(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023155299
(43)【公開日】2023-10-20
(54)【発明の名称】農業機械
(51)【国際特許分類】
H02J 7/02 20160101AFI20231013BHJP
H02J 7/04 20060101ALI20231013BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20231013BHJP
B60L 58/18 20190101ALI20231013BHJP
B60L 50/60 20190101ALI20231013BHJP
B60L 58/26 20190101ALI20231013BHJP
B60L 3/00 20190101ALI20231013BHJP
【FI】
H02J7/02 G
H02J7/04 L
H02J7/00 P
B60L58/18
B60L50/60
B60L58/26
B60L3/00 S
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023133065
(22)【出願日】2023-08-17
(62)【分割の表示】P 2020092495の分割
【原出願日】2020-05-27
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】西中 正昭
(57)【要約】
【課題】充電時間の短縮を図る、または充電後の使用を速やかに行う。
【解決手段】作業車両(1)は、バッテリパック(100A、100B)を充電する前、またはバッテリパック(100A、100B)を使用する前に、それぞれの温度を取得する情報取得部(110)と、バッテリパック(100A、100B)を充電または使用する順序を、取得した温度に基づいて決定する充放電管理部(120)と、決定した順序に基づいて、対象となるバッテリパックを充電器と接続、または対象機器と接続させる切替指示部(130)とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のバッテリパックを備えた作業車両であって、
前記複数のバッテリパックを充電する前、または前記複数のバッテリパックを使用する前に、前記複数のバッテリパックそれぞれの温度を取得する温度取得部と、
前記複数のバッテリパックを充電する順序、または使用する順序を、前記温度取得部が取得した温度に基づいて決定するバッテリパック管理部と、
前記バッテリパックを充電する場合、前記バッテリパック管理部が決定した順序に基づいて、対象となるバッテリパックを充電器と接続させ、
前記バッテリパックを使用する場合、前記バッテリパック管理部が決定した順序に基づいて、対象となるバッテリパックを、当該バッテリパックを使用することにより動作させる対象機器と接続させる接続制御部と、
を備えていることを特徴とする作業車両。
【請求項2】
前記バッテリパック管理部は、前記複数のバッテリパックを充電する順序、または使用する順序を、前記温度取得部が取得した温度が低い順とすることを特徴とする請求項1に記載の作業車両。
【請求項3】
前記バッテリパック管理部は、複数のバッテリパックのうち、前記温度取得部が取得した温度が同じものについて、製造の新旧、またはこれまでの使用回数に基づいて、前記複数のバッテリパックを充電する順序、または使用する順序を決定することを特徴とする請求項1または2に記載の作業車両。
【請求項4】
前記複数のバッテリパックのうち、充電または使用されているバッテリパックを冷却する冷却部を備えることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の作業車両。
【請求項5】
通常の充電よりも短時間で充電可能な急速充電器により充電を行う場合、前記冷却部は、前記複数のバッテリパックすべてを冷却することを特徴とする請求項4に記載の作業車両。
【請求項6】
充電または使用するバッテリパックをユーザが選択できる選択スイッチを備え、
前記接続制御部は、前記選択スイッチによる選択を、前記バッテリパック管理部が決定した順序に優先させることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のバッテリパックを備えた作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車の電動化が進んでいる。電動化は乗用車に限られず、バスやトラックなどの大型車、建機や農機等の作業車などでも進んでいる。このような大型車や作業車の電動化を進める場合、乗用車と比べて搭載すべきバッテリ容量も大きくなり、バッテリパックのサイズも大型化する。
【0003】
バッテリパックは、充放電時に発熱し、サイズが大きくなれば、発熱量も大きい。このため、発熱に起因してバッテリの使用が制限されないよう、バッテリパックを複数に分割して搭載したり、冷却装置を内蔵したりする例がある。
【0004】
また、特許文献1には、バッテリ内の二次電池の温度が適正範囲にある場合に、SOC(State of Charge)の状態に応じて、バッテリパックの充電または放電を行う構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015-119573号公報(2015年6月25日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、バッテリパックは、充放電時に発熱する。特に大型化されたバッテリパックは、発熱量が大きいため、バッテリ使用後は、バッテリパックの温度が高く、すぐに充電できない場合や充電に時間がかかる場合がある。同様に、充電時の発熱により、バッテリ温度が高くなっている場合、放電量が制限されて、充電完了後すぐにバッテリパックを所望の作業に使用できない可能性がある。
【0007】
本発明の一態様は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、充電時間の短縮を図ることができる、または充電後の使用を速やかに行うことができる作業車両を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る作業車両は、複数のバッテリパックを備えた作業車両であって、前記複数のバッテリパックを充電する前、または前記複数のバッテリパックを使用する前に、前記複数のバッテリパックそれぞれの温度を取得する温度取得部と、前記複数のバッテリパックを充電する順序、または使用する順序を、前記温度取得部が取得した温度に基づいて決定するバッテリパック管理部と、前記バッテリパックを充電する場合、前記バッテリパック管理部が決定した順序に基づいて、対象となるバッテリパックを充電器と接続させ、前記バッテリパックを使用する場合、前記バッテリパック管理部が決定した順序に基づいて、対象となるバッテリパックを、当該バッテリパックを使用することにより動作させる対象機器と接続させる接続制御部と、を備えている。
【0009】
バッテリパックの温度が高い場合、すぐに充電または使用ができなかったり、充電または使用してもバッテリパック自体が本来持つ性能を十分に発揮できなかったりする。前記の構成によれば、複数のバッテリパックの充電または使用を、バッテリパックそれぞれの温度に基づいて決定した順序で行うので、すぐに充電または使用可能なバッテリパックを優先して充電または使用することができる。よって、バッテリパックの充電を行う場合、順序を決めずに複数のバッテリパックを充電する場合と比較して、充電時間の短縮を図ることができる。また、バッテリパックを使用する場合、充電後の使用を速やかに行うことができる。
【0010】
本発明の一態様に係る作業車両では、前記バッテリパック管理部は、前記複数のバッテリパックを充電する順序、または使用する順序を、前記温度取得部が取得した温度が低い順とするものであってもよい。
【0011】
前記の構成によれば、バッテリパックの温度の低い順にバッテリパックの充電または使用を行うことができる。
【0012】
本発明の一態様に係る作業車両では、前記バッテリパック管理部は、複数のバッテリパックのうち、前記温度取得部が取得した温度が同じものについて、製造の新旧、またはこれまでの使用回数に基づいて、前記複数のバッテリパックを充電する順序、または使用する順序を決定するものであってもよい。
【0013】
前記の構成によれば、温度が同じバッテリパックについて、製造の新旧、またはこれまでの使用回数に基づいて、複数のバッテリパックを充電する順序、または使用する順序を決定することができる。
【0014】
本発明の一態様に係る作業車両では、前記複数のバッテリパックのうち、充電または使用されているバッテリパックを冷却する冷却部を備えるものであってもよい。
【0015】
前記の構成によれば、充電または使用されているバッテリパックを冷却するので、少ない電力で、効率的にバッテリパックの冷却を行うことができる。
【0016】
本発明の一態様に係る作業車両では、通常の充電よりも短時間で充電可能な急速充電器により充電を行う場合、前記冷却部は、前記複数のバッテリパックすべてを冷却するものであってもよい。
【0017】
急速充電器を用いる場合、バッテリパックの発熱量が、通常の充電と比較して大きくなる。そして、前記の構成によれば、充電中ではないバッテリパックも冷却するので、それぞれのバッテリパックについて、充電前または充電後でも冷却されることになる。これにより、充電前であれば、バッテリパックの温度を予め下げることにより、充電による発熱の影響を抑えることができ、充電後であれば、通常の充電時よりも発熱したバッテリパックを充電後も冷却することができる。
【0018】
本発明の一態様に係る作業車両では、充電または使用するバッテリパックをユーザが選択できる選択スイッチを備え、前記接続制御部は、前記選択スイッチによる選択を、前記バッテリパック管理部が決定した順序に優先させるものであってもよい。
【0019】
前記の構成によれば、バッテリパック管理部が決定した順序に優先させて、充電または使用するバッテリパックをユーザが選択できるので、ユーザ所望のバッテリパックを充電または使用の対象とすることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の一態様によれば、複数のバッテリパックの充電または使用を、バッテリパックそれぞれの温度に基づいて決定した順序で行うので、すぐに充電または使用可能なバッテリパックを優先して充電または使用することができる。よって、バッテリパックの充電を行う場合、順序を決めずに複数のバッテリパックを充電する場合と比較して、充電時間の短縮を図ることができる。また、バッテリパックを使用する場合、充電後の使用を速やかに行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の実施形態に係る作業車両の概要を示す機能ブロック図である。
【
図2】作業車両におけるバッテリパックの充電処理の流れを示すフローチャートである。
【
図3】作業車両におけるバッテリパックの使用処理の流れを示すフローチャートである。
【
図4】本発明の他の実施形態に係る作業車両の概要を示す機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
〔実施形態1〕
〔作業車両1の概要〕
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。まず、
図1を参照して、本実施形態に係る作業車両1について説明する。
図1は、作業車両1の概要を示すブロック図である。なお、本実施形態では、作業車両1における作業車としての機能および走行に関する機能は、公知の技術を用いて実現可能であるので、ここでは説明しない。また、作業車両1の例としては、トラクタ等の農業機械、工事・建設等に用いられる建設機械、バス・トラック等の大型車両等を挙げることができる。
【0023】
図1に示すように、作業車両1は、電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)10、切替器20、充電口30、選択スイッチ40、バッテリパック(100A、100B)、センサ(101A、101B)、および各種機器(対象機器)200を含む。なお、バッテリパックおよびセンサについては、総称して、それぞれバッテリパック100、センサ101と呼ぶこともある。
【0024】
電子制御ユニット10は、作業車両1における電子的な制御を司るユニットであり、情報取得部(温度取得部)110、充放電管理部(バッテリパック管理部)120、および切替指示部(接続制御部)130を含む。
【0025】
情報取得部110は、後述するバッテリパック100の温度を検出するセンサ101から情報をバッテリパック100毎に取得し、充放電管理部120に通知する。
【0026】
情報取得部110がセンサ101からバッテリパック100の温度を取得するタイミングは、充電時、使用時ともに、作業車両1が起動されたとき(例えば、エンジンがかけられたとき、キースイッチがONとなったとき)が挙げられる。なお、充電時であれば、充電口30に充電器2のコード等が接続されたときに温度を取得してもよい。また、情報取得部110は上記のタイミング後も、定期的にバッテリパック100の温度を取得してよい。
【0027】
充放電管理部120は、情報取得部110から通知されたバッテリパック100(100A、100B)それぞれの温度に基づき、バッテリパック100の充電する順序、および放電する順序を決定する。より詳細には、充放電管理部120は、バッテリパック100Aおよびバッテリパック100Bのうち、温度の低い方を先に充電または放電するように決定する。そして、決定した結果に基づき、切替器20を制御するための指示を切替指示部130に送信する。具体的には、充電する場合は、所望のバッテリパック100と充電口30とが接続されるように切替器20を切り替える指示を送信し、放電する場合は、所望のバッテリパック100と各種機器200とが接続されるように切替器20を切り替える指示を送信する。
【0028】
切替指示部130は、充放電管理部120の指示に基づき、切替器20を切り替える。切替器20は、切替指示部130の指示に基づき、接続するバッテリパック100を切り替える。
【0029】
充電口30は、外部の充電器2と作業車両1とを接続する接続部である。
【0030】
選択スイッチ40は、ユーザにより操作されるスイッチであり、選択スイッチ40が操作されることにより、切替器20を切り替えることができる。換言すれば、接続されるバッテリパック100を切り替えることができる。
選択スイッチ40を設けることにより、充放電管理部120により決定された充電または放電の順序に関わらず、充電または放電の対象となるバッテリパック100をユーザの所望のものとすることができる。
【0031】
バッテリパック100(100A、100B)は、充電および放電が可能なバッテリである。センサ101(101A、101B)は、バッテリパック100の温度を計測するセンサであり、センサ101Aは、バッテリパック100Aの温度を計測し、センサ101Bは、バッテリパック100Bの温度を計測する。
【0032】
各種機器200は、バッテリパック100から供給される電力により駆動するモータ、各種機器、電装品等の総称である。
【0033】
〔作業車両1における処理〕
次に、
図2および
図3を参照して、作業車両1における処理の流れを説明する。
図2は、作業車両1においてバッテリパック100を充電する場合の処理の流れを示すフローチャートである。また、
図3は、作業車両1においてバッテリパック100を使用(放電)する場合の処理の流れを示すフローチャートである。なお、
図2および
図3では、バッテリパック100Aを「バッテリA」、バッテリパック100Bを「バッテリB」と表記している。
【0034】
図2に示すように、バッテリパック100の充電を行う場合、まず、充放電管理部120は、バッテリパック100それぞれの情報(温度)を取得する(S101)。次に、充放電管理部120は、バッテリパック100Aとバッテリパック100Bとの温度を比較する。そして、バッテリパック100A温度<バッテリパック100Bの温度であれば(S102でYES)、充放電管理部120はバッテリパック100の充電をバッテリパック100A、バッテリパック100Bの順序で行うことを決定する。そして、切替指示部130に指示してバッテリパック100Aを充電口30と接続するようにする(S103)。これにより、バッテリパック100Aが充電される(S104)
そして、バッテリパック100Aの充電が完了すると(S105でYES)、充放電管理部120は、切替指示部130に指示して、バッテリパック100Bを充電口30と接続するようにする(S106)。これにより、バッテリパック100Bが充電される(S107)。バッテリパック100Bの充電が完了すると(S108でYES)、充電処理が完了する。
【0035】
一方、ステップS102で、バッテリパック100A温度<バッテリパック100Bの温度でない場合(S102でNO)、充放電管理部120は充電の順序をバッテリパック100B、バッテリパック100Aの順序で行うことを決定する。そして、切替指示部130に指示してバッテリパック100Bを充電口30と接続するようにする(S201)。これにより、バッテリパック100Bが充電される(S202)
そして、バッテリパック100Bの充電が完了すると(S203でYES)、充放電管理部120は、切替指示部130に指示して、バッテリパック100Aを充電口30と接続するようにする(S204)。これにより、バッテリパック100Aが充電される(S205)。バッテリパック100Aの充電が完了すると(S206でYES)、充電処理が完了する。
【0036】
上記の処理によれば、バッテリパック100A、バッテリパック100Bのうち、温度が高いバッテリパック100の充電が後になる。例えば、バッテリパック100Aの温度<バッテリパック100Bの温度の場合、温度の高いバッテリパック100Bの充電は、バッテリパック100Aの後になる。そして、バッテリパック100Aの充電中は、バッテリパック100Bは自然放熱されることになるので、バッテリパック100Bの充電が開始されるときには、バッテリパック100Bの温度は下がっていることになる。これにより、バッテリパック100の温度が高いまま充電が開始されることを抑制することができ、バッテリパック100の充電を効率的に行うことができる。
【0037】
また、
図3に示すように、バッテリパック100を使用する場合、まず、充放電管理部120は、バッテリパック100それぞれの情報(温度)を取得する(S301)。次に、充放電管理部120は、バッテリパック100Aとバッテリパック100Bとの温度を比較する。そして、バッテリパック100A温度<バッテリパック100Bの温度であれば(S302でYES)、充放電管理部120は、バッテリパック100の使用をバッテリパック100A、バッテリパック100Bの順序で行うことを決定する。そして、切替指示部130に指示してバッテリパック100Aを各種機器200と接続するようにする(S303)。これにより、バッテリパック100Aが先に使用される(S304)
そして、バッテリパック100Aの残量が閾値以下になると(S305でYES)、充放電管理部120は、切替指示部130に指示して、バッテリパック100Bを各種機器200と接続するようにする(S306)。これにより、バッテリパック100Bが使用される(S307)。これにより、バッテリパック100A、バッテリパック100Bの順序でバッテリパック100が使用されることになる。
【0038】
一方、ステップS302で、バッテリパック100A温度<バッテリパック100Bの温度でない場合(S302でNO)、充放電管理部120はバッテリパック100の使用をバッテリパック100B、バッテリパック100Aの順序で行うことを決定する。そして、切替指示部130に指示してバッテリパック100Bを各種機器200と接続するようにする(S401)。これにより、バッテリパック100Bが先に使用される(S402)。
【0039】
そして、バッテリパック100Bの残量が閾値以下になると(S403でYES)、充放電管理部120は、切替指示部130に指示して、バッテリパック100Aを各種機器200と接続するようにする(S404)。これにより、バッテリパック100Aが使用される(S405)。これにより、バッテリパック100B、バッテリパック100Aの順序でバッテリパック100が使用されることになる。
【0040】
上記の処理によれば、バッテリパック100Aおよびバッテリパック100Bの使用が終わったとき、何れかのバッテリパックは、使用後からかなりの時間が経過していることになる。例えば、バッテリパック100A→バッテリパック100Bの順で使用した場合、バッテリパック100Bの使用が終わったとき、バッテリパック100Aについては、使用後からかなりの時間が経過していることになる。この場合、バッテリパック100Aは、バッテリパック100Bの使用中に自然放熱されていることになり、温度が下がる。よって、バッテリパック100Aおよびバッテリパック100Bの使用後、すぐにバッテリパック100Aの充電を開始することができ、バッテリパック100の温度が下がるまで充電を待機する等の必要が無くなる。これにより、バッテリパック100の充電時間を短縮することができる。
【0041】
また、バッテリパック100B→バッテリパック100Aの順で使用した場合は、逆のことが言える。
【0042】
〔適用例〕
例えば、バッテリパック100の容量を、作業車両1における1日の作業量を賄える程度とし、一日の作業後に充電を行うものとすれば、作業後、次の日の作業開始までに、効率的に充電を行うことができる。作業後、すぐに、一方のバッテリパック100の充電を開始でき、その後、他方のバッテリパック100の充電を行うことができるためである。
【0043】
また、昼休み等、作業を行わない時間帯がある場合に、補充的に充電を行うこともできる。
【0044】
〔温度が同じ場合の処理〕
なお、バッテリパック100Aおよびバッテリパック100Bの温度が同じ場合、充放電管理部120は、温度以外の他の情報を取得し、バッテリパック100の充放電の順序を決定してもよい。例えば、充放電管理部120は、バッテリパック100の新旧、充放電回数、SOCを用いて充放電の順序を決定してもよい。
【0045】
例えば、充放電管理部120は、新しいバッテリパック100を優先して充放電してもよいし、これまでの充放電回数が少ない方を優先して充放電してもよい。この場合、バッテリパック100それぞれについて、製造年月、使用回数が記録されているものとする。
【0046】
また、SOCの多い方を優先して使用し、SOCの少ない方を優先して充電をおこなってもよい。この場合、充放電管理部120は、バッテリパック100それぞれのSOCを算出できるものとする。
【0047】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0048】
本実施形態に係る作業車両1Aでは、上述した作業車両1の構成に加え、電子制御ユニット10Aに冷却器制御部(冷却部)140が含まれるとともに、冷却器(冷却部)50を備える。冷却器50は、冷却器制御部140の制御によりバッテリパック100を冷却するものである。
【0049】
作業車両1Aでは、切替器20により充電口30または各種機器200に接続されているバッテリパック100Aまたはバッテリパック100Bが所定の温度を超えた場合、充放電管理部120の指示により冷却器制御部140が冷却器50を制御して、バッテリパック100Aおよびバッテリパック100Bの何れかを冷却する。
【0050】
なお、充電器2が急速充電器の場合、冷却器制御部140は、充電中のバッテリパック100が所定の温度を超えたかないかに関わらず、対象となるバッテリパック100を冷却器50により冷却してもよい。
【0051】
また、充電器2が急速充電器の場合、充電対象となっていないバッテリパック100についても冷却するものであってもよい。
【0052】
〔変形例〕
上述した実施形態では、バッテリパック100は、バッテリパック100Aおよびバッテリパック100Bの2個の場合について説明した。本発明はこれに限られるものではなく、
図5に示すように、バッテリパック100が3個以上(バッテリパック100A、100B、100C、100D、…)であってもよい。
【0053】
充放電管理部120は、バッテリパック100が3個以上であっても、それぞれのバッテリパック100の温度に応じて、充放電の順序を決定することができる。
【0054】
また、充放電管理部120は、バッテリパック100の温度に限らず、他の要素、例えば、バッテリパック100の新旧、充放電回数を用いて順序を決定してもよい。例えば、温度が同じバッテリパック100が複数存在する場合、新しいバッテリパック100を優先して充放電してもよいし、これまでの充放電回数が少ない方を優先して充放電してもよい。この場合、バッテリパック100それぞれについて、製造年月、使用回数が記録されているものとする。
【0055】
〔ソフトウェアによる実現例〕
作業車両1の制御ブロック(特に電子制御ユニット10、10A(情報取得部110、充放電管理部120、切替指示部130、冷却器制御部140))は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
【0056】
後者の場合、作業車両1は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータを備えている。このコンピュータは、例えば少なくとも1つのプロセッサ(制御装置)を備えていると共に、上記プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な少なくとも1つの記録媒体を備えている。そして、上記コンピュータにおいて、上記プロセッサが上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記プロセッサとしては、例えばCPU(Central Processing
Unit)を用いることができる。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、ROM(Read Only Memory)等の他、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などをさらに備えていてもよい。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明の一態様は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0057】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
【符号の説明】
【0058】
1 作業車両
2 充電器
10 電子制御ユニット
20 切替器
30 充電口
40 選択スイッチ
50 冷却器(冷却部)
100(100A、100B) バッテリパック
101(101A、101B) センサ
110 情報取得部(温度取得部)
120 充放電管理部(バッテリパック管理部)
130 切替指示部(接続制御部)
140 冷却器制御部(冷却部)
200 各種機器(対象機器)
【手続補正書】
【提出日】2023-09-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のバッテリパックを備えた農業機械であって、
前記複数のバッテリパックを使用する順序を決定するバッテリパック管理部と、
前記複数のバッテリパックを使用する前に、前記複数のバッテリパックそれぞれの温度を取得する温度取得部と、
前記バッテリパックを使用する場合、前記バッテリパック管理部が決定した順序に基づいて、対象となるバッテリパックと、当該バッテリパックを使用することにより動作させる対象機器との接続を行う接続制御部と、を備え、
前記バッテリパック管理部は、前記複数のバッテリパックを使用する順序を、前記温度取得部が取得した温度が低い順とし、前記温度が低いバッテリバックであって且つ使用されているバッテリパックの残量が閾値以下になると、次のバッテリパックを使用する順番にすることを特徴とする農業機械。
【請求項2】
前記複数のバッテリパックのうち、前記使用されているバッテリパックを冷却する冷却器を備えていることを特徴とする請求項1に記載の農業機械。
【請求項3】
前記温度取得部は、前記バッテリパックが前記対象機器に前記接続制御部によって接続されて使用されている場合において、前記使用されているバッテリパックの温度を取得し、
前記冷却器は、前記温度取得部が取得した温度が、所定の温度を超えた場合、少なくとも前記使用されているバッテリパックを冷却することを特徴とする請求項2に記載の農業機械。
【請求項4】
使用するバッテリパックをユーザが選択できる選択スイッチを備え、
前記接続制御部は、前記バッテリパック管理部が決定した順序よりも前記選択スイッチで選択したバッテリパックを優先して接続することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の農業機械。