(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023155213
(43)【公開日】2023-10-20
(54)【発明の名称】骨欠損部または不連続部を治療するためのインプラントシステム
(51)【国際特許分類】
A61F 2/28 20060101AFI20231013BHJP
【FI】
A61F2/28
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023062524
(22)【出願日】2023-04-07
(31)【優先権主張番号】10 2022 203 561.5
(32)【優先日】2022-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】514094346
【氏名又は名称】カール ライビンガー メディツィンテクニーク ゲーエムベーハー ウント コー. カーゲー
【氏名又は名称原語表記】Karl Leibinger Medizintechnik GmbH & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Kolbinger Strasse 10 78570 Muehlheim Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】シュテファニ グローム
(72)【発明者】
【氏名】フランク ライナウアー
(72)【発明者】
【氏名】タチアナ フェヒト
(72)【発明者】
【氏名】トビアス ヴォルフラム
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA01
4C097BB01
4C097CC01
4C097CC04
4C097DD07
4C097DD09
4C097EE08
4C097EE09
4C097EE17
4C097FF05
4C097MM04
(57)【要約】 (修正有)
【課題】骨欠損部または不連続部を治療するためのインプラントシステムおよび製造方法を提供する。
【解決手段】インプラントシステム(100)は、ヒトの骨(1)の骨欠損部または不連続部(2)へと挿入される第1のインプラント要素(110)と、前記ヒトの骨(1)に固定される第2のインプラント要素(120)と、を備え、前記第1のインプラント要素(110)は、前記ヒトの骨(1)に固定されるように、前記第2のインプラント要素(120)に対し1つ以上の生分解性接続手段(125)によって取り付けられ、前記第1のインプラント要素(110)は、シェル部分(111)と、前記シェル部分(111)によって少なくとも部分的に包囲されている内側部分(112)とを備え、前記シェル部分(111)は、第1の細孔-支柱構造(PSS)を有し、前記内側部分(112)は、前記第1のPSSとは異なるPSSを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨欠損部または不連続部(2)を治療するためのインプラントシステム(100;200;300)であって、
ヒトの骨(1)の骨欠損部または不連続部(2)へと挿入可能であるかまたは挿入される第1のインプラント要素(110;210)と、
前記ヒトの骨(1)に対し固定可能であるかまたは固定される第2のインプラント要素(120;320)と、を備え、
前記第1のインプラント要素(110;210)は、前記第1のインプラント要素(110)を前記ヒトの骨(1)に対し固定するように、前記第2のインプラント要素(120)に対し1つ以上の生分解性接続手段(125;225)によって取付可能であるかまたは取り付けられ、
前記第1のインプラント要素(110)は、シェル部分(111;211)と、前記シェル部分(111;211)によって少なくとも部分的に包囲されている内側部分(112;212,213)とを備え、
前記シェル部分(111;211)は、第1の細孔-支柱構造(PSS)を有し、前記内側部分(112;212,213)は、前記第1の細孔-支柱構造とは異なる第2の細孔-支柱構造(PSS)を有する、インプラントシステム(100;200;300)。
【請求項2】
前記第1の細孔-支柱構造および前記第2の細孔-支柱構造のうちの一方は、直径が200~700マイクロメートル以上の細孔構造を有し、随意では、前記第1の細孔-支柱構造および前記第2の細孔-支柱構造のうちの他方は、直径が150マイクロメートル以下の細孔構造を有する、請求項1に記載のインプラントシステム(100;200;300)。
【請求項3】
前記第1の細孔-支柱構造、前記第2の細孔-支柱構造、またはその両方は、前記細孔構造の前記直径に勾配を有する、請求項1または2に記載のインプラントシステム(100;200;300)。
【請求項4】
前記第1のインプラント要素(110;210;310)は、1つ以上のバイオ複合材料を含む、または1つ以上のバイオ複合材料からなる、請求項1~3のいずれか一項に記載のインプラントシステム(100;200;300)。
【請求項5】
前記第1の細孔-支柱構造、前記第2の細孔-支柱構造、またはその両方は、1つ以上のバイオ複合材料の分布に勾配を有する、請求項4に記載のインプラントシステム(100;200;300)。
【請求項6】
前記第2のインプラント要素(120;320)は生分解性でない、請求項1~5のいずれか一項に記載のインプラントシステム(100;200;300)。
【請求項7】
前記第2のインプラント要素(320)は、狭い再構築プレートの形態である、請求項1~6のいずれか一項に記載のインプラントシステム(100;200;300)。
【請求項8】
前記シェル部分(111;211;311)は、少なくとも1つのポリマー材料または1つのセラミック材料を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のインプラントシステム(100;200;300)。
【請求項9】
前記内側部分(112)は少なくとも1つのセラミック材料または1つのバイオ複合材料を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のインプラントシステム(100;200;300)。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載のインプラントシステム(100;200;300)を製造するための方法であって、前記第1のインプラント要素(110;210;310)のうちの少なくとも一部を付加製造する工程を備える、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、骨欠損部または不連続部を治療するためのインプラントシステム、およびそうしたインプラントシステムを製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
骨欠損部、特に重大なサイズの欠損部、または不連続部(例えば、腫瘍切除後)を治療することは、骨増強における重要な課題である。第1に、骨欠損部または不連続部の治療は、骨欠損部または不連続部が例えば生物学的活性によって無くなるまで、インプラントの安定な固定を必要とする。第2に、特に安定なインプラントシステムは、特に不透過性であり、したがって自然治癒を妨げることが多い。
【0003】
特許文献1は、規則的な3次元メッシュ構造からなる医療用メッシュ体インプラントを開示している。しかしながら、完全な能動的製造を必要とする、このインプラントの単一部品構成およびその複雑な構造は、可能な設計および材料の選択の両方を大きく制限する。
【0004】
図4を参照すると、特許文献2は、多孔性微細構造を有する個々のモジュールが例えばクリップ留めされることが可能である足場を有するインプラントシステムを開示している。このインプラントシステムも、モジュールの均一性によって製造条件が単純化されるが、それに応じてインプラントを周囲の骨組織に大まかに適合させることしかできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】独国特許出願公開第102013104801号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第3733099号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、骨欠損部または不連続部を治療するための改良されたインプラントシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、請求項1の特徴を有するインプラントシステムによって達成される。さらなる目的は、そうしたインプラントシステムを製造するための方法を提供することである。この目的は、他の独立請求項の特徴を有する方法によって達成される。
【0008】
したがって、骨欠損部または不連続部を治療するためのインプラントシステムであって、ヒトの骨欠損部または不連続部へと挿入可能または挿入される第1のインプラント要素と、ヒトの骨に固定可能または固定される第2のインプラントシステムとを備えるインプラントシステムが提供される。
【0009】
第1のインプラント要素は、ヒトの骨(1)に対して第1のインプラント要素を固定するように、1つ以上の接続手段、特に生分解性接続手段によって第2のインプラント要素に取付可能であるか、または取り付けられる。
【0010】
第1のインプラント要素は、シェル部分と、そのシェル部分によって少なくとも部分的に包囲される1つ以上の内側部分とを備える。
シェル部分は、第1の細孔-支柱構造(PSS)を有し、内側部分は、第1の細孔-支柱構造とは異なる第2の細孔-支柱構造(PSS)を有する。
【0011】
シェル部分は、例えば、内側部分がシェル部分の縁部に取り付けられ、したがって、例えば、6つの空間方向のうちの5つにおいてシェル部分によって包囲され、第6の空間方向において別の構造に隣接し、例えば、第2のインプラント要素および/または骨部分(または複数の骨部分)に隣接するように、内側部分を完全に、すなわち、すべての面において包囲することが可能であり、または部分的にしか包囲しないことが可能である。
【0012】
本明細書に関連して、生分解性とは、関連する生分解性要素、この場合、少なくとも第1のインプラント要素を第2のインプラント要素に取り付けるための接続手段が、その接続手段がインプラントされる身体によって非常に良好に許容されるだけでなく、身体によって徐々に分解および/または吸収されることを意味する。これは、特に、関連する生分解性要素を後で再び取り出す必要が必ずしもなく、例えば、再生した内因性組織によって置き換えることができるという利点を有する。用語「生体吸収性」および「生分解性」は、両方とも以下において用いられる。「生体吸収性」は、本質的に、細胞による分解産物の生理学的取込みを意味し、「生分解性」は、主に、分解産物のいかなる生理学的組込みも伴わない細胞外分解を指す。本発明の文脈では、2つの用語は、「生体吸収性」として記載される要素が(代替的にまたは追加的に)「生分解性」であることも可能であり、「生分解性」として記載される要素が(代替的にまたは追加的に)「生体吸収性」である点において、少なくとも交換可能である。
【0013】
インプラントシステムは、好ましくは哺乳動物、特にヒト患者に対する使用が意図されている。ここでおよび以下で「患者(patients)」または「患者(a patient)」の言及がされるときはいつでも、これは男性患者および女性患者の両方を包含することが意図されることが理解される。
【0014】
第1のインプラント要素と第2のインプラント要素との間に複数の生分解性接続手段が提供されることも可能である。生分解性接続手段は、異なる生分解特性を有することが可能であり、特に異なるレートにおける生分解性であることが可能である。ここで、例えば、第1に、第2のインプラント要素をシェル部分に接続する接続手段と、第2に、第2のインプラント要素をそれぞれの内側部分に接続する接続手段との間の区別がなされることが可能である。これに代えて、またはこれに加えて、第1に、ヒトの骨との接触部位の比較的近傍に配置された接続手段(好ましくは、より高い生分解性)と、第2に、その接続手段から比較的遠くに配置された接続手段(好ましくは、より低い生分解性)との間における区別がなされることも可能である。
【0015】
細孔-支柱構造(PSS)は、空隙(「細孔」または「細孔構造」)と空隙を取り囲む連結部および支持部(braces)(「支柱(struts)」)との間に、少なくとも部分的にまたは至る所に規則的な交互が存在する構造を意味するように理解される。特にPSSが付加製造されるとき、したがって、密度(例えば、単位体積あたりの支柱の体積割合)、材料の性質、およびPSSの規則性の種類に関して実現可能な局所的な差、特に勾配を伴って、形成された細孔または空隙、支柱などを正確に形成および構成することが可能である。したがって、インプラントシステムは、治療される部位における状況(骨欠損部または不連続部)に最適に一致させることが可能である。
【0016】
したがって、本発明はまた、第2の態様によれば、本発明に係るインプラントシステムを製造するための方法を提供する。前記方法は、第1のインプラント要素の少なくとも一部分、特にシェル部分および/または内側部分(または複数の内側部分のうちの1つ)を少なくとも能動的に製造する工程を備える。本方法は、第2のインプラント要素の付加的または減法的製造を含むことも可能である。第1のインプラント要素の個々のサブコンポーネント、特にシェル部分および内側部分は、付加製造の様々な方法を用いて構築されることが可能である。付加製造の様々な方法を用いて構築されたそうしたサブコンポーネントは、その後、さらなる作業工程において、構造特有生分解性により互いに接続されること(部分的固有固定)が可能である。
【0017】
有利かつ好ましい実施形態、実施形態の変形または発展は、従属請求項および以下の記載において、特に図面を参照して、より詳細に説明される。
いくつかの好ましい実施形態、実施形態の変形または発展によれば、第1および第2の細孔-支柱構造(PSS)のうちの一方は、直径が200μm以上の細孔構造を有する。細孔構造の直径は、特に、300μm、400μm、500μm、600μm、700μm、800μm、900μm、1000μm、1250μm、1500μm、1750μmまたは1200μmであることが可能である。これに関連して、対応する細孔-支柱構造は、「マクロ構造」とも呼ばれる。
【0018】
随意では、第1および第2の細孔-支柱構造のうちの他方は、直径が150μm以下の細孔構造を有する。他のPSSは、特に、直径が(約または正確に)100μm以下の細孔構造またはそれ未満を有することが可能である。その細孔構造の直径は、例えば、20μm、30μm、40μm、50μm、60μm、70μm、80μm、90μmまたは100μmであることが可能である。これに関連して、対応する細孔-支柱構造は、「ミクロ構造」とも呼ばれる。そうしたミクロ構造は、有利には、生理活性物質のためのデポ機能を有するか、またはデポ機能を引き受けることが可能である。薬剤の局所的な投与も可能であり、例えば、抗生物質などの薬剤がミクロ構造に埋め込まれるか、または浸漬によってミクロ構造に導入される。
【0019】
様々なPSSにおける細孔構造の直径のこれらの差は、どの種類の組織がシェル部分または内側部分へと浸透および移動することができるか、およびどの程度迅速であるかに、定められた手法により影響を及ぼすことが可能であることを意味する。PSSは各々、好ましくは定められた手法により、特に付加製造によって生成されるため、それぞれの細孔構造の細孔サイズとして定められることが可能であるものは、例えば、PSSを横切ることが可能な最大可能仮想球によって想定される直径である。細孔は、例えば、正方形(この場合、細孔サイズは正方形の辺長に等しい)、長方形、円形、楕円形などであることが可能である。したがって、円形断面の場合、細孔サイズは本質的に円の直径であり、楕円形断面の場合、より短い軌道短半径に沿った直径である。
【0020】
支柱幅(または支柱構造直径)も調節可能である。特に、支柱幅に対する細孔サイズの特定の比を設定することが可能である。正方形断面を有する支柱の場合、支柱幅は、正方形の辺長に等しく、長方形断面を有する支柱の場合、支柱幅は、長方形の短辺長として定められることが可能である。好ましい支柱幅は、100μm超であるが、特に200~300μm、400μm、450μmおよび500μmである。支柱幅が、対応する細孔-支柱構造(PSS)へと移動する細胞の直径の3倍以上であるとき、特に支柱が丸い表面を有するときも有利である。これによって、良好な細胞接着を可能にする。
【0021】
細孔サイズと支柱幅との比を具体的に設定することは、細胞移動速度論(例えば、細胞の移動速度)および分解レートを設定することが可能であることを意味する。細胞の迅速な移動のために特に好ましい細孔サイズ対支柱幅の比は、1:1~6:1であり、特に好ましくは、本明細書において1:1、2:1、4:1、6:1および6:1が与えられ、さらにより好ましくは、2.5:1~4.5:1の比である。細胞移動を遅くするために好ましい細孔サイズ対支柱幅の比は、例えば、1:2~1:4であり、これらの比のうち、1:2、1:3および1:4が特に有利である。シェル部分の支柱幅に対する細孔サイズの比は、移動を速くするように設定されることが可能であり、内側要素の支柱幅に対する細孔サイズの比は、移動を遅くするように設定されることが可能である。または、シェル部分の支柱幅に対する細孔サイズの比は、移動を遅くするように設定されることが可能であり、内側要素の支柱幅に対する細孔サイズの比は、移動を速くするように設定されることが可能である。
【0022】
上記および下記において、用語は頭字語により略記されることがあり、例えば、「細孔-支柱」については「PSS」である。長い形式が通常用いられ、その後に関連する頭字語が続く。しかしながら、ほとんどの場合、可読性を向上させるために頭字語しか用いられず、他の場合には、頭字語は省略される。いずれにしても、頭字語および長い形式は同義であることが意図される。
【0023】
いくつかの好ましい実施形態、実施形態の変形または発展によれば、第1および/または第2の細孔-支柱構造(PSS)は、自身の細孔構造の直径に勾配を有する。例えば、細孔構造が空間的に変化する、特にサイズが増加または減少する、PSSに勾配を設計するとき、各サブ領域について細孔構造のそうした直径を局所的に形成することも可能であることが理解される。
【0024】
細孔-支柱構造(PSS)における細孔構造によって形成される空隙の総量は、吸収容積容量とも呼ばれ、例えば、血液、水および/または細胞組織が特定のPSSを通ってどれだけ良好に拡散することが可能であるか定める。PSSの各単位体積における細孔と支柱との間の体積比は、例えば、1:40~40:1、特に1:10~10:1、さらに好ましくは1:5~5:1、例えば1:1であることが可能である。この比はまた、特に、特定のPSSにおいて作用する毛管力および凝集力を定める。これによって、例えば、ポリマーの疎水性表面効果を補償することが可能である。いわゆるディップコーティング法の場合、インプラントは、インプラント前に機能性液体へと、例えば内因性液体へと、抗生物質などの薬剤へと浸漬される。通常、手術中はほとんど時間がないため、インプラントは、ディップコーティング法において特に迅速に機能性液体により完全に湿潤されていることが好ましい。この目的のため、言及された変形における言及された比および細孔-支柱構造が好都合であることが見出されている。
【0025】
シェル部分には、1つまたは複数の外面上にコーティングが提供されることが可能である。コーティングは、以下を含むか、または以下からなることが可能である。
-硫酸カルシウム;
-ケイ酸カルシウム;
-硫酸マグネシウム;
-ケイ酸マグネシウム;および/または
-リン酸マグネシウム。
そうしたによってコーティングは、例えば、抗菌効果を示すことが可能である。
【0026】
いくつかの好ましい実施形態、実施形態の変形または発展によれば、第1のインプラント要素は、1つ以上のバイオ複合材料を含むか、または1つ以上のバイオ複合材料からなる。第1のインプラント要素は、部位特有である2つ以上の異なる材料からなることも可能である。
【0027】
いくつかの好ましい実施形態、実施形態の変形または発展によれば、第1および/または第2の細孔-支柱構造は、1つ以上のバイオ複合材料の分布に勾配を有する。例えば、第1または第2の細孔-支柱構造(PSS)は、2つの材料成分を含むバイオ複合材料からなることが可能であり、その2つの材料成分の互いに対する比は、PSS内において不均一に延びる、すなわち、1つ以上の部位から1つ以上の他の部位まで定常的または段階的に変化する。極端な場合、PSSは、第1の部位では材料のうちの1つのみからなり、他の部位では他の材料のみからなり、定常的な移行または複数段階に離散的に進む移行の間に生じる。製造中、これは、例えば、2つの材料を用いて付加製造を行い、所望の勾配に従って各体積単位セルにおける各材料の寄与を変化させることによって達成されることが可能である。
【0028】
いくつかの好ましい実施形態、実施形態の変形または発展によれば、第2のインプラント要素は生分解性でない。したがって、ヒトの骨に固定可能であるか、またはインプラントシステムを患者へと挿入した後にヒトの骨に固定される第2のインプラント要素は、特に安定かつ堅牢であり、したがって、第1のインプラント要素のための定められた支持を提供することが可能である。好ましくは、第2のインプラント要素は、骨欠損部または不連続部へと係合または突出せず、外部に留まるように設計され、第1のインプラント要素に取り付けられる。このように、第2のインプラント要素は、例えば、完全な治癒後に、骨欠損部または結果としての不連続部の治療を危険にさらすことなく、またはそれに対抗することなく、外科的に除去されることが可能である。ここでの別の寄与要因は、第2のインプラント要素と第1のインプラント要素との間の1つ以上の接続手段が生分解性であり、その結果、好ましくは、第2のインプラント要素が除去されるときに、第1のインプラント要素と第2のインプラント要素との間の剛性機械的接続がもはや存在しないという事実である。
【0029】
いくつかの好ましい実施形態、実施形態の変形または発展によれば、第2のインプラント要素は、狭い再構築プレートの形態である。そうしたプレートは、第1に、所望の強度および堅牢性と、第2に、可能な限り小さい体積との間のバランスを提供するのに有利であることが見出されている。
【0030】
第2のインプラント要素(例えば、再構築プレートの形態の)は、好ましくは、チタン、医療グレードのステンレス鋼、マグネシウム合金および/またはコバルト-クロム合金(Co-Cr)を含むか、またはそれらからなることが可能であり、したがって、完全に生分解性または半生分解性であることも可能である。例えば、再構築プレートは、2穴プレートまたは4穴プレートであることが可能である。
【0031】
意図されたインプラント部位に応じて、第2のインプラント要素、例えば再構築プレートは、特に、治療される部位の周囲(骨欠損部または不連続部)が十分な期間にわたって固定され得る場合、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)からなることも可能である。これは、例えば、指の骨または腕の骨、特に長骨の場合である。これが可能でない部位の場合、より剛性の第2のインプラント要素、例えばチタン再構築プレートが、それに応じてより望ましい。いくつかの好ましい実施形態、実施形態の変形または発展によれば、内側部分は、少なくとも1つのセラミック材料および/または1つのバイオ複合材料、好ましくはその両方を含む。セラミック材料およびバイオ複合材料は、前述または後述の材料のうちの1つを含むかまたはその1つからなることが可能である。
【0032】
バイオ複合材料は、特に、以下のものなどのポリマー成分を含む(またはそれからなる)ことが可能である。
-ポリエステルベースのポリマー成分、例えば、PDLLA、PCL、PLGA、PLLA
-ポリウレタン
-ポリエチレングリコール(PEG)および/または
-ポリ酢酸ビニル、PVA
以下のものなどの無機粒子状成分との組合せ:
-炭酸カルシウム、CaCO3
炭酸ストロンチウム、SrCO3
-酸化マグネシウム、MgO2
-リン酸カルシウムCaPO4
-Ca2+イオン、特に硫酸カルシウムまたはリン酸オクタカルシウムを含む材料
-硫酸マグネシウム
-リン酸塩
-トリクロロプロパン、TCP
-ヒアルロン酸、HA
-酸化鉄、FeOxまたは
ケイ化ナトリウム(NaSi)系生分解性成分。
【0033】
好ましいバイオ複合材料は、例えば、2種、3種または4種の無機イオンとポリマーマトリクスとの混合物から構成することも可能である。
多くの場合、第1のインプラント要素の外側部分は、内側部分よりも細孔構造の直径が大きい傾向がある。特に、いくつかの実施形態、実施形態の発展または変形では、シェル部分は、内側部分よりも大きい直径の細孔構造を有する。したがって、シェル部分は、例えば、上述のマクロ細孔構造のうちの1つを有することが可能であり、および/または内側部分は、上述のミクロ細孔構造のうちの1つを有することが可能である。
【0034】
いくつかの好ましい実施形態、実施形態の変形または発展によれば、シェル部分は、少なくとも1つのポリマー材料および/または1つのセラミック材料を含む。
ポリマー材料、特にポリエステルベースのポリマー成分は、例えば、以下を含むか、または以下からなることが可能である。
-ポリ(ラクチド-コ-グリコリド)、PLGA
-ポリ-D-L-ラクチド、PDLLA
-ポリグリコール酸、PGA
-ポリ-L-ラクチド、PLLA、および/または
-ポリカプロラクトン、PCL。
【0035】
ポリマー材料を含むシェル部分のサブ構造と、セラミック材料を含むシェル部分のサブ構造とは、例えば、別個のサブ構造として製造されることも可能である。これらのサブ構造は、その後、製造方法において、例えば超音波によって互いに溶接される。シェル部分のサブ構造は、1つまたは複数の内側部分のサブ構造とともに、超音波によって互いに溶接されることが可能であり、または溶接されていることも可能である。セラミック材料を含むシェル部分の1つまたは複数のサブ構造は、特に、シェル部分の外縁部に配置され、特に好ましくは、インプラントされたときに、少なくとも骨接触部位および/または第2のインプラント要素に隣接して配置されるように配置される。
【0036】
いくつかの好ましい実施形態では、シェル部分におけるセラミックの割合が外側から内側へと減少することが可能であり、例えば、シェル部分の最外層は、セラミックのみからなり、定められた勾配に従って増加する割合の1つ以上のポリマーを内方に受容する。セラミックおよびポリマーサブ構造の超音波溶接の利点は、超音波溶接も完全に再吸収可能であることである。
【0037】
さらなる好ましい実施形態、実施形態の変形または発展は、従属請求項および図面を参照した記載から明らかになる。
本発明は、図面の図における例示的な実施形態に基づいて以下により詳細に説明される。ここでは、部分的な概略図により以下が示されている。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】本発明の1つの実施形態に係るインプラントシステムの概略的な3次元図。
【
図2】
図1に係るインプラントシステムの概略的な断面図。
【
図3】本発明のさらなる実施形態に係るインプラントシステムの概略的な3次元図。
【
図4】本発明のまたさらなる実施形態に係るインプラントシステムの概略的な3次元図。
【発明を実施するための形態】
【0039】
すべての図において、同一または機能的に同一の要素およびデバイスには、特に明記しない限り、同一の参照符号が提供されている。
図1は、本発明の1つの実施形態に係るインプラントシステム100の概略的な3次元図を示す。
図1は、インプラントシステム100を患者の長骨の2つの別個の部分1間へと挿入した結果としての不連続部2を治療する状況を示す。
図2は、同じ状況を概略的な断面図により示す。
【0040】
インプラントシステム100は、インプラント後に不連続部2へと挿入された第1のインプラント要素110を備える。第1のインプラント要素110は、シェル部分111と、シェル部分111によって完全に包囲される内側部分112とを備える。これに代えて、内側部分112は、骨部分1に対する境界面の一方または両方に直接隣接することが考えられる。この場合、シェル部分111は、内側部分112を単に部分的に、したがって、
図1に示される例では同心円筒シェル体積として包囲することも可能である。
【0041】
シェル部分111は、第1の細孔-支柱構造(PSS)を有する。内側部分112は、第1の細孔-支柱構造とは異なる第2の細孔-支柱構造を有する。ここでは、上記および以下に詳細に記載される多数の差異が可能である。例えば、第1のPSSおよび第2のPSSは、例えば、第1のPSSがミクロ構造を有し第2のPSSがマクロ構造を有するか、または第1のPSSがマクロ構造を有し第2のPSSがミクロ構造を有するように、それらの細孔サイズが異なることが可能である。
【0042】
インプラントシステム100はまた、第2のインプラント要素120を備える。第2のインプラント要素120は、ヒトの骨に、この場合は両方の骨部分1に固定可能であり、図示された状況では両方の骨部分1に固定される。第2のインプラント要素120は、例えば、平面再構築プレートの形態であることが可能であり、既に詳細に上記したように、例えば、非吸収性材料からなることが可能である。これには、例えば、チタン、クロム合金、マグネシウム合金、医療用鋼等が適している。指の長骨の不連続部2などの、固定することが比較的容易な不連続部2を治療するとき、第2のインプラント要素120が、例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)から構成されることも適切であり得る。
【0043】
第2のインプラント要素120の骨に対する固定、特に、それぞれ1つ以上の部位における骨のすべての別個の骨部分1に対する固定は、接続手段126によって達成される。その接続手段126は、例えば、骨1に対する第2のインプラント要素120の固定の安定性が常に維持されるように、生分解性でないことが可能である。しかしながら、接続手段126は生分解性であることも可能である。
【0044】
対照的に、第1のインプラント要素110は、1つ以上の生分解性接続手段125によって、第2のインプラント要素120に取付可能であり、
図1の状況では第2のインプラント要素120に取り付けられている。したがって、第1のインプラント要素110は、接続手段を介して第1のインプラント要素110とヒトの骨自身との間に直接的な固定を確立する必要なく、ヒトの骨1に対して固定することが可能である。これによって可能になることは、第1のインプラント要素110を選択し、設計し、製造するときに、ヒトの骨1に隣接する第1のインプラント要素110の領域が接続手段を収容し、その接続手段を十分な期間にわたって安定して固定することが何らかの手法により可能となることを考慮する必要がないことである。
【0045】
まったく反対に、シェル部分111の細孔支柱構造(PSS)および内側部分112の細孔-支柱構造(PSS)は、したがって、不連続部2の最適な治療に完全に向けられることが可能である。
図1および
図2に見られるように、第1のインプラント要素110と第2のインプラント要素120との間の1つまたは複数の接続手段125は、第2のインプラント要素120のみをシェル部分111に対し直接機械的に接続および固定し、第2のインプラント要素120を内側部分112に対し直接機械的に接続および固定しないことが可能である。
【0046】
したがって、シェル部分111の第1の細孔-支柱構造(PSS)を設計するとき、依然として、第2のインプラント要素120に対する必要な固定を考慮することが可能であるが、内側部分112の第2の細孔-支柱構造(PSS)を設計するとき、不連続部2を治療する関心事のみ役割を果たすことが可能である。したがって、インプラントシステム100の残りの部分およびヒトの骨に対する内側部分112の固定は、特に形状嵌合部によって、例えば、内側部分112を完全にまたは少なくとも部分的に包囲するシェル部分111によって達成されることが可能である。内側部分112の固定は、ヒトの骨自体によって、例えば、対向する骨部分1に対する両側隣接によって、少なくとも部分的に保証されることも可能である。
【0047】
インプラント要素110、120間の互いからの距離およびヒトの骨1からの距離は、個々の部品を互いに区別することができるように非常に誇張されて
図1および
図2に示されている。実際には、間隙は、存在するとしても、可能な限り小さい。シェル部分111の第1の細孔-支柱構造(PSS)の好ましい値および特性は、上記で詳細に説明された。
【0048】
図3は、本発明のさらなる実施形態に係るインプラントシステム200を、やはり概略的な3次元図により示す。
図3に概略的に示されるヒトの骨1も、例えば、四肢または肋骨の長骨である。
【0049】
インプラントシステム100とは対照的に、インプラントシステム200の第1のインプラント要素210は、2つの内側部分212、213を備える。2つの内側部分212、213は、互いに分離され、第1のインプラント要素210のシェル部分211によって両方とも完全に包囲される。
図3に示される例では、2つの内側部分212、213は、長手方向において互いに実質的にまたは正確に同一平面に配置され、長手方向において、長骨1も治療される不連続部2とともに延在する。この例では、2つの内側部分212、213は同じサイズであるが、必ずしもそうである必要はなく、3つ以上の内側部分212、213が提供されることも可能であり、長手方向に互いに同一平面である必要はないことなどが理解される。
【0050】
また、
図1および
図2におけるように、インプラントシステム200の第2のインプラント要素120は、2つの生分解性接続手段225によって第1のインプラント要素210に接続または取り付けられる。生分解性接続手段225の各々は、インプラントシステム200の第1のインプラント要素210のそれぞれ1つの内側部分212、213に隣接しており、任意選択で、それぞれの内側部分212、213にある程度貫入することも可能である。
【0051】
図3において陰影によっても示されるように、内側部分212、213は各々、自身のそれぞれの細孔-支柱構造(PSS)に勾配を有することが可能である。第1の内側部分212は、第1の内側部分212の一端から第1の内側部分212の他端まで長手方向に勾配(例えば、細孔サイズおよび/または2つ以上の材料の組成比、それらの密度等における)が延在することを示す。対照的に、第2の内側部分213は、長手方向に見られるように、2つの最も外側の端部から第2の内側部分213の中間に向かって(やはり、細孔サイズ、材料組成の比などに関して)勾配があることを示す。したがって、第2の内側部分213の長手方向において定められる中間において、例えば、増加した(長手方向における第2の内側部分213の端部および近接部分と比較して)強度を有する材料組成が存在することが可能である。同様に
図3に示されるように、生分解性接続手段225は、第2のインプラント要素120およびシェル部分211だけでなく、第2の内側部分213の正確に中間も相互接続することが可能である。細孔サイズまたは支柱幅の勾配が提供されるときはいつでも、例えば、細孔+周囲の支柱構造から構成されるセルの単位セル幅が同じサイズのまま(質量密度が変化して)であるように、他方の変数のいずれかに、それに応じて反対の勾配が提供されることが可能である。
【0052】
第1の内側部分212の場合も、上述の勾配は、少なくとも、第2の内側部分213の強度、特に破壊強度の勾配であることが可能である。
図3では、接続手段225が第1の内側部分212の外側端部に触れることが再び概略的に示されている。この外側端部は、長手方向に見られ、前記増加した強度を有する。したがって、内側部分内であっても、不均一な細孔-支柱構造(PSS)を介して、機能は具体的かつ局所的にさらに調整されることが可能である。
【0053】
図3では、第2の内側部分213が、生分解性ピンの形態における例えば3つの接続手段227を介してシェル部分211に固定されることも示されている。
ここで、ピンは、例えば、超音波によって導入される、またはねじの形態により導入されることが可能である。具体的には、ピンは、0.9、1.2、1.4、1.8または2.1mmの長さで、1、1.5、2または2.5mmの直径を有することが可能である。ピンのより長い長さにおけるねじ固定の特定の利用も用いられ、1.5mm以下の長さのより小さい要素が超音波によって導入される。シェル部分211の様々な細孔-支柱構造(PSS)、および内側部分の2つの内側部分212、213のための好ましい値および特性は、上記で詳細に説明された。
【0054】
図4は、本発明のさらなる実施形態に係るインプラントシステム300の概略的な3次元図を示す。
図4に示されるインプラントシステム300は、例として、平坦な骨、例えば下顎または頭蓋骨における不連続部2を治療するために用いられた。第1のインプラント要素110;210がほぼ円筒であったインプラントシステム100;200とは対照的に、インプラントシステム300の第1のインプラント要素310はほぼ直方体である。第1のインプラント要素310はまた、2つの内側部分312、313を備える。2つの内側部分312、313は互いに分離しており、それぞれ内側部分311の外縁に配置されている。
【0055】
図4に示される実施形態の場合、2つの内側部分312、313は、直方体の第1のインプラント要素310の異なる角縁部に各々配置され、またそれら自身各々直方体である。したがって、第1のインプラント要素310と骨1との2つの境界面の各々は、部分的にシェル部分311によって、および部分的にそれぞれの内側部分312、313の境界面によって形成される。さらに、
図4に係る実施形態の場合、内側部分312、313の各々が第2のインプラント要素320に直接隣接することも可能である。したがって、例えば、2つの内側部分312、313の各々が、シェル部分311を通さずに、2つの内側部分312、313を互いに固定する生分解性接続手段325を介して、第2のインプラント要素320に直接接続されることが可能である。
【0056】
さらなる生分解性接続手段325が、同様に、接続手段325が内側部分312、313のいずれにも触れることなく、2つの内側部分312、313間に配置された内側部分311の一部に第2のインプラント要素320を固定することが可能である。したがって、各接続手段325は、どのような接続状況であっても適切であるように、その材料特性等に関して特に選択されることが可能である。特に、経時的な生分解性を具体的に設定することが可能である。例えば、第2のインプラント要素320を内側部分311に直接接続する中間接続手段325は、第2のインプラント要素320と2つの内側部分312、313のうちの一方との間の他の2つの接続手段325よりも低い生分解性を有する、すなわち、よりゆっくりと分解することが可能である。
【0057】
図4に示されるインプラントシステム300の実施形態の場合も、内側部分312、313が、例えば、細孔構造の直径に関して、材料組成の比に関して、密度に関して、および/または特定の細孔-支柱構造(PSS)のさらなる特性に関して各々勾配を有することが概略的に示されている。
図4に示されるように、勾配は、例えば、第2のインプラント要素320に近い面から、第2のインプラント要素320とは反対を向くそれぞれの内側部分312、313の面に向かって延在することが可能である。しかしながら、これに代えて、またはこれに加えて、第2のインプラント要素320の長手方向の範囲に沿った勾配も考えられる。
図4はまた、例として、内側部分312、313の各々のシェル部分311への固定をもたらすことが可能である、例えば、生分解性ピンの形態におけるさらなる接続手段327を示す。したがって、内側部分312、313は、第2のインプラント要素320によって、または骨1、シェル部分311、および第2のインプラント要素320の形状嵌合部によって機械的に固定されるだけでなく、さらに、直接的にシェル部分311に圧力嵌めによっても固定される。
【0058】
それぞれの第2のインプラント要素120について
図1~
図3に示される変形例は、例えば、2穴再構築プレートの形態であることが可能である。
図4は、第2のインプラント要素320が4穴再構築プレートの形態である一例を示す。第2のインプラント要素320はまた、生分解性であるまたは生分解性でないことも可能である。後者の場合、適切な材料は、特に、チタン、医療グレード鋼、マグネシウム合金、および/またはクロム合金などであるが、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)もまた用いられることが可能である。
【0059】
インプラントシステム300の場合、第2のインプラント要素320の4穴再構築プレートの各穴を通して挿入されるものは、例として、第2のインプラント要素320をヒトの骨1の2つの部分に固定して接続するように、直方体接続手段326、例えば非分解性のものである。これは、骨1上におけるインプラントシステム300全体の特に良好な支持を確実にし、次いで、第2のインプラント要素320は、例えば、接続手段325が完全に生分解され、第1のインプラント要素310のための第2のインプラント要素320による支持がもはや必要でなくなったときに、骨1から再び取り出されることが可能である。これに代えて、ヒトの骨1と第2のインプラント要素320との間の接続手段326は、同様に生分解性であることが可能である。この場合、第2のインプラント要素320と第1のインプラント要素310との間の接続手段325の生分解性が、第2のインプラント要素320とヒトの骨1との間の接続手段326の生分解性よりも高い、すなわち、生分解がより迅速に起こるときが有利である。これは、第2のインプラント要素320が第1のインプラント要素310から取り外される前に骨1から取り外されないことを確実にすることが可能である。したがって、第2のインプラント要素320の移動が第1のインプラント要素310による不連続性の治療を危うくすることを恐れる必要がない。
【0060】
シェル部分311の第1の細孔および支柱構造(PSS)は、例えば、以下の特性を有することが可能である。500μmの細孔サイズ(例えば、細孔直径、細孔側面長)、200μm以上の支柱構造直径、質量パーセントでA:B:Cの混合物を有し、質量パーセントでリン酸カルシウム勾配を有する、リン酸カルシウムとリン酸マグネシウムとの混合物から構成されるPDLLA-Ca-Mgバイオ複合材料であって、例えば、シェル部分311の外面(第2のインプラント要素320に隣接する)においてA=80、B=10、C=10であり、シェル部分311の内面(第2のインプラント要素320とは反対を向く面)においてA=80、B=5、C=15である。硫酸マグネシウムは、好ましくは、例えば抗菌作用を達成するように、シェル部分311の内面に対するコーティングとして適用されることが可能である。
【0061】
第1の内側部分312の第2の細孔-支柱構造は、例えば、以下の特性を有することが可能である。400μmの細孔サイズ、150μmの支柱構造直径、およびPCL材料。第2の内側部分313の第2の細孔-支柱構造(第3の細孔-支柱構造とも呼ばれる)は、例えば、以下の特性を有することが可能である。300μmの最大細孔サイズ、100μmの最小支柱構造直径、72:18質量パーセントの混合物を有するPDLLA-CaCO3バイオ複合材料、外側面(第2のインプラント要素320に隣接する)から内側面へ100μmから最大300μmまで支柱構造直径が徐々に(または段階的に)増加する(細孔サイズは同時に逆に小さくなる)という意味における勾配。
【0062】
内側部分111;211;311および内側部分112;212;213;312;313を含むそれぞれの第1のインプラント要素110;210;310は、様々な付加製造技術によって製造されることが可能である。
【外国語明細書】