(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023155309
(43)【公開日】2023-10-20
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
G09F 9/30 20060101AFI20231013BHJP
H05B 33/14 20060101ALI20231013BHJP
H10K 59/10 20230101ALI20231013BHJP
H10K 50/85 20230101ALI20231013BHJP
H10K 59/30 20230101ALI20231013BHJP
H10K 59/60 20230101ALI20231013BHJP
H10K 59/90 20230101ALI20231013BHJP
H10K 59/80 20230101ALI20231013BHJP
H10K 59/40 20230101ALI20231013BHJP
【FI】
G09F9/30 349Z
G09F9/30 365
H05B33/14 Z
H10K59/10
H10K50/85
H10K59/30
H10K59/60
H10K59/90
H10K59/80
H10K59/40
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023133797
(22)【出願日】2023-08-21
(62)【分割の表示】P 2021513025の分割
【原出願日】2020-03-31
(31)【優先権主張番号】P 2019076318
(32)【優先日】2019-04-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】久保田 大介
(72)【発明者】
【氏名】初見 亮
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 太介
(72)【発明者】
【氏名】岩城 裕司
(72)【発明者】
【氏名】桃 純平
(72)【発明者】
【氏名】山崎 舜平
(57)【要約】
【課題】光検出機能を有する表示装置を提供する。指紋認証に代表される生体認証の機能を有する表示装置を提供する。タッチパネルとしての機能と、生体認証の機能を兼ね備える表示装置を提供する。
【解決手段】表示装置は、第1の基板と、導光板と、第1の発光素子と、第2の発光素子と、受光素子と、を有する。第1の基板と導光板とは対向して設けられる。第1の発光素子と受光素子とは第1の基板と導光板との間に設けられる。第1の発光素子は導光板を介して第1の光を射出する機能を有する。第2の発光素子は導光板の側面に対して第2の光を射出する機能を有する。受光素子は第1の光を受光し電気信号に変換する機能と、第2の光を受光し電気信号に変換する機能とを有する。また、第1の光は可視光を含み、第2の光は赤外光を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の基板と、導光板と、第1の発光素子と、第2の発光素子と、受光素子と、を有し、
前記第1の基板と、前記導光板とは、対向して設けられ、
前記第1の発光素子と、前記受光素子とは、前記第1の基板と前記導光板との間に設けられ、
前記第1の発光素子は、前記導光板を介して、第1の光を射出する機能を有し、
前記第2の発光素子は、前記導光板の側面に対して、第2の光を射出する機能を有し、
前記受光素子は、前記第1の光を受光し、電気信号に変換する機能と、前記第2の光を受光し、電気信号に変換する機能と、を有し、
前記第1の光は、可視光を含み、
前記第2の光は、赤外光を含む、表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様は、表示装置に関する。本発明の一態様は、発光素子と受光素子とを備える表示装置に関する。本発明の一態様は、認証機能を備える表示装置に関する。本発明の一態様は、タッチパネルに関する。本発明の一態様は、表示装置を備えるシステムに関する。
【0002】
なお、本発明の一態様は、上記の技術分野に限定されない。本明細書等で開示する本発明の一態様の技術分野としては、半導体装置、表示装置、発光装置、蓄電装置、記憶装置、電子機器、照明装置、入力装置(例えば、タッチセンサなど)、入出力装置(例えば、タッチパネルなど)、それらの駆動方法、又はそれらの製造方法、を一例として挙げることができる。半導体装置は、半導体特性を利用することで機能しうる装置全般を指す。
【背景技術】
【0003】
近年、表示装置は様々な用途への応用が期待されている。例えば、大型の表示装置の用途としては、家庭用のテレビジョン装置(テレビまたはテレビジョン受信機ともいう)、デジタルサイネージ(Digital Signage:電子看板)、PID(Public Information Display)等が挙げられる。また、携帯情報端末として、タッチパネルを備えるスマートフォンやタブレット端末の開発が進められている。
【0004】
表示装置としては、例えば、発光素子を有する発光装置が開発されている。エレクトロルミネッセンス(Electroluminescence、以下ELと記す)現象を利用した発光素子(EL素子とも記す)は、薄型軽量化が容易である、入力信号に対し高速に応答可能である、直流低電圧電源を用いて駆動可能である等の特徴を有し、表示装置に応用されている。例えば、特許文献1に、有機EL素子が適用された、可撓性を有する発光装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の一態様は、光検出機能を有する表示装置を提供することを課題の一とする。または、指紋認証に代表される生体認証の機能を有する表示装置を提供することを課題の一とする。または、タッチパネルとしての機能と、生体認証の機能を兼ね備える表示装置を提供することを課題の一とする。または、利便性の高い表示装置を提供することを課題の一とする。または、多機能の表示装置を提供することを課題の一とする。または、新規な構成を有する表示装置を提供することを課題の一とする。
【0007】
また、本発明の一態様は、ユーザーの健康状態を取得する機能を有する表示装置を提供することを課題の一とする。または、ユーザーの健康管理を行うことのできる表示装置を提供することを課題の一とする。
【0008】
なお、これらの課題の記載は、他の課題の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一態様は、これらの課題の全てを解決する必要はないものとする。なお、これら以外の課題は、明細書、図面、請求項などの記載から抽出することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様は、第1の基板と、導光板と、第1の発光素子と、第2の発光素子と、受光素子と、を有する表示装置である。第1の基板と、導光板とは、対向して設けられる。第1の発光素子と、受光素子とは、第1の基板と導光板との間に設けられる。第1の発光素子は、導光板を介して第1の光を射出する機能を有する。第2の発光素子は、導光板の側面に対して、第2の光を射出する機能を有する。受光素子は、第1の光を受光し、電気信号に変換する機能と、第2の光を受光し、電気信号に変換する機能と、を有する。また、第1の光は可視光を含み、第2の光は赤外光を含む。
【0010】
また、本発明の他の一態様は、第1の基板と、第2の基板と、導光板と、第1の発光素子と、第2の発光素子と、受光素子と、を有する表示装置である。第1の基板と、導光板とは、第2の基板を挟んで対向して設けられる。第1の発光素子と、受光素子とは、第1の基板と第2の基板との間に設けられる。第1の発光素子は、導光板を介して第1の光を射出する機能を有する。第2の発光素子は、導光板の側面に対して、第2の光を射出する機能を有する。受光素子は、第1の光を受光し、電気信号に変換する機能と、第2の光を受光し、電気信号に変換する機能と、を有する。第1の光は可視光を含み、第2の光は赤外光を含む。また、第2の基板は、800nm乃至1000nmの波長範囲の光に対する屈折率が、導光板よりも低い。
【0011】
また、本発明の他の一態様は、第1の基板と、樹脂層と、導光板と、第1の発光素子と、第2の発光素子と、受光素子と、を有する表示装置である。第1の基板と、導光板とは、樹脂層を挟んで対向して設けられる。第1の発光素子と、受光素子とは、第1の基板と樹脂層との間に設けられる。第1の発光素子は、導光板を介して第1の光を射出する機能を有する。第2の発光素子は、導光板の側面に対して、第2の光を射出する機能を有する。受光素子は、第1の光を受光し、電気信号に変換する機能と、第2の光を受光し、電気信号に変換する機能と、を有する。第1の光は、可視光を含み、第2の光は、赤外光を含む。樹脂層は、導光板に接して設けられ、第1の基板と導光板とを接着する機能を有し、且つ、800nm乃至1000nmの波長範囲の光に対する屈折率が、導光板よりも低い。
【0012】
また、上記において、可視光を透過する導電層を有することが好ましい。このとき、導電層は、導光板に接して設けられ、且つ、800nm乃至1000nmの波長範囲の光に対する屈折率が、導光板よりも高いことが好ましい。さらに、導電層は、静電容量式のタッチセンサの電極として機能することが好ましい。
【0013】
また、上記において、第1の発光素子は、第1の画素電極、発光層、及び第1の電極を有することが好ましい。また、受光素子は、第2の画素電極、活性層、及び第2の電極を有することが好ましい。このとき、発光層と、活性層とは、互いに異なる有機化合物を含むことが好ましい。また、第1の画素電極と、第2の画素電極とは、同一面上に設けられていることが好ましい。
【0014】
または、上記において、第1の発光素子は、第1の画素電極、発光層、及び共通電極を有することが好ましい。また、受光素子は、第2の画素電極、活性層、及び共通電極を有することが好ましい。このとき、発光層と、活性層とは、互いに異なる有機化合物を含むことが好ましい。また、第1の画素電極と、第2の画素電極とは、同一面上に設けられ、共通電極は、発光層を介して第1の画素電極と重なる部分と、活性層を介して第2の画素電極と重なる部分と、を有することが好ましい。
【0015】
または、上記において、第1の発光素子は、第1の画素電極、共通層、発光層、及び共通電極を有することが好ましい。また、受光素子は、第2の画素電極、共通層、活性層、及び共通電極を有することが好ましい。このとき、発光層と、活性層とは、互いに異なる有機化合物を含むことが好ましい。また、第1の画素電極と、第2の画素電極とは、同一面上に設けられることが好ましい。また、共通層は、第1の画素電極及び発光層と重なる部分と、第2の画素電極及び活性層と重なる部分と、を有することが好ましい。また、共通電極は、共通層及び発光層を介して第1の画素電極と重なる部分と、共通層及び活性層を介して第2の画素電極と重なる部分と、を有することが好ましい。
【0016】
または、上記において、第1の発光素子は、第1の画素電極、発光層、及び第1の電極を有することが好ましい。また、受光素子は、第2の画素電極、活性層、及び第2の電極を有することが好ましい。このとき、第1の画素電極と、第2の画素電極とは、異なる面上に設けられることが好ましい。また、発光層は、有機化合物を含み、活性層は、シリコンを含むことが好ましい。
【0017】
また、本発明の一態様は、上記いずれかの表示装置と、演算部と、記憶部と、を有するシステムである。表示装置は、ユーザーの指紋の情報または静脈の情報を含む第1の生体情報を取得する機能と、ユーザーの酸素飽和度の情報、血糖値の情報または中性脂肪濃度の情報を含む第2の生体情報を取得する機能と、を有する。記憶部は、第1の学習モデル及び第2の学習モデルを格納する機能を有する。演算部は、第1の学習モデルと、第1の生体情報に基づいて、認証を実行する機能と、第2の学習モデルと、第2の生体情報に基づいて、異常検知を実行する機能と、を有する。
【発明の効果】
【0018】
本発明の一態様によれば、光検出機能を有する表示装置を提供できる。または、指紋認証に代表される生体認証の機能を有する表示装置を提供できる。または、タッチパネルとしての機能と、生体認証の機能を兼ね備える表示装置を提供できる。または、利便性の高い表示装置を提供できる。または、多機能の表示装置を提供できる。または、新規な構成を有する表示装置を提供できる。
【0019】
また、本発明の一態様によれば、ユーザーの健康状態を取得する機能を有する表示装置を提供できる。または、ユーザーの健康管理を行うことのできる表示装置を提供できる。
【0020】
なお、これらの効果の記載は、他の効果の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一態様は、必ずしも、これらの効果の全てを有する必要はない。なお、これら以外の効果は、明細書、図面、請求項などの記載から抽出することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図18】
図18は、システムの動作方法を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、実施の形態について図面を参照しながら説明する。ただし、実施の形態は多くの異なる態様で実施することが可能であり、趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は、以下の実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0023】
なお、以下に説明する発明の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。また、同様の機能を指す場合には、ハッチパターンを同じくし、特に符号を付さない場合がある。
【0024】
なお、本明細書で説明する各図において、各構成要素の大きさ、層の厚さ、または領域は、明瞭化のために誇張されている場合がある。よって、必ずしもそのスケールに限定されない。
【0025】
なお、本明細書等における「第1」、「第2」等の序数詞は、構成要素の混同を避けるために付すものであり、数的に限定するものではない。
【0026】
本明細書等において、表示装置の一態様である表示パネルは表示面に画像等を表示(出力)する機能を有するものである。したがって表示パネルは出力装置の一態様である。
【0027】
また、本明細書等では、表示パネルの基板に、例えばFPC(Flexible Printed Circuit)もしくはTCP(Tape Carrier Package)などのコネクターが取り付けられたもの、または基板にCOG(Chip On Glass)方式等によりICが実装されたものを、表示パネルモジュール、表示モジュール、または単に表示パネルなどと呼ぶ場合がある。
【0028】
なお、本明細書等において、表示装置の一態様であるタッチパネルは表示面に画像等を表示する機能と、表示面に指やスタイラスなどの被検出体が触れる、押圧する、または近づくことなどを検出するタッチセンサとしての機能と、を有する。したがってタッチパネルは入出力装置の一態様である。
【0029】
タッチパネルは、例えばタッチセンサ付き表示パネル(または表示装置)、タッチセンサ機能つき表示パネル(または表示装置)とも呼ぶことができる。タッチパネルは、表示パネルとタッチセンサパネルとを有する構成とすることもできる。または、表示パネルの内部または表面にタッチセンサとしての機能を有する構成とすることもできる。
【0030】
また、本明細書等では、タッチパネルの基板に、コネクターやICが実装されたものを、タッチパネルモジュール、表示モジュール、または単にタッチパネルなどと呼ぶ場合がある。
【0031】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様の表示装置の構成例について説明する。
【0032】
本発明の一態様の表示装置は、可視光を呈する表示素子と、赤外光を受光する受光素子(受光デバイス)とを有する。当該表示素子は、発光素子(第1の発光素子(発光デバイス)ともいう)であることが好ましい。また、受光素子は、光電変換素子であることが好ましい。
【0033】
また、表示装置は、基板(第1の基板ともいう)と、導光板とを有する。表示素子及び受光素子は、第1の基板と導光板との間に配置される。さらに表示装置は、導光板の側面に対して赤外光を発する発光素子(第2の発光素子ともいう)を有する。
【0034】
表示素子から発せられた可視光は、導光板を介して外部に射出される。表示装置が、マトリクス状に配列した複数の当該表示素子を有することで、画像を表示することができる。
【0035】
導光板の側面から入射された赤外光は、導光板の内部で全反射を繰り返しながら拡散する。ここで、導光板の表面(第1の基板とは反対側の面)に物体が触れると、導光板と物体の界面で赤外光が散乱され、その散乱光の一部が、受光素子に入射される。受光素子は赤外光を受光すると、その強度に応じた電気信号に変換して出力することができる。表示装置が、マトリクス状に配列した複数の受光素子を有することで、導光板に触れる物体の位置情報や物体の形状などを検出することができる。すなわち、表示装置は、イメージセンサパネル、タッチセンサパネルなどとして機能させることができる。
【0036】
また、導光板の内部を拡散する光として、使用者には見ることができない赤外光を用いることで、表示画像に対する視認性を低下させることなく、受光素子による撮像またはセンシングを行うことができる。
【0037】
第2の発光素子が発する光は、赤外光、好ましくは近赤外光を含むことが好ましい。特に、波長700nm以上2500nm以下の範囲に一以上のピークを有する近赤外光を好適に用いることができる。特に、波長750nm以上1000nm以下の範囲に一以上のピークを有する光を用いることで、受光素子の活性層に用いる材料の選択の幅が広がるため好ましい。
【0038】
表示装置の導光板に、指先が触れることで、指紋の形状を撮像することができる。指紋は凹部と凸部があり、指が導光板に触れると、導光板に触れる指紋の凸部では赤外光が散乱されやすい。そのため、指紋の凸部と重畳する受光素子に入射される赤外光の強度は大きく、凹部と重畳する受光素子に入射される赤外光の強度は小さくなる。これにより、指紋を撮像することができる。本発明の一態様の表示装置を有するデバイスは、撮像された指紋の画像を利用して、生体認証のひとつである指紋認証を行うことができる。
【0039】
また、表示装置は、指や手などの血管、特に静脈を撮像することもできる。例えば、波長760nm及びその近傍の光は、静脈中の還元ヘモグロビンに吸収されないため、掌や指などからの反射光を受光素子で受光して画像化することで、静脈の位置を検出することができる。本発明の一態様の表示装置を有するデバイスは、撮像された静脈の画像を利用して、生体認証のひとつである静脈認証を行うことができる。
【0040】
また、本発明の一態様の表示装置を有するデバイスは、指紋認証と静脈認証とを同時に行うこともできる。これにより、部品点数を増やすことなく、よりセキュリティレベルの高い生体認証を実行できる。
【0041】
特に、受光素子は、赤外光だけでなく、可視光も受光可能な素子であることが好ましい。これにより、第1の発光素子を発光させたときに、ユーザーの指で反射した反射光を受光素子で受光することにより、指紋の形状を撮像することができる。さらに、赤外光を用いて静脈の形状を撮像することができる。これにより、指紋認証と静脈認証の両方を、一つの表示装置で実行することが可能となる。また、指紋の撮像と、静脈の撮像は、それぞれ異なるタイミングで実行してもよいし、同時に実行してもよい。指紋の撮像と、静脈の撮像とを同時に行うことで、指紋の形状の情報と、静脈の形状の情報の両方が含まれる画像データを取得することが可能となり、より精度の高い生体認証を実現できる。
【0042】
また、本発明の一態様の表示装置は、ユーザーの健康状態を検出する機能を有していてもよい。例えば、血中の酸素飽和度の変化に応じて、可視光及び赤外光に対する反射率及び透過率が変化することを利用し、当該酸素飽和度の時間変調を取得することにより、心拍数を測定することが可能となる。また、真皮中のグルコース濃度や、血液中の中性脂肪濃度なども、赤外光または可視光により測定することもできる。本発明の一態様の表示装置を有するデバイスは、ユーザーの健康状態の指標となる情報を取得することのできる、ヘルスケア機器として用いることができる。
【0043】
また、第1の基板と導光板の間に、第2の基板が設けられていてもよい。例えば、第2の基板は、発光素子を封止するための封止基板、または保護フィルムなどを用いることができる。また、第1の基板と導光板との間に、これらを接着する樹脂層を有していてもよい。このとき、樹脂層として、第2の発光素子が発する赤外光に対する屈折率が、導光板よりも低い材料を用いることで、導光板を拡散する赤外光が樹脂層側に透過し、受光素子に入射されることを抑制することができる。
【0044】
また、導光板に接して、可視光を透過する導電層が設けられていてもよい。このとき、導電層として、第2の発光素子が発する赤外光に対する屈折率が、導光板よりも高い材料を用いることで、当該赤外光が導電層内にも拡散することができるため好ましい。導光板に接して設けられる当該導電層は、例えば静電遮蔽膜として用いることができる。また、当該導電層を、例えば静電容量式のタッチセンサの電極として機能させることもできる。その他、当該導電層は、各種センサや機能素子の電極または配線として用いることもできる。
【0045】
ここで、表示素子として発光素子を用いる場合には、OLED(Organic Light Emitting Diode)やQLED(Quantum-dot Light Emitting Diode)などのEL素子を用いることが好ましい。EL素子が有する発光物質としては、蛍光を発する物質(蛍光材料)、燐光を発する物質(燐光材料)、熱活性化遅延蛍光を示す物質(熱活性化遅延蛍光(Thermally activated delayed fluorescence:TADF)材料)、無機化合物(量子ドット材料など)などが挙げられる。また、発光素子として、マイクロLED(Light Emitting Diode)などのLEDを用いることもできる。
【0046】
受光素子としては、例えば、pn型またはpin型のフォトダイオードを用いることができる。受光素子は、受光素子に入射する光を検出し電荷を発生させる光電変換素子として機能する。光電変換素子は、入射する光量に応じて、発生する電荷量が決まる。特に、受光素子として、有機化合物を含む層を有する有機フォトダイオードを用いることが好ましい。有機フォトダイオードは、薄型化、軽量化、及び大面積化が容易であり、また、形状及びデザインの自由度が高いため、様々な表示装置に適用できる。
【0047】
発光素子は、例えば一対の電極間に発光層を備える積層構造とすることができる。また、受光素子は、一対の電極間に活性層を備える積層構造とすることができる。受光素子の活性層には、半導体材料を用いることができる。例えば、シリコンなどの無機半導体材料を用いることができる。
【0048】
また、受光素子の活性層に、有機化合物を用いることが好ましい。このとき、発光素子と受光素子の一方の電極(画素電極ともいう)を、同一面上に設けることが好ましい。さらに、発光素子と受光素子の他方の電極を、連続した一の導電層により形成される電極(共通電極ともいう)とすることがより好ましい。さらに、発光素子と受光素子とが、共通の層(以下、共通層という)を有することがより好ましい。これにより、発光素子と受光素子とを作製する際の作製工程を簡略化でき、製造コストを低減すること、及び、製造歩留りを向上させることができる。
【0049】
以下では、より具体的な例について、図面を参照して説明する。
【0050】
[表示装置の構成例1]
〔構成例〕
図1Aに、表示装置50の模式図を示す。表示装置50は、基板51、基板52、導光板59、受光素子53、発光素子54、発光素子57R、発光素子57G、発光素子57B、機能層55等を有する。
【0051】
発光素子57R、発光素子57G、発光素子57B、及び受光素子53は、基板51と基板52の間に設けられている。
【0052】
発光素子57R、発光素子57G、発光素子57Bは、それぞれ赤色(R)、緑色(G)、または青色(B)の光を発する。
【0053】
表示装置50は、マトリクス状に配置された複数の画素を有する。1つの画素は、1つ以上の副画素を有する。1つの副画素は、1つの発光素子を有する。例えば、画素には、副画素を3つ有する構成(R、G、Bの3色、または、黄色(Y)、シアン(C)、及びマゼンタ(M)の3色など)、または、副画素を4つ有する構成(R、G、B、白色(W)の4色、または、R、G、B、Yの4色など)を適用できる。さらに、画素は、受光素子53を有する。受光素子53は、全ての画素に設けられていてもよく、一部の画素に設けられていてもよい。また、1つの画素が複数の受光素子53を有していてもよい。
【0054】
導光板59は、基板52上に設けられている。導光板59としては、可視光及び赤外光に対して高い透光性を有する材料を用いることが好ましい。例えば波長600nmの光、及び波長800nmの光に対する透過率が、共に80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上であって、100%以下である材料を用いることができる。
【0055】
また、導光板59は、発光素子54が発する光に対して屈折率の高い材料を用いることが好ましい。例えば、波長800nmの光に対する屈折率が、1.2以上2.5以下、好ましくは1.3以上2.0以下、より好ましくは、1.4以上1.8以下の材料を用いることができる。
【0056】
また、導光板59と基板52とが接して設けられる、またはこれらが樹脂層等で接着されることが好ましい。このとき、導光板59と接する基板52または樹脂層は、少なくとも導光板59に接する部分において、800nm乃至1000nmの波長範囲の光に対する屈折率が、導光板59よりも低いことが好ましい。
【0057】
発光素子54は、導光板59の側面近傍に設けられる。発光素子54は、導光板59の側面に赤外光IRを発することができる。発光素子54としては、上述した波長の光を含む赤外光を発することのできる発光素子を用いることができる。発光素子54としては、OLED、QLEDなどのEL素子、またはLEDを用いることができる。発光素子54は、導光板59の側面に沿って複数設けられていてもよい。
【0058】
図1Aには、導光板59の表面に指60が触れる様子を示している。導光板59の内部を拡散する赤外光IRの一部は、導光板59と指60との接触部で反射または散乱される。そして、赤外光IRの散乱光IR(r)の一部が、受光素子53に入射されることにより、指60が導光板59に接触したことを検出することができる。すなわち、表示装置50はタッチパネルとして機能することができる。
【0059】
機能層55は、発光素子57R、発光素子57G、発光素子57Bを駆動する回路、及び、受光素子53を駆動する回路を有する。機能層55には、スイッチ、トランジスタ、容量、配線などが設けられる。なお、発光素子57R、発光素子57G、発光素子57B、及び受光素子53をパッシブマトリクス方式で駆動させる場合には、スイッチやトランジスタを設けない構成としてもよい。
【0060】
表示装置50は、指60の指紋を検出する機能を有していてもよい。
図1Bには、導光板59に指60が触れている状態における接触部の拡大図を模式的に示している。また、
図1Bには、交互に配列した発光素子57と受光素子53を示している。
【0061】
指60は凹部及び凸部により指紋が形成されている。そのため、
図1Bに示すように指紋の凸部が、導光板59に触れ、これらの接触面において、散乱光IR(r)が生じる。
【0062】
図1Bに示すように、指60と導光板59の接触面で散乱される散乱光IR(r)は、接触面から等方的に散乱されうる。散乱光IR(r)の強度分布は、概ね接触面に垂直な向きの強度が最も高く、これよりも斜め方向に角度が大きくなるほど強度が低くなるような強度分布となる。したがって、接触面の直下に位置する(接触面と重なる)受光素子53が受光する光の強度が最も高くなる。また、散乱光IR(r)のうち、散乱角が所定の角度以上の光は、
図1Bに示すように、導光板59の他方の面(接触面とは反対側の面)で全反射し、受光素子53側には透過しなくなる。
【0063】
受光素子53の配列間隔は、指紋の2つの凸部間の距離よりも小さい間隔、好ましくは隣接する凹部と凸部間の距離よりも小さい間隔とすることで、鮮明な指紋の画像を取得することができる。人の指紋の凹部と凸部の間隔は概ね200μmであることから、例えば受光素子53の配列間隔は、400μm以下、好ましくは200μm以下、より好ましくは150μm以下、さらに好ましくは100μm以下、さらに好ましくは50μm以下であって、1μm以上、好ましくは10μm以上、より好ましくは20μm以上とする。
【0064】
なお、指60と導光板59との接触面では、赤外光IRの散乱だけでなく反射も生じる場合がある。反射光の反射角は、赤外光IRの入射角によって変化するため、散乱光IR(r)とは強度分布が異なる場合がある。しかしながら、接触面と受光素子53との距離が、受光素子53の配列間隔に対して十分に小さい場合には、散乱光IR(r)と反射光の強度分布の違いは無視できる程度に小さいため、撮像する画像の鮮明さにはほとんど影響しないといえる。
【0065】
表示装置50で撮像した指紋の画像の例を
図1Cに示す。
図1Cには、撮像範囲63内に、指60の輪郭を破線で、接触部61の輪郭を一点鎖線で示している。接触部61内において、受光素子53に入射する光量の違いによって、コントラストの高い指紋62を撮像することができる。
【0066】
表示装置50は、タッチパネルや、ペンタブレットとしても機能させることができる。
図1Dには、スタイラス65の先端を導光板59に接触させた状態で、破線矢印の方向に滑らせている様子を示している。
【0067】
図1Dに示すように、スタイラス65の先端と、導光板59の接触面で散乱される散乱光IR(r)が、当該散乱面と重なる部分に位置する受光素子53に入射することで、スタイラス65の先端の位置を高精度に検出することができる。
【0068】
図1Eには、表示装置50で検出したスタイラス65の軌跡66の例を示している。表示装置50は、高い位置精度でスタイラス65等の被検出体の位置検出が可能であるため、描画アプリケーション等において、高精細な描画を行うことも可能である。
【0069】
ここで、
図1F乃至
図1Hに、表示装置50に適用可能な画素30の一例を示す。
【0070】
図1F、及び
図1Gに示す画素30は、それぞれ表示のための副画素として機能する、赤色(R)の画素31R、緑色(G)の画素31G、青色(B)の画素31Bと、受光画素として機能する画素32を有する。画素31R、画素31G、画素31Bは、それぞれ発光素子57R、発光素子57G、または発光素子57Bを一以上有する。画素32は、受光素子53を一以上有する。
【0071】
図1Fは、2×2のマトリクス状に、3つの副画素と画素32が配置されている例である。
図1Gは、横一列に、3つの副画素と画素32が配置されている例である。
【0072】
図1Hに示す画素30は、白色(W)の画素31Wを有する例である。画素31Wは、白色の発光素子を一以上有する。ここでは、4つの副画素が横一列に配置され、その下側に画素32が配置されている。
【0073】
なお、画素の構成は上記に限られず、様々な配置方法を採用することができる。
【0074】
〔応用例〕
以下では、ユーザーの指紋と血管の両方を撮像する場合の例について説明する。表示装置は、可視光を用いて指紋の撮像を行うモードと、赤外光を用いて血管の撮像を行うモードと、可視光及び赤外光の両方を用いて、指紋と血管の両方を一つの画像として撮像するモードと、を実行することができる。
【0075】
図2Aは、可視光を用いて指紋の撮像を行っている様子を示している。ここでは、発光素子54を発光させず、発光素子57Gを発光させる。発光素子57Gが発する緑色の光Gは、指60の表面に照射され、その一部が反射または散乱される。そして、散乱光G(r)の一部が、受光素子53に入射される。受光素子53は、マトリクス状に配置されているため、各受光素子53で検出した散乱光G(r)の強度をマッピングすることにより、指60の指紋の画像を取得することができる。
【0076】
図2Bは、赤外光を用いて血管の撮像を行っている様子を示している。ここでは、発光素子57R、発光素子57G、及び発光素子57Bを発光させず、発光素子54を発光させる。導光板59の内部を拡散する赤外光IRの一部は、導光板59と指60との接触部から指60の内部にまで透過する。そして赤外光IRの一部は、指60の内部に位置する血管67によって反射または散乱され、反射光IR(r)が受光素子53に入射される。当該入射光IR(r)の強度を上記と同様にマッピングすることで、血管67の画像を取得することができる。
【0077】
図2Cは、可視光を用いた撮像と、赤外光を用いた撮像とを同時に行っている様子を示している。受光素子53には、散乱光G(r)と、散乱光IR(r)とが入射される。受光素子53で取得した2つの散乱光の強度を区別することなく、上記と同様にマッピングすることで、指紋の形状と、血管67の形状の両方を反映した画像を取得することができる。
【0078】
ここで、血管67としては、静脈と、動脈とがある。指60の内部の静脈の画像を取得することで、当該画像を静脈認証に用いることができる。
【0079】
また、指60の内部にある動脈(細動脈)は、血中酸素飽和度の変動に応じて、赤外光または可視光に対する反射率が変化する。この変化を経時的に取得する、すなわち、血中酸素飽和度の時間変調を取得することにより、脈波の情報を取得することができる。これにより、ユーザーの心拍数を測定することができる。なお、ここでは赤外光IRによって脈波の情報を取得する例を示したが、可視光を用いて測定することもできる。
【0080】
また、指60の内部及び血管67を撮像することで得られる情報としては、血中の酸素飽和度のほかに、血中の中性脂肪濃度や、血中または真皮中のグルコース濃度などがある。グルコース濃度から、血糖値を推定することができる。このような情報は、ユーザーの健康状態の指標となるため、一日に一回以上の頻度で測定することで、日常の健康状態の変化をモニタすることができる。本発明の一態様の表示装置を有するデバイスは、指紋認証や静脈認証を実行する際に、同時に生体情報を取得することが可能なため、ユーザーを煩わせることなく、無意識に健康管理を行うことができる。
【0081】
なお、上記では、可視光の光源として、緑色の光を発する発光素子57Gを用いたが、これに限られず、発光素子57Rまたは発光素子57Bを用いてもよいし、3つの発光素子のうち2つ以上を用いてもよい。また、発光素子54として、一種類の発光素子を用いるだけではなく、それぞれ異なる波長の赤外光を発する複数の発光素子を用いてもよいし、連続波長の赤外光を発する発光素子を用いてもよい。指紋認証、静脈認証、または生体情報の取得に用いる光源は、その用途に応じて、適した波長の光を発する光源を選択して用いることができる。
【0082】
[表示装置の構成例2]
以下では、上記とは一部の構成が異なる表示装置の構成例について説明する。
【0083】
〔構成例2-1〕
図3Aに示す表示装置50aは、上記表示装置50と比較して、基板52に代えて樹脂層71を有する点で、主に相違している。
【0084】
樹脂層71は、可視光に対して透光性を有する材料を用いることができる。また、樹脂層71は、基板51と導光板59とを接着する機能を有していてもよい。
【0085】
樹脂層71は、導光板59と接して設けられる。ここで、樹脂層71は、少なくとも導光板59と接する部分において、800nm乃至1000nmの波長範囲の光に対する屈折率が、導光板59よりも低いことが好ましい。これにより、
図3Aに示すように、導光板59と樹脂層71との界面で赤外光IRを全反射させることができる。
【0086】
〔構成例2-2〕
図3Bに示す表示装置50bは、導電層72を有する点で、上記表示装置50aと主に相違している。
【0087】
導電層72は、導光板59に接して設けられている。ここでは、導電層72が導光板59と樹脂層71との間に位置する例を示している。
【0088】
導電層72に、所定の電位を与えることで、静電遮蔽膜として機能させることができる。導電層72により、外部から導光板59を介して入力される電気的なノイズが、表示装置50bが有する回路などに到達することを好適に防ぐことができる。
【0089】
また、導電層72は、タッチセンサなどのセンサ素子の電極として機能させることもできる。特に、静電容量方式のタッチセンサの電極として用いることが好ましい。
【0090】
導電層72は、可視光を透過する導電性材料を用いることができる。また、導電層72に、発光素子54が発する赤外光IRを透過する導電性材料を好適に用いることができる。
【0091】
導電層72は、少なくとも導光板59と接する部分において、導光板59よりも800nm乃至1000nmの波長範囲の光に対する屈折率が高い導電性材料を用いることが好ましい。これにより、
図3Bに示すように、赤外光IRは導光板59だけでなく導電層72の内部も拡散する構成とすることができる。また、導電層72は樹脂層71よりも上述の波長範囲の光に対する屈折率が高いため、赤外光IRを、導電層72と樹脂層71との界面で全反射させることができる。
【0092】
なお、ここでは樹脂層71を有する例を示したが、基板52を有する構成としてもよい。
【0093】
〔構成例2-3〕
図3Cに示す表示装置50cは、発光素子57R等と、受光素子53とが、異なる面上に設けられている例を示している。表示装置50cは、基板51a、基板51b、機能層55a、機能層55b等を有する。
【0094】
機能層55aは、発光素子57R等を駆動する回路を有する層であり、基板51aに設けられている。また、機能層55bは、受光素子53を駆動する回路を有する層であり、基板51b上に設けられている。基板51aと基板51bとは、図示しない接着層等で固定されていることが好ましい。
【0095】
このとき、受光素子53が有する活性層には、シリコンなどの無機半導体材料を用いることができる。このとき、活性層には、赤外光IRの波長に応じて、単結晶シリコン、多結晶シリコン、またはアモルファスシリコンなどを選択して用いることができる。なお、ここでは、機能層55b及び受光素子53を、基板51b上に積層する例を示しているが、基板51bに半導体基板を用いた場合には、基板51bが機能層55b及び受光素子53の一部を成していてもよい。
【0096】
〔構成例2-4〕
図3Dに示す表示装置50dは、発光素子57R等と受光素子53とが、機能層55を挟んで設けられている点で、上記構成例と主に相違している。
【0097】
受光素子53が有する活性層には、上述したシリコンなどの無機半導体材料を用いることができる。また、基板51として半導体基板を用いた場合には、基板51が受光素子53の活性層などの一部を成していてもよい。
【0098】
なお、表示装置50c及び表示装置50dにおいて、基板52に代えて樹脂層71を設ける構成としてもよいし、導電層72を有する構成としてもよい。
【0099】
[導光板の構成例]
本発明の一態様の表示装置に適用可能な導光板は、例えば電子機器の表示部に設けられ、表示面やタッチ面として機能する筐体の一部を兼ねることもできる。このとき、導光板は、発光素子や受光素子、機能層などを保護する保護部材としても機能する。例えば強化ガラスや、可撓性を有するフィルムなどを、導光板として用いることができる。
【0100】
図4Aに、表示装置50eの構成例を示す。表示装置50eは、基板52上に導光板59aが設けられた構成を有する。
図4Aは、平板状の導光板59aを有する例である。
【0101】
導光板59aは、一方の端部に沿って、赤外光IRを発する発光素子54が配置されている。また、導光板59aの発光素子54が設けられる側とは反対側には、反射層58が設けられている。反射層58は、赤外光IRを反射する機能を有する。反射層58を設けることにより、導光板59a内を拡散する赤外光IRの強度分布を均一化させることができる。
【0102】
図4Bには、両端が湾曲した導光板59bを有する表示装置50fの構成例を示している。
【0103】
導光板59bは、導光板59aと同様に、一方の端部に沿って発光素子54が設けられ、他方の端部に沿って反射層58が設けられている。導光板59bの内部には赤外光IRが拡散している。
【0104】
導光板59bの両端を湾曲させ、その端部に沿って発光素子54や反射層58を設ける構成とすることで、表示装置50fを適用した電子機器における表示部を囲う非表示領域(額縁ともいう)の面積を小さくできるため好ましい。
【0105】
ここで、導光板59bの湾曲部では、赤外光IRの一部が全反射せずに外部に射出されてしまい、導光板59b内に拡散する赤外光IRの強度が低下してしまう場合がある。しかしながら、導光板59bを十分に薄くすること等により、赤外光IRの全反射が生じる割合を高めることができる。例えば導光板59bの厚さを、2mm以下、好ましくは1mm以下、より好ましくは0.8mm以下、さらに好ましくは0.7mm以下であって、10μm以上、好ましくは30μm以上、より好ましくは50μm以上とすることで、導光板59b内の赤外光IRの強度の低下を抑制することができる。
【0106】
図4Cには、一部が湾曲した導光板59cに沿って、基板51等が湾曲して設けられる、表示装置50gの構成例を示している。
【0107】
基板51は、可撓性を有する材料を用いることができる。導光板59cの湾曲部の曲率半径が十分に大きい場合には、基板51にガラス基板などの無機絶縁基板を用いることができる。また、基板51として、有機樹脂などを含む材料を用いることが好ましい。
【0108】
また、
図4Cでは、基板51と導光板59cとを、樹脂層71で接着している例を示している。このように、導光板59cの湾曲面に沿って基板51を配置する場合には、基板52を設けずに樹脂層71で接着する構成とすると、基板51と導光板59cとの貼り合せを容易にできるため好ましい。またこれだけでなく、受光素子53と導光板59cとの距離を近づけることができるため、位置検出の精度が高まることや、鮮明な撮像が行える、といった相乗的な効果を奏する。
【0109】
なお、
図4Cでは、導光板59cが、湾曲した部分と、平坦な部分とを有する例を示したが、平坦な部分を有さずに、全体が湾曲した形状であってもよい。
【0110】
以上が、導光板の構成例についての説明である。
【0111】
[表示装置の構成例3]
以下では、本発明の一態様の表示装置のより具体的な例について説明する。
【0112】
〔構成例3-1〕
図5Aに、表示装置10Aの断面概略図を示す。
【0113】
表示装置10Aは、受光素子110及び発光素子190を有する。受光素子110は、画素電極111、共通層112、活性層113、共通層114、及び共通電極115を有する。発光素子190は、画素電極191、共通層112、発光層193、共通層114、及び共通電極115を有する。
【0114】
画素電極111、画素電極191、共通層112、活性層113、発光層193、共通層114、及び共通電極115は、それぞれ、単層構造であってもよく、積層構造であってもよい。
【0115】
画素電極111及び画素電極191は、絶縁層214上に位置する。画素電極111と画素電極191は、同一の材料及び同一の工程で形成することができる。
【0116】
共通層112は、画素電極111上及び画素電極191上に位置する。共通層112は、受光素子110と発光素子190に共通で用いられる層である。
【0117】
活性層113は、共通層112を介して、画素電極111と重なる。発光層193は、共通層112を介して、画素電極191と重なる。活性層113は、第1の有機化合物を有し、発光層193は、第1の有機化合物とは異なる第2の有機化合物を有する。
【0118】
共通層114は、共通層112上、活性層113上、及び発光層193上に位置する。共通層114は、受光素子110と発光素子190に共通で用いられる層である。
【0119】
共通電極115は、共通層112、活性層113、及び共通層114を介して、画素電極111と重なる部分を有する。また、共通電極115は、共通層112、発光層193、及び共通層114を介して、画素電極191と重なる部分を有する。共通電極115は、受光素子110と発光素子190に共通で用いられる層である。
【0120】
本実施の形態の表示装置では、受光素子110の活性層113に有機化合物を用いる。受光素子110は、活性層113以外の層を、発光素子190(EL素子)と共通の構成にすることができる。そのため、発光素子190の作製工程に、活性層113を成膜する工程を追加するのみで、発光素子190の形成と並行して受光素子110を形成することができる。また、発光素子190と受光素子110とを同一基板上に形成することができる。したがって、作製工程を大幅に増やすことなく、表示装置に受光素子110を内蔵することができる。
【0121】
表示装置10Aでは、受光素子110の活性層113と、発光素子190の発光層193と、を作り分ける以外は、受光素子110と発光素子190が共通の構成である例を示す。ただし、受光素子110と発光素子190の構成はこれに限定されない。受光素子110と発光素子190は、活性層113と発光層193のほかにも、互いに作り分ける層を有していてもよい(後述の表示装置10D、10E、10F参照)。受光素子110と発光素子190は、共通で用いられる層(共通層)を1層以上有することが好ましい。これにより、作製工程を大幅に増やすことなく、表示装置に受光素子110を内蔵することができる。
【0122】
表示装置10Aは、一対の基板(基板151及び基板152)間に、受光素子110、発光素子190、トランジスタ41、及びトランジスタ42等を有する。
【0123】
また、表示装置10Aは、基板152よりも外側に、導光板121を有する。導光板121の端部には、赤外光を発する発光素子122が配置されている。
【0124】
受光素子110において、それぞれ画素電極111及び共通電極115の間に位置する共通層112、活性層113、及び共通層114は、有機層(有機化合物を含む層)ということもできる。画素電極111は可視光及び赤外光を反射する機能を有することが好ましい。画素電極111の端部は隔壁216によって覆われている。共通電極115は可視光及び赤外光を透過する機能を有する。
【0125】
受光素子110は、光を検出する機能を有する。具体的には、受光素子110は、導光板121から入射される光22を受光し、電気信号に変換する、光電変換素子である。
【0126】
基板152の基板151側の面には、遮光層BMが設けられている。遮光層BMは、受光素子110と重なる位置及び発光素子190と重なる位置に開口を有する。遮光層BMを設けることで、受光素子110が光を検出する範囲を制御することができる。
【0127】
遮光層BMとしては、発光素子からの発光を遮る材料を用いることができる。遮光層BMは、可視光及び赤外光を吸収することが好ましい。遮光層BMとして、例えば、金属材料、又は、顔料(カーボンブラックなど)もしくは染料を含む樹脂材料等を用いてブラックマトリクスを形成することができる。遮光層BMは、赤色のカラーフィルタ、緑色のカラーフィルタ、及び青色のカラーフィルタの積層構造であってもよい。
【0128】
ここで、受光素子110は、導光板121の表面で散乱された光を検出する。しかし、発光素子190の発光が、表示装置10A内で反射され、導光板121等を介さずに、受光素子110に入射されてしまう場合がある。遮光層BMは、このような迷光の影響を抑制することができる。例えば、遮光層BMが設けられていない場合、発光素子190が発した光23aは、基板152で反射され、反射光23bが受光素子110に入射することがある。遮光層BMを設けることで、反射光23bが受光素子110に入射することを抑制できる。これにより、ノイズを低減し、受光素子110を用いたセンサの感度を高めることができる。
【0129】
発光素子190において、それぞれ画素電極191及び共通電極115の間に位置する共通層112、発光層193、及び共通層114は、EL層ということもできる。画素電極191は可視光及び赤外光を反射する機能を有することが好ましい。画素電極191の端部は隔壁216によって覆われている。画素電極111と画素電極191とは隔壁216によって互いに電気的に絶縁されている。共通電極115は可視光及び赤外光を透過する機能を有する。
【0130】
発光素子190は、可視光を発する機能を有する。具体的には、発光素子190は、画素電極191と共通電極115との間に電圧を印加することで、基板152側に光21を射出する電界発光素子である。
【0131】
発光層193は、受光素子110の受光領域と重ならないように形成されることが好ましい。これにより、発光層193が光22を吸収することを抑制でき、受光素子110に照射される光量を多くすることができる。
【0132】
画素電極111は、絶縁層214に設けられた開口を介して、トランジスタ41が有するソースまたはドレインと電気的に接続される。画素電極111の端部は、隔壁216によって覆われている。
【0133】
画素電極191は、絶縁層214に設けられた開口を介して、トランジスタ42が有するソースまたはドレインと電気的に接続される。画素電極191の端部は、隔壁216によって覆われている。トランジスタ42は、発光素子190の駆動を制御する機能を有する。
【0134】
トランジスタ41とトランジスタ42とは、同一の層(
図5Aでは基板151)の上面に接している。
【0135】
受光素子110と電気的に接続される回路の少なくとも一部は、発光素子190と電気的に接続される回路と同一の材料及び同一の工程で形成されることが好ましい。これにより、2つの回路を別々に形成する場合に比べて、表示装置の厚さを薄くすることができ、また、作製工程を簡略化できる。
【0136】
受光素子110及び発光素子190は、それぞれ、保護層195に覆われていることが好ましい。
図5Aでは、保護層195が、共通電極115上に接して設けられている。保護層195を設けることで、受光素子110及び発光素子190に水などの不純物が入り込むことを抑制し、受光素子110及び発光素子190の信頼性を高めることができる。また、接着層142によって、保護層195と基板152とが貼り合わされている。
【0137】
なお、
図6Aに示すように、受光素子110上及び発光素子190上に保護層を有していなくてもよい。
図6Aでは、接着層142によって、共通電極115と基板152とが貼り合わされている。
【0138】
また、
図6Bに示すように、遮光層BMを有さない構成としてもよい。これにより、受光素子110の受光面積を大きくできるため、よりセンサの感度を高めることができる。
【0139】
〔構成例3-2〕
図5Bに表示装置10Bの断面図を示す。なお、以降の表示装置の説明において、先に説明した表示装置と同様の構成については、説明を省略することがある。
【0140】
図5Bに示す表示装置10Bは、表示装置10Aの構成に加え、レンズ149を有する。
【0141】
レンズ149は、受光素子110と重なる位置に設けられている。表示装置10Bでは、レンズ149が基板152に接して設けられている。表示装置10Bが有するレンズ149は、基板151側に凸面を有する凸レンズである。なお、基板152側に凸面を有する凸レンズを、受光素子110と重なる領域に配置してもよい。
【0142】
基板152の同一面上に遮光層BMとレンズ149との双方を形成する場合、形成順は問わない。
図5Bでは、レンズ149を先に形成する例を示すが、遮光層BMを先に形成してもよい。
図5Bでは、レンズ149の端部が遮光層BMによって覆われている。
【0143】
表示装置10Bは、光22がレンズ149を介して受光素子110に入射する構成である。レンズ149を有すると、レンズ149を有さない場合に比べて、受光素子110の撮像範囲を狭くすることができ、隣接する受光素子110と撮像範囲が重なることを抑制できる。これにより、ぼやけの少ない、鮮明な画像を撮像できる。また、受光素子110の撮像範囲が同じ場合、レンズ149を有すると、レンズ149を有さない場合に比べて、ピンホールの大きさ(
図5Bでは受光素子110と重なるBMの開口の大きさに相当する)を大きくすることができる。したがって、レンズ149を有することで、受光素子110に入射する光量を増やすことができる。
【0144】
本実施の形態の表示装置に用いるレンズの形成方法としては、基板上または受光素子上にマイクロレンズなどのレンズを直接形成してもよいし、別途作製されたマイクロレンズアレイなどのレンズアレイを基板に貼り合わせてもよい。
【0145】
〔構成例3-3〕
図5Cに、表示装置10Cの断面概略図を示す。表示装置10Cは、基板151、基板152、及び隔壁216を有さず、基板153、基板154、接着層155、絶縁層212、及び隔壁217を有する点で、表示装置10Aと異なる。
【0146】
基板153と絶縁層212とは接着層155によって貼り合わされている。基板154と保護層195とは接着層142によって貼り合わされている。
【0147】
表示装置10Cは、作製基板上に形成された絶縁層212、トランジスタ41、トランジスタ42、受光素子110、及び発光素子190等を、基板153上に転置することで作製される構成である。基板153及び基板154は、それぞれ、可撓性を有することが好ましい。これにより、表示装置10Cの可撓性を高めることができる。例えば、基板153及び基板154には、それぞれ、樹脂を用いることが好ましい。
【0148】
基板153及び基板154としては、それぞれ、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリエーテルスルホン(PES)樹脂、ポリアミド樹脂(ナイロン、アラミド等)、ポリシロキサン樹脂、シクロオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂、ABS樹脂、セルロースナノファイバー等を用いることができる。基板153及び基板154の一方または双方に、可撓性を有する程度の厚さのガラスを用いてもよい。
【0149】
本実施の形態の表示装置が有する基板には、光学等方性が高いフィルムを用いてもよい。光学等方性が高いフィルムとしては、トリアセチルセルロース(TAC、セルローストリアセテートともいう)フィルム、シクロオレフィンポリマー(COP)フィルム、シクロオレフィンコポリマー(COC)フィルム、及びアクリルフィルム等が挙げられる。
【0150】
隔壁217は、発光素子が発した光を吸収することが好ましい。隔壁217として、例えば、顔料もしくは染料を含む樹脂材料等を用いてブラックマトリクスを形成することができる。また、茶色レジスト材料を用いることで、着色された絶縁層で隔壁217を構成することができる。
【0151】
発光素子190が発した光23cは、基板154及び隔壁217で反射され、反射光23dが受光素子110に入射することがある。また、光23cが隔壁217を透過し、トランジスタまたは配線等で反射されることで、反射光が受光素子110に入射することがある。隔壁217によって光23cが吸収されることで、反射光23dが受光素子110に入射することを抑制できる。これにより、ノイズを低減し、受光素子110を用いたセンサの感度を高めることができる。
【0152】
隔壁217は、少なくとも、受光素子110が検出する光の波長を吸収することが好ましい。例えば、発光素子190が発する赤色の光を受光素子110が検出する場合、隔壁217は、少なくとも赤色の光を吸収することが好ましい。例えば、隔壁217が、青色のカラーフィルタを有すると、赤色の光23cを吸収することができ、反射光23dが受光素子110に入射することを抑制できる。
【0153】
〔構成例3-4〕
上記では、発光素子と受光素子が、2つの共通層を有する例を示したが、これに限られない。以下では、共通層の構成が異なる例について説明する。
【0154】
図7Aに、表示装置10Dの断面概略図を示す。表示装置10Dは、共通層114を有さず、バッファ層184及びバッファ層194を有する点で、表示装置10Aと異なる。バッファ層184及びバッファ層194は、それぞれ、単層構造であってもよく、積層構造であってもよい。
【0155】
表示装置10Dにおいて、受光素子110は、画素電極111、共通層112、活性層113、バッファ層184、及び共通電極115を有する。また、表示装置10Dにおいて、発光素子190は、画素電極191、共通層112、発光層193、バッファ層194、及び共通電極115を有する。
【0156】
表示装置10Dでは、共通電極115と活性層113との間のバッファ層184と、共通電極115と発光層193との間のバッファ層194とを作り分ける例を示す。バッファ層184及びバッファ層194としては、例えば、電子注入層及び電子輸送層の一方または双方を形成することができる。
【0157】
図7Bに、表示装置10Eの断面概略図を示す。表示装置10Eは、共通層112を有さず、バッファ層182及びバッファ層192を有する点で、表示装置10Aと異なる。バッファ層182及びバッファ層192は、それぞれ、単層構造であってもよく、積層構造であってもよい。
【0158】
表示装置10Eにおいて、受光素子110は、画素電極111、バッファ層182、活性層113、共通層114、及び共通電極115を有する。また、表示装置10Eにおいて、発光素子190は、画素電極191、バッファ層192、発光層193、共通層114、及び共通電極115を有する。
【0159】
表示装置10Eでは、画素電極111と活性層113との間のバッファ層182と、画素電極191と発光層193との間のバッファ層192とを作り分ける例を示す。バッファ層182及びバッファ層192としては、例えば、正孔注入層及び正孔輸送層の一方または双方を形成することができる。
【0160】
図7Cに、表示装置10Fの断面概略図を示す。表示装置10Fは、共通層112及び共通層114を有さず、バッファ層182、バッファ層184、バッファ層192、及びバッファ層194を有する点で、表示装置10Aと異なる。
【0161】
表示装置10Fにおいて、受光素子110は、画素電極111、バッファ層182、活性層113、バッファ層184、及び共通電極115を有する。また、表示装置10Fにおいて、発光素子190は、画素電極191、バッファ層192、発光層193、バッファ層194、及び共通電極115を有する。
【0162】
受光素子110と発光素子190の作製において、活性層113と発光層193を作り分けるだけでなく、他の層も作り分けることができる。
【0163】
表示装置10Fでは、受光素子110と発光素子190とで、一対の電極(画素電極111または画素電極191と共通電極115)間に、共通の層を有さない例を示す。表示装置10Fが有する受光素子110及び発光素子190は、絶縁層214上に画素電極111と画素電極191とを同一の材料及び同一の工程で形成し、画素電極111上にバッファ層182、活性層113、及びバッファ層184を、画素電極191上にバッファ層192、発光層193、及びバッファ層194を、それぞれ形成した後に、バッファ層184及びバッファ層194等を覆うように共通電極115を形成することで作製できる。
【0164】
なお、バッファ層182、活性層113、及びバッファ層184の積層構造と、バッファ層192、発光層193、及びバッファ層194の積層構造の作製順は特に限定されない。例えば、バッファ層182、活性層113、及びバッファ層184を成膜した後に、バッファ層192、発光層193、及びバッファ層194を作製してもよい。逆に、バッファ層182、活性層113、及びバッファ層184を成膜する前に、バッファ層192、発光層193、及びバッファ層194を作製してもよい。また、バッファ層182、バッファ層192、活性層113、発光層193、などの順に交互に成膜してもよい。
【0165】
[表示装置の構成例4]
以下では、本発明の一態様の表示装置のより具体的な構成例について説明する。
【0166】
〔構成例4-1〕
図8に、表示装置100Aの斜視図を示す。
【0167】
表示装置100Aは、基板151と基板152とが貼り合された構成を有する。また、基板152上に導光板121が設けられている。
図8では、基板152と導光板121を破線で示している。
【0168】
表示装置100Aは、表示部162、回路164、配線165等を有する。
図8では、表示装置100AにIC(集積回路)173及びFPC172が実装されている例を示している。そのため、
図8に示す構成は、表示装置100A、IC173、及びFPC172を有する表示モジュールということもできる。
【0169】
回路164としては、走査線駆動回路を用いることができる。
【0170】
配線165は、表示部162及び回路164に信号及び電力を供給する機能を有する。当該信号及び電力は、FPC172を介して外部から入力されるか、またはIC173から配線165に入力される。
【0171】
図8では、COG(Chip On Glass)方式またはCOF(Chip On Film)方式などにより、基板151にIC173が設けられている例を示す。IC173は、例えば走査線駆動回路及び信号線駆動回路等を有するICを適用できる。なお、表示装置100A及び表示モジュールは、ICを設けない構成としてもよい。また、ICを、COF方式等により、FPC172に実装してもよい。
【0172】
図9に、
図8で示した表示装置100Aの、FPC172を含む領域の一部、回路164を含む領域の一部、表示部162を含む領域の一部、及び、端部を含む領域の一部をそれぞれ切断したときの断面の一例を示す。
【0173】
図9に示す表示装置100Aは、基板151と基板152の間に、トランジスタ201、トランジスタ205、トランジスタ206、発光素子190、受光素子110等を有する。また基板152上に、導光板121が設けられている。導光板121の端部には、発光素子122が設けられている。
【0174】
基板152と絶縁層214は接着層142を介して接着されている。発光素子190及び受光素子110の封止には、固体封止構造または中空封止構造などが適用できる。
図9では、基板152、接着層142、及び絶縁層214に囲まれた空間143が、不活性ガス(窒素やアルゴンなど)で充填されており、中空封止構造が適用されている。接着層142は、発光素子190と重ねて設けられていてもよい。また、基板152、接着層142、及び絶縁層214に囲まれた空間143を、接着層142とは異なる樹脂で充填してもよい。
【0175】
発光素子190は、絶縁層214側から画素電極191、共通層112、発光層193、共通層114、及び共通電極115の順に積層された積層構造を有する。画素電極191は、絶縁層214に設けられた開口を介して、トランジスタ206が有する導電層222bと接続されている。トランジスタ206は、発光素子190の駆動を制御する機能を有する。画素電極191の端部は、隔壁216によって覆われている。画素電極191は可視光及び赤外光を反射する材料を含み、共通電極115は可視光及び赤外光を透過する材料を含む。
【0176】
受光素子110は、絶縁層214側から画素電極111、共通層112、活性層113、共通層114、及び共通電極115の順に積層された積層構造を有する。画素電極111は、絶縁層214に設けられた開口を介して、トランジスタ205が有する導電層222bと電気的に接続されている。画素電極111の端部は、隔壁216によって覆われている。画素電極111は可視光及び赤外光を反射する材料を含み、共通電極115は可視光及び赤外光を透過する材料を含む。
【0177】
発光素子190が発する光は、基板152側に射出される。また、受光素子110には、基板152及び空間143を介して、光が入射する。基板152には、可視光及び赤外光に対する透過性が高い材料を用いることが好ましい。
【0178】
画素電極111及び画素電極191は同一の材料及び同一の工程で作製することができる。共通層112、共通層114、及び共通電極115は、受光素子110と発光素子190との双方に用いられる。受光素子110と発光素子190とは、活性層113と発光層193の構成が異なる以外は全て共通の構成とすることができる。これにより、作製工程を大幅に増やすことなく、表示装置100Aに受光素子110を内蔵することができる。
【0179】
基板152の基板151側の面には、遮光層BMが設けられている。遮光層BMは、受光素子110と重なる位置及び発光素子190と重なる位置に開口を有する。遮光層BMを設けることで、受光素子110が光を検出する範囲を制御することができる。また、遮光層BMを有することで、発光素子190から受光素子110に光が直接入射することを抑制できる。したがって、ノイズが少なく感度の高いセンサを実現できる。
【0180】
トランジスタ201、トランジスタ205、及びトランジスタ206は、いずれも基板151上に形成されている。これらのトランジスタは、同一の材料及び同一の工程により作製することができる。
【0181】
基板151上には、絶縁層211、絶縁層213、絶縁層215、及び絶縁層214がこの順で設けられている。絶縁層211は、その一部が各トランジスタのゲート絶縁層として機能する。絶縁層213は、その一部が各トランジスタのゲート絶縁層として機能する。絶縁層215は、トランジスタを覆って設けられる。絶縁層214は、トランジスタを覆って設けられ、平坦化層としての機能を有する。なお、ゲート絶縁層の数及びトランジスタを覆う絶縁層の数は限定されず、それぞれ単層であっても2層以上であってもよい。
【0182】
トランジスタを覆う絶縁層の少なくとも一層に、水や水素などの不純物が拡散しにくい材料を用いることが好ましい。これにより、絶縁層をバリア層として機能させることができる。このような構成とすることで、トランジスタに外部から不純物が拡散することを効果的に抑制でき、表示装置の信頼性を高めることができる。
【0183】
絶縁層211、絶縁層213、及び絶縁層215としては、それぞれ、無機絶縁膜を用いることが好ましい。無機絶縁膜としては、例えば、窒化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、酸化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜、酸化アルミニウム膜、窒化アルミニウム膜などを用いることができる。また、酸化ハフニウム膜、酸化イットリウム膜、酸化ジルコニウム膜、酸化ガリウム膜、酸化タンタル膜、酸化マグネシウム膜、酸化ランタン膜、酸化セリウム膜、及び酸化ネオジム膜等を用いてもよい。また、上述の絶縁膜を2以上積層して用いてもよい。
【0184】
ここで、有機絶縁膜は、無機絶縁膜に比べてバリア性が低いことが多い。そのため、有機絶縁膜は、表示装置100Aの端部近傍に開口を有することが好ましい。これにより、表示装置100Aの端部から有機絶縁膜を介して不純物が拡散することを抑制することができる。または、有機絶縁膜の端部が表示装置100Aの端部よりも内側に位置するように有機絶縁膜を形成し、表示装置100Aの端部に有機絶縁膜が露出しないようにしてもよい。
【0185】
平坦化層として機能する絶縁層214には、有機絶縁膜が好適である。有機絶縁膜に用いることができる材料としては、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミドアミド樹脂、シロキサン樹脂、ベンゾシクロブテン系樹脂、フェノール樹脂、及びこれら樹脂の前駆体等が挙げられる。
【0186】
図9に示す領域228では、絶縁層214に開口が形成されている。これにより、絶縁層214に有機絶縁膜を用いる場合であっても、絶縁層214を介して外部から表示部162に不純物が拡散することを抑制できる。したがって、表示装置100Aの信頼性を高めることができる。
【0187】
トランジスタ201、トランジスタ205、及びトランジスタ206は、ゲートとして機能する導電層221、ゲート絶縁層として機能する絶縁層211、ソース及びドレインとして機能する導電層222a及び導電層222b、半導体層231、ゲート絶縁層として機能する絶縁層213、並びに、ゲートとして機能する導電層223を有する。ここでは、同一の導電膜を加工して得られる複数の層に、同じハッチングパターンを付している。絶縁層211は、導電層221と半導体層231との間に位置する。絶縁層213は、導電層223と半導体層231との間に位置する。
【0188】
本実施の形態の表示装置が有するトランジスタの構造は特に限定されない。例えば、プレーナ型のトランジスタ、スタガ型のトランジスタ、逆スタガ型のトランジスタ等を用いることができる。また、トップゲート型またはボトムゲート型のいずれのトランジスタ構造としてもよい。または、チャネルが形成される半導体層の上下にゲートが設けられていてもよい。
【0189】
トランジスタ201、トランジスタ205、及びトランジスタ206には、チャネルが形成される半導体層を2つのゲートで挟持する構成が適用されている。2つのゲートを接続し、これらに同一の信号を供給することによりトランジスタを駆動してもよい。または、2つのゲートのうち、一方に閾値電圧を制御するための電位を与え、他方に駆動のための電位を与えることで、トランジスタの閾値電圧を制御してもよい。
【0190】
トランジスタに用いる半導体材料の結晶性についても特に限定されず、非晶質半導体、単結晶半導体、または単結晶以外の結晶性を有する半導体(微結晶半導体、多結晶半導体、または一部に結晶領域を有する半導体)のいずれを用いてもよい。単結晶半導体または結晶性を有する半導体を用いると、トランジスタ特性の劣化を抑制できるため好ましい。
【0191】
トランジスタの半導体層は、金属酸化物(酸化物半導体ともいう)を有することが好ましい。または、トランジスタの半導体層は、シリコンを有していてもよい。シリコンとしては、アモルファスシリコン、結晶性のシリコン(低温ポリシリコン、単結晶シリコンなど)などが挙げられる。
【0192】
半導体層は、例えば、インジウムと、M(Mは、ガリウム、アルミニウム、シリコン、ホウ素、イットリウム、スズ、銅、バナジウム、ベリリウム、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、及びマグネシウムから選ばれた一種または複数種)と、亜鉛と、を有することが好ましい。特に、Mは、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、及びスズから選ばれた一種または複数種であることが好ましい。
【0193】
特に、半導体層として、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、及び亜鉛(Zn)を含む酸化物(IGZOとも記す)を用いることが好ましい。
【0194】
半導体層がIn-M-Zn酸化物の場合、In-M-Zn酸化物を成膜するために用いるスパッタリングターゲットは、Mに対するInの原子数比が1以上であることが好ましい。このようなスパッタリングターゲットの金属元素の原子数比として、In:M:Zn=1:1:1、In:M:Zn=1:1:1.2、In:M:Zn=2:1:3、In:M:Zn=3:1:2、In:M:Zn=4:2:3、In:M:Zn=4:2:4.1、In:M:Zn=5:1:6、In:M:Zn=5:1:7、In:M:Zn=5:1:8、In:M:Zn=6:1:6、In:M:Zn=5:2:5等が挙げられる。
【0195】
スパッタリングターゲットとしては、多結晶の酸化物を含むターゲットを用いると、結晶性を有する半導体層を形成しやすくなるため好ましい。なお、成膜される半導体層の原子数比は、上記のスパッタリングターゲットに含まれる金属元素の原子数比のプラスマイナス40%の変動を含む。例えば、半導体層に用いるスパッタリングターゲットの組成がIn:Ga:Zn=4:2:4.1[原子数比]の場合、成膜される半導体層の組成は、In:Ga:Zn=4:2:3[原子数比]の近傍となる場合がある。
【0196】
なお、原子数比がIn:Ga:Zn=4:2:3またはその近傍と記載する場合、Inを4としたとき、Gaが1以上3以下であり、Znが2以上4以下である場合を含む。また、原子数比がIn:Ga:Zn=5:1:6またはその近傍であると記載する場合、Inを5としたときに、Gaが0.1より大きく2以下であり、Znが5以上7以下である場合を含む。また、原子数比がIn:Ga:Zn=1:1:1またはその近傍であると記載する場合、Inを1としたときに、Gaが0.1より大きく2以下であり、Znが0.1より大きく2以下である場合を含む。
【0197】
回路164が有するトランジスタと、表示部162が有するトランジスタは、同じ構造であってもよく、異なる構造であってもよい。回路164が有する複数のトランジスタの構造は、全て同じであってもよく、2種類以上あってもよい。同様に、表示部162が有する複数のトランジスタの構造は、全て同じであってもよく、2種類以上あってもよい。
【0198】
基板151の、基板152が重ならない領域には、接続部204が設けられている。接続部204では、配線165が導電層166及び接続層242を介してFPC172と電気的に接続されている。接続部204の上面は、画素電極191と同一の導電膜を加工して得られた導電層166が露出している。これにより、接続部204とFPC172とを接続層242を介して電気的に接続することができる。
【0199】
基板152と導光板121の間、または導光板121の外側には各種光学部材を配置することができる。光学部材としては、偏光板、位相差板、光拡散層(拡散フィルムなど)、反射防止層、及び集光フィルム等が挙げられる。また、基板152の外側には、ゴミの付着を抑制する帯電防止膜、汚れを付着しにくくする撥水性の膜、使用に伴う傷の発生を抑制するハードコート膜、衝撃吸収層等を配置してもよい。なお、導光板121に接して光拡散性の高い部材を配置すると、これらの界面で導光板121内を拡散する赤外光も散乱されてしまうため、これらの間には、光拡散性の低い部材を挟むことが好ましい。
【0200】
基板151及び基板152には、それぞれ、ガラス、石英、セラミック、サファイア、樹脂などを用いることができる。基板151及び基板152に可撓性を有する材料を用いると、表示装置の可撓性を高めることができる。
【0201】
接着層142、接着層155等としては、紫外線硬化型等の光硬化型接着剤、反応硬化型接着剤、熱硬化型接着剤、嫌気型接着剤などの各種硬化型接着剤を用いることができる。これら接着剤としてはエポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、イミド樹脂、PVC(ポリビニルクロライド)樹脂、PVB(ポリビニルブチラル)樹脂、EVA(エチレンビニルアセテート)樹脂等が挙げられる。特に、エポキシ樹脂等の透湿性が低い材料が好ましい。また、二液混合型の樹脂を用いてもよい。また、接着シート等を用いてもよい。
【0202】
接続層242としては、異方性導電フィルム(ACF:Anisotropic Conductive Film)、異方性導電ペースト(ACP:Anisotropic Conductive Paste)などを用いることができる。
【0203】
発光素子190は、トップエミッション型、ボトムエミッション型、デュアルエミッション型などがある。光を取り出す側の電極には、可視光を透過する導電膜を用いる。また、光を取り出さない側の電極には、可視光を反射する導電膜を用いることが好ましい。
【0204】
発光素子190は少なくとも発光層193を有する。発光素子190は、発光層193以外の層として、正孔注入性の高い物質、正孔輸送性の高い物質、正孔ブロック材料、電子輸送性の高い物質、電子注入性の高い物質、またはバイポーラ性の物質(電子輸送性及び正孔輸送性が高い物質)等を含む層をさらに有していてもよい。例えば、共通層112は、正孔注入層及び正孔輸送層の一方又は双方を有することが好ましい。例えば、共通層114は、電子輸送層及び電子注入層の一方または双方を有することが好ましい。
【0205】
共通層112、発光層193、及び共通層114には低分子系化合物及び高分子系化合物のいずれを用いることもでき、無機化合物を含んでいてもよい。共通層112、発光層193、及び共通層114を構成する層は、それぞれ、蒸着法(真空蒸着法を含む)、転写法、印刷法、インクジェット法、塗布法等の方法で形成することができる。
【0206】
発光層193は、発光材料として、量子ドットなどの無機化合物を有していてもよい。
【0207】
受光素子110の活性層113は、半導体を含む。当該半導体としては、シリコンなどの無機半導体、及び、有機化合物を含む有機半導体が挙げられる。本実施の形態では、活性層が有する半導体として、有機半導体を用いる例を示す。有機半導体を用いることで、発光素子190の発光層193と、受光素子110の活性層113と、を同じ方法(例えば、真空蒸着法)で形成することができ、製造装置を共通化できるため好ましい。
【0208】
活性層113が有するn型半導体の材料としては、フラーレン(例えばC60、C70等)またはその誘導体等の電子受容性の有機半導体材料が挙げられる。また、活性層113が有するp型半導体の材料としては、銅(II)フタロシアニン(Copper(II) phthalocyanine;CuPc)やテトラフェニルジベンゾペリフランテン(Tetraphenyldibenzoperiflanthene;DBP)、亜鉛フタロシアニン(Zinc Phthalocyanine;ZnPc)等の電子供与性の有機半導体材料が挙げられる。
【0209】
例えば、活性層113は、n型半導体とp型半導体とを共蒸着して形成することが好ましい。
【0210】
トランジスタのゲート、ソース及びドレインのほか、表示装置を構成する各種配線及び電極などの導電層に用いることのできる材料としては、アルミニウム、チタン、クロム、ニッケル、銅、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、銀、タンタル、及びタングステンなどの金属、並びに、当該金属を主成分とする合金などが挙げられる。これらの材料を含む膜を単層で、または積層構造として用いることができる。
【0211】
また、透光性を有する導電材料としては、酸化インジウム、インジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化亜鉛、ガリウムを含む酸化亜鉛などの導電性酸化物またはグラフェンを用いることができる。または、金、銀、白金、マグネシウム、ニッケル、タングステン、クロム、モリブデン、鉄、コバルト、銅、パラジウム、及びチタンなどの金属材料や、該金属材料を含む合金材料を用いることができる。または、該金属材料の窒化物(例えば、窒化チタン)などを用いてもよい。なお、金属材料、合金材料(またはそれらの窒化物)を用いる場合には、透光性を有する程度に薄くすることが好ましい。また、上記材料の積層膜を導電層として用いることができる。例えば、銀とマグネシウムの合金とインジウムスズ酸化物の積層膜などを用いると、導電性を高めることができるため好ましい。これらは、表示装置を構成する各種配線及び電極などの導電層や、表示素子が有する導電層(画素電極や共通電極として機能する導電層)にも用いることができる。
【0212】
各絶縁層に用いることのできる絶縁材料としては、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂などの樹脂、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウムなどの無機絶縁材料が挙げられる。
【0213】
〔構成例4-2〕
図10Aに、表示装置100Bの断面図を示す。表示装置100Bは、レンズ149及び保護層195を有する点で、主に表示装置100Aと相違している。
【0214】
受光素子110及び発光素子190を覆う保護層195を設けることで、受光素子110及び発光素子190に水などの不純物が拡散することを抑制し、受光素子110及び発光素子190の信頼性を高めることができる。
【0215】
表示装置100Bの端部近傍の領域228において、絶縁層214の開口を介して、絶縁層215と保護層195とが互いに接することが好ましい。特に、絶縁層215が有する無機絶縁膜と保護層195が有する無機絶縁膜とが互いに接することが好ましい。これにより、有機絶縁膜を介して外部から表示部162に不純物が拡散することを抑制することができる。したがって、表示装置100Bの信頼性を高めることができる。
【0216】
図10Bに、保護層195が3層構造である例を示す。
図10Bにおいて、保護層195は、共通電極115上の無機絶縁層195aと、無機絶縁層195a上の有機絶縁層195bと、有機絶縁層195b上の無機絶縁層195cと、を有する。
【0217】
無機絶縁層195aの端部と無機絶縁層195cの端部は、有機絶縁層195bの端部よりも外側に延在し、互いに接している。そして、無機絶縁層195aは、絶縁層214(有機絶縁層)の開口を介して、絶縁層215(無機絶縁層)と接する。これにより、絶縁層215と保護層195とで、受光素子110及び発光素子190を囲うことができるため、受光素子110及び発光素子190の信頼性を高めることができる。
【0218】
このように、保護層195は、有機絶縁膜と無機絶縁膜との積層構造であってもよい。このとき、有機絶縁膜の端部よりも無機絶縁膜の端部を外側に延在させることが好ましい。
【0219】
基板152の基板151側の面に、レンズ149が設けられている。レンズ149は、基板151側に凸面を有する。受光素子110の受光領域は、レンズ149と重なり、かつ、発光層193と重ならないことが好ましい。これにより、受光素子110を用いたセンサの感度及び精度を高めることができる。
【0220】
レンズ149は、赤外光に対する屈折率が1.3以上2.5以下であることが好ましい。レンズ149は、無機材料及び有機材料の少なくとも一方を用いて形成することができる。例えば、樹脂を含む材料をレンズ149に用いることができる。また、酸化物及び硫化物の少なくとも一方を含む材料をレンズ149に用いることができる。
【0221】
具体的には、塩素、臭素、またはヨウ素を含む樹脂、重金属原子を含む樹脂、芳香環を含む樹脂、硫黄を含む樹脂などをレンズ149に用いることができる。または、樹脂と当該樹脂より屈折率の高い材料のナノ粒子を含む材料をレンズ149に用いることができる。酸化チタンまたは酸化ジルコニウムなどをナノ粒子に用いることができる。
【0222】
また、酸化セリウム、酸化ハフニウム、酸化ランタン、酸化マグネシウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化チタン、酸化イットリウム、酸化亜鉛、インジウムとスズを含む酸化物、またはインジウムとガリウムと亜鉛を含む酸化物などを、レンズ149に用いることができる。または、硫化亜鉛などを、レンズ149に用いることができる。
【0223】
また、表示装置100Bでは、保護層195と基板152とが接着層142によって貼り合わされている。接着層142は、受光素子110及び発光素子190とそれぞれ重ねて設けられており、表示装置100Bには、固体封止構造が適用されている。
【0224】
〔構成例4-3〕
図11Aに、表示装置100Cの断面図を示す。表示装置100Cは、トランジスタの構造が異なる点、遮光層BM及びレンズ149を有さない点で、主に表示装置100Bと相違している。
【0225】
表示装置100Cは、基板151上に、トランジスタ208、トランジスタ209、及びトランジスタ210を有する。
【0226】
トランジスタ208、トランジスタ209、及びトランジスタ210は、ゲートとして機能する導電層221、ゲート絶縁層として機能する絶縁層211、チャネル形成領域231i及び一対の低抵抗領域231nを有する半導体層、一対の低抵抗領域231nの一方と接続する導電層222a、一対の低抵抗領域231nの他方と接続する導電層222b、ゲート絶縁層として機能する絶縁層225、ゲートとして機能する導電層223、並びに、導電層223を覆う絶縁層215を有する。絶縁層211は、導電層221とチャネル形成領域231iとの間に位置する。絶縁層225は、導電層223とチャネル形成領域231iとの間に位置する。
【0227】
導電層222a及び導電層222bは、それぞれ、絶縁層225及び絶縁層215に設けられた開口を介して低抵抗領域231nと接続される。導電層222a及び導電層222bのうち、一方はソースとして機能し、他方はドレインとして機能する。
【0228】
発光素子190の画素電極191は、導電層222bを介してトランジスタ208の一対の低抵抗領域231nの他方と電気的に接続される。
【0229】
受光素子110の画素電極111は、導電層222bを介してトランジスタ209の一対の低抵抗領域231nの他方と電気的に接続される。
【0230】
図11Aには、絶縁層225が半導体層の上面及び側面を覆う例を示している。一方、
図11Bには、絶縁層225は、半導体層231のチャネル形成領域231iと重なり、低抵抗領域231nとは重ならないトランジスタ202の例を示している。例えば、導電層223をマスクとして用いて絶縁層225を加工することで、
図11Bに示す構造を作製できる。
図11Bでは、絶縁層225及び導電層223を覆って絶縁層215が設けられ、絶縁層215の開口を介して、導電層222a及び導電層222bがそれぞれ低抵抗領域231nと接続されている。さらに、トランジスタを覆う絶縁層218を設けてもよい。
【0231】
〔構成例4-4〕
図12に、表示装置100Dの断面図を示す。表示装置100Dは、基板の構成が異なる点で、表示装置100Cと主に相違している。
【0232】
表示装置100Dは、基板151及び基板152を有さず、基板153、基板154、接着層155、及び絶縁層212を有する。
【0233】
基板153と絶縁層212とは接着層155によって貼り合わされている。基板154と保護層195とは接着層142によって貼り合わされている。
【0234】
表示装置100Dは、作製基板上で形成された絶縁層212、トランジスタ208、トランジスタ209、受光素子110、及び発光素子190等を、基板153上に転置することで作製される構成である。基板153及び基板154は、それぞれ、可撓性を有することが好ましい。これにより、表示装置100Dの可撓性を高めることができる。
【0235】
絶縁層212には、絶縁層211、絶縁層213、及び絶縁層215に用いることができる無機絶縁膜を用いることができる。または、絶縁層212として、有機絶縁膜と無機絶縁膜の積層膜としてもよい。このとき、トランジスタ209側の膜を、無機絶縁膜とすることが好ましい。
【0236】
以上が、表示装置の構成例についての説明である。
【0237】
本実施の形態の表示装置は、表示部に受光素子と発光素子とを有し、表示部は画像を表示する機能と光を検出する機能との双方を有する。これにより、表示部の外部または表示装置の外部にセンサを設ける場合に比べて、電子機器の小型化及び軽量化を図ることができる。また、表示部の外部または表示装置の外部に設けるセンサと組み合わせて、より多機能の電子機器を実現することもできる。
【0238】
受光素子は、活性層以外の少なくとも一層を、発光素子(EL素子)と共通の構成にすることができる。さらには、受光素子は、活性層以外の全ての層を、発光素子(EL素子)と共通の構成にすることもできる。例えば、発光素子の作製工程に、活性層を成膜する工程を追加するのみで、発光素子と受光素子とを同一基板上に形成することができる。また、受光素子と発光素子は、画素電極と共通電極とを、それぞれ、同一の材料及び同一の工程で形成することができる。また、受光素子と電気的に接続される回路と、発光素子と電気的に接続される回路とを、同一の材料及び同一の工程で作製することで、表示装置の作製工程を簡略化できる。このように、複雑な工程を有さなくとも、受光素子を内蔵し、利便性の高い表示装置を作製することができる。
【0239】
[電子機器の構成例]
本発明の一態様の表示装置は、赤外光と可視光を用いて様々な生体情報を取得することができる。このような生体情報は、ユーザーの個人認証の用途と、ヘルスケアの用途の両方に用いることができる。
【0240】
本発明の一態様の表示装置を用いて取得することのできる生体情報のうち、個人認証に用いることのできる生体情報としては、代表的には、指紋、掌紋、静脈、虹彩などがある。これら生体情報は、赤外光または可視光により取得することができる。特に静脈及び虹彩の情報は、赤外光により取得することが好ましい。
【0241】
また、本発明の一態様の表示装置を用いて取得することのできる生体情報のうち、ヘルスケアの用途に用いることのできる生体情報としては、脈波、血糖値、酸素飽和度、中性脂肪濃度などがある。
【0242】
さらに、表示装置が搭載される電子機器に、他の生体情報を取得する手段を設けることが好ましい。例えば、心電図、血圧、体温などの体内の生体情報のほか、表情、顔色、瞳孔などの表面的な生体情報などがある。また、歩数や運動強度、移動の高低差、食事(摂取カロリーや栄養素など)の情報も、ヘルスケアには重要な情報となる。複数の生体情報等を用いることで、複合的な体調管理が可能となり、日常的な健康管理だけでなく、傷病の早期発見にもつながる。
【0243】
例えば、血圧は、心電図と、脈波の2つの拍動のタイミングのずれ(脈波伝搬時間の長さ)から算出することができる。血圧が高いと脈波伝搬時間が短く、逆に血圧が低いと脈波伝搬時間が長くなる。また、心電図及び脈波から算出される心拍数と血圧の関係から、ユーザーの身体状態を推定することもできる。例えば心拍数と血圧がいずれも高いと、緊張や興奮状態であると推定でき、その逆に心拍数と血圧がいずれも低いと、リラックス状態であると推定することができる。また、低血圧で且つ心拍数が高い状態が継続する場合には、心臓疾患などの可能性がある。
【0244】
ユーザーは、電子機器で測定された生体情報や、その情報をもとに推定された自己の身体状況などを随時確認できるため、健康意識が向上する。その結果、暴飲暴食を避ける、適度な運動に気を付ける、または体調管理を行うなど、日々の習慣の見直しを行うことや、必要に応じて医療機関による診察を受けるきっかけにもなりうる。
【0245】
〔構成例1〕
図13に、電子機器80の概略図を示している。電子機器80は、タブレット端末として用いることができる。電子機器80は、少なくとも筐体82と、表示部81とを備える。表示部81には、本発明の一態様の表示装置が適用されている。
【0246】
電子機器80は、ユーザーが、表示部81に手60aをかざす、または接触させることにより、個人認証を実行すると共に、ユーザーの生体情報を取得することができる。
【0247】
電子機器80は、表示部81にユーザーの手60aが置かれると、その形状を認識することができる。そして、手60aの各部位に対応する各領域に適した生体情報の取得を実行する。例えば、手60aの指先に対応する領域85aでは、指紋形状、及び、静脈形状の撮像を実行することができる。また、指の腹に対応する領域85bでは、静脈形状の撮像、細動脈の撮像などを実行することができる。また、掌に対応する領域85cでは、掌紋の撮像、静脈の撮像、細動脈の撮像、真皮の撮像などを実行することができる。指紋、掌紋、及び静脈の画像は、個人認証に用いることができる。また、細動脈や静脈、真皮の画像からは、生体情報を取得することができる。
【0248】
また、生体情報を取得する際に、表示部81に手の形を模した画像を表示し、その画像に合わせてユーザーが手60aを置くことを促してもよい。これにより、手60aの形状の認識精度を高めることができる。
【0249】
このように、電子機器80を起動させるための個人認証を実行するたびに、ユーザーの生体情報の取得を実行することができる。これにより、ユーザーに意識させずに継続的に生体情報を蓄積することができるため、継続的な健康管理を行うことができる。また、健康管理のためのアプリケーションソフトなどを、その都度ユーザーが実行する必要がなく、生体情報の取得及び更新が途切れてしまう恐れがないため、好ましい。
【0250】
〔構成例2〕
図14Aに、電子機器80aの概略図を示している。電子機器80aは、上記電子機器80に加えて、一対の電極83、カメラ84、及びマイク86を有している。
【0251】
一対の電極83は、筐体82の一部に、表示部81を挟んで設けられている。電極83は、心電図を取得するための電極として機能する。ユーザーは一対の電極83を両手で把持することにより、心電図を測定することができる。
図14Aに示すように、一対の電極83を筐体82の長手方向に配置することで、横長の画面で電子機器80aを使用する際に、ユーザーが意識することなく心電図の取得を実行することができる。
【0252】
カメラ84は、ユーザーの顔などを撮像することができる。ユーザーの顔の画像から、表情、瞳孔、虹彩、顔色などの生体情報を取得することができる。
【0253】
マイク86は、ユーザーの声を取得することができる。取得した声の情報から、声紋認証に用いることのできる声紋情報を取得することができる。また、声の情報を定期的に取得し、その声質の変化をモニタすることにより、健康管理にも利用することもできる。
【0254】
図14Bは、電子機器80aの使用状態の例を示している。表示部81には、一対の電極83で取得した心電図の情報88aと、心拍数の情報88bと、種々の生体情報から推定されたユーザーの健康状態の情報を示すキャラクター画像88cなどが表示されている。
【0255】
〔構成例3〕
図15Aには、表示部81を3つに折り畳むことのできる電子機器80bを示している。電子機器80bは、筐体82a、筐体82b、及び筐体82cに亘って、表示部81が設けられている。表示部81には、可撓性を有する表示装置が適用されている。
【0256】
筐体82aと筐体82bとは、連結部89aによって連結されている。筐体82bと筐体82cとは、連結部89bによって連結されている。電子機器80bは、表示部81を開いた状態と、表示部81を3つに折り畳んだ状態とに、変形することができる。
【0257】
図15Aに示すように、一対の電極83は、電子機器80bを変形させる際にユーザーの手が触れる位置に設けられている。これにより、電子機器80bの開閉動作を行う際に、意識することなく生体情報(心電図等)を取得することができる。
【0258】
また
図15Bには、表示部81を2つに折り畳むことのできる電子機器80cを示している。電子機器80cは、連結部89cにより連結された筐体82d及び筐体82eに亘って表示部81が設けられている。
【0259】
ここでは、表示部81が内側になるように折り畳む場合の例を示したが、表示部81が外側になるように折り畳まれる構成としてもよい。
【0260】
図16A及び
図16Bには、腕時計型の電子機器80dを示している。電子機器80dは、表示部81、筐体82、一対のバンド87、センサ77、ベゼル75、及びボタン76等を有している。
【0261】
表示部81には、上記表示装置を適用できる。表示部81に指先を触れることで、指紋認証等を行うことができる。また、表示部81はタッチパネルとしても機能することができる。
【0262】
センサ77は、筐体82の表示部81が設けられている側とは反対側に設けられており、腕に触れる部分に位置する。センサ77としては、接触式のセンサ、または光学式のセンサ等を用いることができる。接触式のセンサにより、拍動や体温などの生体情報を取得することができる。光学センサとしては、赤外光または可視光を用いて、血管や真皮などから生体情報を取得することができる。
【0263】
また、筐体82の内部には、加速度センサ、磁気センサ、紫外線センサなどの各種センサが設けられていてもよい。これらのセンサにより、ユーザーの姿勢や活動記録、及び環境の情報を得ることができる。
【0264】
[システムの構成例]
本発明の一態様によれば、様々な生体情報を定期的、且つ、継続的に取得することができ、これら生体情報を個人認証や、健康管理に利用することができる。
【0265】
例えば、可視光及び赤外光を用いることで得られる生体情報としては、指紋、掌紋、静脈形状、脈波、呼吸数、脈拍、酸素飽和度、血糖値、中性脂肪濃度などが挙げられる。また、このほかに、表情、顔色、瞳孔、声紋などが挙げられる。このような様々な生体情報を用いることで、ユーザーの健康状態を総合的に判定できるため好ましい。
【0266】
測定された複数の生体情報のそれぞれについて、個別に正常値であるか、異常値であるかを判定し、それら複数の判定結果に基づいて、ユーザーの健康状態を判定することができる。または、測定された複数の生体情報のそれぞれについて、ユーザーの状態を判定(例えば脈拍の数値から、高め、低め、または通常であると判定する)し、それら複数の判定結果に基づいて、ユーザーの健康状態を判定してもよい。このような方法は、得られた判定結果に対する根拠が明快であるため、ユーザーに改善案を提示しやすい、といったメリットがある。
【0267】
一方、測定された全ての生体情報について特徴量を抽出し、当該特徴量から、ユーザーの健康状態を判定してもよい。このような方法によれば、個々の生体情報だけでなく、複数の生体情報の相関関係に基づいた判定が容易であるため、検知精度を高めることができる。
【0268】
様々な生体情報からユーザーの健康状態を判定するための分類器または識別器としては、機械学習により学習された機械学習モデルを用いることが好ましい。機械学習としては、大きく分けて教師あり機械学習、教師なし機械学習、及び外れ値検知などがある。
【0269】
教師あり機械学習としては、K-最近傍法、ナイーブベイズクラス分類器、決定木、サポートベクタマシン(SVM)、ランダムフォレスト、ニューラルネットワークなどがある。特にニューラルネットワークを用いることで、特徴量の抽出の段階で学習することも可能であるため、複数の情報から特徴量を抽出する方法に適している。教師あり機械学習には、ラベル付きの情報が必要となる。このとき、あらかじめラベル付きの教師データで学習された学習モデルを利用してもよいし、生体情報の取得時に、ユーザーが入力した体調や健康状態などに関する情報をラベルに用いて学習を行い、随時学習モデルを更新してもよい。また、表情や声紋、活動強度などの情報から、ユーザーの健康状態を推定し、この情報をラベルとして用いて学習を行い、随時学習モデルを更新してもよい。
【0270】
教師なし機械学習に用いられる、特徴量の抽出法としては、主成分分析(PCA:Principal Component Analysis)や非負値行列因子分解(NMF:Non-negative Matrix Factorization)などが挙げられる。また、分類器としてはk-meansクラスタリング、DBSCAN(Density-Based Spatial Clustering of Applications with Noise)などが挙げられる。
【0271】
取得した複数の生体情報の判定には、教師あり機械学習モデルと、教師なし機械学習モデルとを組み合わせて用いてもよい。このとき、教師なし機械学習モデルによって分類された各分類のラベルとして、他の教師あり機械学習モデルで用いるラベルを用いてもよい。
【0272】
外れ値検知は、取得した生体情報、または、一もしくは複数の生体情報から得られる特徴量が、正常な領域から外れた外れ値であるか否かを検知する。外れ値として検知されたとき、ユーザーの健康状態が正常から外れている可能性が高いことが推定される。
【0273】
外れ値を検知するモデルとしては、k-近傍法、LOF(Local Outlier Factor)、One class SVM、マハラビノス距離などがある。外れ値検知としては、各情報を組み合わせた多次元のデータを用いることが有効である。例えば、生体情報を取得する際のユーザーの状態(立っている、座っている、または移動しているなど)と、取得された生体情報との間に強い相関がある場合に、特に有効である。複数の情報をもとに外れ値検知を実行することで、ユーザーの状態を加味した判定が可能となるため、誤検知を防止することができる。また、生体情報がユーザーの状態などに応じて時間的に変化する情報(脈拍、呼吸数など)である場合には、スライド窓を用いた近傍法や、動的時間軸伸縮(DTW:Dynamic Time Warping)法、特異スペクトラル変換法などを用いてもよい。また、周期的に変化する生体情報であれば、LSTM(Long Short Term Memory)などを用いて予測モデルからの外れを検知してもよい。
【0274】
以下では、本発明の一態様のシステムの構成例、及びシステムの動作例について、図面を参照して説明する。
【0275】
図17に、本発明の一態様の表示装置を備えるシステム90のブロック図を示している。システム90は、演算部91、記憶部92、入力部93、出力部94、及びバスライン95等を有する。システム90は、上述した電子機器80など、表示部を有する様々な電子機器に適用することができる。
【0276】
演算部91は、バスライン95を介して記憶部92、入力部93、及び出力部94等と接続され、これらを統括的に制御する機能を有する。
【0277】
記憶部92は、データやプログラムなどを格納する機能を有する。ここでは、記憶部92に、指紋認証のための学習モデル92a、静脈認証のための学習モデル92b、異常検知のための学習モデル92c、及び、過去に取得したユーザーの生体情報や、記録した異常の情報を含むローカルデータ92d等が格納されている。
【0278】
入力部93は、様々な生体情報を取得する機能を有する。入力部93としては、各種センサ装置を適用することができる。ここでは、入力部93が、光センサ93a、カメラ93b、マイク93c、心電モニタ93d等を有する例を示している。光センサ93aとしては、上記表示装置が備える受光素子を用いたセンサを適用することができる。心電モニタ93dは、例えば心電図を測定するための一対の電極と、電極間の電圧、または電極間に流れる電流値などを測定する測定器とを含む構成とすればよい。
【0279】
出力部94は、ユーザーに対して情報を提供する機能を有する。ここでは、出力部94として、ディスプレイ94a、スピーカ94b、及び振動装置94c等を有する例を示している。出力部94は、例えば健康状態が正常ではないと判定されたときに、ユーザーに対してアラートを出すために用いることができる。
【0280】
本発明の一態様の表示装置は、光センサとして機能する受光素子と、表示部を構成する発光素子と、を有するため、一つの表示装置で、
図17に示す入力部93の光センサ93a、及び出力部94のディスプレイ94aとを兼ねることができる。すなわちシステム90は、当該表示装置と、演算部91と、記憶部92と、を有する構成により実現することができる。
【0281】
例えば表示装置がユーザーの指紋または静脈などの生体情報を取得する機能を有し、演算部91が、記憶部92に格納された学習モデル92aまたは学習モデル92bと、当該生体情報とに基づいて、指紋認証、または静脈認証を実行することができる。
【0282】
また、表示装置が、ユーザーの他の生体情報(酸素飽和度、血糖値、中性脂肪濃度など)を取得する機能を有し、演算部91が、記憶部92に格納された学習モデル92cと、当該生体情報とに基づいて、異常検知を実行することができる。
【0283】
以下では、本発明の一態様のシステムの動作方法の例について説明する。
図18は、システムの動作方法に係るフローチャートである。
図18に示すフローチャートは、ステップS0乃至ステップS9を有する。
【0284】
ステップS0において、動作を開始する。例えば、電子機器の電源が入れられること、表示部に触れられること、または電子機器の姿勢が変化したことなどを検知したときに、動作が開始される。
【0285】
ステップS1において、認証が必要かどうかの判断を行う。すでに認証が実行され、システムがログイン状態である場合には、認証は不要であると判断し、ステップS4に移行する。一方、ログオフ状態である場合には、認証が必要であると判断し、ステップS2に移行する。
【0286】
ステップS2において、認証情報を取得する。例えば、ユーザーの指紋、掌紋、静脈などを撮像し、撮像された画像から、生体情報の取得を実行する。
【0287】
ステップS3において、認証が正しく行われたか否かを判定する。例えば、指紋、掌紋、または静脈の情報と、あらかじめ登録されたユーザーの情報とを照合し、一致するか否かを判定する。また、判定は上記学習モデル92a及び学習モデル92bなど、機械学習モデルを用いて行ってもよい。または、機械学習モデルを用いない、パターンマッチング法などの認証方法を用いてもよい。認証が正しく行われた場合には、システムのログインが行われたのち、ステップS4に移行する。認証が正しく行われない場合には、システムのログオフ状態が維持され、再度ステップS1に戻る。
【0288】
ステップS4において、健康状態の判定に用いるための生体情報の取得を行う。生体情報の取得は、入力部93の各コンポーネントにより取得することができる。取得する生体情報としては、例えば、指紋、掌紋、静脈形状、脈波、呼吸数、酸素飽和度、血糖値、中性脂肪濃度、表情、顔色、瞳孔、声紋、体温等のうち、一以上の情報を取得することが好ましい。
【0289】
ステップS5において、取得した生体情報を用いて異常検知を実行する。異常検知は、上記異常検知のための学習モデル92cを用いて行うことができる。
【0290】
ステップS6において、異常検知の結果が異常であるか、異常ではないかの判定を行う。異常ではないと判定された場合には、ステップS7に移行する。一方、異常であると判定された場合には、ステップS8に移行する。
【0291】
ステップS7において、取得した生体情報のデータ、またはその加工データ(特徴量など)に対して、異常ではない旨のラベル付けを行い、学習データとして記憶部92に格納されるローカルデータ92dに追加する。これにより、各ユーザーに合わせた学習モデルを構築できるため、異常検知の精度を高めることができる。
【0292】
ステップS8において、異常である旨をユーザーにアラートする動作を実行する。例えば、出力部94の各コンポーネントを用いて、ユーザーの視覚、聴覚、触覚、嗅覚などに対して刺激を与える動作を行う。より具体的な例としては、ディスプレイ94aに画像やテキストを表示する、スピーカ94bを用いて音声情報としてユーザーに知らせる、振動装置94cを用いて電子機器を振動させるなどの動作を実行する。また、これら動作の2つ以上を同時に実行することで、ユーザーに意識付けをしやすくなるため好ましい。
【0293】
ステップS9では、取得した生体情報のデータ、またはその加工データに対して、異常である旨のラベル付けを行い、記憶部92に格納されるローカルデータ92dに追加する。
【0294】
ステップS9ののちは、
図18に示すように、ステップS4に移行してもよい。
【0295】
このように、本発明の一態様のシステムは、ユーザーの健康管理にかかる動作を、システムの認証動作と組み合わせて実行することができる。これにより、ユーザー自身が健康管理のためのアプリケーションソフトなどを実行する必要がなく、電子機器の起動時や、ログイン動作時に、意識することなく健康管理を行うことができるため、定期的かつ継続的な健康管理が可能となる。
【0296】
以上が、本発明の一態様のシステムの構成例、及び動作例についての説明である。
【0297】
[金属酸化物について]
以下では、半導体層に適用可能な金属酸化物について説明する。
【0298】
なお、本明細書等において、窒素を有する金属酸化物も金属酸化物(metal oxide)と総称する場合がある。また、窒素を有する金属酸化物を、金属酸窒化物(metal oxynitride)と呼称してもよい。例えば、亜鉛酸窒化物(ZnON)などの窒素を有する金属酸化物を、半導体層に用いてもよい。
【0299】
なお、本明細書等において、CAAC(c-axis aligned crystal)、及びCAC(Cloud-Aligned Composite)と記載する場合がある。CAACは結晶構造の一例を表し、CACは機能または材料の構成の一例を表す。
【0300】
例えば、半導体層にはCAC(Cloud-Aligned Composite)-OS(Oxide Semiconductor)を用いることができる。
【0301】
CAC-OSまたはCAC-metal oxideとは、材料の一部では導電性の機能と、材料の一部では絶縁性の機能とを有し、材料の全体では半導体としての機能を有する。なお、CAC-OSまたはCAC-metal oxideを、トランジスタの半導体層に用いる場合、導電性の機能は、キャリアとなる電子(またはホール)を流す機能であり、絶縁性の機能は、キャリアとなる電子を流さない機能である。導電性の機能と、絶縁性の機能とを、それぞれ相補的に作用させることで、スイッチングさせる機能(On/Offさせる機能)をCAC-OSまたはCAC-metal oxideに付与することができる。CAC-OSまたはCAC-metal oxideにおいて、それぞれの機能を分離させることで、双方の機能を最大限に高めることができる。
【0302】
また、CAC-OSまたはCAC-metal oxideは、導電性領域、及び絶縁性領域を有する。導電性領域は、上述の導電性の機能を有し、絶縁性領域は、上述の絶縁性の機能を有する。また、材料中において、導電性領域と、絶縁性領域とは、ナノ粒子レベルで分離している場合がある。また、導電性領域と、絶縁性領域とは、それぞれ材料中に偏在する場合がある。また、導電性領域は、周辺がぼけてクラウド状に連結して観察される場合がある。
【0303】
また、CAC-OSまたはCAC-metal oxideにおいて、導電性領域と、絶縁性領域とは、それぞれ0.5nm以上10nm以下、好ましくは0.5nm以上3nm以下のサイズで材料中に分散している場合がある。
【0304】
また、CAC-OSまたはCAC-metal oxideは、異なるバンドギャップを有する成分により構成される。例えば、CAC-OSまたはCAC-metal oxideは、絶縁性領域に起因するワイドギャップを有する成分と、導電性領域に起因するナローギャップを有する成分と、により構成される。当該構成の場合、キャリアを流す際に、ナローギャップを有する成分において、主にキャリアが流れる。また、ナローギャップを有する成分が、ワイドギャップを有する成分に相補的に作用し、ナローギャップを有する成分に連動してワイドギャップを有する成分にもキャリアが流れる。このため、上記CAC-OSまたはCAC-metal oxideをトランジスタのチャネル形成領域に用いる場合、トランジスタのオン状態において高い電流駆動力、つまり大きなオン電流、及び高い電界効果移動度を得ることができる。
【0305】
すなわち、CAC-OSまたはCAC-metal oxideは、マトリックス複合材(matrix composite)、または金属マトリックス複合材(metal matrix composite)と呼称することもできる。
【0306】
酸化物半導体(金属酸化物)は、単結晶酸化物半導体と、それ以外の非単結晶酸化物半導体と、に分けられる。非単結晶酸化物半導体としては、例えば、CAAC-OS(c-axis aligned crystalline oxide semiconductor)、多結晶酸化物半導体、nc-OS(nanocrystalline oxide semiconductor)、擬似非晶質酸化物半導体(a-like OS:amorphous-like oxide semiconductor)、及び非晶質酸化物半導体などがある。
【0307】
CAAC-OSは、c軸配向性を有し、かつa-b面方向において複数のナノ結晶が連結し、歪みを有した結晶構造となっている。なお、歪みとは、複数のナノ結晶が連結する領域において、格子配列の揃った領域と、別の格子配列の揃った領域と、の間で格子配列の向きが変化している箇所を指す。
【0308】
ナノ結晶は、六角形を基本とするが、正六角形状とは限らず、非正六角形状である場合がある。また、歪みにおいて、五角形及び七角形などの格子配列を有する場合がある。なお、CAAC-OSにおいて、歪み近傍においても、明確な結晶粒界(グレインバウンダリーともいう。)を確認することは難しい。すなわち、格子配列の歪みによって、結晶粒界の形成が抑制されていることがわかる。これは、CAAC-OSが、a-b面方向において酸素原子の配列が稠密でないことや、金属元素が置換することで原子間の結合距離が変化することなどによって、歪みを許容することができるためである。
【0309】
また、CAAC-OSは、インジウム、及び酸素を有する層(以下、In層)と、元素M、亜鉛、及び酸素を有する層(以下、(M,Zn)層)とが積層した、層状の結晶構造(層状構造ともいう)を有する傾向がある。なお、インジウムと元素Mは、互いに置換可能であり、(M,Zn)層の元素Mがインジウムと置換した場合、(In,M,Zn)層と表すこともできる。また、In層のインジウムが元素Mと置換した場合、(In,M)層と表すこともできる。
【0310】
CAAC-OSは結晶性の高い金属酸化物である。一方、CAAC-OSは、明確な結晶粒界を確認することが難しいため、結晶粒界に起因する電子移動度の低下が起こりにくいといえる。また、金属酸化物の結晶性は不純物の混入や欠陥の生成などによって低下する場合があるため、CAAC-OSは不純物や欠陥(酸素欠損(VO:oxygen vacancyともいう。)など)の少ない金属酸化物ともいえる。したがって、CAAC-OSを有する金属酸化物は、物理的性質が安定する。そのため、CAAC-OSを有する金属酸化物は熱に強く、信頼性が高い。
【0311】
nc-OSは、微小な領域(例えば、1nm以上10nm以下の領域、特に1nm以上3nm以下の領域)において原子配列に周期性を有する。また、nc-OSは、異なるナノ結晶間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、膜全体で配向性が見られない。したがって、nc-OSは、分析方法によっては、a-like OSや非晶質酸化物半導体と区別が付かない場合がある。
【0312】
なお、インジウムと、ガリウムと、亜鉛と、を有する金属酸化物の一種である、インジウム-ガリウム-亜鉛酸化物(以下、IGZO)は、上述のナノ結晶とすることで安定な構造をとる場合がある。特に、IGZOは、大気中では結晶成長し難い傾向があるため、大きな結晶(ここでは、数mmの結晶、または数cmの結晶)よりも小さな結晶(例えば、上述のナノ結晶)とする方が、構造的に安定となる場合がある。
【0313】
a-like OSは、nc-OSと非晶質酸化物半導体との間の構造を有する金属酸化物である。a-like OSは、鬆または低密度領域を有する。すなわち、a-like OSは、nc-OS及びCAAC-OSと比べて、結晶性が低い。
【0314】
酸化物半導体(金属酸化物)は、多様な構造をとり、それぞれが異なる特性を有する。本発明の一態様の酸化物半導体は、非晶質酸化物半導体、多結晶酸化物半導体、a-like OS、nc-OS、CAAC-OSのうち、二種以上を有していてもよい。
【0315】
半導体層として機能する金属酸化物膜は、不活性ガス及び酸素ガスのいずれか一方または双方を用いて成膜することができる。なお、金属酸化物膜の成膜時における酸素の流量比(酸素分圧)に、特に限定はない。ただし、電界効果移動度が高いトランジスタを得る場合においては、金属酸化物膜の成膜時における酸素の流量比(酸素分圧)は、0%以上30%以下が好ましく、5%以上30%以下がより好ましく、7%以上15%以下がさらに好ましい。
【0316】
金属酸化物は、エネルギーギャップが2eV以上であることが好ましく、2.5eV以上であることがより好ましく、3eV以上であることがさらに好ましい。このように、エネルギーギャップの広い金属酸化物を用いることで、トランジスタのオフ電流を低減することができる。
【0317】
金属酸化物膜の成膜時の基板温度は、350℃以下が好ましく、室温以上200℃以下がより好ましく、室温以上130℃以下がさらに好ましい。金属酸化物膜の成膜時の基板温度が室温であると、生産性を高めることができ、好ましい。
【0318】
金属酸化物膜は、スパッタリング法により形成することができる。そのほか、例えばPLD法、PECVD法、熱CVD法、ALD法、真空蒸着法などを用いてもよい。
【0319】
以上が、金属酸化物についての説明である。
【0320】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【0321】
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の一態様の表示装置について、
図19を用いて説明する。
【0322】
本発明の一態様の表示装置は、受光素子を有する第1の画素回路と、発光素子を有する第2の画素回路と、を有する。第1の画素回路と第2の画素回路は、それぞれ、マトリクス状に配置される。
【0323】
図19Aに、受光素子を有する第1の画素回路の一例を示し、
図19Bに、発光素子を有する第2の画素回路の一例を示す。
【0324】
図19Aに示す画素回路PIX1は、受光素子PD、トランジスタM1、トランジスタM2、トランジスタM3、トランジスタM4、及び容量素子C1を有する。ここでは、受光素子PDとして、フォトダイオードを用いた例を示している。
【0325】
受光素子PDは、カソードが配線V1と電気的に接続し、アノードがトランジスタM1のソースまたはドレインの一方と電気的に接続する。トランジスタM1は、ゲートが配線TXと電気的に接続し、ソースまたはドレインの他方が容量素子C1の一方の電極、トランジスタM2のソースまたはドレインの一方、及びトランジスタM3のゲートと電気的に接続する。トランジスタM2は、ゲートが配線RESと電気的に接続し、ソースまたはドレインの他方が配線V2と電気的に接続する。トランジスタM3は、ソースまたはドレインの一方が配線V3と電気的に接続し、ソースまたはドレインの他方がトランジスタM4のソースまたはドレインの一方と電気的に接続する。トランジスタM4は、ゲートが配線SEと電気的に接続し、ソースまたはドレインの他方が配線OUT1と電気的に接続する。
【0326】
配線V1、配線V2、及び配線V3には、それぞれ定電位が供給される。受光素子PDを逆バイアスで駆動させる場合には、配線V2に、配線V1の電位よりも低い電位を供給する。トランジスタM2は、配線RESに供給される信号により制御され、トランジスタM3のゲートに接続するノードの電位を、配線V2に供給される電位にリセットする機能を有する。トランジスタM1は、配線TXに供給される信号により制御され、受光素子PDに流れる電流に応じて上記ノードの電位が変化するタイミングを制御する機能を有する。トランジスタM3は、上記ノードの電位に応じた出力を行う増幅トランジスタとして機能する。トランジスタM4は、配線SEに供給される信号により制御され、上記ノードの電位に応じた出力を配線OUT1に接続する外部回路で読み出すための選択トランジスタとして機能する。
【0327】
図19Bに示す画素回路PIX2は、発光素子EL、トランジスタM5、トランジスタM6、トランジスタM7、及び容量素子C2を有する。ここでは、発光素子ELとして、発光ダイオードを用いた例を示している。特に、発光素子ELとして、有機EL素子を用いることが好ましい。
【0328】
トランジスタM5は、ゲートが配線VGと電気的に接続し、ソースまたはドレインの一方が配線VSと電気的に接続し、ソースまたはドレインの他方が、容量素子C2の一方の電極、及びトランジスタM6のゲートと電気的に接続する。トランジスタM6のソースまたはドレインの一方は配線V4と電気的に接続し、他方は、発光素子ELのアノード、及びトランジスタM7のソースまたはドレインの一方と電気的に接続する。トランジスタM7は、ゲートが配線MSと電気的に接続し、ソースまたはドレインの他方が配線OUT2と電気的に接続する。発光素子ELのカソードは、配線V5と電気的に接続する。
【0329】
配線V4及び配線V5には、それぞれ定電位が供給される。発光素子ELのアノード側を高電位に、カソード側をアノード側よりも低電位にすることができる。トランジスタM5は、配線VGに供給される信号により制御され、画素回路PIX2の選択状態を制御するための選択トランジスタとして機能する。また、トランジスタM6は、ゲートに供給される電位に応じて発光素子ELに流れる電流を制御する駆動トランジスタとして機能する。トランジスタM5が導通状態のとき、配線VSに供給される電位がトランジスタM6のゲートに供給され、その電位に応じて発光素子ELの発光輝度を制御することができる。トランジスタM7は配線MSに供給される信号により制御され、トランジスタM6と発光素子ELとの間の電位を、配線OUT2を介して外部に出力する機能を有する。
【0330】
なお、本実施の形態の表示装置では、発光素子をパルス状に発光させることで、画像を表示してもよい。発光素子の駆動時間を短縮することで、表示装置の消費電力の低減、及び、発熱の抑制を図ることができる。特に、有機EL素子は周波数特性が優れているため、好適である。周波数は、例えば、1kHz以上100MHz以下とすることができる。
【0331】
ここで、画素回路PIX1が有するトランジスタM1、トランジスタM2、トランジスタM3、及びトランジスタM4、並びに、画素回路PIX2が有するトランジスタM5、トランジスタM6、及びトランジスタM7には、それぞれチャネルが形成される半導体層に金属酸化物(酸化物半導体)を用いたトランジスタを適用することが好ましい。
【0332】
シリコンよりもバンドギャップが広く、かつキャリア密度の小さい金属酸化物を用いたトランジスタは、極めて小さいオフ電流を実現することができる。そのため、その小さいオフ電流により、トランジスタと直列に接続された容量素子に蓄積した電荷を長期間に亘って保持することが可能である。そのため、特に容量素子C1または容量素子C2に直列に接続されるトランジスタM1、トランジスタM2、及びトランジスタM5には、酸化物半導体が適用されたトランジスタを用いることが好ましい。また、これ以外のトランジスタも同様に酸化物半導体を適用したトランジスタを用いることで、作製コストを低減することができる。
【0333】
また、トランジスタM1乃至トランジスタM7に、チャネルが形成される半導体にシリコンを適用したトランジスタを用いることもできる。特に単結晶シリコンや多結晶シリコンなどの結晶性の高いシリコンを用いることで、高い電界効果移動度を実現することができ、より高速な動作が可能となるため好ましい。
【0334】
また、トランジスタM1乃至トランジスタM7のうち、一以上に酸化物半導体を適用したトランジスタを用い、それ以外にシリコンを適用したトランジスタを用いる構成としてもよい。
【0335】
なお、
図19A、及び
図19Bにおいて、トランジスタをnチャネル型のトランジスタとして表記しているが、pチャネル型のトランジスタを用いることもできる。
【0336】
画素回路PIX1が有するトランジスタと画素回路PIX2が有するトランジスタは、同一基板上に並べて形成されることが好ましい。特に、画素回路PIX1が有するトランジスタと画素回路PIX2が有するトランジスタとを1つの領域内に混在させて周期的に配列する構成とすることが好ましい。
【0337】
また、受光素子PDまたは発光素子ELと重なる位置に、トランジスタ及び容量素子の一方又は双方を有する層を1つまたは複数設けることが好ましい。これにより、各画素回路の実効的な占有面積を小さくでき、高精細な受光部または表示部を実現できる。
【0338】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【0339】
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明の一態様の電子機器について、
図20~
図22を用いて説明する。
【0340】
本実施の形態の電子機器は、本発明の一態様の表示装置を有する。例えば、電子機器の表示部に、本発明の一態様の表示装置を適用することができる。本発明の一態様の表示装置は、光を検出する機能を有するため、表示部で生体認証を行うこと、または、タッチもしくはニアタッチを検出することができる。これにより、電子機器の機能性や利便性などを高めることができる。
【0341】
電子機器としては、例えば、テレビジョン装置、デスクトップ型もしくはノート型のパーソナルコンピュータ、コンピュータ用などのモニタ、デジタルサイネージ、パチンコ機などの大型ゲーム機などの比較的大きな画面を備える電子機器の他、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置、などが挙げられる。
【0342】
本実施の形態の電子機器は、センサ(力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、においまたは赤外線を測定する機能を含むもの)を有していてもよい。
【0343】
本実施の形態の電子機器は、様々な機能を有することができる。例えば、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像など)を表示部に表示する機能、タッチパネル機能、カレンダー、日付または時刻などを表示する機能、様々なソフトウェア(プログラム)を実行する機能、無線通信機能、記録媒体に記録されているプログラムまたはデータを読み出す機能等を有することができる。
【0344】
図20Aに示す電子機器6500は、スマートフォンとして用いることのできる携帯情報端末機である。
【0345】
電子機器6500は、筐体6501、表示部6502、電源ボタン6503、ボタン6504、スピーカ6505、マイク6506、カメラ6507、及び光源6508等を有する。表示部6502はタッチパネル機能を備える。
【0346】
表示部6502に、本発明の一態様の表示装置を適用することができる。
【0347】
図20Bは、筐体6501のマイク6506側の端部を含む断面概略図である。
【0348】
筐体6501の表示面側には透光性を有する保護部材6510が設けられ、筐体6501と保護部材6510に囲まれた空間内に、表示パネル6511、光学部材6512、タッチセンサパネル6513、プリント基板6517、バッテリ6518等が配置されている。
【0349】
保護部材6510には、表示パネル6511、光学部材6512、及びタッチセンサパネル6513が接着層(図示しない)により固定されている。
【0350】
表示部6502よりも外側の領域において、表示パネル6511の一部が折り返されており、当該折り返された部分にFPC6515が接続されている。FPC6515には、IC6516が実装されている。FPC6515は、プリント基板6517に設けられた端子に接続されている。
【0351】
表示パネル6511には本発明の一態様のフレキシブルディスプレイを適用することができる。そのため、極めて軽量な電子機器を実現できる。また、表示パネル6511が極めて薄いため、電子機器の厚さを抑えつつ、大容量のバッテリ6518を搭載することもできる。また、表示パネル6511の一部を折り返して、画素部の裏側にFPC6515との接続部を配置することにより、狭額縁の電子機器を実現できる。
【0352】
図21Aにテレビジョン装置の一例を示す。テレビジョン装置7100は、筐体7101に表示部7000が組み込まれている。ここでは、スタンド7103により筐体7101を支持した構成を示している。
【0353】
表示部7000に、本発明の一態様の表示装置を適用することができる。
【0354】
図21Aに示すテレビジョン装置7100の操作は、筐体7101が備える操作スイッチや、別体のリモコン操作機7111により行うことができる。または、表示部7000にタッチセンサを備えていてもよく、指等で表示部7000に触れることでテレビジョン装置7100を操作してもよい。リモコン操作機7111は、当該リモコン操作機7111から出力する情報を表示する表示部を有していてもよい。リモコン操作機7111が備える操作キーまたはタッチパネルにより、チャンネル及び音量の操作を行うことができ、表示部7000に表示される映像を操作することができる。
【0355】
なお、テレビジョン装置7100は、受信機及びモデムなどを備えた構成とする。受信機により一般のテレビ放送の受信を行うことができる。また、モデムを介して有線または無線による通信ネットワークに接続することにより、一方向(送信者から受信者)または双方向(送信者と受信者間、あるいは受信者間同士など)の情報通信を行うことも可能である。
【0356】
図21Bに、ノート型パーソナルコンピュータの一例を示す。ノート型パーソナルコンピュータ7200は、筐体7211、キーボード7212、ポインティングデバイス7213、外部接続ポート7214等を有する。筐体7211に、表示部7000が組み込まれている。
【0357】
表示部7000に、本発明の一態様の表示装置を適用することができる。
【0358】
【0359】
図21Cに示すデジタルサイネージ7300は、筐体7301、表示部7000、及びスピーカ7303等を有する。さらに、LEDランプ、操作キー(電源スイッチ、または操作スイッチを含む)、接続端子、各種センサ、マイクロフォン等を有することができる。
【0360】
図21Dは円柱状の柱7401に取り付けられたデジタルサイネージ7400である。デジタルサイネージ7400は、柱7401の曲面に沿って設けられた表示部7000を有する。
【0361】
図21C及び
図21Dにおいて、表示部7000に、本発明の一態様の表示装置を適用することができる。
【0362】
表示部7000が広いほど、一度に提供できる情報量を増やすことができる。また、表示部7000が広いほど、人の目につきやすく、例えば、広告の宣伝効果を高めることができる。
【0363】
表示部7000にタッチパネルを適用することで、表示部7000に画像または動画を表示するだけでなく、ユーザーが直感的に操作することができ、好ましい。また、路線情報もしくは交通情報などの情報を提供するための用途に用いる場合には、直感的な操作によりユーザビリティを高めることができる。
【0364】
また、
図21C、及び
図21Dに示すように、デジタルサイネージ7300またはデジタルサイネージ7400は、ユーザーが所持するスマートフォン等の情報端末機7311または情報端末機7411と無線通信により連携可能であることが好ましい。例えば、表示部7000に表示される広告の情報を、情報端末機7311または情報端末機7411の画面に表示させることができる。また、情報端末機7311または情報端末機7411を操作することで、表示部7000の表示を切り替えることができる。
【0365】
また、デジタルサイネージ7300またはデジタルサイネージ7400に、情報端末機7311または情報端末機7411の画面を操作手段(コントローラ)としたゲームを実行させることもできる。これにより、不特定多数のユーザーが同時にゲームに参加し、楽しむことができる。
【0366】
図22A乃至
図22Fに示す電子機器は、筐体9000、表示部9001、スピーカ9003、操作キー9005(電源スイッチ、または操作スイッチを含む)、接続端子9006、センサ9007(力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、においまたは赤外線を測定する機能を含むもの)、マイクロフォン9008、等を有する。
【0367】
図22A乃至
図22Fに示す電子機器は、様々な機能を有する。例えば、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像など)を表示部に表示する機能、タッチパネル機能、カレンダー、日付または時刻などを表示する機能、様々なソフトウェア(プログラム)によって処理を制御する機能、無線通信機能、記録媒体に記録されているプログラムまたはデータを読み出して処理する機能、等を有することができる。なお、電子機器の機能はこれらに限られず、様々な機能を有することができる。電子機器は、複数の表示部を有していてもよい。また、電子機器にカメラ等を設け、静止画や動画を撮影し、記録媒体(外部またはカメラに内蔵)に保存する機能、撮影した画像を表示部に表示する機能、等を有していてもよい。
【0368】
【0369】
図22Aは、携帯情報端末9101を示す斜視図である。携帯情報端末9101は、例えばスマートフォンとして用いることができる。なお、携帯情報端末9101は、スピーカ9003、接続端子9006、センサ9007等を設けてもよい。また、携帯情報端末9101は、文字や画像情報をその複数の面に表示することができる。
図22Aでは3つのアイコン9050を表示した例を示している。また、破線の矩形で示す情報9051を表示部9001の他の面に表示することもできる。情報9051の一例としては、電子メール、SNS、電話などの着信の通知、電子メールやSNSなどの題名、送信者名、日時、時刻、バッテリの残量、アンテナ受信の強度などがある。または、情報9051が表示されている位置にはアイコン9050などを表示してもよい。
【0370】
図22Bは、携帯情報端末9102を示す斜視図である。携帯情報端末9102は、表示部9001の3面以上に情報を表示する機能を有する。ここでは、情報9052、情報9053、情報9054がそれぞれ異なる面に表示されている例を示す。例えばユーザーは、洋服の胸ポケットに携帯情報端末9102を収納した状態で、携帯情報端末9102の上方から観察できる位置に表示された情報9053を確認することもできる。ユーザーは、携帯情報端末9102をポケットから取り出すことなく表示を確認し、例えば電話を受けるか否かを判断できる。
【0371】
図22Cは、腕時計型の携帯情報端末9200を示す斜視図である。携帯情報端末9200は、例えばスマートウォッチとして用いることができる。また、表示部9001はその表示面が湾曲して設けられ、湾曲した表示面に沿って表示を行うことができる。また、携帯情報端末9200は、例えば無線通信可能なヘッドセットと相互通信することによって、ハンズフリーで通話することもできる。また、携帯情報端末9200は、接続端子9006により、他の情報端末と相互にデータ伝送を行うことや、充電を行うこともできる。なお、充電動作は無線給電により行ってもよい。
【0372】
図22D、
図22E、及び
図22Fは、折り畳み可能な携帯情報端末9201を示す斜視図である。また、
図22Dは携帯情報端末9201を展開した状態、
図22Fは折り畳んだ状態、
図22Eは
図22Dと
図22Fの一方から他方に変化する途中の状態の斜視図である。携帯情報端末9201は、折り畳んだ状態では可搬性に優れ、展開した状態では継ぎ目のない広い表示領域により表示の一覧性に優れる。携帯情報端末9201が有する表示部9001は、ヒンジ9055によって連結された3つの筐体9000に支持されている。例えば、表示部9001は、曲率半径0.1mm以上150mm以下で曲げることができる。
【0373】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0374】
10A~10F:表示装置 21、22、23a、23c:光 23b、23d:反射光 30、31B、31G、31R、31W、32:画素 41、42:トランジスタ 50、50a~50g:表示装置 51、51a、51b、52:基板 53:受光素子 54:発光素子 55、55a、55b:機能層 57、57B、57G、57R:発光素子 58:反射層 59、59a~59c:導光板 60:指 60a:手 61:接触部 62:指紋 63:撮像範囲 65:スタイラス 66:軌跡 67:血管 71:樹脂層 72:導電層 75:ベゼル 76:ボタン 77:センサ 80、80a~80d:電子機器 81:表示部 82、82a~82e:筐体 83:電極 84:カメラ 85a~85c:領域 86:マイク 87:バンド 88a、88b:情報 88c:キャラクター画像 89a~89c:連結部 90:システム 91:演算部 92:記憶部 92a~92c:学習モデル 92d:ローカルデータ 93:入力部 93a:光センサ 93b:カメラ 93c:マイク 93d:心電モニタ 94:出力部 94a:ディスプレイ 94b:スピーカ 94c:振動装置 95:バスライン