(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023155332
(43)【公開日】2023-10-20
(54)【発明の名称】複合切削工具およびそれを用いた樹脂シートの製造方法
(51)【国際特許分類】
B23C 5/10 20060101AFI20231013BHJP
【FI】
B23C5/10 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023138331
(22)【出願日】2023-08-28
(62)【分割の表示】P 2022039546の分割
【原出願日】2022-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122471
【弁理士】
【氏名又は名称】籾井 孝文
(72)【発明者】
【氏名】中市 誠
(72)【発明者】
【氏名】松山 裕紀
(72)【発明者】
【氏名】村永 佳奈子
(57)【要約】
【課題】分厚いワークであっても不具合なく切削し得る複合切削工具、および、そのような複合切削工具を用いた、樹脂シートを高効率でかつ簡便に製造し得る方法を提供すること。
【解決手段】本発明の実施形態による複合切削工具は、回転軸を中心として回転する本体と;本体の外周部に設けられた、刃先とすくい面と逃がし面とを有する切削刃と;切削刃の逃がし面の一部にやすり状表面を有する突出部として設けられた研磨部と;を有する。本発明の実施形態による樹脂シートの製造方法は、樹脂シートを複数枚重ねてワークを形成すること、および、ワークの外周面を上記の複合切削工具で切削すること、を含む。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸を中心として回転する本体と;
該本体の外周部に設けられた、刃先とすくい面と逃がし面とを有する切削刃と;
該切削刃の逃がし面の一部にやすり状表面を有する突出部として設けられた研磨部と;
を有する、複合切削工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合切削工具およびそれを用いた樹脂シートの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
用途に応じた種々の樹脂シートが幅広く利用されている。樹脂シートは、所定の形状に切断された後、外周端面を仕上げ加工に供する場合がある。このような仕上げ加工においては、エンドミルによる切削が行われる場合がある。エンドミルによる切削は、通常、樹脂シートを複数枚重ねたワークに対して行われる。ここで、製造効率を考慮すると、分厚いワークに対して切削を行うことが好ましい。しかし、分厚いワークに対して切削を行う場合、エンドミルが傾くとワークにエンドミルが当接しない部分ができる場合がある。したがって、エンドミルの工作機械への保持状態を精密に調整しなければならない、ならびに、ワークの厚みを一定値以下とせざるを得ず製造効率が不十分である、という問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その主たる目的は、分厚いワークであっても不具合なく切削し得る複合切削工具、および、そのような複合切削工具を用いた、樹脂シートを高効率でかつ簡便に製造し得る方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態による複合切削工具は、回転軸を中心として回転する本体と;該本体の外周部に設けられた、刃先とすくい面と逃がし面とを有する切削刃と;該切削刃の逃がし面の一部にやすり状表面を有する突出部として設けられた研磨部と;を有する。
1つの実施形態においては、上記研磨部の突出高さHは0.1μm~150μmである。ここで、突出高さHは、H=R2-R1で表され、R1は前記回転軸から前記刃先までの距離であり、R2は該回転軸から前記突出部の表面までの距離である。
1つの実施形態においては、上記刃先から上記研磨部の回転方向を向く壁面までの距離Lと上記R1とは、下記式(1)を満足する:
L≧0.1×R1 ・・・(1)。
1つの実施形態においては、上記複合切削工具は、1ピッチごとの削り残し高さPhが0.03μm~280μmである。ここで、ピッチPは下記式(2)で表され、1ピッチごとの削り残し高さPhは下記式(3)で表される:
P=F/(S×N) ・・・(2)
Ph=arcsin(P/2×R1) ・・・(3)
式(2)において、Fは複合切削工具の送り速度(mm/分)であり、Sは複合切削工具の回転数(rpm)であり、Nは複合切削工具の切削刃の数である。
1つの実施形態においては、上記研磨部はダイヤモンド粒子を含む。
1つの実施形態においては、上記複合切削工具は、すくい角θ1が-30°~45°であり、刃先角θ2が20°~100°である。ここで、すくい角とは、上記回転軸に直交する方向の断面において、該回転軸と上記刃先とを結ぶ直線と、該刃先からすくい面に沿って延びる直線と、のなす角度であり;刃先角とは、該回転軸に直交する方向の断面において、該刃先からすくい面に沿って延びる直線と、該刃先から逃がし面に沿って延びる直線と、のなす角度である。
本発明の別の局面によれば、樹脂シートの製造方法が提供される。該製造方法は、樹脂シートを複数枚重ねてワークを形成すること、および、該ワークの外周面を上記の複合切削工具で切削すること、を含む。
1つの実施形態においては、上記ワークの厚みは30mm以上である。
1つの実施形態においては、上記樹脂シートは接着剤層および/または粘着剤層を含む。
1つの実施形態においては、上記樹脂シートは光学フィルムを含む。1つの実施形態においては、上記光学フィルムは偏光子を含む。
【発明の効果】
【0006】
本発明の実施形態によれば、分厚いワークであっても不具合なく切削し得る複合切削工具を実現することができる。このような複合切削工具を用いることにより、樹脂シートを高効率でかつ簡便に製造し得る方法を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1A】本発明の1つの実施形態による複合切削工具を回転軸方向から見た概略平面図である。
【
図2】本発明の1つの実施形態による複合切削工具の詳細な構造を示す要部概略平面図である。
【
図3】本発明の1つの実施形態による複合切削工具における研磨部表面の凹凸深さおよびピッチを説明するための要部概略断面図である。
【
図4】
図4(a)~
図4(e)はそれぞれ、本発明の実施形態による複合切削工具における研磨部の変形例を示す要部概略平面図である。
【
図5】本発明の実施形態による製造方法における樹脂シートの端面加工の概要を説明するための概略斜視図である。
【
図6】
図6(a)および
図6(b)は、本発明の実施形態による製造方法において樹脂シートが偏光子を含む場合の端面加工の一例を説明するための概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の具体的な実施形態について説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。なお、見やすくするために図面は模式的に表されており、図面における長さ、幅、厚み等の比率、ならびに角度等は、実際とは異なっている。さらに、詳細な形状および図中の記号の意味を理解しやすくするために、図面間で形状が正確に対応していない場合がある。
【0009】
A.複合切削工具
図1Aは、本発明の1つの実施形態による複合切削工具を回転軸方向から見た概略平面図であり;
図1Bは、
図1Aの複合切削工具の概略斜視図である。図示例の複合切削工具20は、回転軸21を中心として回転する本体22と;本体22の外周部に設けられた、刃先23aとすくい面23bと逃がし面23cとを有する切削刃23と;切削刃23の逃がし面の一部にやすり状表面を有する突出部として設けられた研磨部24と;を有する。
【0010】
複合切削工具20は、超硬合金、高速度工具鋼等の硬質な金属材料によって一体に形成されて、回転軸21を中心とした略円柱の軸状をなしている。図示例の複合切削工具においては、切削刃が形成されていない1つの端部(図示例では上端部)は円柱状のままのシャンク部25とされている。複合切削工具の両端部がシャンク部とされてもよい。複合切削工具のシャンク部25がマシニングセンタ等の工作機械の主軸に保持されて、回転軸21回りに回転されることにより、対象物に当接した切削刃が当該対象物を切削する。1つの端部がシャンク部とされる場合、複合切削工具は工作機械に片持ち状態で保持され;端部がシャンク部とされる場合、複合切削工具は工作機械に両持ち状態で保持される。
【0011】
切削刃23は、上記のとおり、本体22の外周部に設けられている。切削刃23は、刃先23aとすくい面23bと逃がし面23cとを有する。すくい面23bは、切削刃23の回転方向Tを向く壁面である。図示例のすくい面23bは、回転軸に直交する方向の断面において、回転方向Tとは反対側に凹んだ円弧を規定しながら、外周側に向かうに従い回転方向Tとは反対側に向かうように延びている。逃がし面23cは切削刃23の外周面であり、すくい面23bと交差して刃先23aを規定する。逃がし面23cは、実質的には、複合切削工具20の外周面でもある。逃がし面23cは、好ましくは、粗面化処理されている。粗面化処理としては、任意の適切な処理が採用され得る。代表例としては、ブラスト処理が挙げられる。逃がし面に粗面化処理を施すことにより、切削対象物(代表的には、樹脂シート)が粘着剤層および/または接着剤層を含む場合に切削刃への粘着剤および/または接着剤の付着が抑制され、結果として、ブロッキングが抑制され得る。本明細書において「ブロッキング」とは、樹脂シートが粘着剤層および/または接着剤層を含む場合において、ワークにおける樹脂シート同士が端面の粘着剤等で接着する現象をいい、端面に付着する粘着剤等の削りカスが樹脂シート同士の接着に寄与することとなる。
【0012】
切削刃の数(複合切削工具の刃数)としては、目的に応じて任意の適切な刃数が採用され得る。刃数は、1枚であってもよく、2枚であってもよく、3枚であってもよく、図示例のように4枚であってもよく、5枚以上であってもよい。好ましくは、刃数は2枚または4枚である。このような構成であれば、刃の剛性が確保され、かつ、ポケットが確保されて削りカスを良好に排出することができる。刃数が複数(2枚以上)である場合、複数の切削刃は、図示例のように周方向に等間隔に形成されていてもよく、図示しないが周方向に不等間隔に形成されていてもよい。さらに、刃数が複数(2枚以上)である場合、複数の切削刃は、代表的には回転軸21回りの回転軌跡が互いに一致させられる。
【0013】
切削刃は、目的に応じて、ねじれ角Θが0°であってもよく特定のねじれ角を有していてもよい。すなわち、切削刃は、目的に応じて、ストレート刃であってもよくねじれ刃であってもよい。切削刃のねじれ角Θは、例えば0°~65°であってもよく、また例えば10°~55°であってもよく、また例えば20°~50°であってもよく、また例えば30°~45°であってもよい。なお、本明細書において「ねじれ角が0°」とは、刃先23aが回転軸21と実質的に平行な方向に延びていることをいう。なお、「0°」は実質的に0°であるという意味であり、加工誤差等によりわずかな角度ねじれている場合も包含する。
【0014】
図2は、複合切削工具20の詳細な構造を示す要部概略平面図である。
図2に示すように、切削刃のすくい角θ1は、好ましくは-30°~45°であり、より好ましくは-10°~30°であり、さらに好ましくは0°~20°であり;刃先角θ2は、好ましくは20°~100°であり、より好ましくは30°~90°であり、さらに好ましくは45°~80°である。切削刃のすくい角θ1および刃先角θ2がこのような範囲であれば、切削刃による加工面が平滑化されるので、その後の研磨部による加工がさらに均一化されるという利点がある。本明細書において、「すくい角」とは、回転軸に直交する方向の断面において、回転軸21と刃先23aとを結ぶ直線と、刃先23aからすくい面23bに沿って延びる直線と、のなす角度であり;「刃先角」とは、回転軸に直交する方向の断面において、刃先23aからすくい面23bに沿って延びる直線と、刃先23aから逃がし面23cに沿って延びる直線と、のなす角度である。なお、すくい面が図示例のように回転軸に直交する方向の断面において円弧を規定している場合には、すくい面に沿って延びる線とは、刃先から延びるすくい面の接線である。また、逃がし面は切削刃の外周面であり、回転軸に直交する方向の断面において円弧を規定するので、逃がし面に沿って延びる線とは、実質的には刃先から延びる逃がし面の接線である。さらに、負(-:マイナス)のすくい角は、回転軸に直交する方向の断面において、刃先からすくい面に沿って延びる直線が、回転軸と刃先とを結ぶ直線よりも回転方向T側(
図2の左側)にある場合を意味する。
【0015】
本発明の実施形態においては、上記のとおり、逃がし面23cの一部に研磨部24が形成されている。研磨部24は、やすり状表面を有する突出部として設けられている。研磨部24(実質的には、その表面)は、代表的にはダイヤモンド粒子を含む。このような構成であれば、適切な表面粗さおよび表面硬さを有するやすり状表面が形成され得る。研磨部24は、代表的には回転砥石として機能し得る。切削刃が複数設けられている場合、研磨部は、代表的にはそれぞれの切削刃に設けられる。すなわち、代表的には、切削刃の数と研磨部の数とは一致する。さらに、研磨部は、代表的にはそれぞれの切削刃の対応する位置に設けられる。なお、研磨部が複数形成されている場合、複数の研磨部は、切削刃の場合と同様に、代表的には回転軸21回りの回転軌跡が互いに一致させられる。
【0016】
研磨部24の突出高さHは、好ましくは0.1μm~100μmであり、より好ましくは1μm~50μmであり、さらに好ましくは5μm~30μmである。研磨部の突出高さHがこのような範囲であれば、研磨部による加工面において樹脂シートが溶融または破損することなく、均一な加工面が得られるという利点がある。ここで、研磨部の突出高さHは、H=R2-R1で表される。R1は回転軸21から刃先23aまでの距離であり、R2は回転軸21から研磨部(突出部)24の表面までの距離である。R1は切削刃23の回転軌道の半径でもあり、R2は研磨部24の回転軌道の半径でもある。したがって、研磨部の突出高さHは、研磨部の回転半径と切削刃の回転半径との差である。図示例の研磨部は、回転軸に直交する方向の断面において、研磨部の両側の壁面が、回転軸に対して放射状に延びていてもよく、切削刃の外周(逃がし面)と実質的に直交するよう外側に延びていてもよい。さらに、図示例の研磨部は、回転軸に直交する方向の断面において、研磨部の表面は実質的に平坦であり、研磨部の回転軌道にほぼ一致している。
【0017】
複合切削工具20の外周方向に沿った研磨部24の幅W(mm)は、好ましくはR1(mm)以下であり、より好ましくは0.5×R1(mm)以下であり、さらに好ましくは0.3×R1(mm)以下である。研磨部の幅Wの下限は、例えば0.01×R1(mm)であり得る。研磨部の幅Wがこのような範囲であれば、研磨部への切削カスの目詰まりが少なく、長時間にわたって加工品質を一定に保てるという利点がある。言い換えれば、複合切削工具の外径に応じて研磨部の幅を調整することにより、上記利点を得ることができる。
【0018】
切削刃23の逃がし面23cにおいて研磨部24が設けられる位置は、目的に応じて適切に設定され得る。1つの実施形態においては、刃先23aから研磨部24の回転方向を向く壁面までの距離L(mm)と、回転軸21から刃先23aまでの距離R1(mm)とは、下記式(1)を満足する:
L≧0.1×R1 ・・・(1)。
距離Lは、好ましくは0.1×R1~1.0×R1であり、より好ましくは0.15×R1~0.8×R1である。距離Lと距離R1とがこのような関係であれば、研磨部表面へのカスの堆積が少なく、長時間にわたって加工品質を一定に保てるという利点がある。言い換えれば、複合切削工具の外径に応じて、研磨部が設けられる位置をこのような関係で規定することにより、上記利点を得ることができる。
【0019】
研磨部24表面の表面粗さは、やすり刃の番手として、好ましくは#60以上であり、より好ましくは#100以上であり、さらに好ましくは#200以上である。当該表面粗さは、やすり刃の番手として、好ましくは#2000以下であり得、より好ましくは#1200以下であり、さらに好ましくは#800以下である。研磨部の表面粗さがこのような範囲であれば、研磨部による加工面において樹脂シートが溶融または破損することなく、かつ、研磨部への切削カスの目詰まりが少なく、長時間にわたって加工品質を一定に保てるという利点がある。なお、やすり刃の番手は、番手が小さいほど目が粗いことを意味している。番手は、ダイヤモンド粒子の量、大きさ等により調整できる。
【0020】
図3は、研磨部24のやすり状表面の凹凸形状を説明するための要部概略断面図である。研磨部24のやすり状表面の凹凸の深さDは、例えば1μm~120μmである。深さDの下限は、好ましくは5μm以上であり、より好ましくは10μm以上である。深さDの上限は、好ましくは50μm以下であり、より好ましくは35μm以下である。研磨部24のやすり状表面の凹凸のピッチpは、例えば1μm~250μmである。凹凸のピッチpの下限は、好ましくは5μm以上であり、より好ましくは10μm以上である。凹凸のピッチpの上限は、好ましくは100μm以下であり、より好ましくは60μm以下である。研磨部表面の凹凸形状がこのような構成であれば、研磨部による加工面において樹脂シートが溶融または破損することなく、かつ、研磨部への切削カスの目詰まりが少なく、長時間にわたって加工品質を一定に保てるという利点がある。
【0021】
複合切削工具の外径は、目的に応じて適切に設定され得る。より詳細には、複合切削工具の外径は、好ましくは0.5mm~30mmであり、より好ましくは0.8mm~25mmであり、さらに好ましくは1mm~20mmである。複合切削工具の外径がこのような範囲であれば、一般的なエンドミル加工が可能な工作機械を用いて不具合なく加工することができる。なお、複合切削工具の外径は、上記R2を2倍したもの(すなわち、研磨部の回転軌道の直径)である。
【0022】
1つの実施形態においては、複合切削工具の1ピッチごとの削り残し高さPhは、好ましくは0.03μm~280μmであり、より好ましくは0.1μm~100μmであり、さらに好ましくは0.2μm~10μmである。当該削り残し高さPhがこのような範囲であれば、研磨部による加工面において樹脂シートが溶融または破損することなく、均一な加工面が得られるという利点がある。ここで、ピッチPは下記式(2)で表され、1ピッチごとの削り残し高さPhは下記式(3)で表される:
P=F/(S×N) ・・・(2)
Ph=arcsin(P/2×R1) ・・・(3)
式(2)において、Fは複合切削工具の送り速度(mm/分)であり、Sは複合切削工具の回転数(rpm)であり、Nは複合切削工具の切削刃の数である。
【0023】
回転軸方向から見た研磨部24の形状(研磨部の表面を規定する外郭形状)は、目的等に応じて任意の適切な形状が採用され得る。
図4(a)~
図4(e)はそれぞれ、研磨部の代表的な変形例を示す要部概略平面図である。
図4(a)の研磨部は、回転軸に直交する方向の断面において、回転方向と反対側を向く壁面から回転方向の所定部分までは外周に沿った実質的に平坦な面を有し、当該所定部分から回転方向を向く壁面にかけて突出高さが漸次減少している。
図4(b)の研磨部は、回転軸に直交する方向の断面において、回転方向と反対側を向く壁面から回転方向を向く壁面にかけて突出高さが漸次減少している。
図4(c)の研磨部は、回転軸に直交する方向の断面において、回転方向と反対側を向く壁面から回転方向の所定部分までは突出高さが第1の傾斜角度で漸次減少し、当該所定部分から回転方向を向く壁面にかけて突出高さが第1の傾斜角度より大きい第2の傾斜角度で漸次減少している。
図4(d)の研磨部は、回転軸に直交する方向の断面において、回転方向を向く壁面が外側(突出側)に向かうにしたがって回転方向と反対側に向かうように延びている。
図4(e)の研磨部は、回転軸に直交する方向の断面において、研磨部表面を規定する線と回転方向を向く壁面を規定する線との交差部が面取りされた形状とされている。これらの変形例は適宜組み合わせられてもよい。例えば、
図4(a)~
図4(d)の変形例において、研磨部表面を規定する線と回転方向を向く壁面を規定する線との交差部が面取りされた形状とされていてもよく;また例えば、
図4(a)~
図4(c)の変形例において、回転方向を向く壁面が外側(突出側)に向かうにしたがって回転方向と反対側に向かうように延びていてもよい。これらの変形例は、研磨部の突出高さH、研磨部が設けられる位置(距離L)、削り残し高さPh等に応じて適切に選択され得る。例えば、
図4(b)の変形例は、研磨部の突出高さHが大きい場合に有用であり得;
図4(c)の変形例は、距離Lが大きい場合に有用であり得;
図4(d)の変形例は、削り残し高さPhが小さい場合に有用であり得;
図4(e)の変形例は、削り残し高さPhが大きい場合に有用であり得る。また、
図4(a)の変形例は、突出高さH、距離Lおよび削り残し高さPhがいずれも中間的な大きさである場合に有用であり得る。
【0024】
B.樹脂シート
樹脂シートとしては、端面加工に供され得る任意の適切な樹脂シートが挙げられる。樹脂シートは、単一層で構成されるフィルムであってもよく、積層体であってもよい。樹脂シートの具体例としては、光学フィルム、断熱シート、樹脂窓、表面保護フィルム、繊維強化プラスチック(FRP)シート、包装フィルム、食品用フィルムが挙げられる。1つの実施形態においては、樹脂シートは光学フィルムを含む。光学フィルムは他の樹脂シートまたはフィルムに比べて精密な端面加工が要求されるところ、本発明の実施形態による効果が顕著なものとなる。光学フィルムの具体例としては、偏光子、位相差フィルム、偏光板(代表的には、偏光子と保護フィルムとの積層体)、タッチパネル用導電性フィルム、表面処理フィルム、ならびに、これらを目的に応じて適切に積層した積層体(例えば、反射防止用円偏光板、タッチパネル用導電層付偏光板)が挙げられる。1つの実施形態においては、樹脂シートは、接着剤層および/または粘着剤層を含む。したがって、樹脂シートは、例えば接着剤層および/または粘着剤層を含む光学フィルムであり得る。接着剤層および/または粘着剤層を含む光学フィルムにおいては、本発明の実施形態による効果がさらに顕著なものとなる。
【0025】
C.樹脂シートの製造方法
以下、樹脂シートの一例として粘着剤層付偏光板を採用した場合の製造方法について説明する。粘着剤層付偏光板の平面形状が図示例の平面形状に限定されないことは当業者に自明である。また、本発明の実施形態が粘着剤層付偏光板以外の任意の適切な樹脂シートにも適用され得ることは、当業者に自明である。すなわち、本発明の実施形態は、任意の適切な形状を有する任意の適切な樹脂シートの製造に適用され得る。
【0026】
C-1.ワークの形成
図5は、本発明の実施形態による製造方法における樹脂シート(ここでは、粘着剤層付偏光板)の端面加工の概要を説明するための概略斜視図である。本図にワークWが示されている。
図5に示すように、粘着剤層付偏光板を複数枚重ねることにより、ワークWが形成される。粘着剤層付偏光板は、ワーク形成に際し、代表的には原反ロールから任意の適切なサイズおよび形状に切断されている。具体的には、粘着剤層付偏光板は矩形形状に切断されていてもよく、矩形形状に類似する形状に切断されていてもよく、目的に応じた適切な形状(例えば、円形)に切断されていてもよい。図示例では、粘着剤層付偏光板は矩形形状に切断されており、ワークWは、互いに対向する外周面(切削面)1a、1bおよびそれらと直交する外周面(切削面)1c、1dを有している。切断は、任意の適切な手段により行われる。切断手段の具体例としては、打ち抜き刃(例えば、トムソン刃)による打ち抜き、レーザー照射が挙げられる。1つの実施形態においては、粘着剤層付偏光板の粘着剤層表面にははく離ライナーが仮着されていてもよく、および/または、粘着剤層付偏光板の粘着剤層と反対側の表面には表面保護フィルムが仮着されていてもよい。
【0027】
ワークの総厚みは、例えば3mm以上であり、好ましくは5mm以上であり、より好ましくは10mm以上であり、さらに好ましくは30mm以上であり、特に好ましくは60mm以上である。本発明の実施形態によれば、上記A項に記載のような複合切削工具を用いることにより、このような分厚いワークであっても不具合なく切削(代表的には、端面加工)を行うことができる。その結果、樹脂シート(ここでは、粘着剤層付偏光板)を高効率でかつ簡便に製造することができる。一方で、ワークの総厚みは、好ましくは150mm以下であり、より好ましくは100mm以下である。ワークの総厚みの上限は、主として工作機械の構成上の制約に起因し得る。なお、本発明の実施形態によればワークが分厚い場合に効果が顕著となるが、ワークが通常の厚み(例えば10mm以下)であっても不具合なく実施できることは言うまでもない。
【0028】
ワークWは、好ましくは、クランプ手段(図示せず)により上下からクランプされている。クランプ手段(例えば、治具)は、軟質材料で構成されてもよく硬質材料で構成されてもよい。軟質材料で構成される場合、その硬度(JIS A)は、好ましくは60°~80°である。硬度が高すぎると、クランプ手段による押し跡が残る場合がある。硬度が低すぎると、治具の変形により位置ずれが生じ、切削精度が不十分となる場合がある。
【0029】
C-2.複合切削工具による端面加工
次に、ワークWの外周面の所定の位置を、複合切削工具20により切削(端面加工)する。複合切削工具20は、代表的には、工作機械(図示せず)に保持され、複合切削工具の回転軸まわりに高速回転されて、回転軸に交差する方向に送り出されながら切削刃をワークWの外周面に当接させ切り込ませて用いられる。すなわち、切削は、代表的には、複合切削工具の切削刃をワークWの外周面に当接させ切り込ませることにより行われる。さらに、本発明の実施形態によれば、切削刃による切込みに続いて、回転軌道の半径が切削刃よりも大きい研磨部による研磨(切削)が行われる。このような研磨部による切削が追加的に行われることにより、分厚いワークであっても不具合なく(より詳細には、ワークに切削刃が当接しないことに起因する削り残しがなく、ワークの厚み方向全体にわたって均一に)端面加工を行うことができる。さらに、粘着剤層付偏光板(代表的には、偏光子)のクラック、切削刃の刃汚れ、および、ブロッキングを抑制することができる。特に、経時的なクラックの進行を良好に抑制することができる。加えて、粘着剤層付偏光板にはく離ライナーおよび/または表面保護フィルムが仮着されている場合には、これらの浮きを抑制することができる。ここで、切削刃の刃汚れとは、切削刃に粘着剤層の粘着剤が付着して切削性能(加工性能)が許容範囲を超えて低下する現象をいう。ブロッキングは上記のとおりである。
【0030】
複合切削工具による端面加工の条件は、樹脂シートの種類、所望の形状等に応じて適切に設定され得る。例えば、複合切削工具の回転速度(回転数)は、好ましくは100rpm~50,000rpmであり、より好ましくは1,000rpm~30,000rpmであり、さらに好ましくは2,000rpm~20,000rpmである。また例えば、複合切削工具の送り速度は、好ましくは100mm/分~5,000mm/分であり、より好ましくは200mm/分~4,000mm/分であり、さらに好ましくは300mm/分~3,000mm/分である。複合切削工具の回転速度および送り速度がこのような範囲であれば、分厚いワークであっても不具合なく端面加工を行うことができる。複合切削工具によるワーク(樹脂シート)端面の切削回数は、1回削り、2回削り、3回削りまたはそれ以上であり得る。
【0031】
複合切削工具は、工作機械に片持ち状態で保持されてもよく、両持ち状態で保持されてもよい。片持ち状態で保持することにより、複合切削工具の平面内および上下方向の移動が容易となる。その結果、非直線的な切削(加工)が必要となった場合に、そのような切削が容易となる。また、片持ちの方が、複合切削工具の作製が容易である。一方、両持ち状態で保持することにより、切削面のがたつき(切削表面を横方向から見たときの凹凸)を抑制することができる。さらに、両持ち状態で保持することにより、切削時に複合切削工具の切削刃にかかる応力を低減することができる。その結果、複合切削工具の耐久性を向上させることができ、したがって、複合切削工具による端面加工の安定性および信頼性を向上させることができる。
【0032】
複合切削工具による樹脂シートの端面加工は、樹脂シートの外周面全体に行ってもよく、外周面の一部に行ってもよい。樹脂シートが偏光子を含む場合(例えば、樹脂シートが図示例のような粘着剤層付偏光板である場合)には、複合切削工具による端面加工は、好ましくは、偏光子の吸収軸方向のみに行われる。
図6(a)および
図6(b)は、偏光子を含む樹脂シート(ここでは、粘着剤層付偏光板)の端面加工の具体的な手順の一例を説明するための概略平面図である。本実施形態においては、粘着剤層付偏光板は、代表的には
図6(a)に示すように、偏光子の吸収軸Aが短辺方向となるようにして矩形形状に切断されている。
【0033】
次いで、
図6(a)に示すように、エンドミルにより短辺の端面加工を行う。エンドミルは、目的および偏光子を含む樹脂シートの種類等に応じて任意の適切な構成が採用され得る。エンドミルは、例えば、研磨部を設けないこと以外は複合切削工具と同様の構成を有していてもよく、全体として全く異なる構成(例えば、外径、刃数、ねじれ角、すくい角、刃先角)を有していてもよい。エンドミルによる端面加工の条件は、目的等に応じて適切に設定され得る。エンドミルの外径は、例えば0.5mm~30mmであってもよく、また例えば1mm~20mmであってもよい。エンドミルの回転速度(回転数)は、例えば100rpm~50,000rpmであってもよく、また例えば1,000rpm~35,000rpmであってもよく、また例えば2,000rpm~20,000rpmであってもよい。また、エンドミルの送り速度は、例えば100mm/分~5,000mm/分であってもよく、また例えば300mm/分~3,000mm/分であってもよい。エンドミルによるワーク(偏光子を含む樹脂シート、ここでは粘着剤層付偏光板)短辺の端面の切削回数は、1回削り、2回削り、3回削りまたはそれ以上であり得る。図示例は、粗加工および仕上げ加工の2回削りを模式的に示している。粗加工および仕上げ加工は、同一条件で行ってもよく、異なる条件で行ってもよい。
【0034】
次いで、
図6(b)に示すように、複合切削工具により長辺の端面加工を行う。複合切削工具の構成は上記A項に記載のとおりであり、複合切削工具による端面加工の条件は上記のとおりである。このような端面加工を行うことにより、分厚いワークであっても不具合なく端面加工を行うことができる。さらに、粘着剤層付偏光板(代表的には、偏光子)のクラック、切削刃の刃汚れ、および、ブロッキングを抑制することができる。加えて、粘着剤層付偏光板にはく離ライナーおよび/または表面保護フィルムが仮着されている場合には、これらの浮きを抑制することができる。エンドミルで粘着剤層付偏光板の外周全体を端面加工する場合には、ワークに切削刃が当接しないことに起因する削り残しが発生することが多い。複合切削工具で粘着剤層付偏光板の外周全体を端面加工する場合には、吸収軸と平行な方向の加工端面がヒートショックによる衝撃に弱くなり、クラックが発生する場合がある。ただし、樹脂シートが偏光子を含まない場合には、複合切削工具で樹脂シートの外周全体を端面加工してもこのような問題は実質的には発生しない。
【実施例0035】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例には限定されない。実施例における評価項目は以下のとおりである。
【0036】
(1)クラック
実施例、比較例および参考例で得られた粘着剤層付偏光板を、粘着剤層を介してガラス板(厚み1.1mm)に貼り付け、試験サンプルとした。
(1-1)ヒートショック試験によるクラック
上記試験サンプルを-40℃で30分間保持した後85℃で30分間保持することを300サイクル繰り返すヒートショック試験に供し、試験後のクラックの発生状態を光学顕微鏡(倍率5倍)により観察した。具体的には、クラックの発生個数および長さ(μm)を調べ、以下の基準で評価した。
A:個数が10個以下で、かつ、最大長さが500μm以下
B:個数は10個以下であるが、最大長さが500μmを超える
C:個数が10個を超え、かつ、最大長さが500μmを超える
(1-2)加熱試験によるクラック
上記試験サンプルを105℃、1000時間の加熱試験に供し、(1-1)と同様に評価した。
【0037】
(2)浮き
実施例、比較例および参考例で得られた粘着剤層付偏光板における表面保護フィルムおよびはく離ライナーの浮き量をルーペもしくは顕微鏡で測定した。1つのワークにおける浮き量の最大値を浮き量とし、以下の基準で評価した。
A:浮き量が300μm以下
B:浮き量が300μmを超えて500μm以下
C:浮き量が500μmを超える
【0038】
(3)刃汚れ
実施例の端面加工後の複合切削工具の切削刃、ならびに、比較例および参考例の端面加工後のエンドミルの切削刃の粘着剤による汚染状態を観察し、以下の基準で評価した。
A:汚染は実質的に認められなかった
B:汚染が認められたが、加工に問題は生じなかった
C:著しい汚染が認められ、加工にも問題が生じた
【0039】
(4)ブロッキング
実施例、比較例および参考例の端面加工後のワークの状態を観察し、以下の基準で評価した。
A:ワークから個々の粘着剤層付偏光板への分離が容易であった
B:ワークから個々の粘着剤層付偏光板への分離は可能であるが、分離操作が困難であった
C:ワークが完全にブロック状となっており、個々の粘着剤層付偏光板への分離が不可能であった
【0040】
<実施例1>
常法により、視認側から順に表面保護フィルム(60μm)/シクロオレフィン系保護フィルム(47μm)/偏光子(5μm)/シクロオレフィン系保護フィルム(24μm)/粘着剤層(20μm)/はく離ライナーの構成を有する粘着剤層付偏光板を作製した。なお、表面保護フィルムとしては、PET基材(50μm)/粘着剤層(10μm)の構成を有する表面保護フィルムを用いた。この粘着剤層付偏光板を5.7インチサイズ(縦140mmおよび横65mm程度)に打ち抜いた。ここで、偏光子の吸収軸方向は横方向(短辺方向)となるように打ち抜きを行った。打ち抜いた粘着剤層付偏光板を複数枚重ねてワークとした。ワークの総厚みは45mmであった。得られたワークをクランプ(治具)で挟んだ状態で、エンドミルにより短辺(偏光子の吸収軸方向)の端面加工を行った。具体的には、外径9mm、2枚刃、ねじれ角45°のエンドミルを用いて、それぞれの短辺を粗加工および仕上げ加工の2回の端面加工に供した。粗加工の削り量は0.2mmであり、仕上げ加工の削り量は0.1mmであった。粗加工および仕上げ加工のいずれにおいても、エンドミルの送り速度は1,000mm/分、回転数は35,000rpmであった。次いで、本発明の実施形態の複合切削工具により長辺(偏光子の吸収軸方向と直交する方向)の端面加工を行った。複合切削工具は、上記エンドミルの切削刃の逃がし面に突出高さ20μmの研磨部が設けられたものを用いた。研磨部の突出面はダイヤモンド粒子を含むやすり状(または回転砥石状)であった。切削刃の刃先から研磨部の回転方向に向く壁面までの距離Lは0.9mmであり、回転軸から刃先までの距離R1とはL=0.167×R1の関係を有していた。長辺の端面加工は、同一条件で2回行った。具体的には、複合切削工具の送り速度は1,000mm/分、回転数は8,000rpm、1回の削り量は0.1mmであった。このようにして、粘着剤層付偏光板を得た。端面加工においては、エンドミルおよび複合切削工具の工作機械への保持状態を精密に調整する必要はなく、かつ、ワークの厚み方向全体にわたって均一な切削が実現されていた。得られた粘着剤層付偏光板について、上記(1)~(4)の評価を行った。結果を表1に示す。
【0041】
<実施例2>
ワークの厚みを60mmとしたこと以外は実施例1と同様にして粘着剤層付偏光板を得た。端面加工においては、エンドミルおよび複合切削工具の工作機械への保持状態を精密に調整する必要はなく、かつ、ワークの厚み方向全体にわたって均一な切削が実現されていた。得られた粘着剤層付偏光板について、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
【0042】
<比較例1>
実施例1と同様にして形成したワークの全辺(外周全体)をエンドミルのみで端面加工した。具体的には、ワークの外周全体を一筆書きの要領で粗加工および仕上げ加工の2回の端面加工に供した。粗加工および仕上げ加工の条件は実施例1と同様であった。次いで、回転砥石(#400)を用いて長辺のみを端面加工した。回転砥石の回転数は1,000rpm、送り速度は500mm/分であった。このようにして、粘着剤層付偏光板を得た。エンドミルの端面加工において、ワークの一部(厚み方向における上端部または下端部)に切削不良が発生した。切削不良は、長辺において顕著であった。得られた粘着剤層付偏光板について、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
【0043】
<参考例1>
ワークの厚みを15mmとしたこと以外は比較例1と同様にして粘着剤層付偏光板を得た。端面加工において切削不良は認められなかった。得られた粘着剤層付偏光板について、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
【0044】
【0045】
<評価>
表1から明らかなように、本発明の実施例の複合切削工具は、分厚いワークであっても不具合なく切削できることがわかる。