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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023155593
(43)【公開日】2023-10-23
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 21/04 20060101AFI20231016BHJP
【FI】
F25D21/04 A
F25D21/04 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022065006
(22)【出願日】2022-04-11
(71)【出願人】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】河井 良二
(72)【発明者】
【氏名】河野 竜治
(72)【発明者】
【氏名】小沼 智史
(72)【発明者】
【氏名】塩野 謙治
(57)【要約】      (修正有)
【課題】断熱壁内に庫内や庫外と空気が流通し得る内部の隙間があった場合にも、断熱壁内における結露や着霜が生じ難くした信頼性が高い冷蔵庫を提供する。
【解決手段】断熱材を含んで形成された断熱箱体と、冷媒が循環する冷凍サイクルと、を備え、冷凍サイクルは、断熱箱体内に収納された冷却器と、断熱箱体外に収納された圧縮機24と、冷却器の下流側と圧縮機24の上流側とを繋ぐ戻り配管58と、を備え、戻り配管58は、断熱箱体の隙間を通って断熱箱体外に導かれ、該隙間には、空気が存在し、戻り配管58のうち隙間を通過する部分及びこれよりも上流側の部分を加熱する熱交換部57が配されている。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
断熱材を含んで形成された断熱箱体と、冷媒が循環する冷凍サイクルと、を備え、
前記冷凍サイクルは、前記断熱箱体内に収納された冷却器と、前記断熱箱体外に収納された圧縮機と、前記冷却器の下流側と前記圧縮機の上流側とを繋ぐ出口配管と、を備え、
前記出口配管は、前記断熱箱体の隙間を通って前記断熱箱体外に導かれ、該隙間には、空気が存在し、前記出口配管のうち前記隙間を通過する部分及びこれよりも上流側の部分、または、前記出口配管のうち前記隙間を通過する部分よりも上流側の部分を加熱する加熱部が配されている冷蔵庫。
【請求項2】
前記冷凍サイクルは、前記圧縮機から吐出された高温の冷媒が流れる加熱配管を備え、
前記加熱部は、前記出口配管に前記加熱配管を熱的に接触させた熱交換部であることを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記冷凍サイクルは、前記加熱配管として、高温高圧冷媒が流れる放熱配管と、高温高圧冷媒を減圧して低温低圧冷媒にするキャピラリチューブと、を備え、
前記熱交換部は、前記出口配管に前記キャピラリチューブを熱的に接触させたことを特徴とする請求項2に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記出口配管と前記キャピラリチューブの接触部のうち、前記隙間の内部を通過する長さL10と、前記隙間の前記出口配管の上流側の長さL20の関係を、L10<L20としたことを特徴とする請求項3に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記冷却器の下部に樋を備え、
前記出口配管を前記樋の上方投影領域に設置したことを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項6】
前記冷却器と前記樋との間に形成される領域に前記加熱部を配置したことを特徴とする請求項5に記載の冷蔵庫。
【請求項7】
前記熱交換部を形成する配管を前記冷却器の下部に複数列に亘って配置し、前記熱交換部を形成する前記出口配管の冷媒流の下流側の列が、前記冷却器の空気流の上流側のフィンに近接させたことを特徴とする請求項3に記載の冷蔵庫。
【請求項8】
前記熱交換部に断熱部材を配設したことを特徴とする請求項3に記載の冷蔵庫。
【請求項9】
前記断熱箱体に形成された貯蔵室内に気流を形成する庫内送風機と、前記庫内送風機の駆動により前記貯蔵室に空気を送る風路と、前記貯蔵室から冷却器室に空気を戻す戻り開口と、前記樋に設けた排水口と、前記排水口に接続される排水管と、前記排水管と接続される蒸発皿とを備え、前記排水口は、前記冷却器の空気流入面より下流であって前記庫内送風機より上流の領域に配置されていることを特徴とする請求項5に記載の冷蔵庫。
【請求項10】
前記断熱箱体外の底部に設けられた機械室に、放熱器、圧縮機、蒸発皿、庫外送風機を備え、前記庫外送風機により前記機械室の前面に設けた吸引口と排気口から空気を吸排気して前記放熱器と前記圧縮機を冷却し、
前記排水口は、前記庫外送風機の下流側に接続されていることを特徴とする請求項9に記載の冷蔵庫。
【請求項11】
前記冷凍サイクルは、前記圧縮機から吐出された高温の冷媒が流れ、前記断熱箱体の外側に這わされた加熱配管を備え、
前記加熱配管に沿って該加熱配管上に貼付された金属テープを備え、
前記断熱箱体は、事前に成形された複数の断熱材と、互いに隣接する該断熱材の合わせ目を接合する別の金属テープと、を備え、
前記金属テープと前記別の金属テープは、少なくとも部分的に接触していることを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項12】
前記断熱箱体の開口を開閉し、ヒンジを軸として回動する扉と、
前記扉の開閉を検知する2つのセンサが左右方向に並んで配された扉センサと、を備え、
前記扉センサは、2つの前記センサのうち、前記ヒンジから遠い側のセンサを使って前記扉の開閉を検知することを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項13】
前記開口の奥の貯蔵室に配されたコントロールパネルを備え、
前記扉センサが扉閉を検知した状態で前記コントロールパネルに所定の操作を施すことでサービスモードを実行可能であることを特徴とする請求項12に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、圧縮機、コンデンサ(凝縮器)、毛細管、蒸発器、アキュムレータ及び吸入管を順次接続して再び圧縮機に戻るように構成し、金属板からなる外箱、樹脂成型品からなる内箱及び両者の間に充填された断熱材からなる冷蔵庫外郭の背面側の断熱材内において、毛細管と吸入管とを接合させて熱交換を行うようにする冷蔵庫が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-65946号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の冷蔵庫では、蒸発器から圧縮機に向かう吸入管が断熱材内において、毛細管(キャピラリチューブ)と熱交換する構成としているので、蒸発器において冷蔵庫内を冷却するために低温となった冷媒は、低い温度を維持した状態で、断熱材内に導かれる。このとき、断熱材内が庫内や庫外と空気が流通し得る内部の隙間があると、低温の吸入管の表面に結露や着霜が生じることがある。断熱壁内部において結露水や霜の融解水が流下、浸透することで意図しない部分から水が漏出するといった不具合が生じることがあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の冷蔵庫は、断熱材を含んで形成された断熱箱体と、冷媒が循環する冷凍サイクルと、を備え、前記冷凍サイクルは、前記断熱箱体内に収納された冷却器と、前記断熱箱体外に収納された圧縮機と、前記冷却器の下流側と前記圧縮機の上流側とを繋ぐ出口配管と、を備え、前記出口配管は、前記断熱箱体の隙間を通って前記断熱箱体外に導かれ、該隙間には、空気が存在し、前記出口配管のうち前記隙間を通過する部分及びこれよりも上流側の部分、または、前記出口配管のうち前記隙間を通過する部分よりも上流側の部分を加熱する加熱部が配されている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本実施形態に係る冷蔵庫の正面図である。
図2図1の扉を外した状態の正面図である。
図3図1のA-A断面図である。
図4図1のB-B断面図である。
図5】本実施形態に係る冷蔵庫の冷凍サイクルの構成図である。
図6図3のC-C断面図である。
図7図3の一部拡大断面図である。
図8】本実施形態に係る冷蔵庫の冷却器と戻り配管及び樋の関係を表す部分分解斜視図である。
図9】熱交換部の断面図である。
図10】冷却ユニットの斜視図である。
図11】ケースに蓋が設置された状態の冷却ユニットの斜視図である。
図12】本実施形態に係る冷蔵庫の制御状態を表すタイムチャートである。
図13】本実施形態に係る冷蔵庫の戻り配管の位置と温度の関係を表す図である。
図14】本実施形態に係る冷蔵庫のトッププレートを外した上面図である。
図15】扉センサの正面図である。
図16】本実施形態に係る扉センサの配線仕様を表す図である(右開き用)。
図17】本実施形態に係る扉センサの配線仕様を表す図である(左開き用)。
図18】本実施形態に係る冷蔵庫の外板を外した状態の背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明に関する冷蔵庫の実施形態について図1図18を用いて説明する。
図1は、本実施形態に係る冷蔵庫の正面図である。
図1に示すように、冷蔵庫1は、断熱箱体10と、扉2と、複数の脚10aと、を備えている。また、断熱箱体10の前側(正面側)には、吸引口27と排気口28が設けられている。具体的に説明すると、吸引口27及び排気口28は、扉2によって塞がれる開口の下側に横並びで設けられている。吸引口27は、後述する機械室25(図3図6参照)に空気を導く開口部である。また、排気口28は、機械室25(図6参照)から空気を排気するための開口部である。
【0008】
図2は、図1の扉を外した状態の正面図である。
図2に示すように、冷蔵庫1は、断熱箱体10の内部に、食品を収納する冷蔵温度帯の貯蔵室3を備えている。貯蔵室3内には、上段に棚33、中段に棚34a(前方)、34b(後方)、下段に容器35が設けられている。本実施形態では、棚34a、34bの上面が、食品の載置面34cである。なお、棚34a、34bは、固定された棚であっても、着脱可能な棚であってもよい。
【0009】
貯蔵室3の例えば天面には、庫内灯99が配されている。庫内灯99は、橙色などの暖色光を放ち、例えば真下又はこれよりやや後方に光軸を備え、例えばLED灯を使用することができる。また、貯蔵室3内の壁面は、例えば黒色などの暗色系に塗装されている。これにより、冷蔵庫1は、寝室などの落ち着いた空間に据え付けられても違和感のない光源を備え、光の反射なども落ち着かせることができる。庫内灯99の光源となる素子は、落ち着いた印象を与えるべく、例えば唯1つとすることができるが、2つや3つ程度であってもよい。
【0010】
また、断熱箱体10は、貯蔵室3の下段後方に冷却器4が収納された冷却器室8を備えている。この冷却器室8は、断熱箱体10内において、載置面34cの略直下方の領域を含んで配されている。また、貯蔵室3は、冷却器室8の上方から前方にわたって形成されている。また、貯蔵室3は、冷却器4の鉛直方向上方に位置するとともに、冷却器4の前方(手前)にも位置している。また、貯蔵室3と冷却器室8とは、貯蔵室表面部材74(図7参照)によって仕切られている。
【0011】
冷却器室8の前方には、下方に開口した戻り開口22を備えている。また、冷却器室8の背部には庫内ファン9を備えている。なお、庫内ファン9には、遠心ファンである後向きファン(ターボファン)を用いている。庫内ファン9の上部には、送風ダクト20を備えている。送風ダクト20は、前方に開口した吐出口21a、21bと、側方に開口した吐出口21c、21dを備えている。冷却器4と熱交換した空気が、庫内ファン9により昇圧されて、送風ダクト20の吐出口21a、21b、21c、21dから貯蔵室3に送られて貯蔵室3内を冷却する。貯蔵室3の背面には、棚33と棚34a、34bとの間に形成される領域の温度を検知する貯蔵室温度センサ45(温度推定手段)を備えている。この貯蔵室温度センサ45は、載置面34cの上部に形成される貯蔵室3に設けられている。また、貯蔵室3の背面には、温度の設定ができる図示しない操作部を備えている。
【0012】
図3は、図1のA-A断面図である。図4は、図1のB-B断面図である。
図3及び図4に示すように、冷蔵庫1は、断熱箱体10の左右側面と、背面、及び底面の庫外側の面に、鋼板製の外板11を備えている。また、天井面には着脱自在のトッププレート12を備えている。トッププレート12は、断熱箱体10の上面に設けられた合成樹脂製の薄板であり、表面の汚れがとれやすいように、また、意匠性を高めるために、所定の表面加工が施されている。トッププレート12の内側(庫内側)には合成樹脂製の天井板13を備えている。なお、トッププレート12は、図示しない螺子によって固定される。また、トッププレート12の内部には、扉センサ96(図14参照)、中継線94(図14参照)、図示しない庫外温度センサ、図示しない庫外湿度センサを備えている。
【0013】
また、冷蔵庫1は、断熱箱体10の庫内側に合成樹脂製の内箱18を備えている。外板11と内箱18との間、天井板13と内箱18との間には、事前に所定寸法に発泡成形、または、加工された断熱材5(一例として、発泡ポリスチレンや発泡ウレタン)が設けられている。すなわち、冷蔵庫1は、外板11や天井板13と、内箱18の間の空間にウレタンを発泡充填する方式を採用していない。これにより、ウレタンを発泡充填する場合に必要となる発泡設備が不要となるので、コストを抑えて発泡設備の制約を受けない自由度が高い冷蔵庫を製造することができる。なお、断熱材5は複数個に分割されており、断熱材5は、アルミニウムテープで互いが接合されている(詳細は図18を参照しつつ後述)。このように断熱材5を複数個に分割することで組立作業性が向上する。
【0014】
また、冷蔵庫1は、断熱箱体10の前縁に前縁鋼板17を備えている。前縁鋼板17の内側表面には後述する結露抑制配管52が設置されている。これにより、熱伝導率が高い金属である前縁鋼板17の作用で断熱箱体10の前縁に良好に熱が拡がり、結露が抑制される。
【0015】
扉2は、該扉2の前面に着脱可能な前面パネル14を備えている。前面パネル14の素材としては、合成樹脂、ガラス、鉄などを採用することができる。また、扉2の背面には、合成樹脂製の扉内面部材15を備えている。前面パネル14と扉内面部材15との間には、事前に所定寸法に発泡成形した扉第一断熱材7(発泡ポリスチレン)と、扉第一断熱材7よりも断熱性能が高い略直方体状に加工した扉第二断熱材6(発泡ウレタン)が設けられている。なお、扉2の上面は合成樹脂製の上面部材16a、下面は合成樹脂製の下面部材16bが設けられている。また、扉2の内面側の外周部で、断熱箱体10の前縁鋼板17と対向する位置にはシール部材19が配設されている。このシール部材19の内部に備えられた図示しないマグネットの吸着力により、扉2と断熱箱体10が閉鎖状態に維持されるようにしている。なお、扉内面部材15には複数の通気口15aが設けられており、扉第二断熱材6と扉内面部材15の間に形成される微小隙間に空気が流通するようにしてある。これにより、冷却器4による除湿作用で低湿となる貯蔵室3内の空気が通気口15aを介して扉第二断熱材6と扉内面部材15の間に形成される微小隙間に作用することで、前面パネル14と扉内面部材15との間に存在する空気が有する水蒸気による結露を発生し難くできる。また、通気口15aは下方に向けて開口しており、通気口から扉内面部材15の内側に水滴が流下して侵入したり、塵埃が落下して侵入することを防いでいる。
【0016】
また、冷蔵庫1は、貯蔵室3の下段背部に、冷却器4が収納された冷却器室8を備えている。冷却器室8は、前面側に下方に開口した戻り開口22を備えている。また、冷却器室8の背部には庫内ファン9を備えている。庫内ファン9は、遠心ファンである後向きファン(ターボファン)が用いられている。庫内ファン9の上部には、複数の吐出口21a~21dを備えた送風ダクト20が設けられている。このように、庫内ファン9に遠心ファンを用いることで、前方の冷却器室8から吸い込んだ空気を上方の送風ダクト20に向けてスムーズに転向できるので、コンパクトな実装が可能となる。また、庫内ファン9の下方には樋30が設けられている。この樋30の傾斜した面の最も低くなる位置には、庫内ファン9や庫内ファン9の周辺で発生した結露水や霜の融解水を排水するための排水口31が設けられている。
【0017】
また、冷蔵庫1は、断熱箱体10外の下部(庫外)に機械室25を備えている。図3に示すように、機械室25には、圧縮機24と、前方下部の放熱器風路160内に設置された放熱器50を備えている。放熱器50の前方の放熱器風路160の入口部には、吸引口27を備え、吸引口27にはフィルタ27aを備えている。このようにフィルタ27aを設置することで、フィンチューブ式熱交換器である放熱器50のフィン表面に塵埃が堆積して、フィン間の流路が縮小したり、閉塞することを防いでいる。また、図4に示すように、機械室25には、庫外送風機29と蒸発皿42を備えている。庫外送風機29は下方に開口したケーシング44に覆われており、庫外送風機29からの送風が蒸発皿42の上面を流れるようにしている。蒸発皿42の前方には排気口28を備えており、庫外送風機29の駆動によって、吸引口27(図3参照)から吸気され、放熱器50や圧縮機24を冷却して熱交換することで温度上昇した空気が、蒸発皿42の上面を流れて、排気口28から排気される。また、機械室25の背面は、吸排気口を備えない、着脱自在なカバー92で覆われている。また、機械室25の底面は鋼板製のベース部材43により形成されている。
【0018】
また、冷蔵庫1は、冷却器室8内の冷却器4の下部に、後述する戻り配管58とキャピラリチューブ53とを接合した熱交換部57(加熱部)を備えている。また、冷却器室8の下面には樋30を備えており、図3に示すように、樋30の下端(最も低くなる位置)に排水口31を設けている。排水口31には排水管32が繋がれており、図4に示すように、排水管32は蒸発皿42の上部に接続されている(圧縮機24が設けられる機械室25に連通している)。なお、排水口31は、冷却器4の空気流入面4a(図3参照)より下流側であって、庫内ファン9より上流側(吸込み側)の領域に配置されている。
【0019】
図5は、本実施形態に係る冷蔵庫の冷凍サイクルの構成図である。
図5に示すように、本実施形態の冷蔵庫1の冷凍サイクル150は、圧縮機24と、圧縮機24と吐出配管59を介して接続された冷媒の放熱を行うフィンチューブ式熱交換器である放熱器50(加熱配管)と、放熱器50と接続配管151(加熱配管)を介して接続され、断熱箱体10の左右側面、背面、底面の外表面を形成する外板11の内面側に略接触するように配置された放熱配管である壁面放熱配管51(加熱配管)と、を備える。さらに、冷凍サイクル150は、壁面放熱配管51と接続配管151(加熱配管)を介して接続され、断熱箱体10の前縁鋼板17の内面に略接触するように配置されて、結露を抑制するように前縁鋼板17を加熱する放熱配管である結露抑制配管52(加熱配管)と、結露抑制配管52と接続配管151を介して接続され、冷媒中の水分を除去するドライヤ55と、ドライヤ55と接続され、冷媒を減圧する減圧手段であるキャピラリチューブ53(加熱配管)と、キャピラリチューブ53と接続され、冷媒と庫内の空気を熱交換することで庫内の熱を吸熱する冷却器4と、を備えている。
【0020】
また、冷凍サイクル150は、冷却器4を形成する伝熱管41の出口側の配管に気液分離器54を備え、気液分離器54の出口側で戻り配管58(出口配管)に接続される。戻り配管58は、圧縮機24と接続される。また、冷凍サイクル150は、戻り配管58の一部がキャピラリチューブ53と熱交換する熱交換部57となっている。なお、壁面放熱配管51及び結露抑制配管52の内径は例えば3.2mmであり、キャピラリチューブ53の内径は壁面放熱配管51及び結露抑制配管52の内径の三分の一以下の例えば0.85mmである。
【0021】
次に、本実施形態の冷蔵庫1の冷凍サイクル150における冷媒の流れについて説明する。本実施形態の冷蔵庫1では、圧縮機24が駆動すると冷媒が圧縮されて、高温高圧のガス冷媒となり吐出配管59を介して放熱器50に入る。放熱器50においては、庫外送風機29(図4参照)による通風によって冷媒から熱が奪われてエンタルピが減少し、二相状態となり、接続配管151を介して壁面放熱配管51に流入する。断熱箱体10の両側面、底面、背面に配置された壁面放熱配管51では、断熱箱体10の外板11を介して主に庫外の空気と熱交換することでさらにエンタルピが減少する。続いて、接続配管151を介して前縁鋼板17に配置された結露抑制配管52に冷媒が入る。結露抑制配管52において前縁鋼板17を介した熱交換が行われて液冷媒となり、接続配管151を介してドライヤ55に至り、水分が除去された後に、キャピラリチューブ53に入る。
【0022】
キャピラリチューブ53では高温高圧の冷媒が減圧され、低温低圧の二相冷媒になり冷却器4の入口に至る。冷媒は、冷却器4の伝熱管41を流れて庫内の空気と熱交換し、エンタルピが上昇するとともに渇き度が上がり、略飽和ガス冷媒となり冷却器4の出口に至る。冷却器4の出口から、圧縮機24に戻る戻り配管58は、熱交換部57においてキャピラリチューブ内の冷媒によって加熱されて温度が上昇(エンタルピが上昇)して、圧縮機24に戻る。なお、冷凍サイクル150に封入される冷媒は可燃性冷媒のイソブタンである。
【0023】
なお、吐出配管59、放熱器50、壁面放熱配管51、結露抑制配管52、接続配管151は高温高圧冷媒配管であり、キャピラリチューブ53は高温高圧冷媒を減圧して低温低圧にする減圧配管であるが、何れも戻り配管58の入口における冷媒の温度より高い温度の冷媒が流れるので、戻り配管58を加熱する能力を有する加熱配管である。
【0024】
図6は、図3のC-C断面図である。なお、図6は、機械室25とその上部の領域を背面視した図である。
図6に示すように、冷蔵庫1は、機械室25内に圧縮機24を備えており、圧縮機24に対して正面視で右側(背面視では左側)に庫外送風機29と基板収納箱70を備えている。庫外送風機29はケーシング44に実装され、ケーシング44は下方に開口しており、蒸発皿42に向けて空気を吐出するようにしている。このようにケーシング44を蒸発皿42に向けて開口することで、蒸発皿42内に貯まる水に空気を吹き付けることができ、蒸発を促進できる。蒸発皿42の上部には、ケーシング44との接続部と、排水管32との接続部が開口したカバー体42aを備えており、それぞれの開口にケーシング44と排水管32が接続される。これにより、庫外送風機29から吐出される空気が蒸発皿42とカバー体42aの間の空間から漏れ出て、再び庫外送風機29に吸い込まれるショートサーキットを防いでいる。また、基板収納箱70にはインバータ装置等を実装したパワー系基板と、制御回路が実装された制御系基板と、を有する基板71を備えている。
【0025】
また、冷蔵庫1は、機械室25内の圧縮機24に対して正面視で左側(背面視では右側)において、圧縮機24の吐出口24aに吐出配管59の入口59aを接続し、圧縮機24の戻り口24bに戻り配管58の出口58bを接続している。吐出配管59は、放熱器50(図5参照)に接続され、戻り配管58は、冷却器4(図5参照)に接続されている。
【0026】
圧縮機24に対して正面視で左側(背面視では右側)には、結露抑制配管52の出口側(下流側)に接続配管151を備え、接続配管151にドライヤ55が接続されている。ドライヤ55の出口側(下流側)には、破線で示すキャピラリチューブ53が接続されている。キャピラリチューブ53は、戻り配管58とはんだにより接合(熱的に接触)されており、熱交換部57を構成している。つまり、キャピラリチューブ53は、戻り配管58を加熱して冷媒の温度を上げる加熱部として機能する。
【0027】
また、戻り配管58とキャピラリチューブ53は、断熱箱体10に形成された連通孔80(隙間)を介して庫外(機械室25)と庫内(冷却器室8)との間を挿通され、断熱箱体10外に導かれている。この連通孔80には、図示しない軟質ウレタン等のシール部材を設置して、戻り配管58やキャピラリチューブ53と連通孔80との間に生じる隙間を埋めている。なお、前記シール部材を用いて連通孔80に形成される隙間を埋めてはいるものの、完全に隙間を埋めることは困難であり、連通孔80には空気が存在することになる。
【0028】
また、キャピラリチューブ53と戻り配管58との接触部である熱交換部57は、連通孔80内の全体に位置する。さらに、キャピラリチューブ53と戻り配管58との接触部である熱交換部57は、連通孔80よりも戻り配管58の上流側の部分にも設けられている。つまり、戻り配管58は、冷却器4から出た後にキャピラリチューブ53と接触した状態を、連通孔80を通過するまで維持するように構成されている。
【0029】
また、連通孔80の庫内側には、気液分離器収納スペース66が設けられている。気液分離器収納スペース66には、冷却器4の出口側の配管に備えられた気液分離器54を、冷媒が下側から上側に向けて流れるように略垂直に設置している。また、気液分離器収納スペース66の下部には、加熱手段として電気ヒータ60を設置している。冷却器4からの低温の液冷媒を分離する気液分離器54や周辺の配管や構造物には、霜が成長することがあるので、加熱手段(電気ヒータ60)を備えることによって確実に霜を融解することができるようにしている。気液分離器収納スペース66の下端(最も低くなる位置)には排水口62を設けており、融解水が生じた場合には排水口62を介して冷却器室8下部の樋30に排水するようにしている。
【0030】
また、冷蔵庫1は、機械室25の前方左側(背面視では右側)下部の放熱器風路160(図3参照)の出口開口160aを圧縮機24の前方に備えている。これにより、放熱器50(図3参照)を流れた空気で圧縮機24を良好に冷却でき、圧縮機24の過度な昇温に起因する故障が生じ難くなる。
【0031】
図7は、図3の一部拡大断面図である。なお、図7を用いて本実施形態に係る冷蔵庫1の冷却器室8周辺の詳細構造について説明する。
図7に示すように、冷蔵庫1は、冷却器室8の上部に、断熱材75(発泡ポリスチレン)、貯蔵室表面部材74(合成樹脂製)を備え、棚34bと貯蔵室表面部材74との間に流路76を形成している。貯蔵室3の中段後方の棚34bの後端34b1と、貯蔵室表面部材74の前方を向く前面74aとの間の隙間寸法L1(流路寸法)は3mmである。中段前方の棚34aの前端34a1と扉2の扉内面部材15との間の隙間寸法L2(流路寸法)は20mmである。貯蔵室3の中段後方の棚34bの下面34b2と、冷却器室8の上部に位置する貯蔵室表面部材74との間の隙間寸法L3(流路寸法)は5mmである。戻り開口22の前面を形成している貯蔵室表面部材74の下端74bと、内箱18の表面との間に形成される戻り開口22の前方開口寸法(鉛直方向開口寸法)L4は30mmである。前方開口寸法L4は、戻り開口22の前方開口寸法(鉛直方向開口寸法)である。貯蔵室表面部材74の下端74bの後縁と、樋形成部材100の前面の間に形成される戻り開口22の奥行開口寸法(水平方向開口寸法)L5は20mmである。奥行開口寸法L5は、奥行開口寸法(水平方向開口寸法)である。冷却器4の高さ寸法L6は50mmである。また、冷却器4の上縁(フィン上端)と、断熱材75の下面75aとの間にバイパス流路77が形成され、バイパス流路の寸法L7は2mmである。また、断熱材75の厚さL8は10mmである。また、冷却器4の前縁4s(最前列フィンの前縁)と、樋形成部材100との間の水平方向の隙間寸法L9は3mmである。なお、このように隙間寸法L9を確保することで、冷却器4のフィンに成長する霜が融解した際に生じる融解水を、貯蔵室3に流下させず、樋30に流下させるようにでき、信頼性を高めることができる。また、本実施形態の冷蔵庫1のように隙間寸法L9を1mm以上、例えば3mmとすることで、より確実に融解水を樋30に流下させることができる。
【0032】
また、隙間寸法L1は、載置面34cの後方に形成される流路R1(図7参照)の隙間であり、隙間寸法L2は、載置面34cの前方に形成される流路R2(図7参照)の隙間である。また、隙間寸法L1は、隙間寸法L2より小さくなるように構成されている(隙間寸法L1<隙間寸法L2)。
【0033】
また、隙間寸法L3は、載置面34cの下部(下面側)に形成される流路76の隙間である。また、隙間寸法L3は、隙間寸法L1より大きくなるように構成されている(隙間寸法L1<隙間寸法L3)。
【0034】
戻り開口22の前方開口寸法(鉛直方向開口寸法)L4は、奥行開口寸法(水平方向開口寸法)L5より大きくなるように構成されている(L4>L5)。このような関係にすることで、冷却器室8の上面側に向かう速度成分を有するように指向させる指向手段として機能する。また、冷却器4の下方は開放されており、樋30との間を仕切る壁を備えていない。一般には、熱交換器を流路中に設置する場合、空気が確実に熱交換器を通過するように、周囲に壁が設けられるが、樋30との間に壁を設けると冷却器4の霜が解けた際に生じる融解水の排水が阻害される。そこで、本実施形態の冷蔵庫1のように冷却器4の下方を開放することで、融解水が樋30に排水され易くすることができる。さらに、冷却器室8の上面側に向かう速度成分を有する指向手段を備えることで、冷却器4の下方に壁を設けていなくても、冷却器4の下方に漏れる気流が生じ難くなり、高い熱交換効率と良好な排水性を両立することができる。
【0035】
また、樋30に形成された排水口31は、冷却器4の空気流入面4a(図3参照)より下流であって庫内ファン9より上流側の領域に配置されている。また、排水口31は、庫外送風機29の下流側に接続されている。
【0036】
また、樋30の排水口31に接続された排水管32は、断熱箱体10を貫通している。すなわち、排水管32は、内箱18に形成された貫通孔18v、断熱材5に形成された貫通孔5v、外板11に形成された貫通孔11vを貫通して、機械室25内の蒸発皿42(図6参照)に延びている。
【0037】
図8は、本実施形態の冷蔵庫の冷却器と戻り配管及び樋の関係を表す部分分解斜視図である。図9は、熱交換部の断面図である。
図8に示すように、冷却器4は、複数のフィン40と、伝熱管41から成るフィンチューブ式の熱交換器である。冷却器4の伝熱管41には、冷却器4の温度を検知する冷却器温度センサ46が設けられている。また、冷却器4の下部には、キャピラリチューブ53と戻り配管58とを熱的に接触させた熱交換部57が配置されている。図9に示すように、戻り配管58とキャピラリチューブ53との接触部である熱交換部57は、表面を断熱部材90(一例としてエチレンプロピレンゴム発泡体)で覆っている。なお、図8では、断熱部材90の図示を省略している。冷却器4の伝熱管入口部41aは、キャピラリチューブ53の出口部53aに接続される。冷却器4の伝熱管出口部41bは、戻り配管58の入口部58aに接続される。
【0038】
熱交換部57の下方投影領域には樋30が配置されている。また、戻り配管58は、樋30の上方投影領域に設置されている(図8参照)。また、熱交換部57(加熱部)は、冷却器4と樋30の間に、複数列(本実施形態の冷蔵庫1では前後2列)にわたって設置されている。このとき、温度が高くなる戻り配管58の下流側(前後方向の前側)の列を、冷却器4の空気流入側(前方)のフィンに近接するように(冷却器の空気流の上流側)配置している(図7参照)。樋30は、合成樹脂製の樋形成部材100によって形成されている。樋形成部材100は、冷却器4を支持する第一支持部101、熱交換部57を支持する第二支持部102、庫内ファン9の吸込口26を有している。
【0039】
図10は、本実施形態に係る冷蔵庫が備える冷却ユニットの斜視図である。
図10に示すように、冷蔵庫1は、冷却ユニット250を備えている。冷却ユニット250は、冷却器4や庫内ファン9などをユニット化したものであり、内箱18(図3参照)よりも庫内側に設けられている。また、冷却ユニット250は、冷却器4と、庫内ファン9と、気液分離器54(ヘッダ、アキュムレータともいう)と、電気ヒータ60と、戻り配管58と、キャピラリチューブ53と、収容体67と、を備えている。
【0040】
冷却器4は、キャピラリチューブ53で減圧された低温低圧の冷媒が通流する熱交換器である。また、冷却器4は、所定の隙間を設けて配置された多数のフィン40と、これらのフィン40を貫通する伝熱管41と、を備えている。また、冷却器4の下側には、結露水を受けるための樋30(図3参照)が設けられている。
【0041】
庫内ファン9は、冷却器4で冷やされた空気を貯蔵室3(図3参照)に向けて圧送する送風機であり、冷却器4の背面側に配置されている。なお、庫内ファン9の吸込側(前側)は、冷却器4が設けられている空間68(庫内送風機の吸込側の空間)に臨んでいる。そして、冷却器4で冷やされた空気が庫内ファン9に向けて後方に吸い込まれ、さらに、所定の空気流路(図3参照)を介して、貯蔵室3(図3参照)に吹き出されるようになっている。
【0042】
気液分離器54は、冷却器4の下流側に接続される殻状の容器である。この気液分離器54は、冷却器4から流入する冷媒を気液分離したり、余分な液冷媒を貯留したりする機能を有している。電気ヒータ60は、気液分離器54を温めるための熱源であり、気液分離器54の下方に設置されている。気液分離器54は低温の液冷媒で冷えやすいため、電気ヒータ60を設けることで気液分離器54や周辺に生じる霜を解かすようにしている。なお、液冷媒は気液分離器54の下部に貯留されるため、気液分離器54を直接加熱するように気液分離器54の外表面に電気ヒータ60を設けたり、気液分離器54の外表面の下部のみに電気ヒータ60を設けるようにして効率的に加熱できるようにしてもよい。
【0043】
戻り配管58は、気液分離器54で気液分離されたガス状の冷媒を圧縮機24(図3参照)に導く管である。戻り配管58は、その上流端が気液分離器54に接続され、下流端が圧縮機24(図3参照)の吸込側に接続される。図10に示すように、戻り配管58の下流端付近は、収容体67の下側において上下方向に延びている。
【0044】
キャピラリチューブ53は、圧縮機24(図2参照)、放熱器50、壁面放熱配管51、結露抑制配管52等を順次に介して通流した冷媒を減圧するための細管である。キャピラリチューブ53は、その下流端が冷却器4に接続されている。図10に示すように、キャピラリチューブ53の下流端付近は、収容体67の下側において上下方向に延びており、戻り配管58に隣接している。
【0045】
収容体67は、冷却器4や庫内ファン9等を収容する樹脂製部材である。収容体67は、上側が開口した箱状のケース67aと、このケース67aの上側の開口を塞ぐ蓋67b(図11参照)と、を備えている。ケース67aには、冷却器4が横置きで設置されている。また、ケース67aは、冷却器4と庫内ファン9とを仕切る仕切板671aを備えている。仕切板671aにおいて庫内ファン9の吸込側に対応する箇所には、円形の孔からなる吸込口26が設けられている。ケース67aの前板671cには、貯蔵室3(図3参照)の空気を冷却器4に導くための開口671dが設けられている。開口671dの周囲には、前方に突出するようにリブ671eが設けられている。
【0046】
図11は、ケースに蓋が設置された状態の冷却ユニットの斜視図である。
前記したように、蓋67bは、ケース67aの上側の開口を塞ぐものであり、側面視でL字状を呈している。また、蓋67bの後側の面(裏面)にリブ671e(図10参照)が突き当てられることで、ケース67aと蓋67bとの間に所定の隙間が設けられる。庫内ファン9の駆動に伴い、この隙間を介して冷却器4(図10参照)に空気が導かれる。
【0047】
前記したように、冷却ユニット250は、内箱18(図3参照)よりも庫内側に設けられている。また、冷却ユニット250の戻り配管58は、内箱18に形成された貫通孔18z(図6参照)、断熱材5に形成された貫通孔5z(図6参照)、及び外板11(機械室25の天板)に形成された貫通孔11z(図6参照)を上下方向に順次に貫通して、機械室25(図6参照)の圧縮機24まで延びている。これによって、内箱18と断熱材5との間の隙間に戻り配管58を配設する必要がなくなるため、この隙間の空気が戻り配管58によって冷やされることを抑制できる。したがって、内箱18と断熱材5との隙間に結露が生じることを抑制できる。また、戻り配管58に干渉しないような形状に外板11(図6参照)を形成する必要もないため、外板11の形状を簡素化し、製造時の手間やコストを削減できる。
【0048】
なお、戻り配管58及びキャピラリチューブ53がいずれも、貫通孔18z,5z,11z(図6参照)を貫通するようにしてもよい。これによって、内箱18や断熱材5に設ける貫通孔の数が少なくてすむため、製造時の工数を削減できる他、戻り配管58やキャピラリチューブ53の組付作業が容易になる。
【0049】
また、戻り配管58及びキャピラリチューブ53は、ロウ付け(又はハンダ付け)で予め冷却ユニット250に組み付けられている。なお、これまでの冷蔵庫では、冷却器等を筐体に組み付けた後、戻り配管やキャピラリチューブのロウ付けを作業員が行うようにしていた。しかしながら、冷却器4の周囲では伝熱管が複雑に蛇行していることが多く、戻り配管やキャピラリチューブのロウ付けに手間がかかっていた。これに対して、本実施形態では、戻り配管58やキャピラリチューブ53が冷却ユニット250に予め組み付けられているため、冷蔵庫1の組付作業を簡素化できる。また、戻り配管58やキャピラリチューブ53が冷却ユニット250に含められているため、冷却器4を内箱18(図3参照)から上下方向で離間して設置する際の作業も容易になる。
【0050】
また、冷却器4から樋30(図3参照)に滴り落ちた結露水を機械室25の蒸発皿42(図4参照)に導く排水管32は、その上流端が庫内ファン9(図10参照)の吸込側の空間68(図10参照)に連通し、下流側が機械室25(図3参照)に連通している。ここで、機械室25は、冷蔵庫1の外側の大気圧の空間に連通している。したがって、庫内ファン9の吸込側の圧力が、大気圧に略等しくなる。その結果、庫内ファン9の吹出側の圧力が大気圧よりも高くなり、これに伴って、庫内ファン9から低温の空気が送り込まれる貯蔵室3(図3参照)の圧力が大気圧よりも高くなる。その結果、貯蔵室3が正圧に保たれやすくなり、外側から貯蔵室3に空気が入り込みにくくなる。また、扉2(図3参照)に設けられた結露防止用の通気口15aに貯蔵室3の空気が入り込みやすくなるため、扉内面部材15の内側に結露が生じることを抑制できる。
【0051】
図12は本実施形態の冷蔵庫の圧縮機と庫内ファンの制御状態と、貯蔵室温度及び棚表面の温度の変化を表すタイムチャートである。なお、図12は、本実施形態に係る冷蔵庫を、32℃、相対湿度70%の環境に設置した場合の運転状態を表している。
図12に示すように、冷蔵庫1は、貯蔵室温度センサ45が検知する貯蔵室3の温度と、冷却器温度センサ46が検知する冷却器4の温度とに基づいて制御が行われる。具体的には、貯蔵室温度センサ45が検知する貯蔵室3の温度が、冷却運転開始温度(Ton)に到達すると、圧縮機24と庫内ファン9が駆動して冷却運転を開始する。貯蔵室温度センサ45が検知する貯蔵室3の温度が圧縮機停止温度(Tcomp_off)に到達すると、圧縮機24が停止して冷却運転を終了し、庫内ファン9が駆動する状態(送風運転)に移行する。また、冷却器温度センサ46が検知する冷却器4の温度が庫内ファン停止温度(Tfan_off)に到達すると庫内ファン9が停止して、送風運転が終了するように制御される。
【0052】
図12において、時刻t0は、貯蔵室温度センサ45が検知する貯蔵室3の温度が冷却運転開始温度(Ton、本実施形態では3℃)に達したことで冷却運転が開始した時刻である。冷却運転開始により、圧縮機24が駆動(ON)して、冷却器4に冷媒が供給されることで冷却器4の温度がマイナス温度帯に低下して、庫内ファン9が駆動(ON)することで貯蔵室3に冷気が供給されて、貯蔵室3の温度、棚34bの表面温度がともに略等しい温度で下降している。なお、図12では、棚34bの表面温度を参考温度として示している。
【0053】
時刻t1において、貯蔵室温度センサ45が検知する貯蔵室3の温度が圧縮機停止温度(Tcomp_off、本実施形態では1℃)に達したことで冷却運転が終了して、圧縮機24が停止(OFF)し、庫内ファン9は駆動(ON)状態を維持する送風運転に移行する。これにより、冷却器4に冷媒が供給されない状態で、庫内ファン9が駆動することで、冷却器4の温度は熱負荷により上昇し、貯蔵室3の温度、棚34bの表面温度はともに上昇する。このときも貯蔵室3の温度と、棚34bの表面温度はともに略等しい温度となっている。なお、送風運転中に冷却器4の温度が0℃付近で一定温度となる期間が生じているのは、その期間で霜が融解しているためである。なお、圧縮機24を停止して、庫内ファン9を駆動させて送風運転することが温度補償手段に対応する。
【0054】
時刻t2において、冷却器温度センサ46が検知する冷却器4の温度が庫内ファン停止温度(Tfan_off、本実施形態では2℃)に達したことで庫内ファン9が停止(OFF)されて、運転停止状態となる。これにより、貯蔵室3内への送風が行われなくなるので、貯蔵室3の温度は上昇する。一方、棚34bの表面温度は、棚34bや冷却器室8の蓄冷熱や自然対流の作用により温度の上昇速度は低くなっている。
【0055】
時刻t3において、貯蔵室温度センサ45が検知する貯蔵室3の温度が冷却運転開始温度(Ton)に達したことで再び冷却運転が開始される。
【0056】
以上のように、庫内ファン9を駆動した状態においては、貯蔵室温度センサ45が検知する貯蔵室3の温度と、棚34bの表面温度の挙動は類似しており略等しい温度で変化している。したがって、貯蔵室温度センサ45を棚34bの表面温度、すなわち、棚34b上に載置された食品の下面近傍温度を推定する温度推定手段として用いることができる。
【0057】
なお、図12に示す送風運転に関して、圧縮機24の駆動時間の積算値が所定時間(一例として24時間)に達した後に実施される場合には、庫内ファン停止温度(Tfan_off)が、通常の送風運転より2℃高くなり、送風運転が延長され、冷却器4の霜を確実に融解させる除霜運転が実施される。除霜運転時には、気液分離器収納スペース66の下部に設置された電気ヒータ60(図6参照)への通電が行われ、気液分離器54や周辺の配管や構造物の霜が融かされる。除霜運転が終了すると、圧縮機24の駆動時間の積算値はリセットされて0となる。本実施形態の冷蔵庫1では除霜運転時に庫内ファン停止温度(Tfan_off)が、通常の送風運転より2℃高くなるようにしているが、送風運転終了温度は通常の送風運転時と同じ温度として、送風運転終了温度に到達した後に所定時間(一例として10分間)送風運転を継続することで除霜運転としてもよい。
【0058】
これらの制御は、CPU、ROMやRAM等のメモリ、インターフェース回路等を搭載した機械室25内に設けられた基板収納箱70内の基板71(制御部)により実行される。基板71は、庫外温度センサ(図示せず)、庫外湿度センサ(図示せず)、貯蔵室温度センサ45、冷却器温度センサ46等と電気配線(図示せず)で接続され、各センサの出力値や操作部の設定、ROMに予め記録されたプログラム等を基に、圧縮機24や庫内ファン9、庫外送風機29、電気ヒータ60のON/OFFや回転速度制御、加熱量制御を行う。
【0059】
図13は本実施形態の冷蔵庫の戻り配管の位置と温度の関係を表す図である。なお、図13の上段には、戻り配管58とキャピラリチューブ53及びそれらを熱的に接触させた熱交換部(加熱部)57の位置を示し、下段には対応する位置における戻り配管58の温度を示している。また、図13は、戻り配管58を太い実線で示し、キャピラリチューブ53を二点鎖線で示している。また、図13下段の横軸は、戻り配管58の入口58a(図8参照)から出口58b(図6参照)に至るまでの位置を表す。また、図13上段に矢印で示すように戻り配管58の冷媒の流れと、キャピラリチューブ53の冷媒の流れは対向している。戻り配管58は、庫内(冷却器室8、気液分離器収納スペース66)側が上流であるのに対して、キャピラリチューブ53は、庫外(機械室25)側が上流となる。
【0060】
図13に示すように、戻り配管58の入口58aは、冷却器配管41の出口41a(図8参照)と接続され、冷却運転中は冷却器4を流れた低温冷媒(基本的にガス冷媒)が流入する。このため、戻り配管58の入口58aの位置p0においては、戻り配管温度(戻り配管58の温度)は十分低いマイナス温度(本実施形態では位置p0における戻り配管温度は-12.0℃)となる。また、戻り配管58は、位置p1においてキャピラリチューブ53と接触することで戻り配管温度が上昇し始め、位置p2において0℃に達する。その後、戻り配管58の下流に向かうにつれて戻り配管温度が上昇して位置p3において庫外空気の露点(本実施形態では位置p3における戻り配管温度は25.8℃(32℃、相対湿度70%の露点))に到達する。そして、位置p4において、戻り配管58は、連通孔80に達する(本実施形態では位置p4における戻り配管温度は32.2℃)。続いて、位置p5において庫外(機械室25)に至る(本実施形態では位置p5における戻り配管温度は33.0℃)。位置p6で熱交換部(加熱部)57が終了して(本実施形態では位置p6における戻り配管温度は33.5℃)、位置p7において戻り配管58の出口58b(本実施形態では位置p7における戻り配管温度は33.5℃)、すなわち、圧縮機24の戻り口24b(図6参照)に至る。
【0061】
なお、本実施形態の冷蔵庫1では、位置p0を原点として、位置p1までが140mm、位置p2までが320mm、位置p3までが900mm、位置p4までが1400mm、位置p5までが1490mm、位置p6までが1550mm、位置p7までが1800mmである。これらから、戻り配管58の全長(位置p7-位置p0)は1800mm、熱交換部57の長さ(位置p6-p1)は1410mm、熱交換部57のうち庫内に位置する長さL20(位置p4-p1)は1260mm、熱交換部57のうち連通孔80の内部、すなわち、断熱箱体10の断熱壁内部に位置する長さL10(位置p5-p4)は90mm、熱交換部57のうち庫外に位置する長さ(位置p6-p5)は60mmとなる。
【0062】
以上で、本実施形態の冷蔵庫の構成を説明したが、次に、本実施形態の冷蔵庫が奏する効果について説明する。
本実施形態の冷蔵庫1は、断熱材5を含んで形成された断熱箱体10と、冷媒が循環する冷凍サイクル150と、を備える。冷凍サイクル150は、断熱箱体10内に収納された冷却器4と、圧縮機24と、冷却器4の下流側と圧縮機24の上流側とを繋ぐ戻り配管58(出口配管)と、を備える。戻り配管58は、断熱箱体10の連通孔80(隙間)を通って断熱箱体10外に導かれる。連通孔80(隙間)には、空気が存在する。戻り配管58のうち、連通孔80(隙間)を通過する部分及びこれよりも上流側の部分を含んで加熱する熱交換部57(加熱部)が配されている。これにより、断熱箱体10を形成する断熱壁内(連通孔80内)における結露や着霜を生じ難くした信頼性が高い冷蔵庫1を提供することができる。理由を以下で説明する。
【0063】
一般に冷蔵庫の庫内を冷却する冷却器は、庫内温度に対して十分低温にすることが必要となるため、マイナス温度の低温となる。したがって、冷却器から圧縮機に戻る戻り配管に入る冷媒温度もマイナス温度の低温冷媒である。この低温冷媒が流れる戻り配管を、空気が存在する隙間を有する断熱壁内に入れると、着霜や結露が生じることがある。特に本実施形態の冷蔵庫のように、断熱壁内部を、ウレタンを発泡充填することで満たす方式ではなく、事前に所定寸法に発泡成形、または、加工された断熱材を断熱壁内に設置する方式を採用する場合、完全に空気が存在する隙間を排除することは困難である。このため、空気が存在する隙間を有する断熱壁としての配慮が必要となる。そこで、本実施形態の冷蔵庫1では、連通孔80を通過する部分及びこれよりも上流側の部分を含んで加熱する熱交換部57を備えることで、連通孔80を通過する戻り配管58の温度を上昇させることができ、連通孔80に着霜や結露が生じ難くなっている。
【0064】
なお、熱交換部57を設ける範囲は、連通孔80内の部分と、連通孔80よりも上流側の部分の双方に限定されるものではなく、連通孔80よりも上流側の部分のみであってもよい。このような場合でも、連通孔80に着霜や結露を生じにくくできる。
【0065】
また、本実施形態の冷蔵庫1は、冷凍サイクル150が、圧縮機24から吐出された高温の冷媒が流れる加熱配管(吐出配管59、放熱器50、壁面放熱配管51、結露抑制配管52、接続配管151、キャピラリチューブ53)を備え、加熱部を加熱する手段(加熱手段)として、戻り配管58に加熱配管を熱的に接触させた熱交換部57を備えている。これにより、冷凍サイクル150の配管を用いて戻り配管58を加熱できるので、ヒータ等の加熱手段を用いる必要がなく、コストを抑えて断熱箱体10を形成する断熱壁内における結露や着霜を生じ難くした冷蔵庫1とすることができる。
【0066】
また、本実施形態の冷蔵庫1は、冷凍サイクル150が、加熱配管として、高温高圧冷媒が流れる放熱配管(吐出配管59、放熱器50、壁面放熱配管51、結露抑制配管52、接続配管151)と、高温高圧冷媒を減圧して低温低圧冷媒にするキャピラリチューブ53(減圧配管)を備え、熱交換部57が戻り配管58に減圧配管であるキャピラリチューブ53を熱的に接触させている。これにより、低温の戻り配管58と減圧作用を得るために放熱配管より内径が細いキャピラリチューブ53と戻り配管58との間で熱交換させることで、キャピラリチューブ53内の冷媒が高流速で流れて熱伝達率が高くなるため、戻り配管58側に熱が伝わり易くなり、比較的短い長さで十分な熱交換を行うことができるようになる。
【0067】
また、本実施形態の冷蔵庫1は、戻り配管58とキャピラリチューブ53の熱交換部57(接触部)のうち、連通孔80(隙間)の内部を通過する長さL10(図11の位置p4から位置p5までの長さ)より、連通孔80(隙間)の上流側の長さL20(図11の位置p1から位置p4までの長さ)を長くしている。これにより、連通孔80に到達する前に十分に戻り配管58の温度を上げることができるので、より断熱箱体10を形成する断熱壁内における結露や着霜を生じ難くした冷蔵庫1とすることができる。
【0068】
また、本実施形態の冷蔵庫1は、冷却器4の下部に樋30を備え、戻り配管58を樋30の上方投影領域に設置している。これにより、庫内における戻り配管58の低温部分に生じた着霜や結露の融解水や結露水を、樋30を介して庫外に排水できるので、貯蔵室3内などの意図しない領域に流出することを防ぐことができ、信頼性が高い冷蔵庫1となる。
【0069】
また、本実施形態の冷蔵庫1は、冷却器4と樋30との間に形成される領域に加熱部(熱交換部57)を配置している。これにより、加熱部に生じた着霜や結露が冷却器4に落下したり滴下したりして、冷却器4の流路を塞いだり、冷却器4の表面に氷結するといった事態が生じることを回避できるので、信頼性が高い冷蔵庫1となる。
【0070】
また、本実施形態の冷蔵庫1は、戻り配管58とキャピラリチューブ53との熱交換部57において、キャピラリチューブ53を流れる冷媒の上流側を、冷却器4の空気流入面4a(空気流入部)に近接させている。
【0071】
また、本実施形態の冷蔵庫1は、熱交換部57を形成する配管を冷却器4の下部に複数列に亘って配置し、熱交換部57を形成する戻り配管58の冷媒流の下流側の列が、冷却器4の空気流の上流側のフィン40に近接するようにしている。一般に冷却器の空気流の上流側のフィンの表面は、物質伝達率が高く、霜が成長しやすい領域となるため、戻り配管58の温度は、熱交換部57における加熱によって下流側の方が温度が上昇するので、温度が上昇した戻り配管58の下流部を、冷却器4の空気流の上流側のフィンに近接させることで、霜が過度に成長することを抑制することができ、霜によるフィン間流路の閉塞に起因する冷却性能の低下が生じ難い冷蔵庫1とすることができる。
【0072】
また、本実施形態の冷蔵庫1は、戻り配管58の熱交換部57(加熱部)に断熱部材90を配設している(図9参照)。これにより、加熱部の熱が庫内の低温空気に伝わりにくくなるので、庫内の熱負荷上昇を抑えられ、省エネルギー性能が高い冷蔵庫1となる。
【0073】
また、本実施形態の冷蔵庫1は、断熱箱体10に形成された貯蔵室3内に気流を形成する庫内ファン9と、庫内ファン9の駆動により貯蔵室3に空気を送る風路(送風ダクト20及び吐出口21a、21b、21c、21d)と、貯蔵室3から冷却器室8に空気を戻す戻り開口22と、樋30に設けた排水口31と、排水口31に接続される排水管32と、排水管32と接続される蒸発皿42とを備える。排水口31は、冷却器4の空気流入面4aより下流であって庫内ファン9より上流(吸込み側)の領域に配置されている。これにより、ユーザが食品等を挟むことによって扉2と断熱箱体10との間に隙間ができた場合においても、庫外から水分を多く含んだ空気が貯蔵室3内に流入し難くでき、貯蔵室3内に霜や結露が生じ難い冷蔵庫1となる。理由を以下で説明する。
【0074】
一般に風路に配されたファンを駆動すると、ファンの上流側(吸込み側)はファンの下流側(吐出側)に対して負圧となる。本実施形態の冷蔵庫1では、排水口31を、冷却器4の空気流入面4aより下流であって庫内ファン9より上流(吸込み側)の領域に配置しており、排水口31は庫内ファン9の駆動時には、庫内ファン9の上流側の負圧になる領域に開口することになる。これにより、扉2と断熱箱体10との間に隙間ができた場合には、庫外から排水管32、排水口31を介して負圧となる冷却器室8に空気が流入して、庫内ファン9の下流側(吐出側)であって大気圧に対して正圧となる貯蔵室3から扉2の隙間を介して空気が流出する流れが形成されることで、貯蔵室3に庫外から水分を多く含んだ空気が貯蔵室3内に流入し難くでき、貯蔵室3内に霜や結露が生じ難い冷蔵庫1となる。
【0075】
また、本実施形態の冷蔵庫1は、断熱箱体10外の底部に設けられた機械室25に、放熱器50(コンデンサ)、圧縮機24、蒸発皿42、庫外送風機29を備え、庫外送風機29により機械室25の前面に設けた吸引口27と排気口28から空気を吸排気して放熱器50と圧縮機24を冷却するように構成され、排水口31が庫外送風機29の下流側に配置されている。これにより、庫外送風機29の駆動により蒸発皿42近傍に正圧が形成されるので、ユーザが食品等を挟むことによって扉2と断熱箱体10との間に隙間ができた場合においても、庫外から排水管32、排水口31を介して冷却器室8に空気が流入して、庫内ファン9の下流側(吐出側)の貯蔵室3から扉2の隙間を介して空気が流出する流れが形成されやすくなるので、貯蔵室3に庫外から水分を多く含んだ空気が貯蔵室3内に流入し難くでき、貯蔵室3内に霜や結露が生じ難い冷蔵庫1となる。
【0076】
本実施形態の冷蔵庫1は、冷却器4と、冷蔵温度帯の貯蔵室3と、貯蔵室3内に気流を形成する庫内ファン9と、貯蔵室3の前方開口を閉鎖可能な扉2と、貯蔵室3内に配された固定、又は、着脱自在な棚(棚34b)と、食品の載置面34cと、載置面34cの略直下方の領域を含んで配された冷却器室8とを備え、載置面34cの温度を上昇させる温度補償手段を備えている。これにより、冷蔵温度帯の貯蔵室3に収納した食品が凍結することを抑制した信頼性の高い冷蔵庫1を提供することができる。理由を以下で説明する。
【0077】
一般に、冷蔵温度帯の貯蔵室を冷却する場合であっても、貯蔵室内を十分冷却するためには冷却器温度をマイナス温度とすることが必要となり、それに伴って冷却器室8内の温度もマイナス温度となる。一方、冷却器室の上部に形成される食品の載置面には様々な食品が収納される可能性がある。このとき、載置面上の食品が断熱性が高い(熱伝導性が低い)食品(例えば、パン)であった場合、食品の下面(載置面と接する面)近傍の温度が低下して、貯蔵室温度が冷蔵室温度であっても凍結に至ることがある。この問題に対する解決手段として、冷却器室と載置面との間に断熱性の高い断熱材を配置したり、断熱材の厚さを大きくすることで断熱性を向上させることが考えられるが、断熱性を向上させても、断熱性を有する食品を載置した場合には、十分な効果を得ることができず、食品が凍結に至ることがある。そこで、本実施形態の冷蔵庫1では、食品の載置面34c(棚34bの上面)の温度を上昇させる手段(温度補償手段)を備え(図12参照)、冷蔵温度帯の貯蔵室3に収納した食品が凍結することを抑制した信頼性が高い冷蔵庫1としている。
【0078】
また、本実施形態の冷蔵庫1は、温度補償手段として、冷却器4に冷媒が供給されない状態で、庫内ファン9を駆動して、貯蔵室3への送風を行っている(図12参照)。これにより、冷媒が供給されない状態となった冷却器4の温度が上昇することで冷却器室8の温度も上がり、食品の載置面34cの下部から冷却され難くなるので、効果的に食品の載置面34cの温度を上げることができ、食品が凍結に至ることを防ぐことができる。
【0079】
また、本実施形態の冷蔵庫1は、温度補償手段として、冷却器室8と食品の載置面34cとの間に、流路76を配し(図7参照)、冷却器4に冷媒が供給されない状態で、庫内ファン9を駆動して、貯蔵室3への送風を行っている(図12参照)。これにより、冷却器4に冷媒が供給されている状態で庫内ファン9を駆動している状態においては、流路76に気流が生じることで、冷却器室8からの熱伝導による冷却が緩和される。さらに、冷却器4に冷媒が供給されない状態において、温度が上昇した気流が流路76を流れるので、効果的に食品の載置面34cの温度を上げることができる。したがって、より食品が凍結に至るリスクを下げた運転を実施できる。
【0080】
また、本実施形態の冷蔵庫1は、載置面34cの後方に形成される流路R1の隙間寸法L1と、載置面34cの前方に形成される流路R2の隙間寸法L2を、L1<L2を満足するようにしている(図7参照)。これにより、貯蔵室3内を流れる気流の主流を載置面34cの前方の扉2側に流すことができる。逆に載置面34cの後方の流路R1に主流が流れるようにすると、熱侵入により温度が上昇しやすい扉2に近い領域を良好に冷やせなくなるため、上記構成を採用することにより、貯蔵室3内の全体を良好に冷却できるようになる。
【0081】
また、本実施形態の冷蔵庫1は、食品の載置面34cの後方に形成される流路R1の隙間寸法L1と、食品の載置面34cの下部に形成される流路76の隙間寸法L3を、L1<L3を満足するようにしている。これにより、流路R1が流路76よりも狭くなるので、過剰な気流が流路76を流れることがなくなり、貯蔵室3の全体が良好に冷却されやすくなる。
【0082】
また、本実施形態の冷蔵庫1は、貯蔵室3を、冷却器室8の上方から前方にわたって形成し、貯蔵室3の空気を冷却器室8に戻す戻り開口22を前方に開口するとともに、冷却器室8の上面側に向かう速度成分を有するように指向させる指向手段を備えている。例えば、指向手段として、戻り開口22の前方開口寸法(鉛直方向開口寸法)L4と、奥行開口寸法(水平方向開口寸法)L5の関係を、L4>L5としている(図7参照)。これにより、貯蔵室3を流れて温度が上昇した空気が、冷却器室8の上面側を流れるようになり、上方の食品の載置面34cの温度が低下し難くすることができる。
【0083】
また、本実施形態の冷蔵庫1は、冷却器室8が冷却器4の上面側に該冷却器4をバイパスするバイパス流路77を備えている(図7参照)。これにより、貯蔵室3を流れて温度が上昇した空気の一部がバイパス流路77を流れるようになるので、上方の食品の載置面34cの温度を、より低下し難くすることができる。
【0084】
また、本実施形態の冷蔵庫1は、貯蔵室3の食品温度を推定する温度推定手段(貯蔵室温度センサ45)を備え、温度推定手段により食品温度の低下を推定した場合に、温度補償手段により食品の載置面34cの温度を上昇させるようにしている(図12の送風運転参照)。これにより、無駄なく、より確実に食品の凍結を抑制することができる。
【0085】
また、本実施形態の冷蔵庫1は、貯蔵室温度センサ45を、載置面34cの上部に形成される貯蔵室3に配置している。これにより、より確実に食品が凍結に至るリスクを推定することができる。
【0086】
また、本実施形態の冷蔵庫1は、断熱材5を含んで構成された断熱箱体10の内箱18よりも庫内側に設けられる冷却ユニット250を備える。冷却ユニット250は、冷却器4と、庫内ファン9と、収容体67と、を有する。冷却器4及び庫内ファン9が、収容体67に収容されている。これにより、ユニット化することで、冷蔵庫1への組付け作業が容易になる。
【0087】
また、本実施形態の冷蔵庫1は、冷却ユニット250が、圧縮機24の吸込側に接続される戻り配管58と、冷却器4の上流側に接続されるキャピラリチューブ53と、を有する。戻り配管58及びキャピラリチューブ53はいずれも、内箱18及び断熱材5に設けられた貫通孔18z,5zを貫通している。これにより、内箱18と断熱材5との隙間に結露が生じることを抑制できる。
【0088】
また、本実施形態の冷蔵庫1は、冷却ユニット250が、冷却器4の下流側に接続される殻状の気液分離器54と、気液分離器54に設置されるヒータ54aと、を有する。これにより、気液分離器54の結露を抑制することができる。
【0089】
また、本実施形態の冷蔵庫1は、冷却器4の下側に設けられる樋30と、樋30に接続される排水管32と、を備える。樋30の一部又は排水管32は、内箱18及び断熱材5に設けられた貫通孔18v,5vを貫通している。排水管32の上流端は、庫内ファン9の吸込側の空間に連通し、排水管32の下流端は、圧縮機24が設けられる機械室25に連通している。これにより、仮に扉2と断熱箱体10との間に隙間が形成された場合であっても、貯蔵室3内に湿り空気が入り込みにくくなり、内箱18に結露が生じることを抑制できる。
【0090】
なお、本発明は前述した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば本実施形態の冷蔵庫は、冷蔵温度帯の貯蔵室を1つ備えているが、複数の冷蔵温度帯の貯蔵室を備えたり、冷凍温度帯の貯蔵室と冷蔵温度帯の貯蔵室を備えた冷蔵庫の冷蔵温度帯の貯蔵室に本発明の構成を適用したり、冷蔵温度帯と冷凍温度帯に切り替え可能な貯蔵室の冷蔵温度設定時に本発明の構成を適用することもできる。また、温度補償手段として電気ヒータを採用して、より確実に食品の凍結を防ぐようにしてもよい。すなわち、前述した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
【0091】
図14は、本実施形態に係る冷蔵庫1のトッププレート12を外した上面図である。図15は、扉センサ96の正面図である。
図14に示すように、トッププレート12と天井板13との間には、例えば貯蔵室3内に配され、制御系基板から延びるメイン配線98が案内される。このメイン配線98は、貯蔵室3の壁面に設けられた孔(不図示)を通って断熱材5と外板11との間に達し、この間の空間を這うようにして上方に延び、トッププレート12と天井板13との間に案内される。また、メイン配線98は、天井板13の中央前側に配された庫内灯基板97に接続している。庫内灯基板97には、メイン配線98に信号を伝える中継線94(94L,94R)が接続している。また、メイン配線98には、中継線94との信号だけでなく庫内灯基板97との信号のやり取りにも使われるが、扉2の開閉の検知のみに関してであれば、必ずしも庫内灯基板97を介してメイン配線98と中継線94とを接続する必要はなく、これらが直接接続されていてもよい。
【0092】
図15に示すように、天井板13の前縁には、扉2の開閉を検知するホールセンサ961,962と、ホールセンサ961,962の信号を出力する端子963(後記する図16参照)とを備えた扉センサ96が配されている。中継線94は、端子963に接続している。扉センサ96は、天井板13の前縁の左右端側の領域96L,96Rどちらかのうち反ヒンジ側に配されることができる。本実施形態では、回動式の扉2は、右端にヒンジ95Rが配されてこれを回動軸としているため、扉センサ96は、反ヒンジ側である左端側の領域96Lに配されている。なお、扉2は反ヒンジ側端部に永久磁石2M(後記する図16参照)を備えており、これがホールセンサに接近すると扉センサ96は扉閉を検知する。こうすることで、冷蔵庫1には、右開きと左開きのどちらの扉2を取付ても、反ヒンジ側に扉センサ96を取り付けることができるため、扉2の開閉の検知をしやすい。
【0093】
また、扉センサ96は、左右に並んだ例えば2つのホールセンサ961,962のうち、反ヒンジ側の一方が使用される。図16は、右側にヒンジ95Rを備える右開き扉の場合の概略図である。図17は、左側にヒンジ95Lを備える左開き扉の場合の概略図である。なお、メイン配線98と中継線94はそれぞれ、複数の配線が束ねられており、各々の配線を図示しているため実際の幅寸法よりかなり誇張して描かれている。
【0094】
端子963は、少なくとも、ホールセンサ961,962それぞれの信号に対応する少なくとも2ピンの端子である。図16では4ピンを描いている。図16における右開きの例では、2つのホールセンサ961,962のうち反ヒンジ側のホールセンサ961の信号のみを使用すべく、中継線94Lとしては、反ヒンジ側のホールセンサ961に対応するピンに接続する配線941Lを備えるが、ヒンジ側のホールセンサ962に対応するピンに接続する配線941Rを備えないものを用いる。
【0095】
一方、図17における左開きの例では、2つのホールセンサ961,962のうち反ヒンジ側のホールセンサ962の信号のみを使用すべく、中継線94Rとしては、反ヒンジ側のホールセンサ962に対応するピンに接続する配線941Rを備えるが、ヒンジ側のホールセンサ961に対応するピンに接続する配線941Lを備えないものを用いる。
【0096】
こうすることで、断熱材5と外板11との間を長い距離に亘って這うメイン配線98は1種類のみとしながら、中継線94を2種類使い分けることとなる。中継線94はトッププレート12を取り外すだけで交換可能であるが、メイン配線98は外板11を取り外す必要があり、交換が容易でない。このため、メイン配線98を1種類として共用化し、中継線94を使い分けるようにすることで、誤組付した場合の修正を容易にすることができる。
【0097】
ところで、本実施形態の冷蔵庫1は、貯蔵室3内にコントロールパネル(不図示)を備えている。コントロールパネルをユーザが操作することで、貯蔵室3の温度設定を変更するなど、種々の設定ができる。本実施形態のコントロールパネルは、冷蔵庫1が唯1つの貯蔵室を備えるのみであることから、例えば2つのみ、操作ボタンを備える。
【0098】
冷蔵庫1のメンテナンスや修理をサービスパーソンがすることがある。サービスパーソンのサービス提供に便利なサービスモードを始めるために、コントロールパネルに所定のコマンドを入力する必要がある冷蔵庫1の機種が知られている。本実施形態の冷蔵庫1において、そのようなコマンドを準備するとなると、ボタン数が少ないことから、非常に煩雑なコマンドになってしまったり、ユーザが偶然に所定のコマンドを入力する虞がある程度に単純なコマンドになってしまうことが想定される。
【0099】
このため、本実施形態の冷蔵庫1では、サービスモードを開始する条件として、「扉センサ96が扉2の閉を検知している状態で、コントロールパネルを操作すること」を設定した。このようにコントロールパネル以外の条件で、しかも、通常はユーザが行わない行動が開始条件に含まれるため、上記の不都合を解消できる。
【0100】
具体的には、扉2の永久磁石2Mとは別に、サービスパーソンにて永久磁石を準備し、扉2を開いた状態で扉センサ96のホールセンサ961,962のうち、使用されている方に永久磁石を近接させる。こうすることで実際には扉2が開いているにも拘らず、扉2が閉まっていると扉センサ96に(誤った)検知をさせることができる。コントロールパネルは貯蔵室3内にあることから、通常の冷蔵庫の使用態様では、扉2が閉まっている状態でコントロールパネルが操作されることはあり得ない。このため、サービスモードをユーザが意図せず開始してしまう事態を抑制できる。
【0101】
このような「貯蔵室3内にコントロールパネルを備えた冷蔵庫1において、サービスモードを開始する条件として、貯蔵室3を塞ぐ扉2の扉センサ96に閉を検知させた状態でコントロールパネルに所定のコマンドを入力させる」という条件は、特に、コントロールパネルのボタン数が少ない、例えば3つ以下の場合に有効である。
【0102】
図18は、本実施形態に係る冷蔵庫の外板11を外した状態を背面視した図である。
図18に示すように、冷蔵庫1の外板11を外した状態では、断熱材5が露出した状態である。断熱材5は、天井面に設置される断熱材5a、背面中央部に設置される断熱材5b、背面下部に設置される断熱材5c、左側面に設置される断熱材5d、右側面に設置される断熱材5eに分割されている。断熱材5a~5eの間のそれぞれの合わせ目501は、金属テープ、例えばアルミニウムテープ200によって覆われて互いが接合されている。このように水蒸気の透過を抑制する効果が高いアルミニウム製のテープで合わせ目501を覆うように接合しているので、断熱材5の庫外側に侵入した水蒸気が、低温となる庫内側に移動することで結露が生じることを抑制できる。また、天井面から機械室25にわたって配設されるメイン配線98もアルミニウムテープ200によって覆われて設置されており、メイン配線98の周りの結露を生じ難くしている。
【0103】
また、外板11の内面側(断熱材5側)には、背面をジグザグに蛇行して這わされた壁面放熱配管51が、壁面放熱配管51に沿って壁面放熱配管51上に貼付された金属テープ、例えばアルミニウムテープ201によって固定されている(アルミニウムテープ201の縁を短破線で描いている。)。このアルミニウムテープ201の幅は、放熱配管51の幅より大きい。壁面放熱配管51を熱伝導率が高い金属であるアルミニウム製のテープで外板11に固定することで、壁面放熱配管51からアルミニウムを介して外板11に良好に熱が伝わり、放熱性能が向上する。また、アルミニウムテープ200とアルミニウムテープ201は、一部が重なるように配されており、外板11を取り付けた状態において、アルミニウムテープ200とアルミニウムテープ201の一部が略接触状態となる。このようにアルミニウムテープ200とアルミニウムテープ201を配置することで、壁面放熱配管51から放出される熱が、アルミニウムテープ201を流れてアルミニウムテープ200に伝わり、断熱材5a~5eの間の合わせ目501や、メイン配線98の周りを良好に加熱することができる。これにより、合わせ目501や、メイン配線98の周りに結露が生じ難くなる。
【0104】
なお、外板11に固定された壁面放熱配管51と対向する位置と、メイン配線98が設置される位置の断熱材5には図示しない溝が形成されており、外板11を取り付けた状態において、壁面放熱配管51やメイン配線98は溝に収納された状態となる。これにより、外板11を取り付けた際に、外板11や断熱材5が変形することを防いでいる。
【0105】
本願は、次の技術的思想を包含する。
[付記1-1]
冷却器と、冷蔵温度帯の貯蔵室と、該貯蔵室内に気流を形成する庫内送風機と、該貯蔵室の前方開口を閉鎖可能な扉と、前記貯蔵室内に配された固定の棚又は着脱自在な棚と、食品の載置面と、該載置面の略直下方の領域を含んで配された、前記冷却器を収納する冷却器室と、を備え、前記載置面の温度を上昇させる温度補償手段を備えている冷蔵庫。
[付記1-2]
前記温度補償手段として、前記冷却器に冷媒が供給されない状態で、前記貯蔵室への送風を行うことを特徴とする付記1-1に記載の冷蔵庫。
[付記1-3]
前記温度補償手段として、前記冷却器室と前記載置面との間に、流路を配し、前記冷却器に冷媒が供給されない状態で、前記貯蔵室への送風を行うことを特徴とする付記1-1に記載の冷蔵庫。
[付記1-4]
前記載置面の後方に形成される流路の隙間寸法L1と、前記載置面の前方に形成される流路の隙間寸法L2を、L1<L2を満足するようにしたことを特徴とする付記1-3に記載の冷蔵庫。
[付記1-5]
前記載置面の後方に形成される流路の隙間寸法L1と、前記載置面の下部に形成される流路の隙間寸法L3を、L1<L3を満足するようにしたことを特徴とする付記1-3または付記1-4に記載の冷蔵庫。
[付記1-6]
前記貯蔵室を、前記冷却器室の上方から前方にわたって形成し、前記貯蔵室の空気を前記冷却器室に戻す戻り開口を前方に開口するとともに、前記冷却器室の上面側に向かう速度成分を有するように指向させる指向手段を備えたことを特徴とする付記1-2に記載の冷蔵庫。
[付記1-7]
前記冷却器室は、前記冷却器の上面側に該冷却器をバイパスするバイパス流路を備えたことを特徴とする付記1-2に記載の冷蔵庫。
[付記1-8]
前記貯蔵室の食品温度を推定する温度推定手段を備え、
前記温度推定手段に基づいて、前記食品温度の低下を推定した場合に、前記温度補償手段により前記載置面の温度を上昇させることを特徴とする付記1-1に記載の冷蔵庫。
[付記1-9]
前記温度推定手段として、温度センサを前記載置面の上部に形成される前記貯蔵室に配置したことを特徴とする付記1-8に記載の冷蔵庫。
[付記1-10]
断熱材を含んで構成された断熱箱体の内箱よりも庫内側に設けられる冷却ユニットを備え、
前記冷却ユニットは、前記冷却器と、ファンと、収容体と、を有し、
前記冷却器及び前記庫内送風機が、前記収容体に収容されていることを特徴とする付記1-1に記載の冷蔵庫。
[付記1-11]
前記冷却ユニットは、圧縮機の吸込側に接続される出口配管と、前記冷却器の上流側に接続されるキャピラリチューブと、を有し、
前記出口配管及び前記キャピラリチューブはいずれも、前記内箱及び前記断熱材に設けられた第1貫通孔を貫通していることを特徴とする付記1-10に記載の冷蔵庫。
[付記1-12]
前記冷却ユニットは、前記冷却器の下流側に接続される殻状の気液分離器と、前記気液分離器に設置されるヒータと、を有することを特徴とする付記1-10に記載の冷蔵庫。
[付記1-13]
前記冷却器の下側に設けられる樋と、
前記樋に接続される排水管と、を備え、
前記樋の一部又は前記排水管は、前記内箱及び前記断熱材に設けられた第2貫通孔を貫通しており、
前記排水管の上流端は、前記ファンの吸込側の空間に連通し、
前記排水管の下流端は、圧縮機が設けられる機械室に連通していることを特徴とする付記1-10に記載の冷蔵庫。
[付記1-14]
前記冷却器の下部に樋を備え、
前記貯蔵室と前記冷却器を収納する冷却器室とを連通する戻り開口を備え、
前記樋の少なくとも一部分が、前記冷却器及び前記戻り開口の間に位置し、かつ、前記冷却器との間に1mm以上の隙間L9を備えることを特徴とする付記1-1に記載の冷蔵庫。
【符号の説明】
【0106】
1 冷蔵庫
2 扉
3 貯蔵室
4 冷却器
5,5a,5b,5c,5d,5e 断熱材
5v 貫通孔
5z 貫通孔
6 扉第二断熱材
7 扉第一断熱材
8 冷却器室
9 庫内ファン(庫内送風機)
10 断熱箱体
11 外板
11v 貫通孔
11z 貫通孔
12 トッププレート
13 天井板
14 前面パネル
15 扉内面部材
16a 上面部材
16b 下面部材
17 前縁鋼板
18 内箱
18 貫通孔
18z 貫通孔
19 シール部材
20 送風ダクト(風路)
21a,21b,21c,21d 吐出口(風路)
22 戻り開口
24 圧縮機
25 機械室
27 吸引口
28 排気口
29 庫外送風機
30 樋
31 排水口
32 排水管
33 棚
34a,34b 棚
34c 載置面
35 容器
45 貯蔵室温度センサ
50 放熱器(放熱配管)
51 壁面放熱配管(放熱配管、加熱配管)
52 結露抑制配管(放熱配管)
53 キャピラリチューブ(加熱配管)
54 気液分離器
54a ヒータ
55 ドライヤ
57 熱交換部(加熱部)
58 戻り配管(出口配管)
59 吐出配管
60 電気ヒータ
66 気液分離器収納スペース
67 収容体
70 基板収納箱
76 流路
77 バイパス流路
80 連通孔(隙間)
90 断熱部材
94R 中継線
94L 中継線
941R扉開閉信号
942L扉開閉信号
95R,95L ヒンジ
96 扉センサ
961 ホールセンサ
962 ホールセンサ
963 出力部
964 出力部
98 メイン配線
150 冷凍サイクル
151 接続配管(放熱配管)
200 アルミニウムテープ(別の金属テープ)
201 アルミニウムテープ(金属テープ)
250 冷却ユニット
501 合わせ目
961,962 ホールセンサ(センサ)
L10 長さ(隙間の内部を通過する長さ)
L20 長さ(隙間の出口配管の上流側の長さ)
図1
図2
図3
図4
図5
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