(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023155264
(43)【公開日】2023-10-20
(54)【発明の名称】非熱プラズマ発生を用いる滅菌システム及び方法
(51)【国際特許分類】
A61L 2/14 20060101AFI20231013BHJP
【FI】
A61L2/14
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023127749
(22)【出願日】2023-08-04
(62)【分割の表示】P 2020529590の分割
【原出願日】2018-11-30
(31)【優先権主張番号】62/592,785
(32)【優先日】2017-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/204,567
(32)【優先日】2018-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】591203428
【氏名又は名称】イリノイ トゥール ワークス インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100112357
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 繁樹
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】マーク エドワード ホグセット
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン バーナード ヘイマン
(72)【発明者】
【氏名】カール ニューバーグ
(57)【要約】
【課題】ウイルス、細菌及び/又は芽胞が収集され再分散されている一般的な環境における感染伝播を実質的に低減する。
【解決手段】非熱プラズマ(NTP)イオン化を用いる滅菌システム及び方法を開示する。生存微生物の不活化方法例は、所定容積体118、120内で、所定容積体の幾何学的形状に基づいて、複数の天井取付型、直流(DC)又は交流(AC)、両極性又は定常状態のイオンエミッターモジュール104を設置し、各々が高電圧電源(HVPS)110を備える複数の天井取付型イオンエミッターモジュールを用いて、DC又はAC、両極性又は定常状態の非熱プラズマ(NTP)を生成することにより、生存微生物を不活化することを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生存微生物の不活化方法において、
所定容積体内で、
前記所定容積体の幾何学的形状に基づいて、複数の天井取付型、直流(DC)又は交流(AC)、両極性又は定常状態のイオンエミッターモジュールを設置し、
各々が高電圧電源(HVPS)を備える前記複数の天井取付型イオンエミッターモジュールを用いて、DC又はAC、両極性又は定常状態の非熱プラズマ(NTP)を生成することにより、生存微生物を不活化することを含む方法。
【請求項2】
前記複数の天井取付型イオンエミッターモジュールの前記設置は、目標イオン密度に基づく前記所定容積体内のモジュール密度を有するように前記複数の天井取付型イオンエミッターモジュールを配置することを含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記目標イオン密度は、前記所定容積体内の部分容積体に対応する請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記複数の天井取付型イオンエミッターモジュールをコントローラーモジュールに接続することと、
前記コントローラーモジュールを用いて前記複数の天井取付型イオンエミッターモジュールを制御することとを更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記非熱プラズマの前記生成は、パルス状DCモード、定常状態DCモード又はACモードのうちの少なくとも1つで前記非熱プラズマを発生させるように、前記複数の天井取付型イオンエミッターモジュールの少なくとも一部分を制御することを含む請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記複数の天井取付型イオンエミッターモジュールの前記設置は、該天井取付型イオンエミッターモジュールに、該天井取付型イオンエミッターモジュールのエミッターを保護するステンレス鋼シュラウドを設けることを含む請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記非熱プラズマの前記生成は、交番極性を有する非熱プラズマを発生させることを含む請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記非熱プラズマの前記生成は、前記複数の天井取付型イオンエミッターモジュールのうちの異なるものを用いて異なるプラズマ密度で該非熱プラズマを発生させることを含む請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記非熱プラズマの前記生成は、該非熱プラズマに前記所定容積体を横断させることを更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記非熱プラズマの前記生成は、前記所定空間内に存在する細菌、芽胞、真菌及びウイルスの、該細菌、芽胞、真菌及びウイルスの少なくともそれぞれの閾値割合での不活性化を含む請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記非熱プラズマの前記生成は、中性の正味電荷を生成することを含む請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願]
本国際出願は、「Systems and Methods for Sterilization Using Nonthermal Plasma Ionization」と題する2018年11月29日に出願された米国特許出願第16/204,567号及び「Systems and Methods for Sterilization Using Nonthermal Plasma Ionization」と題する2017年11月30日に出願された米国仮特許出願第62/592,785号の優先権を主張する。米国特許出願第16/204,567号及び米国仮特許出願第62/592,785号の全体は、引用することにより本明細書の一部をなす。
【0002】
本開示は、滅菌に関し、より詳細には、非熱プラズマイオン化を用いる滅菌システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
医療デバイス及び/又は医薬品製造を含む医療関係の環境における疾患/感染伝播の歴史的な流行に起因して、伝播の低減/排除に対処する技法が模索され実施されてきた。伝播の低減は、特定の密閉された作業(例えば、オートクレーブ交換)に対しては達成されたが、実質的な量のウイルス、細菌及び/又は芽胞が収集され再分散されている(すなわち、伝播されている)一般的な環境に対しては達成されていない。
【発明の概要】
【0004】
特許請求の範囲により完全に示す、実質的に図のうちの少なくとも1つによって例示しそれに関連して記載する、非熱プラズマ発生(イオン化)を用いる滅菌方法及びシステムを提供する。
【0005】
これらの態様及び/又は他の態様は、添付図面に関して行う、例示的な実施形態の以下の説明から明らかになり、より容易に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本開示の態様による非熱プラズマ滅菌システム例の概略図である。
【
図2】本開示の態様による、非熱プラズマ滅菌を用いる生存微生物を不活化する方法例を表すフローチャートである。
【
図3】本開示の態様による、DC又はAC、両極性又は定常状態のイオンエミッターモジュールの数及び構成を決定する方法例を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図は、必ずしも正確な尺度で描かれていない。適切な場合は、同様な又は同一の参照番号を用いて同様の又は同一の構成要素を指す。
【0008】
開示する方法例及びシステム例は、典型的には、医療手術領域、実験室、医薬品又は医療デバイス製造空間に対して、表面上及び空中浮遊の双方において感染性微生物を適所で連続的に駆除することによって包括的に対処する。特に、開示する方法例及びシステム例は、エアロゾル液滴、浮遊分子状汚染物質、又は局所環境において人の活動によって発生した大粒子のいずれであっても、浮遊粒子に付着するウイルス、細菌及び芽胞を、連続的に及び/又はリアルタイムに非熱プラズマ(NTP)を用いて滅菌及び/又は殺菌する。
【0009】
いくつかの例では、NTP発生システムは、既存の構造物の天井に設置され、又は、計画段階で施設に組み込まれるように設計される。開示するシステム例は、モジュール式であり、既に建設されている施設を改良する困難さを低減させる。こうした開示するシステムは、天井イオン化システム、天井ベースイオン化システム及び/又はルームイオン化システムと呼ぶ。
【0010】
開示するシステム例は、独立型PC又はVM(仮想マシン)いずれかの装置に対するコンピューターベースのソフトウェアを用いる、包括的なデジタルNTP発生制御及び監視を含む。いくつかの例では、ワイヤレス(例えば、赤外線)を用いるリモートハンドヘルドプログラミングユニットにより、システムのプログラミング及び保守能力が向上する。
【0011】
開示する生存微生物の不活化方法例は、所定容積体内で、所定容積体の幾何学的形状に基づいて、複数の天井取付型、直流(DC)又は交流(AC)、両極性又は定常状態のイオンエミッターモジュールを設置し、各々が高電圧電源(HVPS)を備える複数の天井取付型イオンエミッターモジュールを用いて、DC又はAC、両極性又は定常状態の非熱プラズマ(NTP)を生成することにより、生存微生物を不活化することを含む。
【0012】
いくつかの例では、複数の天井取付型イオンエミッターモジュールの設置は、目標イオン密度に基づく所定容積体内のモジュール密度を有するように複数の天井取付型イオンエミッターモジュールを配置することを含む。このようないくつかの例は、目標イオン密度は、所定容積体内の部分容積体に対応する。いくつかの例では、天井取付型イオンエミッターモジュールの設置は、天井取付型イオンエミッターモジュールのエミッターを保護するために、天井取付型イオンエミッターモジュールにステンレス鋼シュラウドを設けることを含む。
【0013】
いくつかの方法例は、複数の天井取付型イオンエミッターモジュールをコントローラーモジュールに接続することと、コントローラーモジュールを用いて複数の天井取付型イオンエミッターモジュールを制御することとを更に含む。いくつかの例では、非熱プラズマの生成は、パルス状DCモード、定常状態DCモード又はACモードのうちの少なくとも1つで非熱プラズマを発生させるように、複数の天井取付型イオンエミッターモジュールの少なくとも一部分を制御することを含む。
【0014】
いくつかの方法例では、非熱プラズマの生成は、交番極性を有する非熱プラズマを発生させることを含む。いくつかの例では、非熱プラズマの生成は、複数の天井取付型イオンエミッターモジュールのうちの異なるいくつかを用いて、異なるプラズマ密度で非熱プラズマを発生させることを含む。いくつかの例では、非熱プラズマの生成は、非熱プラズマに所定の容積体を横断させることを更に含む。
【0015】
いくつかの方法例では、非熱プラズマの生成は、所定空間に存在する細菌、芽胞、真菌及びウイルスを、それら細菌、芽胞、真菌及びウイルスの少なくともそれぞれの閾値割合で不活性化することを含む。いくつかの例では、非熱プラズマの生成は、中性の正味電荷を生成することを含む。
【0016】
図1は、非熱プラズマ滅菌システム例100の概略図を示す。
図1のシステム例100を用いて、空中に浮遊するか又は表面で運ばれるかのいずれであっても、細菌、芽胞、真菌及び/又はウイルス等の微生物からの部屋102全体の滅菌を提供することができる。システム例100は、モジュール式であり、新規の部屋内に設置することができ、及び/又は任意のサイズ若しくは構成の既存の部屋を改良するように設置することができる。
【0017】
システム例100は、ACタイプ若しくはDCタイプのいずれかであり、及び/又は両極性若しくは定常状態モードで動作することができる、1又は複数の天井取付型イオンエミッターモジュール104を備える。モジュール104は、間隔が空けられた格子等、任意の所望の構成で取り付けることができる。格子配置内のモジュール104の密度及び構成は、所望のレベルのイオン被覆率(例えば、特定の滅菌レベルを達成するために必要なイオン密度)に基づくことができる。
【0018】
図1のイオンエミッターモジュール例104の各々は、個々のDC又はAC高電圧電源(HVPS)110によって電力が供給される2つの別個のエミッター106、108を介して、DC又はAC、両極性又は定常状態の非熱プラズマ(NTP)を生成する。HVPS110は、イオンエミッターモジュール104の各々に対して同じか又は異なるエミッター出力を提供することができる。いくつかの例では、HVPS110は、0kVDC~20kVDCの電圧と0μA~2μAの電流とを提供する。HVPS例110は、低電圧(例えば、24VAC又はVDC)配線によって電力を提供することができる。
【0019】
ACタイプ又はDCタイプいずれかのイオンエミッターモジュール例104は、可変パルス間隔又は定常状態を用いて及び/又は可変の電力設定を用いて大きくかつ広がるNTPを発生させるように操作される。イオンエミッターモジュール104によって発生する、DC又はAC、両極性又は定常状態のNTPは、密閉された部屋102を交番極性NTPで充填するように広がる。イオンエミッターモジュール例104は、パルス状DCモード、定常状態DCモード、スタンバイモード及び/又はモードの任意の組み合わせ等のプラズマ生成モードを用いて動作させることができる。イオンエミッターモジュール104は、制御された医療空間、実験室空間又は製造空間に一般に適用される殺菌化学処理に対して高い耐性を示す材料で構築される。材料例としては、ステンレス鋼、及び/又は業界仕様によって規定される他の任意の材料が挙げられる。
【0020】
システム100におけるイオンエミッターモジュール104(DC又はAC、両極性又は定常状態)は、1又は複数のデジタルコントローラー112、114を用いてデジタルで制御される。デジタルコントローラー例112は、イオンエミッターモジュール104の第1の組を制御し、デジタルコントローラー114は、イオンエミッターモジュール104の第2の組を制御する。デジタルコントローラー例112、114は、制御することができるイオンエミッターモジュール104、及び/又は提供することができる特徴の数が異なる可能性がある。イオンエミッターモジュール104は、コントローラー112、114によって個々にアドレス指定可能である。いくつかの例では、マルチプルコントローラーシステムにおけるコントローラー112、114のうちの一方は、マスターコントローラーとして指定することができる。
【0021】
イオンエミッターモジュール104は、電源及び/又は制御の目的で、並列及び/又はデイジーチェーン式に接続することができる。イオンエミッターモジュール104は、デジタルコントローラー112、114を介して、汎用コンピューターで実行されるソフトウェアマネージャープログラムを介して、及び/又はハンドヘルドプログラミングデバイスを介して、個々にプログラム可能である。ソフトウェアマネージャープログラム例は、例えば、視覚及び/又はシステムアラームモード処理によりエミッターポッドレイアウトマップを表示し、及び/又は、エミッターポッド保守アラーム、エミッターポッド故障、性能劣化及び/又は他の任意の構成、及び/又は診断情報を管理することができる。コントローラー例112、114及び/又はイオンエミッターモジュール104は、デジタルコントローラー112、114又は特定のエミッターモジュールの場所でハンドヘルド端末を介してアクセス可能及び/又はプログラム可能である。
【0022】
イオンエミッターモジュール例104は、ワイヤレス通信機能(例えば、赤外線、WiFi、Bluetooth(登録商標)、NFC、Zigbee(登録商標)等)を有し、ハンドヘルドワイヤレスプログラミングデバイス116を介して下方から直接個々のプログラムすることができる。プログラミングデバイス116を用いて、1又は複数のイオンエミッターモジュール104の構成を検証することができる。
【0023】
HVPS例110及び/又はコントローラー例112、114は、部屋102内に、部屋102に直接隣接して(例えば、天井の上方に)、及び/又はイオンエミッターモジュール104から遠隔場所(例えば、異なる部屋)に配置することができる。
【0024】
システム例100は、3つのイオンエミッターモジュール104があるように例示するが、特定の部屋及び/又は部屋の部分に対する所望のイオン化被覆率に基づき、任意の数のイオンエミッターモジュール104及び/又はコントローラー112、114を用いることができる。天井取付型システム例100は、システム100が設置される部屋102の天井から床までの空間全体を均一に覆うように構成することができる。
【0025】
いくつかの例では、所与の部屋の部分容積体118、120又は部分領域を、局所的な目標被覆率を提供するように選択的にイオン化することができ、及び/又は、部屋102の異なる部分容積体又は部分領域を、異なるイオン密度でイオン化することができる。例えば、部屋102の部分容積体118は、部屋102の部分容積体120より高い密度のイオンエミッターモジュール104を有することができる。イオンエミッターモジュール104の数及び/又は構成は、部屋102及び/又は部屋102の部分容積体のイオン密度に基づいて選択及び/又は決定される。
【0026】
動作時、イオンエミッターモジュール104は、実質的に中性の正味電荷を生成しながら、正イオン122及び負イオン124を含むDC又はAC、両極性又は定常状態の非熱プラズマを生成して、空中浮遊の及び/又は表面で運ばれる微生物(例えば、細菌、芽胞、真菌及び/又はウイルス)を不活化する。イオンエミッターモジュール104は、交番極性を有し、及び/又は正の極性及び負の極性の双方を有するイオンを(例えば、異なる電極を用いて)同時に発生させる、非熱プラズマを生成することができる。
【0027】
イオンエミッターモジュール104及び/又はプラズマ生成モードの構成に基づいて、イオンエミッターモジュール例104は、部屋102の異なる部分に対して異なるプラズマ密度で非熱プラズマを発生させることができる。イオンエミッターモジュール104は、イオン122、124に、部屋102の全体及び/又は少なくとも部屋102の所定容積体を横断させるように、非熱プラズマを発生させる。
【0028】
イオンエミッターモジュール104及びコントローラー112、114の実施態様例は、Richie,Jr.らによる米国特許第8,861,166号及びSteinmanらによる米国特許第4,901,194号に記載されている。米国特許第8,861,166号及び米国特許第4,901,194号の全体は、引用することにより本明細書の一部をなす。
【0029】
図2は、非熱プラズマ滅菌を用いて生存微生物を不活化する方法例200を表すフローチャートである。方法例200について、以下、
図1のシステム例100に関連して説明する。
【0030】
ブロック202において、滅菌すべきである部屋(例えば、部屋102)の容積及び/又は面積が求められる。滅菌は、連続的とも非連続的ともすることができ、及び/又は、部屋102の異なる部分(例えば、部分容積体118、120)は、異なる滅菌要件を有する場合がある。いくつかの例では、部屋102に対して微生物低減レベル(例えば、対数死滅率(log-kill ratio))を規定することができる。
【0031】
ブロック204において、部屋102の容積及び面積に基づいて、イオンエミッターモジュールの数及び構成が決定される。例えば、部屋102の容積及び/又は面積、部屋102の高さ、部屋102内の気流速度、及び/又はイオンエミッターモジュール104のイオン化能力に基づいて、特定の滅菌、容積イオン被覆率及び/又は面積イオン被覆率を達成するために必要な1又は複数のイオン化レベルを提供するために必要なイオンエミッターモジュール104の数を決定することができる。
【0032】
ブロック206において、決定された数のイオンエミッターモジュール104が、決定された構成で設置される。例えば、イオンエミッターモジュール104は、所望のイオン化を提供するために部屋102の天井に設置される。イオンエミッターモジュール104の設置は、イオンエミッターモジュール104をそれぞれのHVPS110に接続することを更に含むことができる。
【0033】
ブロック208において、イオンエミッターモジュール104は、1又は複数のコントローラーモジュール(例えば、
図1のデジタルコントローラー112、114)に接続される。例えば、イオンエミッターモジュール104は、バス、ポイントツーポイント接続、ワイヤレス接続及び/又は他の任意の接続を介してデジタルコントローラー112、114に結合することができる。いくつかの例では、イオンエミッターモジュール104の第1のサブセットは、デジタルコントローラー112に結合され、デジタルコントローラー112の制御能力によって決まる。イオンエミッターモジュール104の第2のサブセットは、デジタルコントローラー114に接続される(デジタルコントローラー114の制御能力によって決まる)。
【0034】
ブロック210において、イオンエミッターモジュール104は、接続されたコントローラーモジュール112、114を用いて構成される。例えば、イオンエミッターモジュール104は、1又は複数のプラズマ生成モード(例えば、パルス状DCモード、定常状態DCモード、スタンバイモード及び/又はモードの任意の組み合わせ)、パルス間隔及び/又は他の任意の構成可能な態様に対して構成することができ、それらの少なくともいくつかは、米国特許第8,861,166号及び米国特許第4,901,194号に記載されている。
【0035】
ブロック212において、コントローラー例112、114は、微生物の不活化が必要であるか否かを判断することができる。いくつかの例では、コントローラー112、114は、より一般的には、スケジュール、及び/又は部屋102の滅菌レベルを示す1又は複数のセンサーに基づくことができる、イオン化を行うべきか否かを判断する。いくつかの例では、微生物の不活化は連続的であり、したがって、ブロック212は省略することができる。
【0036】
微生物の不活化が必要である場合(ブロック212)、ブロック214において、コントローラー112、114は、部屋102内の生存微生物を不活化するために、部屋102内に非熱プラズマを生成するようにイオンエミッターモジュール104を制御する。例えば、イオンエミッターモジュール104は、正イオン122及び負イオン124を発生させて、部屋102内に実質的に中性の電荷をもたらす一方で、正イオン122及び/又は負イオン124は空中浮遊の及び/又は表面で運ばれる微生物を不活化する。
【0037】
方法例200では、ブロック212及び214は反復して、部屋102に滅菌を提供するために適切であるように非熱プラズマを発生させる。
【0038】
図3は、
図1のイオンエミッターモジュール104の数及び構成を決定する方法例300を表すフローチャートである。方法例300は、
図2のブロック204を実施するように実行することができ、
図2のブロック202を実行した後に開始することができる。
【0039】
1つの部屋の異なる部分に対して複数のイオン密度が必要である場合(ブロック302)、ブロック304において、部屋102の部分容積体(例えば、部分容積体118、120)のそれぞれの容積、面積及びイオン密度が決定される。ブロック306において、部屋102の部分容積体118、120に対するイオンエミッターモジュールの数及び構成が、それぞれの容積、面積及びイオン密度に基づいて決定される。
【0040】
1つの部屋の異なる部分に対して複数のイオン密度が必要ではない(例えば、その部屋102に対する同じイオン密度が許容可能である)場合(ブロック302)、ブロック308において、その部屋102の全体的な容積、面積及びイオン密度に対して、イオンエミッターモジュールの数及び構成が決定される。
【0041】
イオンエミッターモジュールの数及び構成を決定した後、方法例300は終了する。そして、方法例200は、ブロック206で再開することができる。
【0042】
本方法及びシステムは、ハードウェア、及び/又はi)ハードウェア及びii)ソフトウェア及び/又はファームウェアの組み合わせで具現化することができる。本方法及び/又はシステムは、少なくとも1つのコンピューティングシステムにおいて集中化方式で、又は、異なる要素がいくつかの相互接続されたコンピューティングシステムにわたって広がっている分散方式で、具現化することができる。本明細書に記載した方法を実行するように適合された任意の種類のコンピューティングシステム又は他の装置が適している。ハードウェア及びソフトウェアの典型的な組み合わせは、汎用コンピューティングシステムを、ロードされ実行されるとコンピューティングシステムを本明細書に記載した方法を実行するように制御するプログラム又は他のコードとともに、含むことができる。別の典型的な実施態様は、1又は複数の特定用途向け集積回路又はチップを含むことができる。いくつかの実施態様は、非一時的機械可読(例えば、コンピューター可読)媒体(例えば、フラッシュメモリ、光ディスク、磁気記憶ディスク等)を含むことができ、そうした非一時的機械可読媒体は、機械によって実行可能なコードの1又は複数のラインを記憶し、それにより、機械に、本明細書に記載したようなプロセスを実施させる。本明細書で用いる「非一時的機械可読媒体」という用語は、全てのタイプの機械可読記憶媒体を含み、伝播信号を排除するように定義される。
【0043】
本明細書で使用する「回路」及び「回路構成」という用語は、物理的な電子コンポーネント(すなわち、ハードウェア)と、ハードウェアを構成することができ、ハードウェアが実行することができ、及び/又は他の方法でハードウェアに関連付けることができる、任意のソフトウェア及び/又はファームウェア(「コード」)とを指す。本明細書で用いる場合、例えば特定のプロセッサ及びメモリは、コードの第1の1又は複数のラインを実行しているとき、第1の「回路」を含むことができ、コードの第2の1又は複数のラインを実行しているとき、第2の「回路」を含むことができる。本明細書で使用する「及び/又は」は、「及び/又は」によって連結されるリストにおける項目のうちの任意の1又は複数の項目を意味する。一例として、「x及び/又はy」は、3つの要素の組{(x),(y),(x,y)}のうちの任意の要素を意味する。言い換えれば、「x及び/又はy」は、「x及びyのうちの一方又は両方」を意味する。別の例として、「x、y及び/又はz」は、7つの要素の組{(x),(y),(z),(x,y),(x,z),(y,z),(x,y,z)}のうちの任意の要素を意味する。言い換えれば、「x、y及び/又はz」は、「x、y及びzのうちの1つ以上」を意味する。本明細書で使用する「例示的な」という用語は、非限定的な例、事例又は例証としての役割を果たすことを意味する。本明細書で使用する「例えば」という用語は、1又は複数の非限定的な例、事例又は例証のリストを開始する。本明細書で使用する場合、回路構成は、或る機能を実施するために必要なハードウェア及びコード(いずれかが必要である場合)を含む場合はいつでも、その機能の実施が(例えば、ユーザーが構成可能な設定、工場トリム等により)無効にされる又は有効にされていないか否かに関わりなく、回路構成はその機能を実行するように「動作可能」である。
【0044】
上記に引用した特許及び特許公報は、引用することによってその全体が本明細書の一部をなす。本方法及び/又はシステムを、或る特定の実施態様を参照して記載してきたが、当業者であれば、本方法及び/又はシステムの範囲から逸脱することなく、種々の変更を行うことができること及び均等物に置き換えることができることを理解するであろう。加えて、本開示の範囲から逸脱することなく、本開示の教示に対して特定の状況又は材料を適合させるように多くの改変を行うことができる。したがって、本方法及び/又はシステムは、開示されている特定の実施態様に限定されない。代わりに、本方法及び/又はシステムは、字義どおりにでも均等論のもとにおいても、添付の特許請求の範囲内に入る全ての実施態様を含む。
【符号の説明】
【0045】
100 システム
102 部屋
104 イオンエミッターモジュール
106 エミッター
108 エミッター
110 HVPS例
112 コントローラーモジュール
114 コントローラーモジュール
116 プログラミングデバイス
118 部分容積体
120 部分容積体
122 正イオン
124 負イオン
【手続補正書】
【提出日】2023-09-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0044
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0044】
上記に引用した特許及び特許公報は、引用することによってその全体が本明細書の一部をなす。本方法及び/又はシステムを、或る特定の実施態様を参照して記載してきたが、当業者であれば、本方法及び/又はシステムの範囲から逸脱することなく、種々の変更を行うことができること及び均等物に置き換えることができることを理解するであろう。加えて、本開示の範囲から逸脱することなく、本開示の教示に対して特定の状況又は材料を適合させるように多くの改変を行うことができる。したがって、本方法及び/又はシステムは、開示されている特定の実施態様に限定されない。代わりに、本方法及び/又はシステムは、字義どおりにでも均等論のもとにおいても、添付の特許請求の範囲内に入る全ての実施態様を含む。
本開示の態様の一部を以下記載する。
[態様1]
生存微生物の不活化方法において、
所定容積体内で、
前記所定容積体の幾何学的形状に基づいて、複数の天井取付型、直流(DC)又は交流(AC)、両極性又は定常状態のイオンエミッターモジュールを設置し、
各々が高電圧電源(HVPS)を備える前記複数の天井取付型イオンエミッターモジュールを用いて、DC又はAC、両極性又は定常状態の非熱プラズマ(NTP)を生成することにより、生存微生物を不活化することを含む方法。
[態様2]
前記複数の天井取付型イオンエミッターモジュールの前記設置は、目標イオン密度に基づく前記所定容積体内のモジュール密度を有するように前記複数の天井取付型イオンエミッターモジュールを配置することを含む態様1に記載の方法。
[態様3]
前記目標イオン密度は、前記所定容積体内の部分容積体に対応する態様2に記載の方法。
[態様4]
前記複数の天井取付型イオンエミッターモジュールをコントローラーモジュールに接続することと、
前記コントローラーモジュールを用いて前記複数の天井取付型イオンエミッターモジュールを制御することとを更に含む態様1に記載の方法。
[態様5]
前記非熱プラズマの前記生成は、パルス状DCモード、定常状態DCモード又はACモードのうちの少なくとも1つで前記非熱プラズマを発生させるように、前記複数の天井取付型イオンエミッターモジュールの少なくとも一部分を制御することを含む態様1に記載の方法。
[態様6]
前記複数の天井取付型イオンエミッターモジュールの前記設置は、該天井取付型イオンエミッターモジュールに、該天井取付型イオンエミッターモジュールのエミッターを保護するステンレス鋼シュラウドを設けることを含む態様1に記載の方法。
[態様7]
前記非熱プラズマの前記生成は、交番極性を有する非熱プラズマを発生させることを含む態様1に記載の方法。
[態様8]
前記非熱プラズマの前記生成は、前記複数の天井取付型イオンエミッターモジュールのうちの異なるものを用いて異なるプラズマ密度で該非熱プラズマを発生させることを含む態様7に記載の方法。
[態様9]
前記非熱プラズマの前記生成は、該非熱プラズマに前記所定容積体を横断させることを更に含む態様1に記載の方法。
[態様10]
前記非熱プラズマの前記生成は、前記所定空間内に存在する細菌、芽胞、真菌及びウイルスの、該細菌、芽胞、真菌及びウイルスの少なくともそれぞれの閾値割合での不活性化を含む態様1に記載の方法。
[態様11]
前記非熱プラズマの前記生成は、中性の正味電荷を生成することを含む態様1に記載の方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生存微生物の不活化方法において、
所定容積体内で、
前記所定容積体の幾何学的形状に基づいて、複数の天井取付型、直流(DC)又は交流(AC)、両極性又は定常状態のイオンエミッターモジュールを設置し、
各々が高電圧電源(HVPS)を備える前記複数の天井取付型イオンエミッターモジュールを用いて、DC又はAC、両極性又は定常状態の非熱プラズマ(NTP)を生成することにより、生存微生物を不活化することを含む方法。
【外国語明細書】