(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023155372
(43)【公開日】2023-10-20
(54)【発明の名称】情報提示制御装置、情報提示制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/09 20060101AFI20231013BHJP
G01C 21/36 20060101ALI20231013BHJP
【FI】
G08G1/09 D
G01C21/36
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023139133
(22)【出願日】2023-08-29
(62)【分割の表示】P 2022063813の分割
【原出願日】2017-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001025
【氏名又は名称】弁理士法人レクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鹿又 広行
(72)【発明者】
【氏名】田中 淑貴
(57)【要約】
【課題】
道路標識等に関する情報を状況に合わせて提示することが可能であり、搭乗者にとってより適切であり有益な情報をもたらすことが可能である情報提示制御装置を提供することを目的の一つとしている。
【解決手段】
移動体の周辺に存在する、道路標識又は道路標示を含む標識又は標示を検出する検出部と、前記検出部により検出された第1の標識又は標示に関する情報を含むガイド情報の、前記移動体の搭乗者への提示に関する制御を行う提示制御部と、を備え、前記提示制御部は、前記第1の標識又は標示と同じ種別の標識又は標示に対する前記搭乗者の過去の関心度に基づいた態様で、前記ガイド情報を提示させることを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体の周辺に存在する、道路標識又は道路標示を含む標識又は標示を検出する検出部と、
前記検出部により検出された第1の標識又は標示に関する情報を含むガイド情報の前記移動体の搭乗者への提示に関する制御を行う提示制御部と、を備え、
前記提示制御部は、前記第1の標識又は標示と同じ種別の標識又は標示に対する前記搭乗者の過去の関心度に基づいた態様で、前記ガイド情報を提示させることを特徴とする情報提示制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報提示制御装置に関し、例えば、移動体の搭乗者に向けた情報の提示に関する制御を行う情報提示制御装置、情報提示制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
移動体の走行において、移動体の運転者を含む搭乗者にとって、道路標示及び道路標識(道路標識等)を含む標識表示(以下、単に「標識及び表示」とも称する)を認識して当該道路標識等の示す意味を把握することは重要である。当該移動体の周辺に存在する道路標識等に関する情報を搭乗者に提示することで、当該搭乗者による道路標識等の認識を補助する装置が用いられている。
【0003】
例えば、特許文献1には、車載カメラによって撮像された画像より道路標識等を抽出する抽出手段と、道路標識等画像を記録する記録手段と、カーナビゲーション画像を表示させるための表示手段と、道路標識等画像とカーナビゲーション画像とを同時に表示できるように画像編集を行って表示手段に出力する画像出力手段と、を備える道路標識等表示装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
移動体の搭乗者にとって、いずれの道路標識等に関するどのような情報が有益であるかは、状況によって異なる。上記したような道路標識等表示装置において、状況にそぐわない情報も表示され得ることが課題の一例として挙げられる。
【0006】
本発明は上記した点に鑑みてなされたものであり、道路標識等に関する情報を状況に合わせて提示することが可能であり、搭乗者にとってより適切であり有益な情報をもたらすことが可能である情報提示制御装置を提供することを目的の一つとしている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、移動体の周辺に存在する、道路標識又は道路標示を含む標識又は標示を検出する検出部と、前記検出部により検出された第1の標識又は標示に関する情報を含むガイド情報の、前記移動体の搭乗者への提示に関する制御を行う提示制御部と、を備え、前記提示制御部は、前記第1の標識又は標示と同じ種別の標識又は標示に対する前記搭乗者の過去の関心度に基づいた態様で、前記ガイド情報を提示させることを特徴とする。
【0008】
請求項10に記載の発明は、情報提示制御装置によって、道路標識又は道路標示を含む標識又は標示に関する情報を含むガイド情報を提示させる方法であって、検出部が、移動体の周辺に存在する前記標識又は標示を検出する検出ステップと、提示制御部が、前記検出部により検出された第1の標識又は標示に関する情報を含むガイド情報の、前記移動体の搭乗者への提示に関する制御を行う提示制御ステップと、を含み、前記提示制御部は、前記提示制御ステップにおいて、前記第1の標識又は標示と同じ種別の標識又は標示に対する前記搭乗者の過去の関心度に基づいた態様で、前記ガイド情報を提示させることを特徴とする。
【0009】
請求項11に記載の発明は、コンピュータを備える情報提示制御装置によって実行される情報提示制御プログラムであって、移動体の周辺に存在する、道路標識又は道路標示を含む標識又は標示を検出する検出部と、前記検出部により検出された第1の標識又は標示に関する情報を含むガイド情報の前記移動体の搭乗者への提示に関する制御を行う提示制御部、として前記コンピュータを機能させ、前記提示制御部は、前記第1の標識又は標示と同じ種別の標識又は標示に対する前記搭乗者の過去の関心度に基づいた態様で、前記ガイド情報を提示させることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施例1の情報提示制御装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図2A】実施例1の情報提示制御装置によって提示された表示画面の一例を示す図である。
【
図2B】実施例1の情報提示制御装置によって提示された表示画面の一例を示す図である。
【
図3A】実施例1の情報提示制御装置における制御に係る情報の一例を示す図である。
【
図3B】実施例1の情報提示制御装置における制御に係る情報の一例を示す図である。
【
図3C】実施例1の情報提示制御装置における制御に係る情報の一例を示す図である。
【
図4】実施例1の情報提示制御装置による提示制御ルーチンの例を示すフローチャートである。
【
図5】本発明の実施例2の情報提示制御装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図6A】実施例2の情報提示制御装置における制御に係る情報の一例を示す図である。
【
図6B】実施例2の情報提示制御装置における制御に係る情報の一例を示す図である。
【
図6C】実施例2の情報提示制御装置における制御に係る情報の一例を示す図である。
【
図7】実施例2の情報提示制御装置による提示制御ルーチンの例を示すフローチャートである。
【
図8】本発明の実施例3の情報提示制御システムの構成の一例を示すブロック図である。
【
図9A】本発明の実施例3の情報提示制御装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図9B】本発明の実施例3の情報提示制御サーバの構成の一例を示すブロック図である。
【
図10】実施例3の情報提示制御装置における制御に係る情報の一例を示す図である。
【
図11】実施例3の情報提示制御システムによる提示制御ルーチンの例を示すフローチャートである。
【
図12】本発明の実施例4の情報提示制御装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図13A】実施例4の情報提示制御装置によって提示された表示画面の一例を示す図である。
【
図13B】実施例4の情報提示制御装置によって提示された表示画面の一例を示す図である。
【
図13C】実施例4の情報提示制御装置によって提示された表示画面の一例を示す図である。
【
図14】実施例4の情報提示制御装置による提示制御ルーチンの例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に本発明の好適な実施例を詳細に説明する。なお、以下の説明及び添付図面においては、実質的に同一または等価な部分には同一の参照符号を付している。
【実施例0012】
図1を参照しつつ、本発明の実施例1である情報提示制御装置10の構成について説明する。情報提示制御装置10は、車両等の移動体に搭載され、移動体の周辺に存在する道路標識又は道路標示を含む道路標識等に関する情報を含む情報であるガイド情報が、当該移動体の運転者(以下、ドライバーとも称する)を含む搭乗者に提示される際の、当該提示に関する制御を行う情報提示制御装置である。例えば、当該ガイド情報は、道路標識又は道路標示が示す交通規制又は指示の内容を含む。本実施例において、情報提示制御装置10が車両に搭載されている例について説明する。
【0013】
記憶部11は、ハードディスク、フラッシュメモリ、SSD(Solid State Drive)、RAM(Random Access Memory)等の記憶装置である。記憶部11は、情報提示制御装置10において実行されるプログラム、情報提示制御装置10の動作に必要なデータ、情報提示制御装置10の動作において発生するデータ及び外部から取込まれるデータを適宜記憶する。例えば、記憶部11には、地図情報又は経路情報等のナビゲーション情報が記憶されている。また、記憶部11には、道路標識又は道路標示が示す交通規制や指示の内容を含む情報が記憶されている。
【0014】
制御部13は、中央演算処理装置(CPU(Central processing Unit))を含んでおり、情報提示制御装置10の動作に必要な制御を行う。例えば、制御部13は、情報提示制御装置10が搭載されている移動体に関連する地図情報又は経路情報を記憶部11から読み出して、これらを表示する際に必要な制御を行う。
【0015】
制御部13は、提示制御部13Aを含んでいる。提示制御部13Aは、移動体の周辺に存在する道路標識又は道路標示を含む道路標識等に関する情報を含む情報であるガイド情報を移動体の搭乗者に提示する際に必要な情報を各部から取得し、かつ、当該ガイド情報の提示のための情報を生成して各部に供給する機能を実現する機能部である。例えば、提示制御部13Aは、移動体の周辺に存在する道路標識等と、記憶部11に記憶された当該道路標識等の内容とを関連付けた情報を生成する。例えば、当該ガイド情報には、道路標識又は道路標示が示す交通規制又は指示の内容が含まれる。
【0016】
表示部15は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ又はヘッドアップディスプレイ(HUD:Head-up Display)等の表示装置であり、搭乗者によって視認可能に設けられている。表示部15は、制御部13からの指示に応じてナビゲーション情報及びガイド情報等の情報を示す画面を表示する。例えば、表示部15には、移動体が走行している周辺の地図情報を表示する。また、表示部15には、移動体の周辺に存在する道路標識等の画像及び当該道路標識等が示す交通規制の内容を示す文字が表示される。
【0017】
音声出力部16は、ナビゲーション情報及びガイド情報等の表示部15により表示される情報を音声として出力する音響機器である。例えば、経路情報の一部を音声出力する。また、例えば、音声出力部16は、道路標識等の名称及び内容を音声出力する。
【0018】
走行情報取得部17は、移動体の走行に関する情報を取得する少なくとも1つの装置を含む装置群である。走行情報取得部17は、例えばGPS(Global Positioning System)装置等の位置特定装置を含み、移動体の位置に関する情報を取得する。また、走行情報取得部17は、加速度センサ及びジャイロセンサ等のセンサを含んでいても良く、移動体の加速度及び進行方向等の情報を取得しても良い。例えば、制御部13は、走行情報取得部17によって取得された位置情報を使用して経路情報を生成する。
【0019】
操作入力部19は、リモートコントローラ又はタッチパネル等の入力機器である。操作入力部19は、表示部15又は音声出力部16に関する搭乗者からの操作入力を受け付ける。例えば、操作入力部19は、経路情報の表示を要求する入力、行き先の入力等の操作入力を受け付ける。
【0020】
また、操作部としての操作入力部19は、表示部15によってガイド情報が示される際の画像であるガイド情報画像について、提示を停止させるための入力等の操作を受け付ける。また、操作部としての操作入力部19は、音声出力部16によって報知される道路標識等に関する音声であるガイド情報音声について、音量を変更したり、停止させたりするための入力を受け付けても良い。
【0021】
周辺撮影部21は、車載カメラ等の撮像装置であり、移動体の周囲を撮影して得られた画像データを制御部13に供給する。例えば、周辺撮影部21は、移動体の前方の風景を撮影して画像データを制御部13に供給する。制御部13は、周辺撮影部21によって撮影された画像の画像データから、当該画像を含むナビゲーション情報を生成して表示部15に表示させる。
【0022】
また、制御部13は、周辺撮影部21によって撮影された道路標識等を含む移動体の前方の風景の画像データから道路標識等を検出する。制御部13は、例えばテンプレートマッチングにより当該画像データを解析し、当該画像に含まれる道路標識等を検出する。この場合、周辺撮影部21は、制御部13と共に、移動体の周辺に存在する道路標識等を検出する検出部として機能する。なお、周辺撮影部21は、カメラを複数台備えていてもよく、例えば自動車の前方及び側方等の複数の方角の撮像ができるように構成されて配置されていてもよい。
【0023】
車室内モニタ部23は、車両の車室内を撮影するカメラ又は当該車室内の変化を検出するセンサ等の機器である。例えば、車室内モニタ部23は、当該車両の運転者の視線の方向若しくは動き又は頭部等の身体の動きを観測したデータを制御部13に供給する。また、車室内を撮影したカメラの画像からドライバーを特定することが可能であっても良い。
【0024】
例えば、提示制御部13Aは、当該運転者の視線の方向又は動きに関するデータから、移動体の周辺に存在する道路標識等を運転者が注視した時間の長さ(標識注視時間)を得ることができる。また、例えば、提示制御部13Aは、当該運転者の視線の方向又は動きに関するデータから、表示部15に表示されたガイド情報を運転者が注視した時間の長さ(ガイド注視時間)を得ることができる。
【0025】
ドライバー識別情報取得部25は、運転者を含む搭乗者を認識することが可能である認識装置である。例えば、ドライバー識別情報取得部25は、スマートフォン又はウェアラブル機器等の搭乗者が携帯する端末を認識する装置であっても良い。また、ドライバー識別情報取得部25は、静脈又は指紋等の認識が可能である生体認証装置であっても良い。
【0026】
例えば、ドライバー識別情報取得部25は、運転者が車両に搭乗した際に、当該運転者が携帯するスマートフォンの識別情報を検出して制御部13に供給する。例えば、当該識別情報は、IMEI(International Mobile Equipment Identifier)等の端末に固有の識別番号である。
【0027】
例えば、運転者が当該車両に初めて搭乗した際に、ドライバー識別情報取得部25によって初めて検出された当該識別情報は、記憶部11に記憶される。そして、当該運転者が当該車両に再度搭乗した際に、ドライバー識別情報取得部25が当該スマートフォンの識別情報を再度検出する。提示制御部13Aは、記憶部11に記憶されている当該運転者の識別情報と照合し、当該運転者を特定する。すなわち、ドライバー識別情報取得部25及び提示制御部13Aはドライバーを特定する特定部として機能する。
【0028】
上記したように、車室内モニタ部23によって、運転者が道路標識等を注視した時間の長さ又は運転者が当該道路標識等に該当するガイド情報を注視した時間の長さである注視時間に関するデータが取得される。当該注視時間は、運転者の当該道路標識等に対する関心の度合いの指標となる。例えば、当該注視時間に基づいて、当該運転者の関心の度合いを示す関心度を算出することができる。
【0029】
例えば、運転者が道路標識等についてあまり理解していない場合又は見慣れていない場合に、当該関心度は高くなると考えられる。例えば、当該関心度が高い場合には、運転者は、当該道路標識等に対応するガイド情報、すなわち、当該道路標識等の示す交通規制の内容等を含む情報を必要としている度合いである必要度が高いと考えることができる。一方、関心度が低い場合には、運転者は、当該道路標識等に対応するガイド情報をあまり必要としておらず、必要度が低いと考えることができる。
【0030】
例えば、提示制御部13Aが表示部15にガイド情報を表示させる場合において、運転者の関心度に基づいた態様でガイド情報を提示させる制御を行うことで、ガイド情報の運転者にとっての必要度に応じた提示が可能である。例えば、道路標識等に対する関心度が高い場合には、より大きく目立つ態様で、道路標識等に対応するガイド情報画面を表示する。当該関心度が低い場合には、より目立たない態様で、当該ガイド情報画面を表示する。
【0031】
図2Aは、表示部15の表示画面30に、より目立たない(強調しない)態様でガイド情報が表示されている例を示している。
図2Aにおいて、移動体前方の画像31が表示されている。移動体の前方の画像31には、道路標識31Aが含まれている。そして、当該前方の画像31の下方には、道路標識31Aに対応するガイド情報32が表示されている。ガイド情報32には、道路標識31Aを示す画像32A及び当該道路標識31Aの内容を示す文字32Bが含まれている。なお、当該ガイド情報と併せて、地図情報等のナビゲーション情報の領域33が表示画面30の一部の領域に表示されていても良い。
【0032】
図2Bは、表示部15の表示画面30に、
図2Aよりも目立つ(強調した)態様でガイド情報が表示されている例を示している。
図2Bにおいて、
図2Aと同様に、移動体前方の画像31及びナビゲーション情報の領域33が表示されている。移動体の前方の画像31には、道路標識31Aが含まれている。そして、当該前方の画像31の下方には、道路標識31Aに対応するガイド情報34が表示されている。
【0033】
図2Bにおいて、ガイド情報34には、道路標識31Aを示す画像34A及び当該道路標識31Aの内容を示す文字34Bが含まれている。画像34Aは、
図2A中の画像32Aよりも大きく強調されて表示されている。文字34Bは、
図2A中の文字32Bよりも大きい文字が使用され、より強調された態様で表示されている。また、
図2Aの場合と同様に、ナビゲーション情報の領域33が表示されている。
【0034】
図3Aは、提示制御部13Aが、ガイド情報の提示に関する制御に用いる情報である標識検出データの例を示している。当該標識検出データは、例えば、記憶部11に記憶され、新たに道路標識等が検出される度に、当該道路標識等に対応する情報が追加される。
【0035】
図3Aにおいて、道路標識等が検出された「日時」、当該道路標識等の詳細情報である「道路標識等詳細」及び「種別」が夫々対応付けて記載されている。道路標識等には、速度等の制限を示す数字が記載されているものがある。例えば、最高速度、最低速度、高さ、最大幅、重量、時間等に関する制限を示す数字だけが異なる道路標識等は、同じ種別として取り扱われても良い。また、例えば、表示されている矢印の数又は向きが異なるのみであり、その他においては同様の意味を示す標識についても、同じ種別として取り扱われても良い。
【0036】
図3Aにおいて、「種別」は、数字だけが異なる道路標識等を同じ種別として取り扱ったものである。例えば、
図3Aにおいて、「最高速度60km」、「最高速度80km」及び「最高速度40km」は、いずれも「種別」の欄に「最高速度」が記載されている。
【0037】
また、当該道路標識等の各々が検出された際のドライバーの識別情報である「ドライバー識別情報」及び当該ドライバーの「注視時間(sec)」が記載されている。当該注視時間は、例えば、ガイド情報が画像として提示された場合には、当該画像を注視した時間である。また、例えばガイド情報が提示されなかった場合には、移動体の前方に存在する道路標識等を注視した時間であっても良い。
【0038】
すなわち、
図3Aにおいて、周辺撮影部21が取得した画像から検出された道路標識等、これに対応するドライバーの注視時間、及びドライバーの識別情報が夫々対応付けられて蓄積されている。
【0039】
図3Bは、標識検出データに基づいて、所定期間におけるドライバーAの注視時間の平均値を道路標識等の種別毎に算出し、当該算出結果に基づいて、関心度を付与した例を示している。
図3Bにおいて、平均注視時間が0.5sec未満である場合を関心度「低」、平均注視時間が0.5sec以上1sec未満である場合を関心度「中」、平均注視時間が1sec以上である場合を関心度「高」として関心度が付与された例が示されている。
【0040】
図3Bにおいて、種別「最高速度」の平均注視時間は0.8secであり、関心度「中」が付与されている。また、種別「歩行者専用」の平均注視時間は0.4secであり、関心度「低」が付与され、種別「高さ制限」の平均注視時間は1.2secであり、関心度「高」が付与されている。
【0041】
図3Cは、提示制御部13Aが
図3Bの関心度に基づいた態様でガイド情報の提示を制御する際の、関心度に応じた提示態様の判断基準の例を示している。
図3Cの判断基準によれば、関心度が「低」である場合には、ガイド情報を提示させない。また、関心度が「中」である場合には、
図2Aに示したような、目立たない、強調しない態様でガイド情報の通常提示制御を行う。関心度が「高」である場合には、
図2Bに示したような、より目立つ、強調する態様でガイド情報の強調提示制御を行う。
【0042】
例えば、ガイド情報が音声出力部16によって報知される場合には、関心度が「高」である場合に、関心度が「中」である場合と比較して、大きい音声又は奇抜な報知音を伴う態様で報知されても良い。また、ガイド情報がHUDによって提示される場合には、関心度が「高」である場合に、関心度が「中」である場合と比較して、透過率を低くする制御が行われても良い。
【0043】
なお、当該関心度は、例えば、関心度の値が第1の所定の値(第1所定値)未満である場合に、提示制御部13Aは、ガイド情報を提示させない。また、関心度が第1所定値以上であって、かつ、第1所定値よりも大きい第2の所定の値(第2所定値)未満である場合には、目立たない提示態様でガイド情報を通常提示させても良い。そして、関心度が第2所定値以上である場合には、より目立つ態様でガイド情報を強調提示させても良い。
【0044】
[提示制御ルーチンRT1]
図4を参照しつつ、情報提示制御装置10において提示制御部13Aによって実行される提示制御ルーチンRT1について説明する。提示制御部13Aは、情報提示制御装置10が搭載されている車両のアクセサリー電源(以下、ACC電源と称する)がオンになると、提示制御ルーチンRT1を開始する。なお、提示制御部13Aは、当該車両のエンジンの始動又は当該車両が走行を開始したことで提示制御ルーチンRT1を開始しても良い。
【0045】
提示制御部13Aは、提示制御ルーチンRT1を開始すると、搭乗者の認証を実行する(ステップS11)。提示制御部13Aは、ステップS11において、当該車両を運転している運転者が携帯する端末に固有の識別番号をドライバー識別情報取得部25から取得し、これを記憶部11に記憶されている識別情報と照合して当該運転者を認識する。当該ドライバーが初めて当該車両に搭乗した場合等、当該識別番号が記憶部11に記憶されていない場合には、ステップS11において取得された識別番号を記憶部11に記憶させることで新たに登録する。
【0046】
提示制御部13Aは、ステップS11の実行後、周辺撮影部21に、当該車両周辺の撮影を開始させて車両周辺の画像の取得を開始する(ステップS12)。提示制御部13Aは、ステップS12の実行後、道路標識等を検出したか否かを判定する(ステップS13)。提示制御部13Aは、ステップS13において、道路標識等を検出していないと判定する(ステップS13:NO)と、ステップS13を再度実行し、道路標識等を検出したか否かを再度判定する。
【0047】
提示制御部13Aは、ステップS13において、道路標識等を検出したと判定する(ステップS13:YES)と、当該検出された道路標識等に該当するガイド情報を提示すべきか否かを判定する(ステップS14)。提示制御部13Aは、ステップS14において、当該検出された道路標識等と同じ種別の道路標識等に対応する過去の情報(
図3A)が、記憶部11に一定数以上蓄積されているか否かを判定する。ステップS14において、過去に当該同じ種別の道路標識等が検出された際のドライバーの注視時間を含む情報が標識検出情報として一定数以上蓄積されていないと判定されると、ガイド情報を提示すべきであると判定される。
【0048】
また、提示制御部13Aは、ステップS14において、標識検出データが一定数以上蓄積されていると判定した場合に、当該標識検出データから、ドライバーの過去注視時間又は当該注視時間から得られるドライバーが過去に示した過去の関心度を参照する。例えば、ステップS14において、当該参照された関心度が「低」である場合(
図3C)に、ガイド情報を提示すべきでないと判定される。また、例えば、当該関心度が所定の閾値未満である場合(第1所定値未満)に、ガイド情報を提示すべきでないと判定される。
【0049】
提示制御部13Aは、ステップS14において、ガイド情報を提示すべきであると判定する(ステップS14:YES)と、ガイド情報を強調提示するか否かを判定する(ステップS15)。例えば、提示制御部13Aは、ステップS15において、ステップS14において参照された関心度が「高」(
図3C)であるか否かを判定する。また、例えば、ステップS14において、標識検出データが一定数以上蓄積されていないと判定されていた場合には、ステップS15において、強調表示すると判定されても良い。
【0050】
提示制御部13Aは、ステップS15において、ガイド情報を強調提示しないと判定する(ステップS15:NO)と、表示部15にガイド情報を通常提示させる(ステップS16)。例えば、ステップS16において、
図2Aに示したような目立たない態様でガイド情報が提示される。
【0051】
提示制御部13Aは、ステップS15において、ガイド情報を強調提示すると判定する(ステップS15:YES)と、表示部15にガイド情報を強調提示させる(ステップS17)。例えば、ステップS17において、
図2Bに示したような強調した態様でガイド情報が提示される。
【0052】
提示制御部13Aは、ステップS16又はステップS17の実行後、ドライバーによるガイド情報の確認が終了したか否かを判定する(ステップS18)。例えば、提示制御部13Aは、ステップS18において、車室内モニタ部23からドライバーの視線の方向に関するデータを取得して、当該確認が終了したか否かを判定する。例えば、提示制御部13Aは、ステップS18において、ドライバーの視線が、ガイド情報画像が表示されている表示部15の表示画面に向けられた後に当該表示画面から外れている場合には、確認が終了したと判定する。
【0053】
また、例えば、提示制御部13Aは、ステップS18において、ドライバーの視線がガイド情報画像に全く向けられていない場合か又は継続して向けられている場合には、当該ガイド情報画像が表示されてから一定の時間を経過したことによって、確認が終了したと判定する。なお、ステップS18において、操作入力部19がガイド情報画像の表示を停止させる操作を受付けた場合に、ガイド情報の確認が終了したと判定されても良い。また、当該操作を受付けるまでの時間に基づいて、関心度が算出されても良い。
【0054】
提示制御部13Aは、ステップS18において、ガイド情報の確認が終了していないと判定する(ステップS18:NO)と、ステップS18を繰り返す。提示制御部13Aは、ステップS18において、ガイド情報の確認が終了したと判定する(ステップS18:YES)と、ガイド情報の提示を終了する(ステップS19)。
【0055】
提示制御部13Aは、ステップS19の実行後か又はステップS14においてガイド情報を提示すべきでないと判定(ステップS14:NO)した場合に、標識検出情報を蓄積する(ステップS20)。例えば、当該標識検出情報には、本提示制御ルーチンRT1において道路標識等が検出された日時、道路標識等の詳細、道路標識等の種別、ドライバーが当該道路標識等又はガイド情報を注視した時間(注視時間)、及びドライバーの識別情報が含まれる。提示制御部13Aは、ステップS20において、当該標識検出情報を記憶部11に記憶させる。
【0056】
提示制御部13Aは、ステップS20の実行後、提示制御ルーチンRT1の最初に戻り、提示制御ルーチンRT1を繰り返す。
【0057】
なお、上述したように、提示制御ルーチンRT1において提示制御部13Aは、ガイド情報の提示態様をドライバーの過去の関心度に基づいて提示させる。しかし、その提示の後、本ルーチンのステップS13において検出された道路標識等に対するドライバーの現在の関心度を道路標識等又はガイド情報の注視時間等によって判定し、当該現在の関心度に基づいた態様に変更してガイド情報を提示させても良い。
【0058】
すなわち、提示制御部13Aは、ドライバーの過去の関心度に基づいた態様を、検出された道路標識等に対するドライバーの現在の関心度に基づいた態様に変更してガイド情報を提示させても良い。
【0059】
例えば、ステップS14において、ガイド情報を提示すべきでないと判定(ステップS14:NO)された場合であっても、ドライバーがステップS13で検出された道路標識等を注視した時間が長く、関心度が高い(例えば、関心度「中(1)」又は「高(2)」)と判断される場合には、例えばステップS16又はステップS17を実行して、ガイド情報を提示しても良い。
【0060】
また、例えば、ステップS15において強調提示をしないと判定されて通常提示がなされた場合(例えば、関心度「中(1)」)であっても、ドライバーが道路標識等又は通常表示されたガイド情報を注視した時間が長く、関心度が高いと判断される場合には、ステップS17を実行して、ガイド情報を強調提示しても良い。
【0061】
以上、詳細に説明したように、実施例1の情報提示制御装置10によれば、移動体の走行中に検出された道路標識等の内容を含むガイド情報について、ドライバーがどの程度必要としているか、すなわち、ガイド情報をドライバーに提示することはドライバーにとってどの程度有益であるか、の指標としてドライバーの道路標識等に対する関心度を採用し、当該関心度に基づいた態様で、ガイド情報をドライバーに提供することができる。従って、ドライバーが道路標識等の各々についてどの程度理解しているか、どの程度見慣れているか、等の状況に合わせて、ドライバーにとって有益な情報を適切な態様で提供することが可能である情報提示制御装置を提供することができる。
なお、当該積算検出数は、他の所定の走行時間当たりの検出数であっても良い。また、例えばドライバーが当該車両を運転して走行した距離である走行距離あたりの検出数、又は当該車両にドライバーが初めて搭乗して以来の検出数の合計であっても良い。このように、提示制御部13Bは、ドライバー毎の、道路標識等の種別毎の検出数を集計する。
なお、遭遇頻度は、道路標識等の種別毎の上述したような走行時間当たりの検出数、走行距離当たりの検出数、又は車両にドライバーが初めて搭乗して以来の検出数の合計として算出されても良い。また、遭遇頻度は、道路標識等が検出された総数である検出総数に対する種別毎の検出数の割合として算出されても良い。さらに、これらの算出方法を組み合わせて遭遇頻度が算出されても良い。
また、検出される道路標識等の種別及び遭遇頻度は、ドライバーが当該車両に搭乗して走行する経路に依存して異なる。例えば、遭遇頻度が低い場合には、ドライバーにとって当該遭遇頻度の低い道路標識等に対して馴染みが無い、見慣れていない、又は理解度が低い傾向があると考えられる。一方、遭遇頻度が高い場合には、ドライバーにとって当該遭遇頻度の高い道路標識等に対して馴染みがあり、見慣れており、又は理解度が高い傾向があると考えられる。
従って、遭遇頻度が低い場合には、運転者は、当該道路標識等に対応するガイド情報、すなわち、当該道路標識等の示す交通規制の内容等を含む情報を必要としている度合いである必要度が高いと考えることができる。一方、遭遇頻度が高い場合には、運転者は、当該道路標識等に対応するガイド情報をあまり必要としておらず、必要度が低いと考えることができる。
このように、提示制御部13Bが表示部15にガイド情報を表示させる場合において、運転者の遭遇頻度に基づいた態様でガイド情報を提示させる制御を行うことで、ガイド情報の運転者にとっての必要度に応じた提示が可能である。
なお、提示制御部13Bは、ガイド情報を音声出力部16によって報知させる場合には、遭遇頻度が「1(低)」である場合に、遭遇頻度が「2(中)」である場合と比較して、大きい音声又は奇抜な報知音を伴う態様で報知させても良い。また、提示制御部13Bは、ガイド情報をHUDによって提示させる場合には、遭遇頻度が「1(低)」である場合に、遭遇頻度が「2(中)」である場合と比較して、透過率を低くしてガイド情報がより認識され易くする制御が行われても良い。
すなわち、提示制御部13Bが、遭遇頻度の値が第1の所定の値(第1所定値)以上である場合にガイド情報を提示させるべきではないと判定し、遭遇頻度が第1所定値未満であって、かつ、第1所定値よりも小さい第2の所定の値(第2所定値)以上である場合には、目立たない提示態様でガイド情報を通常提示させ、遭遇頻度が第2所定値未満である場合には、より目立つ態様でガイド情報を強調提示させる制御が、提示態様の制御の一例として挙げられる。
また、上記において、第1所定値及び第2所定値の2つの所定値を閾値として遭遇頻度を3段階に分けて算出する例について説明したが、この限りではなく、当該所定値を1つ又は3つ以上としても良い。すなわち、遭遇頻度に応じてガイド情報の提示を決定するための判断基準が定められていれば良い。
例えば、「1(低)」「2(中)」「3(高)」に加えて、「3(高)」よりもさらに高い遭遇頻度として第1所定値よりも大きい第3所定値以上の「4(極高)」を定義しても良い。そして、遭遇頻度が「3(高)」である場合には馴染みがあるとしてガイド情報の提示を行わないところ、遭遇頻度が非常に高い「4(極高)」である場合には、重要な道路標識等であるとして、ガイド情報の提示が行われることとしても良い。
提示制御部13Bは、提示制御ルーチンRT2を開始すると、搭乗者の認証を実行する(ステップS31)。提示制御部13Bは、ステップS31において、搭乗者の識別情報をドライバー識別情報取得部25から取得して認証を行う。
例えば、提示制御部13Bは、ステップS31において、当該車両を運転している運転者が携帯する端末に固有の識別番号をドライバー識別情報取得部25から取得し、これを記憶部11に記憶されている識別情報と照合して当該運転者を認識する。当該ドライバーが初めて当該車両に搭乗した場合等、当該識別番号が記憶部11に記憶されていない場合には、ステップS31において取得された識別番号を記憶部11に記憶させることで新たに登録する。
提示制御部13Bは、ステップS31の実行後、周辺撮影部21に、当該車両周辺の撮影を開始させて車両周辺の画像の取得を開始する(ステップS32)。提示制御部13Bは、ステップS32の実行後、道路標識等を検出したか否かを判定する(ステップS33)。提示制御部13Bは、ステップS33において、道路標識等を検出していないと判定する(ステップS33:NO)と、ステップS33を再度実行し、道路標識等を検出したか否かを再度判定する。
また、提示制御部13Bは、ステップS34において、当該検出数を含む情報が一定数以上蓄積されていると判定した場合に、当該ドライバーが過去に当該同じ種別の道路標識等に遭遇した遭遇頻度を算出する。そして、当該遭遇頻度に基づいて、ガイド情報を提示すべきか否かを判定する。
提示制御部13Bは、ステップS36又はステップS37の実行後、表示部15によるガイド情報の提示を終了させる(ステップS38)。なお、提示制御部13Bは、ステップS38において、操作入力部19がガイド情報画像の表示を停止させる操作を受け付けた場合に、当該所定の時間が経過していなくても、ガイド情報の提示を終了させても良い。また、当該操作を受け付けたという履歴が、標識検出情報に、合わせて記載されて記憶されても良い。
提示制御部13Bは、ステップS38の実行後か又はステップS34においてガイド情報を提示すべきでないと判定(ステップS34:NO)した場合に、標識検出情報を蓄積する(ステップS39)。例えば、当該標識検出情報には、本提示制御ルーチンRT2において道路標識等が検出された日時、道路標識等の詳細、道路標識等の種別、積算検出数、及びドライバーの識別情報が含まれる。例えば、提示制御部13Bは、ステップS39において、当該標識検出情報を記憶部11に記憶させる。
提示制御部13Bは、ステップS39の実行後、当該車両のエンジンがONになっているか否かを判定する(ステップS40)。提示制御部13Bは、ステップS40において、エンジンがONになっていると判定する(ステップS40:YES)と、ステップS33に戻り、道路標識等を検出したか否かを再び判定する。
なお、本実施例の情報提示制御装置40は、実施例1の場合と同様に車室内モニタ部23を有していても良く、運転者の視線の動き等のデータの取得、及び車室内を撮影したカメラの画像からドライバーを特定することが可能であっても良い。
以上、詳細に説明したように、本実施例の情報提示制御装置40によれば、移動体の走行中に検出した道路標識等の検出数を集計して遭遇頻度を算出し、移動体の走行中に検出された道路標識等の内容を含むガイド情報について、ドライバーがどの程度必要としているか、すなわち、ガイド情報をドライバーに提示することはドライバーにとってどの程度有益であるかを示す指標として当該遭遇頻度を使用することができる。そして、当該遭遇頻度に基づいた態様で、ガイド情報をドライバーに提供することができる。従って、ドライバーが道路標識等の各々についてどの程度遭遇した経験があるか、という状況に合わせて、ドライバーにとって有益な情報を適切な態様で提供することが可能である情報提示制御装置を提供することができる。