PPとPPOの単位質量(g)あたり5000以上であることが好ましく、14000以上であることがより好ましい。ここで、本発明における消臭活性量とは、当該PPおよびPPOとメチルメルカプタンとの結合活性を意味し、例えば、以下の方法によって評価される。
PPとPPOを含む被験物質20mgを、容積50mlの円筒形の瓶内(内径3.3cm、高さ6cm)に準備した2mlの0.015%メチルメルカプタンナトリウム/50mMリン酸緩衝液(pH6.5)に添加し、密閉して25℃で20分間反応させた際の、当該有効成分による系内ヘッドスペース中揮発メチルメルカプタンの低下濃度を測定することによって評価される。本発明における消臭活性量は、前記メチルメルカプタン結合活性の評価系において、系内ヘッドスペース中揮発メチルメルカプタンを1ppm低下させる活性を1活性量として定義する。
ここで、本発明の組成について、より具体的な別の態様としては、本発明の製品の1gに対して、ベースの乳製品を0.1~0.99gまたはゼリー様飲食品を0.1~0.99g含んでもよく、かつ、前記乳製品または前記ゼリー様飲食品に対してPPを0.0042~0.42mmol/gまたは0.0084~0.042mmol/g含有してもよく、さらにPPに対してPPOを12~964ユニット/mmolまたは36~607ユニット/mmol、60~159ユニット/mmol含有してもよい。
【0016】
本発明の製品は、含水率10%以上、例えば含水率20%以上、30%以上、50%以上、70%以上、80%以上、90%以上であっても、室温(例えば15~25℃、特に25℃)で、24時間以上、例えば48時間以上、72時間以上、または168時間以上の保存期間、消臭活性を維持する、保存安定性を有するものである。ここで、消臭活性の維持、すなわち、保存安定性とは、例えば、作製直後の本発明の製品の消臭活性を100%とした場合に、それを一定期間保存(使用)した後であっても、例えば30%以上、または50%以上、または80%以上の消臭活性を有することを意味する。
また、本発明の製品は、冷蔵条件(4℃)では、例えば、7日以上、14日以上、または日以上の保存期間、消臭活性を維持する。また、本発明の製品は、冷凍条件(-20℃)では、例えば、28日以上、84日以上、294日以上、559日以上、または768日以上の保存期間、消臭活性を維持する。
また、本発明の製品は、保存温度が低い程より長く消臭活性を維持できる。
【0017】
本発明の製品は(製品そのものの臭いや、その製品の周囲の臭いを消臭する効果を有するほか、)その製品を飲食したヒトや動物が、その口臭や体臭、便臭を消臭する効果を有する。本発明の製品は、含水率が高い場合であっても、安定した消臭効果の提供が可能となり、消臭剤としての応用範囲の可能性を広げることができる。
例えば、一態様として、製品中のPPとPPOの濃度は、製品で必要とされる用途に応じて当業者が適宜決定してもよい。例えば、本発明の製品を口臭の消臭剤として使用する場合には、一回あたり15以上、好ましくは25以上、さらに好ましくは50以上の消臭活性量が摂取できるよう適宜設定することができる。体臭の消臭剤として使用する場合には、一回あたり2500以上の消臭活性量が摂取できるよう適宜調製することができる。便臭の消臭剤として使用する場合には一回あたり1000以上、好ましくは5000以上の消臭活性量が摂取できるよう適宜設定することができる。
本発明における消臭効果や保存安定性は、本実施例の手法で確認できる。
以下、ポリフェノール(PP)、および、ポリフェノール酸化酵素(PPO)等について詳述する。
【0018】
≪ポリフェノール(PP)≫
前記ポリフェノールは、同一ベンゼン環に少なくとも2個のヒドロキシ基が結合したポリフェノール構造を有する化合物全てを指す。前記ポリフェノールには、配糖体も含まれる。前記ポリフェノールは、o-ジフェノール構造を有するもの(o-ジフェノールタイプ)および/またはp-ジフェノール構造を有するもの(p-ジフェノールタイプ)が好ましい。前記ポリフェノールは、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0019】
前記ポリフェノールの具体例としては、例えば、アピゲニン、アピゲニン配糖体、アカセチン、イソラムネチン、イソラムネチン配糖体、イソクエルシトリン、エピカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキン、エピガロカテキンガレート、エスキュレチン、エチルプロトカテキュ酸塩、エラグ酸、カテコール、ガンマ酸、カテキン、ガルデニン、ガロカテキン、カフェ酸、カフェ酸エステル、クロロゲン酸、ケンフェロール、ケンフェロール配糖体、ケルセチン、ケルセチン配糖体、ケルセタゲニン、ゲニセチン、ゲニセチン配糖体、ゴシペチン、ゴシペチン配糖体、ゴシポール、4-ジヒドロキシアントラキノン、1,4-ジヒドロキシナフタレン、シアニジン、シアニジン配糖体、シネンセチン、ジオスメチン、ジオスメチン配糖体、3,4’-ジフェニルジオール、シナピン酸、ステアリル-β-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、スピナセチン、タンゲレチン、タキシホリン、タンニン酸、ダフネチン、チロシン、デルフィニジン、デルフィニジン配糖体、テアフラビン、テアフラビンモノガレート、テアフラビンビスガレート、トリセチニジン、L-ドーパ、ドーパミン、ナリンゲニン、ナリンジン、ノルジヒドログアヤレチック酸、ノルアドレナリン、ヒドロキノン、バニリン、パチュレチン、ハーバセチン、バニリルアルコール、バニトロープ、バニリンプロピレングリコールアセタール、バニリン酸、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン酸、ビスフェノールA、ピロカテコール、ビテキシン、4,4’-ビフェニルジオール、4-t-ブチルカテコール、2-t-ブチルヒドロキノン、プロトカテキュ酸、フロログルシノール、フェノール樹脂、プロシアニジン、プロデルフィニジン、フロレチン、フロレチン配糖体、フィゼチン、フォリン、フェルバセチン、フラクセチン、フロリジン、ペオニジン、ペオニジン配糖体、ペルオルゴニジン、ペルアグゴニジン配糖体、ペチュニジン、ペチュニジン配糖体、ヘスペレチン、ヘスペレジン、没食子酸、没食子酸エステル(没食子酸メチル、没食子酸エチル、没食子酸ドデシル、没食子酸ラウリル、没食子酸プロピル、没食子酸ブチル、没食子酸オクチル等)、マンジフェリン、マルビジン、マルビジン配糖体、ミリセチン、ミリセチン配糖体、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(4-エチル-6-t-ブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(4-エチル-6-t-ブチルフェノール)、メチルアトラレート、4-メチルカテコール、5-メチルカテコール、4-メトキシカテコール、5-メトキシカテコール、メチルカテコール-4-カルボン酸、2-メチルレゾルシノール、5-メチルレゾルシノール、モリン、リモシトリン、リモシトリン配糖体、リモシトロール、ルテオリン、ルテオリン配糖体、ルテオリニジン、ルテオリニジン配糖体、ルチン、レゾルシン、レスベラトロール、レゾルシノール、ロイコシアニジン、ロイコデルフィニジン、ロスマリン酸等が挙げられる。
【0020】
これらのポリフェノールの中でも、ケルセチン、エピカテキン、および、エピガロカテキン等のフラボノイド類およびそれらの配糖体、没食子酸、没食子酸エステル、クロロゲン酸、カフェ酸、カフェ酸エステル、タンニン酸、ピロカテコール、ノルジヒドログアイアレクチック酸、L-ドーパ、4-メチルカテコール、5-メチルカテコール、4-メトキシカテコール、5-メトキシカテコール等のo-ジフェノール構造を有するポリフェノール、および、ヒドロキノンが好ましく、取り扱いの容易さ、入手のし易さ、およびポリフェノール酸化酵素と組み合わせた際の消臭活性の強さの観点から、クロロゲン酸類またはカテキン類であることが特に好ましい。
【0021】
前記ポリフェノールは、公知の方法により調製できるが、市販品を購入しても、合成により調製してもよい。本発明において、前記ポリフェノールは、ポリフェノール含有植物体またはその抽出物に由来してもよい。前記ポリフェノール含有植物体とは、当該植物体、すなわち葉、花、実、茎、皮および(球)根などを意味し、例えば、葉、花、実、茎、皮および(球)根を乾燥してなる乾燥物、前記乾燥物の粉砕物(粉末)、または未乾燥の生の状態の粉砕物(粉末)などを含む。ポリフェノール含有植物体の抽出物とは、前記植物体を、水、例えば、蒸留水やイオン交換水で、または親水性若しくは疎水性有機溶媒で抽出した液自体または抽出液の(凍結)乾燥物を含む。抽出方法は、溶剤抽出に限らず、超臨界抽出等でも何ら問題ない。前記抽出物は公知の方法により調製されたものを使用してもよいし、また市販のものを使用してもよい。
【0022】
前記ポリフェノール含有植物としては、本発明の所期の目的を損なわない限りその種類は特に制限されない。本発明におけるポリフェノール含有植物としては、例えば、アロエ、アニスシード、エルダー、エレウテロコック、オオバコ、オレンジフラワー、オールスパイス、オレガノ、カノコソウ、カモミル、カプシカムペッパー、カルダモン、カシア、ガーリック、キャラウエイシード、クローブ、クミンシード、コーラ、コリアンダーシード、五倍子、サフラン、サンショウ、ジュニパーベリー、シナモン、ジンジャー、スター・アニス、セント・ジョーンズ・ウオルト、セロリーシード、セサミ(ゴマ)、ダイオウ、タラゴン、ターメリック、チィスル、デイルシード、ナツメグ、ネットル、ハイビスカス、ハマメリス、バーチ、バジル、ビター・オレンジ、フェンネル、プリムローズ、フェヌグリーク、ベルベナ、ベイローレル、ホップ、ボルドー、ホースラデイッシュ、ポピーシード、没食子、マリーゴールド、マロー、マジョラム、マスタード、ミルフォイル、ミントリーブス、メリッサ、メース、リンデン、リンドウ、ローズヒップ、ローズマリー、マンネンロウ、ひまわり種子、ブドウ果皮、リンゴ、ニンジン葉、バナナ、イチゴ、アンズ、モモ、プラム、パイナップル、ナシ、カキ、サクランボ、パパイヤ、マンゴー、アボガド、メロン、ビワ、イチジク、キウイ、プルーン、ブルーベリー、ブラックベリー、ラスベリー、ツルコケモモ、コーヒー(生)豆、カカオ(生)豆、ブドウ種子、グレープフルーツ種子、ペカンナッツ、カシューナッツ、クリ、ココナッツ、ピーナツ、クルミ、緑茶葉、紅茶葉、ウーロン茶葉、苦丁茶、マテ茶、ルイボス茶、タバコ、シソ葉、ニワタイム、セージ、ラベンダー、スペアミント、ペパーミント、サントリソウ、ヒソップ、メボウキ、マリーゴールド、タンポポ、アーチチョーク、ドイツカミルレ、キンミズヒキ、カンゾウ、アニス、ノコギリソウ、ユーカリ、ワームウッド、香油、シシウド、コロハ、シシトウガラシ、ウイキョウ、トウガラシ、コエンドロ種子、ヒメウイキョウ種子、ウイキョウ種子、ショウガ、西洋ワサビ、マヨラナ、ハナハッカ、ニホンハッカ、カラシナ、パセリ、コショウ、セイヴォリー、タラゴン、ウコン、ワサビ、イノンド種子、柑橘果実、西洋ナシ、タイム等や、ニンジン、ゴボウ、ピーマン、カブ、ジャガイモなどの野菜類全般が挙げられる。特に、ローズマリー、ひまわり種子、ブドウ果皮、リンゴ、ニンジン葉、コーヒー(生)豆、カカオ(生)豆、ブドウ種子、緑茶葉、紅茶葉、ウーロン茶葉、シソ葉、ニワタイム、セージ、スペアミント、ペパーミント、西洋ナシ、バナナ、タイム、五倍子、没食子が好ましい。また、取り扱いの容易さ、入手のし易さ、およびポリフェノール酸化酵素と組み合わせた際の消臭活性の強さの観点からコーヒー(生)豆であることが特に好ましい。前記ポリフェノール含有植物は、1種であっても、複数種の植物の混合物であってもよい。
【0023】
≪ポリフェノール酸化酵素(PPO)≫
前記ポリフェノール酸化酵素は、上記ポリフェノールを、キノン構造を有する化合物に酸化する作用を有する酵素、あるいは当該作用と共に、フェノール性水酸基を付加させ、キノンに酸化させる作用を有する酵素である。特に限定されるものではないが、例えばカテコールオキシダーゼ、ポリフェノールオキシダーゼ、チロシナーゼ、ラッカーゼ、グルコースオキシダーゼ、ペルオキシダーゼ、アスコルビン酸オキシダーゼなどが挙げられる。
前記ポリフェノール酸化酵素は、公知の方法により調製できるが、市販品を購入してもよい。また、植物や菌体より得られるポリフェノール酸化酵素を用いることもできる。本発明では植物由来の粗酵素(ポリフェノール酸化酵素)を使用することが好ましい。すなわち、前記ポリフェノール酸化酵素は、ポリフェノール酸化酵素含有植物体またはその抽出物に由来することが好ましい。ポリフェノール酸化酵素含有植物体とは、当該植物の葉、花、実、茎、皮および(球)根などを意味し、例えば、葉、花、実、茎、皮および(球)根を(凍結)乾燥してなる(凍結)乾燥物、前記(凍結)乾燥物の粉砕物(粉末)、または未乾燥の生の状態の粉砕物(粉末)などを含む。より具体的には、これら植物を凍結乾燥して得られる凍結乾燥粉末、熱風乾燥して得られる熱風乾燥粉末も本発明の植物体に含まれ、また、これら植物をミキサーで粉砕し、アセトンやアルコール等の有機溶剤に浸漬後、ろ過、真空乾燥により粉末化したものも本発明の植物体に含まれる。また、ポリフェノール酸化酵素含有植物体の抽出物とは、前記植物体を、水、例えば、蒸留水やイオン交換水で、または親水性若しくは疎水性有機溶媒で抽出した液自体または抽出液の(凍結)乾燥物を含む。前記抽出物は公知の方法により調製されたものを使用してもよいし、また市販のものを使用してもよい。
【0024】
前記ポリフェノール酸化酵素含有植物やポリフェノール酸化酵素含有菌体(菌類)としては、本発明の所期の目的を損なわない限りその種類は特に制限されない。前記ポリフェノール酸化酵素含有菌類としては、マッシュルームなどのアガリクス属のキノコおよびポリルチーニ等のボレタス属のキノコなどが挙げられる。前記ポリフェノール酸化酵素含有植物としては、リンゴ、バナナ、ナシ、西洋ナシ、イチゴ、カキ、パイナップル、ブドウ、アンズ、モモ、プラム、パパイヤ、マルメロ、アボガド、マンゴー、サクランボ、アプリコット、メロン、ビワ、イチジク、プルーン、キウイ、ブルーベリー、ブラックベリー、ラスベリー、ツルコケモモ、スグリ、ゴボウ、ナス、トマト、ヨモギ、ハスの根、レタス、キャベツ、甜菜、ホップ、バースニップ、ほうれん草、大根、カブ、カリフラワー、チコリ、タマネギ、セロリ、ニンジン、アスパラガス、西洋ワサビ、ショウガ、アロエ、ピーマン、大麦、小麦、トウモロコシ、アルファルファ、モルト、ソラマメ、大豆、アズキ、インゲン、サヤインゲン、ヤエナリ、バレイショ、サツマイモ、サトウキビ、タロイモ、茶、タバコ、オリーブ、ナツメグ、キクなどが挙げられる。
本発明におけるポリフェノール酸化酵素含有植物としては、ゴボウ、プルーン、ナシ、西洋ナシ、リンゴであることが好ましい。前記ポリフェノール含有植物は、1種であっても、複数種の植物の混合物であってもよい。
【0025】
≪本製品が含みうる任意成分≫
本発明の製品は、例えば飲食品など常用される各種配合剤や添加剤を任意で含んでもよい。例えば、抗酸化剤、公知の防腐剤や抗菌剤、pH調整剤、甘味料、酸味料、増量剤、色素、乳化剤、機能性物質、既存の風味改善剤、アミノ酸やペプチドなどの含窒素化合物、各種フレーバー素材、界面活性剤、研磨剤、粘結剤、湿潤剤、その他溶剤等が挙げられる。これらの配合剤または添加剤は、いずれの組み合わせで2種以上併用してもよい。
【0026】
より具体的には、甘味料としては、例えば、砂糖、果糖、乳糖、ブドウ糖、パラチノース、麦芽糖、トレハロース、ソルビトール、エリスリトール、マルチトール、還元パラチノース、キシリトール、ラクチトール水飴、オリゴ糖、アスパルテーム、スクラロース、アセスルファムカリウム、サッカリン、サッカリンナトリウム、ステビア、ステビアエキス、ステビオサイド、ネオテーム、アリテーム、ソーマチン、ネオヘスペリジンジヒドロカルコン、パラメトキシシンナミックアルデヒド、ペリラルチン、甘草等が挙げられる。
酸味料としては、酢酸、乳酸、クエン酸等が挙げられる。
増量剤としては、糖類、多糖類、加工澱粉、カゼイン、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、レシチン等が挙げられる。
【0027】
色素としては、天然色素、有機合成色素などが挙げられ、具体的には、ハイビスカス色素、ハクルベリー色素、プラム色素、ノリ色素、デュベリー色素、ブドウ果汁色素、ブラックベリー色素、ブルーベリー色素、マルベリー色素、モレロチェリー色素、レッドカーラント色素、ローガンベリー色素、パプリカ粉末、麦芽エキス、ルチン、フラボノイド、アカキャベツ色素、アカダイコン色素、アズキ色素、ウコン色素、オリーブ茶、カウベリー色素、クロレラ末、サフラン色素、シソ色素、ストロベリー色素、チコリ色素、ペカンナッツ色素、ベニコウジ色素、ベニバナ色素、ムラサキイモ色素、ラック色素、スピルリナ色素、タマネギ色素、タマリンド色素、トウガラシ色素、クチナシ色素、カラメル色素、シコン色素、シタン色素、オキアミ色素、オレンジ色素、ニンジンカロテン、青色1号、黄色4号、緑色3号等が挙げられる。
【0028】
乳化剤としては、例えば、脂肪酸モノグリセライド、脂肪酸ジグリセライド、脂肪酸トリグリセライド、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、レシチン、酵素処理レシチン、澱粉、加工澱粉、デキストリン、ソルビタン脂肪酸エステル、キラヤ抽出物、アラビアガム、トラガントガム、グアーガム、カラヤガム、キサンタンガム、ペクチン、アルギン酸およびその塩類、カラギーナン、ゼラチン、カゼイン等が挙げられる。
【0029】
機能性物質とは栄養機能や生体調節機能を有する物質を意味し、例えば、ドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコサペンタエン酸(EPA)、DHAおよび/またはEPA含有魚油、リノール酸、γ-リノレン酸、α-リノレン酸、レシチン、ジアシルグリセロールなどの動植物油脂類やその誘導体、ローズマリー、セージ、シソ油、キチン、キトサン、ローヤルゼリー、プロポリスなどの動植物抽出物、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンF、ビタミンK、コエンザイムQ10、αリポ酸などのビタミン類、補酵素およびその誘導体、γ-オリザノール、カテキン、アントシアニン、イソフラボン、ルチン、クロロゲン酸、テアフラビンなどのポリフェノール類、難消化デキストリンなどの食物繊維類、パラチノース、キシリトール、オリゴ糖などの糖質、クエン酸リンゴ酸カルシウム(CCM)などの塩類、カゼインホスホペプチド、ラクトフェリン、乳性ペプチドなどの乳タンパク由来物質、ヘム鉄、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化第1錫、フッ化ストロンチウム、モノフルオロリン酸ナトリウム等のフッ化物、正リン酸のカリウム塩、ナトリウム塩等の水溶性リン酸化合物、トラネキサム酸、イプシロンアミノカプロン酸、酢酸dl-トコフェノール、α-ビサボロール、ジヒドロコレステロール、クロロヘキシジン塩類、アズレン、グリチルレチン、グリチルレチン酸、グリチルリチン酸およびその塩類、銅クロロフィリンナトリウム、クロロフィル、グリセロホスフェート等のキレート性リン酸化合物、グルコン酸銅等の銅化合物、乳酸アルミニウム、塩化ストロンチウム、硝酸カリウム、ヒドロキサム酸およびその誘導体、トリポリリン酸ナトリウム、メトキシエチレン、エピジヒドロコレステリン、アラントインクロルヒドロキシアルミニウム、アスコルビン酸、塩化リゾチーム、イソプロピルメチルフェノール、塩化ベンゼトニウム、塩化セチルピリジニウム、トリクロロカルバニリド、クエン酸亜鉛、オウバクエキス等が挙げられる。
【0030】
公知の風味改善素材としては、例えば、スクラロース、サイクロデキストリン、テアニン、ヘスペリジン配糖体、サトウキビ抽出物等が挙げられる。
【0031】
各種フレーバー素材としては、例えば、天然香料、天然精油等や各種合成香料を用いることができる。これらの香料は、飲食品、医薬品、香粧品、オーラルケア製品に使用できるものであれば特に限定されないが、例えば、エステル類、アルデヒド類、(チオ)エーテル類、アルコール類、ケトン類、ラクトン類、カルボン酸、脂肪族炭化水素、含窒素複素環化合物、含硫黄複素環化合物、アミン類、チオール類、フェノール類、精油などが挙げられる。
【0032】
具体的な化合物としては、アセトアルデヒド、アセト酢酸エチル、アセトフェノン、アネトール、アニスアルデヒド、アミルアルコール、α-アミルシンナムアルデヒド、アリルシクロヘキサンプロピオネート、アントラニル酸メチル、アンブレットリド、イオノン、イソアミルアルコール、イソオイゲノール、イソ吉草酸イソアミル、イソ吉草酸エチル、イソチオシアネート類、イソチオシアン酸アリル、イソバレルアルデヒド、イソブタノール、イソブチルアルデヒド、イソプロパノール、イソペンチルアミン、インドールおよびその誘導体、γ-ウンデカラクトン、エチルアセテート、2-エチル-3,5-ジメチルピラジンおよび2-エチル-3,6-ジメチルピラジンの混合物、エチルチオアセテート、エチルバニリン、2-エチルピラジン、エチルブチレート、2-エチル-3-メチルピラジン、2-エチル-5-メチルピラジン、5-エチル-2-メチルピラジン、エチルメチルフェニルグリシデート、エチルラクテート、オイゲノール、オクタナール、オクタン酸エチル、カプサイシン、カルビールアセテート、カルボン、ギ酸イソアミル、ギ酸ゲラニル、ギ酸シトロネリル、ケイ皮酸、ケイ皮酸エチル、ケイ皮酸メチル、ケトン類、ゲラニオール、酢酸イソアミル、酢酸エチル、酢酸ゲラニル、酢酸シクロヘキシル、酢酸シトロネリル、酢酸シンナミル、酢酸テルピニル、酢酸フェネチル、酢酸ブチル、酢酸ベンジル、酢酸l-メンチル、酢酸リナリル、サリチル酸エチル、サリチル酸メチル、2,3-ジエチル-5-メチルピラジン、シクロヘキシルプロピオン酸アリル、シトラール、シトロネラール、シトロネロール、1,8-シネオール、ジメチルサルファイド、2,3-ジメチルピラジン、2,5-ジメチルピラジン、2,6-ジメチルピラジン、2,6-ジメチルピリジン、ジンゲロール、シンナミルアルコール、シンナムアルデヒド、スピラントール、チモール、デカナール、デカノール、デカン酸エチル、5,6,7,8-テトラヒドロキノキサリン、2,3,5,6-テトラメチルピラジン、テルピネオール、2,3,5-トリメチルピラジン、γ-ノナラクトン、バニリルブチルエーテル、バニリン、パラメチルアセトフェノン、バレルアルデヒド、ヒドロキシシトロネラール、ヒドロキシシトロネラールジメチルアセタール、ピネン、ピペリジン、ピペリン、ピペロナールピラジン、ピロリジン、フェニル酢酸イソアミル、フェニル酢酸イソブチル、フェニル酢酸エチル、2-(3-フェニルプロピル)ピリジン、フェネチルアミン、フェノキシエチルイソブチレート、フェンコン、ブタノール、ブチルアミン、ブチルアルデヒド、フルフラールおよびその誘導体、プレゴン、プロパノール、プロピオンアルデヒド、プロピオン酸、プロピオン酸イソアミル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ベンジル、ヘキサン酸、ヘキサン酸アリル、ヘキサン酸エチル、ヘキサナール、ヘキセノール、ヘプタン酸エチル、ペリルアルデヒド、ベンジルアルコール、ベンズアルデヒド、2-ペンタノール、1-ペンテン-3-オール、d-ボルネオール、マルトール、メチルアンスラニレート、N-メチルアントラニル酸メチル、メチルエピジャスモネート、5-メチルキノキサリン、6-メチルキノリン、5-メチル-6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタピラジン、メチル β-ナフチルケトン、2-メチルピラジン、2-メチルブタノール、3-メチル-2-ブタノール、2-メチルブチルアルデヒド、3-メチル-2-ブテナール、3-メチル-2-ブテノール、メンチルアセテート、l-メントール等のメントール各異性体、メントン、酪酸、酪酸イソアミル、酪酸エチル、酪酸シクロヘキシル、酪酸ブチル、炭素数4~12のガンマおよびデルタラクトン、リナリルアセテート、リナロール、リモネンなどが挙げられる。
【0033】
具体的な精油としては、アニス油、アニススター油、ベルガモット油、メボウキ油、月桂樹葉ウエストインデアン油、ガルバナム油、リンゴ油、アプリコット油、カッシア油、クスノキ剤油、ブチュ葉油、カルダモン種子油、カッシア樹皮油、クモミル花ローマン油、シナモン樹皮油、肉桂葉油、チョウジ蕾み油、コニャックグリーン油、コエンドロ油、クベバ油、ヒメウイキョウ油、ウイキョウ甘油、ニンニク油、ショウガ油、ペチグレイン油、レモン油、ライムオイル、オレンジ油、柑橘油、杉剤油、シトロネラ油、パッチュリ油、ユーカリ油、ベイ油、グレープフルーツ油、マンダリン油、白檀油、杜松実油、ローズ油、イラン油、タンジェリン油、ゼラニウム油、ウィンターグリーン油、クローブ油、タイム油、セージ油、カルダモン油、コリアンダー油、ライム油、柚子油、ラベンダー油、ローズマリー油、ローレル油、シソ油、カモミル油、キャラウェイ油、マジョラム油、セロリ油、ベイ油、オリガナム油、パインニードル油、ネロリ油、ジャスミン油、パチュリ油、パラクレス油、オリスコンクリート、ローズアブソリュート、オレンジフラワーアブソリュート、バニラアブソリュート、パチュリアブソリュート、あるいは、これらの加工処理物(前溜部カット、後溜部カット、分留、液液抽出、エッセンス化、粉末香料化等)などが挙げられる。
【0034】
<消臭剤組成物>
本発明は、乳製品またはゼリー様飲食品用の、(a)ポリフェノール(PP)、および、(b)ポリフェノール酸化酵素(PPO)を含む消臭剤組成物に関する。当該消臭剤組成物は、化合物としてのPPとPPOのみからなる消臭剤組成物であってもよいし、例えば上述したような、植物や菌体を原料にして調製される、PP含有固形成分およびPPO含有パウダーとからなる消臭剤組成物であってもよい。
本発明の消臭剤組成物が対象とする乳製品およびゼリー様飲食品は、上述したものと同様である。
本発明の消臭剤組成物におけるPPおよびPPO濃度、およびその消臭活性量は、乳製品およびゼリー様飲食品において使用時に、すでに上述したような温度や濃度条件下で使用するのに適した濃度であれば、特に限定されない。
【0035】
<乳製品含有組成物またはゼリー様飲食品含有組成物の製造方法>
本発明は、乳製品含有組成物またはゼリー様飲食品含有組成物の製造工程中において、上記消臭剤組成物を、乳製品またはゼリー様飲食品の材料に添加する工程を含む、乳製品含有組成物またはゼリー様飲食品含有組成物の製造方法にも関する。
本発明の製造方法で得られる乳製品含有組成物およびゼリー様飲食品含有組成物は、上述したものと同様である。当該製造方法における製造工程には、一般的な工程を含み、消臭剤組成物は材料を均一化するための工程で添加されてもよい。
また、本発明の製造方法で添加されるPPおよびPPOの濃度、および得られる製品の消臭活性量は、得られる乳製品含有組成物およびゼリー様飲食品含有組成物において、すでに上述したような条件で使用するのに適した濃度であれば、特に限定されない。
【0036】
具体的には、例えば、ヨーグルトを含む製品の製造工程は、一般的に「原料乳への乳酸菌添加工程」、「発酵工程」、「攪拌均質化工程」、「充填工程」を含むが、このうち「攪拌均質化工程」に消臭剤組成物を添加して、均一化してもよい。
また、例えば、牛乳の製造工程は、一般的に「搾乳工程」、「集乳工程」、「冷却工程」、「貯乳工程」、「クラリファイアー工程」、「均質化工程」「加熱殺菌工程」、「冷却後貯蔵工程」、「充填包装」、「冷蔵工程」を含むが、このうち「均質化工程」、「加熱殺菌工程」の前後、「充填工程」に消臭剤組成物を添加して、均一化してもよい。
また、例えば、生クリームを含む製品の製造工程は、一般的に「生乳の加温工程」、「分離工程」、「冷却工程」、「調整工程」、「殺菌工程」、「冷却工程」、「エージング工程」、「充填工程」、「冷蔵工程」を含むが、このうち「調整工程」、「殺菌工程」の前後、「充填工程」に消臭剤組成物を添加して、均一化してもよい。
また、例えば、アイスクレームやラクトアイスを含む製品などの製造工程は、一般的に「原料の混合、溶解、および、ろ過工程」、「均質化工程」、「殺菌および冷却工程」、「熟成工程」、「フリージング工程」、「充填工程」を含むが、このうち「原料の混合、溶解、および、ろ過工程」において、または、「殺菌および冷却工程」の前後、「充填工程」に消臭剤組成物を添加して、均一化してもよい。
【0037】
また、例えば、ゼリーを含む製品の製造工程は、一般的に「ゲル化剤と水の混合工程」、「加熱溶解工程」、「調整工程」、「充填工程」、「密封工程」、「殺菌工程」、「冷却工程」を含むが、このうち「調整工程」に消臭剤組成物を添加して、均一化してもよい。
また、例えば、プリンの製造工程は、一般的に「材料の配合工程」、「殺菌工程」、「充填工程」、「冷却工程」を含むが、このうち「配合工程」、または「殺菌工程」の前後、「充填工程」に消臭剤組成物を添加して、均一化してもよい。
なお、均質化工程、殺菌工程、充填工程などの各工程は、常法に従うことができる。
また、本発明で使用されるPPとPPOは、DEOATAK(登録商標)由来であってもよい。
【0038】
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例0039】
1 ポリフェノール含有植物抽出物の調製
ポリフェノール含量は、Folin-ciocalteu法(Am.J.Enol.Vitic.,16,144(1965)により測定した。なお、抽出物のポリフェノール濃度はクロロゲン酸を標準物質とした検量線(カテコール分子濃度と吸光度の関係)から算出されるカテコール換算でのポリフェノール濃度として示した。
【0040】
1.1 コーヒー生豆抽出物
コーヒー生豆を粉砕機で粉砕後(メッシュ5mm)、水を加えて85~95℃で2時間抽出した。抽出物を濾過後、濾液をXAD-2(オルガノ(株)製)カラムに吸着させた。水で洗浄した後、メタノールで溶出させたものを濃縮乾固し、コーヒー生豆抽出物とした。得られたコーヒー生豆抽出物のポリフェノール含量は0.84mmol/gであった。
【0041】
2 ポリフェノール酸化酵素の調製
(比活性の測定)
上記各植物体由来のサンプルについて、クロロゲン酸(東京化成)1.7mg/mLを基質として5mlリン酸緩衝液(pH6.5)中で25℃、5分間反応させた後、10%硫酸を1ml添加して酵素反応を停止させた。ポアサイズ0.45μmのPVDFメンブレンフィルターで不溶物を除去した後の溶液の紫外線の吸収420nmでの吸光度を1上昇させる酵素活性を1ユニットと定義した。
【0042】
2.1 ゴボウパウダー
洗浄したゴボウに-20℃のアセトンを入れてミキサーで磨砕した後、吸引ろ過した。残渣は5℃の80%アセトン含水溶液で十分洗浄し、濾液と合わせてアセトン溜去後、凍結乾燥してゴボウパウダーを得た。得られたゴボウパウダーの酵素比活性は50ユニット/gであった。
【0043】
2.2 プルーンパウダー凍結乾燥粉末
プルーン果実を洗浄後に種抜き、粉砕し水洗後、凍結乾燥して粉末にした。得られたプルーンパウダーの酵素比活性は30ユニット/gであった。
【0044】
3.乳製品含有組成物の保存安定性の検討
以下の試験では、コーヒー生豆抽出物とゴボウパウダーまたはプルーンパウダー(1:1(質量比))とからなる消臭剤組成物(以下、PP+PPO組成物とも呼ぶ)を使用した。以下の工程で本発明に係る乳製品の保存安定性を確認した。
乳製品には、市販のヨーグルト(明治社製ブルガリアヨーグルトLB81プレーン)、飲むヨーグルト(ヤスダヨーグルト社製ドリンクヨーグルト)、牛乳(雪印メグミルク社製成分無調整牛乳)、生クリーム(タカナシ社製生クリーム(乳脂肪分42%))、ラクトアイス(明治社製スーパーカップバニラ)、アイスクリーム(ハーゲンダッツ社製ハーゲンダッツバニラ)およびプリン(雪印社製なめらかプリン)を用いた。
(1)市販の各乳製品をそのまま用いるサンプル(100%と表記)、または、市販の各乳製品を10質量%の水溶液にしたサンプルに、PP+PPO組成物を1質量%の量で添加してなる製品を作製し、これを密閉した。但し、ヨーグルト(100%)およびプリン(100%)は流動性が低いため、後述する消臭試験時に当該製品を、さらに0.05M pH6.5 リン酸緩衝液で2倍希釈する必要があるため、これらには消臭剤組成物を2質量%の量で添加した。
(2)PP+PPO組成物を含む各製品サンプルを以下の温度条件で所定期間保管した。
アイスクリーム100%およびラクトアイス100%以外:冷蔵(4℃)
アイスクリーム100%およびラクトアイス100%:冷凍(-20℃)
【0045】
(3)以下手法で室温にて消臭試験に供した。
50mlのバイアル瓶に、所定時間保管したPPとPPO組成物を含む各製品サンプル(ヨーグルト100%およびプリン100%のサンプルは上述したように緩衝液で2倍希釈した)を2mlはかり取り、悪臭物質としてメチルメルカプタン(CH3SH)Na塩の15%水溶液(東京化成工業)を2μl添加して溶液サンプルを作製し、バイアル瓶をパラフィルムで密閉し、25℃で20分間振盪した。振盪後のバイアル瓶内のヘッドスペースガス50ml中の悪臭物質の濃度を専用のガス検知管(ガステック)を用いて測定し、下記計算式に基づいて消臭率および保存安定度を算出した。なお、ブランクの測定値とはPP+PPO組成物を添加する前の、各乳製品(各製品)のみで試験した際の測定値である。
〔消臭率(%)={(各ブランクの濃度測定値)-(各製品サンプルの濃度測定値)}/(各ブランクの濃度測定値)×100〕
PP+PPO組成物を含む各製品溶液サンプル作製直後(保管開始時(0h))の消臭率を、表中に括弧書きで記載した。また、当該溶液サンプルを各所定時間保管後(「・・後」と表記)の消臭率を用いて、保存安定性を評価した。
保存安定性は、下記の式で得られる保存安定度として検討した。
〔保存安定度(%)={(各時間保管後の消臭率)/(保管開始時(0h)の消臭率)}×100〕
各所定時間保管後における保存安定度について、下記の表中に記載した。
【0046】
なお、下記表中の比較例1は、蒸留水を溶媒とし、PP+PPO組成物を1質量%の量で添加したサンプル溶液を用いて冷蔵条件(4℃)で保存した以外は、上記と同じようにして保存安定度を評価した。
また、下記表中の比較例2および3は、それぞれ蒸留水および麦茶(サントリー社製やさしい麦茶)を溶媒とし、PP+PPO組成物を1質量%の量で添加したサンプル溶液を用いて室温条件(25℃)で保存した以外は、上記と同じようにして保存安定度を評価した。
結果を表1~表3に示す。
【0047】
【0048】
【0049】
PP+PPO組成物を添加することで、ヨーグルト、飲むヨーグルト、牛乳、生クリーム、ラクトアイス、アイスクリームおよびプリンの全てにおいて24時間後以降も消臭活性が維持されることを確認した。
【0050】
【0051】
麦茶を含む(からなる)飲料に消臭剤組成物を添加した場合(比較例3)、比較例2(室温での蒸留水保管)同様に1日後の保存安定度が0%であり、保存安定化効果は無かった。
【0052】
4.ゼリー様飲食品含有組成物の保存安定性の検討
以下の試験では、コーヒー生豆抽出物とゴボウパウダーまたはプルーンパウダー(1:1(質量比))とからなる消臭剤組成物(以下、PP+PPO組成物とも呼ぶ)を使用した。以下の工程で本発明に係るゼリー製品の保存安定性を確認した。
ゼリー製品には、市販のゼラチン(ゼライス社製ゼラチンパウダー)を用いて作製されたゼリーと、市販のゼリー飲料(森永製菓社製 inゼリー)を用いた。
(1)市販ゼラチンを湯で溶解し調製したゼリー溶液に、冷蔵庫で固める直前に、PP+PPO組成物をゼリー全質量の2質量%相当量添加して固めたゼリーサンプルを作製し、これを密閉した。また、上記組成物のPPO(ゴボウパウダーまたはプルーンパウダー)のみを当該ゼリー溶液に対して2質量%相当量添加してPPOゼリーを固めた後に、その上に上記組成物のPP(コーヒー生豆抽出物)のみを同量の当該ゼリー溶液に対して2質量%添加してなるゼリーを同様にして積層して固めて、2層構造ゼリーサンプルを作製し、これを密閉した。また、PP+PPO組成物を、市販のゼリー飲料にゼリー飲料の全質量の2質量%相当量添加してなるゼリー製品サンプルを作製し、これを密閉した。
(2)PP+PPO組成物を含む各ゼリー製品サンプルを室温条件(25℃)で所定期間保管した。
【0053】
(3)以下手法で室温にて消臭試験に供した。
50mlのバイアル瓶に、所定時間保管後に均一に混合した各ゼリー製品サンプルを1gはかり取り、0.05M pH6.5 リン酸緩衝液 1mlを加えてよく混合した。悪臭物質としてメチルメルカプタン(CH3SH)Na塩の15%水溶液(東京化成工業)を2μl添加して、バイアル瓶をパラフィルムで密閉し、25℃で20分間振盪した。振盪後のバイアル瓶内のヘッドスペースガス50ml中の悪臭物質の濃度を専用のガス検知管(ガステック)を用いて測定し、下記計算式に基づいて消臭率および保存安定度を算出した。なお、ブランクの測定値とはPP+PPO組成物を添加していない各ゼリー製品サンプルで試験した際の測定値である。
〔消臭率(%)={(各ブランクの濃度測定値)-(各製品サンプルの濃度測定値)}/(各ブランクの濃度測定値)×100〕
PP+PPO組成物を含む各ゼリー製品サンプル作製直後(保管開始時(0h))の消臭率を、表中に括弧書きで記載した。また、当該溶液サンプルを各所定時間保管後(「・・後」と表記)の消臭率を用いて、保存安定性を評価した。
保存安定性は、下記の式で得られる保存安定度として検討した。
〔保存安定度(%)={(各時間保管後の消臭率)/(保管開始時(0h)の消臭率)}×100〕
各所定時間保管後における保存安定度について、下記の表中に記載した。
【0054】
なお、表中の比較例4は、蒸留水を溶媒とし、PP+PPO組成物を2質量%の量で添加したサンプル溶液を用いた以外は、上記と同じようにして保存安定度を評価した。
結果を表4に示す。
【0055】
【0056】
ゼリー様飲食品に、PP+PPOにより構成される消臭剤組成物をゼリー様飲食品に添加する事で、24時間後以降も活性が維持され、消臭効果を提供できることを確認した。