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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023155567
(43)【公開日】2023-10-23
(54)【発明の名称】製茶方法と製茶ライン
(51)【国際特許分類】
   A23F 3/06 20060101AFI20231016BHJP
   A23F 3/12 20060101ALI20231016BHJP
【FI】
A23F3/06 F
A23F3/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022064960
(22)【出願日】2022-04-11
(71)【出願人】
【識別番号】000145116
【氏名又は名称】株式会社寺田製作所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 康哲
【テーマコード(参考)】
4B027
【Fターム(参考)】
4B027FB01
4B027FC10
4B027FP12
4B027FP20
4B027FP33
4B027FP39
4B027FP46
4B027FP54
(57)【要約】
【課題】 従来の製茶ラインによって製茶をすると時間がかかり、人件費、燃料費などのコストがかかるため、製茶時間の短縮を課題としている。
【解決手段】 本発明の第1手段は、
殺青後の茶葉を搬送しながら高温の熱風を吹き付け、その後搬送しながら茶葉を揉み込み、その後揉みながら乾燥することを特徴とする製茶方法。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸熱殺青後の茶葉を搬送しながら高温の熱風を吹き付け、その後搬送しながら茶葉を揉み込み、その後揉みながら乾燥することを特徴とする製茶方法。
【請求項2】
茶生葉の蒸熱殺青工程と、
蒸熱殺青した茶葉に高温の熱風を吹き付ける連続式高温熱風処理工程と、
高温の熱風を吹き付けた茶葉を揉み込む連続式揉捻工程と、
その後の揉乾工程とを設けることを特徴とする製茶ライン。
【請求項3】
前記連続式高温熱風処理工程は、一端を茶葉投入口、他端をロータリーバルブを備える茶葉排出口とした回転自在な円筒状の処理胴を略密閉状態とし、前記処理胴の一端より150度~400度の熱風を吹き込むための熱風供給手段と、前記茶葉排出口の上部には風量調整自在の排気ファンを備えた排気口とを設けた連続式高温熱風処理機により処理することを特徴とする請求項2記載の製茶ライン。
【請求項4】
前記連続式揉捻工程は、一端を茶葉投入口、他端を茶葉排出口とした円筒状の回転胴と、該回転胴の内壁に設けた桟と、該回転胴の内部には回転軸に備えた撹拌羽根とよりなる連続式揉捻機により処理することを特徴とする請求項2または3記載の製茶ライン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荒茶を製造するための製茶方法と製茶ラインに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の製茶ラインは、殺青工程→葉打工程→第1粗揉工程→第2粗揉工程→揉捻工程→中揉工程→精揉工程→乾燥工程となっており、数多くの製茶機械によって製茶される。葉打工程と第1粗揉工程は別々の製茶機械であり、所定量の茶葉を製茶機械の中へ投入して、約15分ずつ、合わせて約30分程度製茶し、茶葉の水分を約半分にする。葉打工程、第1粗揉工程共に、乾燥と揉み込みを同一の製茶機械内で回分式により行うため、熱風温度、撹拌手の回転数などの各設定を詳細に設定できるものの、いずれかを重点的におこなうことができない。そのため、揉み込みと乾燥はそれぞれ時間を要しておこなう必要がある。乾燥する時の熱風温度は、最高で約100度程度であり、茶葉を乾燥しながら揉み込むようになっている。
【0003】
特許文献1は、葉打工程、第1粗揉工程、第2粗揉工程を合わせて粗揉工程としており、それぞれの製茶機械を示したものである。これらの葉打工程、第1粗揉工程、第2粗揉工程を合わせて約60分程度要する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001-8621号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の製茶ラインによって製茶をすると時間がかかり、人件費、燃料費などのコストがかかるため、製茶時間の短縮を課題としている。
【0006】
また、葉打工程や第1粗揉工程、第2粗揉工程に用いる製茶機械には、水分を多く含む茶葉を投入して、撹拌手によって揉み込むため、製茶機械内部に茶渋が多量に付着する。この茶渋を1日に1回程度を目安にして掃除して除去するが、この作業が重労働であり、この作業の軽減を課題としている。
【0007】
また、葉打工程や第1粗揉工程、第2粗揉工程に用いる製茶機械は、その工程が更に細分化され、複雑であり、設定することが難しいことが問題となっている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1手段は、
殺青後の茶葉を搬送しながら高温の熱風を吹き付け、その後搬送しながら茶葉を揉み込み、その後揉みながら乾燥することを特徴とする製茶方法。
本発明の第2手段は、
茶生葉の殺青工程と、
殺青した茶葉を高温の熱風にさらす連続式高温熱風処理工程と、
高温熱風処理した茶葉を揉み込む連続式揉捻工程と、
その後の揉乾工程とを設けることを特徴とする製茶ライン。
本発明の第3手段は、前記第2手段において、
前記連続式高温熱風処理工程は、一端を茶葉投入口、他端をロータリーバルブを備える茶葉排出口とした回転自在な円筒状の処理胴を略密閉状態とし、前記処理胴の一端より150度~400度の熱風を吹き込むための熱風供給手段と、前記茶葉排出口の上部には風量調整自在の排気ファンを備えた排気口を設けた連続式高温熱風処理機により処理する。
本発明の第4手段は、前記第2または3手段において、
前記連続式揉捻工程は、一端を茶葉投入口、他端を茶葉排出口とした円筒状の回転胴と、該回転胴の内壁に設けた桟と、該回転胴の内部には回転軸に備えた撹拌羽根とよりなる連続式揉捻機により処理する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の製茶方法と製茶ラインによって、150分程度で製茶することができ、従来の約4時間(約240分)と比べて、約40%程度の時間を短縮することができる。これにより、燃料費を20~30%程度削減することができ、製茶中の作業人工も25%程度削減することができ、製茶にかかるコスト全体を削減することができる。また、短い時間で製茶することができるため、同じ時間内で従来より多くの茶葉を加工することができる。
【0010】
製茶機械を変えたことにより、製茶機械に茶渋が付きにくくなり、製茶機械の清掃人工を1日1回あたり40%程度削減することができる。ライン全体の清掃時間の削減により、ラインの復旧時間が早くなり、製茶する時間を増やすことができ、最終的には製茶する日数を削減することができる。
【0011】
製茶機械の操作性の簡略化により、製茶スキルの熟度を問わないため、熟練した作業者でなくても製茶が容易となる。特に、水分が減少し、製茶の設定が難しかった茶期後半の品質が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は本発明の製茶ラインの一例を示した説明図である。(実施例1)
図2図2は本発明の製茶ラインの他の一例を示した説明図である。(実施例2)
図3図3は連続式高温熱風処理工程の装置の一例を示した説明図である。
図4図4図3の処理胴の断面を示した説明図である。
図5図5は連続式揉捻工程の装置の一例を示した正面の説明図である。
図6図6図5の処理胴の断面を示した説明図である。
図7図7は本発明の一例と従来の製茶ラインにおける製茶時間と清掃人工を比較した説明図である。
図8図8は茶葉の水分変化を示した説明図である。
図9図9は従来の製茶ラインの一例を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例0013】
実施例1の製茶ラインを図1に示す。茶の生葉を蒸機にて蒸熱殺青し、酸化酵素を不活性化した茶葉に約250~450度の高温の熱風を吹き付ける。具体的には、図3、4のような連続式高温熱風処理機1にておこなう。連続式高温熱風処理機1は一端に茶葉投入口4、他端に茶葉排出口5を備えた円筒状の処理胴2内で茶葉T1を処理する。これによって、茶葉投入口4側が始端、茶葉排出口5側が終端となる。茶葉排出口5にロータリーバルブ11を備えることにより、処理胴2は略密閉状態となる。この処理胴2は、図4のように回転するときに内部で茶葉が滑らないように桟6がついており、処理胴2全体が回転する。この処理胴2は高温になるため、処理胴2の周囲には処理胴カバー3を備えている。この処理胴2には、熱風供給手段として熱風発生器8によって生成した熱風を始端側の熱風吹込口9から吹き込む。この熱風により蒸熱殺青された茶葉T1の蒸し露や表面水分、更には内部水分を乾燥する。茶葉から乾燥された水分を含んだ熱風は、茶葉排出口5の上部に備えられた排気口10へ向かって流れる。排気口10には排気ファン12を備えることにより、排気する熱風の風量の調整が自在となる。茶葉と熱風は図3、4では左の始端から右の終端へ向かって同じ方向に流れる。処理胴2の終端では上方へ熱風、下方へ茶葉T2を排出する。
【0014】
処理胴2は傾斜角度を調整することができ、処理胴2の傾斜角度を変更することによって茶葉が処理胴2内を滞留する時間を調整することができる。処理胴2をほぼ水平に近づけることで茶葉T2が処理胴内に滞留する時間を長くすることができ、斜めに傾斜することで茶葉T2が処理胴内に滞留する時間を短くすることができる。この傾斜角度の調整により茶葉を高温の熱風で処理する時間を調整する。この時間が短ければ茶葉の内部の水分を乾燥することができず、この時間が長ければ茶葉の内部の水分が乾燥しすぎて、焦げてしまう。この時間は約2分程度がのぞましい。取出後の重量減は30~45%程度あり、従来の製茶ラインの粗揉工程で必要な50~60%の重量減の約75%を担うことができる。
【0015】
次に、この連続式高温熱風処理機1から取り出された茶葉を連続式揉捻する。具体的には、図5、6のような連続式揉捻機21にておこなう。この連続式揉捻機21は、揉捻に特化しており、乾燥は行わず、熱風は供給しない。この連続式揉捻機21においても円筒状の処理胴22の一端を茶葉投入口24(始端側)、他端を茶葉取出口25(終端側)として揉捻処理を行う。本実施例の処理胴22は回転せずに、内部の回転軸27に備えたスクリュー28と撹拌羽根29が回転し、茶葉を処理胴22の始端側(図5、6では左方向)から終端側(図5、6では右方向)へ移送する。揉捻効果を高めるため、処理胴22の内部には桟26を備えている。回転軸27の回転数の変更により揉捻具合を任意に変更できる。連続式揉捻機21の通過時間は約2分程度がのぞましい。この連続式揉捻機では、乾燥をおこなわないため、茶葉の水分変化はない。
【0016】
次に、本実施例では、粗揉をおこなう。具体的には、従来より用いられている粗揉機であり、半円筒形の固定胴の内部に、撹拌羽根や揉手を回転自在に設け、熱風を供給することにより、揉み込みながら乾燥する。この粗揉機は回分式となるため、粗揉機の手前で計量し、粗揉機の容積に合わせた重量の茶葉を投入する。
【0017】
次に、揉捻をおこなう。具体的には従来より用いられている回分式揉捻機であり、揉み鉢内に収容した茶葉に荷重をかけ、揉盤上を水平に旋回しながら茶葉を揉み込む。
【0018】
次に、中揉をおこなう。円筒形の回転胴内に茶葉を収容し、回転胴内に揉み手を回転自在に設け、熱風を供給して、乾燥しながら揉み込み、よれ形をつける。
【0019】
次に、精揉をおこなう。下方から加熱した揉盤上に茶葉を収容し、荷重をかけながら茶葉を前後左右に移動させ、独特な伸直な形を成形する。
【0020】
次に仕上の乾燥をおこなう。この乾燥では、整形や揉み込みをすることなく、通気により乾燥し、茶葉を貯蔵に耐えられる含水率4~5%程度とする。この乾燥をすると荒茶となる。
【0021】
上記粗揉~乾燥をまとめて揉乾工程という。実施例1に大まかな工程を記載したが、それぞれの工程の間に他の工程が入ったり、揉乾工程が少し異なっても問題ない。
【実施例0022】
実施例2の製茶ラインを図2に示す。実施例1とは連続式揉捻の後が粗揉ではなく静置乾燥である点で異なる。このように、連続式揉捻の後の揉乾工程は、茶葉を揉んだり乾燥したりを繰り返しながら製茶することができればよい。
【符号の説明】
【0023】
1 連続式高温熱風処理機
2 処理胴
3 処理胴カバー
4 茶葉投入口
5 茶葉排出口
6 桟
7 スクリュー
8 熱風発生器
9 熱風吹込口
10 排気口
11 ロータリーバルブ
12 排気ファン
13 モータ
14 点検口
15 フレーム
16 コンベヤ
17 コンベヤ
18 作業者
21 連続式揉捻機
22 処理胴
24 茶葉投入口
25 茶葉排出口
26 桟
27 回転軸
28 スクリュー
29 撹拌羽根
30 モータ
31 コンベヤ
32 コンベヤ
T1、T2、T3 茶葉
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9