(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023155331
(43)【公開日】2023-10-20
(54)【発明の名称】乳がんを処置するためのペプチドワクチンおよびペムブロリズマブ
(51)【国際特許分類】
A61K 39/395 20060101AFI20231013BHJP
A61K 38/17 20060101ALI20231013BHJP
A61K 38/03 20060101ALI20231013BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20231013BHJP
A61K 39/00 20060101ALI20231013BHJP
C07K 16/28 20060101ALI20231013BHJP
C07K 14/705 20060101ALI20231013BHJP
C07K 14/00 20060101ALI20231013BHJP
C12N 15/12 20060101ALI20231013BHJP
【FI】
A61K39/395 T
A61K38/17
A61K38/03
A61P35/00
A61K39/00 H
C07K16/28 ZNA
C07K14/705
C07K14/00
C12N15/12
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023138078
(22)【出願日】2023-08-28
(62)【分割の表示】P 2020543474の分割
【原出願日】2018-10-23
(31)【優先権主張番号】62/576,404
(32)【優先日】2017-10-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】520142963
【氏名又は名称】オンコペップ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ドリス ピーターキン
(72)【発明者】
【氏名】マーク エー. コーエン
(57)【要約】
【課題】乳がんを処置するためのペプチドワクチンおよびペムブロリズマブの提供。
【解決手段】本開示は、とりわけ、ペムブロリズマブならびに1つまたは複数の免疫原性XBP1由来ペプチド、CD138由来ペプチドおよびCS1由来ペプチドを含む併用療法を特色とする。本明細書の治療は、例えば、がんを有する対象において免疫応答を誘導するために、およびがん、例えば、乳がん、例えば、トリプルネガティブ乳がんを処置するために、使用され得る。実施形態では、免疫原性ペプチドは、MHCクラス1分子、例えば、HLA-A分子に結合する。X-ボックスタンパク質1(XBP1)、CD138およびCD2サブセット1(CS1)由来のペプチドは、免疫原性であり、例えば、種々のがん細胞に対する免疫応答を誘導するために有用である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、その全内容が参照により本明細書に組み込まれる2017年10月24日出願の米国特許出願番号第62/576,404号に対する優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
弱毒化微生物、組換えタンパク質およびDNAワクチンを含む、感染性疾患の予防のためのいくつかの型のワクチンが開発されている。最近、がん患者を処置するためのワクチン免疫療法の開発に関する研究が実施されてきた。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本開示は、併用療法、例えば、1つまたは複数の免疫原性ペプチドおよびペムブロリズマブに関する。実施形態では、免疫原性ペプチドは、MHCクラス1分子、例えば、HLA-A分子に結合する。X-ボックスタンパク質1(XBP1)、CD138およびCD2サブセット1(CS1)由来のペプチドは、免疫原性であり、例えば、種々のがん細胞に対する免疫応答を誘導するために有用である。
【0004】
本明細書の併用療法が、種々の適用、例えば、患者において免疫応答を誘導するための方法、T細胞(例えば、エフェクターメモリーT細胞および/またはセントラルメモリーT細胞を含む)を活性化するための方法、およびがん、例えば、乳がん、例えば、トリプルネガティブ乳がんを処置するための方法において使用され得ることが、以下の記載から明らかとなる。
【0005】
一部の態様では、本開示は、がん、例えば、乳がん、例えば、トリプルネガティブ乳がんを処置する方法であって、
(i)ペムブロリズマブ;ならびに
(ii)本明細書に記載される非スプライス型XBP1ペプチド、本明細書に記載されるスプライス型XBP1ペプチド、本明細書に記載されるCD138ペプチドおよび本明細書に記載されるCS-1ペプチドのうち1つまたは複数
を対象に投与するステップを含み、対象が、がん、例えば、乳がん、例えば、トリプルネガティブ乳がんを有する、またはそれを発症するリスクがある、方法を提供する。
【0006】
一部の態様では、本開示は、がん、例えば、乳がん、例えば、トリプルネガティブ乳がんを処置する際の使用のための、
本明細書に記載される非スプライス型XBP1ペプチド、本明細書に記載されるスプライス型XBP1ペプチド、本明細書に記載されるCD138ペプチドおよび本明細書に記載されるCS-1ペプチドのうち1つまたは複数
と組み合わせたペムブロリズマブを提供する。
【0007】
一部の態様では、本開示は、がん、例えば、乳がん、例えば、トリプルネガティブ乳がんを処置する際の使用のための、
(a)長さが35アミノ酸またはそれ未満であり、配列番号1のアミノ酸配列を含む非スプライス型XBP1ペプチド、例えば、配列番号1のアミノ酸配列からなる非スプライス型XBP1ペプチド、
(b)長さが35アミノ酸またはそれ未満であり、配列番号2のアミノ酸配列を含むスプライス型XBP1ペプチド、例えば、配列番号2のアミノ酸配列からなるスプライス型XBP1ペプチド、および
(c)長さが35アミノ酸またはそれ未満であり、配列番号3のアミノ酸配列を含むCD138ペプチド、例えば、配列番号3のアミノ酸配列からなるCD138ペプチド
と組み合わせたペムブロリズマブを提供する。
【0008】
一部の態様では、本開示は、がん、例えば、乳がん、例えば、トリプルネガティブ乳がんを処置する際の使用のための、
(a)長さが35アミノ酸またはそれ未満であり、配列番号1のアミノ酸配列を含む非スプライス型XBP1ペプチド、例えば、配列番号1のアミノ酸配列からなる非スプライス型XBP1ペプチド、
(b)長さが35アミノ酸またはそれ未満であり、配列番号2のアミノ酸配列を含むスプライス型XBP1ペプチド、例えば、配列番号2のアミノ酸配列からなるスプライス型XBP1ペプチド、
(c)長さが35アミノ酸またはそれ未満であり、配列番号3のアミノ酸配列を含むCD138ペプチド、例えば、配列番号3のアミノ酸配列からなるCD138ペプチド、および
(d)長さが35アミノ酸またはそれ未満であり、配列番号4のアミノ酸配列を含むCS-1ペプチド、例えば、配列番号4のアミノ酸配列からなるCS-1ペプチド
と組み合わせたペムブロリズマブを提供する。
【0009】
一部の態様では、本開示は、がん、例えば、乳がん、例えば、トリプルネガティブ乳がんを処置する際の使用のための、
(a)配列番号1のアミノ酸配列からなる非スプライス型XBP1ペプチド、
(b)配列番号2のアミノ酸配列からなるスプライス型XBP1ペプチド、および
(c)配列番号3のアミノ酸配列からなるCD138ペプチド
と組み合わせたペムブロリズマブを提供する。
【0010】
一部の態様では、本開示は、がん、例えば、乳がん、例えば、トリプルネガティブ乳がんを処置する際の使用のための、
(a)配列番号1のアミノ酸配列からなる非スプライス型XBP1ペプチド、
(b)配列番号2のアミノ酸配列からなるスプライス型XBP1ペプチド、
(c)配列番号3のアミノ酸配列からなるCD138ペプチド、および
(d)配列番号4のアミノ酸配列からなるCS-1ペプチド
と組み合わせたペムブロリズマブを提供する。
【0011】
一部の態様では、本開示は、対象において免疫応答を誘導するための方法であって、
(i)ペムブロリズマブ;ならびに
(ii)本明細書に記載される非スプライス型XBP1ペプチド、本明細書に記載されるスプライス型XBP1ペプチド、本明細書に記載されるCD138ペプチドおよび本明細書に記載されるCS-1ペプチドのうち1つまたは複数
を対象に送達するステップを含む、方法を提供する。
【0012】
一部の態様では、本開示は、対象、例えば、乳がん、例えば、トリプルネガティブ乳がんを有する対象において免疫応答を誘導する際の使用のための、
本明細書に記載される非スプライス型XBP1ペプチド、本明細書に記載されるスプライス型XBP1ペプチド、本明細書に記載されるCD138ペプチドおよび本明細書に記載されるCS-1ペプチドのうち1つまたは複数
と組み合わせたペムブロリズマブを提供する。
【0013】
一部の態様では、本開示は、乳がん、例えば、トリプルネガティブ乳がんを有する対象において免疫応答を誘導する際の使用のための、
(a)長さが35アミノ酸またはそれ未満であり、配列番号1のアミノ酸配列を含む非スプライス型XBP1ペプチド、例えば、配列番号1のアミノ酸配列からなる非スプライス型XBP1ペプチド、
(b)長さが35アミノ酸またはそれ未満であり、配列番号2のアミノ酸配列を含むスプライス型XBP1ペプチド、例えば、配列番号2のアミノ酸配列からなるスプライス型XBP1ペプチド、および
(c)長さが35アミノ酸またはそれ未満であり、配列番号3のアミノ酸配列を含むCD138ペプチド、例えば、配列番号3のアミノ酸配列からなるCD138ペプチド
と組み合わせたペムブロリズマブを提供する。
【0014】
一部の態様では、本開示は、乳がん、例えば、トリプルネガティブ乳がんを有する対象において免疫応答を誘導する際の使用のための、
(a)長さが35アミノ酸またはそれ未満であり、配列番号1のアミノ酸配列を含む非スプライス型XBP1ペプチド、例えば、配列番号1のアミノ酸配列からなる非スプライス型XBP1ペプチド、
(b)長さが35アミノ酸またはそれ未満であり、配列番号2のアミノ酸配列を含むスプライス型XBP1ペプチド、例えば、配列番号2のアミノ酸配列からなるスプライス型XBP1ペプチド、および
(c)長さが35アミノ酸またはそれ未満であり、配列番号3のアミノ酸配列を含むCD138ペプチド、例えば、配列番号3のアミノ酸配列からなるCD138ペプチド、および
(d)長さが35アミノ酸またはそれ未満であり、配列番号4のアミノ酸配列を含むCS-1ペプチド、例えば、配列番号4のアミノ酸配列からなるCS-1ペプチド
と組み合わせたペムブロリズマブを提供する。
【0015】
一部の態様では、本開示は、乳がん、例えば、トリプルネガティブ乳がんを有する対象において免疫応答を誘導する際の使用のための、
(a)配列番号1のアミノ酸配列からなる非スプライス型XBP1ペプチド、
(b)配列番号2のアミノ酸配列からなるスプライス型XBP1ペプチド、および
(c)配列番号3のアミノ酸配列からなるCD138ペプチド
と組み合わせたペムブロリズマブを提供する。
【0016】
一部の態様では、本開示は、乳がん、例えば、トリプルネガティブ乳がんを有する対象において免疫応答を誘導する際の使用のための、
(a)配列番号1のアミノ酸配列からなる非スプライス型XBP1ペプチド、
(b)配列番号2のアミノ酸配列からなるスプライス型XBP1ペプチド、
(c)配列番号3のアミノ酸配列からなるCD138ペプチド、および
(d)配列番号4のアミノ酸配列からなるCS-1ペプチド
と組み合わせたペムブロリズマブを提供する。
【0017】
一部の態様では、本開示は、乳がん、例えば、トリプルネガティブ乳がんを処置する方法であって、
(i)ペムブロリズマブ;ならびに
(ii):
(a)長さが35アミノ酸またはそれ未満であり、配列番号1のアミノ酸配列を含む非スプライス型XBP1ペプチド、例えば、配列番号1のアミノ酸配列からなる非スプライス型XBP1ペプチド、
(b)長さが35アミノ酸またはそれ未満であり、配列番号2のアミノ酸配列を含むスプライス型XBP1ペプチド、例えば、配列番号2のアミノ酸配列からなるスプライス型XBP1ペプチド、および
(c)長さが35アミノ酸またはそれ未満であり、配列番号3のアミノ酸配列を含むCD138ペプチド、例えば、配列番号3のアミノ酸配列からなるCD138ペプチド
を対象に投与するステップを含む、方法を提供する。
【0018】
一部の態様では、本開示は、乳がん、例えば、トリプルネガティブ乳がんを処置する方法であって、
(i)ペムブロリズマブ;ならびに
(ii):
(a)配列番号1のアミノ酸配列からなる非スプライス型XBP1ペプチド、
(b)配列番号2のアミノ酸配列からなるスプライス型XBP1ペプチド、および
(c)配列番号3のアミノ酸配列からなるCD138ペプチド
を対象に投与するステップを含む、方法を提供する。
【0019】
上記態様のいずれかには、以下の実施形態のうち1つまたは複数もまた関与し得る。
【0020】
一部の実施形態では、非スプライス型XBP1ペプチドは、長さが35アミノ酸またはそれ未満であり、配列番号1のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、スプライス型XBP1ペプチドは、長さが35アミノ酸またはそれ未満であり、配列番号2のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、CD138ペプチドは、長さが35アミノ酸またはそれ未満であり、配列番号3のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、CS-1ペプチドは、長さが35アミノ酸またはそれ未満であり、配列番号4のアミノ酸配列を含む。
【0021】
一部の実施形態では、非スプライス型XBP1ペプチドは、配列番号1のアミノ酸配列からなる。一部の実施形態では、スプライス型XBP1ペプチドは、配列番号2のアミノ酸配列からなる。一部の実施形態では、CD138ペプチドは、配列番号3のアミノ酸配列からなる。一部の実施形態では、CS-1ペプチドは、配列番号4のアミノ酸配列からなる。
【0022】
一部の実施形態では、この方法は、以下を投与するステップを含む、または使用のための組成物は、以下を含む:(a)本明細書に記載される非スプライス型XBP1ペプチド、(b)本明細書に記載されるスプライス型XBP1ペプチド、および(c)本明細書に記載されるCD138ペプチド。一部の実施形態では、この方法は、以下を投与するステップを含む、または使用のための組成物は、以下を含む:(a)長さが35アミノ酸またはそれ未満であり、配列番号1のアミノ酸配列を含む非スプライス型XBP1ペプチド、(b)長さが35アミノ酸またはそれ未満であり、配列番号2のアミノ酸配列を含むスプライス型XBP1ペプチド、および(c)長さが35アミノ酸またはそれ未満であり、配列番号3のアミノ酸配列を含むCD138ペプチド。一部の実施形態では、この方法は、以下を投与するステップを含む、または使用のための組成物は、以下を含む:(a)配列番号1のアミノ酸配列からなる非スプライス型XBP1ペプチド、(b)配列番号2のアミノ酸配列からなるスプライス型XBP1ペプチド、および(c)配列番号3のアミノ酸配列からなるCD138ペプチド。一部の実施形態では、この方法は、以下を投与するステップを含む、または使用のための組成物は、以下をさらに含む:(d)本明細書に記載されるCS-1ペプチド。一部の実施形態では、この方法は、以下を投与するステップを含む、または使用のための組成物は、以下をさらに含む:(d)長さが35アミノ酸またはそれ未満であり、配列番号4のアミノ酸配列を含むCS-1ペプチド。一部の実施形態では、この方法は、以下を投与するステップを含む、または使用のための組成物は、以下をさらに含む:(d)配列番号4のアミノ酸配列からなるCS-1ペプチド。
【0023】
一部の実施形態では、この方法は、1つまたは複数の免疫刺激剤を投与するステップを含む、または使用のための組成物は、1つまたは複数の免疫刺激剤を含む。一部の実施形態では、免疫刺激剤は、カルボキシメチルセルロース、ポリイノシン酸・ポリシチジル酸およびポリ-L-リシン二本鎖RNAを含むアジュバント(例えば、ポリIC-LC、例えば、hiltonol);水・油エマルジョン(water-and-oil emulsion)を含むア
ジュバント(例えば、montanide);ならびにタンパク質(例えば、サイトカイン、GCSFまたはGM-CSF)を含むアジュバントから選択される。一部の実施形態では、この方法は、以下を投与するステップを含む、または使用のための組成物は、以下をさらに含む:さらなる処置、例えば、1つもしくは複数の化学療法剤、1つもしくは複数の形態の電離放射線、1つもしくは複数の免疫療法剤(例えば、がんワクチン、免疫チェックポイント阻害剤)、1つもしくは複数の免疫チェックポイント阻害剤、例えば、免疫チェックポイント分子を阻害する抗体(例えば、抗CTLA4抗体、例えば、イピリムマブもしくはトレメリムマブ、PD-1抗体、またはPDL-1抗体)、またはアジュバント、例えば、小分子アジュバント(例えば、サリドマイドまたはサリドマイド誘導体、例えば、レナリドミド)。一部の実施形態では、この方法は、レナリドミドを投与するステップを含む、または使用のための組成物は、レナリドミドをさらに含む。一部の実施形態では、この方法は、ポリIC-LCを投与するステップを含む、または使用のための組成物は、ポリIC-LCをさらに含む。
【0024】
一部の実施形態では、がんは乳がんである。一部の実施形態では、乳がんはトリプルネガティブ乳がんである。一部の実施形態では、対象は、乳がん、例えば、トリプルネガティブ乳がんを有する、またはそれを発症するリスクがある、またはそれを有する疑いがある。一部の実施形態では、対象は、XBP1、CD138もしくはCS1、またはそれらの任意の組合せを発現する1つまたは複数のがん細胞を有する、あるいはそれを有すると同定されている。一部の実施形態では、この方法は、組成物を対象に送達するステップの後に、対象において免疫応答が生じたかどうかを決定するステップをさらに含む。一部の実施形態では、対象はヒトである。一部の実施形態では、対象は、乳がん、例えば、トリプルネガティブ乳がんからの寛解状態にある。
【0025】
一部の実施形態では、(i)のペムブロリズマブおよび(ii)のペプチドは、別々にまたは一緒に投与される。一部の実施形態では、(i)は、(ii)の前に、それと併せて、またはそれの後に投与される。一部の実施形態では、(i)および(ii)は、別々または一緒に、使用のために製剤化される。一部の実施形態では、(i)は、(ii)の前に、それと併せて、またはそれの後に投与するために製剤化される。
【0026】
一部の実施形態では、ペムブロリズマブは、200mgの用量で投与される。一部の実施形態では、ペムブロリズマブは、3週間毎に1回投与される。
【0027】
一部の実施形態では、1つまたは複数のペプチドは、0.8mgの総ペプチド、例えば、0.2mgの非スプライス型XBP1ペプチド、0.2mgのスプライス型XBP1ペプチド、0.2mgのCD138ペプチドおよび0.2mgのCS-1ペプチドの用量で投与される。一部の実施形態では、1つまたは複数のペプチドは、0.4~1.2mgの総ペプチド、例えば、0.1~0.3mgの非スプライス型XBP1ペプチド、0.1~0.3mgのスプライス型XBP1ペプチド、0.1~0.3mgのCD138ペプチドおよび0.1~0.3mgのCS-1ペプチドの用量で投与される。一部の実施形態では、1つまたは複数のペプチドは、0.8~1.2mgの総ペプチド、例えば、0.2~0.3mgの非スプライス型XBP1ペプチド、0.2~0.3mgのスプライス型XBP1ペプチド、0.2~0.3mgのCD138ペプチドおよび0.2~0.3mgのCS-1ペプチドの用量で投与される。一部の実施形態では、1つまたは複数のペプチドは、0.4~1.6mgの総ペプチド、例えば、0.1~0.4mgの非スプライス型XBP1ペプチド、0.1~0.4mgのスプライス型XBP1ペプチド、0.1~0.4mgのCD138ペプチドおよび0.1~0.4mgのCS-1ペプチドの用量で投与される。一部の実施形態では、1つまたは複数のペプチドは、0.8~1.6mgの総ペプチド、例えば、0.2~0.4mgの非スプライス型XBP1ペプチド、0.2~0.4mgのスプライス型XBP1ペプチド、0.2~0.4mgのCD138ペプチドおよび0.2~0.4mgのCS-1ペプチドの用量で投与される。
【0028】
一部の実施形態では、1つまたは複数のペプチドは、0.6mgの総ペプチド、例えば、0.2mgの非スプライス型XBP1ペプチド、0.2mgのスプライス型XBP1ペプチドおよび0.2mgのCD138ペプチドの用量で投与される。一部の実施形態では、1つまたは複数のペプチドは、0.3~0.9mgの総ペプチド、例えば、0.1~0.3mgの非スプライス型XBP1ペプチド、0.1~0.3mgのスプライス型XBP1ペプチドおよび0.1~0.3mgのCD138ペプチドの用量で投与される。一部の実施形態では、1つまたは複数のペプチドは、0.6~0.9mgの総ペプチド、例えば、0.2~0.3mgの非スプライス型XBP1ペプチド、0.2~0.3mgのスプライス型XBP1ペプチドおよび0.2~0.3mgのCD138ペプチドの用量で投与される。一部の実施形態では、1つまたは複数のペプチドは、0.3~1.2mgの総ペプチド、例えば、0.1~0.4mgの非スプライス型XBP1ペプチド、0.1~0.4mgのスプライス型XBP1ペプチドおよび0.1~0.4mgのCD138ペプチドの用量で投与される。一部の実施形態では、1つまたは複数のペプチドは、0.6~1.2mgの総ペプチド、例えば、0.2~0.4mgの非スプライス型XBP1ペプチド、0.2~0.4mgのスプライス型XBP1ペプチドおよび0.2~0.4mgのCD138ペプチドの用量で投与される。
【0029】
実施形態では、これらのペプチドは、第1の用量および1つまたは複数のさらなる用量として投与される。実施形態では、1つまたは複数のペプチドは、2週間毎に、例えば、少なくとも1、2、3、4、5、6、8、10または12週間にわたって投与される。実施形態では、1つまたは複数のペプチドは、毎週1回投与される。実施形態では、1つまたは複数のペプチドは、1、2、3または4週間毎に、例えば、少なくとも1、2、3、4、5、6、8、10または12週間にわたって投与される。実施形態では、1つまたは複数のペプチドは、12、18、24、30または36ヶ月間の過程にわたって、例えば、18~24ヶ月間の過程にわたって、2回またはそれよりも多く投与される。実施形態では、さらなる用量は、第1の用量の約9~12、12~18、18~24、24~30または30~36ヶ月後に投与される。実施形態では、1つまたは複数のペプチドは、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9または10回、例えば、少なくとも4または6回、対象に投与される。
【0030】
本開示は、ある特定の態様では、
(i)ペムブロリズマブ;ならびに
(ii)本明細書に記載される非スプライス型XBP1ペプチド、本明細書に記載されるスプライス型XBP1ペプチド、本明細書に記載されるCD138ペプチドおよび本明細書に記載されるCS-1ペプチドのうち1つまたは複数
を含む組成物もまた提供する。
【0031】
本開示は、ある特定の態様では、
(i)ペムブロリズマブ;ならびに
(ii)本明細書に記載される非スプライス型XBP1ペプチド、本明細書に記載されるスプライス型XBP1ペプチド、本明細書に記載されるCD138ペプチドおよび本明細書に記載されるCS-1ペプチドのうち1つまたは複数
を含むキットもまた提供する。
【0032】
実施形態では、(i)および(ii)は混合され、実施形態では、(i)および(ii)は、例えば、別々の容器中で別々である。
【0033】
実施形態では、本明細書のペプチドは、複数のMHC分子、例えば、HLA-A分子、例えば、HLA-A2に対する親和性、複数のMHC分子、例えば、HLA-A2のペプチド結合間隙内での上昇した安定性、ならびにMHC分子、例えば、HLA-A2との関連で細胞(例えば、がん細胞)の表面上で発現された場合に、例えば、エフェクターメモリーT細胞および/またはセントラルメモリーT細胞を含むT細胞の活性化および増殖を誘導する能力を有する、XBP1ペプチド、CD138ペプチドおよびCS-1ペプチドのうち1つまたは複数を含む。
【0034】
本明細書の併用療法が、種々の適用、例えば、がんを有する患者において免疫応答を誘導するための方法、がんを有する患者においてT細胞(例えば、エフェクターメモリーT細胞および/またはセントラルメモリーT細胞)を活性化するための方法、がんを有する患者において抗体を産生するための方法、およびがん、例えば、乳がん、例えば、トリプルネガティブ乳がんを処置するための方法において使用され得ることが、本明細書の記載から明らかとなる。一部の実施形態では、免疫応答の誘導は、これらのペプチドのうち1つまたは複数に対する抗体を産生するように対象を誘導することを含む。
【0035】
一部の実施形態では、併用療法は、配列番号1~4のいずれか1つに対して少なくとも66(例えば、少なくとも66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98または99)%同一であるアミノ酸配列を含む単離されたペプチドを含む。ペプチドは、主要組織適合複合体(MHC)分子、例えば、MHCクラスIまたはクラスII分子に結合できる。一実施形態では、ペプチドは、長さが9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、最大で25、30または35アミノ酸であり、配列番号1~4のいずれか1つのアミノ酸配列、または配列番号1~4のいずれかのアミノ酸配列に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるアミノ酸配列を含む。一実施形態では、ペプチドは、長さが9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、最大で25、30または35アミノ酸であり、配列番号1~4のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一実施形態では、ペプチドは、長さが9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、最大で25、30または35アミノ酸であり、ペプチドは、配列番号1~4のいずれか1つのアミノ酸配列の3、2または1つの置換を有するアミノ酸配列を含む。置換は、保存的または非保存的であり得る。
【0036】
一実施形態では、ペプチドは、配列番号1~4のいずれか1つに対して少なくとも66(例えば、少なくとも66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98または99)%同一であるアミノ酸配列からなる。一実施形態では、ペプチドは、3、2または1つの置換を有する、配列番号1~4のアミノ酸配列のうちいずれかからなる。一実施形態では、ペプチドは、配列番号1~4のいずれか1つのアミノ酸配列からなる。
【0037】
一部の実施形態では、本明細書に記載される単離されたペプチドのいずれかは、主要組織適合複合体(MHC)分子と会合して、T細胞上の抗原特異的T細胞受容体によって認識され得る。
【0038】
一部の実施形態では、併用療法は、本明細書に記載されるペプチド、例えば、本明細書に記載される非スプライス型XBP1ペプチド、本明細書に記載されるスプライス型XBP1ペプチド、本明細書に記載されるCD138ペプチドおよび/または本明細書に記載されるCS-1ペプチドからなる第1のアミノ酸配列;ならびに第1のアミノ酸配列に対して異種の第2のアミノ酸配列を含む融合タンパク質を含む。
【0039】
一部の実施形態では、第2のアミノ酸配列は、標的化ポリペプチド、免疫刺激分子、免疫グロブリンもしくはその抗原結合性断片、免疫グロブリン分子のFc受容体結合領域、または担体ポリペプチドを含み得る、あるいはそれであり得る。標的化ポリペプチドは、例えば、単離されたペプチドを抗原提示細胞(例えば、樹状細胞、マクロファージ、単球またはB細胞)に向かわせるポリペプチドであり得る。免疫刺激分子は、例えば、サイトカインまたはTヘルパーエピトープであり得る。免疫グロブリンは、例えば、単鎖Fv免疫グロブリン断片または免疫グロブリン分子全体であり得る。担体ポリペプチドは、KLH(キーホールリンペットヘモシアニン)ポリペプチドもしくはアルブミンポリペプチドを含み得る、またはそれであり得る。
【0040】
一部の実施形態では、本明細書に記載される単離されたペプチドのいずれかは、リンカー配列を含み得る。リンカー配列は、第1のアミノ酸配列を第2のアミノ酸配列に直接的または間接的に接続し得る。リンカー配列は、1つもしくは複数のアミノ酸、例えば、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9もしくは10個のアミノ酸を含み得る、またはそれからなり得る。一実施形態では、リンカーは、少なくとも1つの(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9もしくは10個またはそれよりも多くの)プロテアーゼ切断部位を含み得る、またはそれからなり得る。
【0041】
一部の実施形態では、第2のアミノ酸配列は、第1のアミノ酸配列に対してアミノ末端側またはカルボキシ末端側であり得る。
【0042】
一部の実施形態では、本明細書に記載される単離されたペプチドまたは融合タンパク質のいずれかは、検出可能に標識され得る。検出可能な標識は、発光標識、蛍光標識、放射性標識および酵素標識からなる群から選択され得る。
【0043】
一部の実施形態では、併用療法は、(例えば、本明細書の医薬組成物は、以下を含む、または本明細書の処置の方法は、以下を投与するステップを含む)少なくとも2つのペプチド、例えば、2、3、4つまたはそれよりも多くの本明細書に記載されるペプチドを含む。
【0044】
一実施形態では、併用療法は、少なくとも2つのペプチドを含む。例えば、併用療法は、非スプライス型XBP1ペプチドおよびスプライス型XBP1ペプチドを含む;併用療法は、非スプライス型XBP1ペプチドおよびCD138ペプチドを含む;併用療法は、非スプライス型XBP1ペプチドおよびCS-1ペプチドを含む;併用療法は、スプライス型XBP1ペプチドおよびCD138ペプチドを含む;併用療法は、スプライス型XBP1ペプチドおよびCS-1ペプチドを含む;併用療法は、CD138ペプチドおよびCS-1ペプチドを含む。
【0045】
一実施形態では、併用療法は、少なくとも3つのペプチドを含む。例えば、併用療法は、非スプライス型XBP1ペプチド、スプライス型XBP1ペプチドおよびCD138ペプチドを含む;併用療法は、非スプライス型XBP1ペプチド、スプライス型XBP1ペプチドおよびCS-1ペプチドを含む;併用療法は、非スプライス型XBP1ペプチド、CD138ペプチドおよびCS-1ペプチドを含む;併用療法は、スプライス型XBP1ペプチド、CD138ペプチドおよびCS-1ペプチドを含む。一実施形態では、併用療法は、少なくとも3つのペプチド、例えば、非スプライス型XBP1ペプチド、スプライス型XBP1ペプチドおよびCD138ペプチドを含む。
【0046】
一実施形態では、併用療法は、4つのペプチドを含む、例えば、併用療法は、非スプライス型XBP1ペプチド、スプライス型XBP1ペプチド、CD138ペプチドおよびCS-1ペプチドを含む。
【0047】
一実施形態では、併用療法は、長さが9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、最大で25、30または35アミノ酸であり、配列番号1のアミノ酸配列を含む非スプライス型XBP1ペプチドを含む。一実施形態では、併用療法は、長さが9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、最大で25、30または35アミノ酸であり、配列番号2のアミノ酸配列を含むスプライス型XBP1ペプチドを含む。一実施形態では、併用療法は、長さが9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、最大で25、30または35アミノ酸であり、配列番号3のアミノ酸配列を含むCD138ペプチドを含む。一実施形態では、併用療法は、長さが9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、最大で25、30または35アミノ酸であり、配列番号4のアミノ酸配列を含むCS-1ペプチドを含む。
【0048】
一実施形態では、併用療法は、4つのペプチドを含み、その4つのペプチドは、以下である:配列番号1のアミノ酸配列を含む(例えば、それからなる)ペプチド、配列番号2のアミノ酸配列を含む(例えば、それからなる)ペプチド、配列番号3のアミノ酸配列を含む(例えば、それからなる)ペプチド、および配列番号4のアミノ酸配列を含む(例えば、それからなる)ペプチド。
【0049】
併用療法は、例えば、1つまたは複数のさらなる薬剤、例えば、1つまたは複数の治療剤、診断剤もしくは予防剤、または免疫刺激剤もしくは免疫モジュレート剤もまた含み得る。免疫刺激剤には、例えば、Tヘルパーエピトープ、変更されたペプチドリガンド、アジュバント、または本明細書に記載される任意の他の免疫刺激剤が含まれるがこれらに限定されない。Tヘルパーエピトープは、例えば、PADRE配列またはユニバーサル破傷風トキソイドTヘルパー(TT Th)エピトープであり得る。アジュバントは、フロイント完全アジュバント、フロイント不完全アジュバント、アラム、Toll受容体に対するリガンド、サポニン(例えば、QS21)、RIBI、コレラ毒素(CT)、E.coli熱不安定性毒素(LT)、変異体CT(MCT)、変異体E.coli熱不安定性毒素(MLT)、カルボキシメチルセルロース、ポリイノシン酸・ポリシチジル酸およびポリ-L-リシン二本鎖RNAを含むアジュバント(例えば、ポリIC-LC、例えば、hiltonol)、水・油エマルジョンを含むアジュバント(例えば、montanide)、ならびにタンパク質(例えば、サイトカイン、補体、GCSFまたはGM-CSF)を含むアジュバントからなる群から選択され得る。一実施形態では、免疫刺激剤は、カルボキシメチルセルロース、ポリイノシン酸・ポリシチジル酸およびポリ-L-リシン二本鎖RNAを含むアジュバント、例えば、ポリIC-LC、例えば、hiltonolである。一実施形態では、アジュバントは、水・油エマルジョン、例えば、montanideである。一実施形態では、アジュバントは、タンパク質、例えば、サイトカイン、補体、GCSFまたはGM-CSFである。一実施形態では、さらなる薬剤は、タンパク質、例えば、抗体であり得る。一実施形態では、さらなる薬剤は、免疫チェックポイント阻害剤である。例えば、免疫チェックポイント分子を阻害する抗体は、抗CTLA4抗体、例えば、イピリムマブもしくはトレメリムマブ、または抗PD-1抗体、または抗PDL-1抗体であり得る。一実施形態では、さらなる薬剤は、小分子アジュバント、例えば、サリドマイドまたはサリドマイド誘導体、例えば、レナリドミドであり得る。
【0050】
併用療法は、上で開示したもの以外の免疫原性ペプチド、例えば、WT1由来の免疫原性ペプチドまたはその誘導体もまた含み得る。例示的なWT1ペプチドは、その内容が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,598,221号に記載されている。一実施形態では、併用療法は、例えば、以下のうち1つまたは複数から選択される、1つまたは複数の、WT1由来の免疫原性ペプチドまたはその誘導体を含む:WT1クラス1エピトープ;RMFPNAPYLを含む(またはそれからなる)ペプチド(WT1 126~134);YMFPNAPYLを含む(またはそれからなる)ペプチド;RSDELVRHHNMHQRNMTKLを含む(またはそれからなる)ペプチド(WT1 427~445);PGCNKRYFKLSHLQMHSRKHTGを含む(またはそれからなる)ペプチド(WT1 331~352);SGQARMFPNAPYLPSCLESを含む(またはそれからなる)ペプチド(WT1 122~140);およびSGQAYMFPNAPYLPSCLESを含む(またはそれからなる)ペプチド。他の免疫原性ペプチドには、MUC1由来の免疫原性ペプチド、gp100由来の免疫原性ペプチド、TRP-2由来の免疫原性ペプチド、MAG1由来の免疫原性ペプチド、NY-ESO1由来の免疫原性ペプチド、HER-2由来の免疫原性ペプチド;およびAIM2由来の免疫原性ペプチドが含まれるがこれらに限定されない。
【0051】
一実施形態では、本明細書に記載される組成物は、がん、例えば、本明細書に記載される乳がん、例えば、トリプルネガティブ乳がんを有する、またはそれを有するリスクがある対象を処置するために使用される。
【0052】
一部の実施形態では、本明細書に記載されるキットは、ペプチドを、がん、例えば、乳がん、例えば、トリプルネガティブ乳がんを有する対象に投与するための指示を含む。
【0053】
一部の実施形態では、キットは、例えば、1つもしくは複数の薬学的に許容される担体、1つもしくは複数の免疫刺激剤もしくは免疫モジュレート剤、または1つもしくは複数の治療剤、診断剤もしくは予防剤もまた含み得る。一実施形態では、免疫刺激剤は、本明細書に記載される免疫刺激剤である。1つまたは複数の免疫刺激剤は、Tヘルパーエピトープ、変更されたペプチドリガンドおよびアジュバントからなる群から選択され得る。一実施形態では、免疫刺激剤は、カルボキシメチルセルロース、ポリイノシン酸・ポリシチジル酸およびポリ-L-リシン二本鎖RNAを含むアジュバント(例えば、ポリIC-LC、例えば、hiltonol);水・油エマルジョンを含むアジュバント(例えば、montanide);タンパク質(例えば、サイトカイン、補体、GCSFまたはGM-CSF)を含むアジュバントである。一実施形態では、さらなる薬剤は、タンパク質、例えば、抗体であり得る。一実施形態では、さらなる薬剤は、免疫チェックポイント阻害剤である。例えば、免疫チェックポイント分子を阻害する抗体は、抗CTLA4抗体、例えば、イピリムマブもしくはトレメリムマブ、または抗PD-1抗体、または抗PDL-1抗体であり得る。一実施形態では、さらなる薬剤は、小分子アジュバント、例えば、サリドマイドまたはサリドマイド誘導体、例えば、レナリドミドであり得る。一実施形態では、キットは、本明細書に記載されるペプチド(単数または複数)または本明細書に記載される組成物と組み合わせて、免疫刺激剤および/または免疫モジュレート剤を投与するための指示をさらに含む。
【0054】
一実施形態では、キットは、さらなる免疫原性ペプチド、例えば、WT1由来の免疫原性ペプチドまたはその誘導体、例えば、本明細書に記載される免疫原性WT1ペプチドをさらに含む。他の免疫原性ペプチドには、MUC1由来の免疫原性ペプチド、gp100由来の免疫原性ペプチド、TRP-2由来の免疫原性ペプチド、MAG1由来の免疫原性ペプチド、NY-ESO1由来の免疫原性ペプチド、HER-2由来の免疫原性ペプチド;およびAIM2由来の免疫原性ペプチドが含まれるがこれらに限定されない。一実施形態では、キットは、本明細書に記載されるペプチド(単数または複数)または本明細書に記載される組成物と組み合わせて、さらなる免疫原性ペプチド、例えば、WT1ペプチドを投与するための指示をさらに含む。
【0055】
対象において免疫応答を誘導するための本明細書に記載される方法は、本明細書に記載される単離されたペプチドのいずれかのうち1つもしくは複数および/または本明細書に記載される組成物を対象に送達する、例えば、投与するステップを含み得る。一実施形態では、対象には、配列番号1~4からのペプチドのうち少なくとも2つ、例えば、2、3または4つが投与される。例えば、対象には、非スプライス型XBP1ペプチド、スプライス型XBP1ペプチド、CD138ペプチド、CS-1ペプチド、およびそれらの組合せのうち2つまたはそれよりも多くが投与され得る。
【0056】
この方法は、1つもしくは複数のペプチドまたは組成物を対象に送達するステップの後に、対象において免疫応答が生じたかどうかを決定するステップもまた含み得る。1つまたは複数のペプチドは、医薬組成物、例えば、本明細書に記載される医薬組成物として対象に送達され得る。対象は、例えば、哺乳動物(例えば、ヒト)または本明細書に記載される任意の他の対象であり得る。対象は、がん、例えば、乳がん、例えば、トリプルネガティブ乳がんを有し得る、それを有する疑いがあり得る、それを発症するリスクがあり得る、またはそれからの寛解状態にあり得る。
【0057】
一部の実施形態では、この方法は、がん細胞(または細胞)が、XBP1、CD138またはCS-1のうち1つまたは複数を発現するかどうかを決定するステップを含み得る。
【0058】
一部の実施形態では、この方法は、1つまたは複数のさらなる処置、例えば、化学療法剤、電離放射線、手術または1つもしくは複数のさらなる免疫療法剤を対象に投与するステップをさらに含み得る。1つまたは複数の形態の電離放射線は、例えば、ガンマ-照射、X線-照射またはベータ線-照射であり得る。1つまたは複数の化学療法剤は、本明細書に記載される化学療法剤、例えば、白金系薬剤、タキサン、トポイソメラーゼ阻害剤、代謝拮抗薬、アルキル化剤、プロテアーゼ阻害剤、HDAC阻害剤およびビンカアルカロイドからなる群から選択される化学療法剤であり得る。例示的な化学療法剤には、シスプラチン、カルボプラチン、プロカルバジン、メクロレタミン、シクロホスファミド、カンプトテシン、アドリアマイシン、イホスファミド、メルファラン、クロラムブシル、ブスルファン(bisulfan)、ニトロソウレア(nitrosurea)、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ブレオマイシン、プリカマイシン(plicomycin)、マイトマイシン、エトポシド、ベラパミル(verampil)、ポドフィロトキシン、タキソール、トランス白金(transplatinum)、5-フルオロウラシル(5-flurouracil)、ビンクリスチン(vincristin)、ビンブラスチン(vinblastin)、メソトレキセート、および上述のいずれかのアナログが含まれるがこれらに限定されない。この方法は、1つまたは複数の免疫刺激剤、例えば、本明細書に記載される1つまたは複数の免疫刺激剤を対象に投与するステップもまた含み得る。
【0059】
一実施形態では、この方法は、本明細書に記載される1つまたは複数のペプチドと組み合わせて、さらなる免疫原性ペプチド、例えば、WT1由来の免疫原性ペプチドまたはその誘導体、例えば、本明細書に記載される免疫原性WT1ペプチドを投与するステップをさらに含む。他の免疫原性ペプチドには、MUC1由来の免疫原性ペプチド、gp100由来の免疫原性ペプチド、TRP-2由来の免疫原性ペプチド、MAG1由来の免疫原性ペプチド、NY-ESO1由来の免疫原性ペプチド、HER-2由来の免疫原性ペプチド;およびAIM2由来の免疫原性ペプチドが含まれるがこれらに限定されない。
【0060】
一部の実施形態では、送達するステップは、本明細書に記載される1つまたは複数のペプチド(例えば、配列番号1~4のいずれかを含む1つまたは複数のペプチド)を対象に投与することを含む。一部の実施形態では、送達するステップは、1つまたは複数の核酸を対象に投与することを含み、かかる核酸の各々は、1つまたは複数のペプチドをコードするヌクレオチド配列を含み、このヌクレオチド配列は、発現制御配列に作動可能に連結される。核酸は、この核酸をトランスフェクトされ、1つまたは複数のペプチドを発現する組換え細胞中にあり得る。組換え細胞は、対象から得られた細胞にトランスフェクトすることによって作製された、トランスフェクトされた細胞、またはトランスフェクトされた細胞の子孫であり得る。組換え細胞は、例えば、樹状細胞、マクロファージ、単球またはB細胞であるがこれらに限定されない抗原提示細胞であり得る。
【0061】
上記方法のいずれかの一部の実施形態では、送達するステップは、1つまたは複数のペプチドを細胞に接触させること;および1つまたは複数のペプチドを細胞に接触させた後に、細胞を対象に送達することを含む。細胞は、例えば、抗原提示細胞、例えば、本明細書に記載される抗原提示細胞のいずれかであり得る。細胞は、例えば、対象から得られた細胞、または細胞の子孫であり得る。一部の実施形態では、細胞は、対象と同じ種の別の対象から得られた細胞、または細胞の子孫であり得る。他の対象は、その対象と共通する少なくとも1つのMHC分子を発現し得る。少なくとも1つのMHC分子は、例えば、MHCクラスI分子、例えば、HLA-A2分子であり得る。
【0062】
一実施形態では、この方法は、さらなる薬剤を対象に投与するステップ、例えば、化学療法剤ならびに/または免疫刺激剤および/もしくは免疫モジュレート剤を投与するステップをさらに含む。一実施形態では、さらなる薬剤は、免疫刺激剤、例えば、本明細書に記載される免疫刺激剤である。一実施形態では、免疫刺激剤は、カルボキシメチルセルロース、ポリイノシン酸・ポリシチジル酸およびポリ-L-リシン二本鎖RNAを含むアジュバント(例えば、ポリIC-LC、例えば、hiltonol);水・油エマルジョンを含むアジュバント(例えば、montanide);タンパク質(例えば、サイトカイン、補体、GCSFまたはGM-CSF)を含むアジュバントである。一実施形態では、さらなる薬剤は、タンパク質、例えば、抗体であり得る。一実施形態では、さらなる薬剤は、免疫チェックポイント阻害剤である。例えば、免疫チェックポイント分子を阻害する抗体は、抗CTLA4抗体、例えば、イピリムマブもしくはトレメリムマブ、または抗PD-1抗体、または抗PDL-1抗体であり得る。一実施形態では、さらなる薬剤は、小分子アジュバント、例えば、サリドマイドまたはサリドマイド誘導体、例えば、レナリドミドであり得る。一実施形態では、この方法は、これらのペプチドのうち1つまたは複数と組み合わせて、さらなる免疫原性ペプチド、例えば、WT1由来の免疫原性ペプチドまたはその誘導体、例えば、本明細書に記載されるWT1ペプチドを投与するステップを含む。他の免疫原性ペプチドには、MUC1由来の免疫原性ペプチド、gp100由来の免疫原性ペプチド、TRP-2由来の免疫原性ペプチド、MAG1由来の免疫原性ペプチド、NY-ESO1由来の免疫原性ペプチド、HER-2由来の免疫原性ペプチド;およびAIM2由来の免疫原性ペプチドが含まれるがこれらに限定されない。
【0063】
一実施形態では、この方法は、1つまたは複数のさらなる用量の本明細書に記載されるペプチドまたは組成物を投与するステップをさらに含む。一実施形態では、対象には、以前の用量の約14日後に、1つまたは複数のさらなる用量が投与される、例えば、対象には、隔週、2、3、4、5、6、7、8、9または10用量の本明細書に記載されるペプチドまたは組成物が投与される。一実施形態では、対象には、以前の用量の約7日後に、1つまたは複数のさらなる用量が投与される、例えば、対象には、毎週1回、2、3、4、5、6、7、8、9または10用量の本明細書に記載されるペプチドまたは組成物が投与される。
【0064】
一部の実施形態では、本明細書の方法は、処置を選択することを必要とする哺乳動物のための処置を選択するステップを含む。この方法は、哺乳動物中の1つまたは複数のがん細胞がXBP1を発現するかどうかを決定するステップ;および1つまたは複数のがん細胞がXBP1を発現する場合に、本明細書に記載されるペプチドのうち1つもしくは複数、かかるペプチドを含む融合タンパク質、または本明細書に記載される組成物を、その哺乳動物のための治療剤として選択するステップを含み得る。この方法は、がんの細胞のうち1つまたは複数がXBP1を発現することを決定するステップの後に、本明細書に記載されるペプチドのうち1つもしくは複数、かかるペプチドを含む融合タンパク質、または本明細書に記載される組成物を対象に送達するステップもまた含み得る。
【0065】
上記方法のいずれかの一部の実施形態では、対象または哺乳動物は、がん、例えば、乳がん、例えば、トリプルネガティブ乳がんに対する治療を受けたことがあり、その治療に対して非応答性であった、例えば、本明細書に記載される併用療法が第二選択、第三選択または第四選択の処置であり得る、対象または哺乳動物であり得る。
【0066】
特に定義しない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。矛盾する場合、定義を含む本明細書が支配する。種々の適切な方法および材料が以下に記載されるが、本明細書に記載される方法および材料と類似または等価な方法および材料もまた、本発明の実施または試験において使用され得る。本明細書で言及される全ての刊行物、特許出願、特許および他の参考文献は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。本明細書に開示される材料、方法および例は、例示に過ぎず、限定を意図しない。
【0067】
対象において免疫応答を誘導するための方法などの、本発明の他の特色(feature)お
よび利点は、以下の説明および特許請求の範囲から明らかとなる。
【発明を実施するための形態】
【0068】
詳細な説明
ペプチド
本明細書の併用療法は、1つまたは複数の免疫原性XBP1由来ペプチド、CD138由来ペプチドおよびCS-1由来ペプチド(ならびにそれらの医薬組成物)を含む。本明細書の治療は、例えば、がんを有する対象において、免疫応答を誘導するため(例えば、CTL応答を刺激するため)、または抗体の産生を刺激するために使用され得る。
【0069】
ペプチドならびにペプチドを作製および使用するための例示的な方法の詳細な説明は、以下に示される。
【0070】
本開示は、表1に示される配列番号1~4のいずれか1つに対して十分な同一性を有するまたはそれに対して同一であるアミノ酸配列を含む1つまたは複数の単離されたペプチドを含む併用療法を特色とする。
【表1】
【0071】
一部の実施形態では、単離されたペプチドは、長さが少なくとも9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30または35アミノ酸(例えば、長さが9アミノ酸と35アミノ酸との間、例えば、長さが9~30、9~25、9~20、9~15アミノ酸)であり、配列番号1~4のアミノ酸配列に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%の同一性を有するまたはそれに対して同一であるアミノ酸配列を含む。他の適切なペプチドは、長さが少なくとも9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30または35アミノ酸(例えば、長さが9アミノ酸と35アミノ酸との間、例えば、長さが9~30、9~25、9~20、9~15アミノ酸)であり得、配列番号1~4のアミノ酸配列、または配列番号1~4のアミノ酸配列の1、2、3もしくは4つの置換を有するアミノ酸配列を含む。置換は、保存的または非保存的置換であり得る。
【0072】
「非スプライス型XBP1」ペプチドは、配列番号1のペプチドを含み、261アミノ酸および以下の配列:
【化1】
を有するヒトXBP1タンパク質の非スプライス型形態由来の少なくとも5(例えば、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34または35)個連続するアミノ酸のアミノ酸配列を有するペプチド、および配列番号5のアミノ酸配列に由来するアミノ酸の1、2、3、4、5つ以下の置換(例えば、保存的置換)を有するペプチドを指す。表1で言及される非スプライス型XBP1のアミノ酸位置は、配列番号5に基づく。
【0073】
「スプライス型XBP1」ペプチドは、配列番号2のペプチドを含み、376アミノ酸および以下の配列:
【化2】
を有するヒトXBP1タンパク質のスプライス型形態(XBP1スプライス型)由来の少なくとも5(例えば、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、31、32、33、34または35)個連続するアミノ酸のアミノ酸配列を有するペプチド、および配列番号6のアミノ酸配列に由来するアミノ酸の1、2、3、4、5つ以下の置換(例えば、保存的置換)を有するペプチドを指す。表1で言及されるスプライス型XBP1のアミノ酸位置は、配列番号6に基づく。
【0074】
「CD138」ペプチドは、配列番号3のペプチドを含み、310アミノ酸および以下の配列:
【化3】
を有するヒトCD138タンパク質由来の少なくとも5(例えば、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34または35)個連続するアミノ酸のアミノ酸配列を有するペプチド、および配列番号7のアミノ酸配列に由来するアミノ酸の1、2、3、4、5つ以下の置換(例えば、保存的置換)を有するペプチドを指す。表1で言及されるCD138のアミノ酸位置は、配列番号7に基づく。
【0075】
「CS-1」ペプチドは、配列番号4のペプチドを含み、335アミノ酸および以下の配列:
【化4】
を有するヒトCS-1タンパク質由来の少なくとも5(例えば、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34または35)個連続するアミノ酸のアミノ酸配列を有するペプチド、および配列番号8のアミノ酸配列に由来するアミノ酸の1、2、3、4、5つ以下の置換(例えば、保存的置換)を有するペプチドを指す。表1で言及されるCS-1のアミノ酸位置は、配列番号8に基づく。
【0076】
ペプチド一般
関連の配列は、配列番号5~8を有する野生型全長成熟ヒトタンパク質中に存在するので、本明細書に記載されるペプチドは、そのペプチドのN末端およびC末端のアミノ酸の残基番号(例えば、XBP1118-126)を使用して言及される場合が多い。これらのペプチドは、配列番号5~8を有する野生型全長成熟タンパク質の対応するセグメントと同一の配列を頻繁に有する。しかし、用語「非スプライス型XBP1ペプチド」(例えば、以下のアミノ酸位置を有する非スプライス型XBP1ペプチド:118~136、185~193、186~194、190~198、193~200または111~119)、「スプライス型XBP1ペプチド」(例えば、以下のアミノ酸位置を有するスプライス型XBP1ペプチド:197~205、194~202、224~232、368~376)、「CD138ペプチド」(例えば、以下のアミノ酸位置を有するCD138ペプチド:256~264、265~273、260~268、5~13または7~15)、および「CS1ペプチド」(例えば、CS-1ペプチドは、アミノ酸位置236~245、240~248、239~247、232~240または9~17を有する)は、ヒト以外の種のXBP1非スプライス型ペプチド、XBP1スプライス型ペプチド、CD138またはCS-1ポリペプチド(それぞれ)のペプチド断片であり得ることが理解される。当業者に理解されるように、かかる非ヒトポリペプチドのペプチド断片のN末端およびC末端のアミノ酸の番号は、ヒトポリペプチドの対応するペプチド断片における番号と同じである必要はない。さらに、非ヒトポリペプチドのペプチド断片の長さおよび/またはアミノ酸は、ヒトポリペプチドの対応するペプチド断片における長さおよび/またはアミノ酸と同じである必要はない。当業者は、非ヒトの非スプライス型XBP1、スプライス型XBP1、CD138およびCS-1ポリペプチドに由来するペプチドのN末端およびC末端のアミノ酸、長さならびにアミノ酸配列を確立するための方法を知るであろう。これを実施するための1つの有用な方法は、配列アラインメント、特に、最大相同性配列アラインメントである。
【0077】
2つのペプチド配列(例えば、配列番号1~4のペプチド)と、そのペプチドに対して少なくとも66%同一であり得る別のアミノ酸配列との間のパーセント同一性は、Clustal W(The European Bioinformatics Institute(EMBL-EBI))、BLAST-Protein(National Center for Biotechnology Information(NCBI)、United States National Institutes of Health)およびPSAlign(University of Texas A&M;Sze et al. (2006) Journal of Computational Biology 13:309-319)が含ま
れるがこれらに限定されない種々のアルゴリズムおよびコンピュータープログラムを使用して決定され得る。
【0078】
本明細書に記載されるペプチドの一部は、ヘテロクリティックである。本明細書で使用される場合、「ヘテロクリティック」(例えば、ヘテロクリティックペプチド)は、対応する野生型ペプチドよりも免疫原性が高いペプチドを産生するために、1つまたは複数のアミノ酸が野生型または元の配列から改変されたペプチドの一形態を指す。例えば、配列番号1および配列番号2の例示的なヘテロクリティックペプチドでは、太字のアミノ酸は、XBP1の野生型配列から改変されたアミノ酸を示す。
【0079】
上記ヒトおよび非ヒトペプチドのバリアントもまた、本明細書で開示される。本明細書に記載されるヒトおよび非ヒトペプチドのバリアントには、(i)4つ以下(例えば、3、2または1つ)のアミノ酸置換(例えば、保存的または非保存的置換);(ii)末端もしくは内部欠失;または(iii)末端もしくは内部付加を有するペプチドの形態が含まれ得、これらは全て、以下で詳述される。
【0080】
本開示は、配列番号1~4のいずれかのアミノ酸配列を含む、それからなる、または本質的にそれからなるが、4つ以下(例えば、3つ以下、2つ以下または1つ以下)の置換を有するペプチドを含む併用療法もまた特色とする。置換は、例えば、保存的または非保存的であり得る(上記の通り)。
【0081】
保存的置換には、以下の群内の置換が含まれる:バリン、アラニンおよびグリシン;ロイシン、バリンおよびイソロイシン;アスパラギン酸およびグルタミン酸;アスパラギンおよびグルタミン;セリン、システインおよびスレオニン;リシンおよびアルギニン;ならびにフェニルアラニンおよびチロシン。非極性疎水性アミノ酸には、アラニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、プロリン、フェニルアラニン、トリプトファンおよびメチオニンが含まれる。極性中性アミノ酸には、グリシン、セリン、スレオニン、システイン、チロシン、アスパラギンおよびグルタミンが含まれる。正に荷電した(塩基性)アミノ酸には、アルギニン、リシンおよびヒスチジンが含まれる。負に荷電した(酸性)アミノ酸には、アスパラギン酸およびグルタミン酸が含まれる。上述の極性、塩基性または酸性群の1つのメンバーの、同じ群の別のメンバーによる任意の置換は、保存的置換とみなされ得る。対照的に、非保存的置換は、1つのアミノ酸の、非類似の特徴を有する別のアミノ酸への置換である。
【0082】
一部の実施形態では、ペプチドのいずれかの3位、4位、5位、6位、7位および8位のうち1つまたは複数(例えば、1、2、3、4つ、または5つ全て)は置換されない。一部の実施形態では、ペプチドのいずれかの3位、4位、5位、6位、7位および8位のうち1つまたは複数は、表1中のペプチドのアミノ酸と同一である。
【0083】
本明細書に記載されるペプチド(例えば、本明細書に記載される非スプライス型XBP1ペプチド、本明細書に記載されるスプライス型XBP1ペプチド、本明細書に記載されるCD138ペプチドおよび/または本明細書に記載されるCS-1ペプチド)の第1のアミノ酸配列;および第1のアミノ酸配列に対して異種の第2のアミノ酸配列を含む融合タンパク質もまた特色とされる。
【0084】
ペプチドの第2の異種のアミノ酸配列(複数可)は、一般に、配列番号1~4のいずれかの免疫原性ペプチドの、細胞中での生成に有害な影響を与えない(有害な影響を与えないように選択される)。細胞機構は、配列番号1~4のいずれかの免疫原性ペプチドを得るために、ペプチド中の任意のさらなる配列を除去すると予測され、このペプチドは、XBP1発現がん細胞、CD138発現がん細胞またはCS1発現がん細胞に対する免疫応答を刺激するために、クラスIまたはクラスII MHC分子によって提示される。
【0085】
第1のアミノ酸配列に対して「異種の」アミノ酸配列、または用語「異種のアミノ酸配列」は、それが天然に存在する場合に第1のアミノ酸配列に隣接するアミノ酸配列(複数可)以外の任意のアミノ酸配列である。例えば、ヒトCD138中でGLVGLIFAV(配列番号3)にすぐ隣接する2つまたはそれよりも多くの(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19もしくは20個またはそれよりも多くの)および/または20個未満の(例えば、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2または1個の)カルボキシ末端および/またはアミノ末端のアミノ酸は、配列番号3に対して異種とはみなされない。配列番号1~4のいずれかのアミノ酸配列に対して100%未満同一である、またはかかるアミノ酸配列中に1~4つの保存的置換を含む第1のアミノ酸配列を含む融合タンパク質は、天然には全く存在しない場合があることが理解される。
【0086】
一部の実施形態では、第2のアミノ酸配列は、単一のアミノ酸であり得る。第1のアミノ酸配列に対して「異種の」アミノ酸、または用語「異種のアミノ酸」は、それが天然に存在する場合に第1のアミノ酸配列に隣接するアミノ酸(複数可)以外の任意のアミノ酸であると理解される。例えば、ヒトCD138中でGLVGLIFAV(配列番号3)にすぐ隣接する2つのアミノ酸は、配列番号3に対して異種とはみなされない。
【0087】
異種の配列は、例えば、組換えタンパク質(例えば、FLAG、ポリヒスチジン(例えば、ヘキサヒスチジン)、赤血球凝集素(HA)、グルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST)またはマルトース結合タンパク質(MBP))の精製のために使用される配列であり得る。異種の配列はまた、診断マーカーまたは検出可能なマーカーとして有用なタンパク質、例えば、ルシフェラーゼ、緑色蛍光タンパク質(GFP)またはクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)であり得る。一部の実施形態では、融合タンパク質は、別のタンパク質由来のシグナル配列、例えば、KDEL(配列番号11)配列または本明細書に記載される任意の他の配列を含み得る。一部の実施形態では、融合タンパク質は、免疫グロブリン分子の全てまたは一部(例えば、免疫グロブリン重鎖定常領域の全てまたは一部;以下を参照のこと)を含み得る。一部の実施形態では、融合タンパク質は、例えば、(例えば、抗体生成のために)免疫応答を惹起する際に有用な、治療的ポリペプチドもしくは免疫刺激性ポリペプチド(例えば、Tヘルパーエピトープ(例えば、PADREエピトープまたは破傷風トキソイドユニバーサルTヘルパー細胞エピトープ)またはサイトカインもしくはケモカインの全てもしくは一部)および/または担体(例えば、KLH)を含み得る。一部の実施形態では、融合タンパク質は、1つまたは複数のリンカー、例えば、ペプチド配列を含むリンカー(以下を参照のこと)を含み得る。融合タンパク質は、標的化ポリペプチドもまた含み得る。異種の配列は、様々な長さのものであり得、一部の場合には、異種のアミノ酸配列が結合される第1のアミノ酸配列よりも長い配列であり得る。第1のアミノ酸配列、および第1のアミノ酸配列に対して異種の第2のアミノ酸配列を含む融合タンパク質は、天然に存在するタンパク質と配列が対応しないことが理解される。
【0088】
標的化ポリペプチドは、本明細書で使用される場合、それらが結合される部分(単数または複数)(例えば、第1のアミノ酸配列)を、特定の組織に(例えば、リンパ節に)もしくは細胞に(例えば、抗原提示細胞または他の免疫細胞に)、またはin vitroの場合には特定の単離された分子もしくは分子複合体に向かわせるポリペプチドである。標的化ポリペプチドは、例えば、抗体(免疫グロブリン)もしくはその抗原結合性断片、または細胞表面受容体に対するリガンドであり得る。抗体(またはその抗原結合性断片)は、例えば、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、ヒト化抗体、完全ヒト抗体、単鎖抗体、キメラ抗体、または抗体のFab断片、F(ab’)2断片、Fab’断片、Fv断片もしくはscFv断片であり得る。(抗原結合領域を伴ってまたは伴わずに)Fc領域を含むまたはFc領域である抗体断片は、試薬をFc受容体発現細胞(例えば、抗原提示細胞、例えば、指状嵌入樹状細胞、マクロファージ、単球またはB細胞)に向かわせるためにも使用され得る。細胞表面受容体に対するリガンドは、例えば、ケモカイン、サイトカイン(例えば、インターロイキン1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15または16)またはデスレセプターリガンド(例えば、FasLまたはTNFα)であり得る。
【0089】
一部の実施形態では、異種の配列は、例えば、細胞へのまたは細胞の特定の区画(例えば、小胞体またはゴルジ体)へのペプチドの送達を助ける「輸送配列」であり得る。輸送配列には、例えば、膜転位配列、トランスポータン配列、アンテナペディア配列、環状インテグリン結合ペプチドおよびTat媒介性ペプチド、またはそれらの改変バージョンが含まれ得る。
【0090】
リンカー、例えば、リンカーペプチドは、第1のアミノ酸配列を1つまたは複数の異種のアミノ酸配列に直接的または間接的に接続し得る。例えば、リンカーは、第1のアミノ酸配列を第2のアミノ酸配列に接続し得る。リンカーペプチドは、例えば、少なくとも4~6つのアミノ酸がグリシンであるアミノ酸のストレッチであり得るまたはそれを含み得る(例えば、Mancebo et al. (1990) Mol. Cell. Biol. 10:2492-2502を参照のこと)。リンカーペプチドはまた、6つもしくはそれよりも多くの(例えば、7、8、9、10、11もしくは12個またはそれよりも多くの)ヒスチジン残基であり得るまたはそれを含み得る。リンカーペプチドは、少なくとも1つの(例えば、1、2、3、4、5、6、7もしくは8つまたはそれよりも多くの)プロテアーゼ切断部位であり得るまたはそれを含み得る。プロテアーゼ部位は、例えば、トリプシン、キモトリプシンまたは第Xa因子切断部位であり得る。かかるプロテアーゼ部位は、例えば、第1のアミノ酸配列を異種の配列から分離するために有用であり得る。例えば、トリプシンプロテアーゼ切断部位によってポリヒスチジン配列(この場合には、精製のために使用される)に連結された第1のアミノ酸配列を含む融合タンパク質の発現および精製後に、このポリヒスチジン配列は、融合タンパク質をトリプシンと接触させることによって、第1のアミノ酸配列から除去され得る。
【0091】
第1のアミノ酸配列および第2のアミノ酸配列は、種々の方法で互いに関連し得る。本明細書で使用される場合、2つまたはそれよりも多くの原子または分子単位間での相互作用の文脈で、「~に関連する」は、2つもしくはそれよりも多くの原子もしくは分子単位(例えば、第1のアミノ酸配列および第2のアミノ酸配列)の任意の共有結合もしくは非共有結合、または物理的混合を含む。共有結合(2つの原子が価電子の1つまたは複数の対を共有する)の化学的性質は、当該分野で公知であり、これには、例えば、ジスルフィド結合またはペプチド結合が含まれる。非共有結合は、価電子の対の共有が関与しない原子または分子間の化学的結合である。例えば、非共有結合相互作用には、例えば、疎水性相互作用、水素結合相互作用、イオン結合、ファンデルワールス結合または双極子-双極子相互作用が含まれる。かかる非共有結合相互作用の例には、抗体-抗原複合体化または結合対相互作用(結合対の第1のメンバーと第2のメンバーとの相互作用、例えば、ストレプトアビジンとビオチンとの間の相互作用)が含まれる。従って、用語「~に関連する」(例えば、第1のアミノ酸配列および第2のアミノ酸配列の文脈で)は、用語「含む(comprising)」と同一の広がりを有すると理解される。
【0092】
一部の実施形態では、第1のアミノ酸配列および第2のアミノ酸配列は、単一の核酸配列によってコードされ得る(単一の核酸配列から融合タンパク質として発現され得る)。一部の場合には、第1のアミノ酸配列および第2のアミノ酸配列は、2つまたはそれよりも多くの(例えば、3、4、5、もしくは6つまたはそれよりも多くの)異なる核酸配列によってコードされ得る。例えば、第1のアミノ酸配列は、第1の核酸配列によってコードされ得、第2のアミノ酸配列は、第2の核酸配列によってコードされ得る。
【0093】
別々に発現または産生される場合、第1のアミノ酸配列および第2のアミノ酸配列は、いくつかの公知の化学的架橋剤のいずれかを使用して、互いに架橋され得る。かかる化学的架橋剤の例は、「妨害された(hindered)」ジスルフィド結合を含む連結を介して2つのアミノ酸残基を連結する化学的架橋剤である。これらの連結では、架橋単位内のジスルフィド結合は、例えば、還元型グルタチオンまたは酵素ジスルフィドレダクターゼの作用による還元から(ジスルフィド結合のいずれかの側の妨害基(hindering group)によって)保護される。1つの適切な化学的架橋剤である4-スクシンイミジルオキシカルボニル-α-メチル-α(2-ピリジルジチオ)トルエン(SMPT)は、アミノ酸配列の一方における末端リシンおよび他方における末端システインを利用して、2つのアミノ酸配列間に、かかる連結を形成する。ヘテロ二官能性試薬は、各アミノ酸配列における異なるカップリング部分によって架橋する。この方法では、得られた「ダイマー」は、いずれかのホモダイマー(例えば、2つの第1のアミノ酸配列または2つの第2のアミノ酸配列)またはホモダイマーおよびヘテロダイマーの混合物ではなく、ヘテロダイマー(第1のアミノ酸配列および第2のアミノ酸配列を含むペプチド)となる。従って、第1のアミノ酸配列におけるカップリング部分は、システイン残基であり得、他方のアミノ酸配列におけるカップリング部分は、リシン残基であり得る。他の有用な架橋剤には、限定なしに、2つのアミノ基を連結する化学物質(例えば、N-5-アジド-2-ニトロベンゾイルオキシスクシンイミド)、2つのスルフヒドリル基を連結する化学物質(例えば、1,4-ビス-マレイミドブタン)、1つのアミノ基および1つのスルフヒドリル基を連結する化学物質(例えば、m-マレイミドベンゾイル-N-ヒドロキシスクシンイミドエステル)、1つのアミノ基および1つのカルボキシル基を連結する化学物質(例えば、4-[p-アジドサリチルアミド]ブチルアミン)、ならびに1つのアミノ基およびアルギニンの側鎖中に存在する1つのグアニジウム(guanadium)基を連結する化学物質(例えば、p-ア
ジドフェニルグリオキサール一水和物)が含まれる。
【0094】
カップリング部分は、一部の実施形態では、各アミノ酸配列の末端(CまたはN)にある。これらは、上に示した通り、各アミノ酸配列におけるシステイン残基、または一方のアミノ酸配列におけるシステインおよび他方のアミノ酸配列におけるリシンであり得る。これらが2つのシステイン残基である場合、架橋は、例えば、アミノ酸配列を酸化条件に曝露させることによってもたらされ得る。
【0095】
融合タンパク質は、第1のアミノ酸配列および第2のアミノ酸配列を含み得、または融合タンパク質は、1つよりも多くの(例えば、2、3、4、5、6、7もしくは8つまたはそれよりも多くの)さらなる異種のアミノ酸配列を含み得る。さらなる異種のアミノ酸配列は、第1のアミノ酸配列のアミノ末端および/もしくはカルボキシ末端に隣接し得るまたはそれに連結され得る。
【0096】
2つよりも多くのアミノ酸配列が連結される場合、アミノ酸配列の少なくとも1つは、1つよりも多くの架橋部分を有し得る。例えば、第1のアミノ酸配列は、アミノ末端およびカルボキシ末端において架橋部分を有し得る。かかるマルチマーは、「順次」構築され得る。従って、鎖中の末端アミノ酸配列のみが、ドメイン間(または薬剤間)結合に関与する1つの残基を有し、一方で、「内部」アミノ酸配列(複数可)が各々、ドメイン間結合に関与する2つの部分を有するように、各アミノ酸配列は、次のアミノ酸配列に連結される。あるいは、1つのアミノ酸配列(例えば、第1のアミノ酸配列)は、複数の(例えば、2、3、4または5つの)他のアミノ酸配列に連結され得る。
【0097】
本明細書に記載される併用療法は、第1の成分および第2の成分を含み得、ここで、第1の成分は、本明細書に記載されるペプチドである。第2の成分は、例えば、異種のアミノ酸配列(上記)、任意の他の抗原性ペプチド(例えば、本明細書に記載されるもの以外のペプチド)、検出可能な標識(以下を参照のこと)、治療剤または予防剤(以下を参照のこと)であり得る。例えば、ペプチド組成物は、配列番号1~4のいずれかからなるまたは本質的にそれからなるアミノ酸配列、および検出可能な標識、例えば放射性核種を含み得る。
【0098】
一部の実施形態では、本明細書に記載されるペプチドは、アミノ末端および/またはカルボキシ末端において、最大で200個の(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190または200個の)異種のアミノ酸を有し得ることが理解される。
【0099】
本明細書に記載されるペプチドは、主要組織適合複合体(MHC)分子(例えば、MHCクラスI分子またはMHCクラスII分子)に結合できる。「主要組織適合複合体」または「MHC」は、生理的免疫応答を担う細胞相互作用の制御において役割を果たす遺伝子のクラスターである。ヒトでは、MHCは、HLA複合体として公知である(例えば、Paul et al., FUNDAMENTAL IMMUNOLOGY, 3rd Edition, Raven Press, New York, (1993)およびStites, et al., IMMUNOLOGY, 8th Edition, Lange Publishing, Los Altos, Calif. (1994)を参照のこと)。
【0100】
「HLAスーパータイプ(supertype)またはファミリー」は、本明細書で使用される
場合、共有されたペプチド結合特異性に基づいてグループ分けされたHLA分子のセットを指す。ある特定のアミノ酸モチーフを有するペプチドに対するいくらか類似した結合親和性を共有するHLAクラスI分子は、HLAスーパータイプへとグループ分けされる。HLAスーパーファミリー、HLAスーパータイプファミリー、HLAファミリーおよびHLA xx様分子(ここで、xxは、特定のHLA型を示す)という用語は、同義語である。HLAクラスI分子の型には、例えば、HLA-A1、HLA-A2、HLA-A3、HLA-A24、HLA-B7、HLA-B27、HLA-B44、HLA-B58またはHLA-B62が含まれる。かかるHLA分子は、米国特許第7,026,443号に詳細に記載されており、その全開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0101】
ペプチドは、高い親和性または中程度の親和性でMHC分子に結合できる。本明細書で使用される場合、HLAクラスI分子へのペプチドの「高い親和性」の結合は、50nM未満(例えば、45、40、35、30、25、20、15、10、5、1、0.5、0.1nM、または0.05nM未満)の解離定数(KD)での結合として定義される。「中程度の親和性」は、約50nMと約500nMとの間(例えば、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、115、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390、400、410、420、430、440、450、460、470、480、490または500nM)のKDでの、HLAクラスI分子へのペプチドの結合である。HLAクラスII分子へのペプチドの「高い親和性」の結合は、100nM未満(例えば、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、5、1、0.5、0.1nM、または0.05nM未満)のKDでの結合として定義される。HLAクラスII分子に対するペプチドの「中程度の親和性」は、約100nMと約1000nMとの間(例えば、100、110、115、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390、400、410、420、430、440、450、460、470、480、490、500、510、520、530、540、550、560、570、580、590、600、610、620、630、640、650、660、670、680、690、700、710、720、730、740、750、760、770、780、790、800、810、820、830、840、850、860、870、880、890、900、910、920、930、940、950、960、970、980、990、または1000nM)のKDでの結合である。ペプチドとMHC分子との結合親和性を決定するための方法は、例えば、米国特許第7,026,443号に記載されている。
【0102】
本明細書に記載されるペプチドはまた、MHC分子と会合して、T細胞上の抗原特異的T細胞受容体によって認識され得る。ペプチドが、MHC分子と会合して、T細胞上のT細胞受容体によって認識されるかどうかを決定するために、種々の適切な方法が使用され得る。例えば、正常対象由来の末梢血リンパ球(PBL)が、数週間の期間にわたって、抗原提示細胞の存在下でin vitroで試験ペプチドと共に培養され得る。ペプチドに対して特異的なT細胞は、この時間の間に活性化され、例えば、増殖アッセイ(カルボキシフルオロセイン(carboxyfluoroscein)スクシンイミジルエステル(CFSE)アッセイまたは3H-チミジンアッセイ)、限界希釈アッセイ、細胞傷害性アッセイ(例えば、カルセイン放出アッセイ)、またはサイトカイン(例えば、IFNγ)放出アッセイ、リンホカイン放出アッセイもしくは51Cr放出アッセイを使用して検出され得る(例えば、その各々の開示がそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる、Wentworth, P. A. et al., Mol. Immunol. 32:603, 1995;Celis, E. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91:2105, 1994;Tsai, V. et al., J. Immunol. 158:1796, 1997;Kawashima, I. et al., Human Immunol. 59:1, 1998を参照のこと)
。適切なin vivo法には、HLAトランスジェニックマウスを免疫することを含み、ここで、アジュバント中のペプチドは、HLAトランスジェニックマウスに皮下投与され、免疫の数週間後に、脾細胞が取り出され、およそ1週間にわたって試験ペプチドの存在下でin vitroで培養され、ペプチド特異的T細胞が、例えば、51Cr放出アッセイを使用して検出される(例えば、その各々の開示がそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる、Wentworth, P. A. et al., J. Immunol. 26:97, 1996;Wentworth, P. A. et al., Int. Immunol. 8:651, 1996;Alexander, J. et al., J. Immunol. 159:4753, 1997を参照のこと)。
【0103】
さらに、抗原特異的T細胞の直接的定量は、T細胞を、検出可能に標識されたMHC複合体、例えば、国際出願WO2014/071402に記載されるMHC分子マルチマー組成物、またはHLA-Iテトラマー(例えば、その各々の開示がそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる、Altman, J. D. et al., Proc. Natl. Acad. Sci.
USA 90:10330, 1993およびAltman, J. D. et al., Science 274:94, 1996に
記載されている)のいずれかで染色することによって実施され得る。
【0104】
一部の実施形態では、ペプチドは、ペプチドの1つまたは複数の特性をモジュレート(例えば、増加または減少)するために、改変され得る(例えば、ペプチドのアミノ酸は、置換され得る)。例えば、表1に示されるペプチドのうち1つの、1つまたは複数の(例えば、2、3または4つの)アミノ酸は、MHC分子に対するペプチドの親和性を増加させるために置換され得る。一部の実施形態では、本明細書に記載されるペプチドのうち1つのアミノ酸(例えば、ペプチドのT細胞受容体接触アミノ酸残基)が、(MHC分子との関連で)T細胞受容体とペプチドとの間の結合相互作用を増強するために、改変され得る。かかる改変されたペプチドは、「変更されたペプチドリガンド」と呼ばれる場合が多い(例えば、その各々の開示がそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる、Kalergis et al. (2000) J Immunol. 165(1):280;Conlon et al. (2002) Science
1801;および国際公開番号WO02070003を参照のこと)。
【0105】
ペプチドを改変するためならびに改変の影響を決定するために適切な方法は、例えば、国際出願WO2014/071402およびCollins et al.(Immunlogical Reviews
(1998) 163:151-160、その各々の開示は、その全体が参照により本明細書に組み込ま
れる)に記載されている。
【0106】
本明細書のペプチドおよびペプチドをコードする核酸を産生するために適切な方法は、例えば、国際出願WO2014/071402中の表題「Nucleic Acids and Methods for Producing the Peptides」および「Additional Processing of the Peptides」のセクションに記載されており、この出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0107】
本明細書に記載されるペプチド(および融合タンパク質)は、単離され得るが、その必要はない。用語「単離された」は、本明細書に記載されるペプチド(または融合タンパク質)のいずれかに適用される場合、それに天然に付随する成分(例えば、タンパク質または他の天然に存在する生体もしくは有機分子)から分離または精製された、ペプチド、その断片(または組成物については、高分子複合体)を指す。組換え分子(例えば、組換えペプチド)は、常に「単離されている」と理解される。典型的には、ペプチド(または断片もしくは高分子複合体)は、調製物中の同じ型の総分子の少なくとも60重量%、例えば、試料中の同じ型の総分子の60%をそれが構成する場合、単離されている。例えば、本明細書に記載されるペプチドは、調製物または試料中の総タンパク質の少なくとも60重量%をそれが構成する場合、単離されているとみなされる。一部の実施形態では、調製物中の分子は、調製物中の同じ型の総分子の少なくとも75重量%、少なくとも90重量%または少なくとも99重量%からなる。ペプチドは、それが他の単離されたペプチドとの混合物、例えば、等しい質量の2、3または4つの異なるペプチドの混合物中に存在する場合も、「単離」できている。
【0108】
一部の実施形態では、単離されたペプチド、融合タンパク質、ペプチドコード配列、融合タンパク質コード配列またはベクターは、適切な条件下で凍結、凍結乾燥、または固定化および貯蔵され得、これにより、分子は、活性(例えば、ペプチドがMHCクラスI分子などのMHC分子に結合する能力、またはベクターが細胞におけるペプチドの発現を支持する能力)を保持することが可能になる。
【0109】
ペプチドのさらなる処理
本明細書に記載されるペプチド(または融合タンパク質)のいずれかの発現または合成の後に、このペプチド(または融合タンパク質)は、さらに処理され得る。さらなる処理は、ペプチド(または融合タンパク質)に対する化学的もしくは酵素的改変を含み得、またはペプチド(または融合タンパク質)が改変される場合、処理は、既存の改変の酵素的もしくは化学的変更、またはその両方を含み得る。ペプチドのさらなる処理は、例えば、上記異種のアミノ酸配列のいずれかであるがこれに限定されない異種のアミノ酸配列の付加(共有結合的または非共有結合的連結)を含み得る。酵素的処理には、ペプチドが改変されるのを可能にする条件下で、ペプチドを、例えば、1つまたは複数のプロテアーゼ、ホスファターゼまたはキナーゼと接触させることを含み得る。酵素的処理には、ペプチドを、ペプチドをグリコシル化することが可能なまたはペプチドのグリコシル化を改変することが可能な1つまたは複数の酵素(例えば、オリゴサッカリルトランスフェラーゼまたはマンノシダーゼ)と接触させることを含み得る。
【0110】
この処理は、例えば、ペプチドへの検出可能な標識の付加を含み得る。例えば、ペプチドは、酵素(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β-ガラクトシダーゼまたはアセチルコリンエステラーゼ)、蛍光材料(例えば、ウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミン(dichlorotriazinylamine)、フルオレセイン、ダンシルクロリド、アロフィコシアニン(APC)またはフィコエリトリン)、発光材料(例えば、ランタニドまたはそのキレート)、生物発光材料(例えば、ルシフェラーゼ、ルシフェリンまたはエクオリン)または放射性核種(例えば、3H、32P、33P、125Iまたは35S)で、検出可能に標識され得る。
【0111】
この処理には、ペプチド(または融合タンパク質)の、ポリマー(例えば、ポリアルキレングリコール部分、例えば、ポリエチレングリコール部分)へのカップリングも含み得る。一部の実施形態では、ポリマーは、ペプチド上のN末端である部位でペプチドにカップリングされる。一部の実施形態では、ペプチドは、ポリマーがコンジュゲートされ得る内部ポリマーコンジュゲーション部位を提供する1つまたは複数の内部アミノ酸挿入を含み得る。
【0112】
ペムブロリズマブ
本明細書の併用療法は、ペムブロリズマブを含む。ペムブロリズマブは、以下に示される軽鎖および重鎖配列を有するモノクローナル抗PD-1抗体分子である。
【0113】
医薬物質国際一般名(International Nonproprietary Names for Pharmaceutical
Substances) (INN) (WHO Drug Information, Vol. 28, No. 3, 2014)(407頁の表題「pembrolizumab」のセクションを含め、その全体が参照により組み込まれる)は、以下の通りのペムブロリズマブの重鎖および軽鎖配列を提供する:
【化5】
【0114】
ペムブロリズマブは、非経口投与、例えば、静脈内投与のために製剤化され得る。
【0115】
実施形態では、ペムブロリズマブは、3週間毎に200mgで投与される。実施形態では、ペムブロリズマブは、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12週間毎に投与される。実施形態では、ペムブロリズマブは、静脈内投与される。実施形態では、ペムブロリズマブは、30分間の過程にわたって静脈内投与される。実施形態では、ペムブロリズマブは、3週間毎に2mg/kg体重で投与される。
【0116】
実施形態では、本明細書の併用療法は、ペムブロリズマブおよび本明細書に記載されるペプチド組成物を投与することを含む。実施形態では、本明細書の併用療法は、ペムブロリズマブと関連する抗体分子を(例えば、本明細書の方法のいずれかでは、ペムブロリズマブの代わりに)投与することを含む。実施形態では、抗体分子は、配列番号9に対して少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有する重鎖配列を含む。実施形態では、抗体分子は、配列番号10に対して少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有する軽鎖配列を含む。実施形態では、抗体分子は、配列番号9由来のVH領域に対して少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を有するVH領域を含む、または配列番号9由来のCH領域を有する。実施形態では、抗体分子は、配列番号10由来のVL領域に対して少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を有する、または配列番号10由来のVL領域を有する、VL領域を含む。実施形態では、抗体分子は、配列番号9由来のHC CDR1、HC CDR2およびHC CDR3を含み、これらのCDRは、Kabat、Chothia、またはKabatおよびChothiaの組合せに従って定義される。実施形態では、抗体分子は、配列番号10由来のLC CDR1、LC CDR2およびLC CDR3を含み、これらのCDRは、Kabat、Chothia、またはKabatおよびChothiaの組合せに従って定義される。
【0117】
本明細書で使用される場合、「抗体分子」は、少なくとも1つの免疫グロブリン可変ドメイン配列を含むタンパク質、例えば、免疫グロブリン鎖またはその断片を指す。用語「抗体分子」は、抗体および抗体断片を包含する。ある実施形態では、抗体分子は、多重特異性抗体分子、例えば、二重特異性抗体分子である。
【0118】
用語「抗体」は、本明細書で使用される場合、抗原に特異的に結合する免疫グロブリン分子に由来するタンパク質またはポリペプチド配列を指す。抗体は、ポリクローナルもしくはモノクローナル、複数鎖もしくは単鎖、またはインタクトな免疫グロブリンであり得、天然の供給源または組換え供給源に由来し得る。抗体は、免疫グロブリン分子のテトラマーであり得る。
【0119】
用語「抗体断片」は、抗原のエピトープと(例えば、結合、立体障害、安定化/不安定化、空間分布によって)特異的に相互作用する能力を保持する、抗体の少なくとも1つの部分を指す。抗体断片の例には、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv断片、scFv抗体断片、ジスルフィド連結されたFv(sdFv)、VHドメインおよびCH1ドメインからなるFd断片、直鎖抗体、単一ドメイン抗体、例えば、sdAb(VLまたはVHのいずれか)、ラクダ類VHHドメイン、抗体断片から形成された多重特異性抗体、例えば、ヒンジ領域におけるジスルフィド架橋によって連結された2つのFab断片を含む二価断片、および単離されたCDRまたは抗体の他のエピトープ結合性断片が含まれるがこれらに限定されない。抗原結合性断片はまた、単一ドメイン抗体、マキシボディ(maxibody)、ミニボディ(minibody)、ナノボディ、イントラボディ、ダイアボディ(diabody)、トリアボディ(triabody)、テトラボディ(tetrabody)、v-NARおよびビス-scFv中に取り込まれ得る(例えば、Hollinger and Hudson, Nature Biotechnology 23:1126-1136, 2005を参照のこと)。
【0120】
用語「相補性決定領域」または「CDR」は、本明細書で使用される場合、抗原特異性および結合親和性を付与する、抗体可変領域内のアミノ酸の配列を指す。例えば、一般に、各重鎖可変領域中には3つのCDR(例えば、HCDR1、HCDR2およびHCDR3)が存在し、各軽鎖可変領域中には3つのCDR(LCDR1、LCDR2およびLCDR3)が存在する。所与のCDRの正確なアミノ酸配列境界は、Kabat et al. (1991), "Sequences of Proteins of Immunological Interest," 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD(「Kabat」番号付けスキーム)、Al-Lazikani et al., (1997) JMB 273,927-948(「Cho
thia」番号付けスキーム)によって記載されるもの、またはそれらの組合せを含む、いくつかの周知のスキームのいずれかを使用して決定され得る。Kabat番号付けスキームでは、一部の実施形態では、重鎖可変ドメイン(VH)中のCDRアミノ酸残基は、31~35(HCDR1)、50~65(HCDR2)および95~102(HCDR3)と番号付けされる;軽鎖可変ドメイン(VL)中のCDRアミノ酸残基は、24~34(LCDR1)、50~56(LCDR2)および89~97(LCDR3)と番号付けされる。Chothia番号付けスキームでは、一部の実施形態では、VH中のCDRアミノ酸は、26~32(HCDR1)、52~56(HCDR2)および95~102(HCDR3)と番号付けされる;VL中のCDRアミノ酸残基は、26~32(LCDR1)、50~52(LCDR2)および91~96(LCDR3)と番号付けされる。KabatおよびChothiaの組合せの番号付けスキームでは、一部の実施形態では、CDRは、Kabat CDR、Chothia CDRまたはその両方の一部であるアミノ酸残基に対応する。例えば、一部の実施形態では、CDRは、VH、例えば、哺乳動物VH、例えば、ヒトVH中のアミノ酸残基26~35(HCDR1)、50~65(HCDR2)および95~102(HCDR3);ならびにVL、例えば、哺乳動物VL、例えば、ヒトVL中のアミノ酸残基24~34(LCDR1)、50~56(LCDR2)および89~97(LCDR3)に対応する。
【0121】
医薬組成物
本明細書に記載されるペプチド、融合タンパク質または他の治療薬のいずれかが、医薬組成物中に取り込まれ得る。かかる組成物は、1つまたは複数のペプチド(および/またはペプチドをコードする核酸)、および薬学的に許容される担体を含み得る。この組成物は、ペムブロリズマブをさらに含み得る。本明細書で使用される場合、言語「薬学的に許容される担体」は、医薬品投与と適合性の、溶媒、分散媒、コーティング、抗細菌剤および抗真菌剤、等張剤ならびに吸収遅延剤などを含む。1つまたは複数のペプチドは、シロップ剤、エリキシル剤、懸濁剤、粉剤・散剤(powder)、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、ロゼンジ剤、トローチ剤、水性液剤、クリーム剤、軟膏剤、ローショ剤ン、ゲル剤、エマルジョンなどの形態で、医薬組成物として製剤化され得る。補足的活性化合物(例えば、1つまたは複数の化学療法剤)もまた、組成物中に取り込まれ得る。実施形態では、この組成物は、2つまたはそれよりも多くの(例えば、2、3、4、5または6つの)本明細書に記載されるペプチドを含む。この組成物は、本明細書で開示される免疫原性ペプチド、例えば、例えば本明細書に記載されるWT1またはその誘導体由来のペプチド以外の免疫原性ペプチドもまた含み得る。他の免疫原性ペプチドには、MUC1由来の免疫原性ペプチド、gp100由来の免疫原性ペプチド、TRP-2由来の免疫原性ペプチド、MAG1由来の免疫原性ペプチド、NY-ESO1由来の免疫原性ペプチド、HER-2由来の免疫原性ペプチド;およびAIM2由来の免疫原性ペプチドが含まれるがこれらに限定されない。
【0122】
医薬組成物は、一般に、その意図した投与経路と適合性になるように製剤化される。投与経路の例には、経口、直腸、および非経口、例えば、静脈内、筋肉内、皮内、皮下、吸入、経皮または経粘膜が含まれる。非経口適用のために使用される液剤または懸濁剤は、以下の成分を含み得る:無菌希釈剤、例えば、注射用水、食塩水溶液、不揮発油、ポリエチレングリコール、グリセリン(glycerine)、プロピレングリコールまたは他の合成溶
媒;抗細菌剤、例えば、ベンジルアルコールまたはメチルパラベン;抗酸化剤、例えば、アスコルビン酸または亜硫酸水素ナトリウム;キレート剤、例えば、エチレンジアミン四酢酸;バッファ、例えば、アセテート、シトレートまたはホスフェート、および浸透圧の調整のための剤、例えば、塩化ナトリウムまたはデキストロース。pHは、酸または塩基、例えば、塩酸または水酸化ナトリウムを用いて調整することができる。組成物は、ガラスまたはプラスチック製のアンプル、使い捨てシリンジまたは複数用量バイアル中に封入され得る。例えばペプチド組成物のためのさらなる製剤は、77~81頁の表題「Pharmaceutical Compositions」のセクションを含む、その全体が参照により本明細書に組み込まれる国際出願WO2014/071402に記載されている。
【0123】
実施形態では、1つまたは複数のペプチドは、注射、例えば、皮下注射のために製剤化される。実施形態では、ペムブロリズマブは、注射、例えば、静脈内注射のために製剤化される。
【0124】
全身投与はまた、経粘膜または経皮手段によるものであり得る。経粘膜または経皮投与のために、透過されるべき障壁に適切な浸透剤が、製剤において使用される。かかる浸透剤は、当該分野で一般に公知であり、これには、例えば、経粘膜投与のために、界面活性剤、胆汁酸塩およびフシジン酸誘導体が含まれる。経粘膜投与は、鼻腔スプレーまたは坐剤の使用を介して達成され得る。経皮投与のために、ペプチド(または融合タンパク質または核酸)は、当該分野で一般に公知の軟膏剤、膏薬、ゲル剤またはクリーム剤へと製剤化され得る。
【0125】
一実施形態では、本明細書の組成物(例えば、ペプチドおよび/または抗体分子)は、埋込物(implant)およびマイクロカプセル化された送達系を含む徐放性製剤などの、身
体からの迅速な排出に対してペプチドまたは抗体分子を保護する担体を用いて調製され得る。生分解性の生体適合性ポリマー、例えば、エチレン酢酸ビニル、ポリ酸無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステルおよびポリ乳酸が使用され得る。かかる製剤の調製のための方法は、当業者に明らかである。材料は、Alza CorporationおよびNova Pharmaceuticals,Inc.からも商業的に入手され得る。リポソーム懸濁物(APC特異的抗原に対するモノクローナル抗体を用いて、例えばAPCに向けられるリポソームを含む)もまた、薬学的に許容される担体として使用され得る。これらは、例えば、米国特許第4,522,811号に記載されるような、当業者に公知の方法に従って調製され得る。
【0126】
本明細書に記載される医薬組成物のいずれかは、以下に記載されるように、投与のための指示と一緒に、容器、パックまたはディスペンサー中に含まれ得る。
【0127】
適用
本明細書の併用療法、組成物、医薬組成物およびキットは、種々の方法において使用され得る。例えば、本明細書に記載される併用療法および組成物は、以下のために使用され得る:(i)固形腫瘍、例えば、乳がんを有する対象において免疫応答を誘導するため;(ii)培養物中のT細胞(例えば、セントラルメモリーT細胞および/またはエフェクターメモリーT細胞)を活性化するため;および/または(iii)固形腫瘍、例えば、乳がんを処置するため、もしくはさらには予防するため。固形腫瘍には、例えば、肺がん、肝臓がん、胆管がん、胃がん、子宮頸がん、鼻咽頭がん、乳がん、結腸がん、膵がんおよび前立腺がんが含まれる。一部の実施形態では、がん、例えば、乳がんは、再発性または治療抵抗性である。一部の実施形態では、がんは、再発性または治療抵抗性のトリプルネガティブ乳がんである。
【0128】
本明細書の併用療法、組成物、医薬組成物およびキットの有用性は、本明細書に記載される特定の実施形態のいずれにも決して限定されないが、これらの試薬が使用され得る例示的な方法は、以下に提供される。
【0129】
免疫応答を誘導するための方法
本開示は、がん、例えば、乳がんを有する対象において免疫応答を誘導するための種々の方法もまた特色とする。がんを有する対象において免疫応答を誘導するための方法は、本明細書に記載される組合せのいずれかまたは本明細書に記載される医薬組成物のいずれかのうち1つまたは複数を対象に投与するステップを含み得る。免疫応答は、CD8+T細胞、CD4+T細胞、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)、TH1応答、TH2応答、または両方の型の応答の組合せであり得る。
【0130】
本明細書の併用療法は、種々の適用、例えば、対象において免疫応答を誘導するための方法、対象において抗体を産生するための方法、およびがん、例えば、乳がん、例えば、トリプルネガティブ乳がんを処置するための方法において使用され得る。
【0131】
本明細書の方法のいずれかはまた、例えば、対象においてがん(例えば、乳がん、例えば、トリプルネガティブ乳がん、またはXBP1、CD138もしくはCS1を発現する任意の他のがん)を処置または予防(かかるがんに対する予防)するための方法であり得る。用語「予防する(prevent)」、「予防する(preventing)」または「予防」は、所
与の状態に対する所与の処置に関して本明細書で使用される場合、これらは、処置された対象が、臨床的に観察可能なレベルの状態を全く発症しない(例えば、対象が、その状態の1つもしくは複数の症状を示さない、または実施形態では、対象が、検出可能なレベルのがんを発症しない)ことを意味する。
【0132】
本明細書で使用される場合、障害、例えば、がんを有する対象を「処置する(treat)
」、「処置」または「処置する(treating)」という用語は、所与の障害に対する所与の処置に関連して使用され、ここで、障害の少なくとも1つの症状は、治癒(cured)、治
癒(healed)、緩和、軽減、変更、治療(remedied)、回復または改善される。処置は、障害または障害の症状を緩和、軽減、変更、治療、回復、改善するまたはそれに影響を与えるのに有効な量の組成物を投与することを含む。処置は、障害の症状の増悪もしくは悪化を阻害し得る、または処置が存在しない場合よりも、対象における状態の進行をより緩徐にするおよび/または状態をより低い程度(例えば、対象におけるより少ない症状またはより少ない数のがん細胞)にすることができる。例えば、処置は、状態の間、例えば、状態(進行がん)の所与の発現(manifestation)を生じると予測されていたがんの早期
診断(例えば、対象由来の試料における少数のがん細胞の検出)の間に与えられ、対象が、他の方法で予測されたものよりも、状態のより少ないおよび/またはより軽度の症状を経験する場合、その状態を「処置した」と言う。処置は、対象ががんの軽度の顕性症状のみを示す場合、そのがん(例えば、乳がん、例えば、トリプルネガティブ乳がん)を「処置する」ことができる。
【0133】
ある実施形態では、がんは、本明細書に記載されるがんである。例えば、がんは、膀胱(急速進行型および転移性膀胱がんを含む)、乳(例えば、エストロゲン受容体陽性乳がん、エストロゲン受容体陰性乳がん、HER-2陽性乳がん、HER-2陰性乳がん、トリプルネガティブ乳がん、炎症性乳がん)、結腸(結腸直腸がんを含む)、腎臓(例えば、腎細胞癌(例えば、乳頭状腎細胞癌、明細胞癌、嫌色素性(chromphobic)癌))、肝
臓、肺(小細胞肺がんおよび非小細胞肺がん(腺癌、扁平上皮癌、気管支肺胞癌および大細胞癌を含む)を含む)、泌尿生殖器、例えば、卵巣(卵管がん(fallopian cancer)
、子宮内膜がんおよび腹膜がんを含む)、子宮頸部、前立腺および精巣、リンパ系、直腸、喉頭、膵臓(膵外分泌癌を含む)、胃(例えば、胃食道がん、胃上部がんまたは胃下部がん)、消化器がん(例えば、肛門がんまたは胆管がん)、胆嚢、甲状腺、白血病(例えば、急性骨髄性白血病)、神経およびグリア細胞がん(例えば、多形神経膠芽腫)、ならびに頭頸部(例えば、鼻咽頭がん)のがんであり得る。
【0134】
投与は、医薬組成物のボーラスの定期的な注射によってであり得、または外部(例えば、IVバッグ)もしくは内部(例えば、生体分解可能な(bioerodable)埋込物、バイオ
人工臓器、または埋め込まれた試薬産生細胞のコロニー)であるレザバからの静脈内もしくは腹腔内投与によって、中断なしもしくは連続的であり得る。例えば、各々それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第4,407,957号、同第5,798,113号および同第5,800,828号を参照のこと。
【0135】
一般に、必要とされるペプチドまたは抗体分子の投薬量は、投与経路の選択;製剤の性質;対象の病気の性質または重症度;対象の免疫状態;対象の大きさ、体重、表面積、年齢および性別;投与されている他の薬物;ならびに担当医療従事者の判断に依存する。
【0136】
免疫応答を誘導するためのペプチドの適切な投薬量は、対象の体重1kg当たり試薬または抗原性/免疫原性組成物が0.000001~10mgの範囲である。必要な投薬量におけるバリエーションは、種々の試薬、および種々の投与経路の異なる効率を考慮して予測される。例えば、鼻腔または直腸投与は、静脈内注射による投与よりも高い投薬量を必要とし得る。これらの投薬量レベルにおけるバリエーションは、当該分野で十分理解されるように、最適化のための標準的な経験的ルーチンを使用して調整することができる。投与は、単回または複数回(例えば、2回、3回、4回、6回、8回、10回、20回、50回、100回、150回またはそれよりも多くの回数)であり得る。例えば、ペプチド(単数または複数)は、初回免疫として投与され得、次いで、ブースター免疫として、引き続いて1または複数回投与され得る。
【0137】
治療有効性(例えば、対象において免疫応答を誘導する、1つまたは複数のペプチドまたはペプチドをコードする核酸の有効性)を最適化するために、ペプチドを含む組成物は、異なる投薬レジメンで最初に投与され得る。単位用量およびレジメンは、例えば、哺乳動物の種、その免疫状態、哺乳動物の体重を含む因子に依存する。
【0138】
医薬組成物(例えば、本明細書に記載される医薬組成物)についての投薬の頻度は、医療実務者(例えば、医師または看護師)の技能および臨床的判断の範囲内である。典型的には、投与レジメンは、最適な投与パラメーターを確立し得る臨床試験によって確立される。しかし、医療実務者は、対象の年齢、健康、体重、性別および医学的状態に従って、かかる投与レジメンを変更し得る。
【0139】
一部の実施形態では、医薬組成物は、少なくとも2回(例えば、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、15もしくは20回またはそれよりも多くの回数)、対象に投与され得る。例えば、医薬組成物は、3ヶ月間にわたって1ヶ月に1回;1ヶ月間にわたって毎週1回;隔週に、3年間にわたって1年に1回、5年間にわたって1年に1回;5年毎に1回;10年毎に1回;または生涯にわたって3年毎に1回、対象に投与され得る。
【0140】
一部の実施形態では、試薬は、免疫モジュレーター、例えば、Toll受容体リガンドまたはアジュバントと共に投与され得る(以下を参照のこと)。
【0141】
本明細書で定義される場合、ペプチドまたはペプチドをコードする核酸の「治療有効量」は、処置された対象において免疫応答を生じることが可能なペプチドまたは核酸の量である。ペプチドの治療有効量(即ち、有効投薬量)には、対象または試料重量のキログラムあたりの試薬のミリグラム、マイクログラム、ナノグラムまたはピコグラム量(例えば、約1ナノグラム/キログラム~約500マイクログラム/キログラム、約1マイクログラム/キログラム~約500ミリグラム/キログラム、約100マイクログラム/キログラム~約5ミリグラム/キログラム、または約1マイクログラム/キログラム~約50マイクログラム/キログラム)が含まれる。また、核酸の治療有効量には、対象または試料重量のキログラムあたりの試薬のマイクログラム、ナノグラムまたはピコグラム量(例えば、約1ナノグラム/キログラム~約500マイクログラム/キログラム、約1マイクログラム/キログラム~約500マイクログラム/キログラム、約100マイクログラム/キログラム~約500マイクログラム/キログラム、または約1マイクログラム/キログラム~約50マイクログラム/キログラム)が含まれる。
【0142】
本明細書で定義される場合、ペプチドまたはペプチドをコードする核酸の「予防有効量」は、処置された対象においてがん細胞(例えば、乳がん細胞)に対する免疫応答を生じることが可能なペプチドまたは核酸の量であり、この免疫応答は、対象においてがんの発症を予防することが可能である、または対象ががんを発症するもしくはがんを発症し続ける危険(chance)を実質的に低減させることができる(上を参照のこと)。ペプチドの予防有効量(即ち、有効投薬量)には、対象または試料重量のキログラムあたりの試薬のミリグラム、マイクログラム、ナノグラムまたはピコグラム量(例えば、約1ナノグラム/キログラム~約500マイクログラム/キログラム、約1マイクログラム/キログラム~約500ミリグラム/キログラム、約100マイクログラム/キログラム~約5ミリグラム/キログラム、または約1マイクログラム/キログラム~約50マイクログラム/キログラム)が含まれる。また、核酸の予防有効量には、対象または試料重量のキログラムあたりの試薬のマイクログラム、ナノグラムまたはピコグラム量(例えば、約1ナノグラム/キログラム~約500マイクログラム/キログラム、約1マイクログラム/キログラム~約500マイクログラム/キログラム、約100マイクログラム/キログラム~約500マイクログラム/キログラム、または約1マイクログラム/キログラム~約50マイクログラム/キログラム)が含まれる。
【0143】
対象は、例えば、哺乳動物、例えば、ヒト(例えば、ヒト患者)もしくは非ヒト霊長類(例えば、チンパンジー、ヒヒまたはサル)、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、アレチネズミ、ハムスター、ウマ、ある種の家畜(例えば、ウシ、ブタ、ヒツジまたはヤギ)、イヌ、ネコまたはクジラであるがこれらに限定されない、抗原に対する免疫応答が可能な任意の動物であり得る。対象は、固形腫瘍、例えば、乳がん、例えば、トリプルネガティブ乳がん、またはXBP1、CD138もしくはCS-1を発現する任意の他の型の固形腫瘍(例えば、肺がん、肝臓がん、胆管がん、胃がん、子宮頸がん、鼻咽頭がん、結腸がんまたは膵がん)を有する、それを有する疑いがある、またはそれを発症するリスクがある対象であり得る。対象は、がん、例えば、乳がんからの寛解状態にある対象であり得る。
【0144】
これらの方法は、1つまたは複数のペプチド(または核酸)を対象に投与するステップの前に、対象のがん(例えば、乳がん)の1つまたは複数のがん細胞が、XBP1、CD138またはCS-1を発現するかどうかを決定するステップもまた含み得る。これらのタンパク質の発現には、mRNAおよびタンパク質発現の両方が含まれる。細胞におけるタンパク質およびmRNA発現を検出するための方法には、例えば、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)、ウエスタンブロッティングおよびドットブロッティング技術、またはタンパク質を検出するための免疫組織化学技術、およびmRNAを検出するための逆転写-ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)もしくはノザンブロッティング技術が含まれる。
【0145】
ペプチドまたは組成物は、他の公知の療法と組み合わせて使用され得る。「組み合わせて」投与されるは、本明細書で使用される場合、2つの(またはそれよりも多くの)異なる処置が、障害により対象が苦しんでいる間に対象に送達されること、例えば、2つまたはそれよりも多くの処置が、対象が障害を有すると診断された後、および障害が治癒もしくは排除される前、または処置が他の理由のために停止される前に、送達されることを意味する。一部の実施形態では、1つの処置の送達は、第2の処置の送達が始まる時点でなおも行われており、その結果、投与の期間に重複が存在する。これは、「同時(simultaneous)」または「同時送達(concurrent delivery)」として本明細書で言及される場合がある。他の実施形態では、1つの処置の送達は、他の処置の送達が始まる前に終了する。いずれかの場合の一部の実施形態では、処置は、組み合わされた投与に起因して、より有効である。例えば、第2の処置は、より有効である、例えば、等価な効果が、より少ない第2の処置によって見られ、もしくは第2の処置は、第1の処置の非存在下で第2の処置が投与された場合に見られるものよりも高い程度まで症状を低減させ、または類似の状況が第1の処置で見られる。一部の実施形態では、送達は、症状、または障害に関連する他のパラメーターにおける低減が、他の処置の非存在下で送達される1つの処置によって観察されるものよりも大きいような送達である。2つの処置の効果は、部分的に相加的、完全に相加的、または相加的を上回るものであり得る。送達は、送達された第1の処置の効果が、第2の処置が送達される時点でなおも検出可能であるような送達であり得る。
【0146】
一部の実施形態では、送達は、併用療法が、同じ用量の1つまたは複数のペプチドのみで処置された患者において観察されたものよりも高い免疫応答を生じるような送達である。一部の実施形態では、送達は、併用療法が、同じ用量の1つまたは複数のペプチドのみで処置された患者において観察されたものよりも高い臨床応答を生じるような送達である。一部の実施形態では、送達は、併用療法が、同じ用量のペムブロリズマブのみで処置された患者において観察されたものよりも高い臨床応答を生じるような送達である。一部の実施形態では、送達は、併用療法が、併用療法とペムブロリズマブ単剤療法との間で類似の臨床応答を生じるような送達であり、ここで、ペムブロリズマブは、単剤療法の場合よりも、併用療法の一部として、より低い頻度でまたはより低い用量で投与される。
【0147】
一部の実施形態では、処置の方法は、(a)1つまたは複数の本明細書に記載されるペプチド、(b)ペムブロリズマブ、および(c)1つまたは複数のさらなる処置を投与するステップを含む。実施形態では、さらなる処置は、手術、化学療法(例えば、アジュバントまたはネオアジュバント化学療法)を含む。
【0148】
さらなる処置は、例えば、手術、1つもしくは複数の化学療法剤、1つもしくは複数の形態の電離放射線および/または1つもしくは複数の免疫調節剤であり得る。
【0149】
1つまたは複数の形態の電離放射線は、ガンマ-照射、X線-照射またはベータ線-照射であり得る。
【0150】
例示的なクラスの化学療法剤には、例えば、以下が含まれる:
アルキル化剤(限定なしに、ナイトロジェンマスタード、エチレンイミン誘導体、スルホン酸アルキル、ニトロソウレアおよびトリアゼンが含まれる):ウラシルマスタード(Aminouracil Mustard(登録商標)、Chlorethaminacil(登録商標)、Demethyldopan(登録商標)、Desmethyldopan(登録商標)、Haemanthamine(登録商標)、Nordopan(登録商標)、Uracil nitrogen mustard(登録商標)、Uracillost(登録商標)、Uracilmostaza(登録商標)、Uramustin(登録商標)、Uramustine(登録商標))、クロルメチン(Mustargen(登録商標))、シクロホスファミド(Cytoxan(登録商標)、Neosar(登録商標)、Clafen(登録商標)、Endoxan(登録商標)、Procytox(登録商標)、Revimmune(商標))、イホスファミド(Mitoxana(登録商標))、メルファラン(Alkeran(登録商標))、クロラムブシル(Leukeran(登録商標))、ピポブロマン(pipobroman)(Amedel(登録商標)、Vercyte(登録商標))、トリエチレンメラミン(Hemel(登録商標)、Hexalen(登録商標)、Hexastat(登録商標))、トリエチレンチオホスホラミン(triethylenethiophosphoramine)、テモゾロミド(Temodar(登録商標))、チオテパ(Thioplex(登録商標))、ブスルファン(Busilvex(登録商標)、Myleran(登録商標))、カルムスチン(BiCNU(登録商標))、ロムスチン(CeeNU(登録商標))、ストレプトゾシン(Zanosar(登録商標))およびダカルバジン(DTIC-Dome(登録商標))。
【0151】
抗EGFR抗体(例えば、セツキシマブ(Erbitux(登録商標))およびパニツムマブ(Vectibix(登録商標))。
【0152】
抗HER-2抗体(例えば、トラスツズマブ(Herceptin(登録商標))。
【0153】
代謝拮抗薬(限定なしに、葉酸アンタゴニスト(本明細書で抗葉酸剤とも呼ばれる)、ピリミジンアナログ、プリンアナログおよびアデノシンデアミナーゼ阻害剤が含まれる):メソトレキセート(Rheumatrex(登録商標)、Trexall(登録商標))、5-フルオロウラシル(Adrucil(登録商標)、Efudex(登録商標)、Fluoroplex(登録商標))、フロクスウリジン(FUDF(登録商標))、シタラビン(Cytosar-U(登録商標)、Tarabine PFS)、6-メルカプトプリン(Puri-Nethol(登録商標)))、6-チオグアニン(Thioguanine Tabloid(登録商標))、リン酸フルダラビン(Fludara(登録商標))、ペントスタチン(Nipent(登録商標))、ペメトレキセド(Alimta(登録商標))、ラルチトレキセド(Tomudex(登録商標))、クラドリビン(Leustatin(登録商標))、クロファラビン(Clofarex(登録商標)、Clolar(登録商標))、メルカプトプリン(Puri-Nethol(登録商標))、カペシタビン(Xeloda(登録商標))、ネララビン(Arranon(登録商標))、アザシチジン(Vidaza(登録商標))およびゲムシタビン(Gemzar(登録商標))。適切な代謝拮抗薬には、例えば、5-フルオロウラシル(Adrucil(登録商標)、Efudex(登録商標)、Fluoroplex(登録商標))、フロクスウリジン(FUDF(登録商標))、カペシタビン(Xeloda(登録商標))、ペメトレキセド(Alimta(登録商標))、ラルチトレキセド(Tomudex(登録商標))およびゲムシタビン(Gemzar(登録商標))が含まれる。
【0154】
ビンカアルカロイド:ビンブラスチン(Velban(登録商標)、Velsar(登録商標))、ビンクリスチン(Vincasar(登録商標)、Oncovin(登録商標))、ビンデシン(Eldisine(登録商標))、ビノレルビン(Navelbine(登録商標))。
【0155】
白金系薬剤:カルボプラチン(Paraplat(登録商標)、Paraplatin(登録商標))、シスプラチン(Platinol(登録商標))、オキサリプラチン(Eloxatin(登録商標))。
【0156】
アントラサイクリン:ダウノルビシン(Cerubidine(登録商標)、Rubidomycin(登録商標))、ドキソルビシン(Adriamycin(登録商標))、エピルビシン(Ellence(登録商標))、イダルビシン(Idamycin(登録商標))、ミトキサントロン(Novantrone(登録商標))、バルルビシン(Valstar(登録商標))。
【0157】
トポイソメラーゼ阻害剤:トポテカン(Hycamtin(登録商標))、イリノテカン(Camptosar(登録商標))、エトポシド(Toposar(登録商標)、VePesid(登録商標))、テニポシド(Vumon(登録商標))、ラメラリンD(lamellarin D)、SN-38、カンプトテシン。
【0158】
タキサン:パクリタキセル(Taxol(登録商標))、ドセタキセル(Taxotere(登録商標))、ラロタキセル(larotaxel)、カバジタキセル。
【0159】
エポチロン:イクサベピロン、エポチロンB、エポチロンD、BMS310705、デヒデロン(dehydelone)、ZK-エポチロン(ZK-EPO)。
【0160】
ポリADP-リボースポリメラーゼ(PARP)阻害剤:(例えば、BSI201、オラパリブ(AZD-2281)、ABT-888、AG014699、CEP 9722、MK 4827、KU-0059436(AZD2281)、LT-673、3-アミノベンズアミド)。
【0161】
抗生物質:アクチノマイシン(Cosmegen(登録商標))、ブレオマイシン(Blenoxane(登録商標))、ヒドロキシウレア(Droxia(登録商標)、Hydrea(登録商標))、マイトマイシン(Mitozytrex(登録商標)、Mutamycin(登録商標))。
【0162】
免疫調節薬:レナリドミド(Revlimid(登録商標))、サリドマイド(Thalomid(登録商標))。
【0163】
免疫細胞抗体:アレムツズマブ(alemtuzamab)(Campath(登録商標))、ゲ
ムツズマブ(Myelotarg(登録商標))、リツキシマブ(Rituxan(登録商標))、トシツモマブ(Bexxar(登録商標))。
【0164】
インターフェロン(例えば、IFN-アルファ(Alferon(登録商標)、Roferon-A(登録商標)、Intron(登録商標)-A)またはIFN-ガンマ(Actimmune(登録商標))。
【0165】
インターロイキン:IL-1、IL-2(Proleukin(登録商標))、IL-24、IL-6(Sigosix(登録商標))、IL-12。
【0166】
HSP90阻害剤(例えば、ゲルダナマイシンまたはその誘導体のいずれか)。ある特定の実施形態では、HSP90阻害剤は、ゲルダナマイシン、17-アルキルアミノ-17-デスメトキシゲルダナマイシン(「17-AAG」)または17-(2-ジメチルアミノエチル)アミノ-17-デスメトキシゲルダナマイシン(「17-DMAG」)から選択される。
【0167】
血管新生阻害剤、限定なしに以下が含まれる:A6(Angstrom Pharmacueticals)、ABT-510(Abbott Laboratories)、ABT-627(アトラセンタン)(Abbott Laboratories/Xinlay)、ABT-869(Abbott Laboratories)、アクチミド(Actimid)(CC4047、ポマリドミド)(Celgene Corporation
)、AdGVPEDF.11D(GenVec)、ADH-1(エクスヘリン(Exherin
))(Adherex Technologies)、AEE788(Novartis)、AG-013736(アキシチニブ)(Pfizer)、AG3340(プリノマスタット)(Agouron Pharmaceuticals)、AGX1053(AngioGenex)、AGX51(AngioGenex)、ALN-VSP(ALN-VSP O2)(Alnylam Pharmaceuticals)、AMG 386(Amgen)、AMG706(Amgen)、アパチニブ(YN968D1)(Jiangsu Hengrui Medicine)、AP23573(リダフォロリムス/MK8669)(Ariad Pharmaceuticals)、AQ4N(Novavea)、ARQ 197(ArQule)、ASA404(Novartis/Antisoma)、アチプリモド(Callisto Pharmaceuticals)、ATN-161(Attenuon)、AV-412(Aveo Pharmaceuticals)、AV-951(Aveo Pharmaceuticals)、アバスチン(ベバシズマブ)(Genentech)、AZD2171(セジラニブ/レセンチン)(AstraZeneca)、BAY 57-9352(テラチニブ(Telatinib))
(Bayer)、BEZ235(Novartis)、BIBF1120(Boehringer Ingelheim Pharmaceuticals)、BIBW 2992(Boehringer Ingelheim Pharmaceuticals)、BMS-275291(Bristol-Myers Squibb)、BMS-582664(ブリバニブ)(Bristol-Myers Squibb)、BMS-690514(Bristol-Myers Squibb)、カルシトリオール、CCI-779(トリセル(Torisel))(Wyeth)、CDP-791(ImClone
Systems)、セフラトニン(Ceflatonin)(ホモハリントニン/HHT)(ChemGenex Therapeutics)、セレブレックス(Celebrex)(セレコキシブ)(Pfizer)、CEP-7055(Cephalon/Sanofi)、CHIR-265(Chiron Corporation)、NGR-TNF、COL-3(メタスタット(Metastat))(Collagenex Pharaceuticals)、コンブレタスタチン(Oxigene)、CP-751,871(フィギツムマブ)(Pfizer)、CP-547,632(Pfizer)、CS-7017(Daiichi Sankyo Pharma)、CT-322(アンギオセプト(Angiocept))(Adnexus)、クルクミン、ダルテパリン(フラグミン(Fragmin))(Pfizer)、ジスルフィラム(Antabuse)、E7820(Eisai Limited)、E7080(Eisai Limited)、EMD 121974(シレンギチド)(EMD Pharmaceuticals)、ENMD-1198(EntreMed)、ENMD-2076(EntreMed)、エンドスター(Endostar)(Simcere)、アービタックス(Erbitux)(ImClone/Bristol-Myers Squibb)、EZN-2208(Enzon Pharmaceuticals)、EZN-2968(Enzon Pharmaceuticals)、GC1008(Genzyme)、ゲニステイン、GSK1363089(フォレチニブ(Foretinib))(GlaxoSmithKline)、G
W786034(パゾパニブ)(GlaxoSmithKline)、GT-111(Vascular Biogenics Ltd.)、IMC--1121B(ラムシルマブ)(ImClone Systems)、IMC-18F1(ImClone Systems)、IMC-3G3(ImClone LLC)、INCB007839(Incyte Corporation)、INGN 241(Introgen Therapeutics)、イレッサ(Iressa)(ZD1839/ゲフィチニブ)、LBH589(ファリダック(Faridak)/パノビノスタット(Panobinostst))(Nova
rtis)、ルセンティス(Lucentis)(ラニビズマブ)(Genentech/Novartis)、LY317615(エンザスタウリン)(Eli Lilly and Company)、マクジェン(Macugen)(ペガプタニブ)(Pfizer)、MEDI522(アベクリン(Abegrin))(MedImmune)、MLN518(タンデュチニブ(Tandutinib))(Millennium)、Neovastat(AE941/ベネフィン(Benefin))(Aeterna Zentaris)
、ネクサバール(Nexavar)(Bayer/Onyx)、NM-3(Genzyme Corporation)、ノスカピン(Cougar Biotechnology)、NPI-2358(Nereus Pharmaceuticals)、OSI-930(OSI)、パロミド(Palomid) 529(Paloma Pharmaceuticals,Inc.)、Panzemカプセル(2ME2)(EntreMed)、Panzem NCD(2ME2)(EntreMed)、PF-02341066(Pfizer)、PF-04554878(Pfizer)、PI-88(Progen Industries/Medigen Biotechnology)、PKC412(Novartis)、Polyphenon E(緑茶抽出物)(Polypheno E International,Inc)、PPI-2458(Praecis Pharmaceuticals)、PTC299(PTC Therapeutics)、PTK787(バタラニブ)(Novartis)、PXD101(ベリノスタット)(CuraGen Corporation)、RAD001(エベロリムス)(Novartis)、RAF265(Novartis)、レゴラフェニブ(BAY73-4506)(Bayer)、Revlimid(Celgene)、Retaane(Alcon Research)、SN38(リポソーム)(Neopharm)、SNS-032(BMS-387032)(Sunesis)、SOM230(パシレオチド)(Novartis)、スクアラミン(Genaera)、スラミン、Sutent(Pfizer)、Tarceva(Genentech)、TB-403(Thrombogenics)、Tempostatin(Collard Biopharmaceuticals)、テトラチオモリブデート(Sigma-Aldrich)、TG100801(TargeGen)、サリドマイド(Celgene Corporation)、チンザパリンナトリウム、TKI258(Novartis)、TRC093(Tracon Pharmaceuticals Inc.)、VEGF Trap(アフリベルセプト)(Regeneron Pharmaceuticals)、VEGF Trap-Eye(Regeneron Pharmaceuticals)、ベグリン(Veglin)(VasGene Therapeutics)、ボルテゾミブ(Millennium)、XL184(Exelixis)、XL647(Exelixis)、XL784(Exelixis)、XL820(Exelixis)、XL999(Exelixis)、ZD6474(AstraZeneca)、ボリノスタット(Merck)およびZSTK474。
【0168】
抗アンドロゲン薬、限定なしに以下が含まれる:ニルタミド(Nilandron(登録商標))およびビカルタミド(Caxodex(登録商標))。
【0169】
抗エストロゲン薬、限定なしに以下が含まれる:タモキシフェン(Nolvadex(登録商標))、トレミフェン(Fareston(登録商標))、レトロゾール(Femara(登録商標))、テストラクトン(Teslac(登録商標))、アナストロゾール(Arimidex(登録商標))、ビカルタミド(Casodex(登録商標))、エキセメスタン(Aromasin(登録商標))、フルタミド(Eulexin(登録商標))、フルベストラント(Faslodex(登録商標))、ラロキシフェン(Evista(登録商標)、Keoxifene(登録商標))およびラロキシフェン塩酸塩。
【0170】
抗高カルシウム血症剤、限定なしに以下が含まれる:硝酸ガリウム(III)水和物(Ganite(登録商標))およびパミドロン酸二ナトリウム(Aredia(登録商標))。
【0171】
アポトーシス誘導因子、限定なしに以下が含まれる:エタノール,2-[[3-(2,3-ジクロロフェノキシ)プロピル]アミノ]-(9Cl)、ガンボギン酸(gambogic acid)、エンベリンおよび三酸化ヒ素(Trisenox(登録商標))。
【0172】
オーロラキナーゼ阻害剤、限定なしに以下が含まれる:ビヌクレイン2(binucleine 2)。
【0173】
ブルトン型チロシンキナーゼ阻害剤、限定なしに以下が含まれる:テルイン酸(terreic acid)。
【0174】
カルシニューリン阻害剤、限定なしに以下が含まれる:シペルメトリン、デルタメトリン、フェンバレレートおよびチルホスチン8。
【0175】
CaMキナーゼII阻害剤、限定なしに以下が含まれる:5-イソキノリンスルホン酸、4-[{2S)-2-[(5-イソキノリニルスルホニル)メチルアミノ]-3-オキソ-3-{4-フェニル-1-ピペラジニル)プロピル]フェニルエステルおよびベンゼンスルホンアミド。
【0176】
CD45チロシンホスファターゼ阻害剤、限定なしに以下が含まれる:ホスホン酸。
【0177】
CDC25ホスファターゼ阻害剤、限定なしに以下が含まれる:1,4-ナフタレンジオン,2,3-ビス[(2-ヒドロキシエチル)チオ]-(9Cl)。
【0178】
CHKキナーゼ阻害剤、限定なしに以下が含まれる:デブロモヒメニアルジシン(debromohymenialdisine)。
【0179】
シクロオキシゲナーゼ阻害剤、限定なしに以下が含まれる:1H-インドール-3-アセトアミド,1-(4-クロロベンゾイル)-5-メトキシ-2-メチル-N-(2-フェニルエチル)-(9Cl)、5-アルキル置換2-アリールアミノフェニル酢酸およびその誘導体(例えば、セレコキシブ(Celebrex(登録商標))、ロフェコキシブ(Vioxx(登録商標))、エトリコキシブ(Arcoxia(登録商標))、ルミラコキシブ(Prexige(登録商標))、バルデコキシブ(Bextra(登録商標))または5-アルキル-2-アリールアミノフェニル酢酸)。
【0180】
cRAFキナーゼ阻害剤、限定なしに以下が含まれる:3-(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシベンジリデン)-5-ヨード-1,3-ジヒドロインドール-2-オンおよびベンズアミド,3-(ジメチルアミノ)-N-[3-[(4-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]-4-メチルフェニル]-(9Cl)。
【0181】
サイクリン依存性キナーゼ阻害剤、限定なしに以下が含まれる:オロモウシンおよびその誘導体、プルバラノール(purvalanol)B、ロスコビチン(roascovitine)(Seliciclib(登録商標))、インジルビン、ケンパウロン、プルバラノールAおよびインジルビン-3’-モノオキシム。
【0182】
システインプロテアーゼ阻害剤、限定なしに以下が含まれる:4-モルホリンカルボキサミド,N-[(1S)-3-フルオロ-2-オキソ-1-(2-フェニルエチル)プロピル]アミノ]-2-オキソ-1-(フェニルメチル)エチル]-(9Cl)。
【0183】
DNA挿入剤、限定なしに以下が含まれる:プリカマイシン(Mithracin(登録商標))およびダプトマイシン(Cubicin(登録商標))。
【0184】
DNA鎖切断剤、限定なしに以下が含まれる:ブレオマイシン(Blenoxane(登録商標))。
【0185】
E3リガーゼ阻害剤、限定なしに以下が含まれる:N-((3,3,3-トリフルオロ-2-トリフルオロメチル)プロピオニル)スルファニルアミド。
【0186】
EGF経路阻害剤、限定なしに以下が含まれる:チルホスチン46、EKB-569、エルロチニブ(Tarceva(登録商標))、ゲフィチニブ(Iressa(登録商標))、ラパチニブ(Tykerb(登録商標))、ならびにWO97/02266、EP
0 564 409、WO99/03854、EP 0 520 722、EP 0 566 226、EP 0 787 722、EP 0 837 063、US 5,747,498、WO98/10767、WO97/30034、WO97/49688、WO97/38983およびWO96/33980中に一般的かつ具体的に開示された化合物。
【0187】
ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤、限定なしに以下が含まれる:A-ヒドロキシファルネシルホスホン酸、ブタン酸,2-[(2S)-2-[[(2S,3S)-2-[[(2R)-2-アミノ-3-メルカプトプロピル]アミノ]-3-メチルペンチル]オキシ]-1-オキソ-3-フェニルプロピル]アミノ]-4-(メチルスルホニル)-1-メチルエチルエステル(2S)-(9Cl)およびマヌマイシンA。
【0188】
Flk-1キナーゼ阻害剤、限定なしに以下が含まれる:2-プロペンアミド,2-シアノ-3-[4-ヒドロキシ-3,5-ビス(1-メチルエチル)フェニル]-N-(3-フェニルプロピル)-(2E)-(9Cl)。
【0189】
グリコーゲンシンターゼキナーゼ-3(GSK3)阻害剤、限定なしに以下が含まれる:インジルビン-3’-モノオキシム。
【0190】
ヒートショックタンパク質90(Hsp90)シャペロンモジュレーター、限定なしに以下が含まれる:AUY922、STA-9090、ATI13387、MCP-3100、IPI-504、IPI-493、SNX-5422、Debio0932、HSP990、DS-2248、PU-H71、17-DMAG(アルベスピマイシン(Alvespimycin))およびXL888。
【0191】
ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤、限定なしに以下が含まれる:スベロイルアニリドヒドロキサム酸(SAHA)、[4-(2-アミノ-フェニルカルバモイル)-ベンジル]-カルバミン酸ピリジン-3-イルメチルエステルおよびその誘導体、酪酸、ピロキサミド(pyroxamide)、トリコスタチンA、オキサムフラチン(oxamflatin)、アピシジン、デプシペプチド、デプデシン(depudecin)、トラポキシン、およびWO02
/22577に開示された化合物。
【0192】
I-カッパB-アルファキナーゼ阻害剤(IKK)、限定なしに以下が含まれる:2-プロペンニトリル,3-[(4-メチルフェニル)スルホニル]-(2E)-(9Cl)。
【0193】
イミダゾテトラジノン(imidazotetrazinone)、限定なしに以下が含まれる:テモゾロミド(Methazolastone(登録商標))、Temodar(登録商標)およびその誘導体(例えば、US 5,260,291中に一般的かつ具体的に開示される)、ならびにミトゾロミド(Mitozolomide)。
【0194】
インスリン様成長因子経路阻害剤、例えば、IGF阻害剤またはIGF受容体(IGFR1またはIGFR2)阻害剤、限定なしに以下が含まれる:小分子阻害剤、例えば、OSI-906;抗IGF抗体または抗IGFR抗体、例えば、AVE-1642、MK-0646、IMC-A12(シズツムマブ(cixutumab))、R1507、CP-751
,871(フィギツムマブ)。
【0195】
インスリンチロシンキナーゼ阻害剤、限定なしに以下が含まれる:ヒドロキシル-2-ナフタレニルメチルホスホン酸。
【0196】
c-Jun-N末端キナーゼ(JNK)阻害剤、限定なしに以下が含まれる:ピラゾールアントロン(pyrazoleanthrone)および没食子酸エピガロカテキン。
【0197】
マイトジェン活性化タンパク質キナーゼ(MAP)阻害剤、限定なしに以下が含まれる:ベンゼンスルホンアミド,N-[2-[[[3-(4-クロロフェニル)-2-プロペニル]メチル]アミノ]メチル]フェニル]-N-(2-ヒドロキシエチル)-4-メトキシ-(9Cl)。
【0198】
MDM2阻害剤、限定なしに以下が含まれる:トランス-4-ヨード,4’-ボラニル-カルコン(4'-boranyl-chalcone)。
【0199】
MEK阻害剤、限定なしに以下が含まれる:ブタンジニトリル,ビス[アミノ[2-アミノフェニル)チオ]メチレン]-(9Cl)。
【0200】
MMP阻害剤、限定なしに以下が含まれる:アクチノニン、没食子酸エピガロカテキン、コラーゲンペプチド模倣阻害剤および非ペプチド模倣阻害剤、テトラサイクリン誘導体マリマスタット(Marimastat(登録商標))、プリノマスタット、インサイクリニド(incyclinide)(Metastat(登録商標))、サメ軟骨抽出物AE-94
1(Neovastat(登録商標))、タノマスタット(Tanomastat)、TAA211、MMI270BまたはAAJ996。
【0201】
mTor阻害剤、限定なしに以下が含まれる:ラパマイシン(Rapamune(登録商標))ならびにそのアナログおよび誘導体、AP23573(リダフォロリムス、デフォロリムスまたはMK-8669としても公知)、CCI-779(テムシロリムスとしても公知)(Torisel(登録商標))、ならびにSDZ-RAD。
【0202】
NGFRチロシンキナーゼ阻害剤、限定なしに以下が含まれる:チルホスチンAG 879。
【0203】
p38 MAPキナーゼ阻害剤、限定なしに以下が含まれる:フェノール,4-[4-(4-フルオロフェニル)-5-(4-ピリジニル)-1H-イミダゾール-2-イル]-(9Cl)およびベンズアミド,3-(ジメチルアミノ)-N-[3-[(4-ヒドロキシルベンゾイル)アミノ]-4-メチルフェニル]-(9Cl)。
【0204】
p56チロシンキナーゼ阻害剤、限定なしに以下が含まれる:ダムナカンタール(damnacanthal)およびチルホスチン46。
【0205】
PDGF経路阻害剤、限定なしに以下が含まれる:チルホスチンAG 1296、チルホスチン9、1,3-ブタジエン-1,1,3-トリカルボニトリル、2-アミノ-4-(1H-インドール-5-イル)-(9Cl)、イマチニブ(Gleevec(登録商標))およびゲフィチニブ(Iressa(登録商標))ならびに欧州特許第0 564 409号およびPCT公開番号WO99/03854中に一般的かつ具体的に開示される化合物。
【0206】
ホスファチジルイノシトール3-キナーゼ阻害剤、限定なしに以下が含まれる:ワートマニンおよびケルセチン二水和物。
【0207】
ホスファターゼ阻害剤、限定なしに以下が含まれる:カンタリジン酸(cantharidic acid)、カンタリジンおよびL-ロイシンアミド(L-leucinamide)。
【0208】
PKC阻害剤、限定なしに以下が含まれる:1-H-ピロロ-2,5-ジオン,3-[1-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]-1H-インドール-3-イル]-4-(1H-インドール-3-イル)-(9Cl)、ビスインドリルマレイミドIX、スフィンゴシン(Sphinogosine)、スタウロスポリンおよびヒペリシン。
【0209】
PKCデルタキナーゼ阻害剤、限定なしに以下が含まれる:ロットレリン。
【0210】
ポリアミン合成阻害剤、限定なしに以下が含まれる:DMFO。
【0211】
プロテアソーム阻害剤、限定なしに以下が含まれる:アクラシノマイシンA、グリオトキシンおよびボルテゾミブ(Velcade(登録商標))。
【0212】
タンパク質ホスファターゼ阻害剤、限定なしに以下が含まれる:カンタリジン酸、カンタリジン、L-P-ブロモテトラミゾールシュウ酸塩、2(5H)-フラノン,4-ヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)-3-(1-オキソヘキサデシル)-(5R)-(9Cl)およびベンジルホスホン酸。
【0213】
タンパク質チロシンキナーゼ阻害剤、限定なしに以下が含まれる:チルホスチンAg 216、チルホスチンAg 1288、チルホスチンAg 1295、ゲルダナマイシン、ゲニステインおよび7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン誘導体;
【0214】
PTP1B阻害剤、限定なしに以下が含まれる:L-ロイシンアミド。
【0215】
SRCファミリーチロシンキナーゼ阻害剤、限定なしに以下が含まれる:PP1およびPP2。
【0216】
Sykチロシンキナーゼ阻害剤、限定なしに以下が含まれる:ピセアタンノール。
【0217】
Janus(JAK-2および/またはJAK-3)チロシンキナーゼ阻害剤、限定なしに以下が含まれる:チルホスチンAG 490および2-ナフチルビニルケトン。
【0218】
レチノイド、限定なしに以下が含まれる:イソトレチノイン(Accutane(登録商標)、Amnesteem(登録商標)、Cistane(登録商標)、Claravis(登録商標)、Sotret(登録商標))およびトレチノイン(Aberel(登録商標)、Aknoten(登録商標)、Avita(登録商標)、Renova(登録商標)、Retin-A(登録商標)、Retin-A MICRO(登録商標)、Vesanoid(登録商標))。
【0219】
RNAポリメラーゼII伸長阻害剤、限定なしに以下が含まれる:5,6-ジクロロ-1-ベータ-D-リボフラノシルベンズイミダゾール。
【0220】
セリン/スレオニンキナーゼ阻害剤、限定なしに以下が含まれる:2-アミノプリン。
【0221】
ステロール生合成阻害剤、限定なしに以下が含まれる:スクアレンエポキシダーゼおよびCYP2D6。
【0222】
VEGF経路阻害剤、限定なしに以下が含まれる:抗VEGF抗体、例えば、ベバシズマブ、および小分子、例えば、スニチニブ(Sutent(登録商標))、ソラフェニブ(sorafinib)(Nexavar(登録商標))、ZD6474(バンデタニブとしても
公知)(Zactima(商標))、SU6668、CP-547632、AV-951(チボザニブ)およびAZD2171(セジラニブとしても公知)(Recentin(商標))。
【0223】
例えば、1つまたは複数の化学療法剤は、シスプラチン、カルボプラチン、プロカルバジン、メクロレタミン、シクロホスファミド、カンプトテシン、アドリアマイシン、イホスファミド、メルファラン、クロラムブシル、ブスルファン(bisulfan)、ニトロソウレア(nitrosurea)、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ブレオマイシン、プリカマイシン(plicomycin)、マイトマイシン、エトポシド、ベラパミル(verampil)、ポドフィロトキシン、タモキシフェン、タキソール、サリドマイド、レナリドミド、プロテオソーム阻害剤(例えば、ボルテゾミブ)、hsp90阻害剤(例えば、タネスピマイシン(tenespinmycin))、トランス白金、5-フルオロウラシル(5-flurouracil)、ビンクリスチン、ビンブラスチン、メソトレキセート、または上述のいずれかのアナログからなる群から選択され得る。免疫調節剤には、例えば、種々のケモカインおよびサイトカイン、例えば、インターロイキン2(IL-2)、顆粒球/マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)およびインターロイキン12(IL-12)が含まれる。
【0224】
一実施形態では、さらなる治療は、1つまたは複数のさらなる免疫原性ペプチド、例えば、1つもしくは複数の、WT1由来の免疫原性ペプチドまたはその誘導体である。例示的なWT1免疫原性ペプチドには、以下のWT1クラス1エピトープが含まれるがこれらに限定されない;RMFPNAPYL(WT1 126~134)を含む(またはそれからなる)ペプチド;YMFPNAPYLを含む(またはそれからなる)ペプチド;RSDELVRHHNMHQRNMTKL(WT1 427~445)を含む(またはそれからなる)ペプチド;PGCNKRYFKLSHLQMHSRKHTGを含む(またはそれからなる)ペプチド(WT1 331~352);SGQARMFPNAPYLPSCLES(WT1 122~140)を含む(またはそれからなる)ペプチド;およびSGQAYMFPNAPYLPSCLESを含む(またはそれからなる)ペプチド。他のWT1免疫原性ペプチドは、米国特許第7,598,221号に記載されており、その内容は、参照により本明細書に組み込まれる。他の免疫原性ペプチドには、MUC1由来の免疫原性ペプチド、gp100由来の免疫原性ペプチド、TRP-2由来の免疫原性ペプチド、MAG1由来の免疫原性ペプチド、NY-ESO1由来の免疫原性ペプチド、HER-2由来の免疫原性ペプチド;およびAIM2由来の免疫原性ペプチドが含まれるがこれらに限定されない。
【0225】
対象は、がん、例えば、乳がん、例えば、トリプルネガティブ乳がん、例えば、転移性トリプルネガティブ乳がんを有し得る、それを有する疑いがあり得る、またはそれを発症するリスクがあり得る。「がんを有する疑いがある」対象は、がんの1つもしくは複数の症状を有する対象、またはがんを示唆する1つもしくは複数の実験室試験結果、例えば、血液試験結果を有する対象である。がんの症状は、当業者に周知であり、これには一般に、限定なしに、疼痛、体重減少、衰弱、過度の疲労、摂食困難、食欲不振、慢性咳嗽、悪化する息切れ、喀血、血尿、血便、悪心、嘔吐、腹部膨満、鼓腸、腹腔中の体液、腟出血、便秘、腹部膨隆、結腸穿孔、急性腹膜炎(感染、発熱、疼痛)、疼痛、吐血、多汗、発熱、高血圧、貧血、下痢、黄疸、眩暈、悪寒、筋痙攣、嚥下困難などが含まれる。
【0226】
本明細書で使用される場合、「がんを発症するリスクがある」対象は、がんを発症する素因、即ち、がんを発症する遺伝的素因、例えば、腫瘍サプレッサー遺伝子における変異(例えば、BRCA1、p53、RBまたはAPCにおける変異)を有する対象、がんを生じ得る条件に曝露された対象、またはかかる条件によって現在影響されている対象である。従って、対象はまた、その対象が変異原性レベルまたは発癌性レベルのある特定の化合物(例えば、たばこの煙中の発癌性化合物、例えば、アクロレイン、4-アミノビフェニル、芳香族アミン、ベンゼン、ベンズ{a}アントラセン、ベンゾ{a}ピレン、ホルムアルデヒド、ヒドラジン、ポロニウム-210(ラドン)、ウレタンまたは塩化ビニル)に曝露されている場合、「がんを発症するリスクがある」対象であり得る。対象は、その対象が、例えば、大きい線量の紫外線光もしくはX線-照射に曝露されている場合、または腫瘍原因/関連ウイルス、例えば、パピローマウイルス、エプスタイン・バーウイルス、B型肝炎ウイルスもしくはヒトT細胞白血病-リンパ腫ウイルスに曝露されている(例えば、感染している)場合、「がんを発症するリスクがある」可能性がある。さらに、対象は、その対象が炎症(例えば、慢性炎症)に罹患している場合、「がんを発症するリスクがある」可能性がある。
【0227】
トリプルネガティブ乳がんは、エストロゲン受容体(ER)、プロゲステロン受容体(PR)およびHER2について陰性の乳がんを指す。ER、PRおよびHER2の存在または非存在は、例えば、生検試料に対する免疫組織化学または定量的PCRによって評価され得る。この型のがんは、手術および化学療法の組合せで処置される場合が多い。
【0228】
一部の実施形態では、患者は、ヒト白血球抗原(HLA)-A2陽性である。
【0229】
一部の実施形態では、患者は、0または1のEastern Cooperative
Oncology Group(ECOG)パフォーマンスステータスを有する;血小板数≧75×109/Lおよび好中球絶対数(ANC)≧1.0×109/Lによって明らかな、適切な骨髄機能を有する;ならびに/またはビリルビン≦2.0mg/dLならびにアラニントランスアミナーゼ(ALT)およびアスパラギン酸トランスアミナーゼ(AST)≦2.5×正常上限(ULN)によって明らかな、適切な肝機能を有する。
【0230】
実施形態では、(i)ペムブロリズマブおよび(ii)1つまたは複数のペプチドは、処置なしの疾患の予測された経過と比較して、または(i)のみもしくは(ii)のみによる処置の際の疾患の予測された経過と比較して、または標準治療処置による疾患の予測された経過と比較して、無増悪生存期間(PFS)を増加させるのに十分な量で投与される。実施形態では、(i)および(ii)は、処置なしの疾患の予測された経過と比較して、または(i)のみもしくは(ii)のみによる処置の際の疾患の予測された経過と比較して、または標準治療処置による疾患の予測された経過と比較して、全生存期間(OS)を増加させるのに十分な量で投与される。実施形態では、(i)ペムブロリズマブおよび(ii)1つまたは複数のペプチドは、ペムブロリズマブによる単剤療法と同様に良好な臨床応答(例えば、PFSまたはOSによって測定される)、例えば、より少ない有害作用を伴う良好な臨床応答を得るのに十分な量で投与される。PFSおよびOSは、Response Evaluation Criteria in Solid Tumors(RECIST)ガイドライン(バージョン1.1)に従って決定され得る。実施形態では、(i)および(ii)は、投与されたペプチドのうち1つまたは複数に対する免疫応答、例えば、処置なしで観察された、または(i)のみもしくは(ii)のみによる処置の際に観察されたものよりも、あるいは標準治療処置による疾患の予測された経過と比較して、より高い免疫応答を誘導するのに十分な量で投与される。免疫応答は、例えば、ELISPOTアッセイによって、または国際出願WO2014/071402に記載されるように測定され得、この出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0231】
一部の実施形態では、この方法は、本明細書に記載される併用療法を対象に投与するステップの後に、免疫応答が対象において生じたかどうかを決定するステップもまた含み得る。免疫応答が対象において生じたかどうかを決定するのに適切な方法は、例えば、対象由来の生体試料中の、ペプチドに対して特異的な抗体の存在を検出するためのイムノアッセイの使用を含む。例えば、ペプチドまたは組成物の対象への投与後に、生体試料(例えば、血液試料)が対象から得られ得、ペプチド(複数可)に対して特異的な抗体の存在について試験され得る。免疫応答は、試料中の活性化されたT細胞の存在または量についてアッセイすることによっても検出され得る。かかるアッセイには、例えば、増殖アッセイ、限界希釈アッセイ、細胞傷害性アッセイ(例えば、リンホカイン放出アッセイまたは51Cr放出アッセイ)またはフローサイトメトリーアッセイが含まれる。
【0232】
一部の実施形態では、これらの方法は、対象ががんを有するかどうかを決定するステップもまた含み得る。かかる決定のための適切な方法は、対象において検出されるがんの型に依存するが、当該分野で公知である。かかる方法は、定性的または定量的であり得る。乳がんを診断するための方法には、マンモグラム、超音波、MRI、生検および分子試験が含まれる。トリプルネガティブ乳がんを診断するための方法には、PR、ERおよびHER2についての免疫組織化学が含まれる。
【0233】
治療を選択するための方法
がん、例えば、乳がん、またはXBP1、CD138もしくはCS1が発現される任意のがんを有する対象のための治療を選択するための方法は、必要に応じて、対象のがんの1つまたは複数の細胞(例えば、乳がん細胞)がXBP1を発現するかどうかを決定するステップ;ならびに1つまたは複数の細胞がXBP1を発現する場合に、(i)ペムブロリズマブおよび(ii)本明細書に記載されるペプチドまたは組成物、例えば、本明細書に記載されるXBP1ペプチドまたはXBP1ペプチドを含む組成物を、対象のための治療として選択するステップを含む。
【0234】
がん、例えば、乳がんを有する対象のための治療を選択するための方法は、必要に応じて、対象のがんの1つまたは複数の細胞(例えば、乳がん細胞)がCD138を発現するかどうかを決定するステップ;ならびに1つまたは複数の細胞がCD138を発現する場合に、(i)ペムブロリズマブおよび(ii)本明細書に記載されるペプチドまたは組成物、例えば、本明細書に記載されるCD138ペプチドまたはCD138ペプチドを含む組成物を、対象のための治療として選択するステップを含み得る。
【0235】
がん、例えば、乳がんを有する対象のための治療を選択するための方法は、必要に応じて、対象のがんの1つまたは複数の細胞(例えば、乳がん細胞)がCS-1を発現するかどうかを決定するステップ;ならびに1つまたは複数の細胞がCS-1を発現する場合に、(i)ペムブロリズマブおよび(ii)本明細書に記載されるペプチドまたは組成物、例えば、本明細書に記載されるCS-1ペプチドまたはCS-1ペプチドを含む組成物を、対象のための治療として選択するステップを含み得る。
【0236】
対象のがんの1つまたは複数の細胞(例えば、乳がん細胞)が、XBP1、CD138およびCS-1のうち2つまたはそれよりも多くを発現する場合、適切なペプチドの組合せが、ペムブロリズマブとさらに組み合わせて、例えば、本明細書に記載される組成物を介して、対象に送達され得ることが理解される。1つまたは複数の細胞がXBP1、CD138またはCS-1を発現するかどうかを決定するための方法は、例えば、国際出願WO2014/071402の104~107頁の表題「Methods for Selecting a Therapy」のセクションに記載されており、この出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0237】
キットおよび製品
本開示は、種々のキットもまた特色とする。キットは、例えば、(i)ペムブロリズマブ、(ii)本明細書に記載されるペプチドまたは組成物(または1つもしくは複数のペプチドをコードする核酸配列を含む発現ベクター)のいずれかのうち1つまたは複数(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9もしくは10個またはそれよりも多く)、および(iii)ペプチドまたは組成物を対象に投与するための指示を含み得る。実施形態では、(ii)は、(a)長さが35アミノ酸またはそれ未満であり、配列番号1のアミノ酸配列を含む非スプライス型XBP1ペプチド、(b)長さが35アミノ酸またはそれ未満であり、配列番号2のアミノ酸配列を含むスプライス型XBP1ペプチド、または(c)長さが35アミノ酸またはそれ未満であり、配列番号3のアミノ酸配列を含むCD138ペプチドのうち1つまたは複数、例えば全てを含む。実施形態では、(ii)は、(a)配列番号1のアミノ酸配列からなる非スプライス型XBP1ペプチド、(b)配列番号2のアミノ酸配列からなるスプライス型XBP1ペプチド、または(c)配列番号3のアミノ酸配列からなるCD138ペプチドのうち1つまたは複数、例えば全てを含む。キットは、1つもしくは複数の薬学的に許容される担体および/または1つもしくは複数の免疫刺激剤および/または1つもしくは複数の免疫モジュレート剤を含み得る。免疫刺激剤は、例えば、Tヘルパーエピトープ、変更されたペプチドリガンドまたはアジュバントであり得る。一実施形態では、免疫刺激剤は、カルボキシメチルセルロース、ポリイノシン酸・ポリシチジル酸およびポリ-L-リシン二本鎖RNAの組合せ(例えば、ポリIC-LC、例えば、hiltonol);水・油エマルジョン(例えば、montanide);またはタンパク質(例えば、サイトカイン、補体、GCSFまたはGM-CSF)であり得る。一実施形態では、さらなる薬剤は、タンパク質、例えば、抗体であり得る。一実施形態では、さらなる薬剤は、免疫チェックポイント阻害剤である。例えば、免疫チェックポイント分子を阻害する抗体は、抗CTLA4抗体、例えば、イピリムマブもしくはトレメリムマブ、または抗PD-1抗体、または抗PDL-1抗体であり得る。一実施形態では、さらなる薬剤は、小分子アジュバント、例えば、サリドマイドまたはサリドマイド誘導体、例えば、レナリドミドであり得る。
【0238】
キットは、1つまたは複数の治療剤、診断剤または予防剤もまた含み得る。1つまたは複数の治療剤、診断剤または予防剤には、以下が含まれるがこれらに限定されない:(i)炎症応答をモジュレートする薬剤(例えば、アスピリン、インドメタシン、イブプロフェン、ナプロキセン、ステロイド、クロモリンナトリウム(cromolyn sodium)またはテオフィリン);(ii)腎および/もしくは心血管機能に影響を与える薬剤(例えば、フロセミド、チアジド、アミロライド、スピロノラクトン、カプトプリル、エナラプリル、リシノプリル、ジルチアゼム、ニフェジピン、ベラパミル、ジゴキシン、イソルジル(isordil)、ドブタミン、リドカイン、キニジン、アデノシン、ジギタリス、メバスタチン
、ロバスタチン、シンバスタチンまたはメバロネート);(iii)胃腸機能に影響を与える薬物(例えば、オメプラゾールまたはスクラルファート);(iv)抗生物質(例えば、テトラサイクリン、クリンダマイシン、アンホテリシンB、キニーネ、メチシリン、バンコマイシン、ペニシリンG、アモキシシリン、ゲンタマイシン、エリスロマイシン、シプロフロキサシン、ドキシサイクリン、ストレプトマイシン、ゲンタマイシン、トブラマイシン、クロラムフェニコール、イソニアジド、フルコナゾールまたはアマンタジン);(v)抗がん剤(例えば、シクロホスファミド、メソトレキセート、フルオロウラシル、シタラビン、メルカプトプリン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ドキソルビシン、ブレオマイシン、マイトマイシンC、ヒドロキシウレア、プレドニゾン、タモキシフェン、シスプラチンまたはダカルバジン(decarbazine));(vi)免疫調節剤(例えば、
インターロイキン、インターフェロン(例えば、インターフェロンガンマ(IFN-γ)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)、腫瘍壊死因子ベータ(TNFβ)、シクロスポリン、FK506、アザチオプリン、ステロイド);(ix)血液および/もしくは血液形成臓器に対して作用する薬剤(例えば、インターロイキン、G-CSF、GM-CSF、エリスロポエチン、ヘパリン、ワルファリンまたはクマリン);または(vii)ホルモン(例えば、成長ホルモン(GH)、プロラクチン、黄体形成ホルモン、TSH、ACTH、インスリン、FSH、CG、ソマトスタチン、エストロゲン、アンドロゲン、プロゲステロン、ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)、チロキシン、トリヨードサイロニン);ホルモンアンタゴニスト;石灰化および骨代謝回転に影響を与える薬剤(例えば、カルシウム、リン酸塩、副甲状腺ホルモン(PTH)、ビタミンD、ビスホスホネート、カルシトニン、フッ化物)。
【0239】
他の実施形態
本発明は、その詳細な説明と併せて記載されてきたが、上述の記載は例示を意図し、添付の特許請求の範囲の範囲によって規定される本発明の範囲を限定しない。他の態様、利点および改変は、以下の特許請求の範囲の範囲内である。
特定の実施形態では、例えば以下の項目が提供される。
(項目1)
乳がん、例えば、トリプルネガティブ乳がんを処置する方法であって、
(i)ペムブロリズマブ;ならびに
(ii)本明細書に記載される非スプライス型XBP1ペプチド、本明細書に記載されるスプライス型XBP1ペプチド、本明細書に記載されるCD138ペプチドおよび本明細書に記載されるCS-1ペプチドのうち1つまたは複数
を対象に投与するステップを含み、前記対象が、乳がん、例えば、トリプルネガティブ乳がんを有する、またはそれを発症するリスクがある、方法。
(項目2)
乳がん、例えば、トリプルネガティブ乳がんを処置する際の使用のための、
本明細書に記載される非スプライス型XBP1ペプチド、本明細書に記載されるスプライス型XBP1ペプチド、本明細書に記載されるCD138ペプチドおよび本明細書に記載されるCS-1ペプチドのうち1つまたは複数
と組み合わせたペムブロリズマブ。
(項目3)
対象において免疫応答を誘導するための方法であって、
(i)ペムブロリズマブ;ならびに
(ii)本明細書に記載される非スプライス型XBP1ペプチド、本明細書に記載されるスプライス型XBP1ペプチド、本明細書に記載されるCD138ペプチドおよび本明細書に記載されるCS-1ペプチドのうち1つまたは複数
を対象に送達するステップを含む、方法。
(項目4)
対象において免疫応答を誘導する際の使用のための、
本明細書に記載される非スプライス型XBP1ペプチド、本明細書に記載されるスプライス型XBP1ペプチド、本明細書に記載されるCD138ペプチドおよび本明細書に記載されるCS-1ペプチドのうち1つまたは複数
と組み合わせたペムブロリズマブ。
(項目5)
前記非スプライス型XBP1ペプチドが、長さが35アミノ酸またはそれ未満であり、配列番号1のアミノ酸配列を含む、項目1から4のいずれかに記載の方法または使用のための組成物。
(項目6)
前記スプライス型XBP1ペプチドが、長さが35アミノ酸またはそれ未満であり、配列番号2のアミノ酸配列を含む、項目1から4のいずれかに記載の方法または使用のための組成物。
(項目7)
前記CD138ペプチドが、長さが35アミノ酸またはそれ未満であり、配列番号3のアミノ酸配列を含む、項目1から4のいずれかに記載の方法または使用のための組成物。
(項目8)
前記CS-1ペプチドが、長さが35アミノ酸またはそれ未満であり、配列番号4のアミノ酸配列を含む、項目1から4のいずれかに記載の方法または使用のための組成物。
(項目9)
前記非スプライス型XBP1ペプチドが、配列番号1のアミノ酸配列からなる、項目1から4のいずれかに記載の方法または使用のための組成物。
(項目10)
前記スプライス型XBP1ペプチドが、配列番号2のアミノ酸配列からなる、項目1から4のいずれかに記載の方法または使用のための組成物。
(項目11)
前記CD138ペプチドが、配列番号3のアミノ酸配列からなる、項目1から4のいずれかに記載の方法または使用のための組成物。
(項目12)
前記CS-1ペプチドが、配列番号4のアミノ酸配列からなる、項目1から4のいずれかに記載の方法または使用のための組成物。
(項目13)
前記方法が、以下を投与するステップを含む、または使用のための前記組成物が、以下を含む、前記項目のいずれかに記載の方法または使用のための組成物:
(a)本明細書に記載される非スプライス型XBP1ペプチド、
(b)本明細書に記載されるスプライス型XBP1ペプチド、および
(c)本明細書に記載されるCD138ペプチド。
(項目14)
前記方法が、以下を投与するステップを含む、または使用のための前記組成物が、以下を含む、前記項目のいずれかに記載の方法または使用のための組成物:
(a)長さが35アミノ酸またはそれ未満であり、配列番号1のアミノ酸配列を含む非スプライス型XBP1ペプチド、
(b)長さが35アミノ酸またはそれ未満であり、配列番号2のアミノ酸配列を含むスプライス型XBP1ペプチド、および
(c)長さが35アミノ酸またはそれ未満であり、配列番号3のアミノ酸配列を含むCD138ペプチド。
(項目15)
前記方法が、以下を投与するステップを含む、または使用のための前記組成物が、以下を含む、前記項目のいずれかに記載の方法または使用のための組成物:
(a)配列番号1のアミノ酸配列からなる非スプライス型XBP1ペプチド、
(b)配列番号2のアミノ酸配列からなるスプライス型XBP1ペプチド、および
(c)配列番号3のアミノ酸配列からなるCD138ペプチド。
(項目16)
前記方法が、以下を投与するステップを含む、または使用のための前記組成物が、以下をさらに含む、項目13から15のいずれかに記載の方法または使用のための組成物:
(d)本明細書に記載されるCS-1ペプチド。
(項目17)
前記方法が、以下を投与するステップを含む、または使用のための前記組成物が、以下をさらに含む、項目13から15のいずれかに記載の方法または使用のための組成物:
(d)長さが35アミノ酸またはそれ未満であり、配列番号4のアミノ酸配列を含むCS-1ペプチド。
(項目18)
前記方法が、以下を投与するステップを含む、または使用のための前記組成物が、以下をさらに含む、項目13から15のいずれかに記載の方法または使用のための組成物:
(d)配列番号4のアミノ酸配列からなるCS-1ペプチド。
(項目19)
前記方法が、1つまたは複数の免疫刺激剤と組合せて投与するステップをさらに含む、または使用のための前記組成物が、1つまたは複数の免疫刺激剤との組合せをさらに含む、前記項目のいずれかに記載の方法または使用のための組成物。
(項目20)
前記免疫刺激剤が、カルボキシメチルセルロース、ポリイノシン酸・ポリシチジル酸およびポリ-L-リシン二本鎖RNAを含むアジュバント(例えば、ポリIC-LC、例えば、hiltonol);水・油エマルジョンを含むアジュバント(例えば、montanide);ならびにタンパク質(例えば、サイトカイン、GCSFまたはGM-CSF)を含むアジュバントから選択される、項目19に記載の方法または使用のための組成物。
(項目21)
前記方法が、以下を投与するステップを含む、または使用のための前記組成物が、以下をさらに含む、前記項目のいずれかに記載の方法または使用のための組成物:
さらなる処置、例えば、1つもしくは複数の化学療法剤、1つもしくは複数の形態の電離放射線、1つもしくは複数の免疫療法剤(例えば、がんワクチン、免疫チェックポイント阻害剤)、1つもしくは複数の免疫チェックポイント阻害剤、例えば、免疫チェックポイント分子を阻害する抗体(例えば、抗CTLA4抗体、例えば、イピリムマブもしくはトレメリムマブ、PD-1抗体、またはPDL-1抗体)、またはアジュバント、例えば、小分子アジュバント(例えば、サリドマイドまたはサリドマイド誘導体、例えば、レナリドミド)。
(項目22)
前記方法が、ポリIC-LCを投与するステップを含む、または使用のための前記組成物が、ポリIC-LCをさらに含む、前記項目のいずれかに記載の方法または使用のための組成物。
(項目23)
前記乳がんがトリプルネガティブ乳がんである、項目1または2に記載の方法または使用のための組成物。
(項目24)
前記対象が、がん、例えば、乳がん、例えば、トリプルネガティブ乳がんを有する、またはそれを発症するリスクがある、またはそれを有する疑いがある、項目3または4に記載の方法または使用のための組成物。
(項目25)
前記乳がんが、転移性乳がん、例えば、転移性トリプルネガティブ乳がんである、前記項目のいずれかに記載の方法または使用のための組成物。
(項目26)
前記対象が、XBP1、CD138もしくはCS1、またはそれらの任意の組合せを発現する1つまたは複数のがん細胞を有する、あるいはそれを有すると同定されている、前記項目のいずれかに記載の方法または使用のための組成物。
(項目27)
前記組成物を前記対象に送達するステップの後に、前記対象において免疫応答が生じたかどうかを決定するステップをさらに含む、前記項目のいずれかに記載の方法。
(項目28)
前記対象がヒトである、前記項目のいずれかに記載の方法。
(項目29)
前記対象が、乳がん、例えば、トリプルネガティブ乳がんからの寛解状態にある、前記項目のいずれかに記載の方法。
(項目30)
(i)および(ii)が、別々にまたは一緒に投与される、前記項目のいずれかに記載の方法。
(項目31)
(i)が、(ii)の前に、それと併せて、またはそれの後に投与される、前記項目のいずれかに記載の方法。
(項目32)
(i)および(ii)が、別々または一緒に、使用のために製剤化される、前記項目のいずれかに記載の使用のための組成物。
(項目33)
(i)が、(ii)の前に、それ併せて、またはそれの後に投与するために製剤化される、前記項目のいずれかに記載の使用のための組成物。
(項目34)
前記ペムブロリズマブが、200mgの用量で投与される、前記項目のいずれかに記載の方法または使用のための組成物。
(項目35)
前記ペムブロリズマブが、3週間毎に投与される、前記項目のいずれかに記載の方法または使用のための組成物。
(項目36)
前記1つまたは複数のペプチドが、0.8mgの総ペプチド、例えば、0.2mgの前記非スプライス型XBP1ペプチド、0.2mgの前記スプライス型XBP1ペプチド、0.2mgの前記CD138ペプチドおよび0.2mgの前記CS-1ペプチドの用量で投与される、前記項目のいずれかに記載の方法または使用のための組成物。
(項目37)
前記1つまたは複数のペプチドが、0.6mgの総ペプチド、例えば、0.2mgの前記非スプライス型XBP1ペプチド、0.2mgの前記スプライス型XBP1ペプチドおよび0.2mgの前記CD138ペプチドの用量で投与される、前記項目のいずれかに記載の方法または使用のための組成物。
(項目38)
前記1つまたは複数のペプチドが、1週間毎に1回、例えば、少なくとも1、2、3、4、5または6週間にわたって投与される、前記項目のいずれかに記載の方法または使用のための組成物。
【配列表】
【外国語明細書】