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特開2023-155634データ送信装置、データ回収装置、及びデータ回収システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023155634
(43)【公開日】2023-10-23
(54)【発明の名称】データ送信装置、データ回収装置、及びデータ回収システム
(51)【国際特許分類】
   H04B 1/59 20060101AFI20231016BHJP
   H04B 5/02 20060101ALI20231016BHJP
【FI】
H04B1/59
H04B5/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022065070
(22)【出願日】2022-04-11
(71)【出願人】
【識別番号】518195771
【氏名又は名称】株式会社翔エンジニアリング
(71)【出願人】
【識別番号】591015278
【氏名又は名称】株式会社 拓和
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤原 暉雄
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 和雄
(72)【発明者】
【氏名】奥田 満紀子
(72)【発明者】
【氏名】飯島 義明
(72)【発明者】
【氏名】沼口 太一
【テーマコード(参考)】
5K012
【Fターム(参考)】
5K012AB01
5K012AC08
5K012AC10
5K012AE02
5K012BA02
(57)【要約】
【課題】データ回収の際に信頼性のある通信を行うための技術を提供する。
【解決手段】データ送信装置30はアンテナ31及び通信部32を備える。通信部32は、アンテナ31で受信した無変調信号の反射波を変調して、順序付けされた複数のデータブロックを順番に送信する。通信部32は、n番目までのデータブロックの送信を完了しており、無変調信号の受信の再開を待つ第1待機状態において無変調信号を受信した場合、n-nd番目から順番にデータブロックを送信する。ndは、所定値であり、さらに0又は自然数である。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナ及び通信部を備え、
前記通信部は、前記アンテナで受信した無変調信号の反射波を変調して、順序付けされた複数のデータブロックを順番に送信し、
前記通信部は、n番目までのデータブロックの送信を完了しており、無変調信号の受信の再開を待つ第1待機状態において無変調信号を受信した場合、n-nd番目から順番にデータブロックを送信し、ここで、ndは、所定値であり、さらに0又は自然数である、データ送信装置。
【請求項2】
前記通信部は、Ns個のデータブロックの送信を途中で停止せずに完了する前に無変調信号を受信しなくなった場合、前記第1待機状態に遷移し、ここで、Nsは、所定値であり、さらに自然数であり、
前記通信部は、Ns個のデータブロックの送信を途中で停止せずに完了した後、データブロックの送信を停止し、
前記通信部は、前記Ns個のデータブロックの送信の完了から所定の時間Tsdの経過後、無変調信号の受信を待つ第2待機状態に遷移し、
前記通信部は、n番目までのデータブロックの送信を完了しており、前記第2待機状態において無変調信号を受信した場合、n+1番目から順番にデータブロックを送信し、
前記通信部は、前記第2待機状態への遷移から所定の時間δの経過までに無変調信号を受信しなかった場合、前記第1待機状態に遷移する、請求項1に記載のデータ送信装置。
【請求項3】
前記通信部は、データブロックの送信中に無変調信号を受信しなくなった場合、前記第1待機状態に遷移する、請求項1に記載のデータ送信装置。
【請求項4】
アンテナ、送信機、受信機、及びデータ回収制御部を備え、
前記送信機は、前記データ回収制御部の命令に基づいて無変調信号を前記アンテナから送信し、
前記受信機は、無変調信号の反射波に乗せられたデータブロックを前記アンテナで受信し、受信したデータブロックの誤りを検出しなかった場合、受信したデータブロックを出力し、受信したデータブロックの誤りを検出した場合、受信したデータブロックを出力せず、
前記データ回収制御部は、前記受信機から所定の期間内にデータブロックを取得した場合、取得したデータブロックを保存し、前記受信機から所定の期間内にデータブロックを取得しない場合、無変調信号の送信を一時的に停止するように前記送信機に命令する、データ回収装置。
【請求項5】
請求項1から3の何れかに記載のデータ送信装置、及び請求項4に記載のデータ回収装置を備える、データ回収システム。
【請求項6】
移動体及び観測装置をさらに備え、
前記データ回収装置は前記移動体に搭載され、
前記データ送信装置は、前記観測装置から観測データを取得し、前記観測データを含むデータブロックを送信する、請求項5に記載のデータ回収システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データロガーのようなデータを保存する装置からデータを回収するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、観測機器から観測データを回収するための観測システムが開示されている。この観測システムは、観測場所に設置された複数の観測機器、及び送電・通信機器を搭載したマルチコプタを備える。マルチコプタは基地局から観測機器の上空まで自律飛行する。マルチコプタが観測機器の上空に到達すると、送電・通信機器は、観測機器に電力を供給すると共に、観測機器から観測データを回収する。送電・通信機器が電力の供給及び観測データの回収を終了すると、マルチコプタは基地局に戻る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6666663号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、送電・通信機器が観測機器から観測データを回収する際、送電・通信機器と観測機器の間に通信エラーが生じた場合、送電・通信機器及び観測機器がどのように動作するかは具体的に開示されていない。
【0005】
本発明の目的は、データ回収の際に信頼性のある通信を行うための技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のデータ送信装置はアンテナ及び通信部を備え、前記通信部は、前記アンテナで受信した無変調信号の反射波を変調して、順序付けされた複数のデータブロックを順番に送信し、前記通信部は、n番目までのデータブロックの送信を完了しており、無変調信号の受信の再開を待つ第1待機状態において無変調信号を受信した場合、n-nd番目から順番にデータブロックを送信し、ここで、ndは、所定値であり、さらに0又は自然数である。
【0007】
本発明のデータ回収装置は、アンテナ、送信機、受信機、及びデータ回収制御部を備え、前記送信機は、前記データ回収制御部の命令に基づいて無変調信号を前記アンテナから送信し、前記受信機は、無変調信号の反射波に乗せられたデータブロックを前記アンテナで受信し、受信したデータブロックの誤りを検出しなかった場合、受信したデータブロックを出力し、受信したデータブロックの誤りを検出した場合、受信したデータブロックを出力せず、前記データ回収制御部は、前記受信機から所定の期間内にデータブロックを取得した場合、取得したデータブロックを保存し、前記受信機から所定の期間内にデータブロックを取得しない場合、無変調信号の送信を一時的に停止するように前記送信機に命令する。
【0008】
本発明のデータ回収システムは本発明のデータ送信装置及び本発明のデータ回収装置を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、データ回収の際に信頼性のある通信を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は本発明の第1実施形態に係るデータ回収システム10の概念図である。
図2図2は第1実施形態に係るデータ回収装置20のブロック図である。
図3図3は第1実施形態に係るデータ送信装置30のブロック図である。
図4図4は、第1実施形態に係るデータ回収制御部24のデータ回収処理を示す状態遷移図である。
図5図5は、第1実施形態に係る通信制御部36のデータ送信処理を示す状態遷移図である。
図6図6は、第1実施形態に係るデータ回収システム10のデータ回収処理を示すタイミングチャートの第1例である。
図7図7は、第1実施形態に係るデータ回収システム10のデータ回収処理を示すタイミングチャートの第2例である。
図8図8は、第1実施形態に係るデータ回収システム10のデータ回収処理を示すタイミングチャートの第3例である。
図9図9は、ndの定め方を説明するための図である。
図10図10は、第1実施形態の変形例に係る通信制御部36のデータ送信処理を示す状態遷移図である。
図11図11は、第1実施形態の変形例に係るデータ回収システム10のデータ回収処理を示すタイミングチャートの一例である。
図12図12は、第2実施形態に係る通信制御部36のデータ送信処理を示す状態遷移図である。
図13図13は、第2実施形態に係るデータ回収システム10のデータ回収処理を示すタイミングチャートの一例である。
図14図14は、第2実施形態の変形例に係る通信制御部36のデータ送信処理を示す状態遷移図である。
図15図15は、第2実施形態の変形例に係るデータ回収システム10のデータ回収処理を示すタイミングチャートの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以降、本発明を実施するための複数の形態を示す。各実施形態は例示であり、異なる実施形態で示した構成の部分的な置換又は組み合わせが可能である。各々の実施形態では、その実施形態以前に説明した点と異なる点について説明する。特に、同様の構成による同様の作用効果については実施形態毎には逐次言及しない。
【0012】
《第1実施形態》
図1は本発明の第1実施形態に係るデータ回収システム10の概念図である。データ回収システム10は、ドローン11、データ回収装置20、観測装置12、及びデータ送信装置30を備える。データ回収装置20はドローン11に搭載される。データ送信装置30は、観測装置12の近くに設置され、観測装置12と有線又は無線で通信する。観測装置12及びデータ送信装置30は、例えば地上の観測場所に設置される。
【0013】
ドローン11は、基地局(図示せず)からデータ送信装置30の上空まで自律飛行した後、データ送信装置30の上空でホバリングする。ドローン11がホバリングを開始すると、データ回収装置20はデータ送信装置30に無変調信号を送信する。この無変調信号は、例えばマイクロ波である。本明細書において、マイクロ波は300MHz~300GHzの周波数を有する電磁波である。データ送信装置30は、無変調信号を受けてウェイクアップし、スリープモードから動作モードに移行する。それから、データ送信装置30は、観測装置12から観測データを読み込み、バックスキャタリング通信でデータ回収装置20に観測データを送信する。送信されるデータは順序付けられた複数のデータブロックで構成され、そのデータブロックは順番に送信される。データ回収装置20は観測データを受信及び保存する。データ回収装置20が観測データの回収を終了すると、ドローン11は自立飛行して基地局に帰還する。
【0014】
なお、データ回収は、ドローン11がホバリングしている状態ではなく、ドローン11が着地した状態で行われてもよい。
【0015】
図2は第1実施形態に係るデータ回収装置20のブロック図である。データ回収装置20は、アンテナ211,212、送信機22、受信機23、データ回収制御部24、及び記憶部25を備える。
【0016】
送信機22は、データ回収制御部24の命令に基づいて無変調信号をアンテナ211から送信する。送信機22は、電波産業会の策定した特定小電力無線局の標準規格に適合し、送信を開始する前にキャリアセンスを行い、所定時間以下で送信し、その後に所定時間以上送信を停止する。例えば、送信機22は、電波産業会の策定した標準規格 ARIB STD-T107 特定小電力無線局920MHz帯移動体識別用無線設備に準拠する。具体的に、送信機22は無変調信号の送信を時間T1毎に時間T2停止する。また、送信機22は、データ回収制御部24の命令によらずに、独立して、標準規格に従った送信停止を行う。
【0017】
なお、送信機22が特定小電力無線局の標準規格に適合することは必須ではない。
【0018】
受信機23は、RF回路、A/D変換回路、及びデータ処理部を有する。RF回路は、アンテナ212で受信された信号を復調する。A/D変換回路は、RF回路で取り出された信号をデジタル信号に変換する。データ処理部は、A/D変換回路から出力された信号に含まれるデータを処理する。データ処理部は、CPU、メモリ等で構成され、プログラムを実行することで所定の処理を行う。
【0019】
受信機23は、無変調信号(即ち無変調搬送波)の反射波に乗せられたデータブロックをアンテナ212で受信する。受信機23は、そのデータ処理部で、受信したデータブロックに対して誤り検出を行う。誤り検出の方式は、例えば、チェックサム、パリティチェック、CRCである。受信機23は、受信したデータブロックに誤りを検出しなかった場合、受信したデータブロックを出力し、受信したデータブロックに誤りを検出した場合、受信したデータブロックを出力しない。
【0020】
なお、送信機22と受信機23は、それぞれアンテナ211,212を使用しているが、1つアンテナを共用してもよい。
【0021】
データ回収制御部24はデータ回収装置20の全体を制御する。データ回収制御部24は、誤りを検出されなかったデータブロックを受信機23から取得し、そのデータブロックを保存する。また、データ回収制御部24は送信機22に送信制御信号を出力する。データ回収制御部24は、送信制御信号を立ち上げることで送信機22に送信開始を命令し、送信制御信号を立ち下げることで送信機22に送信停止を命令する。さらに、データ回収制御部24はドローン11と適宜に通信する。データ回収制御部24は、CPU、メモリ等で構成され、プログラムを実行することで所定の処理を行う。
【0022】
データ回収制御部24は、自らのメモリにデータブロックを一時的に保存し、データ回収の終了後にそのデータブロックを記憶部25に書き込む。記憶部25は、例えばSDメモリーカードのような不揮発性メモリである。
【0023】
図3は第1実施形態に係るデータ送信装置30のブロック図である。データ送信装置30はアンテナ31及び通信部32を備える。通信部32は、整流変調回路33、電圧検出回路34、電圧保持回路35、及び通信制御部36を有する。
【0024】
整流変調回路33は、アンテナ31で受信された無変調信号を直流電圧に整流変換し、その直流電圧を電圧検出回路34に出力する。また、整流変調回路33は、通信制御部36から出力された変調信号msに基づいてアンテナ31の負荷を変化させることで、アンテナ31で受信された無変調信号の反射波を変調する。
【0025】
電圧検出回路34は、整流変調回路33の出力電圧に応じて、電圧保持回路35及び通信制御部36に電圧Vnmsを出力する。電圧検出回路34は、整流変調回路33の出力電圧が基準電圧より高い場合、電圧Vnmsをハイレベルにし、整流変調回路33の出力電圧が基準電圧より低い場合、電圧Vnmsをローレベルにする。
【0026】
電圧保持回路35は、RSラッチ又はRSフリップフロップを有し、セット端子S、リセット端子R、及び給電端子Fを有する。電圧保持回路35は、電圧Vnmsがハイレベルに上がった場合、即ちセット端子Sの電圧がハイレベルに上がった場合、給電端子Fと電源(図示せず)を導通させ、その状態を保持することで、通信制御部36に給電する。また、電圧保持回路35は、通信制御部36がリセット端子Rの電圧をハイレベルに上げた場合、給電端子Fと電源の導通を止め、通信制御部36への給電を終了する。
【0027】
なお、電圧保持回路35は、他の種類のラッチ又はフリップフロップで有してもよい。
【0028】
通信制御部36は、電圧Vnmsを監視することで無変調信号の受信状態を判断する。即ち、通信制御部36は、電圧Vnmsがハイレベルにある場合、無変調信号を受信していると判断し、電圧Vnmsがローレベルにある場合、無変調信号を受信していないと判断する。また、通信制御部36は、観測装置12から観測データを読み込み、送信のために観測データに処理を施す。さらに、通信制御部36は、観測データを乗せた変調信号msを整流変調回路33に出力することで、観測データを送信する。通信制御部36は、CPU、メモリ等で構成され、プログラムを実行することで所定の処理を行う。
【0029】
ドローン11は、データ送信装置30の上空に到着すると、データ回収装置20のデータ回収制御部24に目的地への到着を通知する。データ回収制御部24は、この通知を受けると、送信機22に送信開始を命令する。送信機22は、この命令を受けると、データ送信装置30に無変調信号を送信することを開始する。
【0030】
データ送信装置30のアンテナ31が無変調信号を受けると、整流変調回路33は直流電圧を出力し、電圧検出回路34は電圧Vnmsをハイレベルに上げ、電圧保持回路35は通信制御部36に電力を供給し、通信制御部36はスリープモードから動作モードに移行する。そして、通信制御部36は、観測装置12から観測データを読み込み、送信のために観測データに処理を施した後、整流変調回路33に変調信号msを出力することで、データ回収装置20に送信準備の完了を通知する。
【0031】
データ回収装置20のデータ回収制御部24は、その通知を受けると、送信機22に送信停止を命令した後、送信機22に送信開始を改めて命令する。通信制御部36は、送信準備の完了を通知した後に電圧Vnmsの立ち上がりを検出すると、データブロックの送信を開始する。
【0032】
なお、送信準備の完了の通知は、標準規格で定められた送信停止が送信準備の完了の通知からその通知に起因した送信停止までの間に来ないように送信される。
【0033】
図4は、第1実施形態に係るデータ回収制御部24のデータ回収処理を示す状態遷移図である。図5は、第1実施形態に係る通信制御部36のデータ送信処理を示す状態遷移図である。図6は、第1実施形態に係るデータ回収システム10のデータ回収処理を示すタイミングチャートの第1例である。図6に示す第1例では、データ回収装置20とデータ送信装置30が正常に通信している。図7は、第1実施形態に係るデータ回収システム10のデータ回収処理を示すタイミングチャートの第2例である。図7に示す第2例では、データ回収装置20がデータブロックに誤りを検出している。図8は、第1実施形態に係るデータ回収システム10のデータ回収処理を示すタイミングチャートの第3例である。図8に示す第3例では、データ回収装置20からデータ送信装置30に伝送された電力が一時的に低下している。図9は、ndの定め方を説明するための図である。図9は、それぞれのデータブロックがデータ送信装置30からデータ回収装置20に送信される期間を示している。
【0034】
図6から図8において、「無変調信号」は、送信機22が送信する期間、及び送信機22が送信を停止する期間を示している。送信機22がキャリアセンスを行う期間については、図示を省略している。「電圧Vnms」は電圧Vnmsの波形を示している。「データ送信」は、それぞれのデータブロックがデータ送信装置30からデータ回収装置20に送信される期間を示している。「誤り検出」は、受信機23が誤り検出を行う期間を示している。「データ取得」は、データ回収制御部24がデータブロックの取得及び保存を実行する期間を示している。「送信制御信号」は送信制御信号の波形を示している。
【0035】
図4に示すように、データ回収制御部24は、送信準備の完了の通知を受けてから改めて送信機22に送信開始を命令する際、iを2に設定し、nsmを0に設定する。iはモードを表す。nsmは、無変調信号の送信停止を経ずに無変調信号の送信開始又は再開から現在までの間にデータ回収制御部24によって取得されたデータブロックの個数を表す。
【0036】
データ回収制御部24は、改めて送信機22に送信開始を命令した後、データブロックの取得を待つ(S11,S12)。状態S12への遷移から時間Tad[i]の経過までにデータブロックを取得した場合、そのデータブロックを自らのメモリに保存し、nsmの値を1だけ増やす。それから、nsmが1に等しい場合、iに0を設定して状態S12に戻る。nsmがNsに等しい場合、iに1を設定し、nsmに0を設定して状態S12に戻る。それ以外の場合、そのまま状態S12に戻る。Tad[0]は、データ回収制御部24が、データブロックを取得及び保存してから、無変調信号の送信停止を経ずに、次のデータブロックを待つ時間を表す。Tad[1]は、データ回収制御部24が、データブロックを取得及び保存してから、標準規格に従った無変調信号の送信停止を経て、次のデータブロックを待つ時間を表す。Tad[2]は、データ回収制御部24が送信機22に送信開始を命令してからデータブロックを待つ時間を表す。Nsは、通信が正常に行われていることを想定して、データ回収制御部24が無変調信号の送信開始又は再開から時間T後までの間に取得するデータブロックの個数を表す。換言すれば、Nsは、通信が正常に行われていることを想定して、通信制御部36が無変調信号の送信開始又は再開から時間T後までの間に送信を完了するデータブロックの個数を表す。Nsは自然数である。図6から図8に示す例では、Nsは6に設定されている。
【0037】
なお、データ回収制御部24は、既に取得したデータブロックを再び取得した場合、後から取得したデータブロックを保存せずに破棄してもよい。
【0038】
データ回収制御部24は、状態S12への遷移から時間Tad[i]の経過までにデータブロックを取得しなかった場合、送信機22に送信停止を命令し、時間Tssの経過を待つ(S11,S13)。状態S13への遷移から時間Tssの経過後、送信機22に送信再開を命令し、iに2を設定し、nsmに0を設定して状態S12に戻る。Tssは、データ回収制御部24がデータブロックの欠落を検出した場合に送信制御信号をローレベルに下げる時間である。
【0039】
なお、無変調信号の送信停止はその命令より遅れ、無変調信号の送信開始はその命令より遅れる。
【0040】
データ回収制御部24は、状態S12にあるときにデータ送信装置30からデータ送信完了の通知を受けた場合、又は目的地到着の通知を受けてから時間Temまでにデータ回収を終えなかった場合、データ回収を終了する。Temは、データ回収制御部24がデータ回収処理を中止するまでに待つ時間を表す。
【0041】
図5に示すように、通信制御部36は、データ回収装置20に送信準備の完了を通知してから電圧Vnmsの立ち上がりを検出すると、n、nssに0を設定し、n+1番目のデータブロックを送信する(S21)。nは、通信制御部36が現在までに送信したとみなすデータブロックの個数を表す。nssは、無変調信号の送信停止を経ずに無変調信号の送信開始又は再開から現在までの間に通信制御部36によって送信されたデータブロックの個数を表す。
【0042】
通信制御部36は、n+1番目のデータブロックの送信中に電圧Vnmsの立ち下がりを検出した場合、n+1番目のデータブロックの送信を停止し、即ちn+1番目のデータブロックを乗せた変調信号msの出力を停止し、電圧Vnmsの立ち上がりの検出を待つ(S22)。状態S22は本発明の「第1待機状態」の一例である。電圧Vnmsの立ち上がりを検出した場合、0とn-nd-1のうち小さくない方をnに設定し、nssに0を設定して状態S21に遷移する。状態S22への遷移から時間Tesの経過までに電圧Vnmsの立ち上がりを検出しなかった場合、データ送信処理を終了する。ndは、TdをTdbで除算したときの商の整数部分に相当し、0又は自然数である。ここで、Tdは、受信機23がデータブロックの誤りを検出したと想定して、通信制御部36がそのデータブロックの送信を完了してから、通信制御部36がそのデータブロックの誤りに起因してデータブロックの送信を停止するまでの時間である。Tdbは、1つのデータブロックの送信にかかる時間である。図6から図8に示す例において、ndは0に設定されている。図9に示す例において、ndは1に設定されている。Tesは、通信制御部36がデータ送信処理を中止するまでに待つ時間を表す。
【0043】
通信制御部36は、n+1番目のデータブロックの送信を完了すると、n、nssの値を1だけ増やす。
【0044】
それから、通信制御部36は、nがNに等しくなく、かつnssがNsに等しくない場合、状態S21に戻る。Nは、通信制御部36が送信する全てのデータブロックの個数を表す。
【0045】
通信制御部36は、上記のようにn、nssの値を1だけ増やした後、nがNに等しくなく、かつnssがNsに等しい場合、n番目のデータブロックの送信の完了から時間Tsdの経過を待つ(S23)。時間Tsdの経過後、ハイレベルにある電圧Vnmsの検出を待つ(S24)。状態S24は本発明の「第2待機状態」の一例である。通信制御部36は、ハイレベルにある電圧Vnmsを検出した場合、nssに0を設定して状態S21に遷移する。状態S24への遷移から時間δの経過までに、ハイレベルにある電圧Vnmsを検出しなかった場合、状態S22に遷移する。Tsdは、Tsd<Ts<Tsd+δを満たすように設定される。ここで、Ts=T1+T2-Tdb×Nsである。δは、通信制御部36が、状態S24にあるときに、ハイレベルにある電圧Vnmsの検出を待つ時間である。
【0046】
通信制御部36は、上記のようにn、nssの値を1だけ増やした後、nがNに等しい場合、データ回収装置20にデータ送信完了を通知し(S25)、データ送信処理を終了する。
【0047】
ここで、時間Tssの設定値について述べておく。時間Tssは次の条件が満たされるように十分に長く設定される。第1に、時間Trtは時間Tsd+δを上回る。Trtは、データ回収制御部24がデータブロックの欠落を検出したと想定して、電圧Vnmsがそのデータブロックの欠落に起因してローレベルにある時間を表す。第2に、データ回収制御部24がデータブロックの欠落を検出したと想定して、データ回収制御部24は、無変調信号の送信再開の命令後において、通信制御部36がその送信再開の命令後に送信を開始したデータブロックしか取得しない。
【0048】
また、データ回収システム10で用いる定数について述べておく。T1、T2、Ns、Tad[i]、Tss、Tem、Tsd、δ、nd、Tesの値は、予め定められており、データ回収中に変わらない。Nの値は、送信準備中に定められ、データ回収中に変わらない。
【0049】
図6に示す第1例では、データ回収制御部24が送信制御信号をハイレベルに上げると、送信機22は無変調信号の送信を開始する。通信制御部36は、電圧Vnmsの立ち上がりを検出すると、1番目から順番にデータブロックを送信する。受信機23は、データブロックを受信すると、そのデータブロックに対して誤り検出を行う。データ回収制御部24は、受信機23からデータブロックを取得すると、そのデータブロックを保存する。ここで、データ回収制御部24は、送信制御信号の立ち上がりから時間Tad[2]だけ1番目のデータブロックを待つ。また、データ回収制御部24は、2番目から6番目までのデータブロックに関して、データブロックを取得及び保存してから時間Tad[0]だけ次のデータブロックを待つ。通信制御部36は、6番目のデータブロックを送信すると、データブロックの送信を停止する。送信機22は、無変調信号を時間T1送信した後、無変調信号の送信を時間T2停止する。通信制御部36は、6番目のデータブロックの送信を完了してから時間Tsd待ち、それから時間δの経過までにハイレベルにある電圧Vnmsを検出すると、7番目のデータブロックの送信を開始する。受信機23は、7番目のデータブロックを受信すると、そのデータブロックに対して誤り検出を行う。データ回収制御部24は、受信機23から7番目のデータブロックを取得すると、そのデータブロックを保存する。ここで、データ回収制御部24は、6番目のデータブロックを取得及び保存してから時間Tad[1]だけ7番目のデータブロックを待つ。データ回収処理は以降も同様に行われる。
【0050】
図7に示す第2例では、受信機23が10番目のブロックデータに誤りを検出している。データ回収制御部24は、9番目のデータブロックを取得及び保存してから時間Tad[0]内にブロックデータを取得しないため、送信制御信号をローレベルに時間Tss下げる。送信機22は、送信制御信号の立ち下がり及びその後の立ち上がりに応じて、無変調信号の送信を一時的に停止する。通信制御部36は、11番目のブロックデータの送信中に電圧Vnmsの立ち下がりを検出し、11番目のデータブロックの送信を停止する。その後、通信制御部36は、電圧Vnmsの立ち上がりを検出すると、10番目から順番にデータブロックを送信する。
【0051】
図8に示す第3例では、時刻tb1からtb2まで、無変調信号は送信されているが、電圧Vnmsはローレベルにある。通信制御部36は、電圧Vnmsの立ち下がりを時刻tb1に検出し、9番目のデータブロックの送信を停止する。その後、電圧Vnmsの立ち上がりを時刻tb2に検出し、8番目のデータブロックの送信を開始する。受信機23は、9番目のデータブロックの全体を受信しないため、9番目のデータブロックに対して誤り検出を行わない。データ回収制御部24は、8番目のデータブロックを取得及び保存してから時間Tad[0]内に9番目のデータブロックを取得しないため、送信制御信号をローレベルに時間Tss下げる。送信機22は、送信制御信号の立ち下がり及びその後の立ち上がりに応じて、無変調信号の送信を一時的に停止する。通信制御部36は、8番目のブロックデータの送信中に電圧Vnmsの立ち下がりを検出し、8番目のデータブロックの送信を停止する。その後、電圧Vnmsの立ち上がりを検出し、7番目から順番にデータブロックを送信する。
【0052】
データ回収装置20のデータ回収制御部24は、データ回収を終了する際、送信機22に送信を停止させ、ドローン11にデータ回収の終了を通知する。それから、データ回収制御部24は自らのメモリに保存したデータブロックを記憶部25に書き込む。ドローン11は、データ回収終了の通知を受けると、基地局に帰還する。データ送信装置30の通信制御部36は、ローレベルにある電圧Vnmsを所定時間以上連続して検出すると、スリープモードに移行する。
【0053】
図10は、第1実施形態の変形例に係る通信制御部36のデータ送信処理を示す状態遷移図である。第1の実施形態の変形例に係るデータ送信処理は第1実施形態に係るデータ送信処理と次の点で異なる。即ち、通信制御部36は、n+1番目のデータブロックの送信を完了し、n、nssの値を1だけ増やした後、nがNに等しくない場合、S21に戻る。また、n+1番目のデータブロックの送信中に電圧Vnmsの立ち下がりを検出し、かつnssがNsに等しい場合、n番目のデータブロックの送信の完了から時間Tsdの経過を待つ(S23)。n+1番目のデータブロックの送信中に電圧Vnmsの立ち下がりを検出し、かつnssがNsに等しくない場合、状態S22に遷移する。
【0054】
図11は、第1実施形態の変形例に係るデータ回収システム10のデータ回収処理を示すタイミングチャートの一例である。通信制御部36は、7番目のデータブロックの送信中に電圧Vnmsの立ち下がりを検出し、7番目のデータブロックの送信を停止する。その後、電圧Vnmsの立ち上がりを検出し、7番目のデータブロックの送信を開始する。
【0055】
第1実施形態によれば、データ回収装置20は、受信したデータブロックに誤りを検出した場合、又は受信予定のデータブロックを所定時間内に受信しなかった場合、無変調信号の送信を一時的に停止する。データ送信装置30は、無変調信号の送信再開後に、そのデータブロックを送信又は再送する。このように通信エラーを修復することで、信頼性のある通信を行うことができる。
【0056】
また、データ回収装置20とデータ送信装置30は双方向通信を行うことを必要としない。送信機22は被変調信号の送信を必要とせず、データ送信装置30は受信機を必要としない。このため、回収処理及びシステム構成を簡素にすることができる。
【0057】
《第2実施形態》
本発明の第2実施形態に係るデータ回収システムは、データ送信処理の点で、本発明の第1の実施形態に係るデータ回収システムと異なる。第2実施形態に係るデータ回収システムの構成は、図1から図3に示す本発明の第1実施形態に係るデータ回収システムの構成と実質的に同じである。このため、第1の実施形態に係るデータ回収システムの構成要素と実質的に同じ第2実施形態に係るデータ回収システムの構成要素にその第1実施形態に係るデータ回収システムの構成要素と同じ符号を付し、第2実施形態に係るデータ回収システムの構成の説明を省略する。
【0058】
図12は、第2実施形態に係る通信制御部36のデータ送信処理を示す状態遷移図である。第2実施形態に係るデータ送信処理は第1実施形態に係るデータ送信処理と次の点で異なる。即ち、通信制御部36は、n+1番目のデータブロックの送信を完了し、n、nssの値を1だけ増やした後、nがNに等しくなく、かつnssがNsに等しい場合、電圧Vnmsの立ち上がりの検出を待つ(S22)。
【0059】
図13は、第2実施形態に係るデータ回収システム10のデータ回収処理を示すタイミングチャートの一例である。通信制御部36は、6番目のデータブロックの送信を完了すると、電圧Vnmsの立ち上がりを待つ。電圧Vnmsの立ち上がりを検出すると、6番目から順番にデータブロックを送信する。
【0060】
図14は、第2実施形態の変形例に係る通信制御部36のデータ送信処理を示す状態遷移図である。第2実施形態の変形例に係るデータ送信処理は第2実施形態に係るデータ送信処理と次の点で異なる。即ち、通信制御部36は、n+1番目のデータブロックの送信を完了すると、nの値を1だけ増やし、状態S21に戻る。また、通信制御部36はnss、Nsを定義しなくてもよい。
【0061】
図15は、第2実施形態の変形例に係るデータ回収システム10のデータ回収処理を示すタイミングチャートの一例である。通信制御部36は、7番目のデータブロックの送信中に電圧Vnmsの立ち下がりを検出し、7番目のデータブロックの送信を停止する。その後、電圧Vnmsの立ち上がりを検出し、6番目のデータブロックの送信を開始する。
【0062】
第2実施形態によれば、回収処理をさらに簡素にすることができる。
【0063】
別の実施形態において、データ回収装置20はドローン11に代えて他の移動体に搭載されてもよい。
【0064】
あるいは、データ回収装置20は、移動体に搭載される代わりに、例えば建物内に設置されてもよい。そして、データ回収装置20は、例えば広域ネットワークを利用して、観測データを基地局に送信してもよい。
【0065】
また、データ送信装置30は、観測装置12に代えて他のデータ保存装置と通信し、観測データに代えて他のデータを送信してもよい。
【0066】
最後に、上記の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではない。当業者にとって変形及び変更が適宜可能である。本発明の範囲は、上記の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲内と均等の範囲内での実施形態からの変更が含まれる。
【符号の説明】
【0067】
F…給電端子
R…リセット端子
S…セット端子
10…データ回収システム
11…ドローン
12…観測装置
20…データ回収装置
22…送信機
23…受信機
24…データ回収制御部
25…記憶部
30…データ送信装置
31…アンテナ
32…通信部
33…整流変調回路
34…電圧検出回路
35…電圧保持回路
36…通信制御部
211,212…アンテナ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図10
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図15