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特開2023-155459POLO様キナーゼ4の阻害のための併用療法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023155459
(43)【公開日】2023-10-20
(54)【発明の名称】POLO様キナーゼ4の阻害のための併用療法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/5377 20060101AFI20231013BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20231013BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20231013BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20231013BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20231013BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20231013BHJP
   C07D 413/14 20060101ALN20231013BHJP
【FI】
A61K31/5377
A61K39/395 E
A61K39/395 T
A61K45/00
A61P35/00
A61P35/02
A61P43/00 111
A61P43/00 121
C07D413/14
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023141415
(22)【出願日】2023-08-31
(62)【分割の表示】P 2020513562の分割
【原出願日】2018-09-07
(31)【優先権主張番号】62/555,718
(32)【優先日】2017-09-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】507148294
【氏名又は名称】ユニバーシティー ヘルス ネットワーク
(74)【代理人】
【識別番号】100095832
【弁理士】
【氏名又は名称】細田 芳徳
(72)【発明者】
【氏名】メーソン,ジャクリーン エム.
(72)【発明者】
【氏名】ブレイ,マーク アール.
(72)【発明者】
【氏名】マック,タック ワー
(72)【発明者】
【氏名】フレッチャー,グラハム
(57)【要約】
【課題】POLO様キナーゼ4の阻害のための併用療法を提供すること。
【解決手段】被験体に、所定の式により表される化合物またはその薬学的に許容され得る塩の有効量および免疫チェックポイント阻害剤の有効量を投与する工程
を含む、癌を治療するための方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験体に、式:
【化1】
により表される化合物またはその薬学的に許容され得る塩の有効量および免疫チェックポイント阻害剤の有効量を投与する工程
を含む、癌を治療するための方法。
【請求項2】
免疫チェックポイント阻害剤が抗体またはその抗原結合断片である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
免疫チェックポイント阻害剤が、モノクローナル抗体またはその抗原結合断片である、請求項1および2いずれか記載の方法。
【請求項4】
免疫チェックポイント阻害剤が、CD40L阻害剤、DR3阻害剤、TL1A阻害剤、GITR阻害剤、GITRL阻害剤、4-1BB阻害剤、4-1BBL阻害剤、OX40阻害剤、OX40L阻害剤、CD27阻害剤、CD70阻害剤、TMIGD2阻害剤、HHLA2阻害剤、ICOS阻害剤、ICOSL阻害剤、B7RP1阻害剤、CD28阻害剤、PD-1阻害剤、PD-L1阻害剤、PD-L2阻害剤、CTLA-4阻害剤、CD80阻害剤、CD86阻害剤、KIR阻害剤、TCR阻害剤、LAG3阻害剤、MHCI阻害剤、MHCII阻害剤、CD80阻害剤、TIM-3阻害剤、GAL9阻害剤、BTLA阻害剤、HVEM阻害剤、CD160阻害剤、CD137阻害剤、CD137L阻害剤、LIGHT阻害剤、ホスファチジルセリン阻害剤、VISTA阻害剤、BTNL2阻害剤、B7-H3阻害剤およびB7-H4阻害剤から選択される1つ以上である、請求項1~3いずれか記載の方法。
【請求項5】
チェックポイント阻害剤が、PD-1阻害剤、PD-L1阻害剤およびCTLA-4阻害剤から選択される1つ以上である、請求項1~4いずれか記載の方法。
【請求項6】
免疫チェックポイント阻害剤がPD-1阻害剤である、請求項1~5いずれか記載の方法。
【請求項7】
免疫チェックポイント阻害剤がPD-L1阻害剤である、請求項1~5いずれか記載の方法。
【請求項8】
免疫チェックポイント阻害剤が、抗腫瘍T細胞活性を回復させる、請求項1~6いずれか記載の方法。
【請求項9】
免疫チェックポイント阻害剤が、T細胞抑制性細胞活性を遮る、請求項1~5および7いずれか一項記載の方法。
【請求項10】
免疫チェックポイント阻害剤が、ペンブロリズマブ、イピリムマブ、ニボルマブ、アテゾリズマブ、アベルマブおよびデュルバルマブ(durvalumab)から選択される1つ以上である、請求項1~5いずれか記載の方法。
【請求項11】
免疫チェックポイント阻害剤が、JS001、SHR-1210、BGB-A317、IBI-308、REGN2810、JS003、SHR-1316、KN035、BMS-936559、LAG525、BMS-986016、MBG453、MEDI-570、OREG-103/BY40およびリリルマブ(lirilumab)から選択される1つ以上である、請求項1~4いずれか記載の方法。
【請求項12】
免疫チェックポイント阻害剤が、CJS001、SHR-1210、BGB-A317、IBI-308およびREGN2810から選択される1つ以上である、請求項1~6、8および11いずれか一項記載の方法。
【請求項13】
免疫チェックポイント阻害剤が、JS003、SHR-1316、KN035およびBMS-936559から選択される1つ以上である、請求項1~5、7、9および11いずれか一項記載の方法。
【請求項14】
癌が、乳癌、結腸癌、直腸癌、結腸直腸癌、肺癌、腹膜の癌、胃癌(gastric or stomach cancer)、胃腸癌、子宮頸癌、肝臓癌、膀胱癌、ヘパトーム、卵巣癌、子宮内膜癌または子宮癌、前立腺癌、精巣癌、白血病、リンパ腫、血液の悪性疾患、脳癌、頭頸部癌、膵臓癌、黒色腫、肝細胞癌、腎臓癌(kidney or renal cancer)、外陰癌、甲状腺癌、肝癌、肛門癌、陰茎癌、メルケル細胞癌、菌状息肉腫(mycoses fungoids)、食道癌、胆管の腫瘍、唾液腺癌、肉腫、網膜芽腫、脂肪肉腫、滑膜細胞肉腫、神経内分泌腫瘍、ガストリノーマ、島細胞癌、中皮腫、神経鞘腫、聴神経腫、髄膜腫、腺癌、扁平上皮癌および上皮の扁平上皮癌(epithelial squamous cell cancer)からなる群より選択される、請求項1~13いずれか記載の方法。
【請求項15】
癌が、膵臓癌、肺癌、乳癌、結腸癌、脳癌、神経芽腫、前立腺癌、黒色腫、多形グリア芽腫、卵巣癌、リンパ腫、白血病、黒色腫、肉腫、腫瘍随伴病変(paraneospasia)、骨肉腫、胚細胞腫、神経膠腫および中皮腫からなる群より選択される、請求項1~13いずれか記載の方法。
【請求項16】
癌が、腎細胞癌、非小細胞肺癌、尿路上皮癌、頭頸部癌、卵巣癌、リンパ腫、黒色腫、膵臓癌、骨髄腫、急性骨髄性白血病、膀胱癌およびホジキンリンパ腫から選択される、請求項1~13いずれか記載の方法。
【請求項17】
式:
【化2】
により表される化合物またはその薬学的に許容され得る塩の有効量および免疫チェックポイント阻害剤の有効量を含む、医薬組成物。
【請求項18】
免疫チェックポイント阻害剤が、抗体またはその抗原結合断片である、請求項17記載の医薬組成物。
【請求項19】
免疫チェックポイント阻害剤が、モノクローナル抗体またはその抗原結合断片である、請求項17および18いずれか記載の医薬組成物。
【請求項20】
免疫チェックポイント阻害剤が、CD40L阻害剤、DR3阻害剤、TL1A阻害剤、GITR阻害剤、GITRL阻害剤、4-1BB阻害剤、4-1BBL阻害剤、OX40阻害剤、OX40L阻害剤、CD27阻害剤、CD70阻害剤、TMIGD2阻害剤、HHLA2阻害剤、ICOS阻害剤、ICOSL阻害剤、B7RP1阻害剤、CD28阻害剤、PD-1阻害剤、PD-L1阻害剤、PD-L2阻害剤、CTLA-4阻害剤、CD80阻害剤、CD86阻害剤、KIR阻害剤、TCR阻害剤、LAG3阻害剤、MHCI阻害剤、MHCII阻害剤、CD80阻害剤、TIM-3阻害剤、GAL9阻害剤、BTLA阻害剤、HVEM阻害剤、CD160阻害剤、CD137阻害剤、CD137L阻害剤、LIGHT阻害剤、ホスファチジルセリン阻害剤、VISTA阻害剤、BTNL2阻害剤、B7-H3阻害剤およびB7-H4阻害剤から選択される1つ以上である、請求項17~19いずれか記載の医薬組成物。
【請求項21】
免疫チェックポイント阻害剤が、PD-1阻害剤、PD-L1阻害剤およびCTLA-4阻害剤から選択される1つ以上である、請求項17~20いずれか記載の医薬組成物。
【請求項22】
免疫チェックポイント阻害剤がPD-1阻害剤である、請求項17~21いずれか記載の医薬組成物。
【請求項23】
免疫チェックポイント阻害剤がPD-L1阻害剤である、請求項17~21いずれか記載の医薬組成物。
【請求項24】
免疫チェックポイント阻害剤が、抗腫瘍T細胞活性を回復させる、請求項17~22いずれか記載の医薬組成物。
【請求項25】
免疫チェックポイント阻害剤が、T細胞抑制性細胞活性を遮る、請求項17~21および23いずれか一項記載の医薬組成物。
【請求項26】
免疫チェックポイント阻害剤が、ペンブロリズマブ、イピリムマブ、ニボルマブ、アテゾリズマブ、アベルマブおよびデュルバルマブから選択される1つ以上である、請求項17~21いずれか記載の医薬組成物。
【請求項27】
免疫チェックポイント阻害剤が、JS001、SHR-1210、BGB-A317、IBI-308、REGN2810、JS003、SHR-1316、KN035、BMS-936559、LAG525、BMS-986016、MBG453、MEDI-570、OREG-103/BY40およびリリルマブから選択される1つ以上である、請求項17~20いずれか記載の医薬組成物。
【請求項28】
免疫チェックポイント阻害剤が、CJS001、SHR-1210、BGB-A317、IBI-308およびREGN2810から選択される1つ以上である、請求項17~22、24および27いずれか一項記載の医薬組成物。
【請求項29】
免疫チェックポイント阻害剤が、JS003、SHR-1316、KN035およびBMS-936559から選択される1つ以上である、請求項17~21、23、25および27いずれか一項記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願についての相互参照
本願は、その開示がその全てにおいて本明細書に援用される2017年9月8日に出願された米国仮特許出願第62/555,718号の優先権の利益を主張する。
【0002】
本発明は、POLO様キナーゼ4の阻害のための併用療法に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
CFI-400945は、Polo様キナーゼ4(PLK4)活性を阻害する、式:
【化1】
により表される化合物である。PLK4は、中心小体複製の保存された重要な制御因子であり、いくつかのヒト腫瘍において異常発現される。PLK4発現の制御異常は中心体の数的完全性の喪失をもたらし、これはゲノムの不安定性を促進するが、癌細胞がその効果を許容することも可能にし得る。PLK4活性の阻害による中心小体複製のさらなる妨害は、癌細胞におけるゲノムの不安定性を悪化させ得、癌細胞の死を強制する。
【0004】
CFI-400945は現在、進行した癌を有する患者についての第1相臨床試験(非特許文献1)中である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】ClinicalTrials.gov ID NCT01954316
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
重要な有糸分裂制御酵素の阻害におけるCFI-400945の高力および選択性を考慮すると、癌治療においてこの薬物候補の有効性をさらに高めることは有利である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
概要
本願の発明者らにより、化合物CFI-400945またはその薬学的に許容され得る塩および免疫チェックポイント阻害剤の投与が癌を相乗的に治療することが見出された。例えば、化合物CFI-400945の薬学的に許容され得る塩とラットIgG2a抗PD-1抗体の組合せの種々の用量での投与時の同系CT26マウス結腸癌モデルにおける完全な腫瘍後退を示す図1D、1F、1H参照。
【0008】
重要なことに、完全な腫瘍後退が起こった動物に、接種により同じ癌細胞で再度攻撃(re-challenge)する場合、腫瘍はこれらの動物のいずれにおいても増殖せず、それにより癌細胞に対する免疫が、CFI-400945-抗PD-1抗体併用療法により生じることが示される。さらに、この併用療法に供される動物は、有意な体重減少に何ら苦しまず、それにより少なくとも投与された用量で両方の薬剤が良好に許容されることが示される。
【0009】
これらの結果に基づいて、被験体に、化合物CFI-400945またはその薬学的に許容され得る塩の有効量および本明細書に記載されるような免疫チェックポイント阻害剤の有効量を投与することにより、被験体において癌を治療する方法が本明細書において提供される。
【0010】
化合物CFI-400945またはその薬学的に許容され得るものおよび本明細書に記載されるような免疫チェックポイント阻害剤を含む医薬組成物も、本明細書において提供される。
【0011】
即ち、本発明の要旨は、以下のものに関する。
項1
被験体に、式:
【化I-1】

により表される化合物またはその薬学的に許容され得る塩の有効量および免疫チェックポイント阻害剤の有効量を投与する工程
を含む、癌を治療するための方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明により、POLO様キナーゼ4の阻害のための併用療法が提供され得る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図面の簡単な説明
図1-1】図1Aは、-7または36日目のいずれかにCT26細胞を接種され、ラットIgG2aアイソタイプ対照を受けたBalb/cJマウスにおけるCT26腫瘍体積の変化を示す。図1Bは、0、3、6および10日目に150μgのラットIgG2a抗PD-1抗体を受けたBalb/cJマウスにおけるCT26腫瘍体積の変化を示す。
図1-2】図1Cは、6.5mg/kgのCFI-400945を1日に1回、21日間受けたBalb/cJマウスにおけるCT26腫瘍体積の変化を示す。図1Dは、0、3、6および10日目に150μgのラットIgG2a抗PD-1抗体ならびに1日1回、21日間6.5mg/kgのCFI-400945の組合せを受けたBalb/cJマウスにおけるCT26腫瘍体積の変化を示す。完全な腫瘍後退が起こった動物に、接種により、矢印で示される36日目にCT26細胞で再度攻撃した。
図1-3】図1Eは、13mg/kgのCFI-400945を1週間に2回(2日間投与(2 days on)/5日間休薬(5 days off))、21日間受けたBalb/cJマウスにおけるCT26腫瘍体積の変化を示す。完全な腫瘍後退が起こった動物に、接種により、矢印で示される36日目にCT26細胞で再度攻撃した。図1Fは、0、3、6および10日目に150μgのラットIgG2a抗PD-1抗体ならびに1週間に2回(2日間投与/5日間休薬)、21日間13mg/kgのCFI-400945の組合せを受けたBalb/cJマウスにおけるCT26腫瘍体積の変化を示す。完全な腫瘍後退が起こった動物に、接種により、矢印で示される36日目にCT26細胞で再度攻撃した。
図1-4】図1Gは、52mg/kgのCFI-400945を1週間に1回、21日間受けたBalb/cJマウスにおけるCT26腫瘍体積の変化を示す。完全な腫瘍後退が起こった動物に、接種により、矢印で示される36日目にCT26細胞で再度攻撃した。図1Hは、0、3、6および10日目に150μgのラットIgG2a抗PD-1抗体ならびに1週間に1回、21日間52mg/kgのCFI-400945の組合せを受けたBalb/cJマウスにおけるCT26腫瘍体積の変化を示す。完全な腫瘍後退が起こった動物に、接種により、矢印で示される36日目にCT26細胞で再度攻撃した。
図1-5】図1Iは、0および14日目に104mg/kgのCFI-400945を受けたBalb/cJマウスにおけるCT26腫瘍体積の変化を示す。図1Jは、0、3、6および10日目に150μgのラットIgG2a抗PD-1抗体ならびに0および14日目に104mg/kgのCFI-400945の組合せを受けたBalb/cJマウスにおけるCT26腫瘍体積の変化を示す。完全な腫瘍後退が起こった動物に、接種により、矢印で示される36日目にCT26細胞で再度攻撃した。
図2-1】図2Aは、ラットIgG2aアイソタイプ対照を受けたC57BL/6マウスにおけるMC38腫瘍体積の変化を示す。図2Bは、0、3、6および10日目に150μgのラットIgG2a抗PD-1抗体を受けたC57BL/6マウスにおけるMC38腫瘍体積の変化を示す。
図2-2】図2Cは、1日に1回、21日間6.5mg/kgのCFI-400945を受けたC57BL/6マウスにおけるMC38腫瘍体積の変化を示す。図2Dは、0、3、6および10日目に150μgのラットIgG2a抗PD-1抗体ならびに1日に1回、21日間6.5mg/kgのCFI-400945の組合せを受けたC57BL/6マウスにおけるMC38腫瘍体積の変化を示す。
図3-1】図3Aは、ラットIgG2aアイソタイプ対照を受けたC57BL/6マウスにおけるMC38腫瘍体積の変化を示す。図3Bは、0、3、6および10日目に150μgのラットIgG2a抗PD-1抗体を受けたC57BL/6マウスにおけるMC38腫瘍体積の変化を示す。
図3-2】図3Cは、1日に1回、21日間6.5mg/kgのCFI-400945を受けたC57BL/6マウスにおけるMC38腫瘍体積の変化を示す。図3Dは、0、3、6および10日目に150μgのラットIgG2a抗PD-1抗体ならびに1日に1回、21日間6.5mg/kgのCFI-400945の組合せを受けたC57BL/6マウスにおけるMC38腫瘍体積の変化を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
詳細な説明
一局面において、本開示は、被験体に、式:
【化2】
により表される化合物CFI-400945またはその薬学的に許容され得る塩の有効量および免疫チェックポイント阻害剤の有効量を投与する工程を含む、被験体において癌を治療する方法を提供する。
【0015】
そうではないと示されない限り、本明細書に記載される投与は、記載される化合物CFI-400945またはその薬学的に許容され得る塩を、本明細書に記載される免疫チェックポイント阻害剤の投与の前、投与と同時または投与の後に投与することを含むことが理解される。したがって、同時投与は、治療目的になくてはならないものではない。しかしながら一態様において、化合物CFI-400945またはその薬学的に許容され得る塩は、免疫チェックポイント阻害剤と同時に投与される。
【0016】
本明細書に記載される化合物CFI-400945は塩基性アミン基を有するので、薬学的に許容され得る酸(1つまたは複数)と薬学的に許容され得る塩を形成し得る。したがって、用語「薬学的に許容され得る塩」は、本明細書で使用する場合、本明細書に記載される化合物CFI-400945の任意の適切な薬学的に許容され得る酸付加塩をいい、限定されないが、無機酸(例えば塩酸、臭化水素酸、リン酸、硝酸および硫酸)および有機酸(酢酸、トリフルオロ酢酸、フマル酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、メタンスルホン酸およびp-トルエンスルホン酸など)の塩が挙げられる。かかる塩の他の例としては、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、メタンスルホン酸塩、硝酸塩、安息香酸塩、トリフルオロ酢酸塩、フマル酸塩およびグルタミン酸などのアミノ酸との塩が挙げられる。
【0017】
本明細書で使用する場合、「免疫チェックポイント阻害剤」または単に「チェックポイント阻害剤」は、直接または間接のいずれかで、免疫細胞(例えばT細胞、B細胞等)の表面に見られる免疫チェックポイント受容体タンパク質のレベルを低下するかまたはその機能を抑制する任意の化合物をいう。代替的に、免疫チェックポイント阻害剤は、直接または間接のいずれかで、免疫細胞抑制性細胞(例えば制御T細胞、免疫寛容抗原提示細胞(APC)、骨髄由来サプレッサー細胞(MDSC)、腫瘍関連マクロファージ(TAM)、癌関連(cancer-assicatied)線維芽細胞(CAF)、他の癌細胞およびAPC等)の表面上にあるかもしくは免疫細胞抑制性細胞により分泌されるリガンドのレベルを低下するかまたはその機能を抑制する化合物である。このリガンドは典型的に、免疫細胞の免疫チェックポイント受容体タンパク質に結合し得る。免疫チェックポイント受容体タンパク質-リガンドペアの非限定的な例は、PD-1/PD-L1である。PD-1は、T細胞上に見られる免疫チェックポイント受容体タンパク質である。癌細胞によりしばしば過剰発現されるPD-L1は、PD-1に結合し、癌細胞が宿主免疫系の攻撃を回避することを補助する。したがって、免疫チェックポイント阻害剤は、T細胞上のPD-1を遮る(すなわちPD-1阻害剤)か、または癌細胞上のPD-L1を遮る(すなわちPD-L1阻害剤)かのいずれかによりPD-1/PD-L1結合を防ぐかまたは一変させ、それにより抗腫瘍T細胞活性を維持もしくは回復させるか、またはT細胞抑制性細胞活性を遮る。さらに、免疫チェックポイント阻害剤は、米国特許出願公開公報US 2017/0190675およびUS 2016/0185870、ならびに国際特許出願公開公報WO 2015/112900、WO 2010/027828およびWO 2010/036959に記載されるような化合物をいう。
【0018】
本発明による免疫チェックポイント阻害剤は、小分子有機化合物またはペプチドまたは核酸などの大分子であり得る。少なくとも一態様において、免疫チェックポイント阻害剤は、抗体またはその抗原結合断片である。少なくとも一態様において、免疫チェックポイント阻害剤は、モノクローナル抗体またはその抗原結合断片である。
【0019】
本明細書で使用する場合、用語「抗体」は、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、炭水化物、ポリヌクレオチド、脂質または前述の組合せなどの標的を、免疫グロブリン分子の可変領域内の少なくとも1つの抗原認識部位を介して認識し、該標的に特異的に結合する免疫グロブリン分子を意味する。本明細書で使用する場合、用語「抗体」は、抗体が所望の生物学的活性を示す限りは、インタクトなポリクローナル抗体、インタクトなモノクローナル抗体、抗体断片(Fab断片、Fab'断片、F(ab')2断片およびFv断片など)、単鎖Fv(scFv)変異体、二重特異的抗体などの多重特異的抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、抗体の抗原決定部分を含む融合タンパク質、および抗原認識部位を含む任意の他の改変された免疫グロブリン分子を包含する。抗体は、それぞれα、δ、ε、γおよびμと称されるそれらの重鎖定常ドメインの同一性に基づいて、免疫グロブリンの5つの主要なクラス:IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgMまたはそれらのサブクラス(アイソタイプ)(例えばIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2)のいずれかであり得る。異なるクラスの免疫グロブリンは、異なるおよび周知のサブユニット構造および三次元立体構造を有する。抗体はネイキッド(naked)であり得るかまたは例えば毒素、放射性同位体等の他の分子にコンジュゲートされ得る。
【0020】
いくつかの態様において、抗体は天然に存在しない抗体である。いくつかの態様において、抗体は天然の成分から精製される。いくつかの態様において、抗体は組み換えにより生成される。いくつかの態様において、抗体はハイブリドーマにより産生される。
【0021】
用語「抗体断片」は、インタクトな抗体の一部をいい、インタクトな抗体の抗原決定可変領域をいう。抗体断片の例としては、限定されないが、Fab断片、Fab'断片、F(ab')2断片およびFv断片、線状抗体、単鎖抗体および抗体断片から形成される多重特異的抗体が挙げられる。用語、抗体の「抗原結合断片」としては、抗原に特異的に結合する能力を保持する抗体の1つ以上の断片が挙げられる。抗体の抗原結合機能は、全長抗体の特定の断片により遂行され得ることが示されている。用語、抗体の「抗原結合断片」に包含される結合断片の例としては(限定されることなく):(i)VLドメイン、VHドメイン、CLドメインおよびCH1ドメインからなる一価の断片であるFab断片(例えばパパインにより消化された抗体は、3つの断片:2つの抗原結合Fab断片および抗原に結合しない1つのFc断片を生じる);(ii)ヒンジ領域でジスルフィド架橋により連結される2つのFab断片を含む二価の断片であるF(ab')2断片(例えばペプシンにより消化された抗体は、2つの断片:二価の抗原結合F(ab')2断片、および抗原に結合しないpFc'断片を生じる)およびその関連するF(ab')一価ユニット;(iii)VHドメインおよびCH1ドメインからなるFd断片(すなわちFabに含まれる重鎖の一部);(iv)抗体の単一のアームのVLおよびVHドメインからなるFv断片、ならびに関連のあるジスルフィド連結されたFv;(v)VHドメインからなるdAb(ドメイン抗体)またはsdAb(単一ドメイン抗体)断片(Ward et al., Nature 341:544-546, 1989);ならびに(vi)単離された相補性決定領域(CDR)が挙げられる。
【0022】
本明細書で使用する場合、「モノクローナル抗体」は、単一の抗原性決定基またはエピトープの高度に特異的な認識および結合に関連する均一な抗体集団をいう。これは、典型的に異なる抗原性決定基に指向される異なる抗体を含むポリクローナル抗体とは対照的である。用語「モノクローナル抗体」は、インタクトな全長モノクローナル抗体、ならびに抗体断片(例えばFab、Fab'、F(ab')2、Fv)、単鎖(scFv)変異体、抗体部分を含む融合タンパク質および抗原認識部位を含む任意の他の改変された免疫グロブリン分子の両方を包含する。さらに、「モノクローナル抗体」は、ハイブリドーマ、ファージ選択、組み換え発現およびトランスジェニック動物によるものを含むが限定されない任意のいくつかの様式で作製されるかかる抗体をいう。
【0023】
用語「ヒト化抗体」は、特異的免疫グロブリン鎖、キメラ免疫グロブリンまたは最小非ヒト(例えばマウス)配列を含むその断片である非ヒト(例えばマウス)抗体の形態をいう。典型的に、ヒト化抗体は、相補性決定領域(CDR)由来の残基が、所望の特異性、親和性および能力を有する非ヒト種(例えばマウス、ラット、ウサギ、ハムスター)のCDR由来の残基で置き換えられたヒト免疫グロブリンである(Jones et al., Nature 321:522-525, 1986; Riechmann et al., Nature 332:323-327, 1988; Verhoeyen et al., Science 239:1534-1536, 1988)。
【0024】
免疫チェックポイント阻害剤の例の網羅的でないリストが以下に提供される:CD40L阻害剤、DR3阻害剤、TL1A阻害剤、GITR阻害剤、GITRL阻害剤、4-1BB阻害剤、4-1BBL阻害剤、OX40阻害剤、OX40L阻害剤、CD27阻害剤、CD70阻害剤、TMIGD2阻害剤、HHLA2阻害剤、ICOS阻害剤、ICOSL阻害剤、B7RP1阻害剤、CD28阻害剤、PD-1阻害剤、PD-L1阻害剤、PD-L2阻害剤、CTLA-4阻害剤、CD80阻害剤、CD86阻害剤、KIR阻害剤、TCR阻害剤、LAG3阻害剤、MHCI阻害剤、MHCII阻害剤、CD80阻害剤、TIM-3阻害剤、GAL9阻害剤、BTLA阻害剤、HVEM阻害剤、CD160阻害剤、CD137阻害剤、CD137L阻害剤、LIGHT阻害剤、ホスファチジルセリン阻害剤、VISTA阻害剤、BTNL2阻害剤、B7-H3阻害剤およびB7-H4阻害剤。ある態様において、本発明の癌治療方法に適用される免疫チェックポイント阻害剤は、前述の例から選択される1つ以上である。
【0025】
一態様において、免疫チェックポイント阻害剤は、PD-1阻害剤、PD-L1阻害剤およびCTLA-4阻害剤から選択される1つ以上である。
【0026】
一態様において、免疫チェックポイント阻害剤はPD-1阻害剤である。別の態様において、免疫チェックポイント阻害剤はPD-L1阻害剤である。
【0027】
いくつかの態様において、免疫チェックポイント阻害剤は、ペンブロリズマブ、イピリムマブ、ニボルマブ、アテゾリズマブ、アベルマブおよびデュルバルマブ(durvalumab)から選択される1つ以上である。
【0028】
いくつかの態様において、免疫チェックポイント阻害剤は、JS001、SHR-1210、BGB-A317、IBI-308、REGN2810、JS003、SHR-1316、KN035、BMS-936559、LAG525、BMS-986016、MBG453、MEDI-570、OREG-103/BY40およびリリルマブ(lirilumab)から選択される1つ以上である。一態様において、免疫チェックポイント阻害剤は、CJS001、SHR-1210、BGB-A317、IBI-308およびREGN2810から選択される1つ以上である。代替的な態様において、免疫チェックポイント阻害剤は、JS003、SHR-1316、KN035およびBMS-936559から選択される1つ以上である。
【0029】
本明細書で使用する場合、用語「治療(treatment)」、「治療する(treat)」および「治療すること(treating)」は、本明細書に記載されるように、癌の進行の逆転、緩和、改善、阻害または遅延、癌またはその1つ以上の症状の再発の可能性の低減をいう。本発明の方法および組成物により治療される癌の例示的な種類としては、限定されないが、乳癌(転移性乳癌を含む);結腸癌;直腸癌:結腸直腸癌;肺癌(小細胞肺癌(SCLC)、非小細胞肺癌(NSCLC)、肺の腺癌および肺の扁平上皮癌(squamous carcinoma)を含む);腹膜の癌;胃癌(gastric or stomach cancer);胃腸癌;子宮頸癌;肝臓癌;膀胱癌;ヘパトーム;卵巣癌;子宮内膜癌または子宮癌;前立腺癌;精巣癌;白血病;リンパ腫;血液の悪性疾患;脳癌(神経膠腫、多形グリア芽腫、髄芽腫および神経芽腫を含む);頭頸部癌;膵臓癌、黒色腫;肝細胞癌;腎臓癌(kidney or renal cancer);外陰癌;甲状腺癌;肝癌;肛門癌;陰茎癌;メルケル細胞癌;菌状息肉腫(mycoses fungoids);食道癌;胆管の腫瘍;唾液腺癌;肉腫;網膜芽腫;脂肪肉腫、滑膜細胞肉腫;神経内分泌腫瘍;ガストリノーマ;島細胞癌;中皮腫;神経鞘腫;聴神経腫;髄膜腫;腺癌;扁平上皮癌および上皮の扁平上皮癌(epithelial squamous cell cancer)が挙げられる。別の態様において、本発明の方法および組成物により治療される癌は、膵臓癌、肺癌、乳癌、結腸癌、脳癌、神経芽腫、前立腺癌、黒色腫、多形グリア芽腫、卵巣癌、リンパ腫、白血病、黒色腫、肉腫、腫瘍随伴病変(paraneospasia)、骨肉腫、胚細胞腫、神経膠腫または中皮腫である。さらに別の態様において、癌は、腎細胞癌、非小細胞肺癌、尿路上皮癌、頭頸部癌、卵巣癌、リンパ腫、黒色腫、膵臓癌、骨髄腫、急性骨髄性白血病、膀胱癌およびホジキンリンパ腫である。
【0030】
用語「有効量」は、例えば対照と比較した被験体における癌細胞または腫瘍の(or)臨床的症状、量または体積により測定した場合に、臨床結果を含む有益または所望の結果、すなわち癌の進行の逆転、緩和、阻害または遅延、癌またはその1つ以上の症状の再発の可能性の低減をもたらす、被験体に投与される場合の量を意味する。
【0031】
ある態様において、本明細書に教示される化合物CFI-400945またはその薬学的に許容され得る塩の有効量は、毎日投与される場合、約0.1~約1000mg/体重kg、あるいは約1~約500mg/体重kg、および別の選択肢において約1~約100mg/体重kg、およびさらに別の選択肢において約1~約50mg/kg、およびさらに別の選択肢において約0.1~約10mg/体重kg、およびさらに別の選択肢において約1~約7mg/体重kgまたは約1~約6.5mg/体重kgの範囲である。ある態様において、本明細書に教示される免疫チェックポイント阻害剤の有効量は、約0.01~約1000μg/体重kg、あるいは約0.05~約500μg/体重kgの範囲である。ある要因が癌に苦しむ被験体を効果的に治療するかまたは癌の再発の可能性を低減するために必要な用量に影響を及ぼし得ることを当業者は理解する。これらの要因としては、限定されないが、疾患または障害の分類および/または重症度、以前の治療、被験体の一般的な健康および/または年齢ならびに存在する他の疾患が挙げられる。
【0032】
別の局面において、化合物CFI-400945またはその薬学的に許容され得る塩および免疫チェックポイント阻害剤を含む医薬組成物も本開示に含まれる。
【0033】
本明細書に記載される1つ以上の癌の治療のための、本明細書に記載されるような免疫チェックポイント阻害剤と併用される医薬の製造における化合物CFI-400945またはその薬学的に許容され得る塩の使用も含まれる。本明細書に記載される1つ以上の癌の治療のための医薬の製造において、任意に薬学的に許容され得る担体と一緒に、化合物CFI-400945またはその薬学的に許容され得る塩および本明細書に記載されるような免疫チェックポイント阻害剤を含む医薬組成物も本発明に包含される。癌を有する被験体の治療のための、本明細書に記載されるような免疫チェックポイント阻害剤との併用のための化合物CFI-400945も含まれる。本明細書に記載される1つ以上の癌の治療における使用のための、任意に薬学的に許容され得る担体と一緒に、化合物CFI-400945またはその薬学的に許容され得る塩および本明細書に記載されるような免疫チェックポイント阻害剤を含む医薬組成物がさらに含まれる。本明細書に記載される1つ以上の癌の治療における使用のための、任意に薬学的に許容され得る担体と一緒に、化合物CFI-400945またはその薬学的に許容され得る塩および本明細書に記載されるような免疫チェックポイント阻害剤を含む医薬組成物がさらに含まれる。
【0034】
用語「薬学的に許容され得る担体」は、一緒に製剤化され、ヒト使用のために安全でもある、化合物の薬理学活性に有害な影響を及ぼさない、無毒性の担体、希釈剤、アジュバント、ビヒクルまたは賦形剤をいう。本開示の組成物において使用され得る薬学的に許容され得る担体としては、限定されないが、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム、レシチン、血清タンパク質、例えばヒト血清アルブミン、緩衝物質、例えばリン酸塩、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸塩カリウム、飽和植物脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、塩もしくは電解質、例えば硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイド状シリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロース系物質(例えば微結晶セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ラクトース一水和物、ラウリル硫酸ナトリウムおよびクロスカルメロースナトリウム)、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン-ポリオキシプロピレン-ブロックポリマー、ポリエチレングリコールおよび羊毛脂が挙げられる。
【0035】
矯味矯臭剤;甘味料;メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベンおよびブチルパラベンなどの保存剤などの他の賦形剤も含まれ得る。適切な賦形剤のより完全なリストは、Handbook of Pharmaceutical Excipients (5版、a Pharmaceutical Press (2005))に見られ得る。当業者は、種々の型の投与経路に適切な製剤をどのように調製するかを知っている。適切な製剤の選択および調製のための従来の手順および成分は、例えばRemington's Pharmaceutical Sciences (2003, 20版)および1999年に出版された米国薬局方:The National Formulary (USP 24 NF19)に記載される。
【0036】
本教示の化合物CFI-400945またはその薬学的に許容され得る塩および免疫チェックポイント阻害剤、または組成物は、例えば経口、非経口、舌下、局所、経直腸、経鼻、経頬、経膣、経皮、パッチ、ポンプの投与により、または埋め込みレザバーを介して投与され得、医薬組成物はそれに従って製剤化される。非経口投与としては、静脈内、腹腔内、皮下、筋内、経上皮、経鼻、肺内、鞘内、経直腸および局所の様式の投与が挙げられる。非経口投与は、選択された期間にわたり連続輸液によりなされ得る。
【0037】
本開示に含まれる他の投与形態は、その内容が参照により本明細書に援用されるWO 2013/075083、WO 2013/075084、WO 2013/078320、WO 2013/120104、WO 2014/124418、WO 2014/151142およびWO 2015/023915に記載されるようなものである。
【実施例0038】
実施例
本発明者らは本発明のいくつかの態様を記載してきたが、本発明者らの基本的な例示は、本開示の化合物および方法を利用する他の態様を提供するように改変され得ることが明らかである。そのため、本開示の範囲は、例示により示される具体的な態様ではなく、添付の特許請求の範囲により規定されることが理解されよう。
【0039】
本願を通じて引用される全ての参照文献(文献参照物、発行された特許、公開された特許出願および共に係属中の特許出願を含む)の内容は、参照によりそれらの全体において、本明細書中に明白に援用される。そうではないと定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術的用語および科学的用語は当業者に一般的に知られる意味に一致する。
【0040】
実施例1
材料
米国特許第8,269,596号;第8,481,533号;第8,921,545号;第9,139,563号および第9,579,327号;国際特許出願公開公報WO 2015/054793;ならびにSampson et al. (2015) J. Med. Chem. 58(1):147-169に記載される手順の1つ以上を使用して、化合物CFI-400945の塩形態を調製した。本明細書に記載される試験の全てにおいて化合物CFI-400945のフマル酸塩形態を使用した。
【0041】
ラットIgG2a抗PD-1抗体(クローンRMP1-14;cat. no. BE0146)およびラットIgG2aアイソタイプ対照(クローン2A3;cat. no. BE0089)をBio X Cellから入手した。
【0042】
The Jackson LaboratoryからBALB/cJマウスを入手した。ユニバーシティー ヘルス ネットワークのOntario Cancer Institute (Toronto, Canada)の動物コロニーからC56BL/6マウスを入手した。本明細書に記載される研究の全てに6~8週齢の雌動物を使用し、食餌および水には制限なく接近できるようにした。全ての動物手順は、ユニバーシティー ヘルス ネットワーク(Toronto, Canada)の機関の動物管理および使用委員会により承認された。
【0043】
CT26は、BALB/cマウス由来のマウス結腸癌細胞株であり、American Type Culture Collection (ATCC)から入手し、供給者の指示に従って維持した。MC38は、C57BL/6マウス由来のマウス結腸癌細胞株であり、共同研究者(Toronto, Canada)から入手し、供給者の指示に従って維持した。
【0044】
細胞株の真正を立証するためにショートタンデムリピート(STR)プロファイリングを使用した。The Centre for Applied Genomics (Toronto)において、マルチプレックスPCR中で16のSTR座を同時に増幅させ、可能な場合の比較のためのATCCデータベースを使用した。細胞株は、マイコプラスマについて常套的に試験し、低い継代数(<15)で使用した。
【0045】
実施例2
方法
BALB/cJマウスに1x106CT26細胞を皮下接種し、C57BL/6マウスに0.5x106MC38細胞を皮下接種した。次いでマウスを無作為化した。動物の重量は毎日モニタリングし、腫瘍体積は1週間に3回測定した。
【0046】
腫瘍体積(立方ミリメートルまたはmm3)は、100x[1-TVf, 治療-TVi, 治療)/(TVf, 対照-TVi, 対照)](式中、TVfは試験終了時の平均腫瘍体積であり、TViは治療開始(end initiation)時の平均腫瘍体積である)と定義した。腫瘍後退が起こった場合、腫瘍後退のパーセンテージは100x[1-(TVf, 治療/TVi, 治療)]と定義した。各試験の終了時に、麻酔薬の過剰投与によりマウスを殺し、さらなる分析のために腫瘍組織を取り出した。
【0047】
腫瘍体積が約60mm3の平均サイズに達した際に治療を開始した。確立されたCT26またはMC38腫瘍を治療するために、最初に動物を、群、すなわちラットIgG2aアイソタイプ対照を受ける対照群、化合物CFI-400945単一療法を受ける群、ラットIgG2a抗PD-1抗体単一療法を受ける群および併用療法を受ける群に割り振った。
【0048】
化合物CFI-400945およびビヒクル(水)は、経口胃管栄養法(PO)により、以下の用量:(i)6.5mg/kg、1日に1回(QD)、21日間;(ii)13mg/kg、1週間に2回(BIWまたは2投与(2 on)/5休薬(5 off))、21日間;(iii)52mg/kg、1週間に1回(QW)、21日間;および(iv)2回投与、すなわち0および14日目に104mg/kgの1つで投与した。
【0049】
抗PD-1抗体またはアイソタイプ対照は、腹腔内(IP)注射により投与した。150μgの抗PD-1抗体を、4回の投与、すなわち0、3、6および10日目に投与した。
【0050】
実施例3
組合せCFI-400945および抗PD-1抗体で治療したCT26腫瘍における完全な後退
それぞれの治療アームにおけるそれぞれ個々のCT26腫瘍のサイズをプロットする(図1A~1J参照)。図1Aに見られ得るように、ビヒクルで治療した対照アームにおいて、腫瘍は迅速に成長し、平均腫瘍は治療の11日目までに>1500mm3となった。
【0051】
図1Bに示されるように、抗PD-1抗体で治療した単一剤アームにおいて腫瘍増殖の遅延があった。0、3、6および10日目に150μgの用量で投与された抗PD-1抗体は、有意な体重減少(データは示さず)または動物の死亡がないことにより示されるように、良好に許容された。しかしながら、抗PD-1抗体単一療法アームにおいて腫瘍増殖抑制があったが、完全な後退が観察された例はなかった。
【0052】
同様に、図1Cにおいて、CFI-400945で治療した単一剤アームは、腫瘍増殖の遅延を示す。これらのプロットにおいて6.5mg/kgの日用量で毎日、21日間投与されたCFI-400945は、有意な体重減少(データは示さず)または動物の死亡がないことにより示されるように、良好に許容された。しかしながら、これらのCFI-400945単一療法アームにおいて腫瘍増殖抑制があったが、完全な後退が観察された例はなかった。
【0053】
驚くべきことに、図1Dの組合せ抗PD-1抗体およびCFI-400945で治療したアームにおいて、8つの腫瘍のうち2つが完全に後退した(CFI-400945用量=6.5mg/kg、1日に1回、21日間)。
【0054】
1週間に2回、21日間、13mg/kgのCFI-400945用量で(用量は良好に許容された)、単一療法を行った8つの腫瘍のうち1つにおいて後退が観察された(図1E)。比較的におよび顕著に、同じCFI-400945用量を抗PD-1抗体と組み合わせた場合に、8つの腫瘍のうち6つにおいて後退が観察された(図1F)。
【0055】
1週間に1回、21日間、52mg/kgのCFI-400945用量で(用量は良好に許容された)、単一療法を行った8つの腫瘍のうち1つにおいて後退が観察された(図1G)。比較的におよび顕著に、同じCFI-400945用量を抗PD-1抗体と組み合わせた場合に、8つの腫瘍のうち4つにおいて後退が観察された(図1H)。
【0056】
2匹の動物で死亡が見られた0および14日目の104mg/kgのCFI-400945用量は、良好に許容されなかったようであった。0および14日目の104mg/kgのCFI-400945用量についてプロットした治療アームを、単独または抗PD-1抗体と組み合わせて、図1Iおよび1Jのそれぞれに示す。
【0057】
実施例4
CFI-400945および抗PD-1抗体は腫瘍免疫を生じる
腫瘍体積測定に加えて、CFI-400945単一療法またはIgG2a抗PD-1抗体-CFI-400945併用療法のいずれかにより上述のように完全な後退が起こった動物に、接種により、図1D(6.5mg/kg QD CFI-400945+抗PD-1抗体)、1E(13mg/kg BIW CFI-400945)、1F(13mg/kg BIW CFI-400945+抗PD-1抗体)、1G(52mg/kg QW CFI-400945)、1H(52mg/kg QW CFI-400945+抗PD-1抗体)および1J(0および14日目に104mg/kg CFI-400945+抗PD-1抗体)に示されるように、36日目にCT26細胞で再度攻撃した。0および14日目のCFI-400945の用量が104mg/kgである併用療法(図1J)を除いて、腫瘍はどのマウスにおいても増殖せず、CT26細胞に対する免疫が生じたことが示された。それに対して、予測されたように、対照実験におけるCT26腫瘍も、同細胞で再度攻撃した際に、免疫を示さなかった(図1A)。
【0058】
実施例5
MC38実験
確立されたMC38腫瘍を、種々の単一療法および併用療法に対して試験した。
【0059】
MC38実験の第1のバッチにおいて(図2A~2D)、抗PD-1抗体単一療法は、8つの腫瘍のうち4つにおいて完全な後退を効果的に生じることが見られた(図2B)。IgG2a抗PD-1抗体-CFI-400945併用療法(図2D)に加えて、CFI-400945単一療法(図2C)においても後退が観察された。
【0060】
しかしながら、MC38実験の第2のバッチにおいて(図3A~3D)、設計された単一療法および併用療法のいずれにおいても腫瘍後退は観察されなかった。
【0061】
出願人は本発明のいくつかの態様を記載しているが、これらの基本的な例示は、本発明の化合物および方法を使用する他の態様を提供するように改変され得ることが明らかである。したがって、本発明の範囲は、例示により示されている具体的な態様ではなく、添付の特許請求の範囲により規定されることが理解されよう。
【0062】
本発明の態様として以下のものが挙げられる。
項1
被験体に、式:
【化A-1】

により表される化合物またはその薬学的に許容され得る塩の有効量および免疫チェックポイント阻害剤の有効量を投与する工程
を含む、癌を治療するための方法。
項2
免疫チェックポイント阻害剤が抗体またはその抗原結合断片である、項1記載の方法。
項3
免疫チェックポイント阻害剤が、モノクローナル抗体またはその抗原結合断片である、項1および2いずれか記載の方法。
項4
免疫チェックポイント阻害剤が、CD40L阻害剤、DR3阻害剤、TL1A阻害剤、GITR阻害剤、GITRL阻害剤、4-1BB阻害剤、4-1BBL阻害剤、OX40阻害剤、OX40L阻害剤、CD27阻害剤、CD70阻害剤、TMIGD2阻害剤、HHLA2阻害剤、ICOS阻害剤、ICOSL阻害剤、B7RP1阻害剤、CD28阻害剤、PD-1阻害剤、PD-L1阻害剤、PD-L2阻害剤、CTLA-4阻害剤、CD80阻害剤、CD86阻害剤、KIR阻害剤、TCR阻害剤、LAG3阻害剤、MHCI阻害剤、MHCII阻害剤、CD80阻害剤、TIM-3阻害剤、GAL9阻害剤、BTLA阻害剤、HVEM阻害剤、CD160阻害剤、CD137阻害剤、CD137L阻害剤、LIGHT阻害剤、ホスファチジルセリン阻害剤、VISTA阻害剤、BTNL2阻害剤、B7-H3阻害剤およびB7-H4阻害剤から選択される1つ以上である、項1~3いずれか記載の方法。
項5
チェックポイント阻害剤が、PD-1阻害剤、PD-L1阻害剤およびCTLA-4阻害剤から選択される1つ以上である、項1~4いずれか記載の方法。
項6
免疫チェックポイント阻害剤がPD-1阻害剤である、項1~5いずれか記載の方法。
項7
免疫チェックポイント阻害剤がPD-L1阻害剤である、項1~5いずれか記載の方法。
項8
免疫チェックポイント阻害剤が、抗腫瘍T細胞活性を回復させる、項1~6いずれか記載の方法。
項9
免疫チェックポイント阻害剤が、T細胞抑制性細胞活性を遮る、項1~5および7いずれか一項記載の方法。
項10
免疫チェックポイント阻害剤が、ペンブロリズマブ、イピリムマブ、ニボルマブ、アテゾリズマブ、アベルマブおよびデュルバルマブ(durvalumab)から選択される1つ以上である、項1~5いずれか記載の方法。
項11
免疫チェックポイント阻害剤が、JS001、SHR-1210、BGB-A317、IBI-308、REGN2810、JS003、SHR-1316、KN035、BMS-936559、LAG525、BMS-986016、MBG453、MEDI-570、OREG-103/BY40およびリリルマブ(lirilumab)から選択される1つ以上である、項1~4いずれか記載の方法。
項12
免疫チェックポイント阻害剤が、CJS001、SHR-1210、BGB-A317、IBI-308およびREGN2810から選択される1つ以上である、項1~6、8および11いずれか一項記載の方法。
項13
免疫チェックポイント阻害剤が、JS003、SHR-1316、KN035およびBMS-936559から選択される1つ以上である、項1~5、7、9および11いずれか一項記載の方法。
項14
癌が、乳癌、結腸癌、直腸癌、結腸直腸癌、肺癌、腹膜の癌、胃癌(gastric or stomach cancer)、胃腸癌、子宮頸癌、肝臓癌、膀胱癌、ヘパトーム、卵巣癌、子宮内膜癌または子宮癌、前立腺癌、精巣癌、白血病、リンパ腫、血液の悪性疾患、脳癌、頭頸部癌、膵臓癌、黒色腫、肝細胞癌、腎臓癌(kidney or renal cancer)、外陰癌、甲状腺癌、肝癌、肛門癌、陰茎癌、メルケル細胞癌、菌状息肉腫(mycoses fungoids)、食道癌、胆管の腫瘍、唾液腺癌、肉腫、網膜芽腫、脂肪肉腫、滑膜細胞肉腫、神経内分泌腫瘍、ガストリノーマ、島細胞癌、中皮腫、神経鞘腫、聴神経腫、髄膜腫、腺癌、扁平上皮癌および上皮の扁平上皮癌(epithelial squamous cell cancer)からなる群より選択される、項1~13いずれか記載の方法。
項15
癌が、膵臓癌、肺癌、乳癌、結腸癌、脳癌、神経芽腫、前立腺癌、黒色腫、多形グリア芽腫、卵巣癌、リンパ腫、白血病、黒色腫、肉腫、腫瘍随伴病変(paraneospasia)、骨肉腫、胚細胞腫、神経膠腫および中皮腫からなる群より選択される、項1~13いずれか記載の方法。
項16
癌が、腎細胞癌、非小細胞肺癌、尿路上皮癌、頭頸部癌、卵巣癌、リンパ腫、黒色腫、膵臓癌、骨髄腫、急性骨髄性白血病、膀胱癌およびホジキンリンパ腫から選択される、項1~13いずれか記載の方法。
項17
式:
【化A-2】

により表される化合物またはその薬学的に許容され得る塩の有効量および免疫チェックポイント阻害剤の有効量を含む、医薬組成物。
項18
免疫チェックポイント阻害剤が、抗体またはその抗原結合断片である、項17記載の医薬組成物。
項19
免疫チェックポイント阻害剤が、モノクローナル抗体またはその抗原結合断片である、項17および18いずれか記載の医薬組成物。
項20
免疫チェックポイント阻害剤が、CD40L阻害剤、DR3阻害剤、TL1A阻害剤、GITR阻害剤、GITRL阻害剤、4-1BB阻害剤、4-1BBL阻害剤、OX40阻害剤、OX40L阻害剤、CD27阻害剤、CD70阻害剤、TMIGD2阻害剤、HHLA2阻害剤、ICOS阻害剤、ICOSL阻害剤、B7RP1阻害剤、CD28阻害剤、PD-1阻害剤、PD-L1阻害剤、PD-L2阻害剤、CTLA-4阻害剤、CD80阻害剤、CD86阻害剤、KIR阻害剤、TCR阻害剤、LAG3阻害剤、MHCI阻害剤、MHCII阻害剤、CD80阻害剤、TIM-3阻害剤、GAL9阻害剤、BTLA阻害剤、HVEM阻害剤、CD160阻害剤、CD137阻害剤、CD137L阻害剤、LIGHT阻害剤、ホスファチジルセリン阻害剤、VISTA阻害剤、BTNL2阻害剤、B7-H3阻害剤およびB7-H4阻害剤から選択される1つ以上である、項17~19いずれか記載の医薬組成物。
項21
免疫チェックポイント阻害剤が、PD-1阻害剤、PD-L1阻害剤およびCTLA-4阻害剤から選択される1つ以上である、項17~20いずれか記載の医薬組成物。
項22
免疫チェックポイント阻害剤がPD-1阻害剤である、項17~21いずれか記載の医薬組成物。
項23
免疫チェックポイント阻害剤がPD-L1阻害剤である、項17~21いずれか記載の医薬組成物。
項24
免疫チェックポイント阻害剤が、抗腫瘍T細胞活性を回復させる、項17~22いずれか記載の医薬組成物。
項25
免疫チェックポイント阻害剤が、T細胞抑制性細胞活性を遮る、項17~21および23いずれか一項記載の医薬組成物。
項26
免疫チェックポイント阻害剤が、ペンブロリズマブ、イピリムマブ、ニボルマブ、アテゾリズマブ、アベルマブおよびデュルバルマブから選択される1つ以上である、項17~21いずれか記載の医薬組成物。
項27
免疫チェックポイント阻害剤が、JS001、SHR-1210、BGB-A317、IBI-308、REGN2810、JS003、SHR-1316、KN035、BMS-936559、LAG525、BMS-986016、MBG453、MEDI-570、OREG-103/BY40およびリリルマブから選択される1つ以上である、項17~20いずれか記載の医薬組成物。
項28
免疫チェックポイント阻害剤が、CJS001、SHR-1210、BGB-A317、IBI-308およびREGN2810から選択される1つ以上である、項17~22、24および27いずれか一項記載の医薬組成物。
項29
免疫チェックポイント阻害剤が、JS003、SHR-1316、KN035およびBMS-936559から選択される1つ以上である、項17~21、23、25および27いずれか一項記載の医薬組成物。
図1-1】
図1-2】
図1-3】
図1-4】
図1-5】
図2-1】
図2-2】
図3-1】
図3-2】
【手続補正書】
【提出日】2023-09-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】

【化1】

により表される化合物またはその薬学的に許容され得る塩の有効量を含む、癌治療に使用するための医薬であって、該医薬は、PD-L1阻害剤の有効量と組み合わせて投与される、医薬
【請求項2】
PD-L1阻害剤が抗PD-L1抗体またはその抗原結合断片である、請求項1記載の医薬
【請求項3】
PD-L1阻害剤が、抗PD-L1モノクローナル抗体またはその抗原結合断片である、請求項1または2記載の医薬
【請求項4】
PD-L1阻害剤が、抗腫瘍T細胞活性を回復させる、請求項1~いずれか記載の医薬
【請求項5】
PD-L1阻害剤が、T細胞抑制性細胞活性を遮る、請求項1~いずれか記載の医薬
【請求項6】
式:
【化2】

により表される化合物またはその薬学的に許容され得る塩の有効量を含む、癌の治療に使用するための医薬であって、該医薬は、PD-L1阻害剤の有効量と組み合わせて投与され、該PD-L1阻害剤が、アテゾリズマブ、アベルマブおよびデュルバルマブ(durvalumab)から選択されるものである、医薬
【請求項7】
式:
【化3】

により表される化合物またはその薬学的に許容され得る塩の有効量を含む、癌の治療に使用するための医薬であって、該医薬は、PD-L1阻害剤の有効量と組み合わせて投与され、該PD-L1阻害剤が、JS003、SHR-1316、KN035およびBMS-936559から選択されるものである、医薬
【請求項8】
癌が、乳癌、結腸癌、直腸癌、結腸直腸癌、肺癌、腹膜の癌、胃癌(gastric or stomach cancer)、胃腸癌、子宮頸癌、肝臓癌、膀胱癌、ヘパトーム、卵巣癌、子宮内膜癌または子宮癌、前立腺癌、精巣癌、白血病、リンパ腫、血液の悪性疾患、脳癌、頭頸部癌、膵臓癌、黒色腫、肝細胞癌、腎臓癌(kidney or renal cancer)、外陰癌、甲状腺癌、肝癌、肛門癌、陰茎癌、メルケル細胞癌、菌状息肉腫(mycoses fungoids)、食道癌、胆管の腫瘍、唾液腺癌、肉腫、網膜芽腫、脂肪肉腫、滑膜細胞肉腫、神経内分泌腫瘍、ガストリノーマ、島細胞癌、中皮腫、神経鞘腫、聴神経腫、髄膜腫、腺癌、扁平上皮癌および上皮の扁平上皮癌(epithelial squamous cell cancer)からなる群より選択される、請求項1~いずれか記載の医薬
【請求項9】
癌が、膵臓癌、肺癌、乳癌、結腸癌、脳癌、神経芽腫、前立腺癌、黒色腫、多形グリア芽腫、卵巣癌、リンパ腫、白血病、黒色腫、肉腫、腫瘍随伴病変(paraneospasia)、骨肉腫、胚細胞腫、神経膠腫および中皮腫からなる群より選択される、請求項1~いずれか記載の医薬
【請求項10】
癌が、腎細胞癌、非小細胞肺癌、尿路上皮癌、頭頸部癌、卵巣癌、リンパ腫、黒色腫、膵臓癌、骨髄腫、急性骨髄性白血病、膀胱癌およびホジキンリンパ腫から選択される、請求項1~いずれか記載の医薬
【請求項11】
式:
【化4】

により表される化合物またはその薬学的に許容され得る塩の有効量およびPD-L1阻害剤の有効量を含む、医薬組成物。
【請求項12】
PD-L1阻害剤が、抗PD-L1抗体またはその抗原結合断片である、請求項11記載の医薬組成物。
【請求項13】
PD-L1阻害剤が、抗PD-L1モノクローナル抗体またはその抗原結合断片である、請求項11または12記載の医薬組成物。
【請求項14】
PD-L1阻害剤が、抗腫瘍T細胞活性を回復させる、請求項1113いずれか記載の医薬組成物。
【請求項15】
PD-L1阻害剤が、T細胞抑制性細胞活性を遮る、請求項1113いずれか記載の医薬組成物。
【請求項16】
式:
【化5】

により表される化合物またはその薬学的に許容され得る塩の有効量およびPD-L1阻害剤の有効量を含む、癌の治療のための医薬組成物であって、該PD-L1阻害剤が、アテゾリズマブ、アベルマブおよびデュルバルマブから選択されるものである、医薬組成物。
【請求項17】
式:
【化6】

により表される化合物またはその薬学的に許容され得る塩の有効量およびPD-L1阻害剤の有効量を含む、癌の治療のための医薬組成物であって、該PD-L1阻害剤が、JS003、SHR-1316、KN035およびBMS-936559から選択されるものである、医薬組成物。