(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023155207
(43)【公開日】2023-10-20
(54)【発明の名称】容積型ポンプおよび弁を備えた分析機器およびこのような分析機器による分析方法
(51)【国際特許分類】
G01N 1/02 20060101AFI20231013BHJP
F16K 31/06 20060101ALI20231013BHJP
G01N 1/00 20060101ALI20231013BHJP
【FI】
G01N1/02 W
F16K31/06 305L
G01N1/00 101S
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023061991
(22)【出願日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】10 2022 108 432.9
(32)【優先日】2022-04-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】503432043
【氏名又は名称】ドレーガー セイフティー アクチエンゲゼルシャフト ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト アウフ アクチエン
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】イェンス レコウ
(72)【発明者】
【氏名】マリー-イザベル マッターン-フリューヴァルト
(72)【発明者】
【氏名】トビアス ライアー
(72)【発明者】
【氏名】ルイス ブルンスヴィック フランコ
(72)【発明者】
【氏名】ニック ベンドアフ
【テーマコード(参考)】
2G052
3H106
【Fターム(参考)】
2G052AA34
2G052AB13
2G052AD02
2G052AD22
2G052AD42
2G052BA17
2G052CA02
2G052CA04
2G052CA19
2G052CA29
2G052CA35
2G052GA23
2G052JA09
3H106DA07
3H106DA13
3H106DA23
3H106DB02
3H106DB12
3H106DB23
3H106DB32
3H106DC02
3H106DC17
3H106DD04
3H106EE48
3H106KK01
3H106KK31
(57)【要約】 (修正有)
【課題】被験者によって吐き出された呼気試料を、所定の物質、特にアルコールに関して分析するための分析機器および方法に関する。
【解決手段】入力流体接続部は、入力ユニット1を測定チャンバ3に接続する。吸込み流体接続部は、測定チャンバを吸込みチャンバユニット5,6に接続する。吸込みチャンバユニットは、最小の容積を有する状態と最大の容積を有する状態とに選択的に移行することができる。センサ12は、測定チャンバ内の物質の量または濃度を測定することができる。駆動ユニット4,11は、入力流体接続部のための弁2,13を選択的に、閉鎖終端位置または解放終端位置に動かすことができる。駆動ユニットはさらに、吸込みチャンバユニットを、一方の状態から他方の状態に移行させることができる。一方の終端位置から他方の終端位置への弁2,13の移動は、一方の状態から他方の状態への吸込みチャンバユニット5,6の移行に連動している。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者によって放出された、特に吐き出されたガス試料(A)を、所定の物質に関して、特にアルコールに関して分析するための分析機器(100)であって、前記分析機器(100)は、前記ガス試料(A)を入力するまたは受容するための入力ユニット(30)、測定チャンバ(3)、センサ(12)、最小の容積を有する状態と最大の容積を有する状態とに選択的に移行可能である吸込みチャンバユニット(5,6)、弁(2,13)、および駆動ユニット(7,4,11)を有しており、前記分析機器(100)は、前記入力ユニット(30)と前記測定チャンバ(3)との間に少なくとも所定の時間、入力流体接続部(31,15,Sp,18)を提供し、かつ前記吸込みチャンバユニット(5,6)と前記測定チャンバ(3)との間に少なくとも所定の時間、吸込み流体接続部(8)を提供し、前記分析機器(100)は、前記吸込みチャンバユニット(5,6)が、前記最大の容積を有する状態に移行することにより、ガスが前記入力ユニット(30)から前記入力流体接続部(31,15,Sp,18)を通って前記測定チャンバ(3)内に吸い込まれるように形成されており、前記センサ(12)は、前記測定チャンバ(3)内に存在するガス(Pr)中の前記物質の量および/または濃度のための尺度を測定するように形成されており、前記駆動ユニット(7,4,11)は、前記弁(2,13)が前記入力流体接続部(31,15,Sp,18)を遮断する閉鎖終端位置に、または前記弁(2,13)が前記入力流体接続部(31,15,Sp,18)を解放する解放終端位置に、前記弁(2,13)を選択的に動かすように形成されており、前記駆動ユニット(7,4,11)はさらに、前記吸込みチャンバユニット(5,6)を、前記最小の容積を有する状態にまたは前記最大の容積を有する状態に選択的に移行させるように形成されており、この場合、前記駆動ユニット(7,4,11)は、前記解放終端位置への前記弁(2,13)の移動が、前記吸込みチャンバユニット(5,6)の、前記最小の容積を有する状態への移行と同期させられ、かつ前記閉鎖終端位置への前記弁(2,13)の移動が、前記吸込みチャンバユニット(5,6)の、前記最大の容積を有する状態への移行と同期させられるように、または前記解放終端位置への前記弁(2,13)の移動が、前記吸込みチャンバユニット(5,6)の、前記最大の容積を有する状態への移行と同期させられ、かつ前記閉鎖終端位置への前記弁(2,13)の移動が、前記吸込みチャンバユニット(5,6)の、前記最小の容積を有する状態への移行と同期させられるように、前記弁(2,13)および前記吸込みチャンバユニット(5,6)に機械的に連結されている、分析機器(100)。
【請求項2】
前記駆動ユニット(7,4,11)は、アクチュエータ(7)と機械的な弁接続エレメント(4,11)とを含んでいて、前記弁(2,13)は、閉鎖部材(2)と閉鎖部材座部(13)とを含んでおり、前記弁接続エレメント(4,11)は、前記アクチュエータ(7)を前記閉鎖部材(2)に機械的に接続する、請求項1記載の分析機器(100)。
【請求項3】
前記測定チャンバ(3)は、前記入力ユニット(30)と前記吸込みチャンバユニット(5,6)との間に位置している、請求項1または2記載の分析機器(100)。
【請求項4】
前記駆動ユニット(7,4,11)は、前記弁(2,13)と前記吸込みチャンバユニット(5,6)とに機械的に連結されているアクチュエータ(7)を有しており、前記吸込みチャンバユニット(5,6)は前記測定チャンバ(3)と前記アクチュエータ(7)との間に位置している、請求項1から3までのいずれか1項記載の分析機器(100)。
【請求項5】
前記駆動ユニット(7,4,11)は、アクチュエータ(7)と機械的なチャンバ接続エレメント(4,11)とを含んでいて、前記吸込みチャンバユニット(5,6)は、可変の容積の吸込みチャンバ(5)とチャンバ変更エレメント(6)とを含んでおり、前記吸込み流体接続部(8)は、前記吸込みチャンバ(5)を前記測定チャンバ(3)に接続しており、前記吸込みチャンバ(5)に対して相対的な前記チャンバ変更エレメント(6)の運動により、前記吸込みチャンバ(5)の容積が変更させられ、前記チャンバ接続エレメント(4,11)は、前記アクチュエータ(7)を前記チャンバ変更エレメント(6)に機械的に接続する、請求項1から4までのいずれか1項記載の分析機器(100)。
【請求項6】
前記分析機器(100)は、機械的な接続エレメント(4,11)を有しており、前記機械的な接続エレメント(4,11)は、前記弁接続エレメントおよび前記チャンバ接続エレメントを有しているまたは提供する、請求項2および請求項5記載の分析機器(100)。
【請求項7】
前記分析機器(100)は、体積流量センサ(MP.1,MP.2)を有しており、前記体積流量センサ(MP.1,MP.2)は、前記入力流体接続部(31,15,Sp,18)を貫流して前記測定チャンバ(3)内に到るガス(Pr)の体積流量のための尺度を測定するように形成されており、前記分析機器(100)は、前記駆動ユニット(7,4,11)が前記弁(2,13)を、測定された前記体積流量に応じて前記閉鎖終端位置へと動かすステップを、測定された体積流量に応じて自動的にトリガするように構成されている、請求項1から6までのいずれか1項記載の分析機器(100)。
【請求項8】
前記弁(2,13)は、閉鎖部材(2)を含み、前記分析機器(100)は、前記閉鎖部材(2)を取り囲む流体ガイドユニット(16)を有しており、前記流体ガイドユニット(16)と前記閉鎖部材(2)との間には中間室(Sp)が生じており、前記入力流体接続部(31,15,Sp,18)は前記流体ガイドユニット(16)を通ってガイドされ、前記中間室(Sp)を含んでいる、請求項1から7までのいずれか1項記載の分析機器(100)。
【請求項9】
前記分析機器(100)は、前記吸込みチャンバユニット(5,6)が、前記最小の容積を有する状態に移行することにより、ガスが前記入力流体接続部(31,15,Sp,18)を通って前記測定チャンバ(3)から外へ圧送されるように形成されている、請求項1から8までのいずれか1項記載の分析機器(100)。
【請求項10】
前記分析機器(100)は、入力流体ガイドユニット(1,16,40)を有しており、前記入力ユニット(30)は、前記入力流体ガイドユニット(1,16,40)に接続することができ、好適には取り外し可能に接続することができ、前記入力流体接続部(31,15,Sp,18)は前記入力流体ガイドユニット(1,16,40)を通ってガイドされており、前記入力流体ガイドユニット(1,16,40)は前記弁(2,13)を取り囲んでおり、好適には完全に取り囲んでいる、請求項1から9までのいずれか1項記載の分析機器(100)。
【請求項11】
分析機器(100)を使用して、被験者によって放出された、特に吐き出されたガス試料(A)を、所定の物質に関して、特にアルコールに関して分析するための方法であって、前記分析機器(100)は、入力ユニット(30)、測定チャンバ(3)、センサ(12)、最小の容積を有する状態と最大の容積を有する状態とに選択的に移行可能である吸込みチャンバユニット(5,6)、弁(2,13)、および駆動ユニット(7,4,11)を有しており、前記分析機器(100)は、前記入力ユニット(30)と前記測定チャンバ(3)との間に少なくとも所定の時間、入力流体接続部(31,15,Sp,18)を提供し、かつ前記吸込みチャンバユニット(5,6)と前記測定チャンバ(3)との間に少なくとも所定の時間、吸込み流体接続部(8)を提供し、当該方法の実施前は、前記弁(2,13)は、前記弁(2,13)が前記入力流体接続部(31,15,Sp,18)を遮断する閉鎖終端位置に位置しており、当該方法は、前記呼気試料(A)を前記入力ユニット(30)に吹き込みかつ/または前記入力ユニット(30)によって受容し、前記駆動ユニット(7,4,11)が前記弁(2,13)を、前記弁(2,13)が前記入力流体接続部(31,15,Sp,18)を解放する解放終端位置へと動かし、前記駆動ユニット(7,4,11)が前記吸込みチャンバユニット(5,6)を前記最大の容積を有する状態へと移行させ、これによりガスが前記入力ユニット(30)から前記入力流体接続部(31,15,Sp,18)を貫流して前記測定チャンバ(3)内に吸い込まれ、次いで前記駆動ユニット(7,4,11)が前記吸込みチャンバユニット(5,6)を前記最小の容積を有する状態へと移行させ、これによりガスが前記吸込みチャンバユニット(5,6)から前記吸込み流体接続部(8)を貫流して前記測定チャンバ(3)内に圧送され、これによりガスは前記測定チャンバ(3)から放出され、前記駆動ユニット(7,4,11)は前記弁(2,13)を再び前記閉鎖終端位置へと動かすステップを有しており、当該方法は、前記センサ(12)が、前記測定チャンバ(3)内に存在するガス(Pr)中の前記物質の濃度および/または量のための尺度を測定するさらなるステップを有しており、この場合、前記弁(2,13)を前記解放終端位置へと動かすステップと、前記吸込みチャンバユニット(5,6)を前記最小の容積を有する状態へ移行させるステップとを同時に実施し、かつ前記弁(2,13)を再び前記閉鎖終端位置へと動かすステップと前記吸込みチャンバユニット(5,6)を前記最大の容積を有する状態に移行させるステップとを同時に実施する、または、前記弁(2,13)を前記閉鎖終端位置へと動かすステップと、前記吸込みチャンバユニット(5,6)を前記最小の容積を有する状態へ移行させるステップとを同時に実施し、かつ前記弁(2,13)を再び前記解放終端位置へと動かすステップと前記吸込みチャンバユニット(5,6)を前記最大の容積を有する状態に移行させるステップとを同時に実施する、方法。
【請求項12】
前記入力ユニット(30)への前記呼気試料(A)の入力が開始される事象を自動的に検知し、前記呼気試料(A)の入力の開始以降、所定の期間が経過したら、かつ/または前記呼気試料(A)の入力の開始後、開放事象が生じたら、前記弁(2,13)を前記解放終端位置に動かすステップを開始し、前記開放事象は、これまでに前記入力ユニット(30)内に入力された前記呼気試料(A)の体積および/または量のための尺度に依存している、請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記弁(2,13)を前記解放終端位置へと動かすステップの開始後、それまで前記測定チャンバ(3)内へと流されたガスの量のための尺度を少なくとも1回測定し、測定された量が所定の量境界値に達していた場合、自動的に、前記弁(2,13)を再び前記閉鎖終端位置へと動かすステップをトリガする、請求項11または12記載の方法。
【請求項14】
当該方法の実施前に、前記吸込みチャンバユニット(5,6)は前記最大の容積を有する状態であって、前記吸込みチャンバユニット(5,6)を、前記最小の容積を有する状態に移行させるステップの後に、前記吸込みチャンバユニット(5,6)を、前記最大の容積を有する状態に移行させるステップを実施する、請求項11から13までのいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
当該方法の実施前に、前記吸込みチャンバユニット(5,6)は前記最小の容積を有する状態であって、前記吸込みチャンバユニット(5,6)を、前記最大の容積を有する状態に移行させるステップの後に、前記吸込みチャンバユニット(5,6)を、前記最小の容積を有する状態に移行させるステップを実施する、請求項11から13までのいずれか1項記載の方法。
【請求項16】
前記駆動ユニット(7,4,11)は、前記弁を一方の前記終端位置へと動かし、前記吸込みチャンバユニット(5,6)を前記最小のまたは前記最大の容積を有する状態に移行させるステップを、前記駆動ユニット(7,4,11)と前記弁(2,13)および前記吸込みチャンバユニット(5,6)との機械的な連結によりもたらす、請求項11から15までのいずれか1項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
詳細な説明
本発明は、被験者によって放出されたガス試料、特に吐き出された呼気試料を、所定の物質、特にアルコールに関して分析するための分析機器および方法に関する。このような分析機器は、被験者がアルコール、特にエチルアルコール(エタノール)およびオプションとしては他のアルコールの混合物を摂取したか否かの検査に使用することができる。被験者が検出境界を上回るアルコールを摂取していると、被験者の血液はアルコールを含み、したがって被験者によって吐き出された空気は呼気アルコールを含む。オプションとして、このような分析機器は、被験者の呼気中の呼気アルコール濃度の高さを検出することができ、そこから、被験者の血液中のアルコール含有量を求めることができる。
【0002】
以下では、「アルコール」という名称は、被験者の血液中の検出すべき物質のために使用され、「呼気アルコール」という名称は、被験者の血液がアルコールを含む場合に、被験者のガス試料中に、特に呼気試料中に含まれている物質のために使用される。
【0003】
呼気アルコール用の携帯可能な様々な分析機器が、例えば独国特許出願公開第102017008008号明細書から公知である。被験者は、呼気試料を、分析機器のマウスピース内に吹き込む。呼気試料の少なくとも一部は、分析機器の測定チャンバに送られる。電気化学式センサは、呼気試料に由来し、測定チャンバ内に存在するガスが含む呼気アルコールの濃度または量を測定する。勿論、この測定は、ガス中に検出境界を超える呼気アルコールが存在せず、したがって呼気試料中に呼気アルコールが含まれていないという結果となることもある。
【0004】
本発明の根底にある課題は、ガス試料を所定の物質に関して検査するための分析機器および方法を提供することであって、この場合、所定の物質に関して検査すべきガス試料は、被験者から出されたものであり、この分析機器および方法は、公知の分析機器および方法よりも確実であることが望ましい。
【0005】
この課題は、請求項1の特徴を備えた分析機器により、および請求項11の特徴を備えた方法により解決される。本発明による分析機器の有利な構成は、有意であるならば、本発明による方法の有利な構成でもあり、その逆も成り立つ。
【0006】
本発明による分析機器および本発明による方法は、ガス試料を所定の物質に関して検査することができる。被験者は、このガス試料を放出し、特に吐き出す。所定の物質は特に、被験者からのガス試料中に検出され得る呼気アルコールまたはその他の薬物またはその他の中毒性物質である。
【0007】
分析機器は、入力ユニットを有している。被験者はガス試料をこの入力ユニット内へ吹き込むことができ、特に吐き出すことができ、またはガス試料は、その他の形式で入力ユニットによって受容される。入力ユニットは、分析機器のその他の部分に持続的にまたは少なくとも所定の時間、接続されており、好適には取り外し可能に接続されている。
【0008】
さらに、分析機器は、測定チャンバと入力流体接続部とを有している。「測定チャンバ」とは、分析機器の中空室を意味しており、この中空室はガス試料を収容することができる。入力流体接続部は、少なくとも所定の時間、入力ユニットを測定チャンバに接続し、これにより流体接続が形成された状態で、流体、特に吹き込まれたガス試料の一定量が、入力ユニットから測定チャンバ内へと流れることができ、好適には逆に測定チャンバから入力ユニット内へと戻るように流れることができる。
【0009】
分析機器のセンサは、ガス中の所定の物質の量および/または濃度のための尺度を測定することができる。少なくともセンサは、量または濃度が、所定の境界値、例えば検出境界を、下回っているかまたは上回っているかどうかを確認することができる。センサによって検査されるガスは、測定チャンバ内にまたは測定チャンバ表面に存在している。センサは、好適には測定チャンバ内に、または測定チャンバの少なくとも1つの壁の表面または内部に配置されている。センサは、物質の量および/または濃度に相関する信号を出力することができる。
【0010】
さらに、分析機器は、例えばベローズとプレートとを含む吸込みチャンバユニットを有しており、この場合、プレートは、ベローズを膨張および収縮させることができ、これによりベローズによって包囲される空間の容積を変更することができ、または吸込みチャンバユニットはピストン・シリンダユニットを備える。吸込み流体接続部は、少なくとも所定の時間、吸込みチャンバユニットを測定チャンバに接続する。このような吸込み流体接続部を貫流して流体は測定チャンバから吸込みチャンバユニットへと流れることができ、吸込みチャンバユニットから測定チャンバへと逆流することができる。
【0011】
注釈:
-流体、特にガスが第1の構成部材から第2の構成部材へと流れることができる場合は、第1の構成部材と第2の構成部材との間に流体接続が形成されている。第1の構成部材を第2の構成部材に直接接続して、両構成部材における2つの重なる開口により流体接続を形成することができる。
-流体ガイドユニットを用いて流体接続を形成することもでき、この場合、流体ガイドユニットは両構成部材を互いに接続し、流体は流体ガイドユニットを貫流して流れることができる。「流体ガイドユニット」とは、構成部材のジオメトリおよび位置によって予め規定された軌道に沿って流体を導くことができ、理想的には流体がこの軌道を逸れることを阻止する構成部材を意味する。管およびホースは、流体ガイドユニットの2つの例である。
-本発明による分析機器は、使用中に少なくとも所定の時間、それぞれ入力流体接続部と出力流体接続部とを形成する。分析機器の休止状態では、両流体接続部のいずれもが形成されなくてよい。
【0012】
吸込みチャンバユニットは、一定のスペースを、すなわち後述する流体接続部を除いて流体密に取り囲み、最小の容積を有する状態または最大の容積を有する状態に選択的に移行することができる。最小の容積を有する状態への移行時には、流体が、吸込みチャンバユニットから外へ押し出され、吸込み流体接続部へと押し込まれる。これにより、流体が、吸込み流体接続部から測定チャンバ内へと押し込まれる。これにより流体は、測定チャンバから外に押し出され、入力流体接続部に、または別個の出力流体接続部に到る。したがって、流体が測定チャンバから押し出されるプロセスにより、測定チャンバはパージされる。特に、古いガス試料が除去される。
【0013】
最大の容積を有する状態への移行時には、流体が、吸込みチャンバユニット内に吸い込まれる。これにより、流体は吸込み流体接続部を貫流して、吸込みチャンバユニットのチャンバ内へと吸い込まれる。これにより、流体は周囲から、入力流体接続部を貫流して測定チャンバ内に吸い込まれる。好適には、この流体の少なくとも一部は入力ユニットから来るものであり、被験者が放出したガスを含んでいる。すなわち、吸込みチャンバユニットが最大の容積を有する状態へ移行するプロセスにより、被験者によって放出されたガス試料の少なくとも一部が測定チャンバ内に吸い込まれる。
【0014】
分析機器は、さらに弁を有している。この弁は、閉鎖終端位置または解放終端位置へと選択的に移動することができる。閉鎖終端位置では、弁は入力流体接続部を閉鎖し、これにより入力流体接続部を遮断している。勿論、入力流体接続部が閉鎖されている場合でも、不可避の隙間またはスリットが生じることがあり、これらの隙間またはスリットを通じて、ガスが入力ユニットから測定チャンバに到ることがある。解放終端位置では、およびオプションとして各中間位置でも、弁は入力流体接続部を完全に解放している、または少なくとも部分的に解放している。
【0015】
さらに、分析機器は、駆動ユニットを有している。好適には、駆動ユニットはアクチュエータとロッドとを含んでいる。
【0016】
一方では、駆動ユニットは、弁を選択的に、閉鎖終端位置または解放終端位置へと動かすことができる。他方で、この同じ駆動ユニットが、吸込みチャンバユニットを選択的に、最大の容積を有する状態にまたは最小の容積を有する状態に移行させることができる。
【0017】
駆動ユニットは、弁の閉鎖部材、例えば弁体と、吸込みチャンバユニットの一部との両方に機械的に連結されている。これらの両連結により、以下の効果のうちの1つが達成される。すなわち、
-解放終端位置への弁の運動は、最小の容積を有する状態への吸込みチャンバユニットの移行と同期されている。逆に、閉鎖終端位置への弁の運動は、最大の容積を有する状態への吸込みチャンバユニットの移行と同期されている。
-閉鎖終端位置への弁の運動は、最小の容積を有する状態への吸込みチャンバユニットの移行と同期されている。逆に、解放終端位置への弁の運動は、最大の容積を有する状態への吸込みチャンバユニットの移行と同期されている。
【0018】
本発明による方法は、本発明による分析機器の使用のもとで実施され、以下のステップを有している。すなわち、
-最初に弁は閉鎖終端位置にあり、入力流体接続部を遮断している。
-ガス試料が入力ユニットに吹き込まれる、または入力ユニットによって受容される。
-駆動ユニットが、弁を解放終端位置へと動かし、これにより弁が入力流体接続部を解放する。
-駆動ユニットが、吸込みチャンバユニットを最大の容積を有する状態へ移行させる。これにより、ガスは、入力ユニットから入力流体接続部を貫流して測定チャンバ内に吸い込まれる。
-次いで、駆動ユニットが、吸込みチャンバユニットを、再び最小の容積を有する状態へ移行させる。これにより、ガスは、吸込みチャンバユニットから吸込み流体接続部を貫流して測定チャンバ内に圧送される。これにより、ガスが測定チャンバから押し出され、これにより測定チャンバはパージされる。
-駆動ユニットが、弁を再び閉鎖終端位置へと動かす。
【0019】
これらのステップが列挙される順序は、必ずしもこれらのステップが実施される時間的な順序ではない。有意であるならば、異なる順序が可能である。
【0020】
さらに、この方法は以下のステップを含む。すなわち、センサが、測定チャンバ内に存在するガス中の物質、特に呼気アルコールの濃度および/または量のための尺度を測定する。測定チャンバ内のこのようなガスの少なくとも一部は、理想的には測定チャンバ内のすべてのガスは、入力ユニットからの、したがって被験者からのものである。
【0021】
本発明の第1の代替的な構成では、以下の両ステップが同時に実施される。すなわち、
-弁が解放終端位置へと移動する。
-吸込みチャンバユニットが、最小の容積を有する状態へ移行する。
【0022】
本発明の第1の代替的な構成では、以下の両ステップも同時に実施される。すなわち、
-弁が閉鎖終端位置へと移動する。
-吸込みチャンバユニットが、最大の容積を有する状態へ移行する。
【0023】
本発明の第2の代替的な構成では、以下の両ステップが同時に実施される。すなわち、
-弁が閉鎖終端位置へと移動する。
-吸込みチャンバユニットが、最小の容積を有する状態へ移行する。
【0024】
本発明の第2の代替的な構成では、以下の両ステップも同時に実施される。すなわち、
-弁が解放終端位置へと移動する。
-吸込みチャンバユニットが、最大の容積を有する状態へ移行する。
【0025】
2つのプロセスが同時に実施されるという特徴は、両プロセスの開始時点間または終了時点間でそれぞれ、許容範囲内の誤差が生じることを含んでいる。
【0026】
本発明による分析機器および本発明による方法により、少なくとも1種のガス試料が入力ユニットから測定チャンバ内へと吸い込まれる。このガス試料は、被験者が入力ユニット内に吹き込んだガス量の一部である。既に説明したように、吸込みチャンバユニットが、最大の容積を有する状態へ移行することにより、ガス試料が測定チャンバ内に吸い込まれる。好適には、入力ユニットは、少なくともガス試料が測定チャンバ内に吸い込まれる期間中は、分析機器の残りの部分に接続されており、これにより、吸い込まれたガス試料が、被験者が入力ユニットに吐き出したガスまたは他の形式で入力されたガスに由来することが保証されている。
【0027】
検査すべきガス試料は、勿論、弁が解放終端位置にあるか、または少なくとも中間位置にある場合にのみ、入力ユニットから測定チャンバ内に流入することができ、そこでセンサによって検査することができる。さらに、多くの場合は、弁が解放終端位置にあるか、または少なくとも中間位置にある場合にのみ、測定チャンバをパージすることができ、さらなるガス試料の収容のために使用可能とすることができる。この場合にのみ、測定チャンバからのガスは入力流体接続部を貫流して測定チャンバの外に流れることができる。測定チャンバからのガスが、入力流体接続部を貫流するのではなく、別個の流体接続部を介して分析機器から出て行くことも可能である。
【0028】
弁が閉鎖終端位置にある場合には、測定チャンバは入力ユニットから、好適には周囲から分離されていて、理想的には流体密に分離されている。これにより一方では、環境条件によってセンサが変化させられる危険が減じられる。特に、入力ユニットまたは周囲からの粒子または物質がセンサに作用する、または堆積物が形成される危険が減じられる。他方では、センサの構成部材が、例えば電解質が、蒸発する危険が減じられる。環境条件および蒸発により、センサの測定結果にエラーが生じる、またはセンサが完全に故障するおそれがある。
【0029】
今述べた理由から、弁は所定の時間、すなわち検査すべきガス試料の検体が測定チャンバ内に流入できるようにするために解放位置にあるべきであり、それ以外は閉鎖位置にあることが望ましい。
【0030】
本発明によれば、吸込みチャンバユニットが最大の容積を有する状態へ移行することにより、吸込みチャンバユニットは、検査すべきガス試料の検体を測定チャンバ内に吸い込む。このような特徴により、多くの場合、検査すべきガス試料の規定量が、比較的短時間で測定チャンバ内に圧送される。測定チャンバに到達するガス試料の量は、多くの場合、その量が、被験者がガス試料を吹き込む強度および持続時間に大きく依存する場合に、ならびにガス試料が測定チャンバ内に流れる体積流量に依存する場合に、またはガス試料が測定チャンバ内に拡散される場合に、特定が極めて困難である。さらに、ガス試料を測定チャンバ内にもたらすこのような手順は、多くの場合、本発明による吸込みチャンバユニットを使用する場合よりも多くの時間を要する。
【0031】
多くの場合、測定チャンバ内には殆ど、吸込みチャンバユニットが最大の容積を有する状態へ移行することにより測定チャンバ内に吸い込まれたガスしか存在しない。拡散によって、または吸込みチャンバユニットが静止している際に被験者がガス試料を放出したことによって測定チャンバ内に達するガスは、無視できるほど僅かな量であることが殆どである。測定チャンバ内のガスは、殆ど吸い込みのみによるものであるという効果によって、多くの場合、実質的に被験者の肺からの空気だけが測定チャンバに到達し、上気道または口からの空気はごく僅かしか到達しないことを容易に保証することができる。これにより、被験者の血液中のアルコールが検出されるべき場合には特に、測定の確実性が高められる。別の用途では、この特徴により、まず被験者の口からの空気が、続いて肺からの空気が、つまり2つの吸込みプロセスにより、測定チャンバ内へ到り、そこでそれぞれ物質について検査される一方、上気道からの空気が測定チャンバ内に到達することは十分に阻止されることを保証するのが容易になる。
【0032】
本発明により、弁を動かすために、かつ吸込みチャンバユニットを移行させるために、ただ1つの駆動ユニットしか必要ではない。これにより、2つの異なる駆動ユニットが設けられている構成と比較して、1つの駆動ユニットが、ひいては多くの場合、スペースおよび電気エネルギが、節約される。さらに、2つではなく1つの駆動ユニットのみを制御し、監視するだけでよい。
【0033】
本発明によれば、一方の終端位置から他方の終端位置への弁の移動は、一方の状態から他方の状態への吸込みチャンバユニットの移行に機械的に連動していて、すなわち、同じ駆動ユニットが、弁および吸込みチャンバユニットの両方に機械的に連結されている。このような連結により多くの場合、弁は、
-必要な長さだけ開かれていて、すなわち、これによりガスが測定チャンバ内に流れることができ、かつ
-できるだけ長く閉じられていて、これにより測定チャンバとセンサとは周囲から分離されている。
【0034】
機械的な連結によって、弁運動を状態移行に連動させる電子的またはニューマチック式の制御または調整を使用する必要はない。
【0035】
本発明によれば、入力流体接続部は入力ユニットを測定チャンバに接続している。1つの実現形態では、入力ユニットは、周囲を入力流体接続部に接続する通路を有している、または規定している。好適にはこの通路は、測定チャンバに向かう方向で見て先細りしている。1つの実現形態では、入力ユニットはさらに、分析機器のケーシングに取り外し可能に接続することができるマウスピースを有しており、このマウスピースは、放出されたガス試料、特に呼気試料を、入力流体接続部の方向に案内する。これらの両実現形態は、互いに組み合わせることができる。
【0036】
本発明により、駆動ユニットは、弁を動かすことができ、かつ吸込みチャンバユニットを移行させることもでき、これによりこれら両部分の同期運動をもたらすことができる。好適には、駆動ユニットは、弁および吸込みチャンバユニットの両方に機械的に連結されているアクチュエータを有している。
【0037】
本発明によれば、吸込みチャンバユニットが、最大の容積を有する状態へ移行するステップは以下のことをもたらす。すなわち、入力ユニットからのガスが、入力流体接続部を貫流して測定チャンバ内に吸い込まれる。好適には、測定チャンバは、一方の側の入力ユニットおよび弁と、他方の側の吸込みチャンバユニットとの間に位置する。特に好適には、入力ユニット、入力流体接続部、測定チャンバ、および吸込みチャンバユニットは、相前後して1つの線に沿って配置されている。好適には、弁もこの線に沿って、すなわち入力ユニットと測定チャンバとの間に位置している。入力ユニットと吸込みチャンバユニットとの間に測定チャンバを備える構成により、特に省スペースかつ極めて堅牢な配置となる。様々な構成部材が1つの線に沿って配置されている好適な構成により、多くの場合、以下のことがもたらされる。すなわち、ガス試料が線形に圧送され、これにより望ましくない渦流の危険が減じられる。
【0038】
1つの好適な実現形態では、駆動ユニットは付加的に、機械的な弁接続エレメントを有している。この弁接続エレメントは、好適にはロッドである、またはロッドを有している。弁は、好適には弁体として形成されている閉鎖部材と、閉鎖部材座部、例えばシールリングとを有している。閉鎖部材は、閉鎖部材座部に対して相対的に、好適には線形に2つの逆方向で可動である。弁が閉鎖終端位置にある場合、閉鎖部材は閉鎖部材座部に当接し、好適には不可避のスリットおよび/またはギャップを除いて流体密に当接している。弁が解放終端位置または中間位置にある場合、閉鎖部材と閉鎖部材座部との間に間隔が生じて、1つの実現形態では、環状のギャップが生じる。このような実現形態によれば、弁接続エレメントが、アクチュエータを機械的に閉鎖部材に接続している。このような実現形態は、特に簡単な機械的構造をもたらす。弁接続エレメントは、アクチュエータと閉鎖部材との間の間隔を橋絡する。これにより、アクチュエータを、閉鎖部材から空間的に離して配置することができ、これにより、いくつかの場合において、入力流体接続部の位置決めならびにアクチュエータへの給電が容易になる。アクチュエータにより生じ得る加熱は、多くの場合、分析機器のその他の部分に殆ど影響を与えない。
【0039】
この構成は、吸込みチャンバユニットが測定チャンバとアクチュエータとの間に位置している構成と組み合わせることができる。好適には、測定チャンバも、吸込みチャンバユニットと入力ユニットとの間に位置している。
【0040】
さらなる構成では、吸込みチャンバユニットは、変更可能な容積および流体密な壁を備えた吸込みチャンバ、例えばベローズを有している。さらに、吸込みチャンバユニットは、機械的なチャンバ変更エレメント、例えばプレートを有している。吸込みチャンバユニットがピストン・シリンダユニットを含んでいてもよく、この場合、ピストンはシリンダに対して相対的に可動であり、吸込みチャンバはシリンダ内に形成されていて、ピストンによって画定される。この場合、ピストンは、チャンバ変更エレメントとして機能する。チャンバ変更エレメントが吸込みチャンバに対して相対的に移動することにより、吸込みチャンバの容積が変更させられる。本発明による吸込み流体接続部は、吸込みチャンバを測定チャンバに接続する。駆動ユニットは、アクチュエータと、機械的なチャンバ接続エレメントとを有している。このチャンバ接続エレメントは、アクチュエータをチャンバ変更エレメントに接続している。
【0041】
今上述した構成のうちの少なくとも2つは、互いに組み合わせることができる。
【0042】
本発明によれば、駆動ユニットは、弁を、解放終端位置と閉鎖終端位置との間で往復運動させることができる。1つの構成では、体積流量センサは、入力流体接続部を貫流して測定チャンバ内に到るガスの体積流量のための尺度を測定することができる。流体接続部を通る「体積流量」とは、流体接続部を通って流れる流体の単位時間あたりの体積を意味している。例えば、体積流量センサは、2つの異なる測定位置における圧力の差を測定し、この圧力の差から評価ユニットが体積流量を導き出す。このような構成によれば、本発明による分析機器は、以下のように構成されている。すなわち、測定された体積流量に応じて、分析機器の制御装置は、駆動ユニットが弁を閉鎖終端位置へと動かすステップを自動的にトリガする。このような構成により、規定されたかつ/または既知の量のガスを測定チャンバ内に案内し、その後、測定チャンバを閉鎖することが容易になる。このような構成は、測定結果の確実性を向上させる。ガスの量は、測定された体積流量から求めることができる。
【0043】
本発明によれば、入力流体接続部は入力ユニットを測定チャンバに接続している。解放終端位置では、弁は入力流体接続部を解放している。1つの構成では、流体ガイドユニット、例えば管が、弁の閉鎖部材、例えば弁体を、かつオプションとして、駆動ユニットの弁接続エレメントの一部も取り囲んでいる。流体ガイドユニットと閉鎖部材との間には中間室が、例えば環状のギャップが生じる。入力流体接続部は、流体ガイドユニットを貫通して延びており、この中間室を含む。1つの構成では、弁の弁体座部は、この中間室に隣接している。
【0044】
このような構成により、特に簡単に、閉鎖部材(例えば、弁体)の線形の運動が弁を一方の終端位置から他方の終端位置へと動かすように、弁を形成することができる。流体ガイドユニットは、ある程度まで、閉鎖部材を外部からの機械的損傷に対して保護する。
【0045】
本発明によれば、吸込みチャンバユニットが最大の容積を有する状態へ移行するステップにより、ガスが入力流体接続部を貫流して測定チャンバ内に吸い込まれる。1つの構成では、吸込みチャンバユニットが最小の容積を有する状態へ移行するステップにより、ガスが入力流体接続部を貫流して測定チャンバから外に圧送され、例えば放出される。これにより測定チャンバはパージされて、新規のガス試料を収容することができる。しかしながら、測定チャンバをパージするための別個の流体接続部を設けることは可能であるが、しかし必要ではない。
【0046】
好適な構成では、分析機器の制御装置が、弁を解放終端位置へと移行させ、これにより入力流体接続部を解放するステップを、自動的に、時間制御により、または事象制御によりトリガする。1つの実現形態では、入力ユニットへのガス試料の入力が開始されたという事象が検知される。例えば、マウスピースまたはその他の入力エレメントが、分析機器の基体上に装着されたという事象、またはガスが入力エレメント内に流れるという事象がセンサによって検知される。
【0047】
弁を解放終端位置に動かすステップは、第1の実現形態では、ガス試料の入力または受容が開始された事象以降、所定の期間が経過すると、開始される。
【0048】
第2の実現形態では、弁を解放終端位置に移行させるステップは、ガス入力の開始後、予め規定された開放事象が生じると、開始される。この開放事象は、好適には、これまでに入力ユニットに吹き込まれた、かつ/または入力ユニット内に流入したガス試料が有する体積または量に依存する。
【0049】
好適な構成の両実現形態は、本発明の1つの適用例において、実質的に被験者の肺からの空気だけが測定チャンバ内に流入し、上気道および口からの空気は全くまたはごく僅かにしか到達しないということのために貢献する。このような作用は、呼気アルコールに関するガス試料の分析により、被験者の血液中のアルコールの量を正しく求めるための確実性を向上させる。本発明の別の適用例では、これらの実現形態は、まずは実質的に口からの空気が、次いで実質的に肺からの空気が測定チャンバ内へと流れ、上気道からの空気は流れないことに貢献する。
【0050】
ガスは、実質的に、弁が解放終端位置にある場合にだけ測定チャンバ内に到ることができる。通常、弁は、極めて短時間だけ、両終端位置の間の中間位置にある。1つの構成では、より高い確実性で、測定チャンバ内のガスの量が少なくともほぼ既知であることが保証される。1つの構成では、測定チャンバ内にそれまでに流入したガスの量が測定される。測定された量が、所定の量境界値に達している場合は、弁を再び閉鎖終端位置へと動かすステップがトリガされる。
【0051】
本発明によれば、駆動ユニットが、吸込みチャンバユニットを、最大の容積を有する状態および最小の容積を有する状態に移行させる。これらの両ステップがどの順序で実施されるかという択一的な構成が可能である。
【0052】
第1の択一的な構成では、この方法が実施される前に、すなわち、検査すべきガス試料が測定チャンバ内に到る前に、吸込みチャンバユニットは最大の容積を有する状態にある。まず、吸込みチャンバユニットを、最小の容積を有する状態へ移行させるステップが実施される。これにより、測定チャンバがパージされ、この場合、特に、それ以前のガス試料のガスが測定チャンバから除去される。次いで、吸込みチャンバユニットを、再び最大の容積を有する状態へ移行させるステップが実施される。これにより、実際に検査すべきガス試料の量が測定チャンバ内に吸い込まれる。センサは今や、物質の量または濃度のための尺度を測定する。
【0053】
第2の択一的な構成では、逆の順序で実施される。この方法が実施される前に、吸込みチャンバユニットは最小の容積を有する状態にある。まず、吸込みチャンバユニットを、最大の容積を有する状態へ移行させるステップが実施される。これにより、実際に検査すべきガス試料の量が測定チャンバ内に吸い込まれる。センサは、物質の量または濃度のための尺度を測定する。次いで、吸込みチャンバユニットは再び、最小の容積を有する状態へ移行する。これにより測定チャンバはパージされる。
【0054】
好適な実現形態では、分析機器は、入力流体ガイドユニットを有している。入力流体接続部は、入力流体ガイドユニットを貫通してガイドされている。入力流体ガイドユニットの一部は、測定チャンバの壁に属していてよい。入力ユニットは、入力流体ガイドユニットに接続することができ、好適には取り外し可能に接続することができ、例えば管に装着することができる。入力流体ガイドユニットは、弁を好適には完全に取り囲んでいる。このような実現形態により、分析機器の特に省スペースな構成が得られ、弁の他の考えられる配置よりも必要な構成スペースは少ない。さらに、このような実現形態は、多くの場合、特に堅牢な構成となり、弁が外部からの影響により損傷されるまたは不密になる危険は減じられる。
【0055】
第1の適用例では、被験者が放出したガス試料が1回、入力ユニットから測定チャンバに吸い込まれ、そこでセンサにより分析される。既に上述したように、本発明は、このガス試料が主として被験者の肺からの空気から成っていて、被験者の上気道および口からの空気はごく僅かしか含まれていないことを保証するのを容易にする。この第1の適用例では、被験者の血液中の物質の含有量が検査されるべきである。
【0056】
第2の適用例では、同じ被験者が吹き込んだ相前後する2種のガス試料を、入力ユニットから測定チャンバへと吸い込み、そこでセンサによって分析する。その間に、測定チャンバはパージされる。このような第2の適用例では、分析機器は、第1のガス試料が実質的に、被験者の口からの空気から成り、第2のガス試料が実質的に肺からの空気から成るように稼働させられる。第1のガス試料により、被験者が、直前に、アルコールまたはその他の物質を摂取したかどうかを検査し、この場合、この物質はまだ被験者の血液循環には達していない。第2のガス試料によって、さらに被験者の血液中の物質の含有量が検査される。
【0057】
第3の適用例では、まず、予備試料が測定チャンバ内に吸い込まれ、この予備試料によって測定チャンバがパージされ、この場合、この予備試料が物質に関して必ずしも検査されることはない。予備試料も、被験者に由来するものであってよく、または周囲からのものであってもよい。
【0058】
1つの構成では、分析機器は、携帯可能な機器として構成されており、固有の電圧供給ユニット、好適には再充電可能なバッテリのセットを含んでいる。分析機器は、定置の機器として構成されていてもよく、定置のエネルギ供給網に接続されてもよいし、または接続可能であってもよい。
【0059】
以下に、本発明を1つの実施例につき説明する。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【
図1】電気化学式センサの作用形式を概略的に示す図である。
【
図2】本発明による分析機器の第1の構成を斜め上方から見た斜視図である。
【
図3】
図2の分析機器を上方から垂直に見た斜視図である。
【
図6】試料入口、弁、ロッド、センサ、およびベローズを有した第1の構成による分析機器の一区分を、測定チャンバを省いて示す斜視図である。
【
図7】センサを省いて示す、
図6の区分の断面図である。
【
図8】測定チャンバに通じる入力流体接続部を概略的に示す断面図である。
【
図9】本発明による分析機器の第2の構成を示す断面図である。
【
図10a】ロッドが図平面に対して垂直に延びている分析機器の断面図である。
【
図10b】ロッドが図平面に対して垂直に延びている分析機器の断面図である。
【
図10c】ロッドが図平面に対して垂直に延びている分析機器の断面図である。
【0061】
本実施例では、本発明による分析機器は、被験者が吐き出した呼気試料を、所定の物質、特に呼気アルコールに関して分析するために使用される。所定の物質としての呼気アルコールの場合、被験者は、その血液中のアルコールが検出境界を上回っているか否かについて調べられるべきである。被験者は、呼気試料を、分析機器のマウスピース内に吹き込む。被験者がアルコールを摂取し、血液中のアルコールがまだ完全には分解されていない場合には、放出された呼気試料は呼気アルコールを含有する。放出された呼気試料の一部は、分析機器の内部の測定チャンバ内へと流れる。この部分を以下では、「測定チャンバ試料」と呼称する。測定チャンバ内のまたは測定チャンバ表面上のセンサは、この測定チャンバ試料が、呼気アルコールまたはその他の所定の物質を含んでいるか否かを検査する。本発明は、被験者が吐き出した空気中に、または被験者が放出可能なその他のガス中に含まれる可能性のある他の物質のためにも使用することができる。
【0062】
センサは、測定チャンバ内にある、測定チャンバ試料中の所定の物質の量および/または濃度と相関する信号を生成することができる。従来技術により、様々な適切なセンサが公知であり、例えば電気化学センサ、フォト光センサ、光音響センサ、光イオン化センサ、および発熱センサが公知である。このようなセンサは、本発明のためにも使用することができる。
【0063】
分析機器は、測定チャンバ試料における測定された呼気アルコール量または濃度から、ならびに測定チャンバ試料の量および/または体積から、吹き込まれた呼気試料における呼気アルコールの濃度を導き出す。測定チャンバ試料の量および/または体積は、例えば、分析機器の構造により既知である測定チャンバの容積に依存して、かつ/または測定チャンバ内への体積流量を複数回測定し、測定値を積分することにより導き出される。物質が呼気アルコールである場合、したがって分析機器の信号処理評価ユニットがまたは空間的に離間された評価ユニットが、呼気試料中の呼気アルコール濃度から被験者の血液中の実際のアルコール含有量を導き出す。
【0064】
呼吸試料がマウスピースを通って流れる間、まず空気は口から、次いで上気道から流れ、続いて被験者の肺からの空気がマウスピースを通って流れる。被験者の血液がアルコールを含んでいるか否かを確定するために、肺から出た呼気試料部分からのガスを検査しなければならない。被験者の肺から出たガスのみが測定チャンバ内へと流れ、測定チャンバ試料は、肺からの空気のみを含み、口および上気道からの空気を含んでいないことが理想である。以下では、この目的が、本発明によりどのように達成されるかを説明する。
【0065】
実施例の分析機器は、電気化学式センサ12を有している。「センサ」とは、自動的に信号、好適には電気信号を生成する構成部材を意味し、この場合、生成された信号は、測定チャンバ試料における所定の物質の量および/または濃度のための尺度である。測定チャンバ試料は、測定チャンバ内に存在しており、センサはこの測定チャンバ内の測定チャンバ試料を分析することができる。電気化学式センサは化学反応をトリガし、この場合、この化学反応は、分析すべき物質の量および/または濃度に依存しており、測定可能な電気的な検出量、例えば電流強度または電圧または電荷、またはセンサの構成部材の電気抵抗に影響を及ぼす。
【0066】
図1は、従来技術により公知の電気化学式センサ12の作用形式を概略的に例示している。
図1の図示は、必ずしも縮尺通りではない。この電気化学式センサ12は、測定チャンバ試料Prを呼気アルコールに関して分析することができ、燃料電池の原理に従って燃料としてのアルコールによって動作する。このようなセンサ12は、本発明による分析機器のためにも使用することができる。本発明による分析機器は、1つの構成では、このような形式の電気化学式センサ12を含む。
【0067】
図1においては符号50でセンサ装置が示されており、このセンサ装置は、電気化学式センサ12と、測定チャンバ3のための壁40とを含んでいる。壁40はセンサ12と測定チャンバ3とを取り囲んでいる。図示の実現形態では、壁40およびセンサ12は両者とも同じ中心軸線MAに対して回転対称である。勿論、その他のジオメトリ形状も可能である。
【0068】
本実施例では呼気試料Aに由来する分析すべき測定チャンバ試料Prは、例えば、被験者が息を吐き出すかまたは吸い込むか、または測定チャンバ3内に拡散することによって、流入側の開口OE.eを通って測定チャンバ3の内部に流入する。1つの構成では、測定チャンバ試料Prは、流出側の開口部OE.aを通って再び測定チャンバ3から流出する。このような構成により、センサ12は、複数の測定チャンバ試料Prを迅速に順次検査することができる。流出側の開口OE.aが設けられておらず、測定チャンバ試料が流入側の開口OE.eを通って再び測定チャンバ3から流出することも可能である。
【0069】
電気化学式センサ12は、
-コンタクトワイヤ34によって電気的に接触接続されている測定電極20、
-コンタクトワイヤ33によって電気的に接触接続されている対応電極21、
-両電極20と21との間の電解質28、
-両コンタクトワイヤ33と34とを相互に電気的に接続しかつ電気的な測定抵抗29が配置されている接続ワイヤ22、および
-接続ワイヤ22を流れる電流の強度Iを測定する電流強度センサ38
を含む。
【0070】
このような電気化学式センサ12は、以下で、膜・電極・電解質ユニット(MPEE)とも称される。
【0071】
電解質28は、導電性媒体、例えば水で希釈された硫酸またはリン酸または過塩素酸であるか、またはこれらを含む。イオンは電解質28内で移動することができる。好適には、多孔質膜が電解質28を提供している。電解質28は、測定電極20と対応電極21との間にイオン伝導性の接続を形成するが、両電極20と21とを互いに電気的に絶縁する。
【0072】
センサ12は、測定チャンバ試料Prが測定電極20のみに到達し、対応電極21には到達しないように構成されている。図示した例では、測定電極20は測定チャンバ3の壁に位置しており、壁40と電解質28とは、測定チャンバ試料Prの関連する量が対応電極21に到達することを阻止している。
【0073】
両コンタクトワイヤ33および34は、導電性であり、電解質28により化学的に攻撃されない材料、例えば白金または金から成る。電極20および21も、化学的に耐性のある材料、例えば、同様に白金または金から成る。多くの場合、電極20,21の化学的に耐性のある材料は、付加的に、検出すべき物質に依存しかつ測定に用いられる化学反応のための触媒として機能する。
【0074】
1つの実現形態では、電気化学式センサ12は、燃料電池の原理で機能する。測定のために使用される化学反応は、測定チャンバ3内で測定チャンバ試料Pr中の呼気アルコールを酸化させるステップを含む。理想的には、測定チャンバ試料Pr中の呼気アルコールの全量が酸化される。
【0075】
化学反応の結果として、測定電極20と対応電極21との間に、ひいては接続ワイヤ22に電流が流れる。電流強度センサ38は、電荷のための、つまり接続ワイヤ22を通って流れる電流の全量のための尺度を測定する(クーロメータの原理)。通常、電流は、すべての可燃性ガス、ここではつまり呼気アルコールが、測定チャンバ3内で酸化するまで流れる。測定チャンバ3内の測定チャンバ試料Prが所与の体積にある場合には、酸化前の測定チャンバ試料Prが含有する呼気アルコールが多いほど、測定される電荷は大きくなる。したがって、測定された電荷は、測定チャンバ試料Pr中の呼気アルコール含有量の、ひいては被験者の血液中のアルコールの含有量の尺度である。
【0076】
図2~
図7は、本発明による分析機器100の第1の構成を示している。
図9は、第2の構成を示している。
図8および
図10は、両構成について当てはまる。
【0077】
図2および
図3は、第1の構成による本発明による分析機器100を斜視図で示しており、
図4および
図5は2つの断面図で示している。
【0078】
分析機器100のフレーム9には、以下のさらなる構成部材、すなわち、
-概略的にのみ示したマウスピース30、
-試料入口1、
-互いに堅固に結合されている比較的小さな部分16.1と比較的大きな部分16.2とから成る接続部材16、
-測定チャンバ3と電気化学式センサ12とを備えたセンサ装置50であって、例えば
図1に示されたように構成されていてよいセンサ装置50、
-測定チャンバ3の上流で、測定チャンバ3の壁40に取り付けられていて、部分16.2を取り囲む流入側の接続片32、
-測定チャンバ3の下流で、測定チャンバ3の壁40に取り付けられている流出側の接続片10、
-線形に摺動可能なロッド4、
-内部にロッド4が貫通ガイドされている接続スリーブ11、
-本実施例の吸込みチャンバユニットとして機能するベローズ5、
-チャンバ変更エレメントとして機能する、ベローズ5内のプレート6、
-以下に記載する圧力測定または体積流量測定のためのオプションとしての第1の測定点MP.1、
-別の圧力測定またはこの体積流量測定のためのオプションとしての第2の測定点MP.2、
-1つの対象物を2つの逆方向に動かすことができ、その機能をさらに以下で説明するアクチュエータ、
-センサ装置50および体積流量センサまたは圧力センサからそれぞれ信号を受け取り、アクチュエータを制御することができる、概略的に示された信号処理する制御機器(コントロールユニット)60、
-アクチュエータに電気エネルギを供給する図示されていない電圧供給ユニット、例えば少なくとも1つのアキュムレータ
が組み付けられている。
【0079】
「前」および「後」ならびに「上流」および「下流」という記載は、試料入口1からベローズ5へのガスの流れ方向、つまり
図2から
図9では左から右へのガスの流れ方向に関する。
【0080】
マウスピース30は試料入口1に装着され、再び試料入口1から引き抜くことができる。1つの構成では、装着されたマウスピース30は試料入口1を取り囲む。マウスピース30は、漏斗の形状を有しており、マウスピース30が装着されている場合、この漏斗は、試料入口1に向かって減径している。このような漏斗形状により、被験者が呼気試料Aを吹き込むと、マウスピース30の内部に過圧が生じる。
【0081】
マウスピース30は、本実施例の入力ユニットに属し、試料入口1と接続部材16とは、入力流体ガイドユニットに属する。後述する入力流体接続部は、入力流体ガイドユニットを貫通してガイドされていて、マウスピース30を測定チャンバ3に接続することができる。
【0082】
マウスピース30には、開口が設けられており、この開口を通って、吹き込まれた呼気試料が試料入口1へと流れることができる。好適には、マウスピース30には別の開口(図示せず)が設けられている。マウスピース30内で過圧が発生した場合、この別の開口を通って、呼気は周囲に逃げることができる。これにより、マウスピース30内に過圧が生じた場合に、呼気試料Aの一部が被験者へと戻される危険が減じられる。このような開口を備えたマウスピースは、例えば独国特許出願公開第102017008008号明細書に記載されている。
【0083】
測定チャンバ3は、壁40とカバープレート17とによって取り囲まれている。センサ12は、カバープレート17の下に配置されている。図示した実施例では、センサ装置50の壁40は、直方体の形状の外側輪郭と、円筒の形状の内側輪郭とを有する。他のジオメトリ形状も可能である。センサ12と測定チャンバ3とは、同じ中心軸線MAを中心として回転対称である。この中心軸線MAは、
図3の図平面に対して垂直に立っていて、
図4および
図5の図平面内に位置している。
【0084】
図示した例では、アクチュエータは、ソレノイド7と、フレーム9に支持されソレノイド7に接続されているばねの形態の戻しユニットとを含む。図示されていない電圧供給ユニットは、ソレノイド7に電気的に接続されている。アクチュエータの別の構成、例えば電気モータまたはピストン・シリンダユニットも可能である。手動の駆動装置も考えられる。
【0085】
さらに、
図4および
図5の断面図には、分析機器100の以下の構成部材が示されている。すなわち、
-閉鎖部材と閉鎖部材座部13とを備えた弁、
-試料入口1における管の形態の中空室31、
-接続部材16の内部における管の形態の中空室15、
-ロッド4に堅固に結合されている、ベローズ5内のプレート6、
-ロッド4の長手方向軸線に沿って線形にロッド4をガイドし、ロッド4の側方の動きまたは回転または傾きを阻止するガイドユニット19、
-測定電極20、対応電極21、および電解質28を含むセンサ12の一部、および
-測定チャンバ3の壁40の一部。
【0086】
さらに、
図4および
図5には、線形に摺動可能なロッド4と接続スリーブ11とが、シール円錐2をソレノイド7に接続している様子が示されている。
【0087】
この実施例では、閉鎖部材2は、シール円錐の形態を有しており、閉鎖部材座部13は、好適には弾性的であるシールリングの形態を有している。シール円錐2の直径は、好適にはロッド4の直径より大きい。これにより、シール円錐2の直径を可能な限り大きく、ロッド4の直径を可能な限り小さく形成することができる。ロッド4のどの位置でも、シール円錐2は中空室15内に位置している。シール円錐2と中空室15の内壁との間には、環状のギャップSpが生じる、
図5および
図8参照。
【0088】
閉鎖エレメント座部(シールリング)13は、ロッド4の、シール円錐2に隣接する端部を取り囲み、壁40の凹部内に挿入されている。ロッド4は測定チャンバ3を貫通ガイドされている、
図4および
図5参照。図示した実施例では、ロッド4の長手方向軸線は、円筒状の測定チャンバ3の中心軸線MAに対して垂直に延びていて、
図3、
図4および
図5の図平面内に位置している。1つの構成では、ロッド4には、面状の構成部材の形態のオプションとしての少なくとも1つの混合エレメント(図示せず)が堅固に取り付けられている。この混合エレメントまたは各混合エレメントは、ロッド4のどの位置でも、測定チャンバ3の内部に位置している。
【0089】
図6および
図7は、斜視図もしくは断面図で、試料入口1、弁2,13、ならびに試料入口1と測定チャンバ3との間の入力流体接続部を示している。
図8は、概略的な断面図で、
図2~
図7とは僅かに異なる実現形態における試料入口1と測定チャンバ3との間の入力流体接続部を示している。
【0090】
図示の構成では、測定チャンバ3は、専ら入力流体接続部を介してマウスピース30に流体接続されており、この流体接続は、弁2,13が完全にまたは少なくとも部分的に開かれている場合にのみ生じる。
【0091】
代替的な2つの構成も可能であり、これらは両方とも図示されていない。すなわち、
-第1の代替的な構成では、マウスピース30は、別個の出力流体接続部を介して周囲と流体接続されている。好適には、この出力流体接続部は、弁2,13の上流側で、入力流体接続部から分岐している。好適には、この出力流体接続部は、弁2,13が開かれている場合は閉じられており、弁2,13が閉じられている場合は開かれている。出力流体接続部が開かれている場合には、マウスピース30内に吹き込まれた呼気は、特に弁2,13が閉じられている状態で、出力流体接続部を貫流して周囲へと流れる。このような構成により、被験者がマウスピース30内へと吹き込んだガスが被験者へと逆流する危険が減じられる。
-第2の構成では、測定チャンバ3が、流出流体接続部を介して周囲と流体接続されている。測定チャンバ3は、この流出流体接続部を介してパージすることができる。好適には、この流出流体接続部には、ガスを測定チャンバ3から除去すべき場合にのみ開かれる弁が配置されている。このような構成により、測定チャンバ3のパージの際に、測定チャンバ3からのガスがマウスピース30内に導入または圧送されることは回避される。
【0092】
図2~
図7の図示では、ベローズ5が、最大の容積を有した状態で示されている。ロッド4は、この状態を、
図2~
図7による第1の構成では、弁2,13が閉鎖終端位置にある状態に連結している。
【0093】
図9は、最小の容積を有した状態でベローズ5を示している。
図9による第2の構成では、ロッド4は、この状態を、弁2,13が閉鎖終端位置にある状態に連結している。同じ符号は、
図2~
図7の場合と同様の意味を有する。
【0094】
図9には、さらに以下の構成部材が示されている。すなわち、
-プレート6とソレノイド7との間の接続エレメント26、および
-接続エレメント26に設けられた穴およびソレノイド7のロッドに設けられた穴を貫通してガイドされているピン。
【0095】
センサ12は、ピン27によって、ピン27の長手方向軸線を中心としてソレノイド7に対して相対的に回転することができる。
【0096】
図10は、分析機器100の3つの断面図を示しており、この場合、ロッド4の軸線は、各断面図において、それぞれの図平面に対して垂直に立っていて、視線方向はソレノイド7から試料入口1へと向けられている。これら3つの断面図は、分析機器100の両構成に当てはまる。
図10a)は、
図3の平面A-Aにおける断面を示しており、
図10b)は、平面B-Bにおける断面を示しており、
図10c)は、平面C-Cにおける断面を示している。
【0097】
分析機器100の以下のさらなる構成部材が
図6、
図7および/または
図8に示されている:
-ロッド4を取り囲みかつほぼ三角形の横断面を有する管状の空所18、
-ロッド4のためのガイドユニット19、および
-管16の周囲のさらなるシールリング14。
【0098】
中空室31と15とは共に、空所18へと延長される1つの管を形成している。この実施例では、管31,15、ギャップSp、および空所18が一緒に、試料入口1と測定チャンバ3との間の入力流体接続部を形成している。シール円錐2は、入力流体接続部31,15,Sp,18が遮断されている閉鎖終端位置と、入力流体接続部31,15,Sp,18が解放されている解放終端位置との間で往復運動可能である。図面に示されている閉鎖終端位置では、シール円錐2が閉鎖エレメント座部(シールリング)13に流体密に当接している。シール円錐2が閉鎖エレメント座部13から離れて、試料入口1に向かう方向に(第1の構成)、もしくは試料入口1から離れる方向(第2の構成)に動かされることにより、シール円錐2は解放終端位置へ線形に移動させられる。
【0099】
シール円錐2が解放終端位置に、または解放終端位置と閉鎖終端位置との間の中間位置にある場合、入力流体接続部31,15,Sp,18が、マウスピース30と測定チャンバ3との間で形成される。この入力流体接続部31,15,Sp,18は、以下の構成部材を貫通している。すなわち、
-管31、
-中空室15、
-シール円錐2と中空室15の内壁との間のギャップSp、
-シールリング13によって取り囲まれた内室、および
-ロッド4の周囲の空所18。
【0100】
シール円錐2が閉鎖終端位置にある場合、すなわちシールリング13に当接する場合、この入力流体接続部31,15,Sp,18は遮断される。
【0101】
ロッド4と接続スリーブ11とが、シール円錐2をソレノイド7に接続している。ソレノイド7および図示されていないばねを備えたアクチュエータは、ロッド4を両方向に線形に動かすことができ、これにより、閉鎖終端位置と解放終端位置との間でシール円錐2を往復運動させることができる。ロッド4は、接続スリーブ11を貫通してガイドされている。
【0102】
ロッド4、接続スリーブ11、およびプレート6は、互いに相対的に動くことができないように、機械的に互いに結合されている。接続スリーブ11は、ロッド4の運動をプレート6に伝達する。ソレノイド7は、ロッド4と共に、接続スリーブ11も、ひいてはプレート6も線形に動かすことができる。
【0103】
ベローズ5は、試料入口1に面した側で、壁40に機械的に結合されている。接続片10はベローズ5を取り囲んでいる。プレート6は、ベローズ5の反対の側に隣接している。試料入口1に向かうプレート6の線形運動は、ベローズ5を圧縮し、最小容積を有する状態へとベローズ5を移行させる。逆方向に向かうプレート6の線形運動は、ベローズ5を引き伸ばし、最大容積を有する状態へとベローズ5を移行させる。ベローズ5は、測定チャンバ3に吸込み流体接続8している。
【0104】
ソレノイド7、ばね、ベローズ5、およびプレート6は、一緒に1つの容積型ポンプを形成している。ソレノイド7の変わりに、分析機器100は、他の制御可能なアクチュエータを有していてもよく、このアクチュエータはロッド4を両方向に動かすことができ、一方の終端位置で保持することができる。手動の駆動装置も考えられる。
【0105】
ベローズ5およびプレート6の代わりに、ピストン・シリンダユニット(図示せず)を使用することもでき、この場合、アクチュエータ7はピストンをシリンダに対して相対的に動かすことができる。上述した他のアクチュエータが、ピストン・シリンダユニットのピストンを動かすこともできる。電気モータが、ロッド4を両方向に線形に動かすこともできる。
【0106】
オプションとしての第1の測定点MP.1は、試料入口1または中空室15に流体接続されていて、ひいてはマウスピース30を測定チャンバ3に接続する上述した入力流体接続部31,15,Sp,18に流体接続されている。したがって、第1の測定点MP.1は、弁2,13が閉じられている場合でも、マウスピース30に流体接続されている。第1の測定点MP.1は、空所18に流体接続されていてもよい。オプションとしての第2の測定点MP.2は、測定チャンバ3とソレノイド7との間に配置されていて、測定チャンバ3に流体接続されている。
【0107】
図示されていない2つの圧力センサは、第1の測定点MP.1における圧力もしくは第2の測定点MP.2における圧力を測定する。一連の検出時点の各検出時点において、それぞれ2回の圧力測定が実施される。好適には、これらの両圧力センサは、分析機器100の周囲における周囲圧力に対するその都度の差圧を測定する。
【0108】
1つの構成では、第1の測定点MP.1に接続されている圧力センサの測定値が、マウスピース30への体積流量、ひいてはこれまでマウスピース30に吹き込まれた呼気試料Aの量の体積を近似的に求めるために利用される。少なくとも、弁2,13が閉じられている場合には、この吹き込まれた呼気試料Aの量により、実質的に、漏斗状のマウスピース30の内部における圧力が上昇させられる。マウスピース30に設けられたスリットにより、このような過圧を部分的にのみ減圧することができる。これまで吹き込まれた量がどのような体積を有しているかという情報は、弁2,13を開放するためのプロセスをトリガするために利用することができる。既に説明したように、被験者の肺からの空気のみが測定チャンバ3に到達するべきであって、被験者の口および上気道からの空気は測定チャンバ3に到達するべきではない。どのようにしてこのような所望の作用が得られるかについては、さらに詳しく後述する。
【0109】
1つの構成では、第2の測定点MP.2に接続されている圧力センサの測定値が、測定チャンバ3内の圧力の時間的な推移を測定するために使用される。圧力のこのような時間的な推移と、分析機器100の構成によって既知である測定チャンバ3の容積とから、測定チャンバ試料Prの量に関する推定値を導き出すことができる。
【0110】
ここに上述した両構成と組み合わせることができる1つの別の構成では、図示されていない体積流量センサが、第1の測定点MP.1において測定された圧力と、第2の測定点MP.2において測定された圧力との間の差を導き出す。このような差圧は、測定チャンバ3からのかつ測定チャンバ3への実際の体積流量の尺度となる。さらにオプションとして、弁2,13がシールされているか否か、つまり閉鎖位置で実際に入力流体接続が遮断されているか否かが、自動的に検査される。
【0111】
図8は、ロッド4(
図8では実線で示されている)がどのようにガイドされているかを示している。図示した例では、空所18は三角形の横断面を有しているので、呼気試料Aは、ロッド4の傍らを通過して測定チャンバ3へと流れることができる。さらに、ロッド4は、ガイドユニット19によって線形にガイドされる。このガイドによって、ロッド4は、その長手方向軸線に対して平行な2つの方向で線形にのみ動くことができ、側方に動くまたは傾くことはない。
【0112】
図10は、中空室18の三角形の横断面を示している。
【0113】
以下に、分析機器100が呼気試料Aをどのように取り込み、検査するかを説明する。
【0114】
使用前、分析機器100は、休止状態にある。試料入口1にはマウスピース30は装着されていない。アクチュエータの機械ばねまたは空気ばね(図示せず)は、フレーム9に支持されており、ロッド4を、第1の構成では、ロッド4が試料入口1から最大の間隔を有した位置に保持し、第2の構成では、試料入口1から最小の間隔を有した位置に保持する。ソレノイド7は作動されておらず、すなわち電流は流れていない。ばねにより、プレート6はベローズ5を、
図2~
図7による第1の構成では広げるように引き伸ばし、これによりベローズ5は最大の容積を有している。第2の構成では、プレート6は、休止状態でばねによりベローズ5を圧縮し、これによりベローズ5は最小の容積を有している。
【0115】
シール円錐2は、使用前は閉鎖終端位置に位置しており、弁2,13は、試料入口1と測定チャンバ3との間の入力流体接続部15,18を閉鎖している。したがって測定チャンバ3は、周囲と流体接続されていない。したがって、粒子、物質および他の周囲の影響は、分析機器100が休止している限りは電気化学式センサ12に作用することはなく、逆に、電解質28の成分が例えば蒸発に基づいて電気化学式センサ12からまたは測定チャンバ3から流出する危険は小さい。
【0116】
1つの構成では、マウスピース30は、1回だけの呼気試料Aを吹き込むために使用され、その後で廃棄される。別の構成では、マウスピース30は、呼気試料Aの吹込み後に消毒され、次いで再利用される。
【0117】
両構成では、分析機器100の使用が開始されて初めて、マウスピース30が分析機器100の残りの部分に接続されて、被験者が呼気試料Aを吹き込む。好適には、マウスピース30が試料入口1に装着されるという事象により、分析機器100が休止状態から使用状態に移行するステップがトリガされる。例えば、コンタクトスイッチにより、マウスピース30が試料入口1に装着されたという事象が検知される。
【0118】
使用時に、被験者は、装着されたマウスピース30に呼気試料Aを吹き込む。この呼吸試料Aは、最初は口および上気道から吐き出された空気を含み、続いて被験者の肺から吐き出された空気を含む。分析機器100は、理想的には専ら肺から吐き出された空気を検査する。したがって、被験者が呼気試料Aをマウスピース30内に既に吹き込み始めていたとしても、弁2,13は、最初は閉じられたままである。既に説明したように、マウスピース30は好適には複数の別の開口を有しているので、吹き込まれた呼気試料Aは、弁2,13が閉じられている限りは、完全に周囲に流出することができ、被験者の顔に吹き付けられることはない。
【0119】
分析機器100は、使用状態で、自動的に、設定された開放事象の発生を検出する。
【0120】
開放事象の発生前には、弁2,13は閉じられており、吹き込まれた空気は、スリットを通って、または出力流体接続部を通って再びマウスピース30から逃出する。これにより、実際に被験者の肺から出た空気が測定チャンバ3内へと流れ、口および上気道からの空気の量は特に問題になる程ではないことが保証される。
【0121】
このような開放事象は、例えば、マウスピース30を装着するステップ以降、所定の期間の経過後に生じる。またはこのような開放事象は、マウスピース30を装着するステップ以降、所定量の呼気試料Aがマウスピース30内に吹き込まれると、または呼気試料Aを吹き込むステップを被験者が終了すると、生じる。第2の代替的な構成では、センサは、マウスピース30内に吹き込まれたガスの容積のための、またはマウスピース30内へのガスの体積流量のための尺度を測定する。これについては、さらに詳しく後述する。
【0122】
開放事象が生じたことの検知により、
図2~
図7による第1の構成では、以下のステップがトリガされる:
-電流回路が閉じられ、電流がソレノイド7を作動させる。
-作動させられたソレノイド7が、ばね力に抗してロッド4を試料入口1に向かってスライドさせる。
-試料入口1に向かうロッド4の摺動により、シール円錐2は、シールリング(閉鎖エレメント座部)13から離れるようにスライドさせられて、試料入口1に向かってスライドさせられる。これにより弁2,13が開放されて、すなわち、解放終端位置へと移動する。これにより、入力ユニット(マウスピース30および試料入口1)と測定チャンバ3との間の上述した入力流体接続部が解放される。
-ロッド4の摺動によりさらに、プレート6がベローズ5を圧縮する。
-ベローズ5が圧縮されるので、ガスは、ベローズ5から、吸込み流体接続部8を貫流して測定チャンバ3へと流れる。これにより、存在しているガスが、測定チャンバ3から入力流体接続部18,15を貫流して、試料入口1を通って分析機器100から押し出される。これにより測定チャンバ3はパージされる。測定チャンバ3内のパージされるガスは、先行する吹込みにより由来するものであり得る。
-ベローズ5の圧縮を生じさせる圧力は、呼気試料Aをマウスピース30内に吹き込む圧力よりも著しく大きい。したがって、ベローズ5の容積がさらに縮小される限りは、吹き込まれる呼気試料Aの問題にならない程度の量しか入力流体接続部内へ流れない。
-ベローズ5が完全に圧縮されると、それ以上、測定チャンバ3からのガスが入力流体接続部を貫流して測定チャンバ3から押し出されることはない。弁2,13は開かれていて、ガスは、マウスピース30から入力流体接続を貫流して測定チャンバ3内に吸い込まれるか、または流れることができる。
【0123】
閉鎖事象が検知されると、以下のステップがトリガされる:
-ロッド4は再び試料入口1から離されるように、弁体2が閉鎖エレメント座部13に達するまでスライドさせられる。例えば、ソレノイド7を再び無通電状態に切り替え、ばねがロッド4を試料入口1から離れる方向に摺動させる。
-弁体2が閉鎖エレメント座部13に到達すると、入力流体接続部31,15,Sp,18は再び閉じられ、測定チャンバ3はマウスピース30および周囲から流体密に分離される。
-試料入口1から離れる方向のロッド4の摺動によりさらに、プレート6はベローズ5を引き伸ばす。ベローズ5を引き伸ばすことにより、負圧が生じる。負圧により、ガスがマウスピース30から試料入口1における中空室31を通って、かつ接続部材16における入力流体接続部31,15,Sp,18を通って、測定チャンバ3内へと吸い込まれる。このような負圧により測定チャンバ3内に吸い込まれたガスの量は、測定チャンバ試料Prに属する。
-ロッド4の摺動によりさらに、ロッド4上に設けられた混合エレメントまたはオプションとしての各種混合エレメントが、測定チャンバ3を通って動かされ、これによって、測定チャンバ3内のガスが、ある程度まで混合される。
-プレート6がベローズ5を完全に引き伸ばすと、ベローズ5は最大の容積となる。弁2,13は、再び閉鎖終端位置に到る。
【0124】
電気化学式センサ12は、例えば、
図1につき説明したように、測定チャンバ3内のガス試料を分析する。この場合、測定電極20は、測定チャンバ3内に位置する呼気アルコールを酸化させる。測定チャンバ試料Prは、ロッド4が再び試料入口1へとスライドさせられ、これによってベローズ5が圧縮されるまで、測定チャンバ3内に位置している。
-ベローズ5が完全に引き伸ばされ、弁2,13が閉じられる事象と、
-ベローズ5が再び圧縮され始める事象と
の間の期間が、測定チャンバ試料Prの分析、特に酸化のために電気化学式センサ12に提供される。この期間内、弁2,13は閉じられている。通常、この期間は、測定チャンバ試料Pr中のアルコールを完全に酸化するために十分である。
【0125】
図9による第2の構成は、
図2~
図7による第1の構成に対して以下のような相違点を有している。すなわち、
-シールリング13は、シール円錐2の上流側に位置しているが、第1の構成では、シールリング13はシール円錐2の下流側に位置している。
-休止状態で、図示されていないばねがロッド4を、ロッド4が試料入口1から最小の間隔を有している位置に保つ。
-作動させられたソレノイド7が、ばね力に抗してロッド4を試料入口1から離れる方向に引く。
-ロッド4を試料入口1から離れる方向に摺動させることによって、シール円錐2はシールリング13から離れて測定チャンバ3に向かって動かされ、これによって弁2,13が開かれる。
-さらに試料入口1から離れる方向のロッド4の摺動により、プレート6はベローズ5を引き伸ばす。
-ベローズ5が引き伸ばされるので、ガスは、入力流体接続部31,15,Sp,18を貫流して測定チャンバ3内へと流れる。このようにして測定チャンバ3内に流れるガスは、測定チャンバ試料Prに属する。
-閉鎖事象により、ロッド4が再び試料入口1に向かって、例えばばねによりスライドさせられる、というステップがトリガされる。
-シール円錐2は、測定チャンバ3から離されて、シールリング13に向かって動かされる。シール円錐2がシールリング13に達するとすぐに、弁2,13は再び閉じられる。
-試料入口1へのロッド4の摺動によりさらに、プレート6がベローズ5を再び収縮させるようになる。ベローズ5の収縮により過圧が生じる。この過圧により、ガス、ひいては測定チャンバ試料Prは、ベローズ5から吸込み流体接続部8を貫流して測定チャンバ3内に押し込まれる。これにより、ガスは測定チャンバ3から、入力流体接続部15,Sp,18と、中空室31とを貫流して、試料入口1内へと押し込まれる。これにより測定チャンバ3はパージされる。
【0126】
図9による第2の構成では、センサ12には、測定チャンバ試料Prを分析するために以下の期間が提供される。すなわち、
-ベローズ5が完全に引き伸ばされる事象と、
-ベローズ5が再び収縮し始める事象と
の間の期間である。
【0127】
この期間内、弁2,13は完全に開かれている。
【0128】
電気化学式センサ12が、測定チャンバ3内のガスを、ひいては測定チャンバ試料Prも、呼気アルコールの存在に関して確実に検査することができ、かつ測定チャンバ3内の呼気アルコールの量または濃度を測定することができるようにするために、分析時に測定チャンバ3内に存在している呼気試料Aの量(質量)、つまり測定チャンバ試料Prが有している量は、少なくとも近似的に既知でなければならない。分析機器100の構造により、測定チャンバ3の容積は既知である。ベローズ5の最大の容積と最小の容積との間の差も、構造により既知である。理想的には、被験者の肺から出た空気のみが測定チャンバ3内へと流れ、口および上気道からの空気は流れず、したがって測定チャンバ試料Prは、肺からの空気のみから成っている。
【0129】
上述した両構成では、ベローズ5が引き伸ばされ、これにより最小の容積を有する状態から最大の容積を有する状態へと移行することにより、ガスが測定チャンバ3内に吸い込まれる。ベローズ5の最大の容積と最小の容積との間の差は、多くの場合、マウスピース30から測定チャンバ3内へと吸い込まれる呼気の体積に等しい。
【0130】
さらに、弁2,13が開放されているかまたは開放される期間中、かつこれと同時にベローズ5が動かされない期間中に、例えば被験者がさらに息を吐き出すか、または拡散により、ガスが測定チャンバ3内に流れることがある。しかしながら多くの場合、ベローズ5が動かされない場合に測定チャンバ3内に流れるガスの量は、無視することができる。
【0131】
1つの構成では、測定位置MP.1と流体接続している圧力センサが、周囲圧力に対するマウスピース30内の過圧のための尺度の時間的な推移を測定する。このような時間的な圧力推移により多くの場合、弁2,13が開放されているかまたは開放される期間中、かつこれと同時にベローズ5が動かされない期間中に、測定チャンバ3内に流れる呼気の体積を導き出すことができる。
【0132】
1つの構成では、体積流量センサが、両測定点MP.1およびMP.2における圧力の間の差を測定し、そこから体積流量を求める。所定の期間にわたって積分することによって、体積流量から、この期間において入力流体接続部31,15,Sp,18を貫流して測定チャンバ3内に流れる体積が導き出される。このような期間は例えば、弁2,13が開かれていて、同時にベローズ5が動かされない期間に等しい。オプションとして、測定期間は付加的に、弁体2が動かされる期間を含む。この測定期間は、付加的に、ベローズ5が引き伸ばされる期間を含んでいてもよく、これにより体積流量センサを用いて、測定チャンバ3内に吸い込まれる体積を測定することも可能である。
【0133】
有効な呼気試料Aを放出するために、被験者は、上述した経過で、少なくともベローズ5が完全に引き伸ばされるまでマウスピース30内に息を吐き出し、これにより呼気試料Aを放出しなければならない。被験者が呼気試料Aの放出を事前に中断した場合は、好適には、人が知覚できる形態で相応の通知が発せられる。好適には、これにより被験者は、さらなる呼気試料Aを放出することができる。
【0134】
以下に、どのように開放事象を規定することができるかについて様々な実施形態を説明する。既に説明したように、開放事象が検知されると、弁2,13が解放終端位置へと動かされ始める。理想的には、被験者の肺からの空気がマウスピース30に達すると開放事象が発生させられる。
【0135】
-1つの構成では、開放事象は、マウスピース30の装着後、所定の期間が経過すると生じる。
【0136】
-別の構成では、マウスピース30が装着されてから、被験者がマウスピース30に吹き込んだ、吐き出された空気の量が近似的に測定される。既に説明したように、1つの構成では、第1の測定点MP.1と流体接続している圧力センサが、周囲圧力に対するマウスピース30内の過圧のための尺度を相前後して複数回、測定する。差圧の測定値から、少なくとも一度、これまで吹き込まれた体積のための推定値が導き出される。これまで吹き込まれた体積が、所定の体積境界値に達すると、開放事象が生じる。このような体積境界値は、好適には、大人の口および上気道の平均的な容積に等しい。
【0137】
-さらなる構成は、特に上述の図示されていない出力流体接続部に関連して、すなわち出力流体接続部がマウスピース30を周囲に接続する場合に、使用することができる。弁2,13が閉じられている限りは、被験者がマウスピース30内に吹き込んだ呼気は、出力流体接続部を貫流して周囲へと導かれる。両測定位置MP.1およびMP.2を有する上述した体積流量センサは、入力流体接続部31,15,Sp,18と出力流体接続部とを貫流する体積流量を測定する。測定された体積流量から、これまで吹き込まれた体積が導き出される。これまで吹き込まれた体積が、体積境界値に達するとすぐに、開放事象が生じる。
【0138】
弁2,13を閉鎖終端位置に戻す運動を開始するステップは、閉鎖事象によりトリガされる。いつ閉鎖事象が発生させられるか、様々な構成が可能である。
【0139】
-1つの構成では、弁2,13が解放終端位置に達するとすぐに閉鎖事象が生じる。弁2,13は、すなわち極めて短時間しか、理想的には1つの時点でしか解放終端位置にとどまらない。専らベローズ5が引き伸ばされ、すなわち最小の容積を有する状態から最大の容積を有する状態へと移行することにより、ガスは測定チャンバ3内に吸い込まれる。測定チャンバ3内に到達する測定チャンバ試料Prの量、例えば質量は、ベローズ5の最大の容積と最小の容積との間の差によって決定される。
【0140】
-別の構成では、測定チャンバ3内の化学反応がいつ終了したのかが自動的に求められる。化学反応の終了時に、測定チャンバ3内のすべての呼気アルコールは酸化されている。この事象を検出するために、センサ12によって生成される信号の時間的な推移が求められる。センサ12の信号がほぼ一定に維持されているならば、化学的プロセスは終了している。化学的プロセスの終了は、閉鎖事象として機能する。
【0141】
この別の構成は、特に、第2の構成(
図9)と関連して使用することができる。それというのも、第2の構成では、閉鎖事象によりベローズ5が圧縮され、測定チャンバ試料Prが測定チャンバ3から押し出されて、これにより測定チャンバ3がパージされるからである。すなわち、それまでに、測定チャンバ試料Prの分析は完了しなければならない。これより前に、入力流体接続部が形成されている。
【0142】
これまで説明してきた構成では、理想的には被験者の肺だけから発せられる呼気が、測定チャンバ3内に到達し、そこで分析すべき測定チャンバ試料Prとして機能する。また、被験者の肺からの空気が測定チャンバ3に到る前に、追加的に事前に予備試料を測定チャンバ3内に吸い込み、再び測定チャンバ3から押し出すことも可能である。つまりベローズ5は、同じ被験者をアルコールについて検査するために2回引き伸ばされ、再び圧縮される。通常、この予備試料は、主として、被験者の口および/または上気道から出た空気から成る。予備試料により測定チャンバ3はパージされる。1つの構成では、付加的に、被験者の口腔内および/または上気道内の呼気アルコールの含有量がどの程度の量であるかが少なくとも近似的に求められる。別の構成では、センサ12の電極20,21を呼気試料Aの温度にするために、予備試料が使用される。通常、呼気試料Aは、周囲空気よりも高い温度を有する。このような構成は、多くの場合において、測定結果の信頼性を向上させる。今上述した両構成は、互いに組み合わせることができる。
【0143】
ベローズ5は、吸込み流体接続部8を介して測定チャンバ3に流体接続している。ベローズ5を圧縮するプロセスにより、ガスは、吸込み流体接続部8を通って測定チャンバ3内に押し込まれ、これにより測定チャンバ3はパージされる。これまで説明してきた図面に示した構成では、測定チャンバ3から押し出されるガスは、入力流体接続部31,15,Sp,18を通ってマウスピース30内に押し込まれる。
【0144】
図示されていない1つの異なる構成では、分析機器は付加的に流出流体接続部を含む。測定チャンバ3は、この流出流体接続部を介して周囲と流体接続されている。三方弁は、選択的に、以下の3つの位置のうちの1つにもたらすことができる。すなわち、
-三方弁が入力流体接続部31,15,Sp,18を解放し、同時に流出流体接続を遮断する流入位置、
-三方弁が流出流体接続部を解放し、同時に入力流体接続部31,15,Sp,18遮断する放出位置、
-三方弁が両流体接続部を遮断するオプションとしての遮断位置。
【0145】
ベローズ5を引き伸ばすプロセスの間、三方弁は流入位置にあるので、ガスは、入力流体接続部31,15,Sp,18を貫流して測定チャンバ3内へと流れることができる。ベローズ5を圧縮するプロセスの間、三方弁は放出位置にあるので、ガスは、流出流体接続部を貫流して測定チャンバから流出することができる。この構成により、測定チャンバ3のパージの際に、ガスは、マウスピース30にではなく周囲に放出される。好適には、ベローズ5が動かされない間は、三方弁は遮断位置にある。
【0146】
1つの構成では、開放事象により、三方弁は流入位置に移動させられる。好適な構成では、閉鎖事象により、三方弁は放出位置に移動させられる。
【符号の説明】
【0147】
1 管31を取り囲み、入力流体ガイドユニットに属する試料入口
2 弁体としておよび閉鎖部材として機能し、弁体座部13に対して相対的に可動な、弁体座部13の上流側(第1の構成)もしくは下流側(第2の構成)に配置された、線形運動可能なシール円錐
3 試料入口1から流入する試料を収容し、センサ12を取り囲み、壁40によって取り囲まれる測定チャンバ
4 シール円錐2をソレノイド7に接続し、接続スリーブ11と測定チャンバ3とを貫通してガイドされており、機械的な接続エレメントに属するロッド4
5 測定チャンバ3内に負圧および過圧を生成することができ、プレート6によって引き伸ばされ、圧縮され、吸込みチャンバとして機能するベローズ
6 ベローズ5を引き伸ばし、圧縮することができ、チャンバ変更エレメントとして機能するプレート
7 ロッド4をその長手方向軸線に対して平行に線形に動かし、アクチュエータとして機能するソレノイド
8 測定チャンバ3とベローズ5との間の吸込み流体接続部
9 試料入口1、壁40、センサ12、およびソレノイド7が取り付けられているフレーム
10 測定チャンバ3が取り付けられている流出側の接続片
11 内部にロッド4が貫通ガイドされていて、ロッド4およびプレート6に堅固に接続されており、機械的な接続エレメントに属する接続スリーブ
12 電極20および21ならびに電気的なコンタクト33,34を含み、測定チャンバ試料Pr中の呼気アルコールの濃度に関する尺度を求めることができる、測定チャンバ3内の電気化学式センサ
13 シール円錐(弁体)2のための弁体座部として、したがって閉鎖部材座部として機能し、シール円錐2の下流側(第1の構成)もしくは上流側(第2の構成)に配置された、ロッド4を取り囲むシールリング
14 管16の周囲に配置されたさらなるシールリング
15 接続部材16内の中空室
16 中空室15を取り囲み、部分16.1および16.2を含み、入力流体ガイドユニットに属する、試料入口1とシール円錐2との間の接続部材
16.1 接続部材16の比較的小さな部分
16.2 接続部材16の比較的大きな部分
17 センサ12のためのカバープレート
18 中空室15と測定チャンバ3との間の入力流体接続部に属する空所
19 ロッド4を線形にガイドするガイドユニット
20 電気的なコンタクト34によって接触接続される、センサ12の測定電極
21 電気的なコンタクト33によって接触接続される、センサ12の対応電極
22 コンタクト33と34との間の電気的な接続部
25 測定チャンバ3へのマウスピース30の運動を制限する、試料入口1におけるストッパエレメント
26 プレート6とソレノイド7との間の接続エレメント
27 接続エレメント26に設けられた穴およびソレノイド7のロッドに設けられた穴を貫通してガイドされるピン
28 両電極20と21との間の電解質
29 両電極20,21間の電気的な測定抵抗
30 呼気試料Aを試料入口1へと案内する漏斗状のマウスピース
31 試料入口1の内部における管
32 測定チャンバ3に取り付けられており、比較的大きな部分16.2を取り囲む流入側の接続片
33 対応電極21の電気的なコンタクト
34 測定電極20の電気的なコンタクト
38 電気的な接続部22を流れる電流の強度を測定する電流強度センサ
40 測定チャンバ3の壁
50 センサ12と測定チャンバ3とを含むセンサ装置
60 ソレノイド7を制御する制御機器
100 マウスピース30、フレーム9、試料入口1、測定チャンバ3、センサ12、ロッド4、弁2,13、ソレノイド7を備えたアクチュエータ、および接続スリーブ11を含む分析機器
A 測定チャンバ3内に吸い込まれた測定チャンバ試料Prを含む、呼気アルコールについて検査すべき呼気試料
MA 測定チャンバ3とセンサ12との一致した中心軸線
MP.1 中空室15または空所18に流体接続されていて、これによりマウスピース30に流体接続されている第1の測定点
MP.2 測定チャンバ3に流体接続されている第2の測定点
OE.a 測定チャンバ試料Prが貫流して測定チャンバ3から流出する、ケーシング11における流出側の開口
OE.e 測定チャンバ試料Prが貫流して測定チャンバ3内へと流入する、ケーシング11における流入側の開口
Pr 被験者によって放出された呼気試料Aのうちの、測定チャンバ3内に到る部分である測定チャンバ試料
Sp シール円錐2と中空室15の内壁との間の環状のギャップ
【手続補正書】
【提出日】2023-04-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者によって放出された、特に吐き出されたガス試料(A)を、所定の物質に関して、特にアルコールに関して分析するための分析機器(100)であって、前記分析機器(100)は、前記ガス試料(A)を入力するまたは受容するための入力ユニット(30)、測定チャンバ(3)、センサ(12)、最小の容積を有する状態と最大の容積を有する状態とに選択的に移行可能である吸込みチャンバユニット(5,6)、弁(2,13)、および駆動ユニット(7,4,11)を有しており、前記分析機器(100)は、前記入力ユニット(30)と前記測定チャンバ(3)との間に少なくとも所定の時間、入力流体接続部(31,15,Sp,18)を提供し、かつ前記吸込みチャンバユニット(5,6)と前記測定チャンバ(3)との間に少なくとも所定の時間、吸込み流体接続部(8)を提供し、前記分析機器(100)は、前記吸込みチャンバユニット(5,6)が、前記最大の容積を有する状態に移行することにより、ガスが前記入力ユニット(30)から前記入力流体接続部(31,15,Sp,18)を通って前記測定チャンバ(3)内に吸い込まれるように形成されており、前記センサ(12)は、前記測定チャンバ(3)内に存在するガス(Pr)中の前記物質の量および/または濃度のための尺度を測定するように形成されており、前記駆動ユニット(7,4,11)は、前記弁(2,13)が前記入力流体接続部(31,15,Sp,18)を遮断する閉鎖終端位置に、または前記弁(2,13)が前記入力流体接続部(31,15,Sp,18)を解放する解放終端位置に、前記弁(2,13)を選択的に動かすように形成されており、前記駆動ユニット(7,4,11)はさらに、前記吸込みチャンバユニット(5,6)を、前記最小の容積を有する状態にまたは前記最大の容積を有する状態に選択的に移行させるように形成されており、この場合、前記駆動ユニット(7,4,11)は、前記解放終端位置への前記弁(2,13)の移動が、前記吸込みチャンバユニット(5,6)の、前記最小の容積を有する状態への移行と同期させられ、かつ前記閉鎖終端位置への前記弁(2,13)の移動が、前記吸込みチャンバユニット(5,6)の、前記最大の容積を有する状態への移行と同期させられるように、または前記解放終端位置への前記弁(2,13)の移動が、前記吸込みチャンバユニット(5,6)の、前記最大の容積を有する状態への移行と同期させられ、かつ前記閉鎖終端位置への前記弁(2,13)の移動が、前記吸込みチャンバユニット(5,6)の、前記最小の容積を有する状態への移行と同期させられるように、前記弁(2,13)および前記吸込みチャンバユニット(5,6)に機械的に連結されている、分析機器(100)。
【請求項2】
前記駆動ユニット(7,4,11)は、アクチュエータ(7)と機械的な弁接続エレメント(4,11)とを含んでいて、前記弁(2,13)は、閉鎖部材(2)と閉鎖部材座部(13)とを含んでおり、前記弁接続エレメント(4,11)は、前記アクチュエータ(7)を前記閉鎖部材(2)に機械的に接続する、請求項1記載の分析機器(100)。
【請求項3】
前記測定チャンバ(3)は、前記入力ユニット(30)と前記吸込みチャンバユニット(5,6)との間に位置している、請求項1または2記載の分析機器(100)。
【請求項4】
前記駆動ユニット(7,4,11)は、前記弁(2,13)と前記吸込みチャンバユニット(5,6)とに機械的に連結されているアクチュエータ(7)を有しており、前記吸込みチャンバユニット(5,6)は前記測定チャンバ(3)と前記アクチュエータ(7)との間に位置している、請求項1または2記載の分析機器(100)。
【請求項5】
前記駆動ユニット(7,4,11)は、アクチュエータ(7)と機械的なチャンバ接続エレメント(4,11)とを含んでいて、前記吸込みチャンバユニット(5,6)は、可変の容積の吸込みチャンバ(5)とチャンバ変更エレメント(6)とを含んでおり、前記吸込み流体接続部(8)は、前記吸込みチャンバ(5)を前記測定チャンバ(3)に接続しており、前記吸込みチャンバ(5)に対して相対的な前記チャンバ変更エレメント(6)の運動により、前記吸込みチャンバ(5)の容積が変更させられ、前記チャンバ接続エレメント(4,11)は、前記アクチュエータ(7)を前記チャンバ変更エレメント(6)に機械的に接続する、請求項1または2記載の分析機器(100)。
【請求項6】
前記分析機器(100)は、機械的な接続エレメント(4,11)を有しており、前記機械的な接続エレメント(4,11)は、前記弁接続エレメントおよび前記チャンバ接続エレメントを有しているまたは提供する、請求項2および請求項5記載の分析機器(100)。
【請求項7】
前記分析機器(100)は、体積流量センサ(MP.1,MP.2)を有しており、前記体積流量センサ(MP.1,MP.2)は、前記入力流体接続部(31,15,Sp,18)を貫流して前記測定チャンバ(3)内に到るガス(Pr)の体積流量のための尺度を測定するように形成されており、前記分析機器(100)は、前記駆動ユニット(7,4,11)が前記弁(2,13)を、測定された前記体積流量に応じて前記閉鎖終端位置へと動かすステップを、測定された体積流量に応じて自動的にトリガするように構成されている、請求項1または2記載の分析機器(100)。
【請求項8】
前記弁(2,13)は、閉鎖部材(2)を含み、前記分析機器(100)は、前記閉鎖部材(2)を取り囲む流体ガイドユニット(16)を有しており、前記流体ガイドユニット(16)と前記閉鎖部材(2)との間には中間室(Sp)が生じており、前記入力流体接続部(31,15,Sp,18)は前記流体ガイドユニット(16)を通ってガイドされ、前記中間室(Sp)を含んでいる、請求項1または2記載の分析機器(100)。
【請求項9】
前記分析機器(100)は、前記吸込みチャンバユニット(5,6)が、前記最小の容積を有する状態に移行することにより、ガスが前記入力流体接続部(31,15,Sp,18)を通って前記測定チャンバ(3)から外へ圧送されるように形成されている、請求項1または2記載の分析機器(100)。
【請求項10】
前記分析機器(100)は、入力流体ガイドユニット(1,16,40)を有しており、前記入力ユニット(30)は、前記入力流体ガイドユニット(1,16,40)に接続することができ、好適には取り外し可能に接続することができ、前記入力流体接続部(31,15,Sp,18)は前記入力流体ガイドユニット(1,16,40)を通ってガイドされており、前記入力流体ガイドユニット(1,16,40)は前記弁(2,13)を取り囲んでおり、好適には完全に取り囲んでいる、請求項1または2記載の分析機器(100)。
【請求項11】
分析機器(100)を使用して、被験者によって放出された、特に吐き出されたガス試料(A)を、所定の物質に関して、特にアルコールに関して分析するための方法であって、前記分析機器(100)は、入力ユニット(30)、測定チャンバ(3)、センサ(12)、最小の容積を有する状態と最大の容積を有する状態とに選択的に移行可能である吸込みチャンバユニット(5,6)、弁(2,13)、および駆動ユニット(7,4,11)を有しており、前記分析機器(100)は、前記入力ユニット(30)と前記測定チャンバ(3)との間に少なくとも所定の時間、入力流体接続部(31,15,Sp,18)を提供し、かつ前記吸込みチャンバユニット(5,6)と前記測定チャンバ(3)との間に少なくとも所定の時間、吸込み流体接続部(8)を提供し、当該方法の実施前は、前記弁(2,13)は、前記弁(2,13)が前記入力流体接続部(31,15,Sp,18)を遮断する閉鎖終端位置に位置しており、当該方法は、前記呼気試料(A)を前記入力ユニット(30)に吹き込みかつ/または前記入力ユニット(30)によって受容し、前記駆動ユニット(7,4,11)が前記弁(2,13)を、前記弁(2,13)が前記入力流体接続部(31,15,Sp,18)を解放する解放終端位置へと動かし、前記駆動ユニット(7,4,11)が前記吸込みチャンバユニット(5,6)を前記最大の容積を有する状態へと移行させ、これによりガスが前記入力ユニット(30)から前記入力流体接続部(31,15,Sp,18)を貫流して前記測定チャンバ(3)内に吸い込まれ、次いで前記駆動ユニット(7,4,11)が前記吸込みチャンバユニット(5,6)を前記最小の容積を有する状態へと移行させ、これによりガスが前記吸込みチャンバユニット(5,6)から前記吸込み流体接続部(8)を貫流して前記測定チャンバ(3)内に圧送され、これによりガスは前記測定チャンバ(3)から放出され、前記駆動ユニット(7,4,11)は前記弁(2,13)を再び前記閉鎖終端位置へと動かすステップを有しており、当該方法は、前記センサ(12)が、前記測定チャンバ(3)内に存在するガス(Pr)中の前記物質の濃度および/または量のための尺度を測定するさらなるステップを有しており、この場合、前記弁(2,13)を前記解放終端位置へと動かすステップと、前記吸込みチャンバユニット(5,6)を前記最小の容積を有する状態へ移行させるステップとを同時に実施し、かつ前記弁(2,13)を再び前記閉鎖終端位置へと動かすステップと前記吸込みチャンバユニット(5,6)を前記最大の容積を有する状態に移行させるステップとを同時に実施する、または、前記弁(2,13)を前記閉鎖終端位置へと動かすステップと、前記吸込みチャンバユニット(5,6)を前記最小の容積を有する状態へ移行させるステップとを同時に実施し、かつ前記弁(2,13)を再び前記解放終端位置へと動かすステップと前記吸込みチャンバユニット(5,6)を前記最大の容積を有する状態に移行させるステップとを同時に実施する、方法。
【請求項12】
前記入力ユニット(30)への前記呼気試料(A)の入力が開始される事象を自動的に検知し、前記呼気試料(A)の入力の開始以降、所定の期間が経過したら、かつ/または前記呼気試料(A)の入力の開始後、開放事象が生じたら、前記弁(2,13)を前記解放終端位置に動かすステップを開始し、前記開放事象は、これまでに前記入力ユニット(30)内に入力された前記呼気試料(A)の体積および/または量のための尺度に依存している、請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記弁(2,13)を前記解放終端位置へと動かすステップの開始後、それまで前記測定チャンバ(3)内へと流されたガスの量のための尺度を少なくとも1回測定し、測定された量が所定の量境界値に達していた場合、自動的に、前記弁(2,13)を再び前記閉鎖終端位置へと動かすステップをトリガする、請求項11または12記載の方法。
【請求項14】
当該方法の実施前に、前記吸込みチャンバユニット(5,6)は前記最大の容積を有する状態であって、前記吸込みチャンバユニット(5,6)を、前記最小の容積を有する状態に移行させるステップの後に、前記吸込みチャンバユニット(5,6)を、前記最大の容積を有する状態に移行させるステップを実施する、請求項11または12記載の方法。
【請求項15】
当該方法の実施前に、前記吸込みチャンバユニット(5,6)は前記最小の容積を有する状態であって、前記吸込みチャンバユニット(5,6)を、前記最大の容積を有する状態に移行させるステップの後に、前記吸込みチャンバユニット(5,6)を、前記最小の容積を有する状態に移行させるステップを実施する、請求項11または12記載の方法。
【請求項16】
前記駆動ユニット(7,4,11)は、前記弁を一方の前記終端位置へと動かし、前記吸込みチャンバユニット(5,6)を前記最小のまたは前記最大の容積を有する状態に移行させるステップを、前記駆動ユニット(7,4,11)と前記弁(2,13)および前記吸込みチャンバユニット(5,6)との機械的な連結によりもたらす、請求項11または12記載の方法。
【外国語明細書】