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特開2023-155574定着装置、画像形成装置、給電制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023155574
(43)【公開日】2023-10-23
(54)【発明の名称】定着装置、画像形成装置、給電制御方法
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/20 20060101AFI20231016BHJP
【FI】
G03G15/20 555
G03G15/20 505
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022064982
(22)【出願日】2022-04-11
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(72)【発明者】
【氏名】小▲浜▼ 篤
【テーマコード(参考)】
2H033
【Fターム(参考)】
2H033AA41
2H033BA25
2H033BA30
2H033BB01
2H033BB18
2H033BB28
2H033BE00
2H033CA07
2H033CA27
2H033CA44
2H033CA46
(57)【要約】
【課題】構成を複雑化させることなく、定着部材の加熱開始時に流れる電流を抑制可能な定着装置、画像形成装置、及び給電制御方法を提供すること。
【解決手段】定着装置は、シートに転写されたトナー像を当該シートに定着させる定着ベルトと、前記定着ベルトの加熱に用いられ、温度の上昇に応じて電気抵抗が増加する抵抗発熱体と、前記定着ベルトの加熱タイミングt1が到来した場合に、前記抵抗発熱体に投入される投入電力を予め定められた上限値へ向けて徐々に増加させる給電制御部と、を備える。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートに転写されたトナー像を当該シートに定着させる定着部材と、
前記定着部材の加熱に用いられ、温度の上昇に応じて電気抵抗が増加する抵抗発熱体と、
前記定着部材の加熱タイミングが到来した場合に、前記抵抗発熱体に投入される投入電力を予め定められた上限値へ向けて徐々に増加させる給電制御部と、
を備える定着装置。
【請求項2】
前記抵抗発熱体の温度を検出する温度検出部を備え、
前記給電制御部は、前記温度検出部による検出結果に基づいて前記投入電力の増加を制御する、
請求項1に記載の定着装置。
【請求項3】
前記給電制御部は、PWM制御により前記投入電力を前記上限値へ向けて徐々に増加させる、
請求項1又は2に記載の定着装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の定着装置を用いて画像を形成する画像形成装置であって、
前記画像形成装置は、前記画像形成装置に接続される商用電源の電圧が予め定められた閾値以上であるか否かを判定する判定処理部を備え、
前記給電制御部は、前記判定処理部によって前記商用電源の電圧が前記閾値以上であると判定された場合に、前記投入電力を前記上限値へ向けて徐々に増加させる、
画像形成装置。
【請求項5】
前記判定処理部は、前記画像形成装置の仕向け地に基づいて前記商用電源の電圧が前記閾値以上であるか否かを判定する、
請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記商用電源の電圧に基づいて前記上限値を設定する設定処理部を備える、
請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項7】
シートに転写されたトナー像を当該シートに定着させる定着部材と、前記定着部材の加熱に用いられ、温度の上昇に応じて電気抵抗が増加する抵抗発熱体と、を備える定着装置で実行される給電制御方法であって、
前記定着部材の加熱タイミングが到来したか否かを判定する判定ステップと、
前記判定ステップによって前記加熱タイミングが到来したと判定される場合に、前記抵抗発熱体に投入される投入電力を予め定められた上限値へ向けて徐々に増加させる給電制御ステップと、
を含む給電制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定着装置、画像形成装置、及び給電制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式で画像を形成可能な画像形成装置は、シートに転写されたトナー像を当該シートに定着させる定着装置を備える。前記定着装置の一種として、温度の上昇に応じて電気抵抗が増加する抵抗発熱体を用いて定着ベルトなどの定着部材を加熱する定着装置が知られている。
【0003】
前記抵抗発熱体を備える前記定着装置では、前記抵抗発熱体が常温である場合に当該抵抗発熱体の電気抵抗が小さいことに起因して、前記定着部材の加熱開始時に大電流が流れることがある。これに対し、前記抵抗発熱体への給電開始前に当該抵抗発熱体を加熱する定着装置が関連技術として知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-265387号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の関連技術にかかる定着装置では、前記抵抗発熱体とは別に当該抵抗発熱体を加熱する構成を設ける必要があり、装置の構成が複雑化する。
【0006】
本発明の目的は、構成を複雑化させることなく、定着部材の加熱開始時に流れる電流を抑制可能な定着装置、画像形成装置、及び給電制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一の局面に係る定着装置は、定着部材と、抵抗発熱体と、給電制御部とを備える。前記定着部材は、シートに転写されたトナー像を当該シートに定着させる。前記抵抗発熱体は、前記定着部材の加熱に用いられ、温度の上昇に応じて電気抵抗が増加する。前記給電制御部は、前記定着部材の加熱タイミングが到来した場合に、前記抵抗発熱体に投入される投入電力を予め定められた上限値へ向けて徐々に増加させる。
【0008】
本発明の他の局面に係る画像形成装置は、前記定着装置を用いて画像を形成する。また、前記給電制御部は、前記画像形成装置に接続される商用電源の電圧が予め定められた閾値以上である場合に、前記投入電力を前記上限値へ向けて徐々に増加させる。
【0009】
本発明の他の局面に係る給電制御方法は、シートに転写されたトナー像を当該シートに定着させる定着部材と、前記定着部材の加熱に用いられ、温度の上昇に応じて電気抵抗が増加する抵抗発熱体と、を備える定着装置で実行され、判定ステップと、給電制御ステップとを含む。前記判定ステップでは、前記定着部材の加熱タイミングが到来したか否かが判定される。前記給電制御ステップでは、前記判定ステップによって前記加熱タイミングが到来したと判定される場合に、前記抵抗発熱体に投入される投入電力が予め定められた上限値へ向けて徐々に増加される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、構成を複雑化させることなく、定着部材の加熱開始時に流れる電流を抑制することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の構成を示す図である。
図2図2は、本発明の実施形態に係る画像形成装置のシステム構成を示す図である。
図3図3は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の定着装置の構成を示す図である。
図4図4は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の加熱部の構成を示す図である。
図5図5は、本発明の実施形態に係る画像形成装置における抵抗発熱体の給電経路の構成を示す図である。
図6図6は、本発明の実施形態に係る画像形成装置で実行される給電制御処理の一例を示すフローチャートである。
図7図7は、本発明の実施形態に係る画像形成装置において定着ベルトの加熱開始時に流れる電流を示す図である。
図8図8は、本発明の実施形態に係る画像形成装置において定着ベルトの加熱開始時に流れる電流を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0013】
[画像形成装置100の構成]
まず、図1、及び図2を参照しつつ、本発明の実施形態に係る画像形成装置100の構成について説明する。ここで、図1は画像形成装置100の構成を示す断面図である。
【0014】
なお、説明の便宜上、画像形成装置100が使用可能な設置状態(図1に示される状態)で鉛直方向を上下方向D1と定義する。また、図1に示される画像形成装置100の左側の面を正面(前面)として前後方向D2を定義する。また、前記設置状態の画像形成装置100の正面を基準として左右方向D3を定義する。
【0015】
画像形成装置100は、画像データに基づいて画像を形成するプリント機能を有するプリンターである。なお、本発明は、電子写真方式で画像を形成するファクス装置、コピー機、及び複合機などに適用することが可能である。
【0016】
図1、及び図2に示されるように、画像形成装置100は、画像形成部1、シート搬送部2、操作表示部3、記憶部4、及び制御部5を備える。画像形成部1、シート搬送部2、記憶部4、及び制御部5は、画像形成装置100の筐体101(図1参照)に収容されている。筐体101は、略直方体状に形成されている。筐体101の上部には、操作表示部3、及び画像形成装置100によって画像が形成されたシートが排出されるシート受け部102(図1参照)が形成されている。
【0017】
操作表示部3は、画像形成装置100のユーザーインターフェイスである。操作表示部3は、制御部5からの制御指示に応じて各種の情報を表示する液晶ディスプレーなどの表示部、及びユーザーの操作に応じて制御部5に各種の情報を入力する操作キー又はタッチパネルなどの操作部を有する。
【0018】
記憶部4は、不揮発性の記憶装置である。例えば、記憶部4は、フラッシュメモリーなどの不揮発性メモリーである。
【0019】
制御部5は、画像形成装置100を統括的に制御する。図2に示されるように、制御部5は、CPU11、ROM12、及びRAM13を備える。CPU11は、各種の演算処理を実行するプロセッサーである。ROM12は、CPU11に各種の処理を実行させるための制御プログラムなどの情報が予め格納される不揮発性の記憶装置である。RAM13は、CPU11が実行する各種の処理の一時記憶メモリー(作業領域)として使用される揮発性又は不揮発性の記憶装置である。制御部5では、CPU11によりROM12に予め格納された各種の制御プログラムが実行される。これにより、制御部5は、画像形成装置100を統括的に制御する。なお、制御部5は、集積回路(ASIC)などの電子回路で構成されたものであってもよい。また、制御部5は、画像形成装置100を統括的に制御するメイン制御部とは別に設けられた制御部であってもよい。
【0020】
画像形成部1は、外部のパーソナルコンピューター等の情報処理装置から入力された画像データに基づいて、電子写真方式でシートに画像を形成することが可能である。図1に示されるように、画像形成部1は、感光体ドラム21、帯電装置22、光走査装置23、現像装置24、転写ローラー25、クリーニング装置26、及び定着装置27を備える。
【0021】
感光体ドラム21は、筐体101によって回転可能に支持されている。感光体ドラム21は、不図示のモーターから伝達される回転駆動力を受けて、図1に示される矢印方向に回転する。
【0022】
帯電装置22は、感光体ドラム21の表面を帯電させる。
【0023】
光走査装置23は、帯電装置22によって帯電された感光体ドラム21の表面に、画像データに基づく光を照射する。光走査装置23によって、感光体ドラム21の表面に静電潜像が形成される。
【0024】
現像装置24は、トナーを含む現像剤を用いて、感光体ドラム21の表面に形成された静電潜像を現像する。現像装置24によって、感光体ドラム21の表面にトナー像が形成される。
【0025】
転写ローラー25は、シート搬送部2によって定着装置27へ向けて搬送されるシートに、感光体ドラム21の表面に形成されたトナー像を転写する。
【0026】
クリーニング装置26は、転写ローラー25によってトナー像が転写された後の感光体ドラム21の表面を清掃する。
【0027】
定着装置27は、トナー像が転写されたシートを加熱して、当該シートにトナー像を定着させる。
【0028】
シート搬送部2は、画像形成部1によって画像が形成されるシートを搬送する。図1に示されるように、シート搬送部2は、給紙カセット31、シート搬送路32、給紙ユニット33、レジストローラー対34、及び排紙ローラー対35を備える。
【0029】
給紙カセット31は、画像形成部1によって画像が形成されるシートを収容する。給紙カセット31は、図1に示されるように、筐体101の底部に設けられる。例えば、給紙カセット31には、紙、コート紙、ハガキ、封筒、及びOHPシートなどのシート部材が収容される。給紙カセット31は、内部に収容された複数枚のシートを持ち上げるリフト板を有する。
【0030】
シート搬送路32は、給紙カセット31から転写ローラー25、及び定着装置27を経由してシート受け部102へ至るシートの移動通路である。シート搬送路32には、レジストローラー対34、及び排紙ローラー対35を含む複数のローラー対が設けられている。シート搬送路32では、給紙カセット31から搬出されたシートが当該複数のローラー対によってシート受け部102へ向かう搬送方向D4(図1参照)へ搬送される。シート搬送路32は、筐体101内に設けられた一対の搬送ガイド部材によって形成される。
【0031】
給紙ユニット33は、給紙カセット31に収容されたシートを一枚ずつシート搬送路32へ送り出す。給紙ユニット33は、ピックアップローラー、給紙ローラー、及びリタードローラーを備える。前記ピックアップローラーは、給紙カセット31の前記リフト板によって持ち上げられた複数枚のシートのうち、最上層のシートの上面に接触して回転することで、当該シートを前記給紙ローラーへ送り出す。前記給紙ローラーは、前記ピックアップローラーによって送り出されたシートの上面に接触して回転することで、当該シートをシート搬送路32へ送り出す。前記リタードローラーは、前記給紙ローラーの下側から前記給紙ローラーへ向けて付勢されて設けられる。前記リタードローラーは、前記ピックアップローラーによって複数枚のシートが重なり合って送り出された場合に、その重なり合う複数枚のシートから最上層以外のシートを分離する。
【0032】
レジストローラー対34は、感光体ドラム21の表面に形成されたトナー像が感光体ドラム21の回転によって転写ローラー25による転写位置に搬送されるタイミングに合わせて、シートを当該転写位置へ搬送する。
【0033】
排紙ローラー対35は、定着装置27によってトナー像が定着されたシートをシート受け部102に排出する。
【0034】
[定着装置27の構成]
次に、図3、及び図4を参照しつつ、定着装置27の構成について説明する。ここで、図3は定着装置27の構成を示す断面図である。また、図4は加熱部42の構成を示す断面図である。
【0035】
図3に示されるように、定着装置27は、定着ベルト41、加熱部42、支持部43、押圧部材44、及び加圧ローラー45を備える。
【0036】
定着ベルト41は、加熱部42によって予め定められた定着温度に加熱される。定着ベルト41は、加熱された状態でシートに接触することにより、当該シートに転写されたトナー像を当該シートに定着させる。図3に示されるように、定着ベルト41は、無端状である。また、定着ベルト41は、可撓性を有する。定着ベルト41は、基材層と、前記基材層の外周面に設けられた弾性層と、前記弾性層の外周面に設けられた離型層とを有する。前記基材層は、ステンレス鋼、及びニッケル合金などの金属材料で形成される。前記弾性層は、シリコンゴムなどの材料で形成される。前記離型層は、PFA(四フッ化エチレン・パーフルオロアルコキシエチレン共重合樹脂)などのフッ素系樹脂材料で形成される。定着ベルト41は、左右方向D3に沿って長尺である。定着ベルト41における左右方向D3のサイズは、画像形成装置100で画像を形成可能なシートの最大サイズに応じて定まる。定着ベルト41は、本発明の定着部材の一例である。
【0037】
加圧ローラー45は、定着ベルト41の外周面41A(図3参照)と接触可能な位置に設けられる。具体的に、図3に示されるように、加圧ローラー45は、定着ベルト41の下側に設けられる。加圧ローラー45は、左右方向D3に沿って長尺である。加圧ローラー45は、軸部45A、及び弾性層45Bを備える。軸部45Aは、金属材料によって円筒状に形成される。弾性層45Bは、弾性を有する材料によって軸部45Aの外周に形成される。軸部45Aは、筐体101の内部に設けられる一対の側板によって回転可能に支持される。加圧ローラー45は、不図示のモーターから供給される回転駆動力を受けて回転方向D5(図3参照)に回転する。
【0038】
加熱部42は、定着ベルト41を加熱する。図3に示されるように、加熱部42は、定着ベルト41の内周面41B(図3参照)の内側であって、定着ベルト41を挟んで加圧ローラー45と対向する位置に設けられる。加熱部42は、左右方向D3に長尺であって、左右方向D3における定着ベルト41の両外側に亘って延在している。
【0039】
図4に示されるように、加熱部42は、基板51、抵抗発熱体52、保護層53、及び温度センサー54を備える。
【0040】
基板51は、左右方向D3に長尺な平板状の部材である。基板51は、耐熱性、電気絶縁性、及び低熱容量性に優れた材料で形成される。例えば、基板51は、アルミナなどのセラミックにより形成される。基板51は、左右方向D3におけるサイズが定着ベルト41よりも大きい。基板51は、左右方向D3における定着ベルト41の両外側に延在するように配置される。そのため、基板51における左右方向D3の両端部は、定着ベルト41から左右方向D3における外側へ突出している。
【0041】
図3、及び図4に示されるように、基板51の下側の面は、定着ベルト41の内周面41Bに対向する。図4に示されるように、基板51の下側の面には、抵抗発熱体52が配置される。また、基板51の下側の面における定着ベルト41の内周面41Bと対向する対向領域は、保護層53(図4参照)によって覆われる。保護層53は、ガラスなどの電気絶縁性を有する材料により形成される。
【0042】
図3、及び図4に示されるように、基板51の上側の面は、支持部43の凹部43Aの底面に対向する。図4に示されるように、基板51の上側の面には、温度センサー54が配置される。温度センサー54は、抵抗発熱体52の温度を検出し、検出温度に応じた電気信号を出力する。温度センサー54から出力される電気信号は、制御部5に入力される。制御部5は、温度センサー54から入力される電気信号に基づいて、抵抗発熱体52への給電を制御する。温度センサー54は、本発明の温度検出部の一例である。
【0043】
抵抗発熱体52は、定着ベルト41の加熱に用いられる。抵抗発熱体52は、商用電源200(図5参照)からの給電に応じて発熱する。抵抗発熱体52は、温度の上昇に応じて電気抵抗が増加するPTC(Positive Temperature Coefficient)特性を有する。抵抗発熱体52は、PCT特性を有する材料により、左右方向D3に長尺であって、基板51の下側の面と直交する方向に所定の厚みを有する帯状に形成される。抵抗発熱体52は、左右方向D3におけるサイズが定着ベルト41よりも小さい。抵抗発熱体52は、基板51の下側の面における前記対向領域の内側に配置される。
【0044】
支持部43は、加熱部42を支持する。図3に示されるように、支持部43は、定着ベルト41の内周面41Bの内側に設けられる。支持部43は、左右方向D3に長尺であって、左右方向D3における定着ベルト41の両外側に亘って延在している。支持部43の底部には、加熱部42の形状に対応する凹部43Aが形成されている。加熱部42は、凹部43Aに嵌合される。
【0045】
押圧部材44は、支持部43を加圧ローラー45側へ押圧する。図3に示されるように、押圧部材44は、定着ベルト41の内周面41Bの内側であって、支持部43を挟んで加圧ローラー45と対向する位置に設けられる。押圧部材44は、左右方向D3に長尺であって、左右方向D3における定着ベルト41の両外側に亘って延在している。押圧部材44における左右方向D3の両端部は、不図示の付勢部材によって加圧ローラー45側へ付勢される。これにより、押圧部材44は、支持部43を加圧ローラー45側へ押圧する。支持部43が加圧ローラー45側へ押圧されることにより、支持部43に支持された加熱部42は、加圧ローラー45側へ押圧される。
【0046】
加熱部42は、押圧部材44によって加圧ローラー45側へ押圧されることにより、定着ベルト41の内周面41Bに圧接する。これにより、定着ベルト41と加圧ローラー45との間に、シートに転写されたトナー像を当該シートに定着させる定着ニップ部46が形成される。本明細書では、定着ベルト41と加圧ローラー45とが接触する領域を定着ニップ部46と定義する。なお、加熱部42と定着ベルト41の内周面41Bとの間には、フッ素グリスなどの潤滑剤が塗布されている。
【0047】
定着ベルト41は、加熱部42、及び加圧ローラー45によって挟持されている。定着ベルト41は、加圧ローラー45が回転方向D5に回転すると、加圧ローラー45の回転に従動してベルト回転方向D6(図3参照)に沿って回転する。
【0048】
支持部43は、定着ベルト41の内周面41Bに接触して定着ベルト41の走行を案内する一対のガイド部43Bを備える。一対のガイド部43Bは、支持部43における前後方向D2の両端部に設けられる。定着ベルト41は、一対のガイド部43Bにより、予め定められた走行経路に沿って走行するよう案内される。
【0049】
なお、加圧ローラー45は、加熱部42側へ付勢されていてもよい。この場合、押圧部材44は、前記付勢部材によって付勢されていなくてもよい。
【0050】
ところで、抵抗発熱体52を備える従来の定着装置では、抵抗発熱体52が常温である場合に抵抗発熱体52の電気抵抗が小さいことに起因して、定着ベルト41の加熱開始時に大電流が流れることがある。これに対し、抵抗発熱体52への給電開始前に抵抗発熱体52を加熱する定着装置が関連技術として知られている。
【0051】
しかしながら、上述の関連技術にかかる定着装置では、抵抗発熱体52とは別に抵抗発熱体52を加熱する構成を設ける必要があり、装置の構成が複雑化する。
【0052】
これに対し、本発明の実施形態に係る画像形成装置100では、以下に説明するように、構成を複雑化させることなく、定着ベルト41の加熱開始時に流れる電流を抑制することが可能である。
【0053】
[制御部5の構成]
以下、図2、及び図5を参照しつつ、制御部5の構成について説明する。ここで、図5は抵抗発熱体52の給電経路の構成を示す図である。なお、図5では、温度センサー54から出力される電気信号、及び制御部5から出力される電気信号が矢印付きの一点鎖線によって示されている。
【0054】
図2に示されるように、制御部5は、判定処理部61、設定処理部62、及び給電制御部63を含む。
【0055】
具体的に、制御部5のROM12には、CPU11を上述の各部として機能させるための給電制御プログラムが予め格納されている。そして、CPU11は、ROM12に格納された前記給電制御プログラムを実行することにより、判定処理部61、設定処理部62、及び給電制御部63として機能する。定着装置27、及び制御部5を備える装置が、本発明の定着装置の一例である。
【0056】
なお、前記給電制御プログラムは、CD、DVD、及びフラッシュメモリーなどのコンピューター読み取り可能な記録媒体に記録されており、前記記録媒体から読み取られて記憶部4に格納されてもよい。また、判定処理部61、設定処理部62、及び給電制御部63は、集積回路(ASIC)などの電子回路で構成されたものであってもよい。
【0057】
判定処理部61は、画像形成装置100に接続される商用電源200(図5参照)の電圧が予め定められた閾値以上であるか否かを判定する。
【0058】
具体的に、判定処理部61は、画像形成装置100の仕向け地に基づいて、商用電源200の電圧が前記閾値以上であるか否かを判定する。ここで、前記仕向け地は、画像形成装置100が出荷、販売、又は使用される国、又は地域のことである。
【0059】
例えば、前記閾値は、抵抗発熱体52が予め定められた基準温度である場合の抵抗発熱体52の電気抵抗を示す第1抵抗値と、抵抗発熱体52を経由して流れる電流の上限値として予め定められた基準電流値との積である。前記基準温度は、画像形成装置100を正常に動作させることが可能な環境温度(気温)の範囲内で予め設定される。例えば、前記基準温度は20度である。前記基準電流値は、画像形成装置100の定格電流と、定着ベルト41の加熱開始時に抵抗発熱体52とは異なる構成に流れる電流の総和との差に基づいて設定される。例えば、画像形成装置100の定格電流は10A(アンペア)である。また、定着ベルト41の加熱開始時に抵抗発熱体52とは異なる構成に流れる電流の総和は1A(アンペア)である。また、前記基準電流値は9A(アンペア)である。
【0060】
例えば、画像形成装置100では、前記仕向け地を示す仕向け地情報が予め制御部5のROM12に格納されている。前記仕向け地情報は、画像形成装置100の言語設定、印刷条件設定、及びシートの定型サイズ設定などに用いられる。また、画像形成装置100では、前記仕向け地と商用電源200の電圧との対応関係を示す第1テーブルデータが予め記憶部4に格納されている。
【0061】
判定処理部61は、ROM12から読み出される前記仕向け地情報と記憶部4から読み出される前記第1テーブルデータとに基づいて、商用電源200の電圧を取得する。そして、判定処理部61は、取得された商用電源200の電圧と前記閾値とを比較することにより、商用電源200の電圧が前記閾値以上であるか否かを判定する。
【0062】
なお、前記閾値は、画像形成装置100の設置場所における実際の環境温度と前記基準温度との差に基づいて補正されてもよい。例えば、制御部5は、不図示の温度センサーによって検出される筐体101の内部温度と前記基準温度との差に基づいて前記第1抵抗値を補正し、補正後の前記第1抵抗値を用いて前記閾値を算出すればよい。
【0063】
また、前記閾値は、前記仕向け地ごとに予め定められていてもよい。この場合、判定処理部61は、ROM12から読み出される前記仕向け地情報に基づいて、複数の前記仕向け地に対応する複数の前記閾値からいずれか一つの前記閾値を選択し、選択された前記閾値と商用電源200の電圧とを比較すればよい。
【0064】
また、前記仕向け地は、画像形成装置100の初期設定時にユーザーによって指定されてもよい。この場合、制御部5は、ユーザーによって指定された前記仕向け地を示す前記仕向け地情報を、OTP(One Time Programmable)メモリーのような、書き換え不能な記憶装置に格納すればよい。また、判定処理部61は、書き換え不能な記憶装置から前記仕向け地情報を読み出せばよい。
【0065】
また、画像形成装置100は、商用電源200の電圧を計測可能な電圧計を備えていてもよい。この場合、判定処理部61は、前記電圧計の計測結果に基づいて、商用電源200の電圧が前記閾値以上であるか否かを判定すればよい。
【0066】
設定処理部62は、商用電源200の電圧に基づいて、抵抗発熱体52に投入される投入電力の上限値を設定する。
【0067】
例えば、画像形成装置100では、抵抗発熱体52が前記定着温度である場合の抵抗発熱体52の電気抵抗を示す第2抵抗値が予めROM12に格納されている。
【0068】
設定処理部62は、ROM12から読み出される前記第2抵抗値と商用電源200の電圧とに基づいて、抵抗発熱体52への給電により当該抵抗発熱体52の温度が前記定着温度まで上昇したタイミングにおける当該抵抗発熱体52を経由して流れる電流を算出する。そして、設定処理部62は、算出された電流が前記基準電流値を超える場合は、当該基準電流値に基づいて前記投入電力の上限値を設定する。具体的に、設定処理部62は、前記基準電流値と商用電源200の電圧との積を前記投入電力の上限値に設定する。また、設定処理部62は、算出された電流が前記基準電流値以下である場合は、当該電流に基づいて前記投入電力の上限値を設定する。具体的に、設定処理部62は、算出された電流と商用電源200の電圧との積を前記投入電力の上限値に設定する。
【0069】
給電制御部63は、定着ベルト41の加熱タイミングが到来した場合に、抵抗発熱体52に投入される前記投入電力を設定処理部62によって設定された前記投入電力の上限値へ向けて徐々に増加させる。
【0070】
具体的に、給電制御部63は、判定処理部61によって商用電源200(図5参照)の電圧が前記閾値以上であると判定された場合に、前記投入電力を上限値へ向けて徐々に増加させる。この場合、抵抗発熱体52への給電は制限され、その制限は徐々に緩和される。また、給電制御部63は、判定処理部61によって商用電源200の電圧が前記閾値未満であると判定された場合に、設定処理部62によって設定された上限値の電力を抵抗発熱体52に投入させる。この場合、抵抗発熱体52への給電は制限されない。
【0071】
例えば、給電制御部63は、温度センサー54による抵抗発熱体52の温度の検出結果に基づいて、前記投入電力の増加を制御する。
【0072】
また、給電制御部63は、PWM(Pulse Width Modulation)制御により、前記投入電力を上限値へ向けて徐々に増加させる。
【0073】
例えば、図5に示されるように、商用電源200と抵抗発熱体52との間の通電経路には、スイッチング素子55が設けられている。
【0074】
スイッチング素子55は、制御部5から出力される予め設定されたデューティー比のパルス信号の入力に応じて、商用電源200と抵抗発熱体52との間の通電経路の接続及び遮断を切り替え可能な半導体スイッチである。例えば、スイッチング素子55は、トライアックである。
【0075】
例えば、給電制御部63は、前記加熱タイミングが到来した場合であって、判定処理部61によって商用電源200(図5参照)の電圧が前記閾値以上であると判定された場合に、第1給電制御を実行する。
【0076】
例えば、前記第1給電制御では、前記第1給電制御の開始時から、温度センサー54によって検出される抵抗発熱体52の温度が予め定められた第1温度を超えるまで、予め定められた第1比率のデューティー比のパルス信号がスイッチング素子55に入力される。また、前記第1給電制御では、温度センサー54によって検出される抵抗発熱体52の温度が前記第1温度を超えたタイミングから当該温度が前記定着温度を超えるまで、前記第1比率よりも高い第2比率のデューティー比のパルス信号がスイッチング素子55に入力される。
【0077】
前記第2比率は、設定処理部62によって設定された前記投入電力の上限値に基づいて設定される比率である。前記第2抵抗値と商用電源200の電圧とに基づいて算出される電流値が前記基準電流値以下である場合の前記第2比率は、100パーセントである。また、前記第2抵抗値と商用電源200の電圧とに基づいて算出される電流値が前記基準電流値未満である場合の前記第2比率は、100パーセント未満である。
【0078】
前記第1比率は、抵抗発熱体52を経由して流れる電流が前記基準電流値を超えない範囲で任意に設定される。
【0079】
また、給電制御部63は、前記加熱タイミングが到来した場合であって、判定処理部61によって商用電源200(図5参照)の電圧が前記閾値未満であると判定された場合に、第2給電制御を実行する。
【0080】
例えば、前記第2給電制御では、前記第2給電制御の開始時から、温度センサー54によって検出される抵抗発熱体52の温度が前記定着温度を超えるまで、前記第2比率のデューティー比のパルス信号がスイッチング素子55に入力される。つまり、前記第2給電制御は、従来の画像形成装置で実行される従来周知の制御である。
【0081】
ここで、図7を参照しつつ、前記第1給電制御の一例について説明する。図7は、前記第1給電制御の実行期間における、画像形成装置100と商用電源200とを電気的に接続する電源コードを流れる電流、及び温度センサー54による検出温度の推移を示す図である。
【0082】
なお、図7における太い実線は、前記電源コードを流れる電流の推移を示すものである。また、図7における太い破線は、温度センサー54による検出温度の推移を示すものである。また、図7の横軸における「t1」は、前記加熱タイミングを示している。また、図7の横軸における「t2」は、温度センサー54による検出温度が前記第1温度の一例である120度に達したタイミングを示している。また、図7の横軸における「t3」は、温度センサー54による検出温度が前記定着温度の一例である220度に達したタイミングを示している。
【0083】
タイミングt1(図7参照)が到来すると、前記第1給電制御が開始される。具体的に、前記第1比率の一例である90パーセントのデューティー比のパルス信号がスイッチング素子55に入力される。これにより、図7に示されるように、前記電源コードを流れる電流が1A(アンペア)から10A(アンペア)に増加する。つまり、抵抗発熱体52に9A(アンペア)の電流が流れる。そのため、抵抗発熱体52が発熱する。
【0084】
抵抗発熱体52が給電に応じて発熱すると、その発熱により抵抗発熱体52の温度が上昇する。これにより、PCT特性を有する抵抗発熱体52の電気抵抗は上昇する。そのため、図7に示されるように、タイミングt1からタイミングt2(図7参照)までの間、抵抗発熱体52の温度は徐々に上昇し、前記電源コードを流れる電流は徐々に低下する。
【0085】
タイミングt2(図7参照)が到来すると、スイッチング素子55に入力されるパルス信号のデューティー比が90パーセントから前記第2比率の一例である100パーセントに切り替えられる。これにより、図7に示されるように、前記電源コードを流れる電流が10A(アンペア)に増加する。
【0086】
タイミングt2からタイミングt3(図7参照)までの間、抵抗発熱体52の温度は徐々に上昇し、前記電源コードを流れる電流は徐々に低下する。
【0087】
タイミングt3が到来すると、前記第1給電制御が終了し、抵抗発熱体52への給電が停止される。これにより、前記電源コードを流れる電流は、前記第1給電制御の開始前の1A(アンペア)まで低下する。
【0088】
図8には、前記第1給電制御に替えて前記第2給電制御が実行された場合の、前記電源コードを流れる電流、及び温度センサー54による検出温度の推移が示されている。
【0089】
図8に示されるように、前記第1給電制御に替えて前記第2給電制御が実行されると、タイミングt1において前記電源コードを流れる電流が1A(アンペア)から11A(アンペア)に増加する。つまり、タイミングt1において前記第2給電制御が実行される場合には、タイミングt1において前記第1給電制御が実行される場合よりも、前記電源コードを流れる電流が増加する。このことは、前記第2給電制御に替えて前記第1給電制御を実行することにより、前記電源コードを流れる電流を抑制可能であることを示唆している。
【0090】
なお、前記第1給電制御では、前記投入電力が3以上の段数で段階的に増加されてもよい。
【0091】
また、給電制御部63は、温度センサー54とは別に設けられたセンサーを用いて、前記投入電力の増加を制御してもよい。例えば、給電制御部63は、定着ベルト41の外周面41Aに対向して設けられ、定着ベルト41の温度を検出するセンサーを用いて、前記投入電力の増加を制御してもよい。この場合、加熱部42は、温度センサー54を備えていなくてもよい。
【0092】
また、給電制御部63は、前記加熱タイミングからの経過時間に基づいて、前記投入電力の増加を制御してもよい。具体的に、給電制御部63は、前記加熱タイミングからの経過時間が増加するほど、前記投入電力を増加させればよい。この場合、加熱部42は、温度センサー54を備えていなくてもよい。
【0093】
また、給電制御部63は、PWM制御によらずに、前記投入電力を上限値へ向けて徐々に増加させてもよい。例えば、商用電源200と抵抗発熱体52との間に、抵抗素子を経由する第1経路と、抵抗素子を経由しない第2経路とを備える構成が考えらえる。この構成において、給電制御部63は、温度センサー54による検出温度の増加に応じて、抵抗発熱体52への給電に用いられる通電路を前記第1経路から前記第2経路に切り替えればよい。
【0094】
また、給電制御部63は、判定処理部61による判定結果に関わらず、常に前記第1給電制御を実行してもよい。この場合、制御部5は、判定処理部61を含んでいなくてもよい。
【0095】
また、制御部5は、設定処理部62を含んでいなくてもよい。この場合、給電制御部63は、前記加熱タイミングが到来した場合に、前記投入電力を予め定められた前記投入電力の上限値へ向けて徐々に増加させればよい。
【0096】
[給電制御処理]
以下、図6を参照しつつ、画像形成装置100において制御部5により実行される給電制御処理の手順の一例とともに、本発明の給電制御方法について説明する。ここで、ステップS11、S12・・・は、制御部5により実行される処理手順(ステップ)の番号を表している。
【0097】
<ステップS11>
まず、ステップS11において、制御部5は、前記加熱タイミングが到来したか否かを判定する。ここで、ステップS11の処理は、本発明の判定ステップの一例であって、制御部5の給電制御部63により実行される。
【0098】
例えば、制御部5は、画像形成部1を用いて画像を形成する画像形成処理の実行指示が入力された場合に、前記加熱タイミングが到来したと判定する。
【0099】
ここで、制御部5は、前記加熱タイミングが到来したと判定すると(ステップS11のYes側)、ステップS12の処理に着手する。また、制御部5は、前記加熱タイミングが到来していないと判定すると(ステップS11のNo側)、ステップS11で前記加熱タイミングの到来を待ち受ける。
【0100】
<ステップS12>
ステップS12において、制御部5は、商用電源200の電圧が前記閾値以上であるか否かを判定する判定処理を実行する。ここで、ステップS12の処理は、制御部5の判定処理部61により実行される。
【0101】
<ステップS13>
ステップS13において、制御部5は、前記判定処理の結果に応じて処理を分岐させる。具体的に、制御部5は、前記判定処理によって商用電源200の電圧が前記閾値以上であると判定された場合に(ステップS13のYes側)、ステップS14の処理に着手する。また、制御部5は、前記判定処理によって商用電源200の電圧が前記閾値未満であると判定された場合に(ステップS13のNo側)、ステップS16の処理に着手する。
【0102】
<ステップS14>
ステップS14において、制御部5は、抵抗発熱体52に投入される投入電力の上限値を設定する。ここで、ステップS14の処理は、制御部5の設定処理部62により実行される。
【0103】
<ステップS15>
ステップS15において、制御部5は、前記第1給電制御を実行する。ここで、ステップS15の処理は、本発明の給電制御ステップの一例であって、制御部5の給電制御部63により実行される。
【0104】
<ステップS16>
ステップS16において、制御部5は、前記第2給電制御を実行する。ここで、ステップS16の処理は、制御部5の給電制御部63により実行される。
【0105】
このように、画像形成装置100では、前記加熱タイミングが到来した場合に、前記投入電力が予め設定された上限値へ向けて徐々に増加する。これにより、構成を複雑化させることなく、定着ベルト41の加熱開始時に流れる電流を抑制することが可能である。
【0106】
[発明の付記]
以下、上述の実施形態から抽出される発明の概要について付記する。なお、以下の付記で説明する各構成及び各処理機能は、取捨選択して任意に組み合わせることが可能である。
【0107】
<付記1>
シートに転写されたトナー像を当該シートに定着させる定着部材と、前記定着部材の加熱に用いられ、温度の上昇に応じて電気抵抗が増加する抵抗発熱体と、前記定着部材の加熱タイミングが到来した場合に、前記抵抗発熱体に投入される投入電力を予め定められた上限値へ向けて徐々に増加させる給電制御部と、を備える定着装置。
【0108】
<付記2>
前記抵抗発熱体の温度を検出する温度検出部を備え、前記給電制御部は、前記温度検出部による検出結果に基づいて前記投入電力の増加を制御する、付記1に記載の定着装置。
【0109】
<付記3>
前記給電制御部は、PWM制御により前記投入電力を前記上限値へ向けて徐々に増加させる、付記1又は付記2に記載の定着装置。
【0110】
<付記4>
付記1~3のいずれかに記載の定着装置を用いて画像を形成する画像形成装置であって、前記画像形成装置は、前記画像形成装置に接続される商用電源の電圧が予め定められた閾値以上であるか否かを判定する判定処理部を備え、前記給電制御部は、前記判定処理部によって前記商用電源の電圧が前記閾値以上であると判定された場合に、前記投入電力を前記上限値へ向けて徐々に増加させる、画像形成装置。
【0111】
<付記5>
前記判定処理部は、前記画像形成装置の仕向け地に基づいて前記商用電源の電圧が前記閾値以上であるか否かを判定する、付記4に記載の画像形成装置。
【0112】
<付記6>
前記商用電源の電圧に基づいて前記上限値を設定する設定処理部を備える、付記4又は5に記載の画像形成装置。
【0113】
<付記7>
シートに転写されたトナー像を当該シートに定着させる定着部材と、前記定着部材の加熱に用いられ、温度の上昇に応じて電気抵抗が増加する抵抗発熱体と、を備える定着装置で実行される給電制御方法であって、前記定着部材の加熱タイミングが到来したか否かを判定する判定ステップと、前記判定ステップによって前記加熱タイミングが到来したと判定される場合に、前記抵抗発熱体に投入される投入電力を予め定められた上限値へ向けて徐々に増加させる給電制御ステップと、を含む給電制御方法。
【符号の説明】
【0114】
1 画像形成部
2 シート搬送部
3 操作表示部
4 記憶部
5 制御部
21 感光体ドラム
22 帯電装置
23 光走査装置
24 現像装置
25 転写ローラー
26 クリーニング装置
27 定着装置
41 定着ベルト
42 加熱部
43 支持部
44 押圧部材
45 加圧ローラー
46 定着ニップ部
52 抵抗発熱体
54 温度センサー
55 スイッチング素子
61 判定処理部
62 設定処理部
63 給電制御部
100 画像形成装置
200 商用電源
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8