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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023155622
(43)【公開日】2023-10-23
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/78 20060101AFI20231016BHJP
   H01L 29/06 20060101ALI20231016BHJP
【FI】
H01L29/78 657F
H01L29/78 653C
H01L29/78 652P
H01L29/78 652S
H01L29/06 301F
H01L29/06 301V
H01L29/78 652K
H01L29/78 652Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022065056
(22)【出願日】2022-04-11
(71)【出願人】
【識別番号】302062931
【氏名又は名称】ルネサスエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】下山 浩哉
(57)【要約】
【課題】トレンチ内にゲート電極およびフィールドプレート電極を含むダブルゲート構造を有するメインMOSFETおよびセンスMOSFETを備えた半導体装置の性能を向上させる。
【解決手段】センスMOSFET1SQを、平面視において、メインMOSFET1MQと、メインMOSFET1MQのソース領域に接続されたソースパッドSPとに囲まれた位置に形成する。センスMOSFET1SQのソース領域に対しては、平面視においてソースパッドSPに囲まれた配線SSW、トレンチD2内にゲート電極と共に形成されたフィールドプレート電極、および、ソースパッドSPの外側に形成された配線SW1、SW2を介してソース電位を供給する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電界効果トランジスタと電流検出用の第2電界効果トランジスタとを備えた半導体チップを有する半導体装置であって、
第1主面および前記第1主面の反対側の第2主面を備え、平面視において環状の第1領域および前記第1領域に囲まれた第2領域を有する第1導電型の半導体基板と、
前記半導体基板の前記第1主面から前記半導体基板の途中深さに達して形成され、前記半導体基板の前記第1主面に沿う第1方向に延在し、平面視において前記第1方向に対し直交する第2方向に複数並ぶ第1トレンチと、
前記第1トレンチ同士の側面に接して前記半導体基板内に形成された、前記第1導電型とは異なる第2導電型の第1半導体領域と、
複数の前記第1トレンチのそれぞれの側面、前記半導体基板の前記第1主面および前記第1半導体領域に接し、前記第1導電型のソース領域と、
前記半導体基板の前記第2主面を含む前記半導体基板内に形成された前記第1導電型のドレイン領域と、
複数の前記第1トレンチのそれぞれの内側に第1絶縁膜を介して形成され、互いに絶縁されたゲート電極および第1電極と、
前記半導体基板上に層間絶縁膜を介して形成された、第1配線、第2配線およびソースパッドと、
を有し、
前記第1領域の前記ゲート電極、前記ソース領域、前記ドレイン領域および前記第1半導体領域は、前記第1電界効果トランジスタを構成し、
前記第2領域の前記ゲート電極、前記ソース領域、前記ドレイン領域および前記第1半導体領域は、前記第2電界効果トランジスタを構成し、
前記第1電界効果トランジスタの前記ソース領域と、平面視において前記第2領域から離間する前記第1トレンチ内の前記第1電極は、前記ソースパッドに電気的に接続され、
平面視において、前記第2電界効果トランジスタの前記ソース領域は、前記ソースパッドに囲まれた前記第1配線と、前記第2領域、前記第1領域および前記第1領域の外側に亘って延在する前記第1トレンチ内の前記第1電極とを介して、前記ソースパッドの外側に位置する前記第2配線に電気的に接続されている、半導体装置。
【請求項2】
請求項1記載の半導体装置において、
前記第1配線は、前記ソースパッドを構成する金属膜とは、同じ高さに位置する、半導体装置。
【請求項3】
請求項1記載の半導体装置において、
前記第1配線、前記第2配線および前記ソースパッドを構成する金属膜と、前記半導体基板の前記第1主面との間には、配線層が形成されていない、半導体装置。
【請求項4】
請求項1記載の半導体装置において、
前記第2電界効果トランジスタは、平面視において、前記半導体チップの中央部に位置している、半導体装置。
【請求項5】
請求項1記載の半導体装置において、
前記第2領域の前記第1半導体領域と前記半導体基板との間のpn接合により構成される第1ダイオードをさらに有し、
前記第1配線は、前記第1ダイオードを構成する前記第1半導体領域に第1導電性接続部を介して接続されている、半導体装置。
【請求項6】
請求項1記載の半導体装置において、
平面視において前記ソースパッドの外側に位置する前記第1半導体領域と前記半導体基板と間のpn接合により構成される第2ダイオードをさらに有し、
前記第2配線は、前記第2ダイオードを構成する前記第1半導体領域に第2導電性接続部を介して接続されている、半導体装置。
【請求項7】
請求項1記載の半導体装置において、
平面視において前記ソースパッドの外側に位置し、前記半導体基板上に層間絶縁膜を介して形成された第3配線をさらに有し、
前記第1領域または前記第2領域に形成された前記第1トレンチ内の前記第1電極は、前記第3配線に電気的に接続され、
前記第3配線の一部は、電位検出用の電極パッドを構成している、半導体装置。
【請求項8】
請求項1記載の半導体装置において、
前記第2方向において、前記第1領域の前記第1トレンチと、前記第2領域の前記第1トレンチとの間の前記半導体基板の前記第1主面に形成され、前記第1方向に延在している擬似的な第2トレンチをさらに有する、半導体装置。
【請求項9】
請求項8記載の半導体装置において、
前記半導体基板の前記第1主面に形成され、前記第1領域、前記第2領域および複数の前記第1トレンチを囲み、平面視において環状の構造を有する第3トレンチをさらに有し、
前記第2トレンチの両端は、前記第2方向において前記第3トレンチに接続されている、半導体装置。
【請求項10】
請求項1記載の半導体装置において、
前記半導体基板の前記第1主面に形成され、前記第2方向に延在して、互いに隣り合う前記第2領域の前記第1トレンチと前記第1領域の前記第1トレンチとを互いに接続する第4トレンチをさらに有し、
前記第4トレンチは、内側に前記第1絶縁膜を介して形成された前記第1電極を有し、
前記第4トレンチに接続された、前記第1領域の前記第1トレンチ内の前記第1電極は、前記ソースパッドと絶縁され、前記第4トレンチ内の前記第1電極を介して前記第2領域の前記第1トレンチ内の前記第1電極と電気的に接続され、前記ソースパッドの外側に位置する前記第2配線に電気的に接続されている、半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関し、例えば、メインのMOSFETと、電流検出用の小規模なMOSFETとを備えた半導体装置に適用して有効な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
高い耐圧が求められるパワーMOSFETでは、内部状態の監視または制御などを目的として、素子に流れる電流値を高精度にモニタリングできることが要求される場合がある。半導体チップに搭載されたメインMOSFETの電流値を測定するための構造として、半導体チップ(以下、単にチップと呼ぶ場合がある)に電流検出用の小規模なセンスMOSFETを搭載することが知られている。
【0003】
また、特許文献1(特開2013-12669号公報)には、センスMOSFETをチップの中央に配置し、センスMOSFETのソース電極をチップの表面に形成された配線により引き出す構造が記載されている。
【0004】
また、特許文献2(特開2020-92176号公報)には、センスMOSFETをチップの中央に配置し、センスMOSFETのソース電極を、多層配線を有するパッケージ内部で引き回しを行って電気的に外部へ取り出す構造が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013-12669号公報
【特許文献2】特開2020-92176号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
半導体チップに熱負荷をかける信頼性試験では、ダイボンドクラックがチップの外周部から進行していくため、チップの外周部近傍にセンスMOSFETがあると、クラックがセンスMOSFETの直下まで進展し、電流センス比(以下、単にセンス比と呼ぶ場合がある)が大きく変動する虞がある。そのため、センスMOSFETはチップの中央部に配置されていることが望ましい。
【0007】
そこで、センスMOSFETはチップの中央部に配置し、半導体基板上の多層配線を用いてセンスMOSFETのソースパッドをメインMOSFETのソースパッドとは異なる位置に引き出すことが考えられる。しかし、この場合半導体装置の製造工程とパターニング用のマスクの増加を要するため、半導体装置の製造コストが増大する。
【0008】
また、特許文献1ではメインMOSFETのソースパッド(表面電極、ソース電極)はセンスMOSFETの引き出し領域において分断されるため、メインMOSFETのソースパッドの形状が歪になり、ソースパッドの面積は削減される。そのため、メインMOSFETのチップ性能の低下、および、ボンディングレイアウトの制約の発生などの問題がある。
【0009】
また、特許文献2においてはメインMOSFETのソース電極の形状、面積に関する上記問題点が改善されている。しかし、多層配線基板を用いる必要があるため、パッケージ関連の製造、材料コストが上昇する問題がある。また、多層配線基板を用いることで、半導体装置のサイズが大きくなる問題がある。
【0010】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願において開示される実施の形態のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0012】
一実施の形態である半導体装置は、センスMOSFETを、平面視において、メインMOSFETと、メインMOSFETのソース領域に接続されたソースパッドとに囲まれた位置に形成するものである。ここで、センスMOSFETのソース領域に対しては、平面視においてソースパッドに囲まれた配線、トレンチ内にゲート電極と共に形成されたフィールドプレート電極、および、ソースパッドの外側に形成された配線を介してソース電位を供給する。
【発明の効果】
【0013】
一実施の形態によれば、半導体装置の性能を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施の形態1である半導体装置を示す平面レイアウトである。
図2図1のA-A線における断面図である。
図3図1のB-B線における断面図である。
図4図1のC-C線における断面図である。
図5】実施の形態1である半導体装置の一部を示す拡大平面レイアウトである。
図6】実施の形態1である半導体装置を示す等価回路図である。
図7】実施の形態1の変形例1である半導体装置を示す平面レイアウトである。
図8】実施の形態1の変形例1である半導体装置の一部を示す拡大平面レイアウトである。
図9図8のD-D線における断面図である。
図10図8のE-E線における断面図である。
図11】実施の形態1の変形例1である半導体装置を示す等価回路図である。
図12】実施の形態1の変形例2である半導体装置を示す平面レイアウトである。
図13】実施の形態2である半導体装置を示す平面レイアウトである。
図14】実施の形態2である半導体装置を示す平面レイアウトである。
図15】実施の形態2である半導体装置を示す平面レイアウトである。
図16】実施の形態3である半導体装置を示す平面レイアウトである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その言及した数に限定されるものではなく、言及した数以上でも以下でもよい。
【0016】
さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことはいうまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0017】
以下、実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態では、特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
【0018】
以下の説明で用いる各平面図(平面レイアウト)では、図を分かり易くするため、コンタクトプラグにハッチングを付している。
【0019】
ここでは、本願の半導体装置としてパワーMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor、MOS型電界効果トランジスタ)を例に説明する。パワーMOSFETは、数ワット以上の電力を扱える半導体デバイスである。本願の半導体装置は、パワーMOSFETのうちの、トレンチゲートパワーMOSFETを有する。トレンチゲートパワーMOSFETは、半導体基板の上面(第1主面)に形成されたトレンチ(比較的長くて細い溝)内にポリシリコンなどからなるゲート電極を有し、半導体基板の厚さ方向にチャネルが形成されるものである。この場合、通常、半導体基板の上面側がソースとなり、下面(裏面、第2主面)側がドレインとなる。
【0020】
また、本願の半導体装置は、トレンチゲートパワーMOSFETのうちの、トレンチ内ダブルゲート型パワーMOSFETを有する。トレンチ内ダブルゲート型パワーMOSFETは、トレンチ内において、ゲート電極(真性ゲート電極)の下方にフィールドプレート電極を有するものである。フィールドプレート電極は、ゲート電極のドレイン側端部近傍に集中する急峻な電位勾配を分散させ、電界を一定に保つ働きを有する電極であり、ソース電極に電気的に接続されている。フィールドプレート電極の近傍の電界が一定に保たれることにより、素子の耐圧が確保できる。
【0021】
(実施の形態1)
<半導体装置の構造>
以下に、図1図6を用いて、本実施の形態の半導体装置について説明する。
【0022】
図1に示すように、本実施の形態の半導体装置は、半導体基板を備えた半導体チップCHP1であり、半導体チップCHP1は、メインMOSFET1MQと、センスMOSFET1SQとを有している。図2には、図1のA-A線における断面図を示している。図3には、図1のB-B線における断面図を示している。図4には、図1のC-C線における断面図を示している。半導体基板は、上面(第1主面)と、当該上面の反対側の下面(第2主面)とを有している。図1では、半導体基板の上面上に形成された配線の下の構造を透過して示しており、半導体基板上の層間絶縁膜およびパッシベーション膜などの絶縁膜の図示を省略している。
【0023】
図2に示すように、本実施の形態の半導体装置を構成する半導体基板は、例えば単結晶Si(シリコン)などからなる基板SBと、基板SB上にエピタキシャル成長法などにより形成された半導体層であるドリフト層DFとを有している。基板SBは、n型のドレイン領域DRを構成している。図示していないが、基板SBの下面は、例えばAu(金ア)などを含むドレイン電極により覆われており、ドレイン領域DRはドレイン電極に接続されている。ドリフト層DFは、n型の半導体層である。
【0024】
図1に示すように、半導体基板の上面には、Y方向に延在するトレンチD2とトレンチD1とのそれぞれがX方向に複数並んで形成されている。具体的には、X方向に複数並ぶトレンチD1群がX方向に並んで2つ形成されており、それら2つのトレンチD1群同士の間において、トレンチD2がX方向に複数並んで形成されている。トレンチD1の近傍には、メインMOSFET1MQが形成されている。トレンチD2の近傍には、Y方向に順に並ぶメインMOSFET1MQ、センスMOSFET1SQおよびメインMOSFET1MQが形成されている。
【0025】
つまり、センスMOSFET1SQの周囲にはメインMOSFETが形成されている。すなわち、センスMOSFET1SQは、平面視において半導体チップCHP1の中央部に位置している。Y方向およびX方向は、それぞれ半導体基板の上面に沿う方向であり、平面視において互いに直交する方向である。また、Y方向およびX方向のそれぞれに対し直交するZ方向は、半導体基板の上面に対して垂直な高さ方向(厚さ方向、垂直方向、縦方向)である。
【0026】
また、半導体基板の上面には、センスMOSFET1SQおよびメインMOSFET1MQが形成されているアクティブ領域の周囲を平面視で囲むトレンチD3が形成されている。図4に示すように、トレンチD3内には、絶縁膜IF1を介して導電膜CLが埋め込まれており、このトレンチD1、絶縁膜IF1および導電膜CLは、ターミネーションリングTRを構成している。アクティブ領域の周囲は、平面視において環状のターミネーションリングTRにより囲まれている(図1参照)。ここでは図示していないが、半導体チップCHP1の周縁部の半導体基板の上面には、ターミネーションリングTRと同様の構造のシールリングが、ターミネーションリングTRの周囲を囲むように半導体チップCHP1の周縁部近傍に形成されていてもよい。アクティブ領域は、メインMOSFETが形成された、平面視において、環状形状を有する領域1Aと、環状の領域1Aに囲まれ、センスMOSFET1SQが形成された領域1Bとを含んでいる。平面視において、トレンチD3は領域1A、1B、トレンチD1およびD2を囲んでいる。
【0027】
図2図4に示すように、トレンチD1およびトレンチD2のそれぞれの内側には、絶縁膜IF1を介して、ゲート配線GWと、ゲート配線GWの下のフィールドプレート電極FPとが埋め込まれている。このように、トレンチ内に2つの電極が形成されている構造を、ここではダブルゲート構造(ダブルゲート型)と呼ぶ。アクティブ領域において、半導体基板の上面(ドリフト層DFの上面)には、p型の半導体層であるボディ層PBが、トレンチD1、D2のそれぞれの側面に接して形成されている。ボディ層PBの深さは、例えばトレンチD1、D2およびゲート電極GEのいずれの深さよりも浅い。
【0028】
また、アクティブ領域である領域1A、1Bのそれぞれにおいて、半導体基板の上面(ドリフト層DFの上面)には、n型の半導体領域(n拡散層)であるソース領域SRが、トレンチD1、D2のそれぞれの側面に接して形成されている。つまり、ソース領域SRは半導体基板の上面に接している。ソース領域SRの深さは、ボディ層PBおよびゲート電極GEのいずれの深さよりも浅い。ソース領域SRの下面はボディ層PBに接しており、ボディ層PBの下面はドリフト層DFに接している。
【0029】
領域1Aのソース領域SR、ドレイン領域DR、ボディ層PBおよびゲート電極GEは、縦型のMOSFETであるn型のメインMOSFET1MQを構成している。領域1Bのソース領域SR、ドレイン領域DR、ボディ層PBおよびゲート電極GEは、縦型のMOSFETであるn型のセンスMOSFET1SQを構成している。なお、トレンチD2内のゲート電極GEのうち、Y方向において領域1Bの外の領域1Aに位置するゲート電極GEは、センスMOSFET1SQではなくメインMOSFET1MQを構成している。
【0030】
図5は、センスMOSFET1SQの形成領域近傍を拡大して示す平面レイアウトである。図5では、センスMOSFET1SQのソース領域SRが形成される範囲の領域を、ハッチングを付して示し、半導体基板上のパッドおよび配線の図示を省略している。図5に示すように、センスMOSFET1SQを構成するソース領域SRの形成領域は、平面視においてボディ層PBの形成領域により囲まれている。すなわち、X方向において隣り合うトレンチD2同士の間に形成されたセンスMOSFET1SQのソース領域SRは、Y方向における両側の側面と底面とをボディ層PBにより連続的に覆われている。また、センスMOSFET1SQのソース領域SRのX方向の側面は、トレンチD2内の絶縁膜IF1またはコンタクトプラグC4により覆われている。したがって、センスMOSFET1SQを構成するソース領域SRと、メインMOSFET1MQを構成するソース領域SR(図示しない)とは、ボディ層PBにより互いに分離されている。
【0031】
図1図4に示すように、半導体基板、ゲート電極GE、絶縁膜IF1および導電膜CLのそれぞれの上には、層間絶縁膜ILを介して、ソースパッドSPを構成する金属膜(導電膜、ソース配線)、配線SSW、SW1、SW2およびゲート配線GWが形成されている。層間絶縁膜ILは、例えば主に酸化シリコンからなる。ソースパッドSPを構成する金属膜(導電膜、ソース配線)、配線SSW、SW1、SW2およびゲート配線GWは、例えばAl(アルミニウム)からなり、同じ高さに位置し、互いに離間している。
【0032】
層間絶縁膜ILには複数の開口部(貫通孔)が形成されている。それらの開口部内には、ソースパッドSPを構成する金属膜(ソース配線)、配線SSW、SW1、SW2またはゲート配線GWと一体となっているコンタクトプラグ(導電性接続部)が形成されている。各コンタクトプラグは、トレンチD1、D2の延在方向(Y方向)に沿って延在している。以下では、ソースパッドSPは、厳密には金属膜(ソース配線)の上面のうち、パッシベーション膜などの絶縁膜(図示しない)から露出する部分を指すが、以下では当該金属膜をソースパッドSPと呼ぶ。
【0033】
具体的には、ソースパッドSPは、領域1Aに形成されており、平面視において環状構造を有している。ソースパッドSPは、コンタクトプラグC1を介してソース領域SRおよびボディ層PBに電気的に接続されている。コンタクトプラグC1はソース領域SRよりも深い位置であるボディ層PBの途中深さに達しており、ソース領域SRに接してる。コンタクトプラグC1とボディ層PBとの接続抵抗を低減するため、それらの間の半導体基板内にはボディ層PBよりも高濃度のp型半導体領域が形成されていてもよい。
【0034】
ゲート配線GWは、Y方向においてソースパッドSPの外側に隣り合って形成され、X方向に延在している。ゲート配線GWの一部と他の一部とは、Y方向においてソースパッドSPを挟むように配置されている。ゲート配線GWは、コンタクトプラグC2を介して、トレンチD1、D2のそれぞれの内部のゲート電極GEに電気的に接続されている。ゲート配線GWの上面の一部はゲートパッドGPを構成しており、ゲート電極GEにはゲートパッドGP、ゲート配線GWおよびコンタクトプラグC2を介してゲート電位が供給される。
【0035】
ソースパッドSPは、コンタクトプラグC3を介して、トレンチD1内のフィールドプレート電極FPに電気的に接続されている。つまり、平面視において領域1Bから離間するトレンチD1内のフィールドプレート電極FPは、ソースパッドSPに電気的に接続されている。コンタクトプラグC3は、Y方向において半導体チップCHP1の中心に位置し、X方向に延在する領域1Cに形成されている。領域1Cは、領域1Aおよび1Bと平面視において重なる領域である。領域1Cにおいて、トレンチD1、D2のそれぞれの内部にゲート電極GEは形成されていない。つまり、領域1CのトレンチD1、D2のそれぞれの内部には、トレンチD1、D2のそれぞれの下端近傍から上端近傍に亘ってフィールドプレート電極FPが埋め込まれている。また、ソースパッドSPは、コンタクトプラグC3を介して、ターミネーションリングTRを構成する導電膜CLに電気的に接続されている。
【0036】
配線(センスソース配線)SSWは、領域1Bに形成されている。つまり、配線SSWは、平面視においてソースパッドSPに囲まれている。配線SSWは、コンタクトプラグC4を介してソース領域SRおよびボディ層PBに電気的に接続されている。コンタクトプラグC4はソース領域SRよりも深い位置であるボディ層PBの途中深さに達しており、ソース領域SRに接してる。コンタクトプラグC4とボディ層PBとの接続抵抗を低減するため、それらの間の半導体基板内にはボディ層PBよりも高濃度のp型半導体領域が形成されていてもよい。
【0037】
また、配線SSWは、コンタクトプラグC5を介して、トレンチD2内のフィールドプレート電極FPに電気的に接続されている。コンタクトプラグC5は、平面視において領域1Bと重なる領域1Cに形成されている。
【0038】
配線SW1、SW2は、Y方向において領域1Bと並び、平面視においてソースパッドSPおよびゲート配線GWを挟む2箇所の領域において、それぞれコンタクトプラグC6を介してトレンチD2内のフィールドプレート電極FPに電気的に接続されている。当該2箇所の領域において、トレンチD2内にゲート電極GEは形成されていない。つまり、それらの領域のトレンチD2内部には、トレンチD2の下端近傍から上端近傍に亘ってフィールドプレート電極FPが埋め込まれている。
【0039】
配線SW1は、半導体チップCHP1の端部まで引き出され、当該端部の配線SW1の上面の一部は、センスソースパッドSSPを構成している。また、配線SW2は、半導体チップCHP1の端部まで引き出され、当該端部の配線SW2の上面の一部は、センスソースパッドSSKPを構成している。センスソースパッドSSKPは、配線SSWの電位を検出する役割を有するケルビンパッドである。センスMOSFET1SQを構成するソース領域SRには、センスソースパッドSSP、配線SW1、コンタクトプラグC6、トレンチD2内のフィールドプレート電極FP、コンタクトプラグC5、配線SSW、コンタクトプラグC4を介して、ソース電位が供給される。
【0040】
ここで、各MOSFETの動作について説明する。メインMOSFET1MQがオン状態のときには、ゲート電極GEが設けられたトレンチD2に隣接するボディ層PBにチャネル(反転層)が形成され、電流はドレイン領域DRからドリフト層DFおよびボディ層PB内の当該チャネルを通ってソース領域SRへ流れる(図2の一点鎖線の矢印参照)。
【0041】
センスMOSFET1SQがオン状態のときには、ゲート電極GEが設けられたトレンチD2に隣接するボディ層PBにチャネル(反転層)が形成され、電流はドレイン領域DRからドリフト層DFおよびボディ層PB内の当該チャネルを通ってソース領域SRへ流れる(図2の破線の矢印参照)。そのようにしてソース領域SRに流れたセンスMOSFET1SQの電流の一部は、図2図3および図4に破線の矢印で示すように、配線SSW、トレンチD2内のフィールドプレート電極FP、配線SW1を介して、センスソースパッドSSPへ流れる。また、ソース領域SRに流れたセンスMOSFET1SQの電流の他の一部は、配線SSW、トレンチD2内のフィールドプレート電極FP、配線SW2を介して、センスソースパッドSSKPへ流れる。
【0042】
ここでは、半導体チップCHP1のY方向における中央部からセンスMOSFET1SQのソース電位を、フィールドプレート電極FPを通してセンスソースパッドSSKPへ取り出すことができる。したがって、半導体チップCHP1のY方向における中央部のセンスMOSFET1SQの電位を検出できるため、より安定した電位の検出が可能となる。
【0043】
本実施の形態の各MOSFETはトレンチ内ダブルゲート型パワーMOSFETであり、トレンチ内にソース電位が印加されたフィールドプレート電極を有していることにより、MOSFETの寄生容量を抑え、MOSFETのスイッチング速度を高めることができる。
【0044】
図6に、本実施の形態の半導体装置の等価回路図を示す。図6に示すように、メインMOSFET1MQおよびセンスMOSFET1SQは、ドレインDを共有しており、それぞれ内蔵ダイオードを有している。内蔵ダイオードは、図2に示すコンタクトプラグC1またはC4に接続されたp型層であるボディ層PBと、ドリフト層DFおよびドレイン領域DRからなるn型層とのpn接合により構成されている。センスMOSFET1SQのソース領域は、ソースS(センスソースパッドSSP)およびソースSSK(センスソースパッドSSKP)に接続されている。
【0045】
本実施の形態の半導体装置の主な特徴の一つは、センスMOSFET1SQが半導体チップCHP1の中央部に形成されており、センスMOSFET1SQは平面視においてソースパッドSPにより連続的に囲まれていることにある。
【0046】
また、本実施の形態の半導体装置の主な特徴の他の一つは、半導体基板上に多層配線層が形成されていない点にある。すなわち、互いに同層の金属膜からなるソースパッドSP、配線SSW、SW1、SW2およびゲート配線GWのそれぞれと半導体基板との間には、他の配線(配線層)は形成されていない。ここでいう配線は、それらの金属膜と半導体基板、ゲート電極GE、フィールドプレート電極FPまたは導電膜CLに接続されたコンタクトプラグC1~C6を除き、平面視においてX方向またはY方向に平面的に延在する配線である。
【0047】
<本実施の形態の効果>
発明が解決しようとする課題にて説明したように、半導体チップに熱負荷をかける信頼性試験では、ダイボンドクラックがチップの外周部から進行していく。このため、チップの外周部近傍にセンスMOSFETがあると、クラックがセンスMOSFETの直下まで進展することが考えられる。この場合、センスMOSFETの抵抗が変化するため、センス比が大きく変動し、センスMOSFETを用いた電流検出が困難となる。よって、センスMOSFETはチップの中央部に配置されていることが望ましい。
【0048】
そこで、本実施の形態では、センスMOSFETを半導体チップの中央部に形成している。ここでは、トレンチ内のフィールドプレート電極を利用してソース電位をセンスMOSFETのソース領域に供給している。よって、ここでは、センスMOSFETが形成されている領域はソースパッドが形成されず切り抜かれているが、特許文献1のように、センスMOSFETのソース配線を引き出すためにメインMOSFETのソースパッドを分断する必要がない。すなわち、センスMOSFETを平面視においてソースパッドSPにより連続的に囲むことができる。これにより、ソースパッドの面積は削減によるメインMOSFETのチップ性能の低下、および、ボンディングレイアウトの制約の発生を防げる。
【0049】
また、ソース電位を半導体チップの中央のセンスMOSFETのソース領域に供給するために、半導体基板上に配線層を追加する必要がない。すなわち、センスMOSFETが半導体チップの端部に配置されている場合に比べて製造工程もパターニング用のマスクも追加する必要がない。したがって、半導体装置の製造コストの増大を防げる。また、多層配線基板を用いる必要がないため、半導体装置のサイズの増大を防げる。
【0050】
すなわち、本実施の形態によれば、ダイボンドクラックの発生などに起因するセンスMOSFETの動作不良を防ぎ、これにより半導体装置の信頼性を確保しつつ、半導体装置の性能を向上できる。
【0051】
<変形例1>
上述した構造に加えて、バイパスダイオード(保護ダイオード)およびメインMOSFETのケルビンパッドを追加した構造を、図7図11を用いて説明する。
【0052】
本変形例では、図1図6を用いて説明した構造とはことなり、図7図8および図10に示すように、半導体チップCHP2の領域1B、1Cが互いに重なる領域において、X方向で隣り合うコンタクトプラグC5同士の間に、配線SSWと一体となっているコンタクトプラグC8が層間絶縁膜ILを貫通して形成されている。コンタクトプラグC8は、互いに隣り合うトレンチD2同士の間の半導体基板の上面に形成されたボディ層PBに接続されている。領域1Cにはソース領域SRは形成されていないため、コンタクトプラグC8はソース領域SRに接していない。言い換えれば、コンタクトプラグC8はソース領域SRと離間している。
【0053】
コンタクトプラグC8は、半導体基板内に形成されたバイパスダイオードBDに電気的に接続されている。図8では、センスMOSFET1SQの形成領域を破線で囲んでおり、バイパスダイオードBDの形成領域を一点鎖線で囲んでいる。
【0054】
バイパスダイオードBDは、センスMOSFET1SQのソース・ドレイン間に並列に接続されている。バイパスダイオードBDは、図10に示すコンタクトプラグC8に接続されたp型層であるボディ層PBと、ドリフト層DFおよびドレイン領域DRからなるn型層とのpn接合により構成されている。図11に示すように、バイパスダイオードBDは、そのアノードがソースSに接続され、カソードがドレインDに接続されている。バイパスダイオードは、半導体装置のESD(Electro-Static Discharge)耐性を確保する役割を有している。すなわち、バイパスダイオードBDが形成されていれば、例えば静電気が例えば配線SSWなどに対し放電された際、バイパスダイオードBDを介して電流をドレインに流し、高電圧により半導体素子がダメージを受けることを防げる。
【0055】
また、図7図9および図11に示すように、ここでは、メインMOSFETのソース電位検出用のケルビンパッドであるソースパッドSKPを形成している。一部の上面にソースパッドSKPを有する配線SW3は、ソースパッドSP、配線SSW、SW1、SW2およびゲート配線GWと同じ高さに位置する配線である。配線SW3は、例えば、コンタクトプラグC6に接続された箇所の配線SW1またはSW2と、X方向において隣り合う位置においてトレンチD1の直上に形成されている。配線SW3は、Y方向におけるソースパッドSPおよびゲート配線GWの外側において、コンタクトプラグC7を介して、トレンチD1内のフィールドプレート電極FPに電気的に接続されている。図11に示すように、メインMOSFET1MQのソース領域は、ソースS(ソースパッドSP)およびソースSK(ソースパッドSKP)に接続されている。
【0056】
これにより、半導体チップCHP2のY方向における中央部からメインMOSFET1MQのソース電位を、フィールドプレート電極FPを通して取り出すことができる。したがって、半導体チップCHP2のY方向における中央部のメインMOSFET1MQの電位を検出できるため、より安定した電位の検出が可能となる。
【0057】
<変形例2>
図12に、半導体チップCHP3の領域1Aの全てのメインMOSFET1MQに対してバイパスダイオードBDを接続した平面レイアウトを示す。図12に示すように、Y方向におけるソースパッドSPおよびゲート配線GWの外側において、互いに隣り合うトレンチD1同士、互いに隣り合うトレンチD2同士、および、互いに隣り合うトレンチD1、D2同士のそれぞれの間に、半導体基板上にコンタクトプラグC9が形成されている。コンタクトプラグC9は、コンタクトプラグC8と同様に、半導体基板の上面に形成されたボディ層PBに接続されており、当該ボディ層PBは、バイパスダイオードBDのアノードを構成している。X方向に並ぶ複数のコンタクトプラグC9は、X方向に延在する配線SW2と一体となっている。つまり、それらのバイパスダイオードBDは、コンタクトプラグC9および配線SW2を介してセンスソースパッドSSKPに電気的に接続されている。
【0058】
本変形例では前記変形例1に比べ、より大面積のバイパスダイオード(保護ダイオード)を形成できるため、面積の小さいセンスMOSFETでもESD耐性を向上できる。
【0059】
(実施の形態2)
図13図15を用いて、素子分離のためのトレンチを設けた構造について説明する。図13図15のそれぞれは、本実施の形態の半導体装置の一例を示す平面レイアウトである。
【0060】
図13に示すように、半導体チップCHP4において、領域1BのトレンチD2と、領域1AのトレンチD1との間に、Y方向に延在するトレンチD4を形成している。トレンチD4の深さはトレンチD1~D3と同様である。トレンチD4は、Y方向における両端において、トレンチD3に接続されている。トレンチD4内の構造は、トレンチD1、D2内の構造と同様であってもよく、トレンチD3内の構造と同様であってもよい。つまり、トレンチD4内の電極の数は1つでも2つでもよい。これは、後に説明するトレンチD5、D6も同様である。
【0061】
図13では、トレンチD4内の導電膜に接続されるコンタクトプラグを示していないが、コンタクトプラグC2、C3、C5と同様のコンタクトプラグが当該導電膜に接続されていてもよい。これは、後に説明するトレンチD5も同様である。
【0062】
センスMOSFET1SQとメインMOSFET1MQとのそれぞれのソースパッドSP、センスソースパッドSSPは電気的に独立している必要がある。半導体装置に印加される電圧が高く、高い耐圧性能が要求される場合、センスMOSFET1SQとメインMOSFET1MQとの間の素子分離を行うため、それらの素子間の距離をある程度大きく確保することが考えられる。しかし、その場合半導体装置の大きさが増大する。
【0063】
そこで、本実施の形態では、トレンチD4を設けている。トレンチD4は、センスMOSFET1SQとメインMOSFET1MQとの間のX方向における絶縁性を向上させるために設けられた擬似的なトレンチである。ここでいう擬似的なトレンチとは、トレンチ型MOSFETのトレンチを構成しないトレンチであるという意味である。つまり、擬似的なトレンチ内の導電膜は、MOSFETのゲート電極として機能しない。ここでは、センスMOSFETとメインMOSFETとの間にトレンチを設けずに距離を増大させる場合に比べ、半導体装置の大きさの増大を防ぐことができ、かつ、センスMOSFET1SQとメインMOSFET1MQとの間のX方向における絶縁性を向上できる。
【0064】
図14では、半導体チップCHP5において、平面レイアウトを除き上記トレンチD4と同様の構造を有するトレンチD5を形成している。すなわち、トレンチD5は、トレンチD3に接続されていない点で、トレンチD4とは異なる。言い換えれば、トレンチD5は、トレンチD1、D2と同様に、トレンチD3に対して離間している。また、ここでは、Y方向における領域1Bと領域1Aとの間にX方向に延在するトレンチD6を形成している。トレンチD6は、X方向に並ぶ複数のトレンチD2と平面視において交差しており、それらのトレンチD2と接続されている。トレンチD6は、Y方向において隣り合うコンタクトプラグC1とコンタクトプラグC4との間に形成されている。トレンチD6は、トレンチD4、D5と同じく、素子間の絶縁性向上のために設けられた擬似的なトレンチである。
【0065】
ここでは、トレンチD5を設けることで、X方向におけるセンスMOSFET1SQとメインMOSFET1MQとの間の絶縁性を向上させ、かつ、トレンチD6を設けることで、Y方向におけるセンスMOSFET1SQとメインMOSFET1MQとの間の絶縁性を向上させている。
【0066】
また、図15に、図13に示す構造と図14に示す構造とを組み合わせた構造を示している。すなわち、図15に示す半導体チップCHP6は、トレンチD4、D6を有している。トレンチD4がトレンチD3に接続されていることにより、図14を用いて説明した半導体チップCHP5に比べて、X方向におけるセンスMOSFET1SQとメインMOSFET1MQとの間の絶縁性を向上できる。
【0067】
(実施の形態3)
フィールドプレート電極は断面積が小さく、抵抗が大きいため、センスMOSFETのソース領域へのソース電位の給電を少数のフィールドプレート電極により行うと、配線抵抗の影響が生じる可能性がある。
【0068】
そこで、本実施の形態の半導体チップCHP7では、図16に示すように、トレンチD2に対しX方向において隣り合う一部のトレンチD1を、X方向に延在するトレンチD7によりトレンチD2と接続している。トレンチD7内には、領域1CのトレンチD2内と同様に、絶縁膜IF1およびフィールドプレート電極FPが形成されている。つまり、トレンチD2内のフィールドプレート電極FPと、トレンチD2と並ぶトレンチD1内のトレンチD1内のフィールドプレート電極FPとは、トレンチD7内のフィールドプレート電極FPを介して電気的に接続されている。トレンチD7に接続されたトレンチD1は、平面視において領域1Bおよび配線SSWと離間するトレンチである。
【0069】
このようにしてトレンチD2と接続されたトレンチD1内のフィールドプレート電極FPは、コンタクトプラグC3を介してソースパッドSPに接続されていない。つまり、当該トレンチD1の直上には、コンタクトプラグC3は形成されていない。すなわち、トレンチD2と接続されたトレンチD1内のフィールドプレート電極FPは、ソースパッドSPと絶縁されている。当該トレンチD1は、Y方向におけるソースパッドSPおよびゲート配線GWの外側において、配線SW1、SW2に対し、コンタクトプラグC6を介して電気的に接続されている。
【0070】
本実施の形態では、トレンチをX方向に接続することで、センスMOSFETのソース電極を引き出すフィールドプレート電極の本数を増やしている。これにより、センスMOSFETのソース領域にソース電位を供給する配線の抵抗を低減できる。
【0071】
以上、本発明者らによってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0072】
例えば、前記実施の形態1~3に記載した各MOSFETの構成部分の極性を入れ替えてもよい。つまり、各MOSFETはp型MOSFETであってもよい。
【符号の説明】
【0073】
1MQ メインMOSFET
1SQ センスMOSFET
BD バイパスダイオード
C1~C9 コンタクトプラグ
CHP1~CHP7 半導体チップ
D1~D7 トレンチ
DF ドリフト層
DR ドレイン領域
FP フィールドプレート電極
GE ゲート電極
GP ゲートパッド
GW ゲート配線
PB ボディ層
SB 基板
SKP、SP ソースパッド
SR ソース領域
SSKP、SSP センスソースパッド
SSW、SW1、SW2、SW3 配線
TR ターミネーションリング
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16