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特開2023-155307走行支援装置、走行支援装置を備えた作業車両及び走行支援方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023155307
(43)【公開日】2023-10-20
(54)【発明の名称】走行支援装置、走行支援装置を備えた作業車両及び走行支援方法
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/02 20200101AFI20231013BHJP
   A01B 69/00 20060101ALI20231013BHJP
【FI】
G05D1/02 H
A01B69/00 303M
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023133496
(22)【出願日】2023-08-18
(62)【分割の表示】P 2022087118の分割
【原出願日】2018-12-26
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110003041
【氏名又は名称】安田岡本弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】新海 敦
(57)【要約】
【課題】走行予定ルートからズレて自動走行を行ったことによる未作業の部分の発生を抑制することができるようにする。
【解決手段】走行支援装置は、作業装置が連結される走行車両の走行予定ルートを作成する走行支援装置であって、走行車両が自動走行を行った場合の走行車両の実績位置と当該自動走行時の走行予定ルートとに基づいて、自動走行を行う前の走行予定ルートを補正するルート作成部を備え、ルート作成部は、圃場内の走行予定ルートとしてそれぞれ隣接する複数の走行経路を作成する経路作成部と、経路作成部によって作成された複数の走行経路のうち、走行車両が自動走行を行った第1走行経路と実績位置とに基づいて、第1走行経路の次に走行する予定の第2走行経路を補正する経路修正部と、を有している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業装置が連結される走行車両の走行予定ルートを作成する走行支援装置であって、
前記走行車両が自動走行を行った場合の前記走行車両の実績位置と当該自動走行時の走行予定ルートとに基づいて、前記自動走行を行う前の走行予定ルートを補正するルート作成部を備え、
前記ルート作成部は、
圃場内の前記走行予定ルートとしてそれぞれ隣接する複数の走行経路を作成する経路作成部と、
前記経路作成部によって作成された複数の走行経路のうち、前記走行車両が前記自動走行を行った第1走行経路と前記実績位置とに基づいて、前記第1走行経路の次に走行する予定の第2走行経路を補正する経路修正部と、
を有している走行支援装置。
【請求項2】
前記経路修正部は、前記第1走行経路と前記実績位置とに基づいて、前記第2走行経路が前記実績位置で得られる自動作業軌跡に沿った形状となるように補正する請求項1に記載の走行支援装置。
【請求項3】
前記経路修正部は、前記第1走行経路と前記実績位置とに基づいて、前記実績位置で得られる自動作業軌跡に近似するように前記第2走行経路を補正する請求項1に記載の走行支援装置。
【請求項4】
前記経路修正部は、前記実績位置と前記第2走行経路との間の距離が、隣接する走行経路の間の距離に近づくように、前記第2走行経路を補正する請求項1に記載の走行支援装置。
【請求項5】
前記経路修正部は、補正前の前記第2走行経路と補正後の前記第2走行経路との偏差が、前記第1走行経路と前記実績位置との偏差に近づくように、前記第2走行経路を補正する請求項1に記載の走行支援装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれかに記載の走行支援装置と、
前記走行車両と、
前記走行予定ルートに基づいて前記走行車両の自動走行を行う自動走行制御部と、
を備えている作業車両。
【請求項7】
作業装置が連結される走行車両の走行予定ルートを作成する走行支援方法であって、
圃場内の前記走行予定ルートとしてそれぞれ隣接する複数の走行経路を作成する第1ステップと、
前記走行車両が自動走行を行った場合の前記走行車両の実績位置を取得する第2ステップと、
前記第1ステップで作成した複数の走行経路のうち、前記走行車両が前記自動走行を行った第1走行経路と前記実績位置とに基づいて、前記第1走行経路の次に走行する予定の第2走行経路を補正する第3ステップと、
を備えている走行支援方法。
【請求項8】
前記第3ステップにおいて、前記第1走行経路と前記実績位置とに基づいて、前記第2走行経路が前記実績位置で得られる自動作業軌跡に沿った形状となるよう補正する請求項7に記載の走行支援方法。
【請求項9】
前記第3ステップにおいて、前記第1走行経路と前記実績位置とに基づいて、前記実績
位置で得られる自動作業軌跡に近似するように前記第2走行経路を補正する請求項7に記載の走行支援方法。
【請求項10】
前記第3ステップにおいて、前記実績位置と前記第2走行経路との間の距離が、隣接する走行経路の間の距離に近づくように、前記第2走行経路を補正する請求項7に記載の走行支援方法。
【請求項11】
前記第3ステップにおいて、補正前の前記第2走行経路と補正後の前記第2走行経路との偏差が、前記第1走行経路と前記実績位置との偏差に近づくように、第2走行経路を補正する請求項7に記載の走行支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、トラクタ等の作業車両を走行させる場合の走行支援装置、走行支援装置を備えた作業車両及び走行支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トラクタ等の作業車両を自動走行させるための走行経路(走行予定ルート)を作成する技術として特許文献1に示す技術が知られている。特許文献1では、走行経路生成部が、直進経路と各直進経路同士をつなぐUターン経路とからなる内側走行経路と、圃場の外周領域を周回走行するための周回走行経路とを生成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-116608号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、走行経路生成部によって走行経路(走行予定ルート)を作成することができるものの、一旦、走行予定ルートを作成した後は、自動走行時において、走行予定ルートを変更することができないのが実情である。特に、作業車両が走行予定ルートからズレたまま自動走行を行った場合は、圃場内において未作業の部分が発生してしまう虞がある。
【0005】
そこで、本発明は上記問題点に鑑み、走行予定ルートからズレて自動走行を行ったことによる未作業の部分の発生を抑制することができる走行支援装置、走行支援装置を備えた作業車両及び走行支援方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この技術的課題を解決するための本発明の技術的手段は、以下に示す点を特徴とする。
【0007】
走行支援装置は、作業装置が連結される走行車両の走行予定ルートを作成する走行支援装置であって、前記走行車両が自動走行を行った場合の前記走行車両の実績位置と当該自動走行時の走行予定ルートとに基づいて、前記自動走行を行う前の走行予定ルートを補正するルート作成部を備え、前記ルート作成部は、圃場内の前記走行予定ルートとしてそれぞれ隣接する複数の走行経路を作成する経路作成部と、前記経路作成部によって作成された複数の走行経路のうち、前記走行車両が前記自動走行を行った第1走行経路と前記実績位置とに基づいて、前記第1走行経路の次に走行する予定の第2走行経路を補正する経路修正部と、を有している。
【0008】
前記経路修正部は、前記第1走行経路と前記実績位置とに基づいて、前記第2走行経路が前記実績位置で得られる自動作業軌跡に沿った形状となるように補正する。
【0009】
前記経路修正部は、前記第1走行経路と前記実績位置とに基づいて、前記実績位置で得られる自動作業軌跡に近似するように前記第2走行経路を補正する。
【0010】
前記経路修正部は、前記実績位置と前記第2走行経路との間の距離が、隣接する走行経路の間の距離に近づくように、前記第2走行経路を補正する。
【0011】
前記経路修正部は、補正前の前記第2走行経路と補正後の前記第2走行経路との偏差が、前記第1走行経路と前記実績位置との偏差に近づくように、前記第2走行経路を補正する。
【0012】
作業車両は、走行支援装置と、前記走行車両と、前記走行予定ルートに基づいて前記走行車両の自動走行を行う自動走行制御部と、を備えている。
【0013】
走行支援方法は、作業装置が連結される走行車両の走行予定ルートを作成する走行支援方法であって、圃場内の前記走行予定ルートとしてそれぞれ隣接する複数の走行経路を作成する第1ステップと、前記走行車両が自動走行を行った場合の前記走行車両の実績位置を取得する第2ステップと、前記第1ステップで作成した複数の走行経路のうち、前記走行車両が前記自動走行を行った第1走行経路と前記実績位置とに基づいて、前記第1走行経路の次に走行する予定の第2走行経路を補正する第3ステップと、を備えている。
【0014】
走行支援方法は、前記第3ステップにおいて、前記第1走行経路と前記実績位置とに基づいて、前記第2走行経路が前記実績位置で得られる自動作業軌跡に沿った形状となるよう補正する。
【0015】
走行支援方法は、前記第3ステップにおいて、前記第1走行経路と前記実績位置とに基づいて、前記実績位置で得られる自動作業軌跡に近似するように前記第2走行経路を補正する。
【0016】
走行支援方法は、前記第3ステップにおいて、前記実績位置と前記第2走行経路との間の距離が、隣接する走行経路の間の距離に近づくように、前記第2走行経路を補正する。
【0017】
走行支援方法は、前記第3ステップにおいて、補正前の前記第2走行経路と補正後の前記第2走行経路との偏差が、前記第1走行経路と前記実績位置との偏差に近づくように、第2走行経路を補正する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、走行予定ルートからズレて自動走行を行ったことによる未作業の部分の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】走行支援装置を備えた作業車両のブロック図を示す図である。
図2】昇降装置を示す図である。
図3】自動走行を説明する図である。
図4】マップ登録画面M1の一例を示す図である。
図5A】走行軌跡K1から圃場の輪郭H1(圃場マップMP2)を求める図である。
図5B】走行軌跡K1の変曲点から圃場の輪郭H1(圃場マップMP2)を求める図である。
図5C】走行時のスイッチ操作から輪郭H1(圃場マップMP2)を求める図である。
図6】ルート設定画面M3の一例を示す図である。
図7A】作業エリアA2に単位作業区画A3nを作成した図である。
図7B図7Aとは異なる単位作業区画A3nを示す図である。
図8】直進部Lna及び旋回部Lnbの作成を示す図である。
図9A】走行予定ラインL1に対して自動作業軌跡K11がズレて走行した場合の図である。
図9B】走行予定ラインL1に対して自動作業軌跡K11がズレた場合の影響を説明する説明図である。
図10】走行予定ラインL1の第2走行経路の修正を説明する説明図である。
図11】走行支援方法を示す図である。
図12】作業画面M21の一例を示す図である。
図13】トラクタの側面全体図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0021】
図1は、走行支援装置100を備えた作業車両のブロック図を示している。走行支援装置100は、トラクタ等の作業車両の走行を行う場合の支援を行う装置である。この実施形態では、走行支援装置100は、トラクタ1に設けられているが、トラクタ1以外に設けた装置、例えば、タブレット、スマートフォン、PDA等の携帯型の端末(携帯端末)、パーソナルコンピュータ、サーバ等の固定型のコンピュータ等の固定型の端末(固定端末)であってもよい。
【0022】
まず、作業車両の1つであるトラクタをについて説明する。
【0023】
図13に示すように、トラクタ1は、走行装置7を有する走行車両3と、原動機4と、変速装置5とを備えている。走行装置7は、前輪7F及び後輪7Rを有する装置である。前輪7Fは、タイヤ型であってもクローラ型であってもよい。また、後輪7Rも、タイヤ型であってもクローラ型であってもよい。原動機4は、ディーゼルエンジン、電動モータ
等である。変速装置5は、変速によって走行装置7の推進力を切換可能であると共に、走行装置7の前進、後進の切換が可能である。走行車両3にはキャビン9が設けられ、当該キャビン9内には運転席10が設けられている。
【0024】
また、走行車両3の後部には、3点リンク機構等で構成された昇降装置8が設けられている。昇降装置8には、作業装置2が着脱可能である。作業装置2を昇降装置8に連結することによって、走行車両3によって作業装置2を牽引することができる。作業装置2は、耕耘する耕耘装置、畦塗りを行う畦塗装置、畝立を行う畝立て装置、肥料を散布する肥料散布装置、農薬を散布する農薬散布装置、収穫を行う収穫装置、牧草等の刈取を行う刈取装置、牧草等の拡散を行う拡散装置、牧草等の集草を行う集草装置、牧草等の成形を行う成形装置等である。
【0025】
図1に示すように、トラクタ1は、操舵装置11を備えている。操舵装置11は、ハンドル(ステアリングホイール)11aと、ハンドル11aの回転に伴って回転する回転軸(操舵軸)11bと、ハンドル11aの操舵を補助する補助機構(パワーステアリング機構)11cと、を有している。補助機構11cは、油圧ポンプ21と、油圧ポンプ21から吐出した作動油が供給される制御弁22と、制御弁22により作動するステアリングシリンダ23とを含んでいる。制御弁22は、制御信号に基づいて作動する電磁弁である。制御弁22は、例えば、スプール等の移動によって切り換え可能な3位置切換弁である。また、制御弁22は、操舵軸11bの操舵によっても切換可能である。ステアリングシリンダ23は、前輪7Fの向きを変えるアーム(ナックルアーム)24に接続されている。
【0026】
したがって、ハンドル11aを操作すれば、当該ハンドル11aに応じて制御弁22の切換位置及び開度が切り換わり、当該制御弁22の切換位置及び開度に応じてステアリングシリンダ23が左又は右に伸縮することによって、前輪7Fの操舵方向を変更することができる。なお、上述した操舵装置11は一例であり、上述した構成に限定されない。
【0027】
図2に示すように、昇降装置8は、リフトアーム8a、ロアリンク8b、トップリンク8c、リフトロッド8d、リフトシリンダ8eを有している。リフトアーム8aの前端部は、変速装置5を収容するケース(ミッションケース)の後上部に上方又は下方に揺動可能に支持されている。リフトアーム8aは、リフトシリンダ8eの駆動によって揺動(昇降)する。リフトシリンダ8eは、油圧シリンダから構成されている。リフトシリンダ8eは、制御弁を介して油圧ポンプと接続されている。制御弁は、電磁弁等であって、リフトシリンダ8eを伸縮させる。
【0028】
ロアリンク8bの前端部は、変速装置5の後下部に上方又は下方に揺動可能に支持されている。トップリンク8cの前端部は、ロアリンク8bよりも上方において、変速装置5の後部に上方又は下方に揺動可能に支持されている。リフトロッド8dは、リフトアーム8aとロアリンク8bとを連結している。ロアリンク8bの後部及びトップリンク8cの後部には、作業装置2が連結される。リフトシリンダ8eが駆動(伸縮)すると、リフトアーム8aが昇降するとともに、リフトロッド8dを介してリフトアーム8aと連結されたロアリンク8bが昇降する。これにより、作業装置2がロアリンク8bの前部を支点として、上方又は下方に揺動(昇降)する。
【0029】
トラクタ1は、測位装置40を備えている。測位装置40は、D-GPS、GPS、GLONASS、北斗、ガリレオ、みちびき等の衛星測位システム(測位衛星)により、自己の位置(緯度、経度を含む測位情報)を検出可能である。即ち、測位装置40は、測位衛星から送信された衛星信号(測位衛星の位置、送信時刻、補正情報等)を受信し、衛星信号に基づいて、トラクタ1の位置(例えば、緯度、経度)、即ち、車体位置を検出する。測位装置40は、受信装置41と、慣性計測装置(IMU:Inertial Measurement Unit)42とを有している。受信装置41は、アンテナ等を有していて測位衛星から送信された衛星信号を受信する装置であり、慣性計測装置42とは別に走行車両3に取付けられている。この実施形態では、受信装置41は、キャビン9に取付けられている。なお、受信装置41の取付箇所は、実施形態に限定されない。
【0030】
慣性計測装置42は、加速度を検出する加速度センサ、角速度を検出するジャイロセンサ等を有している。慣性計測装置42は、走行車両3に設けられ、慣性計測装置42によ
って、走行車両3のロール角、ピッチ角、ヨー角等を検出することができる。
【0031】
図1に示すように、トラクタ1は、制御装置60を備えている。制御装置60は、トラクタ1における走行系の制御、作業系の制御等を行う装置である。
【0032】
制御装置60は、トラクタ1の自動走行を制御する自動走行制御部61を有している。自動走行制御部61は、制御装置60に設けられた電気・電子回路、CPU等に格納されたプログラム等から構成されている。自動走行制御部61は、自動走行を開始すると、走行車両3が走行予定ルートL1に沿って走行するように操舵装置11の制御弁22を制御する。また、自動走行制御部61は、自動走行を開始すると、変速装置の変速段、原動機の回転数等を自動的に変更することによって、トラクタ1の車速(速度)を制御する。
【0033】
図3に示すように、トラクタ1が自動走行を行っている状況下において、車体位置と走行予定ルートL1との偏差が閾値未満である場合、自動走行制御部61は、操舵軸(回転軸)11bの回転角を維持する。車体位置と走行予定ルートL1との偏差が閾値以上であって、トラクタ1が走行予定ルートL1に対して左側に位置している場合は、自動走行制御部61は、トラクタ1の操舵方向が右方向となるように操舵軸11bを回転する。車体位置と走行予定ルートL1との偏差が閾値以上であって、トラクタ1が走行予定ルートL1に対して右側に位置している場合は、自動走行制御部61は、トラクタ1の操舵方向が左方向となるように操舵軸11bを回転する。なお、上述した実施形態では、車体位置と走行予定ルートL1との偏差に基づいて操舵装置11の操舵角を変更していたが、走行予定ルートL1の方位とトラクタ1(走行車両3)の進行方向(走行方向)の方位(車体方位)F1とが異なる場合、即ち、走行予定ルートL1に対する車体方位F1の角度θgが閾値以上である場合、自動走行制御部61は、角度θgが零(車体方位F1が走行予定ルートL1の方位に一致)するように操舵角を設定してもよい。また、自動走行制御部61は、偏差(位置偏差)に基づいて求めた操舵角と、方位(方位偏差)に基づいて求めた操舵角とに基づいて、自動操舵における最終の操舵角を設定してもよい。上述した実施形態における自動操舵における操舵角の設定は一例であり、限定されない。
【0034】
以上のように、制御装置60によって、トラクタ1(走行車両3)を自動走行させることができる。
【0035】
また、制御装置60は、手動昇降制御、自動上昇制御等を行うことができる。手動昇降制御では、制御装置60に接続された昇降スイッチ72の操作に基づいて昇降装置8による作業装置2の昇降する制御である。具体的には、昇降スイッチ72は、運転席10の周囲に設けられていて、3位置切換スイッチである。昇降スイッチ72を中立位置から一方に切り換えると、昇降装置8(リフトアーム8a)を上昇させる上昇信号が制御装置60に入力される。また、昇降スイッチ72を中立位置から他方に切り換えると、昇降装置8(リフトアーム8a)を下降させる下降信号が制御装置60に入力される。制御装置60は、上昇信号を取得すると制御弁に制御信号を出力することで昇降装置8を上昇させ、下降信号を取得すると制御弁に制御信号を出力することで昇降装置8を下降させる。つまり、制御装置60は、昇降スイッチ72の手動操作に応じて昇降装置8を昇降させる手動昇降制御をすることができる。
【0036】
また、自動上昇制御では、操舵装置11の操舵角が所定以上、例えば、旋回に対応する操舵角である場合に、自動的に昇降装置8を作動させることで作業装置2を上昇する制御である。具体的には、制御装置60には、操舵角検出装置70と、切換スイッチ71とが接続されている。操舵角検出装置70は、操舵装置11の操舵角を検出する装置である。切換スイッチ71は、自動上昇制御の有効/無効を切り換えるスイッチであって、ON/OFFに切り換え可能なスイッチである。切換スイッチ71がONである場合、自動上昇制御が有効に設定され、切換スイッチ71がOFFである場合、自動上昇制御が無効に設定される。
【0037】
制御装置60は、自動上昇制御が有効であり且つ操舵角検出装置70が検出した操舵角が旋回に相当する操舵角以上である場合、制御弁に制御信号を出力することで昇降装置8を自動的に上昇させる自動上昇制御を行う。
【0038】
以上のように、制御装置60によって、トラクタ1に関する制御、例えば、手動昇降制
御、自動上昇制御を行うことができる。
【0039】
走行支援装置100は、運転席10の近傍に設けられた表示装置である。以下、走行支援装置100が表示装置であるとして説明を進める。
【0040】
表示装置は、液晶パネル、タッチパネル、その他のパネルのいずれかで構成された表示部50を有する表示装置であり、トラクタ1の走行を、支援をするための情報の他に、トラクタ1、作業装置2に関する様々な情報を表示可能である。
【0041】
表示装置は、マップ登録部101と、マップ記憶部102とを備えている。マップ登録部101は、表示装置に設けられた電気・電子部品、表示装置に組み込まれたプログラム等から構成されている。マップ記憶部102は、不揮発性のメモリ等から構成されている。マップ登録部101は、所定の圃場の輪郭、例えば、所定の圃場の輪郭に対応した位置を登録する。
【0042】
図4に示すように、作業者(運転者)が表示装置に対して所定の操作を行うと、マップ登録部101は、表示装置の表示部50にマップ登録画面M1を表示する。マップ登録画面M1には、圃場を含むマップMP1、トラクタ1の車体位置VP1、圃場名及び圃場管理番号等の圃場識別情報が表示される。マップMP1には、圃場を示す画像データの他に緯度、経度等の位置情報が対応付けられている。トラクタ1が圃場内に入り、圃場内を周回すると、マップ登録画面M1には、トラクタ1が周回したときに測位装置40が検出した現在の車体位置VP1が表示される。トラクタ1による圃場内の周回が終了し、マップ登録画面M1に表示された登録ボタン51が選択されると、図5Aに示すように、マップ登録部101は、トラクタ1が周回したときの複数の車体位置によって得られた走行軌跡K1を圃場の輪郭(外形)H1とし、当該輪郭H1で表される圃場マップMP2を圃場識別情報と共に登録する。
【0043】
なお、図5Bに示すように、マップ登録部101は、車体位置VP1で示される走行軌跡から変曲点を演算して変曲点を結ぶ輪郭K2を圃場の輪郭H1(圃場マップMP2)として登録してもよいし、図5Cに示すように、トラクタ1が周回する際に運転者等がトラクタ1に設けられたスイッチ等によって圃場の端部を指定し指定された端部を結んだ輪郭K3を輪郭H1(圃場マップMP2)として登録してもよい。上述した圃場の登録方法は、一例であり、限定されない。圃場の輪郭、即ち、圃場マップMP2は、位置(緯度、経度)で示されたデータであっても、座標(X軸、Y軸)系で示されたデータであっても、その他の表現で示されたデータであってもよい。
【0044】
マップ記憶部102は、マップ登録部101によって登録した輪郭(外形)を示す圃場マップMP2を記憶する。即ち、マップ記憶部102は、圃場マップMP2、圃場の輪郭を示すデータ(所定の圃場を表すためのデータ)を記憶する。
【0045】
表示装置(走行支援装置100)は、所定の圃場に対してトラクタ1を自動走行する際に用いる走行予定ルートL1の作成を行うことができる。走行支援装置100は、走行予定ルートL1の作成を行うルート作成部105を備えている。ルート作成部105は、表示装置に設けられた電気・電子回路、表示装置に格納されたプログラム等から構成されている。
【0046】
図6に示すように、作業者(運転者)が表示装置に対して所定の操作を行うと、ルート作成部105は、ルート設定画面M3を表示する。ルート設定画面M3は、圃場入力部80と、ルート表示部85とを備えている。圃場入力部80は、圃場名、圃場の管理番号等の圃場識別情報を入力可能である。ルート表示部85は、圃場入力部80に入力された圃場識別情報に対応する所定の圃場を示す圃場マップMP2を表示する。即ち、ルート作成部105は、圃場入力部80に入力された圃場識別情報に対応する圃場マップMP2を、マップ記憶部102に要求し、当該マップ記憶部102から送信された圃場マップMP2を圃場表示部81に表示させる。また、ルート表示部85は、圃場マップMP2に設定された走行予定ルートL1を表示する。
【0047】
ルート設定画面M3は、枕地幅W1を入力する枕地幅入力部82と、作業幅W2を入力する作業幅入力部88とを備えている。枕地幅入力部82に枕地幅W1を入力した後、決定ボタン99が選択されると、ルート作成部105は、ルート表示部85に表示された圃
場マップMP2に、枕地エリアA1を除く作業エリアA2を表示する。例えば、ルート作成部105は、圃場マップMP2の輪郭H1を内側に枕地幅W1の距離だけオフセットして形成される輪郭H2で囲まれるエリアを、作業エリアA2に設定する。なお、ルート設定画面M3において、ルート表示部85に表示された圃場マップMP2上に、ポインタ等を用いて作業エリアA2の輪郭の位置を指定することによって、圃場マップMP2に作業エリアA2を設定してもよい。
【0048】
また、作業幅入力部88に作業幅W2が入力した後、決定ボタン99が選択されると、ルート作成部105は、作業幅W2に基づいて、所定の圃場、即ち、圃場マップMP2に複数の単位作業区画A3n(n:単位作業区画の個数)を作成する。具体的には、ルート作成部105は、図7Aに示すように、作業エリアA2を作業幅W2で縦方向又は横方向に区切ることによって、作業装置2で作業を行う複数の単位作業区画A3nを作業エリアA2内に作成する。即ち、ルート作成部105は、作業幅W2と同一の幅の単位作業区画A3nを作業エリアA2内に複数作成する。なお、図7Bに示すように、ルート作成部105は、作業幅W2からオーバラップ幅W3を除した幅W4の単位作業区画A3nを作業エリアA2内に複数作成してもよい。オーバラップ幅W3は、ルート設定画面M3で入力することが可能である。
【0049】
以上のように、ルート作成部105は、作業装置2を連結した走行車両3を走行させた場合に、当該作業装置2によって圃場に対して作業が行われる最小単位の領域を、単位作業区画A3nとして設定する。なお、作業エリアA2の長さL40に対して、単位作業区画A3nの幅(W2,W4)が整数で割り切れず、余りの部分が生じる場合は、ルート作成部105は、単位作業区画A3nにおいて、最初又は最後の単位作業区画A3nは、余りの部分が含むエリアに設定する。
【0050】
単位作業区画A3の設定が完了すると、ルート作成部105は、走行予定ルートL1の作成を行う。ルート作成部105は、圃場マップMP2に走行予定ルートL1として複数の走行経路を作成する経路作成部を含んでいる。図8に示すように、経路作成部は、例えば、走行車両3が直進する直進部(直進ルート)Lna(n=1,2,3・・・)を作成する直進作成部105Aを含んでいる。直進作成部105Aは、複数の単位作業区画A3n(n=1,2,3・・・)のそれぞれにおいて、長手方向の両端部を結ぶ直進部Lnaを作成する。直進部Lnaの所定位置における位置XFn、YFm(n=1,2,3・・・、m=1,2,3・・・)、即ち、緯度、経度を示す位置データXFn、YFmは、圃場マップMP2の位置(緯度、経度)に対応付けられる。また、ルート作成部105は、ルート設定画面M3に表示された車速入力部97に入力された車速が、直進部Lnaに割り当てられる。
【0051】
したがって、走行車両3が直進部Lnaを走行する際は、走行車両3の車体位置(測位装置40によって検出された車体位置)が、直進部Lnaに一致するように操舵が行われると共に、直進部Lnaに対応する車速で自動走行することになる。
【0052】
なお、経路作成部は、例えば、走行車両3が旋回する旋回部(旋回ルート)Lnb(n=1,2,3・・・)を作成する旋回作成部105Bを含んでいてもよい。旋回作成部105Bは、複数の直進部Lnaのうち互いに隣接する直進部Lnaを結ぶ円弧上の旋回部Lnbを枕地エリアA1に作成する。旋回部Lnbの所定位置における位置、即ち、位置を示す位置データは、圃場マップMP2の位置(緯度、経度)に対応付けられる。
【0053】
以上のように、経路作成部(直進作成部105A、旋回作成部105B)によって作成された走行予定ルート(直進部Lna、旋回部Lnb)L1の位置データは、表示装置のルート記憶部109に記憶される。また、経路作成部によって作成された走行予定ルートL1は、圃場マップMP2と共にルート表示部85に表示される。
【0054】
図9Aは、経路作成部の1つである直進作成部105Aによって作成された直進部Lnaと、実際に自動走行を行った場合の走行車両3の自動作業軌跡K11との一例を示している。自動走行を行った場合は、自動走行制御部61が走行車両3の操舵を行うため、自動作業軌跡K11と直進部Lnaとが一致することになる。しかしながら、自動走行を行った場合、何らかの事情によって、走行車両3が直進部Lnaに対して全体的にズレながら走行することがあり、場合によっては、図9Aに示すように、自動作業軌跡K11が円弧状になることがある。その結果、作業装置2の作業状態(作業跡)K12も円弧状になる。
【0055】
図9Bに示すように、例えば、1番目の直進部L1aを自動走行した場合の自動作業軌跡K11(作業跡K12)が円弧状であり、1番目の直進部L1aに続く2番目の直進部L2aを自動走行した場合の自動作業軌跡K11(作業跡K12)が2番目の直進部L2aに沿った直線状であるとき、未作業の部分K13が発生する可能性がある。そこで、自動走行を行った場合において、自動走行時の直進部Lnaと自動作業軌跡K11とが異なる場合には、ルート作成部105は、自動走行前の直進部Lna、即ち、自動走行前の走行予定ルートL1を補正する。
【0056】
ルート作成部105は、経路修正部105Gを備えている。経路修正部105Gは、経路作成部によって作成された複数の走行経路(直進部Lna)のうち、自動走行を行った第1走行経路(直進部Lna)と、第1走行経路(直進部Lna)の自動走行時の実績位置XGn、YGmとに基づいて、自動走行を行う前の第2走行経路(直進部Lna)を補正する。また、経路修正部105Gは、第1走行経路(直進部Lna)と実績位置XGn、YGmとの偏差ΔDnmに基づいて、第2走行経路(直進部Lna)を補正する。例えば、経路修正部105Gは、経路作成部によって作成された第2走行経路(直進部Lna)に対して、偏差ΔDnmを算入することで、当該第2走行経路(直進部Lna)を補正する。なお、経路修正部105Gは、第1走行経路(直進部Lna)の位置XFn、YFmと、実績位置XG1、YGmとの偏差ΔDnmとが予め定められた補正判定値以上である場合に、第2走行経路(直進部Lna)を補正するとしてもよい。例えば、偏差ΔDnmの累積値が大きく、実績位置XG1、YGmで得られる自動作業軌跡K11と直進部Lnaとが大きく乖離している場合、又は、偏差ΔDnmの平均値が大きく、自動作業軌跡K11と直進部Lnaとが大きく乖離している場合に、経路修正部105Gは、第2走行経路(直進部Lna)の補正を行う。即ち、補正判定値は、自動作業軌跡K11と直進部Lnaとが大きく乖離しているか否かを判断するために設定される。
【0057】
図10に示すように、5本の直進部Lna(n=1,2,3・・・5)が作成され、1本目の直進部L1aの自動走行が完了後に、1本目の直進部L1a以降の2本目~5本目の直進部L2a~L5aを補正することを例にあげ説明する。この場合、第1走行経路は1本目の直進部L1aであり、第2走行経路は2本目~5本目の直進部L2a~L5aである。
【0058】
経路修正部105Gは、1本目の直進部L1aの自動走行が完了した場合は、1本目の直進部L1aの位置XFn、YFm(n=1、m=1,2,3・・・)と、1本目の直進部L1aにおける実績位置XGn、YGm(n=1、m=1,2,3・・・)とに基づいて、2本目~5本目の直進部L2a~L5aを補正する。なお、実績位置XGn、YGmは、自動走行時において測位装置40が検出した車体位置である。
【0059】
詳しくは、経路修正部105Gは、直進部L1aの位置[(XF1、YF1)、(XF1、YF2)・・・(XF1、YF5)]と、実績位置[(XG1、YG1)、(XG1、YG2)・・・(XG1、YG5)]との偏差ΔD11、D12・・・D15)を求める。また、経路修正部105Gは、2本目~5本目の直進部L2a~L5aの位置XFn、YFm(n=2~5、m=1,2,3・・・)に、偏差ΔDnm(n=1)をズレの方向に対応して算入することによって、2本目~5本目の直進部L2a~L5aを補正する。例えば、直進部L1aを基準として、左側をプラス、右側をマイナスにした場合、直進部L1aに対して実績位置XG1、YGmが左側にズレている場合は、2本目~5本目の直進部L2a~L5aの位置XFn、YFm(n=2~5、m=1,2,3・・・)から偏差ΔDnm(n=1)を減算する。また、直進部L1aに対して実績位置XG1、YGmが右側にズレている場合は、2本目~5本目の直進部L2a~L5aの位置XFn、YFm(n=2~5、m=1~5)から偏差ΔDnm(n=1)を加算する。
【0060】
なお、上述した実施形態では、経路修正部105Gは、2本目~5本目の直進部L2a~L5aの位置XFn、YFm(n=2~5、m=1~5)に偏差ΔDnm(n=1)を
一律に算入することによって、2本目~5本目の直進部L2a~L5aの位置XFn、YFm(n=2~5、m=1~5)を補正していたが、2本目の直進部L2aに算入する偏差ΔDnm(n=1)の値を、5本目の直進部L5aに算入する偏差ΔDnm(n=1)の値よりも小さくする。つまり、経路修正部105Gは、第2走行経路が複数存在する場合に、第1走行経路に最も遠い第2走行経路に算入する値(算入値)を、第1走行経路に最も近い第2走行経路に算入する値(算入値)よりも小さくする。例えば、2本目~5本目の直進部L2a~L5aにおいて、算入値Fn(n=2~5)=偏差ΔD1m×[1.0-(2-n)×0.1]に設定する。言い換えれば、第2走行経路において、第1走行経路から離れるにしたがって徐々に算入値Fnを小さくする。
【0061】
以上のように、経路修正部105Gによって、第2走行経路において、第1走行経路から離れるにしたがって徐々に算入値Fnを小さくした場合、2本目~5本目の直進部L2a~L5aが徐々に直線状にすることができる。
【0062】
また、上述した実施形態では、複数の走行経路(直進部Lna)がある場合に、1本目の走行経路(直進部Lna)と実績位置とに基づいて、1本目以降の全ての第2走行経路、例えば、2本目~5本目の第2走行経路の補正を行っているが、所定の第2走行経路を基準にした場合、当該第2走行経路の少なくとも1つ前の第1走行経路に基づいて、所定の第2走行経路を補正してもよい。
【0063】
経路修正部105Gによって補正された第2走行経路、例えば、2本目~5本目の直進部L2a~L5aの位置XFn、YFm(n=2~5、m=1~5)は、ルート記憶部109に記憶される。
【0064】
図11は、走行予定ルートL1を作成する走行支援方法を示す図である。
【0065】
図11に示すように、自動走行の開始後(S90)、トラクタ1(走行車両3)が直進部Lnaに沿って自動走行を行う毎、即ち、n番目の直進部Lnaの自動走行が完了する毎に、経路修正部105Gは、実績位置XGn、YGmを取得する(S91)。経路修正部105Gは、直進部Lnaの位置XFn、YFmと実績位置XGn、YGmとの偏差ΔDnmを演算する(S92)。経路修正部105Gは、偏差ΔDnmの平均値、積算値が補正判定値以上であるか否かを判断する(S93)。即ち、経路修正部105Gは、自動作業軌跡K11と直進部Lnaとが大きく乖離しているか否かを判断する。
【0066】
偏差ΔDnmの平均値、積算値が補正判定値以上である場合、経路修正部105Gは、走行予定ルートL1の直進部Lnaの位置XFn、YFと、実績位置XGn、YGmに基づいて、走行予定ルートL1の直進部Lnaを補正する(S94:補正処理)。補正処理S94では、偏差ΔDnmの平均値、積算値が補正判定値以上となったときのn番目の直進部Lnaを第1走行経路とし、n番目の直進部Lna以外の直進部Lnaにおいて、自動走行前の直進部Lnaを第2走行経路とする。補正処理S94では、第1走行経路における偏差ΔDnmを、第2走行経路の位置XFn、YFに算入することで、第2走行経路の位置XFn、YFを補正する。即ち、自動作業軌跡K11が直進部Lnaに対して大きく乖離した場合は、乖離した直進部Lnaに対応する第1走行経路以降の全ての第2走行経路(直進部Lna)に対して、第1走行経路の位置XFn、YFと実績位置XGn、YGとの偏差ΔDnmを算入することで、全ての第2走行経路(直進部Lna)を補正する。
【0067】
なお、補正処理S94において、第1走行経路に隣接する第2走行経路のみを補正してもよい。補正処理S94では、偏差ΔDnmの平均値、積算値が補正判定値以上となったときのn番目の直進部Lnaを第1走行経路とし、n番目の直進部Lnaに隣接する直進部Lnaを第2走行経路とする。補正処理S94では、第1走行経路における偏差ΔDnmを、第2走行経路の位置XFn、YFに算入することで、第2走行経路の位置XFn、YFを補正する。第2走行経路の補正を行うと、S91に戻る。
【0068】
以上のように、走行支援装置、走行支援装置を備えた作業車両及び走行支援方法によれば、自動走行を行った場合において、自動走行を行った際の実績位置が直進部Lnaとズレている場合に、次回の直進部Lnaをズレに対応して補正することができる。したがって、次の直進部Lnaは、前回の直進部Lnaに沿った形状にすることができるため、前
回の直進部Lnaに対して走行車両3がズレて自動走行した場合であっても、未作業の部分K13をなくすことができる。
【0069】
自動走行を行う場合、図12に示すように、表示装置には、作業画面M21が表示される。作業画面M21は、作業表示部197を備えている。作業表示部197は、上述したように、ルート作成部105によって作成された走行予定ルートL1、即ち、ルート記憶部109に記憶された走行予定ルートL1を表示する。作業表示部197は、複数の単位作業区画A3n毎に直進部Lnaの位置データXFn、YFmから得られる走行予定ルートL1、及び、旋回部Lnbの位置データから得られる走行予定ルートL1を表示する。また、作業表示部197は、自動走行を行ったときの測位装置40が検出した車体位置の実績位置XGn、YGmから得られる自動作業軌跡K11を表示する。なお、作業表示部197は、走行予定ルートL1に対するトラクタ1の現在の位置を表示してもよい。作業表示部197は、上述したように、経路修正部105Gによって走行予定ルートL1が補正された場合、補正後の走行予定ルートL1を表示する。
【0070】
自動走行制御部61は、自動走行において、複数の走行経路のうち、第2走行経路が補正された場合は、補正された第2走行経路に走行車両3が沿うように自動走行を行う。例えば、1本目の直進部L1aの自動走行後に、2本目の直進部L2aが補正された場合、補正後の直進部L2aに走行車両3が沿うように自動走行を行う。
【0071】
以上によれば、走行予定ルートL1を補正した補正後の経路(第2走行経路)が表示装置に表示されるため、自動走行時に表示装置を見ることによって、補正後の経路を確認することができる。
【0072】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0073】
1 :作業車両(トラクタ)
61 :自動走行制御部
100 :走行支援装置
105 :ルート作成部
105A :直進作成部(経路生成部)
105B :旋回作成部(経路生成部)
105G :経路修正部
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7A
図7B
図8
図9A
図9B
図10
図11
図12
図13