(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023155295
(43)【公開日】2023-10-20
(54)【発明の名称】綿棒包装体、および綿棒包装体の製造方法
(51)【国際特許分類】
A61B 50/30 20160101AFI20231013BHJP
A61M 35/00 20060101ALI20231013BHJP
B65D 75/28 20060101ALI20231013BHJP
B65D 85/20 20060101ALI20231013BHJP
【FI】
A61B50/30
A61M35/00 X
B65D75/28
B65D85/20 C
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023132824
(22)【出願日】2023-08-17
(62)【分割の表示】P 2019183497の分割
【原出願日】2019-10-04
(71)【出願人】
【識別番号】391060546
【氏名又は名称】平和メディク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100181250
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 信介
(72)【発明者】
【氏名】黒川 友博
(72)【発明者】
【氏名】蓑谷 章一
(57)【要約】
【課題】従来に比べて樹脂材料の使用量を低減したうえで十分な強度を保つことができるとともに、検品工程における検品を容易に行うことのできる綿棒包装体を提供すること。
【解決手段】本願の発明が適用された一実施形態である包装体20は、少なくとも1つの綿棒1を収容し、植物繊維と熱可塑性樹脂とで構成されており100重量部における植物繊維の重量部が熱可塑性樹脂の重量部よりも大きくなるように構成された綿棒包装体であって、収容された綿棒1を視認可能な全光線透過率を有する第1面部21および第2面部22で囲まれ綿棒1を収容する収容空間Sを備え、収容空間Sは、収容された綿棒1の正面部と右側面部と左側面部と上面部と底面部とが第1面部21において視認可能に形成されており、収容された綿棒1の背面部が第2面部22において視認可能に形成されていることを特徴とする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの綿棒を収容し、植物繊維と熱可塑性樹脂とで構成されており100重量部における前記植物繊維の重量部が前記熱可塑性樹脂の重量部よりも大きくなるように構成された綿棒包装体であって、
収容された前記綿棒を視認可能な全光線透過率を有する第1包装部と、
収容された前記綿棒を視認可能な全光線透過率を有し、前記第1包装部に対して相対する位置に形成された第2包装部と、
前記第1包装部と前記第2包装部とが接合されることにより前記第1包装部と前記第2包装部とで囲まれた空間であって、前記綿棒を収容する収容空間と、を備え、
前記収容空間は、収容された前記綿棒の正面部と右側面部と左側面部と上面部と底面部とが前記第1包装部において視認可能に形成されており、収容された前記綿棒の背面部が前記第2包装部において視認可能に形成されている
ことを特徴とする綿棒包装体。
【請求項2】
請求項1に記載の綿棒包装体において、
前記収容空間は、収容された前記綿棒の軸部の延伸方向に対する垂直方向の断面において、前記第1包装部の湾曲した部分の開口部が前記第2包装部によって閉塞された形状である
ことを特徴とする綿棒包装体。
【請求項3】
少なくとも1つの綿棒を収容し、植物繊維と熱可塑性樹脂とで構成されており100重量部における前記植物繊維の重量部が前記熱可塑性樹脂の重量部よりも大きくなるように構成された綿棒包装体の製造方法であって、
収容された前記綿棒を視認可能な全光線透過率を有する第1の包装材を撓ませることによって、前記第1の包装材の撓ませた部分を形成する第1工程と、
前記第1工程によって形成された前記第1の包装材の撓ませた部分に1つの綿棒を嵌挿する第2工程と、
前記第2工程によって1つの綿棒が嵌挿された前記第1の包装材の撓ませた部分に対して、収容された前記綿棒を視認可能な全光線透過率を有する第2の包装材で覆う第3工程と、
前記第3工程によって前記第2の包装材で覆われた前記第1の包装材の撓ませた部分の縁において前記第2の包装材と接合させることで1つの綿棒が収容された収容空間を形成する第4工程と、
を実行し、
前記第4工程は、収容された綿棒の正面部と右側面部と左側面部と上面部と底面部とが前記第1の包装材において視認可能であって、収容された綿棒の背面部が前記第2の包装材において視認可能である前記収容空間を形成する
ことを特徴とする綿棒包装体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、綿棒を収容してなる綿棒包装体、およびその綿棒包装体の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、綿棒としては、使用直前までの良好な衛生状態を保つために包装体にて個包装された状態で提供されていた。具体的には、ポリエチレンやポリプロピレン等の熱可塑性樹脂からなる厚さ30μmのシート状の包装材にて1つの綿棒を挟み込んだ状態で、綿棒の周囲を熱圧着(ヒートシール)することで形成された包装体である。このような従来の綿棒の包装体であれば、減菌等の状態で製造された綿棒を使用直前まで収容した状態にすることができるため、使用直前まで包装体に収容された綿棒を良好な衛生状態に保つことができるものであった。また、包装体で個別に包装された綿棒の製造工程のうちの包装工程において、目視や光学センサ等で各包装体に綿棒が収容されているか否かの確認といった検品工程の必要がある。そのため、従来の綿棒の包装体は、目視等による検品工程を容易にするため、光透過度の高いポリエチレン等の樹脂製シートで形成する必要があった(例えば、特許文献1を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、近年においては、海洋でのプラスチック廃棄物に関わる問題等の環境問題に端を発して脱プラスチックの風潮が高まっており、工業製品における樹脂材料の使用量を極力低減することが望まれている。このような風潮に沿って、綿棒の包装体についても、樹脂材料の使用量を低減することが望まれており、綿棒の包装体における樹脂材料の使用量を低減するために、例えば、包装体の素材である樹脂材料からなるシート状の包装材の厚みを薄くする等の方法も考えられた。しかしながら、このような薄い包装材からなる包装体では、包装体の形成工程における熱圧着での部分的な溶融に基づく欠損や破れが発生し、使用者が使用するまでに包装体が破れてしまって、衛生状態を良好に保つことができなくなってしまう、といった問題の発生の虞があった。
【0005】
本発明は、こうした問題に鑑みなされたもので、綿棒を収容する綿棒包装体であって、従来に比べて樹脂材料の使用量を低減したうえで十分な強度を保つことができるとともに、検品工程における検品を容易に行うことのできる綿棒包装体および綿棒包装体の製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の適用例として実現することが可能である。なお、本欄における括弧内の参照符号や補足説明等は、本発明の理解を助けるために、後述する実施形態との対応関係を示したものであって、本発明を何ら限定するものではない。
【0007】
本発明の適用例の一つである綿棒包装体は、少なくとも1つの綿棒(綿棒1)を収容し、植物繊維と熱可塑性樹脂とで構成されており100重量部における前記植物繊維の重量部が前記熱可塑性樹脂の重量部よりも大きくなるように構成された綿棒包装体(包装体20、220)であって、収容された前記綿棒を視認可能な全光線透過率を有する第1包装部(第1面部21、221)と、収容された前記綿棒を視認可能な全光線透過率を有し、前記第1包装部に対して相対する位置に形成された第2包装部(第2面部22、222)と、前記第1包装部と前記第2包装部とが接合されることにより前記第1包装部と前記第2包装部とで囲まれた空間であって、前記綿棒を収容する収容空間(収容空間S)と、を備え、前記収容空間は、収容された前記綿棒の正面部と右側面部と左側面部と上面部と底面部とが前記第1包装部において視認可能に形成されており、収容された前記綿棒の背面部が前記第2包装部において視認可能に形成されていることを要旨とする。
【0008】
また、上述の適用例の綿棒包装体(20、220)において、前記収容空間は、収容された前記綿棒の軸部(軸部10)の延伸方向に対する垂直方向の断面において、前記第1包装部の湾曲した部分の開口部が前記第2包装部によって閉塞された形状であってもよい。
【0009】
本発明の適用例の一つである綿棒包装体の製造方法は、少なくとも1つの綿棒(綿棒1)を収容し、し、植物繊維と熱可塑性樹脂とで構成されており100重量部における前記植物繊維の重量部が前記熱可塑性樹脂の重量部よりも大きくなるように構成された綿棒包装体(包装体20、220)の製造方法であって、収容された前記綿棒を視認可能な全光線透過率を有する第1の包装材を撓ませることによって、前記第1の包装材の撓ませた部分を形成する第1工程と、前記第1工程によって形成された前記第1の包装材の撓ませた部分に1つの綿棒を嵌挿する第2工程と、前記第2工程によって1つの綿棒が嵌挿された前記第1の包装材の撓ませた部分に対して、収容された前記綿棒を視認可能な全光線透過率を有する第2の包装材で覆う第3工程と、前記第3工程によって前記第2の包装材で覆われた前記第1の包装材の撓ませた部分の縁において前記第2の包装材と接合させることで1つの綿棒が収容された収容空間(収容空間S)を形成する第4工程と、を実行し、前記第4工程は、収容された綿棒の正面部と右側面部と左側面部と上面部と底面部とが前記第1の包装材において視認可能であって、収容された綿棒の背面部が前記第2の包装材において視認可能である前記収容空間を形成することを要旨とする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】(A)は、第1実施形態の綿棒1の概略構成を示す斜視図であり、(B)は、綿棒1における繊維塊部15の概略構成を示す図である。
【
図2】(A)は、一つの綿棒1が収容された包装体20の概略構成を示す斜視図であり、(B)は、一つの綿棒1が収容された包装体20の裏面の概略構成を示す図である。
【
図3】包装体20に収容された綿棒1の製造方法を説明するフローチャートである。
【
図4】(A)は、第1包装連結体120の概略構成を示す斜視図であり、(B)は、第2包装連結体150の概略構成を示す上面図である。
【
図5】(A)は、第2実施形態の包装体220の概略構成を示す斜視図であり、(B)は、第2実施形態の第2包装連結体250の概略構成を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明が適用された実施形態について図面を用いて説明する。なお、本発明の実施の形態は、下記の実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採りうる。
【0012】
[第1実施形態]
<綿棒1の構成>
図1(A),(B)を参照して、まず、本実施形態の綿棒1の全体構成について説明する。
図1(A)は、本実施形態の綿棒1の概略構成を示す図であり、
図1(B)は、本実施形態の綿棒1における綿球部15の概略構成を示す図である。
【0013】
図1(A)に示すように、綿棒1は、軸部10、2つの綿球部15を備えている。軸部10は、ポリプロピレンを含有した熱可塑性樹脂を棒状に成形したものである。綿球部15は、軸部10の両端部において、所定の繊維(本実施形態では、綿である。)が繭型(又は砲弾型)の塊状となるように成形されたものである。
【0014】
図1(B)に示すように、また、綿棒1の全体の長さは、79.0±2.0[mm]となっており、綿球部15における軸体10の中心軸方向の長さLは、15.0±2.0[mm]となっており、綿球部15における軸部10の軸方向と垂直をなす方向の直径Dは、4.7±1.0[mm]となっている。
【0015】
なお、上述した綿棒1における軸部10は、種々の熱可塑性樹脂を棒状に成形したものや、木材や紙を棒状に成形したものであってもよい。例えば、種々の熱可塑性樹脂としては、ポリスチレン、ポリカーボネート、ABS樹脂等があり、これら複数の種類の樹脂(ポリプロピレンも含む。)のうちの1種類の樹脂からなるものであってもよいし、2種類以上の樹脂からなるものであってもよい。また、綿棒1において、軸部10の両端部に綿球部15が形成されていたが、軸部の一方の端部にのみ綿球部15が形成されており、他端部には綿球部が形成されておらず持ち手部分となるようなものやへら状の耳かき部となるようなものが形成されていてもよい。
【0016】
さらに、綿棒1における綿球部15は、所定の繊維としての綿が塊状となるように成形されたものとしたが、所定の繊維としては綿以外の種々の繊維であってもよい。例えば、所定の繊維としては、羊毛等の種々の天然繊維、ポリエステル等の種々の化学繊維、レーヨン等の種々の再生繊維等があり、これら複数の種類の繊維のうちの1種類の繊維からなるものであってもよいし、2種類以上の繊維からなるものであってもよい。そして、綿棒1における綿球部15の大きさや形状は、種々の大きさや形状であってもよい。例えば、上述の綿球部15に比べて直径Dが小さいものや大きいものであってもよいし、先端を尖らせた雫型のものや側面に所定の凹凸が形成されるように加工されたものであってもよい。
【0017】
<綿棒包装体20の構成>
図2(A),(B)を参照して、次に、上述した綿棒1を収容する包装体20について説明する。
図2(A)は、一つの綿棒1が収容された包装体20の概略構成を示す斜視図であり、
図2(B)は、一つの綿棒1が収容された包装体20の裏面の概略構成を示す図である。
【0018】
図2(A),(B)に示すように、包装体20は、2つのシート状の包装材の間に一つの綿棒1を挟み込んで、綿棒1の周囲を熱圧着することによって形成されたものである。包装体20は、綿棒1が収容される空間である収容空間S、収容空間S内の綿棒1を外部から視認可能な第1面部21と第2面部22(第1面部21に対して反対側の面)、収容空間S内の綿棒1の両端近傍の各々において熱圧着により形成された端縁部25,26、収容空間S内の綿棒1における軸部10の延伸方向に沿って熱圧着により形成された横縁部28a,28b、収容空間S内の綿棒1における軸部10の略中間となる位置に形成された中切込部29、を備えている。つまり、包装体20において、収容空間Sは、端縁部25,26、横縁部28a,28bに囲まれることによって形成されているため、収容された綿棒1の衛生状態を良好に保つことができる。また、中切込部29は、収容空間Sの略中央となる位置で第1面部21と第2面部22と横縁部28a,28bの両面とに亘って形成されており、使用者が包装体20を中切込部29で切断することで収容空間Sに収容されている綿棒1を容易に取り出すことを可能にする。
【0019】
包装体20を形成する包装材は、全光線透過率が約74.8%の厚み45μmのシート状のものであって、植物繊維であるパルプを絡み合わせて膠着させた厚み30μmのグラシン紙に対して、熱可塑性樹脂であるポリエチレンからなる厚み15μmのポリエチレンフィルムが積層されたものである。また、包装材においては、グラシン紙の米坪が30.5g/m2であり、ポリエチレンフィルムの米坪が13.5g/m2である。つまり、包装体20においては、包装材100重量部に対して、グラシン紙が約70重量部であり、ポリエチレンフィルムが約30重量部であるため、グラシン紙の重量部がポリエチレンフィルムの重量部よりも大きいものとなっている。さらに、包装体20の収容空間Sにおいては、ポリエチレンフィルム(熱可塑性樹脂で形成された面)が内面を形成し、グラシン紙(植物繊維で形成された面)が外面を形成するように構成されている。なお、全光線透過率は、JIS K 7361-1およびISO13468-1の規定に準拠した測定方法によって測定された値である。
【0020】
なお、上述した包装材において、全光線透過率が約74.8%の厚み45μmのシート状のものとしたが、第1面部21および第2面部22を包装材で形成したときに、収納空間S内を外部から視認できるものであれば、どのようなものであってもよい。具体的には、全光線透過率が43%以上の包装材であれば、第1面部21および第2面部22を包装材で形成したときに収納空間S内を外部から視認できる(特に、全光線透過率が66%以上の包装材が望ましい。)。また、上述した包装材において、植物繊維で形成されたグラシン紙と、熱可塑性樹脂で形成されたポリエチレンフィルムとが積層されたものとしたが、後述する製造方法にて包装体20を形成できるものであれば、どのようなものであってもよい。具体的には、植物繊維で形成されたものとしては、硫酸紙、透写紙(トレーシングペーパー)、パラフィン紙、レーヨン、和紙等で形成されたものあってもよく、熱可塑性樹脂で形成されたものとしては、ポリプロピレン(延伸ポリプロピレン、無延伸ポリプロピレン)、ポリエチレンテレフタラート等で形成されたものであってもよい。
【0021】
<包装体20に収容された綿棒1の製造方法>
図3を参照して、次に、包装体20に収容された綿棒1の製造方法について説明する。
図3は、包装体20に収容された綿棒1の製造方法を説明するフローチャートである。
図3に示すように、包装体20に収容された綿棒1の製造方法では、製造装置(図示省略)において、ステップS110の軸部加工工程と、ステップS120の綿球部成形工程と、ステップS130の綿棒乾燥工程と、ステップS140の包装体形成工程と、ステップS150の包装裁断工程と、が実行される。
【0022】
図3に示すように、まず、ステップS110の軸部加工工程では、コンベア上に載置された複数の軸部10を回転させつつ、接着剤塗布器によって軸部10の両端に対して接着剤(酢酸ビニル樹脂)が塗布される。次に、ステップS120の綿球部成形工程では、軸部10の接着剤が塗布された両端を繊維供給器によって解された綿の上で転がすように、コンベア上に載置された軸部10を回転させることによって軸部10の両端に綿を接着させ、その後に、綿が接着された軸部10の両端を成形型上で転がすように回転させることによって綿球部15が成形される。なお、このステップS120の綿球部成形工程において成形型で綿球部15を成形するときに、綿球部15の表面に対して成形糊を塗布することによって型崩れを防止している。そして、ステップS130の綿棒乾燥工程では、温風発生器およびヒータによって、コンベア上の軸部10の両端に形成された綿球部15を乾燥させることで綿棒1が製造される。
【0023】
次に、ステップS140の綿棒包装工程では、包装体成形器にて一枚の包装材のポリエチレンフィルム側を所定の間隔で撓ませた状態にすることで複数の撓ませた部分を形成し、この複数の撓ませた部分の各々に綿棒1を一つずつ嵌挿する。そして、包装材における複数の撓ませた部分に複数の綿棒1を一つずつ嵌挿した状態で、撓ませた部分に対して蓋をするように別の包装材のポリエチレンフィルム側で覆うとともに、複数の撓ませた部分の各々の周囲を熱圧着することで一つの綿棒1を収容した収容空間Sが複数形成される。なお、この綿棒包装工程における熱圧着とは、二枚の包装材のポリエチレンフィルム側同士を合わせて、ポリエチレンフィルムが溶融する温度(200℃以下)にて圧着することで二枚の包装材間で接着されることである。このようにステップS140の綿棒包装工程では、複数の収容空間Sの各々に一つの綿棒1が収容された状態の第1包装連結体120(後述する
図4(A)を参照。)が製造される。
【0024】
そして、ステップS150の包装裁断工程では、ステップS140の綿棒包装工程で製造された第1包装連結体120に対して、第1裁断器によって収容空間S内の綿棒1の軸部10の延伸方向の中央近傍にて軸部10の延伸方向に対する直交方向の切込みである中央切込部129が形成されるとともに、第2裁断器によって収容空間S内の綿棒1の軸部10の延伸方向の切込みである横切込部127が形成される。このようにステップS150の包装裁断工程では、第1包装連結体120に対して中央切込部129と横切込部127が形成された第2包装連結体150(後述する
図4(B)を参照。)が製造される。
【0025】
図4(A),(B)を参照して、ここで、ステップS140の綿棒包装工程で製造された第1包装連結体120と、ステップS150の包装裁断工程で製造された第2包装連結体150と、について説明する。
図4(A)は、第1包装連結体120の概略構成を示す斜視図であり、
図4(B)は、第2包装連結体150の概略構成を示す上面図である。
【0026】
図4(A)に示すように、第1包装連結体120は、収容空間S内の綿棒1の一端側の縁にて熱圧着されることで形成される第1熱圧着部125と、綿棒1の他端側の縁にて熱圧着されることで形成される第2熱圧着部126と、綿棒1の軸部10の延伸方向に沿って熱圧着されることで形成される第3熱圧着部128と、が形成されている。つまり、第1包装連結体120においては、撓ませた部分に蓋をするように撓ませた包装材に対して別の包装材を重ねて、撓ませた部分の周囲を熱圧着することによって、第1熱圧着部125と第2熱圧着部126と2つの第3熱圧着部128とに囲まれた収容空間Sが形成されている。なお、第1包装連結体120の収容空間Sにおいて、包装材の撓ませた部分側の面が第1面部21となり、第1面部21の反対側の面が第2面部22となる。
【0027】
図4(B)に示すように、第2包装連結体150は、第1包装連結体120に対して、第1裁断器によって形成された中切込部129と、第3熱圧着部128の延伸方向に沿って第3熱圧着部128を2分割するように第2裁断器によって形成された横切込部127と、が形成されたものである。横切込部127は、第2包装連結体150において、一つの綿棒を収容した包装体20に一つずつ容易に切り離すための切込みである。つまり、第2包装連結体150に対して、横切込部127で切り離すことによって、所定の個数の包装体20が連結したものや、1つの包装体20にすることができる。また、第2包装連結体150においては、収容空間S内を視認可能な第1面部21および第2面部22が形成されているため、収容空間Sに綿棒1が収容されているか否かを目視や光学センサ等で確認する、といった検品をすることができる。特に、第2包装連結体150における第1面部21と第2面部22は、第2面部22が第1面部21に対して裏面となるように形成されているため、いずれの方向からでも検品が可能であり、例えば一つの面のみが内部を視認可能な包装体に比べて検品が容易である。したがって、第2包装連結体150に対して、目視等で収容空間Sに綿棒1が収容されているか否かの検品を行い、綿棒1が収容されていない包装体20のみを切り離して廃棄等する、といった検品工程を容易にすることができる。
【0028】
[第2実施形態]
図5を参照して、ここで、第2実施形態の包装体220について説明する。
図5(A)は、第2実施形態の包装体220の概略構成を示す斜視図であり、
図5(B)は、第2実施形態の第2包装連結体250の概略構成を示す上面図である。なお、第2実施形態における包装体220に収容された綿棒1の製造方法は、第1実施形態と略同様のものであるため、<包装体220に収容された綿棒1の製造方法>の説明は省略する。
【0029】
図5(A)に示すように、包装体220は、第1実施形態の包装体20と同様の包装材で形成されているとともに略同様の形状であって、収容空間S、第1面部221と第2面部222、端縁部225,226、横縁部228a,228b、中切込部229、を備えている。なお、横縁部228a,228bは、第1実施形態の包装体20における横縁部28a,28bとは異なり、収容空間S内の綿棒1における軸部10の延伸方向に沿って3カ所に分断されたように熱圧着により形成されている。また、3カ所の横縁部228aの各間隔においては、収納空間S内の綿棒1の綿球部15が抜出ないような幅に構成されている。
【0030】
図5(B)に示すように、第2実施形態における第2包装連結体250は、第1実施形態の包装体20と略同様の形状であって、中切込部329と、3カ所に分断されて形成された第3熱圧着部330の延伸方向に沿って各第3熱圧着部330を2分割するように第2裁断器によって形成された横切込部327と、が形成されたものである。このような第2包装連結体250であっても、横切込部327で切り離すことによって、所定の個数の包装体220が連結したものや、1つの包装体220にすることができる。また、第2包装連結体250においても、収容空間S内を視認可能な第1面部221および第2面部222が形成されているため、収容空間Sに綿棒1が収容されているか否かを目視等で確認する、といった検品をすることができ、特に、第1面部221および第2面部222のいずれの方向からでも検品が可能である。したがって、第2包装連結体250に対しても、第1実施形態の第2包装連結体150と同様に、検品工程が容易である。
【0031】
[第1実施形態および第2実施形態の特徴]
上述の実施形態の包装体20,220によれば、少なくとも1つの綿棒1を収容するものであって、包装材で形成され、収容された綿棒1を視認可能な第1面部21,221と、第1面部21,221に対して相対する位置に包装材で形成され、収容された綿棒1を視認可能な第2面部22,222と、第1面部21,221と第2面部22,222とを接合する接合部である端縁部25,26,225,226、横縁部28a,28b,228a,228bと、を備え、包装材は、100重量部において、植物繊維を絡み合わせて膠着させてなる第1基材であるグラシン紙の重量部が、熱可塑性樹脂であるポリエチレンからなるポリエチレンフィルムの重量部よりも大きいものである。
【0032】
このような包装体20,220であれば、収容空間S内の綿棒1を視認可能な第1面部21および第2面部22が形成されているため、収容空間Sに綿棒1が収容されているか否かを目視や光学センサ等で確認する、といった検品をすることができる。特に、第2包装連結体150における第1面部21と第2面部22は、第2面部22が第1面部21に対して相対する裏面となるように形成されているため、いずれの方向からでも検品が可能であり、例えば一つの面のみが内部を視認可能な包装体に比べて検品が容易である。また、包装体20,220であれば、包装体20,220を形成する包装材において、燃焼温度が300度以上であるグラシン紙の重量部が、溶融温度が200度以下である熱可塑性樹脂の重量部よりも大きい、つまり、一般的な熱圧着による加熱温度では燃焼及び溶解しないグラシン紙が多くなるように構成されているため、従来に比べて製造工程における熱圧着での部分的な溶融に基づく欠損や破れの発生が抑制されることとなる。したがって、包装体20,220であれば、従来のように熱可塑性樹脂のみで構成された包装体に比べて、包装体の形成工程の熱圧着による欠損等を抑制することができるため、使用者が使用するまでに包装体が破れることを防止できるような十分な強度を保持することができるとともに、検品工程における検品を容易に行うことができる。
【0033】
また、上述の実施形態の包装体20,220によれば、第1面部21,221及び第2面部22,222は、全光線透過率が43%以上である約74.8%の包装材で構成されている。このような包装体20,220であれば、綿棒1が収容される収容空間S内を視認可能な21,221及び第2面部22,222が形成されているため、収容空間Sに綿棒1が収容されているか否かを確認することができる。したがって、個別の包装体20,220にする前の第2包装連結体150,250に対して、検品工程における目視等で収容空間Sに綿棒1が収容されているか否かを確認し、綿棒1が収容されていない包装体20のみを切り離して、廃棄等することができる。つまり、包装体20,220であれば、検品工程における検品を容易に行うことができる。
【0034】
さらに、上述の実施形態の包装体20,220によれば、包装材は、少なくとも一部で第1基材であるグラシン紙に対して第2基材であるポリエチレンフィルムが積層されており、グラシン紙の厚み30μmがポリエチレンフィルムの厚み15μmに比べて大きいものである。このような包装体20、220であれば、包装材において、一般的な熱圧着による加熱温度では燃焼及び溶解しないグラシン紙に対してポリエチレンフィルムが積層されているため、従来に比べて製造工程における熱圧着での部分的な溶融に基づく欠損や破れの発生が抑制されることとなる。また、このような包装体20、220であれば、特に、包装材において、グラシン紙の厚みがポリエチレンフィルムの厚みに比べて大きいため、従来に比べて樹脂材料の使用量を低減したうえで十分な強度を保つものにすることができる、したがって、包装体20、220であれば、従来に比べて樹脂材料の使用量を低減したうえで十分な強度を保つことができる。
【0035】
そして、上述の実施形態の包装体20,220によれば、接合部である端縁部25,26,225,226、および横縁部28a,28b,228a,228bは、グラシン紙に対して積層されているポリエチレンフィルムが熱圧着によって溶融されたもので接合されている。このような包装体20,220であれば、熱圧着によってポリエチレンフィルムが溶融することで部分的に欠損等しても、ポリエチレンフィルムの欠損等した部分がグラシン紙で覆われた状態にすることができるため、使用者が使用するまでに包装体が破れてしまわないような十分な強度を保持することができる。
【0036】
[その他の実施形態]
上述した実施形態の包装体20,220において、包装材は、植物繊維であるパルプを絡み合わせて膠着させたグラシン紙に対して、熱可塑性樹脂であるポリエチレンからなるポリエチレンフィルムが積層されたものであったが、これに限定されず、上述のような製造方法で包装体を製造できるような包装材であれば、どのような構成の包装材であってもよい。例えば、植物繊維からなるシートに対して熱可塑性樹脂が部分的に積層されているような包装材であってもよく、より具体的には、第1面部又は第2面部となる部分はグラシン紙のみで形成されてあり、熱圧着される部分(接合部となる部分)は熱可塑性樹脂が積層されているものであってもよい。また、上述の製造方法とは異なる製造方法となるが、包装材はグラシン紙のみで形成されており、熱圧着される部分に熱可塑性樹脂を付加して、熱圧着するような製造方法で包装体を製造するようにしてもよい。これらのような包装体であっても、上述の実施形態の包装体20,220と同様の効果を奏することができる。
【0037】
以上、実施形態、変形例に基づき本発明について説明してきたが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれる。
【符号の説明】
【0038】
1…綿棒、20,220…包装体、21,221…第1面部(第1包装部)、22,222…第2面部(第2包装部)、S…収容空間。