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特開2023-155573液晶ポリエステル樹脂組成物及びその製造方法とそれからなる成形品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023155573
(43)【公開日】2023-10-23
(54)【発明の名称】液晶ポリエステル樹脂組成物及びその製造方法とそれからなる成形品
(51)【国際特許分類】
   C08L 67/03 20060101AFI20231016BHJP
   C08K 7/02 20060101ALI20231016BHJP
   C08K 3/34 20060101ALI20231016BHJP
   C08G 63/60 20060101ALI20231016BHJP
【FI】
C08L67/03
C08K7/02
C08K3/34
C08G63/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022064981
(22)【出願日】2022-04-11
(71)【出願人】
【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】中川 裕史
(72)【発明者】
【氏名】小西 彬人
(72)【発明者】
【氏名】梅津 秀之
【テーマコード(参考)】
4J002
4J029
【Fターム(参考)】
4J002CF161
4J002DA017
4J002DA020
4J002DA077
4J002DA097
4J002DC007
4J002DE100
4J002DE130
4J002DE137
4J002DE187
4J002DG026
4J002DH050
4J002DJ006
4J002DJ007
4J002DJ010
4J002DJ036
4J002DJ046
4J002DJ056
4J002DK007
4J002DL000
4J002DL006
4J002DL007
4J002FA016
4J002FA037
4J002FB096
4J002FB097
4J002FB166
4J002FB167
4J002FB266
4J002FB267
4J002FD016
4J002FD017
4J002GQ00
4J029AA06
4J029AE01
4J029BB05A
4J029BB10A
4J029CB05A
4J029CB06A
4J029EB05A
4J029EC06A
(57)【要約】      (修正有)
【課題】流動安定性に優れ、低異方性の液晶ポリエステル樹脂組成物およびそれからなる成形品を提供する。
【解決手段】液晶ポリエステル樹脂(A)と板状充填材(B)と繊維状充填材(C)を含み、液晶ポリエステル樹脂組成物中の充填材粒子径を、頻度(単位%、縦軸)と粒子径(単位μm、横軸、常用対数表示)の関係から得られる、粒子径分布曲線において次式(R)を満足する液晶ポリエステル樹脂組成物。
0.70≦(P/Q)≦1.20・・・(R)
(Pは、粒子径分布曲線におけるモード径に対応する最も高い点から粒子径最大値までの粒子径分布曲線、頻度0.15%に対応する横軸と平行した線とモード径に対応する最も高い点から横軸に下ろした垂線で囲まれた部分の面積。Qは、同じく最も高い点から粒子径最小値までの粒子径分布曲線、頻度0.15%に対応する横軸と平行した線と同じく最も高い点から、横軸に下ろした垂線で囲まれた部分の面積。)
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶ポリエステル樹脂(A)ならびに、板状充填材(B)および繊維状充填材(C)を含む充填材を含有する液晶ポリエステル樹脂組成物であって、液晶ポリエステル樹脂組成物中の充填材の粒子径分布曲線より得られ、下記で定義するPおよびQが式(R)を満たす液晶ポリエステル樹脂組成物。
0.70≦(P/Q)≦1.20・・・(R)
(液晶ポリエステル樹脂組成物中の充填材の粒子径を、横軸を粒子径(μm、常用対数表示)、縦軸を頻度(%)でプロットして得られる粒子径分布曲線において、粒子径分布曲線におけるモード径に対応する最も高い点から粒子径最大値までの粒子径分布曲線、頻度0.15%に対応する横軸と平行した線、モード径に対応する最も高い点から横軸に下ろした垂線で囲まれた部分の面積をP、粒子径分布曲線におけるモード径に対応する最も高い点から粒子径最小値までの粒子径分布曲線、頻度0.15%に対応する横軸と平行した線、モード径に対応する最も高い点から横軸に下ろした垂線で囲まれた部分の面積をQとする。)
【請求項2】
前記液晶ポリエステル樹脂(A)が、下記構造単位(I)~(VI)を含む液晶ポリエステル樹脂である請求項1に記載の液晶ポリエステル樹脂組成物。
【化1】
【請求項3】
前記板状充填材(B)が、タルクおよびマイカからなる群より選択される1種以上である、請求項1に記載の液晶ポリエステル樹脂組成物。
【請求項4】
液晶ポリエステル樹脂(A)ならびに、板状充填材(B)および繊維状充填材(C)を含む充填材を含有する液晶ポリエステル樹脂組成物を二軸押出機を用いて溶融混練する液晶ポリエステル樹脂組成物の製造方法であって、配合前の板状充填材(B)のメジアン径(S(μm))と配合前の繊維状充填材(C)の数平均繊維長(T(mm))が式(U)を満たし、二軸押出機のスクリュー全長をX、液晶ポリエステル樹脂(A)の投入口を0とした場合に、0.50Xより大きい位置から充填材を供給することを特徴とする液晶ポリエステル樹脂組成物の製造方法。
1.0≦(T/S)≦30.0・・・(U)
【請求項5】
請求項1~3のいずれかに記載の液晶ポリエステル樹脂組成物からなる成形品。
【請求項6】
成形品が、コネクタ、リレー、スイッチ、コイルボビンおよびカメラモジュールのアクチュエータ部品からなる群から選択される、請求項5に記載の成形品。
効果: 低異方性(MD/TD方向に関わらず高強度)、流動安定性(流動長ばらつきの評価)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶ポリエステル樹脂組成物及びその製造方法とそれからなる成形品に関する。より詳しくは、液晶ポリエステル樹脂組成物ならびにその製造方法とそれからなる成形品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶ポリエステル樹脂は、耐熱性に優れており、それらの特性が要求される電気・電子部品用途および自動車部品用途などの幅広い分野に利用されている。特に、電気・電子部品用途においては、部品の小型化、薄肉化に伴い、高剛性が求められており、繊維状充填材を含有する液晶ポリエステル樹脂組成物が提案されている。しかし、繊維状充填材のみを含有する場合、配向に伴う成形収縮や流動性の悪化による残存圧力によって、製品にそりが発生する。そこで、繊維状充填材とともに板状充填材を併用した液晶ポリエステル樹脂組成物が提案されており、例えば、粒子径や粒子厚を規定した板状充填材を含有する液晶ポリエステル樹脂組成物(例えば、特許文献1)、体積累積粒度分布曲線における累積度を規定したマイカを含有する液晶ポリエステル樹脂組成物(例えば、特許文献2)、累積粒度分布測定により測定される体積平均粒子径とメジアン径との比を規定したマイカを含有する液晶ポリエステル樹脂組成物(例えば、特許文献3)、累積粒度分布曲線より得られる累積度80%繊維長(D80)と累積度20%繊維長(D20)の比を規定した繊維状充填材を含有する液晶ポリエステル樹脂組成物(例えば、特許文献4)、鱗片状充填材と繊維状充填材を含有する液晶ポリエステル樹脂組成物(例えば、特許文献5)などにより、高剛性や低そり性を両立させる、液晶ポリエステル樹脂組成物が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-106923号公報
【特許文献2】国際公開第2012/137271号
【特許文献3】国際公開第2013/128887号
【特許文献4】特開2009-191088号公報
【特許文献5】特開2003-321598号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記特許文献1~5に記載された液晶ポリエステル樹脂組成物は、剛性やそり性はある程度改善するが、連続成形時に薄肉成形品の充填バラツキがあり、流動安定性に課題があった。また、液晶ポリエステル樹脂は剛直で折れ曲がりにくい分子構造を持つため、分子の絡み合いが少ないことにより、僅かな剪断応力によりMD方向(流れ方向)に配向し、MD/TD(流れ方向/直角方向)の強度差が生じることから、異方性が大きいという課題があった。
【0005】
本発明の課題は、流動安定性に優れ、かつ低異方性である、液晶ポリエステル樹脂組成物およびその製造方法とそれからなる成形品を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、液晶ポリエステル樹脂と特定の粒子径分布を有する充填材を含む、液晶ポリエステル樹脂組成物により、流動安定性と低異方性に優れた成形品を得ることを見出し、本発明に到達した。
【0007】
すなわち本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
【0008】
すなわち本発明は以下のとおりである:
(1)液晶ポリエステル樹脂(A)ならびに、板状充填材(B)および繊維状充填材(C)を含む充填材を含有する液晶ポリエステル樹脂組成物であって、液晶ポリエステル樹脂組成物中の充填材の粒子径分布曲線より得られ、下記で定義するPおよびQが式(R)を満たす液晶ポリエステル樹脂組成物。
0.70≦(P/Q)≦1.20・・・(R)
(液晶ポリエステル樹脂組成物中の充填材の粒子径を、横軸を粒子径(μm、常用対数表示)、縦軸を頻度(%)でプロットして得られる粒子径分布曲線において、粒子径分布曲線におけるモード径に対応する最も高い点から粒子径最大値までの粒子径分布曲線、頻度0.15%に対応する横軸と平行した線、モード径に対応する最も高い点から横軸に下ろした垂線で囲まれた部分の面積をP、粒子径分布曲線におけるモード径に対応する最も高い点から粒子径最小値までの粒子径分布曲線、頻度0.15%に対応する横軸と平行した線、モード径に対応する最も高い点から横軸に下ろした垂線で囲まれた部分の面積をQとする。)
(2)前記液晶ポリエステル樹脂(A)が、下記構造単位(I)~(VI)を含む液晶ポリエステル樹脂である(1)に記載の液晶ポリエステル樹脂組成物。
【0009】
【化1】
【0010】
(3)前記板状充填材(B)が、タルクおよびマイカからなる群より選択される1種以上である、(1)または(2)に記載の液晶ポリエステル樹脂組成物。
(4)液晶ポリエステル樹脂(A)ならびに、板状充填材(B)および繊維状充填材(C)を含む充填材を含有する液晶ポリエステル樹脂組成物を二軸押出機を用いて溶融混練する液晶ポリエステル樹脂組成物の製造方法であって、配合前の板状充填材(B)のメジアン径(S(μm))と配合前の繊維状充填材(C)の数平均繊維長(T(mm))が式(U)を満たし、二軸押出機のスクリュー全長をX、液晶ポリエステル樹脂(A)の投入口を0とした場合に、0.50Xより大きい位置から充填材を供給することを特徴とする液晶ポリエステル樹脂組成物の製造方法。
1.0≦(T/S)≦30.0・・・(U)
(5)(1)~(3)のいずれかに記載の液晶ポリエステル樹脂組成物からなる成形品。
(6)成形品が、コネクタ、リレー、スイッチ、コイルボビンおよびカメラモジュールのアクチュエータ部品からなる群から選択される、(5)に記載の成形品。
【発明の効果】
【0011】
本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物は、流動安定性と低異方性に優れるため、薄肉部を有する成形品の充填バラツキが少なく、かつ異方性の低い成形品を得ることができる。かかる樹脂組成物は、特に薄肉の箱型や筒型形状を有するコネクタ、リレー、スイッチ、コイルボビンおよびカメラモジュールのアクチュエータ部品などの電気・電子部品や機械部品に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】液晶ポリエステル樹脂組成物中の充填材の粒子径分布曲線を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0014】
<液晶ポリエステル樹脂(A)>
液晶ポリエステル樹脂は、異方性溶融相を形成するポリエステルである。このようなポリエステル樹脂としては、例えば、後述するオキシカルボニル単位、ジオキシ単位、ジカルボニル単位などから異方性溶融相を形成するよう選ばれた構造単位から構成されるポリエステルが挙げられる。
【0015】
本発明においては、流動安定性に優れ、低異方性の観点から、以下に記載する液晶ポリエステル樹脂が好ましく用いられる。
【0016】
好ましい液晶ポリエステル樹脂を構成する構造単位について説明する。
本発明の液晶ポリエステル樹脂は、流動安定性に優れ、低異方性の観点から、液晶ポリエステル樹脂の全構造単位100モル%に対して、オキシカルボニル単位として、下記p-ヒドロキシ安息香酸に由来する構造単位(I)を25モル%以上含むことが好ましく、35モル%以上がより好ましく、45モル%以上がさらに好ましい。
【0017】
一方、本発明の液晶ポリエステル樹脂は、流動安定性に優れ、低異方性の観点から、液晶ポリエステル樹脂の全構造単位100モル%に対して、構造単位(I)を75モル%以下含むことが好ましく、65モル%以下がより好ましく、55モル%以下がさらに好ましい。
【0018】
【化2】
【0019】
本発明の液晶ポリエステル樹脂は、流動安定性に優れ、低異方性の観点から、液晶ポリエステル樹脂の全構造単位100モル%に対して、オキシカルボニル単位として、下記6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸に由来する構造単位(II)を1モル%以上含むことが好ましく、2モル%以上がより好ましく、3モル%以上がさらに好ましい。
【0020】
一方、本発明の液晶ポリエステル樹脂は、流動安定性に優れ、低異方性の観点から、液晶ポリエステル樹脂の全構造単位100モル%に対して、構造単位(II)を20モル%以下含むことが好ましく、15モル%以下がより好ましく、10モル%以下がさらに好ましい。
【0021】
【化3】
【0022】
本発明の液晶ポリエステル樹脂は、流動安定性に優れ、低異方性の観点から、構造単位(I)と(II)の含有量のモル比([I]/[II])が、3以上であることが好ましく、5以上がより好ましく、7以上がさらに好ましい。一方、流動安定性に優れ、低異方性の観点から、[I]/[II]は20以下が好ましく、18以下がより好ましく、16以下がさらに好ましい。
【0023】
他に、オキシカルボニル単位として、m-ヒドロキシ安息香酸などに由来する構造単位を、本発明の効果を損なわない範囲で使用することができる。
【0024】
本発明の液晶ポリエステル樹脂は、流動安定性に優れ、低異方性の観点から、液晶ポリエステル樹脂の全構造単位100モル%に対して、ジオキシ単位として、下記4,4’-ジヒドロキシビフェニルに由来する構造単位(III)を1モル%以上含むことが好ましく、3モル%以上がより好ましく、5モル%以上がさらに好ましい。
【0025】
一方、流動安定性に優れ、低異方性の観点から、構造単位(III)は25モル%以下が好ましく、20モル%以下がより好ましく、15モル%以下がさらに好ましい。
【0026】
【化4】
【0027】
本発明の液晶ポリエステル樹脂は、流動安定性に優れ、低異方性の観点から、液晶ポリエステル樹脂の全構造単位100モル%に対して、ジオキシ単位として、下記ハイドロキノンに由来する構造単位(IV)を1モル%以上含むことが好ましく、4モル%以上がより好ましく、7モル%以上がさらに好ましい。
【0028】
一方、流動安定性に優れ、低異方性の観点から、構造単位(IV)は30モル%以下が好ましく、25モル%以下がより好ましく、20モル%以下がさらに好ましい。
【0029】
【化5】
【0030】
本発明の液晶ポリエステル樹脂は、流動安定性に優れ、低異方性の観点から、液晶ポリエステル樹脂の全構造単位100モル%に対して、構造単位(III)および(IV)の合計が2モル%以上であることが好ましく、5モル%以上がより好ましく、10モル%以上がさらに好ましく、15モル%以上が特に好ましい。
【0031】
一方、本発明の液晶ポリエステル樹脂は、流動安定性に優れ、低異方性の観点から、液晶ポリエステル樹脂の全構造単位100モル%に対して、構造単位(III)および(IV)の合計が35モル%以下であることが好ましく、30モル%以下がより好ましく、25モル%以下がさらに好ましい。
【0032】
本発明の液晶ポリエステル樹脂は、流動安定性に優れ、低異方性の観点から、構造単位(III)と(IV)の含有量のモル比([III]/[IV])が、0より大きいことが好ましく、0.3以上がより好ましく、0.6以上がさらに好ましい。一方、流動安定性に優れ、低異方性の観点から、[III]/[IV]は1.5より小さいことが好ましく、1.2以下がより好ましく、1.0以下がさらに好ましい。
【0033】
他に、ジオキシ単位として、レゾルシノール、t-ブチルハイドロキノン、フェニルハイドロキノン、クロロハイドロキノン、2,6-ジヒドロキシナフタレン、2,7-ジヒドロキシナフタレン、3,4’-ジヒドロキシビフェニル、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4’-ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’-ジヒドロキシベンゾフェノンなどの芳香族ジオールに由来する構造単位;エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールなどの脂肪族ジオールに由来する構造単位;1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノールなどの脂環式ジオールに由来する構造単位を、本発明の効果を損なわない範囲で使用することができる。
【0034】
本発明の液晶ポリエステル樹脂は、流動安定性に優れ、低異方性の観点から、液晶ポリエステル樹脂の全構造単位100モル%に対して、ジカルボニル単位として、下記テレフタル酸に由来する構造単位(V)を2モル%以上含むことが好ましく、5モル%以上がより好ましく、10モル%以上がさらに好ましく、15モル%以上が特に好ましい。
【0035】
一方、本発明の液晶ポリエステル樹脂は、流動安定性に優れ、低異方性の観点から、液晶ポリエステル樹脂の全構造単位100モル%に対して、構造単位(V)を35モル%以下含むことが好ましく、30モル%以下がより好ましく、25モル%以下がさらに好ましい。
【0036】
【化6】
【0037】
本発明の液晶ポリエステル樹脂は、流動安定性に優れ、低異方性の観点から、液晶ポリエステル樹脂の全構造単位100モル%に対して、ジカルボニル単位として、下記イソフタル酸に由来する構造単位(VI)を0.01モル%以上含むことが好ましく、0.05モル%以上がより好ましく、0.1モル%以上がさらに好ましい。
【0038】
一方、本発明の液晶ポリエステル樹脂は、流動安定性に優れ、低異方性の観点から、液晶ポリエステル樹脂の全構造単位100モル%に対して、構造単位(VI)を10モル%以下含むことが好ましく、7モル%以下がより好ましく、4モル%以下がさらに好ましい。
【0039】
【化7】
【0040】
他に、ジカルボニル単位として、2,6-ナフタレンジカルボン酸、4,4’-ジフェニルジカルボン酸、3,3’-ジフェニルジカルボン酸、2,2’-ジフェニルジカルボン酸、1,2-ビス(フェノキシ)エタン-4,4’-ジカルボン酸、1,2-ビス(2-クロロフェノキシ)エタン-4,4’-ジカルボン酸、4,4’-ジフェニルエーテルジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸に由来する構造単位;アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸などの脂肪族ジカルボン酸に由来する構造単位;1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸に由来する構造単位を、本発明の効果を損なわない範囲で使用することができる。
【0041】
本発明の液晶ポリエステル樹脂は、流動安定性に優れ、低異方性の観点から、構造単位(VI)と(II)の含有量のモル比([VI]/[II])が1未満であることが好ましく、0.9以下がより好ましい。一方、[VI]/[II]の下限は特に限定されるものではなく、0.005以上であればよい。流動安定性に優れ、低異方性の観点から、[VI]/[II]は0.01以上が好ましく、0.05以上がより好ましい。
【0042】
また、液晶ポリエステル樹脂には、上記構造単位(I)~(VI)に加えて、p-アミノ安息香酸、p-アミノフェノールなどから生成した構造単位を、本発明の効果を損なわない範囲で使用することができる。
【0043】
本発明の液晶ポリエステル樹脂は、上記構造単位(I)~(VI)を上述の範囲で全て含むことにより、流動安定性に優れ、低異方性のという本発明の効果を発揮する。本発明の効果を損なわない観点から、前記構造単位(I)~(VI)の合計量が99モル%以上であることが好ましく、99.5モル%以上がより好ましく、100モル%がさらに好ましい。
【0044】
また、前記構造単位(III)および(IV)の合計量と、構造単位(V)および(VI)の合計量の比(([III]+[IV])/([V]+[VI])は、重合性制御の観点から、0.9以上1.1以下が好ましい。
【0045】
上記の各構造単位を構成する原料となるモノマーは、各構造単位を形成しうる構造であれば特に限定されない。また、そのようなモノマーの水酸基のアシル化物、カルボキシル基のエステル化物、酸ハロゲン化物、酸無水物などのカルボン酸誘導体などが使用されてもよい。
【0046】
本発明の液晶ポリエステル樹脂について、各構造単位の含有量の算出法を以下に示す。まず、液晶ポリエステル樹脂をNMR(核磁気共鳴)用試験管に量りとり、液晶ポリエステル樹脂が可溶な溶媒(例えば、ペンタフルオロフェノール/重テトラクロロエタン-d2混合溶媒)に溶解する。次に、得られた溶液について、1H-NMRスペクトル測定を行い、各構造単位由来のピーク面積比から算出することができる。
【0047】
液晶ポリエステル樹脂の融点(Tm)は、耐熱性の観点から、280℃以上が好ましく、300℃以上がより好ましく、320℃以上がさらに好ましい。一方、加工性の観点から、液晶ポリエステル樹脂の融点(Tm)は、370℃以下が好ましく、360℃以下がより好ましく、350℃以下がさらに好ましい。
【0048】
液晶ポリエステル樹脂の溶融粘度は、耐熱性の観点から、3Pa・s以上が好ましく、5Pa・s以上がより好ましく、7Pa・s以上がさらに好ましい。一方、流動性の観点から、液晶ポリエステル樹脂の溶融粘度は、50Pa・s以下が好ましく、30Pa・s以下が好ましく、20Pa・s以下がさらに好ましい。
【0049】
なお、この溶融粘度は、液晶ポリエステル樹脂の融点(Tm)+20℃の温度において、かつ、せん断速度1000/秒の条件下で、高化式フローテスターによって測定した値である。
【0050】
<液晶ポリエステル樹脂の製造方法>
本発明の液晶ポリエステル樹脂を製造する方法は、特に制限がなく、公知のポリエステルの重縮合法に準じて製造できる。具体的には、オキシカルボニル単位、ジオキシ単位、ジカルボニル単位に由来する構造単位からなる液晶ポリエステル樹脂を例に、以下が挙げられる。
【0051】
(1)p-アセトキシ安息香酸、6-アセトキシ-2-ナフトエ酸、4,4’-ジアセトキシビフェニル、1,4-ジアセトキシベンゼン、テレフタル酸およびイソフタル酸から脱酢酸縮重合反応によって液晶ポリエステル樹脂を製造する方法。
【0052】
(2)p-ヒドロキシ安息香酸、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、4,4’-ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、テレフタル酸およびイソフタル酸に無水酢酸を反応させて、フェノール性水酸基をアセチル化した後、脱酢酸重合することによって液晶ポリエステル樹脂を製造する方法。
【0053】
(3)p-ヒドロキシ安息香酸フェニル、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸フェニル、4,4’-ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、テレフタル酸ジフェニルおよびイソフタル酸ジフェニルから脱フェノール重縮合反応により液晶ポリエステル樹脂を製造する方法。
【0054】
(4)p-ヒドロキシ安息香酸、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、テレフタル酸およびイソフタル酸に所定量のジフェニルカーボネートを反応させて、それぞれフェニルエステルとした後、4,4’-ジヒドロキシビフェニルおよびハイドロキノンを加え、脱フェノール重縮合反応により液晶ポリエステル樹脂を製造する方法。
【0055】
なかでも(2)p-ヒドロキシ安息香酸、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、4,4’-ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、テレフタル酸およびイソフタル酸に無水酢酸を反応させて、フェノール性水酸基をアセチル化した後、脱酢酸重合することによって液晶ポリエステル樹脂を製造する方法が、液晶ポリエステル樹脂の重合度の制御に工業的に優れる点から、好ましく用いられる。
【0056】
本発明で使用する液晶ポリエステル樹脂の製造方法として、固相重合法により重縮合反応を完了させることも可能である。固相重合法による処理としては、例えば、以下の方法が挙げられる。まず、液晶ポリエステル樹脂のポリマーまたはオリゴマーを粉砕機で粉砕する。粉砕したポリマーまたはオリゴマーを、窒素気流下、または、減圧下において加熱し、所望の重合度まで重縮合することで、反応を完了させる。上記加熱は、液晶ポリエステルの融点-50℃~融点-5℃(例えば、200~300℃)の範囲で1~50時間行うことが好ましい。
【0057】
液晶ポリエステル樹脂の重縮合反応は、無触媒でも進行するが、酢酸第一錫、テトラブチルチタネート、酢酸カリウムおよび酢酸ナトリウム、三酸化アンチモン、金属マグネシウムなどを触媒として使用することもできる。
【0058】
<充填材>
本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物は、充填材を含むことを特徴とする。充填材の配合量は、低異方性の観点から、液晶ポリエステル100重量部に対して、10重量部以上が好ましく、20重量部以上がより好ましい。一方で、充填材の配合量は、流動安定性向上の観点から、液晶ポリエステル100重量部に対して、80重量部以下が好ましく、55重量部以下がより好ましい。
【0059】
本発明では、充填剤として板状充填材(B)および繊維状充填剤(C)を併用する。
【0060】
<板状充填材(B)>
本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物は、充填材として板状充填材を含むことを特徴とする。本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物の板状充填材としては、マイカ、タルク、カオリン、ガラスフレーク、クレー、二硫化モリブデン、およびワラステナイトなどが挙げられる。流動安定性に優れ、かつ低異方性の観点から、マイカ、タルクが好ましい。
【0061】
本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物の板状充填材の配合量は、低異方性の観点から、液晶ポリエステル100重量部に対して、1重量部以上が好ましく、5重量部以上がより好ましい。一方で、板状充填材の配合量は、成形品の充填バラツキが少なくなる観点から、75重量部以下が好ましく、45重量部以下がより好ましい。
【0062】
本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物に配合する板状充填材のメジアン径は、流動安定性に優れ、かつ低異方性の観点から、1μm以上が好ましく、5μm以上がより好ましい。一方、液晶ポリエステル樹脂組成物中の充填材のメジアン径は、流動安定性に優れ、かつ低異方性の観点から、100μm以下が好ましく、70μm以下がより好ましく、50μm以下がさらに好ましい。
【0063】
ここでいうメジアン径は、次の方法により求めることができる。充填材を100mg秤量し、水6gと界面活性剤10mgとともに10分間超音波洗浄機で分散させ充填材を得る。その後、充填材を100mg秤量し、水6gと界面活性剤10mgとともに10分間超音波洗浄機で分散させた後に、レーザー回折/散乱式粒子度分布計(Microtrac社製“MT3300EXII”)を用いて粒子径分布を3度測定し、そこで得られた頻度の累積が50%になる粒子径を充填材のメジアン径とした。
【0064】
<繊維状充填材(C)>
本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物は、充填材として繊維状充填材を含むことを特徴とする。繊維状充填材としては、ガラス繊維、PAN系やピッチ系の炭素繊維、ステンレス繊維、アルミニウム繊維や黄銅繊維などの金属繊維、芳香族ポリアミド繊維やポリエステル繊維などの有機繊維、石膏繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維、ジルコニア繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、酸化チタン繊維、炭化ケイ素繊維、ロックウール、チタン酸カリウムウィスカー、チタン酸バリウムウィスカー、ホウ酸アルミニウムウィスカー、窒化ケイ素ウィスカー、ワラステナイト、および針状酸化チタンなどが挙げられる。流動安定性に優れ、かつ低異方性の観点から、ガラス繊維が好ましい。ガラス繊維の種類は、一般に樹脂の強化用に用いるものであれば特に限定はなく、例えば、長繊維タイプや短繊維タイプのチョップドストランド、ミルドファイバーなどを挙げることができる。
【0065】
上記充填材は、その表面が公知のカップリング剤(例えば、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤など)、その他の表面処理剤により処理されていてもよい。また、エチレン/酢酸ビニル共重合体などの熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂で被覆あるいは集束されていてもよい。
【0066】
本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物の繊維状充填材の配合量は、低異方性の観点から、液晶ポリエステル100重量部に対して、5重量部以上が好ましく、10重量部以上がより好ましい。一方で、繊維状充填材の配合量は、流動安定性向上の観点から、液晶ポリエステル100重量部に対して、75重量部以下が好ましく、45重量部以下がより好ましい。
【0067】
繊維状充填材の平均繊維長は、流動安定性に優れ、かつ低異方性の観点から、10μm以上が好ましく、20μm以上がより好ましく、30μm以上がさらに好ましい。一方、配合する繊維状充填材の平均繊維長は、流動安定性に優れ、かつ低異方性の観点から、平均繊維長は200μm以下が好ましく、150μm以下がより好ましく、120μm以下がさらに好ましい。
【0068】
ここでいう繊維状充填材の平均繊維長は数平均繊維長であり、次の方法により求めることができる。繊維状充填材の平均繊維長の測定方法は、顕微鏡用スライドガラス上に各繊維が積み重ならないように散布し、800倍の倍率で顕微鏡写真を撮影し、顕微鏡写真から無作為に選んだ500本以上の繊維長を測定し、その数平均値を平均繊維長とした。
【0069】
<その他充填材>
また、液晶ポリエステル樹脂組成物の機械強度その他の特性を付与するためにその他充填材を含有してもよい。本発明で使用される充填材は、特に限定されるものではないが、例えば、粉末状、粒状などの充填材を挙げることができる。具体的には、シリカ、ガラスビーズ、酸化チタン、酸化亜鉛、ポリリン酸カルシウムおよび黒鉛などが挙げられる。
【0070】
<板状充填材(B)と繊維状充填材(C)の組み合わせ>
本発明においては、板状充填材(B)と繊維状充填材(C)を配合した液晶ポリエステル樹脂組成物の流動安定性、かつ低異方性の観点から、板状充填材のメジアン径と、繊維状充填材の数平均繊維長が近い値であることが好ましく、樹脂組成物に配合する前の板状充填材(B)のメジアン径(S(μm))と繊維状充填材(C)の数平均繊維長(T(mm))が式(U)を満たすことが好ましい。
1.0≦(T/S)≦31.0 ・・・(U)
【0071】
流動安定性に優れ、かつ低異方性の観点から、T/S比は1.5以上がより好ましく、2.0以上がさらに好ましい。一方で、流動安定性に優れ、かつ低異方性の観点から、T/S比は25以下がより好ましく、20以下がさらに好ましい。さらに、板状充填材と繊維状充填材の混合物から、特定の充填材のみのメジアン径や数平均繊維長を測定する方法は、比重差により分離して測定することができる。これをヨウ化メチレン(比重3.33)や1,1,2,2-テトラブロモエタン(比重2.970)、エタノール(比重0.789)などを用いてメジアン径が必要な充填材と他の充填材との間の比重となるよう適宜混合した混合液中に分散させ、回転数10000rpmで5分間遠心分離した後、ろ過により取り出す。その後、得られた充填材を100mg秤量し、上述の方法により組成物中の特定の充填材のみのメジアン径、数平均繊維長を得ることができる。
【0072】
<樹脂組成物中の充填材の粒子径、粒子径分布>
本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物は、適切な液晶ポリエステル樹脂と適切な板状充填材および繊維状充填材を組み合わせることで、液晶ポリエステル樹脂組成物中の充填材の粒子径分布が特定の分布を示し、流動安定性に優れ、低異方性の液晶ポリエステル樹脂組成物とすることができる。
【0073】
本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物中の充填材の粒子径分布は、下記で定義するPおよびQが式(R)を満たす。
0.70≦(P/Q)≦1.20・・・(R)
【0074】
ここで、PおよびQは、液晶ポリエステル樹脂組成物中の充填材の粒子径を、横軸を粒子径(μm、常用対数表示)、縦軸を頻度(%)でプロットして得られる粒子径分布曲線において、粒子径分布曲線におけるモード径に対応する最も高い点から粒子径最大値までの粒子径分布曲線、頻度0.15%に対応する横軸と平行した線、モード径に対応する最も高い点から横軸に下ろした垂線で囲まれた部分の面積をP、粒子径分布曲線におけるモード径に対応する最も高い点から粒子径最小値までの粒子径分布曲線、頻度0.15%に対応する横軸と平行した線、モード径に対応する最も高い点から横軸に下ろした垂線で囲まれた部分の面積をQとする。粒子径分布曲線とモード径は、次の方法により求めることができる。液晶ポリエステル樹脂組成物50gを空気中で550℃で3時間加熱することにより樹脂成分を除去し、不燃物として残った残渣を樹脂組成物中の充填材とする。得られた充填材を100mg秤量し、水6gと界面活性剤10mgとともに10分間超音波洗浄機で分散させた後に、レーザー回折/散乱式粒子度分布計(Microtrac社製“MT3300EXII”)を用いて粒子径分布を3度測定し、そこで得られた頻度(単位(%)、縦軸)と粒子径(単位(μm)、横軸、常用対数表示)の関係から得られる曲線を粒子径分布曲線とした。また、粒子径分布曲線における最頻度粒子径をモード径とした。なお、上記測定において頻度0.15%未満では、機器の測定能力を超えており、信頼のあるデータは得られないため、頻度0.15%に対応する横軸と並行した線をひき、粒子分布曲線との交点を粒子径最小値、粒子径最大値とした。
【0075】
本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物中の充填材のモード径は、流動安定性に優れ、かつ低異方性の観点から、5μm以上が好ましく、10μm以上がより好ましく、15μm以上がさらに好ましい。一方、液晶ポリエステル樹脂組成物中の充填材のモード径は、流動安定性に優れ、かつ低異方性の観点から、100μm以下が好ましく、60μm以下がより好ましく、40μm以下がさらに好ましい。
【0076】
図1に、レーザー回折/散乱式粒子度分布計によって得られる、液晶ポリエステル樹脂組成物中の充填材の粒子径分布曲線の概略図を示す。横軸は、常用対数表示とした粒子径(μm)、縦軸は各粒子径に対応する充填材の頻度(%)を示す。図1において、面積Pは、粒子径分布曲線1の最頻値2(モード径)から、粒子径分布曲線と頻度0.15%との交点である粒子径最大値点3までの粒子径分布曲線、頻度0.15%に対応する横軸と平行した線と最頻値2から横軸に下ろした垂線で囲まれた部分の面積(点2から3までの粒子径分布曲線、頻度0.15%における横軸と平行した線と点2から横軸に下ろした垂線で囲まれた部分の面積)を示す。すなわち、Pは液晶ポリエステル樹脂組成物中の充填材における、大粒子径成分の割合を示す指標である。一方、面積Qは、粒子径分布曲線1の最頻値2から、粒子径分布曲線と頻度0.15%との交点である粒子径最大値点4までの粒子径分布曲線、頻度0.15%に対応する横軸と平行した線と最頻値2から横軸に下ろした垂線で囲まれた部分の面積(点2から4までの粒子径分布曲線、頻度0.15%における横軸と平行した線と点2から横軸に下ろした垂線で囲まれた部分の面積)を示す。すなわち、Qは液晶ポリエステル樹脂組成物中の充填材における、小粒子径成分の割合を示す指標である。
【0077】
面積比P/Qの値が大きいほど、液晶ポリエステル樹脂組成物中の充填材における、大粒子径の充填材の割合が高いことになる。一般的な液晶ポリエステル樹脂組成物として、例えば、公知の液晶ポリエステル樹脂に板状充填材および繊維状充填材を含んだ組成物について粒子径分布を測定すると、面積比P/Qの割合は、1.20を超える値となる。この結果は、公知の液晶ポリエステル樹脂組成物の場合、溶融混練による充填材の折損によって、粒子径の分布幅が広くなってしまうとともに、充填材の溶融混練前の粒子径である大粒子径側がある程度残ってしまい、大粒子径側の面積Pが増加するためだと考えられる。
【0078】
本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物は、前記式(R)を満足する粒子径分布を有する。面積比P/Qの値は、液晶ポリエステル樹脂組成物中の粒子径分布における、大粒子径成分の割合を示す指標であり、前記式(R)は、モード径を境とした際に、大粒子径成分と小粒子径成分が等量または同等量に近いことを意味する。P/Qの値が1.20を超えると液晶ポリエステル樹脂組成物中の充填材における大粒子径成分の割合が増大し、流動安定性が低下し、かつ異方性が大きくなる。流動安定性に優れ、かつ低異方性の観点から、P/Qの値は、1.15未満が好ましく、1.10未満がより好ましい。P/Qの値が0.70未満であると液晶ポリエステル樹脂組成物中の充填材における小粒子径成分の割合が増大し、流動安定性が低下し、かつ異方性が大きくなる。流動安定性に優れ、かつ低異方性の観点から、P/Qの値は、0.75以上が好ましく、0.80以上がより好ましい。
【0079】
P/Qの値を前述の範囲にする手段としては、充填材の折損を抑制し、粒子径分布において範囲が広がらないようにすることであり、例えば、後述する二軸押出機での溶融混練において、配合する板状充填材(B)のメジアン径(S、単位(μm))と繊維状充填材(C)の数平均繊維長(T、単位(mm))を1.0≦(T/S)≦30.0の範囲とした上で、液晶ポリエステル樹脂(A)投入口を0.0とし、かつスクリューの全長を1.0Xとしたときの上流側から見て0.50Xより大きい位置からの充填材を供給する手法により、P/Qの値を制御することが容易となる。加えて、上述の構造単位(I)~(VI)を全て含む、剪断速度依存性の低い液晶ポリエステル樹脂を用いる手法、折損しても粒子径範囲が広がらないように、配合する繊維状充填材の平均繊維長を上記の好ましい範囲に選択する手法を組み合わせることがより好ましい。
【0080】
また、板状充填材および繊維状充填材を配合した液晶ポリエステル樹脂組成物中の板状充填材のメジアン径や、繊維状充填材の平均繊維長を測定する方法は、方法で組成物50gを空気中で550℃で3時間加熱することにより樹脂成分を除去したのち、配合前の充填材を分離する場合と同様に充填材を分離し、配合前の板状充填材のメジアン家の測定、配合前の繊維状充填材の数平均分子量の測定と同様の方法で測定することが可能である。
【0081】
本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物中の板状充填材のメジアン径は、流動安定性に優れ、かつ低異方性の観点から、1μm以上が好ましく、5μm以上がより好ましい。一方、液晶ポリエステル樹脂組成物中の充填材のメジアン径は、流動安定性に優れ、かつ低異方性の観点から、100μm以下が好ましく、60μm以下がより好ましく、40μm以下がさらに好ましい。
【0082】
液晶ポリエステル樹脂組成物中の繊維状充填材の平均繊維長は、流動安定性に優れ、かつ低異方性の観点から、5μm以上が好ましく、10μm以上がより好ましく、15μm以上がさらに好ましい。一方、繊維状充填材の平均繊維長は、流動安定性に優れ、かつ低異方性の観点から、平均繊維長は110μm以下が好ましく、90μm以下がより好ましく、80μm以下がさらに好ましい。
【0083】
<その他添加剤>
本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲でさらに酸化防止剤、熱安定剤(例えば、ヒンダードフェノール、ホスファイト、チオエーテル類およびこれらの置換体など)、紫外線吸収剤(例えば、レゾルシノール、サリシレート)、亜リン酸塩、次亜リン酸塩などの着色防止剤、滑剤および離型剤(モンタン酸およびその金属塩、そのエステル、そのハーフエステル、ステアリルアルコール、ステアラミドおよびポリエチレンワックスなど)、染料または顔料を含む着色剤、導電剤あるいは着色剤としてカーボンブラック、結晶核剤、可塑剤、難燃剤(臭素系難燃剤、燐系難燃剤、赤燐、シリコーン系難燃剤など)、難燃助剤、および帯電防止剤から選択される通常の添加剤を配合することができる。
【0084】
<液晶ポリエステル樹脂組成物の製造方法>
本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物の製造方法としては、特に限定されるものではない。例えば、液晶ポリエステル樹脂(A)に板状充填材(B)、繊維状充填材(C)およびその他の固体状の添加剤等を配合するドライブレンド法や、液晶ポリエステル(A)、板状充填材(B)、繊維状充填材(C)にその他の液体状の添加剤等を配合する溶液配合法、液晶ポリエステル樹脂(A)、板状充填材(B)、繊維状充填材(C)およびその他の添加剤を溶融混練する方法などを用いることができ、なかでも溶融混練する方法が好ましい。溶融混練には公知の方法を用いることができる。たとえば、バンバリーミキサー、ゴムロール機、ニーダー、単軸もしくは二軸押出機などを用い、液晶ポリエステルの融点+50℃以下で溶融混練して液晶ポリエステル樹脂組成物とすることができる。なかでも二軸押出機が好ましい。
【0085】
混練方法としては、1)液晶ポリエステル樹脂(A)、板状充填材(B)、繊維状充填材(C)およびその他の添加剤を元込めフィーダーから一括で投入して混練する方法(一括混練法)、2)液晶ポリエステル樹脂(A)およびその他の添加剤を元込めフィーダーから投入して混練した後、板状充填材(B)および繊維状充填材(C)をサイドフィーダーから添加して混練する方法(サイドフィード法1)、3)液晶ポリエステル樹脂(A)、板状充填材(B)およびその他の添加剤を元込めフィーダーから投入して混練した後、繊維状充填材(C)をサイドフィーダーから添加して混練する方法(サイドフィード法2)、4)液晶ポリエステル樹脂(A)、繊維状充填材(C)およびその他の添加剤を元込めフィーダーから投入して混練した後、板状充填材(B)をサイドフィーダーから添加して混練する方法(サイドフィード法3)などがある。P/Qの値を上述の範囲に制御でき、流動安定性に優れ、かつ低異方性の観点から、2)の手法が好ましい。
【0086】
また、P/Qの値を上述の範囲に制御でき、流動安定性に優れ、かつ低異方性の観点から、二軸押出機のスクリューの全長をX、液晶ポリエステル樹脂(A)投入口を0とした場合に、0.50Xより大きい位置から充填材を供給することが好ましい。板状充填材(B)、繊維状充填材(C)をサイドフィードすることで、充填材の折損を抑制し、粒子径において分布が広がらないよう抑制することが可能である。
【0087】
<成形品>
本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物は、通常の射出成形、押出成形、プレス成形、溶液キャスト製膜、紡糸などの成形方法によって、優れた表面外観(色調)、機械的性質、耐熱性を有する成形品に加工することが可能である。ここでいう成形品としては、射出成形品、押出成形品、プレス成形品、シート、パイプ、未延伸フィルム、一軸延伸フィルム、二軸延伸フィルムなどの各種フィルム、未延伸糸、超延伸糸などの各種繊維などが挙げられる。特に加工性の観点から射出成形であることが好ましい。溶融成形する場合、液晶ポリエステル樹脂組成物の劣化を抑制し、機械強度を向上させる観点から、380℃以下で溶融成形するのが好ましく、370℃以下がより好ましい。
【0088】
本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物を成形して得られる成形品は、電気・電子部品として好ましく用いることができる。電気・電子部品としては、例えば、パソコン、GPS内蔵機器、携帯電話、衝突防止用レーダーなどのミリ波および準ミリ波レーダー、タブレットやスマートフォンなどの移動通信・電子機器のアンテナに用いられるフレキシブルプリント基板、積層用回路基板、プリント配線基板および三次元回路基板;LEDなどのランプリフレクターやランプソケット、移動通信端末の通信基地局スモールセルやマイクロセル部材、アンテナカバー、筐体、センサー、カメラモジュールのアクチュエータ部品、コネクタ、リレーケースおよびベース、スイッチ、コイルボビン、コンデンサーなどが挙げられる。なかでも、流動安定性に優れ、かつ低異方性の観点から、薄肉複雑形状部を有するコネクタ、リレー、スイッチ、コイルボビン、カメラモジュールのアクチュエータ部品などに有用である。
【実施例0089】
以下、実施例を用いて本発明を説明するが、本発明が実施例により限定されるものではない。実施例中、液晶ポリエステル樹脂の組成および特性評価は以下の方法により測定した。
【0090】
(1)液晶ポリエステル樹脂の組成分析
液晶ポリエステル樹脂の組成分析は、1H-核磁気共鳴スペクトル(1H-NMR)測定により求めた。液晶ポリエステル樹脂をNMR用試験管に50mg秤量し、溶媒(ペンタフルオロフェノール/1,1,2,2-テトラクロロエタン-d2=65/35(重量比)混合溶媒)800μLに溶解して、UNITY INOVA500型NMR装置(バリアン社製)を用いて観測周波数500MHz、温度80℃で1H-NMR測定を実施し、7~9.5ppm付近に観測される各構造単位に由来するピーク面積比から組成を分析した。
【0091】
(2)液晶ポリエステル樹脂の融点(Tm)測定
示差走査熱量計DSC-7(パーキンエルマー製)により、液晶ポリエステル樹脂を室温から20℃/分の昇温条件で加熱した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm)の観測後、Tm+20℃の温度で5分間保持した後、20℃/分の降温条件で室温まで一旦冷却し、再度20℃/分の昇温条件で加熱した際に観測される吸熱ピーク温度を融点(Tm)とした。
【0092】
[製造例1]
撹拌翼および留出管を備えた5Lの反応容器にp-ヒドロキシ安息香酸(HBA)776重量部、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸(HNA)66重量部、4,4’-ジヒドロキシビフェニル(DHB)251重量部、ハイドロキノン(HQ)168重量部、テレフタル酸(TPA)447重量部、イソフタル酸(IPA)29重量部および無水酢酸1278重量部(フェノール性水酸基合計の1.07当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら145℃で120分反応させた後、145℃から360℃まで4時間かけて昇温した。その後、重合温度を360℃に保持し、1.0時間かけて1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に反応を続け、所定の撹拌トルクに到達したところで重合を完了させた。次に、直径6mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状に吐出し、カッターによりペレタイズして液晶ポリエステル樹脂(A-1)を得た。
【0093】
この液晶ポリエステル樹脂(A-1)について組成分析を行なったところ、p-ヒドロキシ安息香酸由来の構造単位の割合が48.0モル%、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸由来の構造単位の割合が3モル%、4,4’-ジヒドロキシビフェニル由来の構造単位の割合が11.5モル%、ハイドロキノン由来の構造単位の割合が13.0モル%、テレフタル酸由来の構造単位の割合が23.0モル%、イソフタル酸由来の構造単位の割合が1.5モル%であった。4,4’-ジヒドロキシビフェニル由来の構造単位とハイドロキノン由来の構造単位の合計はポリエステルの全構造単位100モル%に対して、24.5モル%であった。また、Tmは335℃であった。
【0094】
[製造例2]
撹拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp-ヒドロキシ安息香酸(HBA)870重量部、4,4’-ジヒドロキシビフェニル(DHB)302重量部、ハイドロキノン(HQ)119重量部、テレフタル酸(TPA)247重量部、イソフタル酸(IPA)202重量部および無水酢酸1302重量部(フェノール性水酸基合計の1.09当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら145℃で1時間反応させた後、ジャケット温度を145℃から330℃まで4時間で昇温させた。その後、重合温度を330℃に保持し、1.0時間で1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に反応を続け、撹拌に要するトルクが20kg・cmに到達したところで重合を完了させた。次に、直径6mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状に吐出し、カッターによりペレタイズして液晶ポリエステル樹脂(A-2)を得た。
【0095】
この液晶ポリエステル樹脂(A-2)について組成分析を行なったところ、p-ヒドロキシ安息香酸由来の構造単位の割合が53.8モル%、4,4’-ジヒドロキシビフェニル由来の構造単位の割合が13.8モル%、ハイドロキノン由来の構造単位の割合が9.2モル%、テレフタル酸由来の構造単位の割合が12.7モル%、イソフタル酸由来の構造単位の割合が10.4モル%であった。4,4’-ジヒドロキシビフェニル由来の構造単位とハイドロキノン由来の構造単位の合計はポリエステルの全構造単位100モル%に対して、23.0モル%であった。また、Tmは310℃であった。
【0096】
板状充填材(B)
(B-1)富士タルク工業製 タルク(RL217、メジアン径20μm)
(B-2)富士タルク工業製 タルク(ML110、メジアン径11μm)
(B-3)ヤマグチマイカ製 マイカ(J-31M、メジアン径35μm)
(B-4)ヤマグチマイカ製 マイカ(SJ-010、メジアン径10μm)
【0097】
繊維状充填材(C)
(C-1)旭ファイバーグラス製 ミルドファイバー(MF06MW2-20、数平均繊維長63μm)
(C-2)旭ファイバーグラス製 ミルドファイバー(MF20MH2-20、数平均繊維長160μm)
(C-3)日本電気硝子製 ガラスチョップドストランド(ECS03T747H、数平均繊維長3mm)
【0098】
[実施例1~9、比較例1~4]
サイドフィーダーを備えた東芝機械製TEM35B型2軸押出機で、各製造例で得られた液晶ポリエステル樹脂(A-1、A-2)を表1に示す配合量でホッパーから投入し、板状充填材(B)や繊維状充填材(C)を表1に示す配合量でメインフィーダーまたはサイドフィーダーから投入し、シリンダー温度を液晶ポリエステル樹脂の融点+10℃に設定し、溶融混練してペレットとした。得られた液晶ポリエステル樹脂組成物のペレットを150℃、3時間、熱風乾燥後、以下(3)~(5)の評価を行った。結果を表1に示す。
【0099】
(3)液晶ポリエステル樹脂組成物中の充填材のメジアン径、粒子径分布および粒子径分布におけるP/Q値
各実施例および比較例により得られたペレット50gを空気中で550℃で3時間加熱することにより樹脂成分を除去し、不燃物である充填材を取り出した。得られた充填材を100mg秤量し、水6gと界面活性剤10mgとともに10分間超音波洗浄機で分散させた後に、レーザー回折/散乱式粒子度分布計(Microtrac社製“MT3300EXII”)を用いて粒子径分布を3度測定し、そこで得られた頻度(単位(%)、縦軸)と粒子径(単位(μm)、横軸、常用対数表示)の関係から得られる曲線を粒子径分布曲線とした。また、粒子径分布曲線における最頻度粒子径をモード径、頻度の累積が50%になる粒子径をメジアン径とした。さらに、粒子径分布におけるP/Q値を求めるため、粒子径分布曲線におけるモード径に対応する最も高い点から粒子径最大値までの粒子径分布曲線、頻度0.15%に対応する横軸と平行に引かれた線とモード径に対応する最も高い点から、横軸に下ろした垂線で囲まれた部分の面積をPとして求めた。一方、粒子径分布曲線におけるモード径に対応する最も高い点から粒子径最小値までの粒子径分布曲線、頻度0.15%に対応する横軸と平行に引かれた線とモード径に対応する最も高い点から、横軸に下ろした垂線で囲まれた部分の面積をQとして求め、粒子径分布におけるP/Q値を算出した。
【0100】
(4)異方性の評価
各実施例および比較例により得られたペレットをファナックα30C射出成形機(ファナック製)に供給し、シリンダー温度を液晶ポリエステル樹脂の融点+20℃、金型温度を90℃として、80mm×80mm×1mm厚の角形成形品を成形した。得られた角板成形品をSD型レバー式試料裁断器で樹脂流れ方向(MD)に「JIS K-7139-A23」形状に角板1枚につき2サンプルを打ち抜いてMD方向打ち抜きダンベル試験片を作製した。この試験片について、JIS K-7162に従って引張試験機UTA2.5T(オリエンテック製)により引張試験を10本行い、得られた引張強度の平均値をMD方向の引張強度とした。一方、得られた角板成形品をSD型レバー式試料裁断器で樹脂流れ直角方向(TD)に上述の方法で打ち抜き、引張試験を行い、得られた引張強度の平均値をTD方向の引張強度とした。MD方向の引張強度に対するTD方向の引張強度の比を異方性として算出した。比が1に近いほど、異方性に優れるとした。
【0101】
(5)流動安定性の評価(流動長ばらつきの評価)
各実施例および比較例により得られたペレットをTUPARL TR30EHA射出成形機(ソディックプラステック製)に供給し、金型温度を90℃として、5.0mm幅×0.2mm厚棒状試験片を、成形品の長さが30mmとなる射出シリンダー温度、射出速度および成形圧力の条件で350ショット成形した。得られた試験片について長さが29mm以下、または31mm以上となり、試験片長さのばらつきが生じている数を数えた。長さばらつきの数が少ないほど、流動安定性に優れるとした。
【0102】
【表1】
【0103】
表1の結果から、特定の粒子径分布を有する充填材を含有する液晶ポリエステル樹脂組成物を用いることにより、流動安定性に優れ、かつ低異方性の成形品を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0104】
本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物は、流動安定性に優れ、かつ低異方性のため、コネクタ、リレー、スイッチ、コイルボビン、およびカメラモジュールのアクチュエータ部品などの電気・電子部品や機械部品用途に好適である。
【符号の説明】
【0105】
1 充填材の粒子径分布曲線
2 粒子径分布曲線の最頻値(モード径)
3 粒子径最大値に対応する点
4 粒子径最小値に対応する点
図1