(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023155245
(43)【公開日】2023-10-20
(54)【発明の名称】サバイビンを標的とするがんワクチンおよびその使用
(51)【国際特許分類】
C12N 15/12 20060101AFI20231013BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20231013BHJP
C07K 14/47 20060101ALN20231013BHJP
A61K 48/00 20060101ALN20231013BHJP
A61K 39/00 20060101ALN20231013BHJP
A61K 35/76 20150101ALN20231013BHJP
A61K 39/39 20060101ALN20231013BHJP
A61P 35/00 20060101ALN20231013BHJP
A61P 37/04 20060101ALN20231013BHJP
【FI】
C12N15/12 ZNA
C12N15/63 Z
C07K14/47
A61K48/00
A61K39/00 H
A61K35/76
A61K39/39
A61P35/00
A61P37/04
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023125566
(22)【出願日】2023-08-01
(62)【分割の表示】P 2020532715の分割
【原出願日】2018-12-13
(31)【優先権主張番号】62/598,267
(32)【優先日】2017-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】509320254
【氏名又は名称】イノビオ ファーマシューティカルズ,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【弁理士】
【氏名又は名称】武居 良太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100166165
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 英直
(72)【発明者】
【氏名】チエン イェン
(72)【発明者】
【氏名】アナ スレイガー
(72)【発明者】
【氏名】ブラッドリー ガーマン
(72)【発明者】
【氏名】ニール クーチ
(57)【要約】
【課題】本明細書に開示されるのは、合成コンセンサスサバイビン抗原をコードする1つ以上の核酸配列を含む核酸分子である。
【解決手段】合成コンセンサスサバイビン抗原をコードする1つ以上の核酸配列を含むベクター、組成物、およびワクチンが開示される。サバイビンを発現する腫瘍を有する対象を治療する方法、およびサバイビンを発現する腫瘍を予防する方法が開示される。合成コンセンサスサバイビン抗原が開示される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)配列番号2のアミノ酸19~159をコードする核酸配列、
(b)配列番号4のアミノ酸19~210をコードする核酸配列、
(c)配列番号8のアミノ酸19~232をコードする核酸配列、
(d)配列番号2のアミノ酸19~159の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列、
(e)配列番号4のアミノ酸19~210の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列、
(f)配列番号8のアミノ酸19~232の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列、
(g)配列番号2のアミノ酸19~159と少なくとも95%同一であるタンパク質をコードする核酸配列、
(h)配列番号4のアミノ酸19~210と少なくとも95%同一であるタンパク質をコードする核酸配列、
(i)配列番号8のアミノ酸19~232と少なくとも95%同一であるタンパク質をコードする核酸配列、
(j)配列番号2のアミノ酸19~159と少なくとも95%同一であるタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列、
(k)配列番号4のアミノ酸19~210と少なくとも95%同一であるタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列、および
(l)配列番号8のアミノ酸19~232と少なくとも95%同一であるタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む、核酸分子。
【請求項2】
(a)配列番号1のヌクレオチド55~423、
(b)配列番号3のヌクレオチド55~636、
(c)配列番号1のヌクレオチド55~423の全長の少なくとも90%を含む断片、
(d)配列番号3のヌクレオチド55~636の全長の少なくとも90%を含む断片、
(e)配列番号1のヌクレオチド55~423と少なくとも95%同一である断片、
(f)配列番号3のヌクレオチド55~636と少なくとも95%同一である断片、
(g)配列番号1のヌクレオチド55~423と少なくとも95%同一である核酸配列の少なくとも90%を含む断片、および
(h)配列番号3のヌクレオチド55~636と少なくとも95%同一である核酸配列の少なくとも90%を含む断片からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む、核酸分子。
【請求項3】
(a)配列番号2をコードする核酸配列、
(b)配列番号4をコードする核酸配列、
(c)配列番号8をコードする核酸配列、
(d)配列番号2の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列、
(e)配列番号4の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列、
(f)配列番号8の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列、
(g)配列番号2と少なくとも95%同一であるタンパク質をコードする核酸配列、
(h)配列番号4と少なくとも95%同一であるタンパク質をコードする核酸配列、
(i)配列番号8と少なくとも95%同一であるタンパク質をコードする核酸配列、
(j)配列番号2と少なくとも95%同一であるタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列、
(k)配列番号4と少なくとも95%同一であるタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列、および
(l)配列番号8と少なくとも95%同一であるタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む、核酸分子。
【請求項4】
(a)配列番号1、
(b)配列番号3、
(c)配列番号1の全長の少なくとも90%を含む断片、
(d)配列番号3の全長の少なくとも90%を含む断片、
(e)配列番号1と少なくとも95%同一である断片、
(f)配列番号3と少なくとも95%同一である断片、
(g)配列番号1と少なくとも95%同一である核酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片、および
(h)配列番号3と少なくとも95%同一である核酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む、核酸分子。
【請求項5】
配列番号1に示される核酸配列を含む、核酸分子。
【請求項6】
配列番号3に示される核酸配列を含む、核酸分子。
【請求項7】
薬剤として使用するための、請求項1~6のいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項8】
がんの治療における薬剤として使用するための、請求項1~7のいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項9】
薬剤の調製に使用するための、請求項1~6のいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項10】
がんの治療のための薬剤の調製において使用するための、請求項1~6および9のいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の核酸分子を含む、ベクター。
【請求項12】
プラスミドまたはウイルスベクターを含む、請求項11に記載のベクター。
【請求項13】
請求項1~10のいずれか一項に記載の1つ以上の核酸分子を含む、組成物。
【請求項14】
薬学的に許容される担体を含む、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
請求項11または12に示される1つ以上のベクターを含む、組成物。
【請求項16】
(a)配列番号2のアミノ酸19~159、
(b)配列番号4のアミノ酸19~210、
(c)配列番号8のアミノ酸19~232、
(d)配列番号2のアミノ酸19~159の全長の少なくとも90%を含む断片、
(e)配列番号4のアミノ酸19~210の全長の少なくとも90%を含む断片、
(f)配列番号8のアミノ酸19~232の全長の少なくとも90%を含む断片、
(g)配列番号2のアミノ酸19~159と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列、
(h)配列番号4のアミノ酸19~210と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列、
(i)配列番号8のアミノ酸19~232と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列、
(j)配列番号2のアミノ酸19~159と少なくとも95%同一であるアミノ配列の全長の少なくとも90%を含む断片、
(k)配列番号4のアミノ酸19~210と少なくとも95%同一であるアミノ配列の全長の少なくとも90%を含む断片、
(l)配列番号8のアミノ酸19~232と少なくとも95%同一であるアミノ配列の全長の少なくとも90%を含む断片からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、タンパク質。
【請求項17】
(a)配列番号2、
(b)配列番号4、
(c)配列番号8、
(d)配列番号2の全長の少なくとも90%を含む断片、
(e)配列番号4の全長の少なくとも90%を含む断片、
(f)配列番号8の全長の少なくとも90%を含む断片、
(g)配列番号2と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列、
(h)配列番号4と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列、
(i)配列番号8と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列、
(j)配列番号2と少なくとも95%同一であるアミノ配列の全長の少なくとも90%を含む断片、
(k)配列番号4と少なくとも95%同一であるアミノ配列の全長の少なくとも90%を含む断片、および
(l)配列番号8と少なくとも95%同一であるアミノ配列の全長の少なくとも90%を含む断片からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、タンパク質。
【請求項18】
配列番号2に示されるアミノ酸配列を含む、タンパク質。
【請求項19】
配列番号4に示されるアミノ酸配列を含む、タンパク質。
【請求項20】
配列番号8に示されるアミノ酸配列を含む、タンパク質。
【請求項21】
請求項1~10のいずれか一項に記載の核酸分子を含む、ワクチン。
【請求項22】
請求項11または12に記載のベクターを含む、ワクチン。
【請求項23】
薬学的に許容される賦形剤をさらに含む、請求項18~20のいずれか一項に記載のワクチン。
【請求項24】
アジュバントをさらに含む、請求項21~23のいずれか一項に記載のワクチン。
【請求項25】
前記アジュバントが、IL-12、IL-15、IL-28、またはRANTESである、請求項24に記載のワクチン。
【請求項26】
サバイビンを発現するがん性細胞を有する対象を治療する方法であって、請求項20~25のいずれか一項に記載のワクチンの治療有効量を投与することを含む、方法。
【請求項27】
投与が、エレクトロポレーションステップを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
投与が、前記対象の1つ以上の部位で行われる、請求項26または27に記載の方法。
【請求項29】
サバイビンを発現するがん性細胞に対して対象にワクチン接種する方法であって、体液性または細胞性免疫応答を誘導するのに有効な量の、請求項20~25のいずれか一項に記載のワクチンを投与することを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年12月13日に出願された米国仮特許出願第62/598,267号の優先権および利益を主張し、その開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
配列表
本出願は、ASCII形式で電子的に提出されている配列表を含み、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。該ASCIIコピーは、2018年12月13日に作成され、104409_000448_sequence_listing.txtという名称であり、8,797バイトのサイズである。
【0003】
本発明は、サバイビン抗原およびそれをコードする核酸分子に関する。本発明はまた、かかるサバイビン抗原および/または核酸分子を含むワクチンに関する。本発明はさらに、免疫応答を誘導し、サバイビンを発現するがん細胞および/または腫瘍を有する対象を予防および/または治療するためにワクチンを使用する方法に関する。
【背景技術】
【0004】
がんは、世界中で主要な死因の1つである。米国では、がんは、2番目に多い死因であり、4人に1人近くの死を占める。がんは、正常な細胞からがん性の細胞に形質転換した単一の細胞から発生する。かかる形質転換は、前がん性病変から悪性腫瘍へと進行する多段階のプロセスである場合が多い。老化、遺伝的寄与、ならびに物理的発がん物質(例えば、紫外線および電離放射線)、化学的発がん物質(例えば、アスベスト、タバコの煙の成分)、および生物学的発がん物質(例えば、特定のウイルス、細菌、寄生虫)などの外部物質への曝露を含む、複数の要因がこの進行に寄与する。
【0005】
がんの予防、診断、および治療は、多くの異なる形態をとり得る。予防には、素因(例えば、特定の遺伝的バリアント)のスクリーニング、挙動の改変(例えば、喫煙、食事、および身体活動の量)、およびウイルスに対するワクチン接種(例えば、ヒト乳頭腫ウイルスB型肝炎ウイルスなど)が含まれる。治療には、化学療法、放射線療法、および腫瘍またはがん性組織の外科的切除を含み得る。多数の予防および治療法が利用可能であるにもかかわらず、かかる方法は、がんを効果的に予防および/または治療する上で限られた成功しか収めないことが多い。
【0006】
サバイビンは、バキュロウイルスアポトーシス阻害因子反復配列含有タンパク質5(BIRC5)としても知られており、カスパーゼ機能を遮断し、それによりプログラムされた細胞死を防ぐアポトーシス阻害剤である。アポトーシスにおけるその役割に加えて、サバイビンは、有糸分裂において本質的に、進化的に保存された役割を明確に有する。(Li,F.et al.Control of apoptosis and mitotic spindle checkpoint by Survivin.Nature 396,580-584,doi:10.1038/25141(1998))。サバイビンの過剰発現は、腫瘍細胞の増殖、進行、血管新生、治療抵抗性、予後不良と関連する。健康な細胞および組織では、サバイビン発現は、存在しないか、または低レベルで存在するかのいずれかである。しかしながら、サバイビンは、アポトーシス阻害タンパク質(IAP)ファミリーのメンバーであり、IAP遺伝子は、様々ながん細胞および原発性腫瘍生検で高発現する。IAPの中で、サバイビンは、腫瘍および胎児組織で最も劇的な過剰発現を示す。卵巣がんの複数の研究では、サバイビン発現について陽性であると検査された患者試料の数は、74~92%に及んだ。(Cohen,C.,Lohmann,C.M.,Cotsonis,G.,Lawson,D.&Santoianni,R.Survivin expression in ovarian carcinoma:correlation with apoptotic markers and prognosis.Modern pathology:an official journal of the United States and Canadian Academy of Pathology,Inc 16,574-583,doi:10.1097/01.MP.0000073868.31297.B0(2003)、Felisiak-Golabek,A.et al.Nuclear Survivin expression is a positive prognostic factor in taxane-platinum-treated ovarian cancer patients.Journal of ovarian research 4,20,doi:10.1186/1757-2215-4-20(2011)を参照されたい)。腫瘍形成へのサバイビンの寄与は、様々な腫瘍での発現および過剰発現のその制限されたパターンと組み合わせて、がん免疫療法の興味を引く標的となっている。
【0007】
サバイビンは、IAPファミリーの最小メンバーである。それは、142アミノ酸からなる16.3kDのタンパク質であり、単一のBIRリピートの存在を特徴とする。また、そのタンパク質構造は、カルボキシル末端のRINGフィンガードメインを欠損する。(Chen,X.,Duan,N.,Zhang,C.&Zhang,W.Survivin and Tumorigenesis:Molecular Mechanisms and Therapeutic Strategies.Journal of Cancer 7,314-323,doi:10.7150/jca.13332 (2016))。いくつかのサバイビンアイソフォームが同定されており、サバイビンアイソフォーム1が主要な転写産物である。サバイビンは、胎児の発育中に発現するが、完全に分化した組織では発現しない。しかしながらそれは、多くのがん細胞で高発現される。したがって、サバイビンは、がんの治療のための潜在的な標的抗原である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
がん、特に上皮性卵巣がん(EOC)の治療および予防のためのワクチンは、興味深いものである。しかしながら、腫瘍細胞抗原を標的とする既存のワクチンは、インビボでの不十分な抗原発現により制限されている。したがって、当該技術分野では、がんを予防および/または治療し、がんに罹患している対象の死亡率を低減するための安全かつ効果的なワクチンおよびそれらの使用方法が依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(a)配列番号2のアミノ酸19~159をコードする核酸配列、(b)配列番号4のアミノ酸19~210をコードする核酸配列、(c)配列番号8のアミノ酸19~232をコードする核酸配列、(d)配列番号2のアミノ酸19~159の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列、(e)配列番号4のアミノ酸19~210の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列、(f)配列番号8のアミノ酸19~232の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列、(g)配列番号2のアミノ酸19~159と少なくとも95%同一であるタンパク質をコードする核酸配列、(h)配列番号4のアミノ酸19~210と少なくとも95%同一であるタンパク質をコードする核酸配列、(i)配列番号8のアミノ酸19~232と少なくとも95%同一であるタンパク質をコードする核酸配列、(j)配列番号2のアミノ酸19~159と少なくとも95%同一であるタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列、(k)配列番号4のアミノ酸19~210と少なくとも95%同一であるタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列、および(l)配列番号8のアミノ酸19~232と少なくとも95%同一であるタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む、核酸分子が本明細書に提供される。
【0010】
核酸分子は、(a)配列番号1のヌクレオチド55~423、(b)配列番号3のヌクレオチド55~636、(c)配列番号1のヌクレオチド55~423の全長の少なくとも90%を含む断片、(d)配列番号3のヌクレオチド55~636の全長の少なくとも90%を含む断片、(e)配列番号1のヌクレオチド55~423と少なくとも95%同一である断片、(f)配列番号3のヌクレオチド55~636と少なくとも95%同一である断片、(g)配列番号1のヌクレオチド55~423と少なくとも95%同一である核酸配列の少なくとも90%を含む断片、および(h)配列番号3のヌクレオチド55~636と少なくとも95%同一である核酸配列の少なくとも90%を含む断片からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む。
【0011】
核酸分子は、(a)配列番号2をコードする核酸配列、(b)配列番号4をコードする核酸配列、(c)配列番号8をコードする核酸配列、(d)配列番号2の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列、(e)配列番号4の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列、(f)配列番号8の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列、(g)配列番号2と少なくとも95%同一であるタンパク質をコードする核酸配列、(h)配列番号4と少なくとも95%同一であるタンパク質をコードする核酸配列、(i)配列番号8と少なくとも95%同一であるタンパク質をコードする核酸配列、(j)配列番号2と少なくとも95%同一であるタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列、(k)配列番号4と少なくとも95%同一であるタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列、および(l)配列番号8と少なくとも95%同一であるタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む。
【0012】
核酸分子は、(a)配列番号1、(b)配列番号3、(c)配列番号1の全長の少なくとも90%を含む断片、(d)配列番号3の全長の少なくとも90%を含む断片、(e)配列番号1と少なくとも95%同一である断片、(f)配列番号3と少なくとも95%同一である断片、(g)配列番号1と少なくとも95%同一である核酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片、および(h)配列番号3と少なくとも95%同一である核酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む。
【0013】
核酸分子は、配列番号1に示される核酸配列を含む。
【0014】
核酸分子は、配列番号3に示される核酸配列を含む。
【0015】
本明細書に記載される核酸分子は、薬剤として使用する。
【0016】
本明細書に記載される核酸分子は、がんの治療における薬剤として使用する。
【0017】
本明細書に記載される核酸分子は、薬剤の調製において使用する。
【0018】
本明細書に記載される核酸分子は、がんの治療のための薬剤の調製において使用する。
【0019】
ベクターは、本明細書に記載される核酸分子を含む。
【0020】
ベクターは、プラスミドまたはウイルスベクターを含む。
【0021】
組成物は、本明細書に記載される1つ以上の核酸分子を含む。
【0022】
本明細書に記載される組成物は、薬学的に許容される担体を含む。
【0023】
本明細書に記載される組成物は、本明細書に記載される1つ以上のベクターを含む。
【0024】
タンパク質は、(a)配列番号2のアミノ酸19~159、(b)配列番号4のアミノ酸19~210、(c)配列番号8のアミノ酸19~232、(d)配列番号2のアミノ酸19~159の全長の少なくとも90%を含む断片、(e)配列番号4のアミノ酸19~210の全長の少なくとも90%を含む断片、(f)配列番号8のアミノ酸19~232の全長の少なくとも90%を含む断片、(g)配列番号2のアミノ酸19~159と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列、(h)配列番号4のアミノ酸19~210と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列、(i)配列番号8のアミノ酸19~232と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列、(j)配列番号2のアミノ酸19~159と少なくとも95%同一であるアミノ配列の全長の少なくとも90%を含む断片、(k)配列番号4のアミノ酸19~210と少なくとも95%同一であるアミノ配列の全長の少なくとも90%を含む断片、および(l)配列番号8のアミノ酸19~232と少なくとも95%同一であるアミノ配列の全長の少なくとも90%を含む断片からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0025】
タンパク質は、(a)配列番号2、(b)配列番号4、(c)配列番号8、(d)配列番号2の全長の少なくとも90%を含む断片、(e)配列番号4の全長の少なくとも90%を含む断片、(f)配列番号8の全長の少なくとも90%を含む断片、(g)配列番号2と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列、(h)配列番号4と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列、(i)配列番号8と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列、(j)配列番号2と少なくとも95%同一であるアミノ配列の全長の少なくとも90%を含む断片、(k)配列番号4と少なくとも95%同一であるアミノ配列の全長の少なくとも90%を含む断片、および(l)配列番号8と少なくとも95%同一であるアミノ配列の全長の少なくとも90%を含む断片からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0026】
タンパク質は、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含む。
【0027】
タンパク質は、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含む。
【0028】
タンパク質は、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含む。
【0029】
ワクチンは、本明細書に記載される核酸分子を含む。
【0030】
ワクチンは、本明細書に記載されるベクターを含む。
【0031】
本明細書に記載されるワクチンは、薬学的に許容される賦形剤をさらに含む。
【0032】
本明細書に記載されるワクチンは、アジュバントをさらに含む。
【0033】
本明細書に記載されるワクチンは、アジュバントが、IL-12、IL-15、IL-28、またはRANTESである。
【0034】
サバイビンを発現するがん性細胞を有する対象を治療する方法は、本明細書に記載されるワクチンの治療有効量を投与することを含む。
【0035】
本明細書に記載される方法は、投与が、エレクトロポレーションステップを含む。
【0036】
本明細書に記載される方法は、対象の1つ以上の部位で行われる。
【0037】
サバイビンを発現するがん性細胞に対して対象にワクチン接種する方法は、体液性または細胞性免疫応答を誘導するのに有効な量の、本明細書に記載されるワクチンを投与することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0038】
概要および以下の詳細な記載は、添付の図面と併せて読むとさらに理解される。本発明を例示する目的で、本発明の例示的な実施形態が図面に示されており、しかしながら、本発明は、開示される特定の方法、組成物、およびデバイスに限定されない。図面:
【
図1】合成コンセンサスサバイビン抗原アイソフォーム1の略図を示す。アスタリスクは、抗アポトーシス活性を消失するために必須の変異を示す。
【
図2】合成コンセンサスサバイビン抗原アイソフォーム1モノマーA(左)およびモノマーB(右)の全体構造を示す。天然サバイビンに対する変化は、球で示す。
【
図3】合成コンセンサスサバイビン抗原アイソフォーム1T3の略図を示す。アスタリスクは、抗アポトーシス活性を消失するために必須の変異を示す。右(3’)の濃い灰色の領域は、切断型サバイビンアイソフォーム3(T3)領域を表す。
【
図4】合成コンセンサスサバイビン抗原アイソフォーム1を含むpGX1428の構造を示す。
【
図5】合成コンセンサスサバイビン抗原アイソフォーム1T3を含むpGX1429の構造を示す。
【
図6】免疫ブロットにより、pGX1428およびpGX1429をそれぞれトランスフェクトしたヒト横紋筋肉腫(RD)細胞における合成コンセンサスサバイビン抗原1および合成コンセンサスサバイビン抗原1T3タンパク質の発現を示す。予想された分子量のタンパク質バンドを、pGX1428(17.5kD)およびpGX1429(25.3kD)で検出した。β-アクチンを負荷対照として使用した。
【
図7A-C】合成コンセンサスサバイビン抗原1および合成コンセンサスサバイビン抗原1T3の免疫原性を示す。雌のCB6F1は、指示された用量のサバイビン1(pGX1428)(
図7A~7D)、サバイビン1T3 pGX1429(E~H)(n=8/群)、またはpGX0001(空ベクター)(n=4)で、3週間間隔で3回免疫された。
図7A:指示された用量のpGX1428におけるELISpotによるサバイビン1特異的IFNγ応答。
図7B:サバイビン1特異的CD4+T細胞応答。
図7C.サバイビン1特異的CD8+T細胞応答。
【
図7D-F】
図7D:指示された用量のpGX1429におけるELISpotによるサバイビン1T3特異的IFNγ応答。
図7E:サバイビン1T3特異的CD4+T細胞応答。
図7F:サバイビン1T3特異的CD8+T細胞応答。
【
図7G】
図7G:サバイビン1特異的CD4+T細胞およびCD8+T細胞応答のサイトカインプロファイル。
【
図7H】
図7H:サバイビン1T3特異的CD4+T細胞およびCD8+T細胞応答のサイトカインプロファイル。
【
図8】フローサイトメトリーのゲーティング戦略を示す。
【
図9】CD4+およびCD8+T細胞の相対頻度を示す。pGX1428およびpGX1429により誘導される細胞性免疫応答は、主にCD8+T細胞区画と比較してCD4+T細胞区画にあった。
【
図10A】サバイビン特異的T細胞の細胞溶解能を示す。サバイビン1およびサバイビン1T3により誘導される抗原特異的T細胞の細胞溶解能。
図10A:サバイビン1特異的CD4+CD107a+T細胞の頻度。
【
図10B】
図10B:サバイビン1T3特異的CD4+CD107a+T細胞の頻度。
【
図10E】
図10E:サバイビン1T3特異的CD8+CD107a+T細胞の頻度。
【
図11A】サバイビンIFN-γ応答のエピトープマッピングを示す。サバイビン1およびサバイビン1T3により誘導されるIFNγ応答の幅。
図11A:50μgのpGX1428、pGX1429、またはpGX0001による処理後のサバイビン1ペプチドプール。
【
図11B】
図11B:50μgのpGX1429またはpGX0001による処理後のサバイビンT3ペプチドプール。破線のボックスで示されるマトリックスプールの位置とpGX1428およびpGX1429との配列比較。
【
図11C】
図11C:pGX1428およびpGX1429の配列比較。赤色のテキストのアミノ酸は、マトリックスマッピングにより同定されたエピトープを示す。下線が引かれたテキストは、合成コンセンサスサバイビン抗原に追加される配列部分を表す:N末端は、IgELSおよびRGRKRRSフリン切断部位を示す。
【
図11D】
図11D:サバイビン1およびサバイビンT3マトリックスのデザイン。応答を誘発したペプチドは、破線のボックスで示される。
【
図12】合成コンセンサスサバイビン1T3を含む本開示の実施形態を使用して免疫化された個々の非ヒト霊長類からのサバイビン特異的IFNγ SFU/10
6 PBMCを示す。
【
図13】低用量のIL-12(0.04mg)を伴う合成コンセンサスサバイビン1T3を含む本開示の実施形態を使用して免疫化された個々の非ヒト霊長類からのサバイビン特異的IFNγ SFU/10
6 PBMCを示す。
【
図14】高用量のIL-12(0.20mg)を伴う合成コンセンサスサバイビン1T3を含む本開示の実施形態を使用して免疫化された個々の非ヒト霊長類からのサバイビン特異的IFNγ SFU/10
6 PBMCを示す。
【
図15A】NHP研究の個々の動物の結果を示し、合成コンセンサスサバイビン1構築物および合成コンセンサスサバイビン1T3構築物による免疫化の比較をさらに示す。
図15Aは、群1の動物の結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本発明は、合成コンセンサスサバイビン抗原を含むワクチンに関する。サバイビンは、多くの腫瘍で発現される。したがって、ワクチンは、サバイビンを発現する、がんまたはがんに基づく腫瘍の治療を提供する。
【0040】
合成コンセンサスサバイビン抗原は、異なる種または種内の異なるアイソフォームからのサバイビンの配列に由来するコンセンサスサバイビン抗原であり得、したがって、合成コンセンサスサバイビン抗原は非天然である。コンセンサスサバイビン抗原は、1つ以上の変異をコンセンサス配列に導入して、合成コンセンサス配列を生成することにより、さらに改変することができる。変異は、天然サバイビン配列の特定の機能ドメインを遮断または改変し、それにより機能ドメインの構造または機能を破壊または強化することができる。いくつかの実施形態では、合成コンセンサスサバイビン抗原配列に追加の配列を追加して、新しい構造または機能を導入する。例えば、合成コンセンサスサバイビン抗原配列は、フリン切断部位を有し得る。合成コンセンサスサバイビン抗原配列には、最終的なタンパク質生成物の細胞外輸送を増強するための追加の局在化シグナルを含み得る。追加の局在化シグナルは、IgELSまたは他の細胞輸送配列であり得る。
【0041】
合成コンセンサスサバイビン抗原は、抗原特異的T細胞および/または高力価の抗体応答を誘導し得、それにより、抗原を発現するがんまたは腫瘍に対して直接的もしくは反応性である免疫応答を誘導または誘発する。いくつかの実施形態では、誘導または誘発された免疫応答は、細胞性、体液性、または細胞性および体液性免疫応答の両方であり得る。いくつかの実施形態では、誘導または誘発された細胞性免疫応答は、インターフェロン-ガンマ(IFN-γ)および/または腫瘍壊死因子アルファ(TNF-α)および/またはインターロイキン2(IL-2)の誘導または分泌を含むことができる。他の実施形態では、誘導または誘発された免疫応答は、抗原を発現する腫瘍またはがんの成長を促進する1つ以上の免疫抑制因子、例えば、限定されないが、MHC提示を下方制御する因子、抗原特異的制御性T細胞(Treg)、PD-L1、FasL、IL-10およびTFG-βなどのサイトカイン、腫瘍関連マクロファージ、腫瘍関連線維芽細胞、免疫抑制細胞により産生される可溶性因子、CTLA-4、PD-1、MDSC、MCP-1、および免疫チェックポイント分子を上方制御する因子を低減または阻害することができる。
【0042】
本発明のワクチンは、治療を必要とする対象のがんの特定の予防または治療のための特定のがん抗原の任意の組み合わせを提供することができる。
【0043】
組換えがん抗原の核酸およびそのコードされるアミノ酸配列を設計するための1つの様式は、天然がん抗原の全体的なアミノ酸配列において特定のアミノ酸を変化させる変異を導入することによるものである。変異の導入は、がん抗原をあまり改変しないため、哺乳動物対象、好ましくはヒトまたはイヌ対象にわたり普遍的に適用することはできないが、結果として生じるアミノ酸配列は、免疫応答を生成するために、寛容性を破壊するか、または外来抗原と見なされるように十分に変化する。別の様式は、それに対応する天然がん抗原と比較して、少なくとも85%~最大99%のアミノ酸配列同一性、好ましくは、少なくとも90%~最大98%の配列同一性、より好ましくは、少なくとも93%~最大98%の配列同一性、またはさらにより好ましくは、少なくとも95%~最大98%の配列同一性を有するコンセンサス組換えがん抗原を作製することであり得る。いくつかの事例において、組換えがん抗原は、それに対応する天然がん抗原と比較して、95%、96%、97%、98%、または99%のアミノ酸配列同一性を有する。天然がん抗原は、特定のがんまたはがん腫瘍に通常関連する抗原である。がん抗原に応じて、がん抗原のコンセンサス配列は、哺乳動物種全体、または種のサブタイプ内、またはウイルス株全体、または血清型にわたることができる。いくつかのがん抗原は、がん抗原の野生型アミノ酸配列と大きく異ならない。いくつかのがん抗原は、種にわたり多岐の核酸/アミノ酸配列を有し、コンセンサス配列を生成することができない。これらの事例において、組換えがん抗原は、耐性を破壊して生成し、それに対応する天然がん抗原と比較して、少なくとも85%~最大99%のアミノ酸配列同一性、好ましくは、少なくとも90%~最大98%の配列同一性、より好ましくは、少なくとも93%~最大98%の配列同一性、またはさらにより好ましくは、少なくとも95%~最大98%の配列同一性を有する免疫応答が生成される。いくつかの事例において、組換えがん抗原は、それに対応する天然がん抗原と比較して、95%、96%、97%、98%、または99%のアミノ酸配列同一性を有する。前述のアプローチを組み合わせて、最終的な組換えがん抗原が、上で考察された天然がん抗原アミノ酸配列との類似性パーセントを有するようにすることができる。
【0044】
ワクチンは、PD-1およびPDL-1などのチェックポイント阻害剤に対する抗体とさらに組み合わせて、細胞性および体液性免疫応答の両方の刺激を増強することができる。抗PD-1または抗PDL-1抗体を使用すると、PD-1またはPDL-1がT細胞および/またはB細胞応答を抑制するのを防止する。全体として、免疫系により認識されるようにがん抗原を設計することは、腫瘍細胞による他の形態の免疫抑制を克服するのに役立ち、これらのワクチンは、抑制または阻害療法(抗PD-1および抗PDL-1抗体療法など)と組み合わせて使用して、T細胞および/またはB細胞応答をさらに増強することができる。
【0045】
ワクチンは、腫瘍フリー生存を30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、および45%で増加することができる。ワクチンは、免疫化後に、腫瘍質量を30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、および60%で低減することができる。ワクチンは、骨髄由来サプレッサー細胞から分泌されるサイトカインである単球走化性タンパク質1(MCP-1)の増加を防止および遮断することができる。ワクチンは、腫瘍生存を30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、および60%で増強することができる。
【0046】
ワクチンは、ワクチンを投与されていない対象における細胞性免疫応答と比較して、ワクチンを投与された対象における細胞性免疫応答を約50倍~約6000倍、約50倍~約5500倍、約50倍~約5000倍、約50倍~約4500倍、約100倍~約6000倍、約150倍~約6000倍、約200倍~約6000倍、約250倍~約6000倍、または約300倍~約6000倍で増強することができる。いくつかの実施形態では、ワクチンは、ワクチンを投与されていない対象における細胞性免疫応答と比較して、ワクチンを投与された対象における細胞性免疫応答を約50倍、100倍、150倍、200倍、250倍、300倍、350倍、400倍、450倍、500倍、550倍、600倍、650倍、700倍、750倍、800倍、850倍、900倍、950倍、1000倍、1100倍、1200倍、1300倍、1400倍、1500倍、1600倍、1700倍、1800倍、1900倍、2000倍、2100倍、2200倍、2300倍、2400倍、2500倍、2600倍、2700倍、2800倍、2900倍、3000倍、3100倍、3200倍、3300倍、3400倍、3500倍、3600倍、3700倍、3800倍、3900倍、4000倍、4100倍、4200倍、4300倍、4400倍、4500倍、4600倍、4700倍、4800倍、4900倍、5000倍、5100倍、5200倍、5300倍、5400倍、5500倍、5600倍、5700倍、5800倍、5900倍、または6000倍で増強することができる。
【0047】
ワクチンは、ワクチンを投与されていない対象におけるIFN-γレベルと比較して、ワクチンを投与された対象におけるインターフェロンガンマ(IFN-γ)レベルを約50倍~約6000倍、約50倍~約5500倍、約50倍~約5000倍、約50倍~約4500倍、約100倍~約6000倍、約150倍~約6000倍、約200倍~約6000倍、約250倍~約6000倍、または約300倍~約6000倍で増強することができる。いくつかの実施形態では、ワクチンは、ワクチンを投与されていない対象におけるIFN-γレベルと比較して、ワクチンを投与された対象におけるIFN-γレベルを約50倍、100倍、150倍、200倍、250倍、300倍、350倍、400倍、450倍、500倍、550倍、600倍、650倍、700倍、750倍、800倍、850倍、900倍、950倍、1000倍、1100倍、1200倍、1300倍、1400倍、1500倍、1600倍、1700倍、1800倍、1900倍、2000倍、2100倍、2200倍、2300倍、2400倍、2500倍、2600倍、2700倍、2800倍、2900倍、3000倍、3100倍、3200倍、3300倍、3400倍、3500倍、3600倍、3700倍、3800倍、3900倍、4000倍、4100倍、4200倍、4300倍、4400倍、4500倍、4600倍、4700倍、4800倍、4900倍、5000倍、5100倍、5200倍、5300倍、5400倍、5500倍、5600倍、5700倍、5800倍、5900倍、または6000倍で増強することができる。
【0048】
以下により詳細に記載されるように、ワクチンは、1つ以上の免疫チェックポイント分子の1つ以上の阻害剤(すなわち、免疫チェックポイント阻害剤)をさらに含み得る。免疫チェックポイント分子は、以下により詳細に記載される。免疫チェックポイント阻害剤は、MHCクラス提示、T細胞提示および/もしくは分化、B細胞提示および/もしくは分化、任意のサイトカイン、ケモカイン、または免疫細胞の増殖および/もしくは分化のためのシグナル伝達など、免疫系の任意の成分の抑制を防止する任意の核酸またはタンパク質である。以下でさらに詳細に記載するように、ワクチンは、PD-1およびPDL-1などのチェックポイント阻害剤に対する抗体とさらに組み合わせて、細胞性および体液性免疫応答の両方の刺激を増強することができる。抗PD-1または抗PDL-1抗体を使用すると、PD-1またはPDL-1がT細胞および/またはB細胞応答を抑制するのを防止する。
【0049】
定義
他に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、当業者によって一般に理解されているのと同じ意味を有する。矛盾する場合は、定義を含む本文書が優先される。好ましい方法および材料を以下に記載するが、本明細書に記載されているものと同様または同等の方法および材料を本発明の実施または試験に使用することができる。本明細書で言及したすべての出版物、特許出願、特許、およびその他の参考文献は、それらの全体が参照により組み込まれる。本明細書に開示される材料、方法、および例は、単なる例示であり、限定を意図するものではない。本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を記載することのみを目的とし、限定することを意図するものではない。
【0050】
本明細書で使用される「含む(comprise(s))」、「含む(include(s))」、「有する(having)」、「有する(has)」、「できる」、「含む(contain(s))」、およびそれらの変形の用語は、追加の行為または構造の可能性を排除しない、制限のない過渡的な句、用語、または単語であることを意図する。単数形「a」、「and」、および「the」には、文脈から明確に指示されない限り、複数の参照が含まれる。本開示はまた、明示的に記載されているか否かにかかわらず、本明細書に提示される実施形態または要素を「含む」、「からなる」および「本質的にからなる」他の実施形態も企図する。
【0051】
本明細書の数値範囲の列挙については、列挙された範囲の最小値および最大値と同じ程度の精度を有する各々の介在する値が明示的に企図される。例えば、6~9の範囲では、6および9に加えて7および8の数値が企図され、6.0~7.0の範囲では、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、および7.0の数値が、明示的に企図される。
【0052】
本明細書で使用される「アジュバント」は、抗原の免疫原性を増強するために本明細書に記載されるワクチンに追加される任意の分子を意味する。
【0053】
本明細書で使用される「抗体」は、クラスIgG、IgM、IgA、IgD、もしくはIgEの抗体、またはその断片もしくは誘導体を意味し、Fab、F(ab’)2、Fd、および一本鎖抗体、ダイアボディ、二重特異性抗体、二機能性抗体、およびそれらの誘導体を含む。抗体は、哺乳動物の血清試料から単離された抗体、ポリクローナル抗体、アフィニティー精製された抗体、またはその任意の混合物であり得、それに由来する所望されるエピトープまたは配列に対して十分な結合特異性を示す。
【0054】
「抗原」は、(a)配列番号2のアミノ酸19~159、(b)配列番号4のアミノ酸19~210、(c)配列番号8のアミノ酸19~232、(d)配列番号2のアミノ酸19~159の少なくとも90%を含む断片、(e)配列番号4のアミノ酸19~210の少なくとも90%を含む断片、(f)配列番号8のアミノ酸19~232の少なくとも90%を含む断片、(g)配列番号2のアミノ酸19~159と少なくとも95%同一であるタンパク質、(h)配列番号4のアミノ酸19~210と少なくとも95%同一であるタンパク質、(i)配列番号8のアミノ酸19~232と少なくとも95%同一のタンパク質、(j)配列番号2のアミノ酸19~159と少なくとも95%同一であるタンパク質の少なくとも90%を含む断片、(k)配列番号4のアミノ酸19~210と少なくとも95%同一であるタンパク質の少なくとも90%を含む断片、および(l)配列番号8のアミノ酸19~232と少なくとも95%同一であるタンパク質の少なくとも90%を含む断片を含む合成コンセンサスサバイビン抗原アミノ酸配列を有するタンパク質を指す。「抗原」はまた、(a)配列番号2、(b)配列番号4、(c)配列番号8、(d)配列番号2の全長の少なくとも90%を含む断片、(e)配列番号4の全長の少なくとも90%を含む断片、(f)配列番号8の全長の少なくとも90%を含む断片、(g)配列番号2と少なくとも95%同一であるタンパク質、(h)配列番号4と少なくとも95%同一であるタンパク質、(i)配列番号8と少なくとも95%同一であるタンパク質、(j)配列番号2と少なくとも95%同一であるタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片、(k)配列番号4と少なくとも95%同一であるタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片、および(l)配列番号8と少なくとも95%同一であるタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片を含む合成コンセンサスサバイビン抗原アミノ酸配列を有するタンパク質も指す。抗原は、他のタンパク質からのものなどのシグナルペプチドを任意で含み得る。
【0055】
本明細書で使用される「コード化配列」または「コード化核酸」は、タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む核酸(RNAまたはDNA分子)を意味する。コード化配列は、核酸が投与される対象または哺乳動物の細胞における発現を指示することが可能なプロモーターおよびポリアデニル化シグナルを含む、制御要素に作動可能に連結された開始および終結シグナルをさらに含み得る。
【0056】
核酸に関して本明細書で使用される「補体」または「相補的」は、ワトソンクリック(例えば、A-T/UおよびC-G)または核酸分子のヌクレオチドまたはヌクレオチド類似体間のフーグスティーン塩基対を意味することができる。
【0057】
本明細書で使用される「コンセンサス」または「コンセンサス配列」は、異なる生物または生物内の異なるアイソフォームからの同じ遺伝子に対する複数の配列のアラインメントの分析に基づくポリペプチド配列を意味する。コンセンサスポリペプチド配列をコードする核酸配列を調製することができる。
【0058】
本明細書で使用される「定電流」は、同じ組織に送達される電気パルスの持続時間にわたって、組織または該組織を規定する細胞によって受け取られるまたは経験される電流を表す。電気パルスは、本明細書に記載されるエレクトロポレーションデバイスから送達される。本明細書で提供されるエレクトロポレーションデバイスは、好ましくは瞬間的なフィードバックを有するフィードバック要素を有するので、この電流は、電気パルスの寿命にわたって該組織内で一定のアンペア数のままである。フィードバック要素は、パルスの持続時間全体で組織(または細胞)の抵抗を測定し、エレクトロポレーションデバイスにその電気エネルギー出力を変化(例えば、電圧を増加)させることができるため、同じ組織の電流は電気パルス全体で(マイクロ秒のオーダーで)、またパルス間で一定のままである。いくつかの実施形態では、フィードバック要素は、コントローラを含む。
【0059】
本明細書で使用される「電流フィードバック」または「フィードバック」は、互換的に使用され得、かつ提供されたエレクトロポレーションデバイスの能動的応答を意味し得、これは、電極間の組織の電流を測定し、それに応じて電流を一定レベルに維持するために、EPデバイスによって供給されるエネルギー出力を変更することを含む。この一定レベルは、パルス配列または電気治療の開始前にユーザによって事前設定される。フィードバックは、電気回路が、電極間の組織の電流を継続的にモニタリングし、そのモニタリングされた電流(または組織内の電流)を事前設定された電流と比較し、エネルギー出力調整を継続的に行って、モニタリングされた電流を事前設定レベルに維持するため、エレクトロポレーションデバイスのエレクトロポレーション構成要素、例えば、コントローラによって達成され得る。フィードバックループは、アナログ閉ループフィードバックであるため、瞬間的であり得る。
【0060】
本明細書で使用される「分散電流」は、本明細書で記載されるエレクトロポレーションデバイスの様々な針電極アレイから送達される電流のパターンを意味し得、ここで、パターンは、エレクトロポレーションされている組織の任意の領域におけるエレクトロポレーション関連熱ストレスの発生を最小化、または好ましくは排除する。
【0061】
本明細書で互換的に使用される「エレクトロポレーション」、「電気透過性」、または「動電学的増強」(「EP」)は、生体膜に微視的経路(細孔)を誘導する膜貫通電場パルスの使用を意味し、それらの存在により、プラスミドおよびベクター、オリゴヌクレオチド、siRNA、薬物、イオン、水などの生体分子が細胞膜の一方の側からもう一方の側へと通過することができる。
【0062】
核酸配列に関して本明細書で使用される「断片」は、本明細書で開示される抗原と交差反応する哺乳動物において免疫応答を誘発することが可能なポリペプチドをコードする核酸配列またはその一部分を意味する。断片は、以下に示すタンパク質断片をコードする様々なヌクレオチド配列のうちの少なくとも1つから選択されるDNA断片であり得る。断片は、追加された異種シグナルペプチドを除いて、以下に示される1つ以上の核酸配列の少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも95%を含むことができる。断片は、以下に示される1つ以上の核酸配列の少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%を含み得、さらに任意で、異種シグナルペプチドをコードする配列を含み、同一性パーセントを計算する際に含める必要はない。断片は、免疫グロブリンシグナルペプチド、例えば、IgEまたはIgGシグナルペプチドなどのシグナルペプチドのコード配列をさらに含み得る。N末端メチオニンおよび/またはシグナルペプチドをコードするコード配列は、コード配列の断片に連結され得る。
【0063】
いくつかの実施形態では、断片は、以下に示される少なくとも1つの核酸配列のうちの少なくとも20ヌクレオチド以上、少なくとも30ヌクレオチド以上、少なくとも40ヌクレオチド以上、少なくとも50ヌクレオチド以上、少なくとも60ヌクレオチド以上、少なくとも70ヌクレオチド以上、少なくとも80ヌクレオチド以上、少なくとも90ヌクレオチド以上、少なくとも100ヌクレオチド以上、少なくとも150ヌクレオチド以上、少なくとも200ヌクレオチド以上、少なくとも250ヌクレオチド以上、少なくとも300ヌクレオチド以上、少なくとも350ヌクレオチド以上、少なくとも400ヌクレオチド以上、少なくとも450ヌクレオチド以上、少なくとも500ヌクレオチド以上、少なくとも550ヌクレオチド以上、少なくとも600ヌクレオチド以上、または少なくとも650ヌクレオチド以上を含み得る。
【0064】
ポリペプチド配列に関する「断片」または「免疫原性断片」は、本明細書に開示される抗原と交差反応する哺乳動物において免疫応答を誘発することができるポリペプチドを意味する。断片は、以下の様々なアミノ酸配列の少なくとも1つから選択されるポリペプチド断片であり得る。コンセンサスタンパク質の断片は、追加された異種シグナルペプチドを除いて、コンセンサスタンパク質の少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも95%を含むことができる。断片は、以下に示される1つ以上のアミノ配列の少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%を含み得、さらに任意で、異種シグナルペプチドを含み、同一性パーセントを計算する際に含める必要はない。断片は、免疫グロブリンシグナルペプチド、例えば、IgEまたはIgGシグナルペプチドなどのシグナルペプチドをさらに含み得る。
【0065】
いくつかの実施形態において、コンセンサスタンパク質の断片は、本明細書に開示されるタンパク質配列の少なくとも20アミノ酸以上、少なくとも30アミノ酸以上、少なくとも40アミノ酸以上、少なくとも50アミノ酸以上、少なくとも60アミノ酸以上、少なくとも70アミノ酸以上、少なくとも80アミノ酸以上、少なくとも90アミノ酸以上、少なくとも100アミノ酸以上、少なくとも110アミノ酸以上、少なくとも120アミノ酸以上、少なくとも130アミノ酸以上、少なくとも140アミノ酸以上、少なくとも150アミノ酸以上、少なくとも160アミノ酸以上、少なくとも170アミノ酸以上、少なくとも180アミノ酸以上、少なくとも200アミノ酸以上、または少なくとも220アミノ酸以上を含むことができる。
【0066】
本明細書で使用する場合、「遺伝子構築物」という用語は、タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含むDNAまたはRNA分子を指す。コード化配列は、核酸分子が投与される対象の細胞における発現を指示することが可能なプロモーターおよびポリアデニル化シグナルを含む、調節要素に作動可能に連結された開始および終結シグナルを含む。本明細書で使用する場合、「発現可能な形態」という用語は、対象の細胞に存在する場合に、コード化配列が発現されるようにタンパク質をコードするコード化配列に機能的に連結された必要な制御性要素を含む遺伝子構築物を指す。
【0067】
本明細書で使用される「相同性」という用語は、ある程度の相補性を指す。部分的な相同性または完全な相同性(すなわち、同一性)があり得る。完全に相補的な配列が、標的核酸にハイブリダイズするのを少なくとも部分的に阻害する部分的に相補的な配列は、機能的用語「実質的に相同な」を使用して言及される。cDNAまたはゲノムクローンなどの二本鎖核酸配列に関して使用される場合に、本明細書で使用される「実質的に相同な」という用語は、低ストリンジェンシーの条件下で二本鎖核酸配列の鎖にハイブリダイズすることができるプローブを指す。一本鎖核酸配列に関して使用される場合に、本明細書で使用される「実質的に相同な」という用語は、低ストリンジェンシーの条件下で一本鎖核酸鋳型配列にハイブリダイズすることができる(すなわち、その相補体である)プローブを指す。
【0068】
2つ以上の核酸またはポリペプチド配列の文脈で本明細書において使用される「同一の」または「同一性」は、配列が、特定の領域にわたって同じである特定の割合の残基を有することを意味する。割合は、2つの配列を最適に整列し、指定された領域にわたり2つの配列を比較し、一致した位置の数を得るために、両方の配列で同一の残基が発生する位置の数を決定し、一致した位置の数を指定された領域の位置の総数で割り、結果に100を掛けて、配列同一性の割合を得ることで計算することができる。2つの配列の長さが異なる場合、またはアラインメントによって1つ以上の互い違いの末端が生成され、指定された比較領域に単一配列のみが含まれる場合、単一配列の残基は分母に含まれるが、計算の分子には含まれない。DNAおよびRNAを比較する場合、チミン(T)およびウラシル(U)は、同等と見なすことができる。同一性は、手動で、またはBLASTもしくはBLAST2.0などのコンピュータ配列アルゴリズムを使用して実行することができる。
【0069】
本明細書で使用される「インピーダンス」は、フィードバック機構を考察するときに使用され得、オームの法則に従って電流値に変換することができるため、事前設定された電流との比較が可能になる。
【0070】
本明細書で使用される「免疫応答」は、抗原の導入に応答した、宿主の免疫系、例えば、哺乳動物の免疫系の活性化を意味する。免疫応答は、細胞性、または体液性応答、またはその両方の形態であり得る。
【0071】
本明細書で使用される「核酸」または「オリゴヌクレオチド」または「ポリヌクレオチド」は、互いに共有結合された少なくとも2つのヌクレオチドを意味する。一本鎖の描写は、相補鎖の配列も定義する。したがって、核酸はまた、描写された一本鎖の相補鎖も包含する。核酸の多くのバリアントは、所定の核酸と同じ目的で使用することができる。したがって、核酸はまた、実質的に同一の核酸およびその相補体を包含する。一本鎖は、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で標的配列にハイブリダイズすることができるプローブを提供する。したがって、核酸はまた、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズするプローブを包含する。
【0072】
核酸は、一本鎖もしくは二本鎖であり得、または二本鎖および一本鎖配列の両方の部分を含み得る。核酸は、ゲノムおよびcDNAの両方のDNA、RNA、またはハイブリッドであることができ、核酸は、デオキシリボヌクレオチドおよびリボヌクレオチドの組み合わせを含むことができ、塩基の組み合わせは、ウラシル、アデニン、チミン、シトシン、グアニン、イノシン、キサンチン、ヒポキサンチン、イソシトシン、およびイソグアニンを含む。核酸は、化学合成法または組換え法によって得ることができる。
【0073】
本明細書で使用される「作動可能に連結された」は、遺伝子の発現が、それが空間的に接続されているプロモーターの制御下にあることを意味する。プロモーターは、その制御下にある遺伝子の5’(上流)または3’下流)に配置することができる。プロモーターと遺伝子との間の距離は、そのプロモーターとプロモーターが由来する遺伝子においてそれが制御する遺伝子との間の距離とほぼ同じであり得る。当該技術分野で知られているように、この距離の変動は、プロモーター機能を失うことなく対応することができる。
【0074】
本明細書で使用される「ペプチド」、「タンパク質」、または「ポリペプチド」は、アミノ酸の連結された配列を意味し得、天然、合成、または天然および合成の修飾もしくは組み合わせであり得る。
【0075】
本明細書で使用される「プロモーター」は、細胞における核酸の発現を付与する、活性化する、または増強することができる合成または天然由来の分子を意味する。プロモーターは、細胞における核酸の発現をさらに増強し、かつ/または空間的発現および/もしくは時間的発現を変更するために、1つ以上の特異的転写制御配列を含み得る。プロモーターは、転写の開始部位から数千塩基対ほど離れて位置し得る遠位エンハンサーまたはリプレッサー要素も含み得る。プロモーターは、ウイルス、細菌、真菌、植物、昆虫、および動物を含む源に由来し得る。プロモーターは、発現が生じる細胞、組織、もしくは臓器に関して、または発現が生じる発達段階に関して、または生理的ストレス、病原体、金属イオン、もしくは誘導剤などの外部刺激に応答して、構成的または差次的に遺伝子構成成分の発現を制御することができる。プロモーターの代表的な例としては、バクテリオファージT7プロモーター、バクテリオファージT3プロモーター、SP6プロモーター、lacオペレータ-プロモーター、tacプロモーター、SV40後期プロモーター、SV40初期プロモーター、RSV-LTRプロモーター、CMV IEプロモーター、SV40初期プロモーター、またはSV40後期プロモーター、およびCMV IEプロモーターが含まれる。
【0076】
「シグナルペプチド」および「リーダー配列」は、本明細書において互換的に使用され、本明細書に記載のタンパク質のアミノ末端で連結され得るアミノ酸配列を指す。シグナルペプチド/リーダー配列は、典型的には、タンパク質の局在化を指向する。本明細書で使用されるシグナルペプチド/リーダー配列は、タンパク質が産生される細胞からその分泌を容易することが好ましい。シグナルペプチド/リーダー配列は、細胞からの分泌時に、しばしば成熟タンパク質と称される、タンパク質の残りの部分から切断されることが多い。シグナルペプチド/リーダー配列は、タンパク質のアミノ末端(すなわち、N末端)で連結される。
【0077】
本明細書で使用される「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」は、核酸の複雑な混合物などにおいて、第1の核酸配列(例えば、プローブ)が第2の核酸配列(例えば、標的)にハイブリダイズする条件を意味する。ストリンジェントな条件は、配列依存性であり、異なる状況において異なる。ストリンジェントな条件は、定義されたイオン強度pHで特異的配列の熱的融点(Tm)よりも約5~10℃低くなるように選択され得る。Tmは、標的に相補的なプローブの50%が平衡で標的配列にハイブリダイズする温度(定義されたイオン強度、pH、および核酸濃度下で)であり得る(標的配列は過剰で存在するため、Tmで、プローブの50%は平衡で占有される)。ストリンジェントな条件は、塩濃度がpH7.0~8.3において約1.0M未満のナトリウムイオン、例えば、約0.01~1.0Mナトリウムイオン濃度(または他の塩)であり、温度が短いプローブについては(例えば、約10~50ヌクレオチド)少なくとも約30℃、そして長いプローブについては(例えば、約50ヌクレオチド超)少なくとも約60℃であるものであり得る。ストリンジェントな条件は、ホルムアミドなどの不安定化剤の添加によっても達成することができる。選択的または特異的ハイブリダイゼーションに関して、正のシグナルは背景ハイブリダイゼーションの少なくとも2~10倍であり得る。例示的なストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は以下を含む:50%ホルムアミド、5xSSC、および1%SDS、42℃でのインキュベート、または5xSSC、1%SDS、65℃でのインキュベート、65℃で0.2xSSC、および0.1%SDSで洗浄。
【0078】
本明細書で使用される「対象」は、本明細書に記載のワクチンで免疫化されることを望む、またはそれを必要とする哺乳動物を意味し得る。哺乳動物は、ヒト、チンパンジー、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、マウス、またはラットであり得る。
【0079】
本明細書で使用される「実質的に相補的」は、第1の配列が、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、180、270、360、450、540以上のヌクレオチドもしくはアミノ酸の領域にわたって、第2の配列の補体に対して少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%同一であるか、または2つの配列がストリンジェントハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズすることを意味する。
【0080】
本明細書で使用される「実質的に同一」は、第1および第2の配列が、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、180、270、360、450、540以上のヌクレオチドもしくはアミノ酸の領域にわたって、少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%同一であること、または核酸に関して、第1の配列が第2の配列の補体と実質的に相補的であることを意味する。
【0081】
本明細書で使用される「治療する」、「治療」、または「治療すること」は、疾患を予防する、抑制する、阻止する、または完全に排除することにより疾患から動物を保護することを意味し得る。疾患の予防は、疾患の発症前に本発明のワクチンを動物に投与することを伴う。疾患の抑制は、疾患の誘導後であるが、その臨床的出現の前に本発明のワクチンを動物に投与することを伴う。疾患の阻止は、疾患の臨床的出現後に本発明のワクチンを動物に投与することを伴う。
【0082】
核酸に関して本明細書で使用される「バリアント」は、(i)参照ヌクレオチド配列の一部分もしくは断片、(ii)参照ヌクレオチド配列もしくはその一部分の補体、(iii)参照核酸またはその補体と実質的に同一である核酸、または(iv)ストリンジェントな条件下で、参照核酸、その補体、もしくはそれに実質的に同一の配列にハイブリダイズする核酸を意味する。
【0083】
ペプチドまたはポリペプチドに関して本明細書で使用される「バリアント」は、アミノ酸の挿入、欠失、または保存的置換によってアミノ酸配列が異なるが、少なくとも1つの生物学的活性を保持しているペプチドまたはポリペプチドを意味する。バリアントは、少なくとも1つの生物学的活性を保持しているアミノ酸配列を有する参照タンパク質と実質的に同一であるアミノ酸配列を有するタンパク質も意味し得る。アミノ酸の保存的置換、すなわち、アミノ酸を、類似する特性(例えば、荷電領域の親水性、程度、および分布)の異なるアミノ酸に置き換えることは、当該技術分野において典型的にわずかな変化を伴うと認識されている。これらのわずかな変化は、当該技術分野において理解されるように、一部、アミノ酸の疎水性親水性指数を考慮することによって同定され得る。Kyte et al.,J.Mol.Biol.157:105-132(1982)。アミノ酸の疎水性親水性指数は、その疎水性および電荷を考慮することに基づく。類似する疎水性親水性指数のアミノ酸が置換され、尚もタンパク質機能を保持することができることは当該技術分野において既知である。一態様では、±2の疎水性親水性指数を有するアミノ酸が置換される。アミノ酸の親水性を使用して、生物学的機能を保持するタンパク質をもたらすであろう置換を明らかにすることもできる。ペプチドの文脈において、アミノ酸の親水性を考慮することにより、抗原性および免疫原性と良好に相関することが報告されている有用な手段である、そのペプチドの最大局所平均親水性の計算が可能となる。米国特許第4,554,101号、参照により本明細書に完全に組み込まれる。類似する親水性値を有するアミノ酸を置換することにより、当該技術分野において理解されるように、生物学的活性、例えば免疫原性を保持するペプチドを得ることができる。置換は、互いに±2内の親水性値を有するアミノ酸で行うことができる。アミノ酸の疎水性親水性指数および親水性値の両方は、そのアミノ酸の特定の側鎖によって影響を受ける。その観察と一致して、生物学的機能と適合性のあるアミノ酸置換は、疎水性、親水性、電荷、サイズ、および他の特性により明らかにされるように、アミノ酸の相対類似性および特にそれらのアミノ酸の側鎖に依存すると理解されている。
【0084】
バリアントは、完全な遺伝子配列の完全長またはその断片にわたって実質的に同一である核酸配列であり得る。核酸配列は、遺伝子配列の完全長またはその断片にわたって、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であり得る。バリアントは、アミノ酸配列の完全長またはその断片にわたって実質的に同一であるアミノ酸配列であり得る。アミノ酸配列は、アミノ酸配列の完全長またはその断片にわたって、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であり得る。
【0085】
本明細書で使用される「ベクター」は、複製起点を含有する核酸配列を意味する。ベクターは、ウイルスベクター、バクテリオファージ、細菌人工染色体、または酵母人工染色体であり得る。ベクターは、DNAまたはRNAベクターであり得る。ベクターは、自己複製染色体外ベクターであり得、好ましくはDNAプラスミドである。ベクターは、1つ以上の異種核酸配列を含有するか、またはそれを含み得る。
【0086】
ワクチン
本明細書で開示される合成コンセンサスサバイビン抗原、抗原をコードする核酸分子、抗原の断片をコードする核酸分子、抗原のバリアントをコードする核酸分子、またはそれらの組み合わせをコードする核酸分子を含むワクチンが本明細書で提供される。ワクチンは、抗原に対する免疫応答を対象において生じさせることが可能であり得る。免疫応答は、治療的または予防的免疫応答であり得る。ワクチンは、以下により詳細に記載されるように、1つのベクターまたは複数のベクターを含み得る。
【0087】
いくつかの実施形態では、ワクチンは、核酸分子を含む。いくつかの実施形態では、核酸分子は、合成コンセンサスサバイビン抗原をコードする。いくつかの実施形態において、核酸分子は、配列番号3をコードする核酸配列、配列番号3の長さの少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列、配列番号3と少なくとも95%同一であるタンパク質をコードする核酸配列、または配列番号3と少なくとも95%同一であるタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列を含む。いくつかの実施形態では、核酸分子は、配列番号1、配列番号1の全長の少なくとも90%を含む断片、配列番号1と少なくとも95%同一である断片、または配列番号1と少なくとも95%同一である核酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片を含む。
【0088】
いくつかの実施形態では、核酸分子は、配列番号4をコードする核酸配列、配列番号4の長さの少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列、配列番号4と少なくとも95%同一であるタンパク質をコードする核酸配列、または配列番号4と少なくとも95%同一であるタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列を含む。いくつかの実施形態では、核酸分子は、配列番号2、配列番号2の全長の少なくとも90%を含む断片、配列番号2と少なくとも95%同一である断片、または配列番号2と少なくとも95%同一である核酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片を含む。
【0089】
いくつかの実施形態では、ワクチンは、合成コンセンサスサバイビン抗原を含み、抗原は、配列番号3、配列番号3の長さの少なくとも90%を含む断片、配列番号3と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列、または配列番号3と少なくとも95%同一であるタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片を含む。
【0090】
いくつかの実施形態では、ワクチンは、合成コンセンサスサバイビン抗原を含み、抗原は、配列番号4、配列番号4の長さの少なくとも90%を含む断片、配列番号4と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列、または配列番号4と少なくとも95%同一であるタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片を含む。
【0091】
ワクチンは、がん、例えば、サバイビンを発現するがんまたは腫瘍から保護するために使用することができる。ワクチンは、サバイビンを発現する腫瘍を予防および/または治療するために、それを必要とする対象において使用することができる。ワクチンは、サバイビンおよびサバイビンを発現する腫瘍に対する細胞性および/または抗体応答を誘導することができる。
【0092】
一実施形態では、ワクチンは、サバイビンを発現する卵巣がん細胞、詳細には、サバイビンを発現する上皮性卵巣がん細胞、詳細には、サバイビンを発現する漿液性卵巣がん細胞に対する細胞性および/または抗体応答を防御、防止および/または治療するために、または誘導するために使用することができる。
【0093】
本明細書に記載されるがんワクチンの開発は、免疫系によって認識されず、腫瘍関連(「がん/精巣」、「C/T」)抗原であるがん抗原、例えば、サバイビンを同定することを含む。同定されたがん抗原は、免疫系により認識されるために、自己抗原から外来抗原に変更される。組換えがん抗原の核酸およびアミノ酸配列を自己から外来抗原に再設計すると、免疫系による抗原の耐性が破壊される。寛容性を破壊するために、以下に記載されるように、いくつかの再設計手段ががん抗原に適用され得る。
【0094】
ワクチンの組換えがん抗原は、自己として認識されないため、寛容性が破壊される。寛容性を破壊することは、抗原特異的T細胞および/または高力価の抗体応答を誘導し、それにより、抗原を発現するがんまたは腫瘍に対して直接的もしくは反応性である免疫応答を誘導または誘発する。いくつかの実施形態では、誘導または誘発された免疫応答は、細胞性、体液性、または細胞性および体液性免疫応答の両方であり得る。いくつかの実施形態では、誘導または誘発された細胞性免疫応答は、インターフェロン-ガンマ(IFN-γ)および/または腫瘍壊死因子アルファ(TNF-α)および/またはインターロイキン2(IL-2)の誘導または分泌を含むことができる。他の実施形態では、誘導または誘発された免疫応答は、抗原を発現する腫瘍またはがんの成長を促進する1つ以上の免疫抑制因子、例えば、限定されないが、MHC提示を下方制御する因子、抗原特異的制御性T細胞(Treg)、PD-L1、FasL、IL-10およびTFG-βなどのサイトカイン、腫瘍関連マクロファージ、腫瘍関連線維芽細胞、免疫抑制細胞により産生される可溶性因子、CTLA-4、PD-1、MDSC、MCP-1、および免疫チェックポイント分子を上方制御する因子を低減または阻害することができる。
【0095】
特定の実施形態では、ワクチンは、(1)CD8+および/もしくはCD107a+(CTL)などの細胞傷害性Tリンパ球を増加して、腫瘍細胞を攻撃して殺傷する、(2)Tヘルパー細胞応答を増加する、ならびに/または(3)IFN-γ、IL-2、およびTFN-α、または好ましくは前述のすべてを介した炎症応答を増加することにより、クリアランスを媒介するか、または腫瘍細胞の増殖を防止することができる。
【0096】
ワクチンは、DNAワクチンであり得る。DNAワクチンは、米国特許第5,593,972号、同第5,739,118号、同第5,817,637号、同第5,830,876号、同第5,962,428号、同第5,981,505号、同第5,580,859号、同第5,703,055号、および同第5,676,594号に開示されており、参照により本明細書に完全に組み込まれる。DNAワクチンは、それが染色体に組み込まれるのを阻害する要素または試薬をさらに含むことができる。
【0097】
ワクチンは、がん抗原をコードするRNAを含み得る。RNAワクチンは、細胞に導入することができる。
【0098】
ワクチンは、弱毒生ワクチン、組換えベクターを使用して抗原を送達するワクチン、サブユニットワクチン、および糖タンパク質ワクチンであり得、例えば、これらに限定されないが、ワクチンは、米国特許第4,510,245号、同第4,797,368号、同第4,722,848号、同第4,790,987号、同第4,920,209号、同第5,017,487号、同第5,077,044号、同第5,110,587号、同第5,112,749号、同第5,174,993号、同第5,223,424号、同第5,225,336号、同第5,240,703号、同第5,242,829号、同第5,294,441号、同第5,294,548号、同第5,310,668号、同第5,387,744号、同第5,389,368号、同第5,424,065号、同第5,451,499号、同第5,453,364号、同第5,462,734号、同第5,470,734号、同第5,474,935号、同第5,482,713号、同第5,591,439号、同第5,643,579号、同第5,650,309号、同第5,698,202号、同第5,955,088号、同第6,034,298号、同第6,042,836号、同第6,156,319号、および同第6,589,529号に記載され、これらの各々は参照により本明細書に組み込まれる。
【0099】
いくつかの実施形態では、核酸ワクチンは、分子アジュバントのコード化配列をさらに含み得、いくつかの事例では、分子アジュバントは、IL-12、IL-15、IL-28、IL-31、IL-33、および/またはRANTESであり得、いくつかの事例では、分子アジュバントは、抗細胞傷害性Tリンパ球抗原4(CTLA-4)、抗プログラム死受容体1(PD-1)、および抗リンパ球活性化遺伝子(LAG-3)を含む、チェックポイント阻害剤である。IL-12、IL-15、IL-28、IL-31、IL-33、および/またはRANTESについてのコード化配列は、1つ以上の抗原についてのコード配列を含む1つ以上の核酸分子に含まれ得る。IL-12、IL-15、IL-28、IL-31、IL-33、および/またはRANTESについてのコード化配列は、1つ以上の別個のプラスミドまたはベクターなどの1つ以上の別個の核酸分子に含まれ得、核酸ワクチンと組み合わせて投与される。
【0100】
本発明のワクチンは、ワクチンのそれ自体が疾患または死亡を引き起こさないように安全である、疾患から保護する、中和抗体の誘導する、保護T細胞応答を誘導する、投与の簡易性、少ない副反応、生物学的安定性、低い用量あたりのコストを提供するなどの有効なワクチンに要求される特徴を有することができる。ワクチンは、以下で考察されるように、がん抗原をコードする核酸分子(複数可)を含むことにより、これらの特徴のいくつかまたはすべてを達成することができる。
【0101】
免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせたワクチン
ワクチンは、1つ以上の免疫チェックポイント分子の1つ以上の阻害剤(すなわち、免疫チェックポイント阻害剤)をさらに含み得る。免疫チェックポイント分子は、以下により詳細に記載される。免疫チェックポイント阻害剤は、MHCクラス提示、T細胞提示および/もしくは分化、B細胞提示および/もしくは分化、任意のサイトカイン、ケモカイン、または免疫細胞の増殖および/もしくは分化のためのシグナル伝達など、免疫系の任意の成分の抑制を防止する任意の核酸またはタンパク質である。
【0102】
かかる阻害剤は、核酸配列、アミノ酸配列、小分子、またはそれらの組み合わせであり得る。核酸配列は、DNA、RNA、cDNA、それらのバリアント、それらの断片、またはそれらの組み合わせであり得る。核酸はまた、ペプチド結合により免疫チェックポイント阻害剤と連結されるリンカーまたはタグ配列をコードする追加の配列を含むことができる。小分子は、低分子量、例えば、800ダルトン未満の酵素基質、タンパク質もしくは核酸により結合されたリガンド(またはその類似体)、または生物学的プロセスの調節因子として機能する、有機または無機化合物であり得る。アミノ酸配列は、タンパク質、ペプチド、そのバリアント、その断片、またはそれらの組み合わせであり得る。
【0103】
いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、抗体、そのバリアント、その断片、またはそれらの組み合わせをコードする1つ以上の核酸配列であり得る。他の実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、抗体、そのバリアント、その断片、またはそれらの組み合わせであり得る。
【0104】
免疫チェックポイント分子
免疫チェックポイント分子は、核酸配列、アミノ酸配列、小分子、またはそれらの組み合わせであり得る。核酸配列は、DNA、RNA、cDNA、それらのバリアント、それらの断片、またはそれらの組み合わせであり得る。核酸はまた、ペプチド結合により免疫チェックポイント阻害剤と連結されるリンカーまたはタグ配列をコードする追加の配列を含むことができる。小分子は、低分子量、例えば、800ダルトン未満の酵素基質、タンパク質もしくは核酸により結合されたリガンド(またはその類似体)、または生物学的プロセスの制御因子として機能する、有機または無機化合物であり得る。アミノ酸配列は、タンパク質、ペプチド、そのバリアント、その断片、またはそれらの組み合わせであり得る。
【0105】
PD-1およびPD-L1
免疫チェックポイント分子は、プログラム細胞死タンパク質1(PD-1)、プログラム細胞死リガンド1(PD-L1)、その断片、そのバリアント、またはそれらの組み合わせであり得る。PD-1は、PDCD1遺伝子によりコードされる細胞表面タンパク質である。PD-1は、免疫グロブリンスーパーファミリーのメンバーであり、T細胞およびプロB細胞に発現しているため、これらの細胞の運命および/または分化に寄与する。特に、PD-1は、T細胞制御因子のCD28/CTLA-4ファミリーの1型膜タンパク質であり、T細胞受容体(TCR)シグナルを負に制御し、それにより免疫応答を負に制御する。PD-1は、CD8+T細胞応答を負に制御することができるため、CD8媒介細胞傷害性を阻害し、腫瘍の成長を促進する。
【0106】
PD-1は、PD-L1およびPD-L2という2つのリガンドを有し、それは、B7ファミリーのメンバーである。PD-L1は、LPSおよびGM-CSF処理に応答してマクロファージおよび樹状細胞(DC)で、かつTCRおよびB細胞受容体シグナル伝達時にT細胞およびB細胞で上方制御される。PD-L1は、骨髄腫、肥満細胞腫、および黒色腫を含む多くの腫瘍細胞株で発現する。
【0107】
抗免疫チェックポイント分子抗体
上述されるように、免疫チェックポイント阻害剤は、抗体であり得る。抗体は、抗原(すなわち、上述される免疫チェックポイント分子)と結合または反応することができる。したがって、抗体は、抗免疫チェックポイント分子抗体または免疫チェックポイント分子抗体と考慮され得る。抗体は、含まれる核酸配列によりコードすることができる。
【0108】
抗体は、重鎖ポリペプチドおよび軽鎖ポリペプチドを含み得る。重鎖ポリペプチドは、可変重鎖(VH)領域および/または少なくとも1つの定常重鎖(CH)領域を含み得る。少なくとも1つの定常重鎖領域は、定常重鎖領域1(CH1)、定常重鎖領域2(CH2)、および定常重鎖領域3(CH3)、および/またはヒンジ領域を含むことができる。
【0109】
いくつかの実施形態では、重鎖ポリペプチドは、VH領域およびCH1領域を含むことができる。他の実施形態では、重鎖ポリペプチドは、VH領域、CH1領域、ヒンジ領域、CH2領域、およびCH3領域を含むことができる。
【0110】
重鎖ポリペプチドは、相補性決定領域(「CDR」)セットを含むことができる。CDRセットは、VH領域のうちの3つの超可変領域を含むことができる。重鎖ポリペプチドのN末端から順に、これらのCDRは、それぞれ「CDR1」、「CDR2」、および「CDR3」と示される。重鎖ポリペプチドのCDR1、CDR2、およびCDR3は、抗原の結合または認識に寄与することができる。
【0111】
軽鎖ポリペプチドは、可変軽鎖(VL)領域および/または定常軽鎖(CL)領域を含むことができる。軽鎖ポリペプチドは、相補性決定領域(「CDR」)セットを含むことができる。CDRセットには、VL領域のうちの3つの超可変領域を含むことができる。軽鎖ポリペプチドのN末端から順に、これらのCDRは、それぞれ「CDR1」、「CDR2」、および「CDR3」と示される。軽鎖ポリペプチドのCDR1、CDR2、およびCDR3は、抗原の結合または認識に寄与することができる。
【0112】
抗体は、重鎖および軽鎖相補性決定領域(「CDR」)セットを含み得、CDRに対して支持を提供し、CDRの空間的な関係を相互に定義する重鎖および軽鎖フレームワーク(「FR」)セットの間にそれぞれ挿入される。CDRセットは、重または軽鎖V領域のうちの3つの超可変領域を含み得る。重または軽鎖のN末端から順に、これらの領域は、それぞれ「CDR1」、「CDR2」、「CDR3」と示される。したがって、抗原結合部位は、重および軽鎖V領域の各々からのCDRセットを含む、6つのCDRを含み得る。
【0113】
抗体は、免疫グロブリン(Ig)であり得る。Igは、例えば、IgA、IgM、IgD、IgE、およびIgGであり得る。免疫グロブリンは、重鎖ポリペプチドおよび軽鎖ポリペプチドを含むことができる。免疫グロブリンの重鎖ポリペプチドは、VH領域、CH1領域、ヒンジ領域、CH2領域、およびCH3領域を含むことができる。免疫グロブリンの軽鎖ポリペプチドは、VL領域およびCL領域を含むことができる。
【0114】
追加的に、タンパク質分解酵素パパインは、IgG分子を優先的に切断して、いくつかの断片を生成し、その2つ(F(ab)断片)は、各々、無傷の抗原結合部位を含む共有ヘテロダイマーを含む。酵素ペプシンは、IgG分子を切断して、F(ab’)2断片を含むいくつかの断片を提供することができ、両方の抗原結合部位を含む。したがって、抗体は、FabまたはF(ab’)2であり得る。Fabは、重鎖ポリペプチドおよび軽鎖ポリペプチドを含むことができる。Fabの重鎖ポリペプチドは、VH領域およびCH1領域を含むことができる。Fabの軽鎖は、VL領域およびCL領域を含むことができる。
【0115】
抗体は、ポリクローナルまたはモノクローナル抗体であり得る。抗体は、キメラ抗体、一本鎖抗体、親和性成熟抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、または完全ヒト抗体であり得る。ヒト化抗体は、非ヒト種からの1つ以上の相補性決定領域(CDR)およびヒト免疫グロブリン分子からのフレームワーク領域を有する所望される抗原と結合する非ヒト種からの抗体であり得る。
【0116】
PD-1抗体
抗免疫チェックポイント分子抗体は、抗PD-1抗体(本明細書では「PD-1抗体」とも称される)、そのバリアント、その断片、またはそれらの組み合わせであり得る。PD-1抗体は、ニボルマブであり得る。抗PD-1抗体は、PD-1活性を阻害し、それにより腫瘍またはがんに対する免疫応答を誘導、誘発、または増加させ、腫瘍増殖を減少させることができる。
【0117】
PD-L1抗体
抗免疫チェックポイント分子抗体は、抗PD-L1抗体(本明細書では「PD-L1抗体」とも称される)、そのバリアント、その断片、またはそれらの組み合わせであり得る。抗PD-L1抗体は、PD-L1活性を阻害し、それにより腫瘍またはがんに対する免疫応答を誘導、誘発、または増加させ、腫瘍増殖を減少させることができる。
【0118】
抗原
上述されるように、ワクチンは、抗原または抗原をコードする核酸を含むことができる。抗原は、サバイビン、その断片、そのバリアント、または断片およびそのバリアントの組み合わせであり得る。
【0119】
したがって、ワクチンは、サバイビンを発現するがんまたは腫瘍に罹患する対象を治療するために使用することができる。いくつかの実施形態では、がんは、卵巣がんである。いくつかの実施形態では、卵巣がんは、上皮性卵巣がんである。卵巣がんは、漿液性上皮性卵巣がんであり得る。ワクチンはまた、対象においてかかる腫瘍の発生を防止するために、サバイビンを発現するがんまたは腫瘍を有する対象を治療するために使用することもできる。合成コンセンサスサバイビン抗原は、天然サバイビン遺伝子とは異なり得、したがって合成コンセンサスサバイビン抗原を発現する腫瘍に対する療法または予防を提供する。したがって、天然サバイビン遺伝子とは異なる合成コンセンサスサバイビン抗原配列(すなわち、変異または合成サバイビン遺伝子または配列)が本明細書で提供される。
【0120】
天然サバイビン遺伝子の転写産物は、様々なmRNAにプロセシングされる。特定のサバイビンmRNAアイソフォームは、例えば、がん細胞におけるそれらの発現に基づいて選択することができる。特定の実施形態において、サバイビンアイソフォームは、卵巣がん細胞におけるその発現に基づいて選択される。本明細書に記載される合成コンセンサスサバイビン抗原配列は、選択的プロセシングを回避し、1つの完全長転写産物を生成し、エフェクターTおよびB細胞応答のより強い誘導をもたらす。
【0121】
上述される異種配列を含む単離された核酸分子が提供される。上述される異種配列からなる単離された核酸分子が提供される。上述される異種配列を含む単離された核酸分子は、プラスミド、ウイルスベクター、および以下に記載されるような他の形態の核酸分子などのベクターに組み込まれ得る。合成コンセンサスサバイビン抗原をコードする核酸配列が本明細書で提供される。合成コンセンサスサバイビン抗原をコードするコード配列は、上述されるような配列を有する。
【0122】
上述される異種アミノ酸配列を含むタンパク質分子が提供される。上述される異種アミノ酸配列からなるタンパク質分子が提供される。上述される配列を有するタンパク質およびポリペプチドが本明細書に提供される。タンパク質およびポリペプチドは、合成コンセンサスサバイビン抗原およびサバイビン免疫原と称され得る。合成コンセンサスサバイビン抗原は、サバイビンを発現する腫瘍に対する免疫応答を誘発することが可能である。
【0123】
一態様では、転写を増加するための低GC含有リーダー配列、mRNA安定性およびコドンの最適化、ならびに可能な限り、シス作用性配列モチーフ(すなわち、内部TATAボックス)の排除の1つ以上を含む、合成コンセンサスサバイビン抗原が転写および翻訳の改善を提供することが望ましい。
【0124】
合成コンセンサスサバイビン抗原は、2つ以上の種、アイソフォーム、またはバリアントに由来するコンセンサス抗原(または免疫原)配列であり得る。一実施形態では、コンセンサス配列は、異なる種のサバイビンアイソフォームから生成される。コンセンサス配列は、GenBankまたは他の同様のDNAもしくはタンパク質配列データベースから収集されたサバイビン配列に由来する。いくつかの実施形態では、コンセンサス抗原は、第2のアイソフォームの一部と組み合わされた第1のアイソフォームの一部を含むことができ、第2のアイソフォームの一部は、例えば、第1のアイソフォームの任意の一部と非相同である。合成コンセンサスサバイビン抗原は、発現を改善するためのコンセンサス配列および/または改変を含むことができる。改変には、コドン最適化、RNA最適化、翻訳開始を増強するためのコザック配列(例えば、GCC ACC)の追加、および/または合成コンセンサスサバイビン抗原の免疫原性を増強するための免疫グロブリンリーダー配列の追加が含まれる。合成コンセンサスサバイビン抗原は、免疫グロブリンシグナルペプチド、例えば、免疫グロブリンE(IgE)または免疫グロブリンG(IgG)シグナルペプチドなどのシグナルペプチドを含むことができるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、合成コンセンサスサバイビン抗原は、局在化シグナル配列、例えば、翻訳時に核局在化を破壊するための核局在化シグナルに対する変異または欠失を含むことができる。いくつかの実施形態では、サバイビンコンセンサス抗原は、血球凝集素(HA)タグを含むことができる。サバイビンコンセンサス抗原は、対応する非コドン最適化サバイビン抗原よりも強力で幅広い細胞性および/または体液性免疫応答を誘発するように設計できる。
【0125】
コンセンサスサバイビン配列を変異させて、天然サバイビンの特定の構造および/または機能を破壊および/または増強して、合成コンセンサスサバイビン抗原配列を生成することができる。一実施形態では、サバイビンの抗アポトーシス活性を消失するために変異が導入される。特定の実施形態では、T34A、T48A、およびC84A変異は、コンセンサスサバイビンアイソフォーム1配列に導入されて、抗アポトーシス機能を消失する。(Muchmore,S.W.et al.Crystal structure and mutagenic analysis of the inhibitor-of-apoptosis protein Survivin.Molecular cell 6,173-182(2000);O’Connor,D.S.et al.Regulation of apoptosis at cell division by p34cdc2 phosphorylation of Survivin.Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 97,13103-13107,doi:10.1073/pnas.240390697 (2000);Barrett,R.M.,Colnaghi,R.&Wheatley,S.P.Threonine 48 in the BIR domain of Survivin is critical to its mitotic and anti-apoptotic activities and can be phosphorylated by CK2 in vitro.Cell cycle(Georgetown,Tex.)10,538-548(2011)を参照されたい)。
【0126】
いくつかの実施形態では、合成コンセンサスサバイビン抗原配列は、1つのアイソフォーム、例えば、優勢なサバイビンアイソフォームから生成され得るか、またはコンセンサス配列は、第1のアイソフォームの一部および第2のアイソフォームの一部の組み合わせ、もしくは第2のアイソフォームの切断型部分を含むことができる。一実施形態では、合成コンセンサス配列は、サバイビンアイソフォーム1(サバイビン1)に由来する。別の実施形態では、合成コンセンサス配列は、サバイビンアイソフォーム3(サバイビン3)に由来する。一実施形態では、合成コンセンサスサバイビン抗原3配列は、サバイビン3(サバイビン3T)の切断型部分である。一実施形態では、合成コンセンサス配列は、サバイビン1およびサバイビンT3、またはサバイビン1T3の組み合わせである。
【0127】
好ましい実施形態では、合成コンセンサスサバイビン抗原配列は、配列番号1または配列番号3と95.0%以上の同一性を共有する。この実施形態では、配列番号1または配列番号3の核酸配列は、それぞれ、配列番号2または配列番号8のアミノ酸配列をコードする。他の実施形態では、合成コンセンサスサバイビン抗原配列は、配列番号1または配列番号3と95.0%以上の同一性、95.2%以上の同一性、95.4%以上の同一性、95.6%以上の同一性、95.8%以上の同一性、96.0%以上の同一性、96.2%以上の同一性、96.4%以上の同一性、96.6%以上の同一性、96.8%以上の同一性、97.0%以上の同一性、97.2%以上の同一性、97.4%以上の同一性、97.6%以上の同一性、97.8%以上の同一性、98.0%以上の同一性、98.2%以上の同一性、98.4%以上の同一性、または98.6%以上の同一性、98.8%以上の同一性、99.0%以上の同一性、99.2%以上の同一性、99.4%以上の同一性、99.6%以上の同一性、99.8%以上の同一性、または100%の同一性を共有する。
【0128】
ベクター
ワクチンは、合成コンセンサスサバイビン抗原をコードする異種核酸を含む1つ以上のベクターを含むことができる。1つ以上のベクターは、哺乳動物において免疫応答を誘発するのに有効な量で抗原を発現することが可能であり得る。ベクターは、抗原をコードする異種核酸を含み得る。ベクターは、複製起点を含む核酸配列を有することができる。ベクターは、プラスミド、バクテリオファージ、細菌人工染色体、または酵母人工染色体であり得る。ベクターは、自己複製染色体外ベクター、または宿主ゲノムに組み込まれるベクターのいずれかであり得る。
【0129】
1つ以上のベクターは、発現構築物であり得、これは、一般的に、特定の遺伝子を標的細胞に導入するために使用されるプラスミドである。発現ベクターが細胞内に入ると、遺伝子によってコードされるタンパク質は、細胞転写および翻訳機構リボソーム複合体によって生成される。プラスミドは、エンハンサーおよびプロモーター領域として機能し、発現ベクター上で運ばれる遺伝子の効率的な転写につながる制御性配列を含むように多くの場合設計されている。本発明のベクターは、大量の安定したメッセンジャーRNA、したがってタンパク質を発現する。
【0130】
ベクターは、強力なプロモーター、強力な終止コドン、プロモーターとクローニングされた遺伝子との間の距離の調整、ならびに転写終結配列およびPTIS(携帯型翻訳開始配列)の挿入などの発現シグナルを有し得る。
【0131】
ベクターは、環状プラスミドまたは直鎖状核酸であり得る。環状プラスミドおよび直鎖状核酸は、適切な対象細胞における特定のヌクレオチド配列の発現を指示することが可能である。ベクターは、抗原をコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結されたプロモーターを有することができ、終結シグナルに作動可能に連結され得る。ベクターはまた、ヌクレオチド配列の適切な翻訳に必要な配列、ならびにベクターおよびその断片をクローニングおよびサブクローニングするための配列を含むことができる。目的のヌクレオチド配列を含むベクターは、キメラであり得、これは、その成分の少なくとも1つが、他の成分の少なくとも1つに関して異種であることを意味する。発現カセットにおけるヌクレオチド配列の発現は、構成的プロモーターまたは誘導性プロモーターの制御下であり得、宿主細胞が、一部の特定の外部刺激に曝露されたときにのみ転写を開始する。多細胞生物の場合、プロモーターはまた、特定の組織または器官または発生段階に特異的であり得る。好ましい実施形態では、プラスミドベクターは、本明細書に記載されるpGX1428であり、さらに配列番号1の核酸配列を含み、または本明細書に記載されるpGX1429、さらに配列番号3の核酸配列を含む。
【0132】
ベクターは、プラスミドであり得る。プラスミドは、抗原をコードする核酸を用いて細胞をトランスフェクトするのに有用であり得る。形質転換された宿主細胞は、抗原の発現が起こる条件下で培養および維持され得る。
【0133】
プラスミドは、合成の抗原に対する免疫応答を誘発することができるコンセンサス抗原、かかるタンパク質の断片、かかるタンパク質のバリアント、バリアントまたは融合タンパク質の断片をコードするコード配列を含む、上記に開示された様々な抗原の1つ以上をコードする核酸配列を含み得、これらは、コンセンサスタンパク質および/またはコンセンサスタンパク質の断片および/またはコンセンサスタンパク質のバリアントおよび/またはコンセンサスタンパク質のバリアントの断片の組み合わせで構成される。
【0134】
単一のプラスミドは、単一の抗原のコード配列、2つの抗原のコード配列、3つの抗原のコード配列、または4つの抗原のコード配列を含有し得る。
【0135】
いくつかの実施形態では、プラスミドは、CCR20を単独で、またはこれらのプラスミドの一部としてコードするコード配列をさらに含み得る。同様に、プラスミドは、IL-12、IL-15、および/またはIL-28のコード配列をさらに含み得る。
【0136】
プラスミドは、コード配列の上流であり得る開始コドン、およびコード配列の下流であり得る終止コドンをさらに含み得る。開始および終止コドンは、コード配列を伴うインフレームであり得る。
【0137】
プラスミドは、コード配列に作動可能に連結されるプロモーターも含み得る。コード配列に作動可能に連結されたプロモーターは、サルウイルス40(SV40)、マウス乳がんウイルス(MMTV)プロモーター、ウシ免疫不全ウイルス(BIV)長い末端反復(LTR)プロモーターなどのヒト免疫不全ウイルス(HIV)プロモーター、モロニーウイルスプロモーター、トリ白血病ウイルス(ALV)プロモーター、CMV最初期プロモーターなどのサイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、エプスタイン・バーウイルス(EBV)プロモーター、またはラウス肉腫ウイルス(RSV)プロモーターからのプロモーターであり得る。プロモーターは、ヒトアクチン、ヒトミオシン、ヒトヘモグロビン、ヒト筋肉クレアチン、またはヒトメタロチオネインなどのヒト遺伝子からのプロモーターでもあり得る。プロモーターはまた、天然または合成の、筋肉または皮膚特異的プロモーターなどの組織特異的プロモーターでもあり得る。そのようなプロモーターの例は、米国特許出願公開第US2004/0175727号に記載されており、その内容は、その全体が本明細書に組み込まれる。
【0138】
プラスミドは、コード化配列の下流であり得るポリアデニル化シグナルも含み得る。ポリアデニル化シグナルは、SV40ポリアデニル化シグナル、LTRポリアデニル化シグナル、ウシ成長ホルモン(bGH)ポリアデニル化シグナル、ヒト成長ホルモン(hGH)ポリアデニル化シグナル、またはヒトβ-グロビンポリアデニル化シグナルであり得る。SV40ポリアデニル化シグナルは、pCEP4プラスミド(Invitrogen,San Diego,CA)からのポリアデニル化シグナルであり得る。
【0139】
プラスミドは、コード配列の上流のエンハンサーも含み得る。エンハンサーは、ヒトアクチン、ヒトミオシン、ヒトヘモグロビン、ヒト筋クレアチン、またはCMV、FMDV、RSV、もしくはEBVからのものなどのウイルスエンハンサーであり得る。ポリヌクレオチド機能エンハンサーは、米国特許第5,593,972号、同第5,962,428号、およびW094/016737に記載されており、各々の内容は参照により完全に組み込まれる。
【0140】
プラスミドは、プラスミドを染色体外で維持し、細胞においてプラスミドの複数コピーを産生するために、哺乳類の複製起点も含み得る。プラスミドは、Invitrogen(San Diego,CA)からのpVAXI、pCEP4またはpREP4であり得、エプスタインバールウイルスの複製開始点および核抗原EBNA-1コード領域を含み、組み込みなしで高コピーのエピソーム複製を生成し得る。プラスミドの骨格は、pA V0242であり得る。プラスミドは、複製欠損アデノウイルス5型(Ad5)プラスミドであり得る。
【0141】
プラスミドは、プラスミドが投与される細胞における遺伝子発現に好適であり得る制御性配列も含み得る。コード配列は、宿主細胞におけるコード配列のより効率的な転写を可能にし得るコドンを含み得る。
【0142】
コード化配列は、Igリーダー配列も含み得る。リーダー配列は、コード配列の5’であり得る。この配列によってコードされるコンセンサス抗原は、N末端Igリーダー、続いてコンセンサス抗原タンパク質を含み得る。N末端Igリーダーは、IgEまたはIgGであり得る。
【0143】
プラスミドはpSE420(Invitrogen,San Diego,Calif.)であり得、これはEscherichia coli(E.coli)におけるタンパク質産生に使用され得る。プラスミドはまた、YES2(Invitrogen,San Diego,Calif.)であり得、これは酵母のSaccharomyces cerevisiae株におけるタンパク質産生に使用され得る。プラスミドはまた、MAXBAC(商標)完全バキュロウイルス発現系(Invitrogen,San Diego,Calif.)のものであってもよく、これは昆虫細胞におけるタンパク質産生に使用され得る。プラスミドはまた、pcDNA IまたはpcDNA3(Invitrogen,San Diego,Calif.)であってもよく、これはチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞などの哺乳類細胞におけるタンパク質産生に使用され得る。
【0144】
ベクターは、細胞ゲノムに組み込むことによって標的細胞を形質転換するか、または染色体外で存在し得る環状プラスミド(例えば、複製起点を有する自己複製プラスミド)であり得る。
【0145】
ベクターは、pVAX、pcDNA3.0、もしくはprovax、または抗原をコードするDNAを発現し、細胞が配列を免疫系によって認識される抗原に翻訳することを可能にすることができる任意の他の発現ベクターであり得る。
【0146】
エレクトロポレーションにより対象に効率的に送達され、1つ以上の所望の抗原を発現することができる直鎖状核酸ワクチンまたは直鎖状発現カセット(「LEC」)も本明細書に提供される。LECは、任意のリン酸骨格を欠く任意の直鎖状DNAであり得る。DNAは、1つ以上の抗原をコードし得る。LECは、プロモーター、イントロン、終止コドン、および/またはポリアデニル化シグナルを含有し得る。抗原の発現はプロモーターにより制御され得る。LECは、任意の抗生物質耐性遺伝子および/またはリン酸骨格を含有しなくてもよい。LECは、所望の抗原遺伝子発現に無関係の他の核酸配列を含有しなくてもよい。
【0147】
LECは、局在化することができる任意のプラスミドに由来し得る。プラスミドは、抗原を発現することが可能であり得る。プラスミドは、pNP(Puerto Rico/34)またはpM2(New Caledonia/99)であり得る。プラスミドは、WLV009、pVAX、pcDNA3.0、もしくはprovax、または抗原をコードするDNAを発現し、細胞が配列を免疫系によって認識される抗原に翻訳することを可能にすることができる任意の他の発現ベクターであり得る。
【0148】
LECは、pcrM2であり得る。LECは、pcrNPであり得る。pcrNPおよびpcrMRは、それぞれ、pNP(Puerto Rico/34)およびpM2(New Caledonia/99)に由来し得る。
【0149】
ベクターは、プロモーターを有し得る。プロモーターは、遺伝子発現を駆動し、単離された核酸の発現を制御することが可能な任意のプロモーターであり得る。かかるプロモーターは、本明細書に記載される抗原配列を転写するDNA依存性RNAポリメラーゼを介した転写に必要なシス作用性配列要素である。異種核酸の発現を指向するために使用されるプロモーターの選択は、特定の用途に依存する。プロモーターは、ベクター内の転写開始からほぼ同じ距離に配置し得、それは、その自然な設定での転写開始部位からである。しかしながら、この距離の差異は、プロモーターの機能を喪失することなく調整され得る。
【0150】
プロモーターは、転写物、リボソーム結合部位、および翻訳終結の効率的なポリアデニル化に必要な抗原およびシグナルをコードする核酸配列に作動可能に連結され得る。
【0151】
プロモーターは、CMVプロモーター、SV40初期プロモーター、SV40後期プロモーター、メタロチオネインプロモーター、マウス乳癌腫瘍ウイルスプロモーター、ラウス肉腫ウイルスプロモーター、ポリヘドリンプロモーター、または真核細胞において発現に有効であると示される別のプロモーターであり得る。
【0152】
ベクターは、機能的なスプライスドナーおよびアクセプター部位を有するエンハンサーおよびイントロンを含み得る。ベクターは、効率的な終結を提供するために、構造遺伝子の下流に転写終結領域を含有し得る。終結領域は、プロモーター配列と同じ遺伝子から得ることができるか、または異なる遺伝子から得てもよい。
【0153】
ベクターを調製する方法
本明細書で論じられる合成コンセンサスサバイビン抗原をコードする核酸分子を含むベクターを調製する方法が本明細書で提供される。ベクターは、最終的なサブクローニングステップの後、当該技術分野で既知の方法を使用して、大規模発酵タンク内の細胞培養に播種するために使用され得る。
【0154】
ベクターは、EPデバイスを用いて使用し、以下でより詳細に記載するように、既知のデバイスおよび技術の組み合わせを使用して製剤化または製造することができるが、好ましくは、2007年5月23日に出願された米国仮出願米国特許第60/939,792号に記載される最適化されたプラスミド製造技術を使用して製造される(米国特許公開第2009/0004716号を参照されたい)。いくつかの例では、これらの研究で使用されるDNAベクターは、10mg/mL以上の濃度で製剤化され得る。製造技術はまた、2007年7月3日に発行された米国特許第7,238,522号に記載されるものを含む、米国特許第60/939792号に記載されるものに加えて、当業者に一般に既知である様々なデバイスおよびプロトコルを含む、または組み込む。上記で参照された出願および特許、米国特許第60/939,792号および米国特許第7,238,522号は、それぞれ、その全体が本明細書に組み込まれる。
【0155】
ワクチンの賦形剤および他の成分
ワクチンは、薬学的に許容される賦形剤をさらに含み得る。薬学的に許容される賦形剤は、ビヒクル、担体、または希釈剤などの機能性分子であり得る。薬学的に許容される賦形剤は、トランスフェクション促進剤であり得、免疫刺激複合体(ISCOMS)などの界面活性剤、フロイント不完全アジュバント、モノホスホリルリピドAを含むLPSアナログ、ムラミルペプチド、キノンアナログ、スクワレンおよびスクワレンなどのベシクル、ヒアルロン酸、脂質、リポソーム、カルシウムイオン、ウイルスタンパク質、ポリアニオン、ポリカチオン、もしくはナノ粒子、または他の既知のトランスフェクション促進剤を含むことができる。
【0156】
トランスフェクション促進剤は、ポリアニオン、ポリカチオン(ポリ-L-グルタメート(LGS)を含む)、または脂質である。トランスフェクション促進剤はポリ-L-グルタメートであり、ポリ-L-グルタメートは、6mg/ml未満の濃度でワクチンに存在し得る。トランスフェクション促進剤は、免疫刺激複合体(ISCOMS)、フロイント不完全アジュバント、LPS類似体含有モノホスホリル脂質A、ムラミルペプチド、キノン類似体、ならびにスクアレンおよびスクアレンなどの小胞などの界面活性剤も含み得、遺伝子構築物とともに投与されるヒアルロン酸も使用され得る。DNAベクターワクチンはまた、脂質、リポソームなどのトランスフェクション促進剤を含み得、DNA-リポソーム混合物として、レシチンリポソームもしくは当該技術分野で既知の他のリポソーム(例えば、W09324640を参照されたい)、カルシウムイオン、ウイルスタンパク質、ポリアニオン、ポリカチオン、またはナノ粒子、または他の既知のトランスフェクション促進剤を含む。トランスフェクション促進剤は、ポリアニオン、ポリカチオン(ポリ-L-グルタメート(LGS)を含む)、または脂質である。ワクチンにおけるトランスフェクション剤の濃度は、4mg/ml未満、2mg/ml未満、1mg/ml未満、0.750mg/ml、0.500mg/ml未満、0.250mg/ml未満、0.100mg/ml未満、0.050mg/ml未満、または0.010mg/ml未満である。
【0157】
薬学的に許容される賦形剤は、1つ以上のアジュバントであり得る。アジュバントは、代替のベクターにおいて発現されるか、またはワクチンにおいて上記のベクターと組み合わせてタンパク質として送達される他の遺伝子であり得る。1つ以上のアジュバントは、CCL20、α-インターフェロン(IFN-α)、β-インターフェロン(IFN-β)、γ-インターフェロン、血小板由来成長因子(PDGF)、TNFα、TNFβ、GM-CSF、上皮成長因子(EGF)、皮膚T細胞誘引ケモカイン(CTACK)、上皮胸腺発現ケモカイン(TECK)、粘膜関連上皮ケモカイン(MEC)、IL-12、IL-15、IL-28、MHC、CD80、CD86、IL-l、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-10、IL-18、IL-33、MCP-1、MIP-la、MIP-1~、IL-8、L-セレクチン、P-セレクチン、E-セレクチン、CD34、GlyCAM-1、MadCAM-1、LFA-1、VLA-1、Mac-1、pl50.95、PECAM,ICAM-1、ICAM-2、ICAM-3、CD2、LFA-3、M-CSF、G-CSF、IL-18の変異型、CD40、CD40L、血管成長因子、線維芽細胞成長因子、IL-7、神経成長因子、血管内皮成長因子、Fas、TNF受容体、Flt、Apo-1、p55、WSL-1、DR3、TRAMP、Apo-3、AIR、LARD、NGRF、DR4、DRS、KILLER、TRAIL-R2、TRICK2、DR6、カスパーゼICE、Fos、c-jun、Sp-1、Ap-1、Ap-2、p38、p65Rel、MyD88、IRAK、TRAF6、IkB、不活性NIK、SAP K、SAP-I、JNK、インターフェロン応答遺伝子、NFkB、Bax、TRAIL、TRAILrec、TRAILrecDRC5、TRAIL-R3、TRAIL-R4、RANK、RANK LIGAND、Ox40、Ox40 LIGAND、NKG2D、MICA、MICB、NKG2A、NKG2B、NKG2C、NKG2E、NKG2F、TAPI、TAP2、欠失したシグナル配列をコードするシグナル配列またはコード配列を有し、任意選択でIgEからのものなどの異なるシグナルペプチド、もしくはIgEからのものなどの異なるシグナルペプチドをコードするコード配列を含むIL-15、およびそれらの機能断片、またはそれらの組み合わせからなる群から選択され得る。アジュバントは、IL-12、IL-15、IL-28、CTACK、TECK、血小板由来成長因子(PDGF)、TNFα、TNFβ、GM-CSF、上皮成長因子(EGF)、IL-1、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-10、IL-12、IL-18、またはそれらの組み合わせであり得る。
【0158】
いくつかの実施形態では、アジュバントは、CCL-20、IL-12、IL-15、IL-28、CTACK、TECK、MEC、またはRANTESからなる群から選択されるタンパク質をコードする1つ以上の核酸分子であり得る。IL-12構築物および配列の例は、PCT出願第PCT/US1997/019502号および対応する米国出願第08/956,865号、ならびに2011年12月12日に出願された米国仮出願第61/569600号に開示されており、それぞれ参照により本明細書に組み込まれる。IL-15構築物および配列の例は、PCT出願第PCT/US04/18962号および対応する米国出願第10/560,650号、ならびにPCT出願第PCT/US07/00886号および対応する米国出願第12/160,766号、ならびにPCT出願第PCT/USI0/048827号に開示されており、それぞれ参照により本明細書に組み込まれる。iL-28構築物および配列の例は、PCT出願第PCT/US09/039648号および対応する米国出願第12/936,192に開示されており、それぞれ参照により本明細書に組み込まれる。RANTESおよび他の構築物ならびに配列の例は、PCT出願第PCT/US1999/004332号および対応する米国出願第09/622452号に開示されており、それぞれ参照により本明細書に組み込まれる。RANTES構築物および配列の他の例は、PCT出願第PCT/US11/024098号に開示されており、参照により本明細書に組み込まれる。RANTESおよび他の構築物ならびに配列の例は、PCT出願第PCT/US1999/004332号および対応する米国出願第09/622452号に開示されており、それぞれ参照により本明細書に組み込まれる。RANTES構築物および配列の他の例は、PCT出願第PCT/US11/024098号に開示されており、参照により本明細書に組み込まれる。ケモカインCTACK、TECK、およびMEC構築物ならびに配列の例は、PCT出願第PCT/US2005/042231号および対応する米国出願第11/719,646号に開示されており、それぞれ参照により本明細書に組み込まれる。OX40および免疫調節剤の例は米国出願第10/560,653号に開示されており、参照により本明細書に組み込まれる。DR5および他の免疫調節剤の例は、米国出願第09/622452号に開示されており、参照により本明細書に組み込まれる。
【0159】
アジュバントとして有用であり得る他の遺伝子は、MCP-1、MIP-la、MIP-1p、IL-8、RANTES、L-セレクチン、P-セレクチン、E-セレクチン、CD34、GlyCAM-1、MadCAM-1、LFA-1、VLA-1,Mac-1、pl50.95、PECAM、ICAM-1、ICAM-2、ICAM-3、CD2、LFA-3、M-CSF、G-CSF、IL-4、IL-18の変異型、CD40、CD40L、血管成長因子、線維芽細胞成長因子、IL-7、IL-22、神経成長因子、血管内皮成長因子、Fas、TNF受容体、Flt、Apo-1、p55、WSL-1、DR3、TRAMP、Apo-3、AIR、LARD、NGRF、DR4、DR5、KILLER、TRAIL-R2、TRICK2、DR6、カスパーゼICE、Fos、c-jun、Sp-1、Ap-1、Ap-2、p38、p65Rel、MyD88、IRAK、TRAF6、IkB、不活性NIK、SAP K、SAP-1、JNK、インターフェロン応答遺伝子、NFkB、Bax、TRAIL、TRAILrec、TRAILrecDRC5、TRAIL-R3、TRAIL-R4、RANK、RANK LIGAND、Ox40、Ox40 LIGAND、NKG2D、MICA、MICB、NKG2A、NKG2B、NKG2C、NKG2E、NKG2F、TAP1、TAP2、およびそれらの機能断片をコードするものを含む。
【0160】
ワクチンは、1994年4月1日に出願された米国第021,579号(参照により完全に組み込まれる)に説明される遺伝子ワクチン促進剤をさらに含み得る。
【0161】
ワクチンは、約1ナノグラム~100ミリグラム、約1マイクログラム~約10ミリグラム、または好ましくは約0.1マイクログラム~約10ミリグラム、またはより好ましくは約1ミリグラム~約2ミリグラムの量でプラスミドを含み得る。いくつかの好ましい実施形態では、本発明によるワクチンは、約5ナノグラム~約1000マクログラムのDNAを含む。いくつかの好ましい実施形態では、ワクチンは、約10ナノグラム~約800マクログラムのDNAを含有し得る。いくつかの好ましい実施形態では、ワクチンは、約0.1~約500マクログラムのDNAを含有し得る。いくつかの好ましい実施形態では、ワクチンは、約1~約350マクログラムのDNAを含有し得る。いくつかの好ましい実施形態では、ワクチンは、約25~約250マイクログラム、約100~約200マイクログラム、約1ナノグラム~100ミリグラム、約1マイクログラム~約10ミリグラム、約0.1マクログラム~約10ミリグラム、約1ミリグラム~約2ミリグラム、約5ナノグラム~約1000マイクログラム、約10ナノグラム~約800マイクログラム、約0.1~約500マイクログラム、約1~約350マイクログラム、約25~約250マイクログラム、約100~約200マイクログラムの抗原またはそれをコードするプラスミドを含有し得る。
【0162】
ワクチンは、使用される投与モードにより製剤化され得る。注射可能なワクチン薬学的組成物は、減菌、発熱性物質不含、および微粒子不含であり得る。等張製剤または溶液を使用することができる。等張性のための添加剤は、塩化ナトリウム、デキストロース、マンニトール、ソルビトール、およびラクトースを含み得る。ワクチンは、血管収縮剤を含み得る。等張溶液は、リン酸緩衝食塩水を含み得る。ワクチンは、ゼラチンおよびアルブミンを含む安定剤をさらに含み得る。LGSまたはポリカチオンもしくはポリアニオンを含む安定剤は、製剤を長期間室温または周囲温度で安定させることができる。
【0163】
ワクチンの薬学的組成物
ワクチンは、薬学的組成物の形態であり得る。薬学的組成物は、ワクチンを含むことができる。薬学的組成物は、約5ナノグラム(ng)~約10ミリグラム(mg)のワクチンの核酸分子(複数可)を含むことができる。いくつかの実施形態では、本発明による薬学的組成物は、約25ng~約5mgのワクチンの核酸分子(複数可)を含む。いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、約50ng~約1mgのワクチンの核酸分子(複数可)を含む。いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、約0.1~約500マイクログラムのワクチンの核酸分子(複数可)を含む。いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、約1~約350マイクログラムのワクチンの核酸分子(複数可)を含む。いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、約5~約250マイクログラムのワクチンの核酸分子(複数可)を含む。いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、約10~約200マイクログラムのワクチンの核酸分子(複数可)を含む。いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、約15~約150マイクログラムのワクチンの核酸分子(複数可)を含む。いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、約20~約100マイクログラムのワクチンの核酸分子(複数可)を含む。いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、約25~約75マイクログラムのワクチンの核酸分子(複数可)を含む。いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、約30~約50マイクログラムのワクチンの核酸分子(複数可)を含む。いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、約35~約40マイクログラムのワクチンの核酸分子(複数可)を含む。いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、約100~約200マイクログラムのワクチンの核酸分子(複数可)を含む。いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、約10マイクログラム~約100マイクログラムのワクチンの核酸分子(複数可)を含む。いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、約20マイクログラム~約80マイクログラムのワクチンの核酸分子(複数可)を含む。いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、約25マイクログラム~約60マイクログラムのワクチンの核酸分子(複数可)を含む。いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、約30ng~約50マイクログラムのワクチンの核酸分子(複数可)を含む。いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、約35ng~約45マイクログラムのワクチンの核酸分子(複数可)を含む。いくつかの好ましい実施形態では、薬学的組成物は、約0.1~約500マイクログラムのワクチンの核酸分子(複数可)を含む。いくつかの好ましい実施形態では、薬学的組成物は、約1~約350マイクログラムのワクチンの核酸分子(複数可)を含む。いくつかの好ましい実施形態では、薬学的組成物は、約25~約250マイクログラムのワクチンの核酸分子(複数可)を含む。いくつかの好ましい実施形態では、薬学的組成物は、約100~約200マイクログラムのワクチンの核酸分子(複数可)を含む。
【0164】
いくつかの実施形態では、本発明による薬学的組成物は、少なくとも10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、または100ngのワクチンの核酸分子(複数可)を含む。いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、少なくとも1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、205、210、215、220、225、230、235、240、245、250、255、260、265、270、275、280、285、290、295、300、305、310、315、320、325、330、335、340、345、350、355、360、365、370、375、380、385、390、395、400、405、410、415、420、425、430、435、440、445、450、455、460、465、470、475、480、485、490、495、500、605、610、615、620、625、630、635、640、645、650、655、660、665、670、675、680、685、690、695、700、705、710、715、720、725、730、735、740、745、750、755、760、765、770、775、780、785、790、795、800、805、810、815、820、825、830、835、840、845、850、855、860、865、870、875、880、885、890、895、900、905、910、915、920、925、930、935、940、945、950、955、960、965、970、975、980、985、990、995、または1000マイクログラムのワクチンの核酸分子(複数可)を含み得る。いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、少なくとも1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、または10mg以上のワクチンの核酸分子(複数可)を含み得る。
【0165】
他の実施形態では、薬学的組成物は、最大15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、または100ng(これらの値を含む)のワクチンの核酸分子(複数可)を含む。いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、最大1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、205、210、215、220、225、230、235、240、245、250、255、260、265、270、275、280、285、290、295、300、305、310、315、320、325、330、335、340、345、350、355、360、365、370、375、380、385、390、395、400、405、410、415、420、425、430、435、440、445、450、455、460、465、470、475、480、485、490、495、500、605、610、615、620、625、630、635、640、645、650、655、660、665、670、675、680、685、690、695、700、705、710、715、720、725、730、735、740、745、750、755、760、765、770、775、780、785、790、795、800、805、810、815、820、825、830、835、840、845、850、855、860、865、870、875、880、885、890、895、900、905、910、915、920、925、930、935、940、945、950、955、960、965、970、975、980、985、990、995、または1000マイクログラム(これらの値を含む)のワクチンの核酸分子(複数可)を含み得る。いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、最大1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、または10mg(これらの値を含む)のワクチンの核酸分子(複数可)を含み得る。
【0166】
薬学的組成物は、使用される投与モードにより製剤目的のための他の薬剤をさらに含み得る。薬学的組成物が注射可能な薬組成物である場合、それらは、減菌、発熱性物質不含、および微粒子不含である。等張製剤を使用することが好ましい。一般的に、等張性のための添加剤は、塩化ナトリウム、デキストロース、マンニトール、ソルビトール、およびラクトースを含み得る。場合によっては、リン酸緩衝食塩水などの等張溶液が好ましい。安定剤としてはゼラチンおよびアルブミンが含まれる。いくつかの実施形態では、血管収縮剤が製剤に添加される。
【0167】
薬学的組成物は、上記の段落2で提供されるような薬学的に許容される賦形剤をさらに含むことができる。例えば、薬学的に許容される賦形剤は、段落2で提供されるように、機能性分子、ビヒクル、アジュバント、担体、希釈剤、またはトランスフェクション促進剤を含むことができる。
【0168】
適応症
本明細書で提供されるワクチンおよびワクチンを含む薬学的組成物は、サバイビンを発現するがん細胞およびがんに基づく腫瘍の治療または予防に使用することができる。特に、本明細書で提供されるワクチンおよびワクチンを含む薬学的組成物は、卵巣がん、より詳細には上皮性卵巣がん、最も詳細には漿液性卵巣がんの治療または予防に使用することができる。
【0169】
ワクチン接種の方法
上述の薬学的製剤を使用して、がんを治療および/または予防するための方法が本明細書に提供される。対象におけるがんの治療および/または予防に上述の薬学的製剤を使用する方法も本明細書に記載される。対象にワクチン接種する方法も本明細書に記載される。本明細書に記載の薬学的製剤を、それを必要する対象に投与する方法も本明細書に記載される。集合的に本明細書に記載の薬学的製剤を使用する治療方法と称される本明細書に記載の方法は、治療的および/または予防的免疫応答を誘導するために、本明細書に記載される1つ以上のワクチンを、それを必要とする対象に投与することを含み得る。ワクチンは、対象の免疫系の活性を調節し、免疫応答を増強するために対象に投与され得る。ワクチンの投与は、細胞において発現され、細胞の表面に送達されると、免疫系が、細胞性、液性、または細胞性および液性応答を認識し誘導する核酸分子としての本明細書に開示されるがん抗原のトランスフェクションであり得る。ワクチンの投与は、本明細書で論じられるワクチンを対象に投与することにより、対象において、本明細書に開示されるがん抗原のうちの1つ以上に対して免疫応答を誘導または誘発するために使用され得る。
【0170】
ワクチンは、対象の免疫系の活性を調節するために対象に投与され、それにより免疫応答を増強させることができる。いくつかの実施形態では、対象は、哺乳動物である。哺乳動物にワクチンを投与し、それによりベクターを哺乳動物の細胞に導入すると、トランスフェクトされた細胞が本明細書に開示されるがん抗原のうちの1つ以上を発現および分泌する。これらの分泌されたタンパク質または合成抗原は、1つ以上のがん抗原に対して作られた抗体、および1つ以上のがん抗原に特異的に対するT細胞応答を含み得る免疫応答を開始する免疫系により異物として認識される。いくつかの例では、本明細書で論じられるワクチンをワクチン接種された哺乳動物は、抗原刺激を受けた免疫系を有し、本明細書に開示される1つ以上のがん抗原を接種された場合、抗原刺激を受けた免疫系は、液性、細胞性、または細胞性および液性両方の免疫応答によるものかにかかわらず、本明細書に開示される後のがん抗原を迅速に除去することができる。
【0171】
DNAのワクチンの投与方法は、米国特許第4,945,050号および同第5,036,006号に記載されており、その両方は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0172】
ワクチンを哺乳動物に投与して、哺乳動物において免疫応答を誘発することができる。哺乳動物は、ヒト、非ヒト霊長類、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、アンテロープ、バイソン、水牛、ウシ、シカ、ハリネズミ、ゾウ、ラマ、アルパカ、マウス、ラット、好ましくはヒト、ウシ、またはブタであり得る。ワクチンは同様に、免疫応答を誘発するために、非ヒト対象、例えば、ニワトリに投与され得る。
【0173】
ワクチンの用量は、経時的にキログラム(kg)体重あたり1マイクログラム~10mg(構成成分/kg体重/回)の活性構成成分であり得、20マイクログラム~10mg構成成分/kg体重/回であり得る。ワクチンは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、または31日ごとに投与され得る。有効な治療のためのワクチン投与回数は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10回以上の投与であり得る。
【0174】
ワクチンにより免疫応答を生成する方法
ワクチンを使用して、治療的または予防的免疫応答を含む、哺乳動物または非哺乳動物対象において免疫応答を生成することができる。免疫応答は、本明細書に開示されるような1つ以上のがん抗原に指向される抗体および/またはキラーT細胞を生成することができる。そのような抗体およびT細胞が単離され得る。
【0175】
いくつかの実施形態は、本明細書に開示されるがん抗原のうちの1つ以上に対して免疫応答を生成する方法を提供し、その実施形態は、ワクチンを対象に投与することを含む。いくつかの実施形態は、上述のがん抗原のうちの1つ以上を発現するがんまたは腫瘍に対して対象に予防的にワクチン接種する方法を提供し、その実施形態は、ワクチンを投与することを含む。いくつかの実施形態は、がん抗原のうちの1つ以上を発現するがんまたは腫瘍に罹患している対象に治療的にワクチン接種する方法を提供し、その実施形態は、ワクチンを投与することを含む。ワクチンの投与前に本明細書に開示される1つ以上のがん抗原を発現するがんまたは腫瘍の診断は、日常的に行うことができる。
【0176】
ワクチンによるがん治療の方法
ワクチンは、哺乳動物またはそれを必要とする対象におけるサバイビンを発現するがんまたは腫瘍(例えば、卵巣がん)に対して反応性または指向性である哺乳動物において免疫応答を生成または誘発するために使用され得る。誘発された免疫応答は、がんまたは腫瘍の成長を防止することができる。
【0177】
誘発された免疫応答は、がん性または腫瘍細胞の転移を防止および/または低減することができる。したがって、ワクチンは、ワクチンを投与された哺乳動物または対象におけるがんまたは腫瘍を治療および/または予防する方法で使用することができる。
【0178】
投与経路
ワクチンまたは薬学的組成物は、経口、非経口、舌下、経皮的、直腸に、経粘膜的、局所的、吸入により、頬側投与により、胸膜内、静脈内、動脈内、腹腔内、皮下、筋肉内、鼻腔内、くも膜下腔内、および/もしくは関節内、またはそれらの組み合わせにより投与され得る。獣医学的使用のために、組成物は、通常の獣医学診療に従って適切に許容される製剤として投与することができる。獣医は、特定の動物に最も適切な投与レジメンおよび投与経路を容易に決定することができる。ワクチンは、従来の注射器、無針注射装置、「微粒子衝撃遺伝子銃(microprojectile bombardment gene guns)」、またはエレクトロポレーション(「EP」)、「流体力学法」、もしくは超音波などの他の物理的方法により投与され得る。
【0179】
ワクチンのベクターは、インビボエレクトロポレーション、リポソーム媒介トランスフェクション、ナノ粒子促進トランスフェクション(nanoparticle facilitated transfection)、ならびに組換えアデノウイルス、組換えアデノウイルス随伴ウイルス、および組換えワクシニアなどの組換えベクターを伴うまたは伴わないDNA注射(DNA injection)(DNAワクチン接種とも称される)を含む、いくつかの周知の技術により哺乳動物に投与され得る。1つ以上のがん抗原のワクチンがインビボエレクトロポレーションとともにDNA注射により投与され得る。
【0180】
ワクチンまたはワクチンを含む薬学的組成物は、エレクトロポレーションにより投与され得る。エレクトロポレーションによるワクチンの投与は、可逆性細孔を細胞膜において形成させるのに有効なエネルギーのパルスを哺乳動物の所望の組織に送達するように構成され得るエレクトロポレーションデバイスを使用して達成することができ、好ましくは、エネルギーのパルスは、ユーザによって入力される事前設定された電流と同等の定電流である。エレクトロポレーションデバイスは、エレクトロポレーション構成要素および電極アセンブリまたはハンドルアセンブリを備え得る。エレクトロポレーション構成要素は、コントローラ、電流波形発生装置、インピーダンステスター、波形ロガー、入力素子、ステータス報告要素、通信ポート、メモリー構成要素、電源、および電源スイッチを含む、エレクトロポレーションデバイスの様々な要素のうちの1つ以上を含み、それらを組み込むことができる。エレクトロポレーションは、ベクターによる細胞のトランスフェクションを容易にするために、インビボエレクトロポレーションデバイス、例えば、CELLECTRA(登録商標)EPシステム(Inovio Pharmaceuticals,Inc.,Blue Bell,PA)またはElgenエレクトロポレーター(electroporator)(Inovio Pharmaceuticals,Inc.)を使用して達成され得る。
【0181】
本発明のDNAワクチンの投与を容易にし得るエレクトロポレーションデバイスおよびエレクトロポレーション法の例には、Draghia-Akliらによる米国特許第7,245,963号、Smithらにより提出された米国特許公開第2005/0052630号に記載されているものが含まれ、これらの内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。DNAワクチンの投与を容易にするために使用することができる他のエレクトロポレーションデバイスおよびエレクトロポレーション法には、2007年10月17日に出願された同時係属および共同所有の米国特許出願第11/874072号で提供されるものが含まれ、米国特許法第119条(e)に基づく、2006年10月17日に出願された米国仮出願第60/852,149号および2007年10月10日に出願された同第60/978,982号に対する利益を主張し、これらはすべて、それらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0182】
Draghia-Akliらによる米国特許第7,245,963号は、身体または植物の選択された組織の細胞に生体分子を導入するのを容易にするためのモジュール電極システムおよびそれらの使用を説明している。モジュール電極システムは、複数の針電極、皮下針、プログラム可能な定電流パルスコントローラから複数の針電極への導電的連結を提供する電気コネクタ、および電源を備え得る。オペレータは、支持構造に載置される複数の針電極を把持し、それらを身体もしくは植物の選択された組織にしっかりと挿入することができる。次に、生体分子を、皮下針により選択された組織内に投与する。プログラム可能な定電流パルスコントローラを作動させ、定電流電気パルスを複数の針電極に適用する。適用された定電流電気パルスは、生体分子を、複数の電極間の細胞に導入するのを容易にする。米国特許第7,245,963号の全容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0183】
Smithらにより提出された米国特許公開第2005/0052630号は、身体または植物の選択された組織の細胞に生体分子を導入するのを効果的に容易にするために使用することができるエレクトロポレーションデバイスを説明している。エレクトロポレーションデバイスは、操作がソフトウェアまたはファームウェアによって指定される動電デバイス(「EKDデバイス」)を備える。EKDデバイスは、ユーザ制御に基づいた一列の電極とパルスパラメータの入力との間に一連のプログラム可能な定電流パルスパターンを作り出し、電流波形データの保存および取得を可能にする。エレクトロポレーションデバイスは、一連の針電極を有する交換可能な電極ディスク、注射針用の中央注射チャネル、および着脱可能なガイドディスクも備える。米国特許公開第2005/0052630号の全容は、参照により本明細書に完全に組み込まれる。
【0184】
米国特許第7,245,963号および米国特許公開第2005/0052630号に説明される電極アレイおよび方法は、筋肉などの組織だけでなく他の組織または臓器にも深く浸透させるのに適し得る。電極アレイの構成により、注射針は標的臓器にも完全に挿入され、注射は電極によって予め描かれた領域の標的組織に垂直に投与される。米国特許第7,245,963号および米国特許公開第2005/005263号に説明される電極は、好ましくは20mm長および21ゲージである。
【0185】
加えて、エレクトロポレーションデバイスおよびその使用を組み込むいくつかの実施形態において企図される、以下の特許:1993年12月28日に発行された米国特許第5,273,525号、2000年8月29日に発行された米国特許第6,110,161号、2001年7月17日に発行された同第6,261,281号、および2005年10月25日に発行された同第6,958,060号、ならびに2005年9月6日に発行された米国特許第6,939,862号に記載されるもののエレクトロポレーションデバイスがある。さらに、様々なデバイスのいずれかを使用したDNAの投与に関係する2004年2月24日に発行された米国特許第6,697,669号、およびDNAを注射する方法が注目された2008年2月5日に発行された米国特許第7,328,064号に提供される主題を網羅する特許が、本明細書で企図される。上記の特許は、それらの全体が参照により組み込まれる。
【0186】
本明細書で論じられる合成コンセンサスサバイビン抗原をコードする核酸分子(複数可)を含むベクターを調製する方法が本明細書で提供される。ベクターは、哺乳類発現プラスミドへの最終的なサブクローニングステップの後、当該技術分野で既知の方法を使用して、大規模発酵タンク内の細胞培養に播種するために使用され得る。
【0187】
本発明のEPデバイスで使用するためのDNAベクターは、既知のデバイスおよび技術の組み合わせを使用して製剤化または製造することができるが、好ましくは2007年5月23日に出願された米国公開出願第2009/0004716号に記載されている最適化された製造技術を使用して製造される。いくつかの例では、これらの研究で使用されるDNAベクターは、10mg/mL以上の濃度で製剤化され得る。製造技術はまた、2007年7月3日に発行された米国特許第7,238,522号に記載されるものを含む、米国特許第60/939792号に記載されるものに加えて、当業者に一般に既知である様々なデバイスおよびプロトコルを含む、または組み込む。上記で参照された出願および特許、米国特許第60/939,792号および米国特許第7,238,522号は、それぞれ、その全体が本明細書に組み込まれる。
【実施例0188】
本発明は、以下の実施例においてさらに図示される。これらの実施形態は、本発明の好ましい実施形態を示すが、単に実例として示されることを理解するべきである。上記の考察およびこれらの実施例から、当業者は、本発明の本質的な特徴を確認することができ、その趣旨および範囲から逸脱することなく、本発明の様々な変更および修正を様々な使用および条件に適応させることができる。したがって、本明細書に示され記載されるものに加えて、本発明の様々な修正は、前述の説明から当業者には明らかであろう。そのような修正も、添付の特許請求の範囲の範囲内に入ることが意図される。
【0189】
実施例1-コンセンサスサバイビンアイソフォーム1の生成
29個のサバイビンアイソフォーム1配列をGenBank(www.ncbi.nlm.nih.gov/genbank/)から収集した。選択したサバイビンアイソフォーム1配列のGenBank受入番号は、NP_001125727.1、3UIG,1F3H、BAC22748.2、NP_001159.2、CAG46540.1、BAD97148.1、XP_002748841.1、XP_003818322.1、NP_001253110.1、XP_011810718.1、XP_011832690.1、XP_001083183.1、XP_003786134.1、XP_012516801.1、XP_007957800.1、XP_001915435.1、XP_008523102.1、AAT37504.1、XP_004432883.1、XP_003417277.1、XP_004374167.1、NP_999306.1、XP_002918421.1、NP_001003348.1、NP_001009280.1、XP_004748859.1、NP_001001855.2、およびAAU89275.1である。
【0190】
DNASTAR(登録商標)Lasergeneソフトウェアパッケージ(バージョン13.0.0.357)を使用して、コンセンサス配列を生成した。上に列記される29個の配列をMegAlignに取り込み、ClustalW多重配列アライメントプログラムを使用してアライメントした。得られたコンセンサスサバイビンアイソフォーム1配列は、天然ヒトサバイビンアイソフォーム1と97.2~97.9%の相同性を共有する。得られたコンセンサスサバイビンアイソフォーム1タンパク質の潜在的な生物学的機能を消失するために、3つの変異を導入し、サバイビンの抗アポトーシス活性を消失した。3つの変異は、T34A、T48A、およびC84Aである。さらに、より高いレベルの発現を得るために、上流のコザック配列およびIgEリーダー配列をN末端に追加した。さらに、この遺伝子のコドン使用法は、ホモサピエンス遺伝子のコドンバイアスに適合した。(Andre,S.et al.Increased immune response elicited by DNA vaccination with a synthetic gp120 sequence with optimized codon usage.Journal of virology 72,1497-1503(1998)、Deml,L.et al.Multiple effects of codon usage optimization on expression and immunogenicity of DNA candidate vaccines encoding the human immunodeficiency virus type 1 Gag protein.Journal of virology 75,10991-11001,doi:10.1128/JVI.75.22.10991-11001.2001(2001))。加えて、GC含有量が非常に高い(>80%)または非常に低い(<30%)領域、ならびに内部TATAボックス、chi-部位、リボソームエントリー部位などのcis-作動配列モチーフを避けた、RNA最適化も行った。結果として、合成コンセンサスサバイビン抗原アイソフォーム1タンパク質は、ヒト天然サバイビンアイソフォーム1タンパク質と95.1~95.8%の同一性を共有する。合成コンセンサスサバイビン抗原アイソフォーム1のヌクレオチド配列は、配列番号1に示される。合成コンセンサスサバイビン抗原アイソフォーム1T3のアミノ酸配列は、配列番号2に示される。
【0191】
合成コンセンサスサバイビン抗原アイソフォーム1を、BamHIおよびXhoIで消化し、サイトメガロウイルス前初期プロモーターの転写制御下に置かれた発現カセットを備えた独自の発現ベクターpGX0001にクローニングした。得られたプラスミドをpGX1428と命名した。完全長配列決定を行い、次に分析し、正しいことを確認した。合成コンセンサスサバイビン抗原アイソフォーム1構築物の略図を
図1に示す。合成コンセンサスサバイビン抗原アイソフォーム1の全体構造を
図2に示す。
【表1】
【表2】
【0192】
実施例2-コンセンサスサバイビンアイソフォーム1T3の生成
ヒトコンセンサスサバイビンアイソフォーム3を生成するために、8個のサバイビンアイソフォーム3配列をGenBank(www.ncbi.nlm.nih.gov/genbank/)から収集した。選択したサバイビンアイソフォーム3配列のGenBank受入番号は、NP_001012270.1、XP_008969790.1、XP_008011275.1、XP_009189614.1、XP_011897653.1、XP_011810642.1、XP_011844315.1、およびXP_011718355.1である。
【0193】
DNASTAR(登録商標)Lasergeneソフトウェアパッケージ(バージョン13.0.0.357)を使用して、コンセンサス配列を生成した。上に列記される8個の配列をMegAlignに取り込み、ClustalW多重配列アライメントプログラムを使用してアライメントした。下等動物の6個のこれらの配列は、ヒト配列には存在しない余剰な11アミノ酸残基がそのC末端に含まれた。これらの余剰な残基は、コンセンサスヒトサバイビンアイソフォーム3を生成する際に取り除かれ、ヒトでのオフターゲット免疫応答の誘発を防止する。ヒトコンセンサスサバイビンアイソフォーム3を生成した後、サバイビンアイソフォーム1および3の間の同一のアミノ酸配列が、コンセンサスサバイビンアイソフォーム3から除去された。切断型コンセンサスサバイビンアイソフォーム3配列(サバイビン抗原T3)は、天然ヒトサバイビンアイソフォームT3配列と96.8%の配列相同性を共有する。サバイビン抗原アイソフォーム1T3免疫原は、サバイビン抗原1(上述される)およびサバイビン抗原T3の間にフューリン開裂部位を追加することにより生成した。
【0194】
コンセンサス合成コンセンサスサバイビン抗原アイソフォーム1T3 DNA配列が得られたら、より高いレベルの発現を得るために、上流のコザック配列およびIgEリーダー配列をN末端に追加した。(Yang,J.S.et al.Induction of potent Th1-type immune responses from a novel DNA vaccine for West Nile virus New York isolate(WNV-NY1999).The Journal of infectious diseases 184,809-816,doi:10.1086/323395(2001)).Furthermore,the codon usage of this gene was adapted to the codon bias of Homo sapiens genes(Andre,S.et al.Increased immune response elicited by DNA vaccination with a synthetic gp120 sequence with optimized codon usage.Journal of virology 72,1497-1503(1998)、Deml,L.et al.Multiple effects of codon usage optimization on expression and immunogenicity of DNA candidate vaccines encoding the human immunodeficiency virus type 1 Gag protein.Journal of virology 75,10991-11001,doi:10.1128/JVI.75.22.10991-11001.2001(2001))。加えて、GC含有量が非常に高い(>80%)または非常に低い(<30%)領域、ならびに内部TATAボックス、chi-部位、リボソームエントリー部位などのcis-作動配列モチーフを11、12で避けた、RNA最適化も行った。合成コンセンサスサバイビン抗原アイソフォーム1T3を、BamHIおよびXhoIで消化し、サイトメガロウイルス前初期プロモーターの転写制御下に置かれた発現カセットを備えた発現ベクターpGX0001にクローニングした。得られたプラスミドをpGX1429と命名した。完全長配列決定を行い、次に分析し、正しいことを確認した。表1に示すように、合成コンセンサスサバイビン抗原アイソフォーム1T3のヌクレオチド配列を配列番号3に示す。表1に示すように、合成コンセンサスサバイビン抗原アイソフォーム1T3のアミノ酸配列を配列番号8に示す。合成コンセンサスサバイビン抗原アイソフォーム1T3構築物の略図を
図3に示す。合成コンセンサスサバイビン抗原アイソフォーム1T3構築物の特徴を表3に示す。
【表3】
【0195】
実施例3-pGX サバイビン発現ベクターの構築
ヒトサイトメガロウイルス前初期プロモーター(hCMVプロモーター)の制御下にあるpGX0001(改変pVAX1発現ベクター)を骨格ベクターとして使用した。元のpVAX1は、Thermo Fisher Scientificから入手した。
【0196】
改変を、pGX0001を作製するためにpVAX1に導入し、Thermo Fisher Scientificから入手可能なpVAX1の報告された配列に基づいて特定した。これらの改変は以下に列挙されており、プラスミド増幅、ならびに抗原の転写および翻訳に関して問題は検出されていない。これまでのところ、pGX0001を骨格として使用するプラットフォーム内のプラスミド生成物のいずれのデータにおいても、pGX0001の配列内に変更は観察されていない。
【表4-1】
塩基対2、3、および4は、CMVプロモーターの上流の骨格においてACTからCTGに変更される。
【0197】
pGX1428は、合成コンセンサスサバイビン抗原アイソフォーム1(サバイビン抗原1)タンパク質をコードするDNAプラスミドである。関連するmRNA産生はヒトCMVプロモーター(hCMVプロモーター)によって駆動され、ウシ成長ホルモン3’端ポリ-アデニル化シグナル(bGHポリA)によって終結される。pGX0001骨格には、生産目的のためのカナマイシン耐性遺伝子(KanR)およびプラスミド複製起点(pUC ori)が含まれる。これらの要素は、真核細胞では機能しない。pGX1428は、
図4に示すように、BamHIおよびXhoI部位の合成コンセンサスサバイビン抗原アイソフォーム1(サバイビン抗原1)DNA配列をpGX0001にクローニングすることによって作製した。
【0198】
pGX1429は、合成コンセンサスサバイビン抗原アイソフォーム1T3(サバイビン抗原1T3)タンパク質をコードするDNAプラスミドである。関連するmRNA産生はヒトCMVプロモーター(hCMVプロモーター)によって駆動され、ウシ成長ホルモン3’端ポリ-アデニル化シグナル(bGHポリA)によって終結される。pGX0001骨格には、生産目的のためのカナマイシン耐性遺伝子(KanR)およびプラスミド複製起点(pUC ori)が含まれる。これらの要素は、真核細胞では機能しない。pGX1429は、
図5に示すように、BamHIおよびXhoI部位の合成コンセンサスサバイビン抗原アイソフォーム1T3(サバイビン抗原1T3)DNA配列をpGX0001にクローニングすることによって作製した。
【0199】
実施例4-合成コンセンサスサバイビン抗原構築物の免疫原性
ヒトサバイビン、合成コンセンサスサバイビン抗原1(pGX1428)、および合成コンセンサスサバイビン抗原1T3(pGX1429)を標的とするように設計したワクチン構築物の免疫原性をマウスで評価した。各構築物による抗原タンパク質の発現はまた、ウエスタンブロッティングによりインビトロで評価した。
【0200】
材料および方法
プラスミド
合成コンセンサスサバイビン抗原1(pGX1428)および合成コンセンサスサバイビン抗原1T3(pGX1429)は、本書に記載されるように設計した。インビトロおよびインビボ研究では、プラスミド(10mg)をpGX1428(ロット#786114S-1/G52238)およびpGX1429(ロット#786114S-2/G52239)の両方をGenScriptから注文した。10mgプラスミドストックの抗原配列を、サンガーシーケンスによって確認した。
【0201】
インビトロ抗原発現
pGX1428およびpGX1429による抗原タンパク質の発現を、ウエスタンブロッティングにより確認した。
図6に示すように、10%FBS(ThermoFisher)を含むDMEM培地で維持されたヒト横紋筋肉腫(RD)細胞(ATCC、CCL-136)に、Turbofectin 8(Origene)を使用してpGX1428、pGX1429、またはpGX0001(6μg/10cm
2ディッシュ)をトランスフェクトした。トランスフェクションの48時間後、細胞を、RIPA細胞溶解緩衝液(ThermoFisher)を使用して溶解し、細胞溶解液を収集した。総タンパク質濃度を決定するためのBCAアッセイ(ThermoFisher)に続いて、15μgの細胞溶解液を4~12%SDS-PAGEゲル(ThermoFisher)で電気泳動した。検出をヒトサバイビン(Santa Cruz Biotech、クローンD8、sc-17779)のアミノ酸1~142に対するモノクローナル抗体を用いて実施し、次に西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)結合ヤギ抗マウスIgG(Santa Cruz Biotech、sc-2005)で、ECLウエスタンブロット分析システム(GE Amersham)を使用して視覚化した。負荷対照として、抗β-アクチンモノクローナル抗体(Santa Cruz Biotech、クローン、C4、sc-47778 HRP)を使用して、ブロットのアクチン発現を再プローブした。
【0202】
動物および免疫化
雌の8週齢のCB6F1マウスを、Jackson Laboratoriesから購入した。すべての動物を、BTS Research(San Diego,CA)の温度制御された光サイクル施設に収容した。動物の世話は、国立衛生研究所および動物の世話および使用の提案(ACUP)のガイドラインに従って実施した(BTS ACUP #15-091)。マウスを表4に示すように9つの群に分けた。
【表4-2】
【0203】
免疫した群のマウスを、SOP R20-003147CELLECTRA(登録商標)3Pマウス治療に従って、pGX0001、pGX1428、またはpGX1429の示された用量でワクチン接種した。簡単に言えば、プラスミドを注入用滅菌水(VetOne)で製剤化され、指示された用量が30μLの注入量で前脛骨筋に筋肉内注射により送達した。各筋肉内注入の直後に、3Pアレイを有するCELLECTRA(登録商標)2000 Adaptive Constant Current Electroporation Device(Inovio Pharmaceuticals)を使用するエレクトロポレーション(EP)が続いた。このデバイスは、52msパルス幅の2つの0.1Ampパルスを、1秒の遅延で離して配信するように構成された。マウスは、3週間間隔で3回の免疫を受けた。最後の免疫から1週間後にマウスを犠牲にし、細胞性免疫読み取りのために脾臓を採取した。他の組織は収集しなかった。
【0204】
脾臓リンパ球単離
脾細胞を無菌的に単離し、5mLのR10培地(10%ウシ胎児血清および1%抗生物質-抗真菌剤を添加したRosewell Park Memorial Institute medium 1640)に入れた。脾臓細胞を、ストマッカーマシン(Seward Laboratory Systems Inc.)を使用して脾臓を機械的に破壊することによって単離し、得られた生成物を、40μmのセルストレーナー(BD Falcon)を使用して濾過した。得られた産物を遠心分離し、RBCの溶解のためにペレットをACK溶解緩衝液(Lonza)で5分間処理した。次に、脾細胞を遠心分離し、PBSで洗浄し、R10培地に再懸濁し、すぐにさらなる分析に使用した。
【0205】
IFNγ ELISpot
マウスIFNγ ELISpotアッセイを、抗原特異的細胞応答を評価するために、MabTechのキット(MabTech、#3321-4APW-10)を使用しで実施した。簡潔に、抗マウスIFNγ抗体(mAb AN18)で予めコーティングされた96ウェルプレートをPBS中で洗浄し、完全培養培地培地(10%のFBSおよび抗生物質で補充されたRPMI 1640)で、室温で2時間遮断した。脾臓リンパ球を、R10培地に再懸濁した(その後、ウェルあたり2×105細胞の入力細胞数で、3連で追加した。ペプチドのセットが合成され(GenScript)、各々が合成コンセンサスサバイビン抗原1全体および合成コンセンサスサバイビン抗原1T3タンパク質配列を表す11個のアミノ酸が重複する15個のアミノ酸残基を含む。ペプチドのこれらのセットをDMSO(Sigma)に再懸濁し、約2μg/mlのペプチドの濃度で2つのペプチドプールにプールした。第1のペプチドプールは、合成コンセンサスサバイビン抗原1抗原タンパク質に対応するペプチドを含み、第2のペプチドプールは、合成コンセンサスサバイビン抗原1T3抗原タンパク質に対応するペプチドを含む。5μg/mlのコンカバリンA(Sigma)を陽性対照として使用し、完全培養培地を陰性対照として使用した。プレートを、5%のCO2雰囲気のインキュベータ中で、37℃で18時間インキュベートした。次に、ビオチン化抗マウスIFNγ検出抗体(MabTech mAb R4-6A2)を加え、プレートを室温で2時間インキュベートした。プレートを洗浄し、ストレプトアビジン-ALP(MabTech)を加え、プレートを室温で1時間インキュベートした。スポットの検出は、キットの製造元の指示(MabTech)に従って、BCIP/NBT基質を使用して完了した。プレート上のスポットは、自動ELISPOTリーダー(Cellular Technology)を使用してカウントした。スポット形成単位(SFU)の平均数は、データ表示用に1×106脾細胞に調整した。
【0206】
図7A~
図7Hでは、IFNγエリスポットによる抗原特異的応答を、培地のみの対照におけるSFUよりも大きい1×10
6脾細胞あたりのIFNγスポット形成単位(SFU)の数として報告した。
【0207】
フローサイトメトリー
合成コンセンサスサバイビン抗原1および合成コンセンサスサバイビン抗原1T3により誘導された細胞性免疫応答は、フローサイトメトリーによりさらに特徴付けされた。簡単に言えば、ワクチン接種したおよび未処理マウスからの2×10
6脾細胞を、Brefeldin A(BD Biosciences)、モネンシン(BD Biosciences)、およびFITC抗マウスCD107a抗体(BD Biosciences,クローン1D4B)の存在下で6時間、各群に応じて合成コンセンサスサバイビン抗原1およびサバイビン1T3ペプチドで単離した直後に刺激した。ペプチドで刺激した後、脾細胞を遠沈し、マウスBD Fc Block(BD Biosciences)溶液のウェルあたり20μLに再懸濁した。Fc Blockを、PBSで1:40の初期希釈で使用し、4℃で5分間インキュベートした。インキュベーション後、残りの細胞外抗体(PBS中)を1ウェルあたり30μL加え、4℃で30分間インキュベートする。細胞外染色液を追加すると、各ウェルの最終容量は50μLになり、1:100の最終希釈のFc Blockと適切な使用希釈の細胞外抗体で構成される。次いで、細胞を、生存率染色(viability dye)(Vivid V450,Thermo-Fisher)および以下の抗体:PerCP-Cy5.5抗マウスCD4(BD Biosciences、クローンRM4-5)およびAPC抗マウスCD8a(BD Biosciences、クローン63-6.7)で染色した。細胞を固定し、4℃で20分間透過処理した(BD Biosciences、#554714)。細胞内染色は、その後、以下の抗体:APC-Cy7抗マウスCD3e(BD Biosciences、クローン145-2C11)、BV605抗マウスIFNγ(BD Biosciences、クローンXMG1.2)、APC-R700抗マウスIL-2(BD Biosciences、クローンJEs6-5H4)、およびPE抗マウスTNF-α(BD Biosciences、クローンMP6-XT22)で完了した。10色FACS CANTO(BD Biosciences)でICSデータを収集し、FlowJoソフトウェアを使用して分析を完了した。フローサイトメトリーのゲーティング戦略を
図8に示す。
【0208】
細胞がフローサイトメトリーによって抗原特異的と称されるためには、報告されたパラメータの頻度は、培地のみの対照の頻度を超える必要がある。細胞が抗原特異的CD107aを産生すると同定されるためには、ブールゲーティングによって同定されるIFNγおよび/またはIL-2および/またはTNFαの抗原特異的産生が陽性であると同定されなければならない。
【0209】
統計分析
統計分析を、IBM SPSS Statistics 22(IBM Corporation)を使用して完了した。群間の分析を、ANOVAと事後のテューキーの検定(HSD)を使用して実行し、複数の比較を調整した。分散の均一性を、多重比較の前にF統計を使用して確認した。すべての統計分析について、0.050のp値を有意と見なした。
【0210】
結果
合成コンセンサスサバイビン抗原タンパク質の発現
ヒトサバイビン、合成コンセンサスサバイビン抗原1(pGX1428)、および合成コンセンサスサバイビン抗原1T3(pGX1429)を標的とするように2つの構築物を設計した。pGX1428およびpGX1429による合成コンセンサスサバイビン抗原1および合成コンセンサスサバイビン抗原1T3抗原タンパク質の発現を、それぞれウエスタンブロッティングにより確認した。簡単に言えば、ヒト横紋筋肉腫(RD)細胞にpGX1428,pGX1429、またはpGX0001(空のベクター、陰性対照)プラスミドをトランスフェクトした。細胞溶解物を、合成コンセンサスサバイビン抗原タンパク質および抗ヒトサバイビン抗体(BIRC5)の発現についてプローブした。合成コンセンサスサバイビン抗原1(17.5kD)および合成コンセンサスサバイビン抗原1T3(25.3 kD)の予想分子量のタンパク質バンドを検出した(
図6)。RD細胞株における低レベルの内因性サバイビンタンパク質発現が原因である可能性が最も高い陰性対照(pGX0001)で、かすかなバンドを検出した。抗β-アクチンのバンドを同様の強度で検出され、等量のタンパク質が各レーンに負荷されたことを示す。要約すると、pGX1428およびpGX1429は、それらのそれぞれの抗原タンパク質を発現することが分かった。
【0211】
合成コンセンサスサバイビン抗原ワクチン構築物の免疫原性
IFNγ ELISpot
2つの合成コンセンサスサバイビン抗原構築物の免疫原性を、IFNγ ELISpotおよびフローサイトメトリー(n=8/群)によって4用量(10μg、20μg、30μg、および50μg)で評価した。陰性対照(n=4/群)として空ベクター骨格(pGX0001)を、マウスに免疫した。合成コンセンサスサバイビン抗原でのワクチン接種は、陰性対照ワクチン接種されたマウスと比較して有意なIFNγ応答をもたらした。しかしながら、合成コンセンサスサバイビン抗原1(
図10A)によって誘導されたIFNγ産生において用量依存的な増加についての証拠は最小限であり、最大応答は、最低用量で達成されたことを示唆する。詳細には、合成コンセンサスサバイビン抗原1 IFNγ SFUは、それぞれ10μg、20μg、30μg、および50μgで、1,082±574、1,186±747、1,135±647、および848±350であった。合成コンセンサスサバイビン抗原1 IFNγ応答は、10μg(p=0.031)、20μg(p=0.015)、および30μg(p=0.021)用量のpGX1428で、未処理(2±3)よりも有意に大きかったが、50μg(p=0.134)用量ではそうではなかった。合成コンセンサスサバイビン抗原1T3によるワクチン接種は、有意なIFNγ応答をもたらし、用量レベルの増加に伴う用量依存的な増加についてのいくつかの証拠有した(
図10D)。サバイビン1T3 IFNγ SFUは、それぞれ10μg、20μg、30μg、および50μgで、516±156、812±534、1,016±654、および818±339であった。合成コンセンサスサバイビン抗原1T3 IFNγ応答は、20μg(p=0.039)、30μg(p=0.006)、および50μg(p=0.037)用量のpGX1429で、未処理(5±6)よりも有意に大きかったが、10μg(p=0.337)用量ではそうではなかった。IFNγ応答を表5に要約した。
【表5】
【0212】
フローサイトメトリー
合成コンセンサスサバイビン抗原1および合成コンセンサスサバイビン抗原1T3の両方は、CD8+T細胞区画での応答と比較して、CD4+T細胞区画でより強力な応答を誘発した(
図9)。合成コンセンサスサバイビン抗原1は、20μg(1.08%±0.65%)(p=0.024)および50μg(1.21%±0.73%)(p=0.009)用量群において未処理(0.03%±0.05%)よりも有意に強固である抗原特異的CD4+T細胞応答の頻度を誘導したが、10μg(0.86%±0.31%)(p=0.105)または30μg(0.82%±0.46%)(p=0.134)用量群ではそうではなかった(
図7B)。合成コンセンサスサバイビン抗原1T3は、20μg (1.02%±0.59%)(p=0.010)、30μg(1.08%±0.47%)(p=0.006)、および50μg(1.13%±0.44%)(p=0.004)用量群において未処理(0.05%±0.05%)よりも有意に強固である抗原特異的CD4+T細胞応答の頻度を誘導したが、10μg(0.62%±0.35%)(p=0.248)用量群ではそうではなかった(
図7E)。合成コンセンサスサバイビン抗原特異的CD4+T細胞のサイトカインプロファイルは、両方の構築物について、用量群全体で同様であり、主にIFNγ+IL-2 +TNFα+、IFNγ+IL-2-TNFα+、またはIFNγ+IL-2-TNFα-細胞で構成された(
図7G、
図7H)。抗原特異的CD4+T細胞の頻度は、表6でさら詳細に記載した。
【表6】
【0213】
合成コンセンサスサバイビン抗原1により誘導された抗原特異的CD8+T細胞の頻度に有意差はなかった(p=0.117)(
図7C)。サバイビン1T3は、用量群の群間で抗原特異的CD8+T細胞の有意に高い頻度を誘導した(p=0.043)。10μg(0.15%±0.09%)(p=0.919)、20μg(0.27%±0.21%)(p=0.274)、または30μg(0.25%±0.14%)(p=0.377)のpGX1429で免疫した群における抗原特異的CD8+T応答の頻度は、未処理(0.07%±0.01%)と比較して統計的有意性に接近しなかった。サバイビン1T3特異的CD8+T細胞の頻度は、50μgのpGX1429で免疫した群において統計的有意性(0.36%±0.21%)(p=0.051)に接近した(
図7F)。合成コンセンサスサバイビン抗原1および合成コンセンサスサバイビン抗原1T3の両方は、大きさおよび表現型において同様のCD8+T細胞応答を誘導した。抗原特異的CD8+T細胞は、主にIFNγ+IL-2-TNFα-、IFNγ+IL-2-TNFα+であった(
図7G、
図7H)。抗原特異的CD8+T細胞の頻度は、表7でさら詳細に記載した。
【表7】
【0214】
合成コンセンサスサバイビン抗原1(
図10A)および合成コンセンサスサバイビン抗原1T3(
図10B)により誘導されたおよそ25%のサイトカイン陽性CD4+T細胞は、CD107aについても陽性であり、CD4+T細胞を介した細胞溶解機能の可能性を示している。合成コンセンサスサバイビン抗原1のすべての用量は、未処理(0.01%±0.01%)よりも有意に高いCD4+CD107a+T細胞の頻度を誘導した。詳細には、抗原特異的CD4+CD107a+T細胞の頻度は、10μg(p=0.013)、20μg(p<0.001)、30μg(p=0.050)、および50 μg(p<0.001)用量群のそれぞれにおいて、0.25%±0.08%、0.36%±0.11%、0.21%±0.15%、および0.38%±0.13%であった(
図10A)。合成コンセンサスサバイビン抗原1T3は、10μg用量群(0.18%±.0.09%)(p=0.147)を除くすべての群で、未処理(0.01±0.01)よりも有意に高いCD4+CD107a+T細胞の頻度を誘導した。抗原特異的CD4
+CD107a
+T細胞の頻度は、20μg(p=0.030)、30 μg(p=0.010)、および50μg(p=0.004)用量群のそれぞれにおいて、0.24%±0.12%、0.27%±0.12%、および0.29%±0.16%であった(
図10B)。細胞溶解能を有する抗原特異的CD4
+T細胞の頻度を、表8でさらに詳細に記載する。
【表8】
【0215】
抗原特異的CD8+T細胞の大きさと同様に、合成コンセンサスサバイビン抗原1は、すべての群間でCD8+CD107a+T細胞の頻度に有意な変化を誘導しなかった(p=0.101)(
図10C)。合成コンセンサスサバイビン抗原1T3は、すべての用量群間でCD8+CD107a+T細胞の頻度に有意な変化を誘導した(p=0.034)(
図10D)。抗原特異的CD8+CD107a+T細胞の頻度は、50μgのpGX1429(0.28%±0.22%)で免疫した群で未処理(0.03±0.01)よりも有意に増加した(p=0.026)が、10μg(0.11%±0.08%)(p=0.813)、20μg(0.16%±0.11%)(p=0.450)、30μg(0.16%±0.07%)(p=0.424)の合成コンセンサスサバイビン抗原1T3で免疫した群ではそうではなかった。合成コンセンサスサバイビン抗原特異的CD8+CD107a+T細胞のサイトカインプロファイルは、用量群間にわたり、両方の構築物で類似しており、主にIFNγ+IL-2-TNFα+、IFNγ+IL-2-TNFα-細胞で構成された(
図10E、
図10F)。細胞溶解能を有する抗原特異的CD8
+T細胞の頻度を、表9でさらに詳細に記載する。
【表9】
合成コンセンサスサバイビン抗原構築物により誘導されるIFNγ応答の幅
【0216】
pGX1428およびpGX1429により誘導されたサバイビンに対するIFNγ応答の幅を、ペプチドマトリックスプールアプローチを使用したエピトープマッピングにより調査した(
図11A~11D)。最高用量のpGX1428(n=8)(
図11A)またはpGX1429(n=8)(
図11B)で免疫したマウスからプールした脾臓リンパ球を調査した。
【0217】
以下の合成コンセンサスサバイビン抗原1エピトープは、pGX1428およびpGX1429の両方に存在した:
LPPAWQLFLKDHRISTFKN(配列番号5)(マトリックスプール1、2、3、4、および7)
LKLDRERAKNKIAKETNNK(配列番号6)(マトリックスプール1、2、3、4、および11)
pGX1429に存在する合成コンセンサスサバイビン抗原T3エピトープ:
EWLHHFQGLFP(配列番号7)(マトリックスプール3、4、および7)
【0218】
合成コンセンサスサバイビン抗原1および合成コンセンサスサバイビン抗原1T3により誘導される細胞性免疫応答の合計の大きさは類似していたが、合成コンセンサスサバイビン抗原1T3の合成コンセンサスサバイビン抗原1(pGX1428)領域に対する合成コンセンサスサバイビン抗原1T3(pGX1429)領域により誘発される応答は、合成コンセンサスサバイビン抗原1構築物(pGX1428)により誘導される応答の約半分の大きさであった。マトリックスアプローチを使用したIFNγ ELISpotによるエピトープマッピングにより、両方の合成コンセンサスサバイビン抗原構築物が合成コンセンサスサバイビン抗原1抗原の同じエピトープに対する応答を生成することが明らかになったが、これらのエピトープに対する合成コンセンサスサバイビン抗原1T3により駆動される応答は、大きさが低くなった。合成コンセンサスサバイビン抗原1T3抗原のT3領域に固有のエピトープが存在することも確認した。
【0219】
合成コンセンサスサバイビン抗原1(pGX1428)および合成コンセンサスサバイビン抗原1T3(pGX1429)により誘導される細胞性免疫応答の合計の大きさは類似していたが、合成コンセンサスサバイビン抗原1T3抗原の合成コンセンサスサバイビン抗原1領域に対する合成コンセンサスサバイビン抗原1T3(pGX1429)領域により誘発される応答は、合成コンセンサスサバイビン抗原1構築物(pGX1428)により誘導される応答の約半分の大きさであった。マトリックスアプローチを使用したIFNγ ELISpotによるエピトープマッピングにより、両方の合成コンセンサスサバイビン抗原構築物が合成コンセンサスサバイビン抗原1抗原と同じエピトープに対する応答を生成することが明らかになったが、これらのエピトープに対する合成コンセンサスサバイビン抗原1T3により駆動される応答は、大きさが低くなった。このアプローチを使用して、合成コンセンサスサバイビン抗原1T3抗原のT3領域に固有のエピトープが存在することも確認した。合成コンセンサスサバイビン抗原1T3はまた、未処理と比較して、抗原特異的CD8+およびCD8+CD107a+T細胞の頻度を有意に増加させた一方、合成コンセンサスサバイビン抗原1は、マウスの抗原特異的CD8+T細胞を有意に増加しなかった。合成コンセンサスサバイビン抗原1T3(pGX1429)を、マウスのpGX1428と比較したサバイビンに対する細胞性免疫応答の幅をさらに拡大するその可能性に基づいて、一価の非ヒト霊長類研究に移行するために選択した。
【0220】
実施例5-合成コンセンサスサバイビン抗原1T3(pGX1429)を使用した非ヒト霊長類研究
合成コンセンサスサバイビン1T3の可能性を、単独、ならびに低用量および高用量のIL-12と組み合わせて調査するために、18匹の成体のアカゲザルを、各固有のNHP ID番号により識別し、6匹の3つの群に分けて、以下のようにpGX1429で免疫した。6匹の動物を3.0mgのpGX1429で、6匹を3.0mgのpGX1429に加えてアジュバントとして0.04mgのpGX6006(opt rh IL-12)で、6匹を3.0mgのpGX1429に加えてアジュバントとして0.20mgのpGX6006(opt rh IL-12)で免疫し、SSCにおいて1.0mLの注入量で製剤化した。免疫化注入は、第0、4、8、および12週目に施した。すべての免疫化を、CELLECTRA(登録商標)2000 5P-IM EPデバイスを用いて、滅菌WFIにおいて製剤化された1mlの注入量で、反対側の四肢に交互に筋肉内に実施した。EP条件は以下のとおりである:OpBlock 0070-IM、0.5Amp、3パルス、52ミリ秒、パルス間0.2秒。サバイビン免疫原性を、第2、6、10、および14週目に評価した。サバイビン特異的IFN-ガンマ応答を
図12および13に示す。天然アカゲザルサバイビンおよびpGX1429の間の相同性を表10に示す。
図13および14に示すように、合成コンセンサスサバイビン抗原1T3に加えてアジュバントとして0.20mgのIL-12を免疫した動物では、サバイビン特異的応答の増加を観察した。
【0221】
PBMC単離
非ヒト霊長類全血を、抗凝固剤およびゲルバリアを含むクエン酸ナトリウム細胞調製チューブ(CPT CPTのBD Biosciences)に収集した。一晩輸送する前に、PMBCを分離および濃縮するために、採取後すぐ(2時間以内)に全血を遠心分離する。赤血球および好中球をチューブの底に沈殿し、ゲルバリアにより所定の位置に保持した。血漿およびリンパ球は、ゲルバリアの上に残存する。各CPTは、約8mLの血液を保持でき、室温で輸送される。回転したCPTチューブをPBMC単離用に処理した。塩化アンモニウム-カリウム(ACK)緩衝液で赤血球を溶解した後、生細胞をInvitrogenのCountess(商標)Automated Cell Counterを使用してカウントし、完全培養培地(10%FBS、抗生物質、およびβメルカプトエタノールを添加したRPMI 1640)に再懸濁した。本明細書に記載されるアッセイが完了したら、残りのPBMCをクライオバイアル内の凍結培地(Seradigmからの90%FBS中のSigmaからの10%DMSO)で凍結させ、液体窒素中で長期間保存した。
【0222】
IFNγ ELISpot
ワクチンにより誘導される抗原特異的細胞応答を評価するために、キット(MabTech IFNγ ELISpotPro、#3421M-2APW-10)を使用して、サルIFNγ ELISpotアッセイを、各時点で単離したPMBCで実施した。簡単に言えば、抗サルIFNγ抗体(mAb MT126L)で予めコーティングされた96ウェルプレートをPBSで洗浄し、完全培養培地(10%FBS、抗生物質、およびβメルカプトエタノールを添加したRPMI 1640)で、室温で2時間遮断した。NHP PBMCを、R10培地に再懸濁した(その後、ウェルあたり2×105細胞の入力細胞数で、3連で追加した)。ペプチドのセットが合成され(GenScript)、各々が合成コンセンサスタンパク質配列全体を表す11個のアミノ酸が重複する15のアミノ酸残基を含む。これらのペプチドのセットをDMSO(Sigma)に再懸濁し、約2μg/mLの各それぞれのペプチドの濃度でプールにプールした。すべての抗原特異的なプールしたペプチドを、1:100希釈で使用し、PBMCと組み合わせると、各ウェルで最終希釈が1:200となる。各抗原タンパク質のサイズの変動により、サバイビンの2つのペプチドプールが得られた。
【0223】
抗CD3(mAb CD-2 Mabtech)および/またはPMA(Sigma)とイオノマイシン(Sigma)とを陽性対照として使用した。完全なR10培養培地を陰性対照として使用した。プレートを、5%のCO2雰囲気のインキュベータ中で、37℃で約18時間インキュベートした。細胞を除去し、ALP複合抗サルIFNγ検出抗体(MabTech Ab 7-B6-1-ALP)を追加した後、プレートを室温で2時間インキュベートした。次に、キットの製造元の指示(MabTech)に従って、BCIP/NBT基質溶液を使用してサンドイッチ免疫酵素アッセイを展開した。青黒色の沈殿物がスポットとして形成され、個々のIFNγ産生細胞が明らかになる。次に、スポットを、CTLImmunoSpot(登録商標)分析機器およびソフトウェア(Cellular Technology)によりスキャンおよびカウントして、訓練されたオペレータにより品質管理される。IFNγ応答を、培地のみの対照におけるSFUよりも大きい1x10
6 PBMCに対するスポット形成単位(SFU)として報告した。
【表10】
【表11】
【0224】
群1、2、および3は、以下を受けた:
・群1-3.0mgのpGX1429(合成コンセンサスサバイビン1T3)。SSCにおいて1.0mLの注入量、IMで製剤化した。
・群2-3.0mgのpGX1429(合成コンセンサスサバイビン1T3)+0.04 pGX6006(opt.rIL-12)。SSCにおいて1.0mLの注入量、IMで製剤化した。
・群3-3.0mgのpGX1429(合成コンセンサスサバイビン1T3)+0.20 pGX6006(opt.rIL-12)。SSCにおいて1.0mLの注入量、IMで製剤化した。
【0225】
すべての群は、以下のスケジュールに従って免疫した:
・免疫化1(第0週目)
・免疫化2(第4週目)
・免疫化3(第8週目)
・免疫化4(第12週目)
・免疫化5(任意)
【0226】
結果
サバイビン特異的IFNγ応答を、群1~3のそれぞれについて
図12~14に示した。結果は、用量後2週間の各時点での応答を示す。全体として、すべての群および個々の動物は、予め採血されたベースラインと比較して、用量4の2週間後の試験終了までに応答の増加を有した。より高用量のIL-12(0.2mg)を追加すると、サバイビン単独またはサバイビン+0.04mgのIL-12と比較して、各時点でより一貫した応答が得られた。PD2初期のより高い応答は、サバイビン+0.2mgのIL-12でも認められた。
【0227】
表12~14に示すように、免疫化により測定された生理学的パラメータのいずれにも差異は存在しなかった。RBC、HCT、好中球、リンパ球、単球、好酸球で有意差は認められなかった(結果は示されていない)。これらの値は、この種、性、および同様の実験手順を受けている年齢の動物について予想された範囲内であった。記載された正常範囲からのいかなる変動も散発的な性質のものであり、一方の性のみに存在し、用量レベルまたはタイミングとは関係しない。
【表12】
【表13】
【表14】
【0228】
すべての群について、研究の過程にわたり体重に著しい変化はなかった(データは示していない)。
【0229】
全体的な結果は、単独で投与した合成コンセンサスサバイビンが、NHPの100%において免疫応答を誘導できることを示す。IL-12アジュバントの追加により、合成コンセンサスサバイビンで認められた応答が向上し、より早く、より大きな応答PD2が得られたが、より高い用量のIL-12を用いた場合のみであった。
【0230】
前述の詳細な説明および付随する実施例は一例にすぎず、添付の特許請求の範囲およびそれらの等価物によってのみ定義される本発明の範囲に対する制限であると解釈されないことが理解される。
【0231】
本開示の実施形態に対する様々な変更および修正は、当業者には明らかであろう。限定されないが、本発明の化学構造、置換基、誘導体、中間体、合成、組成物、製剤、または使用方法に関連するものを含む、本開示の実施形態に対するそのような変更および修正は、その趣旨および範囲から逸脱することなく行うことができる。
本開示の実施形態に対する様々な変更および修正は、当業者には明らかであろう。限定されないが、本発明の化学構造、置換基、誘導体、中間体、合成、組成物、製剤、または使用方法に関連するものを含む、本開示の実施形態に対するそのような変更および修正は、その趣旨および範囲から逸脱することなく行うことができる。
[1] (a)配列番号2のアミノ酸19~159をコードする核酸配列、
(b)配列番号4のアミノ酸19~210をコードする核酸配列、
(c)配列番号8のアミノ酸19~232をコードする核酸配列、
(d)配列番号2のアミノ酸19~159の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列、
(e)配列番号4のアミノ酸19~210の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列、
(f)配列番号8のアミノ酸19~232の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列、
(g)配列番号2のアミノ酸19~159と少なくとも95%同一であるタンパク質をコードする核酸配列、
(h)配列番号4のアミノ酸19~210と少なくとも95%同一であるタンパク質をコードする核酸配列、
(i)配列番号8のアミノ酸19~232と少なくとも95%同一であるタンパク質をコードする核酸配列、
(j)配列番号2のアミノ酸19~159と少なくとも95%同一であるタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列、
(k)配列番号4のアミノ酸19~210と少なくとも95%同一であるタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列、および
(l)配列番号8のアミノ酸19~232と少なくとも95%同一であるタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む、核酸分子。
[2] (a)配列番号1のヌクレオチド55~423、
(b)配列番号3のヌクレオチド55~636、
(c)配列番号1のヌクレオチド55~423の全長の少なくとも90%を含む断片、
(d)配列番号3のヌクレオチド55~636の全長の少なくとも90%を含む断片、
(e)配列番号1のヌクレオチド55~423と少なくとも95%同一である断片、
(f)配列番号3のヌクレオチド55~636と少なくとも95%同一である断片、
(g)配列番号1のヌクレオチド55~423と少なくとも95%同一である核酸配列の少なくとも90%を含む断片、および
(h)配列番号3のヌクレオチド55~636と少なくとも95%同一である核酸配列の少なくとも90%を含む断片からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む、核酸分子。
[3] (a)配列番号2をコードする核酸配列、
(b)配列番号4をコードする核酸配列、
(c)配列番号8をコードする核酸配列、
(d)配列番号2の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列、
(e)配列番号4の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列、
(f)配列番号8の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列、
(g)配列番号2と少なくとも95%同一であるタンパク質をコードする核酸配列、
(h)配列番号4と少なくとも95%同一であるタンパク質をコードする核酸配列、
(i)配列番号8と少なくとも95%同一であるタンパク質をコードする核酸配列、
(j)配列番号2と少なくとも95%同一であるタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列、
(k)配列番号4と少なくとも95%同一であるタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列、および
(l)配列番号8と少なくとも95%同一であるタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む、核酸分子。
[4] (a)配列番号1、
(b)配列番号3、
(c)配列番号1の全長の少なくとも90%を含む断片、
(d)配列番号3の全長の少なくとも90%を含む断片、
(e)配列番号1と少なくとも95%同一である断片、
(f)配列番号3と少なくとも95%同一である断片、
(g)配列番号1と少なくとも95%同一である核酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片、および
(h)配列番号3と少なくとも95%同一である核酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む、核酸分子。
[5] 配列番号1に示される核酸配列を含む、核酸分子。
[6] 配列番号3に示される核酸配列を含む、核酸分子。
[7] 薬剤として使用するための、請求項1~6のいずれか一項に記載の核酸分子。
[8] がんの治療における薬剤として使用するための、請求項1~7のいずれか一項に記載の核酸分子。
[9] 薬剤の調製に使用するための、請求項1~6のいずれか一項に記載の核酸分子。
[10] がんの治療のための薬剤の調製において使用するための、請求項1~6および9のいずれか一項に記載の核酸分子。
[11] 請求項1~10のいずれか一項に記載の核酸分子を含む、ベクター。
[12] プラスミドまたはウイルスベクターを含む、請求項11に記載のベクター。
[13] 請求項1~10のいずれか一項に記載の1つ以上の核酸分子を含む、組成物。
[14] 薬学的に許容される担体を含む、請求項13に記載の組成物。
[15] 請求項11または12に示される1つ以上のベクターを含む、組成物。
[16] (a)配列番号2のアミノ酸19~159、
(b)配列番号4のアミノ酸19~210、
(c)配列番号8のアミノ酸19~232、
(d)配列番号2のアミノ酸19~159の全長の少なくとも90%を含む断片、
(e)配列番号4のアミノ酸19~210の全長の少なくとも90%を含む断片、
(f)配列番号8のアミノ酸19~232の全長の少なくとも90%を含む断片、
(g)配列番号2のアミノ酸19~159と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列、
(h)配列番号4のアミノ酸19~210と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列、
(i)配列番号8のアミノ酸19~232と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列、
(j)配列番号2のアミノ酸19~159と少なくとも95%同一であるアミノ配列の全長の少なくとも90%を含む断片、
(k)配列番号4のアミノ酸19~210と少なくとも95%同一であるアミノ配列の全長の少なくとも90%を含む断片、
(l)配列番号8のアミノ酸19~232と少なくとも95%同一であるアミノ配列の全長の少なくとも90%を含む断片からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、タンパク質。
[17] (a)配列番号2、
(b)配列番号4、
(c)配列番号8、
(d)配列番号2の全長の少なくとも90%を含む断片、
(e)配列番号4の全長の少なくとも90%を含む断片、
(f)配列番号8の全長の少なくとも90%を含む断片、
(g)配列番号2と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列、
(h)配列番号4と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列、
(i)配列番号8と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列、
(j)配列番号2と少なくとも95%同一であるアミノ配列の全長の少なくとも90%を含む断片、
(k)配列番号4と少なくとも95%同一であるアミノ配列の全長の少なくとも90%を含む断片、および
(l)配列番号8と少なくとも95%同一であるアミノ配列の全長の少なくとも90%を含む断片からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、タンパク質。
[18] 配列番号2に示されるアミノ酸配列を含む、タンパク質。
[19] 配列番号4に示されるアミノ酸配列を含む、タンパク質。
[20] 配列番号8に示されるアミノ酸配列を含む、タンパク質。
[21] 請求項1~10のいずれか一項に記載の核酸分子を含む、ワクチン。
[22] 請求項11または12に記載のベクターを含む、ワクチン。
[23] 薬学的に許容される賦形剤をさらに含む、請求項18~20のいずれか一項に記載のワクチン。
[24] アジュバントをさらに含む、請求項21~23のいずれか一項に記載のワクチン。
[25] 前記アジュバントが、IL-12、IL-15、IL-28、またはRANTESである、請求項24に記載のワクチン。
[26] サバイビンを発現するがん性細胞を有する対象を治療する方法であって、請求項20~25のいずれか一項に記載のワクチンの治療有効量を投与することを含む、方法。
[27] 投与が、エレクトロポレーションステップを含む、請求項26に記載の方法。
[28] 投与が、前記対象の1つ以上の部位で行われる、請求項26または27に記載の方法。
[29] サバイビンを発現するがん性細胞に対して対象にワクチン接種する方法であって、体液性または細胞性免疫応答を誘導するのに有効な量の、請求項20~25のいずれか一項に記載のワクチンを投与することを含む、方法。