(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023155611
(43)【公開日】2023-10-23
(54)【発明の名称】燃料電池ユニット
(51)【国際特許分類】
H01M 8/04 20160101AFI20231016BHJP
H01M 8/2465 20160101ALI20231016BHJP
H01M 8/2484 20160101ALI20231016BHJP
【FI】
H01M8/04 Z
H01M8/2465
H01M8/2484
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022065037
(22)【出願日】2022-04-11
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】川本 祐大
【テーマコード(参考)】
5H126
5H127
【Fターム(参考)】
5H126EE13
5H127AB04
5H127BA02
5H127BA28
5H127BA33
5H127BA57
5H127EE28
(57)【要約】
【課題】燃料電池ユニットを設備に搭載する際に気液分離器が作業台に接触しにくくなる燃料電池ユニットを提供すること。
【解決手段】燃料電池ユニット10は、互いに反対側に位置する第1側面20a及び第2側面20bを有する燃料電池スタック20と、第1側面20a側に設けられており、積層体から排出されるオフガスを水素と水とに分離する気液分離器74と、を備えている。第1直交方向Bで燃料電池スタック20を見たとき、気液分離器74の一部は、燃料電池スタック20よりも突出している。気液分離器74の一部が燃料電池スタック20よりも突出している方向を突出方向Dとする。燃料電池ユニット10は、突出方向Dにおいて気液分離器74よりも突出している支持部90を更に備える。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の燃料電池セルが積層された積層体により少なくとも構成されており、互いに反対側に位置する第1側面及び第2側面を有する燃料電池スタックと、
前記第1側面側に設けられており、前記積層体から排出されるオフガスを水素と水とに分離する気液分離器と、を備える燃料電池ユニットであって、
前記第1側面及び前記第2側面が位置する方向に直交する方向のいずれかから前記燃料電池スタックを見たとき、前記気液分離器の少なくとも一部は、前記燃料電池スタックよりも突出しており、
前記気液分離器の少なくとも一部が前記燃料電池スタックよりも突出している方向を突出方向とすると、
前記燃料電池ユニットは、前記突出方向において前記気液分離器よりも突出している支持部を更に備えることを特徴とする燃料電池ユニット。
【請求項2】
全ての前記燃料電池セルが積層される方向を積層方向とすると、前記燃料電池スタックは、前記積層方向において前記燃料電池スタックの最も外側に位置している第1エンドプレート及び第2エンドプレートを有しており、
前記第1側面及び前記第2側面が位置する方向は前記積層方向であり、
前記第1エンドプレートは、前記第1側面を有しており、
前記第2エンドプレートは、前記第2側面を有しており、
前記燃料電池ユニットは、前記第1エンドプレート及び前記第2エンドプレートに固定されており、前記支持部が設けられているプレートを更に備えている、請求項1に記載の燃料電池ユニット。
【請求項3】
前記突出方向が鉛直方向の下向きに一致するように設備に搭載される前記燃料電池ユニットであって、
前記燃料電池スタックは、前記積層体への水素の供給口、及び前記オフガスの排出口を有するスタックマニホールドを更に有しており、前記排出口は、前記供給口よりも下方に位置している、請求項1又は請求項2に記載の燃料電池ユニット。
【請求項4】
前記突出方向が鉛直方向の下向きに一致するように設備に搭載される前記燃料電池ユニットであって、
前記燃料電池ユニットは、自身を前記設備に載置するために前記設備に予め設置される搭載用フレームを備え、
前記搭載用フレームは、前記支持部が挿入される挿入部を有している、請求項1又は請求項2に記載の燃料電池ユニット。
【請求項5】
全ての前記燃料電池セルが積層される方向を積層方向とすると、前記燃料電池スタックは、前記積層方向において前記燃料電池スタックの最も外側に位置している第1エンドプレート及び第2エンドプレートを有しており、
前記第1側面及び前記第2側面が位置する方向は前記積層方向であり、
前記第1エンドプレートは、前記第1側面を有しており、
前記第2エンドプレートは、前記第2側面を有しており、
前記燃料電池ユニットは、前記第1エンドプレート及び前記第2エンドプレートに固定されており、前記支持部が設けられているプレートを更に備え、
前記プレートには、前記突出方向に突出するリブが設けられており、
前記搭載用フレームには、前記搭載用フレームを厚さ方向に貫通しており、前記リブが挿通される貫通孔が設けられている、請求項4に記載の燃料電池ユニット。
【請求項6】
前記突出方向が鉛直方向の下向きに一致するように設備に搭載される前記燃料電池ユニットであって、
前記気液分離器に接続されており、前記オフガスから分離された水を排出するための排水流路を更に備え、
前記排水流路は、前記気液分離器から前記燃料電池スタックの下方に配策されている、請求項1又は請求項2に記載の燃料電池ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、気液分離器の構成が記載されている。
上記の気液分離器は、燃料電池スタックから排出されるオフガスを水素と水とに分離する。燃料電池スタックは、複数の燃料電池セルを積層することにより構成されている。複数の燃料電池セルが積層される方向を積層方向とする。燃料電池スタックは、積層方向において第1側面及び第2側面を有している。気液分離器は、積層方向における燃料電池スタックの片側の第1側面に密着するように一体化されている。オフガスに含まれる水を燃料電池スタックから気液分離器に排出することを考えると、気液分離器の少なくとも一部が燃料電池スタックの下面よりも鉛直方向の下方に位置することが好ましい。なお、燃料電池スタック及び気液分離器は、例えば燃料電池車のような設備に搭載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
燃料電池スタックと気液分離器の組立体を設備に搭載する前の準備段階では、組立体は、例えば、燃料電池スタックの第2側面を鉛直方向の下方にした状態で作業台に載置される。準備段階にある組立体を設備に搭載するとき、気液分離器の少なくとも一部が、燃料電池スタックの下面よりも鉛直方向の下方となるように準備段階にある組立体を作業台から起こす。
【0005】
このとき、燃料電池スタックの下面から突出している気液分離器の少なくとも一部が作業台に接触する虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する燃料電池ユニットは、複数の燃料電池セルが積層された積層体により少なくとも構成されており、互いに反対側に位置する第1側面及び第2側面を有する燃料電池スタックと、前記第1側面側に設けられており、前記積層体から排出されるオフガスを水素と水とに分離する気液分離器と、を備える燃料電池ユニットであって、前記第1側面及び前記第2側面が位置する方向に直交する方向のいずれかから前記燃料電池スタックを見たとき、前記気液分離器の少なくとも一部は、前記燃料電池スタックよりも突出しており、前記気液分離器の少なくとも一部が前記燃料電池スタックよりも突出している方向を突出方向とすると、前記燃料電池ユニットは、前記突出方向において前記気液分離器よりも突出している支持部を更に備える。
【0007】
上記構成によれば、燃料電池スタックの第2側面を鉛直方向の下方にした状態で作業台に配置された燃料電池ユニットを、気液分離器の少なくとも一部が、燃料電池スタックよりも鉛直方向の下方となるように作業台から起こしたとしても、支持部が作業台に接触することにより気液分離器が作業台に接触しにくい。よって、燃料電池ユニットを設備に搭載する際に気液分離器が作業台に接触しにくくなる。
【0008】
上記の燃料電池ユニットにおいて、前記燃料電池スタックは、前記積層方向において前記燃料電池スタックの最も外側に位置している第1エンドプレート及び第2エンドプレートを有しており、前記第1側面及び前記第2側面が位置する方向は前記積層方向であり、前記第1エンドプレートは、前記第1側面を有しており、前記第2エンドプレートは、前記第2側面を有しており、前記燃料電池ユニットは、前記第1エンドプレート及び前記第2エンドプレートに固定されており、前記支持部が設けられているプレートを更に備えているとよい。
【0009】
上記構成によれば、気液分離器の少なくとも一部が鉛直方向の下方となるように燃料電池ユニットを作業台から起こしたとき、支持部に作用する荷重はプレート、第1エンドプレート、第2エンドプレートにも伝わる。よって、支持部に作用する荷重を分散させることができる。
【0010】
上記の燃料電池ユニットにおいて、前記突出方向が鉛直方向の下向きに一致するように設備に搭載される前記燃料電池ユニットであって、前記燃料電池スタックは、前記積層体への水素の供給口、及び前記オフガスの排出口を有するスタックマニホールドを更に有しており、前記排出口は、前記供給口よりも下方に位置しているとよい。
【0011】
上記構成によれば、オフガスに含まれる水が排出口から重力により効率良く気液分離器に向けて排出される。よって、燃料電池ユニットの排水性を向上できる。
上記の燃料電池ユニットにおいて、前記突出方向が鉛直方向の下向きに一致するように設備に搭載される前記燃料電池ユニットであって、前記燃料電池ユニットは、自身を前記設備に載置するために前記設備に予め設置される搭載用フレームを備え、前記搭載用フレームは、前記支持部が挿入される挿入部を有しているとよい。
【0012】
上記構成によれば、燃料電池ユニットを設備に搭載する際に支持部を挿入部に挿入することにより、燃料電池ユニットを設備に搭載する際の位置決めをしやすくなる。このため、燃料電池ユニットを設備に搭載する際に燃料電池ユニットを設備内に搭載された他の部品に接触することを抑制できる。
【0013】
上記の燃料電池ユニットにおいて、前記燃料電池スタックは、前記積層方向において前記燃料電池スタックの最も外側に位置している第1エンドプレート及び第2エンドプレートを有しており、前記第1側面及び前記第2側面が位置する方向は前記積層方向であり、前記第1エンドプレートは、前記第1側面を有しており、前記第2エンドプレートは、前記第2側面を有しており、前記燃料電池ユニットは、前記第1エンドプレート及び前記第2エンドプレートに固定されており、前記支持部が設けられているプレートを更に備え、前記プレートには、前記突出方向に突出するリブが設けられており、前記搭載用フレームには、前記搭載用フレームを厚さ方向に貫通しており、前記リブが挿通される貫通孔が設けられているとよい。
【0014】
上記構成によれば、燃料電池ユニットを設備に搭載したときに燃料電池ユニットが搭載用フレームから回動しようとしても、リブが貫通孔の内周面に引っかかる。よって、搭載用フレーム上での燃料電池スタックの回動を抑制できる。
【0015】
上記の燃料電池ユニットにおいて、前記突出方向が鉛直方向の下向きに一致するように設備に搭載される前記燃料電池ユニットであって、前記気液分離器に接続されており、前記オフガスから分離された水を排出するための排水流路を更に備え、前記排水流路は、前記気液分離器から前記燃料電池スタックの下方に配策されているとよい。
【0016】
上記構成によれば、設備において排水流路の配策に使用するスペースを新たに設ける必要がない。よって、設備内のスペースを有効利用できる。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、燃料電池ユニットを設備に搭載する際に気液分離器が作業台に接触しにくくなる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】燃料電池ユニットの基本構成を示す斜視図である。
【
図2】燃料電池スタックへの循環系統の取り付け手法を示した概略図である。
【
図4】プレート、支持部、リブの配置を示した概略図である。
【
図5】設備内に搭載された燃料電池ユニットを示す側面図である。
【
図6】搭載用フレームの構成を示した概略図である。
【
図7】燃料電池ユニットの作用を示した概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、燃料電池ユニットを具体化した一実施形態を
図1~
図6にしたがって説明する。
<燃料電池ユニットの基本構成>
図1に示すように、燃料電池ユニット10は、燃料電池スタック20と、循環系統70とを備えている。
【0020】
<燃料電池スタックの構成>
燃料電池スタック20は、積層体30と、第1集電板41と、第2集電板42と、第1絶縁板51と、第2絶縁板52と、スタックマニホールド60と、第1エンドプレート61と、第2エンドプレート62と、により構成されている。
【0021】
積層体30は、複数の燃料電池セル31を有している。燃料電池セル31は、矩形板状である。燃料電池セル31をその厚さ方向で見たとき、燃料電池セル31は、互いに平行に延びる一対の第1縁部31aと、互いに平行に延びる一対の第2縁部31bとを有している。
【0022】
積層体30は、全ての燃料電池セル31を厚さ方向に積層することにより構成されている。積層体30は、矩形ブロック状である。全ての燃料電池セル31が積層される方向を積層方向Aとする。積層体30は、第1面S1と、第2面S2と、第3面S3と、第4面S4と、第5面S5と、第6面S6とを有している。
【0023】
第1面S1は、積層体30における積層方向Aの面である。第1面S1は、燃料電池セル31の厚さ方向の1つの面である。
第2面S2は、積層体30における積層方向Aの面である。第2面S2は、燃料電池セル31の厚さ方向の1つの面である。第1面S1及び第2面S2は、積層体30において積層方向Aで互いに反対側に位置している。
【0024】
第3面S3は、全ての燃料電池セル31における一対の第1縁部31aの一方が積層方向Aに積層されることにより形成されている。第4面S4は、全ての燃料電池セル31における一対の第1縁部31aの他方が積層方向Aに積層されることにより形成されている。
【0025】
第3面S3及び第4面S4は、積層体30における積層方向Aに直交する方向の面である。第3面S3及び第4面S4は、積層体30において互いに反対側に位置している。積層体30において、第3面S3及び第4面S4が配置される方向を第1直交方向Bとする。
【0026】
第5面S5は、全ての燃料電池セル31における一対の第2縁部31bの一方が積層方向Aに積層されることにより形成されている。第6面S6は、全ての燃料電池セル31における一対の第2縁部31bの他方が積層方向Aに積層されることにより形成されている。
【0027】
第5面S5及び第6面S6は、積層体30における積層方向Aに直交する方向の面である。第5面S5及び第6面S6は、積層体30において互いに反対側に位置している。積層体30において、第5面S5及び第6面S6が配置される方向を第2直交方向Cとする。
【0028】
第1集電板41は、積層体30の第1面S1に積層されている。第2集電板42は、積層体30の第2面S2に積層されている。第1集電板41及び第2集電板42は、積層体30により発電された電力を集電する。第1絶縁板51は、第1集電板41における積層体30とは反対側の面に積層されている。第2絶縁板52は、第2集電板42における積層体30とは反対側の面に積層されている。
【0029】
スタックマニホールド60は、第1絶縁板51における第1集電板41とは反対側の面に積層されている。第1エンドプレート61は、スタックマニホールド60における第1絶縁板51とは反対側に積層されている。第2エンドプレート62は、第2絶縁板52における第2集電板42とは反対側の面に積層されている。第1エンドプレート61及び第2エンドプレート62は、積層方向Aにおいて燃料電池スタック20の最も外側に位置している。第1絶縁板51は、第1集電板41と第1エンドプレート61との絶縁を確保する。第2絶縁板52は、第2集電板42と第2エンドプレート62との絶縁を確保する。
【0030】
燃料電池ユニット10は、積層体30と、第1集電板41と、第2集電板42と、第1絶縁板51と、第2絶縁板52と、スタックマニホールド60と、第1エンドプレート61と、第2エンドプレート62と、を積層方向Aに積層したスタック構造となっている。
【0031】
積層方向Aにおいて、第1エンドプレート61の積層体30とは反対側の側面61aは、燃料電池スタック20の第1側面20aである。積層方向Aにおいて、第2エンドプレート62の積層体30とは反対側の側面62aは、燃料電池スタック20の第2側面20bである。第1側面20a及び第2側面20bは、燃料電池スタック20において互いに反対側に位置している。燃料電池スタック20は、積層方向Aにおいて第1側面20a及び第2側面20bを有している。第1エンドプレート61は、第1側面20aを有している。第2エンドプレート62は、第2側面20bを有している。
【0032】
燃料電池スタック20において、第1側面20a及び第2側面20bが位置する方向は、積層方向Aである。第1直交方向B及び第2直交方向Cは、積層方向Aに直交する方向である直交方向である。第1直交方向B及び第2直交方向Cは、第1側面20a及び第2側面20bが位置する方向に直交する方向である。第1直交方向Bは、無数に存在する直交方向のうちの1つである。第2直交方向Cは、無数に存在する直交方向のうちの1つである。
【0033】
スタックマニホールド60は、積層体30に水素を供給したり、積層体30から排出されるオフガスを流通するための吸排気経路を構成する部材である。スタックマニホールド60は、吸気経路60aと、排気経路60bとを有している。
【0034】
吸気経路60aは、第1エンドプレート61をその厚さ方向に貫通している。吸気経路60aは、第1エンドプレート61の側面61aに露出した供給口H1を有している。供給口H1は、積層体30への水素の供給口である。スタックマニホールド60は、供給口H1を有している。なお、吸気経路60aは、図示しないが第1絶縁板51及び第1集電板41を貫通して積層体30にまで延びている。
【0035】
排気経路60bは、第1エンドプレート61をその厚さ方向に貫通している。排気経路60bは、第1エンドプレート61の側面61aから露出した排出口H2を有している。排出口H2は、積層体30から排出されるオフガスの排出口である。スタックマニホールド60は、排出口H2を有している。なお、排気経路60bは、図示しないが第1絶縁板51及び第1集電板41を貫通して積層体30にまで延びている。
【0036】
供給口H1及び排出口H2は、第1直交方向Bにおいて離れている。第1直交方向Bにおいて、供給口H1は、第4面S4寄りに配置されている。第1直交方向Bにおいて、排出口H2は、第3面S3寄りに配置されている。
【0037】
供給口H1及び排出口H2は、第2直交方向Cにおいて離れている。第2直交方向Cにおいて、供給口H1は、第5面S5寄りに配置されている。第2直交方向Cにおいて、排出口H2は、第6面S6寄りに配置されている。
【0038】
<循環系統の構成>
循環系統70は、水素供給流路71と、固定ブラケット72と、水素循環ポンプ73と、気液分離器74と、排出流路75と、バイパス流路76と、排水流路77と、を有している。
【0039】
水素供給流路71は、供給口H1に接続されている。水素供給流路71は、図示しないインジェクタから噴出された水素が流れる配管である。
固定ブラケット72は、第1エンドプレート61の側面61aに固定されている。固定ブラケット72は、第1エンドプレート61の側面61aから積層方向Aに突出している。固定ブラケット72には、水素循環ポンプ73が固定されている。
【0040】
気液分離器74は、水素循環ポンプ73に接続されている。水素循環ポンプ73と気液分離器74とは、第2直交方向Cにおいて並んでいる。積層方向Aにおいて燃料電池スタック20の第1側面20aを正面視すると、水素循環ポンプ73及び気液分離器74は、第1直交方向Bにおいて排出口H2と並んでいる。気液分離器74は、固定ブラケット72及び水素循環ポンプ73により燃料電池スタック20の第1側面20a側に設けられている。
【0041】
排出流路75は、排出口H2に接続されている。排出流路75は、気液分離器74に接続されている。排出流路75は、積層体30から排出されるオフガスを気液分離器74に導入する配管である。気液分離器74は、オフガスを水素と水とに分離する。気液分離器74により分離された水素は、水素循環ポンプ73に向けて流れる。排水流路77は、気液分離器74に接続されている。気液分離器74により分離された水は、排水流路77から外部に排出される。排水流路77は、オフガスから分離された水を排出するための配管である。
【0042】
バイパス流路76は、水素循環ポンプ73と水素供給流路71とを接続する配管である。バイパス流路76には、水素循環ポンプ73から吐出される水素が水素供給流路71に向けて流れる。すなわち、燃料電池スタック20から排出されたオフガス中の水素は、循環系統70により燃料電池スタック20に戻される。
【0043】
図1及び
図2に示すように、第1直交方向Bで燃料電池スタック20を見たとき、第2直交方向Cにおいて、気液分離器74の一部が燃料電池スタック20よりも突出している。すなわち、積層方向Aに直交する方向のいずれかで燃料電池スタック20を見たとき、気液分離器74の一部が燃料電池スタック20よりも突出している。そして、気液分離器74の一部が燃料電池スタック20から突出している方向を突出方向Dとする。本実施形態では、突出方向Dは、第2直交方向Cに含まれる方向である。
【0044】
<燃料電池スタックへの循環系統の取り付け手法>
図2に示すように、燃料電池スタック20に循環系統70を接続する場合、燃料電池スタック20の第2側面20bを作業台Pに載置する。その上で、第2直交方向Cにおいて、気液分離器74の一部が燃料電池スタック20から突出するように、第1側面20aに固定ブラケット72、水素循環ポンプ73、及び気液分離器74を取り付ける。
【0045】
そして、燃料電池ユニット10の基本構成が例えば燃料電池フォークリフト等の設備に搭載される場合、オフガスに含まれる水を排出することを考えると、燃料電池ユニット10の基本構成は、突出方向Dが鉛直方向Vdの下向きに一致するように設備に搭載される。
【0046】
燃料電池ユニット10の基本構成を設備に搭載するとき、気液分離器74の一部が、燃料電池スタック20の第6面S6よりも鉛直方向Vdの下方となるように燃料電池ユニット10の基本構成を作業台Pから起こすと、気液分離器74が作業台Pに接触する。
【0047】
本実施形態では、燃料電池ユニット10を作業台Pから起こしたとき、気液分離器74の作業台Pへの接触を抑制する構成が採用されている。以下、その構成について説明する。
【0048】
<プレート、支持部、及びリブの構成>
図3に示すように、燃料電池ユニット10は、プレート80と、支持部90と、リブ95とを有している。プレート80は、第2直交方向Cにおいて燃料電池スタック20の第6面S6に対向している。プレート80は、積層方向A及び第1直交方向Bに延びる平板状である。プレート80と第1エンドプレート61との間、及びプレート80と第2エンドプレート62との間の各々には、ゴムマウントMが配置されている。プレート80は、複数のボルトBoにより第1エンドプレート61及び第2エンドプレート62に固定されている。複数のボルトBoの各々は、ゴムマウントMを貫通している。
【0049】
プレート80において、第2直交方向Cにおける積層体30とは反対側に位置する面を外面80aとする。突出方向Dにおいて、気液分離器74の一部は、プレート80の外面80aよりも突出している。
【0050】
支持部90は、プレート80に設けられている。支持部90は、プレート80の外面80aから突出方向Dに突出している。突出方向Dにおいて、支持部90は、気液分離器74よりも突出している。すなわち、燃料電池ユニット10は、突出方向Dにおいて気液分離器74よりも突出している支持部90を備えている。
【0051】
リブ95は、プレート80に設けられている。リブ95は、プレート80の外面80aから突出方向Dに突出している。突出方向Dにおいて、リブ95は、気液分離器74よりも突出している。すなわち、燃料電池ユニット10は、突出方向Dにおいて気液分離器74よりも突出しているリブ95を備えている。
【0052】
図4に示すように、プレート80は、第1直交方向Bに長縁が延びており、且つ積層方向Aに短縁が延びている矩形板状をなしている。支持部90は、1つの第1支持部91と、2つの第2支持部92とを有している。
【0053】
第1支持部91は、積層方向Aにおいて、プレート80における一対の長縁のうち一方に隣り合っている。第1直交方向Bにおいて、第1支持部91は、プレート80の一対の長縁のうちの一方における中央と同じ位置に配置されている。第2直交方向Cで第1支持部91を見たとき、第1支持部91は、第1直交方向Bに長縁が延びる矩形状をなしている。すなわち、第1支持部91は、積層方向Aに厚さを有する板状である。
【0054】
2つの第2支持部92は、プレート80における一対の長縁のうち他方に隣り合っている。2つの第2支持部92の1つは、プレート80における一対の短縁のうち一方に隣り合っており、2つの第2支持部92の残りは、プレート80における一対の短縁のうち他方に隣り合っている。すなわち、2つの第2支持部92は、プレート80の四隅のうち2つに配置されている。第2直交方向Cで複数の支持部90を見たとき、複数の支持部90は、複数の支持部90の各々を結ぶ仮想線が三角形をなすように配置されている。
【0055】
第2直交方向Cで2つの第2支持部92を見たとき、2つの第2支持部92の各々は、L状である。2つの第2支持部92は、第1部分92aと、第2部分92bとを有している。第1部分92aは、第2支持部92のうちプレート80の長縁に沿って延びる部分である。第1部分92aは、第1直交方向Bに延びている。第2部分92bは、第1部分92aと直交するように設けられている。第2部分92bは、第2支持部92のうちプレート80の短縁に沿って延びる部分である。第2部分92bは、積層方向Aに延びている。
【0056】
プレート80には、2つのリブ95が設けられている。2つのリブ95の1つは、プレート80の一対の短縁のうち一方に隣り合っており、2つのリブ95の残りは、プレート80の一対の短縁のうち他方に隣なっている。第2直交方向Cで2つのリブ95を見たとき、2つのリブ95は、第1直交方向Bに延びる矩形状をなしている。すなわち、2つのリブ95は、積層方向Aに厚さを有する板状である。第2直交方向Cで2つのリブ95を見たとき、各リブ95は、第2支持部92に隣り合っている。2つのリブ95は、積層方向Aにおいて1つの第1支持部91と2つの第2支持部92との間に配置されている。
【0057】
<燃料電池ユニットの設備への搭載、及び搭載用フレームの構成>
図5に示すように、燃料電池ユニット10は、突出方向Dが鉛直方向Vdの下向きに一致するように設備100に搭載される。すなわち、第2直交方向Cが鉛直方向Vdに一致するように、燃料電池ユニット10が設備100に搭載される。設備100は、例えば、燃料電池フォークリフトである。設備100は、燃料電池ユニット10を収容するための収容部110を備えている。設備100に燃料電池ユニット10が搭載された状態において、
図1に示す排出口H2は、供給口H1よりも下方に位置している。
【0058】
燃料電池ユニット10は、搭載用フレーム96を備えている。搭載用フレーム96は、燃料電池ユニット10を設備100に載置するために設備100に予め設置されている。搭載用フレーム96は、鉛直方向Vdにおいてプレート80の外面80aに対向している。搭載用フレーム96は、積層方向A及び第1直交方向Bに延びる平板状である。搭載用フレーム96は、収容部110の底110aから鉛直方向Vdの上側に離れた位置に配置されている。搭載用フレーム96は、図示しない固定部により底110aから離れた状態に維持されている。
【0059】
図6に示すように、搭載用フレーム96は、第1直交方向Bに長縁が延びており、且つ積層方向Aに短縁が延びている矩形板状をなしている。搭載用フレーム96は、支持部90が挿入される挿入部96aと、2つのリブ95が挿通される貫通孔96bとを有している。
【0060】
挿入部96aは、1つの開口部961と、2つの貫通孔962とを有している。開口部961は、搭載用フレーム96における一対の長縁のうち一方の中央に開口している。開口部961には、第1支持部91が挿入されている。第2直交方向Cで開口部961を見たとき、開口部961の形状は、第1支持部91の輪郭に沿った形状となっている。開口部961の大きさは、搭載用フレーム96上で燃料電池スタック20の位置を調整するときに第1支持部91を開口部961内で微小にずらすことができる程度の大きさである。なお、開口部961の大きさは、第1支持部91と同じ大きさであってもよい。
【0061】
2つの貫通孔962は、搭載用フレーム96をその厚さ方向に貫通している。2つの貫通孔962を鉛直方向Vdで見たとき、2つの貫通孔962は、L状をなしている。2つの貫通孔962の各々には、第2支持部92が挿入されている。第2直交方向Cで2つの貫通孔962の各々を見たとき、2つの貫通孔962の形状は、2つの第2支持部92に沿った形状となっている。すなわち、第2直交方向Cで2つの貫通孔962の各々を見たとき、2つの貫通孔962の形状は、L状をなしている。貫通孔962の大きさは、搭載用フレーム96上で燃料電池スタック20の位置を調整するときに第2支持部92が貫通孔962内で微小にずらすことができる程度の大きさである。なお、貫通孔962の大きさは、第2支持部92と同じ大きさであってもよい。
【0062】
2つの貫通孔96bの各々には、リブ95が挿通されている。プレート80の外面80aからのリブ95の長さは、搭載用フレーム96の厚さよりも大きい。このため、2つのリブ95は、搭載用フレーム96を厚さ方向に貫通している。第2直交方向Cで2つの貫通孔96bを見たとき、2つの貫通孔96bの形状は、2つのリブ95の輪郭に沿った形状となっている。すなわち、第2直交方向Cで2つの貫通孔96bを見たとき、2つの貫通孔96bの形状は、矩形状である。貫通孔96bの大きさは、搭載用フレーム96上で燃料電池スタック20の位置を調整するときにリブ95が貫通孔96b内で微小にずらすことができる程度の大きさである。なお、貫通孔96bの大きさは、リブ95と同じ大きさであってもよい。また、搭載用フレーム96は、複数のボルトBoを避けるように設けられた複数の開口部96cを有している。複数の開口部96cにより、搭載用フレーム96にプレート80を載置する際にボルトBoが搭載用フレーム96に干渉しない。
【0063】
図5に示すように、搭載用フレーム96と、燃料電池ユニット10の収容部の底110aとの間の距離は、支持部90及びリブ95のプレート80の外面80aからの長さよりも大きい。すなわち、搭載用フレーム96に燃料電池スタック20を載置しても、支持部90及びリブ95が底110aに接触することがない。搭載用フレーム96と底110aとの間の空間Spは、支持部90及びリブ95が設備100に接触しないように形成されている。
【0064】
搭載用フレーム96にプレート80が載置された状態において、排水流路77は、気液分離器74から燃料電池スタック20及び搭載用フレーム96の下方に配策されている。排水流路77は、空間Spに配策されている。
【0065】
<本実施形態の作用>
本実施形態の作用を説明する。
図7に示すように、燃料電池ユニット10を設備100に搭載する前の準備段階では、燃料電池ユニット10は、第2側面20bを鉛直方向Vdの下方にした状態で作業台Pに配置されている。そして、準備段階の燃料電池ユニット10を設備100に搭載する際、作業台Pに配置された燃料電池ユニット10を、気液分離器74の一部を鉛直方向Vdの下方となるように作業台Pから起こす。すると、支持部90が作業台Pに接触し、且つ気液分離器74が作業台Pに接触しない。
【0066】
<本実施形態の効果>
本実施形態の効果を説明する。
(1)気液分離器74を鉛直方向Vdの下方となるように燃料電池ユニット10を作業台Pから起こしたとしても、支持部90が作業台Pに接触することにより気液分離器74が作業台Pに接触しにくい。よって、燃料電池ユニット10を設備100に搭載する際に気液分離器74が作業台Pに接触しにくくなる。
【0067】
(2)気液分離器74の一部が鉛直方向Vdの下方となるように燃料電池ユニット10を作業台Pから起こしたとき、支持部90に作用する荷重はプレート80、第1エンドプレート61、第2エンドプレート62にも伝わる。よって、支持部90に作用する荷重を分散させることができる。
【0068】
(3)燃料電池ユニット10は、突出方向Dが鉛直方向Vdの下向きに一致するように設備100に搭載される。この状態において、排出口H2は、供給口H1よりも下方に位置している。よって、オフガスに含まれる水が排出口H2から重力により効率良く気液分離器74に向けて排出される。よって、燃料電池ユニット10の排水性を向上できる。
【0069】
(4)燃料電池ユニット10を設備100に搭載する際に支持部90を搭載用フレーム96の挿入部96aに挿入することにより、燃料電池ユニット10を設備100に搭載する際の位置決めをしやすくなる。このため、燃料電池ユニット10を設備100に搭載する際に、燃料電池ユニット10を設備100内に搭載された他の部品に接触することを抑制できる。
【0070】
(5)燃料電池ユニット10を設備100に搭載したときに燃料電池ユニット10が搭載用フレーム96から回動しようとしても、リブ95が貫通孔96bの内周面に引っかかりやする。よって、搭載用フレーム96上からの燃料電池スタック20の回動を抑制できる。
【0071】
(6)排水流路77は、空間Spに配策されている。空間Spは、支持部90及びリブ95が配置されるためのスペースとしてだけでなく、排水流路77を配策するためのスペースとしても利用できる。このため、設備100において排水流路77の配策に使用するスペースを新たに設ける必要がない。よって、設備100内のスペースを有効利用できる。
【0072】
(7)第2直交方向Cで複数の支持部90を見たとき、複数の支持部90は、複数の支持部90の各々を結ぶ仮想線が三角形をなすように配置されている。このため、気液分離器74が鉛直方向Vdの下方に位置するように燃料電池ユニット10を作業台Pに起立した状態で維持する場合、1つの第1支持部91と、2つの第2支持部92とにより燃料電池ユニット10をバランス良く3点支持できる。
【0073】
(8)第2支持部92は、L状となるように第1部分92aと第2部分92bとを有している。例えば、第2支持部92が第1部分92a、又は第2部分92bのみで構成されている場合と比較すると、第1部分92aが第2部分92bを補強しつつも、第2部分92bが第1部分92aを補強している。このため、第2支持部92が作業台Pに接触しても、第2支持部92に発生する応力は、第1部分92a及び第2部分92bにより分散される。よって、第2支持部92の耐久性を向上させることができる。
【0074】
<変更例>
なお、上記各実施形態は、以下のように変更して実施できる。上記各実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施できる。
【0075】
○ 排水流路77は、空間Spに配策されていなくてもよい。排水流路77の配策経路は、適宜変更してもよい。
○ リブ95及び貫通孔96bの形状は、適宜変更してもよい。第2直交方向Cで見た貫通孔96bの形状は、リブ95の輪郭に沿った形状であることが好ましい。
【0076】
○ プレート80からリブ95を省略してもよい。この場合、搭載用フレーム96から貫通孔96bを省略してもよい。
○ 第1支持部91及び開口部961の形状は、適宜変更してもよい。第2直交方向Cで見た開口部961の形状は、第1支持部91の輪郭に沿った形状であることが好ましい。
【0077】
○ 第2支持部92及び貫通孔962の形状は、適宜変更してもよい。第2直交方向Cで見た貫通孔962の形状は、第2支持部92の輪郭に沿った形状であることが好ましい。
【0078】
○ 第1支持部91は、第2支持部92と同じ構成としてもよい。また、第2支持部92を第1支持部91と同じ構成としてもよい。
○ 支持部90は、複数の第1支持部91と、2つの第2支持部92とを有していてもよい。
【0079】
○ 支持部90は、1つの第1支持部91と、3つ以上の第2支持部92とを有していてもよい。支持部90は、1つの第1支持部91と、1つの第2支持部92とを有していてもよい。
【0080】
○ 第2支持部92を省略することにより支持部90を第1支持部91のみで構成してもよい。第1支持部91を省略することにより支持部90を第2支持部92のみで構成してもよい。
【0081】
○ 搭載用フレーム96において、挿入部96aは、1つの開口部961と、2つの貫通孔962とを有している。1つの開口部961は、第1支持部91が挿入される貫通孔に変更してもよい。2つの貫通孔962は、搭載用フレーム96の長縁又は短縁に開口する開口部に変更してもよい。挿入部96aは、支持部90を挿入することができれば形状を適宜変更してもよい。
【0082】
○ 燃料電池ユニット10は、搭載用フレーム96を備えていたが、これに限らない。例えば、搭載用フレーム96は、設備100の構成としてもよい。
○ 突出方向Dが鉛直方向Vdの下向きと一致するように燃料電池ユニット10が設備100に搭載されていたが、これに限らない。例えば、少なくとも鉛直方向Vdの下向きの成分を含む方向に突出方向Dが一致していればよい。このとき、鉛直方向Vdにおいて、排出口H2は、供給口H1と同じ位置であってもよいし、供給口H1よりも上方に位置してもよい。
【0083】
○ 燃料電池ユニット10は、プレート80を割愛してもよい。この場合、支持部90を第1エンドプレート61及び第2エンドプレート62に直接固定してもよい。具体的には、第1支持部91を第1エンドプレート61に固定し、且つ第2支持部92を第2エンドプレート62に固定するように変更してもよい。支持部90の数も適宜変更してもよい。例えば、支持部90を第1エンドプレート61に固定された1つの第1支持部91のみとしてもよいし、支持部90を第2エンドプレート62に固定された1つ、又は2つの第2支持部92のみとしてもよい。
【0084】
○ 循環系統70は、固定ブラケット72により第1エンドプレート61の側面61aに固定されていたが、これに限らない。例えば、水素循環ポンプ73を第1エンドプレート61に直接的に固定するように変更することにより循環系統70を燃料電池スタック20の第1側面20a側に設けるようにしてもよい。また、気液分離器74は、水素循環ポンプ73に接続されていたが、例えば、スタックマニホールド60の排出口H2に直接的に固定されるように変更することにより気液分離器74を第1側面20a側に設けるようにしてもよい。
【0085】
○ 燃料電池スタック20は、第1集電板41、第2集電板42、第1絶縁板51、第2絶縁板52、スタックマニホールド60、第1エンドプレート61、及び第2エンドプレート62を省略したうえで、積層体30のみにより構成されてもよい。すなわち、燃料電池スタック20は、少なくとも積層体30により構成されていればよい。このように変更する場合、積層体30の第1面S1が、燃料電池スタック20の第1側面20aとなり、且つ積層体30の第2面S2が、燃料電池スタック20の第2側面20bとなる。そして、循環系統70を積層体30の第1面S1に設けるように変更する。
【0086】
このとき、積層体30のうちスタックマニホールド60の吸気経路60aと接続されていた部分を水素の供給口とする。当該供給口には、水素供給流路71が接続される。また、積層体30のうちスタックマニホールド60の排気経路60bと接続されていた部分をオフガスの排出口とする。当該排出口には、排出流路75を介して気液分離器74を接続してもよい。また、当該排出口に直接的に気液分離器74を接続してもよい。すなわち、気液分離器74は、燃料電池スタック20の第1側面20a側に設けられていればよい。なお、積層体30で発電された電力を集電するための構成として、例えば、積層体30の第5面S5に積層体30で発電された電力を集電するためのコネクタを新たに追加することが好ましい。コネクタの追加する箇所は、第5面S5に限らず、第3面S3、第4面S4、第6面S6のいずれであってもよい。
【0087】
○ 気液分離器74の一部が、突出方向Dにおいて燃料電池スタック20から突出していたが、例えば、気液分離器74の全体が、突出方向Dにおいて燃料電池スタック20から突出していてもよい。すなわち、気液分離器74の少なくとも一部が、燃料電池スタック20から突出していればよい。
【0088】
○ 例えば、第2直交方向Cで燃料電池スタック20を見たとき、第1直交方向Bにおいて、気液分離器74の少なくとも一部が燃料電池スタック20よりも突出するように変更してもよい。すなわち、積層方向Aに直交する方向のいずれかで燃料電池スタック20を見たとき、気液分離器74の少なくとも一部が燃料電池スタック20よりも突出していればよい。そして、本変更例において、気液分離器74の少なくとも一部が燃料電池スタック20から突出している方向を突出方向Dとすると、突出方向Dは、第1直交方向Bに含まれる方向である。このように変更する場合、プレート80は、例えば、積層体30の第3面S3又は第4面S4に対向するように配置し、且つ支持部90をプレート80から突出方向Dに突出するように配置する。
【0089】
○ 燃料電池スタック20を積層体30のみにより構成する場合、気液分離器74は、第3面S3側に設けられていてもよい。すなわち、積層体30の第3面S3が、燃料電池スタック20の第1側面20aであり、且つ積層体30の第4面S4が燃料電池スタック20の第2側面20bであってもよい。
【0090】
気液分離器74は、第4面S4側に設けられていてもよい。すなわち、積層体30の第4面S4が燃料電池スタック20の第1側面20aであり、且つ積層体30の第3面S3が燃料電池スタック20の第2側面20bであってもよい。
【0091】
気液分離器74が第3面S3側又は第4面S4側に設けられるように変更される場合、第1側面20a及び第2側面20bが位置する方向は、第1直交方向Bである。そして、積層方向A及び第2直交方向Cが、第1側面20a及び第2側面20bが位置する方向に直交する方向である。
【0092】
気液分離器74が第3面S3側又は第4面S4側に設けられるように変更した場合、第1直交方向Bに直交する方向のいずれかから燃料電池スタック20を見たとき、気液分離器74の少なくとも一部が燃料電池スタック20から突出するように配置する。
【0093】
気液分離器は、第5面S5側に設けられていてもよい。すなわち、積層体30の第5面S5が燃料電池スタック20の第1側面20aであり、且つ積層体30の第6面S6が燃料電池スタック20の第2側面20bであってもよい。
【0094】
気液分離器は、第6面S6側に設けられていてもよい。すなわち、積層体30の第6面S6が燃料電池スタック20の第1側面20aであり、且つ積層体30の第5面S5が燃料電池スタック20の第2側面20bであってもよい。
【0095】
気液分離器74が第5面S5側又は第6面S6側に設けられるように変更される場合、第1側面20a及び第2側面20bが位置する方向は、第2直交方向Cである。そして、積層方向A及び第1直交方向Bが、第1側面20a及び第2側面20bが位置する方向に直交する方向である。
【0096】
気液分離器74が第5面S5側又は第6面S6側に設けられるように変更した場合、第2直交方向Cに直交する方向のいずれかから燃料電池スタック20を見たとき、気液分離器74の少なくとも一部が燃料電池スタック20から突出するように配置する。
【0097】
○ 設備100は、燃料電池フォークリフトに限らず、トーイングトラクター等の産業車両であってもよいし、定置型発電用の燃料電池であってもよい。
[付記]
実施形態及び変更例から把握できる技術的思想について記載する。
【0098】
[1]複数の燃料電池セルが積層された積層体により少なくとも構成されており、互いに反対側に位置する第1側面及び第2側面を有する燃料電池スタックと、前記第1側面側に設けられており、前記積層体から排出されるオフガスを水素と水とに分離する気液分離器と、を備える燃料電池ユニットであって、前記第1側面及び前記第2側面が位置する方向に直交する方向のいずれかから前記燃料電池スタックを見たとき、前記気液分離器の少なくとも一部は、前記燃料電池スタックよりも突出しており、前記気液分離器の少なくとも一部が前記燃料電池スタックよりも突出している方向を突出方向とすると、前記燃料電池ユニットは、前記突出方向において前記気液分離器よりも突出している支持部を更に備えることを特徴とする燃料電池ユニット。
【0099】
[2]全ての前記燃料電池セルが積層される方向を積層方向とすると、前記燃料電池スタックは、前記積層方向において前記燃料電池スタックの最も外側に位置している第1エンドプレート及び第2エンドプレートを有しており、前記第1側面及び前記第2側面が位置する方向は前記積層方向であり、前記第1エンドプレートは、前記第1側面を有しており、前記第2エンドプレートは、前記第2側面を有しており、前記燃料電池ユニットは、前記第1エンドプレート及び前記第2エンドプレートに固定されており、前記支持部が設けられているプレートを更に備えている、[1]に記載の燃料電池ユニット。
【0100】
[3]前記突出方向が鉛直方向の下向きに一致するように設備に搭載される前記燃料電池ユニットであって、前記燃料電池スタックは、前記積層体への水素の供給口、及び前記オフガスの排出口を有するスタックマニホールドを更に有しており、前記排出口は、前記供給口よりも下方に位置している、[1]又は[2]に記載の燃料電池ユニット。
【0101】
[4]前記突出方向が鉛直方向の下向きに一致するように設備に搭載される前記燃料電池ユニットであって、前記燃料電池ユニットは、自身を前記設備に載置するために前記設備に予め設置される搭載用フレームを備え、前記搭載用フレームは、前記支持部が挿入される挿入部を有している、[1]~[3]のいずれか一項に記載の燃料電池ユニット。
【0102】
[5]全ての前記燃料電池セルが積層される方向を積層方向とすると、前記燃料電池スタックは、前記積層方向において前記燃料電池スタックの最も外側に位置している第1エンドプレート及び第2エンドプレートを有しており、前記第1側面及び前記第2側面が位置する方向は前記積層方向であり、前記第1エンドプレートは、前記第1側面を有しており、前記第2エンドプレートは、前記第2側面を有しており、前記燃料電池ユニットは、前記第1エンドプレート及び前記第2エンドプレートに固定されており、前記支持部が設けられているプレートを更に備え、前記プレートには、前記突出方向に突出するリブが設けられており、前記搭載用フレームには、前記搭載用フレームを厚さ方向に貫通しており、前記リブが挿通される貫通孔が設けられている、[4]に記載の燃料電池ユニット。
【0103】
[6]前記気液分離器に接続されており、前記オフガスから分離された水を排出するための排水流路を更に備え、前記排水流路は、前記気液分離器から前記燃料電池スタックの下方に配策されている、[3]~[5]のいずれか一項に記載の燃料電池ユニット。
【符号の説明】
【0104】
10…燃料電池ユニット、20…燃料電池スタック、20a…第1側面、20b…第2側面、30…積層体、31…燃料電池セル、60…スタックマニホールド、61…第1エンドプレート、62…第2エンドプレート、74…気液分離器、77…排水流路、80…プレート、90…支持部、95…リブ、96…搭載用フレーム、96a…挿入部、96b…貫通孔、100…設備、A…積層方向、B…第1直交方向、C…第2直交方向、D…突出方向、Vd…鉛直方向、H1…供給口、H2…排出口。