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特開2023-155572画像処理装置、画像処理方法、画像処理プログラム及び記録媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023155572
(43)【公開日】2023-10-23
(54)【発明の名称】画像処理装置、画像処理方法、画像処理プログラム及び記録媒体
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/215 20170101AFI20231016BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20231016BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20231016BHJP
   H04N 7/18 20060101ALI20231016BHJP
【FI】
G06T7/215
G06T7/00 650B
G08G1/16 C
H04N7/18 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022064979
(22)【出願日】2022-04-11
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001025
【氏名又は名称】弁理士法人レクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】千葉 雄平
(72)【発明者】
【氏名】中根 昌夫
【テーマコード(参考)】
5C054
5H181
5L096
【Fターム(参考)】
5C054FA00
5C054FC12
5C054HA30
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB05
5H181BB20
5H181CC04
5H181FF04
5H181FF10
5H181FF13
5H181FF27
5H181FF33
5H181FF35
5H181LL01
5H181LL08
5H181MC19
5H181MC27
5L096BA04
5L096DA02
5L096FA67
5L096FA68
5L096GA51
5L096HA05
5L096HA11
5L096KA04
(57)【要約】
【課題】
車両に向かって又は車両の前方領域に飛来する飛来物体を検出可能な画像処理装置を提供することを目的の1つとしている。
【解決手段】
車両の周囲を逐次撮影した複数の画像を取得する画像取得部と、前記複数の画像に基づいて、前記複数の画像のいずれかに前記車両、または前記車両の前方領域への飛来物体が写っているか否かを判定する飛来物体検出部と、前記飛来物体が写っていると判定されると、前記飛来物体が写っている画像が撮像された時点を含む所定時間内の画像を特定画像として特定する画像特定部と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の周囲を逐次撮影した複数の画像を取得する画像取得部と、
前記複数の画像に基づいて、前記複数の画像のいずれかに前記車両への、または前記車両の前方領域への飛来物体が写っているか否かを判定する飛来物体検出部と、
前記飛来物体が写っていると判定されると、前記飛来物体が写っている画像が撮像された時点を含む所定時間内の画像を特定画像として特定する画像特定部と、
を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記飛来物体検出部は、画像認識によって前記複数の画像の各々について追跡対象物を特定し、前記複数の画像のうちの前記追跡対象物が特定された画像を含む時系列順の画像に基づいて前記追跡対象物が描く軌跡を算出し、当該軌跡に基づいて前記追跡対象物が前記飛来物体であるか否かを判定することにより前記飛来物体が写っているか否かを判定することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記飛来物体検出部は、画像認識によって前記複数の画像の各々に写っている物体のうちの路上に存在する落下物を前記追跡対象物として特定することを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記飛来物体検出部は、前記落下物が特定された画像が撮影された時点から遡った時系列順の画像に基づいて前記追跡対象物が描く軌跡を算出し、前記追跡対象物が前記飛来物体であるか否かを判定することを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記飛来物体検出部は、前記追跡対象物が描く前記軌跡の最大曲率が閾値を越える場合、前記軌跡の向きが下方かつ前記車両の進行方向を示す軸に近づく向きである場合、又は軌跡の長さが閾値を越える場合に、前記追跡対象物が飛来物体であると判定することを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記飛来物体検出部は、前記追跡対象物が描く軌跡を入力すると、前記軌跡が飛来物体の軌跡であるか否かを示す情報を出力するように機械学習がなされた学習済みモデルを用いて、前記飛来物体が写っているか否かを判定することを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記飛来物体は投擲物であり、
前記飛来物体検出部は、前記複数の画像における前記軌跡の始点付近に人又は車両が写っているか否かを判定し、前記人又は車両が写っていると判定した場合に、前記複数の画像のいずれかに前記投擲物が写っていると判定することを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記複数の画像は時系列順の連続画像を含み、
前記飛来物体検出部は、前記連続画像に含まれる連続する2つの画像間の画素毎の画像間ベクトルが累積されたオプティカルフローを算出し、当該オプティカルフローに基づいて、前記飛来物体が写っているか否かを判定することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記飛来物体検出部は、前記オプティカルフローの最大曲率が閾値を越える場合、前記蓄積されたオプティカルフローの向きが下方かつ前記車両の進行方向を示す軸に近づく向きである場合、又は前記オプティカルフローの長さが閾値を越える場合に、前記飛来物体が写っていると判定することを特徴とする請求項8に記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記飛来物体検出部は、前記連続画像に含まれるフレーム画像を複数の領域に分割し、前記複数の領域の各々において、オプティカルフローに関する値が特異値を示すオプティカルフローがあるか否かに基づいて、前記連続画像の各々に前記飛来物体が写っているか否かを判定することを特徴とする請求項8に記載の画像処理装置。
【請求項11】
前記飛来物体検出部は、前記連続画像に含まれるフレーム画像を複数の領域に分割し、前記複数の領域の各々におけるオプティカルフローに関する値の前記複数の領域間での比較に基づいて、前記連続画像の各々に前記飛来物体が写っているか否かを判定することを特徴とする請求項8に記載の画像処理装置。
【請求項12】
前記飛来物体検出部は、画像認識によって前記複数の画像の各々に写っている物体を複数の種類に分類し、所定の種類に分類された物体が写っている画像中の領域を前記オプティカルフローの算出対象から除外することを特徴とする請求項8に記載の画像処理装置。
【請求項13】
前記飛来物体検出部は、画像認識によって前記複数の画像の各々に写っている物体のうちの路上に存在する落下物を特定し、前記落下物として特定された物体が写っている画像中の領域を前記オプティカルフローの算出対象とすることを特徴とする請求項8に記載の画像処理装置。
【請求項14】
前記飛来物体は投擲物であり、
前記飛来物体検出部は、前記複数の画像における前記オプティカルフローの始点付近に人又は車両が写っているか否かを判定し、前記人又は車両が写っていると判定した場合に、前記複数の画像のいずれかに前記投擲物が写っていると判定することを特徴とする請求項8に記載の画像処理装置。
【請求項15】
前記飛来物体は投擲物を含み、
前記飛来物体検出部は、人が物体を投擲する様子を撮影した複数の投擲画像と、前記複数の投擲画像に投擲物が写っていることを示す情報とを学習データとして機械学習がなされた学習済みモデルを用いて、前記車両の周囲を逐次撮影した複数の画像を入力とし、前記複数の画像に投擲物が写っているか否かを示す情報を出力として、前記出力が前記複数の画像に投擲物が写っていることを示す場合に、前記飛来物体が写っていると判定することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項16】
前記特定画像を恒久的に保存する画像保存部をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項17】
画像処理装置によって実行される画像処理方法であって、
車両の周囲を逐次撮影した複数の画像を取得する画像取得ステップと、
前記複数の画像に基づいて、前記複数の画像のいずれかに前記車両への、または前記車両の前方領域への飛来物体が写っているか否かを判定する飛来物体検出ステップと、
前記飛来物体が写っていると判定されると、前記飛来物体が写っている画像が撮像された時点を含む所定時間内の画像を特定画像として特定する画像特定ステップと、
を含むことを特徴とする画像処理方法。
【請求項18】
コンピュータを備える画像処理装置によって実行される画像処理プログラムであって、前記コンピュータに、
車両の周囲を逐次撮影した複数の画像を取得する画像取得ステップと、
前記複数の画像に基づいて、前記複数の画像のいずれかに前記車両への、または前記車両の前方領域への飛来物体が写っているか否かを判定する飛来物体検出ステップと、
前記飛来物体が写っていると判定されると、前記飛来物体が写っている画像が撮像された時点を含む所定時間内の画像を特定画像として特定する画像特定ステップと、
を実行させるための画像処理プログラム。
【請求項19】
コンピュータを備える画像処理装置に、
車両の周囲を逐次撮影した複数の画像を取得する画像取得ステップと、
前記複数の画像に基づいて、前記複数の画像のいずれかに前記車両への、または前記車両の前方領域への飛来物体が写っているか否かを判定する飛来物体検出ステップと、
前記飛来物体が写っていると判定されると、前記飛来物体が写っている画像が撮像された時点を含む所定時間内の画像を特定画像として特定する画像特定ステップと、
を実行させる画像処理プログラムを記憶するコンピュータが読取可能な記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像処理方法、画像処理プログラム及び記録媒体に関し、特に、複数の画像に基づいて画像処理を行う画像処理装置、画像処理方法、画像処理プログラム及び記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
自車両の走行中に、自車両の周囲を走行する他車両の挙動を検出することにより、煽り運転等の危険運転を検出する装置が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には車両の周囲を撮影した画像から周辺車両を検出し、当該周辺車両の車種を認識し、周辺車両の画像上のサイズと、車種ごとにあらかじめ定められた危険運転と判定するためのサイズの基準とに基づいて、周辺車両の接近による危険運転を検出する危険運転判定装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-99720号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
車両にとって危険な事象(以下、単に危険事象とも称する)である車両への威嚇・妨害行為として、当該車両の周囲から物を投げる行為がある。また、危険事象としては、車両への威嚇・妨害行為に関わらず、物が風等によって飛来する事象も存在する。いずれの場合も車両又は車両の前方の領域に物体が飛来すると運転の妨げとなり、危険である。上記のような危険運転判定装置によっては、自車両への他車両の接近等を伴わない限り、このような自車両又は自車両の前方領域に物体が飛来する危険事象が発生しても、当該危険事象を検出できないことが課題の1つとして挙げられる。
【0006】
本発明は上記した点に鑑みてなされたものであり、車両に向かって又は車両の前方領域に飛来する飛来物体を検出可能な画像処理装置を提供することを目的の1つとしている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、車両の周囲を逐次撮影した複数の画像を取得する画像取得部と、前記複数の画像に基づいて、前記複数の画像のいずれかに前記車両、または前記車両の前方領域への飛来物体が写っているか否かを判定する飛来物体検出部と、前記飛来物体が写っていると判定されると、前記飛来物体が写っている画像が撮像された時点を含む所定時間内の画像を特定画像として特定する画像特定部と、を有することを特徴とする画像処理装置である。
【0008】
請求項17に記載の発明は、画像処理装置によって実行される画像処理方法であって、車両の周囲を逐次撮影した複数の画像を取得する画像取得ステップと、前記複数の画像に基づいて、前記複数の画像のいずれかに前記車両への、または前記車両の前方領域への飛来物体が写っているか否かを判定する飛来物体検出ステップと、前記飛来物体が写っていると判定されると、前記飛来物体が写っている画像が撮像された時点を含む所定時間内の画像を特定画像として特定する画像特定ステップと、を含むことを特徴とする画像処理方法である。
【0009】
請求項18に記載の発明は、コンピュータを備える画像処理装置によって実行される画像処理プログラムであって、前記コンピュータに、車両の周囲を逐次撮影した複数の画像を取得する画像取得ステップと、前記複数の画像に基づいて、前記複数の画像のいずれかに前記車両への、または前記車両の前方領域への飛来物体が写っているか否かを判定する飛来物体検出ステップと、前記飛来物体が写っていると判定されると、前記飛来物体が写っている画像が撮像された時点を含む所定時間内の画像を特定画像として特定する画像特定ステップと、を実行させるための画像処理プログラムである。
【0010】
請求項19に記載の発明は、コンピュータを備える画像処理装置に、車両の周囲を逐次撮影した複数の画像を取得する画像取得ステップと、前記複数の画像に基づいて、前記複数の画像のいずれかに前記車両への、または前記車両の前方領域への飛来物体が写っているか否かを判定する飛来物体検出ステップと、前記飛来物体が写っていると判定されると、前記飛来物体が写っている画像が撮像された時点を含む所定時間内の画像を特定画像として特定する画像特定ステップと、を実行させる画像処理プログラムを記憶するコンピュータが読取可能な記録媒体である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施例1に係る画像処理によって検出する事象の例を示す図である。
図2】実施例1に係る画像処理システムの構成を示す図である。
図3】実施例1に係る画像処理装置が搭載されている車両の前席部分を示す図である。
図4】実施例1に係る画像処理装置の構成を示すブロック図である。
図5】実施例1に係るサーバの構成を示す図である。
図6】実施例1に係る画像処理装置が算出する軌跡の一例を示す図である。
図7】実施例1に係る画像処理装置が算出する軌跡の一例を示す図である。
図8】実施例1に係る画像処理装置が実行するルーチンの一例を示すフローチャートである。
図9】実施例1に係る画像処理装置が実行するルーチンの変形例を示すフローチャートである。
図10】実施例2に係る画像処理装置が算出するオプティカルフローの一例を示す図である。
図11】実施例2に係る画像処理装置が実行するルーチンの一例を示すフローチャートである。
図12】実施例2に係る画像処理装置が実行するルーチンの変形例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に本発明の実施例について詳細に説明する。なお、以下の説明及び添付図面においては、実質的に同一又は等価な部分には同一の参照符号を付している。
【実施例0013】
添付図面を参照しつつ、本実施例に係る画像処理装置10の構成について説明する。
【0014】
図1は、自車両Mに搭載された画像処理装置10が実行する画像処理によって検出する事象の例を示す図である。図1は、画像処理装置10が自車両M1に搭載されている様子を示している。図1には、道路R上を走行中の自車両M1、自車両M1の周囲に存在する他車両M2及び歩行者P1が示されている。また、図1には、道路R上に飛来する物体の一例として、空き缶A1、A2及びA3が示されている。
【0015】
図1に示す例において、空き缶A1は、他車両M2から投げ捨てられたことによって道路R上に飛来した物体である。言い換えれば、空き缶A1は、他車両M2内の乗員によって投擲された投擲物である。
【0016】
図1中の空き缶A2は、歩行者P1によって投げられたことによって道路R上に飛来した物体である。言い換えれば、空き缶A2は、歩行者P1によって投擲された投擲物である。
【0017】
図1中の空き缶A3は、風によって運ばれたことによって道路R上に存在する物体である。言い換えれば、空き缶A3は、風によって道路R上に飛来した飛来物体である。
【0018】
図1に示す例において、空き缶A1、A2、及びA3はいずれも道路R上の自車両M1の前方の領域に飛来した飛来物体であるといえる。
【0019】
なお、本実施例において、飛来物体は、鳥等の動物や無人航空機等の能動的に動く物体を含まないものとして説明する。
【0020】
上述のように、車両の周囲から物を投げる行為によって空き缶A1又はA2のような物体が飛来する事象や、空き缶A3のような物体が風等によって飛来する事象は、いずれも自車両M1にとって危険な危険事象である。画像処理装置10は、そのような危険事象の検出を可能にする装置である。
【0021】
具体的には、画像処理装置10は、自車両M1の周囲を逐次撮影した複数の画像を取得し、当該複数の画像に基づいて、空き缶A1~A3のような飛来物体を検出し、飛来物体が写っている画像を特定することによって危険事象を検出する。例えば、画像処理装置10によって飛来物体が写っていると特定された画像を解析することにより、飛来物体の発生原因の究明、例えばどの車両から投げられたのか等の検証を行うことができる。
【0022】
図2は、画像処理装置10を含む画像処理システム100の概略を示す図である。図2に示すように、画像処理システム100は、自車両M1に搭載されている画像処理装置10と、サーバ装置20とを含んで構成されている。
【0023】
サーバ装置20は、画像処理装置10との間でネットワークNWを介して通信を行うサーバ装置である。画像処理装置10とサーバ装置20とは、例えば、TCP/IP等の通信プロトコルを用いて相互にデータの送受信が可能になっている。画像処理装置10とネットワークNWとの接続は、例えば4G(4th Generation)又は5G(5th Generation)等の移動体通信、Wi-Fi(登録商標)等の無線通信によりなされ得る。
【0024】
本実施例において、画像処理装置10は、自車両M1に取り付けられたカメラによって逐次撮影された複数の画像を取得して、当該複数の画像に基づいて、飛来物体が写っている画像を特定して特定画像としてラベルを付し、当該特定画像をサーバ装置20に送信する。
【0025】
サーバ装置20は、画像処理装置10から受信した特定画像を恒久的に保存する。
【0026】
このように、画像処理システム100は、自車両M1の周囲を逐次撮影した複数の画像に基づいて、飛来物体が写っている画像を特定し、当該特定した画像を恒久的に保存するシステムである。例えば、画像処理システム100のユーザは、サーバ装置20に保存された画像データを危険事象の多い地点の抽出や危険事象の検証等に活用することができる。
【0027】
図3は、自車両M1の前席部分を示す図である。図3に示すように、画像処理装置10は、自車両M1のセンターコンソールに配置されている。
【0028】
前方カメラ11は、ダッシュボードDB上に設けられている。前方カメラ11は、自車両M1の進行方向を撮影方向としている。自車両M1の進行方向を前方としたとき、前方カメラ11は、自車両M1の前方、右前方及び左前方を含む範囲の画像を撮影可能に配置されている。
【0029】
前方カメラ11は、自車両M1の前方の画像を撮影可能であれば自車両M1のいずれの箇所に設けられてもよい。例えば、前方カメラ11は、ルームミラーRMの裏、すなわちフロントガラスFGに対向する面に配されていてもよく、自車両M1の外側面(外装面)、例えばボンネット上またはフロントバンパー等に設けられていてもよい。
【0030】
前方カメラ11は、画像処理装置10と通信可能に接続されており、撮影した画像の信号を画像処理装置10に送信することが可能である。
【0031】
タッチパネルディスプレイ15は、タッチパネル及びディスプレイからなる。タッチパネルディスプレイ15は、画像処理装置10と通信可能に接続されている。タッチパネルディスプレイ15のディスプレイは、画像処理装置10から供給される画像を表示する。例えば、当該ディスプレイには、画像処理装置10が危険事象を検出した際に、飛来物体が写っている画像であると画像処理装置10が特定した特定画像を表示してもよい。
【0032】
また、タッチパネルディスプレイ15のタッチパネルは、タッチパネルへの接触による入力操作を示す信号を画像処理装置10に送信する。例えば、タッチパネルディスプレイ15は、画像処理装置10による画像処理の開始や終了等の画像処理に関する各種設定を行うための入力操作を示す信号を画像処理装置10に送信する。
【0033】
なお、例えば、画像処理装置10は、画像処理に関する設定を行うための入力操作を、自車両M1に備えられたマイク(図示せず)を介して音声によって受け付けてもよい。
【0034】
GNSS受信機17は、GNSS(Global Navigation Satellite System)衛星からの信号(GNSS信号)を受信する装置である。GNSS受信機17は、例えば、ダッシュボードDB上に配されている。なお、GNSS受信機17は、GNSS信号が受信できればいずれの箇所に配されていてもよい。
【0035】
GNSS受信機17は、画像処理装置10と通信可能に接続されており、受信したGNSS信号を画像処理装置10に送信することが可能である。画像処理装置10は、GNSS信号を用いて自車両M1の現在位置情報を取得する。例えば、画像処理装置10は、飛来物体が写っていると特定した画像に当該画像が撮影された時点の自車両M1の現在位置情報を付与してもよい。
【0036】
画像処理装置10は、前方カメラ11によって撮像された動画を取得して記憶する。言い換えれば、本実施例において、画像処理装置10は、いわゆるドライブレコーダと同様の機能を有する。
【0037】
画像処理装置10は、前方カメラ11によって逐次撮像された複数の画像に基づいて画像処理を行って、飛来物体を検出する。
【0038】
図4を参照しつつ、自車両M1に搭載されている画像処理装置10の構成及び機能について説明する。
【0039】
図4は、画像処理装置10の構成を示すブロック図である。図4に示すように、画像処理装置10は、システムバス21を介して各部が接続されて構成されている。
【0040】
入力部23は、画像処理装置10と自車両M1に備えられた機器とを通信可能に接続するインターフェースである。
【0041】
入力部23は、画像処理装置10と、前方カメラ11とを通信可能に接続するインターフェースである。画像処理装置10は、入力部23を介して前方カメラ11から自車両M1の周囲を撮影した画像を取得する。
【0042】
入力部23は、画像処理装置10とタッチパネルディスプレイ15のタッチパネルとを通信可能に接続するインターフェースである。画像処理装置10は、入力部23を介してタッチパネルへの接触による入力操作を示す信号を受信する。
【0043】
入力部23は、画像処理装置10をGNSS受信機17に接続するインターフェースである。画像処理装置10は、入力部23を介してGNSS受信機17からGNSS信号を受信して、自車両M1の現在位置を示す情報を取得する。
【0044】
大容量記憶装置25は、例えば、ハードディスク装置、SSD(solid state drive)、フラッシュメモリ等により構成されており、画像処理装置10において実行される各種プログラムを記憶する。なお、各種プログラムは、例えば、他のサーバ装置等からネットワークを介して取得されるようにしてもよいし、記録媒体に記録されて各種ドライブ装置を介して読み込まれるようにしてもよい。すなわち、大容量記憶装置25に記憶される各種プログラムは、ネットワークを介して伝送可能であるし、また、コンピュータに読み取り可能な記録媒体に記録して譲渡することが可能である。
【0045】
例えば、大容量記憶装置25は、画像処理装置10が、自車両M1の周囲を逐次撮影した複数の画像に基づいて、飛来物体が写っている画像を特定する際に実行する画像処理プログラムを記憶する。
【0046】
また、大容量記憶装置25は、画像一時記憶部25Aを有している。画像一時記憶部25Aは、前方カメラ11によって撮像された動画像、すなわち、自車両M1の周囲を逐次撮影した連続画像を記憶する。なお、連続画像とは、時系列に沿って並んでいる画像を指す。
【0047】
画像一時記憶部25Aは、例えば、一定時間分の動画像を記憶する。また、画像一時記憶部25Aは、例えば、所定容量分の動画像を記憶する。
【0048】
例えば、画像一時記憶部25Aは、リングバッファのように、時々刻々と新しい画像が保存されるメモリ部分である。画像一時記憶部25Aには、例えば、数時間~数十時間分の動画像が保存され得る。例えば、画像一時記憶部25Aにおいて、古い画像が新しい画像によって書き換えられることで、時々刻々と画像の更新がなされる。
【0049】
制御部27は、CPU(Central Processing Unit)27A、ROM(Read Only Memory)27B、RAM(Random Access Memory)27C等により構成され、コンピュータとして機能する。そして、CPU27Aが、ROM27Bや大容量記憶装置25に記憶された各種プログラムを読み出し実行することにより各種機能を実現する。
【0050】
制御部27は、入力部23を介して、自車両M1の周囲を逐次撮影した複数の画像を前方カメラ11から取得する画像取得部として機能する。
【0051】
制御部27は、当該取得した複数の画像に基づいて、当該複数の画像のいずれかに、自車両M1への飛来物体、または自車両M1の前方領域への飛来物体が写っているか否かを判定する飛来物体検出部として機能する。
【0052】
例えば、飛来物体検出部としての制御部27は、画像認識によって複数の画像の各々について追跡対象物を特定し、複数の画像のうちの追跡対象物が特定された画像を含む時系列順の画像に基づいて追跡対象物が描く軌跡を算出し、当該軌跡に基づいて追跡対象物が飛来物体であるか否かを判定することにより飛来物体が写っているか否かを判定する。
【0053】
例えば、制御部27は、画像認識によって、人や車両以外の物体として認識された物体、又は路上に存在する物体等の飛来物体である可能性のある物体を追跡対象物として特定する。
【0054】
例えば、制御部27は、連続画像の各々における追跡対象物の特徴点を抽出し、特徴点の画像内の座標に基づいて、各々の特徴点の軌跡を算出する。
【0055】
例えば、動画像中で飛来物体の動きを追跡した場合に当該飛来物体が描く軌跡は、特徴的な曲線を含むなどの特徴があり、撮影前から路上に存在していた落下物や周囲の車両等が描く軌跡とは区別することができる。制御部27は、軌跡の特徴に関する判定基準によって、算出した軌跡が飛来物体の軌跡であるか否かを判定する。
【0056】
例えば、飛来物体検出部としての制御部27は、追跡対象物が描く軌跡の最大曲率が最大曲率についての所定の閾値を越える場合、軌跡の向きが下方かつ自車両M1の進行方向を示す軸に近づく向きである場合、又は軌跡の長さが軌跡の長さについての所定の閾値を越える場合の少なくとも1つに該当する場合に、追跡対象物が飛来物体であると判定する。
【0057】
また、上記のような追跡対象物の軌跡の特徴を利用した判定は、学習モデルを使用して実現することもできる。例えば、飛来物体検出部としての制御部27は、追跡対象物が描く軌跡を入力すると、当該軌跡が飛来物体の軌跡であるか否かを示す情報を出力するように機械学習がなされた学習済みモデルを用いて、当該追跡対象物が飛来物体であるか否かを判定してもよい。
【0058】
当該学習モデルは、例えば、予め算出された多数の飛来物体の軌跡及び当該多数の飛来物体の各々が飛来物体であることを示す情報を学習データとして、例えば大容量記憶装置25内に構築され得る。
【0059】
制御部27は、飛来物体が写っていると判定されると、当該飛来物体が写っている画像が撮像された時点を含む所定時間内の画像を特定画像として特定する画像特定部として機能する。
【0060】
制御部27は、入力部23を介して、自車両M1の現在位置情報をGNSS受信機17から取得する。当該現在位置情報は、例えば、時刻を示す情報と、その時刻における自車両M1の位置を示す情報が対応付けられた情報である。当該自車両M1の位置を示す情報は、地図上の位置を示す情報であってもよい。
【0061】
通信部29は、無線装置(図示せず)に接続されているNIC(Network Interface Card)等のネットワークアダプタである。通信部29は、制御部27からの命令に従って、サーバ装置20との通信を行う。例えば、通信部29は、画像処理装置10が飛来物体が写っていると判定した画像を含む特定画像をサーバ装置20に送信する際の通信を行う。
【0062】
出力部31は、自車両M1に備えられたタッチパネルディスプレイ15のディスプレイに接続されている。出力部31は、制御部27からの命令に従って、ディスプレイに各種情報を供給するためのインターフェースである。
【0063】
例えば、出力部31は、画像処理装置10による画像処理に関する設定の入力を受け付ける画面を表示するための情報をディスプレイに供給する。例えば、出力部31は、飛来物体が写っていると判定された画像をディスプレイに供給してもよい。
【0064】
続いて、図5を参照しつつ、サーバ装置20の構成及び機能について説明する。
【0065】
図5は、サーバ装置20の構成を示すブロック図である。図5に示すように、サーバ装置20は、システムバス41を介して各部が接続されて構成されているサーバ装置である。
【0066】
大容量記憶装置43は、例えば、ハードディスク装置、SSD(solid state drive)、フラッシュメモリ等により構成された記憶装置である。大容量記憶装置43は、サーバ装置20において実行される各種プログラムを記憶する。なお、各種プログラムは、例えば他のサーバ装置等からネットワークを介して取得されてもよく、記録媒体に記録されて各種ドライブ装置を介して読み込まれてもよい。
【0067】
大容量記憶装置43は、恒久記憶部43Aを含む。恒久記憶部43Aには、画像処理装置10によって、自車両M1への飛来物体又は自車両M1の前方領域への飛来物体が写っていると判定された画像を含む特定画像を恒久的に記憶する。
【0068】
制御部45は、CPU(Central Processing Unit)45A、ROM(Read Only Memory)45B、RAM(Random Access Memory)45C等により構成され、コンピュータとして機能する。そして、CPU45Aが、ROM45Bや大容量記憶装置43に記憶された各種プログラムを読み出し実行することにより各種機能を実現する。
【0069】
制御部45は、大容量記憶装置43に記憶された画像処理プログラムを読み出して実行することで、画像処理装置10によって特定された特定画像を恒久記憶部43Aに記憶させる。
【0070】
通信部47は、無線装置(図示せず)に接続されているNIC(Network Interface Card)等のネットワークアダプタである。通信部47は、制御部45からの命令に従って、サーバ装置20と画像処理装置10との通信を行う。
【0071】
例えば、通信部47は、サーバ装置20が、画像処理装置10から、特定画像を受信する際の通信を行う。
【0072】
サーバ装置20は、通信部47を介して、特定画像を画像処理装置10から受信して、当該受信した特定画像を恒久記憶部43Aに恒久的に記憶する。
【0073】
例えば、サーバ装置20は、複数の車両の各々に搭載されている複数の画像処理装置10の各々から特定画像を受信し、画像処理装置10毎に、又は車両毎に、特定画像を恒久記憶部43Aに記憶する。
【0074】
以下、図6~8を参照しつつ、画像処理装置10の制御部27による画像処理の内容について詳細に説明する。
【0075】
図6は、追跡対象物が飛来物体ではなく、前方カメラ11による撮影前から路上に存在する落下物である場合に、画像処理装置10が算出する軌跡の一例を示す図である。図6は、前方カメラ11によって自車両M1の前方が撮影された画像の一例である画像F1を示している。図6に示すように、画像F1中に、隣の車線を走行する他車両M2と、自車両M1の前方の道路上に存在する空き缶B1が写っている。
【0076】
制御部27は、例えば、前方カメラ11によって逐次撮影された画像を逐次取得して画像処理を行う。例えば、制御部27は、前方カメラ11によって逐次撮影された画像を逐次取得して画像一時記憶部25Aに記憶し、画像一時記憶部25Aに記憶した画像を画像処理に利用する。
【0077】
例えば、制御部27は、前方カメラ11によって逐次撮影された画像の1つである画像F1を取得すると、画像F1について画像認識を行って追跡対象物を特定する。例えば、制御部27は、画像F1に写っている物体を複数の種類に分類し、所定の種類に分類された物体を、追跡対象物として特定する。
【0078】
例えば、制御部27は、画像F1中の物体について、第1の種類を「車両」とし、第2の種類を「人」とし、第3の種類を「車両及び人以外」として、第1~第3の種類に分類し、第3の種類に分類された物体を、追跡対象物として特定する。
【0079】
例えば、制御部27は、画像F1中の物体を分類する際の種類の1つを道路上に存在する落下物とし、落下物に分類された物体を追跡対象物とする。
【0080】
例えば、図6に示す例においては、空き缶B1が「車両及び人以外」、又は「落下物」に分類され、追跡対象物として特定される。
【0081】
制御部27は、追跡対象物を特定すると、当該追跡対象物が特定された画像を含む時系列順の連続画像に基づいて、当該追跡対象物が描く軌跡を算出する。
【0082】
例えば、制御部27は、追跡対象物を特定すると、追跡対象物が写っている画像が撮像された時点から遡った所定期間内の時系列順の連続画像を画像一時記憶部25Aから取得し、当該取得した連続画像について軌跡を算出する。
【0083】
制御部27は、例えば、連続画像を取得すると、当該連続画像に含まれるフレーム画像の各々において、追跡対象物として特定された物体を画像認識によって特定し、追跡対象物の軌跡を算出する。
【0084】
例えば、制御部27は、連続画像の各々における追跡対象物の特徴点を抽出し、特徴点の画像内の座標に基づいて、各々の特徴点の軌跡を算出する。例えば、制御部27は、追跡対象物の重心等を特徴点として用いて、追跡対象物の軌跡を算出してもよい。
【0085】
図6中、連続画像に含まれるフレーム画像の各々における空き缶B1の重心をプロットして接続することによって算出した軌跡TR1を模式的に示している。
【0086】
また、画像F1中の空き缶B1について、画像F1が撮影された時点よりも遡った連続画像の最初のフレーム画像における空き缶B2を破線で示している。従って、空き缶B1のオプティカルフローは、破線で示した空き缶B2から実線で示した空き缶B1に向かう向きとなっている。また、図6中、自車両M1の進行方向を示す軸を軸Xとして示している。
【0087】
図6に示すように、軌跡TR1は、道路に沿った直線状の軌跡となっている。また、軌跡TR1の向きは、軸Xから遠ざかる向きになっている。
【0088】
図7は、追跡対象物が飛来物体である場合に画像処理装置10が算出する軌跡の一例を示す図である。図7は、前方カメラ11によって自車両M1の前方が撮影された画像の一例である画像F2を示している。図7に示すように、画像F2中に、隣の車線を走行する他車両M2と、自車両M1の前方の道路上に存在する空き缶B1が写っている。図7に示す例において、空き缶B1は、他車両M2から投擲された投擲物であり、飛来物体である。
【0089】
図7に示す例においては、制御部27が空き缶B1を追跡対象物として特定した場合に、連続画像の各々における空き缶B1の重心をプロットして接続することによって算出した軌跡TR2を模式的に示している。
【0090】
[最大曲率による判定]
例えば、制御部27は、追跡対象物の軌跡を算出すると、当該軌跡の最大曲率を算出し、最大曲率が閾値を越える場合に、当該軌跡は飛来物体の軌跡であると判定する。
【0091】
飛来物体の軌跡は、特徴的な曲線部分を含む傾向がある。一方、飛来物体以外の、撮影前から存在する落下物、直進中の車両又は静止物等の軌跡は直線状になる傾向がある。言い換えれば、飛来物体の軌跡は、静止物等の軌跡と比較して最大曲率が大きい傾向がある。そこで、単なる落下物等と飛来物体との軌跡の形状の違いに着目して、軌跡の曲率の閾値を設けて、最大曲率が閾値を超える場合に飛来物体であると判定することで、単なる落下物と区別して確実に飛来物体を検出することができる。
【0092】
図7に示す例においては、飛来物体の軌跡である軌跡TR2は、始点付近に特徴的な曲線を含んでいる。これに対して、図6に示したように、落下物の軌跡である軌跡TR1は、道路に沿った直線状になっている。軌跡TR1及びTR2の最大曲率が閾値を越えるか否かを判定することによって、飛来物体の軌跡である軌跡TR2を、飛来物体ではない落下物の軌跡である軌跡TR1と区別して検出することができる。
【0093】
[向きによる判定]
例えば、制御部27は、算出した軌跡の少なくとも一部の向きが、画像中の下方でありかつ自車両M1の進行方向を示す軸Xに近づく向きである場合に、当該軌跡は飛来物体の軌跡であると判定する。
【0094】
自車両M1の前方領域に飛来する物体のオプティカルフローは、画像中の上下方向の向きが下方でありかつ左右方向の向きが自車両M1の進行方向を示す軸Xに近づく向きとなる傾向がある。一方、例えば落下物等の静止している物体の軌跡の向きは、軸Xから遠ざかる向きになる傾向がある。また、例えば、追跡対象物に車両が含まれる場合、車線変更や追い越しを行う車両の軌跡は、軸Xに近づく向きになる部分を含む場合があるが、上下方向の向きは上向きとなる点で、飛来物体の傾向と異なる。
【0095】
そこで、飛来物体と、飛来物体ではない静止物等との軌跡の向きの違いに着目して、軌跡の少なくとも一部において、当該軌跡の向きが下方かつ軸Xに対して近づく向きである場合に、当該軌跡を描く物体は飛来物体であると判定することで、単なる落下物や他の車両等と区別して確実に飛来物体を検出することができる。
【0096】
図7に示す例においては、軌跡TR2は、出発点(始点)付近において、軌跡の向きが下向きであり、かつ軸Xに近づく向きになっている部分を含んでいる。これに対して、図6に示したように、落下物の軌跡TR1は、軸Xから遠ざかる向きになる。軌跡の向きを基準として判定することで、飛来物体の軌跡である軌跡TR2を、落下物の軌跡である軌跡TR1と区別して検出することができる。
【0097】
[長さによる判定]
また、制御部27は、算出した軌跡の長さが所定の閾値を越える場合に、当該軌跡は飛来物体の軌跡であると判定してもよい。
【0098】
本実施例において算出される軌跡の長さは、自車両M1と物体との相対速度によって決まり、相対速度が大きい程長くなる。
【0099】
例えば、自車両M1と飛来物体との相対速度は、自車両M1と同じ方向に走行している車両との相対速度よりも大きくなると考えられる。従って、飛来物体の軌跡の長さは、自車両M1と同じ方向に走行している車両の軌跡の長さと比較して長くなる。そこで、軌跡の長さの下限の閾値を設けて、当該閾値を越える長さである場合に飛来物体の軌跡と判定することで、同じ方向に走行している車両等の軌跡と区別して飛来物体の軌跡を検出することができる。
【0100】
例えば、自車両M1と飛来物体との相対速度は、自車両M1の対向車との相対速度よりも小さくなると考えられる。従って、飛来物体の軌跡の長さは、例えば、対向車の軌跡と比較して短くなる。そこで、軌跡の長さの上限値を設けて、上限値よりも短い場合に飛来物体の軌跡と判定することで、対向車等の軌跡と区別して飛来物体の軌跡を検出することができる。
【0101】
なお、例えば、画像処理装置10は自車両M1に備えられた加速度センサ(図示せず)等から自車両M1の速度を取得可能になっていてもよく、自車両M1の速度毎に軌跡の長さの閾値を設けてもよい。
【0102】
このように、制御部27は、追跡対象物の軌跡の最大曲率を用いた判定、軌跡の向きを用いた判定、又は軌跡の長さを用いた判定によって、当該軌跡は飛来物体の軌跡であるか否か、すなわち、当該軌跡の算出に用いた連続画像に飛来物体が写っているか否かを判定する。制御部27は、最大曲率が閾値を越えること、軌跡の向きが下方かつ軸Xに対して近づく向きであること、又は軌跡の長さが閾値を越えること、のいずれかに該当する場合に飛来物体が写っていると判定してもよく、全てに該当する場合に飛来物体が写っていると判定してもよい。
【0103】
また、これらの判定を組み合わせてもよい。例えば、最大曲率を用いた判定と軌跡の向きを用いた判定とを組み合わせて判定してもよく、最大曲率を用いた判定と軌跡の長さを用いた判定とを組み合わせてもよい。
【0104】
[学習済みモデルによる判定]
また、上述のように、制御部27は、追跡対象物の軌跡を算出後、当該算出した軌跡を、追跡対象物が描く軌跡を入力すると、当該軌跡が飛来物体の軌跡であるか否かを示す情報を出力するように機械学習がなされた学習済みモデルに入力することによって飛来物体の軌跡であるか否かを判定してもよい。
【0105】
[投擲物の検出]
また、制御部27は、上記のような、最大曲率等を用いた判定又は学習済みモデルを用いた判定において、飛来物体の軌跡であると判定された場合に、さらに、連続画像における軌跡の始点付近に人又は車両が写っているか否かを判定することによって、飛来物体のうちの投擲物を検出してもよい。この場合、制御部27は、人又は車両が写っていると判定した場合に、連続画像に投擲物が写っていると判定する。
【0106】
軌跡の始点付近に人又は車両が存在する場合には、車両内又は車両外に居る人が、追跡対象物である物体を投擲した蓋然性が高く、飛来物体のうちの投擲物を正確に検出することができる。
【0107】
図8及び図9を参照しつつ、本実施例における画像処理装置10の制御部27によって実行される制御ルーチンについて説明する。
【0108】
図8は、制御部27が飛来物体を検出する際に実行するルーチンの一例である飛来物体検出ルーチンRT1を示すフローチャートである。例えば、制御部27は、前方カメラ11による自車両M1の周囲の撮影が開始されると、飛来物体検出ルーチンRT1を開始する。
【0109】
制御部27は、飛来物体検出ルーチンRT1を開始すると、前方カメラ11によって逐次撮影された画像のうちの1つのフレーム画像を例えば画像一時記憶部25Aから取得する(ステップS101)。なお、ステップS101において、制御部27は、1つのフレーム画像を前方カメラ11から受信することで取得してもよい。
【0110】
ステップS101の実行後、制御部27は、ステップS101において取得したフレーム画像について画像認識処理を実行する(ステップS102)。ステップS102において、例えば、制御部27は、フレーム画像中に写っている物体の種類が、所定の複数の種類のいずれに該当するかを特定することで分類する。
【0111】
ステップS102において、制御部27は、例えば、第1の種類を「車両」、第2の種類を「人」、第3の種類を「車両及び人以外」として、第1~第3の種類に分類し、第3の種類に分類された物体を、追跡対象物として特定する。
【0112】
ステップS102において、制御部27は、例えば、第3の種類に分類された「車両及び人以外」の物体のうち、道路上に存在する物体を落下物として分類し、落下物に分類された物体を追跡対象物とする。
【0113】
ステップS102の実行後、制御部27は、ステップS102で分類した物体の中に追跡対象物が含まれるか否かを判定する(ステップS103)。ステップS103において、例えば、制御部27は、「車両及び人以外」に分類された物体又は「落下物」に分類された物体がある場合に、追跡対象物が含まれると判定する。
【0114】
制御部27は、ステップS103において、追跡対象物が無いと判定する(ステップS103:NO)と、飛来物体検出ルーチンRT1を終了し、新たに飛来物体検出ルーチンRT1を開始して、次のフレーム画像を新たに取得する。
【0115】
制御部27は、ステップS103において、追跡対象物があると判定する(ステップS103:YES)と、ステップS101において取得したフレーム画像を含む連続画像を画像一時記憶部25Aから取得する(ステップS104)。ステップS104において、例えば、制御部27は、追跡対象物が落下物である場合、「落下物」として分類された物体が特定された画像、すなわちステップS101において取得したフレーム画像が撮影された時点から遡った時系列順の連続画像を取得する。
【0116】
ステップS104において、例えば、制御部27は、ステップS101において取得したフレーム画像が撮影された時点の前又は前後の所定の時間分の連続画像を取得する。ステップS104において、例えば、数秒~十数秒分の連続画像、例えば約10秒分の連続画像が取得される。
【0117】
ステップS104において、制御部27は、自車両M1の周囲を逐次撮影した複数の画像を取得する画像取得部として機能する。
【0118】
ステップ104の実行後、制御部27は、ステップS104で取得した連続画像に基づいて、追跡対象物の軌跡を算出する(ステップS105)。
【0119】
ステップS105において、例えば、制御部27は、連続画像の各々における追跡対象物の特徴点を抽出し、画像間で対応する特徴点同士を繋ぎ合わせることによって、各々の特徴点の軌跡を算出することで、追跡対象物が描く軌跡を算出する。
【0120】
ステップS105において、例えば、制御部27は、追跡対象物の重心同士を画像間で繋ぎ合わせることによって追跡対象物の軌跡を算出する。
【0121】
ステップS105の実行後、制御部27は、ステップS105において算出した軌跡が飛来物体の軌跡に該当するか否かを判定する(ステップS106)。ステップS106において、例えば、制御部27は、ステップS105において算出した軌跡の最大曲率が閾値を超える場合、当該軌跡の向きが下方かつ軸Xに近づく向きである場合、又は当該軌跡の長さが閾値を越える場合に、当該軌跡が飛来物体の軌跡であると判定する。
【0122】
ステップS106において、例えば、制御部27は、追跡対象物が描く軌跡を入力すると、当該軌跡が飛来物体の軌跡であるか否かを示す情報を出力するように機械学習がなされた学習済みモデルを用いて、当該学習済みモデルの出力が飛来物体の軌跡であることを示す場合に、ステップS105において算出した軌跡が飛来物体の軌跡であると判定する。
【0123】
ステップS106において、制御部27は、ステップS104において取得した複数の画像に基づいて、当該複数の画像のいずれかに、自車両M1への飛来物体又は自車両M1の前方領域への飛来物体が写っているか否かを判定する飛来物体検出部として機能する。
【0124】
ステップS106において、飛来物体の軌跡に該当しないと判定する(ステップS106:NO)と、制御部27は、飛来物体検出ルーチンRT1を終了し、新たに飛来物体検出ルーチンRT1を開始して、次のフレーム画像を新たに取得する。
【0125】
ステップS106において、飛来物体の軌跡に該当すると判定する(ステップS106:YES)と、制御部27は、飛来物体が写っている画像、例えばステップS101において取得した画像が撮像された時点を含む所定時間内の画像を特定画像として特定してラベルを付する(ステップS107)。ステップS107において、制御部27は、画像特定部として機能する。
【0126】
ステップS107において、例えば、制御部27は、ステップS104において取得した連続画像に含まれる全てのフレーム画像を特定画像としてラベルを付ける。なお、ステップS107において、例えば、制御部27は、ステップS104において取得した連続画像に含まれるフレーム画像の一部を特定画像としてラベルを付けてもよい。例えば、当該連続画像の一部にのみ追跡対象物が写っている場合には、追跡対象物が写っているフレーム画像のみが特定画像としてラベルを付されてもよい。
【0127】
ステップS107の実行後、制御部27は、特定画像をサーバ装置20に送信する(ステップS108)。ステップS108において、制御部27は、特定画像を恒久的にサーバ装置20に保存する画像保存部として機能する。
【0128】
ステップS108の実行後、制御部27は、飛来物体検出ルーチンRT1を終了し、新たに飛来物体検出ルーチンRT1を開始して、次のフレーム画像を新たに取得する。例えば、新たな飛来物体検出ルーチンRT1のステップS101において取得される画像は、1つ前の飛来物体検出ルーチンRT1において取得された連続画像の最後のフレーム画像の時系列順の次のフレーム画像である。
【0129】
図9は、飛来物体検出ルーチンRT1の変形例であり、制御部27が、飛来物体の中でも特に投擲物を検出する際に実行する投擲物検出ルーチンRT2を示すフローチャートである。
【0130】
投擲物検出ルーチンRT2は、ステップS207を含む点のみが飛来物体検出ルーチンRT1とは異なり、その他のステップについては飛来物体検出ルーチンRT1と同様に実行されるため、重複する部分については説明の一部を省略する。
【0131】
制御部27は、投擲物検出ルーチンRT2を開始すると、飛来物体検出ルーチンRT1の場合と同様に、前方カメラ11によって逐次撮影された画像のうちの1つのフレーム画像を取得して(ステップS201)画像認識処理を実行し(ステップS202)、当該フレーム画像に写っている物体に追跡対象物が含まれる場合に(ステップS203:YES)、当該フレーム画像を含む連続画像を取得する(ステップS204)。
【0132】
その後、制御部27は、追跡対象物の軌跡を算出し(ステップS205)、飛来物体の軌跡に該当するか否かを判定する(ステップS206)。
【0133】
ステップS206において、算出した軌跡が飛来物体の軌跡に該当すると判定する(ステップS206:YES)と、制御部27は、当該軌跡の始点付近に人又は車両が写っているか否かを判定する(ステップS207)。ステップS207において、例えば、制御部27は、軌跡の算出に用いた連続画像のうちの軌跡の始点が含まれる画像について、ステップS202における画像認識の結果を参照し、人又は車両に分類された物体の有無を判定する。なお、ステップS207において、軌跡の始点が含まれる画像よりも時系列順の少し前の画像について、人又は車両が写っているか否かの判定を行ってもよい。
【0134】
例えば、図7に示した例においては、空き缶B1が描く軌跡の始点の近傍に他車両M2が存在するので、ステップS207において、人又は車両が写っていると判定される。
【0135】
ステップS207において、人又は車両が写っていないと判定する(ステップS207:NO)と、制御部27は、投擲物検出ルーチンRT2を終了し、新たに投擲物検出ルーチンRT2を開始して、次のフレーム画像を新たに取得する。
【0136】
ステップS207において、人又は車両が写っていると判定する(ステップS207:YES)と、制御部27は、飛来物体が写っている画像、例えばステップS201において取得した画像が撮像された時点を含む所定時間内の画像を特定画像として特定してラベルを付する(ステップS208)。
【0137】
ステップS208の実行後、制御部27は、特定画像をサーバ装置20に送信し(ステップS209)、その後、投擲物検出ルーチンRT2を終了し、新たに投擲物検出ルーチンRT2を開始して、次のフレーム画像を新たに取得する。
【0138】
本ルーチンによれば、飛来物体のうちの投擲物を検出することが可能である。本ルーチンのステップS207において、軌跡の始点付近に人又は車両が写っていると判定された場合は、追跡対象物が投擲物である蓋然性が高いので、投擲物を正確に検出し、投擲物でないものが検出されることを防止することができる。例えば、本ルーチンによって特定された特定画像は、危険運転の検証等に役立てることができる。
【0139】
なお、本実施例において、飛来物体のうちの投擲物を検出する際に、飛来物体検出部としての制御部27は、人が物体を投擲する様子を撮影した複数の投擲画像と、当該複数の投擲画像に投擲物が写っていることを示す情報とを学習データとして機械学習がなされた学習済みモデルを用いてもよい。制御部27が、飛来物体検出部が車両の周囲を逐次撮影した複数の画像を学習済みモデルに入力すると、当該学習済みモデルから、当該複数の画像に投擲物が写っているか否かを示す情報が出力される。制御部27は、学習済みモデルから出力される情報に基づいて、複数の画像に投擲物が写っているか否かの判定を行う。
【0140】
例えば、当該学習済みモデルは、人が車両内または車両外から様々な種類の物体を投擲する様子を撮影した画像と、当該画像に投擲物が写っていることを示す情報とを学習データとして、大容量記憶装置25内に構築され得る。
【0141】
なお、例えば、当該学習済みモデルを用いた投擲物が写っているか否かの判定は、連続画像のうちの1つの画像を用いて行われてもよい。
【0142】
以上、説明したように、本実施例の画像処理装置10を含む画像処理システム100は、車両の周囲を逐次撮影した複数の画像を取得する画像取得部と、当該複数の画像に基づいて、複数の画像のいずれかに車両への飛来物体、または車両の前方領域への飛来物体が写っているか否かを判定する飛来物体検出部と、飛来物体が写っていると判定されると、当該飛来物体が写っている画像が撮像された時点を含む所定時間内の画像を特定画像として特定する画像特定部と、を有する。
【0143】
従って、本実施例の画像処理装置10を含む画像処理システム100によれば、車両又は車両の前方領域に飛来する飛来物体を検出可能な画像処理装置を提供することができる。
【0144】
例えば、本実施例において、画像特定部によって特定された特定画像をサーバ内に恒久的に保存しておくことができる。例えば、当該恒久的に保存された特定画像を解析することによって、車両に向かって又は車両の前方領域に飛来物体が飛来する危険事象の検証等の様々な目的に解析結果を利用することができる。
【0145】
例えば、本実施例において、飛来物体検出部は、画像認識によって複数の画像の各々について追跡対象物を特定し、複数の画像のうちの前記追跡対象物が特定された画像を含む時系列順の画像に基づいて追跡対象物が描く軌跡を算出し、当該軌跡に基づいて追跡対象物が飛来物体であるか否かを判定することにより飛来物体が写っているか否かを判定する。
【0146】
このような判定方法により、例えば画像中に写っている全ての物体の軌跡を算出することなく、追跡対象物の軌跡を算出すればよいので、効率良く飛来物体の検出を行うことができる。
【実施例0147】
図10~12を参照しつつ、実施例2に係る画像処理装置10及び画像処理システム100について説明する。本実施例の画像処理装置10及び画像処理システム100は、実施例1と同様に構成されており、飛来物体検出部としての制御部27の機能のみが実施例1と異なる。
【0148】
本実施例において、飛来物体検出部としての制御部27は、自車両M1の周囲を逐次撮影した連続画像を取得し、当該連続画像についてオプティカルフローを算出し、算出したオプティカルフローに基づいて、飛来物体が写っているか否かを判定する。
【0149】
オプティカルフローは、動画像における2フレーム間の画素ごとの見かけ上の動きを表す移動ベクトルである。本明細書において、連続画像に含まれる連続する2つの画像間の画素毎の画像間ベクトルを累積することによって描かれる軌跡についても、オプティカルフローと称する。
【0150】
制御部27は、例えばブロックマッチング法又は勾配法等の公知の方法によって、オプティカルフローを算出する。
【0151】
例えば、制御部27は、オプティカルフローの算出の前に、連続画像に含まれる最初のフレーム画像における濃淡パターンのエッジやコーナー等の特徴点を抽出する。制御部27は、当該特徴点のオプティカルフローを算出する。
【0152】
なお、制御部27は連続画像の各々における全画素についてのオプティカルフローを算出してもよいが、全画素についてのオプティカルフローを算出する場合は処理負荷が大きくなる。従って、本実施例においては、上記のように特徴点を利用して間引いた画素についてのオプティカルフローを算出する。
【0153】
図10は、本実施例において、画像処理装置10が算出するオプティカルフローの一例を模式的に示す図である。図10は、前方カメラ11によって自車両M1の前方が撮影された画像の一例である画像F3を示している。図10に示すように、画像F3中に、他車両M2、対向車M3、空き缶B1、及び建物や街路樹等の道路の周囲の風景が写っている。図10に示す例において、空き缶B1は、他車両M2から投げられた投擲物であり、飛来物体である。
【0154】
また、図10に示すように、時系列順で画像F3を最後のフレーム画像とする連続画像を用いて算出されたオプティカルフローが画像F3に重畳して描画されている。
【0155】
具体的には、画像F3中に、空き缶B1のオプティカルフローであるOF1、対向車M3のオプティカルフローであるOF2、及び道路の周辺の建物や街路樹等の背景の静止物のオプティカルフローであるOF3が描画されている。なお、図10において、当該連続画像の先頭のフレーム画像中の空き缶B2を破線で示している。従って、画像F3中、破線で示した空き缶B2上にオプティカルフローOF1の始点があり、実線で示した空き缶B1上にオプティカルフローOF1の終点がある。
【0156】
図10に示すようなオプティカルフローは、例えば、上述のように画素の濃淡値に基づく特徴点を抽出した上で勾配法等の方法で算出することができる。なお、制御部27は、画像F3を含む連続画像の全画素についてのオプティカルフローを算出してもよい。
【0157】
例えば、制御部27は、オプティカルフローを算出すると、実施例1の場合と同様に、オプティカルフローの最大曲率を用いた判定、オプティカルフローの向きを用いた判定、又はオプティカルフローの長さを用いた判定によって、算出したオプティカルフローが飛来物体のオプティカルフローであるか否か、すなわち、当該オプティカルフローの算出に用いた連続画像に飛来物体が写っているか否かを判定する。
【0158】
[最大曲率による判定]
例えば、制御部27は、オプティカルフローを算出すると、オプティカルフローの最大曲率を算出し、最大曲率が閾値を越える場合に、当該オプティカルフローは飛来物体のオプティカルフローであると判定する。
【0159】
例えば、制御部27は、算出した複数のオプティカルフローの各々について最大曲率を算出し、当該複数のオプティカルフローの各々について、最大曲率が閾値を越えるか否かを判定する。
【0160】
例えば、制御部27は、連続画像に含まれるフレーム画像を複数の領域に分割し、当該複数の領域の各々における複数のオプティカルフローの最大曲率の平均値を算出し、最大曲率が閾値を越えるか否かを判定してもよい。
【0161】
上述した軌跡の場合と同様に、飛来物体のオプティカルフローには特徴的な曲線部分を含む傾向がある。一方、飛来物体以外の物体のうち、少なくとも直進中の車両や静止物のオプティカルフローは直線状になる傾向がある。従って、オプティカルフローの最大曲率を判定基準とすることで、飛来物体のオプティカルフローを検出することができる。
【0162】
図10に示す例においては、空き缶B1のオプティカルフローOF1は曲線部分を含んでおり、対向車M3のオプティカルフローOF2及び背景のオプティカルフローOF3は直線状になっている。オプティカルフローの最大曲率の閾値を用いて判定することによって、飛来物体である空き缶B1のオプティカルフローOF1を、静止物である背景のオプティカルフローOF3や対向車M3のオプティカルフローOF2等の直線状のオプティカルフローと区別して検出することができる。
【0163】
[向きによる判定]
例えば、制御部27は、算出したオプティカルフローの少なくとも一部の向きが、下方でありかつ自車両M1の進行方向を示す軸Xに近づく向きである場合に、当該オプティカルフローは飛来物体のオプティカルフローであると判定する。
【0164】
上述した軌跡の場合と同様に、自車両M1の前方領域に飛来する物体のオプティカルフローは、画像中の上下方向の向きが下方でありかつ左右方向の向きが自車両M1の進行方向を示す軸Xに近づく向きとなる傾向がある。
【0165】
例えば、落下物等の静止している物体や対向車の画像中のオプティカルフローの向きは、軸Xから遠ざかる向きになる傾向がある。また、自車両M1と同じ方向に走行して車線変更や追い越しを行う車両のオプティカルフローは、軸Xに近づく向きになる場合があるが、上下方向の向きは上向きとなる点で、飛来物体のオプティカルフローとは異なる。オプティカルフローの向きを判定基準とすることで、飛来物体のオプティカルフローを検出することができる。
【0166】
図10に示す例においては、オプティカルフローOF1の画像中の向きは、始点付近の曲線部分において、下方に向かいかつ軸Xに近づく向きとなっている。これに対して、オプティカルフローOF2及びオプティカルフローOF3の画像中の向きは、軸Xから遠ざかる向きとなっている。オプティカルフローの向きを基準として判定することで、飛来物体である空き缶B1のオプティカルフローであるオプティカルフローOF1を、背景のオプティカルフローOF3や対向車のオプティカルフローOF2等のオプティカルフローと区別して検出することができる。
【0167】
[長さによる判定]
また、制御部27は、算出したオプティカルフローの長さが閾値を越える場合に、当該オプティカルフローは飛来物体のオプティカルフローであると判定する。
【0168】
本実施例において、オプティカルフローの長さは、自車両M1と物体との相対速度によって決まる。
【0169】
飛来物体のオプティカルフローの長さは、例えば、同じ方向に走行している車両と比較して長くなると考えられる。従って、長さの下限の閾値を設けて判定することで、同じ方向に走行している車両等の閾値よりも短いオプティカルフローと区別して飛来物体のオプティカルフローを検出することができる。
【0170】
飛来物体のオプティカルフローの長さは、例えば、対向車と比較して短くなると考えられる。従って、長さの上限値を設けて判定することで、対向車等の上限値よりも長いオプティカルフローと区別して飛来物体のオプティカルフローを検出することができる。
【0171】
図10に示す例においては、空き缶B1のオプティカルフローOF1は、背景のオプティカルフローOF3や対向車M3のオプティカルフローOF2よりも短い。オプティカルフローの長さを基準として判定することで、飛来物体である空き缶B1のオプティカルフローOF1を、背景のオプティカルフローOF3や対向車のオプティカルフローOF2等と区別して検出することができる。
【0172】
なお、例えば、画像処理装置10は自車両Mに備えられた加速度センサ(図示せず)等から自車両M1の速度を取得可能になっていてもよく、自車両M1の速度毎にオプティカルフローの長さの閾値を設けてもよい。
【0173】
制御部27は、最大曲率を用いた判定、オプティカルフローの向きを用いた判定、及びオプティカルフローの長さを用いた判定を互いに組み合わせても良い。例えば、自車両M1を追い越した車両があった場合、その車両のオプティカルフローは軸Xに近づく方向になる。この場合、オプティカルフローの向きを用いた判定のみを行っても、当該追い越した車両が飛来物体として検出されてしまう可能性がある。このような場合に、最大曲率や長さによる判定を組み合わせることで、誤検出を防止して精度良く飛来物体を検出することができる。
【0174】
[画像を分割することによる判定]
例えば、制御部27は、連続画像に飛来物体が写っているか否かの判定に際し、フレーム画像を複数の領域に分割し、当該複数の領域の各々におけるオプティカルフローの傾き、曲率、又は長さ等のオプティカルフローに関する値に基づいて判定してもよい。
【0175】
例えば、1の領域内において、当該オプティカルフローに関する値が特異値を示すオプティカルフローがある場合に、当該オプティカルフローが算出された連続画像の各々に飛来物体が写っていると判定してもよい。
【0176】
例えば、制御部27は、フレーム画像を複数の領域(ブロック)に分割し、ブロック毎に、オプティカルフローの傾き、曲率又は長さ等のオプティカルフローに関する値の平均値を算出し、1のブロック内において当該平均値との差が閾値を越えるオプティカルフローがあった場合に、当該1のブロック内に飛来物体が写っていると判定してもよい。
【0177】
または、1のブロック内のオプティカルフローの傾きの標準偏差が、閾値を越える場合は、傾きの特異値を示すオプティカルフローを含んでいる可能性が高いと考えられ、そのようなブロックがあった場合に、飛来物体が写っていると判定してもよい。なお、この場合の閾値は、フレーム画像中で1のブロックの周囲に位置する複数のブロックのオプティカルフローの傾きの標準偏差の平均値などに応じて設定してもよい。
【0178】
制御部27は、連続画像に飛来物体が写っているか否かの判定に際し、フレーム画像を複数の領域に分割し、当該複数の領域の各々におけるオプティカルフローの傾き、曲率、又は長さ等のオプティカルフローに関する値の、複数の領域間での比較に基づいて判定してもよい。
【0179】
この場合、例えば、オプティカルフローに関する値の各々のブロック内の平均値を算出して隣接するブロック間で比較し、当該平均値の当該隣接するブロックとの差が所定の閾値を越えるブロックがある場合に、連続画像の各々に飛来物体が写っていると判定してもよい。
【0180】
[領域の除外]
また、例えば、制御部27は、オプティカルフローを算出する前に、連続画像に含まれる複数のフレーム画像の各々について画像認識を行って、複数のフレーム画像の各々に写っている物体を複数の種類に分類し、所定の種類の物体が写っている領域を、オプティカルフローの算出対象から除外してもよい。
【0181】
例えば、制御部27は、フレーム画像の物体について、第1の種類を「車両」とし、第2の種類を「人」とし、第3の種類を「車両及び人以外」として、第1~第3の種類に分類し、第1の種類及び第2の種類に分類された物体が写っている領域を、オプティカルフローの算出対象から除外する。
【0182】
人や車両は飛来物体ではないことが明らかであるため、飛来物体の検出において、人や車両が写っている領域の画素については、オプティカルフローの算出が不要である。そのような画素については、予め算出対象から除外することで、処理の負荷を軽減することができる。
【0183】
例えば、制御部27は、オプティカルフローを算出する前に、連続画像に含まれる複数のフレーム画像の各々について画像認識を行った結果、前方カメラ11による撮影前から路上に存在する「落下物」として分類された物体が存在する場合、当該「落下物」が写っている領域以外の領域を、オプティカルフローの算出対象から除外してもよい。言い換えれば、制御部27は、「落下物」が写っている領域をオプティカルフローの算出対象とする。
【0184】
なお、例えば、最初のフレーム画像において「落下物」を特定し、「落下物」が写っている領域を含む画像中の一部の領域を決定し、当該一部の領域内の画素についてのみオプティカルフロー計算を行ってもよい。
【0185】
図11及び図12を参照しつつ、本実施例において画像処理装置10の制御部27によって実行される制御ルーチンについて説明する。
【0186】
図11は、制御部27が飛来物体を検出する際に実行するルーチンの一例である飛来物体検出ルーチンRT3を示すフローチャートである。例えば、制御部27は、前方カメラ11による自車両M1の周囲の撮影が開始されると、飛来物体検出ルーチンRT3を開始する。
【0187】
制御部27は、飛来物体検出ルーチンRT3を開始すると、前方カメラ11によって逐次撮影された画像のうちの連続画像を取得する(ステップS301)。ステップS301において、例えば、制御部27は、所定時間分の連続画像または所定数のフレーム画像を取得する。ステップS301において、例えば、数秒~十数秒分の連続画像、例えば約10秒分の連続画像が取得される。
【0188】
ステップS301において、例えば、制御部27は、画像一時記憶部25Aから連続画像を取得する。なお、ステップS301において、前方カメラ11から連続画像が取得されてもよい。
【0189】
ステップS301の実行後、制御部27は、連続画像に含まれる連続する2つの画像間の画素毎の画像間ベクトルが累積されたオプティカルフローを算出する(ステップS302)。ステップS302において、例えば、制御部27は、連続画像の最初のフレーム画像中の画素の濃淡値に基づく特徴点となる画素を抽出し、抽出された画素の連続画像におけるオプティカルフローを勾配法等の方法で算出する。ステップS302において、例えば、図10に示したようなオプティカルフローが算出される。
【0190】
ステップS302の実行後、制御部27は、ステップS302において算出したオプティカルフローに、飛来物体のオプティカルフローが含まれるか否かを判定する(ステップS303)。
【0191】
ステップS303において、例えば、制御部27は、オプティカルフローの最大曲率、向き又は長さを判定基準として、飛来物体のオプティカルフローが含まれるか否かを判定する。例えば、ステップS303において、オプティカルフローの最大曲率が閾値を越える場合、オプティカルフローの向きが下方でありかつ自車両M1の進行方向を示す軸に近づく向きである場合、又は軌跡の長さが所定の閾値を超える場合に、飛来物体のオプティカルフローが含まれると判定される。
【0192】
ステップS303において、例えば、制御部27は、上述のようにフレーム画像を複数の領域に分割し、当該複数の領域の各々におけるオプティカルフローの傾き、曲率又は長さ等のオプティカルフローに関する値の1の領域内での特異値の有無によって、または複数の領域間での比較によって、飛来物体のオプティカルフローが含まれるか否かを判定してもよい。
【0193】
ステップS303において、飛来物体のオプティカルフローが含まれないと判定する(ステップS303:NO)と、制御部27は、飛来物体検出ルーチンRT3を終了し、新たに飛来物体検出ルーチンRT3を開始して、連続画像を新たに取得する。
【0194】
ステップS303において、飛来物体のオプティカルフローが含まれると判定する(ステップS303:YES)と、制御部27は、飛来物体が写っている画像が撮像された時点を含む所定時間内の画像を特定画像として特定してラベルを付する(ステップS304)。
【0195】
ステップS304において、例えば、制御部27は、ステップS301において取得した連続画像に含まれる全てのフレーム画像を特定画像として特定し、当該フレーム画像の各々にラベルを付する。例えば、ステップS304において、ステップS301において取得した連続画像の一部が特定画像として特定されてもよい。
【0196】
ステップS304の実行後、制御部27は、特定画像をサーバ装置20に送信する(ステップS305)。ステップS305において、特定画像は、サーバ装置20において恒久的に保存される。
【0197】
ステップS305の実行後、制御部27は、飛来物体検出ルーチンRT3を終了し、新たに飛来物体検出ルーチンRT3を開始して、次の連続画像を新たに取得する。例えば、新たな飛来物体検出ルーチンRT3のステップS301において取得される連続画像は、1つ前の飛来物体検出ルーチンRT3において取得された連続画像の最後のフレーム画像の時系列順の次のフレーム画像から開始する連続画像であってもよく、1つ前の飛来物体検出ルーチンRT3において取得された連続画像と一部が重複する連続画像であってもよい。
【0198】
図12は、飛来物体検出ルーチンRT3の変形例である飛来物体検出ルーチンRT4を示すフローチャートである。飛来物体検出ルーチンRT4は、ステップS402を含む点のみが飛来物体検出ルーチンRT3とは異なり、その他のステップについては飛来物体検出ルーチンRT3と同様に実行されるため、重複する部分については説明の一部を省略する。
【0199】
制御部27は、飛来物体検出ルーチンRT4を開始すると、飛来物体検出ルーチンRT3の場合と同様に、前方カメラ11によって逐次撮影された画像のうちの連続画像を取得する(ステップS401)。
【0200】
ステップS401の実行後、制御部27は、オプティカルフロー計算が不要な領域についてオプティカルフロー計算の対象外とする領域除外処理を実行する(ステップS402)。ステップS402において、例えば、制御部27は、連続画像に含まれる複数のフレーム画像の各々について画像認識を行って、複数のフレーム画像の各々に写っている物体を複数の種類に分類し、所定の種類の物体が写っている領域を、オプティカルフローの算出対象から除外する。
【0201】
例えば、ステップS402において、制御部27は、複数のフレーム画像の各々に写っている物体を「車両」、「人」、及び「車両及び人以外」に分類し、例えば「車両」及び「人」に分類された物体が写っている領域の画素がオプティカルフロー計算の対象から除外される。
【0202】
ステップS402の実行後、連続画像に含まれる連続する2つの画像間の画素毎の画像間ベクトルが累積されたオプティカルフローを算出する(ステップS403)。ステップS403において、ステップS402によって除外されずに残った領域の画素データを用いてオプティカルフローが算出される。
【0203】
ステップS403の実行後、制御部27は、ステップS403において算出したオプティカルフローに、飛来物体のオプティカルフローが含まれるか否かを判定する(ステップS404)。ステップS404において、例えば、制御部27は、飛来物体検出ルーチンRT3のステップS303と同様に、オプティカルフローの最大曲率、向き又は長さを判定基準とする判定又はオプティカルフローに関する値が特異値を示す領域があるか否かによる判定によって、飛来物体のオプティカルフローが含まれるか否かを判定する。
【0204】
ステップS404において、飛来物体のオプティカルフローが含まれると判定する(ステップS404:YES)と、例えばステップS401において取得した連続画像に含まれる全てのフレーム画像を特定画像として特定し、当該フレーム画像の各々にラベルを付し(ステップS405)、特定画像をサーバ装置20に送信する(ステップS406)。
【0205】
本ルーチンによれば、連続画像の全領域についてオプティカルフローを算出する場合と比較して、オプティカルフロー計算による処理負荷を軽減することができる。
【0206】
なお、飛来物体のうちの投擲物を検出する場合に、飛来物体検出ルーチンRT3又は飛来物体検出ルーチンRT4において、実施例1の投擲物検出ルーチンRT2のステップS207を組み合わせてもよい。具体的には、連続画像におけるオプティカルフローの始点付近に人又は車両が写っているか否かを判定し、人又は車両が写っていると判定した場合に、連続画像に含まれる少なくともいずれかのフレーム画像に投擲物が写っていると判定してもよい。
【0207】
以上、詳細に説明したように、本実施例の画像処理装置10において、飛来物体検出部は、時系列順の連続画像に含まれる連続する2つの画像間の画素毎の画像間ベクトルが累積されたオプティカルフローを算出し、当該オプティカルフローに基づいて、当該連続画像のいずれかに飛来物体が写っているか否かを判定するように構成されている。
【0208】
例えば、飛来物体検出部は、飛来物体が写っているか否かの判定において、オプティカルフローの最大曲率、向き又は長さを判定基準とする判定によって、算出したオプティカルフローに飛来物体のオプティカルフローが含まれるか否かを判定する。
【0209】
また、例えば、飛来物体検出部は、飛来物体が写っているか否かの判定において、フレーム画像を複数の領域に分割し、複数の領域の各々における傾き、曲率、又は長さ等のオプティカルフローに関する値が特異値を示すオプティカルフローがあるか否かに基づいて、連続画像の各々に飛来物体が写っているか否かを判定する。
【0210】
本実施例の画像処理装置10によれば、車両に向かって又は車両の前方領域に飛来する飛来物体を検出可能な画像処理装置を提供することができる。
【0211】
上述した実施例における構成及びルーチンは例示に過ぎず、用途等に応じて適宜選択、組み合わせ及び変更可能である。
【0212】
例えば、上記の実施例において、サーバ装置20の恒久記憶部に特定画像を保存する例について説明したが、これに限られない。恒久記憶部は、画像処理装置10の大容量記憶装置25内に設けられていてもよく、制御部27は、特定した特定画像を大容量記憶装置25内の記憶部に恒久的に保存するようにしてもよい。
【0213】
また、画像処理装置10の制御部27の画像取得部、飛来物体検出部及び画像特定部としての機能をサーバ装置20の制御部45が有していてもよい。
【0214】
上記の実施例において、前方カメラによって撮影された画像の画像処理を例に説明したが、これに限られない。例えば、本発明の画像処理装置は、自車両に取り付けられた側方カメラによって撮影された画像を用いて飛来物体を検出することができる。例えば、側方カメラは、自車両M1の進行方向に略垂直な水平方向が撮影方向に含まれるように、自車両の左右のドアの上方等の位置に取り付けられる。
【0215】
例えば、当該側方カメラによる画像を用いることによって、隣の車線を並走する車両からの自車両への投擲物や、道端から自車両に向けて側方から投擲された物体があった場合に、自車両への飛来物体として検出することができる。
【0216】
さらに、本発明において、自車両の後方が撮影方向となるように取り付けられた後方カメラ、又は、例えば前方カメラ11、側方カメラ13、及び後方カメラに代えて自車両に取り付けられた360度カメラによって撮影された画像を用いて、様々な方向からの自車両への飛来物体を検出してもよい。
【0217】
例えば、画像処理装置10は、画像処理装置10と同様の構成を有する端末装置と前方カメラ11とタッチパネルディスプレイ15とが一体化された構成であってもよい。具体的には、例えば、画像処理装置10は、上記の画像処理装置10と同様の機能を発揮するアプリケーションを搭載したカメラ付きのスマートフォン、タブレットまたはPC等の端末装置であってもよい。この場合、画像処理装置10は、内蔵カメラが自車両M1のフロントガラスを通して、例えば自車両M1の前方を撮影可能なように、例えばクレードル等でダッシュボードDB上に取り付けられ得る。
【0218】
また、画像処理装置10は、自車両M1の運転者に提示する画面を表示しない構成であってもよい。例えば、画像処理装置10は、前方カメラ11と一体となったドライブレコーダのような構成を有する装置であってもよい。具体的には、画像処理装置10は、例えば、前方カメラ11の筐体内に、上記したように飛来物体を検出して特定画像を特定する画像処理装置10の機能を果たすハードウェアを内蔵したような装置であってもよい。
【符号の説明】
【0219】
10 画像処理装置
20 サーバ装置
11 前方カメラ
23 入力部
25 大容量記憶装置
25A 画像一時記憶部
27 制御部
29 通信部
43 大容量記憶装置
43A 恒久記憶部
45 制御部
47 通信部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12