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  • 特開-排泄物処理材及びその製造方法 図1
  • 特開-排泄物処理材及びその製造方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023155488
(43)【公開日】2023-10-20
(54)【発明の名称】排泄物処理材及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A01K 1/015 20060101AFI20231013BHJP
【FI】
A01K1/015 B
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023142672
(22)【出願日】2023-09-04
(62)【分割の表示】P 2019172601の分割
【原出願日】2019-09-24
(71)【出願人】
【識別番号】321000026
【氏名又は名称】株式会社大貴
(74)【代理人】
【識別番号】100179327
【弁理士】
【氏名又は名称】大坂 憲正
(72)【発明者】
【氏名】吉永 隼士
(57)【要約】
【課題】排泄物からの悪臭を緩和することのできる排泄物処理材及びその製造方法を提供する。
【解決手段】排泄物処理材1は、排泄物を内部に導く粒状体10を備えている。粒状体10には、ユーグレナ粉末が含有されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
排泄物を内部に導く粒状体を備え、
前記粒状体は、粒状の芯部と、前記芯部を覆う被覆部とを有し、
前記粒状体には、ユーグレナ粉末が含有されており、
前記ユーグレナ粉末は、前記芯部及び前記被覆部の双方に含有されていることを特徴とする排泄物処理材。
【請求項2】
請求項1に記載の排泄物処理材において、
前記粒状体に占める前記ユーグレナ粉末の重量割合は、1%以上10%以下である排泄物処理材。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の排泄物処理材において、
前記粒状体は、前記ユーグレナ粉末以外の有機物を主材料とする排泄物処理材。
【請求項4】
請求項3に記載の排泄物処理材において、
前記粒状体の主材料である前記有機物は、紙類、茶殻、プラスチック類又はオカラである排泄物処理材。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れかに記載の排泄物処理材において、
前記粒状体は、有機物のみからなる排泄物処理材。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れかに記載の排泄物処理材において、
前記芯部は、前記排泄物を吸水及び保水する機能を有する排泄物処理材。
【請求項7】
排泄物を内部に導く粒状体を備える排泄物処理材を製造する方法であって、
ユーグレナ粉末を準備する準備工程と、
前記ユーグレナ粉末を含有するように前記粒状体を形成する粒状体形成工程と、を含み、
前記粒状体形成工程は、粒状の芯部を形成する芯部形成工程と、前記芯部を覆う被覆部を形成する被覆部形成工程とを含み、
前記芯部形成工程においては、前記ユーグレナ粉末を含有する前記芯部を形成し、
前記被覆部形成工程においては、前記ユーグレナ粉末を含有する前記被覆部を形成することを特徴とする排泄物処理材の製造方法。
【請求項8】
請求項7に記載の排泄物処理材の製造方法において、
前記粒状体形成工程においては、前記粒状体に占める前記ユーグレナ粉末の重量割合が1%以上10%以下となるように、当該粒状体を形成する排泄物処理材の製造方法。
【請求項9】
請求項7又は8に記載の排泄物処理材の製造方法において、
前記粒状体形成工程においては、前記ユーグレナ粉末以外の有機物を主材料とする前記粒状体を形成する排泄物処理材の製造方法。
【請求項10】
請求項9に記載の排泄物処理材の製造方法において、
前記粒状体の主材料である前記有機物は、紙類、茶殻、プラスチック類又はオカラである排泄物処理材の製造方法。
【請求項11】
請求項7乃至10の何れかに記載の排泄物処理材の製造方法において、
前記粒状体形成工程においては、有機物のみからなる前記粒状体を形成する排泄物処理材の製造方法。
【請求項12】
請求項7乃至11の何れかに記載の排泄物処理材の製造方法において、
前記芯部形成工程においては、前記排泄物を吸水及び保水する機能を有する前記芯部を形成する排泄物処理材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排泄物処理材及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の排泄物処理材としては、例えば特許文献1に記載されたものがある。同文献に記載された排泄物処理材は、吸水性を有する粒状体からなり、動物等の排泄物を吸収するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-97996号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の排泄物処理材においては、粒状体の内部に残留した排泄物からアンモニア臭等の悪臭が発生し、その悪臭が当該排泄物処理材の周囲に漂うことがある。このことは、ユーザ(動物の飼主等)に不快感を与える要因となる。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、排泄物からの悪臭を緩和することのできる排泄物処理材及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による排泄物処理材は、排泄物を内部に導く粒状体を備え、上記粒状体には、ユーグレナ粉末が含有されていることを特徴とする。
【0007】
この排泄物処理材においては、粒状体にユーグレナ粉末が含有されている。ユーグレナ粉末は、アンモニア臭等の悪臭に対して脱臭効果を発揮する。このため、粒状体の内部に残留した排泄物から悪臭が発生した場合であっても、その悪臭を緩和することができる。
【0008】
また、本発明による排泄物処理材の製造方法は、排泄物を内部に導く粒状体を備える排泄物処理材を製造する方法であって、ユーグレナ粉末を準備する準備工程と、上記ユーグレナ粉末を含有するように上記粒状体を形成する粒状体形成工程と、を含むことを特徴とする。
【0009】
この製造方法においては、ユーグレナ粉末を含有する粒状体が形成される。ユーグレナ粉末は、アンモニア臭等の悪臭に対して脱臭効果を発揮する。このため、製造後の排泄物処理材においては、粒状体の内部に残留した排泄物から悪臭が発生した場合であっても、その悪臭を緩和することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、排泄物からの悪臭を緩和することのできる排泄物処理材及びその製造方法が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明による排泄物処理材の一実施形態を示す模式図である。
図2】粒状体10を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0013】
図1は、本発明による排泄物処理材の一実施形態を示す模式図である。排泄物処理材1は、人又は動物の排泄物の処理に用いられる排泄物処理材であって、複数の粒状体10を備えている。各粒状体10の粒径は、例えば、5mm以上15mm以下である。ここで、粒状体10の粒径は、粒状体10を内包しうる最小の球の直径として定義される。排泄物処理材1は、例えば、複数の粒状体10が箱状のトイレに敷設された状態で使用される。
【0014】
粒状体10は、排泄物を当該粒状体10の内部に導くように構成されている。粒状体10は、吸水性を有している。粒状体10には、ユーグレナ粉末が含有されている。粒状体10に占めるユーグレナ粉末の重量割合は、1%以上10%以下であることが好ましい。ユーグレナ粉末は、ミドリムシ等のユーグレナを乾燥させて粉末状にしたものである。
【0015】
粒状体10は、ユーグレナ粉末以外の有機物を主材料としている。ここで、粒状体10の主材料とは、粒状体10を構成する材料のうち、当該粒状体10に占める重量割合が最大のものをいう。粒状体10の主材料である有機物としては、例えば、紙類、茶殻、プラスチック類又はオカラを用いることができる。粒状体10は、有機物(ユーグレナ粉末を含む)のみからなることが好ましい。
【0016】
紙類は、パルプを主体とする材料をいう。紙類としては、例えば、通常の紙の他にも、塩ビ壁紙分級物(塩ビ壁紙を分級することにより得られる紙)、フラッフパルプ、製紙スラッジ、パルプスラッジ等が挙げられる。プラスチック類としては、例えば、紙おむつ分級物(紙おむつを分級することにより得られるプラスチック)を用いてもよい。オカラは、乾燥オカラであることが好ましい。
【0017】
図2は、粒状体10を示す模式図である。粒状体10は、芯部12及び被覆部14を有している。芯部12は、粒状をしている。かかる粒状の形状としては、例えば、球、円柱、楕円体等が挙げられる。芯部12は、排泄物(特に尿)を吸水及び保水する機能を有する。芯部12は、ユーグレナ粉末以外の有機物を主材料としている。芯部12は、接着性材料を含有していてもよいし、含有していなくてもよい。接着性材料としては、例えば、CMC(カルボキシメチルセルロース)、PVA(ポリビニルアルコール)、デキストリン、又は吸水性ポリマーを用いることができる。
【0018】
被覆部14は、芯部12を覆っている。被覆部14は、芯部12の表面の全体を覆っていてもよいし、芯部12の表面の一部のみを覆っていてもよい。被覆部14は、使用時に排泄物を吸収した粒状体10どうしを接着させて固まりにする機能(固まり形成機能)を有する。被覆部14は、接着性材料を含有している。被覆部14も、ユーグレナ粉末以外の有機物を主材料としている。本実施形態においては、芯部12及び被覆部14の双方にユーグレナ粉末が含有されている。
【0019】
続いて、本発明による排泄物処理材の製造方法の一実施形態として、排泄物処理材1の製造方法の一例を説明する。この製造方法は、準備工程、及び粒状体形成工程を含んでいる。
【0020】
準備工程は、ユーグレナ粉末を準備する工程である。この工程においては、ユーグレナからユーグレナ粉末を製造してもよいし、既製のユーグレナ粉末を調達してもよい。
【0021】
粒状体形成工程は、粒状体10を形成する工程である。この工程においては、準備工程において準備されたユーグレナ粉末を含有するように粒状体10を形成する。このとき、粒状体10に占めるユーグレナ粉末の重量割合が1%以上10%以下となるように粒状体10を形成することが好ましい。
【0022】
粒状体形成工程は、芯部形成工程及び被覆部形成工程を含んでいる。芯部形成工程は、芯部12を形成する工程である。この工程においては、造粒装置を用いて芯部材料(芯部12を構成する材料)を造粒することにより、複数の芯部12を形成する。造粒装置としては、例えば押出造粒機を用いることができる。造粒に先立って、芯部材料には、粉砕、混練、加水等の前処理が必要に応じて行われる。本実施形態においては、芯部材料にユーグレナ粉末が含まれており、ユーグレナ粉末を含有する芯部12が形成される。
【0023】
被覆部形成工程は、被覆部14を形成する工程である。この工程においては、コーティング装置等を用いて、各芯部12の表面に粉体状の被覆材料(被覆部14を構成する材料)を付着させることにより、被覆部14を形成する。被覆材料の付着は、例えば、散布又は噴霧により行うことができる。本実施形態においては、被覆材料にもユーグレナ粉末が含まれており、ユーグレナ粉末を含有する被覆部14が形成される。その後、篩分け(分粒)、乾燥等の後処理が必要に応じて行われる。以上により、複数の粒状体10からなる排泄物処理材1が得られる。
【0024】
本実施形態の効果を説明する。本実施形態においては、ユーグレナ粉末を含有する粒状体10が形成される。ユーグレナ粉末は、アンモニア臭等の悪臭に対して脱臭効果を発揮する。ユーグレナの成分であるパラミロンが、多孔質構造を有しており、悪臭物質を吸着するためである。このため、製造後の排泄物処理材1においては、粒状体10の内部に残留した排泄物から悪臭が発生した場合であっても、その悪臭を緩和することができる。したがって、排泄物からの悪臭を緩和することのできる排泄物処理材1及びその製造方法が実現されている。
【0025】
かかる脱臭効果を充分に引き出すには、粒状体10に占めるユーグレナ粉末の重量割合が1%以上であることが好ましい。他方、当該重量割合が大きすぎると、粒状体10ひいては排泄物処理材1の製造コストが高くなってしまう。かかる観点から、粒状体10に占めるユーグレナ粉末の重量割合は、10%以下であることが好ましい。
【0026】
粒状体10は、有機物を主材料としている。これにより、焼却処分に適した粒状体10を得ることができる。このように粒状体10が焼却処分に適していれば、使用済みの排泄物処理材1を可燃ゴミとして捨てることができるため、ユーザにとっての利便性が向上する。粒状体10が有機物のみからなる場合、焼却処分に特に適した粒状体10を得ることができる。
【0027】
芯部12は、排泄物を吸水及び保水する機能を有している。この場合、粒状体10の内部に導かれた排泄物の大部分が芯部12に残留することになる。それゆえ、当該排泄物からの悪臭が発生しやすくなるため、かかる悪臭を緩和することのできる排泄物処理材1が特に有用となる。
【0028】
粒状体10は、芯部12及び被覆部14からなる二層構造を有している。これにより、吸水・保水機能は主に芯部12に担わせ、固まり形成機能は主に被覆部14に担わせるというように、機能を分担させることができる。そして、芯部12及び被覆部14の材料として、それぞれの機能に適したものを選択することにより、複数の機能を共に高めることができる。
【0029】
芯部12及び被覆部14の双方にユーグレナ粉末が含有されている。これにより、芯部12に残留した排泄物からの悪臭だけでなく被覆部14に残留した排泄物からの悪臭も効果的に緩和することができる。
【0030】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。上記実施形態においては、芯部12及び被覆部14の双方にユーグレナ粉末が含有される場合を例示した。しかし、ユーグレナ粉末は、芯部12及び被覆部14の何れか一方にのみ含有されてもよい。その場合、ユーグレナ粉末の使用量を節約し、それにより排泄物処理材1の製造コストを削減することができる。
【0031】
ユーグレナ粉末が芯部12及び被覆部14のうち芯部12にのみ含有される場合、ユーグレナ粉末が粒状体10の外に飛散するのを確実に防ぐことができる。他方、ユーグレナ粉末が芯部12及び被覆部14のうち被覆部14にのみ含有される場合、当該ユーグレナ粉末の脱臭効果は、被覆部14に残留した排泄物からの悪臭だけでなく、芯部12に残留した排泄物からの悪臭に対しても及ぶことになる。すなわち、被覆部14に含有されたユーグレナ粉末の脱臭効果は、被覆部14において発生した悪臭に対して及ぶことは勿論、芯部12において発生し被覆部14に移行した悪臭に対しても及ぶ。そのため、少量のユーグレナ粉末であっても、排泄物からの悪臭を効率良く緩和することができる。
【0032】
上記実施形態においては、粒状体10が、芯部12及び被覆部14からなる複層構造を有する場合を例示した。しかし、被覆部14を設けることは必須でない。すなわち、粒状体10は、芯部12のみからなる単層構造を有していてもよい。その場合、芯部12に接着性材料が含有されることが好ましい。
【0033】
上記実施形態においては、吸水性を有する粒状体10を例示した。しかし、粒状体としては、当該粒状体の内部を排泄物が通過するようにした透水性のものを用いてもよい。かかる透水性を有する粒状体もまた、吸水性を有する粒状体と同様、「排泄物を内部に導く粒状体」に該当する。透水性を有する粒状体においても、その内部に多少の排泄物が残留するため、当該排泄物からの悪臭を緩和することのできる本発明が有用である。
【符号の説明】
【0034】
1 排泄物処理材
10 粒状体
12 芯部
14 被覆部
図1
図2