(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023155612
(43)【公開日】2023-10-23
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
F21S 43/245 20180101AFI20231016BHJP
F21S 43/14 20180101ALI20231016BHJP
F21S 43/241 20180101ALI20231016BHJP
F21W 103/00 20180101ALN20231016BHJP
F21W 103/35 20180101ALN20231016BHJP
F21W 103/45 20180101ALN20231016BHJP
F21W 103/55 20180101ALN20231016BHJP
F21W 103/10 20180101ALN20231016BHJP
F21W 103/20 20180101ALN20231016BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20231016BHJP
【FI】
F21S43/245
F21S43/14
F21S43/241
F21W103:00
F21W103:35
F21W103:45
F21W103:55
F21W103:10
F21W103:20
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022065040
(22)【出願日】2022-04-11
(71)【出願人】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(72)【発明者】
【氏名】羽柴 一憲
(72)【発明者】
【氏名】中村 靖弘
(57)【要約】
【課題】導光体の分岐した発光面をより均一に発光させることを可能とした車両用灯具を提供する。
【解決手段】光源2と、光源2から出射された光Lを導光させる導光体3とを備え、導光体3は、光源2の前方に配置された第1の導光部4と、第1の導光部4から分岐して光源2の側方に向かって回り込むように延長された第2の導光部5と、第1の導光部4の背面側に位置して、光源2から出射された光Lを第1の導光部4の内部へと入射する入射部7と、第1の導光部4の第2の導光部5と対向する側に位置して、入射部7から入射した光Lの一部L1を第2の導光部5に向けて出射する側方出射部9とを有する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
前記光源から出射された光を導光させる導光体とを備え、
前記導光体は、前記光源の前方に配置された第1の導光部と、
前記第1の導光部から分岐して前記光源の側方に向かって回り込むように延長された第2の導光部と、
前記第1の導光部の背面側に位置して、前記光源から出射された光を前記第1の導光部の内部へと入射する入射部と、
前記第1の導光部の前記第2の導光部と対向する側に位置して、前記入射部から入射した光の一部を前記第2の導光部に向けて出射する側方出射部とを有することを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記導光体は、前記第1の導光部の前記第2の導光部と対向する側から前記光源の側方に向かって突出された突出部を有し、
前記側方出射部は、前記突出部を含む前記第1の導光部の前記第2の導光部と対向する側の側面から光を出射することを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記側方出射部は、当該側方出射部から出射される光を拡散させる複数の第1の拡散カットを含むことを特徴とする請求項2に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記導光体は、前記第1の導光部の正面側に位置して、前記入射部から入射した光の一部を前記第2の導光部に向けて反射する第1の反射部と、
前記第2の導光部の背面側に位置して、前記第2の導光部の内部で導光される光を前記第2の導光部の正面側に向けて反射する複数の第1の反射カットと、
前記第2の導光部の正面側に位置して、前記複数の第1の反射カットにより反射された光を前記第2の導光部の外部へと出射する第1の出射部とを有することを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載の車両用灯具。
【請求項5】
前記第1の出射部は、当該第1の出射部から出射される光を拡散させる複数の第2の拡散カットを含むことを特徴とする請求項4に記載の車両用灯具。
【請求項6】
前記導光体は、前記第1の導光部の正面側に位置して、前記入射部から入射した光の一部を前記第1の導光部の外部へと出射する第2の出射部と、
前記第1の導光部の前記入射部と前記第2の出射部との間に位置して、空気層を形成する凹部とを有し、
前記凹部は、前記入射部から入射した光の進行方向において前記空気層を挟んで互いに対向する導光出射面と導光入射面とを含み、
前記入射部から入射した光のうち、前記導光出射面から前記空気層へと出射された後、前記導光入射面から前記第1の導光部の内部へと入射した光を前記第2の出射部から出射することを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載の車両用灯具。
【請求項7】
前記第2の出射部は、当該第2の出射部から出射される光を拡散させる複数の第3の拡散カットを含むことを特徴とする請求項6に記載の車両用灯具。
【請求項8】
前記導光体は、前記第1の導光部の内部で導光される光の一部を前記凹部の底側に向けて反射した後、前記第1の導光部の正面側に向けて反射する第2の反射部を有することを特徴とする請求項6に記載の車両用灯具。
【請求項9】
前記導光体は、前記第1の導光部から分岐して前記第2の導光部が位置する側とは反対側に向かって延長された第3の導光部と、
前記第1の導光部の正面側に位置して、前記入射部から入射した光の一部を前記第3の導光部に向けて反射する第3の反射部と、
前記第3の導光部の背面側に位置して、前記第3の導光部の内部で導光される光を前記第3の導光部の正面側に向けて反射する複数の第2の反射カットと、
前記第3の導光部の正面側に位置して、前記複数の第2の反射カットにより反射された光を前記第3の導光部の外部へと出射する第3の出射部とを有することを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載の車両用灯具。
【請求項10】
前記第3の出射部は、前記第3の導光部の正面側において、前記第3の導光部の延長方向に延在し、且つ、前記第3の導光部の延長方向とは交差する方向に並ぶ複数の出射面と、
前記複数の出射面の互いに隣り合う間に位置して、前記第3の導光部の延長方向に延在する溝部とを有し、
前記複数の第2の反射カットにより反射された光を前記複数の出射面から外部へと出射することを特徴とする請求項9に記載の車両用灯具。
【請求項11】
前記導光体は、前記第3の導光部に向けて導光される光の一部を前記第3の導光部の延長方向とは交差する方向に向けて反射した後、前記溝部を挟んだ両側に位置する前記第3の導光部の正面側に向けて反射する第4の反射部を有することを特徴とする請求項10に記載の車両用灯具。
【請求項12】
前記導光体は、車両の前端側又は後端側のコーナー部に付与されるスラント形状に合わせて、車幅方向の内側よりも外側が後退する方向に向かって傾斜又は湾曲した形状を有し、且つ、前記第2の導光部が前記車幅方向の外側に位置し、前記第3の導光部が前記車幅方向の内側に位置することを特徴とする請求項9に記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両に搭載される車両用灯具として、発光ダイオード(LED)などの光源と、インナーレンズなどの導光体とを組み合わせたものが知られている。
【0003】
このような車両用灯具では、光源から出射された光を導光体の基端側から入射し、導光体の内部で反射を繰り返しながら、導光体の先端側に向けて光を導光させる。また、導光体の背面側に設けられた複数の反射カットで反射された光を導光体の正面側から出射する。これにより、導光体の正面側に設けられた発光面を発光させることが可能である。
【0004】
また、車両用灯具では、導光体に設けられた分岐部で光を分岐した後、この分岐部を挟んだ導光体の一方側と他方側との間に亘って設けられた発光面を発光させることが行われている(例えば、下記特許文献1を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述した導光体では、その一端から他端に向けて導光される光の光路長の違いによって、発光面に輝度ムラ(発光ムラ)が生じることがあった。すなわち、導光体の発光面に輝度ムラが生じた場合は、上述した発光面のうち、光路長が短い箇所よりも光路長が長い箇所の方が相対的に暗くなってしまう。
【0007】
特に、光源から出射された光を導光体に設けられた分岐部で分岐した後、導光体の一方側及び他方側に向けて光を導光させる場合、分岐部から一方側と他方側とに向けて導光される光の光路長の違いによって、輝度ムラの発生を抑制することが困難となる。
【0008】
このため、上記特許文献1に記載の発明では、導光体に入射した光のうち、分岐部を挟んだ一方側の導光部に向けて反射する一方の反射面に入射する光の割合と、分岐部を挟んだ他方側の導光部に向けて反射する他方の反射面に入射する光の割合とを、これら一方側の導光部と他方側の導光部との長さ(光路長)の違いに応じて調整することが行われている。
【0009】
しかしながら、このような構成の場合、一方側の導光部と他方側の導光部との長さの差が大きくなるほど、分岐部から短い方の導光部に向けて光を振り分けることが困難となり、一方側の導光部と他方側の導光部との間で不均一な発光となってしまう。
【0010】
特に、分岐部から光源の側方に向かって回り込むように延長された導光部では、振り分けられる光の割合が小さくなるほど、この導光部の内部で導光される光を先端側まで導光させることが困難となる。したがって、この場合、導光体の分岐した発光面をより均一に発光させることが困難となる。
【0011】
また、分岐部に入射した光は、上述した一方及び他方の反射面で反射されるため、この反射面が設けられた部分が他の部分よりも暗くなる暗部(発光ムラ)が発生してしまう。この場合も、導光体の分岐した発光面をより均一に発光させることが困難となる。
【0012】
本発明は、このような従来の事情に鑑みて提案されたものであり、導光体の分岐した発光面をより均一に発光させることを可能とした車両用灯具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
〔1〕 光源と、
前記光源から出射された光を導光させる導光体とを備え、
前記導光体は、前記光源の前方に配置された第1の導光部と、
前記第1の導光部から分岐して前記光源の側方に向かって回り込むように延長された第2の導光部と、
前記第1の導光部の背面側に位置して、前記光源から出射された光を前記第1の導光部の内部へと入射する入射部と、
前記第1の導光部の前記第2の導光部と対向する側に位置して、前記入射部から入射した光の一部を前記第2の導光部に向けて出射する側方出射部とを有することを特徴とする車両用灯具。
〔2〕 前記導光体は、前記第1の導光部の前記第2の導光部と対向する側から前記光源の側方に向かって突出された突出部を有し、
前記側方出射部は、前記突出部を含む前記第1の導光部の前記第2の導光部と対向する側の側面から光を出射することを特徴とする前記〔1〕に記載の車両用灯具。
〔3〕 前記側方出射部は、当該側方出射部から出射される光を拡散させる複数の第1の拡散カットを含むことを特徴とする前記〔2〕に記載の車両用灯具。
〔4〕 前記導光体は、前記第1の導光部の正面側に位置して、前記入射部から入射した光の一部を前記第2の導光部に向けて反射する第1の反射部と、
前記第2の導光部の背面側に位置して、前記第2の導光部の内部で導光される光を前記第2の導光部の正面側に向けて反射する複数の第1の反射カットと、
前記第2の導光部の正面側に位置して、前記複数の第1の反射カットにより反射された光を前記第2の導光部の外部へと出射する第1の出射部とを有することを特徴とする前記〔1〕~〔3〕の何れか一項に記載の車両用灯具。
〔5〕 前記第1の出射部は、当該第1の出射部から出射される光を拡散させる複数の第2の拡散カットを含むことを特徴とする前記〔4〕に記載の車両用灯具。
〔6〕 前記導光体は、前記第1の導光部の正面側に位置して、前記入射部から入射した光の一部を前記第1の導光部の外部へと出射する第2の出射部と、
前記第1の導光部の前記入射部と前記第2の出射部との間に位置して、空気層を形成する凹部とを有し、
前記凹部は、前記入射部から入射した光の進行方向において前記空気層を挟んで互いに対向する導光出射面と導光入射面とを含み、
前記入射部から入射した光のうち、前記導光出射面から前記空気層へと出射された後、前記導光入射面から前記第1の導光部の内部へと入射した光を前記第2の出射部から出射することを特徴とする前記〔1〕~〔3〕の何れか一項に記載の車両用灯具。
〔7〕 前記第2の出射部は、当該第2の出射部から出射される光を拡散させる複数の第3の拡散カットを含むことを特徴とする前記〔6〕に記載の車両用灯具。
〔8〕 前記導光体は、前記第1の導光部の内部で導光される光の一部を前記凹部の底側に向けて反射した後、前記第1の導光部の正面側に向けて反射する第2の反射部を有することを特徴とする前記〔6〕に記載の車両用灯具。
〔9〕 前記導光体は、前記第1の導光部から分岐して前記第2の導光部が位置する側とは反対側に向かって延長された第3の導光部と、
前記第1の導光部の正面側に位置して、前記入射部から入射した光の一部を前記第3の導光部に向けて反射する第3の反射部と、
前記第3の導光部の背面側に位置して、前記第3の導光部の内部で導光される光を前記第3の導光部の正面側に向けて反射する複数の第2の反射カットと、
前記第3の導光部の正面側に位置して、前記複数の第2の反射カットにより反射された光を前記第3の導光部の外部へと出射する第3の出射部とを有することを特徴とする前記〔1〕~〔3〕の何れか一項に記載の車両用灯具。
〔10〕 前記第3の出射部は、前記第3の導光部の正面側において、前記第3の導光部の延長方向に延在し、且つ、前記第3の導光部の延長方向とは交差する方向に並ぶ複数の出射面と、
前記複数の出射面の互いに隣り合う間に位置して、前記第3の導光部の延長方向に延在する溝部とを有し、
前記複数の第2の反射カットにより反射された光を前記複数の出射面から外部へと出射することを特徴とする前記〔9〕に記載の車両用灯具。
〔11〕 前記導光体は、前記第3の導光部に向けて導光される光の一部を前記第3の導光部の延長方向とは交差する方向に向けて反射した後、前記溝部を挟んだ両側に位置する前記第3の導光部の正面側に向けて反射する第4の反射部を有することを特徴とする前記〔10〕に記載の車両用灯具。
〔12〕 前記導光体は、車両の前端側又は後端側のコーナー部に付与されるスラント形状に合わせて、車幅方向の内側よりも外側が後退する方向に向かって傾斜又は湾曲した形状を有し、且つ、前記第2の導光部が前記車幅方向の外側に位置し、前記第3の導光部が前記車幅方向の内側に位置することを特徴とする前記〔9〕に記載の車両用灯具。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、本発明によれば、導光体の分岐した発光面をより均一に発光させることを可能とした車両用灯具を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態に係る車両用灯具を搭載した車両を示す上面図である。
【
図2】
図1に示す車両用灯具を正面側から見た斜視図である。
【
図3】
図1に示す車両用灯具を背面側から見た斜視図である。
【
図4】
図1に示す車両用灯具を上方側から見た上面図である。
【
図5】
図2に示す導光体の第2の導光部に向けて導光される光の光路を示す正面図である。
【
図6】
図3に示す導光体の第2の導光部に向けて導光される光の光路を示す背面図である。
【
図7】
図4に示す導光体の側方出射部から第2の導光部に向けて出射される光の光路を示す水平断面図である。
【
図8】
図4に示す導光体の第2の導光部に向けて導光される光の光路を示す水平断面図である。
【
図9】
図2に示す導光体の第2の出射部に向けて導光される光の光路を示す正面図である。
【
図10】
図4に示す導光体の第2の出射部に向けて導光される光の光路を示す水平断面図である。
【
図11】
図9中に示す線分A-Aによる導光体の断面において、第2の出射部に向けて導光される光の光路を示す鉛直断面図である。
【
図12】
図2に示す導光体の第3の導光部に向けて導光される光の光路を示す正面図である。
【
図13】
図12中に示す線分B-Bによる導光体の断面において、第3の導光部に向けて導光される光の光路を示す鉛直断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
なお、以下の説明で用いる図面においては、各構成要素を見やすくするため、構成要素によって寸法の縮尺を異ならせて示すことがあり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
【0017】
本発明の一実施形態として、例えば
図1~
図13に示す車両用灯具1について説明する。
なお、
図1は、車両用灯具1を搭載した車両Bを示す上面図である。
図2は、車両用灯具1を正面側から見た斜視図である。
図3は、車両用灯具1を背面側から見た斜視図である。
図4は、車両用灯具1を上方側から見た上面図である。
図5は、
図2に示す導光体3の第2の導光部5に向けて導光される光L1,L2の光路を示す正面図である。
図6は、
図3に示す導光体3の第2の導光部5に向けて導光される光L1,L2の光路を示す背面図である。
図7は、
図4に示す導光体3の側方出射部9から第2の導光部5に向けて出射される光L1の光路を示す水平断面図である。
図8は、
図4に示す導光体3の第2の導光部5に向けて導光される光L2,L2aの光路を示す水平断面図である。
図9は、
図2に示す導光体3の第2の出射部15に向けて導光される光L3,L4の光路を示す正面図である。
図10は、
図4に示す導光体3の第2の出射部15に向けて導光される光L3の光路を示す水平断面図である。
図11は、
図9中に示す線分A-Aによる導光体3の断面において、第2の出射部15に向けて導光される光L3,L4の光路を示す鉛直断面図である。
図12は、
図2に示す導光体3の第3の導光部6に向けて導光される光L5の光路を示す正面図である。
図13は、
図12中に示す線分B-Bによる導光体3の断面において、第3の導光部6に向けて導光される光L5a,L5b,L5cの光路を示す鉛直断面図である。
【0018】
また、以下に示す図面では、XYZ直交座標系を設定し、X軸方向を車両用灯具1の前後方向(長さ方向)、Y軸方向を車両用灯具1の左右方向(幅方向)、Z軸方向を車両用灯具1の上下方向(高さ方向)として、それぞれ示すものとする。
【0019】
本実施形態の車両用灯具1は、
図1に示すように、車両Bの後端側の両コーナー部(本実施形態では右後端側のコーナー部)に搭載されるリアコンビネーションランプRCLのうち、赤色発光するテールランプTLLに本発明を適用したものである。
【0020】
なお、以下の説明において、「前」「後」「左」「右」「上」「下」との記載は、特に断りのない限り、車両用灯具1を正面(車両後方)から見たときのそれぞれの方向を意味するものとする。したがって、車両Bを正面(車両前方)から見たときのそれぞれの方向とは、前後左右を逆にした方向となっている。
【0021】
具体的に、この車両用灯具1は、
図2~
図4に示すように、複数(本実施形態では2つ)の光源2と、インナーレンズとなる導光体3とを備え、これらが
図1に示す灯体50の内側に配置された構造を有している。
【0022】
なお、灯体50は、前面が開口したハウジング51と、このハウジング51の開口を覆う透明なアウターレンズ(カバーレンズ)52とにより構成される。
【0023】
本実施形態では、車両Bの後端側のコーナー部に付与されるスラント形状に合わせて、車両Bの幅方向(Y軸方向)(以下、「車幅方向」という。)の内側(-Y軸側)よりも外側(+Y軸側)が後退する方向に向かって、アウターレンズ52が湾曲した形状を有している。
【0024】
なお、アウターレンズ52については、このような湾曲した形状に限らず、車幅方向の内側よりも外側が後退する方向に向かって傾斜した形状であってもよい。また、灯体50の形状については、車両Bのデザイン等に合わせて、適宜変更することが可能である。
【0025】
複数の光源2は、
図3~
図8に示すように、赤色光(以下、「光」という。)Lを発するLEDからなり、このLEDを駆動する駆動回路が設けられた回路基板(図示せず。)の面上に実装されて、車両Bの後方に向けて光Lを放射状に出射する。
【0026】
複数の光源2は、互いに間隔を設けた状態で、車両Bの上下方向(Z軸方向)に並んで配置されている。また、複数の光源2は、同じ回路基板の同一面上に設けられて、互いに同一方向に向けて光Lを放射状に出射する構成となっている。
【0027】
導光体3は、
図2~
図8に示すように、例えばポリカーボネイトやアクリル等の透明樹脂やガラスなどの光透過性部材からなり、上述した車両Bの後端側のコーナー部に付与されるスラント形状に合わせて、全体として車幅方向の内側よりも外側が後退する方向に向かって湾曲した長板形状を有している。
【0028】
具体的に、この導光体3は、各光源2の前方に配置された複数(本実施形態では2つ)の第1の導光部4と、第1の導光部4から分岐して光源2の側方に向かって回り込むように延長された第2の導光部5と、第1の導光部4から分岐して第2の導光部5が位置する側とは反対側に向かって延長された第3の導光部6とを有している。
【0029】
このうち、第1の導光部4は、第2の導光部5と第3の導光部6との間から導光体3の背面側(-X軸側)に向かって突出して設けられている。一方、第2の導光部5は、第1の導光部4を挟んだ車幅方向の外側に位置して、車両Bの側方の湾曲に沿って第3の導光部6よりも短く延長して設けられている。一方、第3の導光部6は、第1の導光部4を挟んだ車幅方向の内側に位置して、車両Bの後方の湾曲に沿って第2の導光部5よりも長く延長して設けられている。
【0030】
導光体3は、第1の導光部4の背面側に位置して、各光源2から出射された光Lを第1の導光部4の内部へと入射する複数(本実施形態では2つ)の入射部7を有している。複数の入射部7は、複数の光源2の各々に対応して、第1の導光部4の上下方向(Z軸方向)の両側に並んで配置されている。
【0031】
各入射部7は、各光源2と対向する部分の中央に位置して、光源2から出射された光Lの一部が入射する第1の集光入射面7aと、第1の集光入射面7aの周囲を囲む位置から光源2側に突出した部分の内周側に位置して、光源2から出射された光Lの一部が入射する第2の集光入射面7bと、突出した部分の外周側に位置して、第2の集光入射面7bから入射した光Lを反射する集光反射面7cとを有している。
【0032】
入射部7では、光源2から出射された光Lのうち、第1の集光入射面7aから入射した光Lを光源2から出射された光Lの光軸寄りに集光させる。一方、第2の集光入射面7bから入射した光Lを集光反射面7cで反射させることによって光源2から出射された光Lの光軸寄りに集光させる。
【0033】
これにより、入射部7では、光源2から放射状に出射された光Lを平行化又は集光しながら、第1の導光部4の内部へと入射する。また、入射部7から入射した光Lは、第1の導光部4の正面側(+X軸側)に向けて導光される。
【0034】
導光体3は、第1の導光部4の第2の導光部5と対向する側(+Y軸側)から光源2の側方に向かって突出された突出部8を有している。突出部8は、少なくとも光源2から放射状に出射された光Lが入射する位置、好ましくは光源2の側面と対向する位置まで突出して設けられている。これにより、入射部7では、光源2から出射された光Lを突出部8の内側(-Y軸側)の側面から突出部8(第1の導光部4)の内部へと入射することが可能となっている。
【0035】
導光体3は、この突出部8を含む第1の導光部4の第2の導光部5と対向する側(+Y軸側)の側面に位置して、入射部7から入射した光Lのうち一部の光L1を第2の導光部5に向けて出射する側方出射部9を有している。
【0036】
側方出射部9は、当該側方出射部9から出射される光L1を上下方向に拡散させるための複数の第1の拡散カット10を有している。本実施形態では、第1の拡散カット10として、突出部8の光源2と対向する側(内側)の側面に位置して、突出部8の突出方向に延在するローレットが突出部8の上下方向に並んで設けられている。
【0037】
複数の第1の拡散カット10は、突出部8の光源2と対向する側の側面からシリンドリカル状に突出して設けられている。また、ローレットの形状については、上述したシリンドリカル状に湾曲した曲面形状に限らず、複数の面からなる多角形状であってもよい。
【0038】
また、複数の第1の拡散カット10は、側方出射部9から出射される光L1を上下方向において均一に拡散させるため、突出部8の上下方向に並ぶローレットの高さが光源2から遠くなるほど高くなるように設定されている。すなわち、突出部8の上下方向に並ぶローレットの高さは、上下方向の両側に配置された光源2から遠い位置にある突出部8の上下方向の中央部に向かって漸次高くなるように設定されている。
【0039】
ここで、光源2a,2bから近い位置のローレットと、光源2a,2bから遠い位置のローレットとが同程度の高さである場合、光源2a,2bから出射された光Lのうち、光源2a,2bから近い位置のローレットに向かう光Lは、出射角度(光源2a,2bから出射された光Lの光軸に対する角度)が小さい(鋭角となる)ため、ローレットの高さが低くてもローレットに光Lを入射させることが可能である。
【0040】
一方、光源2a,2bから遠い位置のローレットに向かう光Lは、出射角度が大きい(鈍角に近づく)ため、ローレットの高さが低いとローレットに光Lが入射しづらくなり、入射効率が悪化することになる。
【0041】
本実施形態では、光源2a,2bから近い位置から遠い位置に向かうほど、ローレットの高さを徐々に高くしているため、光源2a,2bから遠い位置にあるローレットに光Lを効率良く入射させることが可能である。
【0042】
また、ローレットに入射した光Lは、このローレットの曲面(第1の拡散カット10)で屈折し、上下方向に拡散されながら、第1の導光部4の背面側から第1の導光部4の内部へと入射した後、第1の導光部4の正面側にある第1の出射部13から出射されるため、後述する第2の導光部5の均一発光に貢献することが可能である。
【0043】
なお、複数の第1の拡散カット10については、上述した突出部8の光源2と対向する側(内側)の側面に配置された構成に限らず、突出部8の第2の導光部5と対向する側(外側)の側面に配置された構成であってもよい。
【0044】
また、複数の第1の拡散カット10については、上述した複数のローレットにより構成にされたものに限らず、それ以外の拡散機能を持たせたものであればよく、上述した側方出射部9から出射される光L1を上下方向(鉛直方向)に拡散させるだけでなく、左右方向(水平方向)に拡散させるものであってもよい。
【0045】
導光体3は、第1の導光部4の正面側に位置して、入射部7から入射した光Lのうち一部の光L2を第2の導光部5に向けて反射する第1の反射部11と、第2の導光部5の背面側に位置して、第2の導光部5の内部で導光される光L2を第2の導光部5の正面側に向けて反射する複数の第1の反射カット12と、第2の導光部5の正面側に位置して、複数の第1の反射カットにより反射された光L2を第2の導光部5の外部へと出射する第1の出射部13とを有している。
【0046】
第1の反射部11は、第1の導光部4の正面側に第2の導光部5との境界付近に位置して、第2の導光部5の湾曲に沿って傾斜した第1の傾斜面11aにより構成されている。第1の反射部11では、この第1の傾斜面11aに入射した光L2を第2の導光部5に向けて反射する。
【0047】
なお、第1の反射部11では、第1の傾斜面11aに入射する光L2の角度によって、この第1の傾斜面11aを透過してもよい。
【0048】
複数の第1の反射カット12は、第2の導光部5の背面側に入射した光L2を第2の導光部5の正面側から外部へと出射(透過)する角度で反射させるものであればよく、その形状や大きさ、数等について、特に限定されるものではない。本実施形態では、第1の反射カット12として、第2の導光部5の背面を上下方向に切り欠く断面略三角形状の溝部が第2の導光部5の延長方向に並んで設けられている。
【0049】
また、本実施形態では、第1の反射カット12の隣り合う間隔が等しくなっている。一方、第1の反射カット12は、後述する第1の出射部13をより均一に発光させるため、第2の導光部5の基端側(-Y軸側)から先端側(+Y軸側)に向かって、第1の反射カット12の隣り合う間隔が漸次狭くなっていてもよく、若しくは、第1の反射カット12を形成する溝部の深さが漸次深くなっていてもよい。
【0050】
第1の出射部13は、第2の導光部5の正面側に位置する第1の出射面13aを有している。また、第1の出射面13aには、この第1の出射面13aから外部に向けて出射される光L1,L2を拡散させるための複数の第2の拡散カット14が設けられている。
【0051】
第2の拡散カット14としては、例えば、フルートカットや魚眼カットと呼ばれるレンズカットや、ローレット加工やシボ加工等を施すことによって形成された凹凸構造などを挙げることができる。また、この第2の拡散カット14の形状等を調整することによって、第1の出射面13aから出射される光L1,L2の拡散度合いを制御することが可能である。
【0052】
本実施形態では、第2の拡散カット14として、第1の出射面13aから出射される光L1,L2を上下方向及び左右方向に拡散させる魚眼カットが設けられている。
【0053】
第1の出射部13では、
図7に示すように、上述した側方出射部9から出射された光L1を第2の導光部5の背面側から入射した後、第2の導光部5の正面側にある第1の出射面13aから外部へと出射する。また、第1の出射部13では、
図8に示すように、上述した第2の導光部5の内部で導光される光L2を第1の出射面13aから外部へと出射する。
【0054】
導光体3は、
図2~
図4、
図9~
図11に示すように、第1の導光部4の正面側に位置して、入射部7から入射した光Lのうち一部の光L3を第1の導光部4の外部へと出射する第2の出射部15と、第1の導光部4の各入射部7と第2の出射部15との間に位置して、空気層Kを形成する複数(本実施形態では2つ)の凹部16とを有している。
【0055】
複数の凹部16は、第1の導光部4の上面及び下面の一部を深さ方向(Z軸方向)に切り欠くことによって、各々の内側に空気層Kを形成している。また、各凹部16は、入射部7から入射した光Lの進行方向(+X軸方向)において空気層Kを挟んで互いに対向する導光出射面16a及び導光入射面16bと、入射部7から入射した光Lの進行方向とは交差する(Y軸方向)において空気層Kを挟んで互いに対向する一対の導光反射面16c,16dと、導光出射面16と一方の導光反射面16cとの間で斜めに傾斜した導光反射面16eとを有している。
【0056】
第2の出射部15は、第1の導光部4の正面側に位置する第2の出射面15aを有している。また、第2の出射面15aには、この第2の出射面15aから外部に向けて出射される光L3を拡散させるための複数の第3の拡散カット17が設けられている。
【0057】
第3の拡散カット17としては、例えば、フルートカットや魚眼カットと呼ばれるレンズカットや、ローレット加工やシボ加工等を施すことによって形成された凹凸構造などを挙げることができる。また、この第3の拡散カット17の形状等を調整することによって、第2の出射面15aから出射される光L3の拡散度合いを制御することが可能である。
【0058】
本実施形態では、第3の拡散カット17として、第2の出射面15aから出射される光L3を上下方向及び左右方向に拡散させる魚眼カットが設けられている。
【0059】
第2の出射部15では、
図10に示すように、入射部7から入射した光Lのうち、導光出射面16aから空気層Kへと出射された後、導光入射面16bから第1の導光部4の内部へと入射した光L3を第2の出射面15aから外部へと出射する。
【0060】
また、導光体3では、
図8に示すように、第1の導光部4の第2の導光部5と対向する側の側面と、凹部16の一方の導光反射面16cとの間で反射を繰り返しながら、第1の反射部11に向けて光L2を導光させることが可能である。第1の反射部11で反射された光L2は、第2の導光部5の内部で反射を繰り返しながら、第2の導光部5の基端側から先端側に向けて導光されるため、第2の導光部5の均一発光に貢献することが可能である。
【0061】
また、導光体3では、第1の反射部11に向けて導光される光L2のうち、導光反射面16eで反射された光L2aを側方出射部9から第2の導光部5に向けて出射することが可能である。側方出射部9から第2の導光部5に向けて出射された光L2aは、第2の導光部5の背面側から入射した後、第2の導光部5の正面側にある第1の出射面13aから外部へと出射される。これにより、第2の導光部5の均一発光に貢献することが可能である。
【0062】
導光体3は、
図11に示すように、第1の導光部4の内部で導光される光Lのうち一部の光L4を凹部16の底側に向けて反射した後、第1の導光部4の正面側にある第2の出射面15a(第2の出射部15)に向けて反射する第2の反射部18を有している。
【0063】
第2の反射部18は、第1の導光部4の上下方向の両側に配置された凹部16の底側に位置して、第1の導光部4の内部で導光される光L4を第1の導光部4の上下方向の中央側に向けて反射する第2aの傾斜面18aと、第1の導光部4の背面側に位置して、第2aの傾斜面18aにより反射された光L4を第1の導光部4の正面側に向けて反射する第2bの傾斜面18bとを有している。
【0064】
これにより、導光体3では、第2の出射面15a(第2の出射部15)の上下方向に亘って光L3,L4を出射することが可能となっている。
【0065】
導光体3は、
図2~
図4、
図10、
図12及び
図13に示すように、第1の導光部4の正面側に位置して、入射部7から入射した光Lのうち一部の光L5を第3の導光部6に向けて反射する第3の反射部19と、第3の導光部6の背面側に位置して、第3の導光部6の内部で導光される光L5を第3の導光部6の正面側に向けて反射する複数の第2の反射カット20と、第3の導光部6の正面側に位置して、複数の第2の反射カット20により反射された光L5を第3の導光部6の外部へと出射する第3の出射部21とを有している。
【0066】
第3の反射部19は、第1の導光部4の正面側に第2の出射部15と第3の導光部6との間に位置して、第3の導光部6の湾曲に沿って傾斜した第3の傾斜面19aにより構成されている。第3の反射部19では、この第3の傾斜面19aに入射した光L5を第3の導光部6に向けて反射する。
【0067】
なお、第3の反射部19では、第3の傾斜面19aに入射する光L5の角度によって、この第3の傾斜面19aを透過してもよい。これにより、第3の傾斜面19aに対応した部分を発光させることが可能である。すなわち、第1の出射面13a、第2の出射面15a及び第3の出射面21aに加えて、第3の傾斜面19aも発光させることができるため、この第3の傾斜面19aをエクステンションなどで遮蔽することなく、導光体3の正面側全体を発光させることが可能である。
【0068】
また、導光体3では、
図10に示すように、入射部7から入射した光Lのうち一部の光L5を凹部16の他方の導光反射面16dで反射した後、第3の導光部6に向けて導光させることが可能である。
【0069】
ここで、導光体3では、第1の導光部4に入射した光Lのうち、第2の導光部5に向けて反射する第1の傾斜面11aに入射する光L2の割合と、第3の導光部6に向けて反射する第3の傾斜面19aに入射する光の割合とを、これら第2の導光部5と第3の導光部6との長さ(光路長)の違いに応じて調整している。
【0070】
すなわち、この導光体3では、第2の導光部5よりも第3の導光部6の方が長いため、第1の傾斜面11aに入射する光L2の割合よりも第3の傾斜面19aに入射する光L5の割合が大きくなるように調整されている。これにより、第1の導光部4に入射した光Lのうち、第2の導光部5に向けて導光される光L2よりも第3の導光部6に向けて導光される光L5の割合が大きくなっている。
【0071】
複数の第2の反射カット20は、第3の導光部6の背面側に入射した光L5を第3の導光部6の正面側から外部へと出射(透過)する角度で反射させるものであればよく、その形状や大きさ、数等について、特に限定されるものではない。本実施形態では、第2の反射カット20として、第3の導光部6の背面を上下方向に切り欠く断面略三角形状の溝部が第3の導光部6の延長方向に並んで設けられている。
【0072】
また、本実施形態では、第2の反射カット20の隣り合う間隔が等しくなっている。一方、第2の反射カット20は、後述する第3の出射部21をより均一に発光させるため、第3の導光部6の基端側(+Y軸側)から先端側(-Y軸側)に向かって、第2の反射カット20の隣り合う間隔が漸次狭くなっていてもよく、若しくは、第2の反射カット20を形成する溝部の深さが漸次深くなっていてもよい。
【0073】
第3の出射部21は、第3の導光部6の正面側において、第3の導光部6の延長方向(本実施形態では車幅方向)にストライプ状に延在し、且つ、第3の導光部6の延長方向とは交差する方向(本実施形態では上下方向)に並ぶ複数(本実施形態では3つ)の第3の出射面21aを有している。
【0074】
また、複数の第3の出射面21aの隣り合う間には、第3の導光部6の延長方向(本実施形態では車幅方向)にストライプ状に延在する複数(本実施形態では2つ)の溝部21bが設けられている。溝部21bは、第3の導光部6の正面側において非発光となる部分(非発光部)を構成している。
【0075】
導光体3は、
図12及び
図13に示すように、第3の導光部6に向けて導光される光L5のうち一部の光L5a,L5bを第3の導光部6の延長方向とは交差する方向(上下方向)に向けて反射した後、溝部21bを挟んだ両側に位置する第3の導光部6の正面側に向けて反射する第4の反射部22を有している。
【0076】
第4の反射部22は、第1の導光部4の上面及び下面の一部を幅方向(Y軸方向)に切り欠く断面略三角形状の溝部23と、溝部23の背面側に位置して、第3の導光部6に向かって導光される光L5,L5bを第1の導光部4の上下方向の中央側に向けて反射する第4aの傾斜面22aと、第1の導光部4の背面側に位置して、第4aの傾斜面22aにより反射された光L5aを第1の導光部4の正面側に向けて反射する第4bの傾斜面22bと、第1の導光部4の背面側の第4bの傾斜面22bよりも第1の導光部4の中央側に位置して、第4aの傾斜面22aにより反射された光L5bを第1の導光部4の正面側に向けて反射する第4cの傾斜面22cと、第1の導光部4の正面側の溝部21bに位置して、第4bの傾斜面22bにより反射された光L5bを第1の導光部4の溝部23側に向けて反射する第4dの傾斜面22dと、溝部23の正面側に位置して、第4dの傾斜面22dにより反射された光L5bを第1の導光部4の正面側に向けて反射する第4eの傾斜面22eとを有している。
【0077】
これにより、導光体3では、第3の導光部6の上下方向に並ぶ複数の第3の出射面21aから光L5a,L5b(L5)を出射することが可能となっている。
【0078】
また、第3の導光部6に向けて導光される光L5のうち一部の光L5cは、正面視において溝部23と入射部7とが重ならない領域が上下方向に存在するため、この領域を通過することで、第4の反射部22で反射されることなく、第3の導光部6の正面側に向けて導光された後、第3の出射面21aから出射される。
【0079】
なお、本実施形態では、上記溝部21bを設けた構成となっているが、この溝部21bを省略し、第3の出射部21の全面を第3の出射面21aとして発光させる構成とすることも可能である。また、第4の反射部22に光L5を上下方向に拡散させるための拡散カットを設けたり、第3の出射面21aに光L5を上下方向に拡散させるための拡散カットを設けたりすることも可能である。
【0080】
以上のような構成を有する本実施形態の車両用灯具1では、上述した第3の導光部6の第3の出射面21aから主配光となる光L5(L5a,L5b,L5c)を車両Bの後方に向けて出射する。これにより、テールランプTLLの主発光面として第3の出射面21aを赤色発光させることが可能である。
【0081】
また、本実施形態の車両用灯具1では、上述した第2の導光部5の第1の出射面13aから副配光となる光L1,L2を車両Bの側方に向けて出射する。これにより、テールランプTLLの副発光面として第1の出射面13aを赤色発光させることが可能である。
【0082】
本実施形態の車両用灯具1では、上述した第1の導光部4から光源2の側方に向かって回り込むように延長された第2の導光部5において、この第2の導光部5よりも長い第3の導光部6よりも振り分けられる光Lの割合が小さくなっている。
【0083】
これに対して、本実施形態の車両用灯具1では、上述した入射部7から入射した光Lのうち一部の光L1を側方出射部9から第2の導光部5に向けて出射することで、第2の導光部5の内部で導光される光L2と共に、これらの光L1,L2を第2の導光部5の第1の出射面13a(第1の出射部13)から出射することが可能となっている。
【0084】
これにより、本実施形態の車両用灯具1では、上述した第2の導光部5の第1の出射面13aから出射される光L1,L2の輝度と、第3の導光部6の第3の出射面21aから出射される光L5の輝度とを均等化し、テールランプTLLの主発光面と副発光面とをより均一に発光させることが可能である。
【0085】
また、本実施形態の車両用灯具1では、上述した第1の出射面13aと第3の出射面21aとの間に設けられた第1の導光部4の第2の出射面15aから光L3,L4を車両Bの後方に向けて出射する。これにより、テールランプTLLの主発光面と副発光面との間に暗部(発光ムラ)が生じることを防ぐことが可能である。
【0086】
本実施形態の車両用灯具1では、上述した導光出射面16aから空気層Kへと出射された後、導光入射面16bから第1の導光部4の内部へと入射した光L3を第2の出射面15aから外部へと出射している。
【0087】
この場合、入射部7から第2の出射面15aに直接入射する光よりも、空気層Kを介して輝度が緩和された光L3を第2の出射面15aから出射することで、点光りの発生を抑制しながら、テールランプTLLの主発光面と副発光面との間をより均一に発光させることが可能である。
【0088】
以上のようにして、本実施形態の車両用灯具1では、導光体3の分岐した発光面をより均一に発光させることが可能である。
【0089】
なお、本発明は、上記実施形態のものに必ずしも限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記車両用灯具1では、実際の車両のデザイン等に合わせて、上記導光体3の形状などを適宜変更することが可能である。
【0090】
また、上記車両用灯具1をリアコンビネーションランプRCLのテールランプTLLに適用した場合、上述した光源2やインナーレンズとなる導光体3の他にも、例えば、別のインナーレンズやリフレクタ、エクステンションなどの他の部材と組み合わせることが可能である。
【0091】
なお、上記実施形態では、上述した車両用灯具1をリアコンビネーションランプRCLのテールランプTLLに適用した場合を例示しているが、本発明が適用される車両用灯具については、上述したリア側の車両用灯具に限らず、フロント側の車両用灯具に本発明を適用することも可能である。
【0092】
すなわち、本発明が適用される車両用灯具については、上述したテールランプの他にも、例えば、ストップランプやバックランプ、昼間点灯ランプ(DRL)、車幅灯(ポジションランプ)、方向指示器(ターンランプ)などの車両用灯具に対して、本発明を幅広く適用することが可能である。
【0093】
また、光源については、上述したLED以外にも、例えばレーザーダイオード(LD)などの発光素子を用いることができる。また、光源が発する光の色については、上述した赤色光以外にも、白色光や橙色光など、その車両用灯具の用途に応じて適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0094】
1…車両用灯具 2…光源 3…導光体 4…第1の導光部 5…第2の導光部 6…第3の導光部 7…入射部 8…突出部 9…側方出射部 10…第1の拡散カット 11…第1の反射部 12…第1の反射カット 13…第1の出射部 14…第2の拡散カット 15…第2の出射部 16…凹部 16a…導光出射面 16b…導光入射面 17…第3の拡散カット 18…第2の反射部 19…第3の反射部 20…第2の反射カット 21…第3の出射部 21a…第3の出射面 21b…溝部 22…第4の反射部 23…溝部 K…空気層 L…光