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2023-155265イソチオシアネート含有BRASSICACEAE製品及びその調製方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023155265
(43)【公開日】2023-10-20
(54)【発明の名称】イソチオシアネート含有BRASSICACEAE製品及びその調製方法
(51)【国際特許分類】
   C12P 7/00 20060101AFI20231013BHJP
   A23L 31/00 20160101ALI20231013BHJP
   A23L 33/135 20160101ALI20231013BHJP
【FI】
C12P7/00
A23L31/00 ZNA
A23L33/135
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023127796
(22)【出願日】2023-08-04
(62)【分割の表示】P 2020517996の分割
【原出願日】2018-09-27
(31)【優先権主張番号】2017903944
(32)【優先日】2017-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(71)【出願人】
【識別番号】317002869
【氏名又は名称】コモンウェルス サイエンティフィック アンド インダストリアル リサーチ オーガナイゼーション
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【弁理士】
【氏名又は名称】武居 良太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 達則
(72)【発明者】
【氏名】メアリー アン オーグスティーン
(72)【発明者】
【氏名】ネットサネット シフェラウテレフェ
(57)【要約】
【課題】本発明は、Brassicaceae材料からイソチオシアネート含有製品を作製する方法及びそのような方法に使用するための乳酸菌に関する。本発明はまた、そのような方法によって作製されるBrassicaceae材料からのイソチオシアネート含有製品に関する。
【解決手段】Brassicaceae材料を前処理し、ミロシナーゼのグルコシノレートへの接近を改善することと、ii)ステップi)で得られる前記材料を乳酸菌で発酵させ、前記イソチオシアネート含有製品を形成することとを含む方法を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
Brassicaceae材料からのイソチオシアネート含有製品の調製方法であって、
i)前記Brassicaceae材料を前処理し、ミロシナーゼのグルコシノレートへの接近を改善することと、
ii)ステップi)で得られる前記材料を乳酸菌で発酵させ、前記イソチオシアネート含有製品を形成することと
を含む、前記調製方法。
【請求項2】
前記前処理が、以下:
i)加熱、
ii)浸漬、
iii)マイクロ波処理、
iv)高周波音波(超音波)への曝露、または
v)パルス電界処理
のうち1つ以上を含み、
前記Brassicaceae材料の温度が、前処理中に約75℃を超えない、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記前処理が、内因性ミロシナーゼ活性を維持しながら、エピチオ特異タンパク質(ESP)活性を減少させる、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前処理が、前記Brassicaceae材料を加熱して浸漬することを含み、前記Brassicaceae材料の前記温度が、前処理中に約75℃を超えない、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
加熱が浸漬する前に行われるか、または加熱及び浸漬が同時に行われる、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前処理が、前記Brassicaceae材料を約50℃~約70℃の温度に加熱し、続いて浸漬することを含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記Brassicaceae材料が、密封パッケージ中で加熱される、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記Brassicaceae材料が、前記Brassicaceae材料の少なくとも約80%が約2mm以下のサイズとなるように浸漬される、請求項2~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記イソチオシアネート含有製品が、浸漬したBrassicaceae材料よりも、少なくとも約10倍多くイソチオシアネートを含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記イソチオシアネート含有製品が、抽出可能なグルコシノレート含量に基づく、イソチオシアネートの予想される最大収量の少なくとも約2倍を含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
ステップii)からの前記イソチオシアネート含有製品を、pHが約4.4以下となるまで酸性化することをさらに含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記乳酸菌が、Lactobacillus、Leuconostoc、Pediococcus、Lactococcus、Streptococcus、Aerococcus、Carnobacterium、Enterococcus、Oenococcus、Sporolactobacillus、Tetragenococcus、Vagococcus及びWeissellaから選択される属のうち1つ以上から選択される、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記乳酸菌が、Leuconostoc mesenteroides、Lactobacillus plantarum、Lactobacillus pentosus、Lactobacillus brevis、Lactococus lactis、Pediococcus pentosaceus、Lactobacillus rhamnosus及びPedicoccus acidilactiのうち1つ以上から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記乳酸菌がブロッコリーから単離されたものであり、及び/または前記乳酸菌が、ミロシナーゼ活性を欠いている、請求項12または請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記乳酸菌が、
i)Leuconostoc mesenteroides、
ii)Lactobacillus plantarum、
iii)Lactobacillus pentosus、
iv)Lactobacillus rhamnosus、
v)i)及びii)の組合せ、
vi)i)、ii)及びiii)の組合せ、ならびに
vii)i)、ii)及びiv)の組合せ
から選択される、請求項12~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記Leuconostoc mesenteroidesが、2017年9月25日に、National Measurement Institute AustraliaにV17/021729の下で寄託されたBF1及び/または2017年9月25日に、前記National Measurement Institute AustraliaにV17/021730の下で寄託されたBF2である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記乳酸菌が、
i)2017年9月25日に、前記National Measurement Institute AustraliaにV17/021731の下で寄託されたB1、
ii)2017年9月25日に、前記National Measurement Institute AustraliaにV17/021732の下で寄託されたB2、
iii)2017年9月25日に、前記National Measurement Institute AustraliaにV17/021733の下で寄託されたB3、
iv)2017年9月25日に、前記National Measurement Institute AustraliaにV17/021734の下で寄託されたB4、及び
v)2017年9月25日に、前記National Measurement Institute AustraliaにV17/021735の下で寄託されたB5
のうち1つ以上または全てから選択される、請求項12~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
発酵が約10時間~約17日間である、請求項1~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
発酵が約10~約24時間である、請求項1~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
発酵が約22℃~約34℃である、請求項1~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
発酵が約30℃である、請求項1~20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
存在する場合、発酵が、E.coli、Salmonella及びListeriaのうち1つ以上または全ての数を減少させる、請求項1~21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記イソチオシアネートが、約4℃~約25℃で保存される場合、少なくとも4週間、または少なくとも8週間、または少なくとも12週間は安定している、請求項1~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記イソチオシアネート含有製品が、以下の特徴:
i)約4℃~約25℃で保存される場合、少なくとも4週間、または少なくとも8週間、または少なくとも12週間は、酵母、カビ及び/または大腸菌の増殖に対して耐性があること、
ii)少なくとも108CFU/gの濃度で乳酸菌を含むこと、ならびに
iii)イソチオシアネート生物活性誘導体を含むこと
のうち1つ以上または全てを有する、請求項1~23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記グルコシノレートが、グルコラファニン(4-メチルスルフィニルブチル)、シニグリン(2-プロペニル)、グルコナピン(3-ブテニル)、グルコブラシカナピン(4-ペンテニル)、プロゴイトリン(2(R)-2-ヒドロキシ-3-ブテニル)、エピプロゴイトリン(2(S)-2-ヒドロキシ-3-ブテニル)、グルコナポレイフェリン(2-ヒドロキシ-4-ペンテニル)、グルコイベルビリン(3-メチルチオプロピル)、グルコエルシン(4-メチルチオブチル)、デヒドロエルシン(4-メチルチオ-3-ブテニル)、グルコイベリン(3-メチルスルフィニルプロピル)、グルコラフェニン(4-メチルスルフィニル-3-ブテニル)、グルコアリシン(5-メチルスルフィニルペンテニル)、グルコエリソリン(3-メチルスルホニルブチル、4-メルカプトブチル)、グルコブラシシン(3-インドリルメチル)、4-ヒドロキシグルコブラシシン(4-ヒドロキシ-3-インドリルメチル)、4-メトキシグルコブラシシン(4-メトキシ-3-インドリルメチル)、ネオグルコブラシシン(1-メトキシ-3-インドリルメチル)、グルコトロパエオリン(ベンジル)、及びグルコナスツルチイン2-フェニルエチルのうち1つ以上から選択される、請求項1~24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記グルコシノレートが、グルコラファニン(4-メチルスルフィニルブチル)及びグルコブラシシンのうち1つまたは両方から選択される、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記イソチオシアネートがスルフォラファンである、請求項1~26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記イソチオシアネート生物活性誘導体が、イベリン、アリルイソチオシアネート、インドール-3-カルビノール、メトキシ-インドール-3-カルビノール、アスコルビゲン及びネオアスコルビゲンのうち1つ以上または全てから選択される、請求項24に記載の方法。
【請求項29】
前記イソチオシアネートがスルフォラファンであり、前記イソチオシアネート含有製品が、少なくとも150mg/kg dw、少なくとも200mg/kg dw、少なくとも300mg/kg dw、少なくとも400mg/kg dw、または少なくとも450mg/kg dw、または少なくとも500mg/kg dw、または少なくとも550mg/kg dw、または少なくとも600mg/kg dw、または少なくとも650mg/kg dw、または少なくとも700mg/kg dw、または少なくとも1000mg/kg dw、または少なくとも2000mg/kg dw、または少なくとも3000mg/kg dw、または少なくとも4000mg/kg dw、または少なくとも5000mg/kg dw、または少なくとも6000mg/kg dw、または少なくとも7000mg/kg dwのイソチオシアネートを含む、請求項1~28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記イソチオシアネート含有製品が、約2000mg/kg dw~約4000mg/kg dwのイソチオシアネートを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
前記Brassicaceaeが、Brassica oleracea、Brassica balearica、Brassica carinata、Brassica elongate、Brassica fruticulosa、Brassica hilarionis、Brassica juncea、Brassica napus、Brassica narinosa、Brassica nigra、Brassica perviridis、Brassica rapa、Brassica rupestris、Brassica septiceps及びBrassica tournefortiiから選択される、請求項1~30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
前記Brassicaceaeが、Brassica oleraceaである、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記Brassicaceae材料が、葉、茎、花、房、種子及び根のうち1つ以上から選択される、請求項1~32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
Brassicaceae材料からのイソチオシアネート含有製品の調製方法であって、
i)前記Brassicaceae材料を前処理し、ミロシナーゼのグルコシノレートへの接近を改善することと、
ii)ステップi)で得られる前記材料を酸性化し、前記イソチオシアネート含有製品を形成することと
を含む、前記調製方法。
【請求項35】
酸性化が、前記pHを約4.4以下まで下げることを含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
ブロッコリー材料からのイソチオシアネート含有製品の調製方法であって、前記材料を乳酸菌Leuconostoc mesenteroides及び/またはLactobacillus plantarumで発酵させて、前記イソチオシアネート含有製品を形成することを含み、前記方法が、前記ブロッコリー材料を前処理して、ミロシナーゼのグルコシノレートへの接近を改善することを場合により含む、前記調製方法。
【請求項37】
Brassicaceae材料からのイソチオシアネート含有製品の調製方法であって、前記材料を、ブロッコリーから単離した乳酸菌Leuconostoc mesenteroides及び/またはLactobacillus plantarumで発酵させて、前記イソチオシアネート含有製品を形成することを含み、前記方法が、前記Brassicaceae材料を前処理して、ミロシナーゼのグルコシノレートへの接近を改善することを場合により含む、前記調製方法。
【請求項38】
前記Leuconostoc mesenteroidesが、2017年9月25日に、前記National Measurement Institute AustraliaにV17/021729の下で寄託されたBF1及び/または2017年9月25日に、前記National Measurement Institute AustraliaにV17/021730の下で寄託されたBF2である、請求項36または請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記乳酸菌が、
i)2017年9月25日に、前記National Measurement Institute AustraliaにV17/021731の下で寄託されたB1、
ii)2017年9月25日に、前記National Measurement Institute AustraliaにV17/021732の下で寄託されたB2、
iii)2017年9月25日に、前記National Measurement Institute AustraliaにV17/021733の下で寄託されたB3、
iv)2017年9月25日に、前記National Measurement Institute AustraliaにV17/021734の下で寄託されたB4、及び
v)2017年9月25日に、前記National Measurement Institute AustraliaにV17/021735の下で寄託されたB5
のうち1つ以上または全てから選択される、請求項36または請求項37に記載の方法。
【請求項40】
発酵または酸性化後、前記イソチオシアネート含有製品が、微生物を不活性化するために後処理される、請求項1~39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
前記イソチオシアネート含有製品が、高圧処理または熱処理で後処理される、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
i)2017年9月25日に、前記National Measurement Institute AustraliaにV17/021729の下で寄託されたBF1、
ii)2017年9月25日に、前記National Measurement Institute AustraliaにV17/021730の下で寄託されたBF2、
iii)2017年9月25日に、前記National Measurement Institute AustraliaにV17/021731の下で寄託されたB1、
iv)2017年9月25日に、前記National Measurement Institute AustraliaにV17/021732の下で寄託されたB2、
v)2017年9月25日に、前記National Measurement Institute AustraliaにV17/021733の下で寄託されたB3、
vi)2017年9月25日に、前記National Measurement Institute AustraliaにV17/021734の下で寄託されたB4、及び
vii)2017年9月25日に、前記National Measurement Institute AustraliaにV17/021735の下で寄託されたB5
から選択される、乳酸菌の単離株。
【請求項43】
Leuconostoc mesenteroidesの単離株であって、SmaI及び/またはNotIで切断される場合、BF1またはBF2と同一のSmaI及び/またはNotIフィンガープリントを生成するゲノムDNAを含む、前記単離株あるいはLactobacillus plantarumの単離株であって、SmaI及び/またはNotIで切断される場合、B1、B2、B3、B4またはB5と同一のSmaI及び/またはNotIフィンガープリントを生成するゲノムDNAを含む、前記単離株。
【請求項44】
Leuconostoc mesenteroidesの単離株であって、ATCC8293とは異なる、表18または19に列挙される多型のうち1つ以上または全てを含む、前記単離株、あるいはLactobacillus plantarumの単離株であって、ATCC8014とは異なる、表13、表14、表15、表16または表17に列挙される1つ以上または全ての多型を含む、前記単離株。
【請求項45】
イソチオシアネート含有製品またはプロバイオティックを作製するためのスターター培養物であって、
i)2017年9月25日に、前記National Measurement Institute AustraliaにV17/021729の下で寄託されたBF1、
ii)2017年9月25日に、前記National Measurement Institute AustraliaにV17/021730の下で寄託されたBF2、
iii)2017年9月25日に、前記National Measurement Institute AustraliaにV17/021731の下で寄託されたB1、
iv)2017年9月25日に、前記National Measurement Institute AustraliaにV17/021732の下で寄託されたB2、
v)2017年9月25日に、前記National Measurement Institute AustraliaにV17/021733の下で寄託されたB3、
vi)2017年9月25日に、前記National Measurement Institute AustraliaにV17/021734の下で寄託されたB4、及び
vii)2017年9月25日に、前記National Measurement Institute AustraliaにV17/021735の下で寄託されたB5
のうち1つ以上または全てから選択される乳酸菌を含む、前記スターター培養物。
【請求項46】
前記スターター培養物が、少なくとも約108cfu/mLの濃度で乳酸菌を含む、請求項44に記載のスターター培養物。
【請求項47】
プロバイオティック組成物であって、
i)2017年9月25日に、前記National Measurement Institute AustraliaにV17/021729の下で寄託されたBF1、
ii)2017年9月25日に、前記National Measurement Institute AustraliaにV17/021730の下で寄託されたBF2、
iii)2017年9月25日に、前記National Measurement Institute AustraliaにV17/021731の下で寄託されたB1、
iv)2017年9月25日に、前記National Measurement Institute AustraliaにV17/021732の下で寄託されたB2、
v)2017年9月25日に、前記National Measurement Institute AustraliaにV17/021733の下で寄託されたB3、
vi)2017年9月25日に、前記National Measurement Institute AustraliaにV17/021734の下で寄託されたB4、及び
vii)2017年9月25日に、前記National Measurement Institute AustraliaにV17/021735の下で寄託されたB5
のうち1つ以上または全てから選択される乳酸菌を含む、前記プロバイオティック組成物。
【請求項48】
請求項1~41のいずれか1項に記載の方法によって得られるか、または得ることができるイソチオシアネート含有製品。
【請求項49】
イソチオシアネート含有Brassicaceae製品であって、前記浸漬したBrassicaceae材料よりも、少なくとも約10倍多くイソチオシアネートを含む、前記イソチオシアネート含有Brassicaceae製品。
【請求項50】
イソチオシアネート含有Brassicaceae製品であって、抽出可能なグルコシノレート含量に基づく、イソチオシアネートの前記予想される最大収量の少なくとも約2倍を含む、前記イソチオシアネート含有Brassicaceae製品。
【請求項51】
前記イソチオシアネート含有製品が、少なくとも150mg/kg dw、少なくとも200mg/kg dw、少なくとも300mg/kg dw、少なくとも400mg/kg dw、または少なくとも450mg/kg dw、または少なくとも500mg/kg dw、または少なくとも550mg/kg dw、または少なくとも600mg/kg dw、または少なくとも650mg/kg dw、または少なくとも700mg/kg dw、または少なくとも1000mg/kg dw、または少なくとも2000mg/kg dw、または少なくとも3000mg/kg dw、または少なくとも4000mg/kg dw、または少なくとも5000mg/kg dw、または少なくとも6000mg/kg dw、または少なくとも7000mg/kg dwのスルフォラファンを含む、請求項48または請求項49に記載のイソチオシアネート含有製品。
【請求項52】
前記イソチオシアネート含有製品が、以下の特徴:
i)約4℃~約25℃で保存される場合、少なくとも4週間、または少なくとも8週間、または少なくとも12週間は安定していること、
ii)約4℃~約25℃で保存される場合、少なくとも4週間、または少なくとも8週間、または少なくとも12週間は、酵母、カビ及び/または大腸菌の増殖に対して耐性があること、ならびに
iii)少なくとも107CFU/gのLeuconostoc mesenteroides及び/またはLactobacillus plantarumを含むこと
のうち1つ以上または全てを有する、請求項47~50のいずれか1項に記載のイソチオシアネート含有製品。
【請求項53】
前記製品が、栄養補助食品、サプリメント及び食品成分から選択される、請求項47~51のいずれか1項に記載のイソチオシアネート含有製品。
【請求項54】
前記製品がプロバイオティックである、請求項47~52のいずれか1項に記載のイソチオシアネート含有製品。
【請求項55】
前記製品が粉末形態である、請求項47~53のいずれか1項に記載のイソチオシアネート含有製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、Brassicaceae材料からイソチオシアネート含有製品を作製する方法及びそのような方法に使用するための乳酸菌に関する。本発明はまた、そのような方法によって作製されるBrassicaceae材料からのイソチオシアネート含有製品に関する。
【背景技術】
【0002】
Brassicaceae科のメンバーは、酵素ミロシナーゼによってイソチオシアネートに変換され得るグルコシノレートを豊富に含み、イソチオシアネートは、いくつかのがんの種類に対して有益な効果を有することが指摘されている(Moktari et al.,2017、Capuano et al.,2017、Kim and Park,2016)。例えば、スルフォラファンは、2型糖尿病を有する肥満患者で肝糖産生を減少させて、糖コントロールを改善することが見出されている(Axelsson et al.,2017)。しかしながら、多くのBrassicaceae科メンバーは収穫後に非常に傷みやすく、製品が十分に保存されていない場合は、栄養素の質及び量が急速に低下してしまう。
【0003】
Brassicaceaeは、多くの場合に保存期間を長くするために加工され、このことが栄養素の損失を招き得る。より長い保存期間を得るための主な方法は、熱処理、冷凍、改変及び制御された雰囲気での貯蔵ならびに化学組成に望ましくない変化をもたらすことにもなる化学保存料の添加を含む。
【0004】
これらのプロセスは、グルコシノレートの損失を招き得るか、またはグルコシノレートをイソチオシアネートに変換する酵素ミロシナーゼの能力を減少させ得る。例えば、従来のブロッコリーの加工/保存には、リポキシゲナーゼなどの品質を低下させる酵素を不活性化するために、凍結前のブランチングを含む。ペルオキシダーゼの不活性化が、ブランチングの妥当性の指標として一般的に使用される。ペルオキシダーゼの不活性化の条件がミロシナーゼの不活性化につながり、それゆえ、得られる製品はイソチオシアネートを欠くことになる(Dosz and Jeffery,2013)。
【0005】
したがって、イソチオシアネートなどの植物栄養素を含むBrassicaceae製品を作製する改良された方法が依然として必要である。
【発明の概要】
【0006】
本発明者らは、Brassicaceae材料からイソチオシアネート含有製品を調製する方法を開発した。
【0007】
一態様では、本発明は、以下を含む、Brassicaceae材料からイソチオシアネート含有製品を調製する方法を提供する:
i)Brassicaceae材料を前処理し、ミロシナーゼのグルコシノレートへの接近を改善すること、
ii)ステップi)で得られる材料を乳酸菌で発酵させ、イソチオシアネート含有製品を形成すること。
【0008】
一実施形態では、前処理は、以下:
i)加熱、
ii)浸漬、
iii)マイクロ波処理、
iv)高周波音波(超音波)への曝露、または
v)パルス電界処理
のうち1つ以上を含み、
Brassicaceae材料の温度が、前処理中に約75℃を超えない。
【0009】
一実施形態では、前処理は、内因性ミロシナーゼ活性を維持しながら、エピチオ特異タンパク質(ESP)活性を減少させる。
【0010】
一実施形態では、前処理は、Brassicaceae材料を加熱して浸漬することを含み、Brassicaceae材料の温度が、前処理中に約75℃を超えない。一実施形態では、加熱は浸漬する前に行われるか、または加熱及び浸漬が同時に行われる。一実施形態では、前処理は、Brassicaceae材料を約50℃~約70℃の温度に加熱し、続いて浸漬することを含む。一実施形態では、Brassicaceae材料は、Brassicaceae材料の少なくとも約80%が約2mm以下のサイズとなるように浸漬される。一実施形態では、Brassicaceae材料は、密封パッケージ中で加熱される。
【0011】
一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、浸漬したBrassicaceae材料よりも、少なくとも約10倍多くイソチオシアネートを含む。
【0012】
一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、浸漬したBrassicaceae材料よりも、少なくとも約12倍多くイソチオシアネートを含む。
【0013】
一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、浸漬したBrassicaceae材料よりも、少なくとも約14倍多くイソチオシアネートを含む。
【0014】
一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、浸漬したBrassicaceae材料よりも、少なくとも約16倍多くイソチオシアネートを含む。
【0015】
一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、抽出可能なグルコシノレート含量に基づく、イソチオシアネートの予想される最大収量の少なくとも約2倍を含む。
【0016】
一実施形態では、乳酸菌はブロッコリーから単離されたものであり、及び/または乳酸菌は、ミロシナーゼ活性を欠いている。
【0017】
一態様では、本発明は、以下を含む、Brassicaceae材料からイソチオシアネート含有製品を調製する方法を提供する:
i)Brassicaceae材料を前処理し、ミロシナーゼのグルコシノレートへの接近を改善すること、及び
ii)ステップi)で得られる材料を酸性化し、イソチオシアネート含有製品を形成すること。
【0018】
一態様では、本発明は、ブロッコリー材料からイソチオシアネート含有製品を調製する方法を提供し、材料を乳酸菌Leuconostoc mesenteroides及び/またはLactobacillus plantarumで発酵させて、イソチオシアネート含有製品を形成することを含み、この方法は、ブロッコリー材料を前処理して、ミロシナーゼのグルコシノレートへの接近を改善することを場合により含む。
【0019】
一態様では、本発明は、Brassicaceae材料からイソチオシアネート含有製品を調製する方法を提供し、材料を、ブロッコリーから単離した乳酸菌Leuconostoc mesenteroides及び/またはLactobacillus plantarumで発酵させて、イソチオシアネート含有製品を形成することを含み、この方法は、Brassicaceae材料を前処理して、ミロシナーゼのグルコシノレートへの接近を改善することを場合により含む。
【0020】
一態様では、本発明は、以下から選択される乳酸菌の単離株を提供する:
i)2017年9月25日に、National Measurement Institute AustraliaにV17/021729の下で寄託されたBF1、及び
ii)2017年9月25日に、National Measurement Institute AustraliaにV17/021730の下で寄託されたBF2。
【0021】
一態様では、本発明は、以下から選択される乳酸菌の単離株を提供する:
i)2017年9月25日に、National Measurement Institute AustraliaにV17/021729の下で寄託されたBF1、
ii)2017年9月25日に、National Measurement Institute AustraliaにV17/021730の下で寄託されたBF2、
iii)2017年9月25日に、National Measurement Institute AustraliaにV17/021731の下で寄託されたB1、
iv)2017年9月25日に、National Measurement Institute AustraliaにV17/021732の下で寄託されたB2、
v)2017年9月25日に、National Measurement Institute AustraliaにV17/021733の下で寄託されたB3、
vi)2017年9月25日に、National Measurement Institute AustraliaにV17/021734の下で寄託されたB4、及び
vii)2017年9月25日に、National Measurement Institute AustraliaにV17/021735の下で寄託されたB5。
【0022】
一態様では、本発明は、以下のうち1つ以上または全てから選択される乳酸菌を含む、イソチオシアネート含有製品またはプロバイオティックを作製するためのスターター培養物を提供する:
i)2017年9月25日に、National Measurement Institute AustraliaにV17/021729の下で寄託されたBF1、
ii)2017年9月25日に、National Measurement Institute AustraliaにV17/021730の下で寄託されたBF2、
iii)2017年9月25日に、National Measurement Institute AustraliaにV17/021731の下で寄託されたB1、
iv)2017年9月25日に、National Measurement Institute AustraliaにV17/021732の下で寄託されたB2、
v)2017年9月25日に、National Measurement Institute AustraliaにV17/021733の下で寄託されたB3、
vi)2017年9月25日に、National Measurement Institute AustraliaにV17/021734の下で寄託されたB4、及び
vii)2017年9月25日に、National Measurement Institute AustraliaにV17/021735の下で寄託されたB5。
【0023】
一実施形態では、スターター培養物は、少なくとも約108cfu/mLの濃度で乳酸菌を含む。
【0024】
一態様では、本発明は、以下のうち1つ以上または全てから選択される乳酸菌を含むプロバイオティック組成物を提供する:
i)2017年9月25日に、National Measurement Institute AustraliaにV17/021729の下で寄託されたBF1、
ii)2017年9月25日に、National Measurement Institute AustraliaにV17/021730の下で寄託されたBF2、
iii)2017年9月25日に、National Measurement Institute AustraliaにV17/021731の下で寄託されたB1、
iv)2017年9月25日に、National Measurement Institute AustraliaにV17/021732の下で寄託されたB2、
v)2017年9月25日に、National Measurement Institute AustraliaにV17/021733の下で寄託されたB3、
vi)2017年9月25日に、National Measurement Institute AustraliaにV17/021734の下で寄託されたB4、及び
vii)2017年9月25日に、National Measurement Institute AustraliaにV17/021735の下で寄託されたB5。
【0025】
一態様では、本発明は、本明細書に記載されるような方法によって得られるイソチオシアネート含有製品を提供する。
【0026】
一態様では、本発明は、本明細書に記載されるような方法によって得ることができるイソチオシアネート含有製品を提供する。
【0027】
一態様では、本発明は、浸漬したBrassicaceae材料よりも、少なくとも約10倍多くイソチオシアネートを含むイソチオシアネート含有Brassicaceae製品を提供する。
【0028】
一態様では、本発明は、浸漬したBrassicaceae材料よりも、約10倍~約16倍多くイソチオシアネートを含むイソチオシアネート含有Brassicaceae製品を提供する。
【0029】
一態様では、本発明は、抽出可能なグルコシノレート含量に基づく、イソチオシアネートの予想される最大収量の少なくとも約2倍を含むイソチオシアネート含有Brassicaceae製品を提供する。
【0030】
一態様では、本発明は、抽出可能なグルコシノレート含量に基づく、イソチオシアネートの予想される最大収量の約2倍~約4倍を含むイソチオシアネート含有Brassicaceae製品を提供する。
【0031】
一態様では、本発明は、少なくとも150mg/kg dwのイソチオシアネートを含むイソチオシアネート含有Brassicaceae製品を提供する。
【0032】
一実施形態では、本発明は、少なくとも150mg/kg dw、少なくとも200mg/kg dw、少なくとも300mg/kg dw、少なくとも400mg/kg dw、または少なくとも450mg/kg dw、または少なくとも500mg/kg dw、または少なくとも550mg/kg dw、または少なくとも600mg/kg dw、または少なくとも650mg/kg dw、または少なくとも700mg/kg dw、または少なくとも1000mg/kg dw、または少なくとも2000mg/kg dw、または少なくとも3000mg/kg dw、または少なくとも4000mg/kg dw、または少なくとも5000mg/kg dw、または少なくとも6000mg/kg dw、または少なくとも7000mg/kg dwのスルフォラファンを含む、イソチオシアネート含有製品を提供する。
【0033】
一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、Leuconostoc mesenteroides及び/またはLactobacillus plantarumを含む。
【0034】
一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、以下の特徴のうち1つ以上または全てを有する:
i)約4℃~約25℃で保存される場合、少なくとも4週間、または少なくとも8週間、または少なくとも12週間は安定している、
ii)約4℃~約25℃で保存される場合、少なくとも4週間、または少なくとも8週間、または少なくとも12週間は、酵母、カビ及び/または大腸菌の増殖に対して耐性がある、ならびに
iii)少なくとも107CFU/gのLeuconostoc mesenteroides及び/またはLactobacillus plantarumを含む。
【0035】
本明細書におけるいかなる実施形態も、別段の具体的な記載がない限り、任意の他の実施形態にも準用すると見なされることとする。例えば、当業者であれば理解することになるように、本発明の方法に関する上で概略を述べた乳酸菌の例は、本発明の製品に等しく適用される。
【0036】
本発明は、例証の目的のために意図されるにすぎない、本明細書に記載される具体的な実施形態によって、範囲を限定されるものではない。機能的に均等な生成物、組成物、及び方法は明確に、本明細書に記載される本発明の範囲内にある。
【0037】
本明細書全体を通じて、別途具体的定めのない限り、または文脈上そうでないとする要求がない限り、単一のステップ、組成物(compositions of matter)、ステップの群または組成物の群への言及は、1つ及び複数の(すなわち1つ以上の)それらのステップ、組成物、ステップの群または組成物の群を包含するように受け取られるものとする。
【0038】
本発明は、これ以降、次の非限定的な実施例を用いて、及び添付の図を参照して記載される。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】Aは、グルコラファニンからスルフォラファン及びスルフォラファンニトリルへの加水分解経路を示す。Bは、ブロッコリーピューレ中のスルフォラファン含量(mg/kg、DW)に対する浸漬及び発酵の効果を示す。Cは、貯蔵中のブロッコリーピューレの乳酸菌含量(log CFU/gm)に対する発酵の効果を示す。
図2】Aは、4℃及び25℃(RT)で保存されたブロッコリーピューレ中のスルフォラファンの安定性に対する発酵の影響を示す。Bは、ブロッコリーマトリックス中におけるグルコラファニンのスルフォラファンへの変換に対する熱処理条件の影響。
図3】Aは、生ブロッコリーの総フェノール含量(mg GAE/100g DW)ならびに発酵ならびに25℃及び4℃での貯蔵中におけるそれぞれの総フェノール含量変化を示す。Bは、生ブロッコリーのORAC(酸素ラジカル吸収能)抗酸化能(μmol TE/g DW)ならびに発酵ならびに25℃及び4℃での貯蔵中におけるそれぞれのORAC変化を示す。
図4】乳酸菌株の異なる組合せについて、pHが4.4以下に到達するまでにかかった発酵時間を示す。
図5】Aは、密封バッグを用いたブロッコリーの異なる熱処理条件下でのスルフォラファン収量(μmol/kg DW)を示す。Bは、水中に直接浸漬させたブロッコリーの異なる熱処理条件下でのスルフォラファン収量(μmol/kg DW)を示す。
図6】処理直後ならびに4℃及び25℃での貯蔵中におけるスルフォラファン収量(μmol/kg DW)に対する、浸漬、予熱及び発酵の併用効果と、浸漬及び予熱のみ、ならびに浸漬、予熱及び化学的酸性化との比較効果を示す。試料を、密封パック中において65℃で3分間前処理した。
図7】グルコラファニン含量に対する発酵及び貯蔵の影響を示す。グルコラファニン含量は、生試料と比較して、25℃及び4℃で保存された発酵試料中で減少する。
図8】生及び発酵ブロッコリーピューレのポリフェノール代謝産物プロファイルの差を示すPLS-DAスコアプロット。
図9】PLS-DAによって同定される発酵及び非発酵試料を区別する重要な特徴。右側のボックスは、各群における各々の代謝産物の相対濃度を示す。
図10】ノンターゲットLC-MS分析に基づくブロッコリーピューレの代謝産物プロファイルに対する乳酸発酵の効果を示す。これは、発酵によってポリフェノール配糖体及びグルコシノレートなどの結合した植物性化学物質が放出され、それらのバイオアクセシビリティが向上することを実証している。
図11】ノンターゲットLC-MS分析に基づいて、発酵後に有意な(p<0.05)倍率変化を有する代謝産物を示すボルケーノプロットを示す。有意な倍率変化を有する上位50の代謝産物及びそれらの個々の倍率変化を表8に列挙する。
図12】ターゲットLC-MS分析に基づくブロッコリーポリフェノールに対する乳酸発酵の効果を示す。クロロゲン酸では6.6倍の変化が観察され(2.4~15.8μg/mg)、シナピン酸では23.8倍の増加が観察され(3.6~86.6μg/mg)、ケンフェロールでは10.5倍の増加(12.7~134.6μg/mg)及びp-クマル酸では0.48倍の減少が観察される。
図13】パルスフィールドゲル電気泳動で得られたBF1及びBF2のゲノムDNAからのSmaI及びNotI制限酵素消化を示す。
【発明を実施するための形態】
【0040】
一般的技術及び定義
別段の具体的な規定がない限り、本明細書で使用される全ての専門用語及び科学用語は、当業者によって一般に理解されるものと同じ意味(例えば、酵素、発酵、接種)を有すると見なされることとする。
【0041】
「及び/または」という用語、例えば、「X及び/またはY」は、「X及びY」あるいは「XまたはY」のいずれかを意味するものと理解されることとし、両方の意味またはいずれかの意味を明白に支持するものを提供すると見なされることとする。
【0042】
本明細書を通じて、単語「comprise(含む)」、または「comprises(含む)」もしくは「comprising(含む)」などの変形は、既定された要素、整数またはステップ、または要素群、整数群またはステップ群を包含するが、いかなる他の要素、整数またはステップ、または要素群、整数群またはステップ群をも排除することを意味するものではないことが理解されよう。
【0043】
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、反対の記載がない限り、指定値の+/-10%、より好ましくは+/-5%、さらにより好ましくは+/-1%を指す。
【0044】
「アレル」とは、細胞内、個々の植物内または集団内の遺伝子配列(遺伝子など)の1つの特定形態を指し、その特定形態は、遺伝子配列内の少なくとも1つ、及びしばしば2つ以上のバリアント部位の配列中における同じ遺伝子の他の形態とは異なる。異なるアレル間で異なるこれらのバリアント部位の配列は、「分散」、「多型」、または「変異」と称される。
【0045】
Brassicaceae
当業者であれば、本明細書に記載されるような方法が、グルコシノレート(複数可)を含む任意のBrassicaceae材料からイソチオシアネート含有製品を作製するのに好適であると理解することになる。本明細書で使用される場合、「Brassicaceae」は、一般的にカラシ、アブラナ科植物またはキャベツ科と称されるBrassicaceae科のメンバーを指す。当業者は、材料が2種以上のBrassicaceaeに由来し得ると理解することになる。
【0046】
一実施形態では、Brassicaceaeは、Brassica属またはCardamine属から選択される。一実施形態では、Brassicaは、Brassica balearica、Brassica carinata、Brassica elongate、Brassica fruticulosa、Brassica hilarionis、Brassica juncea、Brassica napus、Brassica narinosa、Brassica nigra、Brassica oleracea、Brassica perviridis、Brassica rapa、Brassica rupestris、Brassica septiceps、及びBrassica tournefortiiから選択される。
【0047】
一実施形態では、Brassicaは、Brassica oleraceaである。
【0048】
一実施形態では、Brassicaは、Brassica oleracea変種oleracea(ヤセイカンラン)、Brassica oleracea変種capitate(キャベツ)、Brassica rapa亜種chinensis(チンゲンサイ)、Brassica rapa亜種pekinensis(ハクサイ)、Brassica napobrassica(ルタバガ)、Brassica rapa変種rapa(カブ)、Brassica oleracea変種alboglabra(カイラン)、Brassica oleracea変種viridis(カラードグリーン)、Brassica oleracea変種longata(ジャージーキャベツ)、Brassica oleracea変種acephala(ハボタン)、Brassica oleracea変種sabellica(ケール)、Brassica oleracea変種palmifolia(カーボロネロ)、Brassica oleracea変種ramose(パーペチュアルケール(perpetual kale))、Brassica oleracea変種medullosa(マローキャベツ(marrow cabbage))、Brassica oleracea変種costata(トロンジューダケール(tronchuda kale))、Brassica oleracea変種gemmifera(メキャベツ)、Brassica oleracea変種gongylodes(コールラビ)、Brassica oleracea変種italica(ブロッコリー)、Brassica oleracea変種botrytis(カリフラワー、ロマネスコ、ブロッコリージトルボレ(broccoli di torbole))、Brassica oleracea変種botrytis×italica(ブロッコフラワー)、及びBrassica oleracea変種italica×alboglabra(スティックセニョール)から選択される。
【0049】
一実施形態では、Brassicaは、Brassica oleracea変種italica(ブロッコリー)である。
【0050】
一実施形態では、Brassicaceaeは、Cardamine hirsuta(タネツケバナ)、Iberis sempervirens(マガリバナ)、Sinapis arvensis(ノハラガラシ)、Armoracia rusticana(西洋ワサビ)、Pringlea antiscorbutica(ケルゲレンキャベツ)、Thlaspi arvense(グンバイナズナ)、Raphanus raphanistrum亜種sativus(ダイコン)、Eruca sativa(ロケット)、Anastatica hierochuntica(ジェリコのバラ)、Crambe maritima(ハマナ)、Cakile maritima(シーロケット(sea rocket))、Capsella bursa-pastoris(ナズナ)、スイートアリッサム、Arabidopsis thaliana(シロイヌナズナ)、Nasturtium officinale(オランダガラシ)、Sinapis alba(シロガラシ)、Erophila verna(ウィットローグラス(whitlow grass))、Raphanus raphanistrum(ノダイコン)、Isatis tinctoria(ホソバタイセイ)、及びNasturtium microphyllum(イエロークレス(yellow cress))から選択される。
【0051】
一実施形態では、Brassicaceaeは、高レベルの1種以上のグルコシノレート(複数可)を有する。一実施形態では、Brassicaceaeは、高レベルの1種以上のグルコシノレート(複数可)を有するように選択的に交配されている。一実施形態では、「高レベル」のグルコシノレートは、対応するBrassicaceae中におけるVerkerk et al.(2009)の表2に示されるものよりも高いレベルのグルコシノレートを含み得る。一実施形態では、高レベルのグルコシノレートは、3400μmol/kg乾燥重量よりも高いレベルのグルコシノレートである。一実施形態では、高レベルのグルコシノレートは、4000μmol/kg乾燥重量よりも高いレベルのグルコシノレートである。一実施形態では、高レベルのグルコシノレートは、5000μmol/kg乾燥重量よりも高いレベルのグルコシノレートである。一実施形態では、高レベルのグルコシノレートは、8000μmol/kg乾燥重量よりも高いレベルのグルコシノレートである。一実施形態では、高レベルのグルコシノレートは、10,000μmol/kg乾燥重量よりも高いレベルのグルコシノレートである。一実施形態では、高レベルのグルコシノレートは、12,000μmol/kg乾燥重量よりも高いレベルのグルコシノレートである。一実施形態では、高レベルのグルコシノレートは、15,000μmol/kg乾燥重量よりも高いレベルのグルコシノレートである。一実施形態では、高レベルのグルコシノレートは、18,000μmol/kg乾燥重量よりも高いレベルのグルコシノレートである。一実施形態では、高レベルのグルコシノレートは、20,000μmol/kg乾燥重量よりも高いレベルのグルコシノレートである。一実施形態では、高レベルのグルコシノレートは、25,000μmol/kg乾燥重量よりも高いレベルのグルコシノレートである。一実施形態では、高レベルのグルコシノレートは、30,000μmol/kg乾燥重量よりも高いレベルのグルコシノレートである。一実施形態では、Brassicaceaeは、高レベルの1種以上のグルコシノレート(複数可)を有するように遺伝子改変されているか、または生物的もしくは非生物的ストレスに供されている。当業者は、Brassicaceaeが、当業者に既知の任意の方法によって改変され得ると理解することになる。
【0052】
一実施形態では、グルコシノレートは、グルコラファニン(4-メチルスルフィニルブチル)である。一実施形態では、グルコシノレートは、グルコブラシシン(3-インドリルメチル)である。
【0053】
本明細書で使用される場合、「Brassicaceae材料」は、グルコシノレートを含むBrassicaceaeの任意の一部を指し、これとしては、葉、茎、花、房、種子、及び根またはそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0054】
当業者であれば、本明細書に記載されるような方法が、異なる体積、例えば、これらに限定されないが、少なくとも30kg、または少なくとも50kg、または少なくとも80kg、または少なくとも100kg、または少なくとも1,000kg、または少なくとも2,000kg、または少なくとも5,000kg、または少なくとも8,000kg、または少なくとも10,000kg、または少なくとも15,000kg、または少なくとも20,000kgのBrassicaceae材料を用いる使用に好適であると理解することになる。
【0055】
一実施形態では、Brassicaceae材料は、洗浄されている。本明細書で使用される場合、「洗浄」は、目に見える土及び汚染を除去する。一実施形態では、Brassicaceae材料は、殺菌されている。本明細書で使用される場合、「殺菌される」とは、Brassicaceae材料上の病原体の減少を指す。
【0056】
一実施形態では、Brassicaceaeは、他の植物材料と混合される。一実施形態では、他の植物材料は、野菜または果実の材料である。一実施形態では、野菜は、ニンジンまたはビートルートである。
【0057】
グルコシノレート
本明細書で使用される場合、「グルコシノレート」は、少なくともBrassicaceae科に見られる二次代謝産物を指し、それらは、Halkier et al.(2006)に記載されているように、硫黄原子を介して(Z)-N-ヒドロキシイミノサルフェートエステルと、アミノ酸に由来する多様なR基に連結されたβ-D-グルコピラノース残基からなる化学構造を共有する。グルコシノレートの例は、Halkier et al.(2006)及びAgerbirk et al.(2012)に提供されている。グルコシノレートの加水分解によって、イソチオシアネート、ニトリル、エピチオニトリル、チオシアネート及びオキサゾリジン-2-チオンが生成され得る(図1A)。多くのグルコシノレートは、害虫及び疾患に対する植物の防御機構という役割を果たしている。
【0058】
グルコシノレートは、Brassicaceae中の貯蔵部位に保存される。本明細書で使用される場合、「貯蔵部位」は、グルコシノレートが存在し、ミロシナーゼが存在していないBrassicaceae内の部位である。
【0059】
本明細書で使用される場合、「ミロシナーゼ」は、「チオグルコシダーゼ」、「シニグラーゼ」、または「シニグリナーゼ」とも称され、チオ結合グルコースを切断し得る植物防御機構に関与する酵素のファミリー(EC3.2.1.147)を指す。ミロシナーゼは、グルコシノレートの加水分解を触媒し、イソチオシアネートの生成をもたらす。ミロシナーゼは、ミロシン細胞と呼ばれる特定の異型細胞の液胞中にミロシン粒として保存されることもあるが、タンパク粒または液胞中で、及び膜に結合する傾向がある細胞質酵素としても報告されている。したがって、一実施形態では、ミロシナーゼはBrassicaceae中のミロシン細胞内に保存されている。
【0060】
一実施形態では、本明細書に記載されるような前処理は、ミロシナーゼのグルコシノレートへの接近を改善する。本明細書で使用されるような「接近を改善する」または「接近が改善される」とは、イソチオシアネートの生成を可能にするミロシナーゼ酵素に対するグルコシノレートの利用可能性を増加させることを指す。一実施形態では、接近は、グルコシノレート貯蔵部位からのグルコシノレートの放出によって改善される。一実施形態では、グルコシノレート貯蔵部位は、機械的に破裂する(すなわち、浸漬によって)か、または酵素的に分解される。一実施形態では、グルコシノレートは、1種以上の多糖分解酵素、例えば、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、ペクチナーゼ及び/またはグリコシダーゼの活性によってグルコシノレート貯蔵部位から放出される。一実施形態では、接近は、グルコシノレート貯蔵部位へのミロシナーゼの進入を可能にすることによって改善される。一実施形態では、接近は、ミロシン細胞からのミロシナーゼの放出によって改善される。一実施形態では、約10%~約90%のグルコシノレートが、グルコシノレート貯蔵部位から放出される。一実施形態では、約20%~約80%のグルコシノレートが、グルコシノレート貯蔵部位から放出される。一実施形態では、約30%~約70%のグルコシノレートが、グルコシノレート貯蔵部位から放出される。一実施形態では、約40%~約60%のグルコシノレートが、グルコシノレート貯蔵部位から放出される。一実施形態では、約45%~約55%のグルコシノレートが、グルコシノレート貯蔵部位から放出される。一実施形態では、約10%のグルコシノレートが、グルコシノレート貯蔵部位から放出される。一実施形態では、約20%のグルコシノレートが、グルコシノレート貯蔵部位から放出される。一実施形態では、約30%のグルコシノレートが、グルコシノレート貯蔵部位から放出される。一実施形態では、約40%のグルコシノレートが、グルコシノレート貯蔵部位から放出される。一実施形態では、約50%のグルコシノレートが、グルコシノレート貯蔵部位から放出される。一実施形態では、約60%のグルコシノレートが、グルコシノレート貯蔵部位から放出される。一実施形態では、約70%のグルコシノレートが、グルコシノレート貯蔵部位から放出される。一実施形態では、約80%のグルコシノレートが、グルコシノレート貯蔵部位から放出される。一実施形態では、約90%のグルコシノレートが、グルコシノレート貯蔵部位から放出される。
【0061】
一実施形態では、Brassicaceae材料は、脂肪族、インドールまたは芳香族グルコシノレートから選択される1種以上のグルコシノレート(複数可)を含む。
【0062】
一実施形態では、脂肪族グルコシノレートは、グルコラファニン(4-メチルスルフィニルブチルまたはグルコラファニン)、シニグリン(2-プロペニル)、グルコナピン(3-ブテニル)、グルコブラシカナピン(4-ペンテニル)、プロゴイトリン(2(R)-2-ヒドロキシ-3-ブテニル)、エピプロゴイトリン(2(S)-2-ヒドロキシ-3-ブテニル)、グルコナポレイフェリン(2-ヒドロキシ-4-ペンテニル)、グルコイベルビリン(3-メチルチオプロピル)、グルコエルシン(4-メチルチオブチル)、デヒドロエルシン(4-メチルチオ-3-ブテニル)、グルコイベリン(3-メチルスルフィニルプロピル)、グルコラフェニン(4-メチルスルフィニル-3-ブテニル)、グルコアリシン(5-メチルスルフィニルペンテニル)、及びグルコエリソリン(3-メチルスルホニルブチル、4-メルカプトブチル)のうち1つ以上から選択される。
【0063】
一実施形態では、インドールグルコシノレートは、グルコブラシシン(3-インドリルメチル)、4-ヒドロキシグルコブラシシン(4-ヒドロキシ-3-インドリルメチル)、4-メトキシグルコブラシシン(4-メトキシ-3-インドリルメチル)、及びネオグルコブラシシン(1-メトキシ-3-インドリルメチル)のうち1つ以上から選択される。
【0064】
一実施形態では、インドールグルコシノレートは、グルコトロパエオリン(ベンジル)及びグルコナスツルチイン(2-フェニルエチル)のうち1つ以上から選択される。
【0065】
一実施形態では、Brassicaceae材料は、ベンジルグルコシノレート、アリルグルコシノレート及び4-メチルスルフィニルブチルから選択される1つ以上のグルコシノレート(複数可)を含む。一実施形態では、グルコシノレートは、グルコラファニン(4-メチルスルフィニルブチル)である。一実施形態では、グルコシノレートは、グルコブラシシン(3-インドリルメチル)である。
【0066】
一実施形態では、本明細書に記載されるような前処理は、前処理前のBrassicaceae材料の抽出可能なグルコシノレート含量と比較して、抽出可能なグルコシノレート含量を増加させる。
【0067】
本明細書で使用される場合、「抽出可能なグルコシノレート含量」は、イソチオシアネートに変換するための、Brassicaceae材料中で接近可能なグルコシノレートのレベルを指す。ニトリル及び他の化合物への変換を除くと、1モルのグルコシノレートからの、イソチオシアネートの予想される最大収量は、1モルのイソチオシアネートである(1モルのグルコシノレートは、最大で1モルのイソチオシアネート、1モルのグルコース及び1モルの硫酸イオンに変換され得る)。したがって、一例では、市販のブロッコリー品種の抽出可能なグルコラファニン含量が、3400μmolグルコラファニン/kg dwであると、市販のブロッコリー品種からの、スルフォラファンの予想される最大収量は、3400μmolスルフォラファン/kg dwである。
【0068】
イソチオシアネート
本明細書で使用される場合、「イソチオシアネート」は、一般構造R-N=C=Sを有する硫黄含有植物性化学物質を指し、これらはグルコシノレートに対するミロシナーゼ活性からの生成物及びその生物活性誘導体である。一実施形態では、イソチオシアネートは、スルフォラファン(1-イソチオシアネート-4-メチルスルフィニルブタン)である。一実施形態では、イソチオシアネートは、アリルイソチオシアネート(3-イソチオシアネート-1-プロペン)である。一実施形態では、イソチオシアネートは、ベンジルイソチオシアネートである。一実施形態では、イソチオシアネートは、フェネチルイソチオシアネートである。一実施形態では、イソチオシアネートは、3-ブテニルイソチオシアネートである。一実施形態では、イソチオシアネートは、5-ビニル-1,3-オキサゾリジン-2-チオンである。一実施形態では、イソチオシアネートは、3-(メチルチオ)プロピルイソチオシアネートである。一実施形態では、イソチオシアネートは、3-(メチルスルフィニル)-プロピルイソチオシアネートである。一実施形態では、イソチオシアネートは、4-(メチルチオ)-ブチルイソチオシアネートである。一実施形態では、イソチオシアネートは、1-メトキシインドール-3-カルビノールイソチオシアネートである。一実施形態では、イソチオシアネートは、2-フェニルエチルイソチオシアネートである。一実施形態では、イソチオシアネートはイベリンである。
【0069】
一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、1つ以上のイソチオシアネート生物活性誘導体(複数可)またはそのオリゴマーをさらに含む。一実施形態では、イソチオシアネート生物活性誘導体は、本明細書に記載されるようなイソチオシアネートのいずれかの誘導体である。一実施形態では、イソチオシアネート生物活性誘導体は、スルフォラファンの誘導体である。一実施形態では、イソチオシアネート生物活性誘導体は、イベリンである。一実施形態では、イソチオシアネート生物活性誘導体は、アリルイソチオシアネートである。一実施形態では、イソチオシアネート生物活性誘導体は、インドール-3-カルビノールである。一実施形態では、イソチオシアネート生物活性誘導体は、メトキシ-インドール-3-カルビノールである。一実施形態では、イソチオシアネート生物活性誘導体は、アスコルビゲンである。一実施形態では、イソチオシアネート生物活性誘導体は、ネオアスコルビゲンである。
【0070】
前処理
本明細書で使用される場合、「前処理」または「前処理すること」は、グルコシノレート貯蔵部位からグルコシノレートを放出する、もしくはその放出に役立つ、及び/またはミロシナーゼがBrassicaceae材料中のグルコシノレート貯蔵部位に進入することを可能にする。一実施形態では、前処理は、グルコシノレートのミロシナーゼへの曝露を増加させ、ミロシナーゼがグルコシノレートをイソチオシアネートに変換することを可能にする。
【0071】
一実施形態では、前処理は、内因性ミロシナーゼ活性を維持しながら、エピチオ特異タンパク質(ESP)を減少させる。本明細書で使用される場合、「エピチオ特異タンパク質」または「ESP」は、ミロシナーゼ活性をニトリルの生成に向けて、かつイソチオシアネート生成から遠ざけるように誘導するタンパク質を指す。ESPの産生(mRNAもしくはタンパク質)または活性を減少させる、または阻害することは、イソチオシアネートの生成を増加させ得る。
【0072】
本明細書で使用される場合、「エピチオ特異タンパク質を減少させる」とは、ESPのタンパク質産生または活性を減少させることを指す。一実施形態では、ESPを減少させることは、ESPを高温で不活性化(例えば、変性)することを含む。一実施形態では、ESPは、約50℃~約80℃の温度で変性する。
【0073】
本明細書で使用される場合、「内因性ミロシナーゼ活性を維持すること」とは、未処理対照と比較してミロシナーゼ活性を有意に減少させないことを意味する。一実施形態では、内因性ミロシナーゼ活性は、約5%以上減少しない。一実施形態では、内因性ミロシナーゼ活性は、約10%以上減少しない。一実施形態では、内因性ミロシナーゼ活性は、約15%以上減少しない。一実施形態では、内因性ミロシナーゼ活性は、約20%以上減少しない。一実施形態では、内因性ミロシナーゼ活性は、約30%以上減少しない。一実施形態では、内因性ミロシナーゼ活性は、約40%以上減少しない。一実施形態では、内因性ミロシナーゼ活性は、約50%以上減少しない。
【0074】
一実施形態では、前処理は、以下:i)加熱、ii)浸漬、iii)マイクロ波処理、iv)高周波音波(超音波)への曝露、またはv)パルス電界処理のうち1つ以上を含み、Brassicaceae材料の温度が、前処理中に約75℃を超えない。
【0075】
一実施形態では、Brassicaceae材料は、燃料ベースの加熱システム、電気ベースの加熱システム(すなわち、オーブンもしくはオーム加熱)、高周波加熱、高圧熱処理または蒸気ベースの加熱システム(蒸気の間接もしくは直接適用)で加熱される。一実施形態では、Brassicaceae材料は、密封パッケージ中で(例えば、レトルトパウチ中で)加熱される。一実施形態では、Brassicaceae材料は、オーブン、水浴、バイオリアクター、ストーブ、ウォーターブランチャー、またはスチームブランチャーで加熱される。一実施形態では、Brassicaceae材料は、高圧熱的加熱を介して加熱される。一実施形態では、Brassicaceae材料は、オーム加熱を介する。一実施形態では、Brassicaceae材料は、高周波加熱を介する。一実施形態では、Brassicaceae材料は、水中でブランチングされる。一実施形態では、Brassicaceae材料は、高圧熱処理を介して加熱される。一実施形態では、Brassicaceae材料は、高圧熱処理のために密封パッケージ中に置かれる。
【0076】
一実施形態では、前処理は、Brassicaceae材料を約50℃~約70℃に加熱することを含む。一実施形態では、前処理は、Brassicaceae材料を約50℃~約65℃に加熱することを含む。一実施形態では、前処理は、Brassicaceae材料を約50℃~約60℃に加熱することを含む。一実施形態では、加熱は、Brassicaceae材料を約55℃~約70℃に加熱することを含む。一実施形態では、加熱は、Brassicaceae材料を約60℃~約70℃に加熱することを含む。一実施形態では、加熱は、Brassicaceae材料を約65℃~約70℃に加熱することを含む。一実施形態では、Brassicaceae材料は、約30秒間加熱される。一実施形態では、Brassicaceae材料は、約1分間加熱される。一実施形態では、Brassicaceae材料は、約2分間加熱される。一実施形態では、Brassicaceae材料は、約3分間加熱される。一実施形態では、Brassicaceae材料は、約4分間加熱される。一実施形態では、Brassicaceae材料は、約5分間加熱される。
【0077】
一実施形態では、Brassicaceae材料は、密封パッケージ中において約1分間、約60℃で加熱される。一実施形態では、Brassicaceae材料は、密封パッケージ中において約2分間、約60℃で加熱される。一実施形態では、Brassicaceae材料は、密封パッケージ中において約3分間、約60℃で加熱される。一実施形態では、Brassicaceae材料は、密封パッケージ中において約4分間、約65℃で加熱される。一実施形態では、Brassicaceae材料は、密封パッケージ中において約1分間、約65℃で加熱される。一実施形態では、Brassicaceae材料は、密封パッケージ中において約2分間、約65℃で加熱される。一実施形態では、Brassicaceae材料は、密封パッケージ中において約3分間、約65℃で加熱される。一実施形態では、Brassicaceae材料は、密封パッケージ中において約4分間、約65℃で加熱される。
【0078】
一実施形態では、Brassicaceae材料は、水中において約1分間、約60℃で加熱される。一実施形態では、Brassicaceae材料は、水中において約2分間、約60℃で加熱される。
【0079】
一実施形態では、加熱は、Brassicaceae材料を蒸すことを含む。一実施形態では、前処理は、Brassicaceae材料を蒸すことを含む。一実施形態では、Brassicaceae材料は、約50℃~約70℃の温度まで蒸される。一実施形態では、Brassicaceae材料は、約60℃~約70℃の温度まで蒸される。一実施形態では、Brassicaceae材料は、少なくとも約30秒間蒸される。一実施形態では、Brassicaceae材料は、少なくとも約1分間蒸される。一実施形態では、Brassicaceae材料は、少なくとも約2分間蒸される。一実施形態では、Brassicaceae材料は、少なくとも約3分間蒸される。一実施形態では、Brassicaceae材料は、少なくとも約4分間蒸される。一実施形態では、Brassicaceae材料は、少なくとも約5分間蒸される。
【0080】
一実施形態では、前処理は、Brassicaceae材料を浸漬することを含む。本明細書で使用される場合、「浸漬すること」、「浸漬した」または「浸漬する」とは、Brassicaceae材料をより小さな細片まで破壊することを指す。一実施形態では、浸漬は、ミロシナーゼがその基質であるグルコシノレートに接近できるように、Brassicaceae材料の少なくとも約30%~約90%の細胞を脱コンパートメント化することを含む。一実施形態では、浸漬は、Brassicaceae材料の少なくとも約40%~約90%の細胞を脱コンパートメント化することを含む。一実施形態では、浸漬は、Brassicaceae材料の少なくとも約50%~約90%の細胞を脱コンパートメント化することを含む。一実施形態では、浸漬は、Brassicaceae材料の少なくとも約60%~約90%の細胞を脱コンパートメント化することを含む。一実施形態では、浸漬は、Brassicaceae材料の少なくとも約70%~約90%の細胞を脱コンパートメント化することを含む。当業者は、細胞の脱コンパートメント化が、細胞壁を壊して開き、細胞内の細胞小器官のコンパートメント化を破壊することを含むと理解することになる。
【0081】
一実施形態では、Brassicaceae材料は、ブレンダー、グラインダーまたはパルバライザーで浸漬される。一実施形態では、Brassicaceae材料は、Brassicaceae材料の少なくとも約80%が約2mm以下のサイズとなるように浸漬される。一実施形態では、Brassicaceae材料は、Brassicaceae材料の少なくとも約80%が約1mm以下のサイズとなるように浸漬される。一実施形態では、Brassicaceae材料は、Brassicaceae材料の少なくとも約80%が約0.5mm以下のサイズとなるように浸漬される。一実施形態では、Brassicaceae材料は、Brassicaceae材料の少なくとも約80%が約0.25mm以下のサイズとなるように浸漬される。一実施形態では、Brassicaceae材料は、Brassicaceae材料の少なくとも約80%が約0.1mm以下のサイズとなるように浸漬される。一実施形態では、Brassicaceae材料は、Brassicaceae材料の少なくとも約80%が約0.05mm以下のサイズとなるように浸漬される。一実施形態では、Brassicaceae材料は、Brassicaceae材料の少なくとも約80%が約0.025mm以下のサイズとなるように浸漬される。一実施形態では、Brassicaceae材料は、Brassicaceae材料の少なくとも約80%が約0.01mm以下のサイズとなるように浸漬される。一実施形態では、Brassicaceae材料は、Brassicaceae材料の約50%~約90%が約2mm以下のサイズとなるように浸漬される。一実施形態では、Brassicaceae材料は、Brassicaceae材料の約60%~約80%が約2mm以下のサイズとなるように浸漬される。一実施形態では、Brassicaceae材料は、Brassicaceae材料の約50%~約90%が約1mm以下のサイズとなるように浸漬される。一実施形態では、Brassicaceae材料は、Brassicaceae材料の約60%~約80%が約1mm以下のサイズとなるように浸漬される。一実施形態では、Brassicaceae材料は、浸漬中に約50℃~約70℃の温度まで加熱される。一実施形態では、Brassicaceae材料は、浸漬中に約55℃~約70℃の温度まで加熱される。一実施形態では、Brassicaceae材料は、浸漬中に約60℃~約70℃の温度まで加熱される。一実施形態では、Brassicaceae材料は、浸漬中に約65℃~約70℃の温度まで加熱される。
【0082】
一実施形態では、前処理は、Brassicaceae材料を加熱すること及び浸漬することを含む。一実施形態では、前処理はピューレを作製する。本明細書で使用される場合、「ピューレ」は、クリーム状のペーストまたは液体の稠度まで混合されたBrassicaceae材料を指す。
【0083】
当業者は、「マイクロ波処理する」または「マイクロ波処理すること」が、Brassicaceae材料などの物質にマイクロ波照射を通過させることによってその物質を加熱すると理解することになる。一実施形態では、前処理は、Brassicaceae材料をマイクロ波処理することを含む。一実施形態では、Brassicaceae材料は、家庭用マイクロ波または工業用マイクロ波で前処理される。一実施形態では、工業用マイクロ波は、連続マイクロ波システムであり、例えば、MIP 11 Industrial Microwave Continuous Cooking Oven(Ferrite Microwave Technologies)であるが、これに限定されない。一実施形態では、前処理は、Brassicaceae材料をマイクロ波処理することを含む。一実施形態では、Brassicaceae材料は、約0.9~約2.45GHzでマイクロ波処理される。一実施形態では、Brassicaceae材料は、少なくとも約30秒間、または少なくとも約1分間、または少なくとも約2分間、または少なくとも約3分間マイクロ波処理される。
【0084】
一実施形態では、前処理は、Brassicaceae材料を低~中周波の超音波に曝露することを含む。一実施形態では、前処理は、Brassicaceae材料を、熱超音波処理(約30℃~約60℃の熱を有する低~中周波超音波)を用いて曝露することを含む。一実施形態では、超音波は、工業規模の超音波処理装置を用いて生成される。一実施形態では、超音波処理装置は、連続式またはバッチ式の超音波処理装置である。一実施形態では、超音波処理装置は、例えば、UIP500hdまたはUIP4000(Hielscher、Ultrasound Technology)であるが、これに限定されない。一実施形態では、超音波は、約20kHz~約600kHzの周波数のものである。一実施形態では、Brassicaceae材料は、少なくとも約30秒間、または少なくとも約1分間、または少なくとも約2分間、または少なくとも約3分間、または約5分間音波に曝露される。
【0085】
一実施形態では、前処理は、Brassicaceae材料をパルス電界処理に曝露することを含む。パルス電界処理は、高電圧短パルスの印加を含む非熱処理技術である。パルスは、Brassicaceae材料の細胞のエレクトロポレーションを誘導し、ミロシナーゼのグルコシノレートへの接近を増強する。一実施形態では、パルス電界処理は、Brassicaceae材料を約40~約70℃の温度に加熱する。一実施形態では、パルス電界処理は、Brassicaceae材料を約50℃~約70℃の温度に加熱する。一実施形態では、パルス電界処理は、Brassicaceae材料を約60℃~約70℃の温度に加熱する。一実施形態では、パルス電界処理は、Brassicaceae材料を約20~約80kVの電圧パルスで処理することを含む。一実施形態では、前処理によって、約10%~約90%のグルコシノレートがイソチオシアネートに変換される。一実施形態では、前処理によって、約20%~約80%のグルコシノレートがイソチオシアネートに変換される。一実施形態では、前処理によって、約30%~約70%のグルコシノレートがイソチオシアネートに変換される。一実施形態では、前処理によって、約40%~約60%のグルコシノレートがイソチオシアネートに変換される。一実施形態では、前処理によって、約10%のグルコシノレートがイソチオシアネートに変換される。一実施形態では、前処理によって、約20%のグルコシノレートがイソチオシアネートに変換される。一実施形態では、前処理によって、約30%のグルコシノレートがイソチオシアネートに変換される。一実施形態では、前処理によって、約40%のグルコシノレートがイソチオシアネートに変換される。一実施形態では、前処理によって、約50%のグルコシノレートがイソチオシアネートに変換される。一実施形態では、前処理によって、約60%のグルコシノレートがイソチオシアネートに変換される。一実施形態では、前処理によって、約70%のグルコシノレートがイソチオシアネートに変換される。一実施形態では、前処理によって、約80%のグルコシノレートがイソチオシアネートに変換される。一実施形態では、前処理によって、約90%のグルコシノレートがイソチオシアネートに変換される。
【0086】
発酵
当業者は、本明細書に記載されるような発酵法が、任意の乳酸菌の使用を含み得ると理解することになる。本明細書で使用される場合、「発酵」は、乳酸菌によるBrassicaceae材料の生化学的分解を指す。一実施形態では、乳酸菌を用いた発酵は、外来乳酸菌の添加を使用して実施される。本明細書で使用される場合、「乳酸菌(lactic bacteria)」または「乳酸菌(lactic acid bacteria)」は、炭水化物発酵の最終生成物として乳酸を生成する細菌であり、これらとしては、Lactobacillus属、Leuconostoc属、Pediococcus属、Lactococcus属、Streptococcus属、Aerococcus属、Carnobacterium属、Enterococcus属、Oenococcus属、Sporolactobacillus属、Tetragenococcus属、Vagococcus属及びWeissella属に由来する細菌を含むものが挙げられ得るが、これらに限定されない。一実施形態では、乳酸菌は、ミロシナーゼ活性を含む。一実施形態では、乳酸菌は、Leuconostoc属に由来する。一実施形態では、乳酸菌は、Lactobacillus属に由来する。
【0087】
一実施形態では、乳酸菌は、Lactobacillus plantarum、Leuconostoc mesenteroides、Lactobacillus rhamnosus、Lactobacillus pentosus、Lactobacillus brevis、Lactococus lactis、Pediococcus pentosaceus及びPedicoccus acidilactiのうち1つ以上から選択される。
【0088】
一実施形態では、乳酸菌は、Brassicaceaeから単離された。一実施形態では、乳酸菌は、Brassica oleraceaから単離された。一実施形態では、乳酸菌は、ブロッコリーから単離された。一実施形態では、乳酸菌は、ブロッコリーの葉から単離された。一実施形態では、乳酸菌は、ブロッコリーの茎から単離された。一実施形態では、乳酸菌は、ブロッコリーピューレから単離された。一実施形態では、乳酸菌は、オーストラリア産ブロッコリーから単離された。
【0089】
一実施形態では、乳酸菌は、ミロシナーゼ活性を欠いている。
【0090】
一実施形態では、乳酸菌は、Lactobacillusである。
【0091】
一実施形態では、乳酸菌は、i)Leuconostoc mesenteroides、ii)Lactobacillus plantarum、iii)Lactobacillus pentosus、iv)Lactobacillus rhamnosus、v)i)及びii)の組合せ、vi)i)、ii)及びiii)の組合せ、ならびにvii)i)、ii)及びiv)の組合せから選択される。
【0092】
一実施形態では、乳酸菌は、Leuconostoc mesenteroidesである。一実施形態では、Leuconostoc mesenteroidesは、ATCC8293である。一実施形態では、Leuconostoc mesenteroidesは、BF1及び/またはBF2である。一実施形態では、Leuconostoc mesenteroidesは、ミロシナーゼ活性を欠いている。
【0093】
一実施形態では、乳酸菌は、Lactobacillus plantarumである。一実施形態では、Lactobacillus plantarumは、ミロシナーゼ活性を欠いている。
【0094】
一実施形態では、乳酸菌の約50%はLeuconostoc mesenteroidesであり、乳酸菌の約50%はLactobacillus種である。
【0095】
一実施形態では、乳酸菌の約50%はLeuconostoc mesenteroidesであり、乳酸菌の約50%はLactobacillus plantarumである。
【0096】
一実施形態では、Lactobacillus plantarumは、B1、B2、B3、B4及びB5のうち1つ以上または全てから選択される。一実施形態では、Lactobacillus plantarumは、B1である。一実施形態では、Lactobacillus plantarumは、B2である。一実施形態では、Lactobacillus plantarumは、B3である。一実施形態では、Lactobacillus plantarumは、B4である。一実施形態では、Lactobacillus plantarumは、B5である。
【0097】
一実施形態では、発酵は、BF1、BF2、B1、B2、B3、B4及びB5から選択される少なくとも2株、または少なくとも3株、または少なくとも4株、または少なくとも5株、または少なくとも6株の乳酸菌の存在下で行われる。
【0098】
一実施形態では、乳酸菌は、改変を欠く対照菌と比較して高レベルのミロシナーゼ活性を生成するように改変された組換え菌である。当業者は、組換え乳酸菌が、当業者に既知の任意の技術によって作製されると理解することになる。
【0099】
一実施形態では、乳酸菌は、例えば、これらに限定されないが、熱ストレス、寒冷ストレス、亜致死超音波、例えば、約20~約2000MHz、高圧、動的高圧またはパルス電界からストレスを受けて、ストレスを受けていない対照乳酸菌と比較して、ミロシナーゼ活性及び多糖分解酵素の活性を増加させる。一実施形態では、熱ストレスは、約40℃超~約75℃まで細菌を加熱することを含む。一実施形態では、熱ストレスは、約45℃超~約65℃まで細菌を加熱することを含む。一実施形態では、熱ストレスは、約45℃超~約55℃まで細菌を加熱することを含む。一実施形態では、寒冷ストレスは、約0℃~約8℃の温度まで細菌を冷やすことを含む。一実施形態では、寒冷ストレスは、約2℃~約6℃の温度まで細菌を冷やすことを含む。一実施形態では、寒冷ストレスは、約4℃の温度まで細菌を冷やすことを含む。
【0100】
一実施形態では、Brassicaceae材料は、本明細書に記載されるような、少なくとも約105CFU/gの乳酸菌を接種される。一実施形態では、Brassicaceae材料は、本明細書に記載されるような、少なくとも約106CFU/gの乳酸菌を接種される。一実施形態では、Brassicaceae材料は、本明細書に記載されるような、少なくとも約107CFU/gの乳酸菌を接種される。一実施形態では、Brassicaceae材料は、本明細書に記載されるような、少なくとも約108CFU/gの乳酸菌を接種される。一実施形態では、Brassicaceae材料は、前処理されている。
【0101】
一実施形態では、発酵は、約20℃~約34℃である。一実施形態では、発酵は、約22℃~約34℃である。一実施形態では、発酵は、約24℃~約34℃である。一実施形態では、発酵は、約24℃~約30℃である。一実施形態では、発酵は、約34℃~約34℃である。一実施形態では、発酵は約25℃である。一実施形態では、発酵は約30℃である。一実施形態では、発酵は約34℃である。
【0102】
一実施形態では、発酵は、約8時間~約17日間である。一実施形態では、発酵は、約8時間~約14日間である。一実施形態では、発酵は、約8時間~約7日間である。一実施形態では、発酵は、約8時間~約5日間である。一実施形態では、発酵は、約8時間~約4日間である。一実施形態では、発酵は、約8時間~約3日間である。一実施形態では、発酵は、約8時間~約30時間である。一実施形態では、発酵は、約8~約24時間である。一実施形態では、発酵は、約10時間~約24時間である。一実施形態では、発酵は約10日間である。一実施形態では、発酵は約9日間である。一実施形態では、発酵は約8日間である。一実施形態では、発酵は約7日間である。一実施形態では、発酵は約4日間である。一実施形態では、発酵は約6日間である。一実施形態では、発酵は約5日間である。一実施形態では、発酵は約72時間である。一実施形態では、発酵は約60時間である。一実施形態では、発酵は約45時間である。一実施形態では、発酵は約30時間である。一実施形態では、発酵は約24時間である。一実施形態では、発酵は約20時間である。一実施形態では、発酵は約18時間である。一実施形態では、発酵は約15時間である。一実施形態では、発酵は約16時間である。一実施形態では、発酵は約14時間である。一実施形態では、発酵は約12時間である。一実施形態では、発酵は約10時間である。一実施形態では、発酵は約8時間である。一実施形態では、発酵培養物は攪拌される。一実施形態では、攪拌は間欠的である。一実施形態では、攪拌は連続的である。特に好ましい実施形態では、発酵は、間欠的に攪拌しながら15時間である。特に好ましい実施形態では、発酵は、間欠的に攪拌しながら24時間である。
【0103】
一実施形態では、発酵反応は、組成物が約4.5~約3.8のpHに到達する場合に完了する。一実施形態では、発酵反応は、組成物が約4.5~約3.6のpHに到達する場合に完了する。一実施形態では、発酵反応は、組成物が約4.5~約4.04のpHに到達する場合に完了する。一実施形態では、発酵反応は、組成物が約4.3~約4.04のpHに到達する場合に完了する。一実施形態では、発酵反応は、組成物が4.5以下、または4.4以下、または4.3以下、または4.04以下、または3.8以下のpHに到達する場合に完了する。一実施形態では、発酵反応は、組成物が4.5以下のpHに到達する場合に完了する。一実施形態では、発酵反応は、組成物が4.4以下のpHに到達する場合に完了する。
【0104】
一実施形態では、存在する場合、発酵は、E.coli、Salmonella及びListeriaのうち1つ以上または全ての数を減少させる。一実施形態では、存在する場合、発酵は、E.coli、Salmonella及びListeriaのうち1つ以上または全てのCFU/gを減少させる。
【0105】
一実施形態では、塩は、発酵培養物に一切添加されない。
【0106】
一実施形態では、発酵は、前処理したBrassicaceae材料中の抽出可能なグルコシノレート含量と比較して、抽出可能なグルコシノレート含量を増加させる。一実施形態では、発酵は、Brassicaceae材料中の抽出可能なグルコシノレート含量と比較して、抽出可能なグルコシノレート含量を増加させる。一実施形態では、発酵は、Brassicaceae材料中の抽出可能なグルコシノレート含量と比較して、抽出可能なグルコシノレート含量を約100%~約500%増加させる。一実施形態では、発酵は、Brassicaceae材料中の抽出可能なグルコシノレート含量と比較して、抽出可能なグルコシノレート含量を約200%~約450%増加させる。一実施形態では、発酵は、Brassicaceae材料中の抽出可能なグルコシノレート含量と比較して、抽出可能なグルコシノレート含量を約250%~約450%増加させる。一実施形態では、発酵は、Brassicaceae材料中の抽出可能なグルコシノレート含量と比較して、抽出可能なグルコシノレート含量を約300%~約400%増加させる。一実施形態では、発酵は、Brassicaceae材料中の抽出可能なグルコシノレート含量と比較して、抽出可能なグルコシノレート含量を約300%増加させる。一実施形態では、発酵は、Brassicaceae材料中の抽出可能なグルコシノレート含量と比較して、抽出可能なグルコシノレート含量を約400%増加させる。一実施形態では、グルコシノレートは、グルコラファニンである。
【0107】
酸性化
前処理した材料は、製品の微生物安全性及び安定性(微生物分解に対する感受性)を改善し、製品中のイソチオシアネートの安定性を向上させるために酸性化され得る。酸性化は、有機酸、例えば、これらに限定されないが、乳酸、酢酸、アスコルビン酸、及びクエン酸などの添加によって達成され得る。一実施形態では、酸性化は、グルコノデルタラクトンを添加して達成され得る。一実施形態では、酸性化は、pHを約4.4~約3.4のpHまで下げることを含む。一実施形態では、酸性化は、pHを4.5、または4.4、または4.2、または4、または3.8、または3.6、または3.4以下のpHまで下げることを含む。一実施形態では、酸性化は、pHを4.4以下のpHまで下げることを含む。
【0108】
Brassicaceaeに由来するイソチオシアネート含有製品
本明細書に記載されるようなBrassicaceaeに由来するイソチオシアネート含有製品は、本明細書に記載されるような方法によって作製され得る。本明細書に記載されるような方法を使用して作製されるイソチオシアネート含有製品が、Brassicaceae材料または(本明細書に記載されるような前処理をせずに)発酵のみに供したBrassicaceae材料よりも、高レベルのイソチオシアネート、例えば、スルフォラファンを含有すると、当業者には理解されることになる。例えば、市販のブロッコリー品種からの浸漬ブロッコリーは、約800μmol/Kg dw(約149.8mg/Kg dw)のスルフォラファン濃度を有し、発酵浸漬ブロッコリーは、約1600μmol/Kg dw(約278.8mg/Kg dw)のスルフォラファン濃度を有し、本明細書に記載されるような方法を使用して作製される前処理した発酵ブロッコリーは、約13100μmol/Kg dw(約2318.7mg/Kg dw)のスルフォラファン濃度を有する。
【0109】
一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、浸漬したBrassicaceae材料よりも、少なくとも約4倍多くイソチオシアネートを含む。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、浸漬したBrassicaceae材料よりも、少なくとも約6倍多くイソチオシアネートを含む。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、浸漬したBrassicaceae材料よりも、少なくとも約8倍多くイソチオシアネートを含む。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、浸漬したBrassicaceae材料よりも、少なくとも約10倍多くイソチオシアネートを含む。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、浸漬したBrassicaceae材料よりも、少なくとも約12倍多くイソチオシアネートを含む。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、浸漬したBrassicaceae材料よりも、少なくとも約14倍多くイソチオシアネートを含む。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、浸漬したBrassicaceae材料よりも、少なくとも約16倍多くイソチオシアネートを含む。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、浸漬したBrassicaceae材料よりも、少なくとも約17倍多くイソチオシアネートを含む。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、浸漬したBrassicaceae材料よりも、約4倍~約17倍多くイソチオシアネートを含む。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、浸漬したBrassicaceae材料よりも、約4倍~約16倍多くイソチオシアネートを含む。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、浸漬したBrassicaceae材料よりも、約8倍~約16倍多くイソチオシアネートを含む。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、浸漬したBrassicaceae材料よりも、約10倍~約16倍多くイソチオシアネートを含む。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、浸漬したBrassicaceae材料よりも、約12倍~約16倍多くイソチオシアネートを含む。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、浸漬したBrassicaceae材料よりも、約14倍~約16倍多くイソチオシアネートを含む。一実施形態では、イソチオシアネートは、スルフォラファンである。
【0110】
一実施形態では、イソチオシアネート含有製品中に存在するイソチオシアネートのレベルは、Brassicaceae材料の抽出可能なグルコシノレート含量から予想されるものよりも高い。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、抽出可能なグルコシノレート含量に基づく、イソチオシアネートの予想される最大収量の少なくとも約1倍を含む。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、抽出可能なグルコシノレート含量に基づく、イソチオシアネートの予想される最大収量の少なくとも約2倍を含む。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、抽出可能なグルコシノレート含量に基づく、イソチオシアネートの予想される最大収量の少なくとも約3倍を含む。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、抽出可能なグルコシノレート含量に基づく、イソチオシアネートの予想される最大収量の少なくとも約3.8倍を含む。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、抽出可能なグルコシノレート含量に基づく、イソチオシアネートの予想される最大収量の少なくとも約4倍を含む。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、抽出可能なグルコシノレート含量に基づく、イソチオシアネートの予想される最大収量の約1倍~約4倍を含む。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、抽出可能なグルコシノレート含量に基づく、イソチオシアネートの予想される最大収量の約1倍~約3.8倍を含む。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、抽出可能なグルコシノレート含量に基づく、イソチオシアネートの予想される最大収量の約2倍~約3.8倍を含む。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、抽出可能なグルコシノレート含量に基づく、イソチオシアネートの予想される最大収量の約2倍~約3倍を含む。
【0111】
一実施形態では、イソチオシアネート含有製品中に存在するスルフォラファンのレベルは、Brassicaceae材料の抽出可能なグルコラファニン含量から予想されるものよりも高い。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、抽出可能なグルコラファニン含量に基づく、スルフォラファンの予想される最大収量の少なくとも約1倍を含む。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、抽出可能なグルコラファニン含量に基づく、スルフォラファンの予想される最大収量の少なくとも約2倍を含む。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、抽出可能なグルコラファニン含量に基づく、スルフォラファンの予想される最大収量の少なくとも約3倍を含む。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、抽出可能なグルコラファニン含量に基づく、スルフォラファンの予想される最大収量の少なくとも約3.8倍を含む。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、抽出可能なグルコラファニン含量に基づく、スルフォラファンの予想される最大収量の少なくとも約4倍を含む。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、抽出可能なグルコラファニン含量に基づく、スルフォラファンの予想される最大収量の約1倍~約4倍を含む。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、抽出可能なグルコラファニン含量に基づく、スルフォラファンの予想される最大収量の約1倍~約3.8倍を含む。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、抽出可能なグルコラファニン含量に基づく、スルフォラファンの予想される最大収量の約1倍~約3倍を含む。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、抽出可能なグルコラファニン含量に基づく、スルフォラファンの予想される最大収量の約2倍~約3倍を含む。
【0112】
一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、約100mg/kg dw~約7000mg/kg dwのイソチオシアネートを含む。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、約500mg/kg dw~約7000mg/kg dwのイソチオシアネートを含む。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、約1000mg/kg dw~約7000mg/kg dwのイソチオシアネートを含む。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、約1600mg/kg dw~約4000mg/kg dwのイソチオシアネートを含む。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、約1600mg/kg dw~約3000mg/kg dwのイソチオシアネートを含む。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、約2000mg/kg dw~約4000mg/kg dwのイソチオシアネートを含む。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、約2000mg/kg dw~約7000mg/kg dwのイソチオシアネートを含む。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、約3000mg/kg dwのイソチオシアネート~約7000mg/kgのイソチオシアネートを含む。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、約2300mg/kg dwのイソチオシアネートを含む。
【0113】
一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、少なくとも約100mg/kg dwのイソチオシアネートを含む。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、少なくとも約200mg/kg dwのイソチオシアネートを含む。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、少なくとも約250mg/kg dwのイソチオシアネートを含む。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、少なくとも約300mg/kg dwのイソチオシアネートを含む。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、少なくとも約350mg/kg dwのイソチオシアネートを含む。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、少なくとも約400mg/kg dwのイソチオシアネートを含む。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、少なくとも約450mg/kg dwのイソチオシアネートを含む。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、少なくとも約500mg/kg dwのイソチオシアネートを含む。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、少なくとも約550mg/kg dwのイソチオシアネートを含む。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、少なくとも約600mg/kg dwのイソチオシアネートを含む。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、少なくとも約650mg/kg dwのイソチオシアネートを含む。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、少なくとも約700mg/kg dwのイソチオシアネートを含む。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、少なくとも約1000mg/kg dwのイソチオシアネートを含む。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、少なくとも約2000mg/kg dwのイソチオシアネートを含む。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、少なくとも約3000mg/kg dwのイソチオシアネートを含む。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、少なくとも約4000mg/kg dwのイソチオシアネートを含む。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、少なくとも約5000mg/kg dwのイソチオシアネートを含む。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、少なくとも約6000mg/kg dwのイソチオシアネートを含む。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、少なくとも約7000mg/kg dwのイソチオシアネートを含む。
【0114】
一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、少なくとも約100mg/kg dwのスルフォラファンを含む。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、少なくとも約150mg/kgのスルフォラファンを含む。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、少なくとも約200mg/kg dwのスルフォラファンを含む。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、少なくとも約250mg/kgのスルフォラファンを含む。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、少なくとも約300mg/kg dwのスルフォラファンを含む。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、少なくとも約350mg/kg dwのスルフォラファンを含む。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、少なくとも約400mg/kg dwのスルフォラファンを含む。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、少なくとも約450mg/kg dwのスルフォラファンを含む。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、少なくとも約500mg/kg dwのスルフォラファンを含む。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、少なくとも約550mg/kg dwのスルフォラファンを含む。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、少なくとも約600mg/kg dwのスルフォラファンを含む。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、少なくとも約650mg/kg dwのスルフォラファンを含む。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、少なくとも約700mg/kg dwのスルフォラファンを含む。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、少なくとも約1000mg/kgのスルフォラファンdwを含む。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、少なくとも約2000mg/kg dwのスルフォラファンを含む。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、少なくとも約3000mg/kg dwのスルフォラファンを含む。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、少なくとも約4000mg/kg dwのスルフォラファンを含む。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、少なくとも約5000mg/kg dwのスルフォラファンを含む。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、少なくとも約6000mg/kg dwのスルフォラファンを含む。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、少なくとも約7000mg/kg dwのスルフォラファンを含む。
【0115】
一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、Brassicaceae材料よりも、少なくとも約5%多く総繊維を含む。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、Brassicaceae材料よりも、少なくとも約10%多く総繊維を含む。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、Brassicaceae材料よりも、少なくとも約15%多く総繊維を含む。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、Brassicaceae材料よりも、少なくとも約20%多く総繊維を含む。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、Brassicaceae材料よりも、少なくとも約4%多くタンパク質を含む。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、Brassicaceae材料よりも、少なくとも約6%多くタンパク質を含む。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、Brassicaceae材料よりも、少なくとも約8%多くタンパク質を含む。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、Brassicaceae材料よりも、少なくとも約10%多くタンパク質を含む。
【0116】
一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、Brassicaceae材料よりも、少なくとも約10%少なく炭水化物を含む。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、Brassicaceae材料よりも、少なくとも約20%少なく炭水化物を含む。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、Brassicaceae材料よりも、少なくとも約30%少なく炭水化物を含む。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、Brassicaceae材料よりも、少なくとも約40%少なく炭水化物を含む。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、Brassicaceae材料よりも、少なくとも約45%少なく炭水化物を含む。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、Brassicaceae材料よりも、少なくとも約48%少なく炭水化物を含む。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、Brassicaceae材料よりも、約10%~約48%少なく炭水化物を含む。
【0117】
一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、Brassicaceae材料と比較してポリフェノール配糖体のレベル増加を含む。一実施形態では、ポリフェノール配糖体は、アントシアニン配糖体である。一実施形態では、ポリフェノール配糖体は、フェノール酸配糖体である。一実施形態では、ポリフェノール配糖体は、フェノール酸である。
【0118】
一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、Brassicaceae材料と比較してグルコシノレートのレベル増加を含む。一実施形態では、グルコシノレートは、グルコラファニンである。一実施形態では、グルコラファニンは、少なくとも約25倍に増加する。一実施形態では、グルコシノレートは、グルコブラシシンである。一実施形態では、グルコブラシシンは26倍増加する。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、インドール-3-カルビノールを含む。一実施形態では、インドール-3カルビノールは、浸漬したBrassicaceae材料と比較して、イソチオシアネート含有製品中で少なくとも約2倍増加する。一実施形態では、インドール-3-カルビノールは、浸漬したBrassicaceae材料と比較して、イソチオシアネート含有製品中で少なくとも約3倍増加する。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、アスコルビゲンを含む。一実施形態では、アスコルビゲンは、浸漬したBrassicaceae材料と比較して、イソチオシアネート含有製品中で少なくとも約2倍増加する。一実施形態では、アスコルビゲンは、浸漬したBrassicaceae材料と比較して、イソチオシアネート含有製品中で少なくとも約3倍増加する。
【0119】
一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、Brassicaceae材料と比較して、フェルラ酸、シリング酸、フェニル乳酸、クロロゲン酸、ルチン、シナピン酸、シリング酸メチル、ヘスペレチン、ケルセチン及びケンフェロールのうち1つ以上のレベル増加を含む。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、Brassicaceae材料と比較してクロロゲン酸のレベル増加を含む。一実施形態では、クロロゲン酸は、約6.6倍増加する。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、Brassicaceae材料と比較してシナピン酸のレベル増加を含む。一実施形態では、シナピン酸は、約23.8倍増加する。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、Brassicaceae材料と比較してケンフェロールのレベル増加を含む。一実施形態では、ケンフェロールは、約10.5倍増加する。
【0120】
一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、Brassicaceae材料と比較して、プロトカテク酸、没食子酸、4,ヒドロキシ安息香酸、バニリン酸、2,3ジヒドロキシ安息香酸、p-クマル酸、ケイ皮酸、カテキン、ロスマリン酸、コーヒー酸のうち1つ以上のレベル減少を含む。
【0121】
一実施形態では、Brassicaceae材料中に存在するグルコシノレートの約40%が、イソチオシアネート含有製品中のイソチオシアネートに変換される。一実施形態では、Brassicaceae材料中に存在するグルコシノレートの約50%が、イソチオシアネート含有製品中のイソチオシアネートに変換される。一実施形態では、Brassicaceae材料中に存在するグルコシノレートの約60%が、イソチオシアネート含有製品中のイソチオシアネートに変換される。一実施形態では、Brassicaceae材料中に存在するグルコシノレートの約70%が、イソチオシアネート含有製品中のイソチオシアネートに変換される。一実施形態では、Brassicaceae材料中に存在するグルコシノレートの約80%が、イソチオシアネート含有製品中のイソチオシアネートに変換される。一実施形態では、Brassicaceae材料中に存在するグルコシノレートの約90%が、イソチオシアネート含有製品中のイソチオシアネートに変換される。一実施形態では、Brassicaceae材料中に存在するグルコシノレートの約95%が、イソチオシアネート含有製品中のイソチオシアネートに変換される。一実施形態では、Brassicaceae材料中に存在するグルコシノレートの約97%が、イソチオシアネート含有製品中のイソチオシアネートに変換される。一実施形態では、Brassicaceae材料中に存在するグルコシノレートの約98%が、イソチオシアネート含有製品中のイソチオシアネートに変換される。一実施形態では、Brassicaceae材料中に存在するグルコシノレートの約99%が、イソチオシアネート含有製品中のイソチオシアネートに変換される。一実施形態では、Brassicaceae材料中に存在するグルコシノレートの約100%が、イソチオシアネート含有製品中のイソチオシアネートに変換される。一実施形態では、Brassicaceae材料中に存在するグルコシノレートの約40%~約100%が、イソチオシアネート含有製品中のイソチオシアネートに変換される。一実施形態では、Brassicaceae材料中に存在するグルコシノレートの約40%~約80%が、イソチオシアネート含有Brassicaceae製品中のイソチオシアネートに変換される。
【0122】
一実施形態では、イソチオシアネート含有製品中のイソチオシアネートは、約4℃~約25℃で保存される場合、少なくとも1週間、または少なくとも2週間、または少なくとも3週間、または少なくとも4週間、または少なくとも6週間、または少なくとも8週間、または少なくとも10週間、または少なくとも12週間、または少なくとも14週間は安定している。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品中のイソチオシアネートは、約4℃~約25℃で保存される場合、少なくとも4週間は安定している。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品中のイソチオシアネートは、約4℃~約25℃で保存される場合、少なくとも8週間は安定している。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品中のイソチオシアネートは、約4℃~約25℃で保存される場合、少なくとも12週間は安定している。
【0123】
本明細書で使用される場合、「安定している」とは、4℃で6週間保存される場合にイソチオシアネート濃度が全く減少しないこと、またはほんのわずかしか減少しないことを指す。一実施形態では、わずかな減少とは、約1%~約30%のイソチオシアネート濃度の減少を指す。一実施形態では、わずかな減少とは、約5%以下のイソチオシアネート濃度の減少を指す。一実施形態では、わずかな減少とは、約10%以下のイソチオシアネート濃度の減少を指す。一実施形態では、わずかな減少とは、約15%以下のイソチオシアネート濃度の減少を指す。一実施形態では、わずかな減少とは、約20%以下のイソチオシアネート濃度の減少を指す。一実施形態では、わずかな減少とは、約30%以下のイソチオシアネート濃度の減少を指す。イソチオシアネート分析は、当業者に既知の任意の方法によって、例えば、スルフォラファンについては実施例1に示されるような方法によって実施され得る。
【0124】
一実施形態では、イソチオシアネートは、スルフォラファンである。
【0125】
一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、約4℃~約25℃で保存される場合、少なくとも1週間、または少なくとも2週間、または少なくとも3週間、または少なくとも4週間、または少なくとも6週間、または少なくとも8週間、または少なくとも10週間、または少なくとも12週間、または少なくとも14週間は酵母、カビ及び/または大腸菌の増殖に対して耐性がある。
【0126】
一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、約4℃~約25℃で保存される場合、少なくとも4週間は酵母、カビ及び/または大腸菌の増殖に対して耐性がある。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、約4℃~約25℃で保存される場合、少なくとも8週間は酵母、カビ及び/または大腸菌の増殖に対して耐性がある。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、約4℃~約25℃で保存される場合、少なくとも12週間は酵母、カビ及び/または大腸菌の増殖に対して耐性がある。
【0127】
本明細書で使用される場合、酵母、カビ及び/または大腸菌の増殖に対して「耐性がある」とは、<1Log CFU/gの酵母、カビ及び/または大腸菌が、実施例1に記載される方法を使用した上に列挙される期間後に試料中で検出可能であることを意味する。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、約20g/100gdw~約32g/100gdwの総繊維を含む。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、約20g/100gdwの総繊維を含む。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、約25g/100gdwの総繊維を含む。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、約28g/100gdwの総繊維を含む。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、約29g/100gdwの総繊維を含む。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、約30g/100gdwの総繊維を含む。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、約32g/100gdwの総繊維を含む。
【0128】
一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、約14000μmol TE/100gdw~約19000μmol TE/100gdwのORAC抗酸化能を含む。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、約14000μmol TE/100gdwのORAC抗酸化能を含む。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、約15000μmol TE/100gdwのORAC抗酸化能を含む。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、約16000μmol TE/100gdwのORAC抗酸化能を含む。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、約17000μmol TE/100gdwのORAC抗酸化能を含む。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、約18000μmol TE/100gdwのORAC抗酸化能を含む。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、約18695μmol TE/100gdwのORAC抗酸化能を含む。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、約19000μmol TE/100gdwのORAC抗酸化能を含む。
【0129】
一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、約1750mg GAE/100gdw~約2600mg GAE/100gdwの総ポリフェノール含量を含む。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、約1750mg GAE/100gdwの総ポリフェノール含量を含む。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、約2000mg GAE/100gdwの総ポリフェノール含量を含む。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、約2100mg GAE/100gdwの総ポリフェノール含量を含む。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、約2200mg GAE/100gdwの総ポリフェノール含量を含む。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、約2300mg GAE/100gdwの総ポリフェノール含量を含む。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、約2360mg GAE/100gdwの総ポリフェノール含量を含む。
【0130】
一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、約0.9%~約1.1%乳酸当量の総滴定酸度を含む。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、約1.1%乳酸当量の総滴定酸度を含む。
【0131】
一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、約23g/100gdw~約39g/100gdwの総タンパク質含量を含む。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、約23g/100gdw~約30g/100gdwの総タンパク質含量を含む。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、約25g/100gdwの総タンパク質含量を含む。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、約27g/100gdwの総タンパク質含量を含む。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、約28g/100gdwの総タンパク質含量を含む。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、約29g/100gdwの総タンパク質含量を含む。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、約30g/100gdwの総タンパク質含量を含む。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、約32g/100gdwの総タンパク質含量を含む。
【0132】
一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、少なくとも約100mg/kg dwのイソチオシアネート及び以下のうち1つ以上または全てを含む。
【0133】
i)約29~約36g/100gdwの総繊維、
ii)約15000~約18695μmol TE/100gdwのORAC抗酸化能、
iii)約2310~約2600mg GAE/100gdwの総ポリフェノール含量、
iv)約0.9~約1.1%乳酸当量の総滴定酸度、
v)約27~約39g/100gdwの総タンパク質含量、ならびに
vi)Leuconostoc mesenteroides及び/またはLactobacillus plantarum。
【0134】
一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、ブロッコリーから作製される。
【0135】
本明細書に記載されるようなBrassicaceae製品は、対象中でのグルコシノレート含有製品の消化中に、イソチオシアネート含有製品中に存在するグルコシノレートのイソチオシアネートへの変換を助け得る(すなわち、菌がプロバイオティックとして機能する)生乳酸菌を含み得る。一実施形態では、乳酸菌は、Leuconostoc mesenteroidesである。一実施形態では、乳酸菌は、Lactobacillus種である。一実施形態では、乳酸菌は、Lactobacillus plantarumである。
【0136】
一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、少なくとも約102CFU/gの濃度で乳酸菌を含む。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、少なくとも約102CFU/gの濃度で乳酸菌を含む。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、少なくとも約105CFU/gの濃度で乳酸菌を含む。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、少なくとも約106CFU/gの濃度で乳酸菌を含む。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、少なくとも約107CFU/gの濃度で乳酸菌を含む。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、少なくとも約108CFU/gの濃度で乳酸菌を含む。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、少なくとも約109CFU/gの濃度で乳酸菌を含む。
【0137】
一実施形態では、生乳酸菌は、約4℃~約25℃で保存される場合、イソチオシアネート含有製品中に少なくとも10日間存在する。一実施形態では、生乳酸菌は、約4℃~約25℃で保存される場合、イソチオシアネート含有製品中に少なくとも20日間存在する。一実施形態では、生乳酸菌は、約4℃~約25℃で保存される場合、イソチオシアネート含有製品中に少なくとも30日間存在する。一実施形態では、生乳酸菌は、約4℃~約25℃で保存される場合、イソチオシアネート含有製品中に少なくとも40日間存在する。一実施形態では、生乳酸菌は、約4℃~約25℃で保存される場合、イソチオシアネート含有製品中に少なくとも50日間存在する。一実施形態では、生乳酸菌は、約4℃~約25℃で保存される場合、イソチオシアネート含有製品中に少なくとも60日間存在する。一実施形態では、生乳酸菌は、約4℃~約25℃で保存される場合、イソチオシアネート含有製品中に少なくとも70日間存在する。一実施形態では、生乳酸菌は、約4℃~約25℃で保存される場合、イソチオシアネート含有製品中に少なくとも80日間存在する。一実施形態では、生乳酸菌は、約4℃~約25℃で保存される場合、イソチオシアネート含有製品中に少なくとも85日間存在する。一実施形態では、生乳酸菌は、約4℃~約25℃で保存される場合、イソチオシアネート含有製品中に少なくとも90日間存在する。
【0138】
一実施形態では、乳酸菌は、Lactobacillus種である。一実施形態では、乳酸菌は、Lactobacillus plantarumである。一実施形態では、乳酸菌は、Leuconostoc mesenteroidesである。一実施形態では、細菌は、少なくとも約107CFU/gの濃度で存在する。
【0139】
一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、乳酸菌によって産生される1種以上のバクテリオシン(複数可)を含む。一実施形態では、バクテリオシンは、クラスIバクテリオシンである。一実施形態では、バクテリオシンは、クラスIIバクテリオシンである。一実施形態では、バクテリオシンは、クラスIIIバクテリオシンである。乳酸菌によって産生されるバクテリオシンの例は、Alvarez-Sieiro et al.(2016)に見出され得る。
【0140】
一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、食品である。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、栄養補助食品である。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、サプリメントである。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、食品成分である。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、プロバイオティックである。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、動物飼料である。動物は、魚または家畜などの水生動物であり得る。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、殺虫剤である。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、薬用化粧品である。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、局所的に製剤化される。
【0141】
一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、固体、液体、ピューレまたは粉末である。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、発酵後に乾燥させて粉末となる。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、発酵後に凍結乾燥される。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、発酵後、WO2005030229に記載されるようにマイクロカプセル化される。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、丸剤として製剤化される。
【0142】
後処理
一実施形態では、発酵または酸性化後、イソチオシアネート含有製品は、例えば、製品の分解に寄与する微生物または摂取される場合の病原体を不活性化するために後処理され得る。
【0143】
本明細書で使用される場合、「後処理」または「後処理すること」は、微生物を不活性化するための、発酵後の本明細書に記載されるようなイソチオシアネート含有製品の処理を指す。本明細書で使用される場合、「微生物」は、イソチオシアネート含有製品の分解または腐敗をもたらし得る細菌、ウイルス、真菌または真核生物の活性を指す。本明細書で使用される場合、微生物「を不活性化する」またはその「不活性化」は、生存可能な微生物を約1~約7log減少させることを指す。一実施形態では、生存可能な微生物は、約1~6log減少する。一実施形態では、生存可能な微生物は、約2~6log減少する。一実施形態では、生存可能な微生物は、約3~6log減少する。
【0144】
当業者は、後処理が、微生物を不活性化する任意の方法、例えば、熱処理、UV処理、超音波処理、パルス電界処理または高圧処理を含む方法であり得ると理解することになる。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、熱処理で後処理される。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、高圧処理で後処理される。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、後処理中に密封パッケージ内にある。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、高圧処理中に密封パッケージ内にある。一実施形態では、イソチオシアネート含有製品は、熱処理中に密封パッケージ内にある。一実施形態では、高圧処理は、イソチオシアネート含有製品を約300~約600MPaの静水圧で処理することを含む。一実施形態では、高圧処理は、イソチオシアネート含有製品を約350~約550MPaの静水圧で処理することを含む。一実施形態では、高圧処理は、イソチオシアネート含有製品を約300~約400MPaの静水圧で処理することを含む。一実施形態では、熱処理は、試料を約60℃~約121℃の温度に加熱することを含む。一実施形態では、熱処理は、試料を約65℃~約100℃の温度に加熱することを含む。一実施形態では、熱処理は、試料を約65℃~約80℃の温度に加熱することを含む。一実施形態では、熱処理は、試料を約65℃~約75℃の温度に加熱することを含む。
【0145】
単離株及びスターター培養物
一実施形態では、本発明は、本明細書に記載されるような方法及び製品における使用に好適な乳酸菌の単離株を提供する。
【0146】
一実施形態では、本発明は、以下から選択される乳酸菌の単離株を提供する:
i)2017年9月25日に、National Measurement Institute AustraliaにV17/021729の下で寄託されたBF1、
ii)2017年9月25日に、National Measurement Institute AustraliaにV17/021730の下で寄託されたBF2、
iii)2017年9月25日に、National Measurement Institute AustraliaにV17/021731の下で寄託されたB1、
iv)2017年9月25日に、National Measurement Institute AustraliaにV17/021732の下で寄託されたB2、
v)2017年9月25日に、National Measurement Institute AustraliaにV17/021733の下で寄託されたB3、
vi)2017年9月25日に、National Measurement Institute AustraliaにV17/021734の下で寄託されたB4、及び
vii)2017年9月25日に、National Measurement Institute AustraliaにV17/021735の下で寄託されたB5。
【0147】
一実施形態では、本発明は、SmaI及び/またはNotIで切断される場合、BF1またはBF2と同一のSmaI及び/またはNotIフィンガープリントを生成するゲノムDNAを含むLeuconostoc mesenteroidesの単離株を提供する。BF1及びBF2のSmaI及びNotIフィンガープリントを、図13に示す。
【0148】
一実施形態では、本発明は、SmaI及び/またはNotIで切断される場合、B1、B2、B3、B4またはB5と同一のSmaI及び/またはNotIフィンガープリントを生成するゲノムDNAを含むLactobacillus plantarumの単離株を提供する。
【0149】
一実施形態では、本発明は、ATCC8293とは異なる、表18または19に列挙される多型のうち1つ以上または全てを含むLeuconostoc mesenteroidesの単離株を提供する。一実施形態では、Leuconostoc mesenteroidesの単離株は、ATCC8293とは異なる、表18または19に列挙される多型のうち5つ以上を含む。一実施形態では、Leuconostoc mesenteroidesの単離株は、ATCC8293とは異なる、表18または19に列挙される多型のうち10以上を含む。一実施形態では、Leuconostoc mesenteroidesの単離株は、ATCC8293とは異なる、表18または19に列挙される多型のうち15以上を含む。一実施形態では、Leuconostoc mesenteroidesの単離株は、ATCC8293とは異なる、表18または19に列挙される多型のうち19以上を含む。一実施形態では、Leuconostoc mesenteroidesの単離株は、ATCC8293とは異なる、表19に列挙される多型のうち20以上を含む。一実施形態では、Leuconostoc mesenteroidesの単離株は、ATCC8293とは異なる、表19に列挙される多型のうち30以上を含む。一実施形態では、Leuconostoc mesenteroidesの単離株は、ATCC8293とは異なる、表19に列挙される多型のうち50以上を含む。一実施形態では、Leuconostoc mesenteroidesの単離株は、ATCC8293とは異なる、表19に列挙される多型のうち80以上を含む。一実施形態では、Leuconostoc mesenteroidesの単離株は、ATCC8293とは異なる、表19に列挙される多型のうち100以上を含む。一実施形態では、Leuconostoc mesenteroidesの単離株は、ATCC8293とは異なる、表19に列挙される多型のうち150以上を含む。一実施形態では、Leuconostoc mesenteroidesの単離株は、ATCC8293とは異なる、表19に列挙される多型のうち200以上を含む。一実施形態では、Leuconostoc mesenteroidesの単離株は、ATCC8293とは異なる、表19に列挙される多型のうち300以上を含む。一実施形態では、Leuconostoc mesenteroidesの単離株は、ATCC8293とは異なる、表19に列挙される多型のうち400以上を含む。
【0150】
一実施形態では、本発明は、ATCC8014とは異なる、表13、表14、表15、表16または表17に列挙される1つ以上または全ての多型を含むLactobacillus plantarumの単離株を提供する。一実施形態では、本発明は、ATCC8014とは異なる、表13、表14、表15、表16または表17に列挙される多型のうち5つ以上を含むLactobacillus plantarumの単離株を提供する。一実施形態では、本発明は、ATCC8014とは異なる、表13、表14、表15、表16または表17に列挙される多型のうち10以上を含むLactobacillus plantarumの単離株を提供する。一実施形態では、本発明は、ATCC8014とは異なる、表13、表14、表15、表16または表17に列挙される多型のうち15以上を含むLactobacillus plantarumの単離株を提供する。一実施形態では、本発明は、ATCC8014とは異なる、表13、表14、表15、表16または表17に列挙される多型のうち20以上を含むLactobacillus plantarumの単離株を提供する。一実施形態では、本発明は、ATCC8014とは異なる、表13、表14、表15、表16または表17に列挙される多型のうち25以上を含むLactobacillus plantarumの単離株を提供する。一実施形態では、本発明は、ATCC8014とは異なる、表13、表14、表15、表16または表17に列挙される多型のうち30以上を含むLactobacillus plantarumの単離株を提供する。一実施形態では、本発明は、ATCC8014とは異なる、表13、表14、表15、表16または表17に列挙される多型のうち35以上を含むLactobacillus plantarumの単離株を提供する。一実施形態では、本発明は、ATCC8014とは異なる、表13、表14、表15、表16または表17に列挙される多型のうち40以上を含むLactobacillus plantarumの単離株を提供する。
【0151】
一態様では、本発明は、本明細書に記載されるような単離株のうち1つ以上を含む乳酸菌を含む、イソチオシアネート含有製品またはプロバイオティックを作製するためのスターター培養物を提供する。本明細書で使用される場合、「スターター培養物」は、発酵を目的とした生きた微生物の培養物である。一実施形態では、本発明は、以下のうち1つ以上または全てから選択される乳酸菌を含む、イソチオシアネート含有製品またはプロバイオティックを作製するためのスターター培養物を提供する:
i)2017年9月25日に、National Measurement Institute AustraliaにV17/021729の下で寄託されたBF1、
ii)2017年9月25日に、National Measurement Institute AustraliaにV17/021730の下で寄託されたBF2、
iii)2017年9月25日に、National Measurement Institute AustraliaにV17/021731の下で寄託されたB1、
iv)2017年9月25日に、National Measurement Institute AustraliaにV17/021732の下で寄託されたB2、
v)2017年9月25日に、National Measurement Institute AustraliaにV17/021733の下で寄託されたB3、
vi)2017年9月25日に、National Measurement Institute AustraliaにV17/021734の下で寄託されたB4、及び
vii)2017年9月25日に、National Measurement Institute AustraliaにV17/021735の下で寄託されたB5。
【0152】
一実施形態では、Brassicaceae材料は、本明細書に記載されるような、少なくとも約105CFU/gのスターター培養物を接種される。一実施形態では、Brassicaceae材料は、本明細書に記載されるような、少なくとも約106CFU/gのスターター培養物を接種される。一実施形態では、Brassicaceae材料は、本明細書に記載されるような、少なくとも約107CFU/gのスターター培養物を接種される。一実施形態では、Brassicaceae材料は、本明細書に記載されるような、少なくとも約108CFU/gのスターター培養物を接種される。一実施形態では、Brassicaceae材料は、本明細書に記載されるような、少なくとも約1010CFU/gのスターター培養物を接種される。一実施形態では、Brassicaceae材料は、本明細書に記載されるような、約105CFU/g~約1010CFU/gのスターター培養物を接種される。
【0153】
プロバイオティクス
一実施形態では、本発明は、Brassicaceaeから単離される乳酸菌のうち1つ以上を含むプロバイオティックを提供する。本明細書で使用される場合、「プロバイオティック」は、適切な量で投与される場合に宿主に健康上の利益を与える生きた微生物を指す。一実施形態では、乳酸菌は、Brassica oleraceaから単離された。一実施形態では、乳酸菌は、ブロッコリーから単離された。一実施形態では、乳酸菌は、オーストラリア産ブロッコリーから単離された。一実施形態では、乳酸菌は、i)Leuconostoc mesenteroides、ii)Lactobacillus plantarum、iii)Lactobacillus pentosus、iv)Lactobacillus rhamnosus、v)i)及びii)の組合せ、vi)i)、ii)及びiii)の組合せ、ならびにvii)i)、ii)及びiv)の組合せから選択される。一実施形態では、乳酸菌は、BF1、BF2、B1、B2、B3、B4及びB5のうち1つ以上または全てから選択される。一実施形態では、乳酸菌はB1である。一実施形態では、乳酸菌はB2である。一実施形態では、乳酸菌はB3である。一実施形態では、乳酸菌はB4である。一実施形態では、乳酸菌はB5である。一実施形態では、プロバイオティックは、カプセル剤、錠剤、粉末または液体である。一実施形態では、プロバイオティックは、WO2005030229に記載されるようにマイクロカプセル化される。
【実施例0154】
実施例1-方法
化学物質及び試薬
HPLCグレードのメタノール、リン酸二水素ナトリウム、水酸化ナトリウム(NaOH)及び塩酸(HCl)を、Merck(Damstadt,Germany)から購入した。フォーリン-チオカルト試薬、炭酸ナトリウム(Na2CO3)、没食子酸、フルオレセインナトリウム塩及びリン酸水素二カリウムを、Sigma Aldrich(St.Louis,MO,USA)から購入した。リン酸二水素ナトリウム、6-ヒドロキシ-2,5,7,8-テトラメチルクロマン-2-カルボン酸(トロロックス)、2,20-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド(AAPH)を、Sapphire Bioscience(Redfern,NSW,Australia)から購入した。
【0155】
乳酸菌
発酵中に使用した乳酸菌は、以下のうち1つ以上から選択した:
LP:Lactobacillus plantarum ATCC8014、
LGG:Lactobacillus rhamnosus ATCC53103、
B1:2017年9月25日に、National Measurement Institute AustraliaにV17/021731の下で寄託された、ブロッコリーから単離したLactobacillus plantarum、
B2:2017年9月25日に、National Measurement Institute AustraliaにV17/021732の下で寄託された、ブロッコリーから単離したLactobacillus plantarum、
B3:2017年9月25日に、National Measurement Institute AustraliaにV17/021733の下で寄託された、ブロッコリーから単離したLactobacillus plantarum、
B4:2017年9月25日に、National Measurement Institute AustraliaにV17/021734の下で寄託された、ブロッコリーから単離したLactobacillus plantarum、
B5:2017年9月25日に、National Measurement Institute AustraliaにV17/021735の下で寄託された、ブロッコリーから単離したLactobacillus plantarum、
BF1:2017年9月25日に、National Measurement Institute AustraliaにV17/021729の下で寄託された、ブロッコリーピューレから単離したLeuconostoc mesenteroides、
BF2:2017年9月25日に、National Measurement Institute AustraliaにV17/021730の下で寄託されたBF2、ブロッコリーピューレから単離したLeuconostoc mesenteroides、
BP:プールしたBF1、BF2、ならびに
LAB:プールしたB1、B2、B3、B4及びB5。
【0156】
BF1及びBF2を、16s-RNA配列からLeuconostoc mesenteroidesとして同定した(Australian Genome Research Facility、データは示さず)。B1~B5を、16S-RNA配列に基づいてLactobacillus plantarumとして同定した。全ての分離株の識別情報を、全ゲノム配列解析によって確認した。
【0157】
ブロッコリー及びブロッコリーピューレからの乳酸菌の単離
上記Lactobacillus plantarumのB1、B2、B3、B4及びB5を、ブロッコリーの葉及び茎から単離した。葉及び茎を水で洗浄し、ストマッカーを使用してペプトン加生理食塩水でホモジナイズした。浸漬溶液を段階希釈し、De Man、Rogosa及びSharpe(MRS)寒天上に塗り広げた。このプレートを、推定的な中温性乳酸菌を単離するために、嫌気条件下で48~72時間37℃でインキュベートした。MRSプレート上での異なるコロニー形態に基づいて、コロニーを単離してMRSブロス中で培養し、染色法及び生化学的特性評価技術を使用してスクリーニングし、グリセロールを用いて-80℃で凍結保存した。分離株を、AGRFで16s RNAシーケンシングを使用して種レベルで同定した。
【0158】
Leuconostoc mesenteroidesのBF1及びBF2の単離については、ブロッコリーの葉からの単離について上に記載した懸濁液ではなく、ブロッコリー房のピューレを段階希釈後に使用した。
【0159】
スターター培養物の調製
乳酸菌株Leuconostoc mesenteroides及びLactobacillus plantarumをブロッコリーから単離し、Australian Genome Research Facility Ltdによって同定した。初代培養物を得るために、-80℃で保存した乳酸菌培養物を10mLのMRSブロス(Oxoid,Victoria,Australia)中に接種し、30℃で24時間インキュベートして、8logコロニー形成単位/ミリリットル(CFU/mL)の初期バイオマスを得た。2mLの各一次接種菌を200mLのMRSブロス中に接種し、24時間30℃でインキュベートした。培養物を遠心分離によって2000gで15分間4℃で回収し、滅菌リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で2回洗浄して、全てのLactobacillus plantarum培養物を合わせて混合し、全てのLeuconostoc mesenteroides培養物を合わせて混合した。2つの培養懸濁液を10log CFU/mlに希釈して同じ体積比率で混合し、ブロッコリー発酵のための混合スターター培養物として使用するまで-80℃でグリセロールを用いて保存した。
【0160】
発酵法
ブロッコリー(Brassica oleracea L種Italic、30kg)の房を樹冠からおよそ2cm切断し、より小さな細片まで細断して、magic bulletブレンダーを使用し、Milli-Q水を用いて3:2の比率で1分間浸漬した。ブロッコリースラリーを十分に混合し、ねじ蓋付きの滅菌プラスチックボトル(200mL)中に入れた。ブロッコリーピューレの各ボトル(200mL)に、8log CFU/gの初期濃度で調製したスターター培養物を接種した。発酵実験を、pH値が約4.0に到達するまで(4日目)、48本のボトルで並行して30℃で実施した。発酵段階が完了した後、3つの試料を0日目の貯蔵試料として取り出し、他方の試料を貯蔵実験のために2つのロットに分けた:一方のロットを冷蔵庫(4℃)で保存し、別のロットは25℃の恒温室で保存した。試料を、微生物学的、物理化学的及び植物化学的分析のために12週間にわたって定期的に採取した。発酵ブロッコリーピューレを、均質化後に-20℃で保存した生ブロッコリーピューレと比較し、ピューレ試料をLABで接種せずに発酵試料と同じ期間インキュベートした。
【0161】
試料採取
時間経過実験では、試料採取を、25℃及び4℃で保存した試料についてそれぞれ10日目、20日目、30日目、40日目、50日目、60日目、70日目、80日目、及び90日目、ならびに14日目、28日目、42日目、56日目、70日目及び84日目に実施した。試料採取を、表面上で測定した色及び発酵ボトルの開封直後に測定したpHを用いて3回反復して実施した。その後、微生物学的分析及び滴定酸度分析のために試料を採取した。残存する材料を2つの部分に分け、第1部分を冷凍して凍結乾燥し、微粉となるまで粉砕してデシケーター中でさらなる分析のために保存し、第2部分を冷凍して、グルコラファニン及びスルフォラファン分析まで-20℃で保存した。
【0162】
微生物学的分析
微生物分析では、3つの異なる培地を使用して、異なる微生物に関してCFU/gブロッコリーピューレを測定し、それらは、DeMan-Rogosa-Sharp(MRS)寒天上での全乳酸菌のプレートカウント、バイオレットレッド胆汁グルコース寒天(VRBGA)上での全腸内細菌のプレートカウント、ならびにポテトデキストロース寒天(PDA)上での酵母及びカビのプレートカウントであった。各試料について、滅菌ペプトン生理食塩水希釈剤中でブロッコリー懸濁液の段階希釈を行い、0.1mLの希釈物を寒天プレート上に2回反復して播種した。25℃で72時間の好気的インキュベーション後(PDA)、37℃で24時間の好気的インキュベーション後(VRBGA)、及び30℃で72時間の嫌気的インキュベーション後(MRS)、それぞれCFUを計数した。
【0163】
pH及び滴定酸度の決定
pH値を、ブロッコリーピューレを含有する発酵ボトル中においてpHメーター(PHM240、MeterLab)によって直接決定した。ブロッコリー試料の滴定酸度(TA)を、自動滴定装置(Titralab 854 titration manager、Radiometric Analytical、France)を用いて測定した。簡潔に述べると、希釈したブロッコリーピューレ(10mL)を、0.1M NaOHを使用して終点pH=8.1まで滴定し、得られた結果を以下の式に従って試料1リットルあたりの乳酸のグラム当量として表した:
【数1】
式中、vはNaOHの滴定体積である。乳酸の酸因子は、0.009である。
【0164】
総タンパク質及び色分析
ブロッコリー試料の総タンパク質含量を、全窒素含量に6.25を乗じたものとして決定した。ブロッコリーの全窒素含量を、LECO TruMac装置(LECO Corporation,Michigan,USA)を用いたデュマ燃焼法を使用して分析した。発酵ブロッコリー試料の色指数(L、a、b)を、色彩色差計CR-200三刺激比色計(Minolta,Osaka,Japan)を使用して決定した。得られた色値を、明度/暗度(L*として)、赤色度/緑色度(a*)及び黄色度/青色度(b*)として表した。色差の合計(ΔE)を以下の式に従って算出した:
【数2】
式中、L0、a0、b0は、新鮮な非発酵ブロッコリーの色値である。
【0165】
総ポリフェノール含量の決定
総フェノール含量(TPC)を、フォーリン-チオカルト比色法(Singleton and Rossi,1965)を修正して使用し、分光光度法により測定した。簡潔に述べると、50mgのブロッコリー粉末を、10mLの酸性化(1%HCl)メタノール/水(70:30、v/v)溶液中に懸濁し、超音波浴(IDK technology Pty Ltd,VIC,Australia)中で8分間抽出した。抽出物を16時間4℃で保存し、0.2μMフィルターで濾過して、分析まで4℃で保存した。1mLの0.2Nフォーリン-チオカルト試薬、800μLの炭酸ナトリウム水溶液(7.5%p/v)及び180μLのMilli-Qグレード水を抽出物(20μL)に添加した。暗所において37℃で1時間インキュベートした後、吸光度を、分光光度計(UV-1700 Pharma Spec、SHIMADZU)を使用して765nmで3回反復して測定した。没食子酸を標準物質として使用し、TPCを、既知濃度の没食子酸を使用して作成した検量線に基づいて、生体重100gあたりの没食子酸当量(GAE)をmg単位(mg GAE/100g FW)で表した。
【0166】
酸素ラジカル吸収能アッセイ
凍結乾燥ブロッコリー粉末(10mg)を、抽出溶媒である10mLのメタノール/水(80:20、v/v)中に懸濁させた。このスラリーを、Heidolph Multi-Reax(John Morris Scientific,NSW,Australia)上において650rpmで、室温で1時間抽出した。次いで、それを25,000gで15分間4℃で遠心分離し、上清を収集して、75mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.4)で100×希釈した後、分析用に準備した。ORAC分析を、Huang et al.(2002)によって報告された手順に従い、わずかな修正を加えて実施した。アッセイを、不透明96ウェルプレート(黒色オプティカルボトム、Waltham,MA,USA)中で実施した。アッセイ反応物は、81.6nMのフルオレセイン、153mMのAAPH、異なる濃度(100、50、25、12.5、及び6.25μM)のトロロックス標準物質、ならびにブランクとして75mMリン酸緩衝液を含んでいた。反応物を以下の順番で添加した:25μLの希釈試料、25μLの75mMリン酸緩衝液、25μLのトロロックス標準物質及び150μLのフルオレセインのいずれか。フルオレセイン添加後、プレートを37℃で10分間インキュベートし、次いでAAPH(25μL)を添加した。AAPHの添加直後に、プレートを蛍光プレートリーダー(BMG Labtech ClarioStar,Germany)内に置き、蛍光を、本来の蛍光の5%未満に減少するまで3分ごとに測定した。ORAC値を曲線下面積(AUC)として算出し、ブロッコリーの乾燥重量1グラムあたりのトロロックス当量(TE)のマイクロモル(μmol TE/g DW)として表した。各試料を3回反復してアッセイした。
【0167】
スルフォラファン分析
ブロッコリーマトリックスからのスルフォラファンの抽出を、Li et al.(2012)の方法に従って、一部修正を加えて実施した。簡潔に述べると、凍結ブロッコリー(2g)を2mLのMilli-Q水と混合し、1分間ボルテックスした。次いで、20mLの酢酸エチルをスラリーに添加し、続いて5分間超音波処理して、20分間4℃で振盪した。次いで、スラリーを15,000gで10分間遠心分離し、上清を収集した。次いで、さらに15mLの酢酸エチルを沈殿物に添加し、二次抽出を実施した。各試料からのプールした抽出物を、真空遠心脱水機(SC250EXP、Thermo Fisher Scientific,CA,USA)を用いて室温で蒸発乾固し、分析するまで-20℃で保存した。スルフォラファンの濃度を、Acquity(商標)Ultra Performance LCシステム(Waters Corporation,Milford,MA,USA)を使用して決定し、これはバイナリーソルベントデリバリーマネージャー及びサンプルマネージャーを備えている。クロマトグラフィー分離を、2.1×50mm、Acquity BEH C18クロマトグラフィーカラム上で実施した。移動相A及びBは、それぞれ0.1%ギ酸milliq水溶液及び0.1%ギ酸アセトニトリル溶液であった。グラジエント溶出系は、移動相A(0.1%ギ酸milliq水溶液)及びB(0.1%ギ酸アセトニトリル溶液)からなり、次のグラジエント:0~2分、10%B、2~5分、20%B、5~10分、10%Bを使用して分離を達成した。カラム温度を30℃で一定に維持した。流速は0.350mL/分であって、注入量は5μLであった。
【0168】
分析前に、全試料を1mLの30%アセトニトリル中に溶解し、0.22μmメンブレンフィルター(Merk Millipore,Billerica,MA,USA)に通して濾過した。各ピークの同定は、既知標準物質の保持時間及びクロマトグラフィーに基づいた。各化合物の濃度を検量線に従って算出し、その結果をブロッコリー1キログラムDWあたりのマイクロモル(μmol/kg DW)として表した。
【0169】
グルコラファニン分析
生または発酵ブロッコリーからのグルコラファニンの抽出を、Cai and Wang(2016)の方法に従って、一部修正を加えて実施した。したがって、2gの冷凍ブロッコリーピューレに10mLの煮沸Milli-Q水を添加し、混合物を沸騰水浴中で5分間インキュベートした。次いでそれを冷却し、15000×gで15分間遠心分離して上清を収集した。沈殿物を8mLの沸騰水で再度抽出した。各試料からのプールした抽出物を、真空遠心脱水機(Speedvac SC250EXP、Thermo Fisher Scientific,CA,USA)を用いて3℃で蒸発乾固し、分析するまで-20℃で保存した。グルコラファニンの濃度を、フォトダイオードアレイ検出器2998を備えたAlliance HPLC機器(Waters Corporation,Milford,MA,USA)を使用して定量した。HPLCカラム-Luna(登録商標)3μM親水性相互作用液体クロマトグラフィー(HILIC)200Å(100×4.6mm、Phenomenex,Torrance,CA,USA)を、25℃のカラム温度で分析のために使用した。移動相は、アセトニトリル/水(85:15、v/v)の30mMギ酸アンモニウム(溶液A)及びアセトニトリル(溶液B)を含むものからなり、次のイソクラティックフロープログラム:溶液A70%、溶液B30%を用いた。他のクロマトグラフィー条件は、2.0mL/分の一定流速、100μLの注入量、8分の実行時間、及び235nmの検出波長を含んでいた。分析前に、全試料を1mLの溶媒A中に溶解し、0.22μmメンブレンフィルター(Merk Millipore,Billerica,MA,USA)に通して濾過した。各ピークの同定は、既知グルコラファニン標準物質の保持時間及びクロマトグラフィーに基づいた。グルコラファニンの濃度を、検量線を使用して算出し、その結果をブロッコリー1キログラムDWあたりのマイクロモルグルコラファニン(μmol/kg DW)として表した。
【0170】
統計分析
全ての実験を3回反復して実施し、結果を平均値として表した。一元配置分散分析(ANOVA)を適用して、平均値間での差の有意性を0.05の有意水準(p<0.05)で評価した。統計分析を、統計ソフトウェア、SPSS 16.0 for Windows(SPSS Inc.,Chicago,IL,USA)を使用して実施した。
【0171】
実施例2-乳酸菌発酵ブロッコリー房の微生物分析
ブロッコリーピューレの発酵を、実施例1の発酵の節に記載した通りに実施した。全乳酸菌数は、表1に示した通り、接種したブロッコリーと比較して生ブロッコリーの方が低かった。発酵の4日後に、試料のpHが4.04に到達したため発酵を停止し、貯蔵実験前の発酵試料を0日目試料と見なした。表1及び図1Cから明らかなように、0日目試料の全乳酸菌数は、生ブロッコリーと比較して有意に増加していた(8log CFU/g)。最初の2週間の貯蔵中、全乳酸菌の生菌数は、25℃及び4℃(表1及び表2)の両方で保存した試料について、9log CFU/gの最高値まで増加した。25℃での貯蔵中、全乳酸菌数は10日目に9log CFU/gまで増加し、貯蔵中にゆっくりと減少して50日目までに5log CFU/gとなり、70日目以降はほぼ検出不可能なレベルまでさらに減少した。対照的に、4℃で保存した試料中のLAB数は、84日間の貯蔵後であっても高値(6log CFU/g)のままであった。
【0172】
【表1】
【0173】
【表2】
【0174】
生ブロッコリー試料中の酵母及びカビの総数は、2log CFU/gであった。生ブロッコリー中のEnterobacteriaceae数は、3log CFU/gであった。真菌、カビ及び腸内細菌は、発酵後または両温度条件での貯蔵後の発酵試料上では一切検出されなかった。発酵後及び貯蔵中に病原菌及び腐敗菌は一切検出されなかった。結果は、発酵プロセスによって、病原性の可能性があるeneterobacteriaceaeならびに腐敗酵母及びカビが検出不可能なレベルである安全かつ安定した製品がもたらされ、これは4℃で保存した場合に高レベルの全乳酸菌を維持していたことを示している。4℃で約3か月後、約106CFU/gの乳酸菌が存在する。
【0175】
実施例3-乳酸菌発酵ブロッコリー房の貯蔵後におけるpH及び滴定酸度の評価
生ブロッコリー、発酵ブロッコリーならびに25℃及び4℃で貯蔵した後の発酵ブロッコリーのpH及び滴定酸度(TA)を、実施例1に記載した通りに分析した。TAの決定を使用して、発酵中に乳酸菌が産生する主な酸である乳酸及び酢酸の量を推定した。発酵中、乳酸菌が産生する酸は試料のpHを低下させる。表1に示す通り、0日目試料ではTAが10.7g/Lまで上昇した。25℃で保存した場合、10日後の貯蔵中にpHは3.87まで低下し、それに加えてTAの値が14.4g/Lに到達し、有意に増加した(p<0.05、表1を参照のこと)。結果は、貯蔵初期の数日間は乳酸菌が消費し、さらに酸を産生するための基質がまだ存在していたことを示している。pH及びTA値のいずれも、残りの貯蔵期間中に有意に変化することはなかった(表1)。
【0176】
温度を4℃に低下させると、低温では乳酸菌の活性が低下するため、保存試料中のpH及びTAの低下率が減少した(表2を参照のこと)。4℃でほぼ3か月間貯蔵した後、pHは3.85、TA値は13.7g/Lであった。
【0177】
実施例4-グルコラファニンのスルフォラファンへの変換に対するブロッコリーの浸漬及び発酵の評価
ブロッコリーの房を小さな細片まで切断し、3:2のブロッコリー:水の比率で水と混合し、混合物を、ブレンダーを使用してピューレに浸漬した。ピューレ試料(200gm)を滅菌プラスチックボトル中に分取した。試料に、オーストラリア産ブロッコリーから単離した乳酸菌(Leuconostoc mesenteroides及びLactobacillus plantarum)のプールした培養物を108CFU/gmで接種した。試料を、pHが約4.0に低下するまで30℃に維持した水浴中でインキュベートし、これは発酵の4日後に達成した。対照非接種試料を、浸漬後直ちに凍結した。非接種対照試料の第2セットに、微生物の増殖を阻害するために安息香酸ナトリウムを添加し、この試料を接種試料の発酵が完了するまで、接種試料と共に30℃で4日間インキュベートした。実験を3回反復して実施した。全試料を、スルフォラファン及びグルコラファニン分析まで凍結保存した。図1B及び表3に示す通り、浸漬に続いて発酵させると、浸漬及びインキュベーションのみの場合と比較して、スルフォラファン収量が増加した。
【0178】
【表3】
【0179】
実施例5-乳酸菌発酵ブロッコリー房の貯蔵後における総タンパク質含量及び色の評価
発酵後の乳酸発酵ブロッコリー房の総タンパク質含量及び色を、方法の節で上に記載した通りに評価した。生ブロッコリー(26.9±0.03)と比較して、発酵ブロッコリーの総タンパク質含量は有意に増加した(29.6±0.8mg/g、p<0.05)。このことは、試料に接種した乳酸菌の数が多く、発酵中に乳酸菌が増殖し、乳酸菌によるタンパク質合成が行われたことに起因し得た。総タンパク質含量は、25℃及び4℃の両方での貯蔵中も安定したままであり(表1及び表2)、試料間で有意差はなかった。
【0180】
ブロッコリー試料の色値(L、a、b)及び全色差(ΔE)を表1及び表2にまとめている。表1及び表2に提示した通り、色パラメータ及び全色差値(ΔE)における有意差を、生試料と発酵試料との間で記録した。L*値(明度)は有意に変化しなかったのに対して、a*値(緑色度)及びb*値(黄色度)は、ブロッコリーピューレの発酵後に減少した。a*値及びb*値の減少は、クロロフィルなどの色素化合物の分解に起因する可能性があり、これは低pH下でフェオフィチンに変換されることによる。0日目試料の高いΔE値(12.5)は、ブロッコリーピューレの色が発酵後に著しく変化したことを示し、これは目視で確認できた。貯蔵中(表1及び表2)、25℃及び4℃のいずれの試料でもΔE値に有意な変化は一切なかった。
【0181】
LAB+BP(ブロッコリーから単離したLactobacillus plantarumのB1、B2、B3、B4、B5及びLeuconostoc mesenteroidesのBF1、BF2)を用いた発酵後のブロッコリーは、LABのみ(ブロッコリーから単離したLactobacillus plantarum(B1、B2、B3、B4、B5))を用いた発酵ブロッコリーと比較して、より鮮やかで、より色の濃い緑色を呈し、生の浸漬ブロッコリーにより類似した色を呈していた。
【0182】
実施例6-発酵ブロッコリー房における総フェノール含量及び乳酸菌の抗酸化活性の変化
発酵後の乳酸発酵ブロッコリー房の総フェノール含量(TPC)及び抗酸化活性を、方法の節で上に記載した通りに評価した。生ブロッコリーのTPCは、127.6±12.4mg GAE/100g生体重(図3A)であった。0日目のTPC値は、生ブロッコリーと比較して236.9±23.4mg GAE/100g(p<0.05)まで有意に増加した。25℃及び4℃で保存した試料間で、貯蔵後のTPCに有意差は一切なかった(図3A)。25℃で保存した場合、発酵ブロッコリーのTPC値は、10日目に246.2±19.3mg GAE/100g、及び90日目に248.1±25.0mg GAE/100gであった。4℃で保存した場合、TPC値は、14日間及び84日間でそれぞれ、274.1±20.2及び267.2±3.3mg GAE/100gであった。
【0183】
ORAC値で表される試料の抗酸化活性を図3Bに示す。生試料のORAC値は、110.1±0.05μmol TE/gであった。発酵により、生ブロッコリーと比較した場合、ORAC値は186.9±3.3μmol TE/gまで約70%有意に上昇した。この結果は、抗酸化化合物が発酵中に増加した可能性を示唆していて、発酵後のTPCの変化と一致していた。
【0184】
貯蔵中、発酵ブロッコリーの抗酸化活性は、有意に変化しなかった。図3Bに示す通り、25℃で保存した場合、10日目及び90日目のORAC値は、それぞれ173.0±14.4及び150±5.5μmol TE/gであった。4℃で保存した試料についても同様の結果が得られた。ORAC値は、貯蔵開始時に172.0±15.5μmol TE/gであって、貯蔵後には最大値(188.7±12.9μmol TE/g)まで上昇した。
【0185】
実施例7-乳酸菌の異なる組合せに関する発酵時間の評価
浸漬ブロッコリーを、方法の節で上に記載した通り、ブロッコリー対水の比率を3:2、浸漬時間を1分として調製した。ブロッコリー材料に、107CFU/gまたは108CFU/gのいずれかで、LGG、LAB(オーストラリア産ブロッコリーから単離したLactobacillus plantarum(B1、B2、B3、B4、B5))、LAB+LP(ブロッコリーから単離したLactobacillus plantarum及びLactobacillus種ATCC8014)、BP(ブロッコリーから単離したLeuconostoc mesenteroides)、LAB+BP(方法の節で記載したような2つの群の混合物)のうち1つを接種し、25℃、30℃または34℃のいずれかで発酵させ、目標pHの4.4に到達するようにした。図4に示す通り、ブロッコリー及び/またはブロッコリーピューレから単離した乳酸菌の添加によって、約4日間発酵させた後、LAB+BPの組合せでpHが4.4に到達し、発酵にかかる時間が大幅に減少した。発酵ブロッコリー製品の例示的な組成を表4に示す。
【0186】
【表4】
【0187】
実施例8:発酵ブロッコリーのスルフォラファン含量に対する貯蔵の影響
図2Aは、発酵ブロッコリーピューレのスルフォラファン含量に対する4℃及び25℃での貯蔵の影響を示している。図2Aに見ることができる通り、25℃で保存した試料のスルフォラファン含量は、20日間の貯蔵後に770.7±34.9μmol/kgまで劇的に減少し(52%の損失)、続いて残りの貯蔵期間中は緩やかに低下して、合計で69.5%の損失に到達した。興味深いことに、発酵ブロッコリー試料を4℃で貯蔵した最初の2週間は、スルフォラファン含量に統計的に有意な変化を一切観察しなかった。その後の2週間で約23.7%の有意な減少が発生し、続いて残りの貯蔵期間中は緩やかに低下した。貯蔵終了時(84日目)、スルフォラファン含量は、4℃で保存した試料中で1012.9±57.6μmol/kgであって、0日目試料と比較して合計で約37.4%のスルフォラファン損失となった。最初の2週間の貯蔵中におけるスルフォラファン含量は、4℃で保存した試料中では、同じ期間にわたってグルコラファニン含量の若干の減少を観察したため、スルフォラファンの生成及び分解が同時に行われたことに起因して恐らく維持されていた。
【0188】
実施例9:グルコラファニン含量に対する発酵及び貯蔵の影響
図7は、4℃及び25℃での貯蔵中におけるグルコラファニン含量及びその安定性に対する浸漬及び発酵の影響を示している。生ブロッコリーのグルコラファニン含量は、3423.7±39.7μmol/kg(図7)であって、発酵後、グルコラファニン含量は712.4±64.2μmol/kg(0日目試料)まで急激に減少した。グルコラファニンは無傷の組織中では比較的安定しているため、この場合の分解は、発酵中の浸漬組織中における酵素-基質相互作用の増加によるミロシナーゼ触媒加水分解に起因し得る。グルコラファニンの急激な減少の期間は、発酵期間と一致していた。
【0189】
25℃及び4℃での貯蔵中の発酵試料では、グルコラファニン含量の有意な変化を一切観察しなかった。しかしながら、25℃で保存した試料では、わずかに高いグルコラファニン含量を観察した。このことは、4℃で保存した試料(2回目の時点ではpH4.04)と比較して、25℃で保存した試料(2回目の時点ではpH3.87)のpHの急速な低下に関連し得た。グルコラファニンのミロシナーゼ触媒加水分解に最適なpHは、5から6の範囲であり、pH3.0で最も低い値まで低下する(Dosz&Jeffery,2013)。4℃で保存した試料の相対的に高いpHが、25℃と比較して4℃での貯蔵中に、グルコラファニンの分解がわずかに高いことに寄与した可能性がある。
【0190】
実施例10-ブロッコリーマトリックス中におけるグルコラファニンのスルフォラファンへの変換を最大化するための熱処理条件の評価
レトルトパウチ中に充填したブロッコリーの房を、60℃~80℃の範囲の温度で、0~5分間の処理時間で熱処理に供した。処理は、実験温度よりも5℃高く維持した水浴中で実験温度まで予熱し、続いて実験温度で維持した第2水浴中でインキュベートすることを含んだ。熱処理後、試料を氷水で冷却し、上に記載したように2:3の水対ブロッコリー比率で添加した水で浸漬した。浸漬した試料を1時間30℃でインキュベートし、スルフォラファン分析まで凍結保存した。結果を図2B及び表5に示す。表5に示す通り、試料を60℃、65℃または80℃で予熱し、続いて浸漬すると、予熱せずに浸漬した生ブロッコリーの房と比較して、スルフォラファン収量が増加した。
【0191】
【表5】
【0192】
実施例11-ブロッコリーのスルフォラファン含量に対する乳酸菌発酵前の予熱の評価
本試験では、エピチオ特異タンパク質(ESP)の不活性化を目的としたブロッコリー房の若干の予熱処理を、乳酸菌と組み合わせた場合にブロッコリーピューレのスルフォラファン含量に与える影響を評価した。
【0193】
材料
ブロッコリー(品種「Viper」)を、地域のスーパーマーケット(Coles,Werribee South,VIC,Australia)から購入した。DeMan-Rogosa-Sharp(MRS)ブロス(1823477、CM0359、Oxoid)を、Thermo Fisher Scientific(Australia)から購入した。DL-スルフォラファンを、Sigma-Aldrich(St.Louis,Missouri,USA)から購入した。他の全ての化学試薬及び生化学試薬は分析グレード以上であり、地域の化学物質供給業者から購入した。
【0194】
スルフォラファン収量の最大化を目的とした若干の予熱条件を最適化するための実験
ブロッコリーの房を、頭からおよそ2cm未満で切断し、各30gの無作為に混合したブロッコリー房を予熱実験に使用した。2種類の予熱実験、すなわち、パック内処理及び直接の水ブランチングを実施した。パック内実験の場合では、ブロッコリーの房をレトルトパウチ(Caspak Australia,Melbourne)中に充填し、密封して60℃、65℃及び80℃に維持した恒温水バッチ中において様々な時点で予熱した。最も遅い加熱点でのブロッコリー試料の温度を、温度計を使用して測定した。時間0を、中心温度が指定の実験温度に到達した時間として定義した。処理時間は、60℃及び65℃では0分、1分、3分、及び5分ならびに80℃では0分、1分、2分、3分とした。直接の水ブランチング実験では、ブロッコリーの房を、恒温水槽で加熱したガラスビーカー内のMilli-Q水に浸漬させた。直接の水ブランチング実験を、60℃及び65℃で実施した。ブロッコリー試料の温度を、温度計を使用して連続的に測定し、最も遅い加熱点の温度が、上に記載したような指定の実験温度に達した時点でタイミングを開始した。全ての熱処理実験を3回反復して実施した。非加熱ブロッコリー房を対照として使用した。熱処理の直後に、試料を氷水で冷却し、キッチンスケールのmagic bulletブレンダー(Nutribullet pro 900 series,LLC,USA)を使用して、Milli-Q水を用いてブロッコリー3対水2の比率で1分間ホモジナイズした。ホモジナイズした試料を暗所で4時間25℃でインキュベートし、グルコラファニンの酵素加水分解を可能にした。インキュベーション後、全ての試料をスルフォラファン分析まで-20℃で凍結した。
【0195】
スターター培養物の調製
実施例1の方法で記載したようにブロッコリーから単離したLeuconostoc mesenteroides(BF1、BF2)及びLactobacillus plantarum(B1、B2、B3、B4、B5)のプールした培養物を発酵実験に使用した。-80℃で保存した乳酸菌保存培養物を、10mLのMRSブロス(Oxoid,Victoria,Australia)中に接種し、30℃で24時間インキュベートすることによって活性化し、一次接種菌を得た。2mLの一次培養物を200mLのMRSブロス中に接種し、二次培養物を得た。24時間のインキュベーション後、6つの二次培養物を遠心分離し、滅菌リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で2回洗浄して、培養物の各々を10logコロニー形成単位/ミリリットル(CFU/mL)の濃度でMilli-Q水中に再懸濁させ、100gmのブロッコリーピューレ試料中に8log CFU/mLの初期バイオマスを得た。L.plantarum培養物を、L.mesenteroides培養物と1:1の割合で混合してからブロッコリーピューレ試料中に接種した。
【0196】
試料調製
ブロッコリーの房を樹冠からおよそ2cm未満で切断し、2つのロット、すなわち、熱処理したもの及び未処理のものに分けた。上に記載したような実験結果に基づいて選択した最適条件での熱処理後、試料を氷水で冷却して細断し、キッチンスケールのmagic bulletブレンダー(Nutribullet pro 900 series,LLC,USA)を使用して、Milli-Q水を用いて3:2の比率で1分間ホモジナイズした。未処理ブロッコリーも同様の方法でホモジナイズした。ブロッコリーピューレを、十分に混合した後、さらなる実験のために、ねじ蓋付きの滅菌プラスチック容器(100mL)(Technoplast Australia)中に分取した。
【0197】
発酵
ブロッコリーピューレ試料(予熱した未処理のもの)に、本実施例で上に記載したように調製したLAB培養物を接種した。ブロッコリー房の予熱を実験結果に基づいて65℃で3分間パック内で実施し、予熱条件を最適化した。グルコラファニンのスルフォラファンへの変換に対して、発酵せずに酸性化した場合の影響を評価するために、グルコノデルタラクトン(GDL)を使用して、予熱した未処理ブロッコリーピューレで酸性化実験を実施し、発酵ブロッコリーピューレのpHを得た。さらに処理を行っていない予熱したブロッコリーピューレ及び未処理ブロッコリーピューレを対照として使用した。
【0198】
発酵実験では、各ブロッコリーピューレ試料に、8log CFU/gの初期レベルで調製したスターター培養物を接種した。発酵実験を、15時間のインキュベーション後にpHが約4.0に到達するまで30℃で実施した。発酵が完了したら、各発酵群のうち3つの試料(0日目試料)を取得し、分析まで-20℃で保存した。残りの発酵物を、貯蔵試験のために2つのロットに無作為に分けた:14日間の貯蔵後に試料のスルフォラファン安定性を評価するために、1つのロットを冷蔵条件(4℃)下で保存し、第2ロットを25℃で保存した。同様に、未処理ブロッコリーピューレ、予熱したブロッコリーピューレ及び予熱したGDL処理ブロッコリーピューレも、ゼロの時点で試料採取し、14日間の貯蔵試験のために25℃及び4℃で保存した。14日間の貯蔵後、全ての試料をスルフォラファン分析まで-20℃で凍結保存した。
【0199】
スルフォラファン分析及び統計分析
実施例1に記載した通りに実施した。
【0200】
スルフォラファン収量を改善するための熱処理条件の最適化
3つの異なる温度(60℃、65℃及び80℃)で、様々な処理時間(60℃または65℃では0分、1分、3分及び5分、80℃では0分、1分、2分及び3分)での、パック内加熱したブロッコリー房のスルフォラファン形成に対する熱処理の影響を図5Aに示す。結果は、生ブロッコリーと比較して、熱処理した試料の全てでスルフォラファン収量が増加したことを示した。時間0は、それらの中心が実験温度に到達するまで加熱した試料を示す。
【0201】
図5Aに示す通り、充填ブロッコリー試料を60℃で0分、1分、3分、及び5分間加熱した場合、スルフォラファン収量が増加した。これらの試料中のスルフォラファン濃度は、それぞれ2343.5±124.1、2661.5±10.9、2780.9±270.8、及び3147.7±148.0μmol/kg DWであった。他方では、ブロッコリーを65℃で処理した場合、スルフォラファン収量は最初に処理時間と共に増加し、3585.9±119.2(0分)から最高値の3983.4±30.5μmol/kg DW(3分)となった。処理時間をさらに長くすると収量が低下し、5分の処理時間後には3620.1±240.7μmol/kgの最低値を観察した。60℃及び65℃での処理とは対照的に、80℃で処理した試料では、処理時間が長くなるとスルフォラファン収量の一定の減少を観察し、0分、1分、2分及び3分の処理後にそれぞれ1451.5±43.5、1446.8±17.5、1043.1±94.2、及び981.2±35.1μmol/kg DWのスルフォラファン収量であった。概して、ブロッコリーのパック内処理については、スルフォラファンの最高収量(3983.4±30.5μmol/kg)を65℃で3分間予熱した試料で得て、これは生ブロッコリー(817.5±9.3μmol/kg DW)よりも約5倍高い。対照的に、ブロッコリーを水中で直接加熱すると、図5Bに示した通り、一般にスルフォラファンの収量はパック内処理と比較して低かった。60℃での直接の水ブランチングでは、スルフォラファン収量は処理時間と共に1698.00±121.9μmol/kg DW(0分)から2833.3±118.6μmol/kg DW(1分)まで増加し、次いで60℃での5分間の処理では2345.8±57.7μmol/kg DWの最低値まで徐々に減少した。試料を65℃でブランチングした場合、60℃と比較してスルフォラファン収量の急激な低下を観察した。65℃で5分間熱処理した後のブロッコリーのスルフォラファン収量は503.7±23.8μmol/kg DWであって、これは生ブロッコリーで得られた値よりもさらに低かった。その理由とは、グルコラファニンがブランチング水中に浸出し、スルフォラファンの収量が低下したためであり得た。直接の水ブランチングでは、スルフォラファン収量を最大化するための最適処理温度は、パック内処理での65℃と比較して60℃であった。
【0202】
本試験では、スルフォラファン収量は、パック内で3分間65℃で処理したブロッコリー房で得られたものが最も高かったため、この条件が、ミロシナーゼ活性を十分に維持しながらESPをより大幅に不活性化することを促し、スルフォラファンへの最適な変換をもたらすことを示していた。この条件下では、ブロッコリー試料のグルコラファニン含量を3423.7±39.7μmol/kg DWであると決定したため、1対1の変換と仮定すれば、抽出可能なグルコラファニンの多くがスルフォラファンに変換されると思われる。
【0203】
熱処理したブロッコリーを発酵させることで、生ブロッコリーの抽出可能なグルコラファニンのレベルから予想したものよりも高いレベルのスルフォラファンが得られたという所見は、熱処理によってグルコラファニンのミロシナーゼへの接近性が高まり、未処理ブロッコリー中に存在するグルコラファニンの定量可能な量に基づいて予想したものよりも高いスルフォラファン収量が得られた可能性を示唆している。
【0204】
水中で直接ブランチングしたブロッコリー房では、得られたスルフォラファン収量が少なく、これはグルコラファニンが水溶性であるため、ブランチング水中に浸出していることが原因である可能性が高かった。ブロッコリーの房を水中で直接加熱した場合、ブロッコリーの房をパック内において65℃で3分間熱処理した場合と比較して、60℃で1分間加熱することによって、最大量のスルフォラファンを得たことに注目することも興味深い。このことは、65℃ではブランチング水中への浸出率が高く、65℃でESPを高いレベルで不活性化する効果を相殺したことに起因する可能性がある。
【0205】
スルフォラファン収量に対するLAB発酵及び化学的酸性化の影響
ブロッコリーの房を、パック内において上で選択した最適な処理条件(65℃、3分間)で予熱した。次いで、試料に、乳酸菌による発酵または酸性化剤(GDL)を使用した酸性化のいずれかを行った。前処理実験と一致して、ブロッコリーのスルフォラファン値は、熱処理後に有意に増加し(p<0.05)、生ブロッコリー及び予熱したブロッコリーのスルフォラファン収量は、それぞれ806.2±7.0μmol/kg DW及び3536.0±136.9μmol/kg DWであった。発酵前に予熱した、この分離バッチのブロッコリーで得られた3536μmol/kg DWの値は、異なるバッチのブロッコリーを使用した場合に得られたものと同程度であり、3983μmol/kg DWが得られたことから、バッチ間のばらつきはわずかであることを示した。
【0206】
表6に示す通り、発酵後、ブロッコリー試料のスルフォラファン含量は、発酵前のブロッコリーの処理に応じて変動した。発酵後の生ブロッコリーピューレのスルフォラファン含量(1617.4±10.2μmol/kg DW)は、生ブロッコリーピューレのスルフォラファン含量のおよそ2倍であった。ブロッコリーをピューレにする前に予熱すると、発酵後にスルフォラファン含量の大幅な増加をもたらした。予熱した発酵ブロッコリーのスルフォラファン含量(13121.3±440.8μmol/kg DW)は、生の発酵ブロッコリーピューレの約8倍であった。予熱と発酵を組み合わせた処理後に観察したスルフォラファン収量は、生ブロッコリー試料中におけるグルコラファニンの定量可能な量(3423.7±39.7μmol/kg)に基づいて予想したものよりもはるかに高い。予熱及び発酵を組み合わせたプロセスによって、予熱プロセスによるESPの不活性化に加えて、変換を目的としたグルコラファニンの放出及び接近性が向上していると思われる。微生物の細胞壁分解酵素と作用し合う予熱プロセスは、細胞コンパートメントの破壊及び生ブロッコリー中では抽出不可能または接近不可能であった、マトリックス内の結合グルコシノレートの放出を向上させた可能性がある。いくつかの乳酸株は、細胞壁構造を分解することができるセルラーゼ及びペクチナーゼなどの多糖分解酵素を産生し、壁に結合した成分の放出を増強する。
【0207】
対照的に、GDLによる予熱したブロッコリーピューレの化学的酸性化は、予熱及び予熱発酵試料と比較してスルフォラファンの含量が有意に低かった(p<0.05)(表6)。GDL酸性化試料のスルフォラファン含量は2169.4±176.0μmol/kg DWであって、これは予熱したブロッコリー試料(3536.0±136.9μmol/kg DW)よりも40%低い(P<0.05)。酸性化中にpH4.04まで急速に減少したことで、GDL試料中におけるグルコラファニンのスルフォラファンへの変換が減少した可能性があると考えられる。グルコシノレートの変換はpHに大きく依存し、酸性pHはニトリルへの変換に有利に働くことが周知である(Latte et al.,2011)。
【0208】
予熱した発酵試料の場合、酸性化が>15時間にわたって徐々に行われて、65℃で3分間予熱した後、ESPの活性が著しく低下すると予想されることから、主にスルフォラファンへのグルコラファニンの変換を可能にしている。
【0209】
貯蔵中のスルフォラファン含量の変化
全ての試料のスルフォラファン濃度は、25℃で14日間貯蔵した後に低下した(表6及び図6を参照のこと)。興味深いことに、4℃で14日間貯蔵中の発酵試料を除いて、全ての試料でスルフォラファン含量の増加を観察した。生ピューレのスルフォラファン含量は、4℃で貯蔵中にほぼ2倍となった。同様に、予熱した試料のスルフォラファン含量が約2.6倍増加したのに対して、予熱したGDL試料のスルフォラファン含量は約2.3倍増加し、このことは、貯蔵中にグルコラファニンがマトリックスから連続的に放出され、スルフォラファンへのさらなる変換及び濃度の増加を可能にし、貯蔵中のスルフォラファン分解の結果を相殺していることを示唆している。予熱発酵試料に関しては、両方の温度での貯蔵中にスルフォラファン含量の減少を観察した。全ての接近可能なグルコラファニンが、発酵中にスルフォラファンへと大量に変換された可能性があるため、貯蔵中にそれ以上の変換は一切生じず、温度に応じて程度は異なるが、むしろ分解が行われた。そのため、4℃での貯蔵中では、わずかな低下(約6%)を観察したのみであったのに対して、25℃での貯蔵中では約70%の低下であった。
【0210】
本試験は、乳酸菌発酵と作用し合う予熱によって、ブロッコリーベースの製品のスルフォラファン含量が著しく向上することを示した。ブロッコリーの房を65℃で3分間パック内予熱処理し、続いて浸漬及び発酵を行うと、生ブロッコリーピューレと比較して、スルフォラファンの収量が約16倍も高くなった。この条件下で予熱すると、ブロッコリーピューレのスルフォラファン収量が、未処理ブロッコリーの806μmol/KgDW(乾燥重量)から3536μmol/KgDWに増加し、このことは、処理が、グルコラファニンのスルフォラファンへの変換に十分なミロシナーゼ活性を維持しながら、ESPを実質的に阻害することを示していた。直接の水ブランチング中における最適な予熱条件は60℃で1分間であって、2833μmol/KgDWのスルフォラファン収量をもたらした。直接ブランチング中の収量が低いのは、水溶性グルコラファニンがブランチング培地中に浸出することに起因し得る。ブロッコリー房のパック内予熱(65℃/3分)を乳酸菌発酵と組み合わせることで、スルフォラファン含量が13121μmol/KgDWまでさらに向上し、これは生ブロッコリーと比較して約16倍の増加である。グルコノデルタラクトンによるブロッコリーピューレの酸性化と組み合わせたパック内予熱(65℃、3分)の化学的酸性化は、2169μmol/KgDWのスルフォラファン収量をもたらし、これは予熱のみよりも低い。予熱発酵ピューレのスルフォラファン含量は、4℃での2週間の貯蔵中も安定したままであった(約94%保持)。
【0211】
【表6】
【0212】
実施例12-ブロッコリーのポリフェノールプロファイルに対する乳酸菌発酵の効果
ブロッコリー試料のポリフェノール代謝産物に対する発酵の効果を決定するために、生及び発酵ブロッコリーピューレ試料のターゲット液cクロマトグラフィー-質量分析(LC-MS)に基づくメタボローム解析を実施した。得られた多変量データを、Metaboanalystソフトウェア(Metaboanalyst 3.0,Xia and Wishart,2016)を使用して分析した。発酵は、ブロッコリー試料の代謝産物プロファイルに有意な変化をもたらした。データの部分最小二乗判別分析(PLS-DA)は、発酵試料と非発酵試料とのポリフェノールプロファイルにおいて明らかな区別を示す(図8)。
【0213】
2つの群間の差に関与すると同定した上位15の代謝産物を、図9に示す。それらはフェノール酸及びフェノールアグリコンであり、それらのフェノール酸エステル及びフェノール配糖体前駆体と比較して、高い生物活性及びバイオアベイラビリティを有する。これらの代謝産物の多くの濃度は発酵後に大幅な増加を示し、これは、ブロッコリーピューレのポリフェノールプロファイルに対して発酵の有益な効果を示していた。いくつかの代謝産物の倍率変化を表7に示す。
【0214】
発酵後、シナピン酸及びケンフェロールでそれぞれ24倍及び16倍の大幅な増加を観察した。同様に、発酵はクロロゲン酸及びフェニル乳酸で8倍の増加を誘導した。ヘスペレチン、ケルセチン、シリング酸メチル及びシリング酸の濃度も、発酵後に著しく増加した。アグリコン、例えば、ケンフェロール、ヘスペレチン及びケルセチンなどの濃度増加は、微生物グリコシダーゼの活性によるそれらの配糖体前駆体の変換に起因し得る。シナピン酸などのフェノール酸の濃度増加は、微生物エステラーゼの活性によるブロッコリー中でのフェノール酸エステルの変換に起因し得た。発酵後、コーヒー酸及び没食子酸では若干の減少を観察した。微生物デカルボキシラーゼの活性によって、コーヒー酸が対応するビニルカテコールに、没食子酸がピロガロールに変換され、このことが、それらの濃度減少に関与している可能性がある(Filanino et al.,2015、Guzman-Lopez et al.,2009)。
【0215】
【表7】
【0216】
実施例13-試料のターゲット及びノンターゲットLC_MS分析による、ブロッコリーの乳酸菌発酵によって産生される代謝産物の同定
発酵及び非発酵ブロッコリーピューレ試料を凍結して凍結乾燥した。試料(各々100mgの凍結乾燥粉末)を、1mlの氷冷メタノール及びMilli-Q水(50:50、v:v)に100mg/mlのカフェインを内部標準物質として含んだものを使用して抽出した。次いで、試料を2分間ボルテックスしてから、30分間超音波処理した(40Hz)。次いで、試料を20,000rpmで、4℃で30分間遠心分離し、上清を清浄なシラン処理LC-MSバイアルに移した。試料を、Agilent 6410 LC-QQQ HPLC(Agilent Technologies,Santa Clara,California,USA)に1.4μlを注入することによって分析した。分析を、逆相Agilent Zorbax Eclipse Plus C18、Rapid Resolution HD、2.1×50mm、1.8um(Agilent Technologies,Santa Clara,California,USA)を使用して実施し、30℃のカラム温度及び0.3ml/分の流速を用いた。移動相を、95:5(A:B)で1分間イソクラティックに操作し、次いで1:99(A:B)に切り換えてさらに12分間操作してから、95:5(A:B)に戻してさらに2分間操作し、合計15分間の実行時間で行った。移動相「A」は100%H2O及び0.1%ギ酸からなり、移動相「B」は75%アセトニトリル、25%イソプロパノール及び0.1%ギ酸を含有していた。MSは、50~1000m/zの質量範囲でデータを収集していた。化合物の定性的同定を、Metabolomics Standard Initiative(MSI)Chemical Analysis Workgroupに従い、Massbank及びMETLINを含む、いくつかのオンラインLC-MS代謝産物データベースを使用して実施した。概して、機器条件は、ポジティブエレクトロスプレー(+ESI)及びネガティブエレクトロスプレー(-ESI)モードの両方で同様であった。スキャン時間は500、ソース温度は350℃で維持し、ガス流量は12L/分、ネブライザー圧力は35psiであった。
【0217】
ノンターゲット分析における化合物の同定には、基準を>90%の一致率に設定した。一致率が70~89%の間に低下した場合、化合物を括弧で識別する(例えば、化合物が70~89%の間であった場合、それらに「<名称>」として注釈をつける)。70%未満の一致はいずれも除去した。全体で、約1000~1500の同定すべき特徴が存在し、多くは一致が不十分であった(除去した)か、またはベースラインからのS/N比が10倍未満であった。そのため、使用した化合物/ピークは実際のピークであって、IDはかなり確かなものである(すなわち、>70%)。
【0218】
ノンターゲットLC-MSメタボロミクス研究は、アントシアニン配糖体、フェノール酸配糖体、フェノール酸を含むある特定のポリフェノール配糖体の2~360倍の増加、グルコラファニンが27倍増加している一部グルコシノレートの5~60倍の増加ならびにインドール-3カルビノール及びアスコルビゲンの約3~4倍の増加を示した。結果を表8にまとめ、図10及び図11のボルケーノプロットに示す。発酵後に増加した上位50の代謝産物は、いくつかのポリフェノール配糖体及びグルコシノレートを含み、プロセスがそれらの抽出性及びバイオアクセシビリティを向上させていることを示している。
【0219】
【表8-1】
【表8-2】
【表8-3】
【表8-4】
【表8-5】
【表8-6】
【表8-7】
【表8-8】
【表8-9】
【表8-10】
【0220】
ブロッコリー試料のポリフェノール代謝産物に対する発酵の効果を決定するために、生及び発酵ブロッコリーピューレ試料のターゲット液体クロマトグラフィー-質量分析(LC-MS)に基づくメタボローム解析を実施した。統計分析を、前処理せずに実施した。発酵は、ブロッコリー試料の代謝産物プロファイルに有意な変化をもたらした。
【0221】
ターゲットLC-MS分析では、ポリフェノール標準物質を代謝産物の同定及び定量に使用した。クロロゲン酸、フェルラ酸、シリング酸、フェニル乳酸、ルチン、シナピン酸、シリング酸メチル、ヘスペレチン、ケルセチン及びケンフェロールの増加を発酵ブロッコリーで確認した(図12)。プロトカテク酸、没食子酸、4,ヒドロキシ安息香酸、バニリン酸、2,3ジヒドロキシ安息香酸、p-クマル酸、ケイ皮酸、カテキン、ロスマリン酸、コーヒー酸の減少を発酵ブロッコリーで確認した(図12)。注目すべきは、クロロゲン酸では6.6倍の変化(2.4~15.8μg/mg)、シナピン酸では23.8倍の増加(3.6~86.6μg/mg)、ケンフェロールでは10.5倍の増加(12.7~134.6μg/mg)及びp-クマル酸では0.48倍の減少が発酵試料で生じたことである(図12)。
【0222】
実施例14-意図的に導入した微生物の増殖を阻害するためのブロッコリー発酵培養物の評価
負荷試験を、ブロッコリー発酵培養物が、関心事である食品調製で多くの場合に観察される、意図的に導入した微生物の増殖を阻害する能力を評価するために実施した。
【0223】
Lab培養物/スターター培養物
発酵物中の試料が108CFU/gmとなるような、B1、B2、B3、B4、B5、BF1及びBF2を含む、10mlの1010cfu/mLの接種菌。
【0224】
病原体培養物
E.coli分離株FSAW 1310、FSAW 1311、FSAW 1312、FSAW 1313及びFSAW 1314を、NB(栄養ブロス)中で1~4×108cfu/mLまで、37℃で一晩静置して別々に増殖させた。培養物を組み合わせ(各々1mL)、組み合わせた培養物を最初の2つの希釈物ではMRD(最大回収希釈剤)を用いて、及び最後の2つの希釈物は水を用いて104に希釈した。
【0225】
Salmonella株S.Infantis 1023、S.Singapore 1234、S.Typhimurium 1657(PT135)、S.Typhimurium 1013(PT9)及びS.Virchow 1563を、NB中で1~4×108cfu/mLまで、37℃で一晩静置して別々に増殖させた。培養物を組み合わせ(各々1mL)、組み合わせた培養物を最初の2つの希釈物ではMRDを用いて、及び最後の2つの希釈物は水を用いて104に希釈した。
【0226】
Listeria分離株Lm2987(7497)、Lm2965(7475)、Lm2939(7449)、Lm2994(7537)及びLm2619(7514)を、10mLのBHI(ブレインハートインフュージョンブロス)中で、37℃で一晩攪拌下において別々に増殖させた。次いで、全ての培養物を組み合わせ(各々1mL)、このカクテルを最初の2つ(1/10)の希釈物ではMRDを使用して、及び最後の2つの希釈物は滅菌脱イオン水を使用して希釈した。
【0227】
B.cerus芽胞群を、分離株B3078、B2603、2601、7571及び7626から調製した。
【0228】
方法
ブロッコリーピューレを、接種菌を調製する前に調製し、ブロッコリー:滅菌水道水を3:2(900gのブロッコリー:600gの水)とした。ブロッコリーの頭部を水道水ですすぎ、茎を80%エタノールで殺菌したまな板の上で滅菌ナイフを用いてブロッコリーから切断した。ブロッコリーの房(900g)を小さな細片まで切断した。450gのブロッコリー片を、600gの水全部と共にThermomixボウルに入れた。半透明のThermomixカップ/蓋を80%エタノールで殺菌し、蓋の穴の上に置いた。ブロッコリーを速度4で1分間細断した。2番目の450gのブロッコリー片をThermomixボウルに添加し、速度4で1分間細断した。内容物をさらに5分間、速度10(最高)で細断した。実際にピューレが十分滑らかになったことを確認した後、Thermomixボウルを冷却室中に置き、内容物を30分間冷却した。この後、ボウルをインキュベーター内に入れ、30℃に平衡化した。その間に、スターター培養物及び病原体培養物(E.coli、B.cereus、Salmonella、Listeria monocytogenes)を調製した。10mLのLAB培養物及び7.5mLの10-4希釈負荷微生物カクテル(104cfu/mLの水中培養物)を、ブロッコリーピューレに添加した(105のB.cereus)。培養物を混合する前に、Thermomix蓋の大きな穴上にホイルを被せて押さえた。培養物を最高速度で1分間ピューレに混合した。Thermomixの熱設定をオフに切り換え、Thermomixを30℃のインキュベーター内に置き、午前10時45分に発酵を開始した。pH及び温度の測定を、ピューレを1分間速度4.5で混合してから7時間後(作業時間の終了)まで毎時間行った。pHメーターを校正し、80%エタノールを使用して殺菌した。温度プローブも、80%エタノールで測定前に殺菌した。
【0229】
負荷微生物の増殖を、生ブロッコリーの選択培地MRS、DRBX及びNA+S上での増殖について、発酵前(T0)ならびに発酵開始から4時間後(T4)及び22時間後(T22)に計数することによって評価した。
【0230】
結果
酵母及びカビは4時間で有意に減少し、発酵終了時(T22)には検出されなかった。E.coli及びSalmonellaは、発酵終了時(T22)に全く検出されなかった。Listeriaは発酵終了時に少数検出し、開始時の接種菌は103cfu/mLをちょうど超えていた。B.cereus芽胞は、全体的に発酵の影響を受けなかったが、発芽しなかった。負荷試験の結果は、発明者らがブロッコリーから単離した乳酸菌株が、Salmonella及びE.coliを完全に不活性化し、最も酸耐性のあるListeria株の増殖を阻害できることを示している。それらはまた、B.cerus芽胞の芽胞形成も阻害できる。
表9.E.coliを用いた微生物負荷試験の例。E.coli(5つのE.coli株EC1605、EC1606、EC1607、EC1608の混合物)を、浸漬ブロッコリー(3:2のブロッコリー-水比率)発酵物に接種し(2.2×102CFU/gm)、発酵スターター(B1、B2、B3、B4、B5、BF1、BF2の混合物)がE.coliの増殖を阻害するかどうかを評価した。実験を3回反復した。発酵を30℃で22時間、pHが4.0未満となるまで実施した。
【0231】
【表9】
【0232】
表10.Salmonellaを用いた微生物負荷試験の例。Salmonella(5つの株S.Infantis 1023、S.Singapore 1234、S.Typhimurium 1657(PT135)、S.Typhimurium 1013(PT9)、S.Virchow 1623の混合物)を、浸漬ブロッコリー(3:2のブロッコリー-水比率)発酵物に接種し(1.1×103)、発酵スターター(B1、B2、B3、B4、B5、BF1、BF2の混合物)がSalmonellaの増殖を阻害するかどうかを評価した。実験を3回反復した。発酵を30℃で22時間、pHが4.0未満となるまで実施した。
【0233】
【表10】
【0234】
表11.Listeria monocytogenesを用いた微生物負荷試験の例。Listeria monocytogenes(5つの株Lm2987(7497)、Lm2965(7475)、Lm2939(7449)、Lm2994(7537)、Lm2919(7514)の混合物)を、浸漬ブロッコリー(3:2のブロッコリー-水比率)発酵物に接種し(1.9×103)、発酵スターター(B1、B2、B3、B4、B5、BF1、BF2の混合物)が耐酸性Listeriaの増殖を阻害するかどうかを評価した。実験を3回反復し、発酵終了時の最終的なListeria数は、<10(未検出)~1.1×102CFU/gmの範囲であった。発酵を30℃で22時間、pHが4.0未満となるまで実施した。
【0235】
【表11】
【0236】
表12.Bacillus cereusを用いた微生物負荷試験の例。Bacillus cereus(5つの株B3078、B2603、B2601、B7571、B7626の混合物)を、浸漬ブロッコリー(3:2のブロッコリー-水比率)発酵物に接種し(1.9×103)、発酵スターター(B1、B2、B3、B4、B5、BF1、BF2の混合物)が耐酸性Listeriaの増殖を阻害するかどうかを評価した。実験を3回反復した。発酵を30℃で22時間、pHが4.0未満となるまで実施した。
【0237】
【表12】
【0238】
実施例15-Leuconostoc mesenteroloides分離株のパルスフィールドゲル電気泳動
野菜由来のLeuconostoc mesenteroidesを、Chat and Dalmasso(2015)に記載されるようなパルスフィールドゲル電気泳動に修正を加えて使用し、SmaI及びNotI制限酵素消化で評価した。
【0239】
方法:
1日目
評価した分離株を10mLのMRSブロスに接種し、30℃のインキュベーター中で一晩インキュベートした(16時間)。
【0240】
2日目
分離株を3500gで10分間遠心分離し、上清を廃棄した。ペレットを混合して5mLの脱イオン水で洗浄し、3500gで10分間遠心分離して上清を廃棄した。ペレットを5mLのTES(1mM EDTA、10mM Tris-HCl、0.5M サッカロース)と混合し、ボルテックスした。次に試料を3500gで15分間遠心分離し、上清を廃棄した。700μLの溶解液(リゾチームを10mg/mLで含むTE緩衝液(1mM EDTA、10mM Tris-HCl、pH8.0、通常通り滅菌))をペレットに添加し、混合して56℃で2時間インキュベートして細菌を溶解した。次に、700μLのアガロース(50μLのEDTA/100mLを含む1%SeaChem Goldアガロース)を細胞混合物に添加し、混合してプラグモールド中に分注し、2mLの除タンパク(660μLのプロテイナーゼK緩衝液、11μLのプロテイナーゼK)溶液を1試料分ずつ全プラグに添加して管内に置き、55℃で一晩インキュベートした。
【0241】
3日目
次に、プラグを100mLの滅菌脱イオン水中において55℃で加熱し、除タンパク溶液を除去してプラグを15mLの遠心管に移し、4mLの滅菌脱イオン水で洗浄して10分間室温で55℃に加熱し、続いて4mLのTE緩衝液を用いて10分間室温で4回洗浄した。
【0242】
制限消化
2mm切り取ったプラグを、100μLの1×制限緩衝液を入れたeppendorf tube内に入れ、20分間室温でインキュベートし、制限緩衝液を除去して制限緩衝液中の40~100μLのSmaI(20U)またはNotIと置き換え、4時間最適温度(25℃)でインキュベートした。
【0243】
4日目
制限断片の分離
1mLの0.5×TBE緩衝液を各管に入れ、少なくとも15分間静置して反応を停止させ、バクテリオファージλDNAラダー(New England Biolab)をTBE緩衝液中でインキュベートした。緩衝液を除去してスライスをコーム上に乗せ、5レーンごとにラダーを用いた。1.0%超高純度DNAグレードアガロース(パルスフィールド認定アガロース)を0.5×TBE泳動用緩衝液中で調製した。
【0244】
電気泳動条件
緩衝液を14℃に維持した(model 1000 Mini-chiller、BioRad)。BioRad「Chef Mapper(商標)」で、Two State Program(Auto Algorithmではなく)を選択する。パルス時間を2~25秒に直線的に傾斜させた(「a」が表示されたらエンターキーを押す)。勾配6V/cm(電圧)、交差角度120°、泳動時間24時間。
【0245】
5日目
ゲルを約30分間GelRedで染色し、脱色して可視化した。
【0246】
結果
BF1の制限フィンガープリントは異なってはいたが、ニンジンから単離したLeuconostoc mesenteroidesに類似していた(図13)。BF2の制限フィンガープリントは、評価した全てのLeuconostoc mesenteroides株とは異なっていた(図13)。
【0247】
実施例16-Leuconostoc mesenteroides及びLactobacillus plantarum分離株のバリアント分析
Lactobacillus plantarum分離株(B1~B5)のSNP分析では、B1 Prokka gbkをSnippy SNP分析-標準方法の参照として使用した。単一比較を、各株のリードデータを使用して実施した。B1リードを対照として実行した。
【0248】
コマンド例は以下の通りであった:
snippy --cpus 24 --outdir B5 --ref B1_S1mod.gbk --pe1 B5_S17_L001_R1_001.fastq.gz --pe2 B5_S17_L001_R2_001.fastq.gz
【0249】
個別比較及びコアを、B1 gbkを参照として使用して算出した。
snippy-core --prefix core B1 B2 B3 B4 B5
【0250】
比較もまた、B1と、Lactobacillus plantarum ATCC8014(SRR1552613)のSRAからダウンロードした参照株のリードデータとの間で実施した。ダウンロードを、標準方法を使用して、プリフェッチ及び-sratoolkit.2.9.2-win64を使用したfastqへの変換を用いて実施した。類似のアプローチを、Leuconostoc mesenteroides分離株BF1及びBF2と、参照としてのLeuconostoc mesenteroides ATCC 8293との比較に使用した。
【0251】
結果
バリアント(41)を、B1とATCC8014との間で観察した(表13)。バリアント(1~4)を、B1と他のB分離株B2、B3、B4及びB5との間で観察した(表14~17)。BF1及びBF2は、互いに大きく異なる。バリアント(19)を、BF1とATCC8293との間で観察した(表18)。バリアント(約7000)を、BF2とATCC8293との間で観察した。459の複合バリアントを、BF2とATCC8293との間で同定し、それを表19にまとめている。
【0252】
【表13-1】
【表13-2】
【表13-3】
【表13-4】
【表13-5】
【表13-6】
【0253】
【表14】
【0254】
【表15】
【0255】
【表16】
【0256】
【表17】
【0257】
【表18-1】
【表18-2】
【0258】
【表19-1】
【表19-2】
【表19-3】
【表19-4】
【表19-5】
【表19-6】
【表19-7】
【表19-8】
【表19-9】
【表19-10】
【表19-11】
【表19-12】
【表19-13】
【表19-14】
【表19-15】
【表19-16】
【表19-17】
【表19-18】
【表19-19】
【表19-20】
【表19-21】
【表19-22】
【表19-23】
【表19-24】
【表19-25】
【表19-26】
【表19-27】
【表19-28】
【表19-29】
【表19-30】
【表19-31】
【表19-32】
【表19-33】
【表19-34】
【表19-35】
【表19-36】
【表19-37】
【表19-38】
【表19-39】
【表19-40】
【表19-41】
【表19-42】
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【表19-49】
【表19-50】
【表19-51】
【表19-52】
【表19-53】
【表19-54】
【表19-55】
【表19-56】
【表19-57】
【表19-58】
【表19-59】
【表19-60】
【表19-61】
【0259】
当業者であれば、広範に説明される本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、多くの変形及び/または修正が特定の実施形態に示されるように本発明に加えられてもよいことを理解する。したがって、本実施形態は、あらゆる点で説明するものであり、限定するものと見なされるべきではない。
【0260】
本出願は、2017年9月28日出願の「Isothiocyanate containing Brassicaceae products and method of preparation thereof」と題した豪州仮出願第2017903944号の優先権を主張し、その内容全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0261】
本明細書で論じられ、かつ/または参照される全ての出版物は、それらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0262】
本明細書に包含される文献、行為、材料、デバイス、品物等のいずれの考察も、単に本発明に前後関係を提供するためである。本出願のそれぞれの特許請求の主張の優先日前に存在したため、これらの事柄のいずれかもしくは全てが先行技術の基礎の一部を形成するか、または本発明の関連分野で共通の一般的知識であったと承認するもと見なされるべきではない。
【0263】
参考文献
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図1
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【手続補正書】
【提出日】2023-09-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
Brassicaceae材料からのイソチオシアネート含有製品の調製方法であって、
i)前記Brassicaceae材料を前処理し、ミロシナーゼのグルコシノレートへの接近を改善することと、
ii)ステップi)で得られる前記材料を乳酸菌で発酵させ、前記イソチオシアネート含有製品を形成することと
を含む、前記調製方法。
【外国語明細書】