(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023155375
(43)【公開日】2023-10-20
(54)【発明の名称】通信機器
(51)【国際特許分類】
H04W 76/10 20180101AFI20231013BHJP
H04W 84/10 20090101ALI20231013BHJP
H04W 84/12 20090101ALI20231013BHJP
H04W 88/06 20090101ALI20231013BHJP
【FI】
H04W76/10
H04W84/10 110
H04W84/12
H04W88/06
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023139205
(22)【出願日】2023-08-29
(62)【分割の表示】P 2022092944の分割
【原出願日】2013-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 隆延
(72)【発明者】
【氏名】友松 義継
(72)【発明者】
【氏名】大河内 肇
(57)【要約】
【課題】 第1及び第2の通信機器が対象データの無線通信を適切に実行し得る技術を開示すること。
【解決手段】 プリンタ10は、NFC規格のICタグとして機能するICタグI/F22と、無線LANI/F20と、制御部30と、を備える。ICタグI/F22は、プリンタ10及び携帯端末50の間に確立されるNFC接続を利用して、SSID「X1」を携帯端末50に送信する。制御部30は、プリンタ10及び携帯端末50の両方が所属しているWFDネットワークを利用して、無線LANI/F20を介して、携帯端末50から印刷データを受信する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の通信機器であって、
IC(Integrated Circuit)タグとして機能する第1種のインターフェースと、
第2種のインターフェースと、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記第1の通信機器及び第2の通信機器の間に確立される第1の無線接続を利用した送信動作を、前記第1種のインターフェースに実行させるインターフェース制御部であって、前記送信動作は、前記第1種のインターフェースが、前記第1及び第2の通信機器の両方が所属すべき第1の無線ネットワークで利用されるネットワーク識別情報を、前記第2の通信機器に送信する動作を含む、前記インターフェース制御部と、
前記第1種のインターフェースが前記送信動作を実行した後に、前記第1及び第2の通信機器の両方が所属している前記第1の無線ネットワークを利用して、前記第2種のインターフェースを介して、通信対象の対象データの無線通信を前記第2の通信機器と実行するデータ通信部と、
を備える、第1の通信機器。
【請求項2】
前記第1の通信機器は、さらに、
前記第2の通信機器から、前記第2種のインターフェースを介して、前記ネットワーク識別情報を含む特定の信号を受信する場合に、前記第2種のインターフェースを介して、前記第1及び第2の通信機器の間に第2の無線接続を確立して、前記第1及び第2の通信機器の両方が所属している前記第1の無線ネットワークを形成する形成部を備える、請求項1に記載の第1の通信機器。
【請求項3】
前記第1の通信機器は、無線ネットワークの親局として機能する親局状態と、前記無線ネットワークに所属していない状態である無所属状態と、を含む複数個の状態のうちのいずれかの状態で、選択的に動作し、
前記制御部は、さらに、
前記第1の通信機器の状態が前記無所属状態である間に前記第1の無線接続が確立される第1の場合に、前記第1の通信機器の状態を前記無所属状態から前記親局状態に移行させて、前記第1の通信機器のみが所属している前記第1の無線ネットワークを形成する状態移行部を備え、
前記形成部は、前記第1の通信機器のみが所属している前記第1の無線ネットワークが形成された後に、前記特定の信号を受信する場合に、前記第2の無線接続を確立して、前記第1及び第2の通信機器の両方が所属している前記第1の無線ネットワークを形成する、請求項2に記載の第1の通信機器。
【請求項4】
前記第1種のインターフェースは、前記第1の無線接続が確立される場合に、特定の通知を前記制御部に供給し、
前記インターフェース制御部は、前記第1の場合において、前記第1種のインターフェースから前記特定の通知が取得される場合に、前記ネットワーク識別情報を生成して、前記ネットワーク識別情報を前記第1種のインターフェースに供給する、請求項3に記載の第1の通信機器。
【請求項5】
前記状態移行部は、前記第1の場合に、前記ネットワーク識別情報が生成された後に、前記第1の通信機器の状態を前記無所属状態から前記親局状態に移行させる、請求項4に記載の第1の通信機器。
【請求項6】
前記インターフェース制御部は、前記第1の通信機器が前記親局として機能する第2の
無線ネットワークが消滅する際に、前記第2の無線ネットワークの後に形成されるべき前記第1の無線ネットワークで利用される前記ネットワーク識別情報を生成して、前記ネットワーク識別情報を前記第1種のインターフェースに供給する、請求項3に記載の第1の通信機器。
【請求項7】
前記第1種のインターフェースは、前記第1の無線接続が確立される場合に、特定の通知を前記制御部に供給し、
前記状態移行部は、前記第1の場合において、前記第1種のインターフェースから前記特定の通知が取得される場合に、前記第1の通信機器の状態を前記無所属状態から前記親局状態に移行させる、請求項6に記載の第1の通信機器。
【請求項8】
前記第1種のインターフェースは、前記第1の無線接続が確立される場合に、特定の通知を前記制御部に供給し、
前記インターフェース制御部は、前記第1種のインターフェースから前記特定の通知が取得される場合に、前記ネットワーク識別情報を前記第1種のインターフェースに供給する、請求項1から5のいずれか一項に記載の第1の通信機器。
【請求項9】
前記インターフェース制御部は、さらに、前記第1種のインターフェースの動作モードが第1のモードである状態で、前記第1の無線接続が確立されるように、前記第1種のインターフェースの前記動作モードを制御し、
前記第1のモードは、
前記第1種のインターフェースが、前記第1の通信機器の外部から読み出しコマンドを受信する場合に、前記読み出しコマンドに応じて、前記第1の通信機器の外部に情報を送信する動作を実行するモードであり、かつ、
前記第1種のインターフェースが、前記第1の通信機器の外部から書き込みコマンドを受信しても、前記書き込みコマンドに応じた動作を実行しないモードである、請求項1から8のいずれか一項に記載の第1の通信機器。
【請求項10】
前記第1種のインターフェースは、NFC(Near Field Communication)規格の前記ICタグとして機能し、
前記インターフェース制御部は、前記NFC規格の前記第1の無線接続を利用した前記送信動作を、前記第1種のインターフェースに実行させる、請求項1から9のいずれか一項に記載の第1の通信機器。
【請求項11】
前記第2種のインターフェースは、前記NFC規格とは異なる特定の規格に従って、無線通信を実行するためのインターフェースであり、
前記インターフェース制御部は、前記第2の通信機器が、前記特定の規格に従って前記対象データの無線通信を実行するためのアプリケーションを備える場合でも、前記アプリケーションを備えない場合でも、前記第1の無線接続が確立される場合に、前記第1種のインターフェースに前記送信動作を実行させ、
前記データ通信部は、
前記第2の通信機器が前記アプリケーションを備える場合に、前記対象データの無線通信を前記第2の通信機器と実行し、
前記第2の通信機器が前記アプリケーションを備えない場合に、前記対象データの無線通信を前記第2の通信機器と実行しない、請求項10に記載の第1の通信機器。
【請求項12】
前記制御部は、さらに、
前記第1の通信機器の状態が前記親局状態である間に前記第1の無線接続が確立される第2の場合であって、前記第1の通信機器が親局として機能する前記第1の無線ネットワークが存在する前記第2の場合に、前記第1の無線ネットワークに所属している子局状態
の機器である子局機器の数が、予め決められている上限値に一致するのか否かを判断する判断部を備え、
前記第2の場合において、前記子局機器の数が前記上限値に一致しないと判断される場合に、
前記インターフェース制御部は、前記第1種のインターフェースに前記送信動作を実行させ、
前記データ通信部は、前記第1の無線ネットワークを利用して、前記第2種のインターフェースを介して、前記対象データの無線通信を前記第2の通信機器と実行し、
前記第2の場合において、前記子局機器の数が前記上限値に一致すると判断される場合に、
前記インターフェース制御部は、前記第1種のインターフェースに前記送信動作を実行させず、
前記データ通信部は、前記第1の無線接続を利用して、前記第1種のインターフェースを介して、前記対象データの無線通信を前記第2の通信機器と実行する、請求項3から5のいずれか一項に記載の第1の通信機器。
【請求項13】
前記複数個の状態は、さらに、前記第1の通信機器が前記無線ネットワークの子局として機能する子局状態を含み、
前記第1の通信機器の状態が前記子局状態である間に前記第1の無線接続が確立される第3の場合に、
前記インターフェース制御部は、前記第1種のインターフェースに前記送信動作を実行させず、
前記データ通信部は、前記第1の無線接続を利用して、前記第1種のインターフェースを介して、前記対象データの無線通信を前記第2の通信機器と実行する、請求項3から5及び12のいずれか一項に記載の第1の通信機器。
【請求項14】
前記インターフェース制御部は、さらに、前記第1種のインターフェースの動作モードが第1のモードである状態で、前記第1の無線接続が確立されるように、前記第1種のインターフェースの前記動作モードを制御し、
前記第1のモードは、
前記第1種のインターフェースが、前記第1の通信機器の外部から読み出しコマンドを受信する場合に、前記読み出しコマンドに応じて、前記第1の通信機器の外部に情報を送信する動作を実行するモードであり、かつ、
前記第1種のインターフェースが、前記第1の通信機器の外部から書き込みコマンドを受信しても、前記書き込みコマンドに応じた動作を実行しないモードであり、
前記インターフェース制御部は、さらに、前記第1種のインターフェースに前記送信動作を実行させない場合に、前記第1種のインターフェースの前記動作モードを前記第1のモードから第2のモードに変更し、
前記第2のモードは、前記第1の通信機器の外部から前記書き込みコマンドを受信する場合に、前記書き込みコマンドに応じて、前記第1の通信機器の外部から情報を受信して、前記情報を前記制御部に供給するモードであり、
前記データ通信部は、前記第1種のインターフェースの前記動作モードが前記第2のモードである状態で、前記第1の無線接続を利用して、前記第1種のインターフェースを介して、前記第2の通信機器から前記対象データを受信する、請求項12又は13に記載の第1の通信機器。
【請求項15】
前記第2種のインターフェースを介した無線通信の通信速度は、前記第1種のインターフェースを介した無線通信の通信速度よりも速い、請求項1から14のいずれか一項に記載の第1の通信機器。
【請求項16】
前記データ通信部は、前記第1の無線ネットワークを利用して、前記第2種のインターフェースを介して、前記第2の通信機器から前記対象データを受信し、
前記第1の通信機器は、さらに、
受信済みの前記対象データによって表わされる画像の印刷を実行する印刷機構を備える、請求項1から15のいずれか一項に記載の第1の通信機器。
【請求項17】
第1の通信機器のためのコンピュータプログラムであって、
前記第1の通信機器は、
ICタグとして機能する第1種のインターフェースと、
第2種のインターフェースと、を備え、
前記コンピュータプログラムは、前記第1の通信機器に搭載されるコンピュータに、以下の各処理、即ち、
前記第1の通信機器及び第2の通信機器の間に確立される第1の無線接続を利用した送信動作を、前記第1種のインターフェースに実行させるインターフェース制御処理であって、前記送信動作は、前記第1種のインターフェースが、前記第1及び第2の通信機器の両方が所属すべき第1の無線ネットワークで利用されるネットワーク識別情報を、前記第2の通信機器に送信する動作を含む、前記インターフェース制御処理と、
前記第1種のインターフェースが前記送信動作を実行した後に、前記第1及び第2の通信機器の両方が所属している前記第1の無線ネットワークを利用して、前記第2種のインターフェースを介して、通信対象の対象データの無線通信を前記第2の通信機器と実行するデータ通信処理と、
を実行させるコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書では、対象データの無線通信を実行する通信機器を開示する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、美術館等に設置されるゲートと、携帯通信端末と、アクセスポイントと、コンテンツサーバと、を備えるシステムが開示されている。ゲートは、リーダライタを備えており、携帯通信端末の非接触型ICチップと通信を実行して、アクセスポイントのSSIDと、コンテンツサーバのURLと、を携帯通信端末に送信する。携帯通信端末は、アクセスポイントと通信を確立して、コンテンツサーバのURLにアクセスする。これにより、携帯通信端末は、アクセスポイントを介して、コンテンツサーバからコンテンツデータを取得することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本明細書では、第1及び第2の通信機器が対象データの無線通信を適切に実行し得る技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書によって開示される第1の通信機器は、IC(Integrated Circuit)タグとして機能する第1種のインターフェースと、第2種のインターフェースと、制御部と、を備える。制御部は、インターフェース制御部と、データ通信部と、を備える。インターフェース制御部は、第1の通信機器及び第2の通信機器の間に確立される第1の無線接続を利用した送信動作を、第1種のインターフェースに実行させる。送信動作は、第1種のインターフェースが、第1及び第2の通信機器の両方が所属すべき第1の無線ネットワークで利用されるネットワーク識別情報を、第2の通信機器に送信する動作を含む。データ通信部は、第1種のインターフェースが送信動作を実行した後に、第1及び第2の通信機器の両方が所属している第1の無線ネットワークを利用して、第2種のインターフェースを介して、通信対象の対象データの無線通信を第2の通信機器と実行する。
【0006】
上記の構成によると、ICタグとして機能する第1種のインターフェースは、第1の無線接続を利用して、第1及び第2の通信機器の両方が所属すべき第1の無線ネットワークで利用されるネットワーク識別情報を第2の通信機器に送信する。このように、ネットワーク識別情報が第2の通信機器に送信されるので、第1の通信機器は、第1及び第2の通信機器の両方が所属している第1の無線ネットワークを利用して、第2種のインターフェースを介して、対象データの無線通信を第2の通信機器と適切に実行し得る。特に、第1種のインターフェースがICタグとして機能するインターフェースであるので、第1の通信機器は、比較的に簡易な構成を利用して、第2の通信機器と対象データの無線通信を実行し得る。
【0007】
第1の通信機器は、さらに、第2の通信機器から、第2種のインターフェースを介して、ネットワーク識別情報を含む特定の信号を受信する場合に、第2種のインターフェースを介して、第1及び第2の通信機器の間に第2の無線接続を確立して、第1及び第2の通信機器の両方が所属している第1の無線ネットワークを形成する形成部を備えていてもよ
い。この構成によると、第1の通信機器は、ネットワーク識別情報を第2の通信機器に送信した結果として、第2の通信機器から当該ネットワーク識別情報を含む特定の信号を受信する場合に、第1及び第2の通信機器の両方が所属している第1の無線ネットワークを適切に形成することができる。このために、第1の通信機器は、第1及び第2の通信機器の両方が所属している第1の無線ネットワークを利用して、対象データの無線通信を第2の通信機器と適切に実行することができる。
【0008】
第1の通信機器は、無線ネットワークの親局として機能する親局状態と、無線ネットワークに所属していない状態である無所属状態と、を含む複数個の状態のうちのいずれかの状態で、選択的に動作してもよい。制御部は、さらに、第1の通信機器の状態が無所属状態である間に第1の無線接続が確立される第1の場合に、第1の通信機器の状態を無所属状態から親局状態に移行させて、第1の通信機器のみが所属している第1の無線ネットワークを形成する状態移行部を備えていてもよい。形成部は、第1の通信機器のみが所属している第1の無線ネットワークが形成された後に、特定の信号を受信する場合に、第2の無線接続を確立して、第1及び第2の通信機器の両方が所属している第1の無線ネットワークを形成してもよい。この構成によると、第1の通信機器は、第1の通信機器の状態が無所属状態である間に第1の無線接続が確立される第1の場合に、第1の通信機器のみが所属している第1の無線ネットワークを形成し、その後、第1及び第2の通信機器の両方が所属している第1の無線ネットワークを形成する。第1の通信機器は、第1及び第2の通信機器の両方が所属している第1の無線ネットワークを適切に形成することができる。
【0009】
第1種のインターフェースは、第1の無線接続が確立される場合に、特定の通知を制御部に供給してもよい。インターフェース制御部は、第1の場合において、第1種のインターフェースから特定の通知が取得される場合に、ネットワーク識別情報を生成して、ネットワーク識別情報を第1種のインターフェースに供給してもよい。この構成によると、第1の無線接続が確立される場合に、第1種のインターフェースから制御部に特定の通知が供給されるので、制御部は、第1の無線接続が確立されたことを知ることができる。その結果、ネットワーク識別情報の生成、及び、第1種のインターフェースへのネットワーク識別情報の供給、が実行される。このために、第1種のインターフェースは、第1の無線接続が確立される場合に、ネットワーク識別情報を第2の通信機器に適切に送信することができる。
【0010】
状態移行部は、第1の場合に、ネットワーク識別情報が生成された後に、第1の通信機器の状態を無所属状態から親局状態に移行させてもよい。
【0011】
インターフェース制御部は、第1の通信機器が親局として機能する第2の無線ネットワークが消滅する際に、第2の無線ネットワークの後に形成されるべき第1の無線ネットワークで利用されるネットワーク識別情報を生成して、ネットワーク識別情報を第1種のインターフェースに供給してもよい。この構成によると、第2の無線ネットワークが消滅する際に、ネットワーク識別情報の生成、及び、第1種のインターフェースへのネットワーク識別情報の供給、が実行される。このために、第1種のインターフェースは、第1の無線接続が確立される場合に、ネットワーク識別情報を第2の通信機器に適切に送信することができる。
【0012】
第1種のインターフェースは、第1の無線接続が確立される場合に、特定の通知を制御部に供給してもよい。状態移行部は、第1の場合において、第1種のインターフェースから特定の通知が取得される場合に、第1の通信機器の状態を無所属状態から親局状態に移行させてもよい。この構成によると、第1の無線接続が確立される場合に、第1種のインターフェースから制御部に特定の通知が供給されるので、制御部は、第1の無線接続が確立されたことを知ることができる。その結果、無所属状態から親局状態への移行が実行さ
れる。
【0013】
第1種のインターフェースは、第1の無線接続が確立される場合に、特定の通知を制御部に供給してもよい。インターフェース制御部は、第1種のインターフェースから特定の通知が取得される場合に、ネットワーク識別情報を第1種のインターフェースに供給してもよい。この構成によると、第1種のインターフェースから制御部に特定の通知が供給されるので、制御部は、第1の無線接続が確立されたことを知ることができる。従って、
インターフェース制御部は、適切なタイミングで、ネットワーク識別情報を第1種のインターフェースに供給することができる。
【0014】
インターフェース制御部は、さらに、第1種のインターフェースの動作モードが第1のモードである状態で、第1の無線接続が確立されるように、第1種のインターフェースの動作モードを制御してもよい。第1のモードは、第1種のインターフェースが、第1の通信機器の外部から読み出しコマンドを受信する場合に、読み出しコマンドに応じて、第1の通信機器の外部に情報を送信する動作を実行するモードであり、かつ、第1種のインターフェースが、第1の通信機器の外部から書き込みコマンドを受信しても、書き込みコマンドに応じた動作を実行しないモードであってもよい。この構成によると、不要な情報が第1の通信機器に書き込まれることを抑制し得る。
【0015】
第1種のインターフェースは、NFC(Near Field Communication)規格のICタグとして機能してもよい。インターフェース制御部は、NFC規格の第1の無線接続を利用した送信動作を、第1種のインターフェースに実行させてもよい。この構成によると、第1種のインターフェースが、NFC規格のICタグとして機能するインターフェースであるので、第1の通信機器は、比較的に簡易な構成を利用して、第2の通信機器と対象データの無線通信を実行し得る。
【0016】
第2種のインターフェースは、NFC規格とは異なる特定の規格に従って、無線通信を実行するためのインターフェースであってもよい。インターフェース制御部は、第2の通信機器が、特定の規格に従って対象データの無線通信を実行するためのアプリケーションを備える場合でも、アプリケーションを備えない場合でも、第1の無線接続が確立される場合に、第1種のインターフェースに送信動作を実行させてもよい。データ通信部は、第2の通信機器がアプリケーションを備える場合に、対象データの無線通信を第2の通信機器と実行し、第2の通信機器がアプリケーションを備えない場合に、対象データの無線通信を第2の通信機器と実行しなくてもよい。この構成によると、第1種のインターフェースは、第2の通信機器がアプリケーションを備えるのか否かに関わらず、ネットワーク識別情報を第2の通信機器に送信する。ただし、第1の通信機器は、第2の通信機器がアプリケーションを備えるのか否かに応じて、対象データの無線通信を第2の通信機器と実行するのか否かを適切に変えることができる。
【0017】
制御部は、さらに、第1の通信機器の状態が親局状態である間に第1の無線接続が確立される第2の場合であって、第1の通信機器が親局として機能する第1の無線ネットワークが存在する第2の場合に、第1の無線ネットワークに所属している子局状態の機器である子局機器の数が、予め決められている上限値に一致するのか否かを判断する判断部を備えていてもよい。第2の場合において、子局機器の数が上限値に一致しないと判断される場合に、インターフェース制御部は、第1種のインターフェースに送信動作を実行させ、データ通信部は、第1の無線ネットワークを利用して、第2種のインターフェースを介して、対象データの無線通信を第2の通信機器と実行してもよい。第2の場合において、子局機器の数が上限値に一致すると判断される場合に、インターフェース制御部は、第1種のインターフェースに送信動作を実行させず、データ通信部は、第1の無線接続を利用して、第1種のインターフェースを介して、対象データの無線通信を第2の通信機器と実行
してもよい。この構成によると、第1の通信機器は、第1の通信機器の状態が親局状態である間に第1の無線接続が確立される第2の場合に、子局機器の数が上限値に一致するのか否かに応じて、第1種又は第2種のインターフェースを介して、対象データの無線通信を第2の通信機器と適切に実行することができる。
【0018】
複数個の状態は、さらに、第1の通信機器が無線ネットワークの子局として機能する子局状態を含んでいてもよい。第1の通信機器の状態が子局状態である間に第1の無線接続が確立される第3の場合に、インターフェース制御部は、第1種のインターフェースに送信動作を実行させず、データ通信部は、第1の無線接続を利用して、第1種のインターフェースを介して、対象データの無線通信を第2の通信機器と実行してもよい。この構成によると、第1の通信機器は、第1の通信機器の状態が子局状態である間に第1の無線接続が確立される第3の場合に、第1種のインターフェースを介して、対象データの無線通信を第2の通信機器と適切に実行することができる。
【0019】
インターフェース制御部は、さらに、第1種のインターフェースの動作モードが第1のモードである状態で、第1の無線接続が確立されるように、第1種のインターフェースの動作モードを制御してもよい。第1のモードは、第1種のインターフェースが、第1の通信機器の外部から読み出しコマンドを受信する場合に、読み出しコマンドに応じて、第1の通信機器の外部に情報を送信する動作を実行するモードであり、かつ、第1種のインターフェースが、第1の通信機器の外部から書き込みコマンドを受信しても、書き込みコマンドに応じた動作を実行しないモードであってもよい。インターフェース制御部は、さらに、第1種のインターフェースに送信動作を実行させない場合に、第1種のインターフェースの動作モードを第1のモードから第2のモードに変更してもよい。第2のモードは、第1の通信機器の外部から書き込みコマンドを受信する場合に、書き込みコマンドに応じて、第1の通信機器の外部から情報を受信して、情報を制御部に供給するモードであってもよい。データ通信部は、第1種のインターフェースの動作モードが第2のモードである状態で、第1の無線接続を利用して、第1種のインターフェースを介して、第2の通信機器から対象データを受信してもよい。この構成によると、不要な情報が第1の通信機器に書き込まれることを抑制し得る。また、第1種のインターフェースが送信動作を実行しない場合に、第1種のインターフェースの動作モードが第1のモードから第2のモードに変更されるので、第1の通信機器は、第1種のインターフェースを介して、第2の通信機器から対象データを適切に受信することができる。
【0020】
第2種のインターフェースを介した無線通信の通信速度は、第1種のインターフェースを介した無線通信の通信速度よりも速くてもよい。この構成によると、第1の通信機器は、第2種のインターフェースを介して、対象データの無線通信を迅速に実行することができる。
【0021】
データ通信部は、第1の無線ネットワークを利用して、第2種のインターフェースを介して、第2の通信機器から対象データを受信してもよい。第1の通信機器は、さらに、受信済みの対象データによって表わされる画像の印刷を実行する印刷機構を備えていてもよい。この構成によると、第1の通信機器は、第2の通信機器から対象データを受信して、画像の印刷を適切に実行することができる。
【0022】
上記の第1及び/又は第2の通信機器を実現するための制御方法、コンピュータプログラム、及び、当該コンピュータプログラムを格納するコンピュータ読取可能記録媒体も、新規で有用である。また、上記の第1及び第2の通信機器を備える通信システムも、新規で有用である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図2】第1実施例のプリンタのCPUの処理のフローチャートを示す。
【
図3】第1実施例のプリンタ及び携帯端末の動作を表わすシーケンス図を示す。
【
図4】第2実施例のプリンタのCPUの処理のフローチャートを示す。
【
図5】第2実施例のプリンタ及び携帯端末の動作を表わすシーケンス図を示す。
【
図7】第3実施例のプリンタのCPUの処理のフローチャートを示す。
【
図8】第3実施例のプリンタ及び携帯端末の動作を表わすシーケンス図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(第1実施例)
(通信システム2の構成)
図1に示されるように、通信システム2は、プリンタ10と、携帯端末50と、を備える。
図1では、PC(Personal Computerの略)110が示されているが、PC110は
、後述の第3実施例で利用される。
【0025】
(プリンタ10の構成)
プリンタ10は、印刷機能を実行可能な周辺機器(即ちPC110等の周辺機器)である。プリンタ10は、操作パネル12と、表示機構14と、印刷機構16と、無線LAN(LocalArea Networkの略)インターフェース20と、IC(Integrated Circuitの略)
タグインターフェース22と、制御部30と、を備える。各部12~30は、バス線(符号省略)に接続されている。以下では、インターフェースのことを「I/F」と記載する。
【0026】
操作パネル12は、複数のキーを備える。ユーザは、操作パネル12を操作することによって、様々な指示をプリンタ10に与えることができる。表示機構14は、様々な情報を表示するためのディスプレイである。印刷機構16は、インクジェット方式、レーザ方式等の印刷機構である。
【0027】
無線LANI/F20は、WFD(Wi-Fi Directの略)方式に従った無線通信(以下では「WFD通信」と呼ぶ)を実行するためのI/Fである。WFD方式は、Wi-Fi Allianceによって作成された規格書「Wi-Fi Peer-to-Peer(P2P) Technical Specification Version1.1」に記述されている無線通信方式である。WFD方式は、例えば、IEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers, Inc.の略)の802.11の規格、及び
、それに準ずる規格(例えば、802.11a,11b,11g,11n等)に従って、無線通信を実行するための無線通信方式である。
【0028】
以下では、WFD方式に従ったWFD通信を実行可能な機器(例えばプリンタ10)のことを、「WFD対応機器」と呼ぶ。上記のWFDの規格書では、WFD対応機器の状態として、Group Owner状態(以下では「G/O状態」と呼ぶ)、クライアント状態(以下では「CL状態」と呼ぶ)、及び、デバイス状態の3つの状態が定義されている。WFD対応機器は、通常、上記の3つの状態のうちの1つの状態で選択的に動作可能である。
【0029】
デバイス状態の一対のWFD対応機器が無線ネットワークを新たに形成すべき際に、当該一対のWFD対応機器は、通常、G/Oネゴシエーションと呼ばれる無線通信を実行する。G/Oネゴシエーションでは、当該一対のWFD対応機器のうちの一方は、G/O状態(即ちG/O機器)になることを決定し、他方は、CL状態(即ちCL機器)になることを決定する。その後、当該一対のWFD対応機器は、接続を確立して、無線ネットワー
ク(即ちWFDネットワーク)を形成する。なお、後述の
図3等では、WFDネットワークのことを「WFDNW」と記載する。
【0030】
G/OネゴシエーションによってWFDネットワークが新たに形成された段階では、1個のG/O機器及び1個のCL機器のみがWFDネットワークに所属している。ただし、G/O機器は、他の機器と接続を確立して、当該他の機器をCL機器としてWFDネットワークに新たに参加させることができる。この場合、2個以上のCL機器がWFDネットワークに所属している状態になる。即ち、WFDネットワークでは、1個のG/O機器と1個以上のCL機器とが存在し得る。
【0031】
G/O機器は、1個以上のCL機器を管理する。具体的に言うと、G/O機器は、1個以上のCL機器のMACアドレスを、G/O機器のメモリ内の管理リストに登録する。また、G/O機器は、CL機器がWFDネットワークから離脱すると、CL機器のMACアドレスを管理リストから削除する。なお、G/O機器が管理可能なCL機器の数の上限値(即ち、管理リストの登録可能なCL機器のMACアドレスの数の上限値)は、G/O機器によって予め決められている。一般的に言うと、上記の上限値は、1以上の整数であればよい。
【0032】
G/O機器は、他機器を介さずに、管理リストに登録されているCL機器と対象データの無線通信を実行可能である。対象データは、OSI参照モデルのネットワーク層の情報、及び、ネットワーク層よりも上位層(例えばアプリケーション層)の情報を含むデータであり、例えば、印刷データ、スキャンデータ等を含む。また、G/O機器は、複数個のCL機器の間の対象データの無線通信を中継可能である。換言すると、一対のCL機器は、G/O機器を介して、対象データの無線通信を実行可能である。
【0033】
上述したように、WFDネットワークでは、対象データの送信元のWFD対応機器と、対象データの送信先のWFD対応機器と、の間で、これらのWFD対応機器とは別体に構成されているアクセスポイントを介さずに、対象データの無線通信を実行することができる。即ち、WFD通信、WFD方式は、それぞれ、アクセスポイントを介さない無線通信、アクセスポイントが利用されない無線通信方式であると言える。
【0034】
G/O機器は、対象データの無線通信をデバイス状態のWFD対応機器(即ちデバイス機器)と実行不可能であるが、WFD方式の接続用データの無線通信をデバイス機器と実行可能である。即ち、G/O機器は、WFD方式の接続用データの無線通信をデバイス機器と実行することによって、デバイス機器と接続を確立して、デバイス機器をWFDネットワークに参加させることができる。換言すると、デバイス機器は、WFD方式の接続用データの無線通信をG/O機器と実行することによって、G/O機器と接続を確立して、WFDネットワークに参加することができる。この場合、デバイス機器は、デバイス状態からCL状態に移行する。WFD方式の接続用データは、OSI参照モデルのネットワーク層よりも下位層(例えば、物理層、データリンク層)の情報を含むデータ(即ち、ネットワーク層の情報を含まないデータ)であり、例えば、Probe Request信号、Probe Response信号、Provision Discovery Request信号、Provision Discovery Response信号、Association Request信号、Association Response信号、Authentication Request信号、Authentication Response信号、4-Way Handshake信号等を含む。
【0035】
なお、G/O機器は、WFD方式に従ったWFD通信を実行不可能な機器(以下では「レガシー機器」と呼ぶ)と接続を確立して、レガシー機器をWFDネットワークに参加させることもできる。G/O機器は、レガシー機器と接続を確立する場合に、レガシー機器のMACアドレスを管理リストに記述する。これにより、レガシー機器は、WFDネットワークに参加することができる。レガシー機器は、3つの状態(即ち、G/O状態、CL
状態、デバイス状態)のいずれかの状態で選択的に動作するものではないが、WFDネットワークに所属している間には、CL機器と同様の状態で動作する。
【0036】
プリンタ10は、WFD対応機器であるが、本実施例では、CL状態で動作することができない。また、プリンタ10は、他のWFD対応機器とG/Oネゴシエーションを実行するためのプログラムを搭載していない。即ち、プリンタ10は、G/O状態及びデバイス状態の2つの状態のうちの1つの状態で選択的に動作可能である。
【0037】
ICタグI/F22は、いわゆる近距離無線通信のためのNFC(Near Field Communicationの略)方式に従った無線通信(以下では「NFC通信」と呼ぶ)を実行するためのI/Fである。NFC方式は、例えば、ISO/IEC21481又は18092の国際標準規格に基づく無線通信方式である。NFC通信を実行するためのI/Fの種類として、NFCフォーラムデバイス(NFC Forum Device)と呼ばれるI/Fと、NFCフォーラムタグ(NFC Forum Tag)と呼ばれるI/Fと、が知られている。ICタグI/F22は
、NFCフォーラムタグであり、NFC規格(即ちISO/IEC21481又は18092)のICタグとして機能する。
【0038】
NFCフォーラムデバイスは、P2P(Peer To Peerの略)モード、R/W(Reader/Writerの略)モード、及び、CE(Card Emulationの略)モードのうちのいずれかのモー
ドで、選択的に動作可能なI/Fである。例えば、第1の機器のNFCI/Fと、第2の機器のNFCI/Fと、の両方がP2Pモードで動作する場合には、第1及び第2の機器は、情報の双方向通信を実行することができる。また、例えば、第1の機器のNFCI/FがR/WモードのうちのReaderモードで動作し、かつ、第2の機器のNFCI/FがCEモードで動作する場合には、第1の機器は、第2の機器からの情報の読み出し、即ち、第2の機器からの情報の受信を実行することができる。また、例えば、第1の機器のNFCI/FがR/WモードのうちのWriterモードで動作し、かつ、第2の機器のNFCI/FがCEモードで動作する場合には、第1の機器は、第2の機器への情報の書き込み、即ち、第2の機器への情報の送信を実行することができる。
【0039】
NFCフォーラムタグ(即ちICタグI/F22)は、上記の3つのモードのうちのいずれかのモードで選択的に動作可能なI/Fではなく、ICタグのみとして機能するI/Fである。例えば、携帯端末50のNFCI/FがR/WモードのうちのReaderモードで動作する場合には、携帯端末50は、プリンタ10のICタグI/F22からの情報の読み出し、即ち、プリンタ10からの情報の受信を実行することができる。また、例えば、携帯端末50のNFCI/FがR/WモードのうちのWriterモードで動作する場合には、携帯端末50は、プリンタ10のICタグI/F22への情報の書き込み、即ち、プリンタ10への情報の送信を実行することができる。
【0040】
NFCフォーラムタグ(即ちICタグI/F22)は、上記の3つのモードのうちのいずれかのモードで選択的に動作可能なI/Fではないので、NFCフォーラムデバイスよりも簡易な構成を有する(即ちICチップの構成が単純である)。一般的に言うと、NFCフォーラムタグとして機能するICチップは、NFCフォーラムデバイスとして機能するICチップよりも安価である。
【0041】
なお、ICタグI/F22への電力供給の方法は、いわゆるパッシブ型又はアクティブ型のどちらであってもよい。パッシブ型は、携帯端末50のNFCI/Fから電波を受けて電力を発生させて、ICタグI/F22内のICチップの回路を起動する構成である。パッシブ型のICタグI/Fは、アクティブ型のICタグI/Fと比べて単純な構造を有するので、比較的安価であり、かつ、I/F自身の小型化を実現することができる。ただし、パッシブ型のICタグI/Fは、アクティブ型のICタグI/Fと比べて、短い通信
距離を実現することができるという特徴を有する。一方において、アクティブ型は、ICタグI/F内の電源又はプリンタ10内の電源から電力の供給を受けて、ICタグI/F22内のICチップの回路を起動する構成である。アクティブ型のICタグI/Fは、パッシブ型のICタグI/Fと比べて、高価であり、かつ、長い通信距離を実現することができるという特徴を有する。
【0042】
本実施例では、ICタグI/F22は、制御部30から供給される情報を外部機器(例えば携帯端末50)に送信するために、当該情報を一時的に格納するためのバッファメモリ(図示省略)を備える。ただし、ICタグI/F22は、制御部30から供給される情報を長期間(例えば、制御部30から他の情報が供給されるまでの期間)に亘って格納するためのRAMを備えない。なお、後述の第2実施例では、ICタグI/F22は、RAM24を備える(
図5参照)。
【0043】
ICタグI/F22の動作モードとして、ReadOnlyモード及びWritableモードが存在する。ReadOnlyモードは、ICタグI/F22が外部機器(例えば携帯端末50)からNFC規格の読み出しコマンドを受信する場合に、読み出しコマンドに応じて、外部機器に情報を送信する動作(以下では「読み出し応答動作」と呼ぶ)を実行するモードである。ただし、ReadOnlyモードは、ICタグI/F22が外部機器からNFC規格の書き込みコマンドを受信しても、書き込みコマンドに応じた動作(以下では「書き込み応答動作」と呼ぶ)を実行しないモードである。一方において、Writableモードは、読み出し応答動作及び書き込み応答動作の両方を実行するモードである。
【0044】
上記の書き込み応答動作は、例えば、外部機器から書き込みコマンドと共に情報が受信される場合に、当該情報を制御部30に供給する動作である。ReadOnlyモードでは、書き込み応答動作が実行されないので、外部機器から受信される情報が制御部30に供給されることがなく、この結果、制御部30のICタグ用メモリ36内の情報が、外部機器から受信される情報によって上書きされるのを抑制することができる。また、後述の第2実施例では、ICタグI/F22のRAM24内の情報が、外部機器から受信される情報によって上書きされるのを抑制することができる。
【0045】
ここでは、無線LANI/F20とICタグI/F22との相違点を説明しておく。無線LANI/F20を介した無線通信の通信速度(例えば、最大の通信速度が11~600Mbps)は、ICタグI/F22を介した無線通信の通信速度(例えば、最大の通信速度が100~424Kbps)よりも速い。また、無線LANI/F20を介した無線通信における搬送波の周波数(例えば、2.4GHz帯、5.0GHz帯)は、ICタグI/F22を介した無線通信における搬送波の周波数(例えば、13.56MHz帯)とは異なる。また、例えば、プリンタ10と携帯端末50との距離が約10cm以下である場合に、制御部30は、ICタグI/F22を介して、携帯端末50とNFC通信を実行可能である。一方において、プリンタ10と携帯端末50との距離が、10cm以下である場合でも、10cm以上である場合(例えば最大で約100m)でも、制御部30は、無線LANI/F20を介して、携帯端末50とWFD通信を実行可能である。即ち、プリンタ10が無線LANI/F20を介して通信先の機器(例えば携帯端末50)と無線通信を実行可能な最大の距離は、プリンタ10がICタグI/F22を介して通信先の機器と無線通信を実行可能な最大の距離よりも大きい。
【0046】
制御部30は、CPU32と、メインメモリ34と、ICタグ用メモリ36と、を備える。CPU32は、メインメモリ34に格納されているプログラムに従って、様々な処理を実行する。メインメモリ34は、RAM、ROM等によって構成される。メインメモリ34は、上記のプログラムのみならず、プリンタ10が様々な処理を実行する過程で生成
又は取得される様々なデータを格納する。ICタグ用メモリ36は、ICタグI/F22に供給されるべきデータを格納するためのメモリである。
【0047】
(携帯端末50の構成)
携帯端末50は、携帯電話(例えばスマートフォン)、PDA、ノートPC、タブレットPC、携帯型音楽再生装置、携帯型動画再生装置等の可搬型の端末装置である。携帯端末50は、図示省略の無線LANI/F及びNFCI/Fを備える。
【0048】
携帯端末50は、WFD対応機器であり、G/O状態、CL状態、及び、デバイス状態の3つの状態のうちのいずれかの状態で選択的に動作可能である。従って、携帯端末50は、携帯端末50の無線LANI/Fを介して、WFD通信を実行可能である。
【0049】
なお、変形例では、携帯端末50は、WFD対応機器ではなく、レガシー機器であってもよい。この構成でも、携帯端末50は、G/O機器(例えばプリンタ10)と接続を確立して、WFDネットワークに参加することができる。
【0050】
また、携帯端末50は、携帯端末50のNFCI/Fを介して、NFC通信を実行可能である。なお、携帯端末50のNFCI/Fは、上記のNFCフォーラムデバイスであり、少なくともR/Wモードに従って動作可能である。
【0051】
(プリンタ10のCPU32が実行する処理;
図2、
図3)
続いて、
図2及び
図3を参照して、本実施例のプリンタ10のCPU32が実行する処理について説明する。
図2は、CPU32が実行する処理のフローチャートを示し、
図3は、
図2のフローチャートによって実現される具体例を示す。
【0052】
プリンタ10の電源ON時(即ちプリンタ10の起動時)には、プリンタ10は、いずれの無線ネットワークにも接続されておらず、WFD規格のデバイス状態である。CPU32は、プリンタ10の電源ON時に、プリンタ10の状態を示す値(以下では「WFD状態値」と呼ぶ)として、デバイス状態を示す値をメインメモリ34内に格納する。
【0053】
図3に示されるように、プリンタ10のCPU32(即ち制御部30)は、プリンタ10の電源ON時に、モード設定指示をICタグI/F22に供給して、ICタグI/F22の動作モードをReadOnlyモードに設定する。これにより、制御部30のICタグ用メモリ36内の情報が、外部機器(例えば携帯端末50)から受信される情報によって上書きされるのを抑制することができる。この結果、詳しくは後述するが、プリンタ10は、ICタグ用メモリ36内の情報(後述のWFDWSI)を携帯端末50に適切に供給することができる。
【0054】
ICタグI/F22は、NFC通信を実行可能な機器(例えば携帯端末50)を検出するための検出電波を発信している。携帯端末50のNFCI/Fも、NFC通信を実行可能な機器(例えばプリンタ10)を検出するための検出電波を発信している。ユーザが携帯端末50のNFCI/Fをプリンタ10のICタグI/F22に近づけると、携帯端末50のNFCI/Fとプリンタ10のICタグI/F22との間の距離が、互いに電波が届く距離(例えば10cm)より小さくなる。この場合、プリンタ10のICタグI/F22及び携帯端末50のNFCI/Fの一方は、他方から検出電波を受信して、応答電波を送信する。
【0055】
次いで、プリンタ10のICタグI/F22と携帯端末50のNFCI/Fとの間で、NFC接続(即ちNFC方式の無線接続)を確立するための無線通信が実行される。当該無線通信の過程において、プリンタ10のICタグI/F22は、ICタグI/F22自
身がNFC規格のICタグとして機能すること(即ちNFCフォーラムタグのI/Fであること)を示すタイプ情報を、携帯端末50のNFCI/Fに送信する。この結果、携帯端末50は、通信相手(即ちプリンタ10)がNFCフォーラムタグであることを知ることができる。
【0056】
プリンタ10のICタグI/F22と携帯端末50のNFCI/Fとの間にNFC接続が確立される場合に、携帯端末50は、R/Wモードのうちのどちらのモードで動作すべきかを決定する。携帯端末50がR/Wモードのうちのどちらのモードで動作すべきかについては、携帯端末50に搭載されているプログラム(例えばアプリケーション)によって予め決められている。例えば、プリンタ10に印刷機能を実行させるための印刷アプリケーションが携帯端末50にインストール済みである場合には、携帯端末50は、印刷アプリケーションに従って、R/WモードのうちのReaderモードで動作することを決定する。一方において、印刷アプリケーションが携帯端末50にインストール済みでない場合には、携帯端末50は、印刷アプリケーションとは異なるアプリケーション、又は、携帯端末50のオペレーションシステム(即ちOS)に従って、R/WモードのうちのReaderモードで動作することを決定するかもしれないし、R/WモードのうちのWriterモードで動作することを決定するかもしれない。
【0057】
携帯端末50は、R/WモードのうちのReaderモードで動作することを決定する場合には、読み出しコマンドをプリンタ10のICタグI/F22に送信する。また、携帯端末50は、R/WモードのうちのWriterモードで動作することを決定する場合には、書き込みコマンドをプリンタ10のICタグI/F22に送信する。
【0058】
プリンタ10のICタグI/F22は、携帯端末50から書き込みコマンドを受信しても、書き込み応答動作を実行しない。ICタグI/F22の動作モードがReadOnlyモードに設定されているからである。一方において、プリンタ10のICタグI/F22は、携帯端末50から読み出しコマンドを受信する場合には、読み出し応答動作を実行する。具体的に言うと、ICタグI/F22は、まず、プリンタ10と携帯端末50との間にNFC接続が確立されたことを知らせるための特定の通知を、制御部30に供給する。
【0059】
図2のS10に示されるように、CPU32は、ICタグI/F22から特定の通知を取得することを監視している。CPU32は、ICタグI/F22から特定の通知を取得する場合(S10でYESの場合)には、S12に進む。
【0060】
S12では、CPU32は、プリンタ10及び携帯端末50の両方が所属すべきWFDネットワークで利用される無線設定情報を生成する。なお、以下では、WFDネットワークで利用される無線設定情報のことを「WFDWSI」と呼ぶ。WFDWSIは、SSID(Service Set Identifierの略)、BSSID(Basic Service Set Identifierの略)、認証方式、暗号化方式、及び、パスワードを含む。SSID及びBSSIDは、WFDネットワークを識別するための識別情報である。より具体的に言うと、SSIDは、WFDネットワークのネットワーク識別子であり、BSSIDは、プリンタ10のMACアドレスである。認証方式、暗号化方式、及び、パスワードは、WFDネットワークにおいて、機器の認証、データの暗号化等を実行するための情報である。
図3では、SSIDの具体的な値として、「X1」が示されている。
【0061】
CPU32は、ランダムに文字列を生成することによって、SSID及びパスワードを新たに生成する。ただし、BSSID、認証方式、及び、暗号化方式は、予め決められている情報であり、CPU32によって新たに生成される情報ではない。CPU32は、生成済みのWFDWSIをICタグ用メモリ36内に書き込む。
【0062】
次いで、S14において、CPU32は、ICタグ用メモリ36内のWFDWSIをICタグI/F22に供給する。この結果、ICタグI/F22は、NFC接続(即ち読み出しコマンドの通信に利用されたNFC接続)を利用して、WFDWSIを携帯端末50送信する。ICタグI/F22からWFDWSIが送信されると、NFC接続が切断される。
【0063】
上述したように、ICタグI/F22がReadOnlyモードに設定されているために、仮に、ICタグ用メモリ36内にWFDWSIが格納された後に、携帯端末50から書き込みコマンドが受信されたとしても(例えば、携帯端末50の印刷アプリケーション以外のアプリケーションによって送信される書き込みコマンドが受信されたとしても)、ICタグ用メモリ36内のWFDWSIが、他の情報によって上書きされるのを抑制することができる。このために、プリンタ10は、WFDWSIを携帯端末50に適切に送信することができる。
【0064】
続いて、S16において、CPU32は、プリンタ10の状態をデバイス状態からG/O状態に変更する。S16では、CPU32は、G/Oネゴシエーションを実行せずに自発的に、プリンタ10の状態をG/O状態に移行させる。具体的に言うと、CPU32は、まず、メインメモリ34内のWFD状態値を、デバイス状態を示す値から、G/O状態を示す値に変更する。次いで、CPU32は、CL機器のMACアドレスが記述されるべき管理リストをメインメモリ34内に生成する。S16の段階では、管理リストにはいずれのMACアドレスも記述されていない。即ち、S16の段階では、CPU32は、G/O機器であるプリンタ10のみが所属しているWFDネットワークを形成する。
【0065】
図3のケースAに示されるように、印刷アプリケーションが携帯端末50にインストール済みである場合には、携帯端末50は、プリンタ10からWFDWSIを受信すると、WFDWSIを利用して、G/O機器であるプリンタ10とWFD方式の無線接続(以下では「WFD接続」と呼ぶ)を確立するための処理を実行する。具体的に言うと、携帯端末50は、携帯端末50の無線LANI/Fを介して、WFDWSIに含まれるSSIDを含むProbe Request信号を送信する。一方において、
図3のケースBに示されるように
、印刷アプリケーションが携帯端末50にインストール済みでない場合には、携帯端末50は、Readerモードで動作してプリンタ10からWFDWSIを受信することができるが、Probe Request信号を送信しない。WFDWSIを解釈してProbe Request信号を送信するための印刷アプリケーションがインストールされていないからである。
【0066】
図2のS18では、CPU32は、無線LANI/F20を介して、SSID「X1」を含むProbe Request信号を受信することを監視する。CPU32は、SSID「X1」
を含むProbe Request信号を受信する場合(即ち
図3のケースAの場合)に、S18でY
ESと判断して、S20に進む。一方において、CPU32は、S16でプリンタ10がG/O状態に移行してから、SSID「X1」を含むProbe Request信号を受信しない状
態で、所定期間が経過する場合(即ち
図3のケースBの場合)に、S18でNOと判断して、S20~S24をスキップして(即ち、印刷データの受信処理及び印刷処理を実行せずに)、S26に進む。
【0067】
S20では、CPU32は、携帯端末50とWFD接続を確立するための処理(即ち、プリンタ10がG/O機器であるWFDネットワークに携帯端末50を参加させるための処理)を実行する。具体的に言うと、CPU32は、無線LANI/F20を介して、Probe Response信号、Authentication Request信号、Authentication Response信号等の接
続用データの通信を携帯端末50と実行する。
【0068】
携帯端末50は、上記の接続用データの通信の過程において、WFDWSIに含まれる認証方式、暗号化方式、パスワード等をプリンタ10に送信する。そして、プリンタ10のCPU32は、携帯端末50の認証を実行する。WFDWSIはプリンタ10から携帯端末50に送信されたものであるので、通常、認証が成功する。この結果、プリンタ10の無線LANI/F20と携帯端末50の無線LANI/Fとの間に、WFD接続が確立される。
【0069】
CPU32は、WFD接続が確立される場合に、携帯端末50のMACアドレスを管理リストに記述する。これにより、携帯端末50は、プリンタ10がG/O機器であるWFDネットワークに、CL機器として参加する。即ち、CPU32は、プリンタ10及び携帯端末50の両方が所属しているWFDネットワークを形成する。
【0070】
携帯端末50(即ち印刷アプリケーション)は、WFD接続が確立される場合に、WFDネットワークを利用して、携帯端末50の無線LANI/Fを介して、印刷データをプリンタ10に送信する。携帯端末50がCL機器であり、かつ、プリンタ10がG/O機器であるので、印刷データは、他機器を介さずに、携帯端末50からプリンタ10に直接的に送信される。印刷データは、携帯端末50のユーザによって印刷対象として指定されるデータであり、例えば、画像ファイル、文書ファイル等である。
【0071】
S22では、CPU32は、WFDネットワークを利用して、携帯端末50から、無線LANI/F20を介して、印刷データを受信する。次いで、S24において、CPU32は、印刷データを印刷機構16に供給する。これにより、印刷機構16は、印刷データによって表わされる画像を印刷媒体に印刷する。
【0072】
印刷データは、画像ファイル等であるので、比較的に大きいデータサイズを有する。そして、NFC通信の通信速度は、WFD通信の通信速度よりも遅い。従って、仮に、プリンタ10及び携帯端末50の間で、NFC通信を利用して、印刷データの無線通信が実行される構成を採用すると、印刷データの無線通信のために長時間を要する。これに対し、本実施例では、プリンタ10及び携帯端末50は、WFD通信を利用して、印刷データの無線通信を実行するので、印刷データの無線通信を迅速に実行することができる。
【0073】
S26では、CPU32は、プリンタ10の状態をG/O状態からデバイス状態に変更する。即ち、CPU32は、メインメモリ34内のWFD状態値を、G/O状態を示す値から、デバイス状態を示す値に変更する。次いで、CPU32は、管理リストをメインメモリ34から消去する。これにより、WFDネットワークが消滅する。CPU32は、S26を終えると、S10に戻る。
【0074】
(第1実施例の効果)
本実施例のプリンタ10によると、NFC規格のICタグとして機能するICタグI/F22は、NFC接続を利用して(即ちNFC通信を実行して)、SSID「X1」を含むWFDWSIを携帯端末50に送信する。そして、プリンタ10は、G/O状態に移行して、プリンタ10のみが所属しているWFDネットワークを形成する。プリンタ10は、携帯端末50からSSID「X1」を含むProbe Request信号を受信する場合に、プリ
ンタ10及び携帯端末50の間のWFD接続を確立して、プリンタ10及び携帯端末50の両方が所属しているWFDネットワークを形成する。次いで、プリンタ10は、WFDネットワークを利用して(即ちWFD通信を実行して)、携帯端末50から印刷データを受信する。プリンタ10は、印刷データによって表わされる画像を印刷媒体に印刷する。これにより、印刷済みの印刷媒体を携帯端末50のユーザに提供することができる。
【0075】
上述したように、NFCフォーラムタグ(即ちICタグI/F22)は、NFCフォー
ラムデバイスと比べて、簡易な構成を有する(即ちICチップの構成が単純である)。従って、NFC通信を実行するためのI/Fとして、NFCフォーラムデバイスを利用する場合と比較すると、簡易な構成によって本実施例のプリンタ10を実現可能である。この結果、例えば、比較的に安価にプリンタ10を製造し得る。
【0076】
なお、後述の第2実施例のように、ICタグI/F22がRAMを備えている場合には、
図2のS14において、CPU32が、ICタグI/F22内のRAMにWFDWSIを書き込む必要がある。これに対し、本実施例では、ICタグI/F22がRAMを備えていないので、
図2のS14において、CPU32が、ICタグI/F22内のRAMにWFDWSIを書き込む必要がない。従って、S14の処理を迅速に実行することができ、この結果、プリンタ10から携帯端末50へのWFDWSIの供給を迅速に実行することができる。
【0077】
(対応関係)
プリンタ10、携帯端末50が、「第1の通信機器」、「第2の通信機器」の一例である。ICタグI/F22、無線LANI/F20が、それぞれ、「第1種のインターフェース」、「第2種のインターフェース」の一例である。SSID「X1」を含むWFDWSIを携帯端末50に送信する動作が「送信動作」の一例である。印刷データが「対象データ」の一例である。WFD規格が「特定の規格」の一例である。ReadOnlyモードが「第1のモード」の一例である。NFC接続、WFD接続が、それぞれ、「第1の無線接続」、「第2の無線接続」の一例である。G/O状態、デバイス状態が、それぞれ、「親局状態」、「無所属状態」の一例である。WFDネットワーク、SSID「X1」、Probe Request信号が、それぞれ、「第1の無線ネットワーク」、「ネットワーク識別情
報」、「特定の信号」の一例である。印刷アプリケーションが「アプリケーション」の一例である。
図2のS12及びS14の処理が、「インターフェース制御部」によって実行される処理の一例である。S16の処理、S20の処理、S22の処理が、それぞれ、「状態移行部」、「形成部」、「データ通信部」によって実行される処理の一例である。
【0078】
(第2実施例)
第1実施例とは異なる点を説明する。本実施例では、ICタグI/F22は、制御部30から供給される情報を長期間に亘って格納するためのRAM24を備える。
【0079】
(プリンタ10のCPU32が実行する処理;
図4~
図6)
図4~
図6を参照して、本実施例のプリンタ10のCPU32が実行する処理の内容について説明する。第1実施例とは異なり、プリンタ10のCPU32(即ち制御部30)は、プリンタ10の電源ON時に、WFDWSIを生成して、生成済みのWFDWSIをICタグI/F22に供給する。WFDWSIの生成手法は、
図2のS12と同様である。
図5では、プリンタ10の電源ON時に生成されるWFDWSIに含まれるSSIDの具体的な値として、「X1」が示されている。ICタグI/F22は、WFDWSIをRAM24に格納する。
【0080】
図4の各処理S10~S26は、
図2の各処理S10~S26と同様であるが、各処理の順序が異なる。
図5に示されるように、プリンタ10のICタグI/F22と携帯端末50のNFCI/Fとの間でNFC接続が確立され、その後、NFC接続を利用して読み出しコマンドが通信される様子は、第1実施例と同様である。
【0081】
プリンタ10のICタグI/F22は、携帯端末50から読み出しコマンドを受信する場合に、特定の通知を制御部30に供給する。これにより、CPU32は、
図4のS10でYESと判断して、S16に進む。本実施例では、CPU32は、S10でYESの場合に、WFDWSIの生成(S12)、及び、WFDWSIのICタグI/F22への供
給(S14)、を実行しない。プリンタ10の電源ON時、又は、後述のS14の処理時に、WFDWSIがICタグI/F22に供給されており、WFDWSIがICタグI/F22のRAM24に既に格納されているからである。従って、プリンタ10のICタグI/F22は、携帯端末50から読み出しコマンドを受信する場合に、制御部30からWFDWSIを取得することなく、RAM24内のWFDWSI(即ちSSID「X1」)を携帯端末50に送信する。
【0082】
図4のS16~S26の各処理は、
図2のS16~S26の各処理と同様である。
図4のS16~S26の各処理が実行されると、
図5に示されるように、プリンタ10のみが所属しているWFDネットワークの形成、プリンタ10及び携帯端末50の両方が所属しているWFDネットワークの形成、及び、印刷データの通信が実行され、その後、WFDネットワークが消滅する。
【0083】
図4に示されるように、CPU32は、S26を終えると(即ちWFDネットワークが消滅すると)、WFDWSIの生成(S12)、及び、WFDWSIのICタグI/F22への供給(S14)、を実行する。S12では、CPU32は、ランダムに文字列を生成することによって、SSID及びパスワードを生成する。従って、S12で生成されるSSID及びパスワードは、電源ON時(もしくは過去のS12の実行時)に生成されるSSID及びパスワードとは異なる。
図6では、S12で生成されるSSIDの具体的な値として、「X2」が示されている。ICタグI/F22は、RAM24内のWFDWSI(即ち電源ON時に生成されたWFDWSI)を削除して、新たなWFDWSI(即ちS14で供給されたWFDWSI)をRAM24に格納する。
【0084】
CPU32は、
図5のS14を終えると、S10に戻る。
図6に示されるように、プリンタ10及び携帯端末50の間にNFC接続が再び確立される場合には、ICタグI/F22は、RAM24内のWFDWSI(即ちSSID「X2」)を携帯端末50に送信する。その後の処理は、SSID「X1」の代わりにSSID「X2」が利用される点を除くと、
図5と同様である。
【0085】
(第2実施例の効果)
本実施例でも、第1実施例と同様の効果が得られる。また、本実施例では、ICタグI/F22は、RAM24を備えているので、NFC接続が確立される前に、WFDWSIをRAM24に予め格納しておくことができる。このために、ICタグI/F22は、NFC接続が確立される場合に、制御部30からWFDWSIを取得しなくても、RAM24内のWFDWSIを携帯端末50に迅速に送信することができる。
【0086】
(対応関係)
本実施例では、
図5のWFDネットワーク、
図6のWFDネットワークが、それぞれ、「第2の無線ネットワーク」、「第1の無線ネットワーク」の一例である。また、SSID「X2」が「ネットワーク識別情報」の一例である。
【0087】
(第3実施例)
第1実施例とは異なる点を説明する。本実施例では、ICタグI/F22は、第1実施例と同様に、RAMを備えていない。第1実施例では、プリンタ10は、G/O状態及びデバイス状態の2つの状態のうちのいずれかの状態で選択的に動作する。これに対し、本実施例では、プリンタ10は、G/O状態、CL状態、及び、デバイス状態の3つの状態のうちのいずれかの状態で選択的に動作する。例えば、プリンタ10は、プリンタ10とは異なる機器とG/Oネゴシエーションを実行して、プリンタ10がCL機器になることを決定し得る。
【0088】
(プリンタ10のCPU32が実行する処理;
図7、
図8)
図7及び
図8を参照して、本実施例のプリンタ10のCPU32が実行する処理の内容について説明する。ユーザは、プリンタ10及びPC110が所属しているWFDネットワークが形成されることを望む場合に、プリンタ10の操作パネル12に所定の操作を実行し、PC110に所定の操作を実行する。これにより、プリンタ10のCPU32は、無線LANI/F20を介して、PC110とG/Oネゴシエーションを実行する。
【0089】
G/Oネゴシエーションでは、CPU32は、プリンタ10のG/O優先度を示す情報(より具体的に言うとIntent値)をPC110に送信し、PC110のG/O優先度を示す情報をPC110から受信する。プリンタ10のG/O優先度は、プリンタ10がG/O状態になるべき程度を示す指標であり、プリンタ10において予め決められている。同様に、PC110のG/O優先度は、PC110がG/O状態になるべき程度を示す指標であり、PC110において予め決められている。
【0090】
CPU32は、プリンタ10のG/O優先度とPC110のG/O優先度とを比較して、優先度が高い方の機器がG/O状態になることを決定し、優先度が低い方の機器がCL状態になることを決定する。
図8のケースCでは、プリンタ10がG/O状態になることが決定され、PC110がCL状態になることが決定される。即ち、CPU32は、メインメモリ34内のWFD状態値を、デバイス状態を示す値から、G/O状態を示す値に変更する。さらに、CPU32は、PC110のMACアドレスを含む管理リストを、メインメモリ34内に生成する。また、ケースDでは、プリンタ10がCL状態になることが決定され、PC110がG/O状態になることが決定される。即ち、CPU32は、メインメモリ34内のWFD状態値を、デバイス状態を示す値から、CL状態を示す値に変更する。
【0091】
プリンタ10がG/O機器になる場合(即ちケースC)には、プリンタ10(即ちCPU32)がWFDWSIを生成する。そして、CPU32は、無線LANI/F20を介して、生成済みのWFDWSIをPC110に供給する。この結果、プリンタ10及びPC110の間にWFD接続が確立され、G/O機器であるプリンタ10及びCL機器であるPC110が所属しているWFDネットワークが形成される。
【0092】
一方において、プリンタ10がCL機器になる場合(即ちケースD)には、PC110がWFDWSIを生成する。そして、CPU32は、PC110から、無線LANI/F20を介して、WFDWSIを受信する。この結果、プリンタ10及びPC110の間にWFD接続が確立され、CL機器であるプリンタ10及びG/O機器であるPC110が所属しているWFDネットワークが形成される。
【0093】
上記のケースC又はDのように、プリンタ10及びPC110が所属しているWFDネットワークが形成されると、プリンタ10は、WFDネットワークを利用して、PC110から印刷データを受信して、印刷処理を実行することができる。
【0094】
第1又は第2実施例では、プリンタ10の状態がデバイス状態である間に、プリンタ10及び携帯端末50の間にNFC接続が確立されるが、プリンタ10の状態がG/O状態又はCL状態である間に、NFC接続が確立されない。これに対し、本実施例では、プリンタ10及びPC110が所属しているWFDネットワークが形成され得るので、プリンタ10の状態がG/O状態又はCL状態である間にも、NFC接続が確立され得る。
【0095】
図8に示されるように、プリンタ10のICタグI/F22と携帯端末50のNFCI/Fとの間でNFC接続が確立され、その後、NFC接続を利用して読み出しコマンドが通信される様子は、第1実施例の
図5と同様である。
【0096】
プリンタ10のICタグI/F22は、携帯端末50から読み出しコマンドを受信する場合に、特定の通知を制御部30に供給する。これにより、CPU32は、
図7のS10でYESと判断して、S50に進む。
【0097】
S50では、CPU32は、プリンタ10の現在の状態がデバイス状態であるのか否かを判断する。具体的に言うと、CPU32は、メインメモリ34内のWFD状態値が、デバイス状態を示す値である場合には、S50でYESと判断して、S12に進む。S12~S26の各処理は、
図2のS12~S26の各処理と同様である。
【0098】
一方において、CPU32は、メインメモリ34内のWFD状態値が、G/O状態又はCL状態を示す値である場合には、S50でNOと判断して、S52に進む。S52では、CPU32は、プリンタ10の現在の状態がCL状態であるのか否かを判断する。具体的に言うと、CPU32は、メインメモリ34内のWFD状態値が、CL状態を示す値である場合(即ち
図8のケースD)には、S52でYESと判断して、S58に進む。一方において、CPU32は、メインメモリ34内のWFD状態値が、G/O状態を示す値である場合(即ち
図8のケースC)には、S52でNOと判断して、S54に進む。
【0099】
S54では、CPU32は、プリンタ10がG/O機器であるWFDネットワークに所属しているCL機器の数が、予め決められている上限値に一致するのか否かを判断する。具体的に言うと、CPU32は、まず、メインメモリ34内の管理リストに記述されているMACアドレスの数を読み出して、CL機器の数を特定する。そして、CPU32は、CL機器の数が上限値に一致する場合には、S54でYESと判断して、S58に進む。一方において、CPU32は、CL機器の数が上限値に一致しない場合、即ち、CL機器の数が上限値未満である場合には、S54でNOと判断して、S56に進む。
【0100】
S56では、CPU32は、プリンタ10がG/O機器であるWFDネットワークで現在利用されているWFDWSI(即ち、上記のG/Oネゴシエーションの後に、プリンタ10によって生成されたWFDWSI)を、ICタグ用メモリ36に書き込む。そして、CPU32は、ICタグ用メモリ36内のWFDWSIをICタグI/F22に供給する。この結果、ICタグI/F22は、NFC接続を利用して、WFDWSIを携帯端末50に送信する。
【0101】
CPU32は、S56を終えると、S18に進む。CPU32は、携帯端末50からProbe Request信号を受信する場合(S18でYES)に、プリンタ10及びPC110が
所属しているWFDネットワークに携帯端末50を参加させ(S20)、WFDネットワークを利用して携帯端末50から印刷データを受信し(S22)、印刷処理を実行する(S24)。なお、CPU32は、S24を終えても、G/O状態からデバイス状態に移行しない(即ちS26の処理を実行しない)。仮に、S26の処理が実行されると、プリンタ10及びPC110が所属しているWFDネットワークが消滅してしまい、プリンタ10がPC110から印刷データを受信することができなくなるからである。
【0102】
本実施例では、WFDネットワークにおいて、G/O機器は、当該WFDネットワークに他機器を参加させる権限を有するが、CL機器は、当該WFDネットワークに他機器を参加させる権限を有さない、というセキュリティポリシーを採用している。従って、S52でYESの場合、即ち、プリンタ10の状態がCL状態である間にNFC接続が確立される場合には、プリンタ10は、WFDネットワークに携帯端末50を参加させることができない。このために、S58において、CPU32は、プリンタ10がCL機器であるWFDネットワークで利用されているWFDWSIをICタグI/F22に供給せずに、WFD通信を実行不可能であることを示す情報(以下では「不可情報」と呼ぶ)をICタ
グI/F22に供給する。具体的に言うと、S58では、CPU32は、ICタグ用メモリ36に不可情報を書き込んで、ICタグ用メモリ36内の不可情報をICタグI/F22に供給する。これにより、ICタグI/F22は、NFC接続を利用して、不可情報を携帯端末50に送信する。
【0103】
また、S54でYESの場合、即ち、プリンタ10の状態がG/O状態である間にNFC接続が確立されるが、CL機器の数が上限値に一致する場合には、CPU32は、管理対象のCL機器をこれ以上増やすことができないので、WFDネットワークに携帯端末50を参加させることができない。この場合も、S58において、CPU32は、不可情報をICタグI/F22に供給する。
【0104】
次いで、S60において、CPU32は、モード変更指示をICタグI/F22に供給して、ICタグI/F22の動作モードを、ReadOnlyモードから、Writableモードに変更する。
【0105】
携帯端末50(即ち印刷アプリケーション)は、プリンタ10から不可情報を受信する場合には、WFD通信ではなく、NFC通信を利用して、印刷データをプリンタ10に送信すべきことを決定する。そして、携帯端末50は、R/WモードのうちのWriterモードで動作することを決定し、NFC接続を利用して、NFC規格の書き込みコマンド及び印刷データをプリンタ10に送信する。
【0106】
プリンタ10のICタグI/F22は、Writableモードで動作しているために(S60参照)、携帯端末50から書き込みコマンドを受信すると、書き込みコマンドに従って、書き込み応答動作を実行する。具体的に言うと、ICタグI/F22は、印刷データを制御部30に供給する。この結果、S62において、CPU32は、携帯端末50から、ICタグI/F22を介して、印刷データを受信する。
【0107】
次いで、S64において、CPU32は、印刷処理(S24と同様の処理)を実行する。続いて、S66において、CPU32は、モード変更指示をICタグI/F22に供給して、ICタグI/F22の動作モードを、Writableモードから、ReadOnlyモードに変更する。CPU32は、S66を終えると、S10に戻る。
【0108】
(第3実施例の効果)
本実施例では、プリンタ10がデバイス状態である間にNFC接続が確立される場合(
図7のS50でYES)には、第1実施例と同様に、プリンタ10は、WFDWSIを携帯端末50に送信し(S14)、G/O機器であるプリンタ10のみが所属しているWFDネットワークを形成し(S16)、その後、プリンタ10及び携帯端末50の両方が所属しているWFDネットワークを形成する(S20)。このために、プリンタ10は、WFDネットワークを利用して携帯端末50から印刷データを受信し(S22)、印刷処理(S24)を適切に実行することができる。
【0109】
プリンタ10がG/O状態である間にNFC接続が確立される場合(
図7のS52でNO)には、プリンタ10は、CL機器の数が上限値に一致するのか否かを判断する(S54)。プリンタ10は、CL機器の数が上限値に一致しないと判断される場合(S54でNO)には、WFDWSIを携帯端末50に送信し(S56)、プリンタ10及び携帯端末50の両方が所属しているWFDネットワークを形成する(S20)。このために、プリンタ10は、WFDネットワークを利用して携帯端末50から印刷データを受信し(S22)、印刷処理(S24)を適切に実行することができる。
【0110】
一方において、プリンタ10は、CL機器の数が上限値に一致すると判断される場合(
S54でYES)には、不可情報を携帯端末50に送信し(S58)、NFC接続を利用して携帯端末50から印刷データを受信し(S62)、印刷処理(S64)を適切に実行することができる。
【0111】
また、プリンタ10がCL状態である間にNFC接続が確立される場合(
図7のS52でYES)には、プリンタ10は、不可情報を携帯端末50に送信し(S58)、NFC接続を利用して携帯端末50から印刷データを受信し(S62)、印刷処理(S64)を適切に実行することができる。
【0112】
上述したように、プリンタ10は、プリンタ10の状態に応じて適切な処理を実行して、印刷処理を適切に実行することができる。特に、プリンタ10は、NFC接続を利用して携帯端末50から印刷データを受信すべき場合(S52でYES又はS54でYES)には、ICタグI/F22の動作モードをWritableモードに変更するので(S60)、NFC接続を利用して携帯端末50から印刷データを適切に受信することができる(S62)。
【0113】
なお、NFC接続を利用して印刷データを受信する場合(S62)には、WFD接続を利用して印刷データを受信する場合(S22)と比べて、印刷データの通信に長時間を要する。ただし、例えば、A4サイズ等の印刷用紙のように比較的に大きな印刷媒体に印刷可能な通常のプリンタではなく、ラミネートフィルム等のラベルのように比較的に小さな印刷媒体に印刷可能ないわゆるラベルプリンタでは、印刷データのデータサイズが比較的に小さいので、NFC接続を利用して印刷データを受信する構成を採用しても、印刷データの通信時間が長いという不満をユーザに感じさせるのを抑制し得る。即ち、プリンタ10は、通常のプリンタであってもよいが、ラベルプリンタであることが好ましい。
【0114】
(対応関係)
ReadOnlyモード、Writableモードが、それぞれ、「第1のモード」、「第2のモード」の一例である。S50でYESの場合、S52でNOの場合、S52でYESの場合が、それぞれ、「第1の場合」、「第2の場合」、「第3の場合」の一例である。CL状態が、「子局状態」の一例である。S14の処理のみならず、S56の処理も、「インターフェース制御部」によって実行される処理の一例である。また、S54の処理が「判断部」によって実行される処理の一例である。
【0115】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。上記の実施例の変形例を以下に列挙する。
【0116】
(変形例1)「第1の通信機器」は、プリンタ10に限られず、スキャナ、コピー機、多機能機、携帯端末、PC、サーバ等であってもよい。例えば、スキャナが「第1の通信機器」の一例である変形例では、スキャナのCPUは、スキャナ及び携帯端末が所属しているWFDネットワークを利用して、無線LANI/Fを介して、スキャンデータを携帯端末に送信してもよい。この変形例では、スキャンデータが「対象データ」の一例である。また、例えば、PCが「第1の通信機器」の一例である実施例では、PCのCPUは、PC及び携帯端末が所属しているWFDネットワークを利用して、無線LANI/Fを介して、PC内のデータファイル(例えば文書ファイル等)を携帯端末に送信してもよい。この変形例では、データファイルが「対象データ」の一例である。また、「第2の通信機器」は、携帯端末50に限られず、プリンタ、スキャナ、コピー機、多機能機、PC、サーバ等であってもよい。
【0117】
(変形例2)「第2種のインターフェース」は、WFD通信を実行するための無線LAN
I/F20に限られず、例えば、アクセスポイント(以下では「AP」と呼ぶ)を介した無線通信を実行するための無線LANI/Fであってもよい。本変形例では、プリンタ10のCPU32は、APによって形成されている特定の無線ネットワークに所属している場合に、NFC接続を利用して、上記の特定の無線ネットワークのSSIDを携帯端末50に送信してもよい。この場合、携帯端末50は、当該SSIDを含むProbe Request信
号をAPに送信して、上記の特定の無線ネットワークに参加してもよい。この場合も、プリンタ10のCPU32は、プリンタ10及び携帯端末50の両方が所属している上記の特定の無線ネットワークを利用して(即ちAPを介して)、携帯端末50から印刷データを受信することができる。
【0118】
(変形例3)「第2種のインターフェース」は、無線LANI/F20に限られず、例えば、BlueTooth(登録商標)の無線通信を実行するためのBTI/Fであってもよい。本変形例では、BlueTooth(登録商標)の無線ネットワークで利用されるパスキー(即ちPIN)が、「ネットワーク識別情報」の一例である。なお、NFC通信の通信速度の高速化が図れられた場合には、BTI/Fを介した無線通信の通信速度は、NFCI/F22を介した無線通信の通信速度よりも遅くてもよい。一般的に言うと、第2種のインターフェースを介した無線通信の通信速度は、第1種のインターフェースを介した無線通信の通信速度よりも速くてもよいし遅くてもよい。
【0119】
(変形例4)
図2において、プリンタ10のCPU32は、S16の処理を実行し、その後、S14の処理を実行してもよい。一般的に言うと、CPU32は、上記の各実施例のように、S12の処理でSSIDを生成した後に、S14の処理でプリンタ10の状態をデバイス状態からG/O状態に移行させてもよいし、本変形例のように、S14の処理でプリンタ10の状態をデバイス状態からG/O状態に移行させた後に、S12の処理でSSIDを生成してもよい。
【0120】
(変形例5)
図2のS16では、プリンタ10のCPU32は、プリンタ10の状態をWFD規格のデバイス状態からG/O状態に移行させることによって、無線ネットワークを形成する。これに代えて、CPU32は、いわゆるSoftAPを起動させることによって、プリンタ10がAPとして動作する無線ネットワークを形成してもよい。本変形例では、CPU32は、S12において、当該無線ネットワークで利用される無線設定情報(SSID、BSSID等)を生成し、S14において、当該無線設定情報をICタグI/F22に供給する。本変形例でも、S18~S24は同様に実行される。S26では、CPU32は、SoftAPを停止させる。本変形例では、SoftAPが起動された状態が、「親局状態」の一例である。
【0121】
(変形例6)上記の実施例では、プリンタ10のCPU32がメインメモリ34内のプログラム(即ちソフトウェア)を実行することによって、
図2、
図4、又は、
図7の各処理が実現される。これに代えて、
図2、
図4、又は、
図7の各処理のうちの少なくとも1つの処理は、論理回路等のハードウェアによって実現されてもよい。
【0122】
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0123】
2:通信システム、10:プリンタ、12:操作パネル、14:表示機構、16:印刷機構、20:無線LANI/F、22:ICタグI/F、30:制御部、34: メイン
メモリ、36:ICタグ用メモリ、50:携帯端末、110:PC
【手続補正書】
【提出日】2023-09-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の通信機器であって、
IC(Integrated Circuit)タグとして機能する第1種のインターフェースと、
第2種のインターフェースと、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記第1の通信機器の状態が、無線ネットワークの子局として機能する子局状態であるのか否かを判断する第1の判断部と、
前記第1の通信機器の状態が前記子局状態でないと判断される場合に、前記第1の通信機器及び第2の通信機器の間に確立される前記第1種のインターフェースを介した無線接続を利用した第1の送信動作を、前記第1種のインターフェースに実行させる第1のインターフェース制御部であって、前記第1の送信動作は、前記第1種のインターフェースが、特定の情報を前記第2の通信機器に送信する動作を含み、前記特定の情報は、前記第1の通信機器が親局として動作することによって形成される前記第2種のインターフェースを介した第1の無線ネットワークに、前記第2の通信機器を参加させる際に利用される情報である、前記第1のインターフェース制御部と、
前記特定の情報が前記第2の通信機器に送信された後に、前記第1の無線ネットワークを利用して、前記第2種のインターフェースを介して、通信対象の対象データの無線通信を前記第1の無線ネットワークに参加済みの前記第2の通信機器と実行する第1のデータ通信部と、
を備え、
前記第1の通信機器の状態が前記子局状態であると判断される場合に、前記第1種のインターフェースを介した前記無線接続が確立されても、前記第2の通信機器は前記第1の無線ネットワークに参加せず、前記第2種のインターフェースを介した前記第2の通信機器との前記対象データの無線通信は実行されない、第1の通信機器。
【請求項2】
前記制御部は、さらに、
前記第1の通信機器の状態が前記子局状態であると判断される場合に、前記第1種のインターフェースを介した前記無線接続を利用して、前記対象データの無線通信を前記第2の通信機器と実行する第2のデータ通信部を備える、請求項1に記載の第1の通信機器。
【請求項3】
前記第1の通信機器の状態が前記子局状態であると判断される場合に、前記第1種のインターフェースは前記第1の送信動作を実行しない、請求項1又は2に記載の第1の通信機器。
【請求項4】
前記制御部は、さらに、
前記第1の通信機器の状態が前記子局状態であると判断される場合に、前記第1種のインターフェースを介した前記無線接続を利用した第2の送信動作を、前記第1種のインターフェースに実行させる第2のインターフェース制御部であって、前記第2の送信動作は、前記第1種のインターフェースが、前記第2種のインターフェースを介した通信を実行不可能であることを示す不可情報を前記第2の通信機器に送信する動作を含む、前記第2のインターフェース制御部を備える、請求項3に記載の第1の通信機器。
【請求項5】
前記制御部は、さらに、
前記第1の通信機器の状態が、無線ネットワークに所属していない無所属状態であるのか否かを判断する第2の判断部を備え、
前記第1のインターフェース制御部は、前記第1の通信機器の状態が前記無所属状態であると判断される場合に、前記第1の送信動作を前記第1種のインターフェースに実行させる、請求項1から4のいずれか一項に記載の第1の通信機器。
【請求項6】
前記制御部は、さらに、
前記第1の通信機器の状態が前記無所属状態であると判断される場合に、前記第1の通信機器の状態を、前記第1の無線ネットワークの前記親局として機能する親局状態に移行させる状態移行部を備える、請求項5に記載の第1の通信機器。
【請求項7】
前記親局は、Wi-Fi Direct規格のGroup Ownerである、請求項1から6のいずれか一項に記載の第1の通信機器。
【請求項8】
前記第1のデータ通信部は、前記第1の無線ネットワークを利用して、前記第2種のインターフェースを介して、前記第2の通信機器から前記対象データを受信し、
前記第1の通信機器は、さらに、
受信済みの前記対象データによって表わされる画像の印刷を実行する印刷機構を備える、請求項1から7のいずれか一項に記載の第1の通信機器。
【請求項9】
第1の通信機器のためのコンピュータプログラムであって、
前記第1の通信機器は、
IC(Integrated Circuit)タグとして機能する第1種のインターフェースと、
第2種のインターフェースと、を備え、
前記コンピュータプログラムは、前記第1の通信機器に搭載されるコンピュータに、以下の各処理、即ち、
前記第1の通信機器の状態が、無線ネットワークの子局として機能する子局状態であるのか否かを判断する第1の判断処理と、
前記第1の通信機器の状態が前記子局状態でないと判断される場合に、前記第1の通信機器及び第2の通信機器の間に確立される前記第1種のインターフェースを介した無線接続を利用した第1の送信動作を、前記第1種のインターフェースに実行させる第1のインターフェース制御処理であって、前記第1の送信動作は、前記第1種のインターフェースが、特定の情報を前記第2の通信機器に送信する動作を含み、前記特定の情報は、前記第1の通信機器が親局として動作することによって形成される前記第2種のインターフェースを介した第1の無線ネットワークに、前記第2の通信機器を参加させる際に利用される情報である、前記第1のインターフェース制御処理と、
前記特定の情報が前記第2の通信機器に送信された後に、前記第1の無線ネットワークを利用して、前記第2種のインターフェースを介して、通信対象の対象データの無線通信を前記第1の無線ネットワークに参加済みの前記第2の通信機器と実行する第1のデータ通信処理と、
を実行させ、
前記第1の通信機器の状態が前記子局状態であると判断される場合に、前記第1種のインターフェースを介した前記無線接続が確立されても、前記第2の通信機器は前記第1の無線ネットワークに参加せず、前記第2種のインターフェースを介した前記第2の通信機器との前記対象データの無線通信は実行されない、コンピュータプログラム。