(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023155584
(43)【公開日】2023-10-23
(54)【発明の名称】電動配膳車
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20231016BHJP
A47B 31/00 20060101ALI20231016BHJP
【FI】
H02J7/00 302B
H02J7/00 P
A47B31/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022064994
(22)【出願日】2022-04-11
(71)【出願人】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山口 徹也
【テーマコード(参考)】
5G503
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503CA10
5G503DA07
5G503DA17
5G503FA06
5G503GD03
(57)【要約】
【課題】残留電荷を抑制しつつ、静電気等の意図しない要因による過電圧対策を講じることができる電動配膳車を提供する。
【解決手段】電動配膳車10は、外部電源からの電力を充電するバッテリ31と、バッテリ31からの放電電力が供給されるモータ18と、モータ18によって駆動される車輪17と、バッテリ31の充放電を制御する制御基板40と、を備え、制御基板40は、制御IC41と、制御IC41からの信号に基づいてバッテリ31の充電と放電を切り替えるリレー42と、リレー42とモータ18との間に接続される第1ツェナーダイオード43と、を備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部電源からの電力を充電するバッテリと、
前記バッテリからの放電電力が供給されるモータと、
前記モータによって駆動される車輪と、
前記バッテリの充放電を制御する制御基板と、を備え、
前記制御基板は、
制御ICと、
前記制御ICからの信号に基づいて前記バッテリの充電と放電を切り替えるリレーと、
前記リレーと前記モータとの間に接続される第1ツェナーダイオードと、を備える電動配膳車。
【請求項2】
前記モータ以外に前記バッテリからの放電電力が供給される負荷を備え、
前記制御基板は、前記リレーと前記負荷との間に接続される第2ツェナーダイオードを備える請求項1に記載の電動配膳車。
【請求項3】
前記負荷は、前記バッテリの放電電圧とは電圧値が異なる駆動電圧で作動するものとされ、
前記制御基板は、前記放電電圧を前記駆動電圧に変換する変圧回路を備え、
前記第2ツェナーダイオードは、前記リレーと前記変圧回路との間に接続される請求項2に記載の電動配膳車。
【請求項4】
前記制御基板は、前記外部電源と前記リレーとの間に、前記外部電源からの交流電圧を直流電圧に変換するAD変換回路を備え、
前記第2ツェナーダイオードは、前記リレーと前記変圧回路との間、かつ前記AD変換回路と前記変圧回路との間となる位置に接続される請求項3に記載の電動配膳車。
【請求項5】
前記負荷は複数あり、
前記複数の負荷は、前記第2ツェナーダイオードに対して並列接続される請求項2から請求項4のいずれか1項に記載の電動配膳車。
【請求項6】
前記制御基板は、前記外部電源と前記リレーとの間に、前記外部電源から前記バッテリへの充電電力を制御するための充電制御回路を備え、
前記充電制御回路は、前記外部電源からの交流電圧の位相制御を行うサイリスタを含む請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の電動配膳車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、電動配膳車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、病院等で使用される電動配膳車において、特に大型で重量の大きいものは補助電動機能を有することが知られており、その一例が特許文献1に開示されている。特許文献1に記載の配膳車は、電動式の駆動車輪を備えており、ハンドル操作に応じて駆動車輪の駆動モータの速度及び回転方向が制御される。また、当該配膳車はバッテリを備えており、走行前に充電されたバッテリから自走電源に電力が供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで電動配膳車の使用場所は室内が多く、カーペット等の路面材と駆動車輪との間に静電気が発生しやすい。そこで静電気等の意図しない要因による過電圧から部品を保護するために、電動配膳車の電動制御基板にはバッテリとの通電経路に大容量のキャパシタを設けることが一般的である。
【0005】
しかしながら、電動制御基板に大容量キャパシタを設けると過電圧対策を講じることができる一方、大容量キャパシタに生じる残留電荷に配慮が必要となってしまう。例えば点検整備の際には、安全に作業を行うために、大容量キャパシタの残留電圧が自然放電されるまで待たなければならない。
【0006】
本願明細書に記載の技術は上記のような実情に基づいて完成されたものであって、残留電荷を抑制しつつ、静電気等の意図しない要因による過電圧対策を講じることができる電動配膳車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願明細書に記載の技術に関わる電動配膳車は、外部電源からの電力を充電するバッテリと、前記バッテリからの放電電力が供給されるモータと、前記モータによって駆動される車輪と、前記バッテリの充放電を制御する制御基板と、を備え、前記制御基板は、制御ICと、前記制御ICからの信号に基づいて前記バッテリの充電と放電を切り替えるリレーと、前記リレーと前記モータとの間に接続される第1ツェナーダイオードと、を備える。
【0008】
制御基板においてリレーとモータとの間に第1ツェナーダイオードを接続することで、第1ツェナーダイオードによって静電気等に起因する過電圧に対処できるようになる。仮に、第1ツェナーダイオードではなく、大容量キャパシタによって過電圧に対処すると、大容量キャパシタに残留電荷が生じてしまうが、ツェナーダイオードによれば残留電荷を抑制しつつ、過電圧対策を講じることができる。
【0009】
また、前記モータ以外に前記バッテリからの放電電力が供給される負荷を備え、前記制御基板は、前記リレーと前記負荷との間に接続される第2ツェナーダイオードを備える。このようにすれば、バッテリからモータ以外の負荷への通電経路においても、第2ツェナーダイオードによって残留電荷を抑制しつつ、過電圧対策を講じることができる。
【0010】
また、前記負荷は、前記バッテリの放電電圧とは電圧値が異なる駆動電圧で作動するものとされ、前記制御基板は、前記放電電圧を前記駆動電圧に変換する変圧回路を備え、前記第2ツェナーダイオードは、前記リレーと前記変圧回路との間に接続される。このようにすれば、変圧回路によって負荷の駆動電圧に応じた電圧電源を供給可能となる。また変圧回路への通電経路において、第2ツェナーダイオードによって残留電荷を抑制しつつ、過電圧対策を講じることができる。
【0011】
また、前記制御基板は、前記外部電源と前記リレーとの間に、前記外部電源からの交流電圧を直流電圧に変換するAD変換回路を備え、前記第2ツェナーダイオードは、前記リレーと前記変圧回路との間、かつ前記AD変換回路と前記変圧回路との間となる位置に接続される。AD変換回路によって直流電圧を供給可能となると共に、AD変換回路から変圧回路への通電経路において、第2ツェナーダイオードによって残留電荷を抑制しつつ、過電圧対策を講じることができる。
【0012】
また、前記負荷は複数あり、前記複数の負荷は、前記第2ツェナーダイオードに対して並列接続される。このようにすれば、複数の負荷への通電経路においても、第2ツェナーダイオードによって残留電荷を抑制しつつ、過電圧対策を講じることができる。
【0013】
また、前記制御基板は、前記外部電源と前記リレーとの間に、前記外部電源から前記バッテリへの充電電力を制御するための充電制御回路を備え、前記充電制御回路は、前記外部電源からの交流電圧の位相制御を行うサイリスタを含む。仮に充電制御回路の位相制御を行うスイッチング素子としてトライアックを用いると、トライアックは逆導通可能な素子であるため、バッテリの充電中にバッテリの放電が生じてしまう懸念がある。トライアックではなく、逆導通しないスイッチング素子であるサイリスタを用いることで、バッテリの充電中にバッテリの放電が生じることを抑制できる。
【発明の効果】
【0014】
本願明細書に記載の技術によれば、残留電荷を抑制しつつ、静電気等の意図しない要因による過電圧対策を講じることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図4】バッテリの充電時における
図3のリレー付近の拡大図
【
図5】バッテリの放電時における
図3のリレー付近の拡大図
【発明を実施するための形態】
【0016】
<実施形態1>
実施形態1に係る電動配膳車10について
図1から
図8を参照して説明する。なお、一部の図に示した符号F,Rr,L,R,U,Dはそれぞれ、電動配膳車10の前後方向における前方、後方、正面から見たときの幅方向(左右方向)における左方、右方、鉛直方向(上下方向)の上方、下方を示している。ただし、上記方向は便宜的に定めたものに過ぎず、限定的に解釈すべきものではない。
【0017】
電動配膳車10は、
図1から
図2に示すように、全体として直方体状をなしており、調理した配膳用の食品(被貯蔵物の一例)を収容して運搬するために用いられる。電動配膳車10はおおまかには、被貯蔵物を収容する貯蔵庫本体14と、貯蔵庫本体14の上方に配置される機械室15と、貯蔵庫本体14の前面に取り付けられる制御ボックス20と、車輪16,17と、車輪16,17が取り付けられる車台19と、を備える。
【0018】
貯蔵庫本体14は断熱箱体であって、その内部は仕切壁により前後方向に2つの部屋に仕切られ、さらに各部屋が断熱壁により前後2つに仕切られて、合計4室が形成されている。貯蔵庫本体14内の4室は、
図1に示すように、前方から順に温蔵室11A、2つの冷蔵室12A,12B、及び温蔵室11Bとなっている。また隣り合う温蔵室11Aと冷蔵室12Aとの組、及び隣り合う温蔵室11Bと冷蔵室12Bとの組に対してそれぞれ、観音開き式の扉13が取り付けられている。また温蔵室11A,11B内と冷蔵室12A,12B内には、複数段にわたって棚が取り付けられている。温食と冷食とが区分けして載置されたトレイが、断熱壁を貫通しつつ棚に載せられると、一つのトレイ上の温食が温蔵室11Aに、冷食が冷蔵室12Aにそれぞれ収容されて、温蔵及び冷蔵されるようになっている。トレイは、もう一組の温蔵室11Bと冷蔵室12Bに対しても同様に収容される。
【0019】
機械室15には、温蔵室11A,11Bを加熱する加熱装置25、冷蔵室12A,12Bを冷却する冷却装置26、及びこれらの装置25,26を制御する第1制御基板27が収容されている。第1制御基板27は、加熱装置25及び冷却装置26の構成部品を制御する回路、及び記憶部等が実装されたプリント配線基板であり、電装箱に収容される形で設けられている。
【0020】
加熱装置25は、例えばコードヒータを加熱する駆動部、及び加熱用ファンによって構成される。コードヒータは、温蔵室11A,11Bの側面に張られた加熱用パネルに配線され、加熱用ファンを駆動すると、加熱用パネルの通気口から暖気が温蔵室11A,11Bに吹き出されて温蔵室11A,11B内が加熱される。
【0021】
冷却装置26は、例えば既知の冷凍サイクルを構成する機器類、及び冷却用ファンによって構成される。冷却装置26を駆動すると、冷気が冷蔵室12A,12Bの仕切壁内に吹き込まれ、仕切壁の通気口から冷蔵室12A,12Bに吹き出されて冷蔵室12A,12B内が冷却されるようになっている。
【0022】
車輪16,17は、
図1から
図2に示すように、貯蔵庫本体14が載置される車台19の底面に取り付けられている。車輪16,17は、当該底面の前後両側に左右一対ずつ設けられている。前側の車輪が自在輪16であり、後側の車輪が駆動輪17となっている。2つの駆動輪17の内側(対向面側)には、駆動輪17を駆動するためのモータ18がそれぞれ設けられている。
【0023】
制御ボックス20は、
図2に示すように、後面が開口された縦長のカバー状をなし、貯蔵庫本体14の前面に取り付けられている。制御ボックス20には、充電式のバッテリ31、及び少なくともバッテリ31の充放電を制御する第2制御基板40(補助電動基板)が収容されている。バッテリ31は、外部電源からの電力を充電して、複数の負荷(モータ18、及びモータ18以外の負荷32,33,34,35(
図8))に対して電力(電圧電源)を放電(供給)する。制御ボックス20は、貯蔵庫本体14の前面に着脱可能に取り付けられている。点検整備等の際には制御ボックス20を取り外し、保守管理の作業者が制御ボックス20内のバッテリ31、及び第2制御基板40に実装された部品や配線の入れ替えを行うことができる。第2制御基板40については詳しく後述する。
【0024】
制御ボックス20は、
図1に示すように上部が傾斜しており、この傾斜面上に操作部23及び表示部24が配置されている。操作部23は、バッテリ31からの電源供給をオンオフするためのキースイッチ23B(キーを差し込んで回転操作するスイッチ)等を含んでいる。表示部24は、バッテリ31の電池残量を表示するランプ24A等を含んでいる。操作部23及び表示部24は、タッチパネル機能を有する表示装置として一体的に設けられていても構わない。
【0025】
また制御ボックス20の左右両側部には、
図1及び
図2に示すように、ハンドル21が回動可能に設けられている。ハンドル21は、ハンドル軸22を中心に前後方向(
図1の矢線A,B方向)に回動可能とされる。またハンドル21及びハンドル軸22は、左右方向(
図2の矢線L,R方向)に回動可能とされる。
【0026】
電動配膳車10は、使用者がハンドル21を
図1の矢線Aに示す前方に回動させて引くことにより前進し、矢線Bに示す後方に回動して押すことにより後退する。また使用者がハンドル21を前方に回動する角度を大きくすると前進する加速度が増大し、初期位置(
図1に示す位置)に戻すと停止する。また、使用者がハンドル21を左方向(
図2の矢線L方向)に回動させると、一方の駆動輪17の回転速度(すなわちモータ18の駆動速度)が他方の駆動輪17の回転速度より大きくなり、電動配膳車10は、左方向に移動する。同様にして使用者がハンドル21を右方向(
図2の矢線R方向)に回動させると、他方の駆動輪17の回転速度が一方の駆動輪17の回転速度より大きくなり、電動配膳車10は右方向に移動する。
【0027】
続いて、第2制御基板40について詳しく説明する。第2制御基板40は、
図3及び
図8に示すように、マイコン(マイクロコンピュータ)41、リレー42、モータ接続回路50、充電制御回路60、バッテリ接続回路70、充電用カプラ接続回路75、AD変換回路80、及び降圧回路90(変圧回路の一例)が実装されたプリント配線基板である。マイコン41は、制御プログラム等が記憶された記憶部(ROM,RAM)、及び計時部(タイマ)を含む制御ICである。
【0028】
リレー42は、
図3から
図5に示すように、マイコン41に接続されており、マイコン41からの信号に基づいてバッテリ31の充電及び放電を切り替える。リレー42は、いわゆるパワーリレーであり、マイコン41からの信号に基づいてコイルに電流が流れると、電磁石の働きによって可動接点42Aが動く。これにより可動接点42Aの接続先が第1固定接点42Bと第2固定接点42Cとの間で切り替わる。
【0029】
モータ接続回路50は、
図3に示すように、リレー42とモータ18との間に接続される回路である。モータ接続回路50には、モータ18との接続端子51、非常停止用の安全装置との接続端子52、及び2つの半導体スイッチ53,54が含まれる。半導体スイッチ53は、操作部23の操作、又はマイコン41からの信号に基づき開閉する。半導体スイッチ53は、車輪16,17のブレーキの役割を担っている。半導体スイッチ53が開状態の場合には、ブレーキが作動して電動配膳車10は走行不可となり、閉状態の場合にはブレーキが解除されて電動配膳車10は走行可能となる。半導体スイッチ54は、マイコン41からの信号に基づき開閉する。半導体スイッチ54は、バッテリ31からモータ18への通電経路におけるサーキットブレーカーの役割を担っている。半導体スイッチ54が開状態の場合には、モータ18への通電経路が非導通となって電動配膳車10は走行不可となり、閉状態の場合にはモータ18への通電経路が導通して電動配膳車10は走行可能となる。半導体スイッチ54は、通常の走行時では閉状態であるが、走行時に過剰電流等の異常が検知された場合には、マイコン41からの信号によって開状態となる。これにより、バッテリ31からモータ18への通電経路を非導通とし、電動配膳車10を強制的に走行不可にできるようになっている。
【0030】
また、モータ接続回路50とリレー42の可動接点42Aとの間には第1ツェナーダイオード43が接続されている。第1ツェナーダイオード43を設けることで、バッテリ31との通電経路において静電気等の意図しない要因による過電圧に対処できるようになる。過電圧対策の素子としては、第1ツェナーダイオード43ではなく、より一般的な大容量キャパシタを接続ことも考えられるが、その場合、大容量キャパシタに生じる残留電荷が問題となる懸念がある。例えば点検整備において作業者が第2制御基板40に触れて部品や配線を取り替える際には、安全に作業を行うために、大容量キャパシタの残留電圧が自然放電されるまで待たなければならなり非効率である。この点、本実施形態では第1ツェナーダイオード43を用いているため、第2制御基板40の残留電荷を抑制しつつ、過電圧対策を講じることができる。
【0031】
充電用カプラ接続回路75は、
図3及び
図6に示すように、外部電源(例えばAC200Vをトランス変圧したAC30V)の充電用カプラ(コネクタ)と接続される回路である。充電用カプラ接続回路75には、充電用カプラとの接続端子76が含まれる。また、充電用カプラ接続回路75の出力側(接続端子76と反対側)には、充電制御回路60、及びAD変換回路80が並列接続されている。
【0032】
AD変換回路80は、外部電源からの交流電圧(例えばAC30V)を直流電圧(例えばDC24V)に変換する。AD変換回路80の入力側は、
図3から
図5に示すように、充電用カプラ接続回路75に接続され、AD変換回路80の出力側は、リレー42、及び負荷32,33,34,35(
図8)に接続されている。AD変換回路80は、充電用カプラ接続回路75に外部電源の充電用カプラが接続され、バッテリ31が充電されている時、外部電源からの交流電圧を直流電圧に変換して、リレー42、及び負荷32,33,34,35等に供給する。
【0033】
充電制御回路60は、
図3から
図5に示すように、充電用カプラ接続回路75とリレー42の第1固定接点42Bとの間に接続される回路である。また充電制御回路60は、マイコン41と接続されており、マイコン41から信号が供給される。充電制御回路60は、外部電源からの交流電圧の位相制御を行うためのスイッチング素子としてサイリスタ61を含んでいる。充電制御回路60は、サイリスタ61をオンさせる位相(タイミング)を変化させることで、外部電源からの交流電圧における周期毎のオン時間の割合を変化させる。これにより充電制御回路60は、外部電源から供給される電力量を変化させ、出力電力(すなわち、リレー42の第1固定接点42Bに入力される電力)を調整している。
【0034】
なお、充電制御回路60において位相制御を行うスイッチング素子としては、サイリスタ61ではなく、トライアックを用いることも考えられる。しかしながら、トライアックは逆導通可能なスイッチング素子であるため、バッテリ31の充電中にバッテリ31の放電が生じてしまう懸念がある。この点、本実施形態に係るサイリスタ61は逆導通しないスイッチング素子であるため、バッテリ31の充電中にバッテリ31の放電が生じることがない。その結果、外部電源からの電力利用効率を向上できると共に、バッテリ31の充電時間を短縮できる。
【0035】
バッテリ接続回路70は、
図3及び
図7に示すように、リレー42とバッテリ31との間に接続される回路である。バッテリ接続回路70には、バッテリ31との接続端子71、バッテリ31と連動する半導体スイッチ72が含まれる。正常なバッテリ31が接続端子71に接続されると、半導体スイッチ72は閉状態となり、バッテリ31は充放電可能となる。一方、電池残量ゼロのバッテリ31が接続端子71に接続されたり、バッテリ31が誤った極性の接続端子71に接続されると、半導体スイッチ72は開状態のままとなり、充放電ができないようになっている。
【0036】
降圧回路90は、
図8に示すように、リレー42の第2固定接点42Cと、負荷32,33,34,35との間に接続される回路である。各負荷32,33,34,35は、リレー42に対して並列に接続されている。降圧回路90は、リレー42を通って供給されるバッテリ31の放電電圧(例えばDC24V)、及びAD変換回路80の出力電圧(例えばDC24V)を、負荷32,33,34,35の駆動電圧に安定的に変圧(降圧)する。降圧回路90は、レギュレータ等によって構成されている。
【0037】
第1負荷32、第2負荷33、第4負荷35は、例えばDC5Vで駆動し、第3負荷34は、例えばDC12Vで駆動する。第1負荷32は、電動配膳車10が走行しない非運用時(待機時)にも作動される常用装置であり、第2制御基板40の駆動等を行う。第2負荷33、第3負荷34、及び第4負荷35は、操作部23(より詳しくはエンジンキースイッチ)に連動する半導体スイッチ91がオンになると、電力が供給される。従って、第2負荷33、第3負荷34、及び第4負荷35には、運用時(エンジンキースイッチがオンの場合)のみ電源が供給される。
【0038】
また負荷32,33,34,35とリレー42の間、より詳しくは降圧回路90とリレー42の間には、
図3から
図5に示すように、第2ツェナーダイオード44が接続されている。換言すると負荷32,33,34,35は、第2ツェナーダイオード44に降圧回路90を介して並列接続されている。第2ツェナーダイオード44を設けることで、通電経路において静電気等の意図しない要因による過電圧に対処できるようになる。また既述した第1ツェナーダイオード43の効果と同様に、大容量キャパシタを設ける場合に比べて残留電荷を抑制しつつ、過電圧対策を講じることができる。
【0039】
次に
図4を参照し、バッテリ31の充電時における電力の流れを説明する。外部電源が充電用カプラ接続回路75の接続端子76に接続されると、マイコン41の信号に基づき、リレー42の可動接点42Aは第1固定接点42Bに接続される。これにより外部電源からの電力は、
図4に矢線で示すように、充電用カプラ接続回路75、充電制御回路60、リレー42、及びバッテリ接続回路70を順に通って、バッテリ31に供給される。また、外部電源からの電力の一部は、
図4に矢線で示すように、充電制御回路60に並列接続されたAD変換回路80に分岐し、
図8の降圧回路90を通って複数の負荷32,33,34,35に供給される。
【0040】
続いて
図5を参照し、バッテリ31の放電時における電力の流れを説明する。外部電源が充電用カプラ接続回路75の接続端子76に接続されていない場合、マイコン41の信号に基づき、リレー42の可動接点42Aは第2固定接点42Cに接続される。これによりバッテリ31からの電力は、
図5に矢線で示すように、バッテリ接続回路70、及びモータ接続回路50を順に通ってモータ18に供給される。また、バッテリ31からの電力は、
図5に矢線で示すように、バッテリ接続回路70、リレー42を通って、
図8の降圧回路90に流れ、降圧回路90を介して複数の負荷32,33,34,35に供給される。
【0041】
<他の実施形態>
本明細書に記載された技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本明細書に記載された技術の技術的範囲に含まれる。
【0042】
(1)制御ボックス20は、点検作業時等に取り外し可能な位置であれば、貯蔵庫本体14の前面以外に配置されていても構わない。
【0043】
(2)貯蔵庫本体14の構成(温蔵室11A,11B、及び冷蔵室12A,12Bの数や配置)は限定されず、例えば温蔵室11A,11Bのみ、または冷蔵室12A,12Bのみが形成されていても構わない。加熱装置、及び冷却装置は、必要とされる温冷機能に応じて適宜備えられるものとされる。
【0044】
(3)前側の車輪16は自在輪に限られず、モータ18を備える駆動輪であっても構わない。
【0045】
(4)本技術は、電動配膳車10以外の電動搬送車に対しても広く適用可能である。
【符号の説明】
【0046】
10:電動配膳車、17:駆動輪(車輪)、18:モータ、31:バッテリ、32,33,34,35:負荷、40:第2制御基板、41:マイコン(制御IC)、42:リレー、43:第1ツェナーダイオード、44:第2ツェナーダイオード、60:充電制御回路、61:サイリスタ、80:AD変換回路、90:降圧回路(変圧回路)