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特開2023-155408酸化アルミニウムを利用したバイオマス混焼または専用ボイラーのファウリング、スラッギング及び腐食を防止する方法及び添加剤組成物
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  • 特開-酸化アルミニウムを利用したバイオマス混焼または専用ボイラーのファウリング、スラッギング及び腐食を防止する方法及び添加剤組成物 図1
  • 特開-酸化アルミニウムを利用したバイオマス混焼または専用ボイラーのファウリング、スラッギング及び腐食を防止する方法及び添加剤組成物 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023155408
(43)【公開日】2023-10-20
(54)【発明の名称】酸化アルミニウムを利用したバイオマス混焼または専用ボイラーのファウリング、スラッギング及び腐食を防止する方法及び添加剤組成物
(51)【国際特許分類】
   C10L 10/04 20060101AFI20231013BHJP
【FI】
C10L10/04
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023139720
(22)【出願日】2023-08-30
(62)【分割の表示】P 2022069693の分割
【原出願日】2019-01-22
(31)【優先権主張番号】10-2018-0130326
(32)【優先日】2018-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 平成30年5月30日 第40回国際環境産業技術&グリーンエネルギー展にて公開
(71)【出願人】
【識別番号】519024348
【氏名又は名称】株式会社ブルーオーシャン産業
【氏名又は名称原語表記】BLUE OCEAN INDUSTRY, INC.
【住所又は居所原語表記】288, Sandandongseo-ro Gunsan-si Jeollabuk-do Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】ジョン クォンホ
(57)【要約】
【課題】バイオマスボイラーの内壁のファウリング、スラッギング及び腐食を効果的に抑制し、発電設備の熱効率を最適化させることである。
【解決手段】本発明は、バイオマスに含まれたアルカリ成分無機物と化学的反応を行い前記アルカリ成分無機物の溶融温度を高める酸化アルミニウム添加剤組成物を投入すること、並びに、前記酸化アルミニウム添加剤組成物と燃料とが投入されたバイオマス混焼又は専用の循環流動層ボイラーで燃焼工程を行うことを含む、バイオマス混焼又は専用の循環流動層ボイラーのファウリング、スラッギング及び腐食を防止する方法に関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイオマスに含まれたアルカリ成分無機物と化学的反応を行い前記アルカリ成分無機物の溶融温度を高める酸化アルミニウム添加剤組成物を投入すること、並びに、
前記酸化アルミニウム添加剤組成物と燃料とが投入されたバイオマス混焼又は専用の循環流動層ボイラーで燃焼工程を行うことを含む、
バイオマス混焼又は専用の循環流動層ボイラーのファウリング、スラッギング及び腐食を防止する方法。
【請求項2】
前記酸化アルミニウム添加剤組成物と化学的反応を行ったアルカリ成分無機物の溶融温度は、前記ボイラーの燃焼温度を上回る、
請求項1に記載のバイオマス混焼又は専用の循環流動層ボイラーのファウリング、スラッギング及び腐食を防止する方法。
【請求項3】
前記酸化アルミニウム添加剤組成物は、前記燃料100質量部に対して0.1~5質量部であり、
前記酸化アルミニウム添加剤組成物の酸化アルミニウム含量は10~90%である、
請求項2に記載のバイオマス混焼又は専用の循環流動層ボイラーのファウリング、スラッギング及び腐食を防止する方法。
【請求項4】
前記酸化アルミニウム添加剤組成物の粒度は10~1500μmである、
請求項1に記載のバイオマス混焼又は専用の循環流動層ボイラーのファウリング、スラッギング及び腐食を防止する方法。
【請求項5】
前記酸化アルミニウム添加剤組成物はシリカをさらに含む、
請求項1に記載のバイオマス混焼又は専用の循環流動層ボイラーのファウリング、スラッギング及び腐食を防止する方法。
【請求項6】
バイオマス混焼又は専用の循環流動層ボイラーで使用されるものであって、
燃焼炉内で前記バイオマスに含まれたアルカリ成分無機物と化学的反応を行い前記アルカリ成分無機物の溶融温度を高めるために酸化アルミニウムを含んで組成される、
バイオマス混焼又は専用の循環流動層ボイラーのファウリング、スラッギング及び腐食を酸化アルミニウムを利用して防止する添加剤組成物。
【請求項7】
前記酸化アルミニウムはボイラーに投入される燃料100質量部に対して0.1~5質量部である、
請求項6に記載のバイオマス混焼又は専用の循環流動層ボイラーのファウリング、スラッギング及び腐食を酸化アルミニウムを利用して防止する添加剤組成物。
【請求項8】
シリカをさらに含み、
前記シリカはボイラーに投入される燃料100質量部に対して0.1~10質量部である、
請求項6に記載のバイオマス混焼又は専用の循環流動層ボイラーのファウリング、スラッギング及び腐食を酸化アルミニウムを利用して防止する添加剤組成物。
【請求項9】
粒度は10~1500μmである、
請求項6に記載のバイオマス混焼又は専用の循環流動層ボイラーのファウリング、スラッギング及び腐食を酸化アルミニウムを利用して防止する添加剤組成物。
【請求項10】
前記バイオマスに含まれたアルカリ成分無機物と化学的反応を行い、前記アルカリ成分無機物の燃焼温度がボイラーの燃焼温度より高い、
請求項6に記載のバイオマス混焼又は専用の循環流動層ボイラーのファウリング、スラッギング及び腐食を酸化アルミニウムを利用して防止する添加剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は酸化アルミニウムを利用したバイオマス混焼または専用ボイラーのファウリング、スラッギング及び腐食防止用添加剤組成物に関し、より詳細には、酸化アルミニウムを利用してバイオマス燃料に含有された無機物の溶融温度を上昇させてバイオマスボイラーの内壁のファウリング、スラッギング及び腐食を効果的に抑制し、発電設備の熱効率を最適化することができる添加剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
パリ気候協約によって各国は二酸化炭素の排出量を減らし、再生可能エネルギー市場の拡大と競争力を高めるために再生可能エネルギーの活性化制度を施行している。
【0003】
ウッドチップ、ウッドペレット、パーム椰子種殻などのバイオマスは既存燃料と比較して硫黄含量が少なく、CO発生量を低減させることができるという点で環境に優しい再生可能エネルギーとして脚光を浴びているが、既存燃料対比熱量が顕著に低いため、バイオマスを既存燃料と混焼する時に発熱量の差により、局部的な熱不均衡がおこるため、熱効率が減少し、結果として、発電費用を増加させるという問題がある。
【0004】
また、バイオマス混焼時にはバイオマス内に含有されている灰分のうち溶融点が低い無機物が燃焼過程で溶け落ちるようになるが、かかる無機物が流動してボイラーの内壁及び熱交換部などに焦げ付いて成長するスラッギング及びファウリング現象が発生し、かかる現象はボイラーの熱効率を顕著に低下させて燃焼路内の流動パターンを妨害し、ひいてはボイラーの内壁を深刻に損傷させる問題を起こす。
【0005】
また、バイオマスに含まれているKO、NaOのような強アルカリ成分は揮発性が強くボイラー内部での滞留期間が短いため、不均一燃焼を誘発するだけでなく、燃焼路内の灰分との反応で内壁をコーティングさせ、これによってボイラー内部の内壁を含む金属表面が腐食するという問題もあるため、石炭及びバイオマス混焼時に起こるボイラー内部の熱不均衡、スラッギング、ファウリング及び腐食問題に対する早急な解決が望まれる。
【0006】
かかる問題点を解決するために従来の技術として、
韓国登録韓国特許第10-1542076号“固体燃料の燃焼添加剤組成物及びこの利用方法”では水100質量部に対して、銅前駆体0.1~20質量部、マグネシウム前駆体10~300質量部を含む固体燃料の燃焼添加剤組成物を提示しており、
韓国登録韓国特許第10-0642146号“耐寒性向上及びスラグ防止とクリンカーが効果的に除去される燃料添加剤組成物”では水溶性溶媒30~86.98重量%、燃焼促進剤5~20重量%、安定化剤0.01~5重量%、アルカリ金属化合物5~25重量%、金属化合物0.01~5重量%及び界面活性剤化合物3~15重量%を含む燃料添加剤組成物を提示しており、
韓国登録韓国特許第10-1586430号“ペレットと石炭燃料及び焼却用廃棄物の燃焼率向上のための燃料添加剤組成物”ではケイ酸ナトリウム100重量部に対して過酸化水素5~15重量部、水酸化ナトリウム30~45重量部、硼砂1~10重量部、酸素水10~50重量部、グリセロール2~5重量部、脂肪酸エステル1~3重量部、界面活性剤2~5重量部、セラミックボール10~30重量部からなる燃料添加剤組成物を提示している。
【0007】
しかし、上記の技術はすべて液状形態の添加剤として火力発電所ボイラーに投入時に必要なメカニズムであり、バイオマスボイラーに適用される時にはその効果を期待し難いという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記の問題点を解決するために提案されるものであって、固体粉末形態の添加剤である酸化アルミニウムを利用してバイオマス燃料に含有されている無機物の溶融温度を上昇させることでバイオマスボイラーの内壁のファウリング、スラッギング及び腐食を効果的に抑制し、発電設備の熱効率を最適化させることができる酸化アルミニウムを利用したバイオマス混焼または専用ボイラーのファウリング、スラッギング及び腐食防止用添加剤組成物を提供することに目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための本発明の実施例に係る酸化アルミニウムを利用したバイオマス混焼または専用ボイラーのファウリング、スラッギング及び腐食防止用添加剤組成物は、バイオマス混焼または専用ボイラーに投入される燃料100質量部に対して酸化アルミニウム(Al)が0.1ないし5質量部含まれ得る。
【0010】
また、火力発電所の副産物である石炭灰は0.1ないし5質量部さらに含まれ得る。
【0011】
また、アルミニウム製錬において、Bayer法によってボーキサイトからアルミナを採取した残渣であるAlが含有されたシリカが燃料100質量部に対して0.1ないし10質量部さらに含まれ得る。
【発明の効果】
【0012】
本発明の実施例に係る酸化アルミニウムを利用したバイオマス混焼または専用ボイラーのファウリング、スラッギング及び腐食防止用添加剤組成物はバイオマス燃料に含有されている無機物の溶融温度を上昇させてバイオマスボイラーの内壁のファウリング、スラッギング及び腐食を効果的に抑制し、発電設備の熱効率を最適化させることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】ファウリング、スラッギング及び腐食防止用添加剤組成物の投入後経過日に係るフライアッシュ及びボトムアッシュ内のカリウム含量グラフである。
図2】ファウリング、スラッギング及び腐食防止用添加剤組成物の投入前のボイラー内チューブ形状を示したものである。
図3】ファウリング、スラッギング及び腐食防止用添加剤組成物の投入後のボイラー内チューブ形状を示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照した本発明の説明は特定の実施形態に対して限定されず、多様な変換を加えることができ、様々な実施例を有することができる。また、以下で説明する内容は本発明の思想及び技術範囲に含まれるすべての変換、均等物ないし代替物を含むものと理解されなければならない。
【0015】
また、本発明で用いられる単数の表現は文脈上明白に異なる意味を有しない限り、複数の表現を含む。また、以下で記載される“含む”、“備える”または“有する”などの用語は明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものと解釈されなければならず、一つまたはそれ以上の他の特徴や、数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものなどの存在または付加可能性を予め排除しないものと理解されなければならない。
【0016】
また、本発明の実施例に係る原理を説明するにおいて、係る公知技術または構成に対する具体的な説明が本発明の要旨を不要に曖昧にし得ると判断される場合にはその具体的な説明を省略することとする。
【0017】
以下、本発明の実施例に係る酸化アルミニウムを利用したバイオマス混焼または専用ボイラーのファウリング、スラッギング及び腐食防止用添加剤組成物について詳細に説明する。
【0018】
本発明の一実施例に係る酸化アルミニウムを利用したバイオマス混焼または専用ボイラーのファウリング、スラッギング及び腐食防止用添加剤組成物は火力発電所のバイオマス混焼または専用ボイラーに投入される燃料100質量部に対して酸化アルミニウム(Al)が0.1ないし5質量部が添加され得る。
【0019】
ここで、酸化アルミニウムは、燃料100質量部対比の含量が0.1質量部未満の場合、ファウリング、スラッギング及び腐食防止用添加剤としての効果を期待し難く、5質量部を超過する場合は経済性が低減し得る。
【0020】
また、本発明の一実施例に係る酸化アルミニウムを利用したバイオマス混焼または専用ボイラーのファウリング、スラッギング及び腐食防止用添加剤組成物は、火力発電所の副産物である石炭灰0.1ないし5質量部がさらに含まれ得る。即ち、石炭灰は、火力発電所のバイオマス混焼または専用ボイラーに投入される燃料100質量部に対して0.1ないし5質量部が含まれ得る。
【0021】
燃料に添加される石炭灰は酸化アルミニウムの含量及び化学的結合に必要なSiOを提供する機能が含まれてよく、具体的に酸化アルミニウムの含量を約25%内外に調節し得る。しかし、前記含量は例示的なものであって、必ず限定される事項ではない。
【0022】
ここで、石炭灰は0.1質量部未満の場合、ファウリング、スラッギングなどを防止する添加剤としての役割を期待し難く、5質量部を超過する場合は添加剤組成物の酸化アルミニウム含量が低下してファウリング、スラッギング及び腐食防止効果が低減し得る。
【0023】
また、本発明の実施例に係る酸化アルミニウムを利用したバイオマス混焼または専用ボイラーのファウリング、スラッギング及び腐食防止用添加剤組成物には、アルミニウム製錬において、Bayer法によってボーキサイトからアルミナを採取したAlが含有されたシリカが0.1ないし10質量部さらに含まれ得る。
【0024】
上記のAlが含有されたシリカは、バイオマスボイラーに添加される時、AlとSiOが無機物の溶融点を上昇させ、これにより燃焼路内のスラッギング及びファウリングなどを防止することができる。
【0025】
この時、Alを含有するシリカは、燃料100質量部に対して0.1質量部未満が添加される場合、時にファウリング、スラッギングなどを防止する添加剤としての役割を期待し難く、10質量部超過時では、燃料及びボイラー内のアルカリ金属と反応できない未反応による廃棄物処理費用の増加により経済性が低減し得る。
【0026】
以下、上記のような本発明の実施例に係る酸化アルミニウムを利用したバイオマス混焼または専用ボイラーのファウリング、スラッギング及び腐食防止用添加剤組成物の原理に対して具体的に説明することとする。
【0027】
バイオマス燃料は一般的にK、Naなどのアルカリ成分無機物を含んでいるが、KとNaがそれぞれKO、NaOの形態で形成される時には低い溶融温度(800℃以下)を発生させる。これによって、循環流動層ボイラー内の燃焼過程で燃焼室の温度が800℃以上に維持される時に燃料内の無機物が溶融された状態でガス流れに沿って排出されてからボイラーのチューブに当たって急冷、凝集されてチューブ表面に付着及び堆積される現象が発生する。このように生成されたスラッギング及びファウリング現象はボイラー内の熱効率を急激に低下させる。
【0028】
これを解決するために本発明では酸化アルミニウム(Al)添加剤組成物を燃焼炉内に投入してバイオマスに含有されている無機物の溶融温度を高くすることができ、その反応式は下記の通りである。
【0029】
(1)Al・6SiO+2HO+2K(OH)->Al・6SiO・KO+3H
(灰の溶融温度を約1000℃に上昇させる)
(2)Al・2SiO+2HO+2Na(OH)->Al・2SiO・NaO+3H
(灰の溶融温度を約1200℃に上昇させる)
上記反応式によってアルミナ添加剤組成物の投入後、バイオマス燃料内の無機物の溶融温度はボイラーの燃焼温度を上回るようになり、溶融状態の無機物が引き起こすスラッギング及びファウリング現象を化学的に抑制する効果を期待することができる。
【0030】
本発明の添加剤組成物にさらに含まれ得る石炭灰は既に火力発電所のボイラーで燃焼過程を一回経た物質であって、添加剤組成物が燃焼する時に燃焼されずに固体成分として残って灰分とともに循環する。この時、循環する石炭灰は既に存在するクリンカーを物理的に炉壁から脱落させる効果を発揮し、ボイラーの内壁に付着時に石化しないので、クリンカーを内壁から剥離させる効果も期待することができる。
【0031】
また、ボイラー内の金属表面の腐食現象は主にスラッギング及びファウリングが形成される堆積物と触れてボイラー内の金属表面の接点で形成されるので、スラッギング及びファウリングを抑制することはこのような腐食現象が起こり得る環境を基本的に抑制する効果をもたらすことができる。
【0032】
一方、本発明の実施例に係る酸化アルミニウムを利用したバイオマス混焼または専用ボイラーのファウリング、スラッギング及び腐食防止用添加剤組成物は、酸化アルミニウムと同一の効果を有するアルミニウム副産物から組成されることもある。
【0033】
ここで、アルミニウム副産物は酸化アルミニウム(Al)が含有された副産物であって、バイオマス混焼または専用ボイラーに投入される燃料100質量部に対してアルミニウム副産物は0.1ないし5質量部が添加され得て、この時に酸化アルミニウムの含量は10ないし90%であり得る。
【0034】
これは、上述した酸化アルミニウムと同様の理由で酸化アルミニウム含量が10%未満の場合、ファウリング、スラッギング及び腐食防止用添加剤としての効果を期待し難く、90%を超過する場合、産業副産物としての経済性が低減し得るからである。
【0035】
また、上記酸化アルミニウム及び酸化アルミニウム副産物は粒度がそれぞれ10ないし1500μmであり得る。これは、アルミニウム副産物の粒度が10μm未満の場合、浮遊現象によって燃焼路内の充分な反応時間を確保することができずボイラーサイクロン後段に移送することがあり、粒度が1500μmを超過する場合、充分に循環されることができずにファウリング、スラッギング及び腐食防止の効果が低減し得るからである。
【0036】
以下、図1ないし図3を参照して本発明に係る酸化アルミニウムを利用したバイオマス混焼または専用ボイラーのファウリング、スラッギング及び腐食防止用添加剤組成物の実施例をさらに具体的に提示するが、次に提示する実施例によって本発明が限定されるものではない。
【0037】
[実験例1]
酸化アルミニウム(酸化アルミニウム、Al)とカリウム(K)との関係を考察するため、循環流動層火力発電所のボイラーに一日平均919トンの有煙炭及び2,144トンのウッドペレットの燃料と、酸化アルミニウム4トン(燃料100質量部に対して0.131質量部)及び火力発電所の石炭灰5トン(燃料100質量部に対して0.163質量部)を投入して9日間で一日平均22時間稼動した。
【0038】
ボイラー内のスラッギング及びファウリングの抑制効果はボイラー外部に排出されるフライアッシュ及びボトムアッシュ内のK及びNaなどのアルカリ成分含量が高いほど、ボイラー内のスラッギング及びファウリング形態で堆積及び付着されているアルカリ成分が少ないことを確認することができ、これはスラッギング及びファウリングが抑制されたことと解釈することができる。
【0039】
実験例1にフライアッシュ及びボトムアッシュ内のカリウム含量グラフは図1に示して整理し、実験例1の実験期間総9日間の実験前後の写真はそれぞれ図2図3に示した。
【0040】
[実験例2]
燃料に対する酸化アルミニウムの適正量を考察するため、循環流動層火力発電所ボイラーに5基に一日平均900トンの有煙炭及び2,100トンのウッドペレットの燃料(総3000トンの燃料)と、酸化アルミニウムを下記実施例1ないし4及び比較例1のようにそれぞれ異にしてファウリング、スラッギング及び腐食防止に対する効果を測定した。
【0041】
測定は実施例1ないし4及び比較例1と同じ条件で一日平均22時間4週間ボイラーを稼動後、ボイラー内部を肉眼で観察してファウリング、スラッギング及び腐食の各項目に対して発生率を非常に低い、低い、普通、高い、非常に高いでチェックし、これに対する結果は下記表1の通りである。
【0042】
[実施例1]
燃料3000トンに対して酸化アルミニウム1.5トンを投入した。(燃料100質量部に対する酸化アルミニウム0.05質量部)
[実施例2]
燃料3000トンに対して酸化アルミニウム3トンを投入した。(燃料100質量部に対する酸化アルミニウム0.1質量部)
[実施例3]
燃料3000トンに対して酸化アルミニウム150トンを投入した。(燃料100質量部に対する酸化アルミニウム5質量部)
[実施例4]
燃料3000トンに対して酸化アルミニウム165トンを投入した。(燃料100質量部に対する酸化アルミニウム5.5質量部)
[比較例1]
燃料3000トンに対して酸化アルミニウム未投入
【0043】
【表1】
上記表1を考察すれば、実施例2の場合、比較例1に比べてファウリング、スラッギング及び腐食に対する改善があまり優れていないが、効果があることが確認され、実施例3の場合は比較例1に比べて顕著な効果が発生されることを確認することができる。
【0044】
また、実施例1の場合、比較例1に比べて改善効果が極微であり、実施例4の場合は、実施例3に比べて何ら効果の差がないことを確認することができる。
【0045】
これによって、実施例2と実施例3との隣接範囲(燃料100質量部に対して酸化アルミニウムが0.1ないし5質量部範囲)内で投入されることがファウリング、スラッギング及び腐食に対する効果を奏することを確認することができる。
【0046】
以上に添付された図面を参照して本発明の実施例を説明したが、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者は本発明の技術的思想や必須な特徴を変更せずに他の具体的な形態で実施し得ることを理解することができる。従って、以上で記述した実施例はすべての面で例示的なものであり、限定的ではない。
図1
図2
図3