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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023155186
(43)【公開日】2023-10-20
(54)【発明の名称】ミシン
(51)【国際特許分類】
   D05B 55/14 20060101AFI20231013BHJP
   D05B 29/08 20060101ALI20231013BHJP
   D05B 57/14 20060101ALI20231013BHJP
【FI】
D05B55/14 A
D05B29/08
D05B57/14 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023055040
(22)【出願日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】10 2022 203 472.4
(32)【優先日】2022-04-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】522428346
【氏名又は名称】デュルコップ アドラー ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100154612
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス リッフェル
(72)【発明者】
【氏名】ヤーコプ ハルダー
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー ペンナー
【テーマコード(参考)】
3B150
【Fターム(参考)】
3B150AA03
3B150CB03
3B150CE01
3B150CE23
3B150DB02
3B150DB08
3B150DG03
3B150DG16
3B150EA02
3B150EA12
(57)【要約】
【課題】特にCNC制御プログラムを処理可能にする、特に交互の縫い方向を有するフレキシブルな縫い操作が可能であるようにミシンを具体化する。
【解決手段】ミシン(1)が、上糸を案内する縫い針(5)を保持する針棒(6)を含む。ミシン(1)のステッチ板が、ステッチ形成中に前記縫い針(5)の通過用の開口を有する。押え金(8)が、ステッチ形成中に縫製材料を前記ステッチ板の領域に固定するために使用される。針棒回転駆動部(14)が、針棒軸(15)の周りに前記針棒(6)を回転する機能を有する。これにより、特に様々な縫い方向を有する、フレキシブルな縫い操作を可能とするミシンがもたらされ、それは特にCNC制御プログラムを処理することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上糸を案内する縫い針(5)を保持する針棒(6)と、
ステッチ形成中に前記縫い針(5)が通過するための開口を有するステッチ板と、
ステッチ形成中に縫製材料を前記ステッチ板の領域に固定する押え金(8)と、
前記針棒に沿って延びる針棒軸(15)の周りに前記針棒(6)を回転する針棒回転駆動部(14)と、を含むミシン(1)。
【請求項2】
前記押え金(8)が前記針棒(6)に回転不能に設置されており、それで前記針棒(6)が前記針棒軸(15)の周りに回転すると前記押え金(8)が前記針棒(6)と共に回転する、ことを特徴とする請求項1に記載のミシン。
【請求項3】
前記針棒(6)及び/又は前記押え金(8)のストローク調節のためのストローク駆動部(10)を有する、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のミシン。
【請求項4】
前記ストローク駆動部(10)が電動アクチュエータとして設計されている、ことを特徴とする請求項3に記載のミシン。
【請求項5】
前記針棒(6)及び前記押え金(8)と共に、前記針棒回転駆動部(14)を介して回転可能である針棒回転アセンブリ(27)が、中央ディスク軸が前記針棒軸(15)と一致する回転ディスク(28)を有し、前記ストローク駆動部(10)は前記ミシン(1)のフレームに固定されており、ストローク移動のために前記針棒回転アセンブリ(27)との接続を介して協働する、ことを特徴とする請求項3又は4に記載のミシン。
【請求項6】
上糸を案内する縫い針(5)を保持する針棒(6)と、
ステッチ形成中に前記縫い針(5)が通過するための開口を有するステッチ板と、
前記針棒に沿って延びる針棒軸(15)の周りに前記針棒(6)を回転する針棒回転駆動部(14)と、
前記縫い針(5)と協働してステッチを形成するための及び下糸を案内するためのルーパー(7)を有するルーパーアセンブリ(17)と、
ルーパー軸(9)の周りに前記ルーパー(7)を回転するルーパー縫製駆動部と、
前記ルーパー軸(9)と一致しないルーパーアセンブリ軸(18)の周りに前記ルーパーアセンブリ(17)を回転するルーパーアセンブリ回転駆動部(16)と、を含むミシン(1)。
【請求項7】
前記ルーパー軸(9)は前記ルーパーアセンブリ軸(18)と平行に、そこから離れて延びる、ことを特徴とする請求項6に記載のミシン。
【請求項8】
前記ルーパー縫製駆動部を縫製駆動モーター(41)から転用するアングル歯車(42~47)が差動歯車装置(44)を含む、ことを特徴とする請求項6又は7に記載のミシン。
【請求項9】
前記針棒回転駆動部(14)及び前記ルーパーアセンブリ回転駆動部(16)が同一の回転駆動モーター(13)から転用される、ことを特徴とする請求項6~8のいずれか一項に記載のミシン。
【請求項10】
前記針棒回転駆動部(14)及び前記ルーパーアセンブリ回転駆動部(16)を前記回転駆動モーター(13)から転用するアングル歯車が、少なくとも1つの歯付きベルト転用ユニット(19,21,31)を含む、ことを特徴とする請求項9に記載のミシン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はミシンに関する。
【0002】
本発明は、独国特許出願DE102022203472.4の優先権を主張し、その内容は参照によりここに組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
ミシンは、例えば特許文献1、特許文献2及び特許文献3から知られている。特許文献4がボタン穴ミシンを開示している。特許文献5及び特許文献6はミシンを開示している。特許文献7は二針ミシン(double needle sewing machine)を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】EP3392388A1
【特許文献2】EP2028311A2
【特許文献3】DE19951127C2
【特許文献4】DE10238708A1
【特許文献5】DE102015101412A1
【特許文献6】EP2476789A2
【特許文献7】EP2565313A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、特にCNC制御プログラムを処理可能にする、特に交互の縫い方向を有するフレキシブルな縫い操作が可能であるように、冒頭で述べたタイプのミシンをさらに具体化することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、本発明によれば請求項1に記載の特徴を有するミシンによって達成される。
【0007】
本発明によれば、ステッチ形成の間に縫製材料を固定する押え金(presser foot)を省略する必要無く縫い方向を予め設定するための針棒回転駆動部を有するミシンを提供することができると認識された。その結果はフレキシブルに予め設定可能な縫い方向を有するミシンであり、縫製材料は縫製の間に押え金により確実に固定される。ミシンは、針棒に沿って延びる針棒のステッチ形成運動を予め設定する縫製駆動部を有する。縫い方向はそれぞれ、ステッチ板に対する針棒の回転方向によって選択され得る。これは、特にCNC制御装置を介して制御される特に縫製プログラムを処理するために、フレキシブルなシーム幾何学形状を可能にする。特に、軌跡に沿って延びるシームの自動縫製が可能になる。
【0008】
押え金は送り足(feeding foot)として構成され得る。
【0009】
押え金と縫製材料の間の接触がステッチ形成中に縫い針の通過のためのステッチ板開口に隣接して生じるように、押え金の押え端部(presser end)であって、それを介して押え金が固定中に縫製材料に接触する押え端部が具体化され得る。
【0010】
請求項2に従う押え金の針棒への回転不能な設置により、押え金の位置が針棒回転を介して選択される縫い方向に自動的に適合することが保証される。
【0011】
請求項3に従うストローク駆動部が、異なる厚さの縫製材料への縫い操作の適合を可能にする。ストローク調節のストローク高さが0.5mm~50mmの範囲、例えば5mm~10mmの範囲に入り得る。
【0012】
請求項4に従うストローク駆動部が、正確なストローク調節を可能にする。ストローク駆動部はステッパーモーターとして構成されてもよい。ストローク駆動部は制御プログラムによって制御され得る。
【0013】
請求項5に従う回転ディスクによって、ストローク駆動部の駆動部品がフレームに固定して設置され得、それにより針棒回転駆動部の調節時に針棒回転アセンブリがフレームに固定されたこれら駆動構成部品に対して回転する。ストローク駆動部は、回転ディスクの周溝を介してストローク移動のための針棒回転アセンブリに接続できる。
【0014】
本発明の別な目的は、縫い方向が二糸縫いのためにフレキシブルに予め設定され得るようにミシンをさらに設計することである。
【0015】
この目的は、本発明によれば請求項6に記載の特徴を有するミシンによって達成される。
【0016】
縫製駆動部が針棒のステッチ形成運動のために使用でき、ルーパーのステッチ形成運動のためのルーパー縫製駆動部と針棒のステッチ形成運動のための縫製駆動部は同一の駆動源から転用(誘導)され得る。
【0017】
針棒回転駆動部とルーパーアセンブリ回転駆動部は、二糸ステッチ形成のための針棒とルーパーアセンブリの両方が、現在の回転位置とは無関係に、従って現在の縫い方向とは無関係にステッチ形成のために互いに正しく作用することを保証する。
【0018】
ミシンは特に二糸ロックステッチ(two-thread lock stitch)を縫うことができる。
【0019】
針棒回転駆動部は、ルーパーアセンブリ回転駆動部と同期して作動し得る。針棒回転駆動部は縫製駆動部と同期して作動し得る。
【0020】
請求項7に従うルーパー軸のルーパーアセンブリ軸に対する相対的な配向(向き)によって、針棒軸と平行に延びるルーパー軸周りに回転するルーパーの使用が可能になる。ルーパーアセンブリ軸とルーパー軸の間の距離は、回転駆動部によりそれぞれ設定される縫い方向とは独立して正しいステッチ形成のための、ルーパーの針棒に対する正しい位置を保証することを可能にする。
【0021】
請求項8に従う差動歯車装置は、ルーパー軸周りのルーパーのルーパー先端の相対回転位置を、ルーパーアセンブリ軸周りのルーパーアセンブリの回転位置に応じて調節することを可能にする。これは、ルーパーが、針先端の貫通点に対するルーパー全体の配置に関して正しく配向されるだけでなく、ルーパー先端が、回転駆動部を介して設定される現在位置とは無関係に、縫い針との適所でのステッチ形成作用のために正しい位相で同期されることも保証する。
【0022】
請求項9に従う、一方で針棒回転駆動部のための、及び他方でルーパーアセンブリ回転駆動部のための共通の回転駆動モーターを含む実施形態が、コスト削減的であり、関連する駆動部は常に正しい位相で移動し得る。それゆえ、針棒回転駆動部とルーパーアセンブリ回転駆動部の間の同期が、共通の駆動モーターとの機械的結合を介して保証され得る。
【0023】
請求項10に従うアングル歯車が、一方で針棒回転駆動部の、他方でルーパーアセンブリ回転駆動部の出力側構成部品への駆動力のフレキシブルな伝達を可能にする。
【0024】
上で説明したミシンの設計特徴は任意の組み合わせで使用できる。例えば、針棒回転駆動部及び押え金を有するミシンはまたルーパーアセンブリ回転駆動部を有してもよい。
【0025】
本発明の実施形態を図面に関連して以下により詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】針棒及び押え金を針棒軸周りに回転させる針棒回転駆動部を有する、及びルーパー軸と一致しないルーパーアセンブリ軸周りにルーパーアセンブリを回転させるルーパーアセンブリ回転駆動部を有するミシンの操作者側の斜視図である。
図2図1において目視方向IIに従う針棒回転駆動部の拡大図及び断面詳細図である。押え金はミシンのステッチ板の高さに下がっている。
図3図2と同様のイラストレーションにおいて、押え金がより高いレベルに上昇したミシンを示す図である。
図4図1と同様な目視方向から、図1に示される基本「0°」回転位置におけるルーパー及び針棒を含むステッチ形成領域における針棒回転駆動部とルーパーアセンブリ回転駆動部の両方の拡大された詳細を示す図である。
図5図4と同様のイラストレーションにおいて、図4と比べて反時計回りに回転した「90°」回転位置における針棒回転駆動部とルーパーアセンブリ回転駆動部を示す図である。
図6】ルーパーをルーパー軸周りに回転させるルーパー縫製駆動部を含むルーパーアセンブリ回転駆動部の歯車センブリを示す図である。
図7図6と同様の斜視イラストレーションにおいて、ハウジング構成部品が除去された図6に従うアセンブリを示す図である。
図8】針棒回転駆動部を駆動させる歯付きベルトガイドをも説明するミシンの主構成部品の操作者側の眺望を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
ミシン1(図1参照)が、アーム2、ベースプレート3、及び、アーム2とベースプレート3を接続するスタンド4を含むC形の基本構造を有する。
【0028】
ミシン1は、針棒6によって保持される縫い針5及びルーパー7の形態のステッチ形成工具を有する。針棒6は、複数のスライドブロック6aを介して軸受スリーブ6bに設置されている。
【0029】
縫い針5は上糸を案内するために使用される。ミシン1のステッチ板5aが、縫い針5がステッチ形成中に通過するための開口を有する。
【0030】
縫い押え(Sewing foot)とも呼ばれる押え金8が、ステッチ形成中にステッチ板の領域に縫製材料を固定する機能を有する。針棒6と押え金8は、アーム2の端部を形成する、ミシン1のヘッド2aに設置されている。
【0031】
押え金8はまた、ミシン駆動部と同期してホッピング運動を実施し得る。このホッピング運動はストローク駆動部10を介して予め決定され得る。このホッピング運動のためのホッピングストロークが0.5mm~10mmの範囲に入り得る。
【0032】
ルーパー7は、ステッチ板の下にベースプレート3内に設置されている。ルーパー7がステッチ形成中にその周りを回転するルーパー軸9が、垂直に延びる(例えば図7参照)。
【0033】
ルーパー7は、ステッチ形成中に上糸と協働する下糸を案内するために使用され、ボビンの形態の下糸ストックを有する。
【0034】
位置関係の表示を容易にするために、デカルトxyz座標系を以下で使用する。x方向は図2の縫い方向に沿って左に延びる。y方向は図1において水平方向に左に及び図2の図平面に垂直に延びる。z方向は図1及び2において垂直上方に延びる。
【0035】
ミシン1は、z方向に沿う押え金8のストローク調節のためのストローク駆動部10を有する。図2は、ステッチ板の高さまで下がったストローク位置での押え金8を示す。図3は、図2のストローク位置と比べて上昇したストローク位置にある押え金8を示す。
【0036】
ストローク駆動部10は、ステッパーモーターとして設計され得るアクチュエータを有する。図面に示されない歯付きリムがストローク駆動部10のモーターシャフトに配置されており、当該歯付きリムは、押え金8の押え金棒11の歯付きラック部分と相互作用する。縫製材料に作用する押え端部12はまた、縫い針5が通過するためのスリーブとして設計されている。
【0037】
ステッパーモーターのストローク駆動部10の別個の(独立した)実施形態に代えて、押え金のストローク調節がミシン1のアームシャフトから転用されてもよい。
【0038】
ベースプレート側に設置された回転駆動モーター13が、一方では、垂直な針棒軸15の周りに針棒6及び押え金8を回転させる針棒回転駆動部14のための、及び他方で、ルーパーアセンブリ軸18の周りにルーパー7を含むルーパーアセンブリ17を回転させるルーパーアセンブリ回転駆動部16のための共通の駆動源である(例えば図7参照)。ルーパーアセンブリ軸18は、ルーパー軸9と平行に及びそこから距離を置いて延びる。両方の軸9,18はz軸と平行に、すなわち垂直に延びる。ルーパーアセンブリ軸18は針棒軸15に一致する。
【0039】
針棒軸15の周りに針棒6及びそこに回転不能に接続した押え金8を回転させるために、回転駆動モーター13は、歯付きベルト19を介して、y軸に沿って延びる(図8参照)回転駆動シャフト20に動作接続している。まずスタンド4のそばに案内され、次にアーム2のそばに案内される別な歯付きベルト21を介して、回転駆動シャフト20は、垂直回転軸を有する針棒側で歯付きリム22と動作接続している。一方で針棒6及び他方で押え金棒11は、非回転式に針棒側で歯付きリム22に接続している。
【0040】
糸レバーアセンブリ23が、針棒6の上でヘッド2aに配置されている(図1参照)。この糸レバーアセンブリ23は、それが針棒軸15の周りの針棒6の回転位置とは無関係に、ステッチ形成中の上糸と下糸の結び・絡まりと正しい糸張力を保証するように、設計されている。糸レバーアセンブリ23の糸レバー24に隣接して、糸張力板(糸テンション板)25がミシン1のアーム2に設置されている。図面には示されていない上糸の糸張力を予め設定する複数の張力ユニット26が、糸張力板25に設置されている。
【0041】
針棒6に加えて、針棒軸15の周りに回転しないようにそこに接続された押え金8を有する針棒回転アセンブリ27が、回転ディスク28を含み、その中央ディスク軸は針棒軸15に一致する(例えば図2参照)。この回転ディスク28は図2及び3に側面図で示されている。回転ディスク28は、歯付きリム22に及び針棒6に回転不能に接続している。歯付きリム22は押え金8にしっかり接続している。
【0042】
ストローク駆動部10は、ミシン1のフレームに、すなわちヘッド側のフレーム要素に固定されている。回転ディスク28は、図2に示される周溝29を有し、そこに押え金棒11のドライバー30が押え金8のストローク移動のために係合する。それに代えて、ストローク駆動部10の回転ディスク28への接続がショルダーを介して実施され得る。
【0043】
ルーパーアセンブリ17をルーパーアセンブリ軸18周りに回転させるために、回転駆動シャフト20は、さらなる歯付きベルト31を介して中空シャフト部分32の歯付きリムに動作接続している。この中空シャフト部分32は、歯車ペア34,35、歯車軸36、さらなる歯車ペア37,38を介して、ルーパーアセンブリ17のアセンブリハウジング40の平歯車(Stirnverzahnung)39と動作接続している。
【0044】
ルーパー7は、アセンブリハウジング40内でルーパー軸9の周りを回転可能である。同様にして、アセンブリハウジング40はルーパーアセンブリ軸18の周りを回転可能である。
【0045】
歯車接続32~39を介して、y軸と平行な軸周りの中空シャフト部分32の回転が、z軸と平行であるルーパーアセンブリ軸18周りのアセンブリハウジング40の回転に転向される。
【0046】
z軸と平行な針棒6の上下運動及びルーパー軸9周りのルーパー7の回転が、それぞれステッチ形成のために、ベースプレート側に設置された縫製駆動モーター41から転用される。縫製駆動モーター41は、歯付きベルト42を介してルーパー駆動軸33のコア軸43に作用する。歯付きベルト42が噛み合う歯付きリム42aと、コア軸43の間に、過負荷状況の場合にコア軸43を縫製駆動モーター41から分離するスナップイン継手42bが配置されている。
【0047】
差動歯車装置44、伝動軸45及び図7において一部が視認できるかさ歯車46、及び垂直に延びるさらなる伝動軸47を介して、コア軸43はルーパーシャフトと動作接続している。ルーパーシャフトは、図7では見えず、やはり垂直に延び、ルーパー軸9と整列されている。
【0048】
差動歯車装置44は、ルーパーアセンブリ軸18周りのルーパーアセンブリ17のそれぞれの回転位置に依存してルーパー軸9周りのルーパー先端の相対回転位置を調節する機能を有する。それにより当該1つの差動歯車装置44が、ルーパー先端の相対回転位置の対応する調節を可能にするためにコア軸43に対する伝動軸45の回転が可能であることを保証する。
【0049】
差動歯車装置44によるコア軸43に対する伝動軸45の回転は、確実に制御されて生じる。よって、ルーパーアセンブリ軸18周りのルーパーアセンブリ17の回転位置の回転位置に応じて、ルーパー軸9周りのルーパー先端の相対回転位置が調節される。
【0050】
針棒の縫製駆動は、駆動モーター41によってアームシャフト48及びヘッド2aに収容されたクランク-アングル歯車(Kurbel-Umlenkgetriebe)を介して針棒に与えられる。
【0051】
図4は、x軸に沿って縫製が行われる基本回転位置「0°」における押え金8を有する針棒6及びルーパーアセンブリ17を示す。この工程の間、ルーパー7の1つのルーパー先端が針棒軸15に向かって整列される。
【0052】
図5は、一方で針棒回転駆動部14に作用し、他方でルーパーアセンブリ回転駆動部16に作用する回転駆動モーター13によってもたらされた図4に示される回転位置と比べて90°反時計回りに回転した回転位置を示す。針棒6及び押え金8を有する針棒回転アセンブリ27とルーパーアセンブリ17の両方が、一方で針棒軸15の周りに及び他方でルーパーアセンブリ軸18の周りに90°反時計回りに同期して回転される。差動歯車装置44の効果のために、この回転位置「90°」でルーパー先端が正しいステッチ形成のために針棒軸15に向かい合うことが保証される。
【0053】
二糸ロックステッチがミシン1によって縫われる。ミシン1の複数の構成部品が中央制御装置と信号通信している。これはCNC制御装置であり得る。
【符号の説明】
【0054】
1 ミシン
5 縫い針
6 針棒
8 押え金
10 ストローク駆動部
14 針棒回転駆動部
15 針棒軸
16 ルーパーアセンブリ回転駆動部
17 ルーパーアセンブリ
27 針棒回転アセンブリ
28 回転ディスク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2023-08-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上糸を案内する縫い針(5)を保持する針棒(6)と、
ステッチ形成中に前記縫い針(5)が通過するための開口を有するステッチ板と、
ステッチ形成中に縫製材料を前記ステッチ板の領域に固定する押え金(8)と、
前記針棒に沿って延びる針棒軸(15)の周りに前記針棒(6)を回転する針棒回転駆動部(14)と、を含むミシン(1)。
【請求項2】
前記押え金(8)が前記針棒(6)に回転不能に設置されており、それで前記針棒(6)が前記針棒軸(15)の周りに回転すると前記押え金(8)が前記針棒(6)と共に回転する、ことを特徴とする請求項1に記載のミシン。
【請求項3】
前記針棒(6)及び/又は前記押え金(8)のストローク調節のためのストローク駆動部(10)を有する、ことを特徴とする請求項1に記載のミシン。
【請求項4】
前記ストローク駆動部(10)が電動アクチュエータとして設計されている、ことを特徴とする請求項3に記載のミシン。
【請求項5】
前記針棒(6)及び前記押え金(8)と共に、前記針棒回転駆動部(14)を介して回転可能である針棒回転アセンブリ(27)が、中央ディスク軸が前記針棒軸(15)と一致する回転ディスク(28)を有し、前記ストローク駆動部(10)は前記ミシン(1)のフレームに固定されており、ストローク移動のために前記針棒回転アセンブリ(27)との接続を介して協働する、ことを特徴とする請求項3又は4に記載のミシン。
【請求項6】
上糸を案内する縫い針(5)を保持する針棒(6)と、
ステッチ形成中に前記縫い針(5)が通過するための開口を有するステッチ板と、
前記針棒に沿って延びる針棒軸(15)の周りに前記針棒(6)を回転する針棒回転駆動部(14)と、
前記縫い針(5)と協働してステッチを形成するための及び下糸を案内するためのルーパー(7)を有するルーパーアセンブリ(17)と、
ルーパー軸(9)の周りに前記ルーパー(7)を回転するルーパー縫製駆動部と、
前記ルーパー軸(9)と一致しないルーパーアセンブリ軸(18)の周りに前記ルーパーアセンブリ(17)を回転するルーパーアセンブリ回転駆動部(16)と、を含むミシン(1)。
【請求項7】
前記ルーパー軸(9)は前記ルーパーアセンブリ軸(18)と平行に、そこから離れて延びる、ことを特徴とする請求項6に記載のミシン。
【請求項8】
前記ルーパー縫製駆動部を縫製駆動モーター(41)から転用するアングル歯車(42~47)が差動歯車装置(44)を含む、ことを特徴とする請求項6又は7に記載のミシン。
【請求項9】
前記針棒回転駆動部(14)及び前記ルーパーアセンブリ回転駆動部(16)が同一の回転駆動モーター(13)から転用される、ことを特徴とする請求項6又は7に記載のミシン。
【請求項10】
前記針棒回転駆動部(14)及び前記ルーパーアセンブリ回転駆動部(16)を前記回転駆動モーター(13)から転用するアングル歯車が、少なくとも1つの歯付きベルト転用ユニット(19,21,31)を含む、ことを特徴とする請求項9に記載のミシン。