(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023155541
(43)【公開日】2023-10-23
(54)【発明の名称】切断装置、及び、切断品の製造方法
(51)【国際特許分類】
B24B 53/00 20060101AFI20231016BHJP
B24B 53/12 20060101ALI20231016BHJP
B24B 27/06 20060101ALI20231016BHJP
H01L 21/301 20060101ALI20231016BHJP
H01L 21/677 20060101ALI20231016BHJP
【FI】
B24B53/00 K
B24B53/12 Z
B24B27/06 M
H01L21/78 F
H01L21/68 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022064914
(22)【出願日】2022-04-11
(71)【出願人】
【識別番号】390002473
【氏名又は名称】TOWA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100150072
【弁理士】
【氏名又は名称】藤原 賢司
(74)【代理人】
【識別番号】100185719
【弁理士】
【氏名又は名称】北原 悠樹
(72)【発明者】
【氏名】井口 晴貴
(72)【発明者】
【氏名】鍬田 詩織
(72)【発明者】
【氏名】堀本 京太郎
(72)【発明者】
【氏名】細見 隆也
【テーマコード(参考)】
3C047
3C158
5F063
5F131
【Fターム(参考)】
3C047AA33
3C047EE09
3C158AA03
3C158AA19
3C158AB04
3C158CB03
5F063AA28
5F063BA17
5F063BA25
5F063BA48
5F063DD06
5F063DD22
5F063DE01
5F063DE04
5F063DE19
5F063DE33
5F063FF01
5F063FF35
5F063FF42
5F063FF43
5F063FF51
5F131AA12
5F131AA23
5F131BA37
5F131BA39
5F131BA52
5F131BB03
5F131CA42
5F131DA03
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5F131DA22
5F131DA32
5F131DA33
5F131DA42
5F131DB22
5F131EB01
5F131GA02
5F131KA54
5F131KA56
5F131KB32
(57)【要約】
【課題】切断対象物を切断するように構成されており、かつ、ドレスボードの自動交換が可能な切断装置、及び、切断品の製造方法を提供する。
【解決手段】切断装置は、切断用テーブルと、切断機構と、ドレッシング用テーブルと、収容機構と、搬送機構とを備える。切断用テーブルは、切断対象物を保持する。切断機構は、切断用テーブルに保持された切断対象物をブレードによって切断する。ドレッシング用テーブルは、ブレードのドレッシングのためにドレスボードを保持する。収容機構は、複数のドレスボードを積層して収容する。搬送機構は、基板搬送部と、基板搬送部と共に移動可能なドレスボード搬送部とを含む。基板搬送部は、切断対象物を吸着すると共に、吸着された切断対象物を切断用テーブルへ搬送する。ドレスボード搬送部は、収容機構及びドレッシング用テーブル間において、ドレスボードを搬送する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
切断対象物を保持するように構成された切断用テーブルと、
前記切断用テーブルに保持された前記切断対象物をブレードによって切断するように構成された切断機構と、
前記ブレードのドレッシングのためにドレスボードを保持するように構成されたドレッシング用テーブルと、
複数の前記ドレスボードを積層して収容するように構成された収容機構と、
基板搬送部と、前記基板搬送部と共に移動可能なドレスボード搬送部とを含む搬送機構とを備え、
前記基板搬送部は、前記切断対象物を吸着すると共に、吸着された前記切断対象物を前記切断用テーブルへ搬送するように構成されており、
前記ドレスボード搬送部は、前記収容機構及び前記ドレッシング用テーブル間において、前記ドレスボードを搬送するように構成されている、切断装置。
【請求項2】
前記ドレスボード搬送部は、
前記収容機構に収容された未使用の前記ドレスボードを吸着すると共に、吸着された前記ドレスボードを前記収容機構から前記ドレッシング用テーブルへ搬送するように構成された取付用ローダと、
使用済みの前記ドレスボードを機械的に保持すると共に、機械的に保持された前記ドレスボードを前記ドレッシング用テーブルから前記収容機構へ搬送するように構成された回収用ローダとを含む、請求項1に記載の切断装置。
【請求項3】
前記基板搬送部による前記切断対象物の吸着における吸引源と、前記取付用ローダによる前記ドレスボードの吸着における吸引源とは共通である、請求項2に記載の切断装置。
【請求項4】
前記回収用ローダは、水平方向において互いに対向する一対の爪部を含み、
前記一対の爪部は、水平方向において開閉するように構成されており、
前記回収用ローダは、前記一対の爪部によって前記ドレスボードを挟むことにより前記ドレスボードを機械的に保持するように構成されている、請求項2又は請求項3に記載の切断装置。
【請求項5】
前記収容機構は、
未使用の前記ドレスボードを収容するように構成された第1収容部と、
使用済みの前記ドレスボードを収容するように構成された第2収容部とを含み、
前記第1収容部の形状と、前記第2収容部の形状とは異なり、
前記第2収容部は、複数の側壁部を含み、
前記複数の側壁部によって囲まれた空間内に使用済みの前記ドレスボードが収容され、
前記複数の側壁部のうち対向する2つの側壁部の各々の上端には切欠きが形成されている、請求項4に記載の切断装置。
【請求項6】
前記切断用テーブル及び前記ドレッシング用テーブルの両方を移動させるように構成された移動機構と、
前記切断対象物及び前記ドレスボードの各々を洗浄するように構成されたクリーニング部とをさらに備え、
前記移動機構は、前記切断対象物を前記切断用テーブルに保持させるセット位置と、前記切断対象物に切断加工を施す加工位置との間を移動するように構成されており、
前記クリーニング部は、前記セット位置と前記加工位置との間の領域に設けられている、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の切断装置。
【請求項7】
前記クリーニング部は、少なくとも液体を用いることによって前記切断対象物及び前記ドレスボードの各々を洗浄するように構成されている、請求項6に記載の切断装置。
【請求項8】
前記基板搬送部は、下方に延びるピンを含み、
前記切断用テーブルには孔が形成されており、
前記基板搬送部は、前記ピンが前記孔に進入した状態で、前記切断対象物を前記切断用テーブルに保持させるように構成されており、
前記ドレスボード搬送部は、平面視において前記基板搬送部と前記切断用テーブルとが重ならない状態で、前記ドレッシング用テーブルとの間で前記ドレスボードの授受を行なうように構成されている、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の切断装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の切断装置を用いた切断品の製造方法であって、
前記切断対象物を吸着すると共に、吸着された前記切断対象物を前記切断用テーブルへ搬送するステップと、
前記収容機構及び前記ドレッシング用テーブル間において、前記ドレスボードを搬送するステップと、
前記ドレッシング用テーブルに保持された前記ドレスボードを用いて前記ブレードのドレッシングを行なうステップと、
前記ドレッシングが行なわれた前記ブレードを用いて前記切断用テーブルに保持された前記切断対象物を切断し、前記切断品を製造するステップとを含む、切断品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切断装置、及び、切断品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2013-120794号公報(特許文献1)は、ウエーハ等のワークに溝加工及び切断加工を施すダイシング装置を開示する。このダイシング装置においては、高速回転するダイシングブレードを用いることによってワークに各加工が施される。また、ドレス部材にダイシングブレードで溝を切り込むことによって、ダイシングブレードのドレッシングが行なわれる。このダイシング装置においては、ドレス部材の交換が自動的に行なわれる(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示されている技術は、ウエーハ等のワークに溝加工及び切断加工を施すダイシング装置に関するものである。ダイシング装置が対象としない切断対象物、例えば、樹脂によって封止された封止済み基板を切断するように構成された切断装置に本技術をそのまま適用することは適切ではない。
【0005】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであって、その目的は、封止済み基板を含む切断対象物を切断するように構成されており、かつ、ドレスボードの自動交換が可能な切断装置、及び、切断品の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある局面に従う切断装置は、切断用テーブルと、切断機構と、ドレッシング用テーブルと、収容機構と、搬送機構とを備える。切断用テーブルは、切断対象物を保持するように構成されている。切断機構は、切断用テーブルに保持された切断対象物をブレードによって切断するように構成されている。ドレッシング用テーブルは、ブレードのドレッシングのためにドレスボードを保持するように構成されている。収容機構は、複数のドレスボードを積層して収容するように構成されている。搬送機構は、基板搬送部と、基板搬送部と共に移動可能なドレスボード搬送部とを含む。基板搬送部は、切断対象物を吸着すると共に、吸着された切断対象物を切断用テーブルへ搬送するように構成されている。ドレスボード搬送部は、収容機構及びドレッシング用テーブル間において、ドレスボードを搬送するように構成されている。
【0007】
また、本発明の他の局面に従う切断品の製造方法は、上記切断装置を用いた切断品の製造方法である。切断品の製造方法は、切断対象物を吸着すると共に、吸着された切断対象物を切断用テーブルへ搬送するステップと、収容機構及びドレッシング用テーブル間において、ドレスボードを搬送するステップと、ドレッシング用テーブルに保持されたドレスボードを用いてブレードのドレッシングを行なうステップと、ドレッシングが行なわれたブレードを用いて切断用テーブルに保持された切断対象物を切断し、切断品を製造するステップとを含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、封止済み基板を含む切断対象物を切断するように構成されており、かつ、ドレスボードの自動交換が可能な切断装置、及び、切断品の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】コンピュータのハードウェア構成を模式的に示す図である。
【
図3】収容機構の周辺を模式的に示す斜視図である。
【
図4】斜め下方から見た搬送機構を模式的に示す図である。
【
図5】斜め上方から見た搬送機構を模式的に示す図である。
【
図6】基板搬送部、取付用ローダ及び吸引源の相互の関係を説明するための図である。
【
図7】搬送機構の一部分の側面を模式的に示す図である。
【
図8】切断用テーブル及びドレッシング用テーブルを斜め上方から見た状態を模式的に示す図である。
【
図9】ドレスボード配置用部材の平面を模式的に示す図である。
【
図10】
図9のX-X断面を模式的に示す図である。
【
図11】ドレスボードの自動交換処理の手順を示すフローチャートである。
【
図12】
図11のステップS110において実行される処理を示すフローチャートである。
【
図13】ドレッシング用テーブルに保持されたドレスボードを回収するタイミングにおける搬送機構とテーブルとの位置関係を示す図である。
【
図14】
図11のステップS120において実行される処理を示すフローチャートである。
【
図15】ドレッシング用テーブル上に新品のドレスボードを配置するタイミングにおける搬送機構とテーブルとの位置関係を示す図である。
【
図16】ドレスボードの回収処理と取付け処理とを並行して行なう例を示すフローチャートである。
【
図17】他の実施の形態における新品ドレスホルダの周辺を模式的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一側面に係る実施の形態(以下、「本実施の形態」とも称する。)について、図面を用いて詳細に説明する。なお、図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。また、各図面は、理解の容易のために、適宜対象を省略又は誇張して模式的に描かれている。
【0011】
[1.構成]
<1-1.切断装置の全体構成>
図1は、本実施の形態に従う切断装置1を模式的に示す平面図である。切断装置1は、パッケージ基板(切断対象物の一例)を切断することによって、該パッケージ基板を複数の電子部品(パッケージ部品)に個片化するように構成されている。パッケージ基板の一例としては、半導体チップが装着された基板又はリードフレームが樹脂封止されたもの、及び、コンデンサ、抵抗等が樹脂封止されたものが挙げられる。また、本実施の形態では、パッケージ基板を切断対象物としているが、樹脂封止されていない基板又はウエーハが切断対象物であってもよい。
【0012】
パッケージ基板の一例としては、BGA(Ball Grid Array)パッケージ基板、LGA(Land Grid Array)パッケージ基板、CSP(Chip Size Package)パッケージ基板、LED(Light Emitting Diode)パッケージ基板及びQFN(Quad Flat No-leaded)パッケージ基板が挙げられる。
【0013】
また、切断装置1は、個片化された複数の電子部品の各々を検査するように構成されている。切断装置1においては、各電子部品の画像が撮像され、該画像に基づいて各電子部品の検査が行なわれる。該検査を通じて検査データが生成され、各電子部品は「良品」又は「不良品」に分類される。
【0014】
この例においては、切断対象物としてパッケージ基板P1が用いられ、切断装置1によってパッケージ基板P1が複数の電子部品S1に個片化される。以下では、パッケージ基板P1の両面のうち、樹脂封止された面をモールド面と称し、モールド面と反対の面をボール/リード面と称する。
【0015】
図1に示されるように、切断装置1は、構成要素として、切断モジュールA1と、検査・収納モジュールB1とを含んでいる。切断モジュールA1は、パッケージ基板P1を切断することによって複数の電子部品S1を製造するように構成されている。
【0016】
また、切断モジュールA1においては、パッケージ基板P1を切断するためのブレード6a(後述)のドレッシングが行なわれる。ブレード6aのドレッシングとは、ブレード6aの目立てを行なうことをいう。ブレード6aによってドレスボードD1(後述)に溝を形成することにより、ブレード6aのドレッシングが行なわれる。切断モジュールA1においては、ドレスボードD1の交換が自動的に行なわれる。ドレスボードD1の自動交換については、後程詳しく説明する。
【0017】
検査・収納モジュールB1は、製造された複数の電子部品S1の各々を検査し、その後、電子部品S1をトレイに収納するように構成されている。切断装置1において、各構成要素は、他の構成要素に対して着脱可能かつ交換可能である。
【0018】
切断モジュールA1は、主として、基板供給部3と、位置決め部4と、テーブル5と、スピンドル部6と、搬送部7とを含んでいる。
【0019】
基板供給部3は、複数のパッケージ基板P1を収容するマガジンM1からパッケージ基板P1を1つずつ押し出すことによって、パッケージ基板P1を1つずつ位置決め部4へ供給する。このとき、パッケージ基板P1は、ボール/リード面を上に向けて配置されている。
【0020】
位置決め部4は、レール部4aと、搬送機構4bと、収容機構43とを含んでいる。レール部4aにおいては、基板供給部3から押し出されたパッケージ基板P1がレール部4a上に配置され、パッケージ基板P1の位置決めが行なわれる。その後、搬送機構4bは、位置決めされたパッケージ基板P1をテーブル5へ搬送する。収容機構43は、複数のドレスボードD1(
図3)を積層して収容する。搬送機構4bは、必要に応じて収容機構43に収容されたドレスボードD1をテーブル5へ搬送する。なお、搬送機構4b及び収容機構43については、後程詳しく説明する。
【0021】
テーブル5は、切断対象のパッケージ基板P1を保持する。ここでは、2個のテーブル5を有するツインカットテーブル構成の切断装置1が例示されている。テーブル5は、切断用テーブル5aと、ドレッシング用テーブル5fと、回転機構5bと、移動機構5cとを含んでいる。
【0022】
切断用テーブル5aは、搬送機構4bによって搬送されたパッケージ基板P1を下方から吸着することによって、パッケージ基板P1を保持する。ドレッシング用テーブル5fは、搬送機構4bによって搬送されたドレスボードD1(
図3)を下方から吸着することによって、ドレスボードD1を保持する。詳細については後述するが、ドレッシング用テーブル5fに保持されるドレスボードD1の交換は、搬送機構4bによって自動的に行なわれる。
【0023】
回転機構5bは、切断用テーブル5a及びドレッシング用テーブル5fを図のθ1方向に回転させること(すなわち、水平面において回転させること)が可能である。移動機構5cは、切断用テーブル5a及びドレッシング用テーブル5fを図のY軸に沿って移動させることが可能である。より具体的には、移動機構5cは、パッケージ基板P1を切断用テーブル5aに保持させるセット位置(以下、単に「セット位置」とも称する。)と、パッケージ基板P1に切断加工を施す加工位置(以下、単に「加工位置」とも称する。)との間を移動可能である。
【0024】
スピンドル部6は、パッケージ基板P1を切断することによって、パッケージ基板P1を複数の電子部品S1に個片化する。ここでは、2個のスピンドル部6を有するツインスピンドル構成の切断装置1が例示されている。スピンドル部6は、図のX軸及びZ軸に沿って移動可能である。なお、切断装置1は、一個のスピンドル部6を有するシングルスピンドル構成としてもよい。
【0025】
スピンドル部6は、ブレード6aと、回転軸6cとを含んでいる。ブレード6aは、高速回転することによって、パッケージ基板P1を切断し、パッケージ基板P1を複数の電子部品S1に個片化する。ブレード6aは、不図示の第1及び第2フランジにより挟持された状態で、回転軸6cに装着される。第1及び第2フランジは、ナット等の不図示の締結部材によって回転軸6cに固定される。第1フランジは奥フランジとも称され、第2フランジは外フランジとも称される。また、ブレード6aを高速回転させることによってドレッシング用テーブル5fに保持されたドレスボードD1に溝を形成することにより、ブレード6aのドレッシングが行なわれる。これにより、ブレード6aの目立てが行なわれる。
【0026】
スピンドル部6には、切削水用ノズル、冷却水用ノズル及び端材飛ばし水用ノズル等が設けられる。切削水用ノズルは、高速回転するブレード6aに向かって切削水を噴射する。冷却水用ノズルは、パッケージ基板P1の切断箇所近傍に向かって冷却水を噴射する。端材飛ばし水用ノズルは、切断屑等を飛ばす端材飛ばし水を噴射する。
【0027】
切断用テーブル5aがパッケージ基板P1を吸着した後、第1位置確認カメラ5dによってパッケージ基板P1が撮像され、パッケージ基板P1の位置が確認される。第1位置確認カメラ5dを用いた確認は、例えば、パッケージ基板P1上に設けられたマークの位置の確認である。該マークは、例えば、パッケージ基板P1の切断位置を示す。
【0028】
その後、テーブル5は、図のY軸に沿いスピンドル部6に向かって移動する。テーブル5がスピンドル部6の下方に移動した後、テーブル5とスピンドル部6とを相対的に移動させることによって、パッケージ基板P1が切断される。その後、必要に応じてスピンドル部6に備えられている第2位置確認カメラ6bによってパッケージ基板P1が撮像され、パッケージ基板P1の位置等が確認される。第2位置確認カメラ6bを用いた確認は、例えば、パッケージ基板P1の切断位置及び切断幅の確認である。
【0029】
テーブル5は、パッケージ基板P1の切断が完了した後、個片化された複数の電子部品S1を吸着した状態で、図のY軸に沿ってスピンドル部6から離れる方向に移動する。この移動過程において、第1クリーナ5eによって、電子部品S1の上面(ボール/リード面)の洗浄及び乾燥が行なわれる。第1クリーナ5eは、セット位置と加工位置との間の領域に設けられている。第1クリーナ5eにおける洗浄は、例えば、電子部品S1の上面に洗浄水(液体の一例)を直接的に噴射することによって行なわれてもよいし、電子部品S1の上面にブラシ等を介して洗浄水を供給することによって行なわれてもよい。
【0030】
なお、切断装置1においては、図のX軸方向に並ぶ2つの第1クリーナ5eが設けられているが、第1クリーナ5eの数はこれに限定されない。また、切断装置1においては、第1クリーナ5eによって、ドレッシング用テーブル5fに保持されたドレスボードD1の洗浄を行なうことが可能となっていてもよい。この場合には、例えば、ドレスボードD1の上面に洗浄水を直接的に噴射することによって、ドレスボードD1の洗浄が行なわれてもよい。また、ドレスボードD1の上面に液体及び気体を含む二流体が直接的に噴射されてもよい。これらにより、例えば、パッケージ基板P1の切断加工を通じて生じた加工屑がドレスボードD1に付着した場合であっても、ドレスボードD1を洗浄することができ、洗浄後のドレスボードD1を用いてブレード6aのドレッシングを行なうことができる。
【0031】
搬送部7は、切断用テーブル5aに保持された電子部品S1を上方から吸着し、電子部品S1を検査・収納モジュールB1の検査テーブル11へ搬送する。この搬送過程において、第2クリーナ7aによって、電子部品S1の下面(モールド面)の洗浄及び乾燥が行なわれる。この洗浄は、例えば、電子部品S1の下面に洗浄水を直接的に噴射することによって行なわれてもよいし、電子部品S1の下面にブラシ等を介して洗浄水を供給することによって行なわれてもよい。
【0032】
検査・収納モジュールB1は、主として、検査テーブル11と、第1光学検査カメラ12と、第2光学検査カメラ13と、配置部14と、抽出部15とを含んでいる。なお、第1光学検査カメラ12は、切断モジュールA1に設けられていてもよい。
【0033】
検査テーブル11は、電子部品S1の光学的な検査のために、電子部品S1を保持する。検査テーブル11は、図のX軸に沿って移動可能である。また、検査テーブル11は、上下反転することができる。検査テーブル11には、電子部品S1を吸着することによって電子部品S1を保持する保持部材が設けられている。
【0034】
第1光学検査カメラ12及び第2光学検査カメラ13は、電子部品S1の両面(ボール/リード面及びモールド面)を撮像する。第1光学検査カメラ12及び第2光学検査カメラ13によって生成された撮像画像(画像データ)に基づいて、電子部品S1の各種検査が行なわれる。第1光学検査カメラ12及び第2光学検査カメラ13の各々は、検査テーブル11の近傍において、上方を撮像するように配置されている。
【0035】
第1光学検査カメラ12は、搬送部7によって検査テーブル11へ搬送される電子部品S1のモールド面を撮像する。その後、搬送部7は、検査テーブル11の保持部材上に電子部品S1を載置する。保持部材が電子部品S1を吸着した後、検査テーブル11は上下反転する。検査テーブル11は第2光学検査カメラ13の上方へ移動し、電子部品S1のボール/リード面が第2光学検査カメラ13によって撮像される。
【0036】
配置部14には、検査済みの電子部品S1が配置される。配置部14は、図のY軸に沿って移動可能である。検査テーブル11は、検査済みの電子部品S1を配置部14に配置する。
【0037】
抽出部15は、配置部14に配置された電子部品S1をトレイに移送する。電子部品S1は、第1光学検査カメラ12及び第2光学検査カメラ13を用いた検査の結果に基づいて、「良品」又は「不良品」に分別される。抽出部15は、分別の結果に基づいて、各電子部品S1を良品用トレイ15a又は不良品用トレイ15bに移送する。すなわち、良品は良品用トレイ15aに収納され、不良品は不良品用トレイ15bに収納される。良品用トレイ15a及び不良品用トレイ15bの各々は、電子部品S1で満たされると、新たなトレイに取り換えられる。
【0038】
切断装置1は、さらにコンピュータ50とモニタ20とを含んでいる。モニタ20は、画像を表示するように構成されている。モニタ20は、例えば、液晶モニタ又は有機EL(Electro Luminescence)モニタ等の表示デバイスで構成される。
【0039】
コンピュータ50は、例えば、切断モジュールA1及び検査・収納モジュールB1の各部の動作を制御する。コンピュータ50によって、例えば、基板供給部3、位置決め部4、テーブル5、スピンドル部6、搬送部7、検査テーブル11、第1光学検査カメラ12、第2光学検査カメラ13、配置部14、抽出部15及びモニタ20の動作が制御される。
【0040】
<1-2.コンピュータのハードウェア構成>
図2は、コンピュータ50のハードウェア構成を模式的に示す図である。
図2に示されるように、コンピュータ50は、制御部70と、入出力I/F(interface)90と、受付部95と、記憶部80とを含み、各構成は、バスを介して電気的に接続されている。
【0041】
制御部70は、CPU(Central Processing Unit)72、RAM(Random Access Memory)74及びROM(Read Only Memory)76等を含んでいる。制御部70は、情報処理に応じて、コンピュータ50内の各構成要素及び切断装置1内の各構成要素を制御するように構成されている。
【0042】
入出力I/F90は、信号線を介して、切断装置1に含まれる各構成要素と通信するように構成されている。入出力I/F90は、コンピュータ50から切断装置1内の各構成要素へのデータの送信、切断装置1内の各構成要素からコンピュータ50へ送信されるデータの受信に用いられる。受付部95は、ユーザ(作業者)からの指示を受け付けるように構成されている。受付部95は、例えば、タッチパネル、キーボード、マウス及びマイクの一部又は全部で構成される。
【0043】
記憶部80は、例えば、ハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブ等の補助記憶装置である。記憶部80は、例えば、制御プログラム81を記憶するように構成されている。制御プログラム81が制御部70によって実行されることにより、切断装置1における各種動作が実現される。制御部70が制御プログラム81を実行する場合に、制御プログラム81は、RAM74に展開される。そして、制御部70は、RAM74に展開された制御プログラム81をCPU72によって解釈及び実行することにより各構成要素を制御する。
【0044】
<1-3.ドレスボードの自動交換に関係する各機構の詳細構成>
上述のように、切断装置1においては、ドレスボードD1を保持するように構成されたドレッシング用テーブル5fが設けられており、ドレッシング用テーブル5fに保持されるドレスボードD1の自動交換が行なわれる。この理由について次に説明する。
【0045】
例えば、ドレッシング用テーブル5fが設けられていない場合には、切断用テーブル5aにドレスボードD1を配置することによって、ブレード6aのドレッシングを行なうことが考えられる。また、ドレスボードD1の配置を手動で行なうことが考えられる。このような場合には、作業者が、切断装置1を一旦停止させ、切断用テーブル5a上にドレスボードD1を手動で配置することになる。このような作業にある程度の時間を要するため、ドレスボードD1のドレッシングに長時間を要する。
【0046】
本実施の形態に従う切断装置1においては、ドレスボードD1を保持するドレッシング用テーブル5fが切断用テーブル5aとは別に設けられ、ドレッシング用テーブル5fに保持されるドレスボードD1の交換が搬送機構4bによって自動的に行なわれる。したがって、切断装置1によれば、基本的にはドレッシング用テーブル5fにドレスボードD1が保持されており、また、ドレスボードD1の交換が必要となった場合にもドレスボードD1の交換が自動的に行なわれるため、ドレスボードD1のドレッシングに要する時間を短縮することができる。以下、ドレスボードD1の自動交換に関係する各機構について詳細に説明する。
【0047】
(1-3-1.収容機構の構成)
図3は、収容機構43の周辺を模式的に示す斜視図である。
図3に示されるように、収容機構43は、レール部4aに隣接する位置に設けられている。収容機構43は、新品ドレスホルダ43aと、使用済ドレスボックス43bとを含んでいる。
【0048】
新品ドレスホルダ43aは、複数の新品のドレスボードD1を積層して収容するように構成されている。新品ドレスホルダ43aは、ベース部436に組み付けられており、可動ブロック432と、固定ブロック433とを含んでいる。ベース部436は、複数の脚部によって底上げされた板状の部材である。
【0049】
固定ブロック433は、ベース部436上に固定されている。固定ブロック433のY軸方向における両端の各々には、X軸方向において可動ブロック432側に突出する突出部437が設けられている。2つの突出部437間の長さは、ドレスボードD1の対応する一辺の長さと略同一である。2つの突出部437によって、ドレスボードD1のY軸方向における位置が高精度に決められる。
【0050】
可動ブロック432は、ベース部436上においてX軸方向に可動範囲を有する。可動ブロック432は、可動範囲内における所望の位置に固定可能である。可動ブロック432の位置を決めることによって、ドレスボードD1のX軸方向における位置が高精度に決められる。
【0051】
ベース部436の下面には、センサ434が取り付けられている。センサ434は、例えば、反射型センサで構成される。新品ドレスホルダ43aに収容された複数のドレスボードD1のうち最も下方に収容されたドレスボードD1は、センサ434側に露出している。センサ434は、例えば、新品ドレスホルダ43a側に光を射出し、反射光の有無を検出することによって、新品ドレスホルダ43aにドレスボードD1が残存しているか否かを検出する。例えば、新品ドレスホルダ43aが空になった場合に、切断装置1においては、警告音が鳴ってもよい。
【0052】
使用済ドレスボックス43bは、複数の使用済みのドレスボードD1を積層して収容するように構成されている。例えば、使用済ドレスボックス43bに収容されているドレスボードD1が所定数に達すると、使用済ドレスボックス43bが空の新しいものに交換される。使用済ドレスボックス43bは、上面が開放された箱状部材である。使用済ドレスボックス43bは、ベース部436上に配置される。
【0053】
使用済ドレスボックス43bは、底面部430と、側壁部431a,431b,431c,431dとを含んでいる。側壁部431a,431b,431c,431dによって囲まれた空間内には、複数の使用済みのドレスボードD1が収容される。側壁部431a,431cは互いに対向し、側壁部431b,側壁部431dは互いに対向している。側壁部431b,431dの各々の上端においては、切欠き部C1が形成されている。側壁部431b,431dの各々の上端に切欠き部C1が形成されている理由については後程説明する。
【0054】
ベース部436の下面には、センサ435が取り付けられている。センサ435は、例えば、反射型センサで構成される。使用済ドレスボックス43bの下面の少なくとも一部分は、センサ435側に露出している。センサ435は、例えば、使用済ドレスボックス43b側に光を射出し、反射光の有無を検出することによって、使用済ドレスボックス43bが所定位置に存在するか否かを検出する。例えば、使用済ドレスボックス43bが所定位置に存在しない場合に、切断装置1においては、警告音が鳴ってもよい。
【0055】
(1-3-2.搬送機構の構成)
図4は、斜め下方から見た搬送機構4bを模式的に示す図である。
図5は、斜め上方から見た搬送機構4bを模式的に示す図である。
図4及び
図5を参照して、搬送機構4bは、基板搬送部42と、ドレスボード搬送部41とを含んでいる。なお、
図4及び
図5の各々においては、理解を容易にするために、取付用ローダ41a及び回収用ローダ41bの各々がドレスボードD1を保持した状態が表わされており、特に、回収用ローダ41bによって保持されているドレスボードD1は透明にして表わされている。
【0056】
基板搬送部42は、レール部4a(
図1)において位置決めされたパッケージ基板P1を吸着し、吸着されたパッケージ基板P1を切断用テーブル5aへ搬送するように構成されている。基板搬送部42は、接続部材66を介して真空エジェクタ等の吸引源65(
図6)に接続されている。吸引源65については後程説明する。
【0057】
ドレスボード搬送部41は、取付用ローダ41aと、回収用ローダ41bとを含んでいる。取付用ローダ41aと回収用ローダ41bとは、X軸方向において互いに隣接した位置に設けられている(
図1参照)。ドレスボード搬送部41は、基板搬送部42と一体となっており、基板搬送部42と共にX方向に移動するように構成されている。
【0058】
取付用ローダ41aは、新品ドレスホルダ43a(
図3)に収容された複数のドレスボードD1のうち最も上方に位置するドレスボードD1を吸着し、吸着されたドレスボードD1を新品ドレスホルダ43aからドレッシング用テーブル5fへ搬送するように構成されている。取付用ローダ41aは、接続部材66を介して真空エジェクタ等の吸引源65に接続されている。
【0059】
図6は、基板搬送部42、取付用ローダ41a及び吸引源65の相互の関係を説明するための図である。
図6に示されるように、基板搬送部42及び取付用ローダ41aの各々は、切替弁V1を介して共通の吸引源65に接続されている。例えば、制御部70(
図2)によって切替弁V1を制御することによって、基板搬送部42と吸引源65とが接続された状態と、取付用ローダ41aと吸引源65とが接続された状態とが切り替えられる。切断装置1によれば、パッケージ基板P1の吸着における吸引源とドレスボードD1の吸着における吸引源とが共通であるため、吸引源の数の増加を抑制することができる。その結果、切断装置1によれば、装置の大型化を抑制することができる。
【0060】
取付用ローダ41aは、エアシリンダ411aと、真空パッド44とを含んでいる。エアシリンダ411aは、上下方向に伸縮可能であり、真空パッド44を上下方向に移動させるように構成されている。真空パッド44を下降させ、真空パッド44をドレスボードD1に接触させた状態で、ドレスボードD1の吸着が行なわれる。これにより、ドレスボードD1が取付用ローダ41aによって保持される。また、エアシリンダ411aに減圧弁を接続することによって、新品ドレスホルダ43aに残っているドレスボードD1の数に拘わらずドレスボードD1を適切にピックアップすることができる。
【0061】
回収用ローダ41bは、ドレッシング用テーブル5fに保持された使用済みのドレスボードD1を機械的に保持し、保持されたドレスボードD1をドレッシング用テーブル5fから使用済ドレスボックス43bへ搬送するように構成されている。新品のドレスボードD1が吸着によって保持される一方、使用済みのドレスボードD1が、吸着によって保持されず、機械的に保持される理由について次に説明する。
【0062】
使用済みのドレスボードD1上には多数の溝が形成されている。ドレスボードD1の重量及び/又は溝の大きさ次第では、多数の溝が形成された面の吸着によってドレスボードD1を安定的に保持できない場合がある。すなわち、使用済みのドレスボードD1の保持が不安定になる場合がある。
【0063】
切断装置1においては、新品(未使用)のドレスボードD1が取付用ローダ41aによって吸着保持され、使用済みのドレスボードD1が回収用ローダ41bによって機械的に保持される。したがって、切断装置1によれば、新品のドレスボードD1が吸着によって保持されるため、新品のドレスボードD1の位置精度の低下を抑制することができる。また、切断装置1によれば、使用済みのドレスボードD1が機械的に保持されるため、使用済みのドレスボードD1の保持を安定的に行なうことができる。
【0064】
図7は、搬送機構4bの一部分の側面を模式的に示す図である。
図7を参照して、回収用ローダ41bは、エアシリンダ411bと、爪部49a,49bとを含んでいる。エアシリンダ411bは、上下方向に伸縮可能であり、爪部49a,49bを上下方向に移動させるように構成されている。
【0065】
爪部49a,49bは、水平方向(X軸方向)において互いに対向している。爪部49a,49bは、互いに近づく方向、及び、互いに遠ざかる方向に移動するように構成されている。すなわち、爪部49a,49bによって構成される一対の爪部(以下、単に「一対の爪部」とも称する。)は、水平方向において開閉するように構成されている。回収用ローダ41bは、一対の爪部によってドレスボードD1を挟むことによって、ドレスボードD1を機械的に保持する。
【0066】
爪部49aは、爪45aと、リニアブッシュ47aと、エアチャック46aと、バネ48aとを含んでいる。爪45aは、Y軸方向に幅を有し、Z軸方向に延びる板状の部材である。爪45aの下端は、爪45b側に折れ曲がっている。爪45aは、リニアブッシュ47aに取り付けられている。リニアブッシュ47a内にはX軸方向に延びる軸が貫通しており、リニアブッシュ47aは当該軸上を移動するように構成されている。リニアブッシュ47a内を貫通する軸においては、リニアブッシュ47aを基準に爪45aが存在する方向と反対側の方向にバネ48aが設けられている。エアチャック46aは、X軸方向において移動するように構成されている。リニアブッシュ47aは、エアチャック46aに取り付けられている。
【0067】
また、爪部49bは、爪45bと、リニアブッシュ47bと、エアチャック46bと、バネ48bとを含んでいる。爪45bは、Y軸方向に幅を有し、Z軸方向に延びる板状の部材である。爪45bの下端は、爪45a側に折れ曲がっている。爪45bは、リニアブッシュ47bに取り付けられている。リニアブッシュ47b内にはX軸方向に延びる軸が貫通しており、リニアブッシュ47bは当該軸上を移動するように構成されている。リニアブッシュ47b内を貫通する軸においては、リニアブッシュ47bを基準に爪45bが存在する方向と反対側の方向にバネ48bが設けられている。エアチャック46bは、X軸方向において移動するように構成されている。リニアブッシュ47bは、エアチャック46bに取り付けられている。
【0068】
エアチャック46a,46bが互いに近づく方向に移動することで、爪45aが取り付けられたリニアブッシュ47aと、爪45bが取り付けられたリニアブッシュ47bとが互いに近づく。最終的に、バネ48a,48bの各々が縮んだ状態で、爪45a,45bにより使用済みのドレスボードD1が保持される。バネ48a,48bが縮んだ状態においては、バネ48a,48bの各々が伸びる方向に力が働くため、ドレスボードD1がほどよい力で保持される(ソフトクランプ)。
【0069】
(1-3-3.ドレッシング用テーブルの構成)
図8は、切断用テーブル5a及びドレッシング用テーブル5fを斜め上方から見た状態を模式的に示す図である。
図8に示されるように、ドレッシング用テーブル5fは、切断用テーブル5aに隣接する位置に設けられており、切断用テーブル5aに対して固定されている。ドレッシング用テーブル5fは、ベース部63と、ベース部63上に固定されたドレスボード配置用部材60とを含む。ドレスボード配置用部材60は、例えば、ゴム等の弾性部材によって構成されており、交換可能である。ドレスボードD1は、ドレスボード配置用部材60上に配置される。ドレスボード配置用部材60上において、ドレスボードD1は吸着保持される。
【0070】
図9は、ドレスボード配置用部材60の平面を模式的に示す図である。
図10は、
図9のX-X断面を模式的に示す図である。
図9及び
図10を参照して、ドレスボード配置用部材60は、底面部61を有している。底面部61上には、複数の孔H2が形成されている。孔H2を通じてドレスボードD1の吸引が行なわれる。底面部61の複数の辺のうち対向する一組の辺の各々においては切欠き部C2が形成されている。切欠き部C2が形成されている理由については後程説明する。
【0071】
底面部61の外周のうち切欠き部C2が形成されている部分以外の部分には上方に延びる突起部62が形成されている。ドレスボードD1は、突起部62によって囲まれる領域内に配置される。なお、ドレスボードD1の平面視における形状及び大きさは、突起部62によって囲まれる領域の平面視における形状及び大きさと略同一である。
【0072】
[2.動作]
図11は、ドレスボードD1の自動交換処理の手順を示すフローチャートである。このフローチャートに示される処理は、ドレスボードD1の取付け又は交換が必要な場合に、コンピュータ50の制御部70(
図2)によって実行される。
【0073】
図11を参照して、制御部70は、例えば、ドレッシング用テーブル5f上の吸着状態を検出するセンサ(不図示)の出力を参照することによって、ドレッシング用テーブル5f上に使用済みのドレスボードD1が存在するか否かを判定する(ステップS100)。ドレッシング用テーブル5f上に使用済みのドレスボードD1が存在しないと判定されると(ステップS100においてNO)、制御部70は、ステップS120の処理を実行する。
【0074】
一方、ドレッシング用テーブル5f上に使用済みのドレスボードD1が存在すると判定されると(ステップS100においてYES)、制御部70は、使用済みのドレスボードD1の回収処理を実行する(ステップS110)。ドレスボードD1の回収処理については、後程詳しく説明する。使用済みのドレスボードD1の回収処理が終了すると、制御部70は、新品のドレスボードD1の取付け処理を実行する(ステップS120)。ドレスボードD1の取付け処理については後程詳しく説明する。
【0075】
図12は、
図11のステップS110(ドレスボードD1の回収処理)において実行される処理を示すフローチャートである。
図12を参照して、制御部70は、回収用ローダ41bがドレッシング用テーブル5fの上方に位置するように搬送機構4bの駆動部(例えば、モータ)を制御する(ステップS200)。その後、制御部70は、回収用ローダ41bのうち一対の爪部が下降し、ドレッシング用テーブル5fに保持されている使用済みのドレスボードD1を一対の爪部がピックアップするように一対の爪部の駆動部を制御する(ステップS210)。
【0076】
再び
図9を参照して、回収用ローダ41bのうち一対の爪部が開いた状態で一対の爪部が下降し、その後、一対の爪部が閉じることによって、ドレッシング用テーブル5fに含まれるドレスボード配置用部材60の切欠き部C2に一対の爪部が進入する。切欠き部C2に一対の爪部が進入した状態で一対の爪部が上昇することによって、ドレスボードD1のピックアップが行なわれる。
【0077】
図13は、ドレッシング用テーブル5fに保持されたドレスボードD1を回収するタイミングにおける搬送機構4bとテーブル5との位置関係を示す図である。
図13に示されるように、ドレッシング用テーブル5fに保持されたドレスボードD1を回収するタイミングにおいては、回収用ローダ41bがドレッシング用テーブル5fの上方に位置している。一方、平面視において、基板搬送部42と切断用テーブル5aとは重なっていない。このような位置関係において、ドレスボードD1の回収が行なわれる理由について次に説明する。
【0078】
切断装置1において、基板搬送部42には下方に延びるピンPI1が設けられており、切断用テーブル5aにはピンPI1が進入する孔H1が設けられている。切断装置1においては、パッケージ基板P1の位置精度を確保するために、基板搬送部42のピンPI1が切断用テーブル5aの孔H1に進入した状態で、パッケージ基板P1が基板搬送部42によって切断用テーブル5a上に配置される。仮に、平面視において基板搬送部42と切断用テーブル5aとが重なった状態で回収用ローダ41bによるドレスボードD1の回収を行なおうとすると、基板搬送部42のピンPI1が邪魔になる。切断装置1によれば、平面視において基板搬送部42と切断用テーブル5aとが重ならない状態で回収用ローダ41bによるドレスボードD1の回収が行なわれるため、ドレスボードD1の回収を適切に行なうことができる。
【0079】
再び
図12を参照して、ステップS210においてドレスボードD1のピックアップが終了すると、制御部70は、回収用ローダ41bが使用済ドレスボックス43bの上方に位置するように搬送機構4bの駆動部を制御する(ステップS220)。その後、制御部70は、回収用ローダ41bのうち一対の爪部が下降し、使用済ドレスボックス43bに形成された各切欠き部C1(
図3)に各爪部が進入した状態で、一対の爪部が開くように一対の爪部の駆動部を制御する(ステップS230)。これにより、使用済みのドレスボードD1が使用済ドレスボックス43bに収容される。使用済ドレスボックス43bに形成された各切欠き部C1(
図3)に各爪部が進入した状態で一対の爪部が開かれるため、使用済みのドレスボードD1が使用済ドレスボックス43b内に落下しない可能性が低減される。
【0080】
図14は、
図11のステップS120(ドレスボードD1の取付け処理)において実行される処理を示すフローチャートである。
図14を参照して、制御部70は、取付用ローダ41aが新品ドレスホルダ43aの上方に位置するように搬送機構4bの駆動部を制御する(ステップS300)。制御部70は、取付用ローダ41aのうち真空パッド44が下降し、新品ドレスホルダ43aに収容されている新品のドレスボードD1を真空パッド44が吸着保持するように取付用ローダ41aの駆動部を制御する(ステップS310)。
【0081】
制御部70は、取付用ローダ41aがドレッシング用テーブル5fの上方に位置するように搬送機構4bの駆動部を制御する(ステップS320)。その後、制御部70は、真空パッド44が下降し、真空パッド44がドレッシング用テーブル5f上にドレスボードD1を配置するように取付用ローダ41aの駆動部を制御する(ステップS330)。
【0082】
図15は、ドレッシング用テーブル5f上に新品のドレスボードD1を配置するタイミングにおける搬送機構4bとテーブル5との位置関係を示す図である。
図15に示されるように、ドレッシング用テーブル5f上に新品のドレスボードD1を配置するタイミングにおいては、取付用ローダ41aがドレッシング用テーブル5fの上方に位置している。一方、平面視において、基板搬送部42と切断用テーブル5aとは重なっていない。切断装置1によれば、平面視において基板搬送部42と切断用テーブル5aとが重ならない状態で取付用ローダ41aによるドレスボードD1の配置が行なわれるため、ピンPI1の影響を受けることなくドレッシング用テーブル5f上へのドレスボードD1の配置を適切に行なうことができる。
【0083】
[3.特徴]
以上のように、本実施の形態に従う切断装置1においては、搬送機構4bにドレスボード搬送部41が含まれている。ドレスボード搬送部41は、収容機構43及びドレッシング用テーブル5f間において、ドレスボードD1を自動搬送する。したがって、切断装置1によれば、ドレスボードD1が収容機構43及びドレッシング用テーブル5f間で自動搬送されるため、ドレッシング用テーブル5fに取り付けられるドレスボードD1を自動的に交換することができる。その結果、切断装置1によればドレスボードD1の交換に要する時間を短縮することができる。
【0084】
なお、切断装置1は、本発明における「切断装置」の一例である。切断用テーブル5aは、本発明における「切断用テーブル」の一例である。スピンドル部6は、本発明における「切断機構」の一例である。ドレッシング用テーブル5fは、本発明における「ドレッシング用テーブル」の一例である。収容機構43は、本発明における「収容機構」の一例である。搬送機構4bは、本発明における「搬送機構」の一例である。基板搬送部42は、本発明における「基板搬送部」の一例である。ドレスボード搬送部41は、本発明における「ドレスボード搬送部」の一例である。
【0085】
また、取付用ローダ41aは、本発明における「取付用ローダ」の一例である。回収用ローダ41bは、本発明における「回収用ローダ」の一例である。吸引源65は、本発明における「吸引源」の一例である。爪部49a,49bの各々は、本発明における「爪部」の一例である。新品ドレスホルダ43aは、本発明における「第1収容部」の一例である。使用済ドレスボックス43bは、本発明における「第2収容部」の一例である。移動機構5cは、本発明における「移動機構」の一例である。第1クリーナ5eは、本発明における「クリーニング部」の一例である。
【0086】
[4.他の実施の形態]
上記実施の形態の思想は、以上で説明された実施の形態に限定されない。以下、上記実施の形態の思想を適用できる他の実施の形態の一例について説明する。
【0087】
<4-1>
上記実施の形態においては、ドレスボードD1の自動交換において、使用済みのドレスボードD1の回収処理が終了した後に、新品のドレスボードD1の取付け処理が実行された。しかしながら、これらの処理手順はこれに限定されない。例えば、これらの処理は並行して実行されてもよい。
【0088】
図16は、ドレスボードD1の回収処理と取付け処理とを並行して行なう例を示すフローチャートである。このフローチャートに示される処理が、例えば、制御部70によって実行されてもよい。
【0089】
図16を参照して、制御部70は、取付用ローダ41aが新品ドレスホルダ43aの上方に位置するように搬送機構4bの駆動部を制御する(ステップS400)。制御部70は、取付用ローダ41aのうち真空パッド44が下降し、新品ドレスホルダ43aに収容されている新品のドレスボードD1を真空パッド44が吸着保持するように取付用ローダ41aの駆動部を制御する(ステップS405)。
【0090】
制御部70は、例えば、ドレッシング用テーブル5f上の吸着状態を検出するセンサ(不図示)の出力を参照することによって、ドレッシング用テーブル5f上に使用済みのドレスボードD1が存在するか否かを判定する(ステップS410)。ドレッシング用テーブル5f上に使用済みのドレスボードD1が存在しないと判定されると(ステップS410においてNO)、制御部70は、ステップS425の処理を実行する。
【0091】
一方、ドレッシング用テーブル5f上に使用済みのドレスボードD1が存在すると判定されると(ステップS410においてYES)、制御部70は、回収用ローダ41bがドレッシング用テーブル5fの上方に位置するように搬送機構4bの駆動部を制御する(ステップS415)。その後、制御部70は、回収用ローダ41bのうち一対の爪部が下降し、ドレッシング用テーブル5fに保持されている使用済みのドレスボードD1を一対の爪部がピックアップするように一対の爪部の駆動部を制御する(ステップS420)。
【0092】
制御部70は、取付用ローダ41aがドレッシング用テーブル5fの上方に位置するように搬送機構4bの駆動部を制御する(ステップS425)。その後、制御部70は、真空パッド44が下降し、真空パッド44がドレッシング用テーブル5f上にドレスボードD1を配置するように取付用ローダ41aの駆動部を制御する(ステップS430)。その後、制御部70は、回収用ローダ41bが使用済ドレスボックス43bの上方に位置するように搬送機構4bの駆動部を制御する(ステップS435)。
【0093】
制御部70は、例えば、回収用ローダ41bに設けられた不図示のセンサの出力を参照することによって、回収用ローダ41bが使用済みのドレスボードD1を保持しているか否かを判定する(ステップS440)。回収用ローダ41bが使用済みのドレスボードD1を保持していないと判定されると(ステップS440においてNO)、このフローチャートに示される処理は終了する。一方、回収用ローダ41bが使用済みのドレスボードD1を保持していると判定されると(ステップS440においてYES)、制御部70は、回収用ローダ41bのうち一対の爪部が下降し、使用済ドレスボックス43bに形成された各切欠き部C1(
図3)に各爪部が進入した状態で、一対の爪部が開くように一対の爪部の駆動部を制御する(ステップS445)。これにより、使用済みのドレスボードD1が使用済ドレスボックス43bに収容される。
【0094】
このように、使用済みのドレスボードD1の回収処理と、新品のドレスボードD1の取付け処理とを並行して行なうことによって、ドレスボードD1の交換に要する時間をより短縮することができる。
【0095】
<4-2>
また、上記実施の形態において、回収用ローダ41bは、使用済みのドレスボードD1を機械的に保持することとした。しかしながら、回収用ローダ41bは、必ずしもドレスボードD1を機械的に保持しなくてもよい。例えば、ドレスボードD1に形成される溝が浅い場合又はドレスボードD1が軽量である場合等においては、回収用ローダ41bが吸引によってドレスボードD1を保持してもよい。
【0096】
<4-3>
また、上記実施の形態においては、基板搬送部42と取付用ローダ41aとは共通の吸引源65に接続されていた。しかしながら、基板搬送部42と取付用ローダ41aとは必ずしも共通の吸引源65に接続されていなくてもよい。基板搬送部42に接続される吸引源と取付用ローダ41aに接続される吸引源とは異なるものであってもよい。
【0097】
<4-4>
また、新品ドレスホルダの構造は、上記実施の形態における新品ドレスホルダ43aの構造に限定されない。例えば、新品ドレスホルダの構造は、以下に説明するような構造であってもよい。
【0098】
図17は、他の実施の形態における新品ドレスホルダ43aAの周辺を模式的に示す斜視図である。
図17に示されるように、新品ドレスホルダ43aAは、複数のドレスボードD1を積層して収容するように構成されている。なお、
図17に示される例では、最大収容枚数(一例)より2枚少ないドレスボードD1が新品ドレスホルダ43aAに収容されている。
【0099】
新品ドレスホルダ43aAは、ベース部436に組み付けられており、可動ブロック432Aと、固定ブロック433とを含んでいる。可動ブロック432Aは、ベース部436上においてX軸方向に可動範囲を有する。可動ブロック432Aは、可動範囲内における所望の位置に固定可能である。
【0100】
可動ブロック432Aには、可動ブロック432Aの厚み方向(X軸方向)に貫通した貫通孔H4が形成されている。新品ドレスホルダ43aAに最大収容枚数のドレスボードD1が収容されている状態で、最も上に位置するドレスボードD1と上から2枚目に位置するドレスボードD1との境界部分に、貫通孔H4の中心が位置している。貫通孔H4には配管438が接続されており、配管438を通じて貫通孔H4には圧縮空気が送られる。
【0101】
例えば、新品ドレスホルダ43aに収容されているドレスボードD1を取付用ローダ41aが吸着保持すると、貫通孔H4からの圧縮空気の吐出が開始される。そして、ドレスボードD1が、取付用ローダ41aに吸着保持された状態で、貫通孔H4の位置まで上昇すると、貫通孔H4からの圧縮空気の吐出が停止される。その後、ドレスボードD1の搬送が継続される。
【0102】
以上のような動作が行なわれる理由について次に説明する。例えば、水に濡れた状態のドレスボードD1が意図せず新品ドレスホルダ43aAに収容される場合がある。このような場合には、複数のドレスボードD1が互いに引っ付き、取付用ローダ41aによるドレスボードD1の吸着保持により複数のドレスボードD1が持ち上がり得る。上述のように、ドレスボードD1同士の境界部分へ貫通孔H4から圧縮空気を吐出することによって、持ち上げられた複数のドレスボードD1のうち真空パッド44によって吸着保持されているドレスボードD1以外のドレスボードD1を新品ドレスホルダ43aA内に落下させることができる。すなわち、このような構成によれば、新品のドレスボードD1が意図せず複数枚搬送される事態の発生を抑制することができる。
【0103】
以上、本発明の実施の形態について例示的に説明した。すなわち、例示的な説明のために、詳細な説明及び添付の図面が開示された。よって、詳細な説明及び添付の図面に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須でない構成要素が含まれることがある。したがって、それらの必須でない構成要素が詳細な説明及び添付の図面に記載されているからといって、それらの必須でない構成要素が必須であると直ちに認定されるべきではない。
【0104】
また、上記実施の形態は、あらゆる点において本発明の例示にすぎない。上記実施の形態は、本発明の範囲内において、種々の改良や変更が可能である。すなわち、本発明の実施にあたっては、実施の形態に応じて具体的構成を適宜採用することができる。
[5.付記]
【0105】
本明細書においては、少なくとも以下の技術を含む多様な技術的思想が開示されている。
【0106】
<技術1>
(構成)
切断対象物を保持するように構成された切断用テーブルと、
前記切断用テーブルに保持された前記切断対象物をブレードによって切断するように構成された切断機構と、
前記ブレードのドレッシングのためにドレスボードを保持するように構成されたドレッシング用テーブルと、
複数の前記ドレスボードを積層して収容するように構成された収容機構と、
基板搬送部と、前記基板搬送部と共に移動するドレスボード搬送部とを含む搬送機構とを備え、
前記基板搬送部は、前記切断対象物を吸着すると共に、吸着された前記切断対象物を前記切断用テーブルへ搬送するように構成されており、
前記ドレスボード搬送部は、前記収容機構及び前記ドレッシング用テーブル間において、前記ドレスボードを搬送するように構成されている、切断装置。
【0107】
(効果等)
この切断装置においては、搬送機構にドレスボード搬送部が含まれている。ドレスボード搬送部は、収容機構及びドレッシング用テーブル間において、ドレスボードを自動搬送する。したがって、この切断装置によれば、ドレスボードが収容機構及びドレッシング用テーブル間で自動搬送されるため、ドレッシング用テーブルに取り付けられるドレスボードを自動的に交換することができる。
【0108】
<技術2>
(構成)
前記ドレスボード搬送部は、
前記収容機構に収容された未使用の前記ドレスボードを吸着すると共に、吸着された前記ドレスボードを前記収容機構から前記ドレッシング用テーブルへ搬送するように構成された取付用ローダと、
使用済みの前記ドレスボードを機械的に保持すると共に、機械的に保持された前記ドレスボードを前記ドレッシング用テーブルから前記収容機構へ搬送するように構成された回収用ローダとを含む、技術1に記載の切断装置。
【0109】
(効果等)
この切断装置においては、未使用のドレスボードが取付用ローダによって吸着保持され、使用済みのドレスボードが回収用ローダによって機械的に保持される。したがって、この切断装置によれば、未使用のドレスボードが吸着によって保持されるため、未使用のドレスボードの位置精度の低下を抑制することができる。また、使用済みのドレスボードの表面には多数の溝が形成されているため、使用済みのドレスボードの吸着保持は不安定になる場合がある。この切断装置によれば、使用済みのドレスボードが機械的に保持されるため、使用済みのドレスボードの保持を安定的に行なうことができる。
【0110】
<技術3>
(構成)
前記基板搬送部による前記切断対象物の吸着における吸引源と、前記取付用ローダによる前記ドレスボードの吸着における吸引源とは共通である、技術2に記載の切断装置。
【0111】
(効果等)
この切断装置によれば、切断対象物の吸着における吸引源とドレスボードの吸着における吸引源とが共通であるため、吸引源の数の増加を抑制することができる。その結果、この切断装置によれば、装置の大型化を抑制することができる。
【0112】
<技術4>
(構成)
前記回収用ローダは、水平方向において互いに対向する一対の爪部を含み、
前記一対の爪部は、水平方向において開閉するように構成されており、
前記回収用ローダは、前記一対の爪部によって前記ドレスボードを挟むことにより前記ドレスボードを機械的に保持するように構成されている、技術2又は技術3に記載の切断装置。
【0113】
(効果等)
この切断装置によれば、使用済みのドレスボードが一対の爪部で挟まれて機械的に保持されるため、使用済みのドレスボードの保持を安定的に行なうことができる。
【0114】
<技術5>
(構成)
前記収容機構は、
未使用の前記ドレスボードを収容するように構成された第1収容部と、
使用済みの前記ドレスボードを収容するように構成された第2収容部とを含み、
前記第1収容部の形状と、前記第2収容部の形状とは異なり、
前記第2収容部は、複数の側壁部を含み、
前記複数の側壁部によって囲まれた空間内に使用済みの前記ドレスボードが収容され、
前記複数の側壁部のうち対向する2つの側壁部の各々の上端には切欠きが形成されている、技術4に記載の切断装置。
【0115】
(効果等)
この収容機構においては、第1収容部の形状と第2収容部の形状とが異なり、第2収容部の複数の側壁部のうち対向する2つの側壁部の各々の上端に切欠きが形成されている。この切断装置によれば、回収用ローダの一対の爪部が切欠き内に進入した状態で一対の爪部を開き使用済みのドレスボードを落下させることによって、使用済みのドレスボードを確実に第2収容部内に収容することができる。
【0116】
<技術6>
(構成)
前記切断用テーブル及び前記ドレッシング用テーブルの両方を移動させるように構成された移動機構と、
前記切断対象物及び前記ドレスボードの各々を洗浄するように構成されたクリーニング部とをさらに備え、
前記移動機構は、前記切断対象物を前記切断用テーブルに保持させるセット位置と、前記切断対象物に切断加工を施す加工位置との間を移動するように構成されており、
前記クリーニング部は、前記セット位置と前記加工位置との間の領域に設けられている、技術1から技術5のいずれか1つに記載の切断装置。
【0117】
(効果等)
この切断装置においては、セット位置と加工位置との間の領域にクリーニング部が設けられている。したがって、この切断装置によれば、ドレッシング用テーブルによって保持されたドレスボードをクリーニング部で洗浄することができる。その結果、この切断装置によれば、例えば、切断対象物の切断加工を通じて生じた加工屑がドレスボードに付着した場合であっても、ドレスボードを洗浄することができ、洗浄後のドレスボードを用いてブレードのドレッシングを行なうことができる。
【0118】
<技術7>
(構成)
前記クリーニング部は、少なくとも液体を用いることによって前記切断対象物及び前記ドレスボードの各々を洗浄するように構成されている、技術6に記載の切断装置。
【0119】
(効果等)
この切断装置によれば、ドレッシング用テーブルによって保持されたドレスボードを少なくとも液体を用いて洗浄することができる。
【0120】
<技術8>
(構成)
前記基板搬送部は、下方に延びるピンを含み、
前記切断用テーブルには孔が形成されており、
前記基板搬送部は、前記ピンが前記孔に進入した状態で、前記切断対象物を前記切断用テーブルに保持させるように構成されており、
前記ドレスボード搬送部は、平面視において前記基板搬送部と前記切断用テーブルとが重ならない状態で、前記ドレッシング用テーブルとの間で前記ドレスボードの授受を行なうように構成されている、技術1から技術7のいずれか1つに記載の切断装置。
【0121】
(効果等)
この切断装置においては、切断対象物の位置精度を確保するために、基板搬送部のピンが切断用テーブルの孔に進入した状態で、切断対象物が切断用テーブル上に配置される。仮に、平面視において基板搬送部と切断用テーブルとが重なった状態でドレスボード搬送部とドレッシング用テーブルとの間でドレスボードの授受が行なわれると、基板搬送部のピンが邪魔になる可能性がある。この切断装置によれば、平面視において基板搬送部と切断用テーブルとが重ならない状態でドレスボード搬送部とドレッシング用テーブルとの間でドレスボードの授受が行なわれるため、ドレスボードの授受を適切に行なうことができる。
【0122】
<技術9>
(構成)
技術1から技術8のいずれか1つに記載の切断装置を用いた切断品の製造方法であって、
前記切断対象物を吸着すると共に、吸着された前記切断対象物を前記切断用テーブルへ搬送するステップと、
前記収容機構及び前記ドレッシング用テーブル間において、前記ドレスボードを搬送するステップと、
前記ドレッシング用テーブルに保持された前記ドレスボードを用いて前記ブレードのドレッシングを行なうステップと、
前記ドレッシングが行なわれた前記ブレードを用いて前記切断用テーブルに保持された前記切断対象物を切断し、前記切断品を製造するステップとを含む、切断品の製造方法。
【0123】
(効果等)
この切断品の製造方法においては、収容機構及びドレッシング用テーブル間において、ドレスボードが自動搬送される。したがって、この切断品の製造方法によれば、ドレスボードが収容機構及びドレッシング用テーブル間で自動搬送されるため、ドレッシング用テーブルに取り付けられるドレスボードを自動的に交換することができる。
【符号の説明】
【0124】
1 切断装置、3 基板供給部、4 位置決め部、4a レール部、4b 搬送機構、5 テーブル、5a 切断用テーブル、5b 回転機構、5c 移動機構、5d 第1位置確認カメラ、5e 第1クリーナ、5f ドレッシング用テーブル、6 スピンドル部、6a ブレード、6b 第2位置確認カメラ、6c 回転軸、7 搬送部、7a 第2クリーナ、11 検査テーブル、12 第1光学検査カメラ、13 第2光学検査カメラ、14 配置部、15 抽出部、15a 良品用トレイ、15b 不良品用トレイ、20 モニタ、41 ドレスボード搬送部、41a 取付用ローダ、41b 回収用ローダ、42 基板搬送部、43 収容機構、43a,43aA 新品ドレスホルダ、43b 使用済ドレスボックス、44 真空パッド、45a,45b 爪、46a,46b エアチャック、47a,47b リニアブッシュ、48a,48b バネ、49a,49b 爪部、50 コンピュータ、60 ドレスボード配置用部材、61 底面部、62 突起部、63,436 ベース部、65 吸引源、66 接続部材、70 制御部、72 CPU、74 RAM、76 ROM、80 記憶部、81 制御プログラム、90 入出力I/F、95 受付部、411a,411b エアシリンダ、430 底面部、431a,431b,431c,431d 側壁部、432,432A 可動ブロック、433 固定ブロック、434,435 センサ、437 突出部、438 配管、A1 切断モジュール、B1 検査・収納モジュール、C1,C2 切欠き部、D1 ドレスボード、H1,H2,H3 孔、H4 貫通孔、P1 パッケージ基板、PI1 ピン、S1 電子部品、V1 切替弁。
【手続補正書】
【提出日】2022-04-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
切断対象物を保持するように構成された切断用テーブルと、
前記切断用テーブルに保持された前記切断対象物をブレードによって切断するように構成された切断機構と、
前記ブレードのドレッシングのためにドレスボードを保持するように構成されたドレッシング用テーブルと、
複数の前記ドレスボードを積層して収容するように構成された収容機構と、
基板搬送部と、前記基板搬送部と共に移動可能なドレスボード搬送部とを含む搬送機構とを備え、
前記基板搬送部は、前記切断対象物を吸着すると共に、吸着された前記切断対象物を前記切断用テーブルへ搬送するように構成されており、
前記ドレスボード搬送部は、前記収容機構及び前記ドレッシング用テーブル間において、前記ドレスボードを搬送するように構成されている、切断装置。
【請求項2】
前記ドレスボード搬送部は、
前記収容機構に収容された未使用の前記ドレスボードを吸着すると共に、吸着された前記ドレスボードを前記収容機構から前記ドレッシング用テーブルへ搬送するように構成された取付用ローダと、
使用済みの前記ドレスボードを機械的に保持すると共に、機械的に保持された前記ドレスボードを前記ドレッシング用テーブルから前記収容機構へ搬送するように構成された回収用ローダとを含む、請求項1に記載の切断装置。
【請求項3】
前記基板搬送部による前記切断対象物の吸着における吸引源と、前記取付用ローダによる前記ドレスボードの吸着における吸引源とは共通である、請求項2に記載の切断装置。
【請求項4】
前記回収用ローダは、水平方向において互いに対向する一対の爪部を含み、
前記一対の爪部は、水平方向において開閉するように構成されており、
前記回収用ローダは、前記一対の爪部によって前記ドレスボードを挟むことにより前記ドレスボードを機械的に保持するように構成されている、請求項2に記載の切断装置。
【請求項5】
前記収容機構は、
未使用の前記ドレスボードを収容するように構成された第1収容部と、
使用済みの前記ドレスボードを収容するように構成された第2収容部とを含み、
前記第1収容部の形状と、前記第2収容部の形状とは異なり、
前記第2収容部は、複数の側壁部を含み、
前記複数の側壁部によって囲まれた空間内に使用済みの前記ドレスボードが収容され、
前記複数の側壁部のうち対向する2つの側壁部の各々の上端には切欠きが形成されている、請求項4に記載の切断装置。
【請求項6】
前記切断用テーブル及び前記ドレッシング用テーブルの両方を移動させるように構成された移動機構と、
前記切断対象物及び前記ドレスボードの各々を洗浄するように構成されたクリーニング部とをさらに備え、
前記移動機構は、前記切断対象物を前記切断用テーブルに保持させるセット位置と、前記切断対象物に切断加工を施す加工位置との間を移動するように構成されており、
前記クリーニング部は、前記セット位置と前記加工位置との間の領域に設けられている、請求項1に記載の切断装置。
【請求項7】
前記クリーニング部は、少なくとも液体を用いることによって前記切断対象物及び前記ドレスボードの各々を洗浄するように構成されている、請求項6に記載の切断装置。
【請求項8】
前記基板搬送部は、下方に延びるピンを含み、
前記切断用テーブルには孔が形成されており、
前記基板搬送部は、前記ピンが前記孔に進入した状態で、前記切断対象物を前記切断用テーブルに保持させるように構成されており、
前記ドレスボード搬送部は、平面視において前記基板搬送部と前記切断用テーブルとが重ならない状態で、前記ドレッシング用テーブルとの間で前記ドレスボードの授受を行なうように構成されている、請求項1に記載の切断装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の切断装置を用いた切断品の製造方法であって、
前記切断対象物を吸着すると共に、吸着された前記切断対象物を前記切断用テーブルへ搬送するステップと、
前記収容機構及び前記ドレッシング用テーブル間において、前記ドレスボードを搬送するステップと、
前記ドレッシング用テーブルに保持された前記ドレスボードを用いて前記ブレードのドレッシングを行なうステップと、
前記ドレッシングが行なわれた前記ブレードを用いて前記切断用テーブルに保持された前記切断対象物を切断し、前記切断品を製造するステップとを含む、切断品の製造方法。