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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023155583
(43)【公開日】2023-10-23
(54)【発明の名称】電源装置、及び電動配膳車
(51)【国際特許分類】
   H02J 1/00 20060101AFI20231016BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20231016BHJP
   H02H 7/00 20060101ALI20231016BHJP
【FI】
H02J1/00 309H
H02J7/00 302A
H02H7/00 B
H02J7/00 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022064993
(22)【出願日】2022-04-11
(71)【出願人】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】矢野 寛
【テーマコード(参考)】
5G053
5G165
5G503
【Fターム(参考)】
5G053AA09
5G053CA08
5G053EB02
5G165BB01
5G165DA04
5G165EA02
5G165MA01
5G165NA01
5G503BA01
5G503BA07
5G503BB01
5G503DA02
5G503FA03
5G503FA16
(57)【要約】
【課題】キャパシタへの負担増大を抑制しつつ、キャパシタの残留電圧を放電する。
【解決手段】電源装置30は、負荷34に電力を供給するバッテリ31と、バッテリ31と負荷34との間に接続されるキャパシタC5と、キャパシタC5の残留電圧を放電するための放電回路50と、放電回路50の一部を構成し、放電回路の作動を人為的に選択するための第1スイッチ23Bと、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷に電力を供給するバッテリと、
前記バッテリと前記負荷との間に接続されるキャパシタと、
前記キャパシタの残留電圧を放電するための放電回路と、
前記放電回路の一部を構成し、前記放電回路の作動を人為的に選択するための第1スイッチと、を備える電源装置。
【請求項2】
前記放電回路は、前記キャパシタと前記負荷との間に並列接続される定電流放電回路である請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
前記残留電圧が閾値未満に低下したことを報知する報知部を備える請求項1または請求項2に記載の電源装置。
【請求項4】
前記報知部は、前記放電回路に接続される発光ダイオードによって構成されており、
前記発光ダイオードは、前記残留電圧が前記閾値未満になると点灯状態が変化する請求項3に記載の電源装置。
【請求項5】
前記放電回路は、前記残留電圧が前記閾値に達した後に、さらに放電を継続させるための抵抗を備える請求項3に記載の電源装置。
【請求項6】
前記負荷は複数が前記バッテリに対して並列接続されており、
前記複数の負荷の少なくとも1つと、前記バッテリとの間には降圧回路が接続され、
前記キャパシタは、前記降圧回路の入力側、及び出力側に少なくとも1つずつ接続されている請求項1または請求項2に記載の電源装置。
【請求項7】
請求項1または請求項2に記載の電源装置を備え、配膳用の被貯蔵物を貯蔵しつつ運搬する電動配膳車。
【請求項8】
前記バッテリと前記キャパシタとの間に接続され、前記バッテリから前記負荷への電力の供給をオンオフするための第2スイッチを備える請求項7に記載の電動配膳車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、電源装置、及び電動配膳車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、病院等で使用される電動配膳車において、特に大型で重量の大きいものは補助電動機能を有することが知られており、その一例が特許文献1に開示されている。特許文献1に記載の配膳車は、電動式の駆動車輪を備えており、ハンドル操作に応じて駆動車輪のモータの速度及び回転方向が制御される。また、当該配膳車はバッテリを備えており、走行前に充電されたバッテリから自走電源に電力が供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-103519号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで電動配膳車の使用場所は室内が多く、カーペット等の路面材と駆動車輪との間に静電気が発生しやすい。そこで静電気による不具合を抑制して安定的に動作するために、電動配膳車では、バッテリからの通電経路上に大容量のキャパシタを設けることが一般的である。このキャパシタによれば動作を安定できるが、キャパシタは残留電荷が生じやすい課題がある。例えば点検整備の際には、安全に作業を行うために、キャパシタの残留電圧が自然放電されるまで待たなければならない。また、このような待機時間を削減するために、仮にキャパシタの残留電荷を走行待機中に自動的に放出する仕組みにすると、走行開始の度にキャパシタが再充電され、充放電の繰り返しによってキャパシタやその接続部品(開閉器等)にかかる負担が増大し、寿命低下を招いてしまう。
【0005】
本願明細書に記載の技術は上記のような実情に基づいて完成されたものであって、キャパシタへの負担増大を抑制しつつ、キャパシタの残留電圧を放電することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願明細書に記載の技術に関わる電源装置は、負荷に電力を供給するバッテリと、前記バッテリと前記負荷との間に接続されるキャパシタと、前記キャパシタの残留電圧を放電するための放電回路と、前記放電回路の一部を構成し、前記放電回路の作動を人為的に選択するための第1スイッチと、を備える。
【0007】
このようにすれば、使用者(保守管理の作業者を含む)は、点検整備等の際に第1スイッチによって放電回路を作動させ、キャパシタの残留電圧(電荷)を放電できる。キャパシタは、必要時のみ強制的に放電される仕組みであり、待機の度に自動的に放電する場合に比べて、放電、再充電の回数を抑制できる。これにより、キャパシタへの負担増大を抑制しつつ、キャパシタの残留電圧を適切に放電できる。
【0008】
また、前記放電回路は、前記キャパシタと前記負荷との間に並列接続される定電流放電回路である。定電流放電とすることで、キャパシタの残留電圧を放電時間(放電回路の作動時間)に逆比例する形で単純減少させることができる。その結果、使用者は残留電圧の減少具合を、第1スイッチの操作時間(例えば、押しボタンスイッチを押す時間)から推測しやすくなる。また、放電電流値が一定であるため、放電初期においても電流値が過大にならず、放電回路の設計要件が厳しくならずに済む。
【0009】
また、前記残留電圧が閾値未満に低下したことを報知する報知部を備える。このようにすれば、使用者は残留電圧の減少具合を報知部によって容易に把握できる。
【0010】
また、前記報知部は、前記放電回路に接続される発光ダイオードによって構成されており、前記発光ダイオードは、前記残留電圧が前記閾値未満になると点灯状態が変化する。このようにすれば、使用者は発光ダイオードの点灯状態の変化によって残留電圧が閾値未満に低下したことを容易に把握できる。
【0011】
また、前記放電回路は、前記残留電圧が前記閾値に達した後に、さらに放電を継続させるための抵抗を備える。このようにすれば、使用者は報知部によって残留電圧が閾値未満に低下したことを把握した後に、第1スイッチを操作し続ける(例えば、押しボタンスイッチを押し続ける)ことで、残留電圧をさらに低下できる。
【0012】
また、前記負荷は複数が前記バッテリに対して並列接続されており、前記複数の負荷の少なくとも1つと、前記バッテリとの間には降圧回路が接続され、前記キャパシタは、前記降圧回路の入力側、及び出力側に少なくとも1つずつ接続されている。このようにキャパシタを設けることで、降圧回路を静電気等から効果的に保護できる。
【0013】
本願明細書に記載の技術に関わる電動配膳車は、配膳用の被貯蔵物を貯蔵しつつ運搬する電動配膳車であって、電源装置と、前記バッテリと前記キャパシタとの間に接続され、前記バッテリから前記負荷への電力の供給をオンオフするための第2スイッチと、を備える。電力供給が第2スイッチによってオンオフされる負荷に対して接続されるキャパシタには、残留電圧が生じやすい。本実施形態によれば、このようなキャパシタの残留電圧も効果的に放電できる。また、放電、再充電の回数を抑制することで、完全放電後の再充電時に流れる大電流によるキャパシタ、及び第2スイッチ(開閉器)への負担(消耗劣化)を軽減できる。
【発明の効果】
【0014】
本願明細書に記載の技術によれば、キャパシタへの負担増大を抑制しつつ、キャパシタの残留電圧を放電できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施形態1に係る電動配膳車の側面図
図2】電動配膳車の正面図
図3】電源装置の概略構成を示す回路図
図4図3に接続される放電回路の回路図
図5】放電特性を示すグラフ
【発明を実施するための形態】
【0016】
<実施形態1>
実施形態1に係る電動配膳車10について図1から図5を参照して説明する。なお、一部の図に示した符号F,Rr,L,R,U,Dはそれぞれ、電動配膳車10の前後方向における前方、後方、正面から見たときの幅方向(左右方向)における左方、右方、鉛直方向(上下方向)の上方、下方を示している。ただし、上記方向は便宜的に定めたものに過ぎず、限定的に解釈すべきものではない。
【0017】
電動配膳車10は、図1から図2に示すように、全体として直方体状をなしており、調理した配膳用の食品(被貯蔵物の一例)を収容して運搬するために用いられる。電動配膳車10はおおまかには、貯蔵庫本体14と、貯蔵庫本体14の上方に配置される機械室15と、車輪16,17と、車輪16,17が取り付けられる車台19と、を備える。
【0018】
貯蔵庫本体14は断熱箱体であって、その内部は仕切壁により前後方向に2つの部屋に仕切られ、さらに各部屋が断熱壁により前後2つに仕切られて、合計4室が形成されている。貯蔵庫本体14内の4室は、図1に示すように、前方から順に温蔵室11A、2つの冷蔵室12A,12B、及び温蔵室11Bとなっている。また隣り合う温蔵室11Aと冷蔵室12Aの組、及び隣り合う温蔵室11Bと冷蔵室12Bの組に対してそれぞれ、観音開き式の扉13が取り付けられている。また温蔵室11A,11B内と冷蔵室12A,12B内には、複数段にわたって棚が取り付けられている。温食と冷食とが区分けして載置されたトレイが断熱壁を貫通しつつ棚に載せられると、一つのトレイ上の温食が温蔵室11Aに、冷食が冷蔵室12Aにそれぞれ収容されて、温蔵及び冷蔵されるようになっている。トレイは、もう一組の温蔵室11Bと冷蔵室12Bに対しても同様に収容される。
【0019】
機械室15には、温蔵室11A,11Bを加熱する加熱装置、冷蔵室12A,12Bを冷却する冷却装置、並びに加熱装置及び冷却装置を制御する制御基板が収容されている。加熱装置は、例えばコードヒータを加熱する駆動部、及び加熱用ファンによって構成される。コードヒータは、温蔵室11A,11Bの側面に張られた加熱用パネルに配線され、加熱用ファンを駆動すると、加熱用パネルの通気口から暖気が温蔵室11A,11Bに吹き出されて温蔵室11A,11B内が加熱される。冷却装置は、例えば既知の冷凍サイクルを構成する機器類、及び冷却用ファンによって構成される。冷却装置を駆動すると、冷気が冷蔵室12A,12Bの仕切壁内に吹き込まれ、仕切壁の通気口から冷蔵室12A,12Bに吹き出されて冷蔵室12A,12B内が冷却されるようになっている。
【0020】
車輪16,17は、図1から図2に示すように、貯蔵庫本体14が載置される車台19の底面に取り付けられている。車輪16,17は、当該底面の前後両側に左右一対ずつ設けられている。前側の車輪が自在輪16であり、後側の車輪が駆動輪17となっている。2つの駆動輪17の内側(対向面側)には、駆動輪17を駆動するためのモータ18がそれぞれ設けられている。
【0021】
貯蔵庫本体14の前面には、図2に示すように、後面が開口された縦長のカバー状をなす制御ボックス20が取り付けられている。制御ボックス20には、電動配膳車10の各部に電源を供給する電源装置30、及び少なくともバッテリ31の充放電を制御する制御基板(補助電動基板)が収容されている。制御ボックス20は、貯蔵庫本体14の前面に着脱可能に取り付けられており、点検整備等の際には制御ボックス20を取り外し、保守管理の作業者が制御ボックス20に収容された部品(例えば、制御基板、配線)の入れ替え等を行うことができる。
【0022】
制御ボックス20は、図1に示すように上部が傾斜しており、この傾斜面上に操作部23及び表示部24が配置されている。操作部23は、後述するバッテリ31からの電源供給をオンオフするためのキースイッチ23A(キーを差し込んで回転操作するスイッチ)、及び、後述する放電回路50の作動を人為的に選択するための第1スイッチ23B(例えば押しボタンスイッチ)を含んでいる。表示部24は、バッテリ31の電池残量を表示するランプ24A、及び後述する放電回路50のトランジスタQ2のエミッタ電圧VE2(ひいてはキャパシタC1,C2,C3,C4,C5の残留電圧)が閾値未満に低下したことを報知するLED24B(発光ダイオード、報知部の一例)を含んでいる。なお、第1スイッチ23B、及びLED24Bは、制御ボックス20を取り外した状態でのみ操作可能となるように、制御ボックス20内に収容されていても構わない。制御ボックス20内に収容すれば、保守管理の作業者以外の使用者が誤って操作してしまう事態を回避できる。
【0023】
また、報知部は表示部24を構成するLED24Bに限られず、ブザー等の発音手段であっても構わず、またこれらの組み合わせであっても構わない。また操作部23及び表示部24は、タッチパネル機能を有する表示装置として一体的に設けられていても構わない。
【0024】
制御ボックス20の左右両側部には、図1及び図2に示すように、ハンドル21が回動可能に設けられている。ハンドル21は、ハンドル軸22を中心に前後方向(図1の矢線A,B方向)に回動可能とされる。またハンドル21及びハンドル軸22は、左右方向(図2の矢線L,R方向)に回動可能とされる。
【0025】
電動配膳車10は、使用者がハンドル21を図1の矢線Aに示す前方に回動させて引くことにより前進し、矢線Bに示す後方に回動して押すことにより後退する。また使用者がハンドル21を前方に回動する角度を大きくすると前進する加速度が増大し、初期位置(図1に示す位置)に戻すと停止する。また、使用者がハンドル21を左方向(図2の矢線L方向)に回動させると、一方の駆動輪17の回転速度(すなわちモータ18の駆動速度)が他方の駆動輪17の回転速度より大きくなり、電動配膳車10は、左方向に移動する。同様にして作業者がハンドル21を右方向(図2の矢線R方向)に回動させると、他方の駆動輪17の回転速度が一方の駆動輪17の回転速度より大きくなり、電動配膳車10は右方向に移動する。
【0026】
次に、電源装置30について詳しく説明する。電源装置30は、図3に示すように、充電式のバッテリ31を備え、バッテリ31から複数の負荷(第1負荷32、第2負荷33、第3負荷34、及び第4負荷35)に対して電力(電圧電源)を供給する。第1負荷32は例えば、走行時に用いられるアクセサリ部品(衝突防止用近接センサ、走行中であることを報知する警報音の発報装置等、走行に関わるモータ18以外の部品)とされる。第2負荷33は例えば制御基板、その他制御に関わる部品とされる。第3負荷34は例えば、モータ18とされる。第4負荷35は、電動配膳車10が走行等しない非運用時(待機時)にも作動される常用装置であり、待機時にも起動が必要な部品である。第4負荷35は、待機時の消費電力を低減するために低電圧駆動とされる。
【0027】
各負荷32,33,34,35は、バッテリ31に対して並列に接続されている。バッテリ31には第2スイッチ36(開閉器、例えば半導体スイッチ)が直列接続されており、第2スイッチ36に対して第1負荷32、第2負荷33、及び第3負荷34が並列接続されている。すなわち、各負荷32,33,34は、バッテリ31と第2スイッチ36を介して接続されている。
【0028】
第2スイッチ36は、既述した制御ボックス20上のキースイッチ23Aと連動している。使用者によってキースイッチ23Aがオンになると、第2スイッチ36が閉状態(導通状態)となり、バッテリ31から第1負荷32、第2負荷33、及び第3負荷34に対して電圧電源が供給される。キースイッチ23Aがオフの場合には、第2スイッチ36が開状態(非導通状態)となり、バッテリ31から各負荷32,33,34へ通電されない。従って、第1負荷32、第2負荷33、及び第3負荷34には、運用時(キースイッチ23Aがオンの場合)のみ電源が供給されるようになっている。
【0029】
第1負荷32、及び第2負荷33と第2スイッチ36との間には、図3に示すように、それぞれレギュレータ(降圧回路)41,42が接続されている。レギュレータ41,42はそれぞれ、バッテリ31の出力電圧(例えば24V)を負荷32,33の駆動に適した所定の電圧(例えば12V)に降圧する。本実施形態においてレギュレータ41,42は、入力端子、出力端子、及び接地端子を有する3端子型の降圧レギュレータである。第3負荷34には、バッテリ31の出力電圧(例えば24V)が降圧されずに、そのままの電圧が供給される。
【0030】
一方、図3に示すように、バッテリ31から第4負荷35の通電経路上にスイッチは接続されていない。バッテリ31から第4負荷35へは常時(キースイッチ23Aのオンオフに関わらず)電圧電源が供給される。第4負荷35とバッテリ31との間にはレギュレータ(降圧回路)43、及び抵抗Rxが接続されている。レギュレータ43は、バッテリ31の出力電圧(例えば24V)を第4負荷35の駆動に適した所定の電圧(例えば5V)に降圧する。本実施形態においてレギュレータ43は、入力端子、出力端子、及び接地端子を有する3端子型の降圧レギュレータである。抵抗Rxは、レギュレータ43の発熱を軽減するために設けられている。
【0031】
バッテリ31から第1負荷32への通電経路、より詳しくはレギュレータ41の入力端子側(バッテリ31側)と出力端子側(第1負荷32側)には、図3に示すように、キャパシタC1,C2がそれぞれ接続されている。またバッテリ31から第2負荷33への通電経路、より詳しくはレギュレータ42の入力端子側と出力端子側には、キャパシタC3,C4がそれぞれ接続されている。またバッテリ31から第3負荷34への通電経路、より詳しくは第2スイッチ36と第3負荷34の間には、キャパシタC5が接続されている。またバッテリ31から第4負荷35への通電経路、より詳しくはレギュレータ43の入力端子側と出力端子側には、キャパシタC6,C7がそれぞれ接続されている。
【0032】
キャパシタC1,C2,C3,C4,C5,C6,C7は、各々が接続される負荷32,33,34,35、及びレギュレータ41,42,43を静電気等から保護するために設けられている。レギュレータ41,42,43に対しては入力側と出力側の両方にキャパシタC1,C2,C3,C4,C6,C7を接続することで、レギュレータ41,42,43を効果的に保護できる。キャパシタC1,C2,C3,C4,C5,C6,C7の容量は、仕様に応じて適宜選択されるが、例えば47μFから4700μF程度とされる。
【0033】
キャパシタC1,C2,C3,C4,C5はそれぞれ、図3に示すように、運用時に通電される負荷32,33,34の通電経路上に接続されており、残留電圧(電荷)が特に生じやすい。キャパシタC6,C7は、常時通電される第4負荷35に接続されるため、バッテリ31を取り外すと比較的速やかに電荷を放出し、キャパシタC1,C2,C3,C4,C5に比べて残留電圧が生じにくい。本実施形態に係る電源装置30は、キャパシタC1,C2,C3,C4,C5の残留電圧(電荷)を放電するための放電回路50を備える。
【0034】
放電回路50は、図3に示すように、第1負荷32、第2負荷33、及び第3負荷34に対して並列接続されている。放電回路50は、第1負荷32の入力側において、第1負荷32とキャパシタC2との間に接続されている。また放電回路50は、第2負荷33の入力側において、第2負荷33とキャパシタC4との間に接続されている。また放電回路50は、第3負荷34の入力側において、第3負荷34とキャパシタC5との間に接続されている。
【0035】
放電回路50は、図4に示すように、3つのダイオードD1,D2,D3と、2つのトランジスタQ1,Q2と、3つの抵抗R1,R2,R3を備える。また、放電回路50は、既述した制御ボックス20上に配置される第1スイッチ23B、及びLED24Bを含んでいる。ダイオードD1,D2,D3はそれぞれ、放電回路50から電流が逆流することを防止するために設けられている。第1スイッチ23Bが閉状態(導通状態)になると、放電回路50が作動して、キャパシタC1,C2,C3,C4,C5から残留電荷が放電回路50に流入する。
【0036】
使用者(保守管理作業者を含む)は、点検整備等の際に第1スイッチ23Bを押すことで、放電回路50を作動させて、キャパシタC1,C2,C3,C4,C5の残留電圧(電荷)を放電できる。キャパシタC1,C2,C3,C4,C5は、必要時(点検整備のメンテナンス時等)のみ使用者によって強制的に放電される仕組みであり、待機の度に自動的に放電する場合に比べて、放電、再充電の回数を抑制できる。特にキャパシタC1,C2,C3,C4,C5が完全に放電された後に再充電される際、第2スイッチ36を閉状態にすると、再充電のための大電流によって、第2スイッチ36、及びキャパシタC1,C2,C3,C4,C5は大きな影響を受け、負担増大(消耗劣化)に繋がる。本実施形態によれば、キャパシタC1,C2,C3,C4,C5の完全放電は、第1スイッチ23Bを押すことで行われるため、通常使用時には積極的に行われず、メンテナンス等の必要時だけ確実に行われる。その結果、キャパシタC1,C2,C3,C4,C5、及び第2スイッチ36への負担増大を抑制しつつ、キャパシタC1,C2,C3,C4,C5の残留電圧を適切に放電できる。
【0037】
放電回路50は、図4に示すように、2つのトランジスタQ1,Q2、及び2つの抵抗R1,R2によって構成される定電流回路を基本動作部分とし、LED24Bに定電流Iが流れるように設計されている。Q1,Q2はPNPトランジスタであって、コレクタ・エミッタ間電圧VCEは1.3V(≒0.65V×2)程度である。LED24Bに流れる定電流Iは、おおよそ(0.65V)/(抵抗R2の抵抗値)によって求められ、例えば数mAから数十mA程度に設計される。
【0038】
放電回路50を定電流放電回路とすることで、キャパシタC1,C2,C3,C4,C5の残留電圧を放電時間(第1スイッチ23Bの導通時間)に逆比例する形で単純減少させることができる。例えば、当該残留電圧に対応するトランジスタQ2のエミッタ電圧VE2は、図5に示すように、放電時間tに対して逆比例する形で単調減少する。このようにすれば、使用者は残留電圧の減少具合を、第1スイッチ23Bの導通時間(押しボタンスイッチを押す時間)から推測しやすくなる。また、放電回路50を定電流放電回路とすることで、放電初期においても電流値が過大にならず、放電回路50の設計要件が難しくならずに済む。
【0039】
仮に放電回路50が定電流ではなく、定抵抗による放電回路とすると、エミッタ電圧VE2図5に一点鎖線で示すように、放電時間(第1スイッチ23Bの導通時間)に対して曲線的(対数関数的)に減少するようになる。この場合、使用者は残留電圧の減少具合を第1スイッチ23Bの導通時間(押しボタンスイッチを押す時間)から推測しにくくなってしまう。
【0040】
トランジスタQ2のエミッタ電圧VE2は、図5に示すように、放電時間に逆比例する形で減少し、所定の閾値より低下すると、LED24Bには順方向電圧V24Bが印加されなくなる。当該閾値は例えば、LED24Bの順方向電圧V24B+コレクタ・エミッタ間電圧VCE≒2.3V+1.3V=3.6V程度となる。エミッタ電圧VE2が当該閾値未満になると、LED24Bに定電流Iは流れなくなり、LED24Bは消灯する。使用者は、LED24Bの点灯状態が消灯に変化することで、エミッタ電圧VE2、ひいてはキャパシタC1,C2,C3,C4,C5の残留電圧が閾値未満に低下したことを容易に把握できる。これにより、点検整備等の際に、制御ボックス20に収容された部品(例えば、制御基板、配線)の入れ替え等を安全に作業できる状態になったことが確認できる。
【0041】
さらに放電回路50は、図4に示すように、エミッタ電圧VE2が閾値に達した後に、さらにキャパシタC1,C2,C3,C4,C5の残留電圧の放電を継続させるための抵抗R3を備える。このようにすれば、LED24Bの点灯状態の変化後(消灯後)しばらくの間、第1スイッチ23Bを押して放電回路50を導通状態にし続けることで、抵抗R3によってエミッタ電圧VE2(ひいてはキャパシタC1,C2,C3,C4,C5の残留電圧)をさらに減少でき、より放電を促進できる。
【0042】
<他の実施形態>
本明細書に記載された技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本明細書に記載された技術の技術的範囲に含まれる。
【0043】
(1)貯蔵庫本体14の構成(温蔵室11A,11B、及び冷蔵室12A,12Bの数や配置)は限定されず、例えば温蔵室11A,11Bのみ、または冷蔵室12A,12Bのみが形成されていても構わない。加熱装置、及び冷却装置は、必要とされる温冷機能に応じて適宜備えられるものとされる。
【0044】
(2)前側の車輪16は自在輪に限られず、モータ18を備える駆動輪であっても構わない。
【0045】
(3)本技術は、電動配膳車10以外の電動搬送車に対しても広く適用可能である。
【符号の説明】
【0046】
10:電動配膳車、23B:第1スイッチ、24B:発光ダイオード(報知部)、30:電源装置、31:バッテリ、32:第1負荷、33:第2負荷、34:第3負荷、36:第2スイッチ、41,42:レギュレータ(降圧回路)、50:放電回路、C1,C2,C3,C4,C5:キャパシタ、R3:抵抗
図1
図2
図3
図4
図5