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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023155523
(43)【公開日】2023-10-23
(54)【発明の名称】システム天井
(51)【国際特許分類】
   E04B 9/18 20060101AFI20231016BHJP
【FI】
E04B9/18 K
E04B9/18 B
E04B9/18 N
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022064873
(22)【出願日】2022-04-11
(71)【出願人】
【識別番号】591170647
【氏名又は名称】三協フロンテア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074251
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 寛
(74)【代理人】
【識別番号】100066223
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 政美
(72)【発明者】
【氏名】相澤 佑介
(57)【要約】
【課題】天井パネルの落下防止構造を合理化し、天井パネルを設置した後に、室内側から天井パネルの落下防止作業が可能になるシステム天井を提供する。
【解決手段】天井パネルQの目地Q1の上に設置する天井材支持金具10を設ける。天井パネルQの上面に予め固定する取り合い金具20を設ける。天井材支持金具10と取り合い金具20とを着脱自在に連結する。天井材支持金具10上の一部に配置する補強金具30を設ける。天井材支持金具10の下から補強金具30をネジ止めする連結ボルト35を設ける。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吊りボルトに支持され設置する天井パネルの目地の位置の上に合わせて予め平行に設置する複数本の天井材支持金具と、天井パネルの上面に予め固定され天井材支持金具の長手外側縁に沿って着脱自在に係止する取り合い金具とを形成し、天井材支持金具の上面側に配置され天井材支持金具から係止した取り合い金具の上面に至る補強金具と、天井材支持金具の下から貫通して補強金具を天井材支持金具上にネジ止めする連結ボルトとを設け、連結ボルトに緊締された補強金具が、天井材支持金具と取り合い金具との係止部分を圧着固定するように構成したことを特徴とするシステム天井。
【請求項2】
前記天井材支持金具と前記取り合い金具との係止部分は、前記天井材支持金具の長手側面に沿って形成した上向き係止片に、前記取り合い金具の長手側面に沿って形成した下向き係止片を上から係止して連結するように構成した請求項1記載のシステム天井。
【請求項3】
前記天井材支持金具側面に連結して井桁状に組み合わせる連結金具を設け、前記取り合い金具を連結金具に連結するワイヤーを備えた請求項1記載のシステム天井。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天井パネルの落下防止構造において天井パネル設置後に室内側から天井パネルの落下を防止することができるシステム天井に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、天井パネルの落下を防止する構造として、ワイヤー部材を使用する野縁取付金具が提案されている(特許文献1)。
【0003】
この野縁取付金具は、天井パネル10に固定した野縁部材3等をワイヤー部材28で吊りボルト6等に連結して天井パネル10の落下を防止するように構成されている。すなわち、第1の野縁部材3に係止する第1の係止部15と、第2の野縁部材4に係止する第2の係止部17とを備えた野縁取付金具12を使用する。
【0004】
更に、この野縁取付金具12にボルト29を連結すると共に、このボルト29に挿通固定したワイヤー部材28で野縁取付金具12を吊りボルト6や野縁受部材8等に連結するものである。
【0005】
この結果、地震等の揺れによってクリップなどの野縁固定金具9が破損して、各野縁部材3,4と共に天井パネル10が落下しそうになったとしてもワイヤー部材28で天井パネル10を吊り下げ保持するというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第6215599号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、このような落下防止構造では、第1の野縁部材3と、第2の野縁部材4の夫々に、第1の係止部15や第2の係止部17を係止し、更に、ワイヤー部材28を吊りボルト6や野縁受部材8等に連結する作業になる。そのため、天井パネル10の落下防止作業に極めて多くの手間を要するものであった。
【0008】
しかも、これらの落下防止作業は、いずれも天井パネル10を設置する前の天井裏での作業になる。そのため作業者は、格子状に組まれた野縁部材3や野縁受部材8の間から天井裏に移動して行う落下防止作業になり、その後、天井パネル10を設置する作業になるので作業効率においても課題があった。
【0009】
そこで、本発明は上述の課題を解消すべく創出されたもので、天井パネルの落下防止構造を合理化し、天井パネルを設置した後に、室内側から天井パネルの落下防止作業が可能になるシステム天井の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述の目的を達成すべく本発明における第1の手段は、吊りボルトPに支持され、設置する天井パネルQの目地Q1の位置の上に合わせて予め平行に設置する複数本の天井材支持金具10と、天井パネルQの上面に予め固定され天井材支持金具10の長手外側縁に沿って着脱自在に係止する取り合い金具20とを形成し、天井材支持金具10の上面側に配置され天井材支持金具10から係止した取り合い金具20の上面に至る補強金具30と、天井材支持金具10の下から貫通して補強金具30を天井材支持金具10上にネジ止めする連結ボルト35とを設け、連結ボルト35に緊締された補強金具30が、天井材支持金具10と取り合い金具20との係止部分を圧着固定するように構成したものである。
【0011】
第2の手段は、前記天井材支持金具10と前記取り合い金具20との係止部分は、前記天井材支持金具10の長手側面に沿って形成した上向き係止片11に、前記取り合い金具20の長手側面に沿って形成した下向き係止片21を上から係止して連結するように構成している。
【0012】
第3の手段は、前記天井材支持金具10側面に連結して井桁状に組み合わせる連結金具40を設け、前記取り合い金具20を連結金具40に連結するワイヤー50を備えたことにある。
【発明の効果】
【0013】
本発明によると、天井パネルの室内側から補強金具30を連結ボルト35で緊締するといった簡単な作業で天井パネルの落下防止ができるといった極めて合理的な落下防止工事が可能になる。
【0014】
しかも、補強金具30は、天井材支持金具10に取り合い金具20を係止した係止部分を上方から圧着固定する構成なので、地震等の揺れが発生しても係止部分のずれを確実に防止することができる。
【0015】
この係止部分は、天井材支持金具10の長手側面に沿って形成した上向き係止片11に、取り合い金具20の長手側面に沿って形成した下向き係止片21を上から係止する構成なので、天井パネルQの取付け作業が極めて簡単な作業になる。
【0016】
また、連結ボルト35を目地Q1に配したことで、室内からの簡単な作業で天井パネルQを固定できると共に、天井パネルQの下面から連結ボルト35が露出しない良好な外観になる。
【0017】
更に、天井パネルQの上面に予め固定された取り合い金具20を連結金具40に連結するワイヤー50を備えたことにより、万が一、不測の事態が生じたとしても、天井パネルQは吊りボルトPから落下しないので、使用上のリスクを限りなく低減する。しかも、このワイヤー50連結作業も天井パネルQの取付け作業時に室内側から行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施例を示す一部側面図である。
図2】本発明の一実施例を示す一部平面図である。
図3】本発明の天井材支持金具を介して吊りボルトに天井パネルを固定する状態を示す要部側断面図である。
図4】本発明の補強金具の装着状態を示し、(イ)は圧着前、(ロ)は圧着後を示す要部側断面図である。
図5】本発明の取り合い金具を示す平面図である。
図6図5に示す矢視VI―VI線断面図である。
図7】本発明のワイヤーの連結状態を示す要部断面図である。
図8】本発明の補強金具の一実施例を示す斜視図である。
図9】本発明の天井材支持金具と取り合い金具の一実施例を示す要部斜視図である。
図10】本発明の目地から連結ボルトを締め付ける斜視図である。
図11】本発明のワイヤーで天井パネルを支持する状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を説明する。本発明は主に、天井材支持金具10、取り合い金具20、補強金具30、連結金具40を使用して天井パネルQの落下を防止する天井構造である。
【0020】
天井材支持金具10は溝型鋼状を成した支持部材で、吊りボルトPに懸吊支持される(図3参照)。この天井材支持金具10は、取り合い金具20を介して天井パネルQを吊りボルトPに連結する。
【0021】
この際、天井材支持金具10は、連結した天井パネルQの目地Q1の位置の上に沿った状態になる(図9参照)。一方、この天井材支持金具10に井桁状に組み合わせてある連結金具40も、天井パネルQの目地Q1の位置の上に沿った状態になるように構成している(図2参照)。
【0022】
また、この天井材支持金具10の上に補強金具30を装着する場合もある(図4(イ)参照)。この場合、天井パネルQの四隅を固定する位置に配した天井材支持金具10を下から貫通する連結ボルト35で補強金具30を固定する。この補強金具30は、天井材支持金具10と取り合い金具20との係止部分を圧着固定するものである(同図(ロ)参照)。
【0023】
天井材支持金具10には、左右の長手外側面に沿って上向き係止片11が形成されており、天井パネルQを設置するには、この上向き係止片11を取り合い金具20の下向き係止片21に着脱自在に係止する(図3参照)。すなわち、室内側から天井パネルQを持ち上げて、天井材支持金具10の上向き係止片11に取り合い金具20の下向き係止片21を係止固定するものである。
【0024】
図示の天井材支持金具10は、溝形鋼状を成した断面倒コ字状の連結体12の上面に、同じく溝型鋼状を成し連結体12より開口部が狭い支持体13を、断面倒コ字状に重ねた状態で固着している(図3参照)。そして、連結体12の下向きの開口部側の外側縁に沿って上向き係止片11を突出形成したものである。このとき、上向き係止片11の上面に緩衝材15を配置してあり、この緩衝材15で連結体12と取り合い金具20との間隙が一定になる。
【0025】
一方、支持体13には吊りボルトPや連結ボルト35を挿通する挿通孔が開口されており、この挿通孔を通した吊りボルトPに支持体13をナット14で固定すると、天井材支持金具10が吊りボルトPに懸吊される(図3参照)。
【0026】
また、連結体12にも挿通孔が開口されており、連結体12の挿通孔から支持体13の挿通孔に向けて挿入される連結ボルト35によって、補強金具30をネジ止めする(図4参照)。このように、天井材支持金具10は、吊りボルトPを連結する場合と、連結ボルト35で補強金具30を連結する場合との二通りで使用するものである。
【0027】
取り合い金具20は、天井パネルQの上面に予め固定される杆体状の固定部材である(図5参照)。この取り合い金具20の長手外側面に沿って下向き係止片21が形成されている(図6参照)。そして、この下向き係止片21を天井材支持金具10の上向き係止片11に上から係止することで、天井材支持金具10に天井パネルQが着脱自在に係止される(図3参照)。
【0028】
補強金具30は、天井材支持金具10の上に配置する部材である。そして連結ボルト35で天井材支持金具10に連結し、この連結ボルト35を緊締すると、天井材支持金具10と取り合い金具20との係止部分を、上から圧着固定するように構成している(図4及び図8参照)。
【0029】
図示の補強金具30は、天井材支持金具10の支持体13の外側面に重合する倒コ字状の支持体嵌合部31と、連結体12の外側面に嵌合する略L字状を成す連結体嵌合部32と、取り合い金具20の上面に圧接する圧接片33とで断面略階段状を成している(図4(イ)参照)。
【0030】
更に、支持体嵌合部31にはナット36が溶接されており、下から天井材支持金具10を貫通した連結ボルト35をナット36にネジ止めすると、連結ボルト35に緊締された補強金具30が、天井材支持金具10の上面から取り合い金具20の上面にかけて圧着する(図4(ロ)参照)。この連結ボルト35は、予め補強金具30に仮止めしておき、天井パネルQを装着後、目地Q1の位置で突出している連結ボルト35を室内側から締め付ける(図10参照)。
【0031】
補強金具30が連結ボルト35で緊締されると、係止状態の天井材支持金具10と取り合い金具20は、補強金具30によって一体化され、圧着した係止部分の位置ずれを防止する(図4(ロ)参照)。このとき、支持体嵌合部31の下面や圧接片33の下面に緩衝材34を配置すると、より強固に一体化することができる(同図(イ)参照)。
【0032】
連結金具40は、天井材支持金具10側面に連結して井桁状に組み合わせる杆状部材である(図2参照)。この連結金具40の鉛直下方に沿って天井パネルQの目地Q1を形成することで、この連結金具40が目地Q1の間隙を塞ぐ目隠しとなる(図10参照)。
【0033】
更に、連結金具40と取り合い金具20とを連結するワイヤー50を設けている(図11参照)。図示のワイヤー50は、一対の取り合い金具20の側面に開穿した連結孔51にワイヤー50を連結し、このワイヤー50を連結金具40の連結ボルト41に連結する(図2参照)。
【0034】
このワイヤー50は、予め天井パネルQの取り合い金具20に形成した係止孔に装着している(図7参照)。天井パネルQを天井材支持金具10に係止する前にワイヤー50を連結金具40に連結し、その後、天井パネルQを天井材支持金具10に係止する(図11参照)。
【0035】
この結果、仮に不測の事態で補強金具30や連結ボルト35が機能せずに天井パネルQの係止部分が外れたとしても、このワイヤー50が天井パネルQの落下を防止することになる。
【0036】
尚、本発明天井構造は図示例に限定されるものではなく、天井材支持金具10や取り合い金具20、補強金具30、連結金具40等の構成や形状は任意に変更することができる。また、本発明の要旨を変更しない範囲での設計変更も自由である。
【符号の説明】
【0037】
P 吊りボルト
Q 天井パネル
Q1 目地
10 天井材支持金具
11 上向き係止片
12 連結体
13 支持体
14 ナット
15 緩衝材
20 取り合い金具
21 下向き係止片
30 補強金具
31 支持体嵌合部
32 連結体嵌合部
33 圧接片
34 緩衝材
35 連結ボルト
36 ナット
40 連結金具
41 連結ボルト
50 ワイヤー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11